説明

パージ装置及び該パージ装置を有するロードポート装置

【課題】 ロードポート装置における開口部前のガスカーテンの生成と、ポッド内部へのパージガスの供給とを、単一の不活性ガス源より得られる系によって実施する。
【解決手段】 開口部の側辺の外側に沿って延在するパージノズルと、開口部上辺の上部に配置されるカーテンノズルと、を有し、両ノズルに不活性ガスを供給するガス供給配管をパージノズルと平行に配置して該供給配管の延在方向と直交する方向にて該供給配管からパージノズルにガス供給を為し、該ガス供給配管の端部にてカーテンノズルにガス供給を為す構成においてガス供給配管の端部にガス流に圧損を生じさせるコンダクタンス調整手段を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持されたウエハを半導体処理装置に移載する、或いはウエハを該半導体処理装置より該ポッドに移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ちロードポート装置に用いられて、該ポッド内部をパージするパージ装置、及び該パージ装置を有するロードポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、近年では各種処理装置の内部、ウエハを収容して各処理装置間でのウエハ搬送を可能とするポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、の3空間のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。このようなポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。また、該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。
【0003】
ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁となる部材即ちサイドベースと称呼される壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置テーブルと、から構成される。載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと共に蓋をドアと近接或いは離間させる。ドアは、ポッドの蓋を保持可能であり、ドア駆動機構によって蓋を保持した状態で開口部を開放、閉鎖すると共に、開口部と第二の開口部との間の空間より下方に退避或いは該空間への侵入をさせられる。微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。
【0004】
半導体の製造工程において、ポッド内に収容されているウエハには、例えば金属配線等が形成されたものが存在する。この様な金属配線は表面が酸化されることによって素子完成時に所望の特性が得られなくなる恐れがあり、このためにポッド内部における酸素濃度を低レベルに保つ必要がある。この様な要求に対応する技術として、特許文献1では、ポッドに対するウエハの挿脱時において、ポッド開口に対して平行に不活性ガスによるガスカーテンを生成して微小空間内の酸化性ガスのポッド内部への侵入を抑制し、併せてポッド内部に直接不活性ガスを供給することでポッド内部の酸素濃度を低く保つ構成が開示されている。また、特許文献2には、ポッド開口部周辺に不活性ガスの濃度の高い空間を生成し、その上でポッド内部に不活性ガスを供給することでポッド内部の酸素濃度を低減する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−180517号公報
【特許文献2】国際公開番号WO2005/124853号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した微小空間内は、外部の塵等を伴った雰囲気の進入を防止するために、周囲の大気圧に対してやや高い圧力となるように例えば微小空間上部に設けられたファンによって清浄空気の供給が行われる。また、処理済のウエハは処理装置内でガス、塵等が付着している場合があり、これらを収容するポッド内部から微小空間への気体の拡散も防止することが必要とされる。このため、ガス、塵等の望まない拡散を防止するために、周囲空間、ポッド内部、及び微小空間の順で圧力が高くなるように微小な差圧を設ける必要がある。
【0007】
ここで、特許文献1或いは2に開示される構成の場合、ポッド開口部での不活性ガスのガスカーテン或いは不活性ガスの高濃度領域の形成に用いられるノズルへの不活性ガスの供給と、ポッド内部への不活性ガスの供給とは、各々別系統の不活性ガス供給ラインより実行されている。また、これら不活性ガスの供給ラインは、微小空間上部のファンとも独立して構築されている。このため、前述した適当な差圧を生成するためには、各供給ラインからの不活性ガスの供給量の制御をファンの制御と平行して行わなければならなかった。これらの供給量についてのバランス調整は容易ではなく、更にウエハサイズの大型化に伴ってボッドの大型化が進行する場合、当該調整により多大な注意を払う必要が生じている。
