説明

パワーコンポーネント、殊にパワー半導体コンポーネント用の防爆性モジュール構造およびその製造

本発明はパワーモジュールに関し、殊に、少なくとも1つの電気的なパワーコンポーネント、殊に電子パワー半導体コンポーネント(1)を有するパワーモジュールに関する。負荷電流に対する電気的接触接続部がパワー半導体コンポーネント(1)の下面および上面に形成されている。電子パワー半導体コンポーネント(1)の過負荷時に爆発圧力を低減させるために、およびパワー受容のために、電気的接触接続部の電気的コンタクト面(9)に、少なくとも1つの導電性粒子(5)が充填された中空空間(7)が形成されている。短絡時には、まずはアークがパワー半導体コンポーネント(1)の半導体部材厚さにわたって形成され、その後に中空空間(7)内の充填物によって電流案内が担われる。中空空間(7)の充填物は有利には多数の球状の導電性粒子(5)である。充填物内の隙間において、短絡時に爆発圧力が消滅する。これに加えて、金属蒸気が冷却され、低減される。爆発圧力を低下させるために中空空間(7)から付加的にチャネルが中空空間(7)の外へと形成される。このようにして、パワーコンポーネントが電気的過負荷時にその周辺に損傷を与えることが阻止される。例えばこれによってサイリスタが改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載された、少なくとも1つの電気的パワーコンポーネント、殊に電子パワー半導体コンポーネントを備えた全てのパワーモジュールに関する。パワーコンポーネントは、大きな電流またはパワーに対して使用可能な全ての電気的または電子的なコンポーネントである。実質的には、例えば、全ての可能なパワーコンポーネントに対して挙げられる、電子パワー半導体コンポーネントが記載されている。
【0002】
従来では、パワーモジュール、殊にパワー半導体コンポーネントを備えたモジュールは、ボンディングによって接触接続されている。パワー半導体モジュールは殊に、電子パワー半導体コンポーネントを有している。このような電子パワー半導体コンポーネントは、大きな電気負荷に対する制御可能なエネルギーを生成するために使用され、大きな負荷電流をスイッチングする。パワー半導体は電圧、過度に高い電圧上昇速度、短絡、過度に高い電流上昇速度および熱的な過負荷から保護されるべきである。殊に電気負荷内での短絡時には、電子パワー半導体コンポーネントは、短絡電流によって損傷を受ける。従来のボンディング方法の使用時には、電子パワー半導体コンポーネント内の電気負荷における短絡時に、非常に短い時間で、非常に大きい電流が生じる。これによって、電子パワー半導体コンポーネントは非常に強く加熱され、同じように、溶解につながる。従来のアルミニウムを有する従来のボンディングワイヤは、モジュールの注型部がガス発生によって破壊されると、同じように溶けるか分断される。電流の流れが大きい場合に、このような電気的な接続が分断されることによって、迅速に、強いアークが形成される。このアークは、爆発の加熱によって爆破作用を格段に高めてしまい、同じように、隣接する回路部分が機械的に破壊される恐れがある。エミッタボンディングの爆破時にしばしば、ゲートボンディングは損傷の無い状態のままである。従ってアークを駆動する電圧もゲート線路を介してゲート制御部に作用し、これに損傷を与えることがある。複数のパワー半導体コンポーネントまたはパワー半導体モジュールを並列接続した場合には、これらの別のパワー半導体コンポーネントは、アークを駆動するこの電圧によって、各ゲートを用いて上方制御される(aufgesteuert)。アークを駆動する電圧はこれによって制限されるが、別のパワー半導体コンポーネントがこの際に過度に加熱されてしまう。なぜなら、これらは駆動制御時にコレクタポテンシャルを介して、高い順方向電圧を有するからである。電流の流れが完全に中断されるまで、並列に接続された全てのパワー半導体コンポーネントが損傷されてしまう。
【0003】
従来では高い電圧をスイッチングするために、パワー半導体コンポーネントの直列接続が使用されてきた。
【0004】
