説明

パンニング自動調整装置及びパンニング自動調整方法

【課題】受聴者にとって違和感を感じさせるステレオ信号のパンニングの偏りを調整するためパンニング自動調整装置を提供。
【解決手段】残差信号生成部1Lで、左チャンネルのオーディオ信号XLと右チャンネルのオーディオ信号XRとの残差信号ERLを検出し、残差信号ERLとオーディオ信号XLとを加算することで、左チャンネルのオーディオ信号YLを生成する。更に、残差信号生成部1Rで、右チャンネルのオーディオ信号XRと左チャンネルのオーディオ信号XLとの残差信号ELRを検出し、残差信号ELRとオーディオ信号XRとを加算することで、右チャンネルのオーディオ信号YRを生成する。オーディオ信号YLに対してフィルタリング処理して残差信号生成部1Lに入力させる適応等化器ADFLと、残差信号ELRをより小さな信号にするために、オーディオ信号YRに対してフィルタリング処理して残差信号生成部1Rに入力させる適応等化器ADFRを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステレオ録音されたステレオ信号に基づいてステレオ再生する際、左チャンネルと右チャンネルの再生音におけるパンニングの偏りを調整するパンニング自動調整装置とパンニング自動調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ステレオオーディオ再生装置では、例えば音楽CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されている例えば2チャンネルステレオ録音されたステレオ信号に基づいてステレオ再生する際、左チャンネルのオーディオ信号と右チャンネルのオーディオ信号を夫々別個のスピーカで再生したり、一対のイヤホンやヘッドホンで再生することにより、臨場感のある再生音が得られるようにしている。
【0003】
つまり、人間には左右の耳に入る音の位相差および音量差など感知して、音の発生源の方向を把握するという聴覚特性が備えられていることから、その聴覚特性を考慮したステレオ録音が行われ、ステレオオーディオ再生装置でステレオ再生する際にも、人間の聴覚特性を考慮したステレオ再生が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ステレオ録音の際にパンニング処理(編集)が行われている場合、左チャンネルと右チャンネルの再生音にパンニングの偏りが生じ、受聴者にとって違和感を感じる場合があった。例えば、バンド演奏がステレオ録音されている場合にパンニング処理(編集)によりギター音が極端に左方向から、ボーカル音が極端に右方向から聴こえるように設定されている場合には、受聴者にとって非常に聴きづらい場合があった。
【0005】
本発明は、このようなパンニングの偏りを改善し、受聴者の違和感を低減するパンニング自動調整装置及びパンニング自動調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、パンニングの偏りを有するステレオ信号の前記パンニングの偏りを調整するパンニング自動調整装置であって、前記ステレオ信号の左チャンネルのオーディオ信号と右チャンネルのオーディオ信号との第1の残差信号を生成する第1の残差信号生成手段と、前記第1の残差信号と前記左チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した左チャンネルのオーディオ信号を生成する第1の加算器と、前記ステレオ信号の右チャンネルのオーディオ信号と左チャンネルのオーディオ信号との第2の残差信号を生成する第2の残差信号生成手段と、前記第2の残差信号と前記右チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した右チャンネルのオーディオ信号を生成する第2の加算器と、を具備することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、パンニングの偏りを有するステレオ信号の前記パンニングの偏りを調整するパンニング自動調整装置であって、前記ステレオ信号の左チャンネルのオーディオ信号を適応的にフィルタリング処理する第1の適応等化器と、第1の適応等化器の出力と前記右チャンネルのオーディオ信号との第1の残差信号を生成する第1の残差信号生成手段と、前記第1の残差信号と前記左チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した左チャンネルのオーディオ信号を生成する第1の加算器と、前記ステレオ信号の右チャンネルのオーディオ信号を適応的にフィルタリング処理する第2の適応等化器と、第2の適応等化器の出力と前記左チャンネルのオーディオ信号との第2の残差信号を生成する第2の残差信号生成手段と、前記第2の残差信号と前記右チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した右チャンネルのオーディオ信号を生成する第2の加算器と、を具備し、前記第1の適応等化器は、前記第1の残差信号をより小さくするように、入力する前記左チャンネルのオーディオ信号に対するフィルタ特性を自動調整し、前記第2の適応等化器は、前記第2の残差信号をより小さくするように、入力する前記右チャンネルのオーディオ信号に対するフィルタ特性を自動調整すること、を特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の好適な実施形態について、図1を参照して説明する。図1(a)は、第1の実施形態に係るパンニング自動調整装置の構成、図1(b)は、第2の実施形態に係るパンニング自動調整装置の構成を表したブロック図である。なお、図1(a)(b)において、同一部分又は相当する部分を同一符号で示している。
