説明

パーマ液で軟化する毛髪の軟化度合を示す指標体

【課題】 第一剤で軟化した毛髪の軟化度合や伸び率の感触を定量化,定形化することにより、パーマネントウェーブ施術経験の少ない者であっても、毛髪の軟化度合や伸び率を自分の手で感触により実感することができる毛髪ではない指標体を提供すること。
【解決手段】 1〜9段階に分けられたパーマ液第一剤による毛髪の軟化度合を、ゴム硬度5〜80の硬度が異なる9本のゴム紐に対応させて毛髪の各軟化度合を示す指標体1〜9を形成し、各ゴム紐の指標体1〜9を手で引張り伸ばすことにより、前記1〜9段階の軟化度合にある毛髪の感触と伸びが得られるようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマネントウェーブに使用するパーマ液の毛髪に対する軟化の度合を、硬度の異なる紐状ゴムを利用して表現し、毛髪の軟化度合,伸び率,そのときの感触を、当該紐状ゴム体を引張って伸ばすことによりパーマネントウェーブの施術に関与する者が、予め手の感触で知ることができるようにしたパーマ液で軟化する毛髪の軟化度合を示す指標体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパーマネントウェーブでは、例えば、チオグリコール塩酸やシステーンなどの環元剤を主成分とする水溶液の第一剤(ウェーブ剤)を毛髪に塗布することにより、毛髪のタンパク質ケラチン相互のジスフィルド結合とイオン結合を一旦開鎖して毛髪の弾性を減少させると共に可逆性を持たせて賦形性を付与し、毛髪に所望のウェーブを付けて、臭素酸塩又は過酸化水素水等の第二剤によって前記タンパク質ケラチン分子の長鎖間相互を再結合させて毛髪に弾性を回復させて保形性を確保するようになっている。
【0003】
上記のパーマネントウェーブにおいて、第一剤をどの程度使用して毛髪び弾性を減少させるか、つまりどの程度毛髪を軟化させるかは、パーマネントウェーブの施術を受ける各人の毛髪の太さや硬さなどの質によって、或は、施術しようとするウェーブの形態などによって、千差万別である。
【0004】
また、所望する毛髪の軟化度合は、パーマネントウェーブ施術者としての経験や熟練によって、そのつどいわば熟練職人の勘により判断でされている。
【0005】
しかし、第一剤による毛髪の軟化度合の判断は、経験豊富な施術者といえども、結局はその人の勘による判断であるから、それなりのバラつきもあり得る。
それゆえ、パーマネントウェーブ施術の経験が少ない見習い美容師のような者では、第一液による毛髪の軟化度合の判断が、見本となるものがないため、本人が経験を積んで熟練施術者になるしかないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発明者は、パーマネントウェーブ施術における第一剤による毛髪の軟化度合の判断の上記のような現状に鑑み、第一剤で軟化した毛髪の軟化度合や伸び率の感触を定量化,定形化することにより、パーマネントウェーブ施術経験の少ない者であっても、毛髪の軟化度合や伸び率を自分の手で感触により実感することができる毛髪ではない指標体を提供することを課題として、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明指標体の構成は、1〜9段階に分けられたパーマ液第一剤による毛髪の軟化度合を、ゴム硬度5〜80の硬度が異なる9本のゴム紐に対応させて毛髪の各軟化度合を示す指標体を形成し、各ゴム紐の指標体を手で引張り伸ばすことにより、前記1〜9段階の軟化度合にある毛髪の感触と伸びが得られるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
各ゴム紐指標体は、プレート上に並べて一端を固定することにより、1〜9段階の毛髪軟化度合を示す指標チャートに形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、1〜9段階に分けられたパーマ液第一剤による毛髪の軟化度合を、ゴム硬度5〜80の硬度が異なる9本のゴム紐に対応させて指標体を形成し、各ゴム紐の指標体を手で引張り伸ばすことにより、前記1〜9段階の軟化度合にある毛髪の感触が得られるようにしたから、第一液で軟化した毛髪の軟化度合や伸び率の感触を定量化,定形化でき、従って、パーマネントウェーブ施術の均質化を図ることができる。また、施術経験の少ない者でもベテラン施術者と同様のパーマネントウェーブ施術が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明指標体の実施の形態例について、図を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明指標体であるゴム硬度が9段階のゴム紐(指標体1〜9)9本を、スケール20a付きの長方形のプレート20の一側に、各指標体1〜9のそれぞれの一端を固定1a〜9aすることにより、毛髪のパーマ液第一剤による9段階の軟化度合に対応させた本発明指標体を指標体チャートに形成した例を平面形態で示した図である。なお、固定1a〜9aは、各指標体1〜9のゴム紐を着脱可能に固定できる構成であってもよい。
