説明

パルドプルノックスの多形

【化1】


本発明は、7−(4−メチル−1−ピペラジニル)−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン塩酸塩、部分的ドーパミンD受容体作動薬および完全セロトン5−HT1A受容体作動薬の新規調製法に関する。式(I)7−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン塩酸塩。また本発明は該化合物の多形、ならびにこれら化合物を含有する製薬学的組成物、この化合物の調製法、それらの合成に有用な新規中間体の調製法、および組成物の調製法に関する。また本発明はそのような化合物および組成物の使用、特にドーパミン作動性および/またはセロトニン作動性の障害により引き起こされる中枢神経系の障害または疾患、例えば不安障害(全般性不安、パニック障害および強迫性障害を含む)、鬱、自閉、統合失調症、パーキンソン病、不穏下肢症候群、および認知および記憶障害に治療的効果を達成するために、それらを患者に投与するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬化学および有機化学の分野に関する。本発明の態様は、7−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン塩酸塩、部分的ドーパミン−D受容体作動薬および完全セロトニン5−HT1A受容体作動薬の調製法に関し、そしてそれを提供する。また本発明は該化合物の多形、ならびに製剤および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
向精神薬であるピペラジン誘導体7−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン一塩酸塩は、SLV308として、そして最近ではパルドプルノックス(pardoprunox)としても知られているが、最初に特許文献1に開示された。この化合物は部分的ドーパミン−D受容体作動薬であると同時に、完全なセロトニン5−HT1A受容体作動薬である。これはパーキンソン病の処置のための臨床試験段階である(非特許文献1)。
【0003】
【化1】

【0004】
特許文献1の実施例2でパルドプルノックスは塩酸塩として知られている。この特許に概説されている合成経路は許容できる収率を有するが、臨床的開発で薬剤に必要とされる規模の合成には適さず、まして市販薬物に必要な規模には及ばない。元の合成に付随する問題は多種多様である:それには発癌性が疑われるビス−クロロ−エチルアミンの使用を必要とすること、最終中間体の処理が難しいこと、そして最終生成物が比較的大量の不純物を含むことがある。7−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン メシレートの新規合成経路は、特許文献2に開示された。合成の問題は克服されたが、後にパルドプルノックスを塩酸塩として開発することが決まった。この化合物をキログラム量でどのように安全かつ経済的に実行可能な方法で得るかは明らかであった。その方法は特許文献2に記載されているメシレートを合成し、それを遊離塩基に転換し、そしてそれから塩酸塩を調製する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第00/029397号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/066449号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R.Feenstra,et al.,Drugs of the future,26(2),128−132,2001
【発明の概要】
【0007】
驚くことに、7−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン塩酸塩をその遊離塩基から合成する幾つかの実験的変法を調査すると、2種の多形が見いだされた。変法の1つの最終産物はα−多形であり、一方他の変法はβ−多形を生じる。基本特許(特許文献1)に開示された実験条件の実験条件を繰り返して、この経路が不変的にβ−多形を導くことが証明された。
【0008】
安定性試験では、α−多形がβ−多形よりも安定であることが示された。この理由から、α−多形が患者を処置するために使用する製薬学的組成物中の有効成分として好ましい。
【0009】
α−多形は7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンを十分量のアセトニトリルと水との混合物中に還流で溶解することにより得ることができる。次に還流でHClを加え、次いで混合物を冷却し、生成物を単離し、そして洗浄する。高温および低圧で一定重量に乾燥した後、α−多形は高収率で得られる。
【0010】
β−多形は7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンを十分量のアセトニトリルに溶解することにより得ることができ、還流で透明溶液を得る。次に還流でHClを加えた後、混合物を冷却し、生成物を単離し、そして洗浄する。高温および低圧で乾燥後、β−多形は高収率で得られる。
【0011】
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩のα−多形は、以下の物理化学的特徴により定められる:
(i)約15.3、17.4、18.4、20.1、20.9、21.5、23.3、23.6、25.4、28.8で特徴的な反射(回折角度2θで表す)を有するX線粉末回折(=XRPD)パターン。回折角は6回の独立した測定の平均値(±0.1゜)として示される。多形αの完全なXRPDパターンは図1に示す。最も特徴的なピークは約17.4、21.5、23.3および28.8のものである。
(ii)約2454、1749、1632、1604、1456、1394、1265、1144、947、735で逆(reciprocal)センチメートルで表される特徴的吸収帯を有する減衰全反射(=ATR)で記録された赤外線(=IR)スペクトル。吸収帯は6回の独立した測定の平均値として示される。多形αの完全なIRスペクトルは図2に示す。最も特徴的な帯は約2454および1604のものである。
(iii)約3079、3031、2987、2972、1632、1262、859、561、499、273で逆センチメートルで表される特徴的吸収帯を有するラマンスペクトル。吸収帯は6回の独立した測定の平均値として示される。多形αの完全なラマンスペクトルは図3に示す。最も特徴的な帯は約3079、3031および1632のものである。
【0012】
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩のβ−多形は、以下の物理化学的特徴により定められる:
(i)約8.6、10.9、15.3、17.2、18.3、21.7、21.8、22.3、25.3、25.9で特徴的な反射(回折角度2θで表す)を有するXRPDパターン。回折角は6回の独立した測定の平均値(±0.1゜)として示される。多形βの完全なXRPDパターンは図4に示す。最も特徴的なピークは約10.9、15.3、18.3および22.3のものである。
(ii)約2709、1761、1635、1459、1405、1268、975、930、772、726で逆センチメートルで表される特徴的吸収帯を有するATRで記録
されたIRスペクトル。吸収帯は6回の独立した測定の平均値として示される。多形βの完全なIRスペクトルは図5に示す。最も特徴的な帯は約2709および975のものである。
(iii)約3095、3023、3002、2968、1636、1408、1260、858、558、284で逆センチメートルで表される特徴的吸収帯を有するラマンスペクトル。吸収帯は6回の独立した測定の平均値として示される。多形βの完全なラマンスペクトルは図6に示す。最も特徴的な帯は約3095、3002および1408のものである。
【0013】
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の多形αおよびβの結晶構造決定に関する単結晶X線回折データを以下に列挙する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
また本発明は7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の少なくとも約50重量%(wt%)、好ましくはその少なくとも約60重量%、より好ましくはその少なくとも約80重量%、さらに有利には少なくとも約90重量%、さらにより一層好ましくはその少なくとも約95重量%が多形αであり、そしてそのβ多形を実質的に含まない化合物に関する。実質的に含まないとは10%未満の量、好ましくは5重量/重量%未満の量を意味する。さらにより好ましくは少なくとも約99重量%の7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩が多形α形態である。
【0015】
また本発明は7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の調製法に関し、この方法は:
(i)5−クロロ−7−ニトロ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(1)の触媒的水素化により7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(2)を得:
【0016】
【化2】