直列接続の場合には、スイッチとして作動するパワー半導体コンポーネントが故障時に開放されたままになっては絶対にならない。なぜなら、そうでなければ、新たなスイッチオン時に全電圧が加わってしまうからである。これに対して、スイッチとして作動するパワー半導体コンポーネントは故障時に導電状態のままであってよい。なぜならこの場合には、直列接続された別のパワー半導体コンポーネントに完全な逆電圧が加わるからである。従来ではこの用途のために、サイリスタまたはコストのかかる押圧接触接続(Druckkontaktierung)を伴う絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が使用されてきた。なぜならこのようなコンポーネントタイプは貫通溶着時に爆発せず、良好な導電性の溶接領域を形成するからである。この溶接領域は、動作電流をさらに伝達することができる。接触接続圧力は従来では、約100kp/cmを超える。
【0005】
本発明の課題は、次のようなパワーコンポーネント、殊に電子パワー半導体コンポーネント、例えばサイリスタまたはIGBTを提供することである。すなわち、殊にパワーモジュール内で使用される際に過負荷時、例えば短絡時に、その周囲に損傷を与えない、ないしは取り囲んでいる別のコンポーネントに損傷を与えないようなものである。例えば、これに属するゲート制御部および/または隣接する回路部分および/または並列に接続されたパワー半導体コンポーネントに損傷が与えられるべきではない。パワー半導体コンポーネントは有利には直列接続され、高い電圧のスイッチングのために使用される。
【0006】
上述の課題は、独立請求項に記載されたパワーモジュールによって解決される。この種のパワーモジュールは方法クレームと相応に製造される。
【0007】
中空空間内の粒子の隙間、または1つの粒子の場合には粒子と中空空間境界との間の空間において、パワー半導体コンポーネントの故障時に爆発圧力が消滅する。金属蒸気は冷却され、低減される。有利には付加的に空気が中空空間内に存在する。電子パワー半導体コンポーネントの場合には、アークのみが、最大で電子パワー半導体コンポーネントの半導体厚さ、殊にシリコン厚さにわたって形成される。その後、電流案内が1つないしは複数の粒子によって担われる。金属によって貫通箇所を充填するのは望ましいが、しかしこれはアークからの蒸気の流れによって妨害される。継続的な電流案内は短絡時には確実には実現されないが、パワーモジュールおよび駆動制御部は数秒の領域まで、爆発または高いゲート線路を介した高い逆電圧によって損傷されることはない。中空空間内に集められた多数の粒子は間詰め充填材(Schuettung)と称される。
【0008】
別の有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0009】
有利な構成では電気的コンタクト面に、増強に使用される導電性層、殊に金属層が形成され、さらにそこに中空空間が形成される。パワーコンポーネントの上面は、20〜50または100または200μmの厚さの金属層、例えば銅、銀またはニッケルを含有材によって覆われる。このようにして、殊に機械的な増強および、電気的コンタクト面への改善された第2の電気的接触接続部が提供される。
【0010】
別の有利な構成では、基板上のパワーコンポーネントおよび第1の電気的接触接続部は、基板の方を向いている面から、基板上に配置された少なくとも1つの電気的導体路によって形成される。このようにして非常にコンパクトな装置が構成される。
【0011】
別の有利な構成では、電気的絶縁層が電気的コンタクト面ないしは導電性層を取り囲んでいる、電気的パワーコンポーネント、電気的銅導体路および基板の領域上に形成される。パワーコンポーネントの周りの電気的絶縁部は例えば構造化された、ラミネート加工された絶縁薄膜によって形成される。ここでは相応する表面上での電気的絶縁性のプラスチック材料から成る薄膜のラミネート加工は真空下で行われる。従って、薄膜はこの表面を1つまたは複数のコンタクト面によって密接して覆い、この表面上に接着される。この後、表面上の各接触接続されるべき電気的コンタクト面が、表面上で、この薄膜内に各ウィンドウを開放することによって露出され、導電性材料から成る層と露出された各コンタクト面とが面状に接触接続される。電気的絶縁層の被着に関しては、殊に、WO03030247号に記載されており、この文献の開示内容は完全に本発明の開示内容である。
【0012】
別の有利な構成では、カバー層ないしはプレートがフレーム上に配置され、このフレームは電気的絶縁層および電気的コンタクト面ないし電気的導電性層上に次のように取り囲んで配置されている。すなわち中空空間が形成され、プレートおよび電気的コンタクト面ないしは電気的導電性層が相互に特定の間隔を有するように配置されている。ここでこのフレームの高さは低い。プレートはフレーム上に、電気的コンタクト面に対して固定された間隔で配置されている。フレームは、固定されずに実現されてもよい。または同じように、電気的絶縁層またはプレートと接続されていてもよい。フレームは同じように、絶縁層の構成部分またはプレートの構成部分であってもよい。プレートは、有利には良好な導電性材料から成る堅固なカバー層として実現可能である。
