説明

パルスジェット式集塵機用フイルタ装置及びフイルタ装置用濾布の製造方法

【課題】 集塵機ハウジングへのフイルタの収納本数、及び、濾布の総面積を増やすことにより、フイルタの集塵機ハウジングへの収容効率を改善すること、パルスエアーのフイルタ内への取り込みを満遍なく有効に作用させること、フイルタの構造上の弱点を改善すること、吸引/除塵時における濾布の収縮/膨張動作時に、隣接するフイルタの濾布に触れたりすることが無いようにすること、更に濾布の製作を容易にすることを可能にしたパルスジェット式集塵機用フイルタ装置と、このフイルタ装置に使用する濾布の製造方法を提供する。
【解決手段】 パルスジェット集塵機に用いるフイルタ装置10を構成するケージ30を、複数本の縦材31と横材32を用いて平面視形状が略正多角形状を成す縦長の籠状に造り、このケージ30に装着する濾布20を同じく平面視形状を略正多角形状に形成して、この濾布20の周囲に複数本のバンド50を巻き付けた状態に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵運転によってフイルタに付着したダストを、フイルタの内部に圧縮空気を吹き込むことによって払い落として除塵することができるパルスジェット式集塵機に用いて好適なフイルタ装置と、このフイルタ装置に使用する濾布の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パルスジェット式集塵機に使用するフイルタに関しては、従来より、例えば、特許文献1に記載の「パルスジェット式集塵機用フイルタ」や、特許文献2に記載の「バグフイルタ装置」が存在する。
【0003】
特許文献1に記載のフイルタは、細長い縦材と横材等を用いて略円筒状のリテーナ(ケージ)を形成し、その外周に円筒状のフイルタを装着して構成した最も一般的なフイルタ装置であり、また、特許文献2には、リテーナの形状を前後の幅よりも左右の幅を広く形成し、且つ、平面から見たリテーナの形状が略小判形状、或いは、略楕円形状、略角形小判形状、又は、略矩形形状に形成されたバッグフイルタ装置が記載されている。
【特許文献1】実開昭63−173324号公報
【特許文献1】特開昭63−91115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集塵機における濾過速度や濾布の通過風量は、集塵機ハウジングへの濾布(フイルタ)の収納本数や、濾布の総面積によって決まる。つまり、同じ濾過面積を有するフイルタであれば、より多くのフイルタが収納されることでその分だけ集塵性能も向上することになり、また、同じ収納本数であれば、より大きな濾過面積を有することが濾過性能を向上させる結果になる。
【0005】
尚、フイルタ相互間の空間距離は所定の間隔を保つ必要があり、それを必要以上に狭くすると、高圧の逆洗空気を噴射してバッグフイルタの濾布に捕集したダスト粉塵を払い落とす際に、当該逆洗空気の噴射によって膨張した濾布が相互に接触し合って、濾布の先端方向への脈動現象、波動現象等が遮られたり、払い落とされた粉塵の落下スペースがなくなり、隣接するバッグフイルタ列の濾布に再び吸着されてしまう等の問題が生じるため、集塵機ハウジングへの濾布の収納本数はフイルタ形状によって自ずと制限されることになる。
【0006】
然るに、上記特許文献1に記載されているフイルタは、図13(イ)において夫々符号100で示すように全体が円筒形状に形成されているため、(ロ)に示すように集塵機ハウジングへのフイルタ100の収納本数や収納効率に限界があり、従って、限られた集塵機ハウジング内でフイルタ100の総面積を必要以上に増やすことができなかった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載のバッグフイルタ装置は、上記特許文献1に記載の円筒型フイルタ100(図13参照)の問題点を解決するため、図14(イ)に示すように、リテーナ111の形状を前後の幅よりも左右の幅を広小判形状、又は略矩形形状に構成したバッグフイルタ110を提供している。この様に改良されたフイルタ110によれば、従来の円筒形状のフイルタ100に比べて、その外周長が等しい(濾過面積が等しい)バッグフイルタであれば、(ロ)に示すようにより多くの本数のフイルタ110を集塵機に収納でき、いわゆる集塵機ハウジングへのフイルタの収容効率を大幅に増加することができる利点を発揮することができる。
【0008】
