説明

パワーシート用スイッチ装置

【課題】使用者が見易く、操作し易いパワーシート用スイッチ装置を提供する。
【解決手段】配線基板4の上方に、その上面4aとほぼ平行で、かつ互いにほぼ平行となるように第1〜第3の軸41〜43を配置する。座部操作用ノブ7の前部を上方へ操作した場合には、前部のロータ形プッシャ35の押圧部37により前部上昇用スイッチ46を、下方へ操作した場合には、バーチカル用プッシャ31の押圧部33により前部下降用スイッチ45をオン操作する。座部操作用ノブ7の後部を上方へ操作した場合には、後部のロータ形プッシャ35の押圧部37により後部上昇用スイッチ48を、下方へ操作した場合には、バーチカル用プッシャ32の押圧部33により後部下降用スイッチ47をオン操作する。座部操作用ノブ7を前方および後方へスライド操作した場合には、スライド用プッシャの押圧部により前方スライド用スイッチ、後方スライド用スイッチをオン操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーシートを操作するためのパワーシート用スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車(車両)において、シートの位置を電動で調節可能に構成されたパワーシートを操作するためのパワーシート用スイッチ装置は、従来では、シートの下部の側部に横向きに設けられている。具体的には、スイッチ装置の配線基板は、スイッチが設けられる一面が横向きに配置され、複数本、例えば3本の軸が配線基板にそれぞれ垂直となるように配置され、これら3本の軸の先端部に1個の操作ノブが設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
そして、このようなスイッチ装置において、操作ノブの前部を上方へ操作すると、操作ノブの前部が、後部側の軸を支点にして前部側の軸と共に上昇するように回動し、これに伴い前部側の軸を介して前部上昇用スイッチがオン操作され、これに基づきシートの前部が上昇される。また、操作ノブの前部を下方へ操作すると、操作ノブの前部が後部側の軸を支点にして前部側の軸と共に下降するように回動し、これに伴い前部下降用スイッチがオン操作され、これに基づきシートの前部が下降される。同様に、操作ノブの後部を上方へ操作した場合には、後部側の軸を介して後部上昇用スイッチがオン操作されてシートの後部が上昇され、操作ノブの後部を下方へ操作した場合には、後部側の軸を介して後部下降用スイッチがオン操作されてシートの後部が下降される。さらに、操作ノブを前方へスライド操作した場合には、操作ノブが中央部の軸と共に前方へスライドし、これに伴い中央部の軸を介して前方スライド用スイッチがオン操作され、これに基づきシート全体が前方へスライドされ、操作ノブを後方へスライド操作した場合には、操作ノブが中央部の軸と共に後方へスライドし、これに伴い中央部の軸を介して後方スライド用スイッチがオン操作され、これに基づきシート全体が後方へスライドされる。
【特許文献1】特開平10−308140号公報(図1)
【特許文献2】特開平7−192576号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来構成のものでは、操作ノブの操作方向とシートの動く方向とが同じであるため、操作がわかりやすい。しかしながら、スイッチ装置の操作ノブが横向きで、シートの下部側部に設けられる構成であるため、使用者から操作ノブが見難く、操作し難いという問題がある。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者が見易く、操作し易いパワーシート用スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明のパワーシート用スイッチ装置は、一面が上向きとなるように配設される配線基板と、この配線基板の上方に位置させて配設されるパワーシート操作用の操作ノブと、前記配線基板の上方において当該配線基板の上面とほぼ平行で、かつ互いにほぼ平行で前後に位置するように配置された第1および第2の軸と、
