説明

パン切断装置

【課題】エンドレスブレードやドラムの回転軸及びその周辺空間へのアクセス性を向上でき、エンドレスブレードの取り換えやメインテナンスを容易にできる簡易な構成のパン切断装置を提供すること。
【解決手段】
エンドレスブレードが巻回可能で、互いに離間配置される複数のドラムと、前記複数のドラムそれぞれが同心に装着される複数の回転軸と、前記ドラムの外周面及びその延長面により規定される円柱空間外に延在する軸支持枠部材と、一端部が前記軸支持枠部材に枢動可能に装着され、他端部が前記軸支持枠部材に取り外し可能に装着され、前記複数の回転軸の少なくとも一の端部を支持できる軸支持部材と、前記複数のドラムの少なくとも一方が載置可能なドラム載置機構と、を備え、前記軸支持部材は、前記円柱空間内と前記円柱空間外との間で枢動可能であり、前記複数のドラムの少なくとも一方がドラム載置機構に載置されるとき、前記軸支持部材が前記円柱空間外に枢動可能であることを特徴とするパン切断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンを切断するためのパン切断装置に関する。特に、エンドレスブレードの着脱を容易にできるパン切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食パンを切断すための食パン切断装置が利用されている。例えば、特許文献1は、ドラムに装着されている回転軸の軸方向両端部が両持ち梁フレームに支持される食パンスライサーを開示する。従来の食パンスライサーは、一対のドラムと、両ドラムの回転軸を互いに平行に回転可能に支持するフレームと、平行配置されている両ドラムに対してたすき掛けに巻回される複数のエンドレスブレードと、を備える。
【0003】
当該フレームは、鉛直方向に対して若干傾斜して延在する一対のサイドフレームと、一対のサイドフレームが互いに平行になるように連結し、水平方向に延在するビームフレームと、を有する両持ち梁式である。サイドフレーム間には、ビームフレームに平行に延び枢動軸が延在する。ドラムの回転軸の両端部は、それぞれアーム部材を介して枢動軸に枢動可能に支持されている。このアーム部材を枢動軸の回りに揺動させることで、両ドラム間の距離を変更しエンドレスブレードに掛かる張力を変える構成である。
【0004】
上記構成の食パンスライサーでは、所定間隔で互いに離間して複数のエンドレスブレードが両ドラムに巻回されおり、エンドレスブレードを通過する食パンが、所定厚さにスライスされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2795254号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の食パンスライサーでは、サイドフレーム、回転軸が支持するアーム部材、及びアーム部材を揺動する枢動軸等が存在するため、エンドレスブレードの脱着を行う作業に手間がかかる。例えば、ドラムのエンドレスブレードを取り替えるためには、アーム部材から回転軸を取り外し、アーム部材とドラムの軸方向端面との間の比較的狭い空間を介してエンドレスブレードの出し入れを行う必要がある。
【0007】
このように、従来の両持ち梁式のフレームを有するパン切断装置では、ドラムの回転軸やその周辺部位へのアクセスが制限されており、エンドレスブレードのメンテナンスや取り換え作業等に手間が掛かる傾向にある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものである。すなわち、エンドレスブレードやドラムの回転軸及びその周辺空間へのアクセス性を向上でき、エンドレスブレードの取り換えやメインテナンスを容易にできる簡易な構成のパン切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のパン切断装置は、エンドレスブレードが巻回可能で、互いに離間配置される複数のドラムと、前記複数のドラムそれぞれが同心に装着される複数の回転軸と、前記ドラムの外周面及びその延長面により規定される円柱空間外に延在する軸支持枠部材と、一端部が前記軸支持枠部材に枢動可能に装着され、他端部が前記軸支持枠部材に取り外し可能に装着され、前記複数の回転軸の少なくとも一の端部を支持できる軸支持部材と、前記複数のドラムの少なくとも一方が載置可能なドラム載置機構と、を備え、前記軸支持部材は、前記円柱空間内と前記円柱空間外との間で枢動可能であり、前記複数のドラムの少なくとも一方がドラム載置機構に載置されるとき、前記軸支持部材が前記円柱空間外に枢動可能である。
【0010】
さらに、本発明のパン切断装置の一の態様によれば、前記軸支持枠部材は、前記複数のドラムの少なくとも一方の外周面の曲率半径より大きい曲率半径を有するC字形部材である。
