説明

ヒスタミンH3受容体モジュレーターの調製プロセス

本発明は、処置(例えば認知障害、睡眠障害及び/又は精神障害の処置)において、ヒスタミンH3受容体モジュレーターを調製するための新規プロセスを目的とする。式(I)。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/161177号(2009年3月18日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、処置(例えば、認知障害、睡眠障害及び/又は精神障害の処置)において、ヒスタミンH3受容体モジュレーターを調製するための新規プロセスを目的とする。
【背景技術】
【0003】
ヒスタミンH3受容体は、中枢神経系(CNS)でヒスタミンの合成及び放出を制御するシナプス前性の自己受容体としてまず記載された(ARRANG,J.−M.ら、「Auto−inhibition of brain histamine release mediated by a novel class(H3)of histamine receptor」,Nature,1983,pp 832〜837,vol.302)。ヒスタミンH3受容体は、主に哺乳類の中枢神経系(CNS)に発現し、周辺組織、例えば血管平滑筋などの一部では発現は最小である。
【0004】
したがって、ヒスタミンH3拮抗薬及び逆作動薬のいくつかの指標は、動物薬理学及び既知のヒスタミンH3拮抗薬(例えば、チオペラミド)を用いた他の実験に基づいて提案されている。(次の文献を参照のこと:KRAUSE,M.ら、「The Histamine H3 Receptor−A Target for New Drugs」、Leurs,R.ら(編集)、Elsevier,1998,pp 175〜196及びpp 197〜222;MORISSET,S.ら、「High constitutive activity of native H3 receptors regulates histamine neurons in brain」、Nature,2000,pp 860〜864,vol.408)これらは、認知障害、睡眠障害、精神障害、及びその他の疾患などの状態を含む。
【0005】
例えば、ヒスタミンH3拮抗薬は、上記に記載したような、睡眠障害(例えば、睡眠異常(sleep disturbances)、疲労、及び昏睡)及び認知障害(difficulties)(例えば、記憶障害及び集中力障害)を含む、いくつかの主要なうつ病の症状に関連する薬理活性を有することを示してきた。総括については、次の文献を参照のこと:BONAVENTURE,P.ら、「Histamine H3 receptor antagonists:From target identification to drug leads」Biochem.Pharm.,2007,pp 1084〜1096,vol.73;and LETAVIC,M.A.ら、「5 Recent Medicinal Chemistry of the Histamine H3 receptor」,Prog.Med.Chem.,2006,pp 181〜206,vol.44。好ましい製薬学的特性を有する、効力のあるヒスタミンH3受容体モジュレーターが、依然として求められている。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0281923(A1)号(2007年12月6日公開)において、Keith,J.M.らは、ピリジルアミド化合物、これらの化合物の製造方法、これらの化合物を含有する製薬学的組成物、並びにヒスタミンH3受容体により介在される病態、疾患及び状態の処置にこれらの化合物を使用する方法を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第2009/0131415(A1)号(2009年5月17日)において、Letavic,M.らは、シクロアルキルオキシピリジン化合物及びヘテロシクロアルキルオキシピリジン化合物、これらの化合物の製造方法、これらの化合物を含有する製薬学的組成物、並びにヒスタミンH3受容体により介在される病態、疾患及び状態の処置にこれらの化合物を使用する方法を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の式(I)の化合物、製薬上許容され得る塩、又は製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスを目的とし、
【0009】
【化1】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは1〜2の整数であり;
2は−OCHR34及び−Z−Arからなる群から選択され;
3は水素であり、R4はC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環であり;C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
あるいは、R3及びR4は結合している炭素原子と一緒になってC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環を形成し;C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
ZはS及びOからなる群から選択され;
Arはフェニル又はヘテロアリールであり;フェニル又はヘテロアリールは、未置換であるか又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換され;各R5置換基はハロゲン、−C1〜4アルキル、−OH、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−CN、−CONRab、及び−NO2からなる群から独立して選択され;Ra及びRbはそれぞれ独立して−H又は−C1〜4アルキルであり;
【0010】
【化2】

プロセスは、有機溶媒中で、塩基の存在下で式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて、対応する式(VII)の化合物を生成させることであって、LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である、式(VII)の化合物を生成させることと;
【0011】
【化3】

有機溶媒中で、還元剤の存在下で式(VII)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(X)の化合物を生成させることと;
【0012】
【化4】

有機溶媒中で、第1無機塩基の存在下で式(X)の化合物を式(XII)の化合物と反応させて、あるいは
有機溶媒中で、第2無機塩基の存在下で式(X)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、
対応する式(I)の化合物を生成させることと、を含む。
【0013】
本発明は、次の式(I−E)の化合物、製薬上許容され得る塩、又は製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスを目的とし、
【0014】
【化5】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは2であり;
2は−OCHR34及び−Z−Arからなる群から選択され;
3は水素であり、R4はC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環であり;C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
あるいは、R3及びR4は結合している炭素原子と一緒になってC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環を形成し;C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
ZはS及びOからなる群から選択され;
Arはフェニル又はヘテロアリールであり;フェニル又はヘテロアリールは、未置換であるか又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換され;各R5置換基はハロゲン、−C1〜4アルキル、−OH、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−CN、−CONRab、及び−NO2からなる群から独立して選択され;Ra及びRbはそれぞれ独立して−H又は−C1〜4アルキルであり;
【0015】
【化6】

プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で、式(V−S)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(IX)の化合物を生成させることと;
【0016】
【化7】

未希釈で、水中又は水性有機溶媒中で、式(IX)の化合物を還元剤と反応させて、対応する式(XI)の化合物を生成させることと;
【0017】
【化8】

有機溶媒中で、式(XI)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて(LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である)、
あるいは、水と有機溶媒との混合物中あるいは溶媒又は溶媒の混合物中で、塩基の存在下で式(XI)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて(LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である)、
対応する式(X−E)の化合物を生成させることと;
【0018】
【化9】

有機溶媒中で、第1無機塩基の存在下で式(X−E)の化合物を式(XII)の化合物と反応させて、あるいは
有機溶媒中で、第2無機塩基の存在下で式(X−E)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、
対応する式(I−E)の化合物を生成させることと、を含む。
【0019】
本発明は、次の式(I−E)の化合物、製薬上許容され得る塩、又は製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスを目的とし、
【0020】
【化10】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは2であり;
2は−OCHR34及び−Z−Arからなる群から選択され;
3は水素であり、R4はC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環であり;C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
あるいは、R3及びR4は結合している炭素原子と一緒になってC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環を形成し;C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
ZはS及びOからなる群から選択され;
Arはフェニル又はヘテロアリールであり;フェニル又はヘテロアリールは、未置換であるか又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換され;各R5置換基はハロゲン、−C1〜4アルキル、−OH、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−CN、−CONRab、及び−NO2からなる群から独立して選択され;Ra及びRbはそれぞれ独立して−H又は−C1〜4アルキルであり;
【0021】
【化11】

プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で、式(V−S)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(IX)の化合物を生成させることと;
【0022】
【化12】

有機溶媒中で、還元剤の存在下で式(IX)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて、対応する式(X−E)の化合物を生成させることであって、LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である、式(X−E)の化合物を生成させることと;
【0023】
【化13】

有機溶媒中で、第1無機塩基の存在下で式(X−E)の化合物を式(XII)の化合物と反応させて、あるいは;
有機溶媒中で、第2無機塩基の存在下で式(X−E)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、
対応する式(I−E)の化合物を生成させることと、を含む。
【0024】
一実施形態では、本発明は、本明細書においてより詳細に記載されるように、(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノンとしても既知である、式(I−A)の化合物、
【0025】
【化14】

製薬上許容され得る塩、又は製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の、調製プロセスを目的とする。
【0026】
他の実施形態では、本発明は、本明細書においてより詳細に記載されるように、3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリルとしても既知である、式(I−B)の化合物、
【0027】
【化15】

製薬上許容され得る塩、又は製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスを目的とする。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、本明細書においてより詳細に記載されるように、(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノンとしても既知である、式(I−C)の化合物、
【0029】
【化16】

製薬上許容され得る塩、又は製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスを目的とする。
【0030】
本発明は、次の式(X)の化合物、又はこれらの化合物の製薬上許容され得る塩の調製プロセスを目的とし、
【0031】
【化17】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは1〜2の整数であり;
LG1は第1脱離基であり;
【0032】
【化18】

プロセスは、有機溶媒中で、塩基の存在下で式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて、対応する式(VII)の化合物を生成させることであって、LG2が第2脱離基である、式(VII)の化合物を生成させることと;
【0033】
【化19】

有機溶媒中で、還元剤の存在下で式(VII)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(X)の化合物を生成させることと、を含む。
【0034】
本発明は、式(X−E)の化合物、又はこれらの化合物の製薬上許容され得る塩の調製プロセスを更に目的とし、
【0035】
【化20】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは2であり;
LG1は第1脱離基であり;
【0036】
【化21】

プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で、式(V−S)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(IX)の化合物を生成させることと;
【0037】
【化22】

未希釈で、水中又は水性有機溶媒中で、式(IX)の化合物を還元剤と反応させて、対応する式(XI)の化合物を生成させることと;
【0038】
【化23】

有機溶媒中で、式(XI)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて(LG2が第2脱離基である)、
あるいは、水と有機溶媒との混合物中で、塩基の存在下で式(XI)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて(LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である)、
対応する式(X−E)の化合物を生成させることと、を含む。
【0039】
本発明は、式(X−E)の化合物、又はこれらの化合物の製薬上許容され得る塩の調製プロセスを更に目的とし、
【0040】
【化24】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは2であり;
LG1は第1脱離基であり;
【0041】
【化25】

プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で、式(V−S)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(IX)の化合物を生成させることと;
【0042】
【化26】

有機溶媒中で、還元剤の存在下で式(IX)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて、対応する式(X−E)の化合物を生成させることであって、LG2が第2脱離基である、式(X−E)の化合物を生成させることと、を含む。
【0043】
一実施形態では、本発明は、本明細書においてより詳細に記載されるような式(X−S)の化合物又はこれらの化合物の製薬上許容され得る塩の、調製プロセスを目的とし、
【0044】
【化27】

式中、LG1は第1脱離基である。本発明は、本明細書においてより詳細に記載されるような、式(X−S)の化合物の精製プロセスを更に目的とする。
【0045】
本発明は、本明細書においてより詳細に記載されるような、化合物(I−B)の新規の2種の結晶性HCl塩を更に目的とし、これらの塩を、形態I及び形態IIと呼ぶ。本発明は、化合物(I−B)の結晶性HCl塩の調製プロセスを更に目的とする。
【0046】
本発明は、本明細書においてより詳細に記載されるような、化合物(I−C)の新規結晶性HCl塩を更に目的とする。本発明は、化合物(I−C)の結晶性HCl塩の調製プロセスを更に目的とする。
【0047】
本発明は、本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って製造される製品を更に目的とする。
【0048】
本発明の実例は、本明細書に記載の製薬上許容され得る担体、並びに任意の化合物、結晶性塩又は生成物を含む製薬学的組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載の任意の化合物、結晶性塩又は生成物と、製薬上許容され得る担体とを混合することにより製造される製薬学的組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載の任意の化合物、結晶性塩又は生成物と、製薬上許容され得る担体とを混合することを含む、製薬学的組成物の製造プロセスである。
【0049】
別の一般的な態様では、本発明は、ヒスタミンH3受容体活性によって介在される疾病、疾患、若しくは医学的状態に罹患している、又はそれと診断された患者を処置する方法を目的とし、このような処置を必要とする患者に、本明細書に記載の任意の化合物、結晶性塩又は生成物を有効な量で投与することを含む。本発明の特定の好ましい実施形態では、疾病、疾患又は医学的状態は、認知障害、睡眠障害、精神障害、及びその他の疾患からなる群から選択される。
【0050】
他の態様では、本発明は、ヒスタミンH3受容体活性により介在される、(a)認知障害、(b)睡眠障害、(c)精神障害、及びその他の疾患が挙げられる疾病、疾患、又は医学的状態の処置用薬剤の調製のための、本明細書に記載の任意の化合物、結晶性塩又は製品の使用を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態I)の、粉末XRDスペクトルを例示。
【図2】化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態II)の、粉末XRDスペクトルを例示。
【図3】化合物(I−C)の結晶性HCl塩の、粉末XRDスペクトルを例示。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、式(I)の化合物、これらの化合物の製薬上許容され得る塩、製薬上許容され得るプロドラッグ、並びに製薬上活性な代謝産物の調製プロセスを目的とし、
【0053】
【化28】

式中、R1、m及びR2は本明細書に定義された通りである。式(I)の化合物は、認知障害、睡眠障害、精神障害及びその他の疾患が挙げられるがこれらに限定されない、ヒスタミンH3受容体介在性の疾病、疾患及び/又は状態の処置に有用である。
【0054】
本発明は、次の式(I−E)の化合物、製薬上許容され得る塩、製薬上許容され得るプロドラッグ、並びにこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスを目的とし、
【0055】
【化29】

