説明

パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法およびシステム

【課題】パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法を提供する。
【解決手段】パワー増強運転について満たされるべき制約のセットが入力され、試験原子炉炉心設計が、制約に基づいて生成される。制約を基準にして試験炉心設計を評価するために、1つまたは複数の自動化ツールが、自動化ツールのセットから選択されてもよい。選択されたツールを、その後、動作させてもよい。選択された自動化ツールの動作は、試験炉心設計を用いて原子炉運転をシミュレートすること、制約に基づいて複数の出力を生成すること、制約を基準にして出力を比較すること、および、比較に基づいて、シミュレーション中に、試験炉心設計によって違反された制約を指示するデータを提供することを含む。自動化ツールの1つまたは複数は、試験炉心設計が、パワー増強運転のための全ての制約を満たすまで繰り返され、それにより、許容可能なパワー増強炉心設計を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同時係属で、かつ、同一譲受人に譲渡された以下の米国特許出願、すなわち、2002年12月18日に出願され、「Method and Arrangement for Developing Rod Patterns in Nuclear Reactors」という名称の、William Earl Russell,II,他に対する第10/321,441号、2003年3月31日に出願され、「Method and Arrangement for Developing Core Loading Patterns in Nuclear Reactors」という名称の、William Earl Russell,II,他に対する第10/401,602号、および、2002年12月23日に出願され、「Method and Arrangement for Determining Nuclear Reactor Core Designs」という名称の、David J.Kropaczek他に対する第10/325,831号の一部継続出願であり、また、35米国特許法第120条の下で、これら出願に対して国内の優先的利益を請求する。これら出願のそれぞれの全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の例示的な実施形態(複数可)は、一般に、パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法およびシステムに関連する。
【背景技術】
【0003】
沸騰水型原子炉(BWR)または加圧水型原子炉(PWR)などの原子炉の炉心は、異なる特性を有する、燃料ロッド(BWR)または燃料ロッドのグループの数百の個々の燃料集合体を有する。これらの集合体(または燃料ロッドグループ)は、燃料集合体内のロッド間、および燃料集合体間の相互作用が、政府および顧客固有の制約を含む全ての法規制上および原子炉設計上の制約を満たすように配置される。さらにBWRの場合、制御機構、たとえばロッドパターン設計および炉心流量が、炉心サイクルエネルギーを最適にするように決定される必要がある。炉心サイクルエネルギーは、停止時に行われるなどの、新しい燃料要素で炉心をリフレッシュすることが必要となるまでの原子炉炉心が発生するエネルギー量である。
【0004】
BWRの場合、たとえば、炉心内の潜在的な燃料集合体構成の数および集合体内の個々の燃料ロッド型は、数百の階乗を越える可能性がある。これらの多くの異なる潜在的な構成の内で、燃料ロッド型の構成によって規定される燃料集合体設計のほんのわずかな割合だけが、原子炉の特定の炉心において全ての適用可能な設計制約を満たすことができる。さらに、全ての適用可能な設計制約を実際に満たすこれらの燃料集合体設計のわずかな割合だけが経済的である。
【0005】
従来、BWR炉心に使用可能な典型的な燃料集合体は、約10と30を越える値との間の異なる燃料ロッド型、したがって、異なる燃料集合体アセンブリ構成を含むことができる。これは、異なるロッド型の数が大きいほど、消費者により高い集合体コストをもたらす可能性のある製造時の複雑さおよびコストが増大する点で望ましくない。
【0006】
従来、ロッドパターン、燃料集合体、および/または炉心設計の決定は、試行錯誤によって行われていた。具体的には、エンジニアまたは設計者の過去の経験のみに基づいて、特定の設計を行う際に初期設計が特定された。炉心の特定の燃料集合体設計のような最初に特定された設計は、次に、コンピュータによって仮想上の炉心でシミュレートされた。特定の設計制約が満たされなかった場合、構成が修正され、別のコンピュータシミュレーションが実行された。上記に説明された手順を使用して適切な設計が特定されるまでに、通常何週間もの時間的資源が必要であった。
【0007】
たとえば、使用される1つの従来のプロセスは、原子炉プラント固有の運転パラメータを、入力ファイルとして機能することができるASCIIテキストファイルに繰り返し入力することを設計者に要求する独立型の手動プロセスである。入力ファイルに入力されたデータは、新しい燃料集合体および露出した燃料集合体の配置の構成、制御羽根(評価された原子炉が沸騰水型原子炉(BWR)の場合)の羽根ノッチ位置、可溶性ホウ酸濃度(たとえば、PWRの場合)、炉心流量、炉心露出(たとえば、1ショートトンにつきメガワット日で測定された炉心エネルギーサイクルの燃焼量(MWD/st))などを含むことができる。
【0008】
適切なコンピュータ上で実行するソフトウェアプログラムとして具現化することができる、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission)(NRC)認可の炉心シミュレーションプログラムは、たとえば、結果として得られた入力ファイルを読み取り、シミュレーションの結果をテキストまたはバイナリファイルに出力する。次に、設計者は、シミュレータ出力を評価して、設計基準が満たされているかどうかを判定し、さらに熱限界のマージンに対する違反が生じていないことを検証する。設計基準を満たさなかった場合(すなわち、1つまたは複数の限界の違反)は、入力ファイルへの設計者による手動での修正を必要とする。特に、設計者は、1つまたは複数の運転パラメータ(複数可)を手動で変更し、炉心シミュレーションプログラムを再実行させることになる。このプロセスは、満足のいく設計が達成されるまで繰り返すことができる。
【0009】
このプロセスは時間がかかる。要求されるASCIIテキストファイルは、構築するのが困難であり、しばしばエラーを起こしやすい。ファイルは、固定フォーマットであり極めて長く、5千またはそれ以上の命令行を越えることがある。ファイルの単一のエラーが、シミュレータのクラッシュを引き起こし、悪くすると、最初に検出するのが難しい場合がある少し逸脱した結果を生じるが、実際の運転中の原子炉炉心に配置されたときに、時間と反復を浪費し、恐らくは炉心サイクルエネルギーを減少させることになる。さらに、手動の反復プロセスによって、設計者をより好ましい解(solution)に導くための支援は提供されない。その時のプロセスにおいて、担当の設計者または技術者の経験と直感が、設計解を決定する唯一の手段である。
【特許文献1】米国特許出願第10/321,441号
【特許文献2】米国特許出願第10/401,602号
【特許文献3】米国特許出願第10/325,831号
【特許文献4】米国特許出願第10/678,170号
【特許文献5】米国特許出願第10/246,718号
【特許文献6】米国特許出願第10/246,716号
【特許文献7】米国特許第5,790,616号
【特許文献8】米国特許第5,272,736号
【特許文献9】米国特許第5,790,618号
【特許文献10】米国特許第5,912,933号
【特許文献11】米国特許第6,198,786B1号
【特許文献12】米国特許第6,404,437B1号
【特許文献13】米国特許第5,923,717A号
【特許文献14】米国特許第6,075,529A号
【特許文献15】米国特許第6,381,564B1号
【特許文献16】米国特許出願2004/0191734号
【特許文献17】米国特許出願2004/0220787号
【特許文献18】米国特許出願2004/0101083号
【特許文献19】米国特許出願2005/0015227号
【特許文献20】米国特許出願2006/0149514号
【特許文献21】米国特許第6,748,348号
【特許文献22】米国特許第6,934,350号
【特許文献23】米国特許出願2004/0052326号
【特許文献24】米国特許出願2004/0066875号
【特許文献25】米国特許第6,208,982号
【特許文献26】米国特許出願2004/0013220号
【特許文献27】米国特許第6,263,038号
【特許文献28】米国特許出願2002/0101949号
【特許文献29】米国特許第6,430,247号
【特許文献30】米国特許出願2002/0085660号
【特許文献31】米国特許第6,243,860号
【特許文献32】米国特許出願2005/0018806号
【特許文献33】米国特許第6,026,136号
【特許文献34】米国特許第6,526,116号
【特許文献35】米国特許出願2004/0096101号
【特許文献36】米国特許出願2002/0101951号
【特許文献37】米国特許出願2004/0122629号
【特許文献38】米国特許出願2004/0059549号
【特許文献39】米国特許出願2004/0059696号
【特許文献40】米国特許出願2003/0086520号
【特許文献41】米国特許第4,851,186号
【特許文献42】米国特許第6,701,289号
【特許文献43】米国特許第6,338,149号
【非特許文献1】Zhian Li,Samuel H.Levine著「AUTOLOAD,An Automatic Optimal Pressurized Water Reactor Reload Design System with an Expert Module」NUCLEAR SCIENCE AND ENGINEERING:118,1994
【非特許文献2】Han Gon Kim,Soon Heung Chang,Byung Ho Lee著「Optimal Fuel Loading Pattern Design Using an Artificial Neural Network and a Fuzzy Rule−Besed System」NUCLEAR SCIENCE AND ENGINEERING:115,1993 pp.152−163
【非特許文献3】Lian Shin Lin,Chaung Lin著「A RULE−BASED EXPERT SYSTEM FOR AUTOMATIC CONTROL ROD PATTERN GENERATION FOR BOILING WATER REACTORS」Nuclear Technology Vol.95 July 1991,pp.1−8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例示的な実施形態は、パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
方法において、パワー増強運転について満たされるべき制約のセットが入力され、試験原子炉炉心設計が、制約に基づいて生成される。制約を基準にして試験炉心設計を評価するために、自動化ツールのセットから1つまたは複数の自動化ツールを選択させることができる。その後、選択されたツールが動作することができる。選択された自動化ツールの動作は、複数の出力を生成するために、制約に基づいて、試験炉心設計を用いて原子炉運転をシミュレートすること、制約を基準にして出力を比較すること、および、比較に基づいて、シミュレーション中に、試験炉心設計によって違反された制約を指示するデータを提供することを含む。自動化ツールの1つまたは複数は、試験炉心設計が、パワー増強運転のための全ての制約を満たすまで繰り返され、それにより、許容可能なパワー増強炉心設計を示す。
【0012】
別の例示的な実施形態は、パワー出力増大のための原子炉の炉心を設計するシステムを対象とする。システムは、対象となる原子炉プラントについて、評価される試験原子炉炉心設計を記憶するメモリと、対象となるプラントの炉心内でのパワー増強運転について満たされるべき制約のセットを受信するインタフェースと、制約を基準にして試験設計を評価するのに使用可能な1つまたは複数の自動化ツールを反復させるプロセッサとを含む。インタフェースは、自動化ツールの1つまたは複数の選択を可能にして、制約に基づいて、試験設計の原子炉運転をシミュレートし、複数の出力を生成する。プロセッサは、選択された自動化ツールを反復させて、制約を基準にして出力を比較し、また、比較に基づいて、シミュレーション中に、試験炉心設計によって違反された任意の制約を指示するデータを、インタフェースを介して生成する。
【0013】
別の例示的な実施形態は、プラントが、1つまたは複数のエネルギーサイクルについて、その時認可されたパワーレベルの100%以上で運転することを可能にする原子炉プラント用の炉心を対象にする。炉心は、その時認可されたパワーレベルの100%以上で運転するための運転限界を満たす、プラント用の炉心設計を生成する最適化プロセスを採用する自動化ツールのセットを使用して決定されるパワー増強炉心設計に従って装荷されている。自動化ツールは、炉心設計を生成するために、ロッドパターン設計ツール、炉心装荷パターン設計ツール、および、新しい燃料集合体型設計ツールを含む。
【0014】
本発明の例示的な実施形態は、添付図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を詳細に述べることによってより明らかになるであろう。図面では、同じ要素は、同じ参照番号で表され、図面は、例証する目的だけのために与えられ、本発明の例示的な実施形態を制限しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下でより詳細に述べられるように、例示的な実施形態は、増大パワー運転のための原子炉炉心を設計する方法およびシステムを対象にする。システムは、プログラムのユーザが、増強パワー環境内で初期試験原子炉炉心設計を仮想上でシミュレートすることを可能にする、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)および処理媒体(たとえば、ソフトウェア駆動式コンピュータプログラム、プロセッサ、アプリケーション(複数可)など)を含んでもよい。
【0016】
GUIを介して、ユーザは、その時認可されたパワーレベルの100%以上で原子炉炉心を運転するための要件に関連する制約または限界を入力し、初期試験原子炉炉心設計を生成する。ユーザは、その後、1つまたは複数の自動化設計ツールを選択して、入力制約を満たすように試験原子炉炉心設計を修正してもよい。
【0017】
各自動化設計ツールは、ある炉心特徴またはパラメータを生成する、かつ/または、最適にするソフトウェア駆動式アプリケーションまたはプログラムとして具現化されてもよく、ソフトウェア駆動式アプリケーションまたはプログラムは、増強パワー要件を満たすために、炉心についてロッドパターン(制御羽根パターン)を修正する自動化ツールと、増強パワー要件を満たすために、炉心内での炉心装荷パターンを修正する自動化ツールと、所望の独自の新しい燃料集合体型および炉心内の配置などを最適にする、かつ/または、決定する自動化炉心設計ツールなどを含むがこれに限定はされない。それぞれのツールについて、ユーザは、修正された炉心設計の原子炉シミュレーション(たとえば、NRCによって使用許諾されたシミュレーションコードを使用する3Dシミュレーション)を始動し、シミュレーションからの出力を閲覧することができる。
【0018】
それぞれの自動化ツールは、シミュレートされた修正炉心設計が、どれほどよく、制約を満たすかを判定するための目的関数を利用する。目的関数は、制約または限界を組み込み、限界に対する炉心設計の忠実度を定量化する数学的公式である。GUIは、目的関数によって判定される、どの出力がどの制約に違反するかについてのグラフィック表示を提示する。その後、GUIを介して、ユーザは炉心設計を修正する。これは、集合体設計、制御ロッド配置、露出した燃料集合体または新しい燃料集合体の配置などの変更、および、修正された設計において性能改善が存在するかどうかを評価するために、シミュレーションを繰り返すことからなってもよい。増大したパワーで、または、ユーザおよび/または顧客にとって許容可能な所与の限界(複数可)に対するあるマージン内で、許容可能なパワー増強炉心設計に基づいて装荷された原子炉を運転するために、炉心設計が全ての限界(パワー増強運転についての限界を含む)を満たすまで、シミュレータ出力を修正すること、シミュレートすること、および制約を基準にしてシミュレータ出力を評価することが、反復して繰り返されてもよい。
【0019】
図1は、本発明の例示的な実施形態による例示的な方法を実施するシステムを示す。図1を参照すると、システム1000は、たとえばアクセス可能なウェブサイトの中央ネクサスとして機能することができるアプリケーションサーバ200を含んでもよい。アプリケーションサーバ200は、たとえばCitrix MetaFrame Presentation serverなどの任意の知られているアプリケーションサーバソフトウェアとして具現化されてもよい。アプリケーションサーバ200は、複数の計算サーバ400、暗号サーバ260、およびメモリ250に作動的に接続されてもよい。メモリ250は、たとえばリレーショナルデータベースサーバとして具現化されてもよい。
【0020】
複数の外部ユーザ300は、暗号化128ビットセキュアソケットレイヤ(SSL)接続375などの適切な暗号化媒体を通じてアプリケーションサーバ200と通信してもよいが、本発明は、この暗号化通信媒体に限定されない。外部ユーザ300は、あるいはウェブベースのインターネットブラウザなどの適切なインタフェースを使用して、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯情報端末(PDA)などのいずれか1つからインターネットを通じてアプリケーションサーバ200に接続してもよい。さらにアプリケーションサーバ200は、適切なローカルエリアネットワーク接続(LAN275)を介して内部ユーザ350にアクセス可能であり、それにより、内部ユーザ350は、たとえばイントラネットを通じてアクセスできる。以降では、簡潔にするために、「ユーザ」は、外部ユーザ300、内部ユーザ350、または他の設計者がアクセスするシステム1000のいずれかを指すために総称的に用いられる。たとえば、ユーザは、原子炉について所望の炉心設計を決定するために、ウェブサイトにアクセスする原子炉プラントの代表者、および/または、本発明の例示的な方法およびシステムを使用することによって、プラントについて増強炉心設計を開発するために原子炉プラント現場によって雇用された機器販売業者のいずれかであってよい。
【0021】
アプリケーションサーバ200は、ユーザがアプリケーションにアクセスするための集中ロケーションを提供する。本質的には、各ユーザアプリケーションセッションは、サーバ上で実行されるが、ユーザがアプリケーションと対話することを可能にするユーザアクセス装置(たとえばPC)にローカルに表示されてもよい。しかし、この配置手段は、例示的な実施形態として設けられ、所与のユーザがこれらのアクセスデバイス上でローカルにアプリケーションを実行することを制限しない。アプリケーションは、目的関数値を計算するために全ての計算を命令しかつデータにアクセスするように、また、ユーザが再検討したいと思う炉心設計の種々の特徴部の適切なグラフィック表示を生成するように働く。グラフィック情報は、128ビットSSL接続375またはLAN275を通じて伝達されて、ユーザの適切なディスプレイデバイス上に表示される。
【0022】
図2は、図1のシステムに関連するアプリケーションサーバ200を示す。図2を参照すると、アプリケーションサーバ200は、バス205を利用して、種々の構成要素を接続し、ユーザから受信されるデータ用の経路を提供する。バス205は、多くのコンピュータアーキテクチャで標準的な周辺構成要素相互接続(PCI)バスなどの従来のバスアーキテクチャを用いて実施されてもよい。VMEBUS、NUBUS、アドレスデータバス、RDRAM、DDR(ダブルデータレート)バスなどのような代替のバスアーキテクチャは、もちろん、バス205を実施するのに利用することができる。ユーザは、適切な接続(LAN275および/またはネットワークインタフェース225)を通じてアプリケーションサーバ200に情報を伝達して、アプリケーションサーバ200と通信する。
【0023】
アプリケーションサーバ200はまた、その時利用可能なPENTIUM(商標)プロセッサなどの通常のマイクロプロセッサを用いて構築されてもよいホストプロセッサ210を含んでもよい。ホストプロセッサ210は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)およびブラウザ機能などのアプリケーションサーバ200での全てのリアルタイム機能および非リアルタイム機能が実行される中央ネクサスを表し、表示およびユーザによる再検討のために、セキュリティ機能を命令し、種々の限界について目的関数の計算などの計算を命令することなどを行う。相応して、ホストプロセッサ210は、ブラウザの使用を介してアクセスされてもよいGUI230を含んでもよい。ブラウザは、システム1000のユーザにインタフェースを提供しかつユーザと対話するソフトウェアデバイスである。例示的な実施形態では、Citrix ICAクライアント(市販のCitrix MetaFrame Access Suite ソフトウェアの一部)と連携するブラウザは、GUI230をフォーマットし表示するように働いてもよい。
【0024】
ブラウザは、通常、標準ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)によって管理され命令される。しかし、ユーザが計算についての判断、表示データなどを管理することを可能にする、ユーザに対して提示または「役立つ」アプリケーションは、C#、Java(商標)、またはビジュアルフォートラン、あるいはこれらの任意の組合せを使用して実施されてもよい。さらに、他のよく知られている高レベル言語(たとえば、C、C++など)が、アプリケーション実施態様に組み込まれてもよい。これらの言語は全て、所与のアプリケーション実施態様の特定の詳細についてカスタマイズまたは適合されてもよく、画像は、よく知られているJPG、GIF、TIFF、および他の標準圧縮方式を使用してブラウザに表示されてもよく、他の非標準言語および圧縮方式は、XML、ASP.NET、「自家製(home−brew)」言語、あるいは他の知られている非標準言語および方式のようにGUI230に使用されてもよい。ネットワークI/F225を介したアプリケーションサーバ200は、暗号サーバ260に動作可能に接続されてもよい。相応して、アプリケーションサーバ200は、暗号サーバ260を使用することによって全てのセキュリティ機能を実施して、外部からのセキュリティ侵害からシステム1000を保護するためのファイアウォールを確立する。さらに、暗号サーバ260は、登録ユーザの全ての個人情報への外部アクセスを安全にする。
【0025】
アプリケーションサーバ200はまた、複数の計算サーバ400に動作可能に接続されてもよい。計算サーバ400は、ユーザ入力データを処理し、炉心設計のシミュレーションを命令し、以下でさらに詳細に述べる比較のための値を計算し、GUI230を介して表示されかつアプリケーションサーバ200によって提示されてもよい結果を提供するために必要とされる計算の一部または全てを実施してもよい。
【0026】
計算サーバ400は、たとえば、WINDOWS(商標)2000サーバとして具現化されてもよいが、他のハードウェア(たとえば、Alpha、IA−64)およびプラットフォーム(たとえば、Linux、Unix(商標))も可能である。より詳細には、計算サーバ400は、多数の複雑な計算を実施するよう構成されてもよく、計算は、限定はしないが、目的関数を構成して目的関数値を計算すること、3Dシミュレータプログラムを実行して、評価される特定の炉心設計上で原子炉炉心運転をシミュレートすること、および、シミュレーションから出力を生成し、GUI230を介したユーザによるアクセスおよび表示のための結果データを提供し、以下でさらに詳細に述べる最適化ルーチンを反復することを含んでもよい。
【0027】