【0011】
さらに、本発明のパン切断装置の別の態様によれば、前記複数の回転軸それぞれの一方の端部を支持可能に複数の軸支持部材を備え、前記複数の軸支持部材は、前記複数の回転軸の同じ側の端部を支持可能である。
【0012】
さらに、本発明のパン切断装置の一の態様によれば、前記ドラム載置機構は、前記複数のドラムの少なくとも一方が載置される載置部と、前記複数のドラムの少なくとも一方の回転軸に係合する、前記載置部に設けられているガイド部材と、を有し、前記複数のドラムの少なくとも一方が前記載置部に載置されるとき前記複数のドラムの少なくとも一方の回転軸が前記ガイド部材により位置決めされる。
【0013】
また、本発明のパン切断装置の別の態様によれば、前記軸支持部材は、前記複数のドラムの少なくとも一方の回転軸を支持する凹部を有し、前記凹部により前記ドラムの回転中心が位置決めされる。
【0014】
なお、本明細書において、軸支持部材又は軸支持枠部材が円柱空間S外に位置するとは、軸支持部材又は軸支持枠部材の全体が円柱空間Sの外部にあることを意味する。すなわち、軸支持部材の一部分又は軸支持枠部材の一部分が円柱空間Sの内部にある場合には、軸支持部材又は軸支持枠部材が円柱空間Sの内部に延在することを意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるパン切断装置によれば、軸支持部材が軸支持枠部材に対して枢動可能であり、ドラムの外周面及びその延長面により規定される円柱空間の外側へ移動できる。従って、ドラムの回転軸の近傍に存在していた従来のアーム部材といった干渉物を排除でき、エンドレスブレードへのアクセスや、エンドレスブレードの装着又は脱着するための空間を確保できる。また、ドラム及びその近傍に配置される部材のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る食パン切断装置の主要要素を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の食パン切断装置の正面図である。
【図3】図1のアーム部材を開放した状態の上方右側及び下方右側パン切断用ドラム支持部を示す側面図である。
【図4】図2の矢印IV方向から見た上方左側パン切断用ドラム支持部の側面図である。
【図5】図2の矢印V方向から見た食パン切断装置の平面図である。
【図6】図1の矢印VI方向から見たパン切断用ドラム支持部の正面図である。
【図7】図1の矢印VII方向から見たドラム載置機構の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るパン切断装置を適用した実施形態の食パン切断装置を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、実施形態に係る食パン切断装置1の主要要素を模式的に示す側面図であり、図2は、図1の食パン切断装置1の正面図であり、図3は、図1のアーム部材を開放した状態の上方右側及び下方右側パン切断用ドラム支持部203a、205aを示す側面図であり、図4は、図2の矢印IV方向から見た上方左側パン切断用ドラム支持装置203bの側面図であり、図5は、図2の矢印V方向から見た食パン切断装置1の平面図であり、図6は、図1の矢印VI方向から見た上方パン切断用ドラム支持部203の正面図であり、図7は、図1の矢印VII方向から見たドラム載置機構251の正面図である。
【0019】
なお、明瞭化のため、図1から図2に示すサイドフレーム25が削除されている。図2は、明瞭化のため、パン切断用ドラム支持装置202、上方及び下方ドラム5、7、食パン切断装置1のフレーム25、27及等、説明に必要な要素のみを示している。また、図6からは、ガイド部材257を割愛し、図7からは、パン切断用ドラム支持装置203を割愛している。
【0020】
食パン切断装置1は、主として、食パンBをスライスするためのパンスライス部201と、パンスライス部201へ食パンBを供給するパン搬送部101と、パンスライス部201によりスライスされた食パンB´を袋詰めする後工程等へ、スライスされた食パンB´を搬送するディスチャージコンベア301と、を備える。なお、図1中において符号401で示される要素は、パン切断装置1の前工程の装置から、食パン切断装置1へ食パンBを搬送するベルドコンベア401であり、食パン切断装置1を構成する要素ではない。
【0021】
パンスライス部201について図1を参照しつつ説明する。パンスライス部201は、主として、食パンBが導入されるパン導入路13と、パン導入路13の上方及び下方に配置される上方ドラム5及び下方ドラム7と、上方ドラム5及び下方ドラム7にたすき掛けで巻回される複数のエンドレスブレード3と、エンドレスブレード3が所定位置で回動するようにエンドレスブレード3を支持する上方及び下方ガイドピン21、23と、パン切断用ドラム支持装置202と、ドラム載置機構251と、を有する。