式中、mは2であり、R1、R2は本明細書に定義された通りである。式(I−E)の化合物は、認知障害、睡眠障害、精神障害及びその他の疾患が挙げられるがこれらに限定されない、ヒスタミンH3受容体介在性の疾病、疾患及び/又は状態の処置に有用である。
【0056】
本発明は、例えば、式(I)の化合物の合成中間体として有用な式(X−S)の化合物が挙げられる、式(X)の化合物の調製プロセスを更に目的とする。例えば、式(X−S)の化合物は、化合物(I−A)、(I−B)、(I−C)及びこれらの製薬上許容され得る塩の合成中間体として有用である。本発明は、本明細書においてより詳細に記載される式(X−S)の化合物の、精製及び単離のプロセスを更に目的とする。
【0057】
本発明は、化合物(I−B)の新規結晶性HCl塩、より具体的には、本明細書においてより詳細に記載されるような形態I及び形態IIを更に目的とする。本発明は、化合物(I−B)の新規結晶性HCl塩の調製プロセスを更に目的とする。本発明は、化合物(I−C)の新規結晶性HCl塩を更に目的とする。本発明は、化合物(I−C)の新規結晶性HCl塩の調製プロセスを更に目的とする。
【0058】
本発明の好ましい実施形態においては、R1はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、又はtert−ブチルである。他の好ましい実施形態では、R1はメチル又はイソプロピルである。更に他の好ましい実施形態では、R1はイソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチルである。更に他の好ましい実施形態では、R1はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。更に他の好ましい実施形態では、R1はシクロプロピル又はシクロブチルである。
【0059】
特定の好ましい実施形態では、mは1である。他の好ましい実施形態では、mは2である。
【0060】
特定の好ましい実施形態では、R2は−OCHR34である。他の好ましい実施形態では、R2は−Z−Arである。
【0061】
特定の好ましい実施形態では、R3は−Hであり、R4はシクロプロピル、シクロシクロブチル(cyclocyclobutyl)、又は3−メチル−オキセタン−3−イルである。他の実施形態では、R3及びR4は、炭素に一緒に結合して、未置換であるか又はメチル、エチル、イソプロピル若しくはアセチルにより置換された、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセパニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、ピロリジニル、チエパニル、ピペリジニル又はアゼパニルを形成する。
【0062】
更に別の実施形態では、−OCHR34は、テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシ、3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロ−ピラン−3−イルオキシ、シクロブチルオキシ、オキセパン−4−イルオキシ、オキセパン−3−イルオキシ、シクロブチルメトキシ、シクロプロピルメトキシ、テトラヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ、テトラヒドロ−チオピラン−4−イルオキシ、1−メチル−ピロリジン−3−イルオキシ、1−アセチル−ピロリジン−3−イルオキシル、チエパン−3−イルオキシ、チエパン−4−イルオキシ、1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ、1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ、1−イソプロピル−アゼパン−4−イルオキシ、1−アセチル−アゼパン−4−イルオキシ、1−エチル−アゼパン−3−イルオキシ、又は1−アセチル−アゼパン−3−イルオキシからなる群から選択される。更に別の実施形態では、−OCHR34は、テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシ、3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、及びテトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシである。更に他の好ましい実施形態では、−OCHR34はテトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシであり、mは2である。
【0063】
特定の好ましい実施形態では、ZはOである。他の好ましい実施形態では、ZはSである。
【0064】
特定の好ましい実施形態では、Arはフェニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、及びピラジニル基からなる群から選択され、ここで、各Arは未置換であってもよく又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換されてもよい。他の好ましい実施形態では、Arは、未置換であるか又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換されたフェニル基である。更に他の好ましい実施形態では、Arは4−ハロフェニル基である。更に好ましい実施形態では、Arは、フェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−メチルスルファニルフェニル、3−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−クロロ−3−メチルフェニル、3−シアノフェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−メチル−4−メチルスルファニルフェニル、及び3−ピリジルからなる群から選択される。
【0065】
本発明の特定の実施形態では、式(I)の化合物は(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン;3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル;及び(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン;並びにこれらの化合物の製薬上許容され得る塩、プロドラッグ、並びにこれらの化合物の活性な代謝産物からなる群から選択される。
【0066】
特定の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、化合物(I−A)、化合物(I−B)、化合物(I−C)及びこれらの化合物の製薬上許容され得る塩からなる群から選択される。
【0067】
特定の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、以下の化合物並びに以下の化合物の製薬上許容され得る塩からなる群から選択される、1つ以上の化合物である。
【0068】
【表1−1】

【0069】
【表1−2】

【0070】
特定の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、以下の化合物並びに以下の化合物の製薬上許容され得る塩からなる群から選択される、1つ以上の化合物である。
【0071】
【表2】

【0072】
用語「ハロゲン」は、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素を表す。用語「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0073】
用語「アルキル」は、鎖内に1〜12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me、これをまた構造的に/記号で表すこともあり得る)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル(tBu)、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル及び当該技術分野の通常の技術及び本明細書に示す教示に照らしてこの上に示した例のいずれか1つに相当すると見なされる基が挙げられる。
【0074】
用語「シクロアルキル」は、炭素環当たりの環原子数が3〜10の飽和された単環式炭素環を指す。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシルが挙げられる。
【0075】
用語「ヘテロアリール」は、複素環当たりの環原子数が3〜12の単環式、芳香族複素環(炭素原子から選択される環原子を有しかつ窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子を4個以下の数で有する環構造)を指す。ヘテロアリール基の具体例としては、フリル、ピロリル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル及びトリアジニルが挙げられる。
【0076】
「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子から選択される環原子を環構造当たり4〜7個有し、かつ窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子を2個までの数で有する、飽和若しくは部分飽和の単環式環構造を指す。そのような環構造は、任意に硫黄環員上にオキソ基を2個までの数で含有していてもよい。部分が適切に結合している形態の例となる物質には下記が含まれる:
【0077】
【化30】

【0078】
当業者は、上記に記載又は説明されたシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリール基の種類が包括的ではなく、これらの定義された用語の範囲内で追加的な種類も選択され得ることを認識するであろう。
【0079】
用語「置換されている」は、特定の基又は部分が1個以上の置換基を持つことを意味する。用語「未置換の」は、特定の基が置換基を持たないことを意味する。用語「場合により置換されていてもよい」は、特定の基が未置換であるか、又は1個以上の置換基で置換されていることを意味する。用語「置換されている」を構造系の説明で用いる場合、その置換がその系上の結合価が許容するいずれかの位置に起こることを意味する。指定された部分又は基が、任意に置換されているか、又は任意の指定された置換基で置換されていると明確に記載されていない場合、このような部分又は基は、非置換であることが意図されると理解されたい。
【0080】
本明細書に示す式はいずれもその構造式で表される構造を有する化合物ばかりでなく特定の変形又は形態も表すことを意図する。特に、本明細書に示すいずれかの式で表される化合物は不斉中心を持つ可能性があり、したがって、いろいろな鏡像異性体形態で存在する可能性がある。一般式で表される化合物の光学異性体及び立体異性体及びこれらの混合物の全部が当該式の範囲内であると見なす。このように、本明細書に示すいかなる式もそのラセミ体、1種以上の鏡像異性体形態、1種以上のジアステレオマー形態、1種以上のアトロプ異性体形態及びこれらの混合物を表すことを意図する。その上、特定の構造物は幾何異性体(すなわちシス及びトランス異性体)、互変異性体又はアトロプ異性体として存在し得る。更に、本明細書に示される任意の式は、このような化合物の水和物、溶媒和物、及び多形体、並びにこれらの混合物を包含することが意図される。
【0081】
また、本明細書に示すいかなる式も当該化合物の非標識形態ばかりでなく同位体標識付き形態も表すことを意図する。同位体標識付き化合物は、1個以上の原子が選択した原子質量若しくは質量数を有する原子に置き換わっている以外は本明細書に示す式で表される構造を有する。本発明の化合物に取り込ませることができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、125Iなどが挙げられる。このような同位体標識化合物は、代謝研究(好ましくは14Cを用いた)、反応動力学研究(2H又は3Hを用いた)、検出又は造影技術(陽電子放出断層撮影(PET)又は単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)など)(薬剤又は基質組織分布検定を含む)、又は患者の放射線処置で用いるのに有用である。特に、18F又は11C標識付き化合物がPET又はSPECT検定に特に好適であり得る。更に、重質同位体、例えば重水素(すなわち2H)などによる置換を行うと代謝安定性がより高くなり、例えば生体内半減期が長くなるかあるいは必要な投薬量が少なくなるなど、結果として特定の治療的利点が得られる可能性もある。本発明の同位体標識付き化合物及びこれらのプロドラッグの製造は、一般に、容易に入手可能な同位体標識付き試薬を同位体標識が付いていない試薬の代わりに用いて本スキーム又は本実施例に開示する手順を行うことで実施可能である。
【0082】
本明細書に示すいずれかの式について言及する場合、指定された変数に用いるのに可能性がある種のリストからの特定の部分の選択は、他のいずれかの場所に現れる変数に関してその部分を定義することを意図しない。換言すれば、変数が2回以上現れる場合、指定リストからの種の選択は、式中の他の場所に位置する同じ変数のための種の選択から独立している。
【0083】
本発明の化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらはしかるべくエナンチオマーとして存在することができる。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。全てのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含される。好ましくは、化合物がエナンチオマーとして存在する場合、エナンチオマーは、約80%以上のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のエナンチオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のエナンチオマー過剰率で存在する。同様に、化合物がジアステレオマーとして存在する場合、ジアステレオマーは、約80%以上のジアステレオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のジアステレオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のジアステレオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のジアステレオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のジアステレオマー過剰率で存在する。
【0084】
更に、本発明の化合物のいくつかの結晶形態は多形体として存在することができ、そのようなものは、本発明に含まれることが意図される。加えて、本発明のいくつかの化合物は、水との溶媒和物(すなわち、水和物)又は通常の有機溶媒との溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0085】
明細書、特にスキーム及び実施例で使用される略語は、以下の通りである。
【0086】
【表3】

