説明

パンクレアチンのペレットとその製造方法及びパンクレアチンのペレットを含む薬剤化合物

【課題】パンクレアチンのペレット及びその製造方法の提供。
【解決手段】補助物質及び結合剤を含まないパンクレアチンのみから構成されるペレット。パンクレアチンのみから構成される核と2層のコーティングからなるペレット。パンクレアチンのみから構成される核と、パンクレアチンからなる2層のコーティングからなるペレット。パンクレアチンのみから構成される核と、補助物質及び結合剤からなる内側のコーティング層とパンクレアチンからなる外側のコーティング層からなるペレット。パンクレアチンのみから構成される核と、胃液に対して耐性のある物質から成る外側のコーティング層からなるペレットで、滴状又は球状の形をしているペレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパンクレアチンのペレット、より詳しくはパンクレアチンのマイクロペレットと、その製造方法、及びパンクレアチンのペレットを含む薬剤化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
パンクレアチンは膵臓から抽出された酵素の混合物であり、原則的にリパーゼ、アミラーゼ及びプロテアーゼを含む。パンクレアチンを製造する出発物質としては主に新鮮な又は冷凍された豚の膵臓が用いられるが、この豚の膵臓からはパンクレアチンを製造するために本来は水分と脂肪分のみが取り除かれる。しかしながら、敏感な酵素を考慮して、可能な限り穏やかにパンクレアチンを獲得するための手法が発達してきた。適切な手法の一つが特許文献1に記載されている。
【0003】
パンクレアチンは特にパンクレアチン不足により起こる消化障害の治療に用いられる。パンクレアチンは主に乾燥した状態で内服薬として用いられ、それにより、作用物質がペレット又はマイクロペレットの形態で用いられた場合にはパンクレアチンを投薬することの治療効果を証明することができることが示されてきた。
【0004】
典型的なパンクレアチンのペレットの製造方法は、パンクレアチンに補助物質と結合剤を加えてそれらを均一な混合物になるまで混ぜ合わせる。この均一な混合物は押出成型機により紐状に成型される。この紐状の成型物は最終的に球状成型機により紐の形状が破壊され球形のペレットにされる。ペレットは乾燥させられ篩にかけられ、定められたサイズ以上又は以下の破片はペレットと分けられる。このようにして得られた狭い分布の粒径のペレットは、胃液に対して耐性のある物質のコーティングで覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第3248588号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0583726号明細書
【特許文献3】欧州特許第1931317号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなパンクレアチンのマイクロペレットの製造方法は、例えば特許文献2に記載されている。この手法によると、押出成形の前には、パンクレアチン100重量部に15〜50重量部のポリエチレングリコール4000と10〜30重量部のアルコールが混合されている。アルコール、例えばプロパノールは混合物を押出成型可能にするために加えられる。押出成型により得られた紐状の成型物は球状成型機に移される前に1.5〜5重量部のパラフィンを混ぜられ、更に1.5〜10重量部のアルコールを加えられる。得られたペレットは65〜85重量%のパンクレアチンを含むので、ペレットは少なくとも15重量%の補助物質及び結合剤を含む。
【0007】
しかしながら、押出成型に要求される補助物質及び結合剤は好ましくない効果を持つ可能性がある。この理由により、補助物質と結合剤の選択は定期的なモニタリングのテーマである。例えば、これまで一般に加えられてきた鉱油はもはや決定的に有害ではないとみなすことはできない。
【0008】
この分野において、パラフィンを添加せずにパンクレアチンのペレットを製造することを可能にする手法が特許文献3で提案された。そのパンクレアチンのペレットは10〜95重量%のパンクレアチンを含み、少なくとも5重量%の補助物質及び結合剤、例えばポリエチレングリコール、を含む。
【0009】
しかしながら、どんな添加剤に対しても立証された関係と立証されていない関係を挙げることができることが予想される。それが故に、パンクレアチンの製造形態においては、一つには経口摂取が可能であること、もう一つには可能な限り添加物を用いないことが好ましい。
【0010】