図3は、本発明の例示的な実施形態による例示的なデータベースサーバ250を示す。メモリまたはデータベースサーバ250は、オラクルリレーショナルデータベースのようなリレーショナルデータベースであってよい。リレーショナルデータベースサーバ250は、本発明の方法を実施するために必要なデータおよび結果の全てを処理するいくつかの下位データベースを含んでもよい。たとえば、リレーショナルデータベースサーバ250は、特定の原子炉について評価される、全ての炉心設計についての全てのユーザが入力した限界および/または設計制約を記憶するデータベースである限界データベース251などの下位データベースを含む記憶エリアを含んでもよい。事前に生成され、モデル化され、記憶されたパレットまたは複数の異なる新しい燃料集合体設計を含んでもよい新しい燃料集合体設計データベース252が存在してもよい。
【0028】
さらに、リレーショナルデータベースサーバ250は、3Dシミュレータでシミュレートされることになる炉心設計についてのパラメータを記憶する待ち行列データベース253、および定義済みユーザが入力した限界に最も適合する基準炉心設計の生成に際して、選択されてもよい履歴の原子炉炉心装荷パターン設計を含む履歴の炉心設計データベース254を含んでもよい。さらに、リレーショナルデータベース250は、新しい燃料集合体、かつ/または、露出した燃料集合体について、複数の異なる装荷テンプレートを記憶することができる装荷テンプレートデータベース256、および、たとえば、複数の異なる露出した燃料集合体、および/または、新しい燃料集合体の各々について、複数の異なる露出した集合体メトリクス、および/または、新しい集合体メトリクスを記憶することができる燃料プールデータベース258を含んでもよい。
【0029】
シミュレータ結果は、シミュレータ結果データベース255内に記憶されてもよい。シミュレータ結果データベース255(および限界データベース251)は、特定の炉心設計に適用可能ないくつかの目的関数値を計算するために計算サーバ400によってアクセスされてもよい。目的関数値は、たとえば、所与の設計がいくつかのユーザが入力した限界または制約を満たす否かを判定するために、シミュレートされる仮想炉心内に挿入された(最終的な許容可能な炉心設計で使用される、ロッド(制御羽根)パターン、炉心装荷パターン、および/または、N個の独自の新しい燃料集合体型のうちの1つまたは複数の修正による)特定の設計についてランク付けされてもよい。これらの目的関数値は、リレーショナルデータベースサーバ250内の目的関数値データベース257に記憶されてもよい。
【0030】
3Dシミュレータ入力パラメータデータベース259はまた、リレーショナルデータベースサーバ250内に含まれてもよい。データベース259は、全ての露出段階での制御羽根の位置および原子炉運転パラメータを含んでもよい。計算サーバ400がリレーショナルデータベースサーバ250に動作可能に接続され、かつこれと通信できるため、図3で述べた下位データベースの各々は、1つまたは複数の計算サーバ400にアクセス可能であってよい。
【0031】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法を示すプロセスフロー図である。図4を参照すると、ブロック500〜1100はそれぞれ、入力ブロック500で始まる、パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する例示的な方法の処理機能を述べる。所与のブロックは、GUI230を介するユーザによる入力によって直接に、ホストプロセッサ210によって自動的に、かつ/または、計算サーバ400によって、かつ/またはコマンドまたはユーザが行う選択に基づいてアプリケーションサーバ200内のホストプロセッサ210の制御下で、などで、システム1000によって実施することができる機能および/またはソフトウェア駆動式プロセスの番号を示してもよい。
【0032】
入力ブロック500で実施される機能は、パワー増強運転のために満たされる必要がある制約(本明細書で、「限界」とも呼ばれる)のセットが、許容可能な運転増強炉心設計を決定するための評価に入力されることを可能にする。熱限界に対するマージン、および、評価されるプラントについての定格より、高い原子炉パワー限界、パワー密度限界、および質量流量限界を設定する増強パワー限界フローウィンドウを含む、これらの限界は、限界データベース251に記憶されてもよい。
【0033】
炉心装荷ブロック600は、ブロック500における限界(制約)入力に基づいて試験原子炉炉心設計を生成する。以下でより詳細にわかるであろうが、炉心装荷ブロック600に示す、システム1000によって実施される機能は、試験炉心設計で使用される新しい燃料集合体の数を決定すること、装荷テンプレートデータベース256から所望の燃料装荷テンプレートを選択すること、および、炉心装荷ブロック600に従って装荷される「仮想原子炉炉心」に到達するために、装荷用の新しい燃料集合体および再装荷用の露出した燃料集合体で選択されたテンプレートをポピュレートすることを含む。
【0034】
自動化ツールブロック700は、ブロック600で生成された初期試験炉心設計上で1つまたは複数の自動化ツールを、ユーザ300が選択し、反復的に実行することを可能にする処理機能を含む。これらの自動化ツールは、修正ロッド(制御羽根)パターンツール、修正炉心装荷パターンツール、および独自の新しい燃料集合体型設計ツール(「Nストリーミング」ツールとしても知られる)を含む。ロッドパターンツール、炉心装荷パターンツール、および独自の新しい燃料集合体型設計ツールはそれぞれ、ユーザによって順次に、かつ/または、同時に反復されてもよく、また、全てのロッド(制御羽根)、露出した燃料集合体、および/または、新しい燃料集合体の変更が、試験炉心設計において尽くされ、かつ/または、所与の「候補の」修正された試験炉心設計が、パワー増強運転についての限界または制約のそれぞれを満たすまで、他のツールの1つまたは両方にフィードバックを提供してもよい。
【0035】
それぞれの自動化ツールについて、入力された限界または制約を基準にして試験炉心設計を評価するための、選択された自動化ツールの運転または反復は、複数のシミュレーション結果(「出力」とも呼ばれる)を生成するために、制約に基づいて試験炉心設計を用いた原子炉運転のシミュレーションを実施することを、最低限含む。出力は、制約を基準にして比較される。比較に基づいて、シミュレーション中に試験炉心設計によって違反された制約を指示するデータが、ユーザ300に提供されてもよい。自動化ツールの1つ、一部、または、全ては、実施され、パワー増強運転についての全ての制約を満たす試験炉心設計が決定されるまで、反復して繰り返される。そのため、この設計は、許容可能なパワー増強炉心設計を示す。
【0036】
ある例では、また、以下でより詳細に説明されるように、先に述べた比較は、出力を評価するための目的関数を構成することを含んでもよい。出力を評価するための目的関数を構成することによって、目的関数値が、目的関数を使用して各出力について生成されてもよい。その後、出力を表す目的関数値は、制約に基づいて評価されて、出力のうちのどれが、限界に違反するかを判定する。
【0037】
こうして、各自動化ツールは、目的関数を利用して、シミュレートされた試験炉心設計が、どれほど厳密に、限界または制約を満たすかを判定する。先に説明したように、目的関数は、制約または限界を組み込み、限界に対する試験炉心設計の忠実度を定量化する数学的公式である。GUI230は、目的関数によって判定される、どの出力がどの制約に違反するかについてのグラフィック表示を提示する。その後、GUI230を介して、ユーザは試験炉心設計を修正して、本明細書で、修正されたまたは「派生した原子炉炉心設計」としても知られるものを生成する。これは、制御ロッド配置、露出した燃料集合体配置、新しい燃料集合体配置などを含むロッドパターン設計の変更、および、所与の派生した試験炉心設計において性能改善が存在するかどうかを評価するために、炉心シミュレーションを繰り返すことからなってもよい。
【0038】
ある例では、また、特定の派生した炉心設計によって、どの特定の制約または限界が違反されたかに基づいて、その後の反復のために、特定の自動化ツールが、ユーザによって選択されてもよい。増強したパワーで原子炉を運転するために、所与の派生した試験炉心設計が、全ての限界を満たすまで、機能を修正すること、シミュレートすること、および比較すること(すなわち、制約を基準にしてシミュレータ出力を評価すること)が、所与の自動化ツールプロセス内で反復して繰り返されてもよい。
【0039】
許容可能な原子炉炉心設計に関するデータは、1100にて、ユーザに報告されてもよい。例では、このデータは、GUI230を介してグラフィックフォーマットで提示されて、制約を満たし、かつ、増強したパワーレベルで運転するために、選択された原子炉プラントをどのように装荷し、実行するかをユーザに示してもよい。
【0040】
再び図4を参照すると、全てのロッド(制御羽根)、露出した燃料集合体、および新しい燃料集合体の変更が、尽くされた(図4の800の出力が、「はい」となった)後、限界が全て満たされた(微細調整ブロック900の出力が、「はい」となった)場合、試験炉心設計についてユーザが選択した、選択された、露出した燃料集合体または新しい燃料集合体に対して、さらなる微細調整を行う必要はなく、その後、この設計が、許容可能なパワー増強炉心設計として報告ブロック1100に報告される。
【0041】
しかし、全てのロッド(制御羽根)、露出した燃料集合体および新しい燃料集合体の変更が、尽くされてしまい、かつ、ブロック500からの1つまたは複数の限界が、依然として満たされない場合、ユーザは、インベントリ内の全ての露出した燃料集合体が、使用されたか否かを戻ってチェックするように命令されてもよく、使用されていない場合、装荷テンプレート内での露出した燃料集合体の選択を修正するという推奨を有する、炉心装荷ブロック600で実施される機能に処理が戻される。インベントリからの全ての露出した燃料集合体が使用されてしまい、かつ、ブロック500からの1つまたは複数の限界が、依然として満たされない場合、ユーザは、燃料装荷テンプレートを修正するという推奨を有する、炉心装荷ブロック600内のプロセスに戻るように命令されて、新しい燃料集合体の挿入のためのテンプレート内のロケーションを変更してもよい。これらの変更が行われると、修正された、または、派生した炉心設計は、全ての限界が、満たされる、かつ/または、限界に対する許容可能なマージン内に入るまで、ブロック700の自動化ツールの1つ、一部、または、全てを使用して、再評価されてもよい。
【0042】
注目に値することには、ブロック700および900に述べる処理は、ロッド(制御羽根)の位置、露出した燃料集合体および新しい燃料集合体の位置または配置、炉心流量、および/または、シーケンス変更を行うべき場所などの、いくつかのパラメータを最適にするための1つまたは複数の最適化技法を使用して行われてもよく、それにより、装荷テンプレート内に、さらなる新しい燃料ロケーションおよび露出した燃料ロケーション変更を作る可能性を含む、炉心設計についての、反復したシミュレーション、評価、修正が、自動的に行われてもよい。
【0043】
ブロック1100にて、ユーザが、許容可能なパワー増強炉心設計に相当するデータおよび設計パラメータを受け取ると、任意選択で(optionally、適宜)、ユーザまたは設計者は、実施態様ブロック1200に述べるいくつかのプロセスを、反復してもよい。ブロック1200の点線は、システム1000を使用してユーザによって呼び出されたプロセスが、オプションであってよいことを指示する。
<実施態様ブロック>
図4のブロック1200に示すように、任意選択で、評価される所与の原子炉プラント内のそれぞれの所望のエネルギーサイクルについて、ユーザは、所与のサイクルについて、対象となる原子炉プラントから直接に、更新された露出アカウンティングデータ(「炉心トラッキング」)にアクセスしてもよい。これは、対象となるプラント(プラントはモデル化されている)のプロセスコンピュータとつながる、システム1000のインタフェースを介して行われてもよく、データは、データベース250に記憶される。この露出アカウンティングプロセスは、1200aにおいて、炉心トラッキング機能と呼ばれる。
【0044】
実際のプラントデータが、分解されて、パワー増強運転についての、限界、および/または、こうした限界または制約に対するマージンが、実際のプラントデータに基づいて変更される必要があるかどうかを判定するための、ユーザまたは設計者によって必要とされる所望のデータが取り出されてもよい(実際のプラントデータを推定データと比較して、既存の限界に対する推定マージンおよび/または限界自体に適用するための、標準偏差(シグマ)および/またはバイアスが求められる)。相応して、1200bにて、ユーザは、更新された露出アカウンティングデータに基づいて熱限界および/または反応性限界および/またはこれらの限界に対するマージンを改定して、評価される所与のサイクルについて新しい限界を決定してもよい。
【0045】
(1200a)からのその時の実際のプラント条件、および、(1200b)から決定された、新しい限界または改定された限界または限界に対するマージンを使用して、顧客、ユーザ、または設計者は、「オンライン」プラント最適化を実施してもよい(1200c)。これは、上記の(1200a)および(1200b)に基づいて、パワー増強炉心設計についての限界および運転条件を設定すること、および、その後、1100にて報告される選択された増強炉心設計について、自動化されたロッドパターンツールを反復することを必要とすることになる。
【0046】
自動化ロッドパターンツールのこの反復は、(1200a)からの更新された実際のプラント条件に基づき、また、(1200b)からの計算された新しい限界または改定された限界に基づいて、ロッド位置、炉心流量、およびシーケンス変更を行うべき場所を最適にすることを含んでもよい。
【0047】
ブロック700で説明したように、評価されるサイクルについての限界を満たす修正されたパワー増強炉心設計を決定するために、パワー増強炉心設計についての、反復したシミュレーション、比較、修正を含む(1200)で、ロッドパターンツールが、繰り返し反復されてもよい。全ての所望のエネルギーサイクルが評価される(1300の出力が「はい」になる)と、オプションの実施態様ブロック1200に述べるプロセスが、終了してもよい。
【0048】
ある例では、ブロック700または1200に述べるように実施される自動化ツールのいずれかにおけるシミュレーションおよび出力と限界との比較から生じる、ユーザに提示されるデータは、手順上の推奨を含んでもよい。たとえば、こうした手順上の推奨は、たとえば、ブロック1200cにおいて、修正ロッドパターンツールプロセスの出力としての、ユーザへのフィードバックとして提供されてもよい。以下でわかるであろうが、各自動化ツールは、パワー増強のための所望の炉心設計を達成するために、試験炉心設計に対して行う必要がある修正を用いて、ユーザまたは設計者を支援する関連する手順上の推奨を提供してもよい。
【0049】
個々の修正は、ユーザの希望に委ねられてもよいが、これらの手順上の推奨は、たとえば、プルダウンメニューの形態で設けられてもよく、エネルギーにとって有益な移動、エネルギーにとって有害な移動、および、(熱限界に対する)過剰マージンの付加的なエネルギーへの変換などのカテゴリに分割されてもよい。1つの技法は、エネルギーにとって有害な移動ではなくエネルギーにとって有益な移動を使用して、限界を満たすことによって問題に対処することである。パワー増強炉心設計が、たとえ、限界(クライアント入力のプラント固有の制約、設計限界、熱限界など)の全てを満たしても、ユーザは、特定の限界に対する過剰なマージンが、付加的なエネルギーに変換されることができることを検証してもよい。
【0050】
例示的な方法の概要が述べられたが、図4のブロック内の種々のプロセスが、ここで、より詳細に述べられる。
<入力ブロック500>
最初に、3400MWの定格のプラントについて、3600メガワット(増強されたパワー)などの、増強されたパワー、すなわち、定格容量を越えるパワーで運転するために、設計者またはユーザは、プラントの適切なドロップダウンメニューから評価用の原子炉プラントを選択し、選択されたプラントによって満たされる限界または制約のセットを定義する。換言すれば、パワー増強運転のために選択されたプラントで使用される許容可能な原子炉炉心設計を決定する際に満たされることになる限界または制約が定義される。たとえば、ユーザは、プロンプト表示によって、パワー増強運転について、増強パワー熱限界およびフローウィンドウを入力するように指示されてもよい。これらは、パワー増強炉心設計を決定するためのプラント運転条件を修正するのに使用されるであろう。
【0051】
これらの限界は、パワー増強運転について評価される特定の原子炉の設計の重要な態様およびその原子炉の設計制約に関連してもよい。限界は、生成されることになる試験原子炉炉心設計のシミュレーションを実施するために入力される変数に適用可能であってよく、かつ/または、シミュレーションの結果だけに適用可能な限界または制約を含んでもよい。たとえば、入力された限界は、パワー増強運転について、クライアント入力の原子炉プラント固有の制約および炉心性能基準に関連してもよい。シミュレーション結果に適用可能な限界は、原子炉運転に使用される運転パラメータ限界、炉心安全限界、これらの運転および安全限界に対するマージン、ならびに、他のクライアント入力の原子炉プラント固有の制約の1つまたは複数に関連してもよい。
【0052】
図5は、例示的なクライアント入力のプラント固有の制約を示すスクリーンショットである。これらは、シミュレーションへの入力変数に関する限界または制約、および、シミュレーション結果に関する限界または制約として理解されてもよい。図5を参照すると、全体が矢印505で指示される複数のクライアント入力のプラント固有の制約が列挙されている。各制約について、欄510で指示される設計値限界を割り当てることが可能である。図5には示さないが、限界または制約は、熱限界に対するマージン、および、評価されるプラントについて、より高い原子炉パワー、パワー密度、および質量流量限界を設定する増強パワー限界フローウィンドウを含む。
<炉心装荷ブロック600>
燃料装荷テンプレートを選択し、装荷のために新しい燃料を選択し、再装荷のために露出した燃料を選択するプロセスは、2003年10月6日に出願され、「Method and Apparatus for Facilitating Recovery of Nuclear Fuel from a Fuel Pool」という名称の、David J.Kropaczek他に対する同時係属で、かつ、同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/678,170号に詳細に記載される。以下の図7〜10で述べるように、これらのプロセスを記述する関連部分は、その全体が本明細書に組み込まれる。しかし、燃料装荷テンプレートを選択する前に、最初の試験原子炉炉心設計について、新しい燃料集合体カウントが決定される。
【0053】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、初期試験原子炉炉心設計についての新しい燃料集合体カウントの決定を記述するフローチャートである。新しい燃料集合体カウントの選択は、パワー増強運転のための原子炉炉心設計を設計する際に使用される新しい燃料集合体のインベントリを提供するために、燃料装荷テンプレートの選択前に行われる。最初に、試験の新しい燃料装荷パターンに関して過去の反復が起こったかどうかを確立するためのチェックが実施される(602)。これが、最初の反復である、たとえば、以前の試験の新しい燃料装荷パターンが解析されなかった場合、過去のサイクルまたは類似のプラントに関する情報は、初期の試験の新しい燃料装荷パターンについての基礎を提供するのに使用されてもよい(603)。たとえば、初期の試験の新しい燃料装荷パターンは、評価される原子炉に類似する原子炉からの炉心装荷パターン設計に基づいて選択された、以前のシミュレーションにおける類似の炉心に使用された炉心装荷パターン設計から、かつ/または、たとえば、評価される原子炉プラント内の早期炉心エネルギーサイクルで使用される実際の炉心装荷パターン設計から選択されてもよい。これらの設計は、たとえば、履歴の燃料サイクル設計データベース254からアクセスされてもよい。
【0054】
過去の反復が実施された(602の出力が、「いいえ」となる)場合、入力された限界に一致する確立された炉心装荷パターンを使用して、炉心の総エネルギー含有量が計算され、所望のエネルギー含有量と必要とされるエネルギー含有量との差が定義されてもよい(604)。これは、603からの新しい燃料装荷パターンを使用して行われてもよく、新しい燃料装荷パターンはまた、これが最初の反復である場合、入力された限界を反映する。このエネルギー「デルタ」は、最も最近のサイクルの終了(End−of−Cycle)(EOC)と比較した場合の、次の将来のサイクルについて必要とされるエネルギーの差である。さらなる反復について、実際のエネルギーと所望のエネルギーとの差が減少するにつれて、デルタが減少してもよい。さらに、負のデルタエネルギーは、結果得られるエネルギーが、所望のエネルギーより大きく、望ましいことを意味する。
【0055】
エネルギーの差は、たとえば、次に予定されている停止時に装荷される、原子炉の炉心を装荷するための新しい燃料装荷パターンの一部であることになる新しい燃料アセンブリによって供給されるべきである。所望の目標エネルギーを得るために必要とされる付加的な集合体の数(取り除かれなければならない集合体の数)を選択するのに役立つことができる典型的な経験則が存在する。たとえば、764個の集合体を有するBWR原子炉において、4つの集合体は、ほぼ100MWD/stのサイクル長に値すると一般には信じられている。したがって、結果得られるエネルギーが、所望のエネルギーより100MWD/stだけ長い場合、4つの新しい集合体を取り除くことができる。同様に、結果得られるエネルギーが、所望のエネルギーより100MWD/stだけ短い場合、4つのさらなる新しい集合体が付加されるべきである。
【0056】
ユーザは、エネルギー差を補償するのに必要とされる新しい燃料集合体の数を選択する(605)。これは、新しい燃料集合体設計データベース252から、以前にモデル化されかつ記憶された新しい燃料集合体設計の「パレット」にアクセスすることによって行われてもよく、または、ユーザは、たとえば、集合体型のデータベースから特定の新しい燃料集合体を生成してもよい。
【0057】
試験炉心設計で使用される新しい集合体の番号またはカウント(count、総数)が決定された後、炉心装荷対称性が特定される(606)。一部のプラントは、たとえば、クアドラント装荷対称性またはハーフ炉心装荷対称性を必要とする場合がある。GUI230は、プラント構成ウェブページにアクセスするのに使用されてもよく、プラント構成ウェブページは、後続のシミュレーションで評価するために、「モデルサイズ」、たとえば、4分の1炉心、半炉心、または全炉心をユーザが選択することを可能にしてもよい。さらに、ユーザは、適切なドロップダウンメニューなどをクリックすることによって、選択されたモデルサイズについて炉心対称性オプション(たとえば、オクタント、クアドラント、対象性無し)を選択してもよい。
【0058】
「オクタント対称性」を選択することによって、ユーザは、全ての8つのオクタント(オクタントは、たとえば、燃料集合体のグループである)が、モデル化されるオクタントに類似すると仮定して、原子炉をモデル化することができる。その結果、シミュレータ時間が、一般に、8分の1に減少する場合がある。同様に、「クアドラント対称性」を選択することによって、ユーザは、4つのクアドラントのそれぞれが、モデル化されるクアドラントに類似すると仮定して、原子炉をモデル化することができる。そのため、シミュレータ時間が、一般に、4分の1に減少する場合がある。集合体特性の非対称性が、オクタントシンメトリまたはクアドラントシンメトリを妨げる場合、ユーザは、対称性無しを指定することができる。
【0059】
新しい燃料集合体カウントおよび対称性が決定されると、ユーザは、装荷テンプレートデータベース256から所望の燃料装荷テンプレート607にアクセスしてもよい。図7は、本発明の装荷マップエディタ601を使用した、部分的に完了した装荷テンプレートの4分の1炉心のスクリーンショットを示す。
【0060】
装荷マップエディタが、初めに実行されると、ユーザは、(装荷テンプレートデータベース256から)以前に作成されたテンプレートにアクセスするか、または、新しいテンプレートを開始するオプションを、fileメニュー608を介して有する。ある例では、装荷マップエディタ601は、テンプレートがそれについて作成される原子炉を特定するようにユーザに要求する。装荷マップエディタ601は、リレーショナルデータベース250(装荷テンプレートデータベース256など)から、特定された原子炉の幾何形状を取り出し、ナンバリングされた行と列によって(図7の燃料集合体位置、行6、列3などによって)、取り出したプラント特性に基づいて適切なサイズの燃料集合体フィールド611を表示する。