【0008】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであり、前述したバランス調整を行わなくとも最適な不活性ガスの供給を可能とするパージ装置及び該パージ装置を用いたロードポート装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るガスパージ装置は、微小空間を構成するサイドベースと前記サイドベースが有する開口部を閉鎖可能なドアとを有し、被収容物が収容される密閉容器の蓋をドアが保持して密閉容器の蓋を開閉することにより密閉容器に対する被収容物の挿脱を可能とするロードポート装置に用いられるガスパージ装置であって、開口部を囲んで微小空間内に配置され、微小空間の内部に第二の微小空間を形成するカバー部材と、第二の微小空間の内部であって開口部の上部に配置されて第二の微小空間の内部に対してパージガスを供給するカーテンノズルと、開口部を介して密閉容器の内部に対してパージガスを供給可能となるように第二の微小空間の内部であって開口部の両側部に配置される一対のパージノズルと、カーテンノズルに向かって延在するガス供給配管であって、該ガス供給配管の延在方向とは異なる方向よりパージノズルにパージガスを供給し、延在方向の端部においてカーテンノズルの内部空間と接続されてカーテンノズルの内部空間にパージガスを供給するガス供給配管と、ガス供給配管がカーテンノズルの内部空間と接続される端部に配置されてパージガスのカーテンノズルの内部空間への供給時における該端部のコンダクタンスを調整するコンダクタンス調整手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
なお、前述したガスパージ装置において、カバー部材は被収容物の挿脱の操作を可能とするカバー部材開口部を含み、カーテンノズルは開口部とカバー部材とに挟まれる第二の微小空間に対して開口部とカバー部材とに交差する面状にパージガスを供給し、パージノズルは開口部側辺に各々沿うと共にガス供給配管とは平行に延在することが好ましい。
【0011】
また、カーテンノズルはカーテン用フィルタを有し、パージガスの供給はカーテン用フィルタを介して行われ、パージノズルはパージノズル用フィルタを有し、パージガスの密閉容器の内に向けた供給はパージノズル用フィルタを介して行われることが好ましい。
【0012】
或いは、カーテンノズルはパージガスの供給順に内部空間としての第一のカーテン室及び第二のカーテン室を有し、第一のカーテン室と第二のカーテン室との間に配置されて第一のカーテン室と第二のカーテン室との間に差圧を形成可能なカーテン室用フィルタを介して、第一のカーテン室から第二のカーテン室へのパージガスの供給が為されること好ましい。
【0013】
また、パージノズルはパージガスの供給順に第一のパージノズル室及び第二のパージノズル室を有し、第一のパージノズル室と第二のパージノズル室との間に配置されて第一のパージノズル室と第二のパージノズル室との間に差圧を形成可能なパージノズル室用フィルタを介して、第一のパージノズル室から第二のパージノズル室へのパージガスの供給が為されることが好ましい。
【0014】
或いは、カーテンノズルはパージガスの供給順に内部空間としての第一のカーテン室及び第二のカーテン室を有し、第一のカーテン室と第二のカーテン室との間に配置されて第一のカーテン室と第二のカーテン室との間に差圧を形成可能なカーテン室用フィルタを介して、第一のカーテン室から第二のカーテン室へのパージガスの供給が為され、パージノズルはパージガスの供給順に第一のパージノズル室及び第二のパージノズル室を有し、第一のパージノズル室と第二のパージノズル室との間に配置されて第一のパージノズル室と第二のパージノズル室との間に差圧を形成可能なパージノズル室用フィルタを介して、第一のパージノズル室から第二のパージノズル室へのパージガスの供給が為され、カーテン用フィルタとカーテン室用フィルタとの圧損、及びパージノズル用フィルタとパージノズル室用フィルタとの圧損の少なくとも何れかが異なることが好ましい。
【0015】
また、パージノズルはパージノズル用フィルタを介することで第二の微小空間内部との間に差圧を形成可能なパージノズル室を有し、ガス供給配管からパージノズル室へのパージガスの供給は、パージガスをガス供給配管に供給した場合における上流側と下流側との少なくとも二箇所に配置される連通路を介してなされることが好ましい。更に、パージノズルは、パージガスを放出する際にパージガスの放出方向を規定する流れ制御部を有することがより好ましい。
【0016】
また、本発明の更なる実施形態であるロードポート装置は、微小空間を構成するサイドベースとサイドベースが有する開口部を閉鎖可能なドアとを有し、被収容物が収容される密閉容器の蓋をドアが保持して密閉容器の蓋を開閉することにより密閉容器に対する被収容物の挿脱を可能とするロードポート装置であって、サイドベースと、ドアと、ドアを支持し且つドアに対して開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、開口部の外に配置されて密閉容器を載置可能であって密閉容器と開口部とを整列させる載置台と、更に上述した何れか一項に記載された構成と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単一の不活性ガス供給ラインから、ポッド内部へのパージ用及びポッド開口前面での不活性ガスの高濃度化された領域の生成用、のための不活性ガスの供給がなされ、且つ当初より適切な供給比率が設定されている。従って、従来は必要であった不活性ガスの供給量のバランスの調整が不要となり、容易且つ簡便に適切な不活性ガスの供給を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスパージ装置及びこれが取付けられたロードポート装置にポッドを載置してこれらを側面から見た状態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態であって、図1に示した構成におけるポッド、ドア、ガスパージ装置に関してこれらを面A−Aに沿って切断した状態を上方から見た図である。
【図3】図2に示す実施形態について、図2に示されたガスパージノズルを図2と同様の様式にて拡大して示す図である。
【図4】図2に示す実施形態について、図1と同じ方向からガスパージ装置を見た場合の部分断面を含む概略構成図である。