【0013】
別の有利な構成では粒子は金属、殊に硬質金属を有している。同じように、特定の粒子サイズ配分が形成される。特に有利には、粒子は球状である。このようにして、間詰め充填材は特に均一に構成される。これによって、故障時のパワーモジュールの特性が最適化される。硬質金属から成る球は圧力を均一に分配する。有利には、導電性粒子の数は多数であり、例えば50〜300である。基本的にこの数は自由に選択可能である。
【0014】
別の有利な構成では、プレートと電気的コンタクト面との間の間隔、ないしはプレートと導電性層との間の間隔は、平均的な粒子断面の大きさの3〜4倍である。パワーコンポーネントとカバー層との間の間隔を慎重に調整することによって、ないしは一方ではプレートと金属粒子の直径およびその粒子サイズ配分の間の間隔を慎重に調整することによって、約3〜4倍の粒子直径の間隔から、均一な間詰め充填材密度が得られる。
【0015】
別の有利な構成では、パワーコンポーネントの過負荷時に爆発圧力をさらに抑圧するために、中空空間から少なくとも1つのチャネルが中空空間外へと構成されている。ここで最大のチャネル断面サイズは最小の粒子断面サイズよりも小さい。爆発圧力は充填された中空空間およびチャネルによって抑圧される。
【0016】
別の有利な構成では、電気的コンタクト面、導電性層、金属粒子および金属プレートの全ての金属表面は、耐腐食性および耐酸化性のコンタクト金属化部を有している。これら全ての金属表面が耐腐食性および耐酸化性のコンタクト金属化部、例えばニッケル、金、ルテニウム、ロジウム、銀等によって覆われている場合には、パワーコンポーネントからの負荷電流が金属間詰め充填材を介して直接的にプレートへ案内される。材料接続はされていないので、このような接触接続は、温度変化または負荷変化による疲労に対して非常に耐性がある。
【0017】
別の有利な構成では、中空空間は接触圧力下で、殊に圧力プレートとして作用するプレート上の圧力によって、次のようにセットされる。すなわち、電気的コンタクト面ないしは導電性層から、金属部分による、プレートへの電気的接続が保証されるようにセットされる。この接触圧力は、例えば5〜10kP/cmの領域にある。このようにして付加的な電流経路の実現が保証される。このようにして、同じように、新たな接触接続システムが実現される。これは同じように個々のパワーコンポーネントを有するパワーモジュールの場合には、従来の押圧コンタクト時のような確実な接触接続を可能にする。従来技術と比べて低い接触接続圧力のみが必要とされる。このような付加的な電流案内面によって、基板面上の付加的な多数の導体路が回避される。
【0018】
別の有利な構成では、パワーコンポーネントは、電子パワー半導体コンポーネント、例えばサイリスタ、トライアック、ダイオードまたは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。
【0019】
別の有利な構成では、パワー半導体コンポーネントのゲートは、電気的絶縁性の金属ワイヤーおよび/または金属ばねによって、電気的絶縁性のスリーブ内で、電気的に接触接続されている。
【0020】
別の有利な構成では、パワーモジュールは、複数のパワーコンポーネントを有している。これらのパワーコンポーネントは次のように隣接して基板上に配置されている。すなわち、各中空空間が、1つの共通の導電性プレートによって制限されるように配置されている。このようにして、付加的な電流案内面が、導電性の共通のプレートによって生じる。従って、基板面上の付加的な多数の導体路を省くことができる。カバープレートは複数のパワーコンポーネントにわたってまたは同じように1つの完全なパワーモジュールにわたって延在する。
【0021】
別の有利な構成では、少なくとも1つの中空空間から、少なくとも1つのチャネルが、爆発圧力を低下させるために、中空空間の外部へ向かって、殊に少なくとも1つの隣接する中空空間へと形成される。例えば硬質金属を含有する球は圧力を均一に分散させる。これは、例えばフレーム内のチャネルを介してパワーコンポーネントからパワーコンポーネントへと行われる。チャネルがフレームと構造の別の部分との間に形成されてもよい。爆発圧力を低下させるために用いられるチャネルは、最小の粒子直径よりも小さければよい。
【0022】
