パーツフィーダとその駆動方法
【課題】 多列搬送可能としながら少数の駆動源たる圧電素子にて対応可能として、効率よく駆動でき且つ各圧電素子の駆動条件の調整も容易にできるなど、簡易な構成にて取扱いも容易にする。
【解決手段】 多列搬送可能な複数のトッププレート23,36と共通のベースプレート22間に、圧電素子24a,24bおよび増幅バネ25a,25bを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材26および37を夫々設け、これら振動励起部材26,37の下端を固定支持した前記ベースプレート22をバネ部材41を介して据付面に設置した構成とし、一対の圧電素子24a又は24bの何れか一方を駆動源とすることで多列搬送を可能とする。
【解決手段】 多列搬送可能な複数のトッププレート23,36と共通のベースプレート22間に、圧電素子24a,24bおよび増幅バネ25a,25bを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材26および37を夫々設け、これら振動励起部材26,37の下端を固定支持した前記ベースプレート22をバネ部材41を介して据付面に設置した構成とし、一対の圧電素子24a又は24bの何れか一方を駆動源とすることで多列搬送を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を利用して振動を励起し、双方向搬送等の多列搬送を可能とするパーツフィ−ダとその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種分野における自動組立工程において、チップ抵抗等の電子部品、樹脂成形部品、機械部品などの小物ワークをはじめ、粉末体を搬送供給するためのフィーダにあっては、その駆動源として圧電セラミックス素子を用いた圧電型フィーダ、および電磁石を駆動源とするフィーダがよく知られている。しかるに、前者の圧電型フィーダは、後者の電磁型フィーダと比較して、物品の搬送がスムーズで、消費電力が小さく、また金属性の搬送品に対し着磁するおそれがないなどの特長があり、近年広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、微細なチップ抵抗やチップコンデンサ等の小物ワークを搬送供給するに際して、ワーク自体に方向性を有する場合が多いことから、例えばワークの表裏や縦横を一定の向きに整列しながら次の製造ラインに搬送供給するようにしている。そのために、異方向を向いたワークは、本来の供給用搬送路から隣接する別の回収用搬送路に移動させるようにしていて、夫々のワークを同時に搬送可能とする二つの搬送路を備えた所謂多列搬送を可能としたパーツフィーダが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
そこで、図10および図11は多列搬送のうち基本的な双方向搬送機能を備えた圧電式のパーツフィーダを示したもので、以下図面に基づき構成および作用につき説明する。
まず、図11に基づき説明すると、パーツフィーダ1は図示しない据付面に設置固定される一つのベースプレート2を備えているのに対し、多列搬送とするため後述する二つのトッププレート5,6を具備し、その間に前後に配した二対の圧電式振動励起手段を装備している。そのうちの一対は、前記ベースプレート2の前後(図示左右)に位置して各々の圧電素子3a,3aの下端が取付固定され、その各上端部に振動増幅用の板バネからなる一対の増幅バネ4a,4aが夫々連結されるとともに、更にこの増幅バネ4a,4aの上部を前記第1のトッププレート5に連結固定してなり、且ついずれも図示後方(左方向)に所定の傾斜角度倒れた連結構成としていて、この後方への傾斜に基づき該トッププレート5に矢印A方向の直進搬送可能な振動を付与している。
【0005】
これに対し、もう一対のものも前記ベースプレート2と第2のトッププレート6との間に、上記と同一仕様の圧電素子3b,3bと増幅バネ4b,4bが連結固定され、ただ傾斜角度が上記とは等角度逆方向である図示前方(右方向)に傾斜している。なお、上記傾斜角度は、いずれもベースプレート2の各圧電素子3a,3b下端の取付基部2a,2aにおいて、予め所定の傾斜角度の傾斜面が形成されていて、この傾斜面に取付固定することで所定角度傾斜した位置決めがなされる。また、各圧電素子3a,3bの具体構成は省略するが、金属シム板7の両面に圧電セラミック板8aおよび8bを夫々電気的に導通状態に接合するとともに、これら圧電セラミック板8a,8bを分極処理して極性を持たせた構成としている。
【0006】
しかるに、上記構成の第1,第2のトッププレート5,6上には、実施に際し図10に示すワーク搬送用の第1,第2のシュート9,10が搭載される。また、図11中に概略的に結線図を示すように、一対の圧電素子3a,3aの各圧電セラミック板11aはリード線12を介して一方の電源端子14に接続され、他方、共通の電源端子15にはリード線13を介して各圧電素子3a,3bの金属シム板7側と接続される。なお、もう一対の圧電素子3b,3bの各圧電セラミック板8bに対しても、図示しないが上記同様に結線され、以って夫々の圧電素子3a,3bに交流電圧を印加可能としている。
【0007】
しかして、今図示しない制御用のコントローラを介して交流電圧が印加されると、各圧電素子3a,3bが励起されてたわみ振動し、増幅バネ4a,4bとで構成される振動系の共振周波数で強い振動を起こし、前記第1,第2のトッププレート5,6を介して当該シュート9,10上を、夫々図示しないワークが矢印A,B方向に搬送可能としている。このように、同時に互いに逆方向の所謂双方向へのワーク搬送を可能とするものであり、実施に際しては図示および詳細な説明は省略するが、上記供給用の第1のシュート9側には位置センサやワーク選別手段等が設けられ、そして選別除外された例えば異方向のワークを、回収用の第2のシュート10に移動させる手段等を備えている。
【0008】
上記構成によれば、ワークの多列搬送である双方向搬送機能を備え、方向性を有する小物部品たるワークの搬送に際して、選別された正方向のワークのみ供給用の第1のシュート9を介して矢印A方向に直進搬送して、先の製造ライン等への供給を可能とし、一方、異方向のワークは回収用の第2のシュート10に移動回収されて逆方向たる矢印B方向に搬送された後、再び第1のシュート9上に戻す手段を経て供給用のワークとして搬送されるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記構成のパーツフィーダ1によれば、多列搬送可能とするために言わば単機能のパーツフィーダを2台分組み合せた構成とし、そして二対(計4個)の圧電素子3a,3a,3b,3b全てに交流電圧を印加して通電駆動する構成にある。
しかるに、この駆動源であるうちの圧電素子3a若しくは3bに異常が発生した場合には、その都度当該圧電素子を新規取り替えなければならず、パーツフィーダ1も修復完了まで休止状態となり、実際にはこれに関連する製造ライン等も停止し、その生産能率の低下は免れない。しかも、この二対の圧電素子3a,3bは極力同一条件のもとで駆動させているが、各々の質量や変位量の複数の条件を一致させた上で同じ周波数に合わせ駆動せねばならず、その調整は難しく上記修復作業は容易ではない。また、計4個の圧電素子3a,3a,3b,3bは、いずれも当初から同じ長期間使用され例えば圧電セラミック板の耐久性(寿命)としても全てが同様の条件下にあり、上記のような取替え頻度も多くなる傾向にあり、実用に際して多列搬送可能なパーツフィーダ1として、取扱い上煩雑なメンテナンスを伴なうなど種々の問題を抱えている。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するために、多列搬送可能とするうちの一方の搬送機能の駆動源たる圧電素子のみを駆動することで、他方の搬送機能も有効に機能するようにして効率よく駆動でき、且つ各圧電素子の駆動条件の調整も簡易にできるなど、実用上の取扱いも容易なパーツフィーダとその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のパーツフィーダは、多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材を複数対設け、これら振動励起部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したことを主たる特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