それぞれ前記配線基板の上面に設けられた前部上昇用スイッチ、前部下降用スイッチ、後部上昇用スイッチ、並びに後部下降用スイッチとを備え、前記操作ノブの前部を上方へ操作したときには、当該操作ノブは後ろ側の前記第2の軸を支点にして前部が前記第1の軸と共に上昇するように回動することに伴い前記前部上昇用スイッチがオン操作され、前記操作ノブの前部を下方へ操作したときには、当該操作ノブは前記第2の軸を支点にして前部が前記第1の軸と共に下降するように回動することに伴い前記前部下降用スイッチがオン操作され、前記操作ノブの後部を上方へ操作したときには、当該操作ノブは前側の前記第1の軸を支点にして後部が前記第2の軸と共に上昇するように回動することに伴い前記後部上昇用スイッチがオン操作され、前記操作ノブの後部を下方へ操作したときには、当該操作ノブは前記第1の軸を支点にして後部が前記第2の軸と共に下降するように回動することに伴い前記後部下降用スイッチがオン操作される構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作ノブは、一面が上向きに配置された配線基板の上方に配置されていて、上方から見易い位置に配置することができるため、操作ノブが見易く、操作もし易くできる。また、操作ノブの操作方向と、パワーシートの移動方向とが同じとなるため、わかり易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
まず、図1および図2には、パワーシート用スイッチユニット1の全体の外観構成が示されている。このパワーシート用スイッチユニット1は、自動車において図示しないパワーシートの側部に配設されるもので、前後方向(図2において左右方向)に長い形状に形成されている。パワーシート用スイッチユニット1のボデー2の上部には、図8にも示すように枠状をなすベゼル3が装着され、下部には、配線基板4(図3〜図8参照)が配設されているとともに、その配線基板4を下方から覆うように下カバー5が装着されている。配線基板4は、一面である上面4aが上向きとなるように配設されている。
【0009】
このパワーシート用スイッチユニット1のベゼル3内には、前部(図2において左側)にダイヤル式のシートヒータ用ノブ6が設けられ、その後ろ側に、上面がほぼ矩形状をなす座部操作用ノブ7が設けられている。また、この座部操作用ノブ7の後ろ側の左右にサイドサポートA用ノブ8およびサイドサポートB用ノブ9が設けられ、これら両ノブ8,9の間の後ろ側にランバー用ノブ10が設けられ、このランバー用ノブ10の後ろ側にリクライニング用ノブ11が設けられ、最も後ろ側にショルダー用ノブ12が設けられている。
【0010】
これらのうちシートヒータ用ノブ6は、シートに設けられたヒータの発熱を調節する際に使用される。座部操作用ノブ7は、本発明のパワーシート用スイッチ装置の操作ノブを構成するもので、後述するようにパワーシートの座部の前部および後部を上昇および下降させるとともに、前後方向へスライドさせる際に使用される。サイドサポートA用ノブ8およびサイドサポートB用ノブ9は、シートの左右側部の押圧力を調節する際に使用される。ランバー用ノブ10は、腰に対応する部分の前後方向の位置を調節する際に使用される。リクライニング用ノブ11は、背もたれ部分の前後方向の角度を調節する際に使用される。ショルダー用ノブ12は、肩に当たる部分の位置を調節する際に使用される。パワーシート用スイッチユニット1は、上記したノブ6〜12が上向きとなるように配設される。
【0011】
これらのうち、座部操作用ノブ7に関連した部分が、本発明のパワーシート用スイッチ装置に対応していて、他の部分は本発明とは直接関係しないため、以下は、座部操作用ノブ7に関連したスイッチ装置についてのみ説明する。
座部操作用ノブ7は上部がほぼ矩形板状をなしていて、その下面に、扁平な矩形筒状をなす軸支持部15が左右に位置させて2個設けられている(図5〜図8参照)。両軸支時部15の左右両側壁には、前部および後部に位置させて前後方向に長い軸挿通孔16が形成されているとともに、両軸挿通孔16間に位置させて上下方向に長い軸挿通孔17が形成されている。ベゼル3には、座部操作用ノブ7に対応する部分に矩形状の開口部18が形成されている。
【0012】
ボデー2において、座部操作用ノブ7の下方に対応する部分に、扁平な矩形筒状をなす第1のプッシャ収容部19が設けられているとともに、この第1のプッシャ収容部19の左右両側に位置させて、これも扁平な矩形筒状をなす第2のプッシャ収容部20が設けられている。第2のプッシャ収容部20は、内部がそれぞれ2個の仕切り部21,22により仕切られていて(図4参照)、前部の仕切り部21の前部側を前部収容部20a、後部の仕切り部22の後ろ側を後部収容部20b、これらの中間部を中間空間部20cとしている。第2のプッシャ収容部20において、前部収容部20aおよび後部収容部20bに対応する部分の左右両側壁には上下方向に長い軸挿通孔23が形成され、中間空間部20cに対応する部分の左右両側壁には、前後方向に長い軸挿通孔24が形成されている。第1のプッシャ収容部19の左右側壁にも、軸挿通孔23と対応する部分に上下方向に長い軸挿通孔23が形成されているとともに、軸挿通孔24と対応する部分に左右方向に長い軸挿通孔24が形成されている。
