説明

パレット及びその支柱部延長用治具

【課題】 寸法の異なる梱包箱に対して共通に使用できるパレットを提供する。
【解決手段】 筒状部材を保持するパレット1を、支持台部2と、支持台部2に立設され筒状部材の中空部に挿入されて筒状部材を支持しうる支柱部3と、支持台部2に設けられたコネクタ部4,5と、支持台部2に設けられ他の支持台部2に設けられたコネクタ部4,5と共働して支持台部2を他の支持台部2に対して着脱可能に固定しうるコネクタ受け部6,7とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状部材を保持するパレット、及び、そのパレットの支柱部延長用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、複写機、各種プリンタ、ファクシミリなどに幅広く使われている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜、単に「感光体」という)については、その光導電材料として従来からのセレン、ヒ素−セレン合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛といった無機系の光導電体から、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体の使用が主流となっている。
【0003】
有機系の光導電材料を用いた感光体(有機系感光体)の層構成としては、電荷発生物質及び電荷輸送物質を同一の層に含有した、単層型感光層を有する単層型感光体や、電荷発生層及び電荷移動層を積層した、積層型感光層を有する積層型感光体などが知られている。これらの感光体は、いずれも電子写真感光体用基体(以下適宜、「感光体用基体」という)の表面に上記の感光層を積層した構造を有している。
【0004】
感光体用基体としては、導電性を有する部材で形成された円筒形状のものが広く使用されている。したがって、感光体用基体だけでなく、その感光体用基体から製造される感光体自体も、円筒形状の部材として製造されることになる。
ところで、このような感光体用基体は、電子写真感光体の製造時や保存時には、通常、多数の支柱部を備えたパレットに縦置きされ、取り扱われることになる。このパレットは、感光体の製造コストや品質に影響を与えることがあるため、従来、様々なパレットが開発されてきた(例えば、特許文献1,2等を参照)。
【特許文献1】特開2000−25764号公報
【特許文献2】特開2002−196513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
感光体や感光体用基体の保存時、運搬時などにおいては、上記のようにこれらをパレットに縦置きするのであるが、その際、感光体や感光体用基体の表面を保護するためや、感光体を露光させないようにするために、通常は何らかの梱包箱内に感光体をパレットごと収納し、保存や運搬等を行なうようにする。しかし、梱包箱の寸法は感光体や感光体用基体のサイズ(寸法)、種類、目的などに応じて異なっており、したがって、パレットもその梱包箱のサイズに応じて各種用意するようになっていた。
【0006】
ところが、梱包箱のサイズに応じてパレットを別々に用意することはコスト高の要因となるため、寸法が異なる梱包箱に対して共通に使用できるパレットの開発が望まれていた。
また、感光体や感光体用基体の軸方向長さが長くなった場合、それに応じてパレットの支柱部も長くすることが望まれるが、そのために新たにパレットを製造しなおすと、これもコスト高の要因となるため、既存のパレットを用いて軸方向長さが異なる感光体や感光体用基体の保持を可能にする技術の開発も望まれていた。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、寸法の異なる梱包箱に対して共通に使用できるパレット、及び、筒状部材の寸法に応じてパレットの支柱部を延長したい場合に既存のパレットを用いて筒状部材の保持をすることができるようにする支柱部延長用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、構成単位となる小型のパレットを用意し、これを所望の数だけ接続して所望の大きさのパレットを作製して用いるようにすることにより、梱包箱の寸法に応じて別々のパレットを用意する必要が無くなり、コストの抑制を行なうことが可能となるとの知見を得た。