斯かる構成によれば、弾性部材を介して設置されたベースプレートを共通にして複数対の振動励起部材を配設したので、そのうちの少なくとも一対の振動励起部材を付勢することで他の振動励起部材を経て当該トッププレートに振動を付与することができ、所謂少数の駆動源にて同速度による多列搬送を可能ならしめ、複数対の圧電素子を使い分けできて効率よく長期使用できる。これにより、故障等による圧電素子の取替え頻度の軽減や、同一周波数とするなどの駆動条件の調整作業も軽減できて、取扱い容易でコストの低減にも有効なパーツフィーダを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を双方向搬送機能を有するパーツフィーダに適用した第1実施例につき、図1〜図6を参照して説明する。
そのうち、図1は、パーツフィーダ21の全体構成を示す外観斜視図、図2はシュート部分を除去した状態の外観斜視図、図3は右側面図、図4はシュート部分の具体的構成を説明するための斜視図、図5は図4中のC部の拡大図、そして図6は概略的な電気的構成を示す結線図で、これら図面に基づき以下に説明する。
【0014】
まず、図2,3を参照してパーツフィーダ21の概略構成につき述べるに際し、本実施例では後述するように多列搬送するために二対の振動励起手段を備えているので、まずそのうちの一方の直進搬送を可能とする振動励起手段の構成につき説明する。
すなわち、ワークを搬送可能とする振動励起手段は、第1のトッププレート23とベースプレート22との間に、圧電素子24aと増幅バネ25aとを上下方向に鉛直に連結して前後に配してなる一対の第1の振動励起部材26を設けた構成からなる。具体的には、増幅バネ25aの各下端と圧電素子24aの各上端との連結部間に、前後方向でもある水平方向に所定の間隔を保つスペーサ27を介在して座板28およびボルト・ナット部材29にて締結し連結している。そして、上端部のトッププレート23に対し各増幅バネ25aの上端を座板30およびボルト部材31にて締結固定し、下端部のベースプレート22に対しては各圧電素子24aの下端を座板32およびボルト部材33にて締結固定している。
【0015】
従って、ベースプレート22上に一対の振動励起部材26を介して第1のトッププレート23が支持された構成となり、図3に開示するようにトッププレート23と増幅バネ25aの固定位置と、圧電素子24aのベースプレート22への固定位置とを結んだ線が鉛直線に対し後方(図示左方)に角度θ1傾斜した形態となる。この傾斜角度θ1は、前記スペーサ27による水平方向の間隔と、圧電素子24aが増幅バネ25aより前方に位置していることに基づき決定される。よって、鉛直方向に連結して設けられた一対の振動励起部材26は、角度θ1後方に傾斜した状態に構成され、駆動源たる一対の圧電素子24aが通電駆動されると、振動が励起され各増幅バネ25aを介して増幅された縦方向のたわみ振動がトッププレート23に付与され、これは図示しないワークを図2中に示す矢印A方向(前方)に直進搬送すべく機能する。
【0016】
なお、上記圧電素子24aは、具体構成は省略するが従来周知のように金属シム板34aを挟んで圧電セラミック板35aが接合され、更に分極処理等が施された構成にあって、これを前後に配置して一対の圧電素子24aとして前記振動励起部材26を増幅バネ25aとともに構成している。また、前記ベースプレート22は、形状的に複雑化するのを避けるべく二つの部材で構成しており、圧電素子24aの下端を直接連結固定した上部ベースプレート22aと、詳細は後述する下部ベースプレート22bとの連結固定した構成からなるもので、勿論一体構成としても機能的に何ら支障を来たすものではない。
【0017】
これに対し、側方に隣接されたもう一方の振動励起手段につき述べると、これはワークを上記とは逆方向の図2中の矢印B方向(後方)に直進搬送すべく機能する。すなわち、第2のトッププレート36と前記ベースプレート22との間に、圧電素子24bと増幅バネ25bとを上下方向に鉛直に連結してなる一対の第2の振動励起部材37を設けた構成からなり、上記第1の振動励起部材26に対し、図3に示す傾斜角度θ2が上記した傾斜角度θ1に対し、ほぼ等角度逆方向(前方)に傾斜している点を除き実質的に同じ構成にある。
【0018】
すなわち、増幅バネ25bの各下端と圧電素子24bの各上端との連結部間には、前記スペーサ27を介在して座板28およびボルト・ナット部材29にて締結し連結している。この場合、前記した傾斜角度θ2が前方に傾斜するように、増幅バネ25bの後方位置に圧電素子24bが配置されている。そして、各増幅バネ24bの上端を第2のトッププレート36に座板30およびボルト部材31にて締結固定し、また各圧電素子24bの下端をベースプレート22に形成され垂直な取付面を有する取付基部38に、座板32およびボルト部材33にて締結固定している。
【0019】
斯くして、ベースプレート22上に一対の第2の振動励起部材37を介して第2のトッププレート36が支持された構成となすとともに、図3に開示したように鉛直線に対し前方(図示右方)に角度θ2傾斜した形態にあるので、駆動源たる一対の圧電素子24bが通電駆動されると、振動が励起され各増幅バネ25bを介して増幅された縦方向のたわみ振動が第2のトッププレート36に付与され、前記したようにワークを矢印B方向(後方)に直進搬送すべく機能する。
【0020】
そして、上記第1,第2のトッププレート23,36と、これに夫々対応した二対の振動励起部材26,37に対し、共通とするベースプレート22を構成する上部ベースプレート22aと下部ベースプレート22bとをボルト部材39にて複数箇所を締結し一体的に連結固定する。斯かる構成体を以って、ワークを矢印AおよびB方向の双方向に搬送可能なユニット42として構成される。
【0021】
次いで、上記搬送ユニット42をボトムベースプレート40に連結し、該ボトムベースプレート40を据付面に設置する。具体的には、ベースプレート22の下部ベースプレート22bは、弾性部材としてのバネ部材41を介してボトムベースプレート40と連結されている。しかるに、上記弾性部材たるバネ部材41は、本実施例では矩形の板バネ状にあって、上記下部ベースプレート22bとボトムベースプレート40の前後端において、図3に示すように上下方向に僅かの隙間S1を存して、座板43およびボルト部材44により夫々連結している。
【0022】
また、このバネ部材41に対向する下部ベースプレート22bの前後端面には切欠部49が形成され、図3中に示すようにバネ部材41との間に前後方向の隙間S2を形成している。この隙間S2は、上下方向の前記隙間S1と前後端で連続する如き構成にあって、特には該下部ベースプレート22bがバネ部材41と確実に離間し、その振動機能を損なわないようにしている。
この結果、据付面に設置固定されるボトムベースプレート40上に、トッププレート23,36、振動励起部材26,37、およびベースプレート22等からなる多列搬送可能なユニット42がバネ部材41を介して弾性的に支持された構成にある。
【0023】
しかるに、上記構成の搬送ユニット42に対し、実用に供するとて目的・用途に叶った双方向搬送に対応した第1のシュート45、第2のシュート46が装着される。具体的には、図1の全体構成の斜視図、図4の要部の拡大斜視図、図5に示す図4中のC部の拡大図を参照して以下に説明する。すなわち、本実施例では前記第1のトッププレート23の上部には、第1のシュート45がボルト部材47にて取付固定され、また第2のトッププレート36には第2のシュート46がボルト部材47にて取付固定されている。
従って、上記第1のシュート45は、図4,5中に示す例えばチップコンデンサの如き小物部品のワークWを、次製造ラインへ供給する矢印A方向に搬送可能とし、一方隣接する第2のシュート46は、ワークWを矢印B方向に搬送可能としており、その詳細は後の作用説明で述べる。
【0024】
そして、図6に示す結線図につき説明すると、まず矢印A方向に搬送可能とする第1の振動励起部材26側の一対の圧電素子24aにあっては、その各圧電セラミック板35aと接続した実線で示すリード線48a,48bを、圧着端子55を介して1本のリード線48とし、切換スイッチ50を経て制御用のコントローラ51の一方の電源端子52に接続される。一方、矢印B方向に搬送可能とする第2の振動励起部材37側の一対の圧電素子24bにあっては、その各圧電セラミック板35bと接続した破線で示すリード線53a,53bを、圧着端子55を介して1本のリード線53として、前記切換スイッチ50を経てコントローラ51の同じ一方の電源端子52に接続可能としている。
