説明

パーティチャットシステム,パーティチャットシステム用プログラム,及び情報記録媒体

【課題】 本発明は,プレイヤが必要とするテキスト情報を,ゲームの操作性を損なわず,かつリアリティのある態様で的確に表示できるチャットシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は,あるパーティに含まれるキャラクタのキャラクタ情報を表示画面上の所定の位置に表示し,キャラクタ情報に隣接させて,各キャラクタに対して入力されたテキスト情報を表示することにより,チャットゲームのプレイヤが必要とする情報を,ゲームの操作性を損なわず,かつリアリティある態様で的確に表示できるという知見に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,情報通信回線を介したパーティチャットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,仮想空間内に存在するキャラクタが台詞を発したかのように,プレイヤ同士の会話が可能なチャットシステムが知られている(例えば,特開2009−301404号公報)。このようなチャットシステムにおいては,ゲーム提供サーバと情報通信回線を介して複数のクライアントが接続されており,あるクライアントの入力装置(例えばキーボード)にテキスト情報が入力されると,そのテキスト情報が,他のクライアントの表示装置にも表示されるようになっている。
【0003】
従来のチャットシステムとしては,図6に示すような,プレイヤが操作するキャラクタの頭上に,吹き出し101を表示させ,その吹き出し101内にプレイヤにより入力されたテキスト情報が表示されるものが知られている。これにより,プレイヤが,仮想空間内において,どのキャラクタを操作しどのような発言を入力送信したかを判別できる。
【0004】
また,その他の従来のチャットシステムとして,図7に示すような,表示画面内に,プレイヤ同士の会話が一覧として表示されるウィンドウ102を設が設けられ,そのウィンドウ102内にプレイヤにより入力されたテキスト情報が表示されるものが知られている。表示画面内にウィンドウ102が設けられるような場合,テキスト情報の入力したプレイヤを判別するため,キャラクタ名(又はプレイヤ名)と,そのキャラクタに対して入力されたテキスト情報が対応してウィンドウ102内に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-301404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,図6に示すように,プレイヤが操作するキャラクタの頭上にテキスト情報が含まれた吹き出し101を表示させることとした場合,プレイヤは,自己の表示画面内に存在するキャラクタに対して入力されたテキスト情報しか読み取ることができない。いわゆるオンラインゲームを提供するサーバには,インターネット回線を通じて,複数のクライアントが接続されており,クライアントのそれぞれについてプレイヤが存在する。一般的に,クライアントの表示画面には,主として,そのプレイヤが操作する自己キャラクタを中心に描画されており,他のプレイヤが操作する他キャラクタは,仮想空間内において自己キャラクタの近くの描画範囲内に存在する場合にのみ,クライアントの表示画面に表示される。従って,自己キャラクタと他キャラクタが,一緒になってゲームをプレイしている場合であっても,他キャラクタが自己キャラクタの近くに存在せず描画範囲の外にいる場合には,自己キャラクタを操作するプレイヤは,他キャラクタを操作する他のプレイヤの発言を見落としてしまうという問題があった。
【0007】
また,図7に示すように,表示画面内にプレイヤ同士の会話が一覧として表示されるウィンドウ102が設けられているような場合,一般的に,そのウィンドウ102内で関連付けられているのは,発言者名と発言内容だけである。このため,ゲームのプレイヤが一度に収集できる情報は極めて少なかった。また,ウィンドウ102は,キャラクタが行動する仮想空間とは別に表示画面に表示されるものであるため,プレイヤは,他のプレイヤが発言する度に,キャラクタが行動する仮想空間から,発言が表示されるウィンドウ102へと視線を移動しなくてはならない。このようにプレイヤの視線移動の振れ幅が大きいため,ゲームの操作性を害するものとなっていた。さらに,表示画面上においては,キャラクタと,そのキャラクタの発言が全く別の領域に表示されるものであるため,キャラクタ自身が発言しているようなリアリティを得ることができないという問題があった。
