説明

ヒト副甲状腺ホルモン(HPTH)の環式アナログの検出のための組成物および方法

本発明は、新規の抗原、抗体およびその抗原結合断片、ならびにこれらの抗原および抗体を用いた免疫アッセイおよびキットに関する。該組成物および方法は、血清または血漿等の試料液体中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログの濃度の測定に有用である。本発明の抗体および方法は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有するという、特定の利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2004年3月19日に出願された米国仮出願第60/554,777号の恩恵を主張する。上記出願の全教示は、参照によって本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
骨粗鬆症は、高齢者、特に高齢の女性において、障害の主な原因である。これは、総骨質量の減少および骨脆弱性の増大をもたらす進行性の疾患である。これはしばしば、負荷を負う骨(load-bearing bones)の突発性の骨折、ならびに動けなくなる損傷に特徴的である、肉体的および精神的衰退をもたらす。閉経後の骨粗鬆症は、エストロゲンの消失によって引き起こされ、これによって、骨のターンオーバーが10年間加速され、古い骨の吸収と新しい骨の形成の間の不均衡が増大するようになる。これは、負荷を負う骨の痩せ、有孔性の増加および小柱状の消耗をもたらす。骨粗鬆症はまた、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、およびある種のステロイド系薬物の使用にも関連する。治療(Remedies)は、歴史的に、食物性カルシウムの増強、エストロゲン療法、ビタミンD、および最も一般的には、破骨細胞による骨の吸収を阻害する抗吸収剤等の薬剤による治療を含んできた。
【0003】
最近、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)およびhPTHのある種のアナログが、骨成長の刺激物質であり、そのため骨粗鬆症の治療に有用であることがわかった。hPTHは、高カルシウムホルモンであり、血中カルシウム濃度を上昇させるよう機能する、副甲状腺によって産生される。血清カルシウムが正常濃度よりも下がると、副甲状腺はhPTHを放出し、カルシウム濃度が上がる。カルシウム濃度が上がる機序としては、骨カルシウムの吸収、腸からのカルシウムの吸収の増加、および腎細管における発生期の尿からの、腎臓でのカルシウムの吸収の増加が挙げられる。継続的に浸出する低濃度のhPTHは、骨からカルシウムを除き得るが、同じ低用量を断続的に注射すると、実際に骨の成長が促進され得る。
【0004】
hPTHは、2つの二次メッセンジャー系、GSタンパク質活性化アデニリルシクラーゼ(AC)およびGqタンパク質活性化ホスホリパーゼCβの活性化を介して機能する。天然のhPTH配列は、これらの活性全てを有することが示されている。膜結合タンパク質キナーゼCS(PKC)活性の刺激をもたらすGqタンパク質活性化ホスホリパーゼCβは、hPTH残基29〜32を必要とすることが示されている(Jouishommeら (1992) Endocrinology 130(1): 53-60)。骨成長の増加、すなわち骨粗鬆症の治療に有用な効果を、ペプチド配列がAC活性を増加させる能力に結びつけることが確立されている。
【0005】
直鎖アナログであるhPTH-(1-31)-NH2は、AC刺激活性のみを有し、卵巣を摘出したラットモデルで、骨の損失の回復において完全に活性があることが示されている(Rixon, R. H.ら (1994) J. Bone Miner. Res. 9: 1179-1189; Whitfieldら (1996) Calcified Tissue Int. 58: 81-87; Willickら、米国特許第5,556,940号)。米国特許第5,955,425号は、hPTH-(1-31)の環式アナログを開示している。これらのアナログは、例えばGlu22とLys26の間、またはLys26とAsp30の間のいずれかで形成される、ラクタムを有する。また、天然のLys27は、Leu、またはIle、ノルロイシン、Met、Val、Ala、TrpもしくはPhe等の他の疎水性残基のいずれかと置換される。これらのアナログは、循環カルシウム濃度の有意な増加を生じることなく、直鎖のアナログと比べて促進された骨回復の活性および生物学的利用能を示す。
【0006】
かかるアナログを検出する方法の必要がある。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、新規の抗原、抗体またはその抗原結合断片、ならびにこれらの抗原および抗体を用いたアッセイ(例えば免疫アッセイ)およびキットに関する。これらの抗原、抗体、免疫アッセイ、およびキットは、血清または血漿等の試料液体中のhPTHの環式アナログの濃度の測定に有用である。
【0008】
ある態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片である。
【0009】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片であって、ここで該環式アナログは、Glu1とLys5の間で環式化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含む。
【0010】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片であって、ここで該環式アナログは、Glu1とLys5の間で環式化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)を含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片であって、ここで該環式アナログは、Glu5とLys9の間で環式化されるアミノ酸配列:Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)を含む。
【0012】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片であって、ここで該環式アナログはアミノ酸配列:R-NH-Xaa1-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Xaa8-His-Asn-Leu-Gly-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-Y(配列番号:4)を含み、ここで該環式アナログはGlu22とLys26の間で環式化され;Rは水素または任意の直鎖もしくは分枝鎖アルキル、アシルもしくはアリール基であり;Xaa1はセリン、アラニン、ノルロイシン、またはαアミノイソ酪酸であり;Xaa8はメチオニン、ノルイソロイシン、ノルロイシンまたは疎水性アミノ酸であり;Xaa13はリシン、オルニチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システインまたはホモシステインであり;Xaa14はヒスチジンまたは水溶性アミノ酸であり;Xaa15はロイシンまたは水溶性アミノ酸であり;Xaa16はアスパラギンまたは水溶性アミノ酸であり;Xaa17はセリンまたは水溶性アミノ酸であり;及びYはHis-X、His-Asn-X、またはHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2またはOHである。
【0013】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片であって、ここで該環式アナログはアミノ酸配列:H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-Y(配列番号:5)を含み、ここで該環式アナログはGlu22とLys26の間で環式化され;Xaa14はヒスチジンまたはリシンであり;Xaa15はロイシン、リシンまたはアルギニンであり;Xaa16はアスパラギン、オルニチン、ホモシトルリン、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、d-リシン、セリン、またはグリシンであり;Xaa17はセリン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン酸、オルニチン、システイン、ホモシステインまたはアルギニンであるか;またはXaa14〜Xaa17はHis-Lys-Lys-Lys(配列番号:6)、His-Leu-Lys-Lys(配列番号:7)、Lys-Lys-Lys-Lys(配列番号:8)、およびHis-Leu-Lys-Ser(配列番号:9)からなる群より選択され;並びにYはHis-X、His-Asn-X、またはHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2またはOHである。
【0014】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片であって、ここで該環式アナログはアミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含む。
【0015】
さらに、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を生成する方法を提供し、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:配列番号:1を含む。該方法は、配列番号:1を含む抗原性ペプチドを、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体が動物において産生される条件下で動物に投与すること、および抗体またはその抗原結合断片を動物から単離することを含む。
【0016】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を生成する方法であり、ここで該環式アナログは、配列番号:2および配列番号:3からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。該方法は、配列番号:1を含む抗原性ペプチドを、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体が動物において産生される条件下で、動物に投与すること、および抗体またはその抗原結合断片を動物から単離することを含む。
【0017】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を生成する方法であり、ここで該環式アナログは、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:10、配列番号:12または配列番号:13からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。該方法は、配列番号:1を含む抗原性ペプチドを、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体が動物において産生される条件下で、動物に投与すること、および抗体またはその抗原結合断片を動物から単離することを含む。
【0018】
ある態様において、抗原性ペプチドは、担体に結合される。別の態様において、担体は海中養殖カサガイヘモシアニン(mariculture keyhole limpet hemocyanin)(mcKLH)である。さらなる態様において、抗体はモノクローナル抗体である。なおさらなる態様において、抗体はポリクローナル抗体である。なおさらなる態様において、本発明は、上述の方法で生成される、抗体またはその抗原結合断片である。
【0019】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を生成する方法であり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含む。該方法は、Glu6とLys10の間で環式化されるアミノ酸配列:Cys-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Gin-Val-NH2(配列番号:12)を含む抗原性ペプチドを、配列番号:12に対する抗体が動物において産生される条件下で動物に投与すること、および抗体またはその抗原結合断片を該動物から単離することを含む。別の態様において、本発明は、上述の方法で生成される、抗体またはその抗原結合断片である。
【0020】
本発明はまた、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法も包含し、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:配列番号:1を含む。該方法は、抗体とhPTHの環式アナログとの間の免疫複合体の形成に適した条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体またはその抗原結合断片と結合させること、および免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0021】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:配列番号:1を含む。該方法は、一次抗体および二次抗体がhPTHの環式アナログと結合し、それによって免疫複合体が形成される条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、およびhPTHの環式アナログに結合する二次抗体と結合させること、ならびに免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0022】
ある態様において、二次抗体は、hPTHの環式アナログの非環式領域に結合する。別の態様において、非環式領域は、hPTHの環式アナログのN末端領域である。
【0023】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、配列番号:2および配列番号:3からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。該方法は、一次抗体および二次抗体がhPTHの環式アナログと結合し、それによって免疫複合体が形成される条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、およびhPTHの環式アナログに結合する二次抗体と結合させること、ならびに免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。この態様において、二次抗体は、hPTHの環式アナログの非環式領域に結合する。
【0024】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:配列番号:4を含む。該方法は、一次抗体および二次抗体がhPTHの環式アナログと結合し、それによって免疫複合体が形成される条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、およびhPTHの環式アナログに結合する二次抗体と結合させること、ならびに免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。この態様において、二次抗体は、hPTHの環式アナログの非環式領域に結合する。
【0025】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:配列番号:5を含む。該方法は、一次抗体および二次抗体がhPTHの環式アナログと結合し、それによって免疫複合体が形成される条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、およびhPTHの環式アナログに結合する二次抗体と結合させること、ならびに免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0026】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含む。該方法は、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)と抗体との間の免疫複合体の形成に適した条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体またはその抗原結合断片と結合させること、ならびに免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中の[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)の存在を示す。