【0025】
これに対し、他方の電源端子57には金属シム板34a,34bに導通した共通のリード線58が接続されている。
従って、夫々一対の圧電素子24a,24bから導出されたリード線48,53は、切換スイッチ50の可動接片cによる固定接点a,bへの切換動作に応じて一方の電源端子52に電気的に接続され、以ってAC電源54に選択的に接続され、夫々一対の圧電素子24a又は24bに交流電圧を印加可能としている。
【0026】
次に、上記構成のパーツフィーダ21の作用につき説明する。
まず、図6の結線図において切換スイッチ50を操作して、可動接片cを固定接点a側に接続した状態とする。これにより、一対の第1の振動励起部材26側のみ付勢され、所謂一対の圧電素子24aのみが通電駆動され、この交流電圧が印加されることで励起された所定周波数の振動を発生する。従って、この場合は一対の圧電素子24aのみが、強制的に付勢され振動を発する駆動源となる。しかるに、この圧電素子24aを有する一対の第1の振動励起部材26は、具体的には金属シム板34aを介して共通のベースプレート22に連結支持され、且つ弾性部材たるバネ部材41を介してボトムベースプレート40に連結されているので、圧電素子24aの励起に基づく振動はベースプレート22全体に伝播され振動状態に保持される。
【0027】
しかるに、他方の第2の振動励起部材37を構成する圧電素子24bは非通電状態にあるが、上記第1の振動励起部材26と共通のベースプレート22に固定支持されているため、一体的に共振し同様の振動状態にある。この結果、バネ部材41を介してベースプレート22に支持された多列搬送ユニット42は固有の振動数からなる一つの振動体として機能し、その振動は具体的には各増幅バネ25a,25bを介して各トッププレート23,36に増幅伝達される。ただし、第2の振動励起部材37は第1の振動励起部材26とは逆方向に傾斜(傾斜角度θ2)しているので、ワークを矢印A方向とは逆の矢印B方向に直進搬送し、以って双方向搬送を可能としている。
【0028】
ここで、図4,5を参照してワークWの双方向搬送する一例につき簡略的に説明すると、第1のトッププレート23に装着された第1のシュート45には、ワークWを供給用として搬送するための断面V字状の直線トラック45aを形成していて、ワークWはその断面V字状の面と接して矢印A方向に移送される。しかるに、ワークWは例えば方向性を有するチップコンデンサの如き矩形の形態をなす場合、横長の整列状態を正規の移送形態として次製造ラインに搬送する一方、倒立状態など正規でないワークWは回収する必要がある。
【0029】
そこで、このようなワークWの移送状態を選別する手段として、例えば矩形板状の高さ規制部材56をトラック45a上に設けていて、倒立状態とか2段積みのように高いワークWが移送されてきた場合、該高さ規制部材56に当接させて下方に落下させる構成としている。その落下面は、第2のシュート46の平坦な溝状のトラック46aにあって、該トラック46aは矢印B方向に行くほど上昇する傾斜面となしている。従って、異方向などの選別されたワークWは第2のシュート46側の低い面のトラック46aに落下した後、矢印B方向に移送されて高い面に至り、該トラック46aの終端部で方向変換され、元の第1のシュート45の上流側に再度供給される。
【0030】
斯くして、正規の移送形態のワークWは第1のシュート45から次製造ラインへ供給すべく搬送され、一方異方向などの形態のワークWは高さ規制部材56により選別されて第2のシュート46側に移動され、所謂回収されて再度第1のシュート45側に補充供給され、このような動作が繰り返し行なわれ、第1のシュート45における正規のワークWをより多く次製造ラインに搬送共給可能としている。
なお、上記したワークWの選別手段たる高さ規制部材56は、一例としてその機能が概略理解できる程度に示したに過ぎず、実際上ではワークWの位置センサや当該ワークWを除外(回収移動)するためのエアー機構や光センサ等の検知手段等を備えて一層確実に選別回収できる構成が採用されている。
【0031】
このように、双方向搬送が可能なパーツフィーダ21によれば、駆動源として一対単位で圧電素子24a又は24bを通電駆動する構成にあるため、今駆動源としていた圧電素子24aに異常が発生した場合には、切換スイッチ50を切換操作して可動接片cを固定接点b側に閉成するよう切り換える。この結果、代わって圧電素子24bが駆動源として励起され、上記同様の振動経緯にて双方向搬送を続いて実行できる。
【0032】
なお、上記異常時の検知手段としては、例えば圧電素子24aに異常が発生したとすると、リード線48と共通のリード線58間に抵抗が発生し、このとき通常の駆動電流の数倍の電流が流れる。従って、その異常電流を検知し異常信号を発して報知するようにすればよい。従って、その異常信号を解除した後、駆動源たる他方の圧電素子の通電駆動に切り換えることは容易にできる。この場合、本実施例では上記した切換スイッチ50の切換操作により行なわれるが、固定接点a,bの中間にOFF用(停止用)の固定接点dを設けることにより、随時駆動源をOFFすることができ使い勝手は向上する。
【0033】
このように、本実施例によれば次の効果を有する。
双方向搬送などの多列搬送を可能とするパーツフィーダ21は、通常の2台分の機能を有する多列搬送ユニット42として共通のベースプレート22に一体的に設けられた構成にあって、この搬送ユニット42をバネ部材41を介してボトムベースプレート40に連結して弾性的に支持するとともに、該ボトムベースプレート40を据付面に設置する構成とした。従って、搬送ユニット42は単一の固有の振動体として保持される。この結果、やはり駆動源として2台分の圧電素子24a,および24bを夫々一対備えているが、実施に際してはそのうちの一方の駆動源たる一対の圧電素子24a、又は一対の圧電素子24bの何れかを選択駆動させればよい。所謂1台分の搬送機能を発揮する一つの駆動源で2台分に相当する双方向搬送などの多列搬送ができる。
【0034】
このため、従前の手段の如く2台分の駆動源たる本実施例で言えば二対の圧電素子24aおよび24bを同時に通電駆動するような構成に比し、何れか一方の一対の圧電素子を付勢するだけでよく、同じ駆動条件に調整する手間も軽減できるとともに、コントロールも単純化でき容易に制御できる。また、使用中の圧電素子が寿命などで異常を来たした場合は、従前ではその都度異常の圧電素子を取り替えるなどの面倒なメンテナンス作業を要したが、本実施例によれば他の圧電素子の使用に速やかに切り換えることができ、パーツフィーダ21として継続して実施できる。
【0035】
しかも、圧電素子の異常時には通常の駆動電流の数倍流れる異常電流を検知することで容易に認知できるとともに、その監視体制も容易に設けることができる。しかも、本実施例の如き切換スイッチ50による簡単な切り換え操作だけで、休止していた他方の圧電素子を付勢することができ、即続いて搬送作業が実行できて製造ライン等を長時間休止することもなくい。
【0036】
斯くして、実施に当たり取扱い性も良好でワークの搬送作業も効率よくでき生産性の向上を図ることができる。また、二対の圧電素子24a,24bを一対単位で2回に使い分けできるので、面倒なメンテナンス作業を軽減できて長期使用できるとともに、安定した搬送性能を維持できてコスト低減にも大いに有利である。また、共通のベースプレート22に対し2台分以上の搬送ユニットを設けることも可能で、勿論この場合も該当する多列搬送機能よりも少数の駆動源で対応でき、上記同様の効果が期待できる。
【0037】
なお、本実施例ではボトムベースプレート40を介して据付面に設置固定する構成としたが、これに限らず、例えばバネ部材41をL字状に曲成して、該バネ部材41の一端を直接据付面に設置固定する構成とすることも可能である。また、バネ部材41は前後端において連結する構成としたが周囲全体に配設してもよいし、且つそれに応じた種々の形状が考えられる。
【0038】