別の有利な構成では、押圧プレートとして作用する共通のプレートによって、充填された中空空間に接触圧力が作用する。これは例えば5〜10kP/cmの範囲にある。このようにして、新たな接触接続システムが次のように実現される。すなわち、電気的コンタクト面ないしは導電性層から、導電性粒子による、プレートへの電気的接続が保証されるように実現される。
【0023】
別の有利な構成では、パワーコンポーネントは電気的に直列接続されており、これによって高い電圧がスイッチングされる。
【0024】
別の有利な構成ではパワーコンポーネントは並列に駆動制御される。並列に設計された駆動制御コンセプトによって、例えば短絡時に損傷されないモジュール部分が、継続短絡(Dauerkurzschluss)に切り替えられ、パワーコンポーネントの直列接続がその作動を続ける。
【0025】
別の有利な構成では、粒子が少なくとも1つの充填チャネルを介して中空空間内に入れられる、および/またはカバー層の取り付け前に中空空間内に入れられる。すなわち、パワーコンポーネント表面とプレートとの間の空間における容積は、例えば塊状の金属粒子、有利には球によって、フレーム内、プレート内の充填開口部を通じて、または既に取り付け前に充填される。これによって中空空間の充填が容易になる。
【0026】
本発明を実施例に基づいて、図面に関連して、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるパワーモジュールの第1の実施例
【図2】本発明によるパワーモジュールの第2の実施例
【0028】
図1は本発明によるパワーモジュールの第1の実施例を示している。この防爆性モジュール構造では、爆発圧力は、充填物を通って消える。ここでこの充填物は、導電性の粒子5、例えば直径0.5〜2mmの金属球および圧力崩壊のためのチャネル23から成る。ここでこの圧力崩壊のためのチャネル23は、フレーム15に沿って形成される。この実施例ではパワーコンポーネント、殊に電子パワー半導体コンポーネント1は、パワー半導体コンポーネント1の下面に形成された、負荷電流に対する第1の電気的接触接続部を伴って形成される。これに加えて、パワー半導体コンポーネント1の上面には、電気的コンタクト面9によって、負荷電流に対する第2の電気的接触接続部が形成される。パワー半導体コンポーネント1は、基板19上に配置される。第1の電気的接触接続部は、基板19の方を向いている面によって、基板19上に配置された少なくとも1つの電気的導体路3によって形成される。電気的導体路は例えば銅の導体路である。比較可能な材料が、同じように使用可能である。パワー半導体コンポーネント1の過負荷時に爆発圧力を崩壊させるために、およびパワー受容のために、電気的コンタクト面9には、少なくとも1つの導電性粒子5で充填された中空空間7が形成される。有利には、多数の導電性粒子5が使用される。ここでは粒子5は間詰充填材として形成される。粒子5の数は、例えば100〜1000個の粒子5の範囲である。粒子5の数は、粒子5の大きさと、中空空間7の容積に依存する。導電性粒子5の間の隙間では、パワー半導体コンポーネント1の故障時に爆発圧力が消え、金属蒸気が冷却され、抑圧される。1つないしは複数の粒子5に対して付加的に、有利には空気が中空空間7内に存在している。択一的にガスが同じように使用可能である。短絡時には、アークのみが、最大でパワー半導体コンポーネント1の厚さにわたって形成される。その後、1つの導電性粒子5ないしは多数の導電性粒子5によって電流案内が担われる。基本的には1つの導電性粒子5のみが中空空間7内に形成され得る。しかしながら、形状および材料に関しては、電流案内が導電性粒子5によって担われるように実現されなければならない。有利には、導電性粒子5の間詰め充填材が使用される。図1に示された実施例では、電気的コンタクト面9に、増強に使用される、金属層として構成された別の導電性層13が構成され、そこに中空空間7が構成される。この金属層13によって付加的に、電流案内が1つないしは複数の粒子5によって担われることが保証される。これに加えて、爆発圧力が金属層13から、導電性粒子5の中空空間に伝達される。
【0029】