さらに、支柱部を延長したい場合には、支柱部を延長しうる治具を支柱部の先端に装着すれば、新たにパレットを用意することなく支柱部を延長しうることを見出した。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、少なくとも一端に開口する中空部を形成された筒状部材を保持するパレットであって、支持台部と、該支持台部に立設され、上記筒状部材の上記中空部に挿入されて上記筒状部材を支持しうる支柱部と、該支持台部に設けられたコネクタ部と、該支持台部に設けられ、他の支持台部に設けられた該コネクタ部と共働して該支持台部を上記の他の支持台部に対して着脱可能に固定しうるコネクタ受け部とを備えたことを特徴とする、パレットに存する(請求項1)。
【0010】
このとき、該コネクタ部は、該支持台部から突出して形成された突出部を備え、該コネクタ受け部には、該突出部が内嵌しうる形状の嵌合孔を形成されていることが好ましい(請求項2)。
【0011】
また、該コネクタ部は、係止部を備え、該コネクタ受け部は、該係止部が係止しうる形状の被係止部を備えることも好ましい(請求項3)。
【0012】
本発明の別の要旨は、上記のパレットの支柱部の先端に装着される支柱部延長用治具であって、上記筒状部材の上記中空部に挿入されて上記筒状部材を支持しうる基部と、上記支柱部の上記筒状部材の上記中空部への挿入を許容しながら該基部を上記支柱部の先端に装着する装着部とを備えることを特徴とする、パレットの支柱部延長用治具に存する(請求項4)。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパレットは、寸法が異なる梱包箱に対して共通に使用することができる。
また、本発明のパレットの支柱部延長用治具によれば、筒状部材の寸法に応じてパレットの支柱部を延長したい場合に、支柱部を延長したパレットを別途用意することなく、既存のパレットを用いて筒状部材の保持をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の一実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0015】
[1.感光体用基体及び感光体]
まず、本実施形態のパレットが保持する対象である電子写真感光体(以下適宜、「感光体」という)及び電子写真感光体用基体(以下適宜、「感光体用基体」という)について説明する。
【0016】
感光体用基体は、導電性を有する任意の材料で形成された、少なくとも一端に開口する中空部を形成された筒状部材である。通常は、両端に開口する中空部を形成された筒形状のものを用い、特に、断面が円弧状の円筒形状に形成されることが多い。
感光体用基体の具体例として、アルミニウムドラムを用いた場合には、JISで規定されている例えば3000番台、5000番台、6000番台等のアルミニウム合金の押し出し・引き抜き管或いはそれらを切削加工したものが感光体用基体として用いて好適である。
【0017】
また、感光体は、上記の感光体用基体の表面に感光層を形成したものである。感光層としては、単層型のものでもよく、電荷発生層や電荷輸送層を有する積層型のものでもよい。さらに、感光体用基体には、感光層の他、適宜、例えば下引き層、保護層などのその他の層を形成することもある。この際、感光体の形状は、上記の感光体用基体と同様である。
【0018】
本実施形態においては、例として、軸方向に延在する中空部を内部に形成された円筒形状の感光体をパレットで支持するようになっている場合を説明するが、上述した感光体及び感光体用基体のいずれも、以下のパレットで保持することが可能である。また、本実施形態で例示したこの感光体の中空部は、感光体の両端に開口しているものとする。
【0019】
[2.パレット]
図1〜図4は本発明の一実施形態としてのパレットについて示すもので、図1はその模式的な斜視図、図2はその模式的な平面図、図3はその模式的な側面図(図2のA方向矢視図)、図4はその模式的な底面図である。