【図5】図4に示すカーテンノズルを図4における矢印B方向から見た場合の部分断面を含む概略構成図である。
【図6】本発明の更なる実施形態について、図4と同様の様式により当該形態に係るガスパージ装置を見た場合の部分断面を含む概略構成図である。
【図7】図6に示す実施形態について、同図中の切断面A−Aにおける矢視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるロードポート装置に関し、ポッド1を載置テーブル上に載置した状態を側面から見た場合の概略構成を示している。また、図2は、該ロードポート装置に関して、後述するドアがポッド1の蓋を保持した状態について図1の構成を断面A−Aで切断し、これを上方から見た場合の概略構成を、図3は図2におけるパージノズルの拡大図を夫々示している。また、図4は本実施形態におけるパージ装置について、図1と同様の方向から見た場合の部分断面を含む概略構成図であり、図5は図4におけるカーテンノズルを矢印B方向から見た場合の部分断面を含む概略構成図である。
【0020】
本実施形態の説明に際し、ウエハを収容するポッドについて先に述べる。図1に示されるポッド1は、ポッド本体2と蓋3とから構成される。ポッド本体2は略立方体形状であって内部にウエハ等を収容する収容空間2bを有し、且つ該立方体形状における一側面に当該収容空間2bに連通する開口2aを有している。当該一側面には、更に蓋3が収容されるように当該開口2aと繋がった蓋収容空間2cが形成されている。収容空間2b内には不図示のウエハ(図中二点鎖線により記載)を水平に支持する複数の棚(不図示)が側壁等から突き出しており、当該棚により複数のウエハが均等な間隔を明けて該収容空間2b内にて水平に保持される。
【0021】
本実施形態におけるパージ装置が取付けられるロードポート装置の構成について、以下に述べる。ロードポート装置101は、サイドベース105によって外部空間104と分離される微小空間103を構成し、該サイドベース105に隣接して配置されるポッド載置部121を有する。サイドベース105は、第一の開口部111、及びドアシステム115を有する。サイドベース105等によって構築される微小空間103の上部には不図示のファンが配置され、ロードポート装置が取付けられる半導体処理装置の筐体の外部空間に存在する気体を微小空間内部に導入し、微小空間103内部に上方から下方に向かう気体の流である所謂ダウンフローを生成する。
【0022】
なお、当該ファンに対しては、外部空間の清浄度に応じて、当該空間から導入される気体より塵埃等の汚染物質を除去するフィルタが付随している。微小空間103の下部にはダウンフローが流出可能となるような構造が配置されており、該微小空間103内部で発生する粉塵等は当該ダウンフローに運ばれて微小空間103の下部から外部空間に排出される。第一の開口部111はドアシステム115におけるドア115aにより一見閉鎖状態とされるが、ドア115aの外周と第一の開口部111の内周面との間には隙間が形成されることから、当該ドア115aは第一の開口部111を略閉鎖可能となっていると述べる。ドア115aは、蓋3を保持可能であると共に、ポッド本体2に対する蓋3の固定及び分離の操作が可能となっている。
【0023】
ポッド載置部121は、載置されたポッド1を固定可能であると共に該ポッド1を前述した第一の開口部111(より正確にはこれを閉鎖するドア115a)に対して接近及び離間させることが可能である。ポッド載置部121は、ポッド1が所定の間隔まで或いはドア115aと当接するまでポッド1の接近動作を行い、ポッド1の駆動が停止した状態でドア115aは蓋3を保持する。ドア115aはこの状態でポッド本体2からの蓋3の分離を行い、更にドア駆動機構115bにより第一の開口部111に対して下方に移動することによってポッド1の開口部2aを微小空間103に対して開放させる。なお、本実施例において、ポッド本体2の駆動方向をX軸方向とし、該X軸に直交して該X軸と共にウエハの延在面を規定する方向(紙面に垂直な方向)をY軸方向とし、これら軸からなるXY平面に垂直な方向をZ軸として便宜上規定する。本実施例では鉛直方向がZ軸方向に対応し、本明細書における上方及び下方は鉛直方向における上方及び下方に対応する。しかし、本発明におけるZ軸の延在方向はこの鉛直方向に限定されず、必要に応じて鉛直方向からずらせて設定することも可能である。
【0024】
本実施形態に係るガスパージ装置200は以上に述べたロードポート装置に対し固定されて用いられる。以下にガスパージ装置について詳述する。本発明に係るガスパージ装置200は、カーテンノズル210、一対のパージノズル220、及びカバー部材230を有する。カバー部材230は、上面プレート231、一対の側面プレート233、及び室画定プレート235より構成される。上面プレート231は、第一の開口部111の上辺より所定間隔だけ外方(上方)であって、サイドベース105より微小空間103側(X軸方向)に所定幅wだけ突き出すように配置される。一対の側面プレート233は、上端部において各々上面プレート231に接続され鉛直方向(Z軸方向)に延在し、サイドベース105より微小空間103側に突き出すように固定される。これら構成により、カバー部材230は第一の開口部111を囲み且つ突き出し幅wを有した、下方が開口するコの字形状を形成する。該コの字形状の上辺はL1の長さを有し、両側辺はh1の長さを有する。開口部111の下方に向かう該コの字状における開口は、ドア115aが蓋を保持して開口部111の下方に退避する際の動作範囲を確保するためのドア用開口部232を構成する。
【0025】