【0008】
本発明は,上記した従来のチャットシステムの問題点を解決するためになされたものであり,プレイヤが必要とするテキスト情報を,ゲームの操作性を損なわず,かつリアリティのある態様で的確に表示できるチャットシステムを提供することを目的とする。
【0009】
具体的に,本発明は,表示画面内にキャラクタが存在しない場合であってもそのキャラクタに対して入力された発言を見落とすことがなく,キャラクタが行動する仮想空間とプレイヤにより入力された発言を同じ領域に表示することにより,プレイヤの視線の移動を減らし,かつキャラクタ自身が発言しているようなリアリティを維持することのできるチャットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は,基本的には,あるパーティに含まれるキャラクタのキャラクタ情報を表示画面上の所定の位置に表示し,そのキャラクタ情報に隣接させてそのキャラクタに対して入力された発言を表示する。これにより,本発明は,プレイヤが必要とするパーティ内のキャラクタ情報と,そのパーティ内のキャラクタに対して入力された発言を,ゲームの操作性を損なわず,かつリアリティのある態様で的確に表示できる。
【0011】
本発明の第1の側面は,仮想空間内に存在するキャラクタに対して入力装置により入力されたテキスト情報を表示装置に表示することにより,情報通信回線を介して,プレイヤ間におけるテキストでの会話を可能とするコンピュータを用いたチャットシステムに関する。
本発明に係るチャットステムは,パーティ記憶部と,キャラクタ情報表示部と,テキスト情報表示部を含む。
パーティ記憶部は,複数のキャラクタが含まれるパーティに関するパーティ情報を記憶している。ここにいう,パーティとは,キャラクタ同士の集団や徒党を意味する。パーティ情報は,1又は複数のキャラクタIDを関連付けて,パーティ記憶部に記憶されている。
キャラクタ情報表示部は,パーティ記憶部に記憶されているパーティ情報に応じて,パーティに含まれる各キャラクタのキャラクタ情報を表示装置の所定の位置に表示する。ここにいう,キャラクタ情報には,例えば,キャラクタのアイコン,キャラクタの顔画像,キャラクタが使用する武器の画像,名前,その他各種パラメータが含まれる。
テキスト情報表示部は,キャラクタ情報表示部により表示された各キャラクタのキャラクタ情報に隣接させて,そのキャラクタに対して入力されたテキスト情報を表示装置に表示する。
【0012】
このような構成を有することにより,本発明は,プレイヤが必要とするテキスト情報を,ゲームの操作性を損なわず,かつ臨場感のある態様で的確に表示できるチャットシステムを提供することができる。
オンラインチャットゲームにおいて,プレイヤが必要とする情報は,一般的に,自己キャラクタに関する情報と,自分と共にゲームをプレイしている他プレイヤが操作する他キャラクタに関する情報,及び他プレイヤの発言である。本発明においては,パーティに含まれるキャラクタのキャラクタ情報及び入力された発言が,表示装置の所定箇所に表示される。このため,パーティに含まれるキャラクタが,自己キャラクタの近くに存在しない場合であっても,その発言を見落とすことがなくなる。また,本発明においては,キャラクタが行動する仮想空間とプレイヤの発言が,同一の領域に表示されるため,プレイヤの視線移動距離が短くなる。従って,ゲームの操作性が向上する。また,本発明においては,キャラクタ情報と隣接して,プレイヤの発言が表示されるものであるため,あたかもキャラクタ自身が発言しているかのようなリアリティを演出することができる。また,キャラクタがアクティブでない状態,たとえばイベントムービー等を実行している状態では,従来は吹き出しチャットができなかったが,本発明によれば,キャラクタ情報を表示させることで吹き出しチャットが可能となる。
【0013】
本発明におけるキャラクタ情報には,少なくとも,キャラクタのアイコン画像が含まれることが好ましい。アイコン画像の例は,キャラクタの顔画像,キャラクタが使用する武器の画像,その他ゲームのユーザにより設定された画像である。