【0013】
第1および第2のプッシャ収容部19,20は、上記ベゼル3の開口部18内に挿入されている。また、上記座部操作用ノブ7の2個の軸支持部15は、それぞれ第1および第2のプッシャ収容部19,20間に上方から挿入されている(図5〜図7参照)。
第1のプッシャ収容部19には、スライド用プッシャ28が前後方向に揺動可能な状態で収容されている(図3参照)。このスライド用プッシャ28には、下部の前後両側に、側方へ張り出す押圧部29が形成されているとともに、上部の前後方向の中間部にV字形をなすV字溝30が形成されている。また、左右の各第2のプッシャ収容部20において、前部収容部20aおよび後部収容部20bには、バーチカル用プッシャ31,32がそれぞれ上下方向に移動可能に収容されている(図4参照)。これら各バーチカル用プッシャ31,32の下部には、側方へ張り出す押圧部33が形成されているとともに、切欠部34が形成されている。この場合、押圧部33の上面側を受け部33aとしている。前部収容部20aに収容されるバーチカル用プッシャ31の切欠部34は後部側に形成され、後部収容部20bに収容されるバーチカル用プッシャ32の切欠部34は前部側に形成されている。
【0014】
また、各バーチカル用プッシャ31,32の切欠部34に対応する部分には、それぞれロータ形プッシャ35が配設されている。各ロータ形プッシャ35は、中間部に軸部36を有し、一端部に押圧部37を有し、他端部に一対の引掛け部38を有していて、その軸部36を介して上記ボデー2に回動可能に支持されている。このとき、一対の引掛け部38が、対応するバーチカル用プッシャ31,32の受け部33aに引っ掛けられている。各バーチカル用プッシャ31,32の上部には、前後方向に長い軸挿通孔39が形成されている。
【0015】
そして、座部操作用ノブ7の下側には、それぞれ上記配線基板4の上面4aとほぼ平行で、かつ互いに平行となるように第1,第2および第3の軸41,42,43が、左右方向に指向する状態で配置されている。このうち第1の軸41は、図5に示すように、左右の第2のプッシャ収容部20における前部の軸挿通孔23、前部のバーチカル用プッシャ31の軸挿通孔39、座部操作用ノブ7の左右の軸支持部15における前部の軸挿通孔16、および第1のプッシャ収容部19における前部の軸挿通孔23を貫通する状態で取り付けられていて、軸方向の両端部に抜止め用のEリング44が取り付けられている。第2の軸42は、図7に示すように、左右の第2のプッシャ収容部20における後部の軸挿通孔23、後部のバーチカル用プッシャ32の軸挿通孔39、座部操作用ノブ7の左右の軸支持部15における後部の軸挿通孔16、および第1のプッシャ収容部19における後部の軸挿通孔23を貫通する状態で取り付けられていて、軸方向の両端部に抜止め用のEリング44が取り付けられている。
【0016】
また、中間部に位置する第3の軸43は、図6に示すように、左右の第2のプッシャ収容部20における中央部の軸挿通孔24、座部操作用ノブ7の左右の軸支持部15における中央部の軸挿通孔17、第1のプッシャ収容部19における中央部の軸挿通孔24、およびスライド用プッシャ28のV字溝30を貫通する状態で取り付けられていて、軸方向の両端部に抜止め用のEリング44が取り付けられている。
【0017】
上記配線基板4の上面4aには、座部操作用ノブ7の下方に位置させて、複数個、この場合10個のスイッチ45〜50が実装されている(図8参照)。この場合、10個のスイッチ45〜50は、左右両側に前後方向に4個ずつ並べて配置されているとともに、左右の中間部の前部と後部に1個ずつ配置されている。これらスイッチ45〜50のうち、左右両側の最も前に位置した2個のスイッチ45は前部下降用スイッチとされ、前から2番目に位置した左右2個のスイッチ46は前部上昇用スイッチとされている。また、左右両側の最も後ろに位置した2個のスイッチ47は後部下降用スイッチとされ、後ろから2番目に位置した左右2個のスイッチ48は後部上昇用スイッチとされている。そして、左右の中間部の前部に位置したスイッチ49は前方スライド用スイッチとされ、左右の中間部の後部に位置したスイッチ50は後方スライド用スイッチとされている。