本発明はこのような技術の現状の欠点を克服することを目的としている。より詳しくは、補助物質又は結合材の添加を通じた欠点を無効にするために、ペレットはパンクレアチンを添加剤、結合剤又はその他の補助物質なしに可能な限り最も活性な形で含み、ペレットの経口摂取がより容易であるという改良された特徴を持つパンクレアチンのペレットを製造する。更に、本発明のパンクレアチンのペレットを含む薬剤の配合や、本発明のパンクレアチンのペレットの応用例も示す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明においては、ペレットがパンクレアチンのみから構成されていて、補助物質及び結合剤を含まないようにする。その場合、前記ペレットがマイクロペレットであるようにすると好適である。また、その場合、前記パンクレアチンが哺乳動物の膵臓から得られたものであるようにすると好適である。
また、この目的を達成するために、本発明においては、前記ペレットが核及びコーティングからなっており、前記核がパンクレアチンのみから構成されているようにする。その場合、前記コーティングがパンクレアチンから成っているようにすると好適である。また、その場合、前記コーティングが補助物質及び結合剤から成り、前記コーティングがパンクレアチンから成っているようにすると好適である。また、その場合、前記コーティングが、パンクレアチンから成っている核を覆っている内側の第一の層と、外側の第二の層とを有しているようにすると好適である。また、その場合、前記第一の層が補助物質及び結合剤から成っているようにすると好適である。また、その場合、前記第二の層が胃液に対して耐性のある物質から成っており、前記ペレットが滴状又は球状の形をしているようにすると好適である。また、その場合、前記ペレットが球状、楕円状又は滴状の形をしており、その球の直径、又は短軸の長さが0.4〜0.8mmの範囲にあるようにすると好適である。また、その場合、パンクレアチンのペレットを薬理活性な量含むようにすると好適である。また、その場合、経口摂取に適した剤形で利用できるようにすると好適である。
また、この目的を達成するために、前記パンクレアチンのみからなるペレット又はマイクロペレットは、a)豚又は牛から採れた膵臓の粉砕及び自己融解を行なう段階と、b)段階aにより得られた中間生成物の濾過による濾液の獲得を行なう段階とc)濾液に含まれる酵素の沈殿を行なう段階と、d)濾過ケーキを得るための段階cにより得られた混合物の濾過を行なう段階と、e)残存水分の総量が0.1〜0.3重量%になるまで濾過ケーキを挽き且つ真空乾燥する(ただし残存水分が0.1〜0.3重量%のパンクレアチン生成物は乾燥工程を終えたときの生成物であり、押出成型可能な濾過ケーキ全体は50重量%オーダーの残存水分及び/又は残存有機溶媒を含む)段階と、f)濾過ケーキの80℃以下での熱処理を行なう段階と、g)熱処理され、十分な可塑性を示し、添加物及び/又は結合剤を加えずに紐状に成型可能な濾過ケーキの押出成型を行なう段階と、h)添加物及び/又は結合剤又は他のいかなる補助物質も加えず球状、楕円状又は滴状のペレットを得るための球状成型を行なう段階と、を含む製造方法で製造されるようにする。
また、この目的を達成するために、本発明においては、前記いずれかのペレットを医薬品、栄養物、食料品又は栄養剤として製造し用いる。
また、この目的を達成するために、本発明においては、前記いずれかのペレットを経口摂取を容易にするための医薬品として用いる。
【0012】
本発明によれば、パンクレアチンのペレットは純粋なパンクレアチンのみで形成され得る。従って、本発明のパンクレアチンのペレットは、100%のパンクレアチンから成り立ち、補助物質又は結合剤を含まない。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパンクレアチンのペレットは、補助物質や結合剤などの添加によるパンクレアチンの薬理的効果の欠点を無効にできるという点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるパンクレアチンのペレットの第一実施例であり、完全にパンクレアチンのみからなるペレットの断面図を示す。
【図2】本発明によるパンクレアチンのペレットの第二実施例であり、パンクレアチンの核と単層のコーティングからなるペレットの断面図を示す。
【図3】本発明によるパンクレアチンのペレットの第三実施例であり、二層のコーティングからなるペレットの断面図を示す。
【図4】本発明によるパンクレアチンのペレットの第四実施例であり、パンクレアチンの核と単層のコーティングからなる滴状のペレットの断面図を示す。