図1〜図4に示すように、本実施形態のパレット1は、支持台部2と、支柱部3と、嵌合コネクタ部4と、係止コネクタ部5と、嵌合コネクタ受け部6と、係止コネクタ受け部7とを備えている。
【0020】
[2−1.支持台部]
支持台部2は、支柱部3を立設するためのものであり、その素材は、感光体を安定して保持することができる強度を有していれば、任意の素材で形成することができる。また、支持台部2を形成する素材は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
また、支持台部2の形状についても制限は無く、感光体を安定して保持することができる限り任意の形状とすることができる。通常は、取り扱い性や保存時、運搬時などにおける安定性から、平板状に形成する。
【0021】
ただし、支持台部2の寸法は、保持対象である感光体を安定して保持できる範囲内で、より小さく形成することが望ましい。パレット1は、通常は2以上を組み合わせて使用することになるため、最小単位であるパレット1自体はできるだけ小さく形成しておいたほうが、パレット1の適用範囲を広げることができるためである。即ち、支持台部2を小さく形成しておけば、設置場所においてパレット1が占有する一つあたりの面積が小さくなるため、パレット1をより適切に組み合わせ、面積あたりに感光体を保持できる数を増やすことが可能となる。
【0022】
本実施形態においては、図1〜図4に示すように、支持台部2は、合成樹脂で形成された矩形の平板により構成されているものとする。また、図4に示すように、支持台部2の裏面には支持台部2の補強のためのリブ21が、支柱部3(図4では図示せず)が立設されている位置を中心として放射状にそれぞれ(ここでは、支柱部3の数に対応した5箇所)形成されていて、感光体の保存時や運搬時に、パレット1が感光体をより安定して保持できるようになっている。
【0023】
[2−2.支柱部]
支柱部3は、感光体をパレット1で保持する場合に、感光体の中空部に挿入されて、感光体を径方向に支持するため、支持台部2に立設されてなるものである。
支柱部3の素材も、感光体を安定して支持できる強度を有していれば任意の素材で形成することができ、さらに、支柱部3を形成する素材も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
【0024】
また、支柱部3の形状についても特に制限は無いが、例えば、断面十字型に形成することができる。支柱部3を断面十字型に形成すると、感光体を安定して保持できると共に、パレット1に保持した状態で当該感光体を乾燥する場合などに、乾燥し難い感光体の内周面を容易に乾燥させることが可能となる。
【0025】
さらに、支柱部3の寸法は、その支柱部3で支持する感光体の寸法に応じて設定するようにする。具体的には、支柱部3の径は、当該支柱部3が支持しようとする感光体の内径(即ち、感光体内に形成された中空部の径)以下の大きさとする。これは、支柱部3を感光体の中空部に挿入できるようにして、パレット1により感光体を確実に保持できるようにするためである。
【0026】
また、支柱部3の高さ(軸方向の長さ)は、支柱部3により支持しようとする感光体を確実に支持できる程度に大きく形成する。ただし、支柱部3を延長することは、後述する支柱部延長用治具を用いれば可能であるので、軸方向長さが異なる複数種類の感光体に対してパレット1を適用しようとする場合には、より短いほうの感光体を基準として支柱部3の長さを設定するようにすることが望ましい。
【0027】
さらに、一つの支持台2に立設する支柱部3の数に制限は無く任意である。ただし、支柱部3の数はパレット1を接続することによって増やすことが可能であるので、通常は用途に応じてより少なくすることが好ましい。具体例を挙げると、支柱部3を1本のみ有するようにパレット1を形成すれば、パレット1を、より広い範囲の収納箱に対して適用することができるようになる。
【0028】
また、例えば、感光体及びパレット1を梱包体に収納する際、支持台2を梱包体底面の長辺に沿って置くようにする場合は、その長辺の長さにおいて保持しようとする感光体の数だけ支柱部3を形成するようにし、逆に、支持台2を梱包体の底面の短辺に沿って置くようにする場合、その短辺の長さにおいて保持しようとする感光体の数だけ支柱部3を形成することもできる。これによれば、使用する梱包箱の底面の寸法に応じてパレット1を接続する操作を、より簡単に行なうことができるようになる。