付加的に、電気的絶縁層17が、電気的コンタクト面9ないしは金属層13を取り囲んでいる、電子パワー半導体コンポーネント1、電気的導体路3および基板19の領域上に形成される。このようにして、パワー半導体コンポーネント1に対して並行な電流が、導体路3と電気的コンタクト面9ないしは金属層13の間に流れることが阻止される。このようにして、短絡時に、パワー半導体コンポーネント1を通って流れる短絡電流が、1つまたは複数の粒子5によって引き受けられる。電気的絶縁層は例えばWO03030247号に記載されているように形成される。これに加えて、層列である基板19、導体路3、パワー半導体コンポーネント1、電気的コンタクト面9、金属増強部13および絶縁部17が、WO03030247号に記載されているように形成される。以下のステップが実施される:電気的絶縁性のプラスチック材料から成る薄膜17を基板19、導体路3およびパワー半導体コンポーネント1の表面上に、真空下でラミネート加工する。従って、薄膜17はこれらの表面を、電気的コンタクト面9によって密着して覆い、この表面上に接着する。接触接続されるべき各電気的コンタクト面9を表面上で、薄膜17内に各ウィンドウを開けることによって露出させ、各露出された電気的コンタクト面9を導電性材料から成る層13と面状に接触接続させる。図1に示された実施例では、中空空間7はフレーム15上のプレート11によって形成される。フレーム15は、電気的絶縁層17上に電気的コンタクト面9ないしは金属層13を取り囲むように配置されている。このようにして、プレート11および電気的コンタクト面9ないし金属層13は相互に特定の間隔をあけて実現される。プレート11は、例えばカバー層として形成される。プレート11は、モジュール底部ないしは基板19と絶縁してねじ止めされている。基板19は例えば、セラミック絶縁部として実現される。導電性粒子5は殊に金属、殊に硬金および/または特定の粒子サイズ配分を有している。さらに、粒子5は球状であってよい。多数の粒子5が特に有利であり、これは殊に間詰め充填材を構成する。特に有利には、プレート11と電気的コンタクト面9ないしは金属層13との間の間隔は、平均的な粒子直径の大きさの3〜4倍である。パワー半導体コンポーネント1の過負荷時の爆破圧力のさらなる低減のために、中空空間7から、少なくとも1つのチャネル23が、中空空間7の外部へ向かって形成されている。導電性粒子5が中空空間7からもれてなくならないように、最大チャネル直径サイズは最小粒子直径サイズよりも小さい。これによってこのような防爆性モジュール構造の場合に、導電性粒子5による充填によっておよびフレーム15内またはフレーム15でのチャネル23によって爆発圧力が低減される。フレーム15は固定されずに絶縁層17上に配置されるかまたはこの絶縁部17またはプレート11の構成部分である。特に有利には、プレート11は圧力プレート11として供給される。このようにして、中空空間7は接触圧力下で、電気的コンタクト面9ないし金属層13から、導電性粒子5による、導電性プレート11までの電気的接続が保証されるように設定される。これは殊に、電気的コンタクト面9、金属層13、粒子5およびプレート11の表面が、耐腐食性および/または耐酸化性のコンタクト金属化部を有している場合である。このようにして、基板19上の導体路3の電流案内面に対して付加的な電流案内面が実現される。電子パワー半導体コンポーネント1は例えばサイリスタ、トライアックまたは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。さらに、パワー半導体コンポーネント1のゲートは電気的絶縁性、導電性のワイヤーおよび/または導電性のばねによって、電気的絶縁性のスリーブ内で電気的に接触接続されている。これに加えて図1は、粒子5を充填するためのチャネル21を示している。チャネル21は充填後に閉鎖されるか、または小さくした後に、爆発圧力低下のためのチャネル23として使用される。
【0030】
図2は、本発明によるパワーモジュールの第2の実施例を示している。複数の電子パワー半導体コンポーネント1が基板19上に次のように隣接して配置されている。すなわち、それに属する各中空空間7が1つの共通の導電性プレート11によって制限されるように隣接している。図2は基板19を示しており、これは例えばセラミックから形成される。参照番号3は、電気的導体路を示しており、これは例えば銅製の導体路である。参照番号17は、3つのパワー半導体コンポーネント1の共通の絶縁層17を示している。3つの電子パワー半導体コンポーネント1上にはそれぞれフレーム15および共通の導電性圧力プレート11が形成されている。この圧力プレートは金属圧力プレート11として形成され得る。参照番号21は、導電性粒子5の充填のための充填チャネルを示している。図2では、少なくとも1つの中空空間7から、圧力低減のための少なくとも1つのチャネル23が、中空空間7外へ、少なくとも1つの隣接する中空空間7へと形成されている。中空空間7上には、圧力プレートとして作用する、共通の導電性プレート11によって接触圧力が作用する。