【0009】
〔第1の実施形態〕
図1(a)において、第1の実施形態のパンニング自動調整装置は、残差信号生成部1L,1Rと加算器2L,2Rを備えて構成され、例えば、CD、DVD、メモリカード等の情報記録媒体に記録されている情報を再生する情報再生装置や、インターネット等のネットワークに接続される受信装置等の音源を備えたステレオオーディオ再生装置に設けられている。そして、受聴者等が選択操作した音源から出力されるオーディオ周波数帯域のステレオ信号(左チャンネルのオーディオ信号XLと右チャンネルのオーディオ信号XR)を入力し、パンニング調整を施した左チャンネルのオーディオ信号YLと右チャンネルのオーディオ信号YRを生成して、左チャンネルと右チャンネルのスピーカやイヤホン等の側へ出力するようになっている。
【0010】
残差信号生成部1Lは、右チャンネル(Rチャンネル)のオーディオ信号XRと左チャンネル(Lチャンネル)のオーディオ信号XLとの差分(XR−XL)を検出し、更に、差分(XR−XL)を所定の増幅率A(ただし、0<A<1)で増幅して、残差信号ERLとして加算器2Lへ供給する。
【0011】
加算器2Lは、オーディオ信号XLと残差信号ERLとを加算(合成)し、次式(1)で表されるように、その合成したオーディオ信号YLをパンニング調整したLチャンネルのオーディオ信号として出力する。ただし、式(1)において、tは時間である。
【0012】
【数1】

【0013】
残差信号生成部1Rは、オーディオ信号XLとXRとの差分(XL−XR)を検出し、更に、差分(XL−XR)を所定の増幅率B(ただし、0<B<1)で増幅して、残差信号ELRとして加算器2Rへ供給する。
【0014】
加算器2Rは、オーディオ信号XRと残差信号ELRとを加算(合成)し、次式(2)で表されるように、その合成したオーディオ信号YRをパンニング調整したRチャンネルのオーディオ信号として出力する。ただし、式(2)において、tは時間である。
【0015】
【数2】

【0016】
更に、本実施形態では、残差信号生成部1L,1Rの増幅率A,Bは等しい増幅率に固定されている。このように増幅率A,Bを等しい増幅率にすることで、残差信号ERLの振幅と残差信号ELRの振幅がほぼ同じ変化率(つまり、ERLとELRの振幅を絶対値で見た場合に、ほぼ同じ変化率)で変化するようにしている。
【0017】
そして、加算器2Lから出力されるオーディオ信号YLをLチャンネル側のスピーカやイヤホンで再生させ、加算器2Rから出力されるオーディオ信号YRをRチャンネル側のスピーカやイヤホンで再生させる。
【0018】
かかる構成を備えたパンニング自動調整装置によると、音源から供給されるオーディオ信号XLとXRがパンニングの偏りの大きい音場を生じさせる原音信号であった場合、そのパンニングの偏りの程度に応じて、オーディオ信号XLに残差信号ERLを合成することでオーディオ信号XLだけでなくRチャンネルのオーディオ信号XRの成分を含んだLチャンネルのオーディオ信号YLを生成し、更に、オーディオ信号XRに残差信号ELRを合成することでオーディオ信号XRだけでなくLチャンネルのオーディオ信号XLの成分を含んだRチャンネルのオーディオ信号YRを生成する。
【0019】
このため、オーディオ信号YLとYRを相関性をもった信号とすることができ、スピーカやイヤホンでステレオ再生させると再生音を受聴者の両耳に対して中央寄りに音場定位させることができるため、受聴者の違和感を低減することができる。
【0020】
また、音源から供給されるオーディオ信号XLとXRがパンニングの偏りの小さい音場を生じさせる原音信号、つまりオーディオ信号XLとXRが元々相関性の高い信号である場合、オーディオ信号XLに残差信号ERLを合成することで、オーディオ信号XLと殆ど同じオーディオ信号YLを生成することができ、更に、オーディオ信号XRに残差信号ELRを合成することで、オーディオ信号XRと殆ど同じオーディオ信号YRを生成することができるため、スピーカやイヤホンでステレオ再生させると、原音に忠実な再生音を再生させることができる。
【0021】
このように、本実施形態のパンニング自動調整装置では、オーディオ信号XL,XRによるパンニングの偏りに応じて、パンニングの偏りを低減させるオーディオ信号YL,YRを自動的に生成して、違和感のない再生音をステレオ再生させることができ、また、オーディオ信号XL,XRが元々パンニングの偏りを生じさせない原音信号のときには、実質的にパンニング調整を行わず、オーディオ信号XL,XRをオーディオ信号YL,YRとして出力することによって原音に忠実な再生音をステレオ再生させ、受聴者に違和感を与えない音を提供することができる。