【0027】
ある態様において、一次抗体は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)酵素マーカーで標識される。別の態様において、二次抗体は、ビオチンに結合される。さらなる態様において、試料は、一次抗体と二次抗体に同時に結合される。なおさらなる態様において、試料は、一次抗体と二次抗体に連続して結合される。なおさらなる態様において、試料は、hPTHの環式アナログで治療されている被験体から得られる。
【0028】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含む。該方法は、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)と抗体との間の免疫複合体の形成に適した条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片と結合させること、ならびに免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中の[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)の存在を示す。
【0029】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含む。本発明は、一次抗体および二次抗体が配列番号:10に結合し、それによって免疫複合体を形成する条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、および[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)に結合する二次抗体と結合させること、ならびに免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中の[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)の存在を示す。
【0030】
ある態様において、一次抗体は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)酵素マーカーで標識される。さらに別の態様において、二次抗体は、ビオチンに結合される。さらなる態様において、試料は、一次抗体と二次抗体に同時に結合される。なおさらなる態様において、試料は、一次抗体と二次抗体に連続して結合される。
【0031】
別の態様において、本発明は、試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であり、ここで該環式アナログは、配列番号:1のアミノ酸配列を含む。該方法は、一次抗体と二次抗体がhPTHの環式アナログ上のエピトープに関して競合し、hPTHの環式アナログと、一次抗体または二次抗体のいずれかとの免疫複合体を形成する条件下で、試料を、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、およびhPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する二次抗体またはその抗原結合断片と結合させること、および免疫複合体を検出することを含み、ここで免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0032】
さらに、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を含む、キットであり、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:配列番号:1を含む。
【0033】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を含む、キットであり、ここで該環式アナログは、配列番号:2および配列番号:3からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0034】
別の態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を含む、キットであり、ここで該環式アナログは、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、検出可能な標識に結合される。なおさらなる態様において、該キットは、該標識を検出する試薬;hPTHの環式アナログに結合する二次抗体;ならびに洗浄バッファー、希釈剤、溶媒および停止溶液をさらに含む。
【0035】
別の態様において、本発明は、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、酵素標識された一次抗体またはその抗原結合断片;[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)に結合するビオチン化二次抗体;該酵素の基質として用いるための色発生基質(color-producing substrate)溶液;ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレート;ならびに洗浄バッファー、希釈剤、溶媒および停止溶液を含む、キットである。
【0036】
さらに、本発明は、Glu1とLys5の間で環式化される、アミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)からなる抗原性ペプチドである。
【0037】
別の態様において、本発明は、Glu1とLys5の間で環式化される、アミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)からなる抗原性ペプチドである。
【0038】
別の態様において、本発明は、Glu5とLys9の間で環式化される、アミノ酸配列:Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)からなる抗原性ペプチドである。
【0039】
別の態様において、本発明は、Glu6とLys10の間で環式化される、アミノ酸配列:Cys-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-NH2(配列番号:12)からなる抗原性ペプチドである。
【0040】
本発明の抗体および方法は、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を提供するという、特定の利点を有する。特に、抗体が直鎖hPTHアナログと共に有する交差反応が無視できるか、または存在しないために、該抗体および方法は、hPTHの環式アナログに対する新規の認識を提供するよう設計される。
【0041】
(発明の詳細な説明)
本発明は、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片、ならびにかかる抗体を利用する方法に関する。
【0042】
ヒト副甲状腺ホルモン(human parathyroid hormone)(hPTH)は、以下のアミノ酸配列で表される、84個のアミノ酸からなるポリペプチドである:


hPTHは高カルシウムホルモンであり、骨カルシウムの吸収を増加させること、腸からのカルシウムの吸収を増加させること、および腎臓での腎細管における発生期の尿からのカルシウムの吸収を増加させることによって、血中カルシウム濃度を上昇させるよう機能する。継続的に浸出する低濃度のhPTHは、骨からカルシウムを除き得るが、同じ低用量を断続的に注射すると、骨成長が実際に促進され得る。hPTHのアナログは、骨回復の活性が増加していることがわかっている。
【0043】
本明細書中で使用する場合、語句「hPTHのアナログ」は、hPTHと同様または実質的に同様なアミノ酸配列を有する任意の天然または合成ポリペプチドを包含する。例えば、hPTHのアナログは、hPTHのアミノ酸配列と約25%、35%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または99%の同一性を共有し得る。hPTHのアナログとしては、アミノ酸置換、欠失および/または付加を有するものが挙げられる。例えば、該アナログは、1つ以上のアミノ酸が、同様の化学的および/または物理的性質(例えば、電荷、構造、極性、疎水性、親水性)を有する(1つまたは複数の)アミノ酸で置換された、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有し得る。以下の群内での、別のアミノ酸によるアミノ酸の置換は、保存的アミノ酸置換である;Ala、Val、Leu、Ile;Ser、Thr;Asp、Glu;Asn、Gln;Lys、Arg;Phe、Tyr。他の態様において、1つ以上のアミノ酸置換がhPTHに起こり、hPTHの生物学的活性を促進し得る。例えば、米国特許第5,955,425号には、Lys27がLeu、Ile、ノルロイシン、Met、Val、Ala、TrpまたはPhe等の疎水性残基で置換された、hPTHアナログが記載されている。
【0044】
また、hPTHのアナログは、hPTHの少なくとも1つの生物学的活性を有する、天然または合成ペプチドを包含する。hPTHの生物学的活性としては、骨カルシウムの吸収を増加させること、腸からのカルシウムの吸収を増加させること、および腎臓での腎細管における発生期の尿からのカルシウムの吸収を増加させることによる、血中カルシウム濃度を上昇させる能力が挙げられる。
【0045】
hPTHのアナログとしてはまた、hPTHの天然のアミノ酸(配列番号:11)が欠失した断片も挙げられる。例えば、hPTHアナログとしては、hPTH 配列番号:11のアミノ酸1〜34、アミノ酸1〜33、アミノ酸1〜32、アミノ酸1〜31、アミノ酸1〜29およびアミノ酸1〜28が挙げられる。
【0046】
本明細書中で使用する場合、語句「hPTHの環式アナログ」は、上述のように、hPTHの少なくとも1つのアミノ酸対の間(hPTHの少なくとも2つのアミノ酸の間)で環式化(cyclized)される、任意の天然または合成hPTHポリペプチドを包含する。本明細書中で使用する場合、用語「環式化」は、少なくとも1対のアミノ酸が共に連結されて鎖上に環式領域を形成する、ペプチド鎖を含む。本明細書中で使用する場合、用語「環式領域」は、ペプチド鎖中の2つの連結した、隣接していないアミノ酸の間および該2つのアミノ酸を含む全てのアミノ酸を包含する。例えば、環式hPTHアナログ[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)において、環式領域は、アミノ酸22、23、34、25および26を包含する。特定の態様において、hPTHアナログは、hPTH 配列番号:11およびその断片のアミノ酸Glu22とLys26の間またはLys26とAsp30の間等の選択されたアミノ酸対の側鎖の結合を含む、ラクタムの形成によって環式化される。チオエステル、エステル若しくはエーテルを含むもの等の他の型の環式化もまた可能であり、または、例えばhPTHの環式アナログを、hPTH 配列番号:11のアミノ酸Lys13およびSer17で、両方の位置がシステイン残基で置換された場合の、ジスルフィド架橋の形成によって形成し得る。他の位置における環式化もまた、本発明に包含される。
【0047】
骨損傷の回復において活性のあるhPTHの種々のアナログは、米国特許第5,556,940号、米国特許第5,955,425号、米国特許第6,110,892号、米国特許第6,316,410号および米国特許第6,541,450号に開示されている。上記のそれぞれの米国特許の全教示は、参照によって本明細書中に援用される。
【0048】
ある態様において、hPTHの環式アナログは、環式化がGlu1とLys5の間で起こる、アミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含む。
【0049】
別の態様において、hPTHの環式アナログは、環式化がGlu1とLys5の間で起こる、アミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)を含む。
【0050】
別の態様において、hPTHの環式アナログは、環式化がGlu5とLys9の間で起こる、アミノ酸配列:Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)で表される。
【0051】
別の態様において、hPTHの環式アナログは、アミノ酸配列:


で表され、ここで、該環式アナログはGlu22とLys26の間で環式化され;Rは水素または任意の直鎖もしくは分枝鎖アルキル、アシルもしくはアリール基であり;Xaa1はセリン、アラニン、ノルロイシンまたはαアミノイソ酪酸であり;Xaa8はメチオニン、ノルイソロイシンまたは疎水性アミノ酸であり;Xaa13はリシン、オルニチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システインまたはホモシステインであり;Xaa14はヒスチジンまたは水溶性アミノ酸であり;Xaa15はロイシンまたは水溶性アミノ酸であり;Xaa16はアスパラギンまたは水溶性アミノ酸であり;Xaa17はセリンまたは水溶性アミノ酸であり;及びYはHis-X、His-Asn-X、またはHis-Asn-Phe-Xであり、ここでXはNH2またはOHである。
【0052】
別の態様において、hPTHの環式アナログは、アミノ酸配列:




で表され、ここで該環式アナログはGlu22とLys26の間で環式化され;Xaa14はヒスチジンまたはリシンであり;Xaa15はロイシン、リシンまたはアルギニンであり;Xaa16はアスパラギン、オルニチン、ホモシトルリン、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、d-リシン、セリンまたはグリシンであり;Xaa17はセリン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン酸、オルニチン、システイン、ホモシステインまたはアルギニンであり;及びYはHis-X、His-Asn-XまたはHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2またはOHである。別の態様において、Xaa14〜Xaa17のアミノ酸配列は、His-Lys-Lys-Lys(配列番号:6)、His-Leu-Lys-Lys(配列番号:7)、Lys-Lys-Lys-Lys(配列番号:8)、およびHis-Leu-Lys-Ser(配列番号:9)からなる群より選択される。
【0053】
特定の態様において、hPTHの環式アナログは、配列番号:10:


のアミノ酸配列で表され、ここで該アナログは、Glu22とLys26の間で環式化される。
【0054】
本明細書中で使用する場合、「アルキル基」は、その炭素原子の1つからの単一の共有結合を介して分子中の別の基に結合した、分子中の飽和炭化水素である。アルキル基は、環式または非環式、分枝または非分枝(直鎖)であり得、直鎖または分枝の場合は置換または非置換であり得る。アルキル基は、典型的には約1〜約12個の炭素原子、例えば約1〜約6個の炭素原子、または約1〜約4個の炭素原子を有する。環式の場合、アルキル基は、典型的には、約3〜約10個の炭素、例えば約3〜約8個の炭素原子、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基またはシクロオクチル基を含む。
【0055】
本明細書中で使用する場合、「アシル基」は、式-C(O)Rで表され、ここでRはアルキル基である。アシル基の1つ以上の水素原子が置換され得る。アルキルおよびアシル基の適切な置換基としては、-OH、-O(R')、-O-CO-(R')、-NO2、-COOH、=O、-NH2、-NH(R')、-N(R')2、-COO(R')、-CONH2、-CONH(R')、-CON(R')2およびグアニジンが挙げられる。各R'は、独立して、アルキル基またはアリール基である。これらの基は、アリール基によってさらに置換され得る(例えば、アルキル基が芳香族基と置換されてアリールアルキル基を形成し得る)。置換されたアルキルまたはアシル基は、1つより多い置換基を有し得る。
【0056】