電気的コンタクト面9、金属層13、粒子5およびプレート11の表面が耐腐食性および/または耐酸化性のコンタクト金属化部を有する場合には、電気的コンタクト面9ないし金属層13からの、導電性粒子5による、プレート11への電気的接続が保証される。このようにして、多数の電気的パワー半導体コンポーネント1に対する付加的な電流案内面が実現される。図2は、連続している導電性圧力プレート11を電流案内面として有しているマルチパワー半導体コンポーネントモジュールを示している。フレーム15は固定的にパワー半導体コンポーネント絶縁17上に、電気的絶縁を保証するために、および沿面区間を形成するために配置されている。ここでは例えば球形である導電性粒子5の充填は、共通のチャネル21によって行われる。チャネル21は充填後に閉鎖されるか、または爆発圧力を低減するためのチャネル23内へ、断面において小さくされる。有利な構成では、電子パワー半導体コンポーネント1は電気的に直列に接続されている。このようにして高い電圧がスイッチングされる。さらに、電子パワー半導体コンポーネント1は特に有利には並列に駆動制御される。このようにして短絡時に、損傷を受けていないパワー半導体コンポーネント1が継続短絡に切り換えられ、電気的パワー半導体コンポーネント1の直列接続がその作動を続ける。スイッチは故障時に導電状態のままであってよい。なぜならこの場合には直列接続された無傷のパワー半導体コンポーネント1が完全な逆電圧を引き受けることができるからである。このようにして同じように、駆動制御部の損傷が回避される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールであって、
少なくとも1つの電気的なパワーコンポーネント、殊に電子パワー半導体コンポーネント(1)を有し、
前記パワーコンポーネントの下面に形成された、負荷電流に対する第1の電気的接触接続部と、前記パワーコンポーネントの上面に、電気的コンタクト面(9)によって形成された、負荷電流に対する第2の電気的接触接続部を有している形式のものにおいて、
パワーコンポーネントの過負荷時に爆発圧力を低減させるために、およびパワー受容のために、前記電気的コンタクト面(9)に、少なくとも1つの導電性粒子(5)が充填された中空空間(7)が形成されている、
ことを特徴とするパワーモジュール。
【請求項2】
前記電気的コンタクト面(9)に、増強のために用いられるさらなる導電性層(13)、殊に金属層が形成され、当該導電性層に前記中空空間(7)が形成されている、請求項1記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記パワーコンポーネントは基板(19)上に形成されており、前記第1の電気的接触接続部は、当該基板(19)の方を向いている面から、前記基板(19)上に配置されている少なくとも1つの電気的導体路(3)によって形成されている、請求項1または2記載のパワーモジュール。
【請求項4】
電気的絶縁層(17)が前記電気的コンタクト面(9)ないしは前記層(13)を取り囲んでいる、前記電子パワーコンポーネント、前記電気的導体路(3)および前記基板(19)の領域上に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記中空空間(7)はフレーム(15)上のプレート(11)によって形成されており、当該フレームは前記電気的絶縁層(17)上に、前記電気的コンタクト面(9)を取り囲んで配置されており、
前記プレート(11)および電気的コンタクト面(9)は相互に特定の間隔を有している、請求項4記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記粒子(5)は金属、殊に硬質金属、および/または特定の粒子サイズ配分を有している、および/または球状である、および/または多数の粒子(5)が使用されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記プレート(11)と電気的コンタクト面(9)との間の間隔は、平均粒子断面サイズの約3〜4倍である、請求項5または6記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記パワーコンポーネントの過負荷時に爆発圧力をさらに低下させるために、前記中空空間(7)から少なくとも1つのチャネル(23)が中空空間(7)外へと形成されており、