【0017】
(ii)7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(2)をN−メチルジエタノールアミン(3)と無水メタンスルホン酸の存在下で反応させて、7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンメタンスルホン酸塩(4)を得:
【0018】
【化3】

【0019】
(iii)7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンメタンスルホン酸塩(4)を塩基と反応させて7−[(4−メチル)−1−ピペラジニ
ル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(5)を得:
【0020】
【化4】

【0021】
(iv)α−またはβ−多形のいずれかの条件に依存して、7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(5)を塩酸と反応させて、7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩(6)を得る、
【0022】
【化5】

【0023】
工程を含んでなる。
【0024】
これまでの工程、および7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンメタンスルホン酸塩(4)を含め、合成工程は特許文献2に記載されたように行うことができる。
【0025】
工程3で使用される塩基は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化マグネシウムのようなアルカリ水酸化物、リン酸水素二カリウムのようなリン酸アルカリから選択される。またこれらのアルカリ化合物の混合物も使用することができる。好適なアルカリ化合物は重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸カルシウムである。さらにより好ましくはアルカリ化合物は炭酸ナトリウムである。
【0026】
工程4でα−多形を合成するために、化合物(5)を極性溶媒と水との十分量の混合物に溶解する。適切な極性溶媒はアセトニトリル、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールである。最も好適な極性溶媒はアセトニトリルである。
【0027】
工程5における混合物中の水の量は、好ましくはおよそ10(重量/重量)%から30(重量/重量)%の間である。化合物(5)を溶解するために、極性溶媒と水との混合物は加熱され、好ましくは加熱還流される。
【0028】
化合物が溶解した時、HClが混合物中の化合物(5)の量に基づき算出される1.05から1.45モル当量(m/m)の間の量で加えられる。HClの好適な量は1.1当量(m/m)である。HClは好ましくは濃縮水溶液の状態、最も好ましくは36%水溶液で加えられる。
【0029】
HClの添加後、そして好ましくは透明溶液が得られた時、混合物は25℃から0℃の間の温度、好ましくは約0℃に冷却される。
【0030】
結晶生成物が形成されたら直ちに、生成物は濾過または遠心のような当該技術分野で既知の方法により単離される。
【0031】
単離後、生成物は好ましくは高温および低圧で乾燥される。好適な乾燥温度は20℃から70℃の間である。最も好適な乾燥温度は50℃である。乾燥中の好適な圧は約1,000から30mbarの間である。乾燥中の最も好適な圧は約100mbarである。
【0032】
工程4でβ−多形を合成するために、化合物(5)を十分量の極性溶媒中に溶解する。適切な極性溶媒はアセトニトリル、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールである。最も好適な極性溶媒はアセトニトリルである。
【0033】
化合物(5)を溶解するために、極性溶解は加熱、好ましくは加熱還流される。
【0034】
化合物が溶解した時、HClが混合物中の化合物(5)の量に基づき算出される1.05から1.45当量(m/m)の間の量で加えられる。HClの好適な量は1.1当量(m/m)である。HClは好ましくは濃縮水溶液の状態、最も好ましくは36%水溶液で加えられる。
【0035】
HClの添加後、そして好ましくは透明溶液が得られた時、混合物は25℃から0℃の間の温度、好ましくは約0℃に冷却される。
【0036】
結晶生成物が形成されたら直ちに、生成物は濾過または遠心のような当該技術分野で既知の方法により単離される。
【0037】
単離後、生成物は好ましくは高温および低圧で乾燥される。好適な乾燥温度は20℃から70℃の間である。最も好適な乾燥温度は50℃である。乾燥中の好適な圧は約1,000から30mbarの間である。乾燥中の最も好適な圧は約100mbarである。
【0038】
本発明の化合物は興味深い薬理学的特性、特に部分的ドーパミンD−受容体活性化作用(agonism)と完全なセロトニン5−HT1A−受容体活性化作用の両方の組み合わせによる薬理学的特性を有する(特許文献1、Feenstra,2001)。それらはドーパミン作動系および/またはセロトニン作動系の障害により引き起こされる中枢神経系の障害または疾患、例えば不安症候群(全般性不安、パニック障害および強迫性障害を含む)、鬱、自閉、統合失調症、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知および記憶障害の処置に価値があると思われる。
【0039】
本発明の他の態様には以下を含む:
例えばドーパミンDおよび/またはセロトニン5−HT1A受容体を活性化することにより処置できる障害または状態を処置するための製薬学的組成物、この組成物は7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩のα−多形および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる;
