説明

パラセタモールを有する液体医薬製剤

本発明は、パラセタモールの水溶液;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;前記医薬製剤の全量に対して約15%と35%w/vの間の全量でスクラロースならびにグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含有する多価アルコールの混合物を含む無糖液状医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラセタモールを有する液体医薬製剤に関する。
【0002】
特に、本発明は、パラセタモールの水溶液を含有する糖を含まない液体医薬製剤、ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤、キサンタンゴムを含有する増粘剤、ならびにスクラロースおよび多価アルコールの混合物を含有する甘味料系に関する。
【背景技術】
【0003】
物理化学的な観点から、パラセタモールは、無臭の白色粉末であり、特に苦味を有し、適度に水に溶解し(20℃にて1.4g/100mL)、結果として生じる溶液のpHが5.0から6.5の間のやや酸性であることが、従来技術において知られている。
【0004】
化学的な観点から、パラセタモールは、以下の一般式に相応するp−アミノフェノールの誘導体である。
【0005】
【化1】

【0006】
薬理学的観点から、パラセタモールは、顕著な解熱活性を有する鎮痛薬として幅広く使用されている。この特定の活性のため、それは幅広い容量範囲で様々な剤形において使用されている。
【0007】
パラセタモールは、プロスタグランジンの合成を阻害、特にシクロオキシゲナーゼの活性を阻害するその能力に関連する活性のメカニズムを有する。
【0008】
経口経路による投与は、あらゆる他の有効成分と類似していて、液体または固体のいずれかが、パラセタモール投与の好ましい方法であり、それは最終使用者で比較的急速および実用的なことを証明する。
【0009】
使用される薬品形態は、固体および液体であることができる。
【0010】
一般的に、多くの有効成分の非常に苦い味は、固形薬品形態の投与で深刻な問題を構成しない。これらの場合において、有効成分の苦味を、薬品形態のコーティングによって被覆することが可能であり、後者は合成ポリマーまたは糖類コーティングで、錠剤またはカプセルの形態のいずれかである。
【0011】
しかしながら、固体薬品形態は、最終使用者が子供もしくは嚥下で問題を有する高齢者、または有効成分の投薬量が、特に患者の体重に関連するとき、抗生物質、抗炎症薬および解熱剤の場合、服用量が患者の体重および年齢に密接な関連があるため、特に不利である。
【0012】
これらの場合において、液体薬品形態、例えばシロップまたは点滴剤の形態において有効成分を投与することが、特に便利で、実用的である。液体調製は、有効成分が媒体中に懸濁または溶解されているかどうかにより、懸濁液および溶液によって示される。特に不快な味および/または非常に低い溶解度を有する有効成分の場合において、しばしば薬品形態は有効成分が溶解よりはむしろ懸濁して使用される。
【0013】
米国特許第5,409,907号明細書は、有効成分が溶解されていないが、懸濁液で存在する薬品形態の例を記載する。前記特許において記載された懸濁液は、100mLにつき、微結晶性セルロース0.5〜1.0g、キサンタンゴム0.1〜0.2g、甘味糖類最大90g、水10〜30gおよび有効成分最大40gで含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、有効成分が懸濁液中にある薬品形態は、上記全てと、長期に渡った分散相の蓄積および前記分散の不安定性と関連のある様々な不利な点がよく知られて存在する。沈殿は、懸濁液中で有効成分の濃度に変化をもたらす。懸濁液の不安定性は、懸濁液の成分の分離および層化を導く。これは、有効成分の正しい服用量の投与において、最終使用者が、特に高齢者の場合、懸濁液中の有効成分の均一な分布を復元するために使用する前に、処理しないか、ボトルを十分に振ることができないことを考えると、問題点および不確実性を導く。
【0015】
従って、有効成分が完全に溶解する液状薬品形態を投与することが好ましいが、特に不快な味および/または非常に低い溶解度を有する有効成分の場合に、これを達成するために、特定の可溶化剤および甘味料を有する製剤であることが必要であることが、明白である。
【0016】
米国特許第5,154,926号明細書は、100mLにつき、パラセタモールまたはフェノバルビタール0.5〜5g、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール)またはその重合体(分子量300〜400の間を有するポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール)5〜30g、水溶性高分子(ポリビニルピロリドン)0.5〜5g、糖質甘味料10〜60g、および100mL(適量)を達するのに十分な水を有するシロップを記載する。
【0017】
国際公開第03/047502号は、有効成分をポリビニルピロリドンおよび/またはコポリビドン(ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルの共重合体)ならびに高分子量のポリエチレングリコールを有する水溶性媒体中に溶解または分散する液体製剤を記載する。アセトアミノフェン(パラセタモールの同義語)を有する製剤を、懸濁液として常に記載し、糖質甘味料の量を20から95重量%の間で含有する。