室画定プレート235は、該コの字形状のカバー部材230のサイドベース105への固定側とは逆側の辺に対し、該コの字形状を介してサイドベース105と対向するように固定される。該室画定プレート235には、鉛直方向にh2の長さを有し且つ水平方向にL2の長さを有するカバー部材開口部237が設けられる。カバー部材開口部237は、該カバー部材開口部237を介してポッド1内部に収容されるウエハの挿脱の実行を可能とすると共に、ドア115aの背面にて閉鎖可能となる大きさにされている。以上に述べた構成を有することによって、カバー部材230は、第一の開口部111と微小空間103との間に配置され且つ微小空間103と分離される第二の微小空間117を形成する。
【0026】
なお、本形態において、カバー部材230はカバー部材開口部237とドア用開口部232とを有し5面が略画定された第二の微小空間117を構成している。当該構成とすることによって、微小空間103内に生成されている所謂ダウンフローが第二の微小空間117に及ぼす影響をできる限り抑制しようとしている。しかし、後述するカーテンノズル210からの十分な量のパージガスの供給が可能である、或いは開口部111の直前に十分な濃度の不活性ガスが存在する領域を形成することが可能である場合、例えば室画定プレート235を無くする、更には側面プレート233の突き出し量を小さくする等を為して、第二の微小空間117が明確な外縁を有さない構成とすることも可能である。この場合も、本発明では、該カバー部材230は、開口部111を囲んで微小空間103内に配置される部分空間として規定する。
【0027】
図4に示すように、カーテンノズル210は、第二の微小空間117の内部を規定する上面プレート231の内側であって、第一の開口部111(本発明における開口部)の上辺に沿って平行に位置するようにその外側に配置される。また、図5に示すように、カーテンノズル210は、鉛直方向に重ねて配置される上側の第一のカーテン室211及び下側の第二のカーテン室213を有する。なお、該第一のカーテン室211は、本発明におけるカーテンノズルの内部空間として作用する。第一のカーテン室211に対しては、後述する一対のパージノズル220に沿って配置されるガス供給配管221の上方端部が接続されており、これらガス供給配管221よりパージガスの供給が為される。
【0028】
第一のカーテン室211とガス供給配管221との接続部分には、これら第一のカーテン室211とガス供給配管221との間でのパージガスの流通を可能とすると共にこれらの室内及び配管内の間での圧力差を生成可能なコンダクタンス調整手段223が配置される。本形態では該コンダクタンス調整手段223として所謂フィルタ(223)が配置される。該フィルタ223はパージガスの流れの経路中に配置されてその流路の上流と下流との間で圧損を生じさせる。なお、当該構成においては、パージガスはガス供給配管221によって規定される流れの方向を変えることなくカーテンノズル210における内部空間に導かれる。
【0029】
第一のカーテン室211と第二のカーテン室213との間には、両室の間で第二のカーテン室23に向かって気体の拡散が可能であって且つ両室の間で圧力差を形成可能なカーテン室用フィルタ215が配置される。即ち、該カーテン室用フィルタ215は、パージガスの流れの経路中に配置されてその流路の上流側の第一のカーテン室211と下流の第二のカーテン室213との間で圧損を生じさせる。第二のカーテン室213の下面には、カーテン用フィルタ217が固定される。なお、本実施形態では、第二のカーテン室213は、カバー部材230の上面プレート231の形状及び大きさと一致する形状及び大きさを有する下面を有する。一対のガス供給配管221より第一のカーテン室211の長手方向両端部に供給されたパージガスは、図5において矢印で示すように何れも長手方向の中央部に向かって流れる。第一のカーテン室211内を満たしたパージガスは、カーテン室用フィルタ215を介して第二のカーテン室213に流入する。カーテン室用フィルタ215は、第一のカーテン室211と第二のカーテン室213との間に差圧を形成可能であって、該フィルタの存在によって第二のカーテン室213に流入するパージガス流量の流入位置による不均一性が改善される。
【0030】
第二のカーテン室213内を満たしたパージガスは、カーテン用フィルタ217を介して第二の微小空間117に流入する。カーテン用フィルタ217は、第二のカーテン室213と第二の微小空間117との間に差圧を形成可能であって、該フィルタの存在によって第二の微小空間117に流入するパージガス流量の流入位置による不均一性を改善する。第二の微小空間117に流入したパージガスは、第二のカーテン室213と第二の微小空間117との差圧によって鉛直下方に向かうガス流れを有することなり、該第二の微小空間117内において上面プレート231からカバー部材230における開放下面239に向かうガス流れを形成する。なお、本実施形態において、第二のカーテン室231の下面全域が開放された様式での該下面へのカーテン用フィルタ217の固定が為されており、カーテン用フィルタ217は第二のカーテン室213の下面の全面をパージガスの放出口をしている。以上に述べたカバー部材230とカーテンノズル210との働きにより、第二の微小空間117内部は、微小空間103内部に対してガス濃度が高く維持され、結果として低酸素濃度の空間を維持することが可能となる。
【0031】
なお、本実施形態では、上述した2室構造と差圧形成可能なフィルタの複数回の使用とによってパージガスの拡散を為して、第二の微小空間117に導入されるパージガスのカーテンノズル210の下面の全域からの面状の且つ均等な放出を得ている。なお、例えば本実施形態における2室構造を所謂2重配管構造とし、個々の配管に設けられるガス噴出し孔が整列しない構成としても類似の効果を得ることは可能である。しかし、面としてのパージガスの噴出しを行う場合、ガス流れの志向性を無くして差圧によってガス流れを形成するほうが好ましい。本実施形態においては、フィルタを介してパージガスを放出する構成とすることによって、ガス噴出し面の部分部分でのガス流の指向性を打ち消す効果がカーテンノズル210の下面全域で効果的に得られ、面としての噴出しを容易に得ることが可能となる。また複数室を設け、更に初期段階で第一のカーテン室211内部で長手方向両端部から向かい合うようにパージガスを供給することで、特定部分でのガス噴出し量の増加をより効果的に抑えることを可能としている。