本明細書中で使用する場合、「アリール基」としては、フェニル、p-トルイル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントラシルおよび2-アントラシル等の炭素環式芳香族基が挙げられる。アリール基としてはまた、N-イミダゾリル、2-イミダゾール、2-チエニル、3-チエニル、2-フラニル、3-フラニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、2-ピラニル、3-ピラニル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-ピラジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリルおよび5-オキサゾリル等のヘテロ芳香族基が挙げられる。
【0057】
アリール基としてはまた、炭素環式、脂環式または芳香族環もしくはヘテロアリール環が1つ以上の他のヘテロアリールまたはアリール環に融合した、融合多環式芳香族環系も挙げられる。例としては、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、2-インドリル、3-インドリル、2-キノリニル、3-キノリニル、2-ベンゾチアゾール、2-ベンゾオキサゾール、2-ベンズイミダゾール、2-キノリニル、3-キノリニル、1-イソキノリニル、3-キノリニル、1-イソインドリルおよび3-イソインドリルが挙げられる。
【0058】
本発明の、適切な天然の「疎水性アミノ酸」としては、ロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニンおよびグリシンが挙げられるが、これらに限定されない。疎水性アミノ酸の組み合わせもまた用いられ得る。
【0059】
適切な天然の「水溶性アミノ酸」としては、セリン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩、リシン、アルギニン、グルタミン、システイン、スレオニン、オルニチンおよびチロシンが挙げられるが、これらに限定されない。水溶性アミノ酸の組み合わせもまた、用いられ得る。
【0060】
非天然のアミノ酸もまた用いられ得、例えば、βアミノ酸が挙げられる。アミノ酸のDおよびLの両方の立体配置ならびにラセミ混合物が用いられ得る。適切なアミノ酸としてはまた、アミノ酸誘導体またはアナログを挙げることができる。本明細書中で使用する場合、アミノ酸アナログとしては、以下の式を有するアミノ酸のDまたはL立体配置が挙げられる:-NH-CHR-CO-、ここでRは脂肪族基、置換脂肪族基、ベンジル基、置換ベンジル基、芳香族基または置換芳香族基であり、ここでRは天然のアミノ酸の側鎖に相当しない。本明細書中で使用する場合、脂肪族基としては、完全に飽和しているか、窒素、酸素または硫黄等の1つまたは2つのヘテロ原子を含む、および/または1単位以上の不飽和を含む、直鎖、分枝または環式C1〜C8炭化水素が挙げられる。芳香族またはアリール基としては、フェニルおよびナフチル等の炭素環式芳香族基ならびにイミダゾリル、インドリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピラニル、オキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニルおよびアクリジニル(acridintyl)等の複素環式芳香族基が挙げられる。
【0061】
脂肪族、芳香族またはベンジル基の適切な置換基としては、-OH、ハロゲン(-Br、-Cl、-Iおよび-F)、-O(脂肪族、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリールまたは置換アリール基)、-CN、-NO2、-COOH、-NH2、-NH(脂肪族基、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリールまたは置換アリール基)、-N(脂肪族基、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリールまたは置換アリール基)2、-COO(脂肪族基、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリールまたは置換アリール基)、-CONH2、-CONH(脂肪族、置換脂肪族基、ベンジル、置換ベンジル、アリールまたは置換アリール基)、-SH、-S(脂肪族、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、芳香族または置換芳香族基)および-NH-C(=NH)-NH2が挙げられる。置換ベンジルまたは芳香族基はまた、脂肪族または置換脂肪族基を置換基として有し得る。置換脂肪族基はまた、ベンジル、置換ベンジル、アリールまたは置換アリール基を置換基として有し得る。置換脂肪族、置換芳香族または置換ベンジル基は、1つ以上の置換基を有し得る。アミノ酸置換基の修飾は、例えば、親水性である天然のアミノ酸の脂肪親和性または疎水性を高め得る。
【0062】
多くの適切なアミノ酸、アミノ酸アナログおよびその塩は、市販であり得る。他のものは、当該分野で公知の方法で合成され得る。合成技術は、例えば、GreenおよびWuts、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons、第5章および第7章、1991年に記載されている。
【0063】
本明細書中に記載されるhPTHの環式アナログの、薬学的に許容され得る塩もまた、本発明に含まれる。十分に酸性な官能基、十分に塩基性な官能基またはその両方を有する、本明細書中に開示されるhPTHの環式アナログは、多くの有機または無機塩基、ならびに無機および有機酸のいずれかと反応して、塩を形成し得る。
【0064】
塩基付加塩としては、アンモニウムまたはアルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の無機塩基由来のものが挙げられる。したがって、本発明の塩の調製に有用なかかる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム等が挙げられる。塩基付加塩としてはまた、メチルアミン、エチルアミンおよびトリエチルアミン等の有機塩基由来のものが挙げられる。
【0065】
hPTHの環式アナログと塩基性基からの酸付加塩の形成に一般的に用いられる酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ過水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸等、およびp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニル−スルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等の有機酸等である。かかる塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、モノヒドロキシリン酸塩、ジヒドロキシリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロベンゾエート、メチルベンゾエート、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩等が挙げられる。
【0066】
ある態様において、本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片である。本明細書中で使用する場合、用語「抗体」は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方を包含する。用語、ポリクローナルおよびモノクローナルは、抗体調製物の均一性の程度についていい、特定の生成方法に限定することを意図しない。ポリクローナル抗体は、抗原で免疫化された動物の血清に由来する抗体分子の不均一な集団である。モノクローナル抗体は、実質的に均一な、抗原に特異的な抗体の集団を含み、この集団は、実質的に類似したエピトープ結合部位を含む。かかる抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含む任意の免疫グロブリンクラスのもの、およびそのサブクラスのものであり得る。抗体またはその抗原結合断片は、単離または精製され得る。本明細書中で使用する場合、「単離」または「精製」は(例えば、部分的または実質的に)、それが生成される媒体中に含まれる物質等の他の物質から分離された抗体またはその抗原結合断片を包含する。ある態様において、単離または精製された抗体または抗原結合断片は、組成物(粗抽出物)の一部である。別の態様において、抗体または抗原結合断片は、実質的に、抗体もしくは抗原結合断片が由来する供給源由来の物質もしくは混入タンパク質を含まないか、または組換えによって生成された場合には、実質的に化学物質前駆体もしくは他の化学物質を含まない。
【0067】
hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片としては、例えば、単鎖抗体、キメラ抗体、哺乳動物(例えばヒト)抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体(例えば霊長類化抗体)、ベニア化抗体(veneered antibodies)、多価抗体(例えば二価)および二特異的抗体(bispecific antibodies)が挙げられる。キメラ、CDR移植またはベニア化単鎖抗体は、異なる種由来の部分を含んでおり、これらもまた本発明および用語「抗体」に包含される。これらの抗体の様々な部分は、従来の技術によって化学的に連結され得るか、または遺伝子工学的技術を用いて、連続したタンパク質として調製され得る。例えば、キメラまたはヒト化鎖をコードする核酸を発現して、連続したタンパク質を生成し得る。例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許第0,125,023号B1;Bossら、米国特許第4,816,397号;Bossら、欧州特許第0,120,694号B1;Neuberger, M.S.ら、WO 86/01533;Neuberger, M.S.ら、欧州特許第0,194,276号B1;Winter、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許第0,239,400号B1;Queenら、欧州特許第0 451 216号B1;およびPadlan, E.A.ら、EP 0 519 596 A1参照。また、霊長類化抗体についてはNewman, R.ら、BioTechnology, 10: 1455-1460 (1992)を、単鎖抗体についてはLadnerら、米国特許第4,946,778号およびBird, R.E.ら、Science, 242: 423-426 (1988))を参照されたい。
【0068】
本明細書中で使用する場合、語句「哺乳動物抗体」は、可変および定常領域(存在すれば)が、哺乳動物生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子に由来する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を有する、抗体を含む。「哺乳動物抗体」は、適切なインビボ発現系(例えば、ヒト、ヒト抗体を発現する組換え動物)において生物学的過程の結果として生じる、生殖細胞系でコードされない配列(例えば、Nヌクレオチド、Pヌクレオチド、および体細胞性変異、親和性変異、クローンの選択等の親和性の高い抗体を生成する過程の一部として生じ得る変異による)を含み得る。ある態様において、抗体は、可変および定常領域(存在すれば)が、ヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子由来の核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を有する、ヒト抗体である。抗体、その抗原結合断片、および抗体の部分または領域が、例えば、必要な核酸配列を有する非ヒト起源の核酸(例えば合成核酸)の発現によって、生成され得る。
【0069】
本明細書中で使用する場合、用語「CDR移植抗体」は、抗体の骨格領域と天然には会合しない相補性決定領域(CDR)を含む、抗体を含む。一般に、CDRは、第一の種の抗体に由来し、骨格領域および定常領域(存在すれば)は異なる種の抗体に由来する。CDR移植抗体は、「ヒト化抗体」であり得る。
【0070】
本明細書中で使用する場合、用語「ヒト化抗体」は、ヒト起源でないCDRならびにヒト起源の骨格および/または定常領域を含む、抗体を含む。例えば、ヒト化抗体は、非ヒト起源の抗体(例えば、ネズミ(例えばマウス、ラット)抗体等の天然の抗体、人工の抗体)由来のCDR、ならびにヒト起源の骨格および定常領域(存在すれば)(例えば、ヒト骨格領域、ヒトコンセンサス骨格領域、ヒト定常領域(例えば、CL、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、CH4))を含み得る。非ヒト起源のCDRならびにヒト起源の骨格および定常領域(存在すれば)を含むCDR移植単鎖抗体(例えばCDR移植scFv)もまた、用語、ヒト化抗体に包含される。
【0071】
ヒト化抗体は、標準的な方法または他の適切な技術を用いた合成または組換えDNA技術を用いて生成され得る。ヒト化可変領域をコードする核酸(例えばcDNA)配列もまた、PCR変異誘発法を用いて構築し、前もってヒト化された可変領域由来のDNA鋳型等の、ヒトまたはヒト化鎖をコードするDNA配列を改変し得る(例えば、Kamman, M.ら、Nucl. Acids Res., 17: 5404 (1989)); Sato, K.ら、Cancer Research, 53: 851-856 (1993); Daugherty, B.L.ら、Nucleic Acids Res., 19(9): 2471-2476 (1991); およびLewis, A.P.およびJ.S. Crowe, Gene, 101: 297-302 (1991)参照)。これらまたは他の適切な方法を用いて、バリアントも容易に生成し得る。ある態様において、クローン化された可変領域を変異させ得、所望の特異性を有するバリアントをコードする配列を選択し得る(例えば、ファージライブラリーから;例えば、Krebberら、U.S.5,514,548;Hoogenboomら、WO 93/06213参照)。
【0072】
本明細書中で使用する場合、用語「キメラ抗体」は、異なる起源由来の免疫グロブリンの部分を含む、抗体を含む。キメラ抗体を含む免疫グロブリンのどの部分も、ヒト起源である必要はない。例えば、キメラ抗体は、非ヒト領域(例えば齧歯動物)の抗原結合領域および非ヒト霊長類起源の定常領域(例えば、チンパンジー骨格領域、チンパンジー定常領域(例えばCL、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、CH4))を含み得る。
【0073】
本発明の抗体は、単鎖抗体(例えば、単鎖Fv(scFv))であり得、天然の抗体には見られないリンカー部分(例えばリンカーペプチド)を含み得る。例えば、scFvは、重鎖可変領域を軽鎖可変領域に連結する、約2〜約20個のグリシン残基または他の適切なリンカー等のリンカーペプチドを含み得る。
【0074】
また、本発明の抗体は、二特異的抗体であり得る。本明細書中で使用する場合、「二特異的抗体」は、2つの異なる型の抗原に結合する抗体を含む。二特異的抗体は、トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマによって分泌され得る。一般に、トリオーマは、ハイブリドーマおよびリンパ球(例えば、抗体分泌B細胞)の融合によって形成され、ハイブリッドハイブリドーマは、2つのハイブリドーマの融合によって形成される。融合してトリオーマまたはハイブリッドハイブリドーマを生じる細胞のそれぞれは、単一特異的抗体を生じる。しかしながら、トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマは、異なる抗原を認識する抗原結合部位を含む抗体を産生し得る。トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマの上清は、適切なアッセイ(例えばELISA)を用いて、二特異的抗体についてアッセイされ得、二特異的抗体は、従来の方法を用いて精製され得る(例えば、米国特許第5,959,084号(Ringら)、米国特許第5,141,736号(Iwasaら)、米国特許第4,444,878号、第5,292,668号および第5,523,210号(Paulusら)および米国特許第5,496,549号(Yamazakiら)参照)。