【0022】
パン導入路13は、図1の上下方向に関するパン導入路13の寸法を規定する天板17及び底板19と、図1の表裏方向(紙面を貫通する方向)の寸法を規定する側板(不図示)と、によりトンネル状に構成されている。天板17及び底板19は、食パン切断装置1の枠体を構成するスライス部フレーム15に固定されている。
【0023】
図2に示すように、パン切断用ドラム支持装置202は、上方ドラム5近傍に配置される上方パン切断用ドラム支持部203と、下方ドラム7近傍に配置される下方パン切断用ドラム支持部205とを有する。さらに、上方及び下方パン切断用ドラム支持部203、205は、それぞれ図2に示す上方及び下方ドラム5、7に同心に装着される上方及び下方回転軸215、217の右端部215a、217aと左端部215b、217bとに配置される。すなわち、上方パン切断用ドラム支持部203は、開閉可能な上方右側ドラム支持部203aと、開閉できない固定式の上方左側ドラム支持部203bを有する。また、下方パン切断用ドラム支持部205は、開閉可能な下方右側ドラム支持部205aと、開閉できない固定式の下方左側ドラム支持部205bを有する。
【0024】
図3に示すように、上方右側ドラム支持部203aは、エンドレスブレード3が巻回可能な上方ドラム5の回転軸215の右端部215aを支持できる軸支持部材、すなわち支持バー207と、支持バー207の一端部207aが枢動可能に装着され、支持バー207の他端部207bが取り外し可能に装着される軸支持枠部材、すなわちアーム部材209と、を備える。
【0025】
支持バー207の長手方向の中央部に対して一端部207aに近い位置には、支持突起207cが設けられている。回転軸215の右端部215aは、支持突起207cと支持バー207の上端面207dとにより規定される凹部207eにより支持される。また、支持バー207の他端部207bには、その短手方向に貫通するピンホール207fが設けられている。このピンホール207fに、後述するアーム部材209の固定ピン213が挿入され、支持バー207がアーム部材209に固定される。
【0026】
また、支持バー207の一端部207aには、その短手方向に貫通する貫通穴(不図示)が設けられている。また、上方回転軸215の軸心と及び下方回転軸217の軸心とを直交する軸心間線Xにほぼ平行に延びる軸部材(不図示)がアーム部材209の一端部209aに設けられている。アーム部材209の軸部材(不図示)が支持バー207の一端部207aに設けられている不図示の貫通穴内に挿通され支持バー207が枢動できる構成である。
【0027】
アーム部材209は、上方ドラム5の外周面5aの曲率半径より若干大きい曲率半径を有するC字形の板状部材であり、上方ドラム5の外周面5aの周縁部から半径方向に所定距離離れて延在する。アーム部材209の他端部209bは、その厚さ方向(図1、3の紙面の表裏方向)に延在する揺動軸、すなわち後方クロスバー223に回動可能に装着され、アーム部材209が、矢印219方向に揺動可能である。なお、アーム部材209は、上方ドラム5と下方ドラム7との間のエンドレスブレード3が回動する軌跡上に延在しないで、アーム部材209がエンドレスブレード3の回動を妨げることはない。
【0028】
上方左側ドラム支持部203bは、図4に示すように、平行に延在する2つのサイドフレーム27を横切る方向に延在する支持バー221を有する。支持バー221は、上方右側ドラム支持部203aの支持バー207と同様に、その上端面221dに突起221cが設けられ、上端面221dと突起221cとにより規定される凹部221eに回転軸215の左端部215bが支持されている。また、支持バー221の他端部221bは、揺動軸である後方クロスバー223に回動可能に装着されている。
【0029】
図5に示されるように、上方右側ドラム支持部203aのアーム部材209と、上方左側ドラム支持部203bの支持バー221とは、それぞれ、前方クロスバー225及び後方クロスバー223と連結されている。後方クロスバー223は、サイドフレーム25、27に対して揺動可能に装着されている。従って、後方クロスバー223を揺動軸として、上方右側及び上方左側ドラム支持部203a、203bは、一体で揺動できる構成である。さらに、上方右側ドラム支持部203aのアーム部材209と、上方左側ドラム支持部203bの支持バー221とが、前方クロスバー225及び後方クロスバー223とに連結する構成を採用することで、上方ドラム5を保持する構造の剛性を確保することできる。従って、上方ドラム5の揺動させても、その回転軸215の軸心が所定位置に確実に保持される。