【0029】
本実施形態においては、図1〜図3に示すように、支持台2上には、同形状に形成された支柱部3が、支持台2の長手方向(以下適宜、単に「長手方向」という)に沿って1列に5個立設されているものとする。また、支柱部3はいずれも、樹脂によって断面十字形状に、支持対象である感光体に応じた寸法に形成されたものとする。さらに、支柱部3の先端には面取り31が形成されていて、支柱部3を感光体の中空部に挿入して感光体を縦置きする作業を容易に行なえるようになっている。
【0030】
[2−3.コネクタ部及びコネクタ受け部]
パレット1は、支持台部2に設けられたコネクタ部と、支持台部2に設けられ、他の支持台部に設けられたコネクタ部と共働して支持台部2を上記の他の支持台部に対して着脱可能に固定しうるコネクタ受け部とを備える。本実施形態においては、図2,図4のように、コネクタ部として嵌合コネクタ部4及び係止コネクタ部5を備え、コネクタ受け部として嵌合コネクタ受け部6及び係止コネクタ受け部7を備えている。そして、嵌合コネクタ部4と嵌合コネクタ受け部6とが共働し、また、係止コネクタ部5と係止コネクタ受け部7とが共働して、支持台部2を他の支持台部に対して着脱可能に固定できるようになっている(図6,図7参照)。
【0031】
[2−3−1.嵌合コネクタ部及び嵌合コネクタ受け部]
嵌合コネクタ部4は、支持台部2の一方の側面部22から舌状に突出して形成された突出部を備えて構成されもので、嵌合コネクタ部4を他のパレット1の嵌合コネクタ受け部6に内嵌させて支持台部2を他の支持台部2に対して固定できる限り、任意の形状及び寸法で形成することができる。なお、本実施形態では、この突出部自体が嵌合コネクタ部4として機能するようになっているため、突出部と嵌合コネクタ部4とは、以下、同じ符号で表わすものとする。
【0032】
ただし、嵌合コネクタ部4が容易には嵌合コネクタ受け部6から抜け出さないようにすることが好ましく、この観点からは、嵌合コネクタ部4の表面の摩擦係数を高める手段を講じておくことが好ましい。例えば、嵌合コネクタ部4の表面を粗面化したり、嵌合コネクタ部4の表面を他の部位よりも摩擦係数が高い材料で形成したりすることが好ましい。
【0033】
一方、嵌合コネクタ受け部6は、支持台部2の他方の側面部23の、嵌合孔61を形成された部位により形成されている。この嵌合孔61は、嵌合コネクタ部4に対応した位置に、嵌合コネクタ部4と同数だけ、嵌合コネクタ部4を構成する突出部4が内嵌できる形状及び寸法で形成されている。したがって、あるパレット1の嵌合コネクタ部4を、他のパレット1の嵌合コネクタ受け部6に内嵌させることにより、それらの支持台部2同士を着脱可能に固定し、パレット1を接続することができるようになっている。
【0034】
また、嵌合コネクタ受け部6も、嵌合コネクタ部4と同様、嵌合コネクタ部4が容易には嵌合コネクタ受け部6から抜け出さないようにするため、嵌合コネクタ受け部6の表面の摩擦係数を高める手段を講じておくことが好ましい。例えば、嵌合コネクタ部4と同様、粗面化や、嵌合コネクタ受け部6の表面を他の部位よりも摩擦係数が高い材料で形成することが好ましい。
【0035】
また、嵌合コネクタ部4及び嵌合コネクタ受け部6の数や形成位置に制限は無い。ただし、支柱部3に保持させる感光体を安定に保持するようにするには、支持台部2の長手方向に均等に嵌合コネクタ部4及び嵌合コネクタ受け部6を設けるようにすることが好ましく、また、嵌合コネクタ部4及び嵌合コネクタ受け部6と支柱部3との距離を小さくすることが好ましい。なお、この点は、係止コネクタ部5や嵌合コネクタ受け部7など、他のコネクタ部及びコネクタ受け部に関しても同様である。
【0036】
本実施形態においては、嵌合コネクタ部4は側面部22に平板形状の突出部4が形成されることにより構成され、また、嵌合コネクタ受け部6は、嵌合コネクタ部4が内嵌しうるように同じく平板形状の嵌合孔61が形成された側面部23の部位により構成されている。