【0075】
抗原結合断片は、例えば単鎖抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体(例えば霊長類化抗体)、ベニア化抗体および二特異的抗体の断片を含む、抗体の機能的断片を包含する。抗原結合断片は、Fv、Fab、Fab'およびF(ab')2断片をさらに包含する。Fv、Fab、Fab'およびF(ab')2断片等の抗原結合断片は、酵素的切断によって、または組換え技術によって、生成され得る。例えば、パパインまたはペプシン切断によって、それぞれFabまたはF(ab')2断片を生じ得る。必要な基質特異性を有する他のプロテアーゼを用いて、FabまたはF(ab')2断片を生じることもできる。抗原結合断片もまた、天然の停止部位の上流に1つ以上の停止コドンが導入された抗体遺伝子を用いて、組換えによって生成され得る。例えば、F(ab')2重鎖部分をコードするキメラ遺伝子を、重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計し得る。
【0076】
また、本発明の抗体は、抗体部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片、抗体鎖またはその抗体結合部分)が直接または間接的に非免疫グロブリン部分(すなわち天然に見られる免疫グロブリンでは生じない部分)に連結された融合タンパク質または免疫結合体(immunoconjugates)であり得る。融合タンパク質は、単一の連続したポリペプチド鎖の構成要素である、抗体部分および非免疫グロブリン部分を含む。非免疫グロブリン部分は、抗体部分に関してN末端、C末端または内部に位置し得る。
【0077】
他の態様において、抗体部分および非免疫グロブリン部分は、連続したポリペプチド鎖の一部であり得ないが、直接、または任意の適切なリンカーを介して間接的に、連結または結合され得る。該部分の連結または結合に適した方法は、当該分野で周知である。(例えば、Ghetieら、Pharmacol. Ther. 63: 209-34 (1994)参照)。免疫結合体を調製するための、様々な適切なリンカー(例えばヘテロ二官能性試薬)および方法は、当該分野で周知である。(例えば、Hermanson, G.T.、Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, CA (1996)参照。)免疫結合体への封入に適切な非免疫グロブリン部分としては、トキシン等の治療的部分(例えばサイトトキシン、細胞障害性因子)、治療剤(例えば、化学治療剤、代謝拮抗物質、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、抗有糸分裂剤、生物的反応修飾物質(例えばサイトカイン(例えばインターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子)、成長因子(例えば、神経栄養因子))、プラスミノーゲン活性化因子)、放射性核種(例えば放射性イオン)、酵素等が挙げられる。
【0078】
本明細書中で使用する場合、用語「抗原」または「抗原性ペプチド」は、抗体またはその抗原結合断片に結合され得る分子または分子の一部を包含し、これはさらに、動物に、その抗原のエピトープに結合し得る抗体の産生を誘導し得る。抗原は、高度に選択的に、その対応する抗体と反応し、他の抗原によって惹起され得る他の多くの抗体と反応しない。特定の態様において、抗原または抗原性ペプチドは、hPTHの環式アナログである。
【0079】
本明細書中で使用する場合、用語「エピトープ」は、抗原または抗原性ペプチドの、抗体またはその抗原結合断片によって認識および結合され得る部分をいう。抗原または抗原性ペプチドは、1つより多いエピトープを含み得る。ある態様において、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、hPTHの環式アナログ上のエピトープに結合し、ここでエピトープは、hPTHの環式アナログの環式領域である。別の態様において、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、hPTHの環式アナログ上のエピトープに結合し、ここでエピトープは、hPTHの環式アナログの環式領域の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0080】
本明細書中で使用する場合、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、hPTHの非環式アナログに結合するより高い親和性でhPTHの環式アナログに結合する場合に、hPTHの環式アナログに対する「結合特異性」を有する。抗体がhPTHの非環式アナログに結合するより高い親和性でhPTHの環式アナログに結合する場合、抗体は、少なくとも部分的に、hPTH環式アナログの環式領域に結合する(抗体はhPTH環式アナログの全てまたは一部の環式領域に結合する)。特定の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、配列番号:1の少なくとも1つのアミノ酸を認識し、これに結合する。
【0081】
本明細書中で使用する場合、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、hPTHの環式アナログに、hPTHの非環式アナログに結合するよりも少なくとも20%高い親和性、少なくとも50%高い親和性、少なくとも80%高い親和性、または少なくとも90%高い親和性で結合する場合に、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する。
【0082】
本発明は、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、(1つ以上の)抗体またはその抗原結合断片に関する。環式アナログは、単離されたペプチド鎖であり得るか、またはより大きいペプチドの環式領域を表し得る。ある態様において、本発明は、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片に関し、ここで該環式アナログは、アミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含む。配列番号:1は、Glu1およびLys5の位置のアミノ酸の間で環式化される。配列番号:1は、単離されたペプチド鎖であり得るか、またはより大きいポリペプチド鎖の環式領域を表し得る。特定の態様において、配列番号:1は、対生物活性hPTH環式アナログの環式領域を表す。本明細書中で使用する場合、用語「対生物活性hPTH環式アナログ」は、上述のように、環式領域およびhPTHの少なくとも1つの生物学的活性を有する、任意の天然または合成hPTHアナログをいう。特定の態様において、配列番号:1は、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)の22〜26位を表す。特定の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体またはその抗原結合断片に認識されるエピトープは、配列番号:1の1〜5位の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0083】
別の態様において、抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)を含むhPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する。配列番号:2はGlu1とLys5位のアミノ酸間で環化される。配列番号:2は、単離されたペプチド鎖であり得、又はより大きなペプチド鎖の環式領域を示し得る。特定の態様において、配列番号:2は配列番号:10の22〜28位のアミノ酸を示す。特定の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片によって認識されるエピトープは配列番号:2の1〜5位の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0084】
別の態様において、抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列:Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)を含むhPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する。配列番号:3はGlu5とLys9位のアミノ酸間で環化される。配列番号:3は、単離されたペプチド鎖であり得、又はより大きなペプチド鎖の環式領域を示し得る。特定の態様において、配列番号:3は、環式hPTHアナログの配列番号:10の18〜31位のアミノ酸を示す。特定の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片によって認識されるエピトープは配列番号:3の5〜9位の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0085】
別の態様において、抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列:


ここで:環式アナログがGlu22とLys26の間で環化され;Rが水素又は任意の直鎖若しくは分枝鎖アルキル、アシル若しくはアリール基であり;Xaa1がセリン、アラニン、ノルロイシン、又はα−アミノイソ酪酸であり;Xaa8がメチオニン、ノルイソロイシン、又は疎水性アミノ酸であり;Xaa13がリシン、オルニチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、又はホモシステインであり;Xaa14がヒスチジン又は水溶性アミノ酸であり;Xaa15がロイシン又は水溶性アミノ酸であり;Xaa16がアスパラギン又は水溶性アミノ酸であり;Xaa17がセリン又は水溶性アミノ酸であり;及びYがHis-X、His-Asn-X、又はHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2又はOHである、を含むhPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する。特定の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片によって認識されるエピトープは、配列番号:4の22〜26位の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0086】
別の態様において、抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列:



ここで:環式アナログがGlu22とLys26の間で環化され;Xaa14がヒスチジンまたはリシンであり;Xaa15がロイシン、リシン、又はアルギニンであり;Xaa16がアスパラギン、オルニチン、ホモシトルリン、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、d-リシン、セリン、又はグリシンであり;Xaa17がセリン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン酸、オルニチン、システイン、ホモシステイン、又はアルギニンであり;及びYがHis-X、His-Asn-X、又はHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2又はOHである、を含むhPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する。別の態様において、Xaa14〜Xaa17のアミノ酸配列がHis-Lys-Lys-Lys(配列番号:6)、His-Leu-Lys-Lys(配列番号:7)、Lys-Lys-Lys-Lys(配列番号:8)、及びHis-Leu-Lys-Ser(配列番号:9)からなる群より選択される。特定の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片によって認識されるエピトープは、配列番号:5の22〜26位の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0087】
特定の態様において、本発明は、アミノ酸配列:


ここで:環式アナログはGlu22とLys26の間で環化される、を含むhPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片である。特定の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片で認識されるエピトープは、配列番号:10の22〜26位の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0088】
本発明はまた、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する(1つ以上の)抗体又はその抗原結合断片を生成する方法に関する。抗体は、当業者に公知の技術を用いて生成され得る。例えば、抗原性ペプチドを調製し、使用する、並びにポリクローナル及びモノクローナル抗体を生成する様々な方法が、当該分野で公知である(例えば、Kohlerら、Nature,256:495-497(1975)及びEur. J. Immunol. 6: 511-519(1976); Milstein ら、Nature 266: 550-552(1977);Koprowskiら、米国特許第4,172,124号; Harlow, E.及び D. Lane,1988, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, NY); Current Protocols In Molecular Biology, Vol.2 (Supplement 27, Summer '94), Ausubel, F.M.ら、編、(John Wiley & Sons: New York, NY), Chapter 11, (1991)参照)。
【0089】
1つの態様において、本発明の抗体及びその抗原結合断片を生成する方法は、hPTHの環式アナログに対する抗体が動物で産生される条件下で、hPTHの環式アナログ又はその断片を動物に投与することを含む。1つの態様において、抗原性ペプチドは配列番号:1である。別の態様において、抗原性ペプチドは、配列番号:2である。さらに別の態様において、抗原性ペプチドは、配列番号:3である。他の態様において、抗原性ペプチドは、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:10、配列番号:12及び配列番号:13からなる群より選択される。
【0090】
様々な動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ラクダ、ラマ、ヒツジ、ニワトリ、又はヒト)が、抗体又はその抗原結合断片の生成方法において使用され得る。かかる抗原性ペプチドの動物への投与は、制限されないが皮下、腹腔内、又は筋肉内注射を含み、任意の様々な方法によって達成され得る。認められるように、投与される抗原性ペプチドの量は、使用される特定のペプチド並びに被移植体動物に応じて変化する。hPTHの環式アナログの最初の投与又は免疫化後に、動物は1回以上のさらなる免疫化増強を受け得る。
【0091】
アジュバント等の、動物における免疫応答の刺激もまた、本発明の抗体と組み合わせて投与され得る。かかるアジュバントの例として、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、モンタニドISAアジュバント、Ribjアジュバント、ハンタータイターマックス、及びアルミニウム塩アジュバントが挙げられる。
【0092】
hPTHの環式アナログを投与された動物の抗体価は、慣例の出血等の当該分野で周知の任意の様々な技術でモニターされ得る。抗血清は次に単離され(例えば、遠心分離で)、その後、hPTHの環式アナログに対する結合親和性を有する抗体の存在についてスクリーニングする。
【0093】
およそ高い価の抗体が得られた時、抗体は、動物から血液を採取し、抗血清を回収することによって動物から単離される。得られた抗血清はアフィニティー精製され、本発明の抗体を得ることができる。当該分野で周知であるように、抗血清は、固相に前記抗原性ペプチドが結合した分離カラムへの導入等の一般の技術で精製され得る。抗血清は、次に洗浄され、抗原性ペプチドに対する特異性を有さない抗体を除去し得、抗原性ペプチドに特異的な残存結合抗体は、最終的にそこから溶出される。