一方、圧電素子24a,24bの異常時には、図6に開示したようにスイッチ手段として切換スイッチ50により手動で切換操作するようにしたが、例えば異常電流検知手段を設けて上記切換スイッチ50に相当するスイッチ手段を連動させるなど、所望に応じた自動化による制御も容易に展開できる。また、スイッチ手段としては切換スイッチ50に代えて、例えばリード線38や53に対し直列に開閉するスイッチ手段を夫々設けた構成でもよいなど、種々変更し実施可能である。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、図7および図8は本発明の第2実施例を示す、夫々図2および図3相当図であって、上記第1実施例と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分につき説明する。
上記実施例では、弾性部材として板バネ状のバネ部材41を用いたのに対し、このものは弾性ゴム製によるゴム部材59を採用した点で異なるもので、その余の構成は実質的に上記実施例と同じである。
【0040】
以下、具体的に説明すると本実施例ではベースプレート22を構成する上下部ベースプレート22a,22bのうち、下部ベースプレート22bにおいて上記実施例とは若干異なる形状としている。すなわち、下部ベースプレート22bは特に図7の斜視図から理解できるように矩形平板状をなし、その下面側の4隅部に前記ゴム部材59を配設できる表面積を確保した形状としている。しかるに、ゴム部材59は図8に破断して示すように、円柱状をなし上部にボルト部材60を配し、また下部に固定脚61を配してモールド成形により一体的に構成している。
【0041】
しかるに、ボルト部材60は下部ベースプレート22bを下方より貫通して、その突出端部をナット締めすることで固定され、ベースプレート22に連結される。一方、下部の固定脚61は剛性部材で形成され、その長孔状の取付孔61aを介して据付面にボルト締めするなどして固定し設置される。この場合、4個の固定脚61は外方に突出した位置にするなど自由に設定できるもので、下部ベースプレート22bに挿通したときに所望の方向位置に定めて締め付け固定すればよい。
【0042】
上記構成によれば、弾性部材たるゴム部材59が上部の搬送ユニット42を弾性的に支持したことにより、該ユニット42が有する例えば一対の圧電素子24aが通電付勢され発生した振動に基づき一体的な搬送ユニット42全体を共振した振動状態のまま保持することができる。従って、非通電状態にある他の一対の圧電素子24bを有する第2の振動励起部材37にも振動が伝達され、これに連結支持された第2のトッププレート36側にも振動が伝達付与されて矢印B方向へのワークの搬送を可能とする。
【0043】
このように、ゴム部材59からなる弾性部材を用いても、搬送ユニット42を一つの固有振動体として保持することができ、上記第1実施例と同様の作用効果が期待できる。
なお、本実施例では固定脚61にて据付面に設置する構成としたが、これに限らず第1実施例の如きボトムベースプレート40を設けて、これの上面にゴム部材59を配し、下面側を据付面に設置する構成としてもよい。
【0044】
(第3の実施の形態)
そして、図9は本発明の第3実施例を示す図2相当図で、更にはこれに結線図を付記したもので、上記第1実施例と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分につき説明する。
上記実施例では、例えば第1の振動励起部材26は、これを構成する圧電素子24aおよび増幅バネ25aは、スペーサ27を介していずれも鉛直方向に連結固定されているのに対し、本実施例における振動励起部材26は、スペーサ27を使用しないで全体に角度θ1傾斜した状態に圧電素子24aおよび増幅バネ25aが連結した構成であること、および第2の振動励起部材37に代えて増幅バネ25bのみにより連結された振動伝達部材62を備えた構成において異なり、その余の構成は実質的に上記第1実施例と同じである。
【0045】
まず、上記振動励起部材26側の構成につき説明すると、ベースプレート22を構成する上部ベースプレート22aには、所定角度θ1後方に傾斜した取付面を有する取付基台38が突設されていて、圧電素子24aを構成する金属シム板34aの下端をボルト部材33等で締結固定している。そして、この上端に直線的に連結された増幅バネ25aの各上端を、やはり傾斜面をなす第1のトッププレート23の前後端部に取付固定される。このように、トッププレート23とベースプレート22間を傾斜状態に連結してなる一対の振動励起部材26にあって、その一対の圧電素子24aにリード線48,58を介して交流電圧を印加することで、当該トッププレート23にはワークを矢印A方向に直進搬送可能な振動が付与される。
【0046】
これに対し、第2のトッププレート36とベースプレート22間を上記とは逆方向の傾斜状態に連結してなる一対の振動伝達部材62は、駆動源たる圧電素子を有しない増幅バネ25bからなるもので、更に具体的に述べれば圧電セラミック板を有しない金属シム板34bのみを利用して連結され、他方の振動励起部材26の固有振動数に合わせた構成としている。従って、この振動伝達部材62は自ら振動を励起するものでないが、他方の振動励起部材26の一対の圧電素子24aに交流電圧が印加されれば、バネ部材41にて支持された共通のベースプレート22等からなる搬送ユニット42全体が共振し、この結果、振動伝達部材62を経て第2のトッププレート36に矢印B方向に搬送する振動が付与される構成にある。
【0047】
斯かる構成によれば、一対の圧電素子24aを通電駆動するのみで多列搬送が可能であり、所謂1台分の少数の駆動源で双方向搬送等が可能となる。従って、駆動条件を調整する手間も軽減できるとともに、コントロールも単純化でき容易に制御でき、且つ簡易な構成にて配線処理も容易で取扱いも容易であるなど、そしてコスト低減にも有利なパーツフィーダ21を提供できる。
【0048】
なお、本発明は弾性部材たるバネ部材やゴム部材は、ベースプレートとボトムベースプレート間の連結、或いはベースプレートと据付面との間に連結され、搬送ユニットを据付面に対し弾性支持することが可能であることから、該弾性部材は上記実施例に限定されることなく種々の形態に展開可能で、例えばコイルバネや屈曲した板バネなどのバネ部材とか、或いは平板状のゴム部材などを介在して設置する構成としてもよい。
【0049】
その他、上記実施例における2列の多列搬送に限らず3列以上の多列搬送にも展開可能で、この場合にも例えば3台分の搬送機能を有するのに対し、それよりも少ない駆動源にて対処できることから、上記実施例と同様な効果が期待できるものであり、勿論、双方向搬送に限らず同じ方向に同時に複数の直進搬送を行なう場合にも、同一条件で駆動できて多列搬送を効率よく実施できるなど、実施に際して本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施例を示すパーツフィーダの外観斜視図
【図2】シュートを取外した状態の図1相当図
【図3】側面図
【図4】シュート部分を拡大して示す斜視図
【図5】図4中の符号Cで示す要部の拡大図
【図6】概略的な電気的構成を示す結線図
【図7】本発明の第2実施例を示す図2相当図
【図8】一部破断して示す図3相当図
【図9】本発明の第3実施例を示す図2相当図
【図10】従来例を示す図1相当図
【図11】図2相当図
【符号の説明】
【0051】
図面中、21はパーツフィーダ、22はベースプレート、23は第1のトッププレート、24a,24bは圧電素子、25a,25bは増幅バネ、26は第1の振動励起部材、36は第2のトッププレート,37は第2の振動励起部材、40はボトムベースプレート、41はバネ部材(弾性部材)、42は搬送ユニット、45は第1のシュート、46は第2のシュート、59はゴム部材(弾性部材)、61は固定脚、および62は振動伝達部材を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を利用して振動を励起し、双方向搬送等の多列搬送を可能とするパーツフィ−ダとその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種分野における自動組立工程において、チップ抵抗等の電子部品、樹脂成形部品、機械部品などの小物ワークをはじめ、粉末体を搬送供給するためのフィーダにあっては、その駆動源として圧電セラミックス素子を用いた圧電型フィーダ、および電磁石を駆動源とするフィーダがよく知られている。しかるに、前者の圧電型フィーダは、後者の電磁型フィーダと比較して、物品の搬送がスムーズで、消費電力が小さく、また金属性の搬送品に対し着磁するおそれがないなどの特長があり、近年広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、微細なチップ抵抗やチップコンデンサ等の小物ワークを搬送供給するに際して、ワーク自体に方向性を有する場合が多いことから、例えばワークの表裏や縦横を一定の向きに整列しながら次の製造ラインに搬送供給するようにしている。そのために、異方向を向いたワークは、本来の供給用搬送路から隣接する別の回収用搬送路に移動させるようにしていて、夫々のワークを同時に搬送可能とする二つの搬送路を備えた所謂多列搬送を可能としたパーツフィーダが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