【0018】
ポリビニルピロリドンを有する溶液および懸濁液は、時間とともに、かなり広い範囲で且つ比較的高い貯蔵温度で速くに黒化し、これはピロリドン基の酸化から生じる着色物質の形成が原因によるものである。
【0019】
さらに、高容量の糖質甘味料は、これらの溶液および懸濁液を、高エネルギー物質を摂取することを望まない対象、または様々な理由のため、特定の低糖の食事に制限されている、例えば糖尿病の対象に不適切なものとする。
【0020】
驚くべきことに、本出願人は、パラセタモールの水溶液;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;スクラロース、ならびにグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む多価アルコールの混合物を含有する甘味料系を含有する無糖液体医薬製剤が、上記課題を解決することが可能であることを見出した。
【0021】
特に、本出願人は、本発明の医薬製剤が、前記医薬製剤の全体量に対して最大5%w/vのパラセタモールの量を液中で維持することを可能とすることを見出した。
【0022】
本出願人は、本発明の医薬製剤が、ポリビニルピロリドンを有する製剤の典型的な黒ずむ現象や、有効成分の沈殿現象を示すことなく、長期間安定であることを見出した。
【0023】
さらに本出願人は、驚くべきことに、溶液中にパラセタモールを含有し、完全に糖質甘味料がないけれども、本発明の医薬製剤は、パラセタモールを含む従来のシロップの味と比較して、優れ、特に好ましい味を依然として有することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0024】
従って、本発明の第一の態様は、パラセタモールの水溶液;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;スクラロースならびにグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む多価アルコールを前記薬品形態の全体量に対して約15%から35%w/vの間の量においての混合物を含有する甘味料系を含む無糖液体医薬製剤に関する。
【0025】
第二の態様において、本発明は、水溶性賦形剤;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;前記薬品形体の全体量に対して約15%から35%w/vの間の量におけるスクラロースならびにグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む多価アルコールの混合物を含有する甘味料系を含む不快な味の有効成分の投与のための薬学的に許容可能な無糖液体賦形剤に関する。
【0026】
「無糖」という用語は、糖類の決定可能な量がなく賦形剤/製剤を規定することを意味する一方、「糖類」とは全ての天然単糖類および二糖であり、サッカリドまたは還元糖、例えばグルコース、フルクトースおよびサッカロース(しかし後者は還元能力を有さない)として一般的に規定するものを含有することを意味する。「全体量に対して%w/v」という用語は、100重量部に対して重量部の数、通常100mLにつきgで表すが、100Lにつきkgと同等として規定することを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、上記態様の少なくとも一つにおいて、以下に記載の好ましい特徴の一つ以上を示すことができる。
【0028】
本発明の無糖液体医薬製剤は、パラセタモールの水溶液;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;スクラロースならびにグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む多価アルコールの混合物を、前記医薬製剤の全体量に対して約15%から35%w/vの間の量で含有する甘味料系を含む。
【0029】
好ましくは、本発明の液体医薬製剤が、前記医薬製剤の全体量に対してパラセタモールの量を最大5%w/v、より好ましくは最大4%w/v、さらにより好ましくは最大3%w/vを含有する。通常、本発明の液体医薬製剤を含有するパラセタモールの最適量は、前記医薬製剤の全体量に対して2%から3%w/vの間である。
【0030】
本出願人は、上記最大量の制限下において、本発明の液体医薬製剤のパラセタモールの量が、医薬製剤に不快な味を与えることなく、有効成分の好ましい適量を可能にして、溶液内に安定して残存することを見出した。
【0031】
有利に、本発明の液体医薬製剤において使用される可溶化剤は、高分子量のポリエチレングリコールであり、好ましくは1,000を超え、より好ましくは2,000から10,000の間、さらに好ましくは3,000から8,000の間である。通常、本発明の液体医薬製剤において使用されるポリエチレングリコールは、PEG4000またはPEG6000であり、後者は最も高い可溶能力を有するポリエチレングリコールであることを提供する。本発明において使用することができるポリエチレングリコールは、市販製品であり、例えばAlfa Aesar GmbH, Karlsruhe, Germany, and CarboMer, Inc., San Diego, California, USAから流通されている。
【0032】