【0022】
更に、本実施形態のパンニング自動調整装置は、簡易な構成で実現することができるため、回路規模の低減を図ることができる。
【0023】
なお、本実施形態のパンニング自動調整装置は、オーディオ信号XL,XRがアナログ信号の場合にはアナログ回路で形成することができる。また、オーディオ信号XL,XRがサンプリング定理に従って所定のサンプリング周波数fsでアナログディジタル変換されているディジタル信号の場合には、ディジタル回路で形成し、サンプリング周期(1/fs)に同期して、上記式(1)(2)に相当するディジタル信号処理を行うようにしてもよい。
【0024】
また、残差信号生成部1L,1Rと加算器2L,2Rとの機能を発揮するコンピュータプログラムを作成し、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)やマイクロプロセッサ(MPU)にそのコンピュータプログラムを実行させることで、上述のディジタル回路に相当するパンニング自動調整装置を実現するようにしてもよい。
【0025】
〔第2の実施形態〕
図1(b)において、第2の実施形態のパンニング自動調整装置は、残差信号生成部1L,1Rと、加算器2L,2Rと、適応等化器ADFL,ADFRを備えて構成され、ステレオオーディオ再生装置に備えられている情報再生装置や受信装置等の音源から出力されるオーディオ周波数帯域のLチャンネルのオーディオ信号XLとRチャンネルのオーディオ信号XRを入力し、パンニング調整を施したLチャンネルのオーディオ信号YLとRチャンネルのオーディオ信号YRを生成して、左チャンネルと右チャンネルのスピーカやイヤホン等の側へ出力する。
【0026】
ここで、本実施形態のパンニング自動調整装置は、サンプリング定理に従って所定のサンプリング周波数fsでディジタル信号にアナログディジタル変換されているオーディオ信号XLとXRを入力し、ディジタル信号処理によってパンニング調整の処理を行うようになっている。
【0027】
適応等化器ADFLは、入力するオーディオ信号XLに対して適応的にディジタルフィルタリングを施す適応ディジタルフィルタ(ADF:Adaptive Digital Filter)を有して構成され、上述のサンプリング周波数fsの逆数(1/fs)に相当する周期τに同期して、後述の残差信号ERLをより小さくするように、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数(タップ係数)を自動調整し、ディジタルフィルタリングを施した信号AXLを生成しつつ残差信号生成部1Lに供給する。
【0028】
更に、上述の適応ディジタルフィルタを、次式(3)に示すz変換表記の伝達関数HL(z)で表されるFIR(Finite Impulse Response)ディジタルフィルタで形成することとすると、次式(4)で表されるように、オーディオ信号XLと適応ディジタルフィルタのインパルス応答とのたたみ込みにより、信号AXL(k)を生成する。なお、tは時間、ak(t)はフィルタ係数、kは周期τ毎の時刻ステップである。
【0029】
【数3】

【0030】
【数4】

【0031】
また、適応ディジタルフィルタの特性を調整する適応アルゴリズムとして、LMS(the Least-Mean-Square)アルゴリズムを適用することとすると、次式(5)の係数更新式で表される演算によってフィルタ係数akを逐次求めて調整する。なお、定数μは、時刻ステップ毎にフィルタ係数akを修正するための修正係数(0<μ)であり、kは、k=0,1,2,……,m−1である。
【0032】
【数5】

【0033】
次に、残差信号生成部1Lは、Rチャンネルのオーディオ信号XRと信号AXLとの差分(XR−AXL)を演算し、残差信号ERLとして加算器2Lと適応等化器ADFLへ供給する。
【0034】
加算器2Lは、オーディオ信号XLと残差信号ERLとを加算(合成)し、その合成したオーディオ信号YLをパンニング調整したLチャンネルのオーディオ信号として出力する。
【0035】
次に、適応等化器ADFRと残差信号生成部1Rと加算器2Rは、夫々適応等化器ADFLと残差信号生成部1Lと加算器2Lと同様の構成を有して形成されている。
【0036】
すなわち、適応等化器ADFRは、次式(6)に示すz変換表記の伝達関数HR(z)で表されるFIRディジタルフィルタで形成することとすると、次式(7)で表されるように、オーディオ信号XRと適応ディジタルフィルタのインパルス応答とのたたみ込みにより、信号AXR(k)を生成する。また、適応ディジタルフィルタの特性を調整する適応アルゴリズムとして、LMSアルゴリズムを適用することとすると、次式(8)の係数更新式で表される演算によってフィルタ係数bkを逐次求めて調整する。
【0037】
【数6】

【0038】
【数7】

【0039】
【数8】

【0040】