【0061】
燃料集合体フィールド611内で、ユーザは、その後、たとえば、自分のコンピュータ、GUI230、およびアプリケーションプロセッサ200を介して適切な入力デバイス(すなわち、マウス、タッチパッドなど)を使用して、潜在的な燃料集合体位置のアレイ内の燃料集合体位置612上でクリックして、その位置の実際の燃料集合体のタイプ(新しい、再挿入(露出した燃料)、またはロックされた)およびグルーピングを特定してもよい。図7の右側に示すように、装荷マップエディタ601は、Load Type(装荷型)ツール613、Bundle Grouping(集合体グルーピング)ツール617、およびNumbering Mode(ナンバリングモード)ツール618を含む、この割り当てタスクを実施するいくつかのツールを提供する。
【0062】
装荷型613ツールの下で、装荷マップエディタ601は、Freshボタン614、Reinsertボタン615、およびLockedボタン616を含む。Freshボタン614、Reinsertボタン615、およびLockedボタン616は、新しい燃料集合体、再挿入燃料集合体、およびロックされた燃料集合体のカテゴリに相当する。ユーザは、たとえば、所望のボタン上をクリックして、所望のカテゴリを選択し、次に、燃料集合体フィールド611内の燃料集合体位置612上をクリックして、そのカテゴリを燃料集合体位置612に割り当てる。新しい燃料集合体カテゴリは、新しい燃料集合体、すなわち、露出されなかった集合体を挿入するように指示する。装荷マップエディタは、その後、燃料集合体位置612の底部に「F」および番号「N」を表示する。「F」は、新しい燃料集合体カテゴリを指示し、「N」は、N番目の燃料集合体型を指示する。装荷マップエディタ601は、炉心に割り当てられた燃料集合体型の番号のカウントを維持する。複数の集合体の位置は、それぞれの位置について、同じ「F」および「N」値を指定することによって、同じ集合体型を割り当てられることができる。
【0063】
ロックされた燃料集合体カテゴリは、実際の原子炉炉心内で、関連する燃料集合体位置をその時占める燃料集合体が、原子炉炉心装荷マップを作成するときに、その位置にとどまることを指示する。装荷マップエディタ601は、ロックされた燃料集合体カテゴリが割り当てられると、燃料集合体位置612に「L」および番号「N」を表示する。「L」は、ロックされた燃料集合体カテゴリを指示し、番号「N」は、N番目のロックされた集合体グループを指示する。
【0064】
再挿入燃料集合体カテゴリは、露出した燃料集合体のどこに挿入するかを指示する。装荷マップエディタは、再挿入燃料集合体カテゴリが割り当てられると、燃料集合体位置612に番号「N」だけを表示する。番号は、燃料集合体位置612の優先度を指示する。
【0065】
ある例では、装荷マップエディタは、割り当てられたカテゴリに関連する色で燃料集合体位置612を表示してもよい。たとえば、新しい燃料集合体は青で表示され、ロックされた燃料集合体は黄色で表示され、再挿入される露出した燃料集合体は紫で表示される。
【0066】
Bundle Grouping617見出しの下で、装荷マップエディタは、対称性ボタン「1」、「2」、「4」、および「8」を含む。先の図6で述べたように、ユーザは、適切なドロップダウンメニューなどをクリックすることによって、選択された原子炉について所望の炉心対称性オプション(たとえば、オクタント、クアドラント、対象性無しなど)を既に選択してしまっていてもよい。しかし、Bundle Groupingツール617は、ユーザが、所与の集合体位置612について、すなわち、燃料集合体位置612によって、対称性を選択することを可能にする。
【0067】
Numbering Modeツール618は、Automaticボタン619およびManualボタン620を含む。自動ナンバリングと手動ナンバリングとの間の選択は、Reinsertボタン615またはFreshボタン614が選択されたときに許可されるだけであり、Lockedボタン616が選択される場合には、一般に、適用されない。
【0068】
Automaticボタン618が選択されると、装荷マップエディタ601は、露出した燃料集合体のカウントを維持し、カウントに1を加えた値を、再挿入燃料集合体カテゴリを割り当てられた次の燃料集合体位置612に割り当てる。割り当てられた値は、燃料集合体位置612の底部に表示される。装荷マップエディタ601は、新しい集合体型のカウントも維持し、そのため、燃料集合体位置612が割り当てられると、上記でNと呼ばれる、新しい集合体カテゴリカウントに1を加えた値が、その位置に割り当てられる。「F」および「N」の値は、新しい燃料集合体位置の底部に表示される。
【0069】
Manualボタン619が選択されると、装荷マップエディタは、再挿入燃料集合体カテゴリに割り当てられた燃料集合体位置612の番号のカウントを維持するが、番号を燃料集合体位置612に割り当てない。代わりに、ユーザは、燃料集合体位置612にカーソルを位置決めし、番号を手動で入力してもよい。
【0070】
各集合体位置612において割り当てられた番号は、露出した燃料集合体の属性に基づいて、露出した燃料集合体を装荷する順序を指示する割り当てられた優先度を表す。属性は、Kインフィニティ(燃料集合体のエネルギー含有量のよく知られている尺度である)、集合体の露出(集合体内で、ウランのメトリックトンにつきメガワット日で蓄積される)、および集合体の滞留時間(集合体が、原子炉炉心内にどれだけ長く滞留したかである)などを含むが、それに限定されない。1つの例示的な実施形態では、再挿入される燃料集合体位置に関連する色調は、関連する優先度に関連して(明るく、または、暗く)変わる。
【0071】
装荷マップエディタ601はまた、viewメニュー610を介していくつかの閲覧オプションを、また、zoomスライドボタン621を提供する。zoomスライドボタン621をクリックし、左および右にドラッグすることによって、zoomスライドボタン621を調整することは、表示される燃料集合体フィールド611のサイズを減少させ、増加させる。viewメニュー610の下で、ユーザは、テンプレートの単一クアドラントまたはテンプレートの全炉心ビューを閲覧するオプションを有する。さらに、ユーザは、いくつかのテンプレート属性が表示されるかどうかを制御することができる。具体的には、viewメニュー610は、装荷テンプレート内に、制御羽根、集合体座標、炉心座標などを表示するオプションを含む。
【0072】
先に説明したように、新しいテンプレートを作成する代わりに、以前に作成されたテンプレートが閲覧されてもよく、任意選択で、editボタン609を使用して編集されてもよい。fileメニュー608を使用して、ユーザは、「オープン」オプションを選択する。装荷マップエディタ601は、その後、燃料装荷テンプレートデータベース256に記憶されたアクセス可能なテンプレートを表示する。ユーザは、その後、たとえば、アクセス可能なテンプレートの1つの上でクリックすることによって、アクセス可能なテンプレートを選択する。装荷マップエディタ601は、その後、選択されたテンプレートを表示するであろう。
【0073】
ユーザは、その後、選択されたテンプレートを編集してもよい。たとえば、所与の選択されたテンプレートについて、ユーザは、テンプレートにとって望ましい新しい燃料集合体と露出した燃料集合体を選択して、試験原子炉炉心設計を生成してもよい。こうして、装荷マップエディタ601は、1つまたは複数の燃料プール内にその時滞留する新しい燃料集合体と露出した燃料集合体を再装荷するオプションをユーザに可能にする。利用可能な燃料プールインベントリ内に存在するこれらの露出した燃料集合体の1つまたは複数は、たとえば、燃料プールデータベース258からユーザによってアクセスされてもよく、新しい燃料集合体の1つまたは複数は、新しい燃料集合体設計データベース252からアクセスされてもよい。
【0074】
先に説明したように、装荷マップエディタ601を使用して燃料装荷テンプレートにアクセスし、テンプレートを作成し、かつ/または、編集した後に、ユーザは、その後、テンプレートを使用して、装荷マップを作成してもよい。fileメニュー608から、ユーザは、「装荷オプション」を選択する。装荷マップエディタ601は、その後、テンプレートアクセスウィンドウ、テンプレート情報ウィンドウ、再装荷ウィンドウ、および装荷フレッシュウィンドウを含む装荷スクリーンを表示する。テンプレートアクセスウィンドウは、装荷テンプレートデータベース256に記憶された装荷テンプレートを選択するためのドロップダウンメニューをユーザに提供する。テンプレート情報ウィンドウは、装荷テンプレートにおける、新しい集合体型の番号、再挿入される(露出した)燃料集合体位置の番号、およびロックされた集合体位置の番号などの、選択された装荷テンプレートについての要約情報を表示する。要約情報はまた、装荷マップを作成する際にその場で付加される、新しい集合体型の番号および再挿入される(露出した)燃料集合体の番号を指示してもよい。
【0075】
図8は、装荷マップエディタ601によって表示される再装荷ウィンドウを示すスクリーンショットである。ウィンドウは、filtered fuel pool表622およびreloading pool表624に分割される。filtered fuel pool表622は、(1)ロックされた燃料集合体位置612内の燃料集合体を除く、評価される原子炉の燃料テンプレート内にその時存在する露出した燃料集合体、および、(2)この原子炉および他の原子炉についての、1つまたは複数の燃料プール内の燃料集合体インベントリを列挙する。よく知られているように、原子炉から取り除かれる露出した燃料集合体は、燃料プールとして知られるものの中に記憶される。同じサイトに位置する2つ以上の原子炉炉心からの燃料集合体は、同じ燃料プールに記憶されてもよい。
【0076】
filtered fuel pool表622は、その通し番号と集合体名(BName)でそれぞれの露出した燃料集合体を列挙する。各燃料集合体は、品質保証の観点から集合体のトレーサビリティを保証するのに使用される一意の通し番号を割り当てられる。集合体名は、燃料集合体製造ライン、ならびに、ウランおよびガドリニア装荷などの核特性を特定するのに使用される文字列識別子である。filtered fuel pool表622はまた、Kインフィニティ、露出、および、集合体が、その間、炉心内に存在した最後の燃料サイクル数などの、列挙された、それぞれの露出した燃料集合体の1つまたは複数の属性を列挙する。露出した燃料集合体についてのさらなる属性は、1)集合体製造ライン、2)最初のウラン装荷、3)最初のガドリニウム装荷、4)軸方向ゾーンの数、5)集合体が、その間、炉心内に存在した最も最近より前の履歴の燃料サイクル数、6)履歴の燃料サイクルのそれぞれについて、燃料集合体が、そこに存在した対応する原子炉、7)累積した滞留時間、および、8)燃料集合体の来歴、連続した原子炉運転についての集合体の使用可能性を反映するパラメータを含んでもよい。
【0077】
燃料集合体の来歴は、多数の因子から決定され、主要な因子は、目視によるか、または、ある他の非破壊試験手法による、その時の故障した燃料集合体、または、将来の故障に対する集合体の脆弱性を検出するように設計された燃料の検査である。故障メカニズムは、腐食、デブリの衝突、および燃料集合体の機械的曲がりのような項目を含む。来歴に影響を及ぼす別の因子は、燃料集合体の潜在的な再構築であり、再構築は、損傷を受けた燃料ロッドを、ウラン含有燃料ロッド、または、別法として、以降で「ファントム」ロッドと呼ばれる、ウランでないものを含有するロッド(たとえば、ステンレス鋼)であってよい置換えロッドと置き換えることを含む補修プロセスである。来歴属性は、ウランロッドおよびファントムロッドを用いて再構築されることについて、それぞれ、「RU」および「RP」、また、腐食、デブリ、および曲がりによって損傷を受けることについて、それぞれ、「DC」、「DD」、および「DB」である。「ブランク」来歴属性は、損傷を受けず、使用可能であった集合体を示す。
【0078】
reloading fuel pool表624は、filtered fuel pool表622によって提供されるものと同じ情報を、各燃料集合体について提供する。さらに、reloading fuel pool表624は、装荷テンプレートで述べた、各燃料集合体グループについての優先度番号626を指示する。図8は、最も高い優先度(1)の再挿入される燃料集合体の位置(複数可)は、4つの燃料集合体のグループであり、次に高い優先度(2)の再挿入される燃料集合体(複数可)は、8つの燃料集合体のグループであることを示す。
【0079】
reloading fuel pool表624は、燃料集合体を、filtered fuel pool表622からreloading fuel pool表624へ移動させることによってポピュレートされる。再装荷ウィンドウは、さらに、ユーザが、燃料集合体を選択し、filtered fuel pool表622からreloading pool表624へ移動させるのを補助するためのツールのセット630を含む。ツールのセット630は、フィルタツール632、右移動ツール634、左移動ツール636、および削除ツール638を含んでもよい。ツール634、636、および638は、1つまたは複数の集合体をハイライトさせ、右移動ツール634(または、左移動ツール636)上をクリックすることなどによって、ユーザが、燃料集合体を、filtered fuel pool表622とreload fuel pool表624との間で移動させることを可能にし、それにより、選択された燃料集合体が、reload pool表624(または、filtered fuel pool表622)内の、ポピュレートされていない最も高い優先度の燃料集合体の位置をポピュレートする。削除ツール638は、ユーザが、表622、624の一方の1つまたは複数の燃料集合体を選択し、その後、削除ツール638をクリックして、表から選択された燃料集合体を削除することを可能にする。
【0080】
図9は、フィルタツール632を示すスクリーンショットである。ユーザは、図9に示すように、フィルタツール632上をクリックして、フィルタウィンドウ640を開く。フィルタウィンドウは、filtered fuel pool表622で列挙された同じ属性を列挙し、ユーザが、属性に関連する選択ボックス642内をクリックすることによって、属性に基づいてフィルタリングすることを指示することを可能にする。属性が選択されると、関連する選択ボックス642内にチェックが表示される。ユーザはまた、関連する選択ボックス内を再びクリックすることによって、属性を選択しなくてもよい。この場合、チェックマークは、除去されるであろう。利用可能な燃料プールに記憶された露出した集合体は、ユーザによって、燃料プールデータベース258からアクセスされて、フィルタツール632による最終的なフィルタリングのために、図8の適切な表をポピュレートしてもよいことが注目に値する。
【0081】
各属性について、フィルタウィンドウ640は、属性に関連する1つまたは複数のフィルタ特性を表示してもよい。Kインフィニティ属性の場合、ユーザは、以上、以下、または、等しいフィルタオペレータ644を選択し、フィルタオペレータ644に関連するフィルタ量646を入力してもよい。図9に示すように、ユーザは、Kインフィニティに基づいてフィルタリングするように選択し、以上のフィルタオペレータを選択し、1.2のフィルタ量を入力した。
【0082】
結果として、装荷マップエディタ601は、filtered fuel pool表622内の燃料集合体をフィルタリングして、1.2より大きなKインフィニティを有する燃料集合体だけを表示するであろう。別の例として、ボックス642内の露出属性もまた、関連するフィルタオペレータおよびフィルタ量を有する。
【0083】
サイクル属性の場合、フィルタウィンドウは、サイクル数を選択するためのドロップダウンメニューを提供する。図9は、サイクル属性についてドロップダウンメニューから選択されたサイクル2および4を示す。結果として、装荷マップエディタは、filtered fuel pool表622をフィルタリングして、その最も最近の滞留が、サイクル2またはサイクル4であった燃料集合体だけを表示する。
【0084】
同様に、ユーザは、その来歴、製造ラインなどに基づいて集合体をフィルタリングするように選択してもよい。フィルタリング用の属性が選択され、フィルタ特性が入力されると、ユーザは、OK選択ボックス上をクリックすることによって、装荷マップエディタ601が、この情報に基づいてfiltered fuel pool表622をフィルタリングするようにさせる。あるいは、ユーザは、CANCEL選択ボックス上をクリックすることによって、フィルタ操作を取り消してもよい。
【0085】
filtered fuel pool表622はまた、表に列挙された燃料集合体をフィルタリングするフィルタリングメカニズムを提供する。ユーザは、filtered fuel pool表622内の属性ヘッディング上をクリックすることによって、属性の昇順または降順でfiltered fuel pool表622をソーティングしてもよい。ユーザが、属性上をクリックすると、装荷マップエディタは、オプション「Sort Ascending」および「Sort Descending」を有するポップアップメニューを表示する。filtered fuel pool表622は、その後、ユーザがクリックしたオプションに基づいて属性の昇順または降順でフィルタリングされる。
【0086】
図10は、新しい集合体を燃料テンプレート内に装荷するための、装荷マップエディタ601によって表示される装荷フレッシュウィンドウを示すスクリーンショットである。ウィンドウは、fresh bundle types表650およびfresh bundle pool表660に分割される。fresh bundle types表650は、利用可能な新しい燃料集合体型を列挙し、それぞれの新しい燃料集合体型をその集合体名で列挙する。集合体名は、燃料集合体製造ライン、ならびに、ウランおよびガドリニア装荷などの核特性を特定するのに使用される文字列識別子である。
【0087】
fresh fuel bundle types表650はまた、Kインフィニティ、燃料集合体製造ライン、平均ウラン−235濃縮、燃料集合体に含有されるガドリニア可燃性ポイズンの(総燃料重量の関数としての)パーセンテージ、ガドリニア含有燃料ロッドの数、および軸方向ゾーン(軸方向ゾーンは、軸方向に沿って均質な集合体の断面スライスによって画定される)の数などの、列挙されたそれぞれの新しい燃料集合体型の1つまたは複数の属性を列挙する。新しい集合体の他の属性は、種々の集合体露出値について計算された、R因子およびローカルピーキング、などの予測される熱挙動についてのパラメータを含んでもよい。R因子は、限界パワー比(CPR)への入力として使用され、燃料ロッドパワーの重み付き軸方向積分によって求められる。ローカルピーキングは、燃料ロッドピークペレットおよび被覆管温度の尺度である。
【0088】
fresh bundle pool表660は、fresh bundle types表650によって提供されるものと同じ情報を各燃料集合体について提供する。さらに、fresh bundle pool表660は、装荷テンプレート内の新しい集合体の各型についての型番号662、および、装荷テンプレート内のその型の新しい燃料集合体の数を指示する。図10は、新しい燃料集合体位置(複数可)の最初の型が、4つの燃料集合体のグループであり、新しい燃料集合体(複数可)の次の型が、8つの燃料集合体のグループであることを示す。
【0089】
図8と同様に、fresh bundle pool表660は、燃料集合体を、fresh bundle types表650からfresh bundle pool表660へ移動させることによって、連続してポピュレートされる、かつ/または、更新されてもよく、また、上述したように、ユーザが、燃料集合体を選択し、fresh bundle types表650からfresh bundle pool表660へ移動させるのを補助するための、図8で述べたツール630、すなわち、フィルタツール632(新しい燃料集合体設計データベース252からアクセスされる新しい燃料集合体をフィルタリング除去してもよい)、右移動ツール634、および、削除ツール638を含む。装荷マップエディタ601はまた、filtered fuel pool表622がソーティングされるのと同じ方法で、属性の昇順または降順でfresh bundle types表650をフィルタリングすることを実現する。
【0090】
先に詳細に述べたツールを使用して、再挿入される(露出した)燃料集合体および新しい燃料集合体の位置612が満たされると、ユーザは、装荷スクリーンに表示される「populate」ボタン上をクリックして、装荷マップが表示されてもよい。ユーザは、その後、fileメニュー608内の「Save」または「Save As」オプションを使用することによって作成された装荷マップをセーブしてもよい。
【0091】
この時点で、ユーザは、ここで、パワー増強運転に適した炉心設計を達成しようとして設定された全ての制約または限界を満たす増強炉心設計を決定するための、複数の自動化ツールを使用して評価される初期試験炉心設計を生成した。自動化ツールを使用した評価のために試験炉心設計を装荷するために、ユーザは、loadボタンをクリックし、新しい燃料型についてのIDプレフィクスを入力するだけである。試験炉心設計は、いつでも評価できる。
<ブロック700−自動化ツール>
初期試験炉心設計について、原子炉炉心設計が、パワー増強のための全ての限界および/または制約を満たすと判定されるまで、ユーザは、試験炉心設計において、ロッドパターン、炉心装荷パターン、および/または、独自の新しい燃料集合体型の1つまたは複数を修正してもよい。以下で説明されるであろうが、各自動化ツールは、パワー増強のための所望の炉心設計を達成するために、試験炉心設計に対して行う必要がある修正を用いて、ユーザまたは設計者を支援する関連する手順上の推奨を提供してもよい。
【0092】
各自動化ツールについて、選択されるかまたは修正されたロッドパターン設計(修正ロッドパターンツールオプション用)、選択されるかまたは修正された炉心装荷パターン(炉心装荷設計ツール)、および新しい燃料集合体型の選択された独自のサブセット(Nストリーミングツール)のうちの1つを用いて試験炉心設計のシミュレーションが実施されることになる。換言すれば、各ツールは、ブロック600の機能から出力された試験炉心設計において配置するための、それぞれの所望の、初期試験ロッドパターン設計、炉心装荷パターン設計、および/または、独自の新しい燃料集合体型を確立するであろう。自動化ツールのそれぞれについて、(入力ブロック500にて)評価されるプラントは、既に選択されており、限界が設定されている。初期試験炉心設計は、ブロック600の出力において装荷されたため、自動化ツールはそれぞれ、以下でより詳細に述べるように呼び出されてもよい。
【0093】
各自動化ツールについて、試験炉心設計について設定された、対応する所与の試験ロッドパターン、炉心装荷パターン、または独自の新しい燃料集合体型に基づいて、シミュレーション結果が、限界と比較され、比較に関連するデータが、1つまたは複数のグラフィックページまたはテキストページの形態でユーザに提供される。このデータは、シミュレーション中に違反された限界を指示し、また、炉心設計で使用されるロッドパターン、炉心装荷パターン、および/または独自の新しい燃料集合体型に関して何を修正すべきかに関するフィードバックをユーザに提供する手順上の推奨と共に使用されてもよい。
【0094】
先に説明したように、これらのツールは、順次に呼び出されてもよく(すなわち、修正炉心パターンツールは、許容可能なロッドパターンおよび新しい燃料集合体設計が、ロッドパターンおよび独自の新しい燃料集合体型ツールから修正炉心パターンツールへ入力される状態で、また、その逆の状態で反復されてもよい)、または、別の例のツールは、互いに独立に反復されてもよく、また、派生した炉心設計が、パワー増強運転のための設計を改良するために、他の2つのツールによって、順次に、または、再び独立に評価されるときに、(目的関数値によって指示される)最良の設計が、役立ってもよい。
<修正ロッドパターンツール>