【0032】
なお、本実施形態では、パージガスの供給量が多い場合を想定して上述した構成としている。しかし、供給量が小さく、パージガスの供給を孔形状としても十分なパージガスの拡散効果が得られる場合には、例えば室構成を1室とする、或いはカーテン室用フィルタ215を無くする、等の構成とすることも可能である。或いは、カーテンノズル210から第二の微小空間117へのパージガスの供給様式を、面状ではなくカーテンノズルの延在方向に延在するスリット、或いは並置された複数の孔等と、カーテン用フィルタ217とを介する様式としても良い。この場合、スリット等の配置と開口部111との距離、或いは各々の幅の関係、は、任意に設定することが可能である。
【0033】
また、本実施形態及び本発明で述べる、カーテン室用フィルタ215、カーテン用フィルタ217、コンダクタンス調整手段として用いるフィルタ223、後述するパージノズル室用フィルタ228、及び第二のパージノズル用フィルタ229として用いられる各フィルタは、気体中の微粒子の除去を目的として用いられる所謂ガスフィルタと称呼される部材から構成される。当該ガスフィルタは、配置されたガス流路の上流と下流との間で差圧を形成し、上流から下流に向かう気体流れの方向性を低下させ、該フィルタの下流側より放出されるガスの方向性を拡散する様式に変更する働きを有する。即ち、該フィルタは、これを通過するパージガスの流速の低減と、パージガスの分散とを同時に進めることが可能な構成を意味する。
【0034】
なお、カーテン室用フィルタ215は、カーテン用フィルタ217に対して気体透過が容易な所謂粗い目からなり、且つパージガスの透過範囲は狭くなるように設定されている。また、カーテン室用フィルタ215は、カーテン用フィルタ217に対して厚さを薄くしている。即ち、圧損の程度について、カーテン室用フィルタ215については小さく、カーテン用フィルタ217については大きくなるようにしている。当該構成とすることによって、ガス供給配管221から第一のカーテン室211への気体の導入の容易化を図り、且つガスカーテン用に該カーテンノズル210から放出されるカーテン生成用のパージガスの流速及び流量について、カーテンノズル210全域での均等化を図っている。以上の構成より面状にパージガスを放出することが可能となり、開口部111から所定の区間パージガス濃度が高く且つ酸素濃度が抑制されたガスカーテンを生成することが可能となる。
【0035】
次に、パージノズル220について述べる。パージノズル220は、第一の開口部111の両側辺と平行な鉛直方向に各々延在する第一のパージノズル室225、及び第二のパージノズル室227を有し、カバー部材230の内側であって側面プレート233に対して固定されている。また、ガス供給配管221は、第二の微小空間117内に存在する各々の構成の数を低減する目的から、本実施形態ではパージノズル220と一体化した態様とされている。第一のパージノズル室225及び第二のパージノズル室227は、長手方向の長さがポッド本体2の開口部と略一致するように構成されている。ガス供給配管221から第一のパージノズル室225(パージノズル220)へのパージガスの供給は、ガス供給配管221の延在方向とは異なる方向(本形態では直交する方向)に設けられたこれらを連通させる連通路221aを介して行われる。第一のパージノズル室225と第二のパージノズル室227との間には、パージノズル室用フィルタ228が配置される。
【0036】
該パージノズル室用フィルタ228は、第一のパージノズル室225と第二のパージノズル室227との間に差圧を形成しつつ、第一のパージノズル室225から第二のパージノズル室227へのパージガスの供給を可能としている。本実施形態ではガス供給配管221から第一のパージノズル室225へのパージガスの供給は単一の連通路221aより為される。ここで、パージノズル室用フィルタ228の存在により連通路221aから第二のパージノズル室227への直接的なパージガスの流入を抑制することでパージガスの第一のパージノズル室225内での均等な伝播の時間を確保している。当該構成によって、第二のパージノズル室227には、長手方向においてほぼ均等な圧力分布でパージノズル室用フィルタ228からのパージガスの供給が為される。
【0037】
第二のパージノズル室227はガス噴出し用のスリット227aを有する。該スリット227aはポッド本体2の開口部に対応して長さが定められ、更にスリット227aの開口は、ポッド1内に収容されるウエハの中心を通りポッド1の進退方向と一致する直線において、ポッド本体2の開口からウエハの中心までの間の任意の位置に向かうように設定される。該スリット227aの開口には、パージノズル用フィルタ229が配置される。該パージノズル用フィルタ229も第二のパージノズル室227内と外部の空間との間に差圧を形成可能であって、該パージノズル用フィルタ229を介することによってスリット227aから外部空間に供給されるパージガスの延在方向、即ち鉛直方向における流量の均一性が確保される。
【0038】