不安症候群(全般性不安、パニック障害および強迫性障害を含む)、鬱、自閉、統合失
調症、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知および記憶障害の処置から選択される障害または状態を処置するための製薬学的組成物;
本明細書に列挙する障害から選択される障害または状態を処置するための製薬学的組成物、この組成物は本発明の化合物および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる;
本明細書に列挙する障害から選択される障害または状態を処置する方法、この方法はそのような処置が必要な患者に本発明の化合物を投与することを含んでなる。また本発明は薬剤を製造するための本発明の化合物の使用も提供する。
【0040】
さらに本発明は、本発明の化合物または本発明の化合物を含んでなる製薬学的組成物または製剤を含んでなる組み合わせ療法に関し、この組み合わせ療法は列挙する1もしくは複数の状態を処置するために同時に、または逐次に、あるいは別の治療薬(1もしくは複数)との組み合わせ調製物として投与される。そのような他の治療薬(1もしくは複数)は、本発明の化合物の投与前、それと同時、またはその後に投与することができる。
【0041】
定義
より簡潔な説明を提供するために、用語「化合物(1もしくは複数)」には、明確に言及しない場合は、N−オキシド、同位元素で標識した類似体または薬理学的に許容され得る塩も含む。
【0042】
「形態」はすべての固体:多形、溶媒和物、無定形を包含する用語である。「結晶形」は同じ化合物の種々の固体状態、例えば多形、溶媒和物および無定形を指す。「無定形」は長距離秩序がない非結晶物質であり、一般に明確な粉末X線回折パターンを与えない。結晶形は一般に記載されている(Byrn et al.,Pharmaceutical Research,12(7),945−954,1995;Martin,E.W.(Editor),“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Mack Publishing Company,19th Edition,Easton,Pa,Vol 2.,Chapter
83,1447−1462,1995)。
【0043】
「多形」は、化合物が異なる結晶充填配列で結晶でき、そのすべてが同じ元素組成を有する結晶構造である。多形は頻繁に生じる現象であり、温度、過飽和のレベル、不純物の存在、溶媒の極性、冷却速度のような幾つかの結晶化条件により影響を受ける。異なる多形は通常、異なるX線回折パターン、固体状態のNMRスペクトル、赤外線またはラマンスペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学的および電気的特性、安定性および溶解性を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度、保存温度および他の因子が一結晶形の占有を生じ得る。
【0044】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に与える定量的表現の幾つかは、用語「約」または「およそ」のいずれかにより限定されない。用語「約」または「およそ」のいずれかが明確に使用されていてもいなくても、本明細書に与える各量は実際に与える値を指すことを意味し、そしてまた当該技術分野の通例の技術に基づき合理的に推測されるそのような所定値の近似値を指し、そのような所定値に関する実験または測定条件による近似値を含むことを意味すると理解される。
【0045】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、用語「含んでなる(comprise)」およびその語の変形、例えば「含んでなる(comprising)」および「含んでなる(comprises)」は、他の添加物、成分、材料または工程を排除しないことを意図している。
【0046】
本発明の化合物を未加工の化学物質として投与することができるが、それらは「製薬学
的組成物」として与えられることが好ましい。さらなる観点に従い、本発明は本発明の少なくとも1種の化合物、その少なくとも1種の製薬学的に許容され得る塩、または前記いずれかの混合物を、1もしくは複数のその製薬学的に許容され得る担体と一緒に、そして1もしくは複数の他の治療用成分を共に含んで、または含まずになる製薬学的組成物を提供する。担体(1もしくは複数)は、製剤の他の成分と適合性するという意味で「許容され得る」ものでなければならず、そしてその受容体に有害であってはならない。本明細書で使用する用語「組成物」は、予め定めた量または比率で特定の成分を含んでなる生成物、ならびに特定量で組み合わせる特定の成分から直接的または間接的に生じる任意の生成物を包含する。製薬学的組成物に関連して、この用語は1もしくは複数の有効成分、および不活性成分を含んでなる自由選択の担体、ならびに任意に2以上の成分の組み合わせ、錯化もしくは凝集から、あるいは1もしくは複数の成分の解離から、あるいは1もしくは複数の成分の別の種類の反応もしくは相互作用から直接的または間接的に生じる任意の生成物を含んでなる生成物を包含する。一般に製薬学的組成物は、有効成分を液体担体または微細に分割した固体担体もしくは双方と均一かつ完全に会合するようにし、次いで必要ならば生成物を所望の製剤に成形することにより調製される。製薬学的組成物は、疾患の進行または状態に望む効果を生じるために十分な活性対象化合物を含む。したがって本発明の製薬学的組成物は、本発明の化合物および製薬学的に許容され得る担体を混合することにより作成される任意の組成物を包含する。「製薬学的に許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合性でなければならず、そしてその受容体に有害であってはならないことを意味する。
【0047】