【0018】
各スイッチ45〜50は、ラバーコンタクトスイッチと呼ばれるもので、図3および図4に示すように、ゴム製で弾性を有するドーム部51と、このドーム部51の下面に設けられた可動接点52と、配線基板4の上面4aに設けられ可動接点52が接離する固定接点53とを有していて、非押圧状態では可動接点52が固定接点53から離間していてオフ状態を呈し、ドーム部51が上方から押圧されることに伴い可動接点52が固定接点53に接触してオン状態を呈する構成となっている。
【0019】
そして、図4に示すように、前部下降用スイッチ45は、前部のバーチカル用プッシャ31における押圧部33の下方に配置されていて、ドーム部51の上面に押圧部33の下面が接触している。前部上昇用スイッチ46は、前部のロータ形プッシャ35における押圧部37の下方に配置されていて、ドーム部51の上面が押圧部37の下面に接触している。後部下降用スイッチ47は、後部のバーチカル用プッシャ32における押圧部33の下方に配置されていて、ドーム部51の上面に押圧部33の下面が接触している。後部上昇用スイッチ48は、後部のロータ形プッシャ35における押圧部37の下方に配置されていて、ドーム部51の上面が押圧部37の下面に接触している。
【0020】
また、図3に示すように、前方スライド用スイッチ49は、スライド用プッシャ28における前部の押圧部29の下方に配置されていて、ドーム部51の上面が押圧部37の下面に接触している。後方スライド用スイッチ50は、スライド用プッシャ28における後部の押圧部29の下方に配置されていて、ドーム部51の上面が押圧部37の下面に接触している。
【0021】
次に上記構成の作用を説明する。
座部操作用ノブ7の非操作状態では、座部操作用ノブ7の下方に配設された10個のスイッチ45〜50はそれぞれオフ状態を呈している。この状態は中立状態である。この中立状態から、座部操作用ノブ7の前部7aを上方へ引き上げ操作した場合(図4の矢印A1参照)には、座部操作用ノブ7は、後ろ側の第2の軸42を支点にして前部7aが上昇するように回動し、これに伴い軸支持部15の前部の軸挿通孔16を介して前部の第1の軸41が同矢印A1方向へ移動するとともに、その第1の軸41によって前部側のバーチカル用プッシャ31が持ち上げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ31の受け部33aに引っ掛けられていた前部側のロータ形プッシャ35が、軸部36を中心に時計周り方向(図4の矢印D1参照)へ回動し、その押圧部37により前部上昇用スイッチ46のドーム部51が下方へ押圧され、当該前部上昇用スイッチ46がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの前部が上昇する。このとき、座部操作用ノブ7における軸支持部15の中央部の軸挿通孔17は上下方向に長く形成されているので、中央部の第3の軸43は、殆ど或いは全く移動しない。
なお、座部操作用ノブ7に対する操作力が解除されると、押圧された前部上昇用スイッチ46のドーム部51が元の状態へ復帰するとともに、各部材は元の中立状態に復帰する。
【0022】
座部操作用ノブ7の前部7aを下方へ押し下げ操作した場合(図4の矢印A2参照)には、座部操作用ノブ7は、後ろ側の第2の軸42を支点にして前部7aが下降するように回動し、これに伴い軸支持部15の前部の軸挿通孔16を介して前部の第1の軸41が同矢印A2方向へ移動するとともに、その第1の軸41によって前部側のバーチカル用プッシャ31が押し下げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ31の押圧部37により前部下降用スイッチ45のドーム部51が下方へ押圧され、当該前部下降用スイッチ45がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの前部が下降する。このときも、中央部の第3の軸43は、殆ど或いは全く移動しない。
【0023】