【0012】
本発明で指標体1〜9に使用するゴム紐は、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、或は、信越化学工業社製のJISK6253に準拠したゴム硬度が5,10,20,30,40,50,60,70,80の各硬度を有するシリコンゴムである。そして、前記各硬度のゴムを後に述べる紐状に成形して第一剤による毛髪の9段階の軟化度合を示す各指標体1〜9を形成した。各ゴム硬度のゴム紐と毛髪の9段階の軟化度合の関係は、本発明の発明者が、パーマネントウェーブの熟練施術者としての実績と経験に基づいて関連付けた。
【0013】
ここで、9段階の軟化度合を示す各指標体1〜9となる各ゴム紐は、2〜3mm角の角断面形状または2〜3mm直径の丸断面形状で、長さが約25cm〜30cm程度に形成されている。なお、各指標体1〜9の前記ゴム紐の太さや断面形状、或は、長さは、上記数値に限られるものではない。
【0014】
上記のように各硬度のゴム紐で形成された軟化度合の9段階を表わす指標体1〜9は、一例として、それぞれの一端をプレート20等に固定1a〜9aしてチャート化することができる。なお、各ゴム紐、またはその脇には、毛髪の9段階の軟化度合を示す表示1b〜9bが設けられている。
【0015】
パーマネントウェブの施術者は、施術しようとする毛髪に施す所望の軟化度を予め手の感触で確認するため、当該軟化度に対応したゴム紐を前記指標体1〜9の中から選択して当該ゴム紐の他端側に手を触れ、かつ、その手でゴム紐で引張る。そうすると硬度5のゴム紐は軟化度9の毛髪、硬度10のゴム紐は軟化度8の毛髪といった具合にして、硬度20のゴム紐は軟化度7、硬度30のゴム紐は軟化度6、硬度40のゴム紐は軟化度5、硬度50のゴム紐は軟化度4、硬度60のゴム紐は軟化度3、硬度70のゴム紐は軟化度2、硬度80のゴム紐は軟化度1の、それぞれの毛髪の軟化度合を示す感触と伸びを示すので、毛髪に施すパーマネントウェーブの所望の軟化度を予め手の感触で知ることができることとなる。
【0016】
本発明における前記各ゴム紐による指標体1〜9は、上記例のようにプレート20に取付けた態様ではなく、各指標体1〜9をバラの状態で例えばトレー上に置いておき、第一剤で軟化させたい毛髪の軟化度合の感触見本乃至標本として前記指標体1〜9のいずれかを手に取って引張ることにより、予め伸び具合や軟らかさなどの感触を知る使い方もある。
また、例えば筒状の支持体の上部周上に9本の指標体1〜9を垂下して取付け、当該筒状支持体をスタンドなどに回転自在に支持しておく使用態様もある。いずれの場合も、各指標体1〜9には毛髪の軟化度合の段階を示すラベルなどを付けておくとよい。
【0017】
上記のように、パーマネントウェーブを施術しようとする者は、被施術者の毛髪を第一剤で所望の軟化度合にしたいとき、当該所望の軟化度合を示す指標体1〜9のいずれかのゴム紐を自分の手で触って引張れば、実際の毛髪の軟化度合の感触,伸びを、そのゴム紐(指標体1〜9のいずれか)によって施術の前に体得することができる。
【0018】
施術者は、実際の毛髪にパーマネントウェーブ剤を塗る前に、その毛髪に施したい軟化度合を、対応した軟化度合を示すゴム紐による指標体1〜9のいずれかによって軟化度合の感触を予め得ているので、繰返して均質なパーマネントウェーブ施術が可能になり、また、経験の浅い施術者であってもベテラン施術者に劣らないパーマネントウェーブ施術が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は以上の通りであって、1〜9段階に分けられたパーマ液第一剤による毛髪の軟化度合を、ゴム硬度5〜80の硬度が異なる9本のゴム紐に対応させて毛髪の各軟化度合を示す指標体を形成し、各ゴム紐の指標体を手で引張り伸ばすことにより、前記1〜9段階の軟化度合にある毛髪の感触と伸びが得られるようにしたから、熟練施術者,経験の浅い施術者のいずれであっても任意の軟化度合による均質なパーマネントウェーブの施術を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の指標体チャートの平面図。
【符号の説明】
【0021】
1〜9 指標体(硬度が異なるゴム紐)
1a〜9a 固定
1b〜9b 毛髪の軟化度合の表示
20 プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜9段階に分けられたパーマ液第一剤による毛髪の軟化度合を、ゴム硬度5〜80の硬度が異なる9本のゴム紐に対応させて毛髪の各軟化度合を示す指標体を形成し、各ゴム紐の指標体を手で引張り伸ばすことにより、前記1〜9段階の軟化度合にある毛髪の感触と伸びが得られるようにしたことを特徴とするパーマ液で軟化する毛髪の軟化度合を示す指標体。
【請求項2】
各ゴム紐指標体は、プレート上に並べて一端を固定することにより、1〜9段階の毛髪軟化度合を示す指標チャートに形成した請求項1のパーマ液で軟化する毛髪の軟化度合を示す指標体。

【図1】
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