【図5】本発明によるパンクレアチンのペレットの第五実施例であり、パンクレアチンの核と二層のコーティングからなる滴状のペレットの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明におけるペレットという用語は、球状、楕円状又は滴状の形で、その球の直径、又は短軸の長さが0.4mm〜2.5mmの範囲にあるものに用いる。
【0016】
本発明における更に好適な形態のために、前記ペレットがマイクロペレットであるようにする。もしくは、前記パンクレアチンが哺乳動物の膵臓から得られたものであるようにする。もしくは、前記コーティングがパンクレアチンから成っているようにする。もしくは、前記コーティングが補助物質及び結合剤から成り、前記コーティングがパンクレアチンから成っているようにする。もしくは、前記コーティングが、パンクレアチンから成っている核を覆っている内側の第一の層と、外側の第二の層とを有しているようにする。もしくは、前記第一の層が補助物質及び結合剤から成っているようにする。もしくは、前記第二の層が胃液に対して耐性のある物質から成っており、前記ペレットが滴状又は球状の形をしているようにする。もしくは、前記ペレットが球状、楕円状又は滴状の形をしており、その球の直径、又は短軸の長さが0.4〜0.8mmの範囲にあるようにする。もしくは、パンクレアチンのペレットを薬理活性な量含むようにする。もしくは、経口摂取に適した剤形で利用できるようにする。
【0017】
本発明の実施形態においては、パンクレアチンのペレットは、球状、楕円状又は滴状の形で、その球の直径、又は短軸の長さが0.4mm〜0.8mmの範囲にある。
【0018】
パンクレアチンは、哺乳動物、好ましくは豚又は牛の好ましくは膵臓から得られる。ペレットの生産はパンクレアチンの製造工程に統合される。押出成型機を用いたペレットの成型に関する現在の技術水準が要求するように、可塑性物質を生産するためには分離された副産物を加える必要はない。
【0019】
従って、ペレットは以下の手順で得られる。豚又は牛から採れた膵臓は初めに細かく砕かれて融解される。このようにして得られた中間生成物を濾過することにより濾液が得られる。濾液に含まれる酵素は沈殿し、残りの混合物を濾過して濾過ケーキを得る。濾過ケーキは最終的に、残りの水分の総量が0.1〜0.3重量%になるまで挽かれ真空乾燥される。ここで述べた残存水分が0.3重量%のパンクレアチン生成物は乾燥工程の終了したものであり、押出成型することができる濾過ケーキ全体は50重量%オーダーの残存水分又は残存有機溶媒を含む。次に濾過ケーキは80℃以下で熱処理を受ける。驚くことに、濾過ケーキは他に添加物及び/又は結合剤を加えることなく直接押出成型及び球状成型することができる。得られたペレットは乾燥させられる。熱処理した濾過ケーキは濾過ケーキを紐状の成型物に押出成型するのに十分な可塑性を示す。出願人が行なった実験により示されてきたように、添加物及び/又は結合剤その他補助物質を加えることなく、押出成型の後に球状成型を行なうことができる。この押出成型において、球状、楕円状又は滴状の形のペレットが得られ、これらはそのまま又はコーティングで覆われる核として用いられる。
【0020】
本発明によれば、パンクレアチンのペレットは、核が完全にパンクレアチンだけで構成された、核とコーティングを持つことが考えられる。従って、核は100%パンクレアチンで構成され補助物質又は結合剤を含まない。一方で、コーティングは少なくとも一つの補助物質及び/又は少なくとも一つの結合剤を含みうる。
【0021】
本発明の別な実施形態では、コーティングは、パンクレアチンの核を覆う内側の第一層と、外側の第二層から構成されている。好ましくは第一層は少なくとも一つの補助物質及び/又は少なくとも一つの結合剤、好ましくは胃液に対して耐性のある物質から構成される。
【0022】
パンクレアチンのペレットの中の補助物質及び結合剤の質量比は5〜30重量%の範囲内であるべきである。パンクレアチンのペレットの中の胃液に対して耐性のある物質の質量比は10〜30重量%の範囲内であるべきである。
【0023】
パンクレアチンの核を覆っている補助物質及び結合剤は、例えばペレットが倉庫の中や移動中にあるときの核の結合を保証しており、如何なる機械的又は化学的な核の破壊も防ぐ。使用される補助物質及び結合剤は薬理試験に耐えられなければならない。
【0024】
適切な薬理試験に耐え、場合によっては下記の結合剤と協力して、コーティング又はコーティングの内側の層を構成できる補助物質は、例えば充填物質、湿潤物質、潤滑剤、粉末物質及び着色料を含む。この補助物質のリストは完全ではなく、実際は当業者に知られている他の補助物質もまた使用されている。