同様にして、座部操作用ノブ7の後部7bを上方へ引き上げ操作した場合(図4の矢印B1参照)には、座部操作用ノブ7は、前側の第1の軸41を支点にして後部7bが上昇するように回動し、これに伴い軸支持部15の後部の軸挿通孔16を介して後部の第2の軸42が同矢印B1方向へ移動するとともに、その第2の軸42によって後部側のバーチカル用プッシャ32が持ち上げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ32の受け部33aに引っ掛けられていた後部側のロータ形プッシャ35が、軸部36を中心に反時計周り方向(図4の矢印D2参照)へ回動し、その押圧部37により後部上昇用スイッチ48のドーム部51が下方へ押圧され、当該後部上昇用スイッチ48がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの後部が上昇する。このときも、中央部の第3の軸43は、殆ど或いは全く移動しない。
【0024】
座部操作用ノブ7の後部7bを下方へ押し下げ操作した場合(図4の矢印B2参照)には、座部操作用ノブ7は、前側の第1の軸41を支点にして後部7bが下降するように回動し、これに伴い軸支持部15の後部の軸挿通孔16を介して後部の第2の軸42が同矢印B2方向へ移動するとともに、その第2の軸42によって後部側のバーチカル用プッシャ32が押し下げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ32の押圧部37により後部下降用スイッチ47のドーム部51が下方へ押圧され、当該後部下降用スイッチ47がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの後部が下降する。このときも、中央部の第3の軸43は、殆ど或いは全く移動しない。
【0025】
座部操作用ノブ7を前方へスライド操作した場合(図3の矢印C1参照)には、座部操作用ノブ7における軸支持部15の中央の軸挿通孔17を介して中央部の第3の軸43が前方へ移動する。すると、スライド用プッシャ28のV字溝30における前部側の斜面30aが第3の軸43により押され、スライド用プッシャ28が後部の押圧部29を支点にして反時計回り方向(図3の矢印E1参照)へ回動し、スライド用プッシャ28の前部側の押圧部29により前部側の前方スライド用スイッチ49のドーム部51が下方へ押圧され、当該前方スライド用スイッチ49がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシート全体が前方へ移動する。このとき、座部操作用ノブ7における軸支持部15の前後の軸挿通孔16は前後方向に長く形成されているので、第1および第2の軸41,42は、殆ど或いは全く移動しない。
なお、座部操作用ノブ7に対する操作力が解除されると、押圧された前方スライド用スイッチ49のドーム部51が元の状態に復帰することに伴い、各部材は元の中立状態に復帰する。
【0026】
座部操作用ノブ7を後方へスライド操作した場合(図3の矢印C2参照)には、座部操作用ノブ7における軸支持部15の中央の軸挿通孔17を介して中央部の第3の軸43が後方へ移動する。すると、スライド用プッシャ28のV字溝30における後部側の斜面30bが第3の軸43により押され、スライド用プッシャ28が前部の押圧部29を支点にして時計回り方向(図3の矢印E2参照)へ回動し、スライド用プッシャ28の後部側の押圧部29により後部側の後方スライド用スイッチ50のドーム部51が下方へ押圧され、当該後方スライド用スイッチ50がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシート全体が後方へ移動する。このときも、第1および第2の軸41,42は、殆ど或いは全く移動しない。
【0027】
上記した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
座部操作用ノブ7は、上面4aが上向きに配置された配線基板4の上方に配置されていて、上方から見易い位置に配置することができるため、操作ノブがシートの側部下部に横向きに配置されたものとは違い、その座部操作用ノブ7が見易く、操作もし易くできる。また、座部操作用ノブ7の操作方向と、パワーシートの移動方向とが同じとなるため、わかり易い。さらには、横幅(左右方向の幅)を比較的狭くすることができるため、横幅の狭いところへも配設することが可能になる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について図9を参照して説明する。この図9は、原理をわかりやすくするため、簡略化して示している。