残差信号生成部1Rは、Lチャンネルのオーディオ信号XLと信号AXRとの差分(XL−AXR)を演算し、残差信号ELRとして加算器2Rと適応等化器ADFRへ供給する。
【0041】
加算器2Rは、オーディオ信号XRと残差信号ELRとを加算(合成)し、その合成したオーディオ信号YLをパンニング調整したLチャンネルのオーディオ信号として出力する。
【0042】
かかる構成を備えたパンニング自動調整装置によると、Lチャンネル側の適応等化器ADFLは、残差信号ERLをより小さいレベルの信号にするように適応ディジタルフィルタの特性を自動調整することで、オーディオ信号YRとYLとのより無相関な成分を残差信号ERLとして、残差信号生成部1Lで抽出させる。
【0043】
したがって、オーディオ信号XLとXRがパンニングの偏りの大きい音場を生じさせる原音信号、すなわちオーディオ信号XLとXRが相関性の低い原音信号のときには、残差信号ERLには、ほぼオーディオ信号YRのみに含まれる成分が抽出され、逆に、オーディオ信号XLとXRが相関性の高い原音信号のときには、残差信号ERLは極めて小さなレベルの信号に収束する。
【0044】
そして、加算器2Lで残差信号ERLとオーディオ信号XLが加算されてオーディオ信号YLが生成されると、上述のオーディオ信号XLとXRが相関性の低い原音信号のときには、ほぼオーディオ信号XRのみに含まれている成分がオーディオ信号XLと加算されるため、オーディオ信号YLはオーディオ信号XRとの相関性が高い信号となり、逆に、上述のオーディオ信号XLとXRが元々相関性の高い原音信号のときには、残差信号ERLが極めて小さなレベルの信号となるため、オーディオ信号YLはオーディオ信号XLと殆ど同じ信号となる。
【0045】
つまり、Lチャンネル側の適応等化器ADFLと残差信号生成部1Lと加算器2Lは、オーディオ信号XLとXRの相関性が低い場合だけ相関性を高くするための処理を行ってオーディオ信号YLを生成し、逆に、オーディオ信号XLとXRの相関性が元々高い場合には実質的に処理を行わず、オーディオ信号XLを殆どそのままオーディオ信号YLとして出力することとなる。
【0046】
一方、Rチャンネル側の適応等化器ADFRも同様に、残差信号ELRをより小さいレベルの信号にするように適応ディジタルフィルタの特性を自動調整することで、オーディオ信号YLとYRとのより無相関な成分を残差信号ELRとして、残差信号生成部1Rで抽出させる。
【0047】
したがって、オーディオ信号XRとXLがパンニングの偏りの大きい音場を生じさせる原音信号、すなわちオーディオ信号XRとXLが相関性の低い原音信号のときには、残差信号ELRには、ほぼオーディオ信号YLのみに含まれる成分が抽出され、逆に、オーディオ信号XRとXLが相関性の高い原音信号のときには、残差信号ELRは極めて小さなレベルの信号に収束する。
【0048】
そして、加算器2Rで残差信号ELRとオーディオ信号XRが加算されてオーディオ信号YRが生成されると、オーディオ信号XRとXLが相関性の低い原音信号のときには、ほぼオーディオ信号XLのみに含まれている成分がオーディオ信号XRと加算されるため、オーディオ信号YRはオーディオ信号XLとの相関性が高い信号となり、逆に、上述のオーディオ信号XRとXLが元々相関性の高い原音信号のときには、残差信号ELRが極めて小さなレベルの信号となるため、オーディオ信号YRはオーディオ信号XRと殆ど同じ信号となる。
【0049】
つまり、Rチャンネル側の適応等化器ADFRと残差信号生成部1Rと加算器2Rは、オーディオ信号XRとXLの相関性が低い場合だけ相関性を高くするための処理を行ってオーディオ信号YRを生成し、逆に、オーディオ信号XRとXLの相関性が元々高い場合には実質的に処理を行わず、オーディオ信号XRを殆どそのままオーディオ信号YRとして出力することとなる。
【0050】
そして、こうして生成されるLチャンネルとRチャンネルのオーディオ信号YLとYRがスピーカやイヤホンでステレオ再生されると、オーディオ信号XRとXLの相関性が低い場合には、相関性の高いオーディオ信号YLとYRがスピーカやイヤホンでステレオ再生されることとなるため、再生音を受聴者の両耳に対して中央寄りに音場定位させることができ、受聴者の違和感を低減することができる。逆に、オーディオ信号XLとXRが元々相関性の高い信号ときには、オーディオ信号YLとYRの相関性も高いため、原音に忠実な再生音をステレオ再生させることで、受聴者に違和感を与えない音を提供することができる。
【0051】
なお、本実施形態のパンニング自動調整装置は、図2(b)に示した構成をディジタル回路で形成してもよいが、コンピュータプログラムを作成してディジタルシグナルプロセッサ(DSP)やマイクロプロセッサ(MPU)にそのコンピュータプログラムを実行させることで、ディジタル回路に相当するパンニング自動調整装置を実現するようにしてもよい。
【実施例1】
【0052】
次に、図1(a)に示した第1の実施形態に係るより具体的な実施例について、図2(a)(b)を参照して説明する。なお、図2(a)(b)において、図1(a)と同一又は相当する部分を同一符号で示している。また、図2(a)は本実施例の基本構成、図2(b)は変形例としての構成を表した回路図である。