最大チャネル断面サイズは最小粒子断面サイズよりも小さい、請求項1から7までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記電気的コンタクト面(9)、前記層(13)、前記粒子(5)および前記プレート(11)の表面は、耐腐食性および耐酸化性のコンタクト金属化部を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記中空空間(7)は接触圧力下で、殊に圧力プレートとして作用するプレート(11)上の圧力によって、前記電気的コンタクト面(9)ないし前記層(13)から、前記導電性粒子(5)による、前記プレート(11)への電気的接続が保証されるように設定されている、請求項5から9までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記電子パワー半導体コンポーネント(1)は、サイリスタ、トライアック、ダイオードまたは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である、請求項1から10までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記パワー半導体コンポーネント(1)のゲートは、電気的絶縁性、導電性ワイヤーおよび/または導電性ばねによって、電気的絶縁性のスリーブ内で電気的に接触接続されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項13】
複数のパワーコンポーネントが、各中空空間(7)が、1つの共通の導電性プレート(11)によって制限されるように隣接して前記基板(19)上に配置されている、請求項2から12までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項14】
少なくとも1つの中空空間(7)から少なくとも1つのチャネル(23)が、爆発圧力を低下させるために、前記中空空間(7)の外部へ向かって、殊に少なくとも1つの隣接する中空空間(7)へと形成されている、請求項13記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記中空空間(7)へ、圧力プレートとして作用する共通の導電性プレート(11)によって、接触圧力が作用する、請求項13または14記載のパワーモジュール。
【請求項16】
前記パワーコンポーネントは電気的に直列接続されている、請求項13から15までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項17】
前記パワーコンポーネントは並列に駆動制御される、請求項13から16までのいずれか1項記載のパワーモジュール。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項に記載されたパワーモジュールを製造するための方法であって、以下のステップを有しており、
・前記パワーコンポーネントの下面に形成される、負荷電流に対する第1の電気的接触接続部を形成するステップ、
・前記パワーコンポーネントの上面に、電気的コンタクト面(9)によって構成される、負荷電流に対する第2の電気的接触接続部を形成するステップ、
・パワーコンポーネントの過負荷時に爆発圧力を低減させるために、およびパワー受容のために用いられる、前記電気的コンタクト面(9)に配置される、少なくとも1つの導電性粒子(5)によって充填された中空空間(7)を形成するステップを有している、
ことを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載されたパワーモジュールを製造するための方法。
【請求項19】
前記導電性の粒子(5)を少なくとも1つの充填チャネル(21)を介して前記中空空間(7)内に入れる、および/またはプレート(11)を取り付ける前に前記中空区間(7)内に入れる、請求項18記載の、パワーモジュールを製造するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−509901(P2010−509901A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536752(P2009−536752)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062568
【国際公開番号】WO2008/061980
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】