そこで、図10および図11は多列搬送のうち基本的な双方向搬送機能を備えた圧電式のパーツフィーダを示したもので、以下図面に基づき構成および作用につき説明する。
まず、図11に基づき説明すると、パーツフィーダ1は図示しない据付面に設置固定される一つのベースプレート2を備えているのに対し、多列搬送とするため後述する二つのトッププレート5,6を具備し、その間に前後に配した二対の圧電式振動励起手段を装備している。そのうちの一対は、前記ベースプレート2の前後(図示左右)に位置して各々の圧電素子3a,3aの下端が取付固定され、その各上端部に振動増幅用の板バネからなる一対の増幅バネ4a,4aが夫々連結されるとともに、更にこの増幅バネ4a,4aの上部を前記第1のトッププレート5に連結固定してなり、且ついずれも図示後方(左方向)に所定の傾斜角度倒れた連結構成としていて、この後方への傾斜に基づき該トッププレート5に矢印A方向の直進搬送可能な振動を付与している。
【0005】
これに対し、もう一対のものも前記ベースプレート2と第2のトッププレート6との間に、上記と同一仕様の圧電素子3b,3bと増幅バネ4b,4bが連結固定され、ただ傾斜角度が上記とは等角度逆方向である図示前方(右方向)に傾斜している。なお、上記傾斜角度は、いずれもベースプレート2の各圧電素子3a,3b下端の取付基部2a,2aにおいて、予め所定の傾斜角度の傾斜面が形成されていて、この傾斜面に取付固定することで所定角度傾斜した位置決めがなされる。また、各圧電素子3a,3bの具体構成は省略するが、金属シム板7の両面に圧電セラミック板8aおよび8bを夫々電気的に導通状態に接合するとともに、これら圧電セラミック板8a,8bを分極処理して極性を持たせた構成としている。
【0006】
しかるに、上記構成の第1,第2のトッププレート5,6上には、実施に際し図10に示すワーク搬送用の第1,第2のシュート9,10が搭載される。また、図11中に概略的に結線図を示すように、一対の圧電素子3a,3aの各圧電セラミック板11aはリード線12を介して一方の電源端子14に接続され、他方、共通の電源端子15にはリード線13を介して各圧電素子3a,3bの金属シム板7側と接続される。なお、もう一対の圧電素子3b,3bの各圧電セラミック板8bに対しても、図示しないが上記同様に結線され、以って夫々の圧電素子3a,3bに交流電圧を印加可能としている。
【0007】
しかして、今図示しない制御用のコントローラを介して交流電圧が印加されると、各圧電素子3a,3bが励起されてたわみ振動し、増幅バネ4a,4bとで構成される振動系の共振周波数で強い振動を起こし、前記第1,第2のトッププレート5,6を介して当該シュート9,10上を、夫々図示しないワークが矢印A,B方向に搬送可能としている。このように、同時に互いに逆方向の所謂双方向へのワーク搬送を可能とするものであり、実施に際しては図示および詳細な説明は省略するが、上記供給用の第1のシュート9側には位置センサやワーク選別手段等が設けられ、そして選別除外された例えば異方向のワークを、回収用の第2のシュート10に移動させる手段等を備えている。
【0008】
上記構成によれば、ワークの多列搬送である双方向搬送機能を備え、方向性を有する小物部品たるワークの搬送に際して、選別された正方向のワークのみ供給用の第1のシュート9を介して矢印A方向に直進搬送して、先の製造ライン等への供給を可能とし、一方、異方向のワークは回収用の第2のシュート10に移動回収されて逆方向たる矢印B方向に搬送された後、再び第1のシュート9上に戻す手段を経て供給用のワークとして搬送されるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記構成のパーツフィーダ1によれば、多列搬送可能とするために言わば単機能のパーツフィーダを2台分組み合せた構成とし、そして二対(計4個)の圧電素子3a,3a,3b,3b全てに交流電圧を印加して通電駆動する構成にある。
しかるに、この駆動源であるうちの圧電素子3a若しくは3bに異常が発生した場合には、その都度当該圧電素子を新規取り替えなければならず、パーツフィーダ1も修復完了まで休止状態となり、実際にはこれに関連する製造ライン等も停止し、その生産能率の低下は免れない。しかも、この二対の圧電素子3a,3bは極力同一条件のもとで駆動させているが、各々の質量や変位量の複数の条件を一致させた上で同じ周波数に合わせ駆動せねばならず、その調整は難しく上記修復作業は容易ではない。また、計4個の圧電素子3a,3a,3b,3bは、いずれも当初から同じ長期間使用され例えば圧電セラミック板の耐久性(寿命)としても全てが同様の条件下にあり、上記のような取替え頻度も多くなる傾向にあり、実用に際して多列搬送可能なパーツフィーダ1として、取扱い上煩雑なメンテナンスを伴なうなど種々の問題を抱えている。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するために、多列搬送可能とするうちの一方の搬送機能の駆動源たる圧電素子のみを駆動することで、他方の搬送機能も有効に機能するようにして効率よく駆動でき、且つ各圧電素子の駆動条件の調整も簡易にできるなど、実用上の取扱いも容易なパーツフィーダとその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のパーツフィーダは、多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材を複数対設け、これら振動励起部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したことを主たる特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
斯かる構成によれば、弾性部材を介して設置されたベースプレートを共通にして複数対の振動励起部材を配設したので、そのうちの少なくとも一対の振動励起部材を付勢することで他の振動励起部材を経て当該トッププレートに振動を付与することができ、所謂少数の駆動源にて同速度による多列搬送を可能ならしめ、複数対の圧電素子を使い分けできて効率よく長期使用できる。これにより、故障等による圧電素子の取替え頻度の軽減や、同一周波数とするなどの駆動条件の調整作業も軽減できて、取扱い容易でコストの低減にも有効なパーツフィーダを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を双方向搬送機能を有するパーツフィーダに適用した第1実施例につき、図1〜図6を参照して説明する。
そのうち、図1は、パーツフィーダ21の全体構成を示す外観斜視図、図2はシュート部分を除去した状態の外観斜視図、図3は右側面図、図4はシュート部分の具体的構成を説明するための斜視図、図5は図4中のC部の拡大図、そして図6は概略的な電気的構成を示す結線図で、これら図面に基づき以下に説明する。
【0014】
まず、図2,3を参照してパーツフィーダ21の概略構成につき述べるに際し、本実施例では後述するように多列搬送するために二対の振動励起手段を備えているので、まずそのうちの一方の直進搬送を可能とする振動励起手段の構成につき説明する。
すなわち、ワークを搬送可能とする振動励起手段は、第1のトッププレート23とベースプレート22との間に、圧電素子24aと増幅バネ25aとを上下方向に鉛直に連結して前後に配してなる一対の第1の振動励起部材26を設けた構成からなる。具体的には、増幅バネ25aの各下端と圧電素子24aの各上端との連結部間に、前後方向でもある水平方向に所定の間隔を保つスペーサ27を介在して座板28およびボルト・ナット部材29にて締結し連結している。そして、上端部のトッププレート23に対し各増幅バネ25aの上端を座板30およびボルト部材31にて締結固定し、下端部のベースプレート22に対しては各圧電素子24aの下端を座板32およびボルト部材33にて締結固定している。