上記ブロック600で生成される初期試験炉心設計は、パワー増強運転のための所望のロッドパターン設計(たとえば、BWRの制御羽根パターンについてのノッチ位置およびシーケンス、または、PWRの制御ロッドパターンについてのグループシーケンスなど)を持たない場合がある。これは、所与の試験原子炉炉心設計のシミュレーションの結果を評価することによって決定されてもよく、所与の試験原子炉炉心設計は、入力ブロック500で設定された限界(パワー増強運転についての限界を含む)を基準にした比較のためのシミュレーション結果を生成するために、試験ロッドパターン設計(たとえば、BWRの制御羽根パターンについてのノッチ位置およびシーケンス、ならびに、PWRの制御ロッドパターンについてのグループシーケンスなど)を装荷され、その後、炉心シミュレーションソフトウェアを使用してシミュレートされる。相応して、ブロック600によるが、初期試験ロッドパターン設計を含む所与の試験原子炉炉心設計のシミュレーションが、実施される必要があるであろう。
【0095】
試験炉心設計においてロッドパターンを修正するロッドパターンツールおよびルーチンの実施は、Russell他に対する、同時係属で、かつ、同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/321,441号に記載される。一般に、ユーザは、適当なディスプレイ上でユーザが再検討するために、GUI230を介し、また、処理パワー(ユーザのローカルコンピュータ、アプリケーションサーバ200、および/または、計算サーバ400など)によって、ロッドパターン設計(たとえば、BWRの制御羽根パターンについてのノッチ位置およびシーケンス、PWRの制御ロッドパターンについてのグループシーケンスなど)を仮想的に修正する修正ロッドパターンツールを実施する。修正ロッドパターンサブルーチンの反復はまた、試験原子炉炉心設計が、パワー増強運転のための要件を満たすために満たす必要があるユーザが入力した限界または制約を、提案されたロッドパターン設計解が、どれほど厳密に満たしているかに基づいてユーザにフィードバックおよび/または手順上の推奨を提供してもよい。
【0096】
修正ロッドパターンツールを記述する段階および図の多くは、炉心装荷パターンおよび独自の新しい燃料集合体型ツールについてと同じであることが注目に値する。相応して、修正ロッドパターンツールを記述する図のいくつかは、炉心装荷パターンおよび独自の新しい燃料集合体型ツールの説明で参照され、簡潔にするために、その差だけが述べられる。
【0097】
図11は、本発明の例示的な実施形態による、修正ロッドパターンツールの実施態様を示すフローチャートである。図11は、例示的な沸騰水型原子炉についてロッドパターン設計を決定する観点で述べられ、方法は、PWR、ガス冷却型原子炉、および重水型原子炉に適用可能であってよいことが理解される。
【0098】
図11を参照すると、原子炉プラントは、段階S5にて、原子炉プラントが、評価のために選択され、選択されたプラントの試験ロッドパターン設計についてのシミュレーションで使用される限界が定義される(段階S10)。これらの段階は、入力ブロック500の機能によって、以前に実施されているが、明確にするために、本明細書では再反復される。限界に基づいて、制御メカニズム移動(たとえば、制御羽根ノッチ位置、制御ロッド位置など)についてのシーケンス方策(初期ロッドパターン設計)が確立される(段階S20)。原子炉運転は、選択されたロッドパターン設計を有する全体の試験炉心設計に関して、または、複数のシミュレートされた結果を生成するために、たとえば、原子炉炉心内の燃料集合体のサブセットであってよい、試験ロッドパターン設計のサブセットに焦点を当てて、シミュレートされてもよい(段階S30)。
【0099】
シミュレートされた結果は、限界と比較され(段階S40)、比較に基づいて、限界が違反されたかどうかを示すデータが提供される(段階S50)。データはまた、シミュレートされた炉心内のどのロケーションが、最大の違反者か、または、限界違反に対する最大の寄与者であったかの指示をユーザに提供する。これらの段階はそれぞれ、以下でさらに詳細に述べられる。
【0100】
プラントが選択されると、プラント構成ウェブページにアクセスするためのGUI230を使用して、以前の試験ロッドパターン(シーケンス方策)を入力することによって、初期ロッドパターン設計が選択されてもよい。たとえば、ウェブページは、後続のシミュレーションで評価するために、「モデルサイズ」、たとえば、4分の1炉心、半炉心、または全炉心をユーザが選択することを可能にしてもよい。さらに、ユーザは、適切なドロップダウンメニューなどをクリックすることによって、選択されたモデルサイズについて炉心対称性オプション(たとえば、オクタント、クアドラント、対象性無し)を選択してもよい。ある例では、この炉心対称性オプションは、既に実施されており、たとえば、図6で明らかである。
【0101】
図5で先に示したように、シミュレーションに対する入力変数に関する限界およびシミュレーション結果に関する限界として構成されてもよいクライアント入力のプラント固有の制約は、シミュレーションのために既に設定されている。試験ロッドパターン設計の1つまたは複数のサブセットを位置決めするための、シーケンス方策(ブロック600から出力される試験原子炉炉心設計についての試験ロッドパターン設計)は、限界に基づいて確立される(段階S20)。たとえば、評価される原子炉が、沸騰水型原子炉である実施形態では、限界は、許容可能な制御羽根の位置および継続時間を確立するのに役立つ。
【0102】
制御羽根テーマは、ユーザが、初期シーケンス方策を決定するのを補助するために、許容可能な羽根対称性と共に定義される。典型的なBWR運転では、たとえば、制御羽根は、4つのグループの羽根(「A1」、「A2」、「B1」、および「B2」)に分割されてもよい。羽根をこれらの羽根グループに割り当てることによって、ユーザは、容易に、所与のシーケンス内で許容される羽根だけを特定することができる。その結果、望ましくない解をもたらすことになる望ましくない羽根は、使用されないようにされる。制御羽根テーマは、各露出について特定されるため、満足のいく羽根定義が強制されてもよい。
【0103】
制御羽根テーマおよび羽根対称性を定義することによって、ユーザは、制御羽根テーマ内で単一の羽根位置を特定する必要があるだけであり、他の対称性のある制御羽根が、相応して続くであろう。そのため、グラフィックエリアは、冗長な制御羽根ロケーション情報で混乱しない。さらに、シーケンス方策を自動化することは、違法な制御羽根位置エラーが起こることを防止する。
【0104】
ユーザは、サイクルの開始(BOC)からサイクルの終了(EOC)までに、全てのシーケンスを特定すること、および、初期ロッドパターン決定に進む。図12は、制御羽根シーケンスがどのように入力されるかを示すスクリーンショットである。1217のblade groupという名称の欄は、たとえば、ユーザが、どんなユーザ制約が、既に入力されたかに基づいてシーケンス方策を調整するか、または、設定することを可能にする。図12では、1211のexposure段階、1213のcalculation type、1215のdetailed rod pattern、1217のblade group、および他の適切な運転パラメータを設定した。
【0105】
限界が定義され、シーケンス方策(試験原子炉炉心設計についての初期試験ロッドパターン)が確立されると、シミュレーションが始動される(段階S30)。シミュレーションは、計算サーバ400によって実行されてもよい。しかし、シミュレーションは、構成1000の外部で実行される3Dシミュレーションプロセスであってよい。ユーザは、PANACEA、LOGOS、SIMULATE、POLCA、または任意の他の知られているシミュレータソフトウェアなどの、よく知られている実行可能な3Dシミュレータプログラムを採用してもよく、3Dシミュレータプログラムでは、適切なシミュレータドライバが、知られているように、定義されコード化される。計算サーバ400は、GUI230を介したユーザによる入力に基づいて、これらのシミュレータプログラムを実行してもよい。
【0106】
ユーザは、GUI230を使用して、3Dシミュレーションをいつでも始動してもよく、また、シミュレーションを始動させる多くの異なる手段を有してもよい。たとえば、ユーザは、ウィンドウドロップダウンメニューから「run simulation」を選択してもよく、または、知られているウェブページのタスクバー上の「RUN」アイコン上をクリックすることができる。さらに、ユーザは、シミュレーションのグラフィック更新またはステータスを受け取ってもよい。シミュレーションに関連するデータは、リレーショナルデータベース250内の待ち行列データベース253内で待ち行列に入れられてもよい。シミュレーションが待ち行列に入れられると、ユーザは、知られているように、シミュレーションがいつ終了したかに関する可聴指示および/または視覚指示を有してもよい。
【0107】
ユーザがシミュレーションを始動すると、多くの自動化段階が続く。図13は、シミュレーション段階S30をさらに詳細に示すフローチャートである。最初に、選択されたロッドパターン設計問題に関する試験炉心設計についての全ての定義が、3D原子炉炉心シミュレータ用の3D命令セット(たとえば、コンピュータジョブ)に変換される(段階S31)。これは、ユーザが、上述したような、いくつかのタイプのシミュレータの好みを有することを可能にする。特定のシミュレータの選択は、ユーザによって入力されたプラント基準(たとえば、限界)に依存してもよい。コンピュータジョブは、各リレーショナルデータベースサーバ250の待ち行列データベース253内で、いつでも待ち行列に入れられることができる(段階S33)。特定のシミュレーションについてデータを記憶することは、任意の潜在的なシミュレーション反復が、最後の、または、以前の反復から開始することを可能にする。このデータを記憶し、取り出すことによって、ロッドパターン設計に対するさらなるシミュレーション反復は、実施するのに何分かまたは何秒かかかるだけである。
【0108】
同時に、利用可能な計算サーバ400のそれぞれの上で実行されるプログラムは、実行すべき利用可能なジョブを探索するために、数秒ごとにスキャンする(段階S37)。ジョブがいつでも実行できる場合、計算サーバ400の1つまたは複数は、待ち行列データベース253からデータを取得し、適切な3Dシミュレータを実行する。上述したように、1つまたは複数のステータスメッセージが、ユーザに表示されてもよい。シミュレーションが終了することによって、対象となる全ての結果が、リレーショナルデータベースサーバ250内の1つまたは複数のサブルーチンデータベース(たとえば、シミュレーション結果データベース255)に記憶されてもよい。相応して、リレーショナルデータベースサーバ250は、試験ロッドパターン設計について目的関数値を計算するためにアクセスされてもよい。
【0109】
図14は、図11の比較段階をさらに詳細に示すフロー図である。目的関数は、計算サーバ400がアクセスするために、リレーショナルデータベースサーバ250に記憶されてもよい。目的関数値を提供する目的関数計算は、サブルーチン目的関数値データベース257などの、リレーショナルデータベースサーバ250に記憶されてもよい。図14を参照すると、目的関数計算への入力は、限界データベース251からの限界およびシミュレータ結果データベース255からのシミュレーション結果を含む。相応して、1つまたは複数の計算サーバ400は、リレーショナルデータベースサーバ250からこのデータにアクセスする(段階S41)。
【0110】
本発明の例示的な実施形態は、利用することができる任意の数の目的関数フォーマットを想定するが、1つの例は、3つの成分、すなわち、「CONS」として表現される特定の制約パラメータ(たとえば、原子炉プラントパラメータについての設計制約)についての限界、「RESULT」として表現される、その特定の制約パラメータについての3Dシミュレータからのシミュレーション結果、および、「MULT」で表現される、制約パラメータについての乗法因子を有する目的関数を含む。定義済のMULTのセットは、たとえば、BWRプラント構成の大きな集合から経験的に決定されてもよい。これらの乗法因子は、原子炉エネルギー、反応性限界、および熱限界が、適切な順序で決定されることを可能にする値に設定されてもよい。相応して、本発明の方法は、30を越える異なる炉心設計に適用することができる、経験的に決定された乗法因子の汎用セットを利用する。しかし、GUI230は、乗法因子の手作業による変更を可能にし、このことは、ユーザの好みが、一定の制約が、プリセットされたデフォルトによって特定される乗法因子よりも大きな乗法因子によって「ペナルティを課される」ことを望む場合がある点で重要である。
【0111】
目的関数値は、それぞれの個々の制約パラメータについて、また、全体として全ての制約パラメータについて計算されてもよく、全ての制約パラメータは、試験原子炉炉心設計の特定の試験ロッドパターン(あるいは、以下で説明されるように、試験炉心設計についての、特定の炉心装荷パターンまたは1つまたは複数の(N個の)独自の新しい燃料集合体型)において評価されるものの実体を表す。目的関数の個々の制約成分は、式(1)に記述されるように計算されてもよい。
【0112】
【数1】

…(1)
ここで、「par」は、図5に列挙するクライアント入力の制約のいずれかであってよい。これらのパラメータは、評価用の潜在的な候補であることができる唯一のパラメータではなく、原子炉についての適切な炉心構成を決定するのに一般に使用されるパラメータである。総合の目的関数は、全ての制約パラメータの和、すなわち、
【0113】
【数2】

…(2)
であってよい。
【0114】
式1を参照すると、RESULTがCONSより小さい(たとえば、制約についての違反が存在しない)場合、差は、ゼロにリセットされ、目的関数は、ゼロになるであろう。相応して、ゼロの目的関数値は、特定の制約が違反されなかったことを指示する。目的関数の正値は、補正を必要とする場合がある違反を表す。さらに、シミュレーション結果は、特別な座標(i,j,k)および時間座標(露出段階)(たとえば、炉心−エネルギーサイクルの特定の時間)の形態で提供されてもよい。したがって、ユーザは、問題が、どの時間座標(たとえば、露出段階)に位置するかを見ることができる。そのため、ロッドパターン(または炉心装荷パターンまたは独自の新しい燃料集合体型パターン)は、特定された露出段階においてだけ修正される。
【0115】
さらに、目的関数値は、各露出段階の関数として計算され(段階S43)、全体の設計問題について総合されてもよい。各制約について計算された目的関数値および露出段階当たりの目的関数値は、総合目的関数値に対する所与の制約のパーセンテージ寄与を提供するために、各目的関数値を正規化する(段階S45)ことによって、さらに調査されてもよい。目的関数計算のそれぞれの結果または値は、リレーショナルデータベースサーバ250内のサブルーチン目的関数値データベース257に記憶される(段階S47)。
【0116】
目的関数値は、試験炉心設計について所望の炉心パターンを手作業で決定する際に利用されてもよい。たとえば、目的関数計算の値は、限界に違反するパラメータを決定するために、ユーザによってグラフィカルに閲覧されてもよい。さらに、試験炉心設計におけるロッドパターン設計の変更についての首尾よい反復にわたる目的関数値の変化は、提案された設計の改善度および有害度を推定する基準(gauge)をユーザに提供する。
【0117】
いくつかの反復にわたる目的関数値の増加は、ユーザの変更が、所望の解から離れていくロッドパターン設計(したがって、パワー増強炉心設計)を作成していることを指示し、一方、目的関数値がより小さい(たとえば、目的関数値が、正値からゼロの方へ減少する)連続した反復は、反復式設計の改善を指示する場合がある。連続する反復にわたる、目的関数値、限界、およびシミュレーション結果は、リレーショナルデータベースサーバ250内の種々のサブルーチンデータベースに記憶されてもよい。したがって、万一、後の変更が役立たないことがわかった場合、過去の反復からの設計が、迅速に取り出されてもよい。
【0118】
図15は、目的関数計算の終了後の再検討のためにユーザに利用可能な例示的なグラフィックデータを示すスクリーンショットである。目的関数計算の終了によって、ユーザは、目的関数計算に関連するデータを提供されることができ、データは、評価された試験ロッドパターンを用いて構成された試験原子炉炉心設計のシミュレーション中に違反された限界を含んでもよい。
【0119】
図15を参照すると、入力制限値を表すことができる制約パラメータのリスト、および、制約ごとの目的関数値計算のそれぞれの値が表示されている。図15は、たとえば、チェックボックス1505によって指示されるように、ボックス内のチェックによって、限界が違反されたことを示す。さらに、各限界違反について、(図14に関して述べた計算および正規化ルーチンに基づいて)その寄与率およびパーセント(%)寄与率が表示される。相応して、このデータに基づいて、ユーザは、その後の反復について、ロッドパターン設計に対してどの修正を行うことが必要とされるかについて推奨を提供されてもよい。
【0120】
個々のロッドパターン修正は、あるいは、ユーザの好みに委ねられてもよいが、手順上の推奨は、たとえば、プルダウンメニューの形態で提供されてもよい。これらの推奨は、4つのカテゴリ、すなわち、エネルギーにとって有益な移動、反応性コントロール、エネルギーにとって有害な移動、および(熱限界に対する)過剰マージンの付加的なエネルギーへの変換に分割されてもよい。先に説明したように、1つの技法は、エネルギーにとって有害な移動ではなくエネルギーにとって有益な移動を使用して問題に対処することである。ロッドパターン設計が、たとえ、限界(クライアント入力のプラント固有の制約、設計限界、熱限界など)の全てを満たしても、ユーザは、特定の限界に対する過剰なマージンが、付加的なエネルギーに変換することを検証してもよい。相応して、以下の論理的ステートメントは、ロッドパターンを修正する上記手順上の推奨を表すことができる。
<エネルギーにとって有益な移動>
・羽根の上部からのピーキングがある場合、羽根をより深く挿入せよ
・EOCにおいて、NEXRAT(たとえば、熱マージン制約)問題がある場合、サイクルの早期に羽根をより深く挿入せよ
・中間サイクル中にkW/ftピーキングがある場合、サイクルの早期に深いロッドをより深く押し込め(drive)
<反応性コントロール>
・シーケンス中に流量が高過ぎる場合、深いロッドを引っ張れ
・シーケンス中に流量が低過ぎる場合、ロッドをより深く押し込めよ
エネルギーにとって有害な移動
・シーケンス中に炉心の底部においてピーキングがある場合、局所的なエリアに浅い羽根を挿入せよ
<過剰マージンの付加的なエネルギーへの変換>
・EOCにおいて、余分のMFLCPRマージンがある場合、サイクルの早期に羽根をより深く押し込め
・EOCにおいて、余分のkW/ftマージンがある場合、サイクルの早期に羽根をより深く押し込め
・EOCにおいて、炉心の中心に余分のMFLCPRマージンがある場合、サイクルの早期に中心のロッドをより深く押し込め
ロケーションおよび目的関数によって指示される、限界違反の時間露出に基づいて、ユーザは、制約違反に対処し、調整する(fix)ために、上記推奨の1つまたは複数に恐らく従ってもよい。
【0121】
目的関数計算から得られるデータは、適当なディスプレイデバイス上で解釈されてもよい。たとえば、このデータは、図15に関して述べたように、違反者が表示された状態の制約のリストとして表示されてもよい。しかし、ユーザは、たとえば、2次元ビューまたは3次元ビューとして構成可能であることができる多数の異なる「結果」表示スクリーンにアクセスしてもよい。以下の表1は、ユーザが利用可能な例示的なビューの一部を列挙する。
【0122】
【表1】

図16、17A、および17Bは、本発明による、シミュレーションおよび目的関数解析に続く、所与の制約または限界のステータスを再検討するために、ユーザが利用可能なグラフィックデータを示すスクリーンショットである。図16を参照すると、ユーザは、一定の制約またはパラメータのビューを表示するために、タスクバー上の「view」アイコンから適当なドロップダウンメニューをプルダウンしてもよい。図16に示すように、ユーザは、MFLPD(限界パワー密度の最大割合 (Maximum Fractional Limiting Power Density))制約パラメータを選択した。ドロップダウンメニュー1610に指示するように、ユーザが利用可能な多数の異なるグラフィックビューが存在する。ユーザは、単に所望のビューを選択し、その後、図17Aまたは17Bに示すようなページにアクセスしてもよい。
【0123】
図17Aは、1705と1710に見られるように、特定の制約の2つの異なる2次元グラフを示す。たとえば、ユーザは、炉心サイクルにおける特定の露出について、(炉心最大対露出グラフ1705およびMFLPDの軸方向値対露出グラフ1710において)MAPLHGR(最大平均平面熱発生率(Maximum Average Planar Heat Generation Rate))の違反がどこで起こるかを確定ことができる。これらの制約についての限界は、ライン1720および1725で示され、違反は、全体が、図17Aの1730および1735で示される。
【0124】
図17Bは、MAPLHGR対露出についての最も大きな違反の寄与者が、どこに位置するかを見るために、別のビュー、この場合、炉心の全体の断面の2次元ビューを示す。1740および1750おいて見られるように、囲った四角形は、炉心内のMAPLHGRに対する最大の違反寄与者である燃料集合体を表す(たとえば、1740および1750は、MAPLHGRに違反する集合体を指す)。これは、ロッドパターン設計内のどの燃料集合体が、修正を必要とするかの指示をユーザに与える。
【0125】
図18Aおよび18Bは、本発明による、例示的な修正ロッドパターンツールによる、ロッドパターン修正および反復処理段階を記述するフロー図である。図18Aを参照すると、段階S60にて、データ(たとえば、図15〜17Bに示し述べたデータなど)を解釈することによって、ユーザは、修正サブルーチンを始動したいと思う場合がある(段階S70)。実際に、初期試験ロッドパターンを有する試験原子炉炉心設計は、許容可能な設計ではないことになり、修正サブルーチンが、恐らく、必要とされるであろう。
【0126】
一実施形態では、ユーザは、グラフィカルユーザインタフェースGUI230の助けを借りて、この修正サブルーチンを手作業で命令することができる。別の実施形態では、サブルーチンは、多数のロッドパターン設計反復について、シミュレーション、目的関数の計算、および目的関数計算の結果または値の評価を自動的に反復する最適化アルゴリズムの制限内で実施されてもよい。
【0127】
ユーザは、表示されたデータに基づいて、いずれかの限度値が、違反されたかどうかを判定する(段階S71)。限界が違反されない場合、ユーザは、(パワー増強運転のための)最大パワーの特性が、選択された試験ロッドパターンを有する試験原子炉炉心設計から得られることを、いずれかの識別子が指示するかどうかを判定する。たとえば、これらの識別子は、サイクル延長のためのプルトニウム発生を最大にするために、ロッドを炉心内により深く押し込むことによる、良好な熱マージン(MFLCPRおよびLHGRに関するマージンなど)利用の指示を含んでもよい。パワー要件は、最小EOC固有値が、サイクル設計について得られる(固有値探索)か、または、所望のサイクル長が、固定EOC固有値で決定されるときに満たされることが示されてもよい。選択された試験ロッドパターンを有する試験原子炉炉心設計から最大パワーが得られたという指示が存在する(段階S72の出力が「はい」となる)場合、試験原子炉炉心設計について許容可能な試験ロッドパターンが、決定され、ユーザは、ロッドパターン設計に関連する結果の報告にアクセスしてもよい(段階S73)、かつ/または、修正炉心ツールおよび/または独自の新しい燃料集合体型設計ツール内で選択されたロッドパターンを使用してもよい(段階S78)。
【0128】
限界が違反される(段階S71の出力が「はい」となる)か、または、限界は違反されないが、ロッドパターン設計から、最大パワーが得られなかった(段階S72の出力が「いいえ」となる)場合、ユーザは、シーケンス方策の修正が必要とされることを、特性が指示するかどうかを判定する(段階S74)。シーケンス方策を修正する必要性を指示する特性は、過剰な制御羽根(制御ロッド)履歴、局所的エリアでのEOCにおける過剰なMFLCPR、および個々の露出においてMFLCPRを含むことができないことを含んでもよい。さらに、ロッドパターン設計変更のいくつかの反復が試みられ、目的関数に対して実際の改善がなかった場合、これは、代替のロッドパターンシーケンスが、調査される必要があるというさらなる指示である。
【0129】
図19は、ロッドパターンを修正するために、羽根グループを定義するためのスクリーンショットである。相応して、シーケンス方策が、修正を必要とする(段階S74の出力が「はい」となる)場合、ユーザは、シーケンス方策を変えることによって、派生したロッドパターン設計を作成する(段階S75)。たとえば、また、図12および図19を参照すると、ユーザは、羽根のグルーピングを変えるために、運転構成ページ上でeditオプションを選択してもよい(図12の1217を参照されたい)。