【0087】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「単離された形態」は、化合物が、別の化合物(一種又は複数)との任意の固体混合物、溶媒系又は生物学的環境から分離された形態で存在することを意味するものとする。一実施形態では、本発明は、単離された状態の式(I)の化合物の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、単離された状態の化合物(I−A)の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、単離された状態の化合物(I−B)の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、単離された状態の化合物(I−C)の調製プロセスを目的とする。
【0088】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「実質的に純粋な形態」は、単離した化合物中の不純物のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味するものとする。一実施形態では、本発明は、実質的に純粋な状態の式(I)の化合物の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、実質的に純粋な状態の化合物(I−A)の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、実質的に純粋な状態の化合物(I−B)の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、実質的に純粋な状態の化合物(I−C)の調製プロセスを目的とする。
【0089】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「実質的に対応する塩形態を含まない」は、式(I)の化合物を説明するために用いるとき、単離した式(I)の塩基中の対応する塩形態のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味する。一実施形態では、本発明は、実質的に対応する塩形態を含まない式(I)の化合物の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、実質的に対応する塩形態を含まない式(I−A)の化合物の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、実質的に対応する塩形態を含まない式(I−B)の化合物の調製プロセスを目的とする。他の実施形態では、本発明は、実質的に対応する塩形態を含まない式(I−C)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0090】
「製薬上許容し得る塩」は、無毒であるか、生物学的に許容し得るかあるいは他の様式で当該対象に投与するのに生物学的に適した式(I)で表される化合物の遊離酸の塩若しくは塩基の塩を意味することを意図する。全般的に、BERGE,S.M.ら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.,1977,pp 1〜19,vol.66;及びHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use、Stahl及びWermuth(編集)、Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002を参照されたい。製薬上許容し得る塩の例は、薬理学上効果があり、過度の毒性、刺激又はアレルギー反応を起こすことなく患者の組織に接触するのに適したものである。式(I)の化合物は十分に酸性の基、十分に塩基性の基又は両方の種類の官能基を持つ可能性があり、したがって、多くの無機若しくは有機塩基及び無機及び有機酸と反応して製薬上許容し得る塩を生成し得る。製薬上許容され得る塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩及びマンデル酸塩が挙げられる。
【0091】
式(I)の化合物が塩基性窒素を含む場合には、薬学的に許容される所望の塩を当該技術分野で利用可能な任意の適当な方法によって調製することができる(例えば、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、リン酸など))、又は有機酸(例えば酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サルチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ピラノシジル酸(例えば、グルクロン酸若しくはガラクツロン酸)、α−ヒドロキシ酸(例えば、マンデル酸、クエン酸、若しくは酒石酸)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸)、芳香族酸(例えば、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸、若しくは桂皮酸)、スルホン酸(例えば、ラウリルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、若しくはエタンスルホン酸)、本明細書に例示されるような酸の任意の相溶性混合物、並びに、当該技術分野における通常の知識に照らして均等物又は許容される代替物としてみなされる他の任意の酸及びその混合物で遊離塩基を処理することによる)。
【0092】
式(I)の化合物が酸、例えばカルボン酸又はスルホン酸などの場合、好適な方法のいずれか、例えば遊離酸を無機又は有機塩基、例えばアミン(第一級、第二級又は第三級)、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物、本明細書に例として示した塩基などのような塩基の適合し得る任意混合物及び当該技術分野の技術の通常のレベルに照らして相当物又は許容される代替物であると見なされる他の塩基及びこれらの混合物のいずれかで処理する方法などで所望の製薬上許容され得る塩を調製することができる。適切な塩の具体例には、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニンなど、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩、第一級、第二級及び第三級アミン及び環式アミン、例えばベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンなどから生じさせた有機塩、並びにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから生じさせた無機塩が含まれる。
【0093】
本発明は、また、式(I)の化合物の製薬上許容され得るプロドラッグ及び製薬上許容され得るプロドラッグを用いた処置方法にも関する。用語「プロドラッグ」は、被験体に投与した後に化学的又は生理学的プロセス、例えば生体内で起こる加溶媒分解又は酵素による開裂などで、又は生理学的条件下で、当該化合物になる(例えばプロドラッグを生理学的pHにすると式(I)の化合物に変化する)指定化合物の前駆体を意味する。「製薬上許容され得るプロドラッグ」は、無毒であるか、生物学的に許容されるか又は他の様式で当該被験者に投与するに生物学的に適したプロドラッグである。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製の例示的な手順は、例えば、Design of Prodrugs、H.Bundgaard(編集)、Elsevier,1985に説明されている。
【0094】
プロドラッグの例としては、アミノ酸残基を有する化合物、又は式(I)で表される化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基と、アミド又はエステル結合により共有結合している、2個以上(例えば2、3又は4個)のアミノ酸残基を含むポリペプチド鎖を有する化合物が挙げられる。アミノ酸残基の例としては、天然に存在する20種類のアミノ酸(これらは一般に3文字記号で表わされる)ばかりでなく4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベーターアラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン及びメチオニンスルホンが挙げられる。
【0095】
例えば式(I)の構造が含む遊離カルボキシル基に、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化を受けさせることにより、更なる種類のプロドラッグを製造することも可能である。アミドの例としては、アンモニア、第一級C1〜6アルキルアミン及び第二級ジ(C1〜6アルキル)アミンから生じさせたアミドが挙げられる。第二級アミンとしては、5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール環部分が挙げられる。アミドの例としては、アンモニア、C1〜3アルキル第一級アミン及びジ(C1〜2アルキル)アミンから生じさせたアミドが挙げられる。本発明のエステルの例としては、C1〜7アルキル、C5〜7シクロアルキル、フェニル及びフェニル(C1〜6アルキル)エステルが挙げられる。好適なエステルとしては、メチルエステルが挙げられる。プロドラッグはまた、FLEISHER,D.ら、「Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs」,Adv.Drug Delivery Rev.,1996,pp 115〜130,vol.19に概説されるものなどの手順に従って、ヘミスクシナート、リン酸エステル、ジメチルアミノアセタート、及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルなどの基を使用して、遊離ヒドロキシ基を誘導体化しても調製することができる。また、ヒドロキシ及びアミノ基のカルバメート誘導体もプロドラッグを生成し得る。また、ヒドロキシ基のカーボネート誘導体、スルホン酸エステル及び硫酸エステルもプロドラッグを生成し得る。また、ヒドロキシ基を(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテル(このアシル基はアルキルエステルであってもよく、場合により1個以上のエーテル、アミン又はカルボン酸官能で置換されていてもよいか、あるいはアシル基は上記のようなアミノ酸エステルである)として誘導体化することも、プロドラッグを生成するのに有効である。このタイプのプロドラッグは、ROBINSON,R.P.ら、「Discovery of the hemifumarate and(alpha−L−alanyloxy)methyl ether as prodrugs of an antirheumatic oxindole:prodrugs for the enolic OH group」,J.Med.Chem.,1996,pp 10〜18,vol.39に記載されるように調製することもできる。遊離アミンもまた、アミド、スルホンアミド又はホスホンアミドとして誘導体化することができる。そのようなプロドラッグ部分の全てにエーテル、アミン及びカルボン酸官能を包含する基が組み込まれている可能性がある。
【0096】
本発明は、また、本発明の方法で用いることもできる、式(I)の化合物の製薬上活性な代謝産物にも関する。「製薬上活性な代謝産物」は、式(I)の化合物又はその塩が体内で代謝を受けることで生じた薬理学的に活性な生成物を意味する。化合物のプロドラッグ及び活性な代謝産物の測定は当該技術分野で既知又は利用可能な常規技術を用いて実施可能である。例えば、BERTOLINIら、「A new rational hypothesis for the pharmacophore of the active metabolite of leflunomide,a potent immunosuppressive drug」、J.Med.Chem.,1997,pp 2011〜2016,vol.40;SHANら、「Prodrug strategies based on intramolecular cyclization reactions」、J.Pharm.Sci.,1997,pp 765〜767,Vol.86,Issue 7;BAGSHAWE,K.D.、「Antibody−directed Enzyme Prodrug Therapy:A Review」、Drug Dev.Res.,1995,pp 220〜230,Vol.34;BODOR,N.、「Novel Approaches to the Design of Safer Drugs:Soft Drugs and Site−Specific Chemicla Delivery Systems」、Adv.Drug Res.,1984,pp 224〜331,Vol.13;Bundgaard,H、Design of Prodrugs、Elsevier Press,1985;並びにLarsen、Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development、Krogsgaard−Larsenら(編集)、Harwood Academic Publishers,1991を参照されたい。
【0097】
本発明の式(I)の化合物及びこれらの製薬上許容され得る塩、製薬上許容され得るプロドラッグ、及び製薬上活性な代謝産物は、ヒスタミンH3受容体のモジュレーターとして本発明の方法で用いるのに有用である。化合物は、このようなモジュレーターのように拮抗薬、作動薬、又は逆作動薬として作用することができる。「モジュレーター」には、阻害剤及び活性化剤の両方が含まれ、「阻害剤」とは、ヒスタミンH3受容体の発現若しくは活性を減少する、予防する、不活性化する、脱感作する又は下方制御する、化合物を指し、「活性化剤」とは、ヒスタミンH3受容体の発現若しくは活性を増加、活性化、促進、感作又は上方制御する化合物である。
【0098】
本明細書で用いる用語「処置する」又は「処置」は、ヒスタミンH3受容体活性をモジュレートすることによって治療的又は予防的な利益をもたらす目的で、本発明の活性薬剤又は組成物を被験体に投与することを指すことを意図する。処置には、ヒスタミンH3受容体活性のモジュレーションが介在する病気、疾患又は状態又はそのような病気、疾患又は状態の1種以上の症状を回復に向かわせること、改善すること、軽減すること、進行を抑制すること又は重症度を和らげること又は予防することが含まれる。用語「被験体」は、そのような処置を必要としている哺乳動物患者、例えば人などを指す。
【0099】
したがって、本発明は、認知障害、睡眠障害、精神障害、及び他の疾患などの、ヒスタミンH3受容体活性によって介在される疾病、疾患又は状態を有すると診断されたか又はそれらに苦しむ被験体を処置するための、本明細書に記載される化合物を用いる方法に関する。症状又は病気の状態を「状態、疾患又は疾病」の範囲内に包含させることを意図する。
【0100】
例えば「認知障害」としては、認知症、アルツハイマー症(PANULA,P.ら、「Significant Changes in the Human Brain Histaminergic System in Alzheimer’s Disease」、Soc.Neurosci.Abstr.,1995,pp 1977,vol.21)、認知機能障害、軽度認知機能障害(前認知症)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害、並びに学習及び記憶障害(BARNES,J.C.ら、「The Selective Histamine H3 Receptor Antagonist Thioperamide Improves Cognition and Enhances Hippocampal Acetylcholine Release in vivo」、Soc.Neurosci.Abstr.,1993,pp 1813,vol.19)が挙げられる。学習障害(learning disorders)及び記憶障害(momory disorders)として、例えば、学習障害(learning impairment)、記憶障害(memory impairment)、加齢性の認知機能低下、及び物忘れが挙げられる。H3拮抗薬は、マウスでの高架式十字迷路(MIYAZAKI,S.ら、「Effects of thioperamide,a histamine H3−receptor antagonist,on a scopolamine−induced learning deficit using an elevated plus−maze test in mice」、Life Sci.,1995,pp 2137〜2144,vol.57,issue 23)、2回試行位置認識タスク(two-trial place recognition task)(ORSETTI,M.ら、「Histamine H”3−receptor antagonism improves memory retention and reverses the cognitive deficit induced by scopolamine in a two−trial place recognition task」、Behav.Brain Res.,2001,pp 235〜242,vol 124,issue 2)、マウスでの受動的回避試験(MIYAZAKI,S.ら、「Effects of thioperamide on the cholinergic system and the step−through passive avoidance test in mice」、Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1995,pp 653〜658,vol.17,issue 10)及びラットでの放射状迷路(CHEN,Z.、「Effect of histamine H3−receptor antagonist clobenpropit on spatial memory of radial maze performance in rats」、Acta Pharmacol.Sinica.,2000,pp 905〜910,vol.21,issue 10)が挙げられる様々な記憶試験において記憶力の改善を示してきた。同様に、注意欠陥障害のうちの学習障害(learning impairments)についての動物モデルである、自然発症高血圧のラットにおいて、H3拮抗薬は記憶力の改善を示した(FOX,G.B.ら、「Effects of histamine H”3 receptor ligands GT−2331 and ciproxifan in a repeated acquisition avoidance response in the spontaneously hypertensive rat pup」、Behav.Brain Res.,2002,pp 151〜161,vol.131,issue 1〜2)。
【0101】
例えば「睡眠障害」としては、不眠症、睡眠障害(disturbed sleep)、ナルコレプシー(関連するカタプレキシーを伴なう又は伴なわない)、カタプレキシー、睡眠/覚醒恒常性の障害、突発性傾眠、過剰日中睡眠性(EDS)、概日リズム障害、疲労、過眠症、時差ぼけ(位相後退)、及びREM−行動障害が挙げられる。疲労及び又は睡眠障害は、例えば、睡眠時無呼吸症、閉経期前後のホルモン変化、パーキンソン病、多発性硬化症(MS)、うつ病、化学療法、又はシフトによる勤務体制などの、種々の原因によって引き起こされるか又は関連する場合がある。
【0102】
例えば「精神障害」としては、失認及び統合失調症に関連する陰性症状、双極性障害、躁病、うつ病(LAMBERTI,C.ら、「Antidepressant−like effects of endogenous histamine and of two histamine H1 receptor agonists in the mouse forced swim test」、Br.J.Pharmacol.,1998,pp 1331〜1336,vol.123,issue 7;PEREZ−GARCIA,C.ら、「Effects of Histamine H3 Receptor in Experimental Models of Anxiety and Depression」、Psychopharmacology,1999,pp 215〜220,vol.142,issue 2)(同様に次の文献を参照のこと:STARK,H.ら、「Developments of histamine H3−receptor antagonist」、Drugs Future,1996,pp 507〜520,Vol.21,issue 5;及びLEURS,R.ら、「The medicinal chemistry and therapeutic potentials of ligands of the histamine H3 receptor」、Prog.Drug Res.,1995,pp 107〜165,vol.45、及びその中で引用された参考文献を参照のこと。)を包含し、双極性うつ病、強迫性障害、及び外傷後ストレス障害を包含する、統合失調症(SCHLICKER,E.ら、「The moderate affinity of clozapine at H3 receptors is not shared by its two major metabolites and by structurally related and unrelated atypical neuroleptics」、Naunyn−Schmiedeberg’s Arch.of Pharmacol.,1996,pp 290〜294,vol.353,issue 3)が挙げられる。
【0103】
例えば「その他の疾患」としては、乗り物酔い、めまい症(例えば、めまい症又は良性発作性目まい症)、耳鳴り、癲癇(YOKOYAMA,H.ら、「Effect of thioperamide,a histamine H3 receptor antagonist,on electrically induced convulsions in mice」、Eur.J.Pharmacol.,1993,pp 129〜133,vol.234)、片頭痛、神経原性炎症、神経因性疼痛、ダウン症候群、癲癇、摂食障害(MACHIDORI,H.ら、「Zucker obese rats:defect in brain histamine control of feeding」、Brain Res.,1992,pp 180〜186,vol.590)、肥満症、薬物乱用障害、運動障害(例えば下肢静止不能症候群)、目に関係する障害(例えば黄斑変性症及び網膜色素変性症)が挙げられる。
【0104】
特に、ヒスタミンH3受容体のモジュレーターとして、本発明のプロセスによる化合物は、うつ病、睡眠障害、ナルコレプシー、疲労、過眠症、認知障害、記憶障害(memory impairment)、物忘れ、学習障害(learning impairment)、注意欠陥障害、及び摂食障害の処置又は予防に有用である。
【0105】
本発明による処置方法では、そのような疾病、疾患又は状態に苦しんでいるか、あるいはそうであると診断された患者に有効量の本発明による少なくとも1種の化合物を投与する。「有効量」とは、対象の病気、疾患又は状態のこのような治療を必要とする患者において、所望の治療的又は予防的効果を一般的にもたらすのに十分な量又は十分な投与量を意味する。本発明の化合物の有効量若しくは用量を、常規方法、例えばモデリング、用量漸増試験又は臨床試験など、及び常規要因、例えば投与様式若しくは経路又は薬剤送達など、化合物の薬物動態、疾患、障害又は状態の重症度及び過程、被験体が以前又は現在受けている治療、被験体の健康状態及び薬剤に対する反応、並びに処置を施す医者の判断などを考慮に入れることで確定することができる。一例では用量は、単一又は分割投与量単位(例えばBID、TID、QID)において、被験体の体重1kgに対して1日あたり化合物約0.001〜約200mgの範囲又はこの内の任意の範囲であり、好ましくは約0.01〜約10mg/kg/日、又は約0.01〜1.0mg/kg/日、あるいはこの内の任意の範囲である。70kgの人の場合、適切な用量の範囲の例は、約0.1〜約100mg/日又はこの内の任意の範囲であり、好ましくは約0.5〜約50.0mg/日である。
【0106】
患者の疾病、疾患又は状態の改善が生じたならば投与量を予防的処置又は維持処置に適した量に調整してもよい。例えば、投与の量及び頻度又は両方を症状の関数として所望の治療若しくは予防効果が維持される度合にまで減らしてもよい。もちろん、症状が適切な度合にまで軽減したならば処置を止めてもよい。しかしながら、症状がいくらか再発する時には患者に長期を基準にした断続的処置を受けさせる必要がある。
【0107】
この明細書により広範囲に提供されるように、「反応」及び「反応した」などの用語は、(a)このような化学的実体の実際に列挙される形態、及び(b)化合物が命名されたときの状態であると見なされる媒体中におけるこのような化学的実体の任意の形態、のいずれか1つの化学的実体を参照して本明細書で使用される。
【0108】
当業者は、特に指示がない限り、反応工程(1又は複数)が適切な条件下で公知の方法に従って行われ、所望の生成物を提供することを認識するであろう。当業者は、更に、本明細書に提示された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬のクラス/種類(例えば、塩基、溶媒など)がプロセスの1を超える工程に引用されている場合、個々の試薬は、各反応工程に関して独立して選択され、同一であっても又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えばプロセスの2つの工程が、試薬として有機又は無機塩基を挙げている場合、第1の工程に関して選択される有機又は無機塩基は、第2の工程の有機又は無機塩基と同一でも又は異なっていてもよい。
【0109】
更に当業者は、本発明の反応工程を様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができ、上記反応工程はまた、適切な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。当業者は、2つの連続反応又はプロセス工程が、中間生成物(すなわち、2つの連続反応又はプロセス工程の最初の生成物)を単離することなく実行される場合、第1及び第2の反応又はプロセス工程が、同じ溶媒又は溶媒系で実行され得る、又は溶媒交換後に異なる溶媒又は溶媒系で実行され得、これらは既知の方法に従って完了し得ることを更に理解する。
【0110】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載する量的表現の一部は、用語「約」で修飾しない。用語「約」が明確に用いられていようといまいと、本明細書に記載する全ての量はその実際値を指すことを意味し、またこのような値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるこのような値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0111】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙されている場合には、範囲は列挙された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はこの内の任意の範囲を含むと理解される。
【0112】
好適な溶媒、塩基、反応温度、並びに他の反応パラメータ及び成分の例は、本明細書で以下に詳細に説明される。当業者は、上記例の列挙が、以後の特許請求の範囲に記載される発明を決して限定する意図はなく、そのように解釈すべきではないことを認識する。
【0113】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「脱離基」は、置換又は変位反応中に離脱する帯電又は非帯電の原子又は基を意味するものとする。好適な例としては、限定するものではないが、ブロモ、クロロ、フルオロ(fluoor)、ヨード、メシラート、トシラート、及びこれらに類するものなどが挙げられる。好ましい例においては、脱離基はブロモ、クロロ又はヨードであり、より好ましくはクロロである。
【0114】
本発明の化合物を調製する方法のいずれかを行っている間に、関係する分子のいずれかが有する感受性又は反応性基を保護する必要があり、及び/又はその方が望ましい場合がある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry、J.F.W.McOmie(編集)、Plenum Press,1973;並びにT.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載されるように、従来の保護基による手法で実施することができる。保護基は、続く都合のよい段階で、当技術分野で公知の方法を用いて除去されてよい。
【0115】
本発明による化合物の調製プロセスにより立体異性体の混合物が生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーのような従来の技術により分離することができる。化合物はラセミ体で調製されてもよく、又は個々のエナンチオマーをエナンチオ選択的合成、又は分割のいずれかにより調製することができる。化合物は、例えば、標準的な技術、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学的に活性な酸とともに塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行ってそれらの構成要素である鏡像異性体に分割することができる。化合物はまた、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは、化合物はキラルHPLCカラムを使用して分割されてよい。
【0116】
加えて、標準物質に対するキラルHPLCを用いて、鏡像体過剰率(%ee)を決定することができる。鏡像体過剰率は、以下のように算出することができる。
[(Rモル−Sモル)/(Rモル+Sモル)]×100%
式中、Rモル及びSモルは、Rモル+Sモル=1となるような、混合物中のR及びSモル分率である。あるいは、鏡像体過剰率は、以下のように、所望の鏡像体及び調製された混合物の旋光度から算出することもできる。
ee=([α−obs]/[α−max])×100
【0117】
本発明は、本明細書で以下のスキーム1〜4で概要を詳述する、式(I)の化合物の合成中間体として有用な式(X)の化合物の調製プロセスを目的とする。本発明は、本明細書で以下のスキーム5〜7で概要を詳述する、好適に置換された式(X)の化合物から式(I)の化合物を調製するプロセスを更に目的とする。
【0118】
本発明は、下記スキーム1で概要を詳述する、式(X)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0119】
【化31】