なお、パージ室用フィルタ228は、パージ用フィルタ229に対して気体透過が容易な所謂粗い目からなり、且つパージガスの透過範囲は狭くなるように設定されている。また、パージ室用フィルタ228は、パージ用フィルタ229に対して厚さを薄くしている。即ち、圧損の程度について、パージ室用フィルタ228については小さく、パージ用フィルタ229については大きくなるようにしている。当該構成とすることによって、第一のパージノズル室225から第二のパージノズル室227への気体の導入の容易化を図り、且つポッド内パージ用に該パージノズル220から放出されるパージ用ガス流生成用のパージガスの流速及び流量について、パージノズル220全域での均等化を図っている。以上の構成より、流れ方向に垂直な方向においてある程度の幅を有するパージガス流からなるパージガスを放出することが可能となり、局所的にパージガス濃度が高く且つ酸素濃度が抑制された領域の生成無しにパージガス流をポッド内部に導くことが可能となる。
【0039】
パージノズル220は、スリット227aの開口と対応してパージノズル用フィルタ229の外側に配置される流れ制御部222を更に有する。流れ制御部222は、前述したスリット227aの開口方向と一致する方向であって該スリット227aと同一幅のスリット形状からなる。パージノズル用フィルタ229を介してパージノズル220の外部に流出するパージガスは大まかな志向性しか有さない。しかし、該流れ制御版222を配置することにより、パージガスの流れに対して志向性を付与し、ポッド本体2の内部の所定の位置に向けたパージガスの供給が可能となる。なお、本実施例では、第一のパージノズル室225、第二のパージノズル室227を一体化させる部材に流れ制御部222を作りこむ様式とし、その形状を単純にスリット227aの開口形状をそのまま延長する態様としている。しかし、例えば板状の整流板を付加する態様としても良い。或いは、パージノズル用フィルタ229から供給されたパージガスの拡散を抑制するように開口に向かって幅を狭くする或いはこれとは逆に幅を拡大する形状としても良い。
【0040】
なお、第一のパージノズル室225と第二のパージノズル室227とは、パージノズル室用フィルタ228を挟持する各々の室構成部の外形が該パージノズル室用フィルタ228を挟持する領域において面として当接可能な形状であることが好ましい。当該形状とすることによって、パージノズル室用フィルタ228の効果をパージガスの流路全域において均等に得ることが可能となる。また、パージノズル室用フィルタ228は、パージノズル用フィルタ229に対して気体透過が容易な所謂粗い目からなり、且つパージガスの透過範囲は狭くなるように設定されている。パージノズル室用フィルタ228は、パージノズル用フィルタ229に対して厚さを薄くしている。当該構成とすることによって、ガス供給配管221から第一のパージノズル室225への気体の導入の容易化を図り、且つパージ用に該パージノズル220から放出されるパージガスの流速及び流量について、パージノズル220全域での均等化を図っている。
【0041】
なお、本形態では、断面矩形状の第二のパージノズル室227のコーナ部分にスリット227aが開口する様式を採用している。当該様式とすることによってスリット227aの長さを長くすることが可能となり、流れ制御部222の機能を該スリット227aにある程度負わせることが可能となる。また、流れ制御部222自体についても作用領域を長く設定することが可能となる。更に、パージノズル用フィルタ229を該コーナに沿って曲げて使用することが可能となり、単一のフィルタ内にて気体流路の粗密を形成し、適当なパージガスの拡散とパージガス流速の不必要な低下の抑制という効果が得られる。
【0042】
なお、本実施形態では上述したように、ガス供給配管221から第一のパージノズル室225への気体供給は単なる穴或いはスリットからなる連通路221aを介して為され、第一のカーテン室211への気体供給はコンダクタンス調整手段223を介して為される。通常、気体の流れ方向と一致する方向に配置される室への気体の供給は容易であるが、流れ方向に直交する流路を介して配置される室への供給は困難である。本発明では、前者の室となる第一のカーテン室211に至る流路にコンダクタンス調整手段223を配することによって、流れ方向に沿った方向への気体の供給量を抑制し且流れ方向に直交する方向への気体の供給量を増加させることとしている。以上の構成からなるガスパージ装置を用いることによって、単一の気体供給ラインを用いて、例えば窒素等の不活性ガスからなる所謂ガスカーテンの形成と、ポッド内部への不活性ガスの供給によるポッド内のパージ操作とを、容易且つ平行して行うことが可能となる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、カーテンノズル210及びパージノズル220が何れも2室構造として構成されている。しかしながら、本発明は当該形態に限定されず、パージガスの供給量、供給圧力等に応じて更に室数を増加させる、或いは単室の構造とすることも可能である。いずれの場合であっても、ノズルから放出されるパージガスが最終段に配置されたフィルタを介する構成とすることによって、好適なパージガスの分散と流速の低下とを為すことが可能となる。また単一の気体供給源よりパージガスを供給する本発明の構成において、気体の流入が容易なカーテンノズル側でのガス供給配管の開口にフィルタ等からなるコンダクタンス調整手段を配置することによって、気体の流入の容易さについて劣るパージノズル側へのパージガスの供給量を高め且つカーテンノズル側へのパージガスの供給量を抑制することが可能となる。これにより、単一のパージガス供給源を用いた場合であっても、適切なガスカーテンの生成と十分なパージガス供給との両立が可能となる。
【0044】