【0130】
シーケンス方策が、修正される必要があることを指示する特性が存在しない(段階S74の出力が「いいえ」となる)場合、ユーザは、制御羽根または制御ロッドの位置を変更することによって、派生したロッドパターン(したがって、派生した原子炉炉心設計)を作成するために、試験ロッドパターン設計を修正してもよい。図12を参照すると、ユーザは、特定の露出について、「set rods」ボックス1230をチェックし、editアイコン1235を選択する。図19に示すように、これらのオペレーションは、ユーザが、特定のグループの制御羽根のノッチ位置を手作業で変えることを可能にする別の表示をもたらしてもよい。図19では、セル1941で選択された羽根グループ内部A1を有する炉心断面を示す、「Define Blade Groups」スクリーンショット1940が示される。optionsプルダウンメニュー1942を選択することによって、ユーザは、「Set Blade Constraints」ウィンドウ1945と呼ぶ別のウィンドウを表示してもよい。minimum withdrawal欄1950は、羽根が、炉心内でどれほど深くまで入ることを許容されるかを特定する。minimum withdrawal欄1955は、羽根が、炉心からどれほど遠くまで出ることを許容されるかを特定し、不許可欄1960は、この特定のロッドパターン設計について許可されない羽根ロケーションを特定する。例は、沸騰水型原子炉についての制御羽根ノッチ位置だけでなく、加圧水型原子炉内の制御ロッド位置ならびに他の型の原子炉(たとえば、ガス冷却型原子炉、重水型原子炉など)の制御ロッド位置を変更することも制限する。
【0131】
試験ロッドパターンが、ロッド位置を変更することによって修正されたか、または、シーケンス方策を変更することによって修正されたかによらず、派生したロッドパターン(したがって、派生した原子炉炉心設計)が全ての限界を満たすかどうかを判定するために、段階S30〜S50が繰り返される(段階S77)。これは、反復プロセスになってもよい。
【0132】
図18Bは、本発明の例示的な実施形態による反復プロセスを示す。シミュレートされたそれぞれの派生的ロッドパターン設計について、シミュレートされた結果と限界(たとえば、計算された目的関数値)との比較に関連するいずれかのデータが、限界違反が存在することを依然として指示するかどうかを、ユーザが判定する。指示しない場合、ユーザは、特定の原子炉で使用することができる許容可能なロッドパターン設計を生成しており、許容可能なロッドパターン設計に関連するグラフィック結果にアクセスし(段階S73)、かつ/または、修正炉心ツールおよび/または独自の新しい燃料集合体型設計ツール内で選択されたロッドパターンを使用してもよい(段階S78)。
【0133】
限界が違反されていることを、反復が依然として指示する(段階S160の出力が「はい」となる)場合、段階S70の修正サブルーチンは、全ての限界が満たされるか、または、全ての限界が、許容可能なマージン内で満たされると、ユーザが判定するまで、反復して繰り返される(段階S170)。反復プロセスは、ユーザが、ロッドパターンを微調整することを可能にし、また、従来の手作業の反復プロセスの処理について以前に可能であったよりも、恐らくさらに多くのエネルギーを許容可能なロッドパターン設計から抽出することを可能にする点で、有益である。さらに、リレーショナルデータベースサーバ250および多数の計算サーバ400の組み込みが、計算を早める。図18Bに述べる反復プロセスは、1回に1つのパラメータを変更し、次に、原子炉炉心シミュレーションを実行する従来技術の手作業の反復プロセスを使用して何週間もかかったことと比較して、非常に短い期間で行われてもよい。
【0134】
これまで、修正ロッドパターンツールは、ユーザまたは設計者が、所望の設計を得るために、GUI230を介してデータを解釈し、表示されたフィードバック(目的関数からのデータ)に基づいて手作業で反復して試験ロッドパターン(したがって、試験原子炉炉心設計)を修正する観点から述べられた。しかし、図18Aおよび図18Bの上述した段階は、最適化プロセスによって実施されてもよい。こうした最適化プロセスは、以降で説明される、修正炉心装荷パターンツールおよび独自の新しい燃料集合体型設計ツールに同様に適用可能である。最適化プロセスは、多数の異なるロッドパターン設計にわたって図18Aおよび図18Bの段階を反復し、違反された限界を絶えず改善して、原子炉炉心内で使用される最適なロッドパターン設計が達成される。
【0135】
図20は、こうしたプロセスを始動するためのスクリーンショットを示す。たとえば、プラントおよび試験ロッドパターンを選択した後に、ユーザは、optimization configurationスクリーン2005を表示してもよい。ユーザは、たとえば、optimize rod patterns、optimioze core flow、およびoptimize sequence intervalsの最適化パラメータ2040を選択してもよい。optimize rod patternsは、所与のシーケンスが原子炉を制御するのに使用されるときの、運転サイクル中の継続時間の間に、制御ロッドグルーピング(シーケンスと呼ぶ)内での個々のロッド(BWR内の制御ロッド)位置の最適な決定を行うことを意味する。ロッド位置は、局所的パワーならびに核反応率に影響を及ぼす。
【0136】
optimize core flowは、運転サイクル中に時間の関数としての原子炉を通って流れる原子炉冷却水流量の最適な決定を行うことを意味する。流量は、全体的な原子炉パワーならびに核反応率に影響を及ぼす。optimize sequence intervalsは、運転サイクル中に原子炉を制御するのに使用される所与のシーケンス(すなわち、制御ロッドグルーピング)の継続時間の最適な決定を行うことを意味する。sequence intervalsは、局所的パワーならびに核反応率に影響を及ぼす。
【0137】
適切な入力デバイス(たとえば、キーボード、マウス、タッチディスプレイなど)を使用して、ユーザは、所与の最適化パラメータ2040に関連する選択ボックス2042内をクリックすることによって、最適化パラメータの1つまたは複数を、GUI230を介して選択してもよい。選択されると、チェックが、選択された最適化パラメータの選択ボックス2042内に現れる。選択ボックス2042内を再びクリックすることは、最適化パラメータを解除する。図20に示すように、反復修正ロッドパターン設計プロセスを最適化するために、ユーザは、optimize rod patterns、optimioze core flow、およびoptimize sequence intervalsについてのボックス2042を選択することになる。
【0138】
メモリ(リレーショナルデータベースサーバ)250はまた、最適化問題に関連する制約パラメータを記憶してもよい。これらのパラメータは、たとえば、限界データベース251に記憶されてもよい。制約パラメータは、1つまたは複数の制約を満たさなければならないか、または、満たすべきである最適化問題のパラメータであり、制約は、上述した限界と同じであってよい。
【0139】
図21は、沸騰水型原子炉炉心設計の最適化問題に関連する最適化制約を列挙する例示的な最適化制約ページのスクリーンショットを示す。図示するように、各最適化制約2150は、それに関連する設計値2152を有する。各最適化制約は、指定された設計値より低くなければならない。ユーザは、目的関数を構成することを考慮して最適化パラメータを選択する能力を有する。ユーザは、最適化制約2150に関連する選択ボックス2154内をクリックすることによって、最適化制約を選択する。選択されると、チェックが、選択された最適化制約2150の選択ボックス2154内に現れる。選択ボックス2154内を再びクリックすることは、最適化制約を解除する。
【0140】
各最適化パラメータは、リレーショナルデータベースサーバ250に記憶される、最適化パラメータに関連する所定のクレジット項およびクレジット重みを有してもよい。同様に、各最適化制約は、限界データベース2251および/または目的関数値データベース257などの、リレーショナルデータベースサーバ250に記憶されることができる、最適化制約に関連する所定のペナルティ項およびペナルティ重みを有する。図21を見てわかるように、ペナルティ項は、設計値を組み込み、ユーザは、所望に応じてこの値を変更する(すなわち、構成する)ことができる。
【0141】
さらに、図21の実施形態は、ユーザが、各最適化制約2150についてのimportance2156を設定することを可能にする。最適化制約についてのimportanceフィールド2158では、ユーザは、取るに足らない、低い、標準的、高い、および、非常に高いのプルダウンオプションを有してもよい。各オプションは、重要性が高ければ高いほど、所定のペナルティ重みが大きくなるように、経験的に決まったペナルティ重みと互いに関係がある。こうして、ユーザは、所定のペナルティ重みのセットの中から選択する。
【0142】
上記選択が終了すると、計算サーバ400は、リレーショナルデータベースサーバ250から上記選択したものを取り出し、先に説明した汎用定義および選択プロセス中に行った選択に応じて目的関数を構成する。結果得られる構成された目的関数は、選択された最適化パラメータに関連するクレジット成分の和と、選択された最適化制約に関連するペナルティ成分の和を足したものに等しい。
【0143】
さらに、この実施形態は、ユーザが、クレジット重みおよびペナルティ重みを処理する方法を選択することを可能にする。たとえば、ユーザは、ペナルティ重みについての、静的、デスペナルティ的、動的、および適応的な可能性のある方法を供給され、クレジット重みについての、静的、動的、および適応的な可能性のある方法を供給され、ペナルティとクレジットの両方の重みについて、相対的に適応的な方法を供給される。よく知られている静的方法は、重みを最初に設定された値に維持する。よく知られているデス方法は、各ペナルティ重みを無限大に設定する。よく知られている動的方法は、重みの変化量および/または変化頻度を決定する数学的表現に基づく、最適化探索内での目的関数の使用過程の間に初期重み値を調整する。よく知られている適応的方法は、同様に、最適化探索過程の間に適用される。この方法では、ペナルティ重み値は、設計値に違反する各制約パラメータについて、周期的に調整される。相対的に適応的な方法は、2002年9月19日に出願された、本出願の発明者等による、「METHOD AND APPARATUS FOR ADAPTIVITY DETERMINING WEIGHT FACTORS WITHIN THE CONTEXST OF AN OBJECTIVE FUNCTION」という名所の米国特許出願第10/246,718号に開示される。
<目的関数を使用した最適化>
図22は、本発明の例示的な実施形態による、目的関数を採用する最適化プロセスのフローチャートを示す。この最適化プロセスは、2002年9月19日に出願された、「METHOD AND APPARATUS FOR EVALUATING A PROPOSED SOLUTION TO A CONSTRAINT PROBLEM」という名称の、同時係属で、かつ、同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/246,716号に開示される。最適化プロセスを記載する’716号出願の関連部分は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
説明だけのために、図22の最適化プロセスは、図1に示すアーキテクチャによって実施されるものとして述べられる。図示するように、段階S2210にて、目的関数は、先行する章で先に説明したように構成され、その後、最適化プロセスが始まる。段階S2212にて、計算プロセッサ400が、リレーショナルデータベース250からシステム入力を取り出すか、または、使用中の最適化アルゴリズムに基づいて最適化問題の入力パラメータ(すなわち、システム入力)について値の1つまたは複数のセットを生成する。たとえば、これらの入力パラメータは、パワー増強運転のための制約または限界基準を満たすために、試験原子炉炉心内のロッドパターン集合体を決定することに関連してもよいが、他の自動化ツール、すなわち、パワー増強運転のための制約または限界基準を満たすために、試験原子炉炉心内に配置するための、炉心装荷パターンおよび/または独自の新しい燃料集合体型を決定するためのツールに関連してもよい。しかし、最適化は、これらのパラメータを使用することに制限されない。それは、サイクル中の時間の関数としての、原子炉内における新しい燃料集合体と露出した燃料集合体の配置、ロッドグループ(シーケンス)の選択、および/または、グループ内での制御ロッド位置の配置に加えて、サイクル中の時間の関数としての炉心流量、原子炉冷却水入口圧などに対して命令されるパラメータなどの他の入力パラメータが使用されるからである。
【0145】
入力パラメータの各値のセットは、最適化問題の候補解である。上述した炉心シミュレータは、シミュレートされた運転を実行し、入力パラメータの各値のセットについてシミュレーション結果を生成する。シミュレーション結果は、最適化パラメータおよび最適化制約についての値(すなわち、システム出力)を含む。これらの値、または、これらの値のサブセットは、目的関数の数学的表現における変数の値である。
【0146】
その後、段階S2214にて、計算プロセッサ400は、目的関数およびシステム出力を使用して、各候補解について目的関数値を生成する。段階S2216にて、計算プロセッサ400は、段階S2214にて生成された目的関数値を使用して、最適化プロセスが解に収束したかどうかを評価する。収束に達しない場合、段階S2218にて、入力パラメータセットが修正され、最適化反復カウントが増加し、処理は段階S2212に戻る。
【0147】
段階S2212、S2216、およびS2218の生成オペレーション、収束評価オペレーション、および修正オペレーョンは、遺伝子アルゴリズム、シミュレーテッドアニーリング、およびタブ探索などのよく知られている最適化アルゴリズムに従って実施される。許容可能なロッドパターン設計(および/または、許容可能な炉心装荷パターン設計あるいは炉心内への配置のための独自の新しい燃料集合体型)を決定するために、最適化が利用されると、最適化は、収束(たとえば、図18Aおよび図18Bの段階S73/S173と同様の許容可能な結果)が得られるまで実行される。
<修正炉心装荷パターンツール>
修正炉心装荷パターンツールは、2003年3月31日に出願され、「Method and Arrangement for Developing Core Loading Patterns in Nuclear Reactors」という名称の、William Earl Russell他に対する、同時係属で、かつ、同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/401,602号に詳細に記載される。ユーザは、試験原子炉炉心について決定された許容可能なロッドパターン設計と共に炉心装荷パターンを実施してもよく、または、ツールは、ブロック600で決定された既存の試験原子炉炉心設計に関して反復されてもよい。ロッドパターンツールに関して述べたように、図5で特定され限界およびサポートする開示において特定された限界、図6からの新しい燃料集合体の所望のインベントリ、図8および図9に述べるように決定された所望の初期試験炉心装荷パターンならびに図10に述べた新しい燃料装荷パターンに従って装荷された試験原子炉炉心設計がシミュレートされる。シミュレーションに関し、図13の唯一の差は、段階S31にて、試験炉心設計について、ロッドパターン(制御羽根シーケンス)の代わりに(または、その加えて)所望の炉心装荷パターンが、3D命令セットに変換されることである。そのため、修正ロッドパターンツールの反復から決定される所望の制御羽根シーケンス(ロッドパターン)は、シミュレートされる試験炉心設計について、所望の炉心装荷パターンについて設定されてもよい(また、3D命令セットに組み込まれてもよい)。
【0148】
同様に図14に述べるように、限界データベース251からの目的関数計算への入力およびシミュレータ結果データベース255からのシミュレーション結果は、1つまたは複数の計算サーバ400によってアクセスされ(段階S41)、目的関数値は、各露出段階の関数として計算され、全体の設計問題について総合される(段階S43)。各制約について計算される計算された目的関数値および露出段階当たりの目的関数値は、総合目的関数値に対する所与の制約のパーセンテージ寄与を提供するために、正規化される(段階S45)。目的関数計算のそれぞれの結果または値は、リレーショナルデータベースサーバ250内のサブルーチン目的関数値データベース257に記憶される(段階S47)。
【0149】
図15に示すように、ユーザは、シミュレーション中に違反された可能性がある限界を指示するデータを提供されてもよい。相応して、このデータに基づいて、ユーザは、その後の反復のために、試験炉心設計の選択された炉心装荷パターンに対して、どんな修正が行われることが必要とされるかについての推奨(複数可)を提供されてもよい。
【0150】
修正ロッドパターンツールに関して先に説明したように、個々の炉心装荷パターン修正は、あるいは、ユーザの好みに委ねられてもよいが、エネルギーにとって有益な移動、エネルギーにとって有害な移動、および(熱限界に対する)過剰マージンの付加的なエネルギーへの変換などの手順上の推奨は、ユーザによってアクセス可能であってよい。所望の炉心装荷パターンを有する試験炉心設計が、限界(クライアント入力のプラント固有制約、設計限界、熱限界など)の全てを満たしても、特定の限界に対する過剰なマージンが、付加的なエネルギーに変換されることを検証してもよい。相応して、以下の論理的ステートメントは、炉心装荷パターンを修正するための上記手順上の推奨を示してもよい。
<エネルギーにとって有益な移動>
・限界パワー比(CPR)マージンが、炉心周辺に向かって低過ぎる場合、反応性が高い(露出の少ない)燃料を炉心中心に向かって移動させよ
・EOCにおいてMFLPD(たとえば、熱マージン制約)がある場合、反応性が高い燃料を問題ロケーションに向かって移動させよ
・BOCにおいて、炉心周辺でシャットダウンマージン(SDM)問題がある場合、反応性が低い燃料を炉心周辺に対して配置せよ
エネルギーにとって有害な移動
・EOCにおいて最小限界パワー比(MCPR)マージンが低過ぎる場合、反応性が低い(露出の大きい)燃料を問題ロケーション(複数可)に移動させよ
・EOCにおいてkW/ftマージン(MAPLHGR)が低過ぎる場合、反応性が低い燃料を問題ロケーション(複数可)に移動させよ
<過剰マージンの付加的なエネルギーへの変換>
・EOCにおいて炉心の中心に余分なMCPRマージンがある場合、反応性が高い燃料を炉心周辺から炉心中心に移動させよ
目的関数計算から得られるデータは、図15および表1に示すように、違反者が表示された状態の制約のリストとして表示されてもよい。ユーザは、一定の制約またはパラメータが炉心設計に及ぼす影響を調べるために、図16および図17Bに示すようにグラフィックディスプレイによってやはり提示されてもよい。たとえば、図17Bにおいて、1740および1750では、囲った四角形は、炉心内のMAPLHGRに対する最大の違反寄与者である燃料集合体を表す(たとえば、1740および1750は、MAPLHGRに違反する集合体を指す)。これは、修正を必要とする可能性がある試験炉心設計内の新しい燃料ロケーションおよび/または露出した燃料ロケーションの指示をユーザに与える。
【0151】
図23Aおよび図23Bは、本発明による、例示的な修正炉心装荷パターンツールによる、炉心装荷パターン修正および反復処理段階を記述するフロー図である。これらの図に述べる機能は、図18Aおよび図18Bと同じであり、そのため、同じ表記が、明確にするために使用されており、差は、以下でより詳細に説明される。
【0152】
修正ロッドパターンツールと同様に、ユーザは、グラフィカルユーザインタフェースGUI230の助けを借りて、この修正サブルーチンの各反復を命令してもよい、または、修正サブルーチンは、多数の炉心装荷パターン設計反復について、シミュレーション、目的関数の計算、および目的関数計算の結果または値の評価を自動的に反復する最適化アルゴリズムの制限内で実施されてもよい。
【0153】
ユーザは、いずれかの限度値が、違反されたかどうかを判定し(段階S71)、限界が違反されない場合、最大パワーの特性が、試験炉心設計についての選択された炉心装荷パターンから得られることを、いずれかの識別子が指示するかどうかを判定する。選択された炉心装荷パターンを有する試験炉心設計から最大パワーが得られたという指示が存在する(段階S72の出力が「はい」となる)場合、許容可能な炉心装荷パターン設計が、決定され、ユーザは、許容可能な設計に関連する結果およびデータの報告にアクセスしてもよい(段階S73)、かつ/または、修正の独自の新しい燃料集合体型設計ツール内で、かつ/または、修正ロッドパターンツールへの入力として選択された炉心装荷パターンを使用してもよい(段階S78)。
【0154】
限界が違反される(段階S71の出力が「はい」となる)か、または、限界は違反されないが、炉心装荷パターン設計から、最大パワーが得られなかった(段階S72の出力が「いいえ」となる)場合、ユーザは、新しい燃料集合体の数の修正が必要とされることを、特性が指示するかどうかを判定する(段階S74)。新しい燃料集合体の番号を修正する必要性を指示する特性は、エネルギー不足、許容可能なエネルギーに関するマージン不足、および/または、停止時のデータ変更による反応性の喪失を含んでもよい。さらに、炉心装荷パターン設計変更のいくつかの反復が試みられ、目的関数に対して実際の改善がなかった場合、これは、代替の炉心装荷パターン設計が、調査される必要があるというさらなる指示である。
【0155】
相応して、段階S74の出力が、はい、である場合、ユーザは、必要とされる新しい燃料集合体の番号を再評価し、炉心対称性についての要求に応じて集合体の数を切り捨て、改定された、または、派生した試験炉心装荷パターンに従って炉心に装荷することによって、修正された、または、派生した炉心装荷パターン設計を作成してもよい(段階S75)。段階S75は、一般に、図6の段階604〜607に相当する。
【0156】
新しい燃料集合体数を修正する必要性を指示する特性が存在しない(段階S74の出力が「いいえ」となる)場合、ユーザは、派生した炉心設計を作成するために、試験炉心設計を修正してもよい(段階S76)。上述した手順上の推奨に基づいて試験炉心装荷パターンに対する修正を行う際、ユーザは、GUI230を介して炉心装荷パターンを変更してもよい。
【0157】
たとえば、適当な入力デバイス(マウス、キーボード、タッチスクリーン、音声コマンドなど)およびGUI230を使用して、設計者は、ユーザが移動したいと思う、炉心設計における露出した(または、新しい)燃料集合体(複数可)についての炉心対称性オプションを特定してもよく、「目標の」露出した燃料集合体(複数可)を選択してもよく、目標の露出した(または、新しい)燃料集合体(複数可)によって置き換えるために、炉心設計において「行き先の」露出した(または、新しい)燃料集合体を選択してもよい。目標および行き先集合体は、必要とされる対称性(鏡像、回転など)に応じて「シャフリング」されてもよい。所望の方法で、修正された、または、派生した試験炉心設計を再装荷することを必要とされるこのプロセスは、露出した(または、新しい)燃料集合体シャフルについて繰り返されてもよい。
【0158】
図24は、本発明の例示的な実施形態による、図23Aの修正段階S76をさらに詳細に示すスクリーンショットである。図24は、試験炉心設計の炉心装荷パターンに対する迅速な設計修正を行うために、ユーザに利用可能な機能を示す。ユーザは、fuel shufflingページ2405を選択し、炉心設計のある部分のスクリーン2415を表示するために、「bundle shuffle」タスクバー2410を選択してもよい。図13では、2420で選定された露出した燃料集合体は、1つの燃料集合体型(IAT型11)から別の型(IAT型12)へ変更される。ある例では、露出した燃料集合体は、炉心設計において新しい燃料集合体を選択し、「SWAP」ボタン2430を選択することによって、新しい燃料集合体と交換されてもよい。スクリーン2425に示す炉心の部分は、露出した燃料集合体と新しい燃料集合体のそれぞれの種々の露出(GWD/st)を示すために、色別されてもよい。対応する色別されたキーは、たとえば、2427で指示するように表示されてもよい。図24におけるアイテムの選択は、マウス、キーボード、タッチスクリーン、音声起動式コマンドなどのような適当な入力デバイスを介して可能であってよい。