しかしながら、上記のバッグフイルタ110は、パルスエアーの取り込み口が細長く形成されていることから、図14(ハ)に示すようにブローチューブ112から噴射されたエアーが全量フイルタ110の内部に取り込まれずに、無駄に放出されるエアーが生ずる問題がある。更に、ブローチューブ112からフイルタ110への到達距離が異なる(断面が楕円形であること)部分があることから、パルスエアーをフイルタ110の内部に満遍なく取り込むことが出来ず、除塵むらが生じたりする問題があった。
【0009】
また、リテーナ111の平面形状が横長く形成されている関係上、吸引時や除塵時において長辺部へ大きな力が作用して、リテーナ111の損傷の原因にもなるため、その弱点をカバーするためにリテーナ111の強度をあげるよう設計上の配慮が必要とされ、その結果、リテーナ111の重量や価格のアップにつながる問題もあった。
【0010】
そこで本発明の技術的課題は、集塵機ハウジングへのフイルタの収納本数、及び、濾布の総面積を増やすことにより、フイルタの集塵機ハウジングへの収容効率を改善すること、パルスエアーのフイルタ内への取り込みを満遍なく有効に作用させること、フイルタの構造上の弱点を改善すること、吸引/除塵時における濾布の収縮/膨張動作時に、隣接するフイルタの濾布に触れたりすることが無いようにすること、更に濾布の製作を容易にすることを可能にしたパルスジェット式集塵機用フイルタ装置と、このフイルタ装置に使用する濾布の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置は、ケージの周囲に装着した有底で筒状を成す濾布の内部に圧縮空気を吹き込むことにより、集塵によって濾布に付着したダストを払い落として除塵することができるように構成したパルスジェット式集塵機において、上記のケージを、複数本の細長い縦材と横材を用いて全体が縦長で、且つ、平面視形状が略正多角形状を成すと共に、該略正多角形状の各頂点部分の夫々に上記の縦材を配した構成と成し、上記の濾布を、平面視形状が上記ケージと同じ略正多角形状に形成され、この濾布の周囲に複数本のバンドを上下に間隔をあけて巻き付けて、略正多角形状の各頂点部分で上記濾布とバンドとを固着して成ることを特徴としている。
【0012】
(2) また、本発明の請求項2に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置は、略正多角形状の各頂点部分で濾布とバンドとを固着する際に、各頂点部分の間で濾布に弛みを持たせて固着するように構成したことを特徴としている。
【0013】
(3) また、本発明の請求項3に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置は、前記ケージを構成する各縦材のうち、少なくとも隣接する縦材を除く他の縦材同士の間に、複数本の梁用横材をその中間部で互いに交差するように掛け渡して取付けたことを特徴としている。
【0014】
(4) また、本発明の請求項4に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置は、各縦材の間に架設する各梁用横材の交差点部分を囲むように、該横材に対して補強用のリング材を取付けたことを特徴としている。
【0015】
(5) また、本発明の請求項5に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置は、隣接する各縦材の間に設けた横材を、ケージの内側に向けて湾曲形成したことを特徴としている。
【0016】
(6) 更に、本発明の請求項6に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置は、前記ケージ及び濾布の平面視形状が、正三角形、正四角形、正五角形或いは正六角形のいずれかの略正多角形状に形成されていることを特徴としている。
【0017】
(7) また、本発明の請求項7に係るフイルタ装置用濾布の製造方法は、平坦な濾布材の表面に複数本のバンドを上下に間隔をあけて並べて配設し、これ等各バンドの長手方向に間隔をあけた複数箇所を、上記濾布材の表面に縫い止め又は接着固定するステップと、上記濾布材の両端縁同士を縫製又は接着固定して、略円筒状の濾布と成すステップと、上記各バンドの中間部分を短く調整して、濾布をその平面視形状が各辺ごとに弛みを持たせた略正多角形の筒状体に成形するステップと、上記筒状体に成形した濾布の一端口を塞いで、全体を略正多角形状の袋体に成形するステップと、から成ることを特徴としている。
【0018】