【0014】
例えば,キャラクタの顔画像に隣接させて,プレイヤの発言を表示させることとすれば,よりそのキャラクタ自身が発言しているようなリアリティを高めることができる。
【0015】
本発明に係るチャットシステムは,キャラクタ情報表示部により表示されるキャラクタ情報及びテキスト情報表示部により表示されるテキスト情報が,表示装置に表示される時間を制御する表示時間制御部を含むことが好ましい。
【0016】
例えば,テキスト情報が,クライアントに入力されてから一定時間だけ表示部に表示されるよう表示時間を制御することにより,テキスト情報が入力されない場合は,表示画面上からテキスト情報が消えるため,よりゲームの操作性を高めることができる。
【0017】
本発明におけるキャラクタ情報表示部は,パーティに含まれる各キャラクタが仮想空間において存在する位置を把握し,そのキャラクタの存在する位置に応じた配列で,キャラクタ情報を表示装置に表示することが好ましい。
【0018】
このような構成を有することにより,本発明は,例えば,どのキャラクタが,自己キャラクタに最も近い位置に存在しているかを一目で判断することができる。また,自己キャラクタに近いキャラクタの発言が,自己キャラクタのキャラクタ情報の近くに表示されるため,ゲームの臨場感が向上する。
【0019】
また,本発明の第2の側面は,仮想空間内に存在するキャラクタに対して入力装置により入力されたテキスト情報を表示装置に表示することにより,情報通信回線を介して,プレイヤ間におけるテキストでの会話を可能とするチャットシステム用プログラムに関する。
本発明に係るチャットステム用プログラムは,コンピュータを,パーティ記憶手段と,キャラクタ情報表示手段と,テキスト表示手段として動作させる。
パーティ記憶手段は,複数のキャラクタが含まれるパーティに関するパーティ情報を記憶するための手段である。
キャラクタ情報表示手段は,パーティ記憶手段によって記憶されているパーティ情報に応じて,パーティに含まれる各キャラクタのキャラクタ情報を表示装置の所定の位置に表示するための手段である。
テキスト表示手段は,キャラクタ情報表示手段により表示された各キャラクタのキャラクタ情報に隣接させて,そのキャラクタに対して入力されたテキスト情報を表示装置に表示するための手段である。
【0020】
また,本発明の第3の側面は,本発明の第2の側面に係るチャットシステム用プログラムを格納した,コンピュータが読み取り可能な情報記録媒体である。
【発明の効果】
【0021】
上記した構成を有することにより,本発明は,プレイヤが必要とするテキスト情報を,ゲームの操作性を損なわず,かつリアリティのある態様で的確に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は,本発明に係るチャットシステムのブロック図である
【図2】図2は,本発明におけるクライアントのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は,本発明に係るチャットシステムのブロック図である。
【図4】図4は,本発明の第1の実施例を説明するための図である。
【図5】図5は,本発明の第2の実施例を説明するための図である。
【図6】図6は,従来のチャットシステムを説明するための図である。
【図7】図7は,従来のチャットシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下,発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する実施態
様に限定されるものではない。本発明は,以下に説明する実施態様から当業者に自明な範
囲で適宜修正される範囲を含む。
【0024】
図1は,本発明に係るチャットシステム1を実現するためのシステムのブロック図である。図1に示されるとおり,本発明のシステム1は,サーバ2及びクライアント3を含む。サーバ2は,インターネットなどの通信回線を介して,複数のクライアント3と接続されている。サーバ2は,ゲーム提供サーバであり,通信回線を介して,クライアント3に対してゲームプログラムをダウンロード又はストリーミング配信を行なう。クライアント3には,サーバ2からゲームプログラムをダウンロード又はストリーミング配信するためのプログラムが格納されている。サーバ2は,複数存在していてもよい。