【0159】
これらの炉心装荷パターン設計修正は、たとえば、3Dシミュレータ入力パラメータデータベース259などのリレーショナルデータベース250にセーブされてもよい。再び図23Aを参照すると、試験炉心装荷パターンが、段階S75またはS76に述べるように修正されたかどうかによらず、派生した炉心設計が、全ての限界を満たすかどうかを判定するために、段階S30〜S50が繰り返される(段階S77)。これは、反復プロセスになってもよい。
【0160】
図23Bは、本発明の例示的な実施形態による反復プロセスを示す。シミュレートされた段階S70からのそれぞれの派生した炉心装荷パターン設計について、シミュレートされたそれぞれのロッドパターン設計について、シミュレートされた結果と限界(たとえば、計算された目的関数値)との比較に関連するいずれかのデータが、限界違反が存在することを依然として指示するかどうかを、ユーザが判定する(段階S160)。指示しない(段階S160の出力が「いいえ」となる)場合、ユーザは、特定の原子炉で使用することができる許容可能な派生した炉心装荷パターン設計を生成しており、許容可能な炉心装荷パターン設計に関連するグラフィック結果にアクセスし(段階S73)、かつ/または、修正の独自の新しい燃料集合体型設計ツール内で、かつ/または、修正ロッドパターンツールへの入力として、選択された派生した炉心装荷パターンを使用してもよい(段階S78)。
【0161】
限界が違反されていることを、反復が依然として指示する(段階S160の出力が「はい」となる)場合、段階S70の修正サブルーチンは、全ての限界が満たされる/最大パワーが得られるか、または、全ての限界が、許容可能なマージン内で満たされる/最大パワーが、許容可能なマージン内で得られると、ユーザが判定するまで、反復して繰り返されてもよい(段階S170)。反復プロセスは、ユーザが、炉心装荷パターン設計を微調整することを可能にし、また、従来の手作業の反復プロセスの処理について以前に可能であったよりも、恐らくさらに多くのエネルギーを許容可能な炉心装荷パターン設計から抽出することを可能にする点で、有益である場合がある。さらに、リレーショナルデータベースサーバ250および多数の計算サーバ400の組み込みが、計算を早める。図23Bに述べる反復プロセスは、1回に1つのパラメータを変更し、次に、原子炉炉心シミュレーションを実行する従来技術の手作業の反復プロセスを使用して何週間もかかったことと比較して、非常に短い期間で行われてもよい。
【0162】
図18Aおよび図18Bの修正ロッドパターンツールに関して述べるように、図23Aおよび図23Bの機能は、原子炉炉心内で使用するために、全てのユーザ限界および制約を満たす所望の炉心装荷パターン設計に向かって常に改善しようとして、N個の異なる炉心装荷パターン設計にわたって反復されてもよい。
【0163】
再び図20を参照すると、反復的炉心装荷パターンプロセスを最適化するために、ユーザは、optimize fuel loadingパラメータ用のボックス2042をチェックすることになる。optimize fuel loading選択は、1回燃焼した燃料と2回燃焼した燃料の最適な決定を行うことを意味する。
【0164】
図21に示すように、ユーザは、所与の最適化制約2150に関連する所望の最適化制約(ボックス2152)を選択してもよく、また、上述した各最適化制約2150についてimportance2156(取るに足らない、低い、基準、高い、および、非常に高い)を設定してもよく、importance2156は、重要性が高ければ高いほど、所定のペナルティ重みが大きくなるように、経験的に決まったペナルティ重みと互いに関係がある。
【0165】
上記選択が終了すると、計算サーバ400は、リレーショナルデータベースサーバ250から上記選択したものを取り出し、先に説明した汎用定義および選択プロセス中に行った選択に従って目的関数を構成する。結果得られる構成された目的関数は、選択された最適化パラメータに関連するクレジット成分の和と、選択された最適化制約に関連するペナルティ成分の和を足したものに等しい。
【0166】
先に説明したように、上記 ’718号出願に開示するように、ユーザは、ペナルティ重みについての、静的、デスペナルティ的、動的、および適応的な可能性のある方法を選択し、クレジット重みについての、静的、動的、および適応的な可能性のある方法を供給され、ペナルティとクレジットの両方の重みについて、相対的に適応的な方法を供給されてもよい。相応して、図22の最適化プロセスは、その後、許容可能な派生した炉心装荷パターン設計を決定するように進んでもよい。
<独自の新しい燃料集合体型設計ツール(Nストリーミング)>
修正炉心装荷設計ツールからの許容可能な炉心装荷パターンおよび修正ロッドパターン設計ツールからの許容可能なロッドパターンの一方または両方に基づいて、独自の新しい燃料集合体型設計ツールが反復されて、所望のパワー増強炉心設計のために使用することができる(新しい燃料集合体インベントリから利用可能な)新しい燃料集合体の異なる型および/またはロケーションが決定されてもよい。あるいは、ユーザは、ブロック600で決定された元の試験炉心設計を使用してこのツールを実施して、設計における新しい燃料集合体型の設置および構成を決定し、この設計を、修正炉心装荷パターンツールおよび/または修正ロッドパターンツールの一方または両方に出力してもよい。
【0167】
独自の新しい燃料集合体型設計ツール、以降で、便宜のために「Nストリーミングツール」は、2002年12月23日に出願された、「Method and Arrangement for Determining Nuclear Reactor Core Designs」という名称の、David J.Kropaczek他に対する、同時係属で、かつ、同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/325,831号に詳細に記載される。このツールは、パワー増強炉心設計のためにN個の独自の新しい燃料集合体型を決定するようになっている。Nストリーミングについての試験炉心設計を生成するための運転のシーケンスは、図5〜11に述べるシーケンスからのわずかの修正であるが、試験炉心設計は、図13によりシミュレートされ、目的関数値は、図14により計算される。
【0168】
シミュレーションに関し、図13の差は、段階S31にて、試験炉心設計が、3D命令セットに変換される新しい燃料集合体型の一定の独自のサブセットを組み込むことである。さらに、修正ロッドパターンツールの反復から決定された所望の制御羽根シーケンス(ロッドパターン)(およびベース炉心装荷パターン、1回燃焼した燃料集合体と2回燃焼した燃料集合体の配置および構成、ならびに、評価される独自のサブセット以外の新しい燃料集合体型)が、シミュレートされる試験炉心設計について、試験原子炉炉心設計のために設定されてもよい(また、3D命令セットに組み込まれてよい)。
【0169】
図25は、本発明の例示的な実施形態による、Nストリーミングツールの機能を示すフローチャートである。図11に述べるように、原子炉プラントは、段階S5にて評価のために選択され、選択されたプラントの試験ロッドパターン設計についてのシミュレーションで使用される限界が定義される(段階S10)。これらの段階は、入力ブロック500の機能によって以前に実行されているが、本明細書では明確にするために、再反復される。図5で先に示したように、シミュレーションへの入力変数に関する限界、および、シミュレーション結果に関する限界として構成することができるクライアント入力のプラント特定制約が、シミュレーションについて設定される。
【0170】
初期の新しい燃料装荷パターンを有する試験炉心設計は、その後、選択された原子炉について生成される(段階S15)。たとえば、履歴の炉心装荷パターン設計データベース254がアクセスされて、定義された限界に最も適合する履歴の原子炉炉心設計が見出されてもよい。履歴の炉心設計は、同じ炉心サイズとパワー出力定格であり、同じサイクルエネルギーを有し、選択された原子炉プラントについて生成された炉心設計に対して同じ運転性能特性を有する場合に、適合性がある可能性がある。
【0171】
基本として同じ履歴の設計を使用し、図6に述べるのと同様に、履歴の炉心の総エネルギー含有量が計算され、必要とされるエネルギー含有量(たとえば、たとえば、顧客要件に基づく、決定された炉心設計からの所望のエネルギー出力)からの差が定義されてもよい。履歴の炉心のエネルギーと所望されるエネルギー含有量との差は、新しい燃料アセンブリの装荷によって供給されるべきである。
【0172】
こうして、基準炉心設計を生成するために、ユーザは、生成される原子炉炉心設計について、エネルギー要件(複数可)(限界内に含まれてもよい)を最もよく満たす可能性がある、基準炉心設計用の新しい燃料集合体型(複数可)を選択すべきである(段階S20)。集合体設計は、以前に作成され、モデル化されたいろいろな新しい燃料集合体設計(またはNストリーム)を提供する新しい燃料集合体設計データベース252から選択されてもよい。
【0173】
図26は、「Nストリーミング」という名称の集合体選択ウェブページ2600のスクリーンショットを示す。ユーザは、モデム、キーボード、ポインタなどのような適当な入力デバイスを使用して、GUI230を介して、ページ2600を提示してもよい。複数の選択可能な新しい燃料集合体型2605が、表示されてもよい。これらの集合体型2605は、以前にモデル化されたため、これらの集合体型2605の性能に関する情報は、ユーザが即座に利用可能である。ユーザは、その後、ボックス2610をクリックすることによって、基準炉心設計の装荷パターンで使用される所望の集合体型を選択してもよい。
【0174】
新しい集合体型が選択されると、図6の段階606に述べるように、炉心装荷対称性が反映される。その後、試験炉心設計内の1つまたは複数のその時の新しい燃料集合体が、反復改善プロセス中に、選択可能な新しい燃料集合体2605の1つまたは複数と置き換えられてもよい(段階S25)。選択は、GUI230を介して実施されてもよく、各集合体の性能特性の概要をユーザに提供する。「Nストリーミング」(選択された新しい燃料集合体)が定義されると、段階S25およびS30によって述べたルーピングプロセスが始動し、それにより、置換えの体系的プロセスおよび新しい燃料集合体についての解析が実施される。
【0175】
ある例では、最も外側のレベル(「外側ループ」)で、その時の基準炉心設計内のそれぞれの新しい燃料ロケーションが、シーケンスで調査される。「調査される」ことによって、原子炉炉心運転は、それぞれの特定の独自の新しい燃料装荷パターンを有する試験炉心設計について、図13に述べるのと同様にシミュレートされ(段階S30)、Nストリーム(独自の燃料集合体)の性能特性が、再検討されて、試験(または、派生した)炉心設計が、生成される原子炉炉心設計について、パワー増強エネルギー要件(複数可)を最もよい満たす可能性があるかどうかが判定される。最も内側のレベルで、ページ2600から選択されたそれぞれの「置換えの」新しい燃料集合体2605は、各燃料ロケーションで調査される(段階S35)。このプロセス中に、基準炉心設計内のその時の新しい燃料集合体は、それぞれの新しい「Nストリーミングの」新しい燃料集合体2605に置き換えられる。
【0176】
先に説明したように、原子炉運転は、複数のシミュレートされた結果または出力を生成するように、選択された新しい燃料集合体の1つまたは複数を含む試験炉心設計に関してシミュレートされる(段階S30)。置換えおよびシミュレーションの反復段階は、全ての選択された新しい燃料集合体が、各燃料ロケーションに挿入され、それぞれの派生した炉心設計が、シミュレートされる(たとえば、段階S35の出力が、はい、となる)まで繰り返される(段階S35の出力が、いいえ)。したがって、新しい燃料ロケーションのそれぞれへの全ての選択された新しい燃料集合体2605の置換は、内部ループおよび外部ループを出ることによって終了する。
【0177】
上述した反復改善プロセスは、ユーザが、炉心設計について新しい燃料装荷パターンを微調整することを可能にし、また、従来の手作業の反復プロセスの処理について以前に可能であったよりも、恐らくさらに多くのエネルギーを許容可能な炉火設計から抽出することを可能にする点で、有益である場合がある。さらに、リレーショナルデータベースサーバ250および多数の計算サーバ400の組み込みが、計算を早め、処理時間を、何週間の代わりに何時間へと減少させる。
【0178】
シミュレーションからの出力は、図14に述べるように、限界に基づいてランク付けされる(段階S40)。ユーザは、所望であれば、出力のそれぞれに関連するデータを表示してもよい。これによって、たとえば、改善が存在したかどうか、定義された限界を超えないか、または、一定のエネルギー要件を満たすことによって、改善された出力が定義されてもよいかどうかを判定するための、基準炉心設計に対する比較をユーザが行うことが可能になる。
【0179】
一番上にランク付けされた出力が、改善された出力である(段階S50の出力が、はい、となる)場合、その最も高くランク付けされた出力に相当する炉心設計が、新しい炉心設計として設定され(段階S80)(また、設計を改良するために、炉心装荷ツールまたはロッドパターンツールの反復について入力されてもよい)、結果は、シミュレータ結果データベース255などのリレーショナルデータベースサーバ250に記憶される(段階S90)。これは、反復改善プロセスの単一の反復を遂行する。
【0180】
段階S25、S30、S40、およびS50(段階S30〜S90を含む)が、繰り返され(たとえば、N反復)、それぞれの「改善された出力」が、その後の反復についての新しい基準炉心設計になる。定義された限界は、N反復のそれぞれの基準炉心設計に適用可能である。所与の反復について、一番上にランク付けされた出力の改善が存在しない場合、反復プロセスが終了し、その時点で基準炉心設計に関するデータは、一番上にランク付けされた設計であるため、ユーザによって表示され、解釈されてもよい(段階S60)。データはまた、シミュレートされた炉心内のどのロケーションが、最大の違反者か、または、限界違反に対する最大の寄与者であったかをユーザに提供してもよい。段階S60では、ユーザは、図18Aおよび18Bならびに23Aおよび23Bで述べるものと同じ修正サブルーチンを始動したいと思う(段階S70)。ある例では、これは、任意選択の段階であることができる。それは、許容可能なパワー増強炉心設計を達成するために、新しい燃料集合体のロケーションおよび/または構成を微調整することを除いて、増強パワー炉心設計のためのロッドパターンおよび炉心装荷パターンが、既に、決定され、設定されているかもしれないからである。
【0181】
修正ロッドパターンツールおよび修正炉心装荷ツールに介して先に説明したように、手順上の推奨は、ユーザによってアクセス可能であってよい。新しい燃料集合体の所望のNストリームを有する試験炉心設計が、たとえ、限界(クライアント入力のプラント固有の制約、設計限界、熱限界など)の全てを満たしても、ユーザは、特定の限界に対する過剰なマージンが、付加的なエネルギーに変換されることを検証してもよい。相応して、以下の論理的ステートメントは、試験のまたは派生した炉心設計について新しい燃料装荷パターンを修正する上記手順上の推奨を示してもよい。
<エネルギーにとって有益な移動>
・限界パワー比(CPR)マージンが、炉心周辺に向かって低過ぎる場合、反応性が高い燃料を炉心中心に向かって移動させよ
・サイクルの終了(EOC)においてNEXRAT(ノーダル露出比、熱マージン制約)がある場合、反応性が高い(たとえば、露出の少ない)燃料を問題ロケーションに向かって移動させよ
・サイクルの開始(BOC)において、炉心周辺でシャットダウンマージン(SDM)問題がある場合、反応性が低い燃料を炉心周辺に対して配置せよ
<エネルギーにとって有害な移動>
・EOCにおいてCPRマージンが低過ぎる場合、反応性が低い燃料を問題ロケーションに移動させよ
・EOCにおいてkW/ftマージンが低過ぎる場合、反応性が低い燃料を問題ロケーションに移動させよ
<過剰マージンの付加的なエネルギーへの変換>
・EOCにおいて炉心の中心に余分なCPRマージンがある場合、反応性が高い燃料を炉心周辺から炉心中心に移動させよ
目的関数計算から得られるデータは、図15および表1に示すように、違反者が表示された状態のリストとして表示されてもよい。ユーザは、一定の制約またはパラメータが独自の新しい燃料装荷パターンを有する炉心設計に及ぼす影響を調べて、修正を必要とする可能性がある、試験炉心設計内の新しい燃料ロケーションの指示をユーザに与えるために、図16および図17Bに示すようにグラフィックディスプレイによってやはり提示されてもよい。
【0182】
図27Aおよび図27Bは、本発明によるNストリーム(独自の新しい燃料集合体型)の修正を記述するフロー図である。これらの図に示す機能は、図18Aおよび18Bまたは23Aおよび23Bと同じであり、そのため、同じ表記が、明確にするために使用されており、差は、以下で詳細に説明される。
【0183】
先に説明したように、ユーザは、グラフィカルユーザインタフェースGUI230の助けを借りて、この修正サブルーチンの各反復を命令してもよく、または、修正サブルーチンは、多数の炉心装荷パターン設計反復について、シミュレーション、目的関数の計算、および目的関数計算の結果または値の評価を自動的に反復する最適化アルゴリズムの制限内で実施されてもよい。
【0184】
図27Aを参照すると、段階S60にて、データを解釈することによって、ユーザは、修正サブルーチンを始動したいと思う場合がある(段階S70)。こうした場合、元の試験炉心設計は、許容可能な設計ではないことになり、違反されないはずである一定の限界が、各反復に関して依然として違反される場合にそうであるように、反復改善プロセスが、許容可能な炉心設計をユーザに提供することができない場合に、修正サブルーチンが必要とされる場合がある。
【0185】
修正ロッドパターンツールおよび修正炉心装荷ツールの場合と同様に、ユーザは、グラフィカルユーザインタフェースGUI230の助けを借りて、この修正サブルーチンの各反復を命令してもよく、または、修正サブルーチンは、多数の炉心装荷パターン設計反復について、シミュレーション、目的関数の計算、および目的関数計算の結果または値の評価を自動的に反復する最適化アルゴリズムの制限内で実施されてもよい。
【0186】
ユーザは、表示されたデータに基づいて、いずれかの限界が違反されたかどうかを判定する(段階S71)。限界が違反されない場合、ユーザは、最大エネルギーの特性が、炉心設計から得られること(すなわち、サイクル延長のためのプルトニウム発生を最大にするためにロッドを炉心内により深く押し込むことによる、あるいは、最小EOC固有値が、燃料サイクルについて使用される炉心設計について得られる(固有値探索)か、または、所望のサイクル長が、固定EOC固有値で決定される場合の、良好な熱マージン(MFLCPRおよびLHGRに関するマージンなど)の利用の指示)を、いずれかの識別子が指示するかどうかを判定する。
【0187】
最大エネルギーが、炉心設計から得られたという指示が存在する(段階S72の出力が、はい、となる場合、所望の新しい燃料装荷パターンを有する許容可能な炉心設計が決定され、ユーザは、炉心設計に関する結果の報告にアクセスしてもよい(段階S73)、かつ/または、修正ロッドパターン設計ツール内で、かつ/または、修正炉心装荷パターンツールへの入力として選択された新しい燃料装荷パターンを使用してもよい(段階S78)。
【0188】
限界が違反される(段階S71の出力が「はい」となる)か、または、限界は違反されないが、炉心設計から、最大エネルギーが得られなかった(段階S72の出力が、いいえ、となる)場合、ユーザは、新しい燃料装荷パターン修正が、その時の基準炉心設計に対して行われるかを判定する(段階S74)。新しい燃料装荷パターンに対して修正を行う際、また、上記からの推奨に基づいて、ユーザは、移動される、試験炉心設計内の潜在的な新しい集合体(複数可)の集合体対称性オプションを特定し、「目標の」新しい燃料集合体(複数可)、目標の集合体(複数可)が移動される行き先(複数可)を選択することによって、図24に述べるように、GUIを介して新しい集合体装荷を変更してもよい。特定された目標の集合体は、その後、必要とされる対称性(鏡像、回転など)に応じてシャフリングされる。このプロセスは、炉心基準パターンを所望の方法で再装荷することを必要とされる、新しい集合体シャフルについて繰り返されてもよい。さらに、試験炉心設計修正は、たとえば、シミュレータ入力パラメータデータベース259にセーブされてもよい。
【0189】
ユーザは、設計修正を組み込む段階S30〜S50(段階S75)を繰り返してもよい。結果得られる最も高くランク付けされた出力は、新しい基準炉心設計を確立し、新しい基準炉心設計から、図25の反復改善プロセスが繰り返されてもよい。換言すれば、段階S30〜S50は、派生した炉心設計が、全ての限界を満たすかどうかを判定するために繰り返されてもよい(段階S75)。これは、先に述べたように反復プロセスになる場合がある。
【0190】
図27Bを参照すると、段階S70の修正サブルーチンは、全ての限界が満たされるか、または、全ての限界が、許容可能なマージン内で満たされると、ユーザが判定するまで、反復して繰り返される(段階S170)。図27Aおよび図27Bの機能は、原子炉炉心内で使用するために、全てのユーザ限界および制約を満たす所望の新しい燃料パターン設計に向かって常に改善しようとして、N個の異なる新しい燃料装荷パターン設計にわたって反復されてもよい。露出した燃料およびロッドパターンのための炉心装荷パターンが、パワー増強運転のための限界を満たすように設定されたと仮定すると、この微調整は、所望の新しい燃料装荷パターンを決定し、所望の新しい燃料装荷パターンは、露出した燃料およびロッドパターン設計によって、図4のブロック1100において顧客に報告されるパワー増強炉心設計を生成することができる。
【0191】
再び図20を参照すると、反復的なNストリーミングプロセスを最適化するために、optimal fuel loadingパラメータおよびoptimize bundle selectionパラメータについてボックス2042をチェックし、図21に述べるように、所望の最適化制約2150を選択し、各最適化制約2150について重要性を設定することになる。上記選択が終了すると、計算サーバ400は、リレーショナルデータベースサーバ250から上記選択したものを取り出し、先に説明した汎用定義および選択プロセス中に行った選択に応じて目的関数を構成し、図22による最適化プロセスは、その後、所望の新しい燃料装荷パターンを有する許容可能な派生した炉心設計を決定することに進んでもよい。
【0192】
相応して、Nストリーミングツールは、任意の数または組合せの新しい燃料集合体装荷パターン設計(たとえば、「N」ストリーム)が、パワー増強運転のためにユーザによって入力された複数の限界または制約を満たす許容可能な炉心設計を決定するために、利用されることを可能にする。こうして決定されたパワー増強炉心設計は、たとえば、新しい燃料集合体のN個の新しい解を含んでもよい。
【0193】
通常、多くて、1つまたは2つの新しい燃料集合体型(すなわち、1つまたは2つのストリーム解)を利用する、現行の原子炉炉心設計と対照的に、新しい燃料集合体のロケーションおよび型についての任意の数または組合せの新しい燃料集合体装荷パターン設計(たとえば、「Nストリーム」)は、炉心設計において、配置のための所望の新しい燃料集合体を決定するために利用されてもよい。ある例では、Nストリーミング法は、N個の独自の新しい燃料集合体型(Nストリーム)を用いて、パワー増強運転のための限界および/または制約を満たす炉心設計を決定するために使用されてもよい。ここで、Nは、少なくとも2つの独自の新しい燃集合体型(N=2)に等しいか、または、それを超える。
【0194】
相応して、先に述べたように、ロッドパターン、炉心装荷パターン、および独自の新しい燃料集合体型設計ツールは、それぞれ、ユーザによって順次に、かつ/または、同時に反復されてもよく、また、全てのロッド(制御羽根)、露出した燃料集合体、および/または、新しい燃料集合体型の変更が、試験炉心設計において尽くされる、かつ/または、所与の「候補の」修正された試験炉心設計が、パワー増強運転について設定された限界または制約のそれぞれを満たすまで、他のツールの1つまたは両方にフィードバックを提供することができる。
【0195】
各自動化ツールについて、入力された限界または制約を基準にして試験炉心設計を評価するための、選択された自動化ツールの動作または反復は、制約を基準にした比較のため、複数のシミュレーション結果を生成するために、制約(パワー増強運転のための限界または目標を含む)に基づくシミュレーションを実施することを含む。シミュレーション中に試験炉心設計によって違反された制約を指示するデータは、炉心設計において、ロッドパターン炉心装荷パターンおよび/または独自の新しい燃料集合体型構成の1つまたは複数を修正するための、手順上の推奨を伴ってもよい。自動化ツールの1つ、一部、または、全ては、実施され、パワー増強運転についての全ての制約を満たす試験炉心設計が決定されるまで、反復して繰り返される。そのため、この設計は、許容可能なパワー増強炉心設計を示す。