好ましくは、本発明の液体医薬製剤が、前記医薬製剤の全体量に対して10%w/vを超え、より好ましくは15%w/vを超えるポリエチレングリコールの量を含有する。通常、本発明の液体医薬製剤を含有するポリエチレングリコールの最適量は、前記医薬製剤の全体量に対して15%から20%w/vの間である。
【0033】
都合の良いことに、本発明の液体医薬製剤において使用した増粘剤は、キサンタンゴムであり、キサントモナスカンペストリスの存在下において実行されるグルコースおよび/またはサッカロースの発酵工程によって抽出される市販の多糖類で、1960年代頃に最初にCP Kelco Company, USAによって販売されたものである。現在、キサンタンゴムは、CP Kelco Company, USAによって商品名KELTROL(登録商標)、KELZAN(登録商標)およびXANTURAL(登録商標)として販売されている。本発明の液体医薬製剤において使用したキサンタンゴムは、XANTURAL(登録商標)75であることが好ましい。
【0034】
本発明の液体医薬製剤は、前記医薬製剤の全体量に対してキサンタンゴムの量を0.1%から2.0%w/vの間、より好ましくは0.2%から1.0%w/vの間で含有することが好ましい。
【0035】
本発明の液体医薬製剤において使用した甘味料系は、スクラロースならびにグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む多価アルコールの混合物を含有する。
【0036】
有利には、本発明の液体医薬製剤が、前記医薬製剤の全体量に対してキサンタンゴムの量を0.1%から2.0%w/vの間、より好ましくは0.2%から1.0%w/vの間で含有することが好ましい。
【0037】
本発明の液体医薬製剤が、前記医薬製剤の全体量に対して多価アルコールの混合物の量を20%から30%w/vの間、より好ましくは22%から28%w/vの間で含有することが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、甘味料系は、前記医薬製剤の全体量に対してグリセロール、キシリトールおよびソルビトールの混合物を、全体量23%から27%w/vの間で含有する。
【0039】
有利には、本発明の医薬製剤は、前記医薬製剤の全体量に対してグリセロール7%から14%w/v、ソルビトール7%から14%w/vおよびキシリトール3%から7%w/vまでで示される甘味料系を含む。
【0040】
出願人は、驚くべきことに、本発明のキサンタンゴム、スクラロースおよび多価アルコールの組み合わせが、パラセタモールの不快な味をマスクすることを可能とし、糖分に基づいたシロップと比較して、本発明の液体医薬製剤に好ましい味および粘稠度を与えることを観測した。
【0041】
特に、出願人は、本発明のキサンタンゴム、スクラロースおよび多価アルコールの組み合わせが、驚くべきことに、パラセタモールと味蕾の関係を分離し、特に小児科の年齢層に適切な好ましい味、および本来のサッカロースを主成分とするシロップのものと比較することができる粘稠度を与えることを観測した。
【0042】
さらに本発明の液体医薬製剤は、当業者に知られている他の製薬学的に許容される添加剤、例えば防腐剤、酸化防止剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤および香料を含むことができる。
【0043】
防腐剤および酸化防止剤の実用的な例は、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウムおよびソルビン酸カリウム、メチル−p−ヒドロキシベンゾアート(メチルパラベン)、エチルp−ヒドロキシベンゾアート(エチルパラベン)およびプロピル−p−ヒドロキシベンゾアート(プロピルパラベン)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムもしくはアスパラギン酸カリウム、没食子酸および没食子酸ナトリウムもしくはカリウム、またはそれらの混合物である。ソルビン酸カリウムおよびメチルパラベンの混合物が特に好ましい。
【0044】
緩衝剤の実用的な例は、有機および無機の酸塩基バッファ系、例えばクエン酸およびクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、リン酸およびリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムのである。クエン酸およびクエン酸ナトリウムの組み合わせが特に好ましい。
【0045】
安定化剤の実用的な例は、アルギン酸ならびにアルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カリウム;寒天;カラゲーニン;およびトラガカントゴムを含有する。
【0046】
香味剤の実用的な例は、自然または合成の香料、例えばイチゴ味、マンダリン味、モモ味、レモン味、ラズベリー味、およびそれらの混合を含有する。
【0047】
一般的に上記添加剤のそれぞれの量は、前記医薬製剤の全体量に対して0.01%から2.0%w/vの間、より好ましくは0.05%から1.0%w/vの間である。
【0048】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明の液体医薬製剤は、以下表Aの成分を最小値から最大値の間の量で含有する。前記量を、脱イオン水の量をミリリットル(mL)で示すとは別に、全てグラム(g)で示す。
【0049】
【表1】

