説明

ヒト化コラーゲン抗体および関連方法

【課題】脈管形成の脈管構造に特異的な抗体を同定すること、ならびに治療プロセスのためにこれらの抗体をヒト化および最適化するすること。
【解決手段】本発明は、重鎖CDRの1つ以上のCDRにおける少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、グラフト化抗体またはその機能的フラグメントを提供し、ここで、これらのグラフト化抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに対する特異的結合活性を有する。本発明はまた、隠れたコラーゲンエピトープに対する特異的結合活性を有する抗体を使用する方法を提供し、これらの方法は、新脈管形成、腫瘍成長、および転移を阻害する方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般に、免疫学に関し、そしてより具体的には、ヒト化抗体およびそれらの使用に関する。
【0002】
細胞外マトリックス(ECM)は、正常プロセスおよび病的プロセスの調節に必須の役割を果たす。ECM中に見出される最も大量に発現される成分は、コラーゲンである。3重らせん状コラーゲン(triple helical collagen)は、タンパク質分解性の切断に対して、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の酵素ファミリーのメンバーによる切断を除いて、高度に耐性であることが公知である。
【0003】
新脈管形成および腫瘍増殖は、細胞外マトリックスとの細胞の相互作用に依存する。新脈管形成および腫瘍侵襲の間、内皮細胞および腫瘍細胞は両方とも、これらの細胞の細胞外微環境を、タンパク質分解的に再構築する。次いで、これらの侵襲性細胞は、この新規に再構築された細胞外マトリックスと相互作用し、続いて移動および侵襲が起こる。このために、血管周囲の基底膜の主要成分は、コラーゲン−IVである。さらに、コラーゲン−Iは、この間質マトリックス(interestitial matrix)の主要成分である。
【0004】
癌の進行の主な有害影響の1つは、原発腫瘍の部位を越える転移である。このような転移は、より攻撃的な治療をしばしば必要とし、そして一旦転移が起こると、癌患者の生存に関する予後は劇的に減少する。
【0005】
全ての固形腫瘍の成長は、腫瘍(特に最小サイズを超える腫瘍)の連続した拡大のために、新しい血管の成長を必要とする。新脈管形成が腫瘍の成長に必要であるので、新脈管形成を阻害することは、腫瘍の成長の阻害への1つのアプローチである。従って、脈管形成の脈管構造を標的とし得る分子の同定が所望される。脈管形成の脈管構造の標的化についての特に魅力的な分子は、脈管形成の脈管構造に特異的に結合し得る抗体である。しかし、大抵の抗体は非ヒト動物(例えば、マウス)において開発されるので、これらの抗体は、しばしば所望でない免疫原性活性を有し、ヒトの治療に対するこれらの抗体の有効性を制限する。
【0006】
非ヒト抗体の有害な特性を克服するための1つのアプローチは、結合特異性を与える結合ドメインとともにスプライスされたヒト抗体フレームワーク領域配列を用いることによって、これらの抗体をヒト化することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの結合ドメイン(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)のヒトフレームワークへのグラフトは、しばしば結合親和性の欠如を生じた。
【0008】
従って、脈管形成の脈管構造に特異的な抗体を同定する必要性ならびに治療プロセスのためにこれらの抗体をヒト化および最適化する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の発明は、この必要性を満たし、そして、関連の利点をも提供する。
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、重鎖CDRの1つ以上のCDRにおける少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、グラフト化抗体またはその機能的フラグメントを提供し、ここで、これらのグラフト化抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープ(cryptic collagen epitope)に対する特異的結合活性を有する。本発明はまた、隠れたコラーゲンエピトープに対する特異的結合活性を有する抗体を使用する方法を提供し、これらの方法は、新脈管形成、腫瘍成長、および転移を阻害する方法を包含する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
グラフト化抗体、またはその機能的フラグメントであって、配列番号26、28、および30からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号20、22および24からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、グラフト化抗体。
(項目2)
抗体またはその機能的フラグメントであって、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162として参照されるCDRからなる群より選択される1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
(項目3)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目4)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号72として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目5)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号48として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目6)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目7)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号158として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目8)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号159として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目9)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号48として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目10)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号72として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目11)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目12)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目13)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目14)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号162として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号158として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目15)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号156として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目16)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目17)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目18)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号161として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目19)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号156として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号161として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目20)
項目2に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目21)
抗体またはその機能的フラグメントであって、1つ以上の重鎖CDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含む重鎖ポリペプチドを含み、該重鎖CDRが、配列番号26、43、44、45、46、および47として参照されるCDRからなる群から選択される重鎖CDR1;配列番号28、48、49、50、51、52、53、54および55として参照されるCDRからなる群から選択される重鎖CDR2;ならびに配列番号30、56、57、58、59、60、61、62、63および64として参照されるCDRからなる群から選択される重鎖CDR3からなる群より選択され、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
(項目22)
抗体またはその機能的フラグメントであって、1つ以上の軽鎖CDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含む軽鎖ポリペプチドを含み、該軽鎖CDRが、配列番号20、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75および76として参照されるCDRからなる群から選択される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;ならびに配列番号24、77、78、79、80、81、82、83、84、85および86として参照されるCDRからなる群から選択される軽鎖CDR3からなる群より選択され、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
(項目23)
グラフト化抗体またはその機能的フラグメントであって、配列番号38、40および42からなる群から選択される重鎖相補性決定領域(CDR)または配列番号32、34および36からなる群から選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、グラフト化抗体。
(項目24)
抗体またはその機能的フラグメントであって、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153として参照されるCDRからなる群より選択される1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
(項目25)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38として参照される重鎖CDR1;配列番号40として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号32として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目26)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号32として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目27)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号149として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目28)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号150として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目29)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号149として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目30)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号144として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号149として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目31)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号151として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目32)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号151として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目33)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号152として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号145として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目34)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号148として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号150として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目35)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号115として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目36)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号40として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号153として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目37)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号116として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目38)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号116として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目39)