【0196】
先に説明したように、比較は、目的関数を使用して各出力について対応する目的関数値を生成するように、目的関数を構成することを含む。目的関数値は、出力のうちのどれが、限界に違反するか判定するために、制約に基づいて評価される。手順上の推奨に基づいて、かつ/または、ユーザ自身の選択によって、ユーザは、その後、派生した原子炉炉心設計を作成するために、GUI230を介して、試験炉心設計を修正してもよい。修正は、制御羽根配置(修正ロッドパターン設計ツール)、露出した燃料配置(修正炉心装荷パターン設計ツール)、新しい燃料集合体型構成および配置(Nストリーミング設計ツール)に対して行われ、所与の派生した試験炉心設計において性能改善が存在するかどうかを評価するために、シミュレーションが繰り返される。
【0197】
再び図4を参照すると、全てのツールが反復され、かつ、全てのロッド(制御羽根)、露出した燃料集合体、および新しい燃料の集合体の変更が、尽くされた後、ブロック500からの1つまたは複数の限界が依然として満たされない場合、ユーザは、図8および図9に述べる新しい露出した燃料装荷パターンに従ってブロック600において装荷し、試験炉心を装荷するための、露出した燃料に対する大域的な変更を行うことを要求される場合がある。先に説明したように、ブロック700の全ての修正が尽くされた後に、限界違反が依然として存在する場合、ユーザは、ブロック600に戻り、燃料プールインベントリから全ての露出した燃料集合体が使用されたかどうかを評価してもよい。ユーザは、図8および図9に述べる、炉心設計において再装荷されることになる露出した燃料集合体を変更し、たとえば、図9のフィルタウィンドウによって、燃料プールからの異なる組合せの露出した燃料集合体にアクセスしてもよい。
【0198】
ブロック500からの1つまたは複数の限界が、依然として満たされない場合、ユーザは、炉心装荷ブロック600のプロセスへ戻るように命令され、既存のインベントリから選択された、異なる、露出した燃料集合体および/または新しい燃料集合体の挿入のためのテンプレート内のロケーションを変更するために、露出した燃料集合体および新しい燃料集合体の配置を変更することを含んで、元の燃料装荷テンプレートを修正してもよい。これらの変更が行われると、修正されたまたは派生した炉心設計は、全ての限界が満たされる、かつ/または、ユーザによって決定された限界に対する許容可能なマージン内になるまで、ブロック700の自動化ツールの1つ、一部、または、全てを使用して再評価されてもよい。
【0199】
ユーザによって実施される例示的な方法が、限界を満たす、かつ/または、限界に対する許容可能なマージン内になる許容可能なパワー増強炉心設計を生成し、かつ、ユーザが、ブロック1100において、許容可能なパワー増強炉心設計に相当するデータおよび設計パラメータを(たとえば、適切な報告およびグラフィック表現を介して)受け取った場合、NRCが認可する要件を満たす所望の増大した熱出力を達成するために、プラントオペレータおよび/または要員は、次に予定される停止時に、許容された設計に従って、評価される実際の原子炉炉心を修正してもよい。
【0200】
しかし、ユーザまたは設計者は、最新の実際の炉心運転条件を使用して、設計を微調整し、実施態様ブロック1200において、炉心の各サイクルおよび全てのサイクルを試験したいと思う場合がある。実施態様ブロックの機能は、実際の条件および限界を得るための、露出アカウンティングプロセス(炉心トラッキングルーチンと呼ぶ)を実施すること、パワー増強のための限界に対する改定されたマージンを決定するために、許容されたパワー増強炉心設計を使用して改定されたマージン解析を実施することとして理解されてもよい。改定されたマージンならびに実際の運転条件および限界は、「オンライン運転最適化ルーチン」に組み込むことができる。この後者の機能は、修正ロッドパターンツールおよび関連するシミュレーション、目的関数を使用した評価、ならびに、図22の最適化ルーチンを使用してロッドパターンを修正する反復を組み込む。これらの機能は、既に述べられたため、実施態様ブロック1200の炉心トラッキング機能および改定されたマージン決定機能の概要に注意が向けられる。
<炉心トラッキング>
図28は、炉心トラッキング機能をより詳細に示すフロー図である。通常、評価される原子炉プラントのプロセスコンピュータは、毎日など、特定の時刻に炉心からのデータを記録するプロセスコンピュータを有する。この記録されたデータは、使用される炉心監視プログラムに応じて特定のフォーマットで露出アカウンティングファイル(テキストファイル)に書き込まれる。知られている炉心監視プログラムは、2つの主要なフォーマット、3DMフォーマットおよびPowerPlexフォーマットを使用する。
【0201】
この炉心監視機能に従って、これらの露出アカウンティングファイルは、リレーショナルデータベースサーバ250内のメモリ(すなわち、所望位置)に記憶するために、プラントのプロセスコンピュータからファイアウォールを通してシステム1000内のドロップボックスまたはコンピュータ(ホストプロセッサ210など)に送出されてもよい。プラントの各サイクル(その時までの履歴)についての露出アカウンティングファイルは、サーバ250内の大域的露出アカウンティングデータベースなどの、サーバ250におけるアクセスのために記憶されてもよい。
【0202】
ここで図28を参照すると、ユーザは、適当な入力デバイス(マウス、キーボード、タッチスクリーン、音声コマンドなど)およびGUI230を使用して、ユーザによる炉心トラッキングオペレーションを始動し(2810)、たとえば、ウェブページ上で所与のアイコンを選択することによって、対象となるプラントについて新しい露出アカウンティングを選択してもよい(2820)。ユーザは、質問されて、新しい露出アカウンティング事例が作成される(2830)。2830にて、新しいダイアログが、ディスプレイ上に現れる場合があり、ユーザは、プロンプト表示によって、サイクル数、サイクル開始日などの入力を入力し、ラップアップオペレーションを始動するように指示され、ラップアップオペレーションにおいて、プラントからの全てのサイクルを含むラップアプファイルは、サーバ250の露出アカウンティングデータベースからユーザがアクセスするための一時的なディレクトリにコピーされる。新しいサイクルID方策IDが、新しい事例について作成されてもよく、入力からの情報は、データベースに書き込まれる。新しい露出アカウンティング事例は、露出データをいつでも受け入れることができる。
【0203】
ユーザは、その後、対象となるサイクルの事例について露出アカウンティングファイルを選択する。各ファイルは、順番に処理されてもよい。2840にて、ユーザは、プロンプト表示によって、露出アカウンティングファイルを追加し、所望のファイルを選択しアップロードするために、一時的なディレクトリをブラウジングするように指示されてもよい。
【0204】
各ファイルは、その後、分解され(2850)、分解されるか、または、抽出されたデータは、露出アカウンティングデータベースに送出される。全てのファイルは、エラー無しでは分解されない、そのため、どのファイルが、分解オペレーションでエラーを受けたか、また、そのエラーの理由についてユーザに知らせるエラーチェックルーチンが存在する。たとえば、分解オペレーションでは、各露出からの分解されたデータは、ソーティングおよびエラーチェックを可能にするためにメモリに保持される。以下の例示的なアカウンティングデータが読み取られる。アカウンティングデータは、炉心名、日時、パワー、流量、下位冷却、炉心ドーム圧、MFLCPR、MFLPD、およびMAPRAT(MAPLHGR)などの局所的パワーレンジモニタ用の測定データ、制御羽根(ロッド)の位置、軸方向相対パワー(炉心平均半径方向パワー分布)、ならびにフィードウォータ流量を含むが、それに限定されない。
【0205】
分解された露出データは、露出によってソーティングされ、以下のもの、すなわち、(i)正しいプラントからの全ての露出、(ii)正しいサイクルからの全ての露出、(iii)日付けと露出は常に増加する、(iv)露出はEOC日より遅くない、(v)露出ファイル名は既に存在しない、(vi)付加的なエラーチェック(チェックサム)をチェックされる。エラーが見出されないとき、分解されたデータは、データベースに書き込まれるが、サーバ250にコピーされるため、GUI230を介して閲覧できる。
【0206】
シミュレーションは、その後、単一露出アカウンティングファイルの分解されたデータを使用して、許容可能なパワー増強炉心設計を使用して実行され((2860)、この例では、PANACシミュレータである)、サーバ250の露出アカウンティングデータベースに記憶される(2870)。シミュレーションから出力されたデータは、GUI230を介してユーザによって読み取られ(2880)、その後、次のファイルがアップロードされ(2890)、2830〜2880のルーチンを伴う。相応して、炉心トラッキング機能は、所与の対象となるサイクルの全ての露出からのアカウンティングデータが、サーバ250に記憶されることを可能にする。
<増強炉心設計のための限界に対するマージンを改定すること>
従来、運転限界に対する所与のオンラインマージン(実際のプラント)と所与のオフラインマージン(対象となる実際のプラントについてシミュレートされる仮想のまたはモデル化された炉心)との差の決定が存在する。以降で使用するように、運転限界は、熱、反応性、および/またはパワーに関連する運転限界のことを言う。これらの差は、トラブルの無い運転を確実にするために、プラントオペレータが、運転限界に対する付加的なマージンを要求するようにさせる。
【0207】
付加的なマージンは、通常、運転パラメータに対して変更を行うことによって、かつ/または、異なるロッドパターンの位置決めを選択することによって得られる。しかし、こうした変更のコストは、通常、パワーまたは燃料サイクル効率の喪失となる。さらに、「必要とされるより大きな」マージン要件は、プラントに悪い経済的影響を及ぼす。これらの差異から保護するために、技術者は、これらの差異を補償する、または、「カバーする」のに使用される標準的設計マージンまたは履歴の設計マージンを開発した。
【0208】
しかし、これらの標準的設計マージンは、未完成がよいところである。時として、履歴の要求される設計マージンは、不適切であり、失われたマージンを取り戻すために、運転中に制御ロッドの操作をもたらす。ロッドパターン変更が、問題を回避する、または、補正しない場合、プラントが、ディレーティングしなければならないことがわかってきた。いずれの解決策も、燃料サイクル効率にとって著しくコストが高く、失われる収益が何百万ドルとなる可能性がある。さらに、履歴の設計マージンは、時折、不適切に控えめであり、それにより、潜在的な燃料サイクル効率の減少をもたらす。
【0209】
例示的なパワー増強炉心設計の場合、改定されたマージンは、適切なプラント運転にとってさらに重要である。相応して、図28に述べる炉心トラッキングデータは、許容可能なパワー増強炉心設計と共に使用されて、原子炉運転をシミュレートし、定格熱出力を超えて炉心を運転するための限界を含む、これらの限界に対する改定されたマージンを決定してもよい。
【0210】
図29は、所与の運転限界に対する改定されたマージンを決定する方法を説明するプロセスフロー図である。例示的な方法は、2005年12月30日に出願され、「Method of Determining Margins to Operating Limits for Nuclear Reactor Core Operation」という名称の、William Earl Russell II他に対する同時係属で、かつ、同一譲受人に譲渡された米国特許出願第11/320,919号に記載される。マージンの決定を記述する’919号出願の関連部分は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0211】
一般に、許容可能なパワー増強炉心設計のオフラインシミュレーション(たとえば、PANACEA、LOGOS、SIMULATE、POLCAなどの実行可能な3Dシミュレータプログラム)を実行するために、サーバ250に記憶された露出アカウンティングファイルのデータを使用して、特定のサイクルについて評価されるオンライン原子炉プラントをモデル化し、所定サイクルのその時の露出において運転パラメータが整合する。
【0212】
シミュレーションは、以降で「予測される従属変数データ」と呼ばれてもよい、対象となるサイクルにおける、増強炉心設計のための所与の運転限界に対する予測されたマージンを含む結果を提供する。予測される従属変数データは、サーバ250に記憶されてもよく、所与の運転限界に対する改定された運転マージンを決定するのに使用される計算プロセッサ400にも提供される。
【0213】
マージンの値が計算されると、このデータを、プロセッサ400が使用して、評価されるオンラインプラントについて改定された運転パラメータが決定されてもよく、また、このデータを、プラントのプラントオペレータに通信して、その時の露出(運転サイクルまたはエネルギーサイクルの時間)における、または、プラントのその時の運転サイクルの将来の時点における運転パラメータ(すなわち、制御ロッドシーケンス、炉心流量、パワーレベルなど)が変更されてもよい。これらのマージン計算は、たとえば、プラント効率を最大にしようとして、任意所望の周波数または周期性で連続して実施されてもよい。
【0214】
ここで図29を参照すると、例示的な方法2900では、運転条件および監視されるパラメータは、プロセスコンピュータによって評価される運転中のプラントから、その時の運転サイクル中にアクセスされ(2910)、データベース250にセーブされる。このデータは、図28に述べたようにシステム1000に転送され、評価されるプラントの対象となるサイクルについて全ての露出アカウンティングファイルが、作成され、リレーショナルデータベース250内の露出アカウンティングデータベースに記憶される。
【0215】
露出アカウンティングファイルについて、その後、例示的な独立変数(すなわち、ロッドパターン、原子炉パワーおよび炉心流量などの運転条件、プラント構成、機械的状態、炉心状態、濃縮およびガドリニウム特性、サイクル露出など)は、露出アカウンティングデータベースにセーブされ、シミュレーションバイアスと炉心構成との間の潜在的な傾向が関係付けられる。同様に、全ての監視された結果、または、限界CPRの最大割合(Maximum Fraction of Limiting CPR)(MFLCPR)、MFLPD、MAPLHGR、コールドシャットダウンマージン、(ホット固有値(Hot Eigenvalue)などのような)反応性関連パラメータ、およびこれらの運転限界に対する予測されるマージンなどの従属変数もまた、データベースサーバ250にセーブされる。
【0216】
そのため、図28の炉心トラッキングルーチンによって、プロセスコンピュータから取り出されたプラント運転条件は、独立変数として理解されてもよく、プロセスコンピュータによって取り出される監視された、または、測定された運転限界データ(熱およびパワー関連限界およびそれに対するマージン)は、実際の従属変数データである。こうして、その時の運転サイクルにおける1つまたは複数の露出点からの、これらの独立変数および従属変数は、データベースサーバ250にセーブされるか、または、記憶されてもよい。
【0217】
上記情報が、データベースサーバ250にセーブされて、原子炉シミュレーション入力ファイルが、作成され、または、準備されることができる。シミュレーション入力ファイルは、上述したように、同じ独立変数を使用し、特定された炉心シミュレーションソフトウェアプログラム(オフラインシミュレータ)によって認識される電子ファイルフォーマット(すなわち、ASCII)で記憶されてもよい。入力ファイルが準備されると、オフラインシミュレータは、プラントの原子炉運転をオフラインでシミュレートし、シミュレータ出力を生成するために、そのプログラムを実行する(2920)。シミュレータ出力は、予測された従属変数データと呼ばれる従属変数を予測したものである。予測された従属変数データは、将来の結果の標準的な推定であってよく、したがって、運転マージンの基準推定を計算するのに使用されてもよいが、予測についての不確定性を考慮しない。
【0218】
理想的には、オフラインでシミュレートされた従属変数(MFLCPR、MFLPD、MAPLHGRなどのような限界に対する予想されたマージン)およびプラント運転からの測定された、または、実際の従属変数データ(MFLCPR、MFLPD、MAPLHGRなどに対する実際のマージン)は、同じであることになる。しかし、先に特定された因子のうちのいくつかの因子(または、それ以上の因子)のために、これらは、通常、同じではない。この時点で、予測される従属変数データは、予測されるEOC(サイクルの終了)に対する時間(露出)に関して正規化される(2930)。換言すれば、データは、0.0(BOC)から1.0(EOC)のBOC(サイクルの開始)からEOC時間範囲に関して計算プロセッサ400によって正規化される。正規化する際に、正規化され予測された従属変数データは、他のプラントサイクルの多くの原子炉シミュレーションからの結果(正規化された履歴の従属変数データなど)に関して評価されることができ、正規化されたデータは、データベースサーバ250に記憶される。
【0219】
リレーショナルデータベースサーバ250は、(従属データベース255、257、および259に)かなりの原子炉シミュレーションの集合体を含み、したがって、他の原子炉プラントの運転サイクルの原子炉シミュレーションからのかなりの量の履歴の従属変数データを含む。たとえば、譲受人は、ほぼ20年にわたってほぼ30のBWRについて燃料およびエンジニアリングサービスを提供してきたため、(ほぼ1.5年平均サイクル長が与えられるとすると)ほぼ400の完全な露出消耗サイクルが利用可能である。400の運転サイクルについてのデータの集合体は、原子炉の運転を評価するための意味のある情報の集合体である。
【0220】
この情報は、本発明の例示的な方法によって、また、情報からの予測をもたらすために利用されることができる。たとえば、段階230の一部として、プロセッサ400は、移植すべき類似のプラント構成を有するプラントから履歴のシミュレーションデータを取り出す。この履歴の従属変数データもまた、評価のために、0.0〜1.0のスケール上の時間に関して正規化されるが、当業者に明らかになるように、任意の他の正規化スケールが採用されることができる。
【0221】
このデータは全て、全てのデータが0〜1(0.0=BOC、1.0=EOC)の範囲になるように、時間(露出)に関して正規化されたが、種々の記憶された運転サイクルについての運転方策の一部は異なる。その結果、データベースサーバ250内のサイクルデータのより大きな集合体をフィルタリングして、評価される特定のプラントに対して、プラント運転スタイルが最もよく似たデータのサブセットを収集することが望ましい。
【0222】
フィルタリングパラメータは、サイクル長、パワー密度、平均ガドリニア濃度、流量方策、装荷方策などを含んでもよいが、それに限定されない。こうして、フィルタリングされた履歴のデータは、類似のプラント運転スタイルからのデータを組み込む。上記フィルタリングプロセスの結果として、予測される不確定性は、小さくなり、燃料サイクル効率を改善するのに使用されてもよい。
【0223】
同様に、最小2乗法、ニューラルネットワーク、または任意の他の傾向補足数学によって、上記連続変数に対する相関を提供することも望ましい。相関を提供する際に、より大きなデータの集合を組み込むことができ、また、大域的な傾向が含まれてもよく、恐らく、予測される不確定性のさらなる減少をもたらし、それらを使用して、燃料サイクル効率が改善されてもよい。
【0224】
図30は、例示的な方法に従って、時間依存平均バイアス値の計算を説明するための、正規化された時間に対する所与の運転限界についての較正された時間依存バイアスのグラフである。図31は、例示的な改定されたマージン決定方法に従って、時間依存不確定性値の計算を説明するための、正規化された時間に対する時間依存不確定性のグラフである。
【0225】
一般に、正規化された履歴の従属変数データは、時間依存平均バイアス値を計算するために、プロセッサ400によって使用され、時間依存平均バイアス値は、プラントのオフラインシミュレーションの結果として計算された予測された従属変数データ(所与の運転限界に対する所与のマージンなど)についてサイクル内の全ての将来の時間における予測される期待されるバイアスを提供するであろう。
【0226】
図30では、移植すべき類似のプラント構成を有するプラントの30の特定された運転サイクルについて、時間依存バイアス曲線が示される。この情報は、プロセッサ400によって、データベースサーバ250から取り出される。評価されるそれぞれの履歴のサイクルについて、履歴の従属変数データについてのバイアス値は、わかっており、前もって計算されている(また、データベースサーバ250に記憶されている)。所与の記憶された履歴の運転サイクルについて、所与の露出点においてわかっているバイアス値は、所与の履歴のサイクルについてのその露出点における、測定された運転限界と予測された運転限界との差を表す。
【0227】
選択されたデータ(データは、ここでは、それぞれの履歴の運転サイクルの履歴の従属変数データのそれぞれについて、全ての露出点に沿ってわかっているバイアス値である)が、0.0〜1.0の全部で30のサイクルについて収集されると、データは、評価されるプラントの運転サイクルの作動時のその時の時間、たとえば、評価されるサイクル時間内の時点に対して較正される。
【0228】
たとえば、また、図30を参照すると、プラントのサイクル運転2910が、ほぼ10%終了した場合(t=0.10)、全ての時間間隔の全てのデータ(全てのバイアス値)は、t=0.10における値(測定された従属変数と予測された従属変数の比)が、y軸上でゼロに設定されるまで、下方または上方に較正されるべきである。t=0.10後のバイアス値に対する較正は、較正を補正するために調整されることになる。図30は、t=0.10において複数の曲線(30曲線)がどのように較正されるかを示す。上記例は、t=0.10において値をゼロに設定するために、加算−減算によって較正を特定するが、t=0.10において値をゼロに設定するために、乗算−除算を使用して、較正を実施することもできる。加算−減算または乗算−除算による較正は、最小の将来の不確定性の予測を提供する数学的プロセスによって選択されてもよい。
【0229】
図30からわかるように、全ての線は、t=0.10においてゼロを通過する。これは、任意所与のその時の時間(この例ではt=0.10)において、オフラインシミュレーション結果(予測されたマージン)と運転中のプラントで測定された結果(所与の運転限界に対する実際のマージン)との間のわかっている正確なバイアスが存在するからである。較正曲線から、2つの時間依存曲線が決定される。最初に、将来のデータ(t>0.01)の全てを平均することによって、時間(露出)依存バイアス値が決定される(2940)。先の例では、データは、ある程度ランダムであり、全ての将来の時間についての時間依存バイアスは、ほぼ0.0である。図30では、この時間依存バイアス値は、曲線300として示される。曲線300は、t=0.1(その時の時間)とt=1.0(将来の時間)との間のそれぞれの評価される露出点における30の曲線のバイアス値の平均である。
【0230】
相応して、時間依存バイアス値(曲線300)を計算するために、正規化された履歴の従属変数データは、わかっているバイアス値をプラントの運転サイクル内のその時の露出点に強制的に合わせるように較正される。時間依存平均バイアス値は、評価されるプラントにおいてその時の露出点から較正された、露出点のそれぞれにおける、正規化された履歴の従属変数データの全てのバイアス値を平均することによって決定される。
【0231】
次に、また、図31に示すように、時間(露出)依存不確定性が決定される(2950)。これは、現在時間より大きい全ての時間(この例では、t=1.0より大きい全ての時間)における標準偏差を計算することによって決定される。時間依存不確定性曲線の例は、図31に示される。図31の曲線は、図30の時間依存バイアス曲線300の各露出点における標準偏差を表す。図31では、全体が放物線形状の曲線は、バイアス値の不確定性が、時間経過と共に増加することを指示することがわかる。こうして、設計者が、t=0.2など、(過去または現在の)サイクル内の任意の時点において、自分がどこにいるかがわかる場合、曲線を使用して、サイクル内の任意の他の将来の時間における予測される従属変数データについてバイアス値の不確定性を予測することができる。