【0053】
〔図2(a)に示すパンニング自動調整装置〕
図2(a)に示すパンニング自動調整装置では、Lチャンネル側の残差信号生成部1Lが、入力するRチャンネルのオーディオ信号XRからLチャンネルのオーディオ信号XLを減算する減算器SBLと、減算器SBLから出力される差分(XR−XL)に所定の増幅率A(ただし、0<A<1)で増幅する増幅器Aとを備えて形成されている。そして、加算器2Lが、増幅器Aから出力される残差信号ERLとオーディオ信号XLとを加算(合成)することで、パンニング調整を施したLチャンネルのオーディオ信号YLを生成する。
【0054】
Rチャンネル側の残差信号生成部1Hは、Lチャンネルのオーディオ信号XLからRチャンネルのオーディオ信号XRを減算する減算器SBRと、減算器SBRから出力される差分(XL−XR)に所定の増幅率B(ただし、0<B<1)で増幅する増幅器Bとを備えて形成されている。なお、増幅器Bの増幅率と増幅器Aの増幅率が同じでも良いし異なっていても良いが、同じ増幅率(A=B)とするほうが好ましい。
【0055】
そして、加算器2Rが、増幅器Bから出力される残差信号ELRとオーディオ信号XRとを加算(合成)することで、パンニング調整を施したRチャンネルのオーディオ信号YRを生成する。
【0056】
かかる構成を有するパンニング自動調整装置によると、第1の実施形態で説明したのと同様のパンニング調整機能が発揮され、受聴者の違和感を低減することができる。
【0057】
つまり、音源から供給されるオーディオ信号XLとXRがパンニングの偏りの大きい音場を生じさせる原音信号であった場合、オーディオ信号XLに残差信号ERLを合成することで、オーディオ信号XLだけでなくRチャンネルのオーディオ信号XRの成分を含んだLチャンネルのオーディオ信号YLを生成し、更に、オーディオ信号XRに残差信号ELRを合成することで、オーディオ信号XRだけでなくLチャンネルのオーディオ信号XLの成分を含んだRチャンネルのオーディオ信号YRを生成する。
【0058】
このため、オーディオ信号YLとYRを相関性をもった信号とすることができ、スピーカやイヤホンでステレオ再生させると再生音を受聴者の両耳に対して中央寄りに音場定位させることができるため、受聴者の違和感を低減することができる。
【0059】
また、音源から供給されるオーディオ信号XLとXRがパンニングの偏りの小さい音場を生じさせる原音信号、つまりオーディオ信号XLとXRが元々相関性の高い信号である場合、オーディオ信号XLに残差信号ERLを合成することで、オーディオ信号XLと殆ど同じオーディオ信号YLを生成することができ、更に、オーディオ信号XRに残差信号ELRを合成することで、オーディオ信号XRと殆ど同じオーディオ信号YRを生成することができるため、スピーカやイヤホンでステレオ再生させると、原音に忠実な再生音を再生させ、受聴者に違和感を与えない音を提供することができる。
【0060】
更に、増幅器AとBを、同じ増幅率で連動して変化させる可変増幅器で形成し、受聴者等が調整操作するようにしてもよい。かかる構成とすると、受聴者等の主観(好み)にあったパンニング調整を行うことができる。
【0061】
〔図2(b)に示すパンニング自動調整装置〕
図2(b)に示すパンニング自動調整装置では、図2(a)に示すパンニング自動調整装置内の減算器SBLの入力段に所定の増幅率a0(ただし、0<a0<1)を有する増幅器a0と、減算器SBRの入力段に所定の増幅率b0(ただし、0<b0<1、且つa0=b0)を有する増幅器b0とが設けられた構成となっている。
【0062】
そして、増幅器a0でオーディオ信号XLを増幅させた信号を減算器SBLに供給し、増幅器b0でオーディオ信号XRを増幅させた信号を減算器SBRに供給する。
【0063】
かかる構成を有するパンニング自動調整装置によると、第1の実施形態及び図2(a)に示した上述のパンニング自動調整装置と同様のパンニング調整機能が発揮され、受聴者の違和感を低減することができる。
【0064】
更に、図2(b)に示すパンニング自動調整装置では、増幅器a0とb0でオーディオ信号XLとXRの振幅を調整してから減算器SBLとSBRに供給するため、残差信号ERLにおけるオーディオ信号XLに対する反対側のチャンネルのオーディオ信号XRとの相関性と、残差信号ELRにおけるオーディオ信号XRに対する反対側のチャンネルのオーディオ信号XLとの相関性とを微調整することが可能である。
【0065】
また、増幅器AとBを同じ増幅率で連動して変化させる可変増幅器で形成すると共に、増幅器a0とb0も同じ増幅率で連動して変化させる可変増幅器で形成して、受聴者等が調整操作する構成とすることで、受聴者等がより細かく主観(好み)にあったパンニング調整を行うことが可能である。
【実施例2】
【0066】
次に、図1(b)に示した第2の実施形態に係るより具体的な実施例について、図3を参照して説明する。なお、図3において、図1(b)と同一又は相当する部分を同一符号で示している。
【0067】