(8) 更にまた、本発明の請求項8に係るフイルタ装置用濾布の製造方法は、濾布を略正多角形の筒状体に成形するステップとして、平坦な濾布材の表面に上下に間隔をあけて並べて取付ける複数本のバンドの長さを、濾布材の横幅よりも予め短く形成して、これ等各バンドの長手方向に間隔をあけた複数箇所を、夫々の間隔毎に濾布材側に弛みを持たせながら濾布材の表面に縫い止め又は接着固定した後、濾布材の両端縁同士を縫製又は接着固定するステップを用いることを特徴としている。
【0019】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、フイルター装置(ケージと濾布で構成される)の形状をその平面視形状を略正多角形状とし、該濾布の周囲にバンドを巻き付けて、上記濾布の多角形の各頂点部分において、濾布とバンドとを固着したので、濾布をケージに組み付けした状態でダスト吸引動作を行うと、頂点部以外の濾布の各面はフイルタ内に引き寄せられ、フイルタの平断面が略星型形状になり、各面にダストが捕集される。また、濾布に捕集堆積したダストを除塵する際には、濾布の内部に圧縮空気を噴射すると、その噴射された圧縮空気の力により濾布の多角形の各面にはそれぞれ均一な力が作用し、各面は外側に向けて膨張し、その時の衝撃でダストが払い落とすことができる。
【0020】
更に上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、多角形を成す濾布の各頂点がバンドで固着されている関係上、多角形の各辺に相当する各濾布面には常に均等な力が作用するように仕組まれている。つまり、逆にバンドによる濾布の頂点部が固定されていない場合は、濾布のいずれかの面に偏った空気圧力が作用すると、その圧力によりその部分の濾布が他の面より収縮して異常に内部に引き込まれたり、逆に圧力の掛かった方向に過大に膨張してしまい、その結果、他のフイルタの濾布に触れたり、他の濾布の正常な作用を阻害して、除塵作用が十分に行われないことが生じることになる。
【0021】
また、上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、フイルタの平面視形状を略正多角形形状としたから、除塵時における除塵エアーを取り入れる際に、その断面形状を例えば長方形等の形状にした場合に比べて採り入れやすく、無駄なエアーを消費することなく効率良く除塵することができる。
【0022】
上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、濾布における各多角形の各辺の長さを捲着したバンドに比較して長くすることで弛みを設けたので、フイルタの吸引時には、ケージの複数本の縦材によって形成される多角形の頂点を基点に、上記の濾布の弛み部分がそれそれ上記各縦材の間においてフイルタの内方向に吸引されて、濾布の断面形状を全体的に略星形を成すことができ、その結果、濾布面積を大きくすることができるため、濾布の収納効率を増大することを可能にする。
【0023】
上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、多角形の内側を横切って各頂点同士を繋ぐように複数本の梁用横材を架設したため、より少ない材料で強度性に優れたケージを提供することができる。
【0024】
上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、上記梁用横材の架設によって高められたケージの強度性を、リング材の取付けによって更に高めることができ、また、フイルタの吸引時には、フイルタの内方向に吸引された濾布が上記リング材に当たってその引き込みが制止されるため、濾布の内方向への引き込み過ぎを防止して、濾布の過剰な変形を防止することができると共に、内部に圧縮空気が吹き込まれた時は、外側への膨張を速やかに行って、ダストの払い落としを効果的に行うことができる。
【0025】
上記(5)で述べた請求項5に係る手段によれば、フイルタの吸引時に、フイルタの内方向に吸引された濾布が、内側に向けて湾曲形成された横材に当たってその引き込みが制止され、断面略星形状に支持されるため、濾布面に対してダストを効率良く捕集させることができると共に、濾布の引き込み過ぎによる過剰な変形を防止し、且つ、圧縮空気の吹き込みによる外側への膨張も速やかに行って、ダストの払い落としを効果的に行うことを可能にする。
【0026】
上記(6)で述べた請求項6に係る手段によれば、濾布の略正多角形が、正三角形、正四角形、正五角形、正六角形に造られているため、吸引時及び除塵時における各濾布面の変位を多くとることができるものであって、集塵と除塵を効果的に行うことを可能にする。
【0027】