【0030】
図3に示すように、下方右側ドラム支持部205aは、下方回転軸217の右端部217aを回転可能に支持する軸支持部材すなわち支持バー231と、支持バー231の一端部231aが枢動可能に装着される支持バー台座部233と、支持バー231の他端部231bが取り外し可能に装着される支持バー留め部235と、を有する。すなわち、支持バー台座部233と支持バー留め部235とが、軸支持枠部材を構成する。支持バー台座部233及び支持バー留め部235は、それぞれサイドフレーム25に固定されている。
【0031】
支持バー台座部233には、軸心間線Xにほぼ平行に延在する不図示の軸部材が設けられ、この軸部材に、支持バー231の一端部231aが回転可能に装着されることで、蝶番を構成する。また、支持バー231の他端部231bは、その短手方向(前述の軸心間線X方向)に貫通するピンホール231fが設けられている。支持バー留め部235の固定ピン237がピンホール231fに挿入されることにより、支持バー231の他端部231bが支持バー留め部235に固定される。さらに、支持バー231には、貫通穴を有する円筒状支持部231cが設けられて、支持バー留め部235に支持バー231を固定した(閉じた)状態では、円筒状支持部231cが下方回転軸217の右端部217aを回転可能に支持する。
【0032】
図2に示される下方左側ドラム支持部205bは、両サイドフレーム27(図1参照)を横切る方向に延在する支持バー241を備える。支持バー241は、下方右側ドラム支持部205aの支持バー231とは異なり、サイドフレーム27に対して枢動可能には構成されておらず、固定されている。また、本実施形態では、下方回転軸217の左端部217bは、支持バー241の軸支持穴241aを貫通し回転可能に支持されている。
【0033】
また、軸支持穴241aを貫通する下方回転軸217の左端部217bは、従動Vプーリ243に連結されている。従動Vプーリ243と、不図示の駆動Vプーリとには、不図示の無端ベルドが巻回され、不図示の駆動モータからの回転力が伝達される。従って、駆動モータからの回転力により、下方ドラム7が回転する。下方ドラム7の回転力は、エンドレスブレード3を介して上方ドラム5へ伝達され、上方ドラム5と下方ドラム7は互いに対向する方向に回転する。なお、下方ドラム7を回転させる上述の機構には、公知の手段を用いる。
【0034】
上述の通り、本実施形態では、上方及び下方右側ドラム支持部203a、205aの支持バー207、231のみが、回転軸215、217に対し、上方及び下方ドラム5、7の外周面5a、7a及びその延長面により規定される(回転軸215、217が延在する)円柱空間S外へ枢動可能な構成である。食パン切断装置1内のエンドレスブレード3を装着及び取り外す際に、エンドレスブレード3が通る経路に干渉物が存在しないため、エンドレスブレード3を装着又は取り外す作業を容易に行うことができる。また、上方及び下方ドラム3、5の上方及び下方回転軸215、217の右端部215a、217a及びその近傍領域へのアクセス性が非常に良い。
【0035】
さらに、図1、2、7に示すように、本実施形態では、支持バー207を上方回転軸215の右端部215aを支持していない状態(開放した状態)のとき、上方ドラム3を一時的に載置するためのドラム載置機構251が設けられている。ドラム載置機構251は、サイドフレーム27間に延在する基盤253と、基盤253に連結され、上方回転軸215方向に延びる載置台255と、載置台255の上面255aに対し垂直方向に延在する一対のガイド部材257(図7参照。)と、載置台255の下面255bと基盤253の内面253aとに対して垂直に連結される正面視でほぼ三角形状のリブ259と、を備える。
【0036】
また、図1、3に示すように、載置台255は、側面視で逆台形状であり、その上面255aに、支持バー207から外されている上方ドラム5が載置される。
【0037】
また、図7において、右側に配置されるガイド部材257は、正面視でL字形状であり、左側に配置されるガイド部材257は、正面視で逆L字形状である。ガイド部材257の直立部には、厚さ方向に貫通し略矩形状のガイド穴257aが設けられている(図1、3参照。)。一対のガイド部材257のガイド穴257aのそれぞれには、回転軸215の左右端部215b、215aが挿入されている。また、図3、図4の上下方向に関するガイド穴257の下端部は、符号257cで示し、ガイド穴の長手方向に延びる一対の直線縁部は、符号257bで示す。
【0038】