本実施例のパンニング自動調整装置では、左チャンネル側の適応等化器ADFLは、オーディオ信号XLを入力してサンプリング周期τに同期してシフトするm段の遅延回路DL1〜DLmを有するシフトレジスタと、遅延回路DL1〜DLmの入力又は出力にフィルタ係数a0〜amを乗算する乗算器a0〜amと、乗算器a0〜amの出力を加算する加算器SUMLとを備えたFIRディジタルフィルタを具備するのに加えて、上記式(5)で表される係数更新演算を行うことで、LMSアルゴリズムによってフィルタ係数a0〜amを更新調整する推定制御部EMLとを備えて構成されている。
【0068】
ここで、本実施例のシフトレジスタは、8段(m=8)の遅延回路DL1〜DLmを備えて構成されている。
【0069】
更に、残差信号生成部1Lは、右チャンネルのオーディオ信号XRをサンプリング周期τのn倍の遅延時間(z-n)で遅延させて出力する遅延回路DRNと、遅延回路DRNの出力から加算器SUMLの出力信号AXLを減算する減算器SBLとを有して形成されている。ここで、遅延回路DRNの遅延時間(z-n)の方が、上述したm段の遅延回路DL1〜DLmを有するシフトレジスタの全遅延時間(z-m)よりも長い遅延時間に設定されている。このように遅延時間(z-m)より遅延時間(z-n)を長くすることで、後述のオーディオ信号YLに基づいて再生音がステレオ再生された場合に、右チャンネルのオーディオ信号XRの成分によって奥行き感の得られる音が再生できるようにしている。
【0070】
右チャンネル側の適応等化器ADFLも適応等化器ADFRと同様の構成となっており、オーディオ信号XRを入力してサンプリング周期τに同期してシフトするm段(m=8)の遅延回路DR1〜DRmを有するシフトレジスタと、遅延回路DR1〜DRmの入力又は出力にフィルタ係数b0〜bmを乗算する乗算器b0〜bmと、乗算器b0〜bmの出力を加算する加算器SUMRとを備えたFIRディジタルフィルタを具備するのに加えて、上記式(8)で表される係数更新演算を行うことで、LMSアルゴリズムによってフィルタ係数b0〜bmを更新調整する推定制御部EMRとを備えて構成されている。
【0071】
ここで、本実施例のシフトレジスタは、8段(m=8)の遅延回路DL1〜DLmを備えて構成されている。
【0072】
更に、残差信号生成部1Rは、左チャンネルのオーディオ信号XLをサンプリング周期τのn倍の遅延時間(z-n)で遅延させて出力する遅延回路DLNと、遅延回路DLNの出力から加算器SUMRの出力信号AXRを減算する減算器SBRとを有して形成されている。ここで、遅延回路DLNの遅延時間(z-n)の方が、上述したm段の遅延回路DR1〜DRmを有するシフトレジスタの全遅延時間(z-m)よりも長い遅延時間に設定されている。このように遅延時間(z-m)より遅延時間(z-n)を長くすることで、後述のオーディオ信号YRに基づいて再生音がステレオ再生された場合に、左チャンネルのオーディオ信号XLの成分によって奥行き感の得られる音が再生できるようにしている。
【0073】
そして、Lチャンネル側の加算器2Lが、残差信号ERLとオーディオ信号XLを加算(合成)することで、パンニング調整を施したLチャンネルのオーディオ信号YLを生成し、Rチャンネル側の加算器2Rが、残差信号ELRとオーディオ信号XRを加算(合成)することで、パンニング調整を施したRチャンネルのオーディオ信号YRを生成する。
【0074】
かかる構成を有する本実施例のパンニング自動調整装置によると、第2の実施形態で説明したのと同様のパンニング調整機能が発揮され、受聴者の違和感を低減することができる。
【0075】
つまり、適応等化器ADFLでは、推定制御部EMLが残差信号ERLをより小さいレベルの信号にするように適応ディジタルフィルタのフィルタ係数a0〜amを自動調整することで、オーディオ信号YLから、オーディオ信号YRと相関性のある信号AXLを抽出して減算器SBLに供給する。このため、減算器SBLにおいて、オーディオ信号YRとYLとのより無相関な成分が残差信号ERLとして生成される。
【0076】
したがって、オーディオ信号XLとXRがパンニングの偏りの大きい音場を生じさせる原音信号、すなわちオーディオ信号XLとXRが相関性の低い原音信号のときには、残差信号ERLには、ほぼオーディオ信号YRのみに含まれる成分が抽出され、逆に、オーディオ信号XLとXRが相関性の高い原音信号のときには、残差信号ERLは極めて小さなレベルの信号に収束する。
【0077】
そして、加算器2Lで残差信号ERLとオーディオ信号XLが加算されてオーディオ信号YLが生成されると、上述のオーディオ信号XLとXRが相関性の低い原音信号のときには、ほぼオーディオ信号XRのみに含まれている成分がオーディオ信号XLと加算されるため、オーディオ信号YLはオーディオ信号XRとの相関性が高い信号となり、逆に、上述のオーディオ信号XLとXRが相関性が元々高い原音信号のときには、残差信号ERLが極めて小さなレベルの信号となるため、オーディオ信号YLはオーディオ信号XLと殆ど同じ信号となる。
【0078】