上記(7)と(8)で述べた請求項7と8に係る手段によれば、フイルタ装置の濾布を成形するに当たって、通常の平坦な繊維材(濾布材)にバンドを縫い付け、その後、両端を筒状に縫い合わせて底部を形成すれば完成するものであるから、比較的簡単な工程で濾布を製造することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上述べた次第で、本発明に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置及びフイルタ装置用濾布の製造方法によれば、集塵機ハウジングへの濾布の収納本数、及び、濾布の総面積を増やすことができるため、バッグフイルタの集塵機ハウジングへの収容効率を改善することができる。また、パルスエアーのフイルタ内への取り込みを満遍なく有効に作用させることができるため、優れた除塵作用を発揮することができると共に、フイルタの構造上の弱点を改善して、吸引/除塵時における濾布の収縮/膨張動作時に隣接するフイルタの濾布に触れたりすることが無いようにしたため、集塵作用と除塵作用を効率良く行うことができ、更に、濾布の製作を容易にして、比較的低コストにて高性能のフイルタ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、上述した本発明に係るパルスジェット式集塵機用フイルタ装置及びフイルタ装置用濾布の製造方法の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は符号10で全体的に示した本発明に係るフイルタ装置をパルスジェット式集塵機に実施した場合の要部の正断面図であって、図中、1は集塵機ハウジング(図示省略)の内部を清浄室と集塵室の上下2室に区画する仕切板、1Hはこの仕切板1に設けた除塵用パルスエアーの吹込穴(実際には複数の吹込穴1Hが並設されている)で、この吹込穴1Hはフイルタ装置10によってダストが捕集された後の浄化空気の通気穴を兼ねている。
【0030】
2は、各吹込穴1Hごとに位置を合わせて仕切板1の底面に吊り下げ状態に取付けたベンチュリー管で、2Aは下方に向けて開口したパルスエアーの噴射口、2Bはパルスエアーの吹込口、2Kはベンチュリー管2を仕切板1の底面に溶接等によって固定する取付部、2Tはベンチュリー管2の周囲を囲むように折返し形成した折返し部を示し、フイルタ装置10を構成するケージ30は、この折返し部2Tに吊り下げた状態に取付けられることにより、仕切板1の底面に吊り下げ状態に取付けられる仕組みに成っている。
【0031】
符号30で全体的に示した上記のケージは、金属や硬質の合成樹脂材等を用いて造った複数本の細長い縦材31…、及び、複数本の横材32…とによって、全体が縦長で、且つ、平面視形状(平断面形状)が三角形、四角形、五角形、或いは、六角形の略正多角形状を成す籠型に形成されていて、略正多角形状の各頂点部分の夫々に上記の各縦材31…を配した構造に造られている。
【0032】
図1と図2に示したケージ30は、4本の縦材31…と、これ等4本の縦材31…が正四角形の各頂点部分の夫々に配置されるように、縦材31…に対して上下に間隔をあけて多段式に取付けた複数本の横材32…とによって、全体が図6(ロ)に示すように平面視形状が正四角形の籠型に形成されている。
【0033】
また、各横材32…としては、図2や図6(ロ)に示すように全体を角型リング状に造ったものと、図1の断面図やその斜視図に示すように、各横材32を各縦材31…の間に架設状態に溶接して構成したものとが存在し、更に、最上段の横材32の一部又は複数部には、最上段の横材32を上記ベンチュリー管2の折り返し部2Tに設けた係合溝に対し弾性的に係合して、ケージ30の全体を上記の折り返し部2Tに対して吊り下げ状態に取付けたり、或いは、この取付けを自由に外したりすることができるように、切欠部32A…が設けられている。
【0034】
更に図1において、符号20で全体的に示したのは、平面視形状(平断面形状)を上記のケージ30と同じ略正多角形状の筒状で、且つ、有底の袋状に造った濾布であって、この濾布20は、上記 ベンチュリー管2の折り返し部2Tに吊り下げたケージ30の外側に下から嵌装すると共に、その上端縁を折り返し、この折り返し縁を締付ネジ4によって上記仕切板1の底面に取付けたフイルタ押え板3とパッキン材5の間に挟み込んだ後、 締付ネジ4を締付けることにより、内部にケージ30を収めた状態で仕切板1の底面に吊下げ状態に取付けられ、また、上記締付ネジ4を外すことによって、その取付けを自由に外すことができるように構成されている。
【0035】