用量。本発明の化合物のドーパミンDおよびセロトニン5−HT1A受容体に対する親和性は、特許文献1に記載されているように測定された。本発明の所定の化合物について測定された結合親和性から、理論的な最低有効用量を推測することができる。測定されたK−値の2倍に等しい化合物濃度で、ほぼ100%の受容体が化合物により結合(occupied)される。濃度を患者の体重1kgあたりの化合物mgに変換することにより、理論的な最低有効用量を得、理想的なバイオアベイラビリティーを想定する。薬物動態学的、薬力学的および他の考察により、実際に投与される用量をより高いまたは低い値に変えることができる。有効成分の典型的な毎日の用量は広い範囲内で変動し、そして関連する徴候、投与経路、患者の年齢、体重および性別のような種々の因子に依存し、そして医師により決定され得る。一般に患者への毎日の全投与量は、単回または個別の用量で例えば1日あたり0.001〜10mg/kg体重、そしてより通常には1日あたり0.01〜1,000mg、または1日あたり0.01〜100mgの全有効成分量となり得る。そのような投薬用量は処置が必要な患者に毎日1〜3回、または効力に必要な頻度で、そして少なくとも2カ月、より典型的には少なくとも6カ月、または長期にわたり投与されるだろう。
【0048】
本明細書で使用する用語「治療に有効な量」とは、本発明の組成物を投与することにより治療できる状態を処置するための治療薬の量を指す。その量には組織系またはヒトで検出可能な治療的または改善的応答を現すために十分な量を含む。この効果には例えば本明細書に列挙する状態を処置することを含む。一個体に関して厳密な製薬学的に有効な量は、その個体のサイズおよび健康状態、処置する状態の性質および程度、処置する医師の推薦および投与するために選択された治療薬または治療薬の組み合わせに依存する。このように前以て厳密な製薬学的に有効な量を特定することは有用ではない。「製薬学的塩」とは、活性な製薬学的成分(active pharmaceutical ingredient:API)を追加の非毒性分子種と一緒に同じ結晶構造中に含有する酸:塩基複合体を指す。用語「製薬学的に許容され得る塩」とは、正当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、炎症、アレルギー応答等無しでヒトの組織と接触するための使用に適し、しかも合理的な利益/リスク比が釣り合っているこれらの塩を指す。製薬学的に許容され得る塩は当該技術分野で周知である。それらは本発明の化合物を最終的に単離し、そして精製
する場合にその場で調製することができ、あるいは無機または有機塩基および無機または有機酸を含め製薬学的に許容され得る非毒性の塩基または酸との反応により別々に調製することができる(Berge,S.M.:“Pharmaceutical salts”,J.Pharmaceutical Science,66,1−19(1977))。
【0049】
「遊離塩基」形は塩と塩基または酸とを接触させ、そして元の化合物を従来の様式で単離することにより再生することができる。化合物の元の形は特定の物理的特性、例えば極性溶媒中での溶解性が種々の塩形では異なるが、それ以外は塩は本発明の目的に関し化合物の元の形態と同等である。
【0050】
本明細書で使用する用語「処置」は、ヒトの状態または疾患の処置を指し、そして:(1)疾患または状態の抑制、すなわちその進行の阻止、(2)疾患または状態の軽減、すなわち状態の退行を引き起こすこと、または(3)疾患の症状の停止を含む。用語「抑制」とは、その一般に受け入れられている意味を含み、進行、重篤度、または結果として症状の制止、緩和、改善、および遅延、停止または逆行を含む。本明細書で使用する用語「薬物療法」が意図することには、ヒトにインビボまたはエクスビボで行われる診断的および治療的レジメンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の多形αのXRPDパターンである。
【図2】7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の多形αのIR(ATR)スペクトルである。
【図3】7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の多形αのラマンスペクトルである。
【図4】7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の多形βのXRPDパターンである。
【図5】7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の多形βのIR(ATR)スペクトルである。
【図6】7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の多形βのラマンスペクトルである。
【実施例1】
【0052】
分析法
X線粉末回折(XRPD)パターンは粉末X線回折装置で、CuKα照射(管電圧40kV、管電流40mA)を使用して、室温でブラッグ−ブレンターノ配置を用いて低いバックグラウンドのシリコンウェハで測定した。
【0053】
IRスペクトルは、1cm−1のスペクトル解像度でフーリエ変換IR分光計を減衰全反射法で(菱形結晶)用いて、重水素化硫酸トリグリシン検出器を使用して記録した。
【0054】
ラマンスペクトルは、2cm−1のスペクトル解像度でフーリエ変換ラマン分光計を用いて、Geダイオード検出器を使用して記録した。約250mWのレーザー出力光を10
64nmの励起波長で適用した。
【0055】
単結晶X線データはNonius k−CCD粉末X線回折装置で、MoKα照射を使用して、150Kの温度で回転する陽極で集めた。
【実施例2】
【0056】
パルドプルノックスのα−およびβ−多形の合成
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩の合成
工程1:5−クロロ−7−ニトロ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(1)の水素化により7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(2)を得る:
【0057】
【化6】