【0120】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(V)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(VI)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(THF、トルエン、2−メチル−THF、MTBE、及びこれらに類するものなど、好ましくはTHF)中で、アルキルリチウム(例えば、n−ヘキシルリチウム、n−ブチルリチウム及びこれらに類するものなど)などの好適に選択された塩基の存在下で、又はリチウムアルコキシド若しくはナトリウムアルコキシド(例えば、リチウムエトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、及びこれらに類するものなど)などの好適に選択された塩基の存在下で、又はイソプロピルマグネシウムクロリド及びこれに類するものなどの好適に選択された塩基の存在下で、約0℃〜ほぼ室温の範囲の温度(より好ましくは約0℃)で反応させて、式(VII)の対応する化合物を生成させる。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(例えばクロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(例えばOC1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、及びこれらに類するものなど、好ましくは−O−メチル又は−O−エチル)であり、式(V)の化合物は約1.0〜約5.0モル当量(式(VI)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.0〜約3.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約2.5モル当量で存在し、
好ましくは塩基はアルキルリチウムであり、より好ましくは塩基はn−ヘキシルリチウムであり、存在する塩基がアルキルリチウムである場合、好ましくは塩基は約0.1〜約3.0モル当量(式(VI)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約0.1〜約1.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.5モル当量で存在し、塩基がリチウムアルコキシド又はナトリウムアルコキシドである場合、好ましくは塩基は約0.5〜約3.0モル当量(式(VI)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約0.5〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.0モル当量で存在する。
【0121】
好ましくは、塩基はn−ヘキシルリチウム及びこれに類するものなどのアルキルリチウムであり、式(V)の化合物と有機溶媒との混合物に式(VI)の化合物を添加した後、得られる混合物にこの塩基を添加する。好ましくは、副生成物の量を最小限にするように、LG1、LG2、塩基、有機溶媒及び任意の他の反応条件を選択する。
【0122】
本発明の実施形態では、アルキルリチウムの存在下で、好ましくはn−ヘキシルリチウムの存在下で、式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させる。本発明の他の実施形態では、リチウムアルコキシドの存在下で、好ましくはリチウムメトキシドの存在下で、式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させる。
【0123】
式(VII)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である所望のR1置換基の好適に選択されたアルデヒド又はケトン誘導体(より具体的にはC1〜4アルキルの好適に選択されたアルデヒド誘導体又はC3〜10シクロアルキルの好適に選択されたケトン誘導体)と、以下の条件;有機溶媒(DCE、THF、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど、好ましくはDCE)中で、好適に置換された還元剤(例えば、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及びこれらに類するものなど、好ましくはナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)の存在下で、好ましくはほぼ室温で反応させて、対応する式(X)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体は、好ましくは約1.0〜約3.0モル当量(式(VII)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.3モル当量の量で存在し、
好ましくは還元剤は約1.0〜約3.0モル当量(式(VII)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.3モル当量の量で存在する。
【0124】
好ましくは、式(VII)の化合物と有機溶媒との混合物に、所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体を添加した後、還元剤を添加する。
【0125】
一実施形態では、本発明は、以下のスキーム2で概要を詳述する、式(X−S)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0126】
【化32】

【0127】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(V−S)の化合物を、好適に置換された式(VI−S)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(THF、トルエン、2−メチル−THF、MTBE、及びこれらに類するものなど、好ましくはTHF)中で、約0℃〜ほぼ室温の範囲の温度(より好ましくは約0℃)で反応させて、式(VII−S)の対応する化合物を生成させる。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(例えばクロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(例えばOC1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、及びこれらに類するものなど、好ましくは−O−メチル又は−O−エチル)であり、式(V−S)の化合物は約1.0〜約5.0モル当量(式(VI−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.0〜約3.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約2.5モル当量で存在し、
アルキルリチウム(例えば、n−ヘキシルリチウム、n−ブチルリチウム及びこれらに類するものなど)などの好適に選択された塩基の存在下で、又はリチウムアルコキシ若しくはナトリウムアルコキシド(例えば、リチウムエトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、及びこれらに類するものなど)などの好適に選択された塩基の存在下で、又はイソプロピルマグネシウムクロリド及びこれに類するものなどの好適に選択された塩基の存在下で;好ましくは塩基はアルキルリチウムであり、より好ましくは塩基はn−ヘキシルリチウムであり、存在する塩基がアルキルリチウムである場合、好ましくは塩基は約0.1〜約3.0モル当量(式(VI−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約0.1〜約1.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.5モル当量で存在し、塩基がリチウムアルコキシ又はナトリウムアルコキシドである場合、好ましくは塩基は約0.5〜約3.0モル当量(式(VI−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約0.5〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.0モル当量で存在する。
【0128】
好ましくは、塩基はn−ヘキシルリチウム及びこれに類するものなどのアルキルリチウムであり、式(V−S)の化合物と有機溶媒との混合物に式(VI−S)の化合物を添加した後、得られる混合物に塩基を添加する。好ましくは、副生成物の量を最小限にするように、LG1、LG2、塩基、有機溶媒及び任意の他の反応条件を選択する。
【0129】
本発明の実施形態では、アルキルリチウムの存在下で、好ましくはn−ヘキシルリチウムの存在下で、式(V−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させる。本発明の他の実施形態では、リチウムアルコキシドの存在下で、好ましくはリチウムメトキシドの存在下で、式(V−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させる。
【0130】
式(VII−S)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(VIII−S)の化合物(所望のR1置換基の好適に選択されたケトン誘導体)と、以下の条件;有機溶媒(DCE、THF、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど、好ましくはDCE)中で、好適に置換された還元剤(例えばナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及びこれらに類するものなど)の存在下で、好ましくはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの存在下で、好ましくはほぼ室温で反応させて、対応する式(X−S)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは式(VIII−S)の化合物は約1.0〜約3.0モル当量(式(VII−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.3モル当量の量で存在し、好ましくは還元剤は約1.0〜約3.0モル当量(式(VII−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.3モル当量の量で存在する。
【0131】
好ましくは、式(VII−S)の化合物と有機溶媒との混合物に、式(VIII−S)の化合物を添加した後、還元剤を添加する。
【0132】
一実施形態では、本発明は、式(X−S)の化合物の精製プロセスを目的とし、プロセスは以下の工程を含む。
【0133】
工程A:式(X−S)の化合物を、有機溶媒(エタノール、アセトニトリル、IPA、及びこれらに類するものなど、好ましくはエタノール)中で、好ましくは約20℃〜ほぼ溶媒還流温度の範囲の温度(より好ましくは約80℃)で、L−酒石酸と反応させて、式(IX−S)の化合物の対応する酒石酸塩を好ましくは固体として生成させ、好ましくはこの固体を濾過により単離する工程。好ましくはL−酒石酸は約0.5〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量の量で存在する。
【0134】
工程B:式(X−S)の化合物の酒石酸塩(工程Aのように調製)を、有機溶媒(イソプロピルアセタート、ジクロロメタン、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど、好ましくはイソプロピルアセタート)中で、好ましくは室温で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及びこれらに類するものなどの好適に選択された塩基(好ましくは水酸化ナトリウム)と反応させて、対応する式(X−S)の化合物を生成させる工程。好ましくは塩基は約1.0〜約5.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約2.5〜約5.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約3.9モル当量の量で存在する。
【0135】
本発明は、下記スキーム3で概要を詳述する、式(X)の化合物の調製プロセスを更に目的とする。
【0136】
【化33】

【0137】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(V−S)の化合物を、所望のR1置換基の好適に選択されたアルデヒド又はケトン誘導体(より具体的にはC1〜4アルキルの好適に選択されたアルデヒド又はケトン誘導体あるいはC3〜10シクロアルキルの好適に選択されたケトン誘導体)と、以下の条件;未希釈で又は有機溶媒(トルエン、THF、2−メチル−THF、ヘキサン、及びこれらに類するものなど、好ましくはトルエン)中で、好ましくはほぼ室温〜ほぼ還流温度の範囲の温度(より好ましくは約40℃を超える高温、より好ましくはほぼ還流温度)で反応させて、対応する式(IX)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、所望のR1置換基の好適に選択されたアルデヒド又はケトン誘導体は、好ましくは約0.5〜約2.0モル当量(式(V−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量の量で存在する。
【0138】
式(IX)の化合物を、好適に選択された還元剤(例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、及びこれらに類するもの、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム)と、以下の条件;未希釈で、水中又は水性有機溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、THF、アセトニトリル、及びこれらに類するものなど)中で、所望によりHCl、酢酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、及びこれらに類するものなどの酸(好ましくはHCl)の存在下で、好ましくは約−10℃〜約0℃の範囲の温度(より好ましくは約−5℃)で反応させて、対応する式(XI)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは還元剤は約0.5〜約1.5モル当量(式(IX)の化合物の量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0モル当量の量で存在し、好ましくは還元剤は約0.1モル当量の水酸化ナトリウムなどの好適に選択された塩基により安定化された水溶液として添加され、好ましくは酸は反応条件下で実質的に還元されず、より好ましくは反応条件下で還元されず、酸は好ましくは約1.0〜約5.0モル当量(式(IX)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約3.0〜約5.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約4.0モル当量での量で存在する。
【0139】
好ましくは、還元剤は水素化ホウ素リチウムであり、酸の非存在下で式(IX)の化合物を還元剤と反応させる。
【0140】
式(XI)の化合物を、好適に置換された式(VI)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(MTBE、トルエン、THF、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど、好ましくはトルエン又は2−メチル−THF)中で、好ましくはほぼ室温〜約50℃の範囲の温度(より好ましくは約0℃〜約35℃の範囲の温度)で反応させて、対応する式(X−E)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(クロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(O−C1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、好ましくは反応条件下においてLG2はLG1よりも活性であり、式(VI)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量で存在する。
【0141】
あるいは、式(XI)の化合物を、好適に置換された式(VI)の化合物と、以下の条件;水と好適に選択された有機溶媒(MTBE、2−メチル−THF、トルエン、及びこれらに類するものなど)との混合物中で、好適に選択された塩基、好ましくは好適に選択された無機塩基(NaOH、KOH、LiOH、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びこれらに類するものなど)、より好ましくはNaOH、より好ましくは30%のNaOHの存在下で、好ましくは約30℃未満の温度、より好ましくは約0℃〜約20℃の範囲の温度、より好ましくは約10℃〜約15℃の範囲の温度で反応させて、対応する式(X)の化合物を生成する。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(クロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(O−C1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、好ましくは反応条件下においてLG2はLG1よりも活性であり、式(VI)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量で存在し、好ましくは塩基は1モル当量(式(VI)の化合物のモル量に対して)を超える量で存在し、より好ましくは約1.05〜約2.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.5〜約2モル当量の範囲の量で存在する。
【0142】
好ましくは、好適に選択された溶媒中の式(VI)の化合物を、式(XI)の化合物と塩基との水溶液に添加する。より好ましくは、MTBE中の式(VI)の化合物を、式(XI)の化合物と30%のNaOHとの水溶液に添加する。
【0143】
当業者は、式(VI)の化合物においてLG2がクロロである場合、式(X−E)の化合物は対応するHCl塩として調製されることを認識するであろう。更に、当業者により容易に理解され、認識されるような好適なLG2脱離基を代わりに選択して、対応する塩形態として式(X−E)の化合物を生成させてもよい。
【0144】
あるいは、式(IX)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(VI)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(トルエン、THF、アセトニトリル、及びこれらに類するものなど、好ましくはアセトニトリル)中で、好適に選択された還元剤(ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、及びこれらに類するものなど、好ましくはナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)の存在下で、所望により有機酸(TFA、酢酸、及びこれらに類するものなど、好ましくは酢酸)の存在下で、好ましくはほぼ室温〜約50℃の範囲の温度、より好ましくはほぼ室温〜約35℃の範囲の温度で反応させて、対応する式(X−E)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(クロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(O−C1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、好ましくはLG2は反応条件下でLG1よりも活性であり、式(VI)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量で存在し、
好ましくは還元剤は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.25モル当量の量で存在し、酸は好ましくは約0.5〜約2.0モル当量(式(IX)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約0.5〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.0モル当量の量で存在する。
【0145】
好ましくは、有機溶媒中で式(VI)の化合物を式(IX)の化合物と還元剤との混合物に添加する。
【0146】
一実施形態では、本発明は、以下のスキーム4で概要を詳述する、式(X−S)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0147】
【化34】

【0148】
これによると、化合物、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(V−S)を、式(VIII−S)の化合物(所望のR1置換基の好適に選択されたケトン誘導体)と、以下の条件;未希釈で又は有機溶媒(トルエン、THF、2−メチル−THF、ヘキサン、及びこれらに類するものなど、好ましくはトルエン)中で;好ましくはほぼ室温〜ほぼ還流温度の範囲の温度、より好ましくは約40℃を超える高温、より好ましくはほぼ還流温度で反応させて、対応する式(IX−S)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、式(VIII−S)の化合物は好ましくは約0.5〜約2.0モル当量(式(V−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量の量で存在する。
【0149】
式(IX−S)の化合物を、好適に選択された還元剤(水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、及びこれらに類するものなど、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム)と、以下の条件;未希釈で、水中又は水性有機溶媒(メタノール、エタノール、IPA、THF、アセトニトリル、及びこれらに類するものなど)中で、所望により酸(HCl、酢酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、及びこれらに類するものなど、好ましくはHCl)の存在下で、好ましくは約−10℃〜約0℃の範囲の温度、より好ましくは約−5℃で反応させて、対応する式(XI−S)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは還元剤は約0.5〜約1.5モル当量(式(IX−S)の化合物の量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0モル当量の量で存在し、好ましくは還元剤は、水酸化ナトリウムなどの好適に選択された約0.1当量の塩基で安定化された水溶液として添加され、好ましくは酸は反応条件下で実質的に還元されず、より好ましくは酸は反応条件下で還元されず、酸は好ましくは約1.0〜約5.0モル当量(式(IX−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約3.0〜約5.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約4.0モル当量の量で存在する。
【0150】
好ましくは、還元剤は水素化ホウ素リチウムであり、酸の非存在下で式(IX)の化合物を還元剤と反応させる。
【0151】
式(XI−S)の化合物を、好適に置換された式(VI−S)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(MTBE、トルエン、THF、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど、好ましくはトルエン又は2−メチル−THF)中で、好ましくはほぼ室温〜約50℃の範囲の温度、より好ましくは約0℃〜約35℃の範囲の温度で反応させて、対応する式(X−S)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(クロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(O−C1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、好ましくはLG2は反応条件下でLG1よりも活性であり、式(VI−S)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量で存在する。
【0152】
当業者は、式(VI−S)の化合物においてLG2がクロロである場合、式(X−S)の化合物は対応するHCl塩として調製されることを認識するであろう。更に、当業者により容易に理解され、認識されるような好適なLG2脱離基を代わりに選択して、対応する塩形態として式(X−E)の化合物を生成させてもよい。
【0153】
あるいは、式(XI−S)の化合物を、好適に置換された式(VI−S)の化合物と、以下の条件;水と好適に選択された有機溶媒(MTBE、2−メチルTHF、トルエン、及びこれらに類するものなど)との混合物中で、好適に選択された塩基、好ましくは好適に選択された無機塩基(NaOH、KOH、LiOH、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びこれらに類するものなど)、より好ましくはNaOH、より好ましくは30%のNaOHの存在下で、好ましくは約30℃未満の温度、より好ましくは約0℃〜約20℃の範囲の温度、より好ましくは約10℃〜約15℃の範囲の温度で反応させて、対応する式(X−S)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(クロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(O−C1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、好ましくはLG2は反応条件下でLG1よりも活性であり、式(VI−S)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量で存在し、好ましくは塩基は1モル当量(式(VI−S)の化合物のモル量に対して)を超える量で存在し、より好ましくは約1.05〜約2.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.5〜約2モル当量の範囲の量で存在する。
【0154】
好ましくは、好適に選択された溶媒中の式(VI−S)の化合物を、式(XI−S)の化合物と塩基との水溶液に添加する。より好ましくは、MTBE中の式(VI−S)の化合物を、式(XI−S)の化合物と30%のNaOHとの水溶液に添加する。
【0155】
あるいは、式(IX−S)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(VI−S)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(トルエン、THF、アセトニトリル、及びこれらに類するものなど、好ましくはアセトニトリル)中で、好適に選択された還元剤(ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、及びこれらに類するものなど、好ましくはナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)の存在下で、所望により有機酸(TFA、酢酸、及びこれらに類するものなど、好ましくは酢酸)の存在下で、好ましくはほぼ室温〜約50℃の範囲の温度、より好ましくはほぼ室温〜約35℃の範囲の温度で反応させて、対応する式(X−S)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、LG1は好適に選択された第1脱離基(クロロ、ブロモ、フルオロ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、LG2は第2脱離基(O−C1〜4アルキル、−O−フェニル、−O−ベンジル、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びこれらに類するものなど、好ましくはクロロ)であり、好ましくはLG2は反応条件下でLG1よりも活性であり、式(VI−S)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.05モル当量で存在し、好ましくは還元剤は約0.5〜約2.0モル当量(式(IX−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.25モル当量の量で存在し、酸は好ましくは約0.5〜約2.0モル当量(式(IX−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約0.5〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.0モル当量の量で存在する。
【0156】
好ましくは、有機溶媒中で式(VI−S)の化合物を式(IX−S)の化合物と還元剤との混合物に添加する。
【0157】
好ましくは式(X−S)の化合物は遊離塩基として調製し、式(X−S)の化合物を例えば無水HCl(又はHClガス)と反応させて、対応する式(X−S)の化合物を、対応するHCl塩として、好ましくは固体として生成させてもよい。このとき無水HClは、好適に選択された有機溶媒(2−プロパノール、ジエチルエーテル、及びこれらに類するものなど、好ましくは2−プロパノール)に溶解させる。
【0158】
本発明は、下記スキーム5で概要を詳述する、式(I)の化合物の調製プロセスを更に目的とする。
【0159】
【化35】