更に図中、6は濾布20に付着したダストを払い落とす除塵運転時に、圧縮エアー(パルスエアー)を上記の吹込穴1H及びベンチュリー管2を通して濾布20の内部に吹き込むブローチューブ、50は上記濾布20の周面部に巻き付け状態に取付けたバンドを示す。このバンド50は、上記パルスエアーの噴射による除塵運転時に、濾布20が必要以上に外方に脹らんだり、図9に示すように不規則に脹らむことを防止するためのものであって、実際には複数本のバンド50…が、濾布20の周面に対して長手方向に間隔をあけて巻き付け状態に取付けられている。
【0036】
以上の如く構成した本発明に係るフイルタ装置によれば、ブロアー(図示省略)の運転による吸引作用が仕切板1の上側に設けた清浄室に及ぶと、この吸引作用が上述した吹込穴1H、ベンチュリー管2及び濾布20を通してフイルタ装置10を吊下げた集塵室に及ぶため、ダクト等を介して含塵空気を集塵室に吸い込んで、含塵空気中のダストを濾布20に捕集、分離すると共に、ダストが捕集、分離された浄化空気をベンチュリー管2、吹込穴1H、清浄室を通して外部に排出することができる。また、濾布20に付着したダストを払い落とす除塵運転に際しては、ブローチューブ6よりパルスエアーをベンチュリー管2を通して濾布20の内部に吹き込むことにより、濾布20を外方に脹らませ、その衝撃によってダストを濾布20より払い落として下側のダストバケット(図示省略)に回収することができる。
【0037】
次に、上述したケージ30の他の実施例の構成と、濾布20を縫製する製造方法に関して、夫々図面を参照しながら説明する。
【0038】
図3は上述した濾布20とケージ30を分解して示した斜視図であって、この図面に記載されている平面視形状が正四角形状を成すケージ30は、計4本の縦材31…に対して、図2並びに図6(ロ)に示した全体が略角型リング状に造られた横材32…を上下に間隔をあけて取付けると共に、これ等横材32…の間に位置するように、対向する縦材31…の間に複数本の梁用横材33…をその中間部で互いに十字状に交差するように架設した構成に成っていて、これは前記請求項3に記載のケージの実施例を示したものである。尚、図中34はケージ30の底板を示す。
【0039】
また、図3に示した濾布20において、20Aは開口された上端口、20Bは底面に縫い付けた底板、51…は正四角形に形成した濾布20の各角部と、濾布20に巻き付けた各バンド50…の当該角部とを一体に縫い止め又は接着した固定部であって、各バンド50はこの固定部51…によって濾布20に対する取付位置が固定化されて、濾布20がパルスエアーの吹き込みによって脹らんだ時の取付位置のズレを防止することができる。また、20S…は上記各バンド50における各取付部51…の中間部分に生じさせた濾布20の弛み部であって、前記請求項2に記載の弛みに相当するこの弛み部20Sの存在により、集塵運転による吸引作用が濾布20に及んだ時に、当該たるみ部分がひだ状に変形して濾布20の平面視形状が断面略星形を呈する仕組みに成っている。
【0040】
次に、図4は上述したケージ30の他の実施例を示したものであって、(イ)は前記請求項4に記載のケージ30の構成を示し、(ロ)は(イ)の応用例を示し、(ハ)は(ロ)に示したケージ30と濾布20の関連を示した説明図である。
【0041】
即ち、図4(イ)に示したケージ30は、正四角形の各角部に配した計4本の縦材31…に対して、梁用横材33…を十字状に交差した状態で、且つ、上下に間隔をあけて多段式(図面では4段式)に取付けると共に、これ等各十字状に交差した部分を中心にしてその周囲を囲むように、梁用横材33…に対して補強用のリング材35を取付けて、これ等各梁用横材33…とリング材35…とによって、ケージ30の平面視形状が正四角形状に支持される仕組みに成っている。尚、図中32はケージ30の下端部に取付けた角形リング構造の横材、34はこの横材32に取付けた底板を示す。
【0042】
また、図4(ロ)において36…は、上記(イ)に示した上下多段式のリング材35…の間を接続するように上下縦方向に配設した計4本の補強用縦材で、(イ)に示したものに比較してその強度性を更に高めることができると共に、(ハ)に示すように、濾布20が集塵運転による吸引作用を受けてケージ30の内側に変形した時に、これ等各補強用縦材36…と補強用リング材35が変形して来る濾布20の面を受けて、濾布20が必要以上に内側に吸引されないように配慮されている。
【0043】
図5は前記請求項5に記載のケージ30の実施例を示したものであって、図5(イ)では前記図4(イ)に示したケージ30の補強用リング材35…に代えて、計4本の縦材31…の間を結ぶ横材として、ケージ30の内側に向けて湾曲形成した横材37…を使用して、十字状に交差させて取付けた梁用横材33…とこれ等横材37…が協力して、ケージ30の平面視形状を保持するように構成すると共に、濾布20の弛み20S(ヒダ)に対応させて内側に湾曲した横材37…が、集塵運転時における濾布20の必要以上の内側への変形を防止する仕組みに成っている。