配線基板61は、一面である上面61aが上向きとなるように配設されている。操作ノブを構成する座部操作用ノブ62は、配線基板61の上方に配設されている。この座部操作用ノブ62には、前部(図9の左側)および後部にそれぞれ前後方向に長い軸挿通孔63が形成されているとともに、前後方向の中央部に上下方向に長い軸挿通孔64が形成されている。座部操作用ノブ62と配線基板61との間には、前部および後部にバーチカル用プッシャ65および66が配置されているとともに、これらバーチカル用プッシャ65および66の間に位置させてスライド用プッシャ67が配置されている。
【0029】
このうち、前部および後部のバーチカル用プッシャ65,66の上部には、前後方向に長い軸挿通孔68が形成されているとともに、下部に押圧部69が設けられていて、押圧部69の上面を受け部69aとしている。前部のバーチカル用プッシャ65の軸挿通孔68は後部(図9の右側)が開口し、後部のバーチカル用プッシャ66の軸挿通孔68は前部(図9の左側)が開口している。前部のバーチカル用プッシャ65の前方、および後部のバーチカル用プッシャ66の後方には、ロータ形プッシャ70が配設されている。
【0030】
各ロータ形プッシャ70は、それぞれ軸部71を中心に回動可能なように図示しないボデーに取り付けられている。各ロータ形プッシャ70は、一端部に押圧部72を有するとともに、他端部に引掛け部73を有していて、それぞれの引掛け部73が、対応するバーチカル用プッシャ65,66の受け部69aに引っ掛けられている。スライド用プッシャ67には、上部にV字溝74が形成されているとともに、下部の前後に押圧部75が設けられている。
【0031】
座部操作用ノブ62の下側には、それぞれ上記配線基板61の上面61aとほぼ平行で、かつ互いに平行となるように第1,第2および第3の軸76,77,78が、左右方向(紙面に対して垂直な方向)に指向する状態で配置されている。このうち第1の軸76は、座部操作用ノブ62の前部の軸挿通孔63、前部のバーチカル用プッシャ65の軸挿通孔68を貫通する状態で取り付けられている。第2の軸77は、座部操作用ノブ62の後部の軸挿通孔63、後部のバーチカル用プッシャ66の軸挿通孔68を貫通する状態で取り付けられている。第3の軸78は、座部操作用ノブ62の中央部の軸挿通孔64、スライド用プッシャ67のV字溝74を貫通する状態で取り付けられている。
【0032】
配線基板61の上面61aには、複数個、この場合6個のスイッチ80〜85が設けられている。これら6個のスイッチ80〜85は、前(図9の左)から順に、前部上昇用スイッチ、前部下降用スイッチ、前方スライド用スイッチ、後方スライド用スイッチ、後部下降用スイッチ、後部上昇用スイッチとされている。また、各スイッチ80〜85は、第1の実施形態のスイッチ45〜50と同様に、ゴム製で弾性を有するドーム部51と、このドーム部51の下面に設けられた可動接点52と、配線基板61の上面61aに設けられ可動接点52が接離する固定接点53とを有していて、非押圧状態では可動接点52が固定接点53から離間していてオフ状態を呈し、ドーム部51が上方から押圧されることに伴い可動接点52が固定接点53に接触してオン状態を呈する構成となっている。
【0033】
そして、前部上昇用スイッチ80は、前部のロータ形プッシャ70の押圧部72の下方に配置されていて、ドーム部51の上面に押圧部72の下面が接触している。前部下降用スイッチ81は、前部のバーチカル用プッシャ65の押圧部69の下方に配置されていて、ドーム部51の上面に押圧部69の下面が接触している。前方スライド用スイッチ82および後方スライド用スイッチ83は、スライド用プッシャ67の前部および後部の押圧部75の下方に配置されていて、それぞれのドーム部51の上面に押圧部75の下面が接触している。後部下降用スイッチ84は、後部のバーチカル用プッシャ66の押圧部69の下方に配置されていて、ドーム部51の上面に押圧部69の下面が接触している。後部上昇用スイッチ85は、後部のロータ形プッシャ70の押圧部72の下方に配置されていて、ドーム部51の上面に押圧部72の下面が接触している。
【0034】