【0050】
さらなる態様において、本発明は、水溶性賦形剤;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;前記薬品形態の全量に対して約15%から35%w/vの間の量のスクラロースならびにグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む多価アルコールの混合物を含有する甘味料系を含む不快な味の有効成分の投与のための薬学的に許容可能な無糖液体賦形剤に関する。
【0051】
本発明の製薬学的に許容される液体賦形剤における溶解される形態において有利に投与することができる不快な味覚の有効成分は、水素結合を形成することができる親水基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基およびアミノ基を含む有効成分である。特に、前記有効成分は、制限されない例として、イブプロフェン、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸フェニレフリン、塩酸ジフェンヒドラミン、グアイフェネシン、臭化水素酸デキストロメトルファン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニルアミン、テルフェナジン、ロラタジン、塩酸ブロムヘキシン、アンブロキソール塩酸塩、硫酸サルブタモール、アモキシシリン、アンピシリン、クロキサシリン、フルクロキサシリン、セファレキシン、およびそれらの組合せであることができる。
【0052】
本発明の製薬学的に許容される無糖液体賦形剤は、それの態様の少なくても一つにおいて、本発明の医薬製剤で上記一つ以上の好ましい特徴を示すことができる。
【実施例】
【0053】
以下の例は、本発明の好ましい態様を例示するものを意図するが、それを制限することを目的とするものではない。当業者は、本発明の精神および請求項の範囲内において様々な変更をすることが可能である。
【0054】
実施例1
製剤1および2を、以下の表1に記載した成分の量を、以下の方法に従って混合することによって調製した。
【0055】
PEG6000およびp−ヒドロキシ安息香酸メチルを、80℃までに加熱した脱イオン水に溶解した。結果として生じる溶液の温度を60℃までに低下させ、その後ソルビン酸カリウムを添加し、溶解した。結果として生じる溶液の温度を40℃までに低下させ、その後パラセタモールを添加し、溶解した。結果として生じる溶液の温度を、25℃までに低下させ、その後クエン酸、クエン酸ナトリウム、および甘味料系(製剤1用のサッカリンナトリウムおよびサッカロース、製剤2用のスクラロース、キシリトール、ソルビトールおよびグリセロール)を添加し、溶解した。その後、香料およびキサンタンゴムを、透明溶液に添加し、溶解し、最後に溶液を容量100mLまで脱イオン水で生成した。
【0056】
表1における成分の量を、脱イオン水の量をミリリットル(mL)で示すことを除いて、全てグラム(g)で示す。
【0057】
【表2】