また、本実施形態において、嵌合コネクタ部4及び嵌合コネクタ受け部6は、一つの支柱部3に対してそれぞれ2つずつ対になって並んで設けられていて、したがって、支持台部2において嵌合コネクタ部4及び嵌合コネクタ受け部6は合計10箇所に形成されているものとする
【0037】

さらに、本実施形態では、各支柱部3に対応する一対の嵌合コネクタ部4は、長手方向に対して、それぞれ、対となった嵌合コネクタ部4の中間地点の位置と、その嵌合コネクタ部4の対に対応した支柱部3の中心位置とが等しくなるように形成されていて、これにより、支持台部2同士を接続する嵌合コネクタ部4と支柱部3との距離を小さくできるようになっている。また、この構成により、嵌合コネクタ部4は、支持台部2の長手方向に対して均等に設けられた構成となっている。
【0038】
一方、嵌合コネクタ受け部6も、支柱部3に対応した位置に設けられている。具体的には、それぞれ嵌合コネクタ部4と同様の長手方向位置に嵌合孔61が形成されることにより嵌合コネクタ受け部6が形成さえていて、これにより、支持台部2同士を接続する嵌合コネクタ受け部6と支柱部3との距離を小さくでき、また、嵌合コネクタ受け部6が支持台部2の長手方向に対して均等に設けられた構成となっている。
【0039】
[2−3−2.係止コネクタ部及び係止コネクタ受け部]
係止コネクタ部5は、図4に示すように、支持台部2の一方の側面部22に係止部51を有して形成された部位であって、この係止部51を係止コネクタ受け部7の被係止部71(図2参照)に係止して支持台部2を他の支持台部に対して固定できる限り、任意の形状及び寸法で形成することができるようになっている。
【0040】
一方、係止コネクタ受け部7は、支持台部2の他方の側面部23の、対応する係止コネクタ部5に対応した位置に、係止コネクタ部5と同数だけ、係止コネクタ部5が係止しうる被係止部71を備えて形成された部位である。したがって、この被係止部71に係止コネクタ部5の係止部51を係止することにより、支持台部2を他の支持台部に対して固定できるようになっている。
【0041】
また、係止コネクタ部5及び係止コネクタ受け部7の数や形成位置に制限は無い。ただし、上述したように、支柱部3に保持させる感光体を安定に保持するようにするには、嵌合コネクタ部4や嵌合コネクタ受け部6と同様に、支持台部2の長手方向に均等に係止コネクタ部5及び係止コネクタ受け部7を設けるようにすることが好ましく、また、係止コネクタ部5及び係止コネクタ受け部7と支柱部3との距離を小さくすることが好ましい。
【0042】
本実施形態においては、係止コネクタ部5は、図4に示すように、側面部22から突出した、平板形状に形成された突出部52の先端に、下側に向けて凸に形成された係止部51を備えた構成となっている。また、この係止コネクタ部5は、支持台部2の長手方向両端、並びに、支持台部2の長手方向中央付近の、図2中左から4番目の嵌合コネクタ部4と5番目の嵌合コネクタ部4との間、及び、図2中左から6番目の嵌合コネクタ部4と6番目の嵌合コネクタ部4との間、の4箇所に形成されている。
【0043】
一方、本実施形態において、係止コネクタ受け部7には、図2に示すように、側面部23に、係止コネクタ部5の突出部52が嵌合しうる形状に形成された凹部72の内側端部に、支持台部2の表裏を貫通するように、上記の係止部51が係止しうる形状に形成された孔73が形成され、この孔73の縁が被係止部71として機能する構成となっている。また、係止コネクタ受け部7も、それぞれ係止コネクタ部5と同様の長手方向位置に形成さえている。
【0044】
[3.支柱部延長用治具]
図5は、本発明の一実施形態としての支柱部延長用治具を模式的に示すもので、(a)は上方向から観た模式的な斜視図、(b)は下方向から観た模式的な斜視図である。
支柱部延長用治具8は、上記パレット1の支柱部3の先端に装着され、支柱部3を延長するための治具であり、図5に示すように、感光体の中空部に挿入されて感光体を支持するための基部81と、支柱部3の感光体の中空部への挿入を許容しながら基部81を支柱部3の先端に装着する装着部82とを備えて構成されている。
【0045】
基部81は、感光体をパレット1で保持する場合に、感光体の中空部に挿入されて、支柱部3と共に、感光体を径方向に支持するものである。