上記構成において、座部操作用ノブ62の非操作状態では、座部操作用ノブ62の下方に配設された6個のスイッチ80〜85はそれぞれオフ状態を呈している。この状態は中立状態である。この中立状態から、座部操作用ノブ62の前部62aを引き上げ操作した場合(矢印A1参照)には、座部操作用ノブ62は、後ろ側の第2の軸77を支点にして前部62aが上昇するように回動し、これに伴い前部の第1の軸76が同矢印A1方向へ移動するとともに、その第1の軸76によって前部側のバーチカル用プッシャ65が持ち上げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ65の受け部69aに引っ掛けられていた前部側のロータ形プッシャ70が、軸部71を中心に反時計周り方向(図4の矢印D3参照)へ回動し、その押圧部72により前部上昇用スイッチ80のドーム部51が下方へ押圧され、当該前部上昇用スイッチ80がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの前部が上昇する。このとき、座部操作用ノブ62における中央部の軸挿通孔64は上下方向に長く形成されているので、中央部の第3の軸78は、殆ど或いは全く移動しない。
【0035】
座部操作用ノブ62の前部62aを押し下げ操作した場合(矢印A2参照)には、座部操作用ノブ62は、後ろ側の第2の軸77を支点にして前部62aが下降するように回動し、これに伴い前部の第1の軸76が同矢印A2方向へ移動するとともに、その第1の軸76によって前部側のバーチカル用プッシャ65が押し下げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ65の押圧部69により前部下降用スイッチ81のドーム部51が押圧され、当該前部下降用スイッチ81がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの前部が下降する。
【0036】
座部操作用ノブ62の後部62bを引き上げ操作した場合(矢印B1参照)には、座部操作用ノブ62は、前側の第1の軸76を支点にして後部62bが上昇するように回動し、これに伴い後部の第2の軸77が同矢印B1方向へ移動するとともに、その第2の軸77によって後部側のバーチカル用プッシャ66が持ち上げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ66の受け部69aに引っ掛けられていた後部側のロータ形プッシャ70が、軸部71を中心に時計周り方向(矢印D4参照)へ回動し、その押圧部72により後部上昇用スイッチ85のドーム部51が押圧され、当該後部上昇用スイッチ85がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの前部が上昇する。このときも、座部操作用ノブ62における中央部の軸挿通孔64は上下方向に長く形成されているので、中央部の第3の軸78は、殆ど或いは全く移動しない。
【0037】
座部操作用ノブ62の後部62bを押し下げ操作した場合(矢印B2参照)には、座部操作用ノブ62は、前側の第1の軸76を支点にして後部62bが下降するように回動し、これに伴い後部の第2の軸77が同矢印B2方向へ移動するとともに、その第2の軸77によって後部側のバーチカル用プッシャ66が押し下げられる。すると、そのバーチカル用プッシャ66の押圧部69により後部下降用スイッチ84のドーム部51が押圧され、当該後部下降用スイッチ84がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシートの後部が下降する。
【0038】
座部操作用ノブ62を前方へスライド操作した場合(矢印C1参照)には、座部操作用ノブ7における中央の軸挿通孔64を介して中央部の第3の軸78が前方へ移動する。すると、スライド用プッシャ67のV字溝74における前部側の斜面74aが第3の軸78により押され、スライド用プッシャ67が反時計回り方向(矢印E1参照)へ回動し、スライド用プッシャ67の前部側の押圧部75により前方スライド用スイッチ82のドーム部51が押圧され、当該前方スライド用スイッチ82がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシート全体が前方へ移動する。このとき、座部操作用ノブ62における前後の軸挿通孔63は前後方向に長く形成されているので、第1および第2の軸76,77は、殆ど或いは全く移動しない。
【0039】
座部操作用ノブ62を後方へスライド操作した場合(矢印C2参照)には、座部操作用ノブ62の中央の軸挿通孔64を介して中央部の第3の軸78が後方へ移動する。すると、スライド用プッシャ67のV字溝74における後部側の斜面74bが第3の軸78により押され、スライド用プッシャ67が時計回り方向(矢印E2参照)へ回動し、スライド用プッシャ67の後部側の押圧部75により後部側の後方スライド用スイッチ83のドーム部51が押圧され、当該後方スライド用スイッチ83がオン状態となる。これに基づき、図示しないモータが駆動されて、パワーシート全体が後方へ移動する。