【0160】
これによると、例えば、本明細書に記載されるように調製された好適に置換された式(X)の化合物又はその対応する製薬上許容され得る塩を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(XII)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(DMA、DMF、NMP、アセトニトリル、及びこれらに類するものなど、好ましくはDMA)中で、好適に選択された第1無機塩基(炭酸セシウム、炭酸カリウム、及びこれらに類するものなど、好ましくは炭酸セシウム)の存在下で、好ましくは約75℃〜ほぼ還流温度の範囲の温度、より好ましくは約90℃〜約125℃の範囲の温度で反応させて、対応する式(Ia)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは式(XII)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(X)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.1〜約1.5モル当量の量で存在し、好ましくは無機塩基は約1.5〜約3.0モル当量(式(X)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.0モル当量の量で存在する。
【0161】
好ましくは式(Ia)の化合物を、IPAなどの有機溶媒中で、HClなどの好適に選択された酸と更に反応させて、式(Ia)の化合物の対応する酸付加塩を生成させる。
【0162】
あるいは、例えば、本明細書に記載されるように調製した好適に置換された式(X)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(XIII)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(トルエン、THF、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど、好ましくはトルエン)中で、好適に選択された第2無機塩基(KOH、KO−t−Bu、NaOH、NaO−t−Bu、及びこれらに類するものなど、好ましくはKOH)の存在下で、所望により、好適に選択されたクラウンエーテル(18−クラウン−6など)などの好適に選択された添加剤又はジグリムなどの好適に選択された添加剤、及びこれらに類するものなどの存在下で、好ましくは60℃〜ほぼ還流温度の範囲の温度、より好ましくはほぼ還流温度で反応させて、対応する式(Ib)の化合物を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは式(XIII)の化合物は約1.0〜約3.0モル当量(式(X)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.2モル当量の量で存在し、無機塩基は好ましくは1.0〜約5.0モル当量(式(X)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.0〜約4.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約3.3モル当量の量で存在し、添加剤は好ましくは触媒量で存在する。
【0163】
好ましくは式(Ib)の化合物を、IPAなどの有機溶媒中で、HClなどの好適に選択された酸と更に反応させて、式(Ib)の化合物の対応する酸付加塩を生成させる。
【0164】
特定の実施形態では、本発明は、以下のスキーム6で概要を詳述する化合物(I−A)及び化合物(I−B)の調製プロセスを目的とする。
【0165】
【化36】

【0166】
これによると、例えば、本明細書に記載されるように調製した好適に置換された式(X−S)の化合物又はその対応する製薬上許容され得る塩、好ましくは式(X−S)の化合物の対応するHCl塩を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(XII−A)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(DMA、DMF、NMP、アセトニトリル、及びこれらに類するものなど、好ましくはDMA又はDMF)中で、好適に選択された第1無機塩基(炭酸セシウム、炭酸カリウム、及びこれらに類するものなど、好ましくは炭酸セシウム)の存在下で、好ましくは約75℃〜ほぼ還流温度の範囲の温度、より好ましくは約90℃〜約125℃の範囲の温度で反応させて、対応する化合物(I−A)を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは式(XII−A)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.1〜約1.5モル当量の量で存在し、好ましくは無機塩基は約1.5〜約3.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.0モル当量の量で存在する。
【0167】
好ましくは化合物(I−A)を、IPAなどの有機溶媒中で、HClなどの好適に選択された酸と更に反応させて、対応する化合物(I−A)の塩を生成させる。
【0168】
あるいは、例えば、本明細書に記載されるように調製した好適に置換された式(X−S)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(XII−B)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(DMA、DMF、NMP、アセトニトリル、及びこれらに類するものなど、又はこれらの混合物、好ましくはDMA又はDMAとアセトニトリルとの混合物)中で、好適に選択された第1無機塩基(炭酸セシウム、炭酸カリウム、及びこれらに類するものなど、好ましくは炭酸セシウム)の存在下で、好ましくは約75℃〜ほぼ還流温度の範囲の温度、より好ましくは約90℃〜約125℃の範囲の温度で反応させて、対応する化合物(I−B)を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは式(XII−B)の化合物は約0.5〜約2.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)範囲の量で、より好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.1〜約1.5モル当量の量で存在し、好ましくは無機塩基は約1.5〜約3.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.5モル当量の量で存在する。
【0169】
好ましくは化合物(I−B)を、有機溶媒中又は有機溶媒の混合物(IPA又はIPAとエチルメチルケトンとの混合物など)中で、HClなどの好適に選択された酸と更に反応させて、対応する化合物(I−B)の塩を生成させる。
【0170】
他の実施形態では、本発明は以下のスキーム7で概要を詳述する、化合物(I−C)の調製プロセスを目的とする。
【0171】
【化37】

【0172】
これによると、本明細書に記載のように調製した好適に置換された式(X−S)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(XIII−C)の化合物と、以下の条件;有機溶媒(トルエン、THF、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど、又は有機溶媒と水との混合物、好ましくはトルエン)中で、好適に選択された第2無機塩基(KOH、KO−t−Bu、NaOH、NaO−t−Bu,及びこれらに類するものなど、好ましくはKOH)の存在下で、所望により、好適に選択されたクラウンエーテル(18−クラウン−6など)などの好適に選択された添加剤又はジグリムなどの好適に選択された添加剤、及びこれらに類するものなどの存在下で、好ましくは60℃〜ほぼ還流温度の範囲の温度、より好ましくはほぼ還流温度で反応させて、対応する化合物(I−C)を生成させる。このスキームにおいて、好ましくは式(XIII−C)の化合物は約1.0〜約3.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.1〜約1.5モル当量の範囲の量で、より好ましくは約1.2モル当量で存在し、好ましくは無機塩基は1.0〜約5.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.0〜約4.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約3.3モル当量の量で存在し、添加剤は好ましくは触媒量で存在する。
【0173】
あるいは、例えば、本明細書に記載されるように調製した、対応する製薬上許容され得る塩として存在する好適に置換された式(X−S)の化合物、好ましくは対応するHCl塩を、好適に選択された第1無機塩基(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及びこれらに類するものなど、好ましくは炭酸ナトリウム)と、以下の条件;有機溶媒(トルエン、THF、2−メチル−THF、及びこれらに類するものなど)又は有機溶媒と水との混合物中(好ましくはトルエン中)で、好適に選択された第2無機塩基(KOH、KO−t−Bu、NaOH、NaO−t−Bu、及びこれらに類するものなど、好ましくはKOH)の存在下で、所望により、好適に選択されたクラウンエーテル(18−クラウン−6(1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカンとしても既知)など)などの好適に選択された添加剤又はジグリム(ビス(2−メトキシエチル)エーテルとしても既知)などの好適に選択された添加剤及びこれらに類するものなどの存在下で、好ましくは60℃〜ほぼ還流温度の範囲の温度、より好ましくはほぼ還流温度で反応させて、式(X−S)の化合物の遊離塩基を遊離させ、好ましくは得られた塩を水性層中に得られる二相混合物から取り出し、遊離した式(X−S)の化合物の遊離塩基を次いで既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(XIII−C)の化合物と反応させて、対応する化合物(I−C)を生成させる。このスキームにおいて、塩基は約1.0〜約2.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.5モル当量の量で存在し、好ましくは式(XIII−C)の化合物は約1.0〜約3.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約1.2モル当量の量で存在し、好ましくは無機塩基は1.0〜約5.0モル当量(式(X−S)の化合物のモル量に対して)の範囲の量で、より好ましくは約2.0〜約4.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約3.3当量の量で存在し、添加剤は好ましくは触媒量で存在する。
【0174】
好ましくは化合物(I−C)を、IPA及びこれらに類するものなどの有機溶媒中で、無水HClなどの好適に選択された酸と更に反応させて、対応する化合物(I−C)の塩を生成させる。
【0175】
本発明は、化合物(I−B)の2種の新規結晶性HCl塩、より具体的には、形態I及び形態IIを更に目的とする。化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態I)の、代表的な粉末X線回折(XRD)スペクトルを図1に示す。化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態II)の、代表的な粉末X線回折(XRD)スペクトルを図2に示す。本発明は、化合物(I−C)の新規結晶性HCl塩を更に目的とする。化合物(I−C)の結晶性HCl塩の、代表的な粉末XRDスペクトルを図3に示す。
【0176】
XPERT−PRO回折計システムを使用して、化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態I)の代表的な試料及び化合物(I−C)の結晶性HCl塩の代表的な試料の、粉末XRDスペクトルを測定した。25℃で試料を従来のX線ホルダに充填(back-loaded)した。各試料を、2θ=0.0170°のステップサイズで各ステップあたり17.44秒の時間を用い、2θ=4〜41°にわたり走査した。機器電圧及び電流設定は、45kV及び40mAであった。
【0177】
化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態II)の代表的な試料を、コンピュータ制御した粉末回折計システム(APD2000(G.N.R.s.r.I.))を使用して測定した。25℃で試料をサンプルチェンジャ用にX線ホルダに充填した。各試料を、2θ=0.01°のステップサイズで各ステップあたり5秒の時間を用い、2θ=3〜40°にわたり走査した。機器電圧及び電流設定は、40kV及び30mAであった。
【0178】
化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態I)を、以下の表1に記載のようなピークを含むX線回折パターンにより特徴付けることができる。
【0179】
【表4】

【0180】
好ましくは、式(I−B)の化合物の結晶性HCl塩(形態I)は、以下の表2に記載されるような約20%以上の相対強度を有するピークを含む粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0181】
【表5】

【0182】
より好ましくは、式(I−B)の化合物の結晶性HCl塩(形態I)は、約25%以上の、より好ましくは約50%以上の相対強度を有するピークを含む粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0183】
化合物(I−B)の結晶性HCl塩(形態II)は、以下の表3に記載のようなピークを含むX線回折パターンにより特徴付けることができる。
【0184】
【表6】

【0185】
好ましくは式(I−B)の化合物の結晶性HCl塩(形態II)は、以下の表4に記載のような約25%以上の相対強度を有するピークを含む粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0186】
【表7】

【0187】
より好ましくは、式(I−B)の化合物の結晶性HCl塩(形態II)は、約50%以上の相対強度を有するピークを含む粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0188】
化合物(I−C)の結晶性HCl塩は、以下の表5に記載のようなピークを含むX線回折パターンによって特徴付けることができる。
【0189】
【表8】

【0190】
好ましくは、式(I−C)の化合物の結晶性HCl塩は、以下の表6に記載されるような、約20%以上の相対強度を有するピークを含む粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0191】
【表9】