【0058】
1.0モルの5−クロロ−7−ニトロ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(1)、4.3リットルのエタノール、150mlのアンモニア25%および35gのPd/C 10%の懸濁液を60℃で作成した。この混合物を1時間、4barの水素圧下で水素化した。溶液を25℃に冷却し、そしてハイプロ(hyflo)上で濾過した。溶媒を水に変え、そして0℃に冷却した。結晶化した7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(2)を濾過により単離し、そして水/エタノールで洗浄した。生成物を50℃および100mbarで一定重量に乾燥した。この工程の全収率は約91%であった(粗生成物対原料)。
【0059】
工程2:7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(2)とN−メチルジエタノールアミン(3)との反応によりピペラジン環系を構築して7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンモノメタンスルホン酸塩(4)を得る。
【0060】
【化7】

【0061】
14.9gのN−メチルジエタノールアミン(3)、44.5gのトリエチルアミンおよび120mlのメチルエチルケトン(MEK)の混合物に、51.6gのメタンスルホン酸無水物および100mlのMEKの混合物を0℃で添加した。続いて14.5gのメタンスルホン酸を0℃で添加した。その後、14.5gの7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(2)を加え、そして混合物を加熱還流し、続いて48時間還流し、その間に生成物が結晶化した。0℃に冷却した後に生成物を濾取し、そしてMEKで洗浄した。生成物を50℃および100mbarで一定重量に乾燥した。この工程の全収率は約67
%であった(粗生成物対原料)。
【0062】
工程3:7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンモノメタンスルホン酸塩(4)から7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(5)への遊離塩基の調製
【0063】
【化8】