【0094】
一般にモノクローナル抗体のために、ハイブリドーマは、適切な不死の細胞株(例えば、ミエローマ細胞株又はヘテロミエローマ)を抗体産生細胞と融合することで生成される。抗体産生細胞は、目的の抗原で免疫化した適切な動物の、末梢血液又は、好ましくは脾臓若しくはリンパ節から生成され得る。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択的培養条件を使用して単離され得、限界希釈でクローン化され得る。
【0095】
本発明はまた、本発明の抗体又は抗原結合断片(例えば、任意の前記のヒト、ヒト化した、キメラ抗体若しくは軽鎖若しくは重鎖)又は融合タンパク質をコードする配列を含む単離及び/又は組換え(例えば、実質的に純粋なものを含む)核酸を使用し、抗体を生成する方法に関する。
【0096】
本明細書中で「単離された」と称する核酸は、その本来の環境(例えば、細胞中又はライブラリー等の核酸の混合物中)において他の物質(例えば、ゲノムDNA、cDNA及び/又はRNA等の他の核酸)から分離された核酸である。単離された核酸は、ベクター(例えばプラスミド)の一部として単離され得る。核酸は、天然であり得、化学合成、生物学的及び化学的方法の組み合わせ(例えば、半合成)によって生成され得、任意の適切な方法を使用して単離され得る。
【0097】
本明細書で「組換え」と称される核酸は、例えば、制限酵素、相同組換え、ウイルス等を使用してベクター又は染色体にクローニングする等の人工組換えに従う方法、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して調製された核酸を含む組換えDNA方法で生成された核酸である。「組換え」核酸はまた、細胞の天然機構若しくは組換えを可能にする修飾細胞(例えば、Cre又は他の適切なリコンビナーゼを発現するように修飾された細胞)からの内在性又は外来性核酸の組換えから生じたものであるが、組換えを確実にし、かつ確実にするように意図された核酸の細胞への導入後のために選択される。例えば、機能上、再構成されたヒト抗体の導入遺伝子は、組換え核酸である。
【0098】
本発明はまた、上記記載の方法によって生成される(1つ以上の)抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0099】
hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する本発明の、抗体又はその抗原結合断片は、様々な方法に有用である。本発明の1つの側面において、抗体又はその抗原結合断片はhPTHの環式アナログの存在を検出するアッセイ又は免疫アッセイ等の方法において有用である。本明細書に使用される場合、用語「免疫アッセイ」は、抗体−抗原相互作用の特異性に依存する診断技術であり、これは抗原としてのその作用による物質の検出又は定量をするのに有用である。典型的で、適切な免疫アッセイ技術としては、酵素免疫アッセイ(EIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射線免疫アッセイ(RIA)、及び蛍光免疫アッセイが挙げられる。様々な臨床免疫アッセイ手順が、Immunoassays for the 80's, A. Vollerら、(編)、University Park, 1981に記載されている。
【0100】
本発明の1つの側面は、試料中のhPTHの環式アナログを検出する方法である。該方法は、抗体又はその抗原結合断片とhPTHの環式アナログとの間での免疫複合体の形成に適切な条件下で、本発明の方法で生成される、抗体又はその抗原結合断片と試料を結合させることを含む。
【0101】
本発明の別の側面は、試料中のhPTHの環式アナログを検出する方法であり、該環式アナログは配列番号:1のアミノ酸配列を含む。本発明のこの側面において、試料は、抗体とhPTHの環式アナログとの間での免疫複合体の形成に適切な条件下で、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、抗体又はその抗原結合断片と結合させる。免疫複合体は次に検出され得、免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0102】
本発明の別の側面は、試料中のhPTHの環式アナログを検出する方法であり、該環式アナログは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。本発明のこの側面において、試料は、一次抗体及び二次抗体の両方とhPTHの環式アナログの免疫複合体の形成に適切な条件下で、配列番号:1を含むアミノ酸配列に結合特異性を有する一次抗体又はその抗原結合断片と結合させ、かつhPTHの環式アナログと結合する二次抗体と結合させる。免疫複合体は次に検出され、免疫複合体の検出は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0103】
本発明の別の側面は、試料中のhPTHの環式アナログを検出する方法であり、該環式アナログは配列番号:10のアミノ酸配列を含む。本発明のこの側面において、試料は、配列番号:10と抗体との間での免疫複合体の形成に適切な条件下で、配列番号:1を含むアミノ酸配列に対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片と結合させる。免疫複合体は次に検出され得、免疫複合体の検出は試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0104】
本発明の別の側面は、試料中のhPTHの環式アナログを検出する免疫アッセイであり、該環式アナログは、アミノ酸配列:配列暗号:10を含む。本発明のこの側面において、試料は、配列番号:10が一次抗体及び二次抗体と結合し、免疫複合体を形成する条件下で、配列場号:1を含むアミノ酸配列に対する結合特異性を有する一次抗体又はその抗原結合断片と結合させ、かつ配列番号:10と結合する二次抗体と結合させる。免疫複合体は次に検出され、免疫複合体の検出は試料中の配列番号:10の存在を示す。
【0105】
便宜のために、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片は「一次抗体」として標識される。別の抗体がhPTHの環式アナログの検出のために本発明の方法で使用される場合、かかる抗体は、「二次抗体」として標識される。これらの標識は、抗体についての如何なる順序も付与せず、同定の目的のためにだけ使用される。
【0106】
本発明の1つの側面において、一次抗体、二次抗体若しくは抗原のいずれかは、固相支持又は担体上で固定され得、所望の種類の単離を容易にする。「固相支持」又は「担体」とは、例えば、ナイロン、ガラス繊維、又は高分子物質等の多孔質物質等の当該分野で公知である任意の様々な型であり得る、抗原又は抗体と結合可能な任意の支持を意図する。支持物質は、結合分子とその特異的抗体又は抗原との間での免疫複合体の形成を可能にする限り、事実上、任意の可能な構造形状を有し得る。かくして、支持形状は、ビーズにおけるような球状、若しくは試験管の内部表面におけるような円筒、又は棒の外部表面であり得る。また、表面は、シート、試験ストリップ等の平坦等であり得る。特定の支持は、マイクロタイターウェルプレートを含む。当業者は、抗体又は抗原と結合する他の多くの適切な担体を知っているか、あるいは慣例の実験の使用によって同じものを見出し得る。
【0107】
1つの態様において、hPTHの環式アナログを含む試料は、固相支持上に固定される。支持は、次に適切なバッファーで洗浄され、任意の未結合hPTHの環式アナログを除去し、ある量の一次抗体で処理される。支持は次に二回、バッファーで洗浄され、未結合の一次抗体を除去する。免疫複合体が一次抗体とhPTHの環式アナログとの間で形成される場合は、次に検出され、免疫複合体の検出は試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0108】
本発明の別の態様において、一次抗体、二次抗体、又は抗原は、例えば、ビオチン又はビオチンを含む分子とのコンジュゲーションによって固相支持に結合され得る。ビオチン、水溶性ビタミンの有用性は、卵白並びに鳥類、爬虫類及び両生類の組織において見出される、四量体タンパク質アビジン又はその化学的対応物、ストレプトアビジンに強く結合する能力から生じる。アビジンとビオチンの相互作用は、公知の最も強力な非共有親和性の中の1つであり、約1.3 x 10〜15 Mの解離定数を示す(Hermanson,G.T., Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego, CA(1996), p.570)。
【0109】
他の態様において、コンジュゲート分子は、ビオサイチン及び/又はビオチンアナログ(例えば、ビオチンアミドカプロン酸N-ハイドロキシスクシンイミドエステル、ビオチン−PEO4−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチン4-アミド安息香酸、ビオチンアミドカプロイルヒドラジド)並びにビオチン誘導体(例えば、ビオチン−デキストラン、ビオチン−ジスルフィド−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチン−6アミドキノリン、ビオチンヒドラジド、d−ビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチンマレイミド、d−ビオチンp−ニトロフェニルエステル、ビオチン化ヌクレオチド、N.エプシロン.−ビオチニル−1−リシン等のビオチン化アミノ酸)である(例えば、米国特許第5,948,624号参照)。
【0110】
特定の態様において、アビジンは固相支持又は担体上に固定される(例えば、アビジン含有マイクロタイターウェルプレート)。アビジンとビオチンの後の相互作用は次に、固相支持上で一次抗体、二次抗体、又は抗原を固定するために使用され、それゆえ所望の種類を捕捉又は単離し得る。
【0111】
1つの態様において、一次抗体、二次抗体、又は抗原が標識又は未標識され得る。未標識の場合、試料中のhPTHの環式アナログの存在は、適切な手段、例えば、凝集反応アッセイを使用して検出され得る。本明細書で使用される場合、用語「標識」は、異種混合物中に存在する他の分子と区別される具体的に同定可能な物性を有する、検出可能な部分である。適切な標識としては、例えば、親和標識、酵素標識、蛍光基、化学発光基、及び放射活性標識が挙げられる。
【0112】
1つの態様において、一次抗体、二次抗体又は抗原は、直接的又は間接的に標識される。一次抗体を間接的に標識する場合において、二次抗体又は抗原は、抗体又は抗原を検出するために使用され得る、別の(即ち、1つ以上の)適切な試薬と組み合わせて使用され得る。かかる試薬の例は、一次抗体、二次抗体、又は抗原を認識し、かつ結合する標識された抗体であり、試料中のhPTHの環式アナログの量を検出又は定量するために使用され得る。
【0113】
一次抗体、二次抗体又は抗原が直接標識され得る方法の1つは、酵素免疫アッセイ(EIA)、又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において、それと酵素を結合することによるものである。後にその基質に曝露される場合、酵素は、例えば、分光光度、蛍光定量によって、又は視覚による手段(例えば、比色定量)によって検出され得る化学部分を生じる基質と反応する。hPTHの環式アナログを含有する試料を酵素標識抗体と結合させると、抗体とhPTHの環式アナログの間で結合が起こる。これらの結合したhPTHの環式アナログは未結合試薬から分離され得、hPTHの環式アナログに特異的に結合した抗体−酵素コンジュゲートの存在は、例えば、試料を、酵素によって作用される場合に色又は他の検出可能な変化を生じる酵素の基質と接触させることで測定され得る。
【0114】
標識として用いられ得る酵素としては、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β−ガラクトシダーゼ(β-gal)、グルコースオキシダーゼ(GO)、マルトース結合タンパク質及びグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(例えば、Hermanson, G.T., Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego, CA(1996)参照;その全教示は参照によって本明細書に援用される)が挙げられる。抗体の検出及び/又は画像化に適切である1つ以上の特性を有する他の適切な酵素、タンパク質及び/又はペプチドはまた、標識として用いられ得る。特定の態様において、抗体は、HRPで標識される。
【0115】
一次抗体、二次抗体、又は抗原を放射活性標識することで、放射免疫アッセイ(RIA)の使用によってhPTHの環式アナログの検出が可能である(例えば、Work, T.S.,ら、Laboratory Techniques and Biochemistry in Molecular Biology , North Holland Publishing Company, N.Y.(1978)参照)。
【0116】
放射活性アイソトープは、ガンマ線カウンター又はシンチレーションカウンターの使用のような手段によって又はオートラジオグラフィーによって検出され得る。適切な放射活性標識としては、限定されないが、ヨウ素−131、ヨウ素−125、ビスマス−212、イットリウム−90、イットリウム−88、テクネチウム−99m、銅−67、レニウム−188、レニウム−186、ガリウム−66、ガリウム−67、インジウム−111、インジウム−114m、インジウム−115及びホウ素−10(例えば、B−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン参照)及び前記の任意の誘導体(例えば、Hermanson, G.T., Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego, CA(1996), p. 364以下参照)が挙げられる。
【0117】
一次抗体、二次抗体、又は抗原を蛍光化合物で標識することも可能である。蛍光標識された抗体が適切な波長の光に曝露される時、その存在は次に蛍光によって検出され得る。中でも最も一般に使用される蛍光標識化合物は、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、クーマリン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタアルデヒド及びフルオレサミンである。
【0118】
一次抗体、二次抗体又は抗原はまた、化学発光化合物に結合することで検出可能に標識され得る。化学発光の標識抗体の存在は、次いで化学反応の間に生じる発光の存在を検出することで測定される。例示又は特に有用な化学発光の標識化合物は、ルミノール、イソルミノール、セロマチックアクリジニウムエステル(theronmatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩及びシュウ酸エステルである。
【0119】
同様に、生物発光化合物が、一次抗体、二次抗体又は抗原を標識するために用いられ得る。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増大させる、生物学的システムで見出される化学発光の型である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することで決定される。標識の目的のために重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリンである。
【0120】
1つの側面において、本発明は、検出可能な標識で標識されたhPTHの環式アナログ、および未標識のhPTHの環式アナログが一次抗体と競合的に反応する競合免疫アッセイである。別の競合免疫アッセイにおいて、hPTHの環式アナログは、固相上で固定され、一次標識抗体と共にインキュベートされ、さらに一次未標識抗体と共にインキュベートされ得、両方の抗体は、hPTHの環式アナログ上の1つのエピトープに対して競合する。
【0121】