【0025】
好適な充填物質の例としてはリン酸カルシウム、微結晶セルロース、デキストラン、デキストリン、沈降炭酸カルシウム、二酸化珪素水和物、カオリン、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、タルカム及びそれらの混合物を含むグループの中から選ばれる。好適な湿潤物質の例としてはグリセリン、スターチ及びそれらの混合物を含むグループの中から選ばれる。好適な粉末物質の例としてはアルギン酸、アミロース、アルギン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホルムアルデヒドゼラチン、炭酸水素ナトリウム、サリチル酸、サゴスターチ、スターチ及びそれらの混合物を含むグループの中から選ばれる。好適な潤滑剤としては例えばステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウム、スターチ、ステアリン酸、タルカム及びそれらの混合物を含むグループの中から選ばれる。
【0026】
適切な薬理試験に耐え、場合によっては上記の補助物質と協力して、コーティング又はコーティングの内側の層を構成できる結合剤は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール3000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000及びポリエチレングリコール10000といったポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー及びそれらの混合物を含むグループの中から選ばれる。この結合剤のリストは完全ではなく、実際は当業者に知られている他の結合剤もまた使用されている。適切な着色料としては例えば食品着色料、より詳しくはドイツの製薬の着色料の規則に記載されている食品着色料である。この着色料のリストは完全ではなく、実際は当業者に知られている他の着色料もまた使用されている。
【0027】
コーティング又はコーティングの内側の層の補助物質及び/又は結合剤の生産は、気中懸濁被覆法(Wurster法)やスフェアーコーターのような周知の手法で行なわれる。スフェアーコーターのコーティングにおいて、完全にパンクレアチンだけから構成されるペレットはスフェアーコーターに入れられ、前もって生産されていた結合剤及び補助物質の均質な混合物を吹きかけられる。
【0028】
胃液に対して耐性のあるコーティングは、酸と反応するパンクレアチンの構成物、より詳しくはリパーゼが胃酸と反応する結果、胃の中でパンクレアチンが破壊されるのを防ぐ。胃を通過した後に小腸に入ってpH値が変化したら、パンクレアチンの核の周りで胃液に対して耐性のあるコーティングを形成していた保護膜は溶解し、その結果パンクレアチンは解き放たれる。胃液に対して耐性のある物質は最大でpH値5.5までは安定でなくてはならず、パンクレアチンを解き放つのはpH値5.5以上、好ましくはpH値6以上のときだけ許されるようにしなくてはならない。
【0029】
ペレットのコーティングに用いられる胃液に対して適切な耐性のある物質は現在の技術水準ではよく知られている。通常そのようなコーティングはフィルムを形成する物質として、少なくとも軟化剤と場合によっては分離剤を含む。適切なフィルムを形成する物質は例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸エチルアクリレート共重合体及びそれらの混合物を含むグループの中から選ばれる。このフィルムを形成する物質のリストは完全ではなく、実際は当業者に知られている他のフィルムを形成する物質もまた使用されている。
【0030】
もしも、フィルムを形成する物質に加えて、胃液に対して耐性のある物質が軟化剤を含む場合、その後者の比率はフィルムを形成する物質に対して1〜20重量%の範囲であるべきである。好適な軟化剤は12〜30の炭素原子を持つ一価アルコールであり、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、トリエチルアルコール及びそれらの混合物などである。この軟化剤のリストは完全ではなく、実際は当業者に知られている他の軟化剤もまた使用されている。
【0031】
もしフィルムを形成する物質に加えて、そして場合によっては軟化剤も、胃液に対して耐性のある物質が分離剤も含む場合、その後者の比率はフィルムを形成する物質に対して0.5〜5重量%の範囲であるべきである。分離剤の例としてはヒマシ油及びジメチコーンがある。この分離剤のリストは完全ではなく、実際は当業者に知られている他の分離剤もまた使用されている。