【0015】
従って、ベースプレート22上に一対の振動励起部材26を介して第1のトッププレート23が支持された構成となり、図3に開示するようにトッププレート23と増幅バネ25aの固定位置と、圧電素子24aのベースプレート22への固定位置とを結んだ線が鉛直線に対し後方(図示左方)に角度θ1傾斜した形態となる。この傾斜角度θ1は、前記スペーサ27による水平方向の間隔と、圧電素子24aが増幅バネ25aより前方に位置していることに基づき決定される。よって、鉛直方向に連結して設けられた一対の振動励起部材26は、角度θ1後方に傾斜した状態に構成され、駆動源たる一対の圧電素子24aが通電駆動されると、振動が励起され各増幅バネ25aを介して増幅された縦方向のたわみ振動がトッププレート23に付与され、これは図示しないワークを図2中に示す矢印A方向(前方)に直進搬送すべく機能する。
【0016】
なお、上記圧電素子24aは、具体構成は省略するが従来周知のように金属シム板34aを挟んで圧電セラミック板35aが接合され、更に分極処理等が施された構成にあって、これを前後に配置して一対の圧電素子24aとして前記振動励起部材26を増幅バネ25aとともに構成している。また、前記ベースプレート22は、形状的に複雑化するのを避けるべく二つの部材で構成しており、圧電素子24aの下端を直接連結固定した上部ベースプレート22aと、詳細は後述する下部ベースプレート22bとの連結固定した構成からなるもので、勿論一体構成としても機能的に何ら支障を来たすものではない。
【0017】
これに対し、側方に隣接されたもう一方の振動励起手段につき述べると、これはワークを上記とは逆方向の図2中の矢印B方向(後方)に直進搬送すべく機能する。すなわち、第2のトッププレート36と前記ベースプレート22との間に、圧電素子24bと増幅バネ25bとを上下方向に鉛直に連結してなる一対の第2の振動励起部材37を設けた構成からなり、上記第1の振動励起部材26に対し、図3に示す傾斜角度θ2が上記した傾斜角度θ1に対し、ほぼ等角度逆方向(前方)に傾斜している点を除き実質的に同じ構成にある。
【0018】
すなわち、増幅バネ25bの各下端と圧電素子24bの各上端との連結部間には、前記スペーサ27を介在して座板28およびボルト・ナット部材29にて締結し連結している。この場合、前記した傾斜角度θ2が前方に傾斜するように、増幅バネ25bの後方位置に圧電素子24bが配置されている。そして、各増幅バネ24bの上端を第2のトッププレート36に座板30およびボルト部材31にて締結固定し、また各圧電素子24bの下端をベースプレート22に形成され垂直な取付面を有する取付基部38に、座板32およびボルト部材33にて締結固定している。
【0019】
斯くして、ベースプレート22上に一対の第2の振動励起部材37を介して第2のトッププレート36が支持された構成となすとともに、図3に開示したように鉛直線に対し前方(図示右方)に角度θ2傾斜した形態にあるので、駆動源たる一対の圧電素子24bが通電駆動されると、振動が励起され各増幅バネ25bを介して増幅された縦方向のたわみ振動が第2のトッププレート36に付与され、前記したようにワークを矢印B方向(後方)に直進搬送すべく機能する。
【0020】
そして、上記第1,第2のトッププレート23,36と、これに夫々対応した二対の振動励起部材26,37に対し、共通とするベースプレート22を構成する上部ベースプレート22aと下部ベースプレート22bとをボルト部材39にて複数箇所を締結し一体的に連結固定する。斯かる構成体を以って、ワークを矢印AおよびB方向の双方向に搬送可能なユニット42として構成される。
【0021】
次いで、上記搬送ユニット42をボトムベースプレート40に連結し、該ボトムベースプレート40を据付面に設置する。具体的には、ベースプレート22の下部ベースプレート22bは、弾性部材としてのバネ部材41を介してボトムベースプレート40と連結されている。しかるに、上記弾性部材たるバネ部材41は、本実施例では矩形の板バネ状にあって、上記下部ベースプレート22bとボトムベースプレート40の前後端において、図3に示すように上下方向に僅かの隙間S1を存して、座板43およびボルト部材44により夫々連結している。
【0022】
また、このバネ部材41に対向する下部ベースプレート22bの前後端面には切欠部49が形成され、図3中に示すようにバネ部材41との間に前後方向の隙間S2を形成している。この隙間S2は、上下方向の前記隙間S1と前後端で連続する如き構成にあって、特には該下部ベースプレート22bがバネ部材41と確実に離間し、その振動機能を損なわないようにしている。
この結果、据付面に設置固定されるボトムベースプレート40上に、トッププレート23,36、振動励起部材26,37、およびベースプレート22等からなる多列搬送可能なユニット42がバネ部材41を介して弾性的に支持された構成にある。
【0023】
しかるに、上記構成の搬送ユニット42に対し、実用に供するとて目的・用途に叶った双方向搬送に対応した第1のシュート45、第2のシュート46が装着される。具体的には、図1の全体構成の斜視図、図4の要部の拡大斜視図、図5に示す図4中のC部の拡大図を参照して以下に説明する。すなわち、本実施例では前記第1のトッププレート23の上部には、第1のシュート45がボルト部材47にて取付固定され、また第2のトッププレート36には第2のシュート46がボルト部材47にて取付固定されている。
従って、上記第1のシュート45は、図4,5中に示す例えばチップコンデンサの如き小物部品のワークWを、次製造ラインへ供給する矢印A方向に搬送可能とし、一方隣接する第2のシュート46は、ワークWを矢印B方向に搬送可能としており、その詳細は後の作用説明で述べる。
【0024】
そして、図6に示す結線図につき説明すると、まず矢印A方向に搬送可能とする第1の振動励起部材26側の一対の圧電素子24aにあっては、その各圧電セラミック板35aと接続した実線で示すリード線48a,48bを、圧着端子55を介して1本のリード線48とし、切換スイッチ50を経て制御用のコントローラ51の一方の電源端子52に接続される。一方、矢印B方向に搬送可能とする第2の振動励起部材37側の一対の圧電素子24bにあっては、その各圧電セラミック板35bと接続した破線で示すリード線53a,53bを、圧着端子55を介して1本のリード線53として、前記切換スイッチ50を経てコントローラ51の同じ一方の電源端子52に接続可能としている。
【0025】
これに対し、他方の電源端子57には金属シム板34a,34bに導通した共通のリード線58が接続されている。
従って、夫々一対の圧電素子24a,24bから導出されたリード線48,53は、切換スイッチ50の可動接片cによる固定接点a,bへの切換動作に応じて一方の電源端子52に電気的に接続され、以ってAC電源54に選択的に接続され、夫々一対の圧電素子24a又は24bに交流電圧を印加可能としている。
【0026】
次に、上記構成のパーツフィーダ21の作用につき説明する。
まず、図6の結線図において切換スイッチ50を操作して、可動接片cを固定接点a側に接続した状態とする。これにより、一対の第1の振動励起部材26側のみ付勢され、所謂一対の圧電素子24aのみが通電駆動され、この交流電圧が印加されることで励起された所定周波数の振動を発生する。従って、この場合は一対の圧電素子24aのみが、強制的に付勢され振動を発する駆動源となる。しかるに、この圧電素子24aを有する一対の第1の振動励起部材26は、具体的には金属シム板34aを介して共通のベースプレート22に連結支持され、且つ弾性部材たるバネ部材41を介してボトムベースプレート40に連結されているので、圧電素子24aの励起に基づく振動はベースプレート22全体に伝播され振動状態に保持される。
【0027】
しかるに、他方の第2の振動励起部材37を構成する圧電素子24bは非通電状態にあるが、上記第1の振動励起部材26と共通のベースプレート22に固定支持されているため、一体的に共振し同様の振動状態にある。この結果、バネ部材41を介してベースプレート22に支持された多列搬送ユニット42は固有の振動数からなる一つの振動体として機能し、その振動は具体的には各増幅バネ25a,25bを介して各トッププレート23,36に増幅伝達される。ただし、第2の振動励起部材37は第1の振動励起部材26とは逆方向に傾斜(傾斜角度θ2)しているので、ワークを矢印A方向とは逆の矢印B方向に直進搬送し、以って双方向搬送を可能としている。