つまり、Lチャンネル側の適応等化器ADFLと残差信号生成部1Lと加算器2Lは、オーディオ信号XLとXRの相関性が低い場合だけ相関性を高くするための処理を行ってオーディオ信号YLを生成し、逆に、オーディオ信号XLとXRの相関性が元々高い場合には実質的に処理を行わず、オーディオ信号XLを殆どそのままオーディオ信号YLとして出力することとなる。
【0079】
一方、Rチャンネル側の適応等化器ADFRも同様に、推定制御部EMRが残差信号ELRをより小さいレベルの信号にするように適応ディジタルフィルタのフィルタ係数b0〜bmを自動調整することで、オーディオ信号YRから、オーディオ信号YLと相関性のある信号AXLを抽出して減算器SBRに供給する。このため、減算器SBRにおいて、オーディオ信号YLとYRとのより無相関な成分が残差信号ELRとして生成される。
【0080】
したがって、オーディオ信号XLとXRがパンニングの偏りの大きい音場を生じさせる原音信号、すなわちオーディオ信号XLとXRが相関性の低い原音信号のときには、残差信号ELRには、ほぼオーディオ信号YLのみに含まれる成分が抽出され、逆に、オーディオ信号XRとXLが相関性の高い原音信号のときには、残差信号ELRは極めて小さなレベルの信号に収束する。
【0081】
そして、加算器2Rで残差信号ELRとオーディオ信号XRが加算されてオーディオ信号YRが生成されると、オーディオ信号XRとXLが相関性の低い原音信号のときには、ほぼオーディオ信号XLのみに含まれている成分がオーディオ信号XRと加算されるため、オーディオ信号YRはオーディオ信号XLとの相関性が高い信号となり、逆に、上述のオーディオ信号XRとXLが相関性が元々高い原音信号のときには、残差信号ELRが極めて小さなレベルの信号となるため、オーディオ信号YRはオーディオ信号XRと殆ど同じ信号となる。
【0082】
つまり、Rチャンネル側の適応等化器ADFRと残差信号生成部1Rと加算器2Rは、オーディオ信号XRとXLの相関性が低い場合だけ相関性を高くするための処理を行ってオーディオ信号YRを生成し、逆に、オーディオ信号XRとXLの相関性が元々高い場合には実質的に処理を行わず、オーディオ信号XRを殆どそのままオーディオ信号YRとして出力することとなる。
【0083】
そして、こうして生成されるLチャンネルとRチャンネルのオーディオ信号YLとYRがスピーカやイヤホンでステレオ再生されると、オーディオ信号XRとXLの相関性が低い場合には、相関性の高いオーディオ信号YLとYRがスピーカやイヤホンでステレオ再生されることとなるため、再生音を受聴者の両耳に対して中央寄りに音場定位させることができ、受聴者の違和感を低減することができる。逆に、オーディオ信号XLとXRが元々相関性の高い信号ときには、オーディオ信号YLとYRの相関性も高いため、原音に忠実な再生音をステレオ再生させることで、受聴者に違和感を与えない音を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1,第2の実施形態に係るパンニング自動調整装置の構成を表したブロック図である。
【図2】実施例1のパンニング自動調整装置の構成を表した回路図である。
【図3】実施例2のパンニング自動調整装置の構成を表した回路図である。
【符号の説明】
【0085】
1L,1R…残差信号生成部
2L,2R…加算器
SBL,SBR…減算器
A,B,a0,b0…増幅器
ADFL,ADFR…適応等化器
DRN,DLN…遅延回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンニングの偏りを有するステレオ信号の前記パンニングの偏りを調整するパンニング自動調整装置であって、
前記ステレオ信号の左チャンネルのオーディオ信号と右チャンネルのオーディオ信号との第1の残差信号を生成する第1の残差信号生成手段と、
前記第1の残差信号と前記左チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した左チャンネルのオーディオ信号を生成する第1の加算器と、
前記ステレオ信号の右チャンネルのオーディオ信号と左チャンネルのオーディオ信号との第2の残差信号を生成する第2の残差信号生成手段と、
前記第2の残差信号と前記右チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した右チャンネルのオーディオ信号を生成する第2の加算器と、
を具備することを特徴とするパンニング自動調整装置。
【請求項2】
前記第1の残差信号生成手段は、前記第1の残差信号の振幅を調整して前記第1の加算器に供給する所定増幅率の第1の増幅手段を有し、
前記第2の残差信号生成手段は、前記第2の残差信号の振幅を調整して前記第2の加算器に供給する所定増幅率の第2の増幅手段を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のパンニング自動調整装置。
【請求項3】
前記第1の残差信号生成手段は、更に、前記左チャンネルのオーディオ信号を所定の増幅率で増幅して入力する第3の増幅手段を備え、
前記第2の残差信号生成手段は、更に、前記右チャンネルのオーディオ信号を所定の増幅率で増幅して入力する第4の増幅手段を備えること、