基部81は、感光体を安定して支持できる強度を有していれば任意の素材で形成することができ、また、その素材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
【0046】
また、基部81の形状についても特に制限は無く、任意の形状とすることができる。例えば、支柱部3と同様に断面十字型に形成すれば、感光体を安定して保持できると共に、パレット1に保持した状態で当該感光体を乾燥する場合などに、乾燥し難い感光体の内周面を容易に乾燥させることが可能となる。
【0047】
さらに、基部81の寸法は、その基部81で支持する感光体の寸法に応じて設定するようにする。具体的には、基部81の径は、当該基部81によって支持しようとする感光体の内径(即ち、感光体内に形成された中空部の径)以下の大きさとする。これは、基部81を感光体の中空部に挿入できるようにして、支柱部3と共に感光体を確実に保持できるようにするためである。
また、基部81の高さ(軸方向の長さ)も、本発明の利点を著しく損なわない限り任意に設定することができる。
【0048】
一方、装着部82は、支柱部3が感光体の中空部へ挿入されることを許容しながら、基部81を支柱部3の先端に装着しうるものであれば、その構成は任意である。
装着部82は、基部81を安定して支柱部3の先端に装着できる程度の強度を有していれば任意の素材で形成することができ、また、その素材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
【0049】
また、装着部82の形状についても特に制限は無く、任意の形状とすることができる。例えば、支柱部3の先端にピン挿入用の孔を形成する場合には、基部81の下部に延在するピンを装着部82として用いてもよく、また、支柱部3の先端にネジ穴を形成する場合には、基部81の下部に延在するネジを装着部82として用いてもよい。さらに、支柱部3に外嵌しうるよう外嵌部が形成された形状としてもよい。
さらに、装着部82の寸法は、基部81を安定して支柱部3の先端に装着しうると共に、支柱部3が感光体の中空部へ挿入されることを妨げない(即ち、許容する)程度の寸法
であれば、その具体的な寸法は任意である。
【0050】
本実施形態では、支柱部延長用治具8としては、支柱部3と同様の径となるように樹脂にて断面略十字形状に形成された部材の先端に、面取り83を形成し、その後部の中央部に支柱部3の先端部に嵌合できる切欠部84を形成した部材を用いるものとする。したがって、切欠部84が形成されていない先の部分が基部81として機能し、切欠部84が形成された後部が装着部82として機能する。なお、ここでは面取り83を滑らかな曲面状の面取りとしたが、適宜、他の形状(例えば、平面状の面取り)としてもよい。
【0051】
[4.作用]
本実施形態のパレット1及び支柱部延長用治具8は上述したように構成されているので、使用時には、まず、図6に示すように、所望の数のパレット1,1’を用意し、これらを接続する。具体的には、収納しようとする梱包箱に収納できる範囲内で所望の大きさのパレットを構成できる数だけパレット1,1’を用意し、それを接続する。なお、ここでは、2つのパレット1,1’を用いる例を示すが、3以上のパレットを用いるようにしてもよい。また、図6においては、2つのパレット1,1’を区別するため、一方のパレット1’及びその構成部位を示す符号には、上記の説明で用いた符号に「’」を付して説明するものとする。
【0052】
接続の際には、一方のパレット1の嵌合コネクタ部4を他方のパレット1’の嵌合コネクタ受け部(図6では図示省略)に嵌合させる。また、それと共に、一方のパレット1の係止コネクタ部5の係止部51(図6では、図示省略)を、他方のパレット1’の係止コネクタ受け部7’の孔(図6では図示省略)に挿入して被係止部(図6では図示省略)に係止させる。これにより、嵌合コネクタ部4と嵌合コネクタ受け部と、及び、係止コネクタ部5と係止コネクタ受け部7’とが、それぞれ共働して、パレット1の支持台部2をパレット1’の支持台部2’に対して固定する。したがって、パレット1とパレット1’とが接続されることになるため、パレット1とパレット1’とによって、パレット1とパレット1’とを合わせた大型のパレットが構成されることになる。