また、図2〜4に示すように、アーム部材209の一端部209aと支持バー221の一端部221aの下方には、アーム部材209及び支持バー221を矢印219方向に揺動させる押圧部材261、263がサイドフレーム25、27に装着されている。押圧部材261、263の押圧ネジ261a、263aを矢印261b、263b方向に伸縮させることにより、アーム部材209及び支持バー221は、後方クロスバー223を揺動軸として矢印219方向に揺動する。
【0039】
なお、アーム部材209及び支持バー221を揺動すると、上方ドラム5の回転軸215は、ガイド部材257のガイド穴257aに沿って所定の場所に位置付けされる。本実施形態では、押圧ネジ261a、263aを所定量伸ばしたとき(図3の2点鎖線で示される状態及び図6に示す状態)、エンドレスブレード3に所定の張力が付与され、エンドレスブレード3は、食パンBを切断できる状態となる。
【0040】
また、押圧ネジ261a、263aを縮めたときは(図7に示す状態)、回転軸215がガイド穴257aに沿って降下し、図7に示すように、載置台255に上方ドラム5が載置される。この時、エンドレスブレード3の張力が緩んだ状態である。支持バー207、231をアーム部材209及び支持バー留め部235に留めている固定ピン213、237を外し、支持バー207、231を開くと、エンドレスブレード3を取り外すことができる。
【0041】
さらに、上方ドラム5の回転軸215の右端部215aから支持バー207を解放した場合でも、ガイド穴257aの下端部257cに、回転軸215が係合するとともに、回転軸215の右端部215aに設けられ、直線縁部257bに平行に延びる不図示の平坦部が係合することにより、載置台255上で上方ドラム5の回転軸215の位置決めがなされるとともに、回転軸215の回動を規制している。さらに、支持バー207の他端部207bをアーム部材209の他端部209bに装着すると、回転軸215の右端部215aが、支持バー207の凹部207eに係合し支持される。
【0042】
また、支持バー207をアーム部材209に固定したときに、回転軸215が支持バー207の凹部207eに係合していない場合であっても、押圧部材261によりアーム部材209を矢印261b方向上方に移動させると、アーム部材209が水平方向に関して傾いているため、回転軸215の右端部215aは、支持バー207の上端面207dを摺動し凹部207eに係合する。回転軸215が凹部207eに支持されると、上方ローラ3は、その回転中心に位置決めされる。このように、支持バー207に対する回転軸215の位置決めを非常に容易に実行できる。
なお、押圧部材には、公知のエアシリンダ又は油圧シリンダ等も使用できる。
【0043】
以下に、食パン切断装置1のその他の構成要素及び動作について簡単に説明する。
図1に示す上方ガイドピン21及び下方ガイドピン23は、エンドレスブレード3の交差する交差部3aに対して上下方向に配置されるようにスライス部フレーム15に固定され、エンドレスブレード3が所定の移動軌跡を通るようにガイドする。さらに、交差部3aは、パン導入路13内に位置付けられている。
【0044】
図1の搬送方向11に関し、パンスライス部201の上流側にはフライトコンベア103が配置されている。食パンBのパン導入路13内への導入は、第1のフライトコンベア103で行われる。第1のフライトコンベア103は、スプロケット間を回動する第1の無端回動体111に装着されている第1のフライト109により、所定タイミングで行われる。パン導入路13内へ搬送された食パンBは、パン導入路13内にすでに供給されている食パンBを押し、押された食パンBはエンドレスブレード3の交差点3a側へ進んでいく。エンドレスブレード3が回転している状態で、食パンBが交差部3aを通過すると、所定幅にスライスされた食パンB´が得られる。
【0045】
図1の搬送方向11に関し、パンスライス部201の下流側には、ディスチャージコンベア301が配置されている。ディスチャージコンベア301のスプロケット間に巻回される第2の無端回動体311に装着されている第2のフライト309により、スライスされた食パンB´は、次の行程に搬送される。
【0046】
本実施形態では、支持バー207、231をそれぞれ、アーム部材209、支持バー台座部233に対して枢動可能に装着する構成としているが、本発明のパン切断用ドラム支持装置は、本構成に限定されない。支持バー207、231が、ドラムの回転軸に対して、ドラムの外周面及びその延長面により規定される円柱空間S外へ移動できる限り、種々の構成が適用できる。
【0047】
さらに、本実施形態では、アーム部材209及び支持バー207により構成されている上方右側ドラム支持部203aを用いている。しかし、上方右側ドラム支持部203aの代わりに上方左側ドラム支持部203bを、アーム部材及び支持バーにより構成することも可能である。なお、本実施形態では、固定支持される回転軸215に対して上方ドラム5が回転可能に装着される構成としたが、回転軸と上方ドラムとは互いに相対的に回転できる構成であれば、本発明の目的は達成できる。