を特徴とする請求項2に記載のパンニング自動調整装置。
【請求項4】
パンニングの偏りを有するステレオ信号の前記パンニングの偏りを調整するパンニング自動調整装置であって、
前記ステレオ信号の左チャンネルのオーディオ信号を適応的にフィルタリング処理する第1の適応等化器と、
第1の適応等化器の出力と前記右チャンネルのオーディオ信号との第1の残差信号を生成する第1の残差信号生成手段と、
前記第1の残差信号と前記左チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した左チャンネルのオーディオ信号を生成する第1の加算器と、
前記ステレオ信号の右チャンネルのオーディオ信号を適応的にフィルタリング処理する第2の適応等化器と、
第2の適応等化器の出力と前記左チャンネルのオーディオ信号との第2の残差信号を生成する第2の残差信号生成手段と、
前記第2の残差信号と前記右チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した右チャンネルのオーディオ信号を生成する第2の加算器と、を具備し、
前記第1の適応等化器は、前記第1の残差信号をより小さくするように、入力する前記左チャンネルのオーディオ信号に対するフィルタ特性を自動調整し、
前記第2の適応等化器は、前記第2の残差信号をより小さくするように、入力する前記右チャンネルのオーディオ信号に対するフィルタ特性を自動調整すること、
を特徴とするパンニング自動調整装置。
【請求項5】
前記第1,第2の適応等化器は、LMSアルゴリズムに従って、前記フィルタ特性を自動調整すること、
を特徴とする請求項4に記載のパンニング自動調整装置。
【請求項6】
前記第1の残差信号生成手段は、前記右チャンネルのオーディオ信号を所定時間遅延させて入力する第1の遅延手段を備えて、前記第1の適応等化器の出力と前記第1の遅延手段の出力との前記第1の残差信号を生成し、
前記第2の残差信号生成手段は、前記左チャンネルのオーディオ信号を所定時間遅延させて入力する第2の遅延手段を備えて、前記第2の適応等化器の出力と前記第2の遅延手段の出力との前記第2の残差信号を生成すること、
を特徴とする請求項4又は5に記載のパンニング自動調整装置。
【請求項7】
パンニングの偏りを有するステレオ信号の前記パンニングの偏りを調整するパンニング自動調整方法であって、
前記ステレオ信号の左チャンネルのオーディオ信号と右チャンネルのオーディオ信号との第1の残差信号を生成する第1の残差信号生成工程と、
前記第1の残差信号と前記左チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した左チャンネルのオーディオ信号を生成する第1の加算工程と、
前記ステレオ信号の右チャンネルのオーディオ信号と左チャンネルのオーディオ信号との第2の残差信号を生成する第2の残差信号生成工程と、
前記第2の残差信号と前記右チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した右チャンネルのオーディオ信号を生成する第2の加算工程と、
を具備することを特徴とするパンニング自動調整方法。
【請求項8】
パンニングの偏りを有するステレオ信号の前記パンニングの偏りを調整するパンニング自動調整方法であって、
前記ステレオ信号の左チャンネルのオーディオ信号を適応的にフィルタリング処理する第1の適応等化工程と、
第1の適応等化工程で生成される出力と前記右チャンネルのオーディオ信号との第1の残差信号を生成する第1の残差信号生成工程と、
前記第1の残差信号と前記左チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した左チャンネルのオーディオ信号を生成する第1の加算工程と、
前記ステレオ信号の右チャンネルのオーディオ信号を適応的にフィルタリング処理する第2の適応等化工程と、
第2の適応等化工程で生成される出力と前記左チャンネルのオーディオ信号との第2の残差信号を生成する第2の残差信号生成工程と、
前記第2の残差信号と前記右チャンネルのオーディオ信号とを加算して、前記パンニングの偏りを調整した右チャンネルのオーディオ信号を生成する第2の加算工程と、を具備し、
前記第1の適応等化工程では、前記第1の残差信号をより小さくするように、入力する前記左チャンネルのオーディオ信号に対するフィルタ特性を自動調整し、
前記第2の適応等化工程は、前記第2の残差信号をより小さくするように、入力する前記右チャンネルのオーディオ信号に対するフィルタ特性を自動調整すること、
を特徴とするパンニング自動調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−48324(P2008−48324A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224088(P2006−224088)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】