【0064】
250gの5%NaCO溶液を、32.9gの7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンモノメタンスルホン酸塩(4)の混合物(500mlの酢酸エチル中)に加え、そして室温で15分間撹拌した。層が分離し、そして水層を3回、150mlの酢酸エチルで洗浄した。酢酸エチル層を合わせ、そして溶媒を除去した。150mlのエタノール96%を50℃で残渣に加えた。混合物を0℃に冷却し、そして生成物を濾過により単離し、そしてエタノール96%で洗浄した。生成物を50℃および100mbarで一定重量に乾燥した。この工程の全収率は約90%であった。
【0065】
工程4:7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(5)の7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロンモノ塩酸塩への塩酸塩の調製
【0066】
【化9】

【0067】
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩のα−多形:
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(5)を、アセトニトリルと水との十分量の混合物(90/10 重量/重量)に溶解して還流で透明溶液を得た。1.1当量の36%HClを還流で加えた。混合物を0℃に冷却し、そして生成物を濾取し、そしてアセトニトリルで洗浄した。生成物を50℃および100mbarで一定重量に乾燥した。この工程の全収率は約91%であった(純粋生成物対原料)。
【0068】
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩のβ−多形:
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(5)を、十分量のアセトニトリルに溶解して還流で透明溶液を得た。1.1当量の36%HClを還流で加えた。混合物を0℃に冷却し、そして生成物を濾取し、そしてアセトニトリルで洗浄した。生成物を50℃および100mbarで一定重量に乾燥した。この工程の全収率は約100%であった(純粋生成物対原料)。
【実施例3】
【0069】
物理化学的特性
αおよびβ−多形は、単結晶X線回折により同定された:
【0070】
【表1】

【実施例4】
【0071】
安定性試験
パルドプルノックスのαおよびβ−多形の相対的安定性を、6種の溶媒中でエージング(ageing)およびスラリー実験により測定した。固体材料の結晶修飾はXRPDを使用して測定した。混合物に関して、αおよびβの量は、それぞれα−およびβ−多形の特異的反射のピーク高の比率に基づき半定量的な計算を使用して測定した。23.3゜2θでのピークをα−多形に使用し、そして15.3゜2θでのピークをβ−多形に使用した。サンプル調製の影響、結晶配向および応答因子の差により、この予測は半定量的である。
【0072】
エージング実験
エージング実験について、特異的多形(αまたはβ)の2連の飽和溶液を6種の溶媒中で375rpmで1週間、1つは周囲温度(約20℃)そして1つは50℃で振盪した。40mlの試験管に0.5gの適切な多形および25mlの溶媒(または混合物)を充填した。1週間後、沈殿を濾過し、そして減圧下、周囲温度で乾燥した。α−およびβ−多形に関するエージング実験の結果を表1に与える。
【0073】
【表2】