本発明の別の側面において、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも2つの抗体を使用する「サンドイッチ」アッセイとしても公知の、免疫定量アッセイにおける利用のために適用され得る。典型的な免疫定量アッセイにおいて、ある量の二次抗体(「二面」アッセイ)が、使用され、hPTHの環式アナログは、一次および二次抗体の両方と結合し得る。各抗体は、抗原エピトープと結合し得、他の抗体が結合するのを立体的に妨げるのを避ける。1つの態様において、二次抗体が一次抗体の結合を阻害しない場合、一次抗体及び二次抗体の両方が、hPTHの環式アナログの環式領域と結合し得る。別の態様において、二次抗体は、hPTHの環式アナログの環式領域以外のエピトープに結合する。さらに別の態様において、二次抗体は、hPTHの環式アナログの直鎖領域と結合する。特定の態様において、二次抗体は、hPTHの環式アナログのN末端領域、例えば、hPTHの環式アナログの1位のアミノ酸あたりと16位のアミノ酸あたりとの間で結合する(例えば、米国特許第5,872,221号、米国特許第6,030,790号、及び米国特許出願第2003/0082179号参照、記載された特許及び特許出願の全内容は参照によって本明細書に援用される)。別の態様において、二次抗体は、例えば、hPTHの環式アナログ-(1-31)の27位のアミノ酸あたりと31位のアミノ酸あたりとの間で、hPTHの環式アナログ-(1-32)の27位のアミノ酸あたりと32位のアミノ酸あたりとの間で、hPTHの環式アナログ-(1-33)の27位のアミノ酸あたりと33位のアミノ酸あたりとの間で、hPTHの環式アナログ-(1-34)の27位のアミノ酸あたりと34位のアミノ酸あたりとの間で、hPTHの環式アナログ-(1-84)の27位のアミノ酸あたりと84位のアミノ酸あたりとの間で、hPTHの環式アナログのC末端領域と結合する。
【0122】
本発明の1つの態様は、固相支持上に固定された1つの抗体(「捕捉抗体」)が、抗原とインキュベートされ、さらに検出可能な標識抗体(「トレーサー」抗体)とインキュベートされて捕捉抗体、抗原、及びトレーサー抗体の間で「三次」又は「サンドイッチ」構造を形成する、サンドイッチ免疫アッセイである。標識抗体は、次に一般の手段で検出され得、固相支持上で標識抗体の存在は、抗原の存在を示す。
【0123】
二次抗体は、上記記載の方法のいずれかで又は米国特許第6,689,566号、第6,030,790号、及び第5,872,221号、及び米国公開特許出願第2002/0110871号及び第2003/0082179号に記載の方法で生成され得、そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に援用される。
【0124】
本発明で包含される1つの免疫定量アッセイは、「2段」アッセイである。これは「フォワード」アッセイ又は「リバース」アッセイとして実施され得る。1つの態様において、本発明は、固相支持に結合した二次抗体が、試験される試料と最初に接触して、二重の固相二次抗体−hPTHの環式アナログの複合体の形成によって試料からhPTHの環式アナログを捕捉または抽出する、フォワードアッセイである。適切なインキュベーション期間後、固相支持は洗浄され、未反応のhPTHの環式アナログ(もしあれば)を含む流体試料の残渣を除去し、次いで、既知の量の標識一次抗体を含む溶液と接触させる。標識一次抗体を未標識の二次抗体により固相支持に結合したhPTHの環式アナログと複合体化させる二次インキュベーション期間後、固相支持は、二度、洗浄され、本発明の未反応標識一次抗体を除去する。固相支持に結合した標識一次抗体は次に検出され得、固相に結合した標識抗体の存在は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0125】
別の態様において、本発明は、標識一次抗体又はその抗原結合断片の溶液を、試料と結合させた後、適切なインキュベーション期間後、固相支持に結合する未標識の二次抗体を添加する、リバースアッセイである。二度目のインキュベーション後、固相支持を一般の方法で洗浄し、試験される試料及び未反応の標識一次抗体の溶液の残渣を除く。固相に結合した標識一次抗体は次に検出され得、固相に結合した標識抗体の存在は試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0126】
他の型の「サンドイッチ」アッセイは、hPTHの環式アナログを検出するために有用であり得、いわゆる「同時」又は「1段」アッセイである。本発明の特定の態様は、同時アッセイである。同時アッセイは、単一のインキュベーション工程を伴い、固相支持に結合した二次抗体、及び標識一次抗体の両方は、同時に試験される試料と結合される。インキュベーションが完了した後、固相支持を洗浄し、試料の残渣及び未複合化の標識一次抗体を除去する。固相に結合した標識一次抗体は次に検出され得、固相に結合した標識一次抗体の存在が試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0127】
特定の態様において、本発明は、ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートに結合したビオチン化二次抗体、及びHRP標識一次抗体の両方が、同時に試験される試料と結合する同時免疫アッセイである。インキュベーションが完了した後、固相支持を洗浄し、試料及び未複合化HRP標識一次抗体の残渣を除去する。固相に結合するHRP標識一次抗体は次に検出され得、固相に結合する一次抗体の存在は、試料のhPTHの環式アナログの存在を示す。
【0128】
本発明の方法において、hPTHの環式アナログが試料中に存在するかどうかは、定性的又は定量的に測定され得る。定性的方法は、例えば、酵素標識一次抗体、hPTHの環式アナログを含む試料、及び二次抗体を結合させること、ならびに視覚的に一次抗体と結合する酵素に対する基質を添加した際の色変化を調べることを伴い得、色変化は、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す。定量方法は、例えば、酵素標識一次抗体、hPTHの環式アナログを含む試料、及び二次抗体を結合させること、並びに一次抗体に結合した酵素に対する基質を添加した際の色変化の測定を、例えば、hPTHの環式アナログの既知の量を含む標準試料について得られた標準曲線と比較することを伴い得る。
【0129】
当業者は、慣例の実験を使用することで各測定に対する有効で、最適なアッセイ条件を測定し得る。
【0130】
本発明の目的のために、上記のアッセイで検出されるhPTHの環式アナログはhPTHの環式アナログを含む任意の試料に存在し得る。例えば、試料は、血液、血清、血漿、リンパ、尿、炎症性滲出物、脳脊髄液、羊水、組織抽出物またはホモジェネート等の生物体液等であり得る。しかし、本発明はこれらの試料だけを使用するアッセイに限定されず、当業者が、他の試料の使用を可能にする適切な条件を決定し得る。
【0131】
本発明の1つの態様において、試料は、hPTHの環式アナログで治療されている被験体から得られる。特定の態様において、試料は、hPTHの環式アナログで治療されている被験体から得られ、環式アナログは、配列番号:10を含む。
【0132】
本発明の1つの態様は、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する(1つ以上の)抗体又はその抗原結合断片を含み、ここで環式アナログは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、又は配列番号:10を含む群より選択されるアミノ酸配列を含む、hPTHの環式アナログの存在を検出することに使用されるキットである。かかるキットはまた、本発明の抗体とhPTHの環式アナログとの間での複合体の存在を検出するために適切な1つ以上の補助剤を含み得る。洗浄バッファー、希釈液、溶媒及び停止溶液もまた、キットにおいて提供され得る。
【0133】
本発明の別の態様は、配列番号:1を含むアミノ酸配列に対する結合特異性を有する(1つ以上の)酵素標識一次抗体又はその抗原結合断片並びに酵素標識抗体の検出に有用な色発生基質を含むキットである。配列番号:10と結合するビオチン化二次抗体もまた、提供され得る。ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレート及び洗浄バッファー、希釈液、溶媒及び停止溶液もまた、キットにおいて提供され得る。
【0134】
本発明の抗体又はその抗原結合断片は、補助成分、例えば、バッファー(例えば、トリス−ヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)、リン酸塩、又は炭酸塩)、安定剤及び/又は不活性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、酵素基質(例えば、HRP基質:テトラメチルベンジジン及び過酸化水素)、酸「停止」溶液(例えば、硫酸)、並びに既知の濃度の試験される抗原を含む対照及び/又は標準と共にキットに含まれ得る。抗体は、補助成分と組み合わせて提供され得、又は補助成分は使用者による組み合わせのために、別々に提供され得る。
【0135】
本発明の抗体又はその抗原結合断片は、hPTHの環式アナログの他のエピトープに特異的な二次抗体と組み合わせて提供され得る。hPTHの環式アナログ上の第2のエピトープに結合可能な二次抗体を使用する場合、かかる抗体は、例えば、一次抗体との組み合わせ又は別々のバイアル若しくは容器におけるキットにおいて提供され得る。特定の態様において、二次抗体は、ビオチンにコンジュゲートされる。
【0136】
hPTHの環式アナログの存在を検出する方法又はアッセイに適切な支持マトリックスもまた、キットにおいて提供され得る。特定の態様において、支持マトリックスは、12×8ストリップのマイクロプレート(全体で96マイクロウェル)を含む。特定の態様において、支持マトリックスはストレプトアビジン被覆マイクロプレートを含む。
【0137】
キットの抗体及び/又は補助試薬は適切な包含手段(例えば、ボトル、箱、覆い、チューブ)内に別々に又は一緒にパッケージされ得る。キットが複数の、個包装された構成要素を含む場合、個々の包装は単一のより大きい包含手段(例えば、ボトル、箱、覆い、チューブ)内に含まれ得る。
【0138】
1つの態様において、本発明のキットは、hPTHの環式アナログの濃度を測定する自動化アッセイ系において使用されるよう適用され得る。
【0139】
別の態様において、本発明は、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体を産生するように動物を誘導するのに有用な抗原性ペプチドである。かかる抗原性ペプチドは、固相化学合成等の通常の方法又は組換え技術による合成を含む、様々な当該分野で周知の方法のいずれかで調製され得る。特定の態様において、R.B. Merrifield(Solid-Phase Peptide Systhesis, Advances in Enzymology 32, 221-296 1969)によって開発された固相合成の技術は、その全教示は参照によって本明細書に援用され、抗原性ペプチドの合成のために使用される。該戦略は、固相支持に結合したペプチドのカルボキシル末端アミノ酸を有することに基づく。連続したアミノ酸を次に高収率で付加する。N-末端α−アミノ基は、この保護基が固相支持からペプチドを除去せずに除去され得るような方法で保護される。本明細書において使用される化学は、Fmocアプローチと称される元のMerrifieldの方法の修正を伴う。Fmoc(フルオレニルメトキシカルボニル)基は、温和なアルカリ条件で除去され得、これはアルカリ安定側鎖保護基及び連結を未接触の支持に残す。この技術は、E. Atherton及びR.C. Sheppard, Solid Phase Peptide Synthesis; a Practical Approach, IRL Press new York, N.Y.,によって記載され、その全内容は参照によって本明細書に援用される。
【0140】
1つの態様において、抗原性ペプチドは、配列番号:1のアミノ酸配列からなる。別の態様において、抗原性ペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列からなる。特定の態様において、抗原性ペプチドは、配列番号:3のアミノ酸配列からなる。特定の態様において、抗原性ペプチドは、配列番号:12のアミノ酸配列からなる。別の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体を作製するために用いられ得る特定のペプチドは、hPTHの環式アナログの環式領域から少なくとも1つのアミノ酸を含む、少なくとも4つの連続するアミノ酸を含む。別の態様において、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体を作製するために用いられ得るペプチドは、配列番号:1の1〜5位、配列番号:2の1〜5位、配列番号:3の5〜9位、配列番号:4の22〜26位、配列番号:5の22〜26位、又は配列番号:10の22〜26位からの少なくとも1つのアミノ酸を含む、少なくとも4つの連続するアミノ酸を含む。
【0141】
本発明の抗原性ペプチドは、担体分子に任意に結合され得、抗原性ペプチドの免疫原性特性を増大させる。特定の態様において、担体分子は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヘモシアニン、チログロブンリン、マウス血清アルブミン、又は卵白アルブミン:の群より選択される。特定の態様において、担体分子は海中養殖キーホールリンペットヘモシアニン(mcKLH)である。
【0142】
担体タンパク質に抗原性ペプチドを結合させることは、ヘテロ二官能基架橋剤、ホモ二官能基架橋剤、Mannich反応及び多くの他の方法の使用によって達成され得る。1つの態様において、M-マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)は、抗原性ペプチドを担体タンパク質に連結するのに用いられる。ペプチドは、任意にN−末端又はC−末端で修飾されて、担体分子への結合を容易にし得る。かかる修飾は、N−又はC−末端へのシステイン残基の付加を含む。
【0143】
別の態様において、組換えペプチドは、抗原性ペプチドの免疫原性の特性を増大させるために、融合タンパク質として作製され得る。
【0144】
本発明はさらに、如何なる方法に限定されることなく、以下の実施例によって例証される。
【0145】
実施例1 環式hPTH-(17-31)-アミドアナログ[Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH(17-31)NH2の合成及び精製

【0146】
アミノ酸α−アミノ基を結合の間、9−フルオレニル−メトキシカルボニル(Fmoc)で保護した。結合は、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、2−(1H-ベンゾトリアゾール−1−イル)1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、及びコリジンの1:1のジメチルホルムアミド(DMF)/ジクロロメタン(DCM)における混合で行なった。4倍過剰の活性化アミノ酸をCys-1、Glu-3、Arg-4、Val-5、Leu-8、Leu-11、Leu-12、Gln-13、Asp-14、Val-15:の付加の際に二重の結合と共に使用した。Argの付加のための結合時間は30〜60分まで増大させた。固相支持は、Tentagel R RAM(Peptides International)(置換, 0.21 mmol/g)であった。合成はPerSeptive Biosystems Model 9050 Plus 自動化ペプチド合成機上で行なった。側鎖保護は、以下の通り:NG-2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル−L−アルギニン;Glu-4、Asp-14(t-butyl);Cys-1、Gln-13(トリチル);Lys-10(Boc);Trp-7(t-ブチルオキシカルボニル)、Glu-6(OAll)、Lys-10(All) であった。合成の完了の際、ペプチド樹脂をカラムから反応バイアル(Minivial,Applied Science)に除去し、All及びAlloc基をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.24 mmol)、5%酢酸、及び2.5%NMMの1.7mlのDCM溶液においてアルゴン下で懸濁することによって除去し、次に20℃で6時間振とうした。ペプチド樹脂は次にDMF(50ml)中の0.5%ジエチルジチオカルバメート及び0.5%N-メチルモルホリン(NMM)、続いてDMF(50ml)及びDCM(50ml)で洗浄した。ペプチド(0.06mmol)を、2mlのDMF中0.06mmolの7−アザベンゾトリアゾール−l−イルオキシ)トリス(ピロリジノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)/HOBt/0.12 mmol NMMと共に14時間、20℃で振とうすることで環化した。