【0053】
そして、図7に示すように、支柱部3を感光体100の中空部101に挿入するようにして感光体100を縦置きし、パレット1に保持させる。その後、感光体100ごと、パレット1,1’を梱包箱に収納し、保存したり運搬したりする。
【0054】
また、感光体の長さが支柱部3が確実に支持できる以上に長い場合には、図8に示すようにして、支柱部3の先端に支柱部延長用治具8を装着して支柱部3を延長することもできる。即ち、支柱部延長用治具8の切欠部84を支柱部3の先端に嵌合させることにより支柱部延長用治具8を支柱部3の先端に装着すれば、装着部82により支柱部延長用治具8の基部81を支柱部3の先端に保持することができるようになる。したがって、支柱部3は支柱部延長用治具8の基部81の分だけ延長されたようになり、支柱部延長用治具8を装着した支柱部3を感光体100の中空部101(図7参照)に挿入するようにすれば、より長さが長い感光体をパレット1を用いて保持することができるようになる。
【0055】
[5.効果]
以上のように、本実施形態のパレット1によれば、このパレット1を適宜接続して寸法が異なる梱包箱それぞれに応じた大きさのパレットを構成することができるため、そのような寸法が異なる梱包箱に対して共通に使用することができる。これにより、パレットを梱包箱に応じて別々に用意する必要がなくなるため、収納や運搬に要するコストを抑制することが可能となる。
【0056】
さらに、パレット1を接続する際、嵌合コネクタ部4と嵌合コネクタ受け部6とによって接続を行なうようにすれば、単に嵌合コネクタ部4を嵌合コネクタ受け部6に嵌合させるだけで上記の接続を行なうことが可能であるため、接続操作を容易に行なうことができる。また、特に本実施形態では嵌合コネクタ部4を平板形状に形成したため、ピンのような形状とするよりも接触面積を広げ、より強固に接続することができる。
【0057】
また、パレット1を接続する際、係止コネクタ部5と係止コネクタ受け部7とによって接続を行なうようにすれば、摩擦力により接続を行なっていた嵌合コネクタ部4及び嵌合コネクタ受け部6による接続よりも、強固に接続を行なうことができる。さらに、本実施形態では係止コネクタ部5及び係止コネクタ受け部7を支持台部2の長手方向両端、及び、中央付近に設けたため、長手方向において略均等にバランスよく接続できる。特に本実施形態のように形成した係止部51は水平方向のずれを抑制する作用が強く、このため、本実施形態のように係止コネクタ部5及び係止コネクタ受け部7をバランスよく配置し、これらの係止によって接続するようにしたことによって、水平方向のずれをより少なくすることができる。
【0058】
さらに、本実施形態の支柱部延長用治具8によれば、感光体の寸法に応じてパレット1の支柱部3を延長したい場合に、支柱部3を延長した新たなパレットを別途用意することなく、既存のパレット1を用いて感光体の保持をすることができる。
【0059】
[6.その他]
以上、本発明の一実施形態としてのパレット1及び支柱部延長用治具8について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、任意に変形して実施することができる。
【0060】
例えば、本発明のパレット1及びその支柱部延長用治具8は、感光体100だけでなく、感光体用基体を保持することもできる。さらに、少なくとも一端に開口する中空部を形成された筒状部材であれば、感光体や感光体用基体以外の部材であっても、保持することが可能である。
【0061】
また、例えば、コネクタ部及びコネクタ受け部は、上記の摩擦力や係止によるものの他、別の仕組みにより接続を行なうものも用いることができる。また、コネクタ部及びコネクタ受け部が、摩擦力及び係止など、2以上の仕組みにより接続を行なうようになっていても良い。具体例を挙げれば、上記実施形態におけるコネクタ部4が突出部4以外の構成を備えるようにしてもよく、また、係止コネクタ部5に粗面化等の処理を行なうようにしてもよい。更に、ネジ止め、ピン止めなど、別の接続用の構成を組み合わせてもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態では支持台部2の長手方向の側面部22,23にコネクタ部4,5及びコネクタ受け部6,7を設けるようにしたが、例えば、支持台部2の短手方向の側面部にこれらを設けるようにしてもよく、更に、長手方向及び短手方向の両方に設けるようにしてもよい。また、コネクタ部4,5やコネクタ受け部6,7を、側面部22,23以外の部分、例えば、支持台部2の上面や底面に形成するようにしても構わない。