【0192】
好ましくは、式(I−C)の化合物の結晶性HCl塩は、約25%以上の、より好ましくは約50%以上の相対強度を有するピークを含む粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0193】
本発明は、本明細書に記載の任意のプロセスによって調製された1種以上の化合物を、製薬上許容できる担体と共に含有する、製薬学的組成物を更に包含する。有効成分として本明細書に記載する本発明の化合物の1種又は複数の化合物を含有する製薬学的組成物は、化合物(1種又は複数)を従来の医薬配合技術に従って医薬担体とよく混合することにより調製することができる。この担体は、所望する投与経路に依存して広い種々の形態(例えば経口、非経口)をとることができる。したがって、懸濁液、エリキシル、及び液剤のような液状経口調製物では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、安定化剤、着色剤などが挙げられ;散剤、カプセル、及び錠剤のような固形経口調製物では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。固体経口調製物は、吸収の主要部位を調節するために、糖のような物質でコートするか、又は腸溶コーティングしてもよい。非経口投与では、担体は通常は滅菌水からなり、そして溶解性を上げるか又は防腐のために他の成分を加えることができる。注入可能な懸濁液又は溶液も、適切な添加剤と一緒に水性担体を使用して調製することができる。
【0194】
本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として本発明の1つ又は複数の化合物を、従来の医薬配合技術に従って医薬担体とよく混合するが、この担体は、投与に所望される製剤の形態、例えば経口若しくは筋肉内のような非経口により多種多様な形態をとることができる。組成物の経口剤形への調製では、任意の通常の医薬媒質を用いることができる。すなわち、懸濁剤、エリキシル剤、及び液剤のような液状経口調製物では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、着色剤などが挙げられ;例えば、散剤、カプセル剤、カプレット、ゲルキャップ、及び錠剤のような固形経口調製物では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。錠剤及びカプセル剤は、投与の容易さから最も都合のよい経口製剤の単位形態を表し、この場合では固形の医薬担体が用いられることは明らかである。所望により、錠剤には、標準的な技術により糖衣をコーティングするか又は腸溶コーティングすることができる。非経口のための担体は、通常、滅菌水を含むが、例えば溶解性を助けるなどの目的のため、又は保存のために他の成分を含んでもよい。注入可能な懸濁剤も調製することもでき、この場合、適切な液状担体、懸濁化剤などを用いることができる。本明細書における製薬学的組成物は、投薬単位、例えば、錠剤、カプセル、散剤、注射、茶さじ1杯など当たり、上記のような有効用量を送達するために必要な量の有効成分を含有する。本明細書の製薬学的組成物は、投薬量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、坐薬、茶さじ一杯などあたり、約0.001〜1,000mg又はこの内の任意の範囲を含み、かつ約0.01〜100mg/kg/日又はこの内の任意の範囲、好ましくは約0.01〜50mg/kg/日又はこの内の任意の範囲、より好ましくは約0.01〜10mg/kg/日又はこの内の任意の範囲、より好ましくは約0.05〜1mg/kg/日又はこの内の任意の範囲の投薬量で与えることができる。しかしながら、投与量は、患者の要求量、処置されている病状の重篤度、及び使用される化合物に応じて変動し得る。連日投与又は断続的(post-periodic)投与の使用のいずれかを用いることができる。
【0195】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下又は直腸投与、又は吸入若しくは送気による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒、無菌非経口溶液又は懸濁液、定量エアゾル又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬などの形態の単位剤である。あるいは組成物は、週に1回若しくは月に1回の投与に適当な形態で与えることができ、例えば、デカン酸塩のような、活性化合物の不溶性の塩を筋肉内注射用のデボー製剤を提供するために適応させることができる。錠剤のような固形組成物を製造するために、主要有効成分を医薬担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム若しくはガムのような通常の錠剤成形成分及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して本発明の化合物若しくはその薬剤として許容される塩の均質な混合物を含有する固形の予配合組成物を生成する。これらの予配合組成物を均質と呼ぶ場合、組成物を錠剤、丸剤及びカプセル剤のような同等に有効な剤形に容易に再分割することができるように、有効成分が組成物の全体にわたって均一に分散していることを意味する。次いでこの固形予配合組成物を0.001〜約1000mg又はこの内の任意の範囲、例えば1mg、5mg、10mg、25mg、30mg、50mg、75mg、100mg、又はこの内の任意の量の本発明の有効成分を、上記の種類の単位剤形態に更に分割する。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、持続性作用の利点を与える剤形を提供するためにコーティングするか又はそれ以外の方法で配合することができる。例えば錠剤若しくは丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含むことができ、後者は前者を包む形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離することができる。様々な物質をそのような腸溶性の層又はコーティングに用いることができ、そのような物質には、シェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような物質と共に多数のポリマー酸が包含される。
【0196】
経口投与又は注入により本発明の新規組成物を組み込み得る液体形としては、水性液剤、好適に香味付けされたシロップ剤、水性又は油性縣濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油のような食用油を含む香味付けされたエマルション、並びにエリキシル剤及び同様の医薬賦形剤が挙げられる。水性懸濁剤の適当な分散剤若しくは懸濁化剤としては、合成及び天然のガム、例えば、トラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン、若しくはゼラチンが挙げられる。
【0197】
本発明に記載される処置方法は、本明細書に定義される任意の化合物、及び製薬学的に許容され得る担体を含む製薬学的組成物を用いて実施してもよい。製薬学的組成物は、約0.001mg〜1000mg又はこの内の任意の範囲の化合物、好ましくは約0.01〜10mg又はこの内の任意の範囲の化合物、より好ましくは約0.01〜1mg又はこの内の任意の範囲の化合物、より好ましくは約0.01〜約0.05mg又はこの内の任意の範囲の化合物を含有してもよく、選択された投与方法に関して好適な任意の形態で構成することができる。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない必要かつ不活性な医薬賦形剤を包含する。経口投与用に好適な組成物は丸剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ、迅速放出、時限放出及び持続放出製剤を含む)、顆粒、及び散剤などの固体形態、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、及び懸濁剤などの液体形態を含む。非経口投与用に有用な形態は、無菌溶液、乳液、及び懸濁液を含む。
【0198】
有利には、本発明の化合物は1日に1回の用量で投与することができ、又は1日の全投薬用量を1日当たり2、3、又は4回の用量に分割して投与してもよい。更に、本発明の化合物は、当業者に周知な適切な鼻内賦形剤の局所的使用を介して、又は経皮的な皮膚パッチを介して鼻に投与することができる。経皮的送達系の状態で投与するためには、投薬はもちろん投薬計画を通して断続的ではなく連続的である。
【0199】
例えば、錠剤若しくはカプセル剤の形態の経口投与には、活性薬剤成分をエタノール、グリセロール、水などのような経口用の無毒の薬剤として許容される不活性担体と合わせることができる。更に、所望若しくは必要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤、及び着色剤もまた、混合物に包含することができる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース又はベーターラクトースのような天然の糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカント、又はオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。錠剤崩壊剤には、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴム及び同様物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0200】
液体は、合成及び天然のガム、例えば、トラガカント、アカシア、メチルセルロースなどのような適当に風味を加えた懸濁化剤若しくは分散剤中に形成する。非経口投与には、滅菌懸濁剤及び液剤が望ましい。静脈内投与が所望される場合、適当な防腐剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0201】
本発明の製薬学的組成物を調製するには、有効成分としての式(I)の化合物を、従来の製薬学的配合技術に従って、医薬担体と共に緊密に混合するが、担体は、投与(例えば、経口又は非経口)に所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。薬剤として許容される好適な担体は、当技術分野で周知である。これらの薬剤として許容される担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会(American Pharmaceutical Association)及び英国薬剤師会(Pharmaceutical Society of Great Britain)により出版されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見出すことができる。
【0202】
製薬学的組成物を配合する方法は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Second Edition,Revised and Expanded,Volumes 1〜3,Liebermanら編;Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Volumes 1〜2,Avis et al;及びPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Volumes 1〜2,Liebermanら編;Marcel Dekker,Inc出版などの多数の出版物に記載されている。
【0203】
本発明の化合物は、ヒスタミンH3受容体により介在される疾病、疾患又は状態の処置が必要な際にはいつでも、任意の前述の組成物で、当技術分野で確立された投与計画に従って投与することができる。
【0204】
製品の1日用量は、ヒト成人につき1日当たり0.001〜1,000mg、又はこの内の任意の範囲の幅広い範囲で変動し得る。経口投与用に、組成物は、処置されるべき患者の用量の症状による調整のために、好ましくは0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500ミリグラムの活性成分を含む錠剤形態で提供される。薬物の有効量は、通常、1日当たり約0.01mg/kg体重〜約100mg/kg体重、又はこの内の任意の範囲の投薬量レベルで供給される。好ましくは、範囲は、1日当たり約0.01〜約50.0mg/kg体重、又はこの内の任意の範囲である。より好ましくは、1日当たり約0.01〜約10.0mg/kg体重、又はこの内の任意の範囲である。より好ましくは、1日当たり約0.01〜約1.0mg/kg体重、又はこの内の任意の範囲である。化合物は、1日当たり1〜4回の投薬計画で投与されてもよい。
【0205】
投与する最適投薬量は、当業者により容易に決定されることができ、そして使用する特定の化合物、投与の形態、調製物の強度、投与の様式、及び疾患症状の進展で変動する。更に、患者の年齢、体重、食事、及び投与時期を含め、処置する特定の患者と関連する因子が、投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0206】
当業者は、適切な既知の、及び一般的に受け入れられている細胞及び/又は動物モデル使用したインビボ及びインビトロ試験の両方で、上記障害を処置し、又は防止するための試験化合物の能力が予測されることを認識している。
【0207】
当業者は更に、健康な受診者及び/又は上記障害に罹患している患者を対象としたヒト初回投与(first-in-human)、用量範囲及び効力試験を含むヒトの臨床試験を、臨床及び医学分野で周知な方法に従い実施できることを認識するであろう。
【0208】
以下の実施例は本発明の理解を助ける目的で説明され、そして添付する特許請求の範囲で説明される本発明をどのようにも限定するものと解釈されるべきではない。
【0209】
以下の実施例において、いくつかの合成生成物は、残留物として単離されたものとして列挙されている。当業者は、用語「残留物」が、生成物が単離された物理的状態を限定するものではなく、例えば、固体、油、発泡体、ゴム、シロップなどを含み得ることを理解するであろう。
【実施例】
【0210】
(実施例1)
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル−メタノン
【0211】
【化38】

【0212】
ホモピペラジン(385.62g、3.85mol)のTHF(3.9L)溶液を内部温度が0℃になるまで冷却し、エチル6−クロロニコチン酸(285.82g、1.54mol)を5分かけてTHF(0.57L)に添加した。10分にわたって撹拌した後、得られた混合物にn−ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、335mL、0.77mol)を40分かけて添加した。得られた混合物を2時間にわたって0℃で撹拌した後、次いで1時間かけて20℃に加温した。更に15時間20℃に加温した後、得られた混合物を1MのNaOAc/HOAc緩衝液(5L)(47.35gの酢酸ナトリウムと253.2mLの酢酸を水により合計容量5Lに希釈することで調製)で処理した。得られた層を分離し、次いで50%のNaOH水溶液(153mL)で水性層のpHを8.0から11.35に上昇させた。塩基性層をジクロロメタン(2×4L)で抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮したところ、粘性の油が生成した。
【0213】
1H−NMR:(400MHz,CDCl3)δ,8.46−8.45(m,1H),7.75−7.72(m,1H),7.40−7.38(m,1H),3.80−3.75(m,2H),3.49−3.44(m,2H),3.09−3.06(m,1H),2.96−2.89(m,3H),1.95−1.88(m,1H),1.75−1.70(m,1H)
【0214】
MS(電気スプレー):C1114ClN3Oについて算出された正確な質量239.08;m/z実測値240.1[M+H]+。
【0215】
(実施例2)
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル−メタノン
【0216】
【化39】

【0217】
ホモピペラジン(12.5g、125mmol)とエチル−6−クロロニコチン酸(9.28g、50mmol)とのTHF(150mL)溶液を0℃に冷却し、次いで20分かけてLiOEt(THF中1M、50mL、50mmol)を添加した。得られた混合物を0℃で2時間にわたって撹拌し、次いで20℃に加温して、17時間にわたってこの温度で保持した。得られた混合物を次いで1.53gのNaOAcと8.2mLの酢酸とを含有している水溶液162mLで処理した。得られた層を分離して、有機層をヘキサン(50mL)で希釈して、上記で利用したものと同一の水溶液で再度抽出した。次いで50% NaOH水溶液(15mL)の添加により水性層のpHを10に上昇させた。ジクロロメタン(3×250mL)の抽出後、組み合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮したところ、表題化合物が油として生成した。
【0218】
(実施例3)
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノン
【0219】
【化40】

【0220】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル−メタノン(255.1g、1.06mol)のジクロロエタン(3.0L)溶液にシクロブタノン(108.1mL、1.45mol)を添加した。1時間の経時後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(308.2g、1.45mol)を4等分して1.5時間かけて添加した。得られた混合物を20時間にわたって撹拌し、次いでNaOH(141.3g、3.53mol)を含有している水溶液2.5Lでクエンチした。30分にわたって撹拌した後、層を分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮したところ、表題化合物が油として生成した。
【0221】
(実施例4)
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノンの精製
上記実施例4で調製した油を、以下のような対応する酒石酸塩の形成により精製した。
【0222】
エタノール(3.0L)中の(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル)−メタノン(311.5gが実際に所望される、1.06mol)油にL−酒石酸(167.05g、1.11mol)を添加した。得られた不均質な懸濁液を45分かけて80℃に加温し、1時間にわたって保持した。得られた混合物を次いで3時間かけて20℃に冷却し、20℃で1時間にわたって撹拌した。得られた固体を濾過し、エタノール(1L)で洗浄した。得られた物質を43℃で真空下で乾燥させたところ、オフホワイトの固体(対応する酒石酸塩すなわち(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル)−メタノン)が生成した。
【0223】
次いで酒石酸塩の一部を反応させたところ、以下のような(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル)−メタノン遊離塩基が生成した。
【0224】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノン・L−酒石酸(172g、386.9mmol)と、iPrOAc(1.5L)と、1NのNaOH水溶液(1.5L)との混合物を十分混合し、得られた層を分離した。水性層を追加のiPrOAc(1.5L)で抽出し、この有機層の組み合わせを硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過し、濃縮した後、(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル)−メタノンが黄色の油として得られた。
【0225】
1H−NMR:(400MHz,CDCl3)δ,8.46−8.45(m,1H),7.75−7.72(m,1H),7.40−7.38(m,1H),3.80−3.75(m,2H),3.49−3.44(m,2H),3.09−3.06(m,1H),2.96−2.89(m,3H),1.95−1.88(m,1H),1.75−1.70(M,1H)
【0226】
MS(電気スプレー):C1114ClN3Oについて算出された正確な質量239.08;m/z実測値240.1[M+H]+。
【0227】
(実施例5)
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル
【0228】
【化41】

【0229】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノン(101.0g、343.8mmol)のジメチルアセトアミド(1.1L)溶液にCs2CO3(224g、687.6mmol)とm−シアノフェノール(81.9g、687.6mmol)を添加した。得られた混合物を125℃に加温し、20時間にわたって撹拌した。室温まで冷却した後、得られた混合物を濾過し、濾液に酢酸(1.5L)を添加した。得られた混合物を減圧下で濃縮したところ、茶色の残留物が生成し、これをMTBE(1.5L)と1NのNaOH水溶液(1.5L)とに取り込んだ。得られた層を、十分に混合した後で分離した。有機抽出層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮したところ、表題化合物が茶色の油として生成した。
【0230】
1H−NMR:(400MHz,CDCl3)δ,8.22(s,1H),7.84(dd,J=8.4,2.4Hz,1H),7.55−7.37(m,4H),7.03(d,J=8.4Hz,1H),3.77(m,2H),3.53(m,2H),2.98−2.8(m,1H),2.70−2.58(m,1H),2.55−2.35(m,3H),2.15−1.53(m,8H)
【0231】
MS(電気スプレー):C222442について算出された正確な質量376.19;m/z実測値377.2[M+H]+。
【0232】
(実施例6)
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル・HCl
【0233】
【化42】

【0234】
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル(10.4g、27.6mmol)のイソプロパノール(80mL)スラリーを50℃に加温した。得られた溶液に無水HCl(5.54mL、IPA中5MのHCl、27.7mmol)を添加した。得られた混合物を1時間かけて20℃に冷却し、次いで20時間にわたって20℃に保持した。得られたスラリーを濾過し、イソプロパノールで洗浄し、真空オーブン中で50℃で乾燥させたところ、表題化合物がオフホワイトの結晶性固体として生成した。
【0235】
(実施例7)
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル・HCl
【0236】
【化43】