【0147】
N-末端からFmocの除去後、ペプチド樹脂をDCMで洗浄し、次に7.5mlの試薬K(6.19mlTFA、水、90%フェノール/水、及びチオアニソール各0.38ml、及び0.19mlの1,2-エタンジチオール)と共に4時間、20℃で振とうすることで樹脂から切り離した。切り離したペプチド混合物をろ過で除去し、t−ブチルメチルエーテルへの添加で沈殿させた。沈殿物を、遠心分離で回収し、t−ブチルメチルエーテルで2回洗浄し、次に真空遠心分離で乾燥させた。粗生成物は、14mlの15%のアセトニトリル/水、0.1%TFA中で溶解し、Vydac CI8-カラム(10μ、1×25cm)上でクロマトグラフィーを行なった。生成物を水における0.1%TFA中の1%/分アセトニトリルのグラジェント(15〜40%)で溶出した。最終産物の純度を、Vydac C18カラム(10μ、0.4〜2.5cm)上の分析HPLC、及びMALDI-TOF MSで推定した。[Cys17, Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(17-31)-NH2に対して:MW=1900.0(M+)
【0148】
実施例2 環式hPTH-(17-31)-アミドアナログ[Leu27,Cys32]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH(17-32)NH2の合成及び精製

【0149】
ペプチドを、実施例1と同等のプロトコールで合成した。分子量は、MW=1986.8(M+)であった。
【0150】
実施例3 [Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(17-31)-NH2とのキーホールリンペットへモシアニン(KLH)コンジュゲートの調製
80mMリン酸ナトリウム、0.1M EDTA、0.9M NaCl、pH7.2の存在下で室温で2時間、[Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(17-31)-NH2(配列番号:12)(2mg)をマレイミド活性化KLH(2mg)(Pearce Chemicals)にコンジュゲートした。80mMリン酸ナトリウム、0.9M NaCl,pH7.2で平衡化した脱塩カラムを通過させることによって、小さい反応物を除去した。
【0151】
実施例4 [Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(17-31)-NH2に対する抗体の調製及び精製
6匹の雌ニュージーランド白ウサギに、リン酸緩衝食塩水、pH7.2、フロイント完全アジュバントの1:1の乳化液に懸濁したペプチド−KLHコンジュゲートのそれぞれ100μgを最初に注入し、次に、フロイント不完全アジュバントで乳化した以外は同じコンジュゲート量で4週間及び8週間後に続けて追加免疫した。血液試料を、8週間後に回収し、[Leu27]シクロ[Glu22-Lys26]hPTH-(1-31)-NH2(配列番号:10)に対する感受性及び特異性を試験した。
【0152】
免疫した動物から得た抗血清は次に、プロテインAゲルを充填したカラム(
Bio-Rad Laboratories, Hercules, California 94547, USA)を用いてアフニティー精製した。抗血清は、カラム上に徐々に載せられ、抗体をプロテインAゲルに結合させた。未結合タンパク質及び物質を0.01Mリン酸緩衝食塩水を用いて洗浄した。抗体を次に0.1Mグリシン-HCl(pH2.5)の溶出バッファーで溶出した。抗体画分を回収し、溜めて、0.01Mリン酸緩衝食塩水に対して透析した。
【0153】
抗体を次に非常に高い特異的酵素活性を有するホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートした。結合反応は、Epitope Diagnostics, Inc.(San Diego, CA 92126, USA)で開発された、2段階グルタルアルデヒド方法(Avermeas S, Temynck T.,"Peroxidase labeled antibody and Fab conjugates with enhanced intracellular penetration",Immunochemistry, 8:1175-9,(1971))に従って実施した。コンジュゲート抗体を、ウシ血清アルブミンに基づくマトリックスで希釈し、2〜8℃又は-20℃で保存した。
【0154】
実施例5 [Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(17-31)-NH2の非環式部分に対する抗体の調製及び精製
ヤギにウシチログロブリンにコンジュゲートしたhPTH-(1-34)ペプチド(フロイント完全アジュバントとの1:1乳化液中、リン酸緩衝食塩水pH7.2に懸濁した)のそれぞれの100μgを注入し、次に延長した12ヶ月の間、4週間ごとに追加免疫した。血液試料を、3ヶ月ごとに回収し、その結合能を試験した。
【0155】
免疫動物から得られた抗血清は、抗原特異的なゲルで充填したカラムを用いてアフニティー精製した。[Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)-NH2を、製造者の指示に従ってCNBr−カラム(Bio-Rad Laboratories, Hercules, Calfornia 94547, USA)にコンジュゲートした。hPTH-(1-34)に対する抗血清は、カラム上に徐々に載せられ、抗体を[Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)-NH2コンジュゲートゲルの直鎖部分に結合させた。未結合タンパク質及び非特異的抗体を0.01Mリン酸緩衝食塩水を用いて洗浄した。抗[Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)-NH2特異的抗体は次に0.1Mグリシン−HCl(pH2.5)の溶出バッファーで溶出した。抗体画分を回収し、溜めて、0.01Mリン酸緩衝食塩水に対して透析した。
【0156】
実施例6:抗 [Cys17,Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)-NH2非環式部分抗体のビオチン化
実施例5の抗体は、活性化したNHS-ビオチン(mol:mol)(Sigma, St Luis, MO 63178, USA)20部に対して1部の抗体を混合することでビオチン化した。室温で18〜20時間インキュベーションした後、抗体は0.01Mリン酸緩衝食塩水に対して徹底的に透析した。最終のビオチン化抗体をウシ血清アルブミンを有するリン酸緩衝食塩水に、所望の濃度に希釈した。この抗体を2〜8℃で保存した。
【0157】
実施例7:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)に対するサンドイッチELISA
ストレプトアビジンを量り、リン酸バッファーで20mg/Lに希釈し、この溶液0.2mlをコーニング(登録商標)96ウェルポリスチレンマイクロプレートの各ウェルに添加した。プレートを室温で18〜22時間インキュベートした。プレートを次に洗浄し、BSAを含む安定/ブロッキングバッファーを添加した。プレートを再度、4時間室温でインキュベートした。プレートを最終的に30%未満の湿度で乾燥させた。
【0158】
[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)ペプチド標準を、以下のように調製した。ペプチドをウシ血清アルブミンと正常ウシ血清に基づくバッファーマトリックスで最終濃度1600pg/ml、400pg/ml、100pg/ml、25pg/ml及び6pg/mlに希釈した。ELISAの目的のために、バッファーマトリックスを0標準として使用した。100μlの各ペプチド標準を上記記載のようにストレプトアビジン被覆コーニング(登録商標)96ウェルポリスチレンマイクロプレートの指定ウェルに添加した。
【0159】
120ngの、アフニティー精製した、ビオチン−NHSとコンジュゲートした抗N末端[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)抗体及び20ngの、アフニティー精製した、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)で標識した抗C末端[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)抗体を含んだ100μLの抗体混合物を次に各ウェルに添加した。
【0160】
上記抗原及び抗体を室温で3時間、170rpmで振とうしながら、ストレプトアビジン被覆プレート中でインキュベートした。インキュベーション後、各ウェルをELISA洗浄バッファーで洗浄した。200μLのテトラメチルベンジジン(TMB)を次に各ウェルに添加した。ウェルは室温で20分間インキュベートし、次に100μLの停止溶液を各ウェルに添加した。マイクロプレートをマイクロタイタープレートリーダー(VERSAmaxTM, Molecular Device, Inc.)によって450nmの吸収波長で読み取った。
【0161】
対応するオスタボリン−C標準濃度に対して450nmの光学密度(OD)をプロットすることで標準曲線を得た。用量反応標準曲線を上記の二面「サンドイッチ」ELISA方法(図2)を用いて得た。
【0162】
実施例8:直鎖hPTHアナログと比較したhPTHの環式アナログに対する抗体の結合選択性
[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)及び以下の直鎖hPTHアナログ:hPTH-(1-84)、hPTH-(1-31)、及びhPTH-(1-34)(Bachem, Inc.から購入した)をウシ血清アルブミンに基づくバッファーマトリックスで別々の容器において最終濃度10,000pg/ml、1,000pg/ml、及び100pg/mlに個々に希釈した。これらの人工ペプチド含有試料を次に実施例5記載のように[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)二面「サンドイッチ」ELISAにおいて測定した。
【0163】
450nmでのOD値をマイクロタイタープレートリーダー(VERSAmaxTM, Molecular Device, Inc.)で読み取った(図3)。
【0164】
該アッセイを[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)ペプチドを用量応答的方法において検出した。しかし、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)アッセイは、hPTH-(1-84)、hPTH-(1-34)、及びhPTH-(1-31)ペプチドを含む他のhPTHアナログのいずれも10,000pg/mlの濃度まで検出できず、OD450nmでのすべての結果は、バッファーマトリックスのものに類似又は近かった。それゆえ、抗体及びアッセイは、直鎖のhPTH-(1-84)、hPTH-(1-34)、及びhPTH-(1-31)と任意の交差反応がなく、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)の測定に特異的である。
【0165】
本発明はその特定の態様に対して参照によって具体的に示し、記載しているが、請求の範囲で包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形式及び詳細における様々な変化がなされ得ることが当業者によって理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】図1は、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)の構造を表している。
【図2】図2は、実施例5記載の2ヵ所のサンドイッチELISAを用いて得られた、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)の標準曲線である。
【図3】図3は、実施例6記載の、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体がhPTHの非環式アナログと交差反応しないことを示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対して結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
環式アナログが、Glu1とLys5の間で環化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含む、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対して結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
環式アナログが、Glu1とLys5の間で環化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)を含む、請求項2記載の抗体。
【請求項4】
環式アナログが、Glu5とLys9の間で環化されるアミノ酸配列:Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)を含む、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
環式アナログがアミノ酸配列:R-NH-Xaa1-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Xaa8-His-Asn-Leu-Gly-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-Y(配列番号:4)を含み、
環式アナログがGlu22とLys26の間で環化され;
Rが水素又は任意の直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アシル若しくはアリール基であり;
Xaa1がセリン、アラニン、ノルロイシン、又はα−アミノイソ酪酸であり;
Xaa8がメチオニン、ノルイソロイシン、ノルロイシン、又は疎水性アミノ酸であり;
Xaa13がリシン、オルニチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、又はホモシステインであり;
Xaa14がヒスチジン又は水溶性アミノ酸であり;
Xaa15がロイシン又は水溶性アミノ酸であり;
Xaa16がアスパラギン又は水溶性アミノ酸であり;
Xaa17がセリン又は水溶性アミノ酸であり;及び
YがHis-X、His-Asn-X、又はHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2又はOHである、請求項4記載の抗体。
【請求項6】
環式アナログがアミノ酸配列:H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-Y(配列番号:5)を含み、
環式アナログがGlu22とLys26の間で環化され;
Xaa14がヒスチジンまたはリシンであり;
Xaa15がロイシン、リシン、又はアルギニンであり;
Xaa16がアスパラギン、オルニチン、ホモシトルリン、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、d-リシン、セリン、又はグリシンであり;
Xaa17がセリン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン酸、オルニチン、システイン、ホモシステイン、又はアルギニンであり;及び
YがHis-X、His-Asn-X、又はHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2又はOHである、請求項4記載の抗体。
【請求項7】
Xaa14〜Xaa17のアミノ酸配列がHis-Lys-Lys-Lys(配列番号:6)、His-Leu-Lys-Lys(配列番号:7)、Lys-Lys-Lys-Lys(配列番号:8)、及びHis-Leu-Lys-Ser(配列番号:9)からなる群より選択される、請求項6記載の抗体。