【0032】
胃液に対して耐性のある物質のコーティングを生産するために、フィルムを形成する物質と、そしてもし適用できるならば軟化剤及び/又は分離剤は周知の方法で溶液に溶解又は分散させられる。コーティングを形成した後は、例えば乾燥中に、溶液は除去される。適切な溶液は水、アセトン並びにメタノール、エタノール、n−イソプロパノール、n−及びターシャルブタノールのような炭素数1〜5のアルコール又はそれらの混合物を含むグループの中から選ばれる。
【0033】
胃液に対して耐性のあるコーティングは、気中懸濁被覆法やスフェアーコーターのような周知の手法で生産される。スフェアーコーターでコーティングを行なう際に、補助物質と結合剤で既にコートされているペレットは、スフェアーコーターに投入され胃液に対して耐性のある物質を吹きかけられる。
【0034】
本発明によるパンクレアチンのペレットは滴状又は球状の形をとることができる。望ましくは、核は球状であるのに対して、パンクレアチンのペレットのコーティングは例えば滴状であり、これによりペレットの投与が容易になる。
【0035】
滴状の形にはペレットが落下するときに自身を一つの方向に向かせるという利点がある。これにより、滴状のパンクレアチンのペレットを滴状表面を有するような容器から分配するとシンプルに数えることが可能となる。
【実施例】
【0036】
本発明は以下で実施例を用いて、及び図を参照してより詳しく説明されるが、この実施例は本発明を如何様にも限定するものではない。
【0037】
図1に示す本発明による第一実施例のパンクレアチンのペレット1は完全にパンクレアチン2のみから構成されており、コーティングされていない。
【0038】
これとは対照的に、本発明による第二実施例のパンクレアチンのペレット1は核2と単層のコーティング3を有する。核は完全にパンクレアチンのみから構成されている。コーティングは補助物質と結合剤から構成される。コーティング3はパンクレアチンの核2の結合を保証しており、例えば機械的又は化学的な核2の破壊を防ぐ。
【0039】
図3に示す本発明による第三実施例のパンクレアチンのペレットは二層のコーティングを有する。内側のコーティング3はパンクレアチンの核2を覆っている。この方式ではパンクレアチンの核はばらばらにならず機械的又は化学的な破壊から守られる。外側の層4は胃液に対して耐性のある物質で構成されている。
【0040】
図4及び図5において、コーティングは滴状の形をしている。図4に示す本発明の第四実施例では、パンクレアチンのペレット11は、完全にパンクレアチンのみからなる球状の核12を覆っている滴状の形をした単層のコーティング13をもつ。コーティング13は補助物質及び結合剤から構成されている。図5に示す本発明の第五実施例ではコーティングは二つの層を持っており、内側のコーティング13及び外側のコーティング14から構成されている。外側のコーティング14だけが滴状の形をしており、内側のコーティング13は球状の形をしている。内側のコーティング13は補助物質及び結合剤から構成されており、これにより核がばらばらにならない。外側のコーティング14は胃液に対して耐性のある物質から構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によるパンクレアチンのペレットは消化障害、急性膵炎、慢性膵炎、膵外分泌機能不全、糖尿病、より詳しくはI型糖尿病及びII型糖尿病、及び嚢胞性線維症の治療及び/又は予防に特に適している。
【0042】
本発明によるパンクレアチンのペレットは消化障害、急性膵炎、慢性膵炎、膵外分泌機能不全、糖尿病及び嚢胞性線維症の治療のための薬剤化合物の製造に使用することができる。望ましくは、その薬剤化合物は、経口摂取に適した量で薬理活性を有する本発明によるパンクレアチンのペレットを含む。
【0043】
本発明によるパンクレアチンのペレットは栄養物、食料品又は栄養剤の製造にもまた適している。
【0044】
なお、本発明は、本発明によるパンクレアチンのペレットを、医薬品、栄養物、食料品又は栄養剤の製造に使用することを含む。
【0045】
また、本発明は、本発明によるパンクレアチンのペレットを、経口摂取が容易な医薬品の製造に使用することも含む。
【符号の説明】
【0046】
1 球状の形をしたパンクレアチンのペレット
2 パンクレアチン
3 補助物質及び結合剤で構成されたコーティング
4 胃液に対して耐性のある物質で構成されたコーティング