次に、本発明の更なる実施形態について述べる。なお、上述した図4等に示した形態における構成と同様の構成に関しては同じ参照番号を用いて示すことにより、その説明を省略する。以下では、該実施形態とは異なる構成であるパージノズル220に関して詳述する。図6は、本実施形態に係るガスパージ装置200を図4と同じ様式にて示した図である。また、図7は、図6に示すガスパージ装置200について同図中の切断面A−Aについての矢視図を示している。本実施形態におけるパージノズル220は、前述した実施形態におけるパージノズル220とは異なり、第一のパージノズル室225及びパージノズル室用フィルタ228が取り除かれている。即ち、該パージノズル220は、ガス供給配管221、第二のパージノズル室227、及びパージノズル用フィルタ229から構成される。また、ガス供給配管221から第二のパージノズル室227へのパージガスの供給のために、パージノズル室227の延在方向における両端部近傍の各々に対し、連通路221aが設けられている。当該パージノズル220が有する各構成による効果は、前述した実施形態における同じ構成による効果と同じものが得られる。
【0045】
連通路221aはパージガスが流れる方向について、上流側と下流側との二箇所に配置されている。ガス供給配管221に流されたパージガスはコンダクタンス調整手段により流れをせき止められ、連通路221aを介して第二のパージノズル室227に向けて一時的に大部分が流れる。予めガス供給配管221の上流側の所定位置からその近傍の第二のパージノズル室227上の所定位置に上流側連通路221aを配し、更にコンダクタンス調整手段の近傍に下流側連通路221aを配することにより、第二のパージノズル室227の上流と下流側との両位置からパージガスの供給が為される。当該構成とすることにより、先述した実施形態における第一のパージノズル室225を無くした構成であっても、パージノズル220の延在方向において均等なパージガスの供給が可能となる。
【0046】
なお、例示した形態の如く、パージガスの供給流れに関してガス供給配管221の上流側と下流側との少なくとも二箇所に第二のパージノズル室227に至る連通路221aを配置する場合、パージノズル室227の延在方向において、延在方向の中央から均等となる位置に各々の連通と221aを配することが好ましい。当該構成とすることによって、第二のパージノズル室227内のパージガス圧力を迅速に均一化することが可能となる。また、供給するパージガスの流量によっては、下流側の連通と221aを、第二のパージノズル室227の延在方向において、ガス供給配管221の下流側と近接する位置に下流側の連通路221aを設けることが好ましい。なお、この場合、上流側の連通路221aは、第二のパージノズル室227の延在方向中央からガス供給配管221の上流側に対応する位置に設けることが好ましい。当該配置に連通路221aを設けることにより、コンダクタンス調整手段によってガス供給配管221内で一時的にせき止められたパージガスがその場から連通路221aを介して第二のパージノズル室227に至ることとなり、パージガスの供給における即応性が向上される。
【0047】
従って、以上の観点から、連通室221aを一対設ける場合には、図に示す如く、第二のパージノズル室227の延在方向における両端部近傍にこれを配することにより、上記条件を満たして好適なパージガスの供給が可能となる。なお、以上の実施形態では連通室221aが二箇所配置される場合について述べたが、これを更に増加させることとしても良い。この場合、ガス供給配管221における最上流側と最下流側との二箇所において、上述した条件を満たすことによって第二のパージノズル室227内に迅速且つ均等にパージノズルを供給することが可能となる。また、本形態では第二のパージノズル室227及びパージノズル用フィルタ229のみを有する構成を例示したが、前述した第一のパージノズル室225及びパージノズル室用フィルタ228の少なくとも何れかを付加することにより、パージノズル220の全域から供給されるパージガスの均一な分散を得ることとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードポート装置に用いて所謂ポッド内部の酸化性ガスの低減を図るガスパージ装置に関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置むけのみに限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードポート装置に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:ポッド、 2:ポッド本体、 3:蓋、 101:ロードポート装置、 103:微小空間、 105:外部空間、 111:第一の開口部、 115:ドアシステム、 117:第二の微小空間、 121:ポッド載置部、 200:ガスパージ装置、 210:カーテンノズル、 211:第一のカーテン室、 213:第二のカーテン室、 215:カーテン室用フィルタ、 217:カーテン用フィルタ、 220:パージノズル、 221:ガス供給配管、 222:流れ制御部、 223:コンダクタンス調整手段、 225:第一のパージノズル室、 227:第二のパージノズル室、 228:パージノズル室用フィルタ、 229:パージノズル用フィルタ、 230:カバー部材、 231:上面プレート、 232:ドア用開口部、 233:側面プレート、 235:室画定プレート、 237:カバー部材開口部、 239:開放下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小空間を構成するサイドベースと前記サイドベースが有する開口部を閉鎖可能なドアとを有し、被収容物が収容される密閉容器の蓋を前記ドアが保持して前記密閉容器の蓋を開閉することにより前記密閉容器に対する前記被収容物の挿脱を可能とするロードポート装置に用いられるガスパージ装置であって、
前記開口部を囲んで前記微小空間内に配置され、前記微小空間の内に第二の微小空間を形成するカバー部材と、
前記第二の微小空間の内部であって前記開口部の上部に配置されて前記第二の微小空間の内部に対してパージガスを供給するカーテンノズルと、