【0058】
Xantural(登録商標)75は、CP Kelco Company, USA(http://www.cpkelco.com/)によって製造されるキサンタンゴムの商品名である。
【0059】
実施例2
実施例1に従って調製した製剤1および2を、それらの許容性を最終使用者によって確認するため、嗜好試験に従った。
【0060】
30人の対象を20から50歳の間の年齢で選択した。試験を、投与のとき(T)、飲み込み時(T)、飲み込んだ後すぐ(T)、および飲み込んでから5分後(T)での、苦味、ヒリヒリ感、詰まり感および粘性への相対的な刺激を、0から3のスコアで理解し、評価するように、選択した対象に指示することによって実行した。以下の全スコアを、それぞれの対象で算出した:
−T、T、TおよびTで得られたスコアの合計から生じるそれぞれの刺激の全スコア。
−それぞれの刺激の全スコアを集計して得られた全スコア。
【0061】
以下の表2は、得られた平均結果を要約し、ウィルコクソンの符号順位統計的方法で分析した。
【0062】
【表3】

【0063】
統計分析は以下のことを示した:
−生成物の比較的高い脂性が原因で、粘性感覚に関して二つのシロップ(平均2=4.33対平均1−2.47)の間で統計学的に有意差(p<0.05)があり;
−生成物の比較的粘稠性が原因で、詰まる感覚に関して二つのシロップ(平均2=3.87対平均1=2.73)間で有意な限界の差(p=0.07)がある。
【0064】
粘性および粘稠度の感覚に関連する値を、生成物の粘性および粘稠度を調節するための増粘剤、例えばキサンタンゴムの存在にも関わらず、製剤2においてわずかに好ましくないのみであり、依然として許容できるとみなした。
【0065】
分析した他の刺激(苦味およびヒリヒリ感)および刺激の総計に関して、統計学的な有意差を2つのシロップの間で見出さなかった。
【0066】
選択した対象を面談して、生成物の総合評価(許容不可、許容できる、良、優良)ならびに投与後に水を飲む必要性(ハイ、イイエ)を求めた。
【0067】
以下の表3および4は、得た結果を要約し、McNemar統計法によって分析した。全ての値を数値パーセンテージで示す。
【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
対象によって2つのシロップで示した水を飲む必要性および総体評価に対して、統計学的に有意な差を全く見出さなかった。
【0071】
実施例3
本発明の製剤2を、温度および相対湿度の様々な条件における安定性評価を提示した。
【0072】
その結果を以下の表5に要約する。
【0073】
【表6】

【0074】
表5のデータは、最も臨界的な保存条件でさえ本発明の製剤2の安定性を実証した。
【0075】
実施例4
最善の甘味料系を決定するために、以下の製剤を系の成分の数および量を変更して、調製および試験した。
【0076】
製剤3〜10を、以下の表6に示した成分量を、実施例1と同じ製法で混合して、調製した。表6における成分の量を、脱イオン水の量をミリリットル(mL)で示すことを除いて、グラム(g)で全て示す。
【0077】
【表7】

【0078】
製剤8は、4℃での保管では甘味料系の成分の過剰な量で結晶形成を導くため、不適切であることが直ちに分かった。製剤3〜7および9〜10を、苦味(様々な甘味料系の成分は、ヒリヒリ感、詰まり感および粘性に対する試験に全く影響しない)に対する試験に限って、実施例2に記載の同じ嗜好試験に提示した。また製剤1および2で得た値をまた、比較として示した。得られた平均値を、以下の表7に示した。
【0079】
【表8】