【請求項8】
環式アナログがアミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含む、請求項4記載の抗体。
【請求項9】
(a) hPTHの環式アナログに対して結合特異性を有する抗体が動物で産生される条件下で、配列番号:1を含む抗原ペプチドを動物に投与する工程;及び
(b)動物から抗体又はその抗原結合断片を単離する工程を含み、環式アナログがGlu1とLys5の間で環化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含み、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対して結合特異性を有する、抗体又はその抗原結合断片の生成方法。
【請求項10】
抗原ペプチドが、Glu1とLys5の間で環化されるGlu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)及びGlu5とLys9の間で環化されるMet-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
抗原ペプチドが、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:10、配列番号:12、又は配列番号:13からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
抗原ペプチドが担体に結合される、請求項9記載の方法。
【請求項13】
担体が海中培養カサガイヘモシアニン(mcKLH)である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項9記載の方法。
【請求項15】
抗体がポリクローナル抗体である、請求項9記載の方法。
【請求項16】
請求項9記載の方法によって生成される抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
(a)動物において配列番号:12に対する抗体が産生される条件下で、Glu6とLys10の間で環化されるアミノ酸配列:Cys-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Gin-Val-NH2(配列番号:12)を含む抗原ペプチドを動物に投与する工程;及び
(b)動物から抗体又はその抗原結合断片を単離する工程を含み、環式アナログがアミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含み、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対して結合特異性を有する、抗体又はその抗原結合断片の生成方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法で生成される抗体又はその抗原結合断片。
【請求項19】
試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であって、ここで該環式アナログが、Glu1とLys5の間で環化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含み、
(a)抗体とhPTHの環式アナログとの間での免疫複合体の形成に適切な条件下で、hPTHの環式アナログに対して結合特異性を有する、抗体又はその抗原結合断片と試料を結合する工程;及び
(b)免疫複合体を検出する工程、
を含み、ここで免疫複合体の検出は試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す、方法。
【請求項20】
試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であって、ここで該環式アナログが、Glu1とLys5の間で環化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含み、
(a)一次抗体と二次抗体がhPTHの環式アナログと結合し、免疫複合体を形成する条件下で、hPTHの環式アナログに対して結合特異性を有する一次抗体又はその抗原結合断片、及びhPTHの環式アナログに結合する二次抗体、と試料を結合する工程;及び
(b)免疫複合体を検出する工程を含み、ここで免疫複合体の検出は試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す、方法。
【請求項21】
二次抗体がhPTHの環式アナログの非環式領域に結合する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
非環式領域がhPTHの環式アナログのN末端領域である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
hPTHの環式アナログが、Glu1とLys5の間で環化されるGlu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)及びGlu5とLys9の間で環化されるMet-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
hPTHの環式アナログがアミノ酸配列:R-NH-Xaa1-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Xaa8-His-Asn-Leu-Gly-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-Y(配列番号:4)を含み、
環式アナログがGlu22とLys26の間で環化され;
Rが水素又は任意の直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アシル若しくはアリール基であり;
Xaa1がセリン、アラニン、ノルロイシン、又はα−アミノイソ酪酸であり;
Xaa8がメチオニン、ノルイソロイシン、ノルロイシン、又は疎水性アミノ酸であり;
Xaa13がリシン、オルニチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、又はホモシステインであり;
Xaa14がヒスチジン又は水溶性アミノ酸であり;
Xaa15がロイシン又は水溶性アミノ酸であり;
Xaa16がアスパラギン又は水溶性アミノ酸であり;
Xaa17がセリン又は水溶性アミノ酸であり;及び
YがHis-X、His-Asn-X、又はHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2又はOHである、請求項20記載の方法。
【請求項25】
hPTHの環式アナログがアミノ酸配列:H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-Y(配列番号:5)を含み、
環式アナログがGlu22とLys26の間で環化され;
Xaa14がヒスチジンまたはリシンであり;
Xaa15がロイシン、リシン、又はアルギニンであり;
Xaa16がアスパラギン、オルニチン、ホモシトルリン、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、d-リシン、セリン、又はグリシンであり;
Xaa17がセリン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン酸、オルニチン、システイン、ホモシステイン、又はアルギニンであり;及び
YがHis-X、His-Asn-X、又はHis-Asn-Phe-Xであり;ここでXはNH2又はOHである、請求項20記載の方法。
【請求項26】
Xaa14〜Xaa17のアミノ酸配列がHis-Lys-Lys-Lys(配列番号:6)、His-Leu-Lys-Lys(配列番号:7)、Lys-Lys-Lys-Lys(配列番号:8)、及びHis-Leu-Lys-Ser(配列番号:9)からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
hPTHの環式アナログがアミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含む、請求項20記載の方法。
【請求項28】
一次抗体が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)酵素マーカーで標識される、請求項20記載の方法。
【請求項29】
二次抗体がビオチンに結合される、請求項20記載の方法。
【請求項30】
試料が同時に一次抗体及び二次抗体と結合される、請求項20記載の方法。
【請求項31】
試料が一次抗体および二次抗体と連続して結合される、請求項20記載の方法。
【請求項32】
試料が、hPTHの環式アナログで治療されている被験体から得られる、請求項20記載の方法。
【請求項33】
試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であって、ここで該環式アナログがアミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含み、
(a)試料を、[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)と抗体との間の免疫複合体の形成に適した条件下で、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する抗体またはその抗原結合断片と結合させる工程、および
(b)免疫複合体を検出する工程;
を含み、ここで免疫複合体の検出が、試料中の[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)の存在を示す、方法。
【請求項34】
試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であって、ここで該環式アナログがアミノ酸配列:[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)を含み、
(a)試料を、一次抗体および二次抗体が配列番号:10に結合して免疫複合体を形成する条件下で、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、および[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)に結合する二次抗体と結合させる工程;ならびに
(b)免疫複合体を検出する工程;
を含み、ここで免疫複合体の検出が、試料中の[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)の存在を示す、方法。
【請求項35】
一次抗体がホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)酵素マーカーで標識される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
二次抗体がビオチンに結合される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
試料が、一次抗体および二次抗体に同時に結合される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
試料が、一次抗体および二次抗体に連続して結合される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
試料中のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログを検出する方法であって、ここで該環式アナログが、Glu1とLys5の間で環式化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含み、
(a)試料を、一次抗体および二次抗体がhPTHの環式アナログのエピトープに関して競合する条件下で、hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する一次抗体またはその抗原結合断片、およびhPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する二次抗体またはその抗原結合断片に結合させる工程;
(b)hPTHの環式アナログと一次抗体または二次抗体のいずれかとの免疫複合体を形成する工程;ならびに
(c)免疫複合体を検出する工程;
を含み、ここで、免疫複合体の検出が、試料中のhPTHの環式アナログの存在を示す、方法。
【請求項40】
ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の環式アナログに対する結合特異性を有する抗体またはその抗原結合断片を含むキットであって、ここで該環式アナログが、Glu1とLys5の間で環式化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)を含む、キット。
【請求項41】
hPTHの環式アナログが、Glu1とLys5の間で環式化されるGlu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)、およびGlu5とLys9との間で環式化されるMet-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項40記載のキット。
【請求項42】
hPTHの環式アナログが、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項40記載のキット。
【請求項43】
抗体が、検出可能な標識に結合される、請求項40記載のキット。
【請求項44】
該標識を検出する試薬をさらに含む、請求項43記載のキット。
【請求項45】
(a)hPTHの環式アナログに結合する二次抗体;および
(b)洗浄バッファー、希釈剤、溶媒および停止溶液
をさらに含む、請求項44記載のキット。
【請求項46】
(a)hPTHの環式アナログに対する結合特異性を有する、酵素標識一次抗体またはその抗原結合断片;
(b)[Leu27]シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)(配列番号:10)に結合する、ビオチン化二次抗体;
(c)工程(a)の酵素に対する基質として用いるための、色発生基質溶液;
(d)ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレート;ならびに
(e)洗浄バッファー、希釈剤、溶媒および停止溶液
を含むキット。
【請求項47】
Glu1とLys5との間で環式化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys(配列番号:1)からなる抗原性ペプチド。
【請求項48】
Glu1とLys5との間で環式化されるアミノ酸配列:Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu(配列番号:2)からなる抗原性ペプチド。
【請求項49】
Glu5とLys9との間で環式化されるアミノ酸配列:Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val(配列番号:3)からなる抗原性ペプチド。
【請求項50】
Glu6とLys10との間で環式化されるアミノ酸配列:Cys-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Val-NH2(配列番号:12)からなる抗原性ペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−500966(P2008−500966A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504108(P2007−504108)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/008913
【国際公開番号】WO2005/090404
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506313730)ゼロス セラピューティクス,インコーポレイテッド (1)
【出願人】(506315066)ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ (1)
【出願人】(506315033)
【Fターム(参考)】