【0232】
図30および図31の曲線をより詳細に調査することによって観測結果が得られる。時間に対してランダム系の「σ」として表される、不確定性の全てに関連する正確でかつ単純な相関が存在する。系の不確定性σが、任意の時点(たとえば、t=ref)においてわかっている場合、任意の他の時点の不確定性σは、(3)の式のセットによって計算することができる。
【0233】
【数3】

または、書き直して、
【0234】
【数4】

または、書き直して、
【0235】
【数5】

…(3)
(3)の最後の式は、モデル化された独立変数測定−予測系について、要求される将来の従属変数不確定性を決定するのに使用される関係を示す。(3)において、ttarget=所望の不確定性の所望の時間、tref=系の不確定性がわかっている基準時間、σref=基準時間(tref)における基準不確定性、そして、σtarget=所望時間(ttarget)における所望の不確定性である。(3)の最後の式に示すように、したがって、相対時間は相対不確定性に等しく、相対不確定性は相対時間に等しい。したがって、この関係の利用は、将来の不確定性の決定を可能にすることができる。その結果、必要とされる将来時間の量(すなわち、次の制御羽根シーケンス間隔)および基準時間からのデータが与えられるとすると、必要とされる将来の不確定性の良好な推定を決定することができる。この情報の組合せは、最大燃料サイクル効率を提供し、同時に、事故の無い運転を提供することができる。
【0236】
原子炉についての多数の不確定性曲線が無限大に増加するにつれて、表現(3)が正確になることを確認するために、広範囲のコンピュータ実験が実施された。
【0237】
図32は、所与の運転限界についてのマージンが、評価されるプラントについて設定されたリスク許容レベルを満たすために、時間依存バイアス値および時間依存不確定性に基づいてどのように計算されるかの説明を支援するためのグラフである。時間依存バイアス値が決定され(2940)、時間依存不確定性が決定された(2950)ので、この情報を使用して、所与の運転限界に対する要求された、または、改定されたマージンを決定することができる(2970)。この計算は、評価されるプラントについてリスク許容レベル2960を得ることに基づく。
【0238】
リスク許容レベルは、顧客の原子炉プラントの運転限界を満たすという所望の予測可能性、または、換言すれば、その時の運転サイクルの所与の期間中に事故が起こらないという確率として理解されてもよい。たとえば、履歴のデータ点の数が多く(30より多いなど)、顧客が、第1のシーケンスのサイクル運転について、固定ロッドパターンを用いて原子炉を運転する所与の確率(すなわち、90%、95%、99%、99.9%など)を欲した場合、図32の以下のマージンが必要とされることになる。履歴のデータ点のより小さな集合が使用されるか、または、特定の信頼度レベルが必要とされる場合、確率K値として知られる乗算器定数は、適切な信頼度補正を使用すべきである。
【0239】
図32(t=0)において、曲線Aは、任意の必要とされる熱またはパワー関連結果(MFLCPR、MFLPD、MAPLHGRなど)の実際の運転限界を現す。これは、プラントの運転中に超えられるべきでないラインである。曲線Bは、任意の将来の時間において運転限界が違反されないことを確保するための必要とされる設計目標を表す。顧客は、第1のシーケンスの運転(t=0、t=0.1)が、ロッドパターン修正を全く必要としないことを確保したいと思う場合、t=0.1において、必要とされるマージン予測を利用するであろう。
【0240】
図32において、0.971の設計目標運転限界は、ロッド調整が必要とされないことを、99.0%の確率で確保するのに十分なマージンを提供することになる(t=0.1の曲線Cを参照されたい)。同様に、図32において、0.953の設計目標は、ロッド調整が必要とされないことを、99.9%の確率で確保すために必要とされることになる。99.9%は、この「事故無し」についての顧客のリスク許容レベルを表す。
【0241】
相応して、確率の値またはリスク許容レベルは、時間依存不確定性sによって乗算される乗算器定数Kを決定するのに使用される、または、starget=Ksref(srefは、所与の時点におけるわかっている基準不確定性である)であり、サイクルの任意の時点における不確定性の予測を提供する。いずれの場合でも、顧客固有のまたはプラント固有の解を、容易に決定することができる。
【0242】
ほとんどの場合、運転限界を満たすという所望の予測可能性に基づいて運転限界を決定することは、より大きな運転の柔軟性および優れた燃料サイクル効率(曲線Dの履歴の設計目標限界よい大きい)のためのさらなるマージンを提供する場合がある。どんな場合でも、例示的な方法は、原子炉運転についてより見識のあるプランを反映する場合がある。
【0243】
プロセッサ400による2970における改定されたマージン計算に基づいて、設計者は、その後、手(手作業の計算)によるか、または、所望のロッドパターン、炉心流量、パワーレベルなどを決定するための最適化ルーチンを使用して、プロセッサ400を使用してプラント運転パラメータを改定することができる(2980)。必要であるか、または、所望される場合、その時のサイクル中に運転条件を変更するために、任意の提案された変更が、評価されるプラントのオペレータに送られてもよい。
【0244】
ここで再び図4を参照すると、図28の炉心トラッキングルーチンおよび図29〜32の改定されたマージン決定ルーチンが終了すると、上述した修正ロッドパターンツールは、炉心トラッキングルーチンおよび改定されたマージン決定ルーチンから決定された改定されたマージンおよびその時の運転条件を使用して、許容可能なパワー増強炉心設計のために、対象となるサイクルで反復されてもよい。相応して、ブロック500の限界は、更新され、シミュレーションに引き続き、全ての限界が満たされる、かつ/または、限界に対する許容可能なマージン内になったと、ユーザまたは設計者が判定するまで、評価および潜在的なロッドパターン修正サブ処理が実施される。さらに、ブロック1200の処理段階12a〜12cは、許容可能なパワー増強炉心設計について、全てのエネルギーサイクルが評価されるまで、各エネルギーサイクルについて繰り返されてもよい(ブロック1300)。
【0245】
したがって、例示的な実施形態によれば、パワー増強運転のために原子炉炉心を設計する方法およびシステムが提供される。システムは、増強パワー環境において試験初期原子炉炉心設計をシミュレートするGUIおよび処理を含む。
【0246】
その時認可されたパワーレベルの100%以上で原子炉炉心を運転するための要件に関連する制約または限界は、GUIを介してユーザによって入力され、初期試験原子炉炉心設計は、限界に基づいて生成される。ユーザは、その後、パワー増強要件を満たすために、1つまたは複数の自動化ツールを選択して、ロッドパターン(制御羽根パターン)炉心装荷パターンおよび所望の独自の新しい燃料集合体型(新しい燃料装荷パターン)を修正してもよい。
【0247】
各ツールについて、ユーザは、原子炉シミュレーションを始動し、目的関数を利用して、シミュレートされた修正された炉心設計が、どれほど厳密に、制約を満たすかを判定する。GUIを介して、ユーザは、その後、集合体設計の変更、制御ロッド配置、露出した、または、新しい燃料配置などによって所与の炉心設計を修正し、シミュレーションを繰り返して、派生した原子炉炉心設計の性能改善を測定してもよい。増大したパワーで、または、ユーザおよび/または顧客にとって許容可能な所与の限界(複数可)に対するマージン内で、許容可能なパワー増強炉心設計に基づいて装荷された原子炉を運転するための全ての限界(パワー増強運転についての限界を含む)を、炉心設計が満たすまで、修正機能、シミュレーション機能、および評価機能が、反復して繰り返されてもよい。
【0248】
所望に応じて、ユーザは、炉心トラッキング機能、および、その時のプラント条件およびその時のプラント内での運転のためのパワー増強要件に基づいて、許容可能なパワー増強炉心設計を改定する改定されたマージン決定機能を実施してもよい。運転限界(熱、パワーなど)に対する改定されたマージンの決定によって、修正ロッドパターンツールは、反復されて、定格熱出力を超えた運転のための全ての限界および制約を、改定されたマージンを有するパワー増強炉心設計が依然として満たすことが確認されてもよい。許容可能なパワー増強炉心設計に基づいて、プラントオペレータおよび/または要員は、その後、次の予定した停止時に原子炉炉心を修正して、所望の増大した熱出力が達成され、NRCが認可する要件を満たされる。
【0249】
本発明の例示的な実施形態が述べられたが、同じ方法は、多くの方法において変わってもよいことが明らかである。たとえば、例示的な方法およびシステムを述べる図1〜4、6、11、13、14、18A〜18B、22、23A〜23B、25、および27A〜27Bから29の機能ブロックは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施されてもよい。ハードウェア/ソフトウェア実施態様は、図示するプロセッサ(複数可)および/または製品(複数可)の組合せを含んでもよい。製品(複数可)は、さらに、記憶媒体および実行可能なコンピュータプログラム(複数可)を含んでもよい。
【0250】
実行可能なコンピュータプログラム(複数可)は、パワー増強炉心設計を決定するために述べたプロセスまたは機能を実施するための命令を含んでもよい。コンピュータ実行可能なプログラム(複数可)はまた、外部から供給される伝播信号(複数可)の一部として設けられてもよい。
【0251】
本発明の技術的効果は、評価される所与のプラントにおいて原子炉運転のための全ての入力された限界および制約を満たす原子炉炉心にパワー増強炉心設計を効率的に開発する方法を提供するための、複数プロセッサ(複数可)の処理能力、および/または、1つまたは複数のプロセッサによって実施されるプログラムのコンピュータプログラムロジックを呼び出すシステムおよび/または方法であってよい。さらに、例示的な実施形態の技術的効果は、プラントの定格熱出力を超えた原子炉パワー運転に関連する限界を含む、全ての入力された限界を満たす、指定されたロッドパターン、露出した燃料および新しい燃料アセンブリについての炉心装荷パターンを有するパワー増強炉心設計を、迅速に、生成し、シミュレートし、修正し、完成させる能力を、内部ユーザおよび外部ユーザに提供するコンピュータ/処理駆動式システムを提供する。許容された設計は、その後、次の予定された停止時に評価される原子炉プラントの炉心に装荷されてもよく、炉心は、決定されたパワー増強炉心設計によって、次のサイクルおよびその後のサイクルで動作する。
【0252】
こうした変形は、本発明の例示的な実施形態の精神および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、当業者にとって明らかである全てのこうした変更形態は、添付特許請求項の範囲に含まれることを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1】本発明の例示的な実施形態による、パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法を実施する構成を示す図である。
【図2】図1に示す構成のアプリケーションサーバを示す図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態による、下位データベースを有するリレーショナルデータベースとして図1に示すメモリを詳細に示す図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態による、パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法を実施する構成を示すプロセスフロー図である。
【図5】例示的なクライアント入力のプラント固有の制約を示すスクリーンショットである。
【図6】本発明の例示的な実施形態による、初期試験原子炉炉心設計についての新しい燃料集合体カウントの決定を記述するフローチャートである。
【図7】本発明の装荷マップエディタ601を使用した、部分的に完了した装荷テンプレートの4分の1炉心のスクリーンショットである。
【図8】装荷マップエディタ601によって表示される再装荷ウィンドウを示すスクリーンショットである。
【図9】フィルタツール632を示すスクリーンショットである。
【図10】新しい集合体を燃料テンプレート内に装荷するための、装荷マップエディタ601によって表示される装荷フレッシュウィンドウを示すスクリーンショットである。
【図11】本発明の例示的な実施形態による、修正ロッドパターンツールの実施態様を示すフローチャートである。
【図12】制御羽根シーケンスがどのように入力されるかを示すスクリーンショットである。
【図13】シミュレーション段階S30をさらに詳細に示すフローチャートである。
【図14】図11の比較段階をさらに詳細に示すフロー図である。
【図15】目的関数計算の終了後の再検討のためにユーザに利用可能な例示的なグラフィックデータを示すスクリーンショットである。
【図16】本発明による、シミュレーションおよび目的関数解析に続く、所与の制約または限界のステータスを再検討するために、ユーザが利用可能なグラフィックデータを示すスクリーンショットである。
【図17A】本発明による、シミュレーションおよび目的関数解析に続く、所与の制約または限界のステータスを再検討するために、ユーザが利用可能なグラフィックデータを示すスクリーンショットである。
【図17B】本発明による、シミュレーションおよび目的関数解析に続く、所与の制約または限界のステータスを再検討するために、ユーザが利用可能なグラフィックデータを示すスクリーンショットである。
【図18】本発明による、例示的な修正ロッドパターンツールによる、ロッドパターン修正および反復処理段階を記述するフロー図(図18A,図18B)である。
【図19】ロッドパターンを修正するために、羽根グループを定義するためのスクリーンショットである。
【図20】最適化プロセスを構成することを示すスクリーンショットである。
【図21】沸騰水型原子炉炉心設計の最適化問題に関連する最適化制約を列挙する例示的な最適化制約ページのスクリーンショットである。
【図22】本発明の例示的な実施形態による、目的関数を採用する最適化プロセスのフローチャートである。
【図23】本発明による、例示的な修正炉心装荷パターンツールによる、炉心装荷パターン修正および反復処理段階を記述するフロー図(図23A,図23B)である。
【図24】本発明の例示的な実施形態による、図23Aの修正段階S76をさらに詳細に示すスクリーンショットである。
【図25】本発明の例示的な実施形態による、Nストリーミングツールの機能を示すフローチャートである。
【図26】集合体選択ウェブページのスクリーンショットである。
【図27】本発明によるNストリーム(独自の新しい燃料集合体型)の修正を記述するフロー図(図27A,図27B)である。
【図28】炉心トラッキング機能をより詳細に示すフロー図である。
【図29】所与の運転限界に対する改定されたマージンを決定する方法を説明するプロセスフロー図である。
【図30】例示的な方法に従って、時間依存平均バイアス値の計算を説明するための、正規化された時間に対する所与の運転限界についての較正された時間依存バイアスのグラフである。
【図31】例示的な改定されたマージン決定方法に従って、時間依存不確定性値の計算を説明するための、正規化された時間に対する時間依存不確定性のグラフである。
【図32】所与の運転限界についてのマージンが、評価されるプラントについて設定されたリスク許容レベルを満たすために、時間依存バイアス値および時間依存不確定性に基づいてどのように計算されるかの説明を支援するためのグラフである。
【符号の説明】
【0254】
200 アプリケーションサーバ
205 バス
210 ホストプロセッサ
225 ネットワークインタフェース
230 グラフィカルユーザインタフェース
250 データベースサーバ
251 限界データベース
252 新しい燃料集合体設計データベース
253 待ち行列データベース
254 履歴の燃料サイクル(炉心)設計データベース
255 シミュレータ結果データベース
256 装荷テンプレートデータベース
257 目的関数値データベース
258 燃料プールデータベース
259 3Dシミュレータ入力パラメータデータベース
260 暗号サーバ
275 LAN
300 外部ユーザ
350 内部ユーザ
375 ソケット層接続
400 計算サーバ
505 クライアント入力の場所固有の制約
510 設計値限界
601 装荷マップエディタ
608 Fileメニュー
609 Editボタン
610 Viewメニュー
611 燃料集合体フィールド
612 燃料集合体位置
613 Load Typeツール
614 Freshボタン
615 Resinsertボタン
616 Lockedボタン
617 Bundle Groupingツール
618 Numbering Modeツール
619 Automaticボタン
620 Manualボタン
621 Zoomスライドボタン
622 Filterd Fuel Pool表
624 Reloading Fuel Pool表
626 優先度番号
630 ツールのセット
632 フィルタツール
634 右移動ツール
636 左移動ツール
638 削除ツール
640 フィルタウィンドウ
642 選択ボックス
644 フィルタオペレータ
646 フィルタ量
650 Fresh Bundle Types表
660 Fresh Bundle Pool表
662 型番号
1000 システム
1211 Exposure段階
1213 Calculation Taype
1215 詳細Rod Pattern
1217 Blade Group
1230 Set Rodsボックス
1235 エディットボックス
1505 チェックされたボックス
1610 プルダウンメニュー
1705 グラフ−MAPLHGR Core Max vs.Exposure
1710 グラフ−MAPLHGR Axial Nodal vs.Exposure
1720 限界
1725 限界
1730 限界違反
1735 限界違反
1740 MAPLHGRに違反する集合体
1750 MAPLHGRに違反する集合体
1940 Define Blade Groupsスクリーンショット
1941 セル
1942 Optionsプルダウンメニュー
1945 Set Blade Constraintsウィンドウ
1950 Minimum Withdrawal欄
1955 Maximum Withdrawal欄
1960 不許可欄
2005 最適化構成スクリーン
2040 最適化パラメータ
2042 選択ボックス
2150 最適化制約
2152 Design Value
2154 選択ボックス
2156 Importance
2158 Importanceフィールド
2405 Fuel Shufflingページ
2410 Bundle Shuffleタスクバー
2415 基準炉心設計のスクリーン
2420 新しい燃料集合体
2425 ポップアップウィンドウ
2427 色別キー
2430 Swapボタン
2600 集合体選択ウェブページ
2605 置換えの新しい燃料集合体
2610 ボックス
3000 曲線−時間依存バイアス値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー増強運転のための原子炉炉心を設計する方法であって、
パワー増強運転について満たされるべき制約のセットを入力する工程と、
前記制約に基づいて試験原子炉炉心設計を生成する工程と、
前記制約を基準にして前記試験炉心設計を評価するために、自動化ツールのセットから1つまたは複数の自動化ツールを選択する工程と、
前記選択された自動化ツールを動作する工程であって、
複数の出力を生成するために、前記制約に基づいて、前記試験炉心設計を用いて原子炉運転をシミュレートする工程と、
前記制約を基準にして前記出力を比較する工程と、
前記比較によって、前記シミュレーション中に、前記試験炉心設計によって違反された制約を指示するデータを提供する工程とを含む、自動化ツール動作工程とを具備し、
前記自動化ツールの1つまたは複数は、試験炉心設計が、パワー増強運転のための全ての制約を満たすまで繰り返され、それにより、許容可能なパワー増強炉心設計を示す方法。
【請求項2】
前記自動化ツールのセットは、前記試験炉心設計のロッドパターンを修正するためのロッドパターン設計ツール、前記試験炉心設計の炉心装荷パターンを修正するための炉心装荷パターン設計ツール、および、前記試験炉心設計内の新しい燃料装荷パターンを修正するための新しい燃料集合体型設計ツールを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ロッドパターン設計ツール、前記炉心装荷パターン設計ツール、および前記新しい燃料集合体型設計ツールは、順次に呼び出され、前記試験炉心設計において、全てのロッド、露出した燃料集合体、および新しい燃料集合体の変更が、尽くされるまで、出力としてのフィードバックをそれぞれの対応するツールに提供する請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記比較する工程は、
前記出力を評価するための目的関数を構成する工程と、
前記目的関数を使用して、それぞれの出力について目的関数値を生成する工程と、
前記出力のうちのどの出力が限界に違反するかを判定するために、前記制約に基づいて前記目的関数値を評価する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記比較する工程が、全ての制約が、満たされているか、または、許容可能マージン内で満たされているかを示す場合に、許容可能パワー増強炉心設計に関連するデータを出力することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
派生した炉心設計を作成するために、前記試験炉心設計を修正する工程と、
いずれかの制約が、前記シミュレーション中に、前記派生した炉心設計によって違反されたかどうかを判定するために、複数の自動化ツールについて、前記選択する工程および前記動作させる工程とを繰り返すことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
全ての制約が、満たされたか、または、許容可能マージン内で満たされたことを、派生した設計の特定の反復が指示するまで、前記派生した設計のN回反復について、前記修正する工程、前記選択する工程、および前記動作させる工程を反復して繰り返す工程をさらに含み、方法は、
前記原子炉についての許容可能原子炉炉心設計の関連するデータを出力する工程をさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記許容可能パワー増強炉心設計は、前記制約を満たし、増大したパワーレベルで運転するために、原子炉をどのように装荷し、実行させるかをユーザに示すデータを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
許容されたパワー増強炉心設計を有する原子炉は、1つまたは複数のエネルギーサイクルについて、その時認可されたパワーレベルの100%以上で運転する請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記パワー増強炉心設計は、N個の独自の新しい燃料集合体型を有し、N=2である請求項1記載の方法。
【請求項11】
原子炉プラント用の炉心であって、前記プラントが、1つまたは複数のエネルギーサイクルについて、その時認可されたパワーレベルの100%以上で運転することを可能にし、その時認可されたパワーレベルの100%以上で運転するための運転限界を満たす、前記プラント用の炉心設計を生成する最適化プロセスを採用する自動化ツールのセットを使用して決定されるパワー増強炉心設計に従って装荷されており、前記自動化ツールは、前記試験炉心設計のロッドパターンを修正するためのロッドパターン設計ツール、前記試験炉心設計の炉心装荷パターンを修正するための炉心装荷パターン設計ツール、および、前記試験炉心設計内の新しい燃料装荷パターンを修正するための新しい燃料集合体型設計ツールを含む炉心。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図17A】
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【図17B】
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