【0048】
また、実施形態は、直方体形状の角型食パンを用いて説明したが、本発明は、角型食パンに限定されず、種々の寸法及び形状のパンを切断するためのパン切断装置に適用できる。
【0049】
本実施形態は、両持ち梁フレームを有する食パン切断装置であるが、本発明はこの構成に限定されない。回転軸の一端部側にのみ延びるサイドフレーム、いわゆる片持ち梁式のフレームを有するパン切断装置にも本発明を適用でき、本発明の効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 食パン切断装置
3 エンドレスブレード
5 上方ドラム
7 下方ドラム
13 パン導入路
17 天板
19 底板
21 上方ガイドピン
23 下方ガイドピン
25、27 サイドフレーム
101 パン搬送部
103 フライトコンベア
109 第1のフライト
111 無端回動体
201 パンスライス部
202 パン切断用ドラム支持装置
203、205 上方パン切断用ドラム支持部、下方パン切断用ドラム支持部
203a、203b、205a、205b ドラム支持部
207、221、231、241 支持バー
207a、231a 一端部
207b、231b 他端部
207c 支持突起
207e、221e 凹部
209 アーム部材
215、217 上方回転軸、下方回転軸
215a、217a 右端部
215b、271b 左端部
223、225 後方クロスバー、前方クロスバー
233 支持バー台座部
235 支持バー留め部
251 ドラム載置機構
253 基盤
255 載置台
257 ガイド部材
259 リブ
301 ディスチャージコンベア
309 第2のフライト
311 第2の無端回動体
401 ベルドコンベア
B 食パン
B´ スライスされた食パン
S 円柱空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスブレードが巻回可能で、互いに離間配置される複数のドラムと、
前記複数のドラムそれぞれが同心に装着される複数の回転軸と、
前記ドラムの外周面及びその延長面により規定される円柱空間外に延在する軸支持枠部材と、
一端部が前記軸支持枠部材に枢動可能に装着され、他端部が前記軸支持枠部材に取り外し可能に装着され、前記複数の回転軸の少なくとも一の端部を支持できる軸支持部材と、
前記複数のドラムの少なくとも一方が載置可能なドラム載置機構と、を備え、
前記軸支持部材は、前記円柱空間内と前記円柱空間外との間で枢動可能であり、前記複数のドラムの少なくとも一方がドラム載置機構に載置されるとき、前記軸支持部材が前記円柱空間外に枢動可能であることを特徴とするパン切断装置。
【請求項2】
前記軸支持枠部材は、前記複数のドラムの少なくとも一方の外周面の曲率半径より大きい曲率半径を有するC字形部材であることを特徴とする請求項1に記載のパン切断装置。
【請求項3】
前記複数の回転軸それぞれの一方の端部を支持可能に複数の軸支持部材を備え、前記複数の軸支持部材は、前記複数の回転軸の同じ側の端部を支持可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパン切断装置。
【請求項4】
前記ドラム載置機構は、前記複数のドラムの少なくとも一方が載置される載置部と、前記複数のドラムの少なくとも一方の回転軸に係合する、前記載置部に設けられているガイド部材と、を有し、前記複数のドラムの少なくとも一方が前記載置部に載置されるとき前記複数のドラムの少なくとも一方の回転軸が前記ガイド部材により位置決めされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパン切断装置。
【請求項5】
前記軸支持部材は、前記複数のドラムの少なくとも一方の回転軸を支持する凹部を有し、前記凹部により前記ドラムの回転中心が位置決めされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のパン切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255437(P2011−255437A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130432(P2010−130432)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000128728)株式会社オシキリ (40)
【Fターム(参考)】