【0025】
サーバ2は,図1に示すように,入出力部21,制御部22,演算部23,及び記憶部24を有し,それらの要素はバス25などで接続されており,情報の授受を行うことができるようにされている。本実施態様においては,例えば,サーバの制御部22,演算部23,記憶部24の作業空間は,図3に示すパーティ記憶部11,キャラクタ情報表示部12,テキスト情報表示部13,及び表示時間制御部14として機能する。すなわち,入出力部11から所定の情報が入力されると,制御部12は,記憶部14のメインメモリに格納されている制御プログラムを読み出す。そして,制御部12は,制御プログラムの指令に従って,適宜記憶部14に記憶されたデータを読み出し,演算部13にて所定の演算を行う。そして,演算結果を記憶部14に一時的に記憶して,入出力部11から情報を出力する。
【0026】
図2は,クライアント3のハードウェア構成例を示すブロック図である。クライアント3は,入力装置31,CPU32,演算装置33,記憶装置34及び画像処理ブロック35を有する。そして,各要素はバス36により情報の授受ができるように接続されている。また,このチャットシステムは,バス36を介してインターフェース(I/F)37と接続されている。このため,例えばこのチャットシステムは,I/F37を介して,プログラムを格納した情報記録媒体38と接続することができる。この情報記録媒体38に格納されているプログラムは,コンピュータや画像処理装置を,所定の手段として機能させるためのものである。また,このプログラムは,コンピュータや画像処理装置に所定のステップを実行させるためのものである。なお,I/F37を介して接続されるメモリが,記憶装置24の全部又は一部として機能してもよい。
【0027】
画像処理ブロック35は,グラフィック処理ユニット(GPU)39及びビデオRAM(VRAM)40を有する。そして,GPU39及びVRAM40は,情報の授受を行うことができるように接続されている。図中符号41は表示装置(モニタ)を示し,符号42はスピーカを示す。
【0028】
本実施態様においては,例えば,クライアントのCPU32,演算装置33,記憶装置34の作業空間,及び情報記録媒体38に格納されたゲーム用プログラムは,図3に示すパーティ記憶部11,キャラクタ情報表示部12,テキスト情報表示部13,及び表示時間制御部14として機能する。入力装置31から操作情報が入力された場合,操作情報はバス36を介してCPU32へ伝えられる。すると,CPU32は,情報記録媒体38に格納されるプログラムを読出し,所定の処理を行う。CPU32は,プログラムからの指令に従って,記憶装置34や情報記録媒体38に記憶される各種情報を読出し,演算装置33において所定の演算を行う。CPU32は,演算結果を適宜記憶装置34に記憶し,演算結果を用いてモニタ41やスピーカ42から適切な情報を出力する。
【0029】
図3は,本発明に係るチャットシステムのブロック図である。本チャットシステムは,ゲーム上の仮想空間内に存在するキャラクタに対して,クライアントの入力装置により入力されたテキスト情報を,それぞれのクライアントの表示装置に表示することにより,ゲームのプレイヤ間におけるテキストでの会話を可能とするコンピュータを用いたチャットシステムである。本発明に係るチャットステムは,パーティ記憶部11と,キャラクタ情報表示部12と,テキスト情報表示部13と,表示時間制御部14を含む。これらの各要素は,バス15を介して情報の授受が可能なように接続されている。なお,これらの要素は,チャットシステムを構成するサーバ2又はクライアント3のいずれかによって達成されればよい。
【0030】
パーティ記憶部11は,複数のキャラクタが含まれるパーティに関するパーティ情報を記憶している。キャラクタは,画像処理部により生成されクライアント3のモニタに表示される。キャラクタは,各クライアントの入力装置によって入力操作され,チャットゲームの仮想空間内において行動する。また,パーティとは,キャラクタ同士の集団や徒党を意味し,キャラクタを操作するプレイヤは,任意に,他プレイヤを集めてパーティを構成することができる。なお,コンピュータにおける処理のうえでは,パーティを,1のキャラクタによって構成することも可能である。また,パーティを構成するキャラクタ数は,ゲームの進行に応じ,適宜増減させることもできる。パーティ情報は,パーティに含まれる1又は複数のキャラクタIDやプレイヤIDを関連付けて,パーティ記憶部11に記憶されている。