【0028】
ここで、図4,5を参照してワークWの双方向搬送する一例につき簡略的に説明すると、第1のトッププレート23に装着された第1のシュート45には、ワークWを供給用として搬送するための断面V字状の直線トラック45aを形成していて、ワークWはその断面V字状の面と接して矢印A方向に移送される。しかるに、ワークWは例えば方向性を有するチップコンデンサの如き矩形の形態をなす場合、横長の整列状態を正規の移送形態として次製造ラインに搬送する一方、倒立状態など正規でないワークWは回収する必要がある。
【0029】
そこで、このようなワークWの移送状態を選別する手段として、例えば矩形板状の高さ規制部材56をトラック45a上に設けていて、倒立状態とか2段積みのように高いワークWが移送されてきた場合、該高さ規制部材56に当接させて下方に落下させる構成としている。その落下面は、第2のシュート46の平坦な溝状のトラック46aにあって、該トラック46aは矢印B方向に行くほど上昇する傾斜面となしている。従って、異方向などの選別されたワークWは第2のシュート46側の低い面のトラック46aに落下した後、矢印B方向に移送されて高い面に至り、該トラック46aの終端部で方向変換され、元の第1のシュート45の上流側に再度供給される。
【0030】
斯くして、正規の移送形態のワークWは第1のシュート45から次製造ラインへ供給すべく搬送され、一方異方向などの形態のワークWは高さ規制部材56により選別されて第2のシュート46側に移動され、所謂回収されて再度第1のシュート45側に補充供給され、このような動作が繰り返し行なわれ、第1のシュート45における正規のワークWをより多く次製造ラインに搬送共給可能としている。
なお、上記したワークWの選別手段たる高さ規制部材56は、一例としてその機能が概略理解できる程度に示したに過ぎず、実際上ではワークWの位置センサや当該ワークWを除外(回収移動)するためのエアー機構や光センサ等の検知手段等を備えて一層確実に選別回収できる構成が採用されている。
【0031】
このように、双方向搬送が可能なパーツフィーダ21によれば、駆動源として一対単位で圧電素子24a又は24bを通電駆動する構成にあるため、今駆動源としていた圧電素子24aに異常が発生した場合には、切換スイッチ50を切換操作して可動接片cを固定接点b側に閉成するよう切り換える。この結果、代わって圧電素子24bが駆動源として励起され、上記同様の振動経緯にて双方向搬送を続いて実行できる。
【0032】
なお、上記異常時の検知手段としては、例えば圧電素子24aに異常が発生したとすると、リード線48と共通のリード線58間に抵抗が発生し、このとき通常の駆動電流の数倍の電流が流れる。従って、その異常電流を検知し異常信号を発して報知するようにすればよい。従って、その異常信号を解除した後、駆動源たる他方の圧電素子の通電駆動に切り換えることは容易にできる。この場合、本実施例では上記した切換スイッチ50の切換操作により行なわれるが、固定接点a,bの中間にOFF用(停止用)の固定接点dを設けることにより、随時駆動源をOFFすることができ使い勝手は向上する。
【0033】
このように、本実施例によれば次の効果を有する。
双方向搬送などの多列搬送を可能とするパーツフィーダ21は、通常の2台分の機能を有する多列搬送ユニット42として共通のベースプレート22に一体的に設けられた構成にあって、この搬送ユニット42をバネ部材41を介してボトムベースプレート40に連結して弾性的に支持するとともに、該ボトムベースプレート40を据付面に設置する構成とした。従って、搬送ユニット42は単一の固有の振動体として保持される。この結果、やはり駆動源として2台分の圧電素子24a,および24bを夫々一対備えているが、実施に際してはそのうちの一方の駆動源たる一対の圧電素子24a、又は一対の圧電素子24bの何れかを選択駆動させればよい。所謂1台分の搬送機能を発揮する一つの駆動源で2台分に相当する双方向搬送などの多列搬送ができる。
【0034】
このため、従前の手段の如く2台分の駆動源たる本実施例で言えば二対の圧電素子24aおよび24bを同時に通電駆動するような構成に比し、何れか一方の一対の圧電素子を付勢するだけでよく、同じ駆動条件に調整する手間も軽減できるとともに、コントロールも単純化でき容易に制御できる。また、使用中の圧電素子が寿命などで異常を来たした場合は、従前ではその都度異常の圧電素子を取り替えるなどの面倒なメンテナンス作業を要したが、本実施例によれば他の圧電素子の使用に速やかに切り換えることができ、パーツフィーダ21として継続して実施できる。
【0035】
しかも、圧電素子の異常時には通常の駆動電流の数倍流れる異常電流を検知することで容易に認知できるとともに、その監視体制も容易に設けることができる。しかも、本実施例の如き切換スイッチ50による簡単な切り換え操作だけで、休止していた他方の圧電素子を付勢することができ、即続いて搬送作業が実行できて製造ライン等を長時間休止することもなくい。
【0036】
斯くして、実施に当たり取扱い性も良好でワークの搬送作業も効率よくでき生産性の向上を図ることができる。また、二対の圧電素子24a,24bを一対単位で2回に使い分けできるので、面倒なメンテナンス作業を軽減できて長期使用できるとともに、安定した搬送性能を維持できてコスト低減にも大いに有利である。また、共通のベースプレート22に対し2台分以上の搬送ユニットを設けることも可能で、勿論この場合も該当する多列搬送機能よりも少数の駆動源で対応でき、上記同様の効果が期待できる。
【0037】
なお、本実施例ではボトムベースプレート40を介して据付面に設置固定する構成としたが、これに限らず、例えばバネ部材41をL字状に曲成して、該バネ部材41の一端を直接据付面に設置固定する構成とすることも可能である。また、バネ部材41は前後端において連結する構成としたが周囲全体に配設してもよいし、且つそれに応じた種々の形状が考えられる。
【0038】
一方、圧電素子24a,24bの異常時には、図6に開示したようにスイッチ手段として切換スイッチ50により手動で切換操作するようにしたが、例えば異常電流検知手段を設けて上記切換スイッチ50に相当するスイッチ手段を連動させるなど、所望に応じた自動化による制御も容易に展開できる。また、スイッチ手段としては切換スイッチ50に代えて、例えばリード線38や53に対し直列に開閉するスイッチ手段を夫々設けた構成でもよいなど、種々変更し実施可能である。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、図7および図8は本発明の第2実施例を示す、夫々図2および図3相当図であって、上記第1実施例と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分につき説明する。
上記実施例では、弾性部材として板バネ状のバネ部材41を用いたのに対し、このものは弾性ゴム製によるゴム部材59を採用した点で異なるもので、その余の構成は実質的に上記実施例と同じである。
【0040】
以下、具体的に説明すると本実施例ではベースプレート22を構成する上下部ベースプレート22a,22bのうち、下部ベースプレート22bにおいて上記実施例とは若干異なる形状としている。すなわち、下部ベースプレート22bは特に図7の斜視図から理解できるように矩形平板状をなし、その下面側の4隅部に前記ゴム部材59を配設できる表面積を確保した形状としている。しかるに、ゴム部材59は図8に破断して示すように、円柱状をなし上部にボルト部材60を配し、また下部に固定脚61を配してモールド成形により一体的に構成している。
【0041】
しかるに、ボルト部材60は下部ベースプレート22bを下方より貫通して、その突出端部をナット締めすることで固定され、ベースプレート22に連結される。一方、下部の固定脚61は剛性部材で形成され、その長孔状の取付孔61aを介して据付面にボルト締めするなどして固定し設置される。この場合、4個の固定脚61は外方に突出した位置にするなど自由に設定できるもので、下部ベースプレート22bに挿通したときに所望の方向位置に定めて締め付け固定すればよい。
【0042】
上記構成によれば、弾性部材たるゴム部材59が上部の搬送ユニット42を弾性的に支持したことにより、該ユニット42が有する例えば一対の圧電素子24aが通電付勢され発生した振動に基づき一体的な搬送ユニット42全体を共振した振動状態のまま保持することができる。従って、非通電状態にある他の一対の圧電素子24bを有する第2の振動励起部材37にも振動が伝達され、これに連結支持された第2のトッププレート36側にも振動が伝達付与されて矢印B方向へのワークの搬送を可能とする。