前記開口部を介して前記密閉容器の内部に対してパージガスを供給可能となるように前記第二の微小空間の内部であって前記開口部の両側部に配置される一対のパージノズルと、
前記カーテンノズルに向かって延在するガス供給配管であって、前記ガス供給配管の延在方向とは異なる方向より前記パージノズルに前記パージガスを供給し、前記延在方向の端部において前記カーテンノズルの内部空間と接続されて前記カーテンノズルの内部空間に前記パージガスを供給するガス供給配管と、
前記ガス供給配管が前記カーテンノズルの内部空間と接続される前記端部に配置されて前記パージガスの前記カーテンノズルの内部空間への供給時における前記端部のコンダクタンスを調整するコンダクタンス調整手段と、を有することを特徴とするガスパージ装置。
【請求項2】
前記カバー部材は前記被収容物の挿脱の操作を可能とするカバー部材開口部を含み、前記カーテンノズルは前記開口部と前記カバー部材とに挟まれる前記第二の微小空間に対して前記開口部と前記カバー部材とに交差する面状にパージガスを供給し、前記パージノズルは前記開口部側辺に各々沿うと共に前記ガス供給配管とは平行に延在することを特徴とする請求項1に記載のガスパージ装置。
【請求項3】
前記カーテンノズルはカーテン用フィルタを有し、前記パージガスの供給は前記カーテン用フィルタを介して行われ、
前記パージノズルはパージノズル用フィルタを有し、前記パージガスの前記密閉容器の内に向けた供給は前記パージノズル用フィルタを介して行われることを特徴とする請求項1或いは2に記載のガスパージ装置。
【請求項4】
前記カーテンノズルは前記パージガスの供給順に前記内部空間としての第一のカーテン室及び第二のカーテン室を有し、前記第一のカーテン室と前記第二のカーテン室との間に配置されて前記第一のカーテン室と前記第二のカーテン室との間に差圧を形成可能なカーテン室用フィルタを介して、前記第一のカーテン室から前記第二のカーテン室への前記パージガスの供給が為されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスパージ装置。
【請求項5】
前記パージノズルは前記パージガスの供給順に第一のパージノズル室及び第二のパージノズル室を有し、前記第一のパージノズル室と前記第二のパージノズル室との間に配置されて前記第一のパージノズル室と前記第二のパージノズル室との間に差圧を形成可能なパージノズル室用フィルタを介して、前記第一のパージノズル室から前記第二のパージノズル室への前記パージガスの供給が為されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のガスパージ装置。
【請求項6】
前記カーテンノズルは前記パージガスの供給順に前記内部空間としての第一のカーテン室及び第二のカーテン室を有し、前記第一のカーテン室と前記第二のカーテン室との間に配置されて前記第一のカーテン室と前記第二のカーテン室との間に差圧を形成可能なカーテン室用フィルタを介して、前記第一のカーテン室から前記第二のカーテン室への前記パージガスの供給が為され、
前記パージノズルは前記パージガスの供給順に第一のパージノズル室及び第二のパージノズル室を有し、前記第一のパージノズル室と前記第二のパージノズル室との間に配置されて前記第一のパージノズル室と前記第二のパージノズル室との間に差圧を形成可能なパージノズル室用フィルタを介して、前記第一のパージノズル室から前記第二のパージノズル室への前記パージガスの供給が為され、
前記カーテン用フィルタと前記カーテン室用フィルタとの圧損、及び前記パージノズル用フィルタと前記パージノズル室用フィルタとの圧損の少なくとも何れかが異なることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスパージ装置。
【請求項7】
前記パージノズルはパージノズル用フィルタを介することで前記第二の微小空間内部との間に差圧を形成可能なパージノズル室を有し、前記ガス供給配管から前記パージノズル室への前記パージガスの供給は、前記パージガスを前記ガス供給配管に供給した場合における上流側と下流側との少なくとも二箇所に配置される連通路を介してなされることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のガスパージ装置。
【請求項8】
前記パージノズルは、前記パージガスを放出する際に前記パージガスの放出方向を規定する流れ制御部を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のガスパージ装置。
【請求項9】
微小空間を構成するサイドベースと前記サイドベースが有する開口部を閉鎖可能なドアとを有し、被収容物が収容される密閉容器の蓋を前記ドアが保持して前記密閉容器の蓋を開閉することにより前記密閉容器に対する前記被収容物の挿脱を可能とするロードポート装置であって、
前記サイドベースと、
前記ドアと、
前記ドアを支持し、前記ドアに対して前記開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、
前記開口部の外に配置されて前記密閉容器を載置可能であって前記密閉容器と前記開口部とを整列させる載置台と、
更に請求項1乃至8の何れか一項に記載されたガスパージ装置と、を有することを特徴とするロードポート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−58734(P2013−58734A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133871(P2012−133871)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】