このような第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0040】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
第3の軸43,78、スライド用プッシャ28,67、前方スライド用スイッチ49,82、後方スライド用スイッチ50,83は、必ずしも必要なものではなく、必要に応じて設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す外観斜視図
【図2】平面図
【図3】図2中X1−X1線に沿う縦断面図
【図4】図2中X2−X2線に沿う縦断面図
【図5】図3中X3−X3線に沿う縦断面図
【図6】図3中X4−X4線に沿う縦断面図
【図7】図3中X5−X5線に沿う縦断面図
【図8】要部の分解斜視図
【図9】本発明の第2の実施形態を示す縦断側面図
【符号の説明】
【0042】
図面中、1はパワーシート用スイッチユニット、4は配線基板、4aは上面(一面)、7は座部操作用ノブ(操作ノブ)、28はスライド用プッシャ、31,32はバーチカル用プッシャ、35はロータ形プッシャ、41は第1の軸、42は第2の軸、43は第3の軸、45は前部下降用スイッチ、46は前部上昇用スイッチ、47は後部下降用スイッチ、48は後部上昇用スイッチ、49は前方スライド用スイッチ、50は後方スライド用スイッチ、61は配線基板、61aは上面(一面)、62は座部操作用ノブ(操作ノブ)、65,66はバーチカル用プッシャ、67はスライド用プッシャ、70はロータ形プッシャ、76は第1の軸、77は第2の軸、78は第3の軸、80は前部上昇用スイッチ、81は前部下降用スイッチ、82は前方スライド用スイッチ、83は後方スライド用スイッチ、84は後部下降用スイッチ、85は後部上昇用スイッチを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が上向きとなるように配設される配線基板と、
この配線基板の上方に位置させて配設されるパワーシート操作用の操作ノブと、
前記配線基板の上方において当該配線基板の上面とほぼ平行で、かつ互いにほぼ平行で前後に位置するように配置された第1および第2の軸と、
それぞれ前記配線基板の上面に設けられた前部上昇用スイッチ、前部下降用スイッチ、後部上昇用スイッチ、並びに後部下降用スイッチとを備え、
前記操作ノブの前部を上方へ操作したときには、当該操作ノブは後ろ側の前記第2の軸を支点にして前部が前記第1の軸と共に上昇するように回動することに伴い前記前部上昇用スイッチがオン操作され、
前記操作ノブの前部を下方へ操作したときには、当該操作ノブは前記第2の軸を支点にして前部が前記第1の軸と共に下降するように回動することに伴い前記前部下降用スイッチがオン操作され、
前記操作ノブの後部を上方へ操作したときには、当該操作ノブは前側の前記第1の軸を支点にして後部が前記第2の軸と共に上昇するように回動することに伴い前記後部上昇用スイッチがオン操作され、
前記操作ノブの後部を下方へ操作したときには、当該操作ノブは前記第1の軸を支点にして後部が前記第2の軸と共に下降するように回動することに伴い前記後部下降用スイッチがオン操作される構成であることを特徴とするパワーシート用スイッチ装置。
【請求項2】
第1の軸と第2の軸との間に位置させてこれら第1および第2の軸、並びに配線基板の一面とほぼ平行となるように配置された第3の軸と、
それぞれ前記配線基板の上面に設けられた前方スライド用スイッチおよび後方スライド用スイッチとを備え、
前記操作ノブを前方へ操作したときには、当該操作ノブは前記第3の軸と共に前方へスライドすることに伴い前記前方スライド用スイッチがオン操作され、
前記操作ノブを後方へ操作したときには、当該操作ノブは前記第3の軸と共に後方へスライドすることに伴い前記後方スライド用スイッチがオン操作される構成であることを特徴とする請求項1記載のパワーシート用スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−220342(P2007−220342A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36522(P2006−36522)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】