11 滴状の形をしたパンクレアチンのペレット
12 パンクレアチン
13 補助物質及び結合剤で構成されたコーティング
14 胃液に対して耐性のある物質で構成されたコーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット(1,11)がパンクレアチンのみから構成されていて、補助物質及び結合剤を含まないことを特徴とするパンクレアチンのペレット。
【請求項2】
前記ペレット(1,11)がマイクロペレットであることを特徴とする請求項1に記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項3】
前記パンクレアチンが哺乳動物の膵臓から得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項4】
前記ペレット(1,11)が核(2)及びコーティング(3,4)からなっており、前記核がパンクレアチンのみから構成されていることを特徴とするパンクレアチンのペレット。
【請求項5】
前記コーティング(3,4)がパンクレアチンから成っていることを特徴とする請求項4に記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項6】
前記コーティング(3)が補助物質及び結合剤から成り、前記コーティング(4)がパンクレアチンから成っていることを特徴とする請求項4に記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項7】
前記コーティングが、パンクレアチンから成っている核(2)を覆っている内側の第一の層と、外側の第二の層とを有していることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項8】
前記第一の層が補助物質及び結合剤から成っていることを特徴とする請求項7に記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項9】
前記第二の層が胃液に対して耐性のある物質から成っており、前記ペレット(1,11)が滴状又は球状の形をしていることを特徴とする請求項7又は8に記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項10】
前記ペレット(1,11)が球状、楕円状又は滴状の形をしており、その球の直径、又は短軸の長さが0.4〜0.8mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のパンクレアチンのペレット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のパンクレアチンのペレットを薬理活性な量含むことを特徴とする薬剤化合物。
【請求項12】
経口摂取に適した剤形で利用できることを特徴とする請求項11に記載の薬剤化合物。
【請求項13】
a)豚又は牛から採れた膵臓の粉砕及び自己融解を行なう段階と、
b)段階aにより得られた中間生成物の濾過による濾液の獲得を行なう段階と
c)濾液に含まれる酵素の沈殿を行なう段階と、
d)濾過ケーキを得るための段階cにより得られた混合物の濾過を行なう段階と、
e)残存水分の総量が0.1〜0.3重量%になるまで濾過ケーキを挽き且つ真空乾燥する(ただし残存水分が0.1〜0.3重量%のパンクレアチン生成物は乾燥工程を終えたときの生成物であり、押出成型可能な濾過ケーキ全体は50重量%オーダーの残存水分及び/又は残存有機溶媒を含む)段階と、
f)濾過ケーキの80℃以下での熱処理を行なう段階と、
g)熱処理され、十分な可塑性を示し、添加物及び/又は結合剤を加えずに紐状に成型可能な濾過ケーキの押出成型を行なう段階と、
h)添加物及び/又は結合剤又は他のいかなる補助物質も加えず球状、楕円状又は滴状のペレットを得るための球状成型を行なう段階と、
を含むことを特徴とする、請求項1〜4及び10に記載のパンクレアチンのみから成るペレット及び/又はマイクロペレットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−46682(P2011−46682A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115584(P2010−115584)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(510139140)ノルトマルク、アルツエナイミッテル、ゲーエムベーハー、ウント、コムパニ、カーゲー (2)
【Fターム(参考)】