【0074】
スラリー実験
スラリー実験には、特異的多形(αまたはβ)の2連の飽和溶液を6種の溶媒中で375rpmで1日、1つは周囲温度そして1つは50℃で振盪した。40mlの試験管に0.5gの適切な多形および25mlの溶媒(または混合物)を充填した。1日後、約2.5mlのサンプルを各試験管から取り、濾過し、そして減圧下、周囲温度で乾燥した。続いて結晶修飾を測定した。サンプルを採取した後、各試験管に15〜20mgのもう一方の多形を播いた。次いですべての試験管を1週間、375rpmにて周囲温度または50℃で振盪した。最後に沈殿を濾過し、そして減圧下、周囲温度で乾燥し、そして結晶修飾を測定した。α−およびβ−多形に関するスラリー実験の結果を表2に与える。
【0075】
【表3】

【0076】
結論:
エージングまたはスラリー実験のいずれにおいても、α−からβ−多形への転換は観察されない。
【0077】
エージングならびにスラリー実験では、周囲温度および50℃の両方で、β−からα−多形への完全な転換がエタノールおよび10:3のトルエン/メタノール混合物中で観察された:アセトニトリル中では実質的な転換が観察され、一方他の溶媒中では転換は最少であった。
【0078】
これらの結果は適用した実験条件で結晶修飾αが、結晶修飾βよりも安定であることを示している。
【実施例5】
【0079】
製薬学的調製物
臨床的使用には本発明の化合物が製薬学的組成物に配合され、これはそれらが本明細書に開示される化合物を含むので本発明の新規態様である。使用できる製薬学的組成物の種類には、錠剤、チュワブル錠剤、カプセル(マイクロカプセルを含む)、溶液、非経口溶液、軟膏(クリームおよびゲル)、座薬、懸濁液および本明細書に開示する他の種類、あるいは本明細書から、および当該技術分野の一般知識から当業者に明白な他の種類を含む。有効成分はシクロデキストリン中に封入された複合体状態、それらのエーテルまたはそれらのエステル状態でもよい。組成物は経口、静脈内、皮下、気管、気管支、鼻内、肺、経皮、口内、直腸、非経口または他の投与方法に使用される。製薬学的製剤は本発明の化合物を少なくとも1種の製薬学的に許容され得る補助剤、希釈剤および/または担体との混合物中に含む。本発明の態様では、有効成分の全量は製剤の約0.1(重量/重量)%〜約95(重量/重量)%の範囲、例えば0.5%〜50(重量/重量)%、そして好ましくは1%〜25(重量/重量)%であることができる。幾つかの態様では、有効成分の
量は約95(重量/重量)%より多く、または約0.1(重量/重量)%より少なくてもよい。
【0080】
本発明の化合物は、液体または固体、微粉化材料のような補助物質、例えば製薬学的に通例の液体または固体充填剤および増量剤、溶媒、乳化剤、潤滑剤、香料、着色剤および/または緩衝物質を使用して通例の方法により投与に適する形態とすることができる。しばしば使用される補助物質には、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトールおよび他の糖または糖アルコール、タルク、ラクトプロテイン、ゼラチン、澱粉、アミロペクチン、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、例えば魚の肝油、ヒマワリ、アメリカホドイモまたはゴマ油、ポリエチレングリコール、および溶媒、例えば滅菌水およびモノ−もしくは多価アルコール、例えばグリセロール、ならびに崩壊剤および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスがある。次いで混合物は顆粒に加工されるか、または錠剤に打錠される。錠剤は以下の成分を使用して調製することができる:
成分 量(mg/錠剤)
パルドプルノックスのα−多形 10
セルロース、微晶質 200
二酸化ケイ素、燻蒸 10
ステアリン酸 10
計 230
【0081】
成分をブレンドし、そして打錠して各230mgの錠剤を形成する。有効成分は他の非有効成分と別個に順次プレミックスした後、製剤を形成するために混合することができる。
【0082】
軟質ゼラチンカプセルは、本発明の有効成分、植物油、脂肪または軟質ゼラチンカプセル用に適する他の賦形剤の混合物を含有するカプセルを用いて調製することができる。硬質ゼラチンカプセルは、有効成分の粒末を含むことができる。また硬質ゼラチンカプセルは有効成分を固体の粉末化材料、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンと一緒に含むことができる。
【0083】
直腸投与用の投薬単位は、(i)中性の脂肪基剤と混合した有効成分を含む座薬の形態に、(ii)植物油、パラフィン油またはゼラチン直腸カプセル用に適した他の賦形剤との混合物中に活性物質を含むゼラチン直腸カプセルの形態に、(iii)既製の微小浣腸形態に、または(iv)投与直前に適切な溶媒中に再構成される乾燥微小浣腸製剤の形態に調製することができる。
【0084】
液体調製物は、シロップ、エリキシル、濃縮ドロップまたは懸濁液、例えば有効成分および残りが例えば糖もしくは糖アルコール、およびエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物からなるものを含有する溶液または懸濁液の形態に調製することができる。所望によりそのような液体調製物は着色剤、香料、保存剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含んでよい。また液体調製物は、使用前に適切な溶媒で再構成される乾燥粉末の形態に調製することもできる。非経口投与用の溶液は、本発明の製剤を製薬学的に許容され得る溶媒中の溶液として調製することができる。またこれらの溶液は安定化成分、保存剤および/または緩衝成分を含むこともできる。非経口投与用の溶液は、使用前に適切な溶媒で再構成される乾燥調製物として調製することもできる。