【0043】
このように、ゴム部材59からなる弾性部材を用いても、搬送ユニット42を一つの固有振動体として保持することができ、上記第1実施例と同様の作用効果が期待できる。
なお、本実施例では固定脚61にて据付面に設置する構成としたが、これに限らず第1実施例の如きボトムベースプレート40を設けて、これの上面にゴム部材59を配し、下面側を据付面に設置する構成としてもよい。
【0044】
(第3の実施の形態)
そして、図9は本発明の第3実施例を示す図2相当図で、更にはこれに結線図を付記したもので、上記第1実施例と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分につき説明する。
上記実施例では、例えば第1の振動励起部材26は、これを構成する圧電素子24aおよび増幅バネ25aは、スペーサ27を介していずれも鉛直方向に連結固定されているのに対し、本実施例における振動励起部材26は、スペーサ27を使用しないで全体に角度θ1傾斜した状態に圧電素子24aおよび増幅バネ25aが連結した構成であること、および第2の振動励起部材37に代えて増幅バネ25bのみにより連結された振動伝達部材62を備えた構成において異なり、その余の構成は実質的に上記第1実施例と同じである。
【0045】
まず、上記振動励起部材26側の構成につき説明すると、ベースプレート22を構成する上部ベースプレート22aには、所定角度θ1後方に傾斜した取付面を有する取付基台38が突設されていて、圧電素子24aを構成する金属シム板34aの下端をボルト部材33等で締結固定している。そして、この上端に直線的に連結された増幅バネ25aの各上端を、やはり傾斜面をなす第1のトッププレート23の前後端部に取付固定される。このように、トッププレート23とベースプレート22間を傾斜状態に連結してなる一対の振動励起部材26にあって、その一対の圧電素子24aにリード線48,58を介して交流電圧を印加することで、当該トッププレート23にはワークを矢印A方向に直進搬送可能な振動が付与される。
【0046】
これに対し、第2のトッププレート36とベースプレート22間を上記とは逆方向の傾斜状態に連結してなる一対の振動伝達部材62は、駆動源たる圧電素子を有しない増幅バネ25bからなるもので、更に具体的に述べれば圧電セラミック板を有しない金属シム板34bのみを利用して連結され、他方の振動励起部材26の固有振動数に合わせた構成としている。従って、この振動伝達部材62は自ら振動を励起するものでないが、他方の振動励起部材26の一対の圧電素子24aに交流電圧が印加されれば、バネ部材41にて支持された共通のベースプレート22等からなる搬送ユニット42全体が共振し、この結果、振動伝達部材62を経て第2のトッププレート36に矢印B方向に搬送する振動が付与される構成にある。
【0047】
斯かる構成によれば、一対の圧電素子24aを通電駆動するのみで多列搬送が可能であり、所謂1台分の少数の駆動源で双方向搬送等が可能となる。従って、駆動条件を調整する手間も軽減できるとともに、コントロールも単純化でき容易に制御でき、且つ簡易な構成にて配線処理も容易で取扱いも容易であるなど、そしてコスト低減にも有利なパーツフィーダ21を提供できる。
【0048】
なお、本発明は弾性部材たるバネ部材やゴム部材は、ベースプレートとボトムベースプレート間の連結、或いはベースプレートと据付面との間に連結され、搬送ユニットを据付面に対し弾性支持することが可能であることから、該弾性部材は上記実施例に限定されることなく種々の形態に展開可能で、例えばコイルバネや屈曲した板バネなどのバネ部材とか、或いは平板状のゴム部材などを介在して設置する構成としてもよい。
【0049】
その他、上記実施例における2列の多列搬送に限らず3列以上の多列搬送にも展開可能で、この場合にも例えば3台分の搬送機能を有するのに対し、それよりも少ない駆動源にて対処できることから、上記実施例と同様な効果が期待できるものであり、勿論、双方向搬送に限らず同じ方向に同時に複数の直進搬送を行なう場合にも、同一条件で駆動できて多列搬送を効率よく実施できるなど、実施に際して本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施例を示すパーツフィーダの外観斜視図
【図2】シュートを取外した状態の図1相当図
【図3】側面図
【図4】シュート部分を拡大して示す斜視図
【図5】図4中の符号Cで示す要部の拡大図
【図6】概略的な電気的構成を示す結線図
【図7】本発明の第2実施例を示す図2相当図
【図8】一部破断して示す図3相当図
【図9】本発明の第3実施例を示す図2相当図
【図10】従来例を示す図1相当図
【図11】図2相当図
【符号の説明】
【0051】
図面中、21はパーツフィーダ、22はベースプレート、23は第1のトッププレート、24a,24bは圧電素子、25a,25bは増幅バネ、26は第1の振動励起部材、36は第2のトッププレート,37は第2の振動励起部材、40はボトムベースプレート、41はバネ部材(弾性部材)、42は搬送ユニット、45は第1のシュート、46は第2のシュート、59はゴム部材(弾性部材)、61は固定脚、および62は振動伝達部材を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材を複数対設け、これら振動励起部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したことを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材を複数対設け、これら振動励起部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したものにあって、前記圧電素子に対し一対単位で通電切換可能としたことを特徴とするパーツフィーダの駆動方法。
【請求項3】
多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる少なくとも一対の振動励起部材と、前記圧電素子を有せず前記増幅バネを介して上下に連結してなる少なくとも一対の振動伝達部材とを設け、これら両部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したことを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項1】
多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材を複数対設け、これら振動励起部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したことを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる一対の振動励起部材を複数対設け、これら振動励起部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したものにあって、前記圧電素子に対し一対単位で通電切換可能としたことを特徴とするパーツフィーダの駆動方法。
【請求項3】
多列搬送可能な複数のトッププレートとベースプレート間に、圧電素子および増幅バネを介して上下に連結してなる少なくとも一対の振動励起部材と、前記圧電素子を有せず前記増幅バネを介して上下に連結してなる少なくとも一対の振動伝達部材とを設け、これら両部材の下端を固定支持した前記ベースプレートを弾性部材を介して据付面に設置したことを特徴とするパーツフィーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−290583(P2006−290583A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115721(P2005−115721)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(592199065)株式会社産機 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(592199065)株式会社産機 (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]