【0044】
また、図5(ロ)は、上記内側に湾曲した横材37…を1段置きに設けた上記図5(イ)に示すケージ30の他の実施例を示し、更に、図6(イ)は図3に示したケージ30の構成を示し、図6(ロ)は図1及び図2に示したケージ30の構成を説明したものである。
【0045】
次に、図7(イ)〜(ホ)は、上述した請求項7及び8に示した濾布20の製作工程を示したものであって、(イ)はフエルト素材等を用いた平板状の濾材に対して、複数本(4本)のバンド50…を上下に間隔あけて並べて配し、且つ、各バンド50…の4隅に当たる部分、即ち、各縦材31…に当たる部分を濾材側に一体に縫い止め又は接着した固定部51…を造るステップを示す。
【0046】
次の(ロ)は、上記平板状の濾材を円筒状の濾布20に縫製又は接着するステップを示し、また、(ハ)と(ニ)は各バンド50における各固定部51,51の間、即ち、濾布20側に縫い止め又は接着されていない部分に、夫々(ハ)の如くU字状につまんだU字状縫製部52…を形成したり、或いは、(ニ)及び(ヘ)に示すようにループ状につまんだループ状縫製部53…を形成することにより、濾布20を平面視形状が各辺を内側に湾曲させた略四角形状に成形するステップを示し、更に(ホ)は、濾布20の一番下のだぶついた部分をつまんで縫製するつまみ縫製部54…を形成し、且つ、下端口に底板55を縫い止め又は接着して有底の濾布20を構成するステップを示す。
【0047】
尚、上記(ハ)及び(ニ)に示すステップにおいて、上記各バンド50…のU字状縫製部52及び縫製部53は、外側への飛び出しがないようにこれをバンド50の面側に押し付けて縫い止め又は接着する必要がある。また、前記請求項8に記載の如く、上述した濾布20を略正多角形の筒状体に成形するステップとして、平坦な濾材の表面に上下に間隔をあけて並べて取付ける複数本のバンド50の長さを、濾材の横幅よりも予め短く形成して、これ等各バンド50の長手方向に間隔をあけた複数箇所を、夫々の間隔毎に濾材側に弛みを持たせながら濾材の表面に縫い止め又は接着固定した後、濾材の両端縁同士を縫製又は接着固定するステップを用いることも可能である。
【0048】
図8は、以上の如く平面視形状を正四角形状に形成した濾布20の、集塵運転時及び塵除運転時における変形状態を示したものであって、(イ)は通常吸引時(集塵運転時)の形状を示し、(ロ)はパルス時(除塵運転時)の形状を示し、(ハ)は(ロ)に示したパルス時におけるバンド50が取付けられていない部分の濾布20の変形状態を示す。
【0049】
また、図9はバンド50で濾布20が規制されていない従来のフイルタ装置において、除塵運転によって濾布20のだぶつき20Hの部分が不規則に大きく脹らんで、隣の濾布20に接触している状態を示したものであって、本発明によればこの様な問題が発生しないフイルタ装置10を提供することができる。また、図10は本発明に係るフイルタ装置において、除塵運転時に濾布20が大きく脹らんで、大きな払い落とし効果を発揮している状態を示したものである。
【0050】
上述した実施例では、濾布20及びケージ30の平面視形状が正四角形のフイルタ装置10に付いてのみ説明したが、本発明では前記請求項6に示すように平面視形状が正三角形、正五角形、或いは、正六角形に形成したものであっても、同様に実施可能であって、図11は正三角形状に形成したフイルタ装置10の構成とその配列状態を示し、図12は正六角形に形成したフイルタ装置10の構成を示したものであって、濾布20とケージ30の構成は平面視形状が異なるだけで、他の構成は前記正四角形状のものと同一であるから、その詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るフイルタ装置を実施したパルスジェット式集塵機の要部を示した正断面図。
【図2】本発明で用いるケージの一例を示した斜視図。
【図3】本発明で用いる濾布とケージを分離して示した斜視図。
【図4】本発明で用いるケージの他の例を示した斜視図。
【図5】本発明で用いるケージの他の例を示した斜視図。
【図6】図1、図2、図3で使用するケージの構成を説明した斜視図。
【図7】本発明で用いる濾布の製造工程を説明した説明図。
【図8】本発明に係るフイルタ装置を構成する濾布の通常吸引時とパルス時とバンド以外の部分の形状を説明した説明図。