さらに、例えば、支柱部延長用治具8の上に、更に支柱部延長用治具8を重ねて用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、筒状部材の保管や運搬に際して用いることができ、特に、電子写真感光体や電子写真感光体用基体の保管や運搬に用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態としてのパレットの模式的な斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態としてのパレットの模式的な平面図である。
【図3】本発明の一実施形態としてのパレットの模式的な側面図である。
【図4】本発明の一実施形態としてのパレットの模式的な底面図である。
【図5】本発明の一実施形態としての支柱部延長用治具を模式的に示すもので、(a)は上方向から観た模式的な斜視図、(b)は下方向から観た模式的な斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態について説明するもので、パレットを接続する際の様子を示す模式的な斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態について説明するもので、パレットに電子写真感光体を保持させる際の様子を示す模式的な斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態について説明するもので、支柱部の先端に支柱部延長用治具を装着した際の支柱部先端近傍の様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 パレット
2 支持台部
3 支柱部
4 嵌合コネクタ部(突出部)
5 係止コネクタ部
6 嵌合コネクタ受け部
7 係止コネクタ受け部
8 支柱部延長用治具
22,23 側面部
31 面取り
51 係止部
52 突出部
61 嵌合孔
71 被係止部
72 凹部
73 孔
81 基部
82 装着部
83 面取り
84 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端に開口する中空部を形成された筒状部材を保持するパレットであって、
支持台部と、
該支持台部に立設され、上記筒状部材の上記中空部に挿入されて上記筒状部材を支持しうる支柱部と、
該支持台部に設けられたコネクタ部と、
該支持台部に設けられ、他の支持台部に設けられた該コネクタ部と共働して該支持台部を上記の他の支持台部に対して着脱可能に固定しうるコネクタ受け部とを備えた
ことを特徴とする、パレット。
【請求項2】
該コネクタ部が、該支持台部から突出して形成された突出部を備え、
該コネクタ受け部に、該突出部が内嵌しうる形状の嵌合孔を形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載のパレット。
【請求項3】
該コネクタ部が、係止部を備え、
該コネクタ受け部が、該係止部が係止しうる形状の被係止部を備える
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のパレットの支柱部の先端に装着される支柱部延長用治具であって、
上記筒状部材の上記中空部に挿入されて上記筒状部材を支持しうる基部と、
上記支柱部の上記筒状部材の上記中空部への挿入を許容しながら該基部を上記支柱部の先端に装着する装着部とを備える
ことを特徴とする、パレットの支柱部延長用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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