【0085】
また本発明に従い提供されるものは、薬物療法に使用するための本発明の製薬学的組成物の1もしくは複数の成分を充填した1もしくは複数の容器を含んでなる配合物(formulation)および「部分キット(kits of parts)」である。そのような容器(1もしくは複数)に付随できるものは、使用説明のための、または医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された形式の通知のような種々手書きの物であることができ、この通知はヒトへ投与するための製造、使用または販売の該機関による認可を反映している。ドーパミンDおよび/またはセロトニン5−HT1A受容体の活性化が必要または所望される状態の処置に使用する薬剤の製造、および薬物処置法への本発明の製剤の使用は、本発明の少なくとも1つの化合物の治療に有効な全量を、ドーパミンDおよび/またはセロトニン5−HT1A受容体の活性化が必要または所望される状態に罹患している、またはそれが疑われる患者に投与することを含んでなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約17.4、21.5、23.3および28.8で特徴的反射(回折角度2θで表す)を有するX線粉末回折パターン、および約2454および1604で逆センチメートルで表される特徴的吸収帯を有する減衰全反射で記録される赤外線スペクトル、および約3079、3031および1632で逆センチメートルで表される特徴的吸収帯を有するラマンスペクトルを持つ7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩のα−多形。
【請求項2】
約15.3、17.4、18.4、20.1、20.9、21.5、23.3、23.6、25.4、28.8で特徴的反射(回折角度2θで表す)を有するX線粉末回折パターン、および約2454、1749、1632、1604、1456、1394、1265、1144、947、735で逆センチメートルで表される特徴的吸収帯を有する減衰全反射で記録される赤外線スペクトル、および約3079、3031、2987、2972、1632、1262、859、561、499、273で逆センチメートルで表される特徴的吸収帯を有するラマンスペクトルを持つ請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
薬剤に使用するための請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
製薬学的に許容され得る担体および少なくとも1つの製薬学的に許容され得る補助物質に加えて、有効成分として薬理学的に活性な量の請求項1または請求項2に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項5】
不安障害、鬱、自閉、統合失調症、パーキンソン病、不穏下肢症候群、および認知および記憶障害から選択される中枢神経系障害を処置する製薬学的組成物の調製のための請求項1または請求項2に記載の化合物の使用。
【請求項6】
7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン塩酸塩のα−多形の調製法であって:
(i)7−[(4−メチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(5)を極性溶媒と水との混合物に溶解し
【化1】

(ii)HClを加え
(iii)生成物を結晶生成物として単離する、
工程を含んでなる上記調製法。
【請求項7】
上記極性溶媒がアセトニトリル、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールから選択され、そして好ましくはアセトニトリルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記混合物が10(重量/重量)%から30(重量/重量)%の間の水を含んでなる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
好ましくは水中36%塩酸の状態で1.05から1.45当量の間のHClが使用される請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−507420(P2013−507420A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533598(P2012−533598)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065186
【国際公開番号】WO2011/045267
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(501439149)アボツト・ヘルスケア・プロダクツ・ベー・ブイ (71)
【氏名又は名称原語表記】Abbott Healthcare Products B.V.
【Fターム(参考)】