【0031】
本発明に係るチャットシステムは,別途,キャラクタIDやプレイヤIDを記憶するための記憶部を有していてもよい。一般的なチャットシステムにおいては,ID情報を複数記憶できる。会員制ウェブサイトと関連したチャットシステムである場合は,そのウェブサイトの会員番号をID情報として用いてもよい。また,例えば,入会順に割り振られるID情報を用いてもよい。この場合,一般的に,サーバのデータベースの一部がID情報記憶部して機能する。また,チャットシステムが,カードゲーム方式であり,専用のカードを利用するものである場合は,プレイヤIDやキャラクタIDを示すカードに割り当てられたID情報を用いてもよい。
【0032】
キャラクタ情報表示部12は,パーティ記憶部11に記憶されているパーティ情報に応じて,そのパーティに含まれる各キャラクタのキャラクタ情報を表示装置の所定の位置に表示する。すなわち,あるクライアントのモニタの所定の位置には,そのクライアントによって入力操作される自己キャラクタのキャラクタ情報と,自己キャラクタとパーティを構成する他キャラクタのキャラクタ情報が表示されている。キャラクタ情報は,クライアントの表示装置に表示されるゲーム上の仮想空間と同じ領域に表示されるものである。キャラクタ情報は,クライアントの表示装置に表示されるゲーム上の仮想空間内に存在するとキャラクタやオブジェクトに重畳して表示されるものであってもよい。また,キャラクタ情報は,キャラクタがアクティブでない状態,例えばイベントムービーを実行している状態においても,表示画面上に表示させることとしてもよい。キャラクタ情報は,一般的には,ゲーム上のキャラクタのパラメータを示すものであり,ゲームを進行するうえでプレイヤに参照されるものである。従って,キャラクタ情報は,プレイヤによるゲームの操作性の妨げとならないよう,例えば,表示画面の右下端,右上端,左下端,又は左上端などの一定の画面上の固定された位置に表示される。なお,パーティ内のキャラクタ情報は,あるクライアントの表示画面上に,他のプレイヤのキャラクタが存在していなくても,他のプレイヤがゲームをプレイ中である限り,クライアントの表示画面上に表示され続ける。
【0033】
また,表示画面に表示されるキャラクタ情報には,例えば,キャラクタのアイコン,キャラクタの顔画像,キャラクタが使用する武器の画像,名前,レベル,職業,ヒットポイント,プレイヤの状況(チャット参加中か否か等),その他各種パラメータが含まれる。特に,キャラクタ情報として,そのキャラクタの顔画像が表示されることが好ましい。後述するように,キャラクタのキャラクタ情報に隣接してテキスト情報(発言)が表示されるものであるため,キャラクタの顔画像を表示することにより,あたかもキャラクタの顔画像が発言したかのように演出することができる。
【0034】
また,キャラクタ情報表示部12は,仮想空間内において,パーティに含まれるキャラクタが存在する位置を把握し,各キャラクタの存在する位置に応じた配列で,キャラクタ情報を表示装置に表示する。例えば,各クライアントは,そのクライアントを介して操作している自己キャラクタと,他のクライアントを介して操作されている他キャラクタの,ゲーム空間内における位置を把握し,自己キャラクタと他キャラクタの距離を演算したうえで,自己キャラクタに近い順に,他キャラクタのキャラクタ情報を配列して表示する。また,キャラクタ情報表示部12は,例えば,パーティに含まれるキャラクタが,仮想空間内における所定位置(例えば,ゲーム進行上のスタートやゴールに相当する位置)に近い順に,キャラクタ情報を配列して表示する。
【0035】
テキスト情報表示部13は,キャラクタ情報表示部により表示された各キャラクタのキャラクタ情報に隣接させて,そのキャラクタに対して入力されたテキスト情報を表示装置に表示する。すなわち,テキスト情報表示部13は,各クライアントの入力装置(キーボード等)によって入力されたテキスト情報を,そのクライアントの表示画面,及びインターネット回線を介して接続されている他のクライアントの表示画面に表示させる。