【0237】
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル(114g、302.8mmol)のIPA(900mL)溶液を40℃に加温した。得られた溶液に無水HCl(IPA中5〜6Mの溶液、60.6mL、302.8mmol)を添加した。種結晶(例えば、上記実施例6に記載のように調製できる)の添加後、得られた混合物を35℃に冷却し、2時間にわたって保持した。得られた混合物を室温に冷却し、濾過し、IPA(220mL)で洗浄し、単離された残留物を50℃で乾燥させたところ、表題化合物がオフホワイトの結晶性固体として生成した。
【0238】
1H−NMR:(400MHz,DMSO)δ,11.45(bs,1H),8.29(bs,1H),8.01(bd,J=7.8Hz,1H),7.82−7.5(m,4H),7.2(d,J=8.5Hz,1H),4.1(m,1H),3.8−3.3(m,6H),3.1−2.8(m,2H),2.49−2.25(m,3H),2.25−1.9(m,3H),1.8−1.55(m,2H)
【0239】
(実施例8)
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン
【0240】
【化44】

【0241】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノン(32.7g、111.3mmol)のトルエン(470mL)溶液にテトラヒドロ−ピラン−4−オール(13.6g、133.6mmol)、18−クラウン−6(1.47g、5.565mmol)、次いでKOH(粉砕固体、20.6g、367.3mmol)を添加した。得られた不均質な混合物を110℃に加温し、3時間にわたって撹拌した。室温まで冷却した後、水(470mL)を添加し、得られた層を十分に混合した後に分離した。有機抽出層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮したところ、表題化合物が黄色の油として生成した。
【0242】
1H−NMR:(400MHz,CDCl3)δ,8.21(s,1H),7.65(dd,J=8.5,2.4Hz,1H),6.73(dd,J=8.5,0.6Hz,1H),5.31−5.21(m,1H),4.02−3.94(m,2H),3.78−3.72(m,2H),3.61(ddd,J=11.9,9.1,2.9Hz,2H),3.57−3.49(m,2H),2.96−2.80(m,1H),2.66−2.58(m,1H),2.54−2.40(m,3H),2.11−1.91(m,5H),1.90−1.73(m,5H),1.71−1.56(m,2H)
【0243】
MS(電気スプレー):C202933について計算された正確な質量359.22;m/z実測値360.2[M+H]+。
【0244】
(実施例9)
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン・HCl
【0245】
【化45】

【0246】
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン(200mg,0.56mmol)のイソプロパノール(1.5mL)溶液に無水HCl(112μL、IPA中5MのHCl、0.56mmol)を添加した。得られたスラリーを80℃に加温し、次いで45℃に冷却して一晩撹拌した。更に室温へと冷却した後、表題化合物を白色の結晶性固体として単離した。
【0247】
(実施例10)
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン・HCl
【0248】
【化46】

【0249】
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン(6.17g、17.2mmol)のIPA(100mL)溶液に、無水HCl(IPA中5〜6M溶液、3.44mL、17.2mmol)を添加した。得られた混合物を次いで80℃に加温した後に60℃に冷却し、沈殿を促進した。この時点で種結晶(例えば上記実施例9に記載のように調製できる)を添加した。得られた混合物を室温に冷却し、濾過し、IPA(50mL)で洗浄し、50℃で乾燥させたところ、表題化合物がその対応するHCl塩として、白色の結晶性固体として生成した。
【0250】
1H−NMR:(400MHz,DMSO)δ,11.46(bs,1H),8.29(bs,1H),7.82(bd,J=7.6Hz,1H),6.86(d,J=8.8Hz,1H),5.22(m,1H),4.18−3.22(m,11H),3.10−2.90(m,2H),2.48−2.25(m,3H),2.25−1.97(m,5H),1.78−1.59(m,4H)
【0251】
2030ClN33の元素分析:計算値:C,60.67;H,7.64;N,10.61;Cl,8.95;実測値:C,60.71;H,7.90;N,10.50;Cl,8.88
【0252】
(実施例11)
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル)−[6−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン
【0253】
【化47】

【0254】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノン(308mg、1.05mmol)と、炭酸セシウム(683mg、2.1mmol)と、4−フルオロフェノール(235mg、2.1mmol)と、N,N−ジメチルアセトアミド(5mL)との混合物を15時間にわたって110℃に加熱した。得られた混合物を次いで冷却し、濾過し、酢酸(10mL)で希釈した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、次いでMTBE(10mL)と1NのNaOH水溶液(10mL)との間で分画した。有機層をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、濃縮したところ、表題化合物が黄色の油として生成した。
【0255】
1H−NMR:(400MHz,CDCl3)δ,8.23(d,J=2.1Hz,1H),7.78(dd,J=8.5,2.4,1H),7.15−7.05(m,4H),6.94(dd,J=8.4,0.6Hz,1H),3.82−3.7(m,2H),3.6−3.45(m,2H),2.95−2.8(m,1H),2.65−2.57(m,1H),2.55−2.4(m,3H),2.1−1.55(m,8H)
【0256】
(実施例12)
ホモピペラジン−シクロブチルアミナール
【0257】
【化48】

【0258】
窒素雰囲気下で、ホモピペラジン([1,4]−ジアゼパンとしても既知、30.05g、0.3mol、1当量)をトルエン(150g)に溶解させた。得られた溶液にシクロブタノン(21.03g、0.3mol、1当量)を添加した。得られた混合物を100kPa(1000mbar)で2時間にわたって約80〜87℃に加熱し、次いで80kPa(800mbar)で2時間にわたって約90〜125℃に加熱した。反応の結果として形成された水を、Dean−Stark装置を使用して除去した(約5.4g)。次いで残留溶媒を留去したところ、残留物として、オレンジ色の油として表題化合物が生成した。この油は、更なる精製を行わずに、次の工程で使用した。
【0259】
(実施例13)
1−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン
【0260】
【化49】

【0261】
窒素雰囲気下で、32%の水性塩化水素酸(227.9g、2mol、4当量)を、−5℃〜0℃の範囲の温度に冷却した。上記実施例12のように調製したホモピペラジン−シクロブチルアミナール(89.6g、0.5mol)を、反応混合物の内部温度を−5℃〜0℃に維持しながら滴加した(約1〜2時間)。得られた混合物に、次いで水酸化ナトリウム(6.7g、30%のNaOH水溶液、0.05mol、0.1当量)で安定化した水素化ホウ素ナトリウム(18.9g、0.5mol、1当量)の水(37.5g)溶液を、反応混合物の温度を−2℃〜2℃に維持しながら添加した(約2〜3時間)。添加後に、得られた混合物を20〜25℃に加温し、一晩撹拌した。得られた混合物を次いで30%の水酸化ナトリウム(273.4g、2.05mol、2.01当量)で中和した後、MTBE(3×111g)で抽出した。有機層を組み合わせ、得られた懸濁液を濾過し、フラスコとフィルタケーキをMTBE(14.8g)で洗浄した。残留した任意の残留溶媒を除去したところ、表題化合物が帯黄色の油として生成し、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0262】
(実施例14)
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノンHCl塩
【0263】
【化50】

【0264】
6−クロロニコチン酸クロリド(25.0g、137.8mmol、1当量)を2−メチル−THF(328.0g)に溶解させた。次いで1−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン(上記実施例13のように調製、24.1g、147.8mmol、1.05当量)の2−メチル−THF(164.0g)溶液を、反応混合物の温度を35℃未満に維持しながら反応混合物に添加した(約45分〜1.5時間)。得られた懸濁液を室温で16時間にわたって撹拌し、次いで約0〜5℃に冷却した後、2時間にわたって0℃に維持した。濾過により表題化合物を単離し、2−メチル−THF(2×45.0g)で洗浄した後、真空下で60℃で乾燥させたところ、表題化合物が白色の固体として生成した。
【0265】
(実施例15)
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノンHCl
(直接カップリング)
【0266】
【化51】

【0267】
約20〜25℃で、95%のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(4.34g、19.45mmol)のTHF(30.0g)懸濁液にホモピペラジン−シクロブチルアミナール(2.70g、17.74mmol)のTHF(5.4g)溶液を添加し、得られた混合物を1時間にわたって撹拌した。得られた混合物に次いで97%の6−クロロニコチン酸クロリド(3.0g、16.53mmol)のTHF溶液(12.0g)を添加し、得られた混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。次いで過剰なナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを水(5.0g)でクエンチした。15分撹拌した後、10%のNaOH水溶液(16.5g)を添加し、混合物を25分間にわたって撹拌した。得られた層を分離し、有機層を食塩水(10.5g)で洗浄した。有機層を再度分離し、濾過した。次いで有機層にトルエン(16.2g)を添加し、溶媒の一部を22kPa(220mbar)で、45℃にて留去した。38℃で6NのHClのイソプロパノール溶液を滴加したところ、2層の形成が生じた。追加のイソプロパノール(2.6g)を添加した。溶媒を次いで完全に除去したところ、帯黄色の発泡体残留物が生成した。残留物をエタノール(12.0g)に溶解させ、MTBE(50g)を添加したところ、沈殿物が形成した。得られた混合物を50℃に加熱し、室温へと徐冷し、一晩撹拌した。濾過により表題化合物を単離し、MTBE(2×20g、1×10g)で洗浄し、真空下で45℃で乾燥させたところ、白色の固体が生成した。
【0268】
(実施例16)
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−[6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン・HCl
【0269】
【化52】

【0270】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノン(20.0g、51mmol)と、炭酸ナトリウム(8.0g、75.5mmol)と、水(72.0g)とトルエン(100.0g)とを室温で30分間にわたって混合した。得られた二相混合物を分離し、水性層を除去した。残った有機層を減圧下で濃縮したところ、黄色の油が生成した(14.97g)。テトラヒドロピラン−4−オール(6.24g、61.1mmol)と水酸化カリウム(4.75g、84.7mmol)とトルエン(200g)を添加し、得られた混合物を加熱して還流し、反応で生じた水をDean−Stark装置で除去した。得られた混合物を20〜30℃に冷却し、水(80.0g)を添加した。得られた混合物を10分にわたって撹拌し、層を分離させて水性層を除去した。有機層をわずかに濃縮させて任意の量の持ち込み水を除去し、次いで60〜70℃で、6NのHClのイソプロパノール(10.98g、61.2mmol)とトルエン(70g)との混合物で処理した。得られる懸濁液を1時間にわたって60℃に維持し、次いで約3時間かけて0〜5℃に冷却し、次いで30分にわたって0℃に維持した。濾過により沈殿物を単離し、トルエン(2×10g)で洗浄し、減圧下で乾燥させたところ、表題化合物が白色の固体として生成した。
【0271】
再結晶化:上記のように調製した白色の固体(13.5g、34.1mmol)を還流しながらイソプロパノール(265.0g)に溶解させた。得られた混合物を約40分かけて55〜65℃に冷却している間に、結晶化がゆっくりと始まった。得られた混合物を2時間にわたって55〜65℃に維持し、次いで室温に冷却して一晩保持した。得られた混合物を45℃に再加熱し、この温度で2.5時間にわたって保持した。得られた懸濁液を次いで約1.5時間かけて0〜5℃に冷却した後、この温度で1時間にわたって保持した。濾過により表題化合物を単離し、イソプロパノール(2×15g)で洗浄し、減圧下で75〜100℃で乾燥させたところ、白色の固体が生成した。
【0272】
(実施例17)
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル
【0273】
【化53】

【0274】
リアクタに(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル−メタノン塩酸塩(20.0g、60.6mmol)と、3−ヒドロキシベンゾニトリル(10.8g、90.7mmol)と、炭酸セシウム(52.5g、151.6mmol)と、アセトニトリル(62.6g)と、ジメチルアセトアミド(50.0g)とを充填した。得られた帯黄色の懸濁液を加熱して約15分かけて還流(95℃)し、65分にわたって還流を維持した。次いで温度が約105〜110℃に上昇するまで、アセトニトリルを留去した。得られた混合物を105〜110℃で5時間にわたって撹拌し、次いで20℃に冷却して、この温度で一晩保持した。得られた混合物を次いで再加熱して更に4時間15分にわたって還流した後、65℃に冷却し、セシウム塩を濾去し、リアクタを介してフィルタケーキをアセトニトリル(20.5g)で洗浄した。濾液に水(60.1g)を添加し、次いでアセトニトリルを減圧留去(50〜55℃、25−7kPa(250−70mbar))した。得られた残留物を45℃でMTBE(65.0g、各回)で2回抽出した。組み合わせた有機層を、45℃で2NのNaOH水溶液(20g)と水(2×20g)で洗浄した。次いで有機層からほぼ50%の溶媒を留去し、結晶質形態の所望の生成物の種結晶をいくらか添加した。得られた混合物を次いで約2.5時間かけて室温に冷却し、この温度で一晩保持した。得られた混合物を35℃に加熱し、シクロヘキサン(100.0g)を約1.5時間かけて添加した。得られたわずかにピンク色がかった粘性の懸濁液を1時間にわたって35℃に保持し、次いで2時間かけて15℃に冷却し、2時間にわたって15℃に保持し、約1時間かけて0℃に冷却し、1時間10分にわたって0℃に保持した。濾過により表題化合物を単離し、シクロヘキサンで洗浄し、真空下で50℃にて乾燥させたところ、オフホワイトの固体が生成した。
【0275】
(実施例18)
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル・HCl
【0276】
【化54】

【0277】
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル(上記実施例17のように調製、14.0g、37.2mmol)を、室温でエチルメチルケトン(112.0g)とイソプロパノール(7.0g)に溶解させた。得られた溶液を濾過し(完全濾過)、リアクタとフィルタをエチルメチルケトン(28.0g)で洗浄した。次いで得られた溶液を55〜60℃に加熱し、HClの37%水溶液(2.10g、21.3mmol)を15分かけて滴加した5分後、所望の結晶質形態の種結晶をいくらか(0.05g)添加した。得られた混合物を38分にわたって55〜57℃に保持し、次いで30分かけてHClの37%水溶液(2.10g、21.3mmol)を滴加した。得られた白色懸濁液を1時間20分にわたって55〜60℃に維持し、次いで約3時間かけて25℃に冷却し、この温度で一晩保持した。得られた混合物を次いで0〜5℃に冷却し、この温度で1.5時間にわたって保持した。濾過により表題化合物を単離し、エチルメチルケトン(2×28g)で洗浄し、真空下で80℃にて乾燥させたところ、白色の結晶質固体が生成した。
【0278】
(実施例19)
(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル)−[6−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノンHCl
【0279】
【化55】

【0280】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパム−1−イル−メタノン塩酸塩(2.0g、5.83mmol)と、4−フルオロフェノール(1.0g、8.92mmol)と、炭酸セシウム(5.8g、17.8mmol)とのジメチルアセトアミド(15.0g)懸濁液を100〜110℃で撹拌した。4.5時間後、濾過によりセシウム塩を取り除き、フィルタケーキをt−ブチルメチルエーテル(3×4.0g)で洗浄した。濾液に水(15.0g)を添加し、得られた混合物を40〜45℃で10分にわたって撹拌した。得られた層を分離し、水性層をt−ブチルメチルエーテル(各回12.0g及び6.0g)で2回洗浄した。有機層を組み合わせた後、2NのNaOH水溶液(2.5g)と水(2×2.5g)で洗浄した。次いで有機層を濃縮し(約4.5gに)、得られた残留物にトルエン(10.0g)を添加した。得られた混合物に、次いで45℃で6NのHClのイソプロパノール(1.3g、7.84mmol)溶液を滴加した。表題化合物を沈殿物として確認した(結晶化の開始の約10分後に最初は油として形成された)。得られた混合物を45℃で2時間にわたって撹拌し、次いで5時間かけて0℃に冷却して、この温度で10時間保持した。濾過により表題化合物を単離し、トルエンで洗浄し、真空下で55℃で乾燥させたところ、白色の固体が生成した。
【0281】
(実施例20)
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノンHCl塩
【0282】
【化56】