【図9】バンドで規制されていない濾布が除塵運転時に不規則に脹らんでいる状態を説明した説明図。
【図10】本発明に係るフイルタ装置の濾布が除塵運転時に大きく脹らんでいるいる状態を示した説明図。
【図11】本発明に係る正三角形状を成すフイルタ装置の配列状態を説明した構成図。
【図12】本発明に係る正六角形状を成すフイルタ装置の構成図。
【図13】平面視が円形状のフイルタを用いた従来装置の説明図。
【図14】平面視が略小判形状を成すフイルタを用いた従来装置の説明図。
【符号の説明】
【0052】
1 仕切板
1H 吹込穴
2 ベンチュリー管
6 ブローチューブ
10 フイルタ装置
20 濾布
20A 開口部
20B 底面部
20S 湾曲部
30 ケージ
31 縦材
32 横材
33 梁用横材
34 底板
35 リング材
36 縦支持材
37 湾曲した横材
50 バンド
51 固定部
52 U字状縫製部
53 ループ状縫製部
54 つまみ縫製部
55 底面板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケージの周囲に装着した有底で筒状を成す濾布の内部に圧縮空気を吹き込むことにより、集塵によって濾布に付着したダストを払い落として除塵することができるように構成したパルスジェット式集塵機において、
上記のケージを、複数本の細長い縦材と横材を用いて全体が縦長で、且つ、平面視形状が略正多角形状を成すと共に、該略正多角形状の各頂点部分の夫々に上記の縦材を配した構成と成し、
上記の濾布を、平面視形状が上記ケージと同じ略正多角形状に形成され、この濾布の周囲に複数本のバンドを上下に間隔をあけて巻き付けて、略正多角形状の各頂点部分で上記濾布とバンドとを固着して成ることを特徴とするパルスジェット式集塵機用フイルタ装置。
【請求項2】
略正多角形状の各頂点部分で濾布とバンドとを固着する際に、各頂点部分の間で濾布に弛みを持たせて固着するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のパルスジェット式集塵機用フイルタ装置。
【請求項3】
前記ケージを構成する各縦材のうち、少なくとも隣接する縦材を除く他の縦材同士の間に、複数本の梁用横材をその中間部で互いに交差するように掛け渡して取付けたことを特徴とする請求項1に記載のパルスジェット式集塵機用フイルタ装置。
【請求項4】
各縦材の間に架設する各梁用横材の交差点部分を囲むように、該横材に対して補強用のリング材を取付けたことを特徴とする請求項3に記載のパルスジェット式集塵機用フイルタ装置。
【請求項5】
隣接する各縦材の間に設けた横材を、ケージの内側に向けて湾曲形成したことを特徴とする請求項1に記載のパルスジェット式集塵機用フイルタ装置。
【請求項6】
前記ケージ及び濾布の平面視形状が、正三角形、正四角形、正五角形或いは正六角形のいずれかの略正多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のパルスジェット式集塵機用フイルタ装置。
【請求項7】
パルスジェット式集塵機用フイルタ装置に使用する濾布の製造方法であって、
平坦な濾布材の表面に複数本のバンドを上下に間隔をあけて並べて配設し、これ等各バンドの長手方向に間隔をあけた複数箇所を、上記濾布材の表面に縫い止め又は接着固定するステップと、
上記濾布材の両端縁同士を縫製又は接着固定して、略円筒状の濾布と成すステップと、
上記各バンドの中間部分を短く調整して、濾布をその平面視形状が各辺ごとに弛みを持たせた略正多角形の筒状体に成形するステップと、
上記筒状体に成形した濾布の一端口を塞いで、全体を略正多角形状の袋体に成形するステップと、から成ることを特徴とするフイルタ装置用濾布の製造方法。
【請求項8】
濾布を略正多角形の筒状体に成形するステップとして、平坦な濾布材の表面に上下に間隔をあけて並べて取付ける複数本のバンドの長さを、濾布材の横幅よりも予め短く形成して、これ等各バンドの長手方向に間隔をあけた複数箇所を、夫々の間隔毎に濾布材側に弛みを持たせながら濾布材の表面に縫い止め又は接着固定した後、濾布材の両端縁同士を縫製又は接着固定するステップを用いることを特徴とする請求項7に記載のフイルタ装置用濾布の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−756(P2006−756A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179436(P2004−179436)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】