【0036】
特に,テキスト情報表示部13は,各クライアントの入力装置に入力されたテキスト情報のうち,パーティ関係にあるクライアントに入力されたテキスト情報については,キャラクタ情報と隣接させて表示する。テキスト情報が表示される位置は,キャラクタ情報に隣接する位置であればよい。テキスト情報は,キャラクタ情報に隣接するものであるため,テキスト情報とキャラクタ情報の間には,他の情報を表示する画像は表示されない。また,テキスト情報表示部13は,キャラクタがアクティブでない状態,例えばイベントムービーを実行している状態であっても,キャラクタ情報に隣接させて,表示画面上にテキスト情報を表示することとしてもよい。従来は,仮想空間内に存在するキャラクタの頭上にテキスト情報を表示させるものであったため,表示画面にイベントムービーが再生されている間は,ユーザ間の吹き出しチャットを行うことができなかったが,本発明においては,イベントムービー中であってもキャラクタ情報を表示させ続けることで,イベントムービーの再生中であってもユーザ同士の吹き出しチャットが可能となる。
【0037】
一方,テキスト情報表示部13は,各クライアントの入力装置に入力されたテキスト情報のうち,パーティ関係にないクライアントに入力されたテキスト情報については,キャラクタ情報と隣接させて表示しない。パーティに含まれないキャラクタに対して入力されたテキスト情報については,仮想空間においてそのキャラクタが存在する位置を把握し,そのキャラクタの頭上に表示することが好ましい。このように,パーティに含まれるキャラクタに対して入力された発言の表示態様と,パーティに含まれないキャラクタに対して入力された発言の表示態様を異ならせることにより,プレイヤは直感的に必要な情報だけを収集することができる。
【0038】
表示時間制御部14は,キャラクタ情報表示部12により表示されるキャラクタ情報及びテキスト情報表示部13により表示されるテキスト情報が,表示装置に表示される時間を制御する。表示時間制御部14は,キャラクタ情報表示部12により表示されるキャラクタ情報の表示時間と,テキスト情報表示部13により表示されるテキスト情報の表示時間を別途制御する。従って,キャラクタ情報が表示される時間とテキスト情報が表示される時間は,同じであってもよいし,異なるものであってもよい。特に,テキスト情報表示部13により表示されるテキスト情報は,常時表示続けるとゲームの操作性を損なう恐れがあるため,テキスト情報がクライアントに対して入力されてから一定時間を経過した場合には,表示画面上から消えることが好ましい。表示時間制御部14は,クライアントの入力装置にテキスト情報が入力されると,サーバ又はクライアントのタイマ回路を利用して所定時間の計測を開始する。そして,所定時間の計測が終了すると,表示時間制御部14は,キャラクタ情報表示部12及びテキスト情報表示部13に対して,情報の表示を止めるように命令を伝える。表示時間制御部14によって計測される時間は,例えば,1秒〜60秒,10秒〜50秒,20秒〜40秒,又は30秒である。
【0039】
次に,上記構成を有する本発明に係るチャットシステムの基本的な動作例について説明する。本発明に係るチャットシステム1においては,クライアント3の入力装置31にテキスト情報が入力されると,入力されたテキスト情報は,インターネット回線を通じて,サーバ2に送信され,サーバ2の記憶部24に一時的に記憶される。テキスト情報を受信したクライアント2は,パーティ記憶部11からパーティ情報を取得する。サーバ2は,パーティ記憶部11から取得したパーティ情報に基づいて,テキスト情報が入力されたクライアント3とパーティ関係にある他のクライアント3を特定する。そして,サーバ2は,記憶部24に一時記憶したテキスト情報を読み出し,パーティ情報に基づいて,パーティ関係にある各クライアント3に対して,テキスト情報を送信する。このとき,各クライアント3の表示画面上には,キャラクタ情報表示部12によってパーティに含まれるキャラクタのキャラクタ情報が表示されている。そして,サーバ1によって各クライント3対し送信されたテキスト情報は,テキスト情報表示部13により,クライアント3の表示画面上に表示されているキャラク情報に隣接して表示される。
【実施例1】