【0283】
1−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン(例えば、上記実施例13のように調製、20.0g、129.7mmol、1.00当量)と、水(95.2g)と、NaOH 30%水溶液(34.6g、259.5mmol、2.00当量)との混合物を10〜15℃に冷却した。得られた混合物に、6−クロロニコチン酸クロリド(24.0g、136.4mmol、1.05当量)のMTBE(250.0g)溶液を、10〜15℃で約30〜45分かけて、激しく撹拌しながら添加した。得られたエマルションを、層を分離させる前に45〜60分にわたって(for 45-60℃)10〜20℃に維持した。水性層を除去し、有機層を水(25.0g)で洗浄した。水性層の除去後、有機層を蒸留により濃縮し(140gの溶媒を留去)、エタノール(120g)を添加した後、更に溶媒を留去した(170gの溶媒)。得られた溶液を次いで約50〜60℃に加熱し、HCl(気体,4.8g、130.2mmol)のエタノール(9.1g)溶液を滴加した。得られた溶液を43〜45℃に冷却し、表題化合物の種結晶を加えた。生成物を約4〜6時間にわたって撹拌しながら43〜45℃でゆっくりと結晶化させた。MTBE(1.5〜2時間かけて60g、0.5〜1時間かけて120g)を添加し、得られた混合物を次いで1〜2時間かけて室温に冷却し、1〜2時間にわたって維持した後に表題化合物を濾過により単離し、MTBE(2×40g)で洗浄し、減圧下で65〜75℃で2日間にわたって乾燥させたところ、表題化合物が白色の固体として生成した。
【0284】
(実施例21)
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル・HCl
【0285】
【化57】

【0286】
3−[5−(4−シクロブチル−[1,4]ジアゼパン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル・HCl(例えば上記実施例18のように調製、5.0g、12.1mmol)を室温にてエタノール(15.0g)でスラリーにした。得られた混合物を加熱して、固体が完全に溶解するまで還流した。得られた溶液に次いで70℃で2−プロパノール(45.0g)を添加した。80〜85℃で20分にわたって撹拌した後、わずかに濁った溶液を15分かけて55℃に冷却し、種結晶を添加した。得られた混合物を15分にわたって55℃に保持し、次いで4時間かけて15℃に冷却し、一晩撹拌したところ、粘性の白色の懸濁液が生じた。0℃へと冷却し、2時間にわたって撹拌した後、濾過により表題化合物を単離し、2−プロパノール(10g)で洗浄し、減圧下で20〜75℃にて乾燥させたところ、白色の結晶性固体が生成した(形態IIとして)。
【0287】
(実施例22):経口製剤(予想される実施例)
経口組成物の具体的な実施形態として、実施例20で調製した化合物100mgを、十分な微粉乳糖と共に配合し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤に充填する。
【0288】
(実施例23):経口製剤(予想される実施例)
経口組成物の具体的な実施形態として、実施例16で調製した化合物100mgを、十分な微粉乳糖と共に配合し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤に充填する。
【0289】
(実施例24):経口製剤(予想される実施例)
経口組成物の具体的な実施形態として、実施例19で調製した化合物100mgを、十分な微粉乳糖と共に配合し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤に充填する。
【0290】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例とともに、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の「特許請求の範囲」及びそれらの等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又は製薬上許容され得る塩、製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスであって、
【化1】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは1〜2の整数であり;
2は−OCHR34及び−Z−Arからなる群から選択され;
3は水素であり、R4はC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環であり;前記C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
あるいは、R3及びR4は結合している炭素原子と一緒になってC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環を形成し;前記C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
ZはS及びOからなる群から選択され;
Arはフェニル又はヘテロアリールであり;該フェニル又はヘテロアリールは、未置換であるか又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換され;各R5置換基はハロゲン、−C1〜4アルキル、−OH、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−CN、−CONRab、及び−NO2からなる群から独立して選択され;Ra及びRbはそれぞれ独立して−H又は−C1〜4アルキルであり;
【化2】

前記プロセスは、有機溶媒中で、塩基の存在下で式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて、対応する式(VII)の化合物を生成させることであって、LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である、式(VII)の化合物を生成させることと;
【化3】

有機溶媒中で、還元剤の存在下で前記式(VII)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(X)の化合物を生成させることと;
【化4】

有機溶媒中で、第1無機塩基の存在下で前記式(X)の化合物を式(XII)の化合物と反応させて、あるいは
有機溶媒中で、第2無機塩基の存在下で前記式(X)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、
対応する式(I)の化合物を生成させることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
1がシクロブチルであり、mが1であり、R2が4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、4−テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、LG1がクロロであり、LG2がクロロである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
式(I−E)の化合物、又は製薬上許容され得る塩、製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスであって、
【化5】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは2であり;
2は−OCHR34及び−Z−Arからなる群から選択され;
3は水素であり、R4はC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環であり;前記C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
あるいは、R3及びR4は結合している炭素原子と一緒になってC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環を形成し;前記C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
ZはS及びOからなる群から選択され;
Arはフェニル又はヘテロアリールであり;該フェニル又はヘテロアリールは、未置換であるか又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換され;各R5置換基はハロゲン、−C1〜4アルキル、−OH、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−CN、−CONRab、及び−NO2からなる群から独立して選択され;Ra及びRbはそれぞれ独立して−H又は−C1〜4アルキルであり;
【化6】

前記プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で、式(V−S)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(IX)の化合物を生成させることと;
【化7】

未希釈で、水中又は水性有機溶媒中で、前記式(IX)の化合物を還元剤と反応させて、対応する式(XI)の化合物を生成させることと;
【化8】

有機溶媒中で、前記式(XI)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて(LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である)、
あるいは、水と有機溶媒との混合物中で、塩基の存在下で前記式(XI)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて(LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である)、式(X−E)の化合物を生成させることと;
【化9】

有機溶媒中で、第1無機塩基の存在下で前記式(X−E)の化合物を式(XII)の化合物と反応させて、あるいは
有機溶媒中で、第2無機塩基の存在下で前記式(X−E)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、
対応する式(I−E)の化合物を生成させることと、を含む、プロセス。
【請求項4】
前記R1がシクロブチルであり、mが1であり、R2が4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、4−テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、LG1がクロロであり、LG2がクロロである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
式(I−E)の化合物、又は製薬上許容され得る塩、製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスであって、
【化10】

式中、
1はC1〜4アルキル及びC3〜10シクロアルキルからなる群から選択され;
mは2であり;
2は−OCHR34及び−Z−Arからなる群から選択され;
3は水素であり、R4はC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環であり;前記C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
あるいは、R3及びR4は結合している炭素原子と一緒になってC3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環を形成し;前記C3〜10シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は、未置換であるか又は−C1〜4アルキル若しくはアセチルにより置換され;
ZはS及びOからなる群から選択され;
Arはフェニル又はヘテロアリールであり;該フェニル又はヘテロアリールは、未置換であるか又は1つ、2つ若しくは3つのR5置換基により置換され;各R5置換基はハロゲン、−C1〜4アルキル、−OH、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−CN、−CONRab、及び−NO2からなる群から独立して選択され;Ra及びRbはそれぞれ独立して−H又は−C1〜4アルキルであり;
【化11】

前記プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で、式(V−S)の化合物を所望のR1置換基のアルデヒド又はケトン誘導体と反応させて、対応する式(IX)の化合物を生成させることと;
【化12】

有機溶媒中で、還元剤の存在下で前記式(IX)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて、対応する式(X−E)の化合物を生成させることであって、LG1が第1脱離基であり、LG2が脱離基である、式(X−E)の化合物を生成させることと;
【化13】

有機溶媒中で、第1無機塩基の存在下で前記式(X−E)の化合物を式(XII)の化合物と反応させて、あるいは
有機溶媒中で、第2無機塩基の存在下で式(X−E)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、
対応する式(I−E)の化合物を生成させることと、を含む、プロセス。
【請求項6】
1がシクロブチルであり、mが1であり、R2が4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、4−テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、LG1がクロロであり、かつLG2がクロロである、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
式(I−C)の化合物、又は製薬上許容され得る塩、製薬上許容され得るプロドラッグ、あるいはこれらの製薬上活性な代謝産物の調製プロセスであって、
【化14】

前記プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で式(V−S)の化合物を式(VIII−S)の化合物と反応させて、対応する式(IX−S)の化合物を生成させることと;
【化15】

未希釈で、水中で又は有機溶媒中で、前記式(IX−S)の化合物を還元剤と反応させて、対応する式(XI−S)の化合物を生成させることと;
【化16】

有機溶媒中で、前記式(XI−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて(LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である)、
あるいは、水と有機溶媒との混合物中で、塩基の存在下で式(XI−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて(LG1が第1脱離基であり、LG2が第2脱離基である)、
対応する式(X−S)の化合物を生成させることと;
【化17】

有機溶媒中で、第2無機塩基の存在下で前記式(X−S)の化合物を式(XII−C)の化合物と反応させて、対応する化合物(I−C)を生成させることと、を含む、プロセス。
【請求項8】
前記式(VIII−S)の化合物が、約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で存在する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記式(VIII−S)の化合物が約1.05モル当量の量で存在する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記式(V−S)の化合物を有機溶媒中で前記式(VIII−S)の化合物と反応させ、かつ前記溶媒がトルエンである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
前記式(V−S)の化合物をほぼ還流温度の温度で前記式(VIII−S)の化合物と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
前記式(IX−S)の化合物を酸の存在下で前記還元剤と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項13】
前記酸が塩化水素酸であり、約3.0〜約5.0モル当量の範囲の量で存在する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記還元剤を、約0.1モル当量の水酸化ナトリウムで安定化させた水溶液として添加する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項15】
前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項16】
前記水素化ホウ素ナトリウムが約0.5〜約1.5モル当量の範囲の量で存在する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記式(IX−S)の化合物を、約−10℃〜約0℃の範囲の温度で前記還元剤と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項18】
前記式(VI−S)の化合物のLG1及びLG2が各々クロロである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項19】
前記式(VI−S)の化合物が約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で存在する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項20】
前記式(VI−S)の化合物が約1.05モル当量の量で存在する、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記式(XI−S)の化合物を、メチルt−ブチルエーテル、トルエン及び2−メチル−THFからなる群から選択される有機溶媒中で、式(VI−S)の化合物と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項22】
前記式(XI−S)の化合物を、約0℃〜約35℃の範囲の温度で、前記式(VI−S)の化合物と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項23】
前記式(XI−S)の化合物を、塩基の存在下で前記式(VI−S)の化合物と反応させ、かつ、前記塩基が水酸化ナトリウムであり、かつ、前記水酸化ナトリウムが約1.05〜約1.2モル当量の範囲の量で存在する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項24】
MTBE中の前記式(VI−S)の化合物を、30%のNaOHの存在下で、約10℃〜約15℃の範囲の温度で、水中の前記式(XI−S)の化合物と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項25】
前記式(XII−C)の化合物が、約1.1〜約1.5モル当量の範囲の量で存在する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項26】
前記第2無機塩基が水酸化カリウムである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項27】
前記水酸化カリウムが約2.0〜約4.0モル当量の範囲の量で存在する、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記式(X−S)の化合物を、トルエン、アセトニトリル、及びトルエンと水との混合物からなる群から選択される有機溶媒中で、式(XII−A)の化合物と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項29】
前記式(X−S)の化合物をほぼ還流温度で前記式(XII−C)の化合物と反応させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項30】
LG2がクロロであり、前記式(X−S)の化合物が対応するHCl塩として調製される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項31】
前記対応するHCl塩としての式(X−S)の化合物を、前記式(XII−C)の化合物と反応させる前に第1無機塩基と反応させる、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記第1無機塩基が炭酸ナトリウムである、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記炭酸ナトリウムが、前記式(X−S)の化合物を遊離の塩基として遊離させるのに十分な量で存在する、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記炭酸ナトリウムが約1.5モル当量の量で存在する、請求項32に記載のプロセス。
【請求項35】
式(X−S)の化合物の調製プロセスであって、
【化18】

式中、LG1は第1脱離基であり、
【化19】

前記プロセスは、未希釈で又は有機溶媒中で式(V−S)の化合物を式(VIII−S)の化合物と反応させて、対応する式(IX−S)の化合物を生成させることと;
【化20】

未希釈で、水中で又は有機溶媒中で、前記式(IX−S)の化合物を還元剤と反応させて、対応する式(XI−S)の化合物を生成させることと;
【化21】

有機溶媒中で、前記式(XI−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて(LG2が第2脱離基である)、
あるいは、塩基の存在下で、水と有機溶媒との混合物中で前記式(XI−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて(LG2が第2脱離基である)、
対応する式(X−S)の化合物を生成させることと、を含む、プロセス。
【請求項36】
LG1がクロロである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記式(VIII−S)の化合物が、約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で存在する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項38】
前記式(V−S)の化合物を、トルエン中で、約40℃超の温度で、前記式(VIII−S)の化合物と反応させる、請求項35に記載のプロセス。
【請求項39】
前記式(IX−S)の化合物を、酸の存在下で前記還元剤と反応させ、かつ、前記酸が塩化水素酸であり、かつ、前記塩化水素酸が約3.0〜約5.0モル当量の範囲の量で存在する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項40】
前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムであり、約0.1モル当量の水酸化ナトリウムで安定化された水溶液として添加される、請求項35に記載のプロセス。
【請求項41】
前記式(IX−S)の化合物を約−10℃〜約0℃の範囲の温度で反応させる、請求項35に記載のプロセス。
【請求項42】
LG2がクロロであり、前記式(VI−S)の化合物が約1.0〜約1.5モル当量の範囲の量で存在し、前記式(X−S)の化合物が対応するHCl塩として調製される、請求項35に記載のプロセス。
【請求項43】
前記式(XI−S)の化合物を、トルエン及び2−メチル−THFからなる群から選択される有機溶媒中で、ほぼ室温〜約35℃の範囲の温度で、前記式(VI−S)の化合物と反応させる、請求項35に記載のプロセス。
【請求項44】
水中の前記式(XI−S)の化合物を、塩基の存在下で、約10℃〜約15℃の範囲の温度で、MTBE中の前記式(VI−S)の化合物と反応させ、前記塩基が30%のNaOHである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項45】
結晶質形態の化合物(I−C)のHCl塩
【化22】

【請求項46】
結晶質形態の化合物(I−C)のHCl塩であって、
【化23】

以下の粉末X線回折ピークを含む、化合物(I−C)のHCl塩:
【表1】

【請求項47】
化合物(I−C)と無水HCl酸をイソプロパノール中で反応させることを含む、請求項46に記載の結晶質形態の化合物(I−C)のHCl塩を調製するプロセス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−520889(P2012−520889A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500921(P2012−500921)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/027638
【国際公開番号】WO2010/107897
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】