【0080】
製剤3〜6の全ては、甘味料系の4成分中(スクラロース、グリセロール、ソルビトールまたはキシリトール)の1つが不足するため、苦味試験において非常に陰性であることを証明した。製剤7は、甘味料系の成分の全ての最小含有量のため、ほぼ許容可能なことのみが分かった。組成物9および10は、製剤1および2で得た値に相当することがわかった。
【0081】
表6および7のデータは、適量の甘味料系の4成分同時に存在による本発明の無糖医薬製剤のみが、サッカロースに基づく製剤と比較して良好な嗜好を有することを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラセタモールの水溶液;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;前記医薬製剤の全量に対して約15%と35%w/vの間の全量でスクラロース;グリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む多価アルコールの混合物を含有する無糖液体医薬製剤。
【請求項2】
前記可溶化剤は、1,000を超える分子量を有するポリエチレングリコールであり、前記医薬製剤の全量に対して10%w/vを超える量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記可溶化剤は、3,000から8,000の間の分子量を有するポリエチレングリコールであり、前記医薬製剤の全量に対して15%から20%w/vの間の量で存在するとして特徴とする、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記増粘剤は、前記医薬製剤の全量に対して0.1%から2.0%w/vの間の量で存在するキサンタンゴムであるとして特徴とする、前記いずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記増粘剤は、XANTURAL(登録商標)75であるとして特徴とする、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記甘味料系は、前記医薬製剤の全量に対して0.05%から0.5%w/vの間の量のスクラロースを含有するとして特徴とする、前記いずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記甘味料系は、前記多価アルコールの混合物を、前記医薬製剤の全量に対して20%から30%w/vの間の量で含有するとして特徴とする、前記いずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記甘味料系は、前記多価アルコールの混合物を、前記医薬製剤の全量に対して22%から28%w/vの量で含有するとして特徴とする、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記甘味料系は、前記医薬製剤の全量に対して、グリセロール7%〜14%w/v、ソルビトール7%〜14%w/v、キシリトール3〜7%w/vで含有するとして特徴とする、前記いずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記医薬製剤は、防腐剤、酸化防止剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、および香料を含有する群から選択される、少なくとも1つのさらなる薬学的に許容される添加剤を含有するとして特徴とする、前記いずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記製薬学的に許容される添加剤は、前記医薬製剤の全量に対して0.01%から2.0%w/vの間の量で存在する、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記医薬製剤は、以下の表の成分を、前記医薬製剤の全量に対してパーセンテージw/vとして表した最小値と最大値の間の量で含有する、前記いずれか一項に記載の医薬製剤:
【表1】

【請求項13】
水溶性賦形剤;ポリエチレングリコールを含有する可溶化剤;キサンタンゴムを含有する増粘剤;前記医薬製剤の全量に対して約15%と35%w/vの間の全量でスクラロース;グリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを有する多価アルコールを含有する甘味料系を含む、不快な味の有効成分の投与のために、薬学的に許容できる無糖液体賦形剤。
【請求項14】
前記可溶化剤は請求項2および3のいずれかに記載の特徴を有するとして特徴とする、請求項13に記載の液体賦形剤。
【請求項15】
前記増粘剤は、請求項4および5のいずれかに記載の特徴を有するとして特徴とする、請求項13および14のいずれかに記載の液体賦形剤。
【請求項16】
前記甘味料系は、請求項6〜9のいずれか一項に記載の特徴を有するとして特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の液体賦形剤。
【請求項17】
前記液体賦形剤は、防腐剤、酸化防止剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤および香料を含有する群から選択される、少なくとも1つのさらなる製薬学的に許容される添加剤として特徴とする、請求項13〜16のいずれか一項に記載の液体賦形剤。
【請求項18】
前記液体賦形剤は、以下の表の成分を、前記液体賦形剤の全量に対してパーセンテージw/vとして表した最小値から最大値の間の量で含有することを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の液体賦形剤:
【表2】


【公表番号】特表2012−505172(P2012−505172A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530451(P2011−530451)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062501
【国際公開番号】WO2010/040652
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(592160973)アジェンデ・キミケ・リウニテ・アンジェリニ・フランチェスコ・ア・チ・エレ・ア・エフェ・ソシエタ・ペル・アチオニ (36)
【氏名又は名称原語表記】AZIENDE CHIMICHE RIUNITE ANGELINI FRANCESCO A.C.R.A.F.SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】