【0040】
以下,図4を参照して,本発明の第1の実施例について説明する。本発明の第1の実施例は,インターネット回線を通じてプレイヤ同士のチャットが可能なオンラインゲームである。第1の実施例においては,図4に示すように,キャラクタA(キャラA)を操作するクライアントのモニタ上に,キャラクタB(キャラB),キャラクタ(キャラC),及びキャラクタD(キャラD)が表示されている。なお,本実施例のオンラインゲームでは,操作キャラクタの背後からの視点に映る仮想空間に存在するオブジェクトやキャラクタの画像を生成して表示するものである。
【0041】
本実施例においては,キャラAが操作キャラクタであり,キャラAは,キャラB及びキャラCをパーティ51を構成している。従って,表示画面の右下端には,キャラA,キャラB,及びキャラCのキャラクタ情報52が表示されている。キャラクタ情報には,キャラA,キャラB,及びキャラCの顔画像53が含まれている。一方,キャラDは操作キャラクタであるキャラAとパーティを構成していないため,キャラDのキャラクタ情報は,画面上には表示されていない。
【0042】
ここで,本実施例においては,パーティに含まれるキャラクタのうち,操作キャラクタであるキャラAの位置に最も近いキャラクタは,キャラBである。そして,キャラBの次に操作キャラクタであるキャラAに近いキャラクタは,キャラBである。ここで,キャラクタ情報表示部12は,パーティに含まれるキャラクタの仮想空間内における位置関係を把握し,操作キャラクタからの距離が近い順に,キャラクタ情報を右下端に表示する。従って,本実施例においては,パーティ51のキャラクタ情報52は,最上段にキャラA,中段にキャラB,最下段にキャラCのものが表示されている。
【0043】
そして,パーティに含まれる各キャラクタを操作するクライアントの入力装置を介して入力されたテキスト情報(発言)54は,キャラクタ情報の左隣にポップアップ表示されている。本実施例においては,発言54は,各クライアントの入力装置に入力された後,20秒間表示画面上に表示され続ける。そして,発言54は,入力されてから20秒が経過した後に,表示画面上から消えるよう設定されている。一方,キャラDはパーティ51に含まれていないため,キャラDを操作するクライアントにテキスト情報が入力された場合であっても,表示画面の右下端には表示されない。ただし,キャラDに対して入力された発言55は,キャラDの頭上にポップアップ表示される。
【実施例2】
【0044】
以下,図5を参照して,本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例は,第1の実施例と同様にインターネット回線を通じてプレイヤ同士のチャットが可能なオンラインゲームである。第2の実施例は,第1の実施例と異なり,キャラBが,キャラAを操作するクライントのモニタに表示されていない。ただし,キャラBは,キャラAの背後からの視点に映る仮想空間内には存在しないだけであり,オンラインゲーム上の仮想空間内には存在している。本実施例においても,キャラA,キャラB,及びキャラCはパーティ51を構成している。従って,キャラB自体は,キャラAを操作するクライントのモニタに表示されていないが,キャラBを操作するクライアントにテキスト情報が入力されれば,キャラBに対して入力された発言54がモニタに表示される。
【0045】
また,第2の実施例では第1の実施例と異なり,仮想空間内におけるキャラクタの位置に応じた配列でキャラクタ情報が表示されるだけでなく,仮想空間内におけるキャラクタの位置関係に応じて,表示される発言54の大きさが変化する。つまり,テキスト情報表示部13は,パーティに含まれる各キャラクタの仮想空間内における位置を把握し,各キャラクタ間の距離を特定した上で,各キャラクタ同士の距離に関する情報に基づいて,表示するテキスト情報の大きさを決定する。例えば,キャラクタ同士の距離が仮想空間において20m離れている場合には,テキスト情報は通常の大きさの80%の大きさで表示され,キャラクタ同士の距離が80m離れている場合には,テキスト情報は通常の大きさの20%の大きさで表示される。従って,例えば,パーティに含まれるキャラクタ同士の距離が近づくにつれてテキスト情報は大きく表示され,キャラクタ同士の距離が遠のくにつれてテキスト情報は小さく表示される。第2の実施例においては,操作キャラクタであるキャラAと,他のキャラクタであるキャラCの距離は,10m離れているため,キャラAを操作するクライアントのモニタ上では,キャラCの発言が通常の大きさ(キャラAの発言の大きさ)の90%の大きさで表示されている。また,操作キャラクタであるキャラAと,他のキャラクタであるキャラBの距離は,40m離れているため,キャラAを操作するクライアントのモニタ上では,キャラBの発言が通常の大きさの60%で表示されている。このように,キャラクタ同士の距離に応じて,テキスト情報の大きさを変えることにより,チャットゲームに,キャラクタ同士の距離が遠いと発言が読み取りにくくなるようなリアリティを持たせることができる。これによりゲームの嗜好性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は,ゲーム産業,及びソフトウェアの産業において好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0047】
1 チャットシステム
2 サーバ
3 クライアント
11 パーティ記憶部
12 キャラクタ情報表示部
13 テキスト情報表示部
14 表示時間制御部
21 入出力部
22 演算部
23 制御部
24 記憶部
25 バス
31 入力装置
32 CPU
33 演算装置
34 記憶装置
35 画像処理ブロック
36 バス
37 I/F
38 情報記録媒体
39 GPU
40 VRAM
41 表示画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内に存在するキャラクタに対して入力装置により入力されたテキスト情報を表示装置に表示することにより,情報通信回線を介して,プレイヤ間におけるテキストでの会話を可能とするコンピュータを用いたチャットシステムであって,
複数のキャラクタが含まれるパーティに関するパーティ情報を記憶するパーティ記憶部と,
前記パーティ記憶部に記憶されているパーティ情報に応じて,前記パーティに含まれる各キャラクタのキャラクタ情報を前記表示装置の所定の位置に表示するためのキャラクタ情報表示部と,
前記キャラクタ情報表示部により表示された前記各キャラクタのキャラクタ情報に隣接させて,そのキャラクタに対して入力されたテキスト情報を前記表示装置に表示するためのテキスト情報表示部を含む
チャットシステム。

【請求項2】
前記キャラクタ情報には,少なくとも,前記キャラクタのアイコン画像が含まれる
請求項1に記載のチャットシステム。


【請求項3】
前記キャラクタ情報表示部により表示される前記キャラクタ情報及び前記テキスト情報表示部により表示されるテキスト情報が,前記表示装置に表示される時間を制御する表示時間制御部を,さらに含む
請求項1に記載のチャットシステム。

【請求項4】
前記キャラクタ情報表示部は,仮想空間内におけるキャラクタの存在する位置を把握し,前記キャラクタの存在する位置に応じた配列で,前記キャラクタ情報を前記表示装置に表示する
請求項1に記載のチャットシステム。

【請求項5】
仮想空間内に存在するキャラクタに対して入力装置により入力されたテキスト情報を表示装置に表示することにより,情報通信回線を介して,プレイヤ間におけるテキストでの会話を可能とするチャットシステム用プログラムであって,
コンピュータを,
複数のキャラクタが含まれるパーティに関するパーティ情報を記憶するパーティ記憶手段と,
前記パーティ記憶手段よって記憶されているパーティ情報に応じて,前記パーティに含まれる各キャラクタのキャラクタ情報を前記表示装置の所定の位置に表示するためのキャラクタ情報表示手段と,
前記キャラクタ情報表示手段により表示された前記各キャラクタのキャラクタ情報に隣接させて,そのキャラクタに対して入力されたテキスト情報を前記表示装置に表示するためのテキスト表示手段として動作させる
プログラム。

【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な情報記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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