項目24に記載の抗体であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号32として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体。
(項目40)
抗体またはその機能的フラグメントであって、1つ以上の重鎖CDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含む重鎖ポリペプチドを含み、該重鎖CDRが、配列番号38、87、88、89、90、91、147、および148として参照されるCDRからなる群から選択される重鎖CDR1;配列番号40、92、93、94、95および144として参照されるCDRからなる群から選択される重鎖CDR2;ならびに配列番号42、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108および109として参照されるCDRからなる群から選択される重鎖CDR3からなる群より選択され、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
(項目41)
抗体またはその機能的フラグメントであって、1つ以上の軽鎖CDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含む軽鎖ポリペプチドを含み、該軽鎖CDRが、配列番号32,110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、146、149、150、151、152および153として参照されるCDRからなる群から選択される軽鎖CDR1;配列番号34、120、121、122、123、124および125として参照される軽鎖CDR2;ならびに配列番号36、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、および145として参照されるCDRからなる群から選択される軽鎖CDR3からなる群より選択され、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
(項目42)
項目1〜41のいずれか一項に記載のグラフト化抗体であって、前記機能性フラグメントが、Fv、Fab、F(ab)およびscFvからなる群から選択される、グラフト化抗体。
(項目43)
項目1〜41のいずれか一項に記載の抗体をコードする、核酸。
(項目44)
脈管形成脈管構造を標的化する方法であって、抗体、またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26、28、および30からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号20、22および24からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目45)
項目44に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目46)
項目44に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目47)
項目44に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、検出可能な部分をさらに含む、方法。
(項目48)
脈管形成を阻害する方法であって、抗体またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26、28、および30からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号20、22および24からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目49)
項目48に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目50)
項目48に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目51)
腫瘍を標的化する方法であって、抗体またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26、28、および30からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号20、22および24からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目52)
項目51に記載の方法であって、前記抗体または機能的フラグメントが、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目53)
項目51に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目54)
項目51に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、検出可能な部分をさらに含む、方法。
(項目55)
腫瘍増殖を阻害する方法であって、抗体またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26、28、および30からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号20、22および24からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目56)
項目55に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目57)
項目55に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目58)
脈管形成脈管構造を検出する方法であって、脈管形成脈管構造を抗体またはその機能的フラグメントと接触させる工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26、28、および30からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号20、22および24からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目59)
項目58に記載の方法であって、前記抗体または機能的フラグメントが、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目60)
項目58に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、検出可能な部分をさらに含む、方法。
(項目61)
転移を阻害する方法であって、抗体またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26、28、および30からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号20、22および24からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目62)
項目61に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目63)
項目61に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目64)
脈管形成脈管構造を標的化する方法であって、抗体、またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38、40、および42からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号32、34および36からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目65)
項目64に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目66)
項目64に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目67)
項目64に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、検出可能な部分をさらに含む、方法。
(項目68)
脈管形成を阻害する方法であって、抗体、またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38、40、および42からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号32、34および36からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目69)
項目68に記載の方法であって、前記抗体または機能的フラグメントが、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目70)
項目68に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目71)
腫瘍を標的化する方法であって、抗体、またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38、40、および42からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号32、34および36からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目72)
項目71に記載の方法であって、前記抗体または機能的フラグメントが、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目73)
項目71に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目74)
項目71に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、検出可能部分をさらに含む、方法。
(項目75)
腫瘍の増殖を阻害する方法であって、抗体、またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38、40、および42からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号32、34および36からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目76)
項目75に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目77)
項目75に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
(項目78)
脈管形成脈管構造を検出する方法であって、脈管形成脈管構造を抗体、またはその機能的フラグメントと接触させる工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38、40、および42からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号32、34および36からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目79)
項目78に記載の方法であって、前記抗体または機能的フラグメントが、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目80)
項目78に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、検出可能部分をさらに含む、方法。
(項目81)
腫瘍増殖を阻害する方法であって、抗体、またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38、40、および42からなる群より選択される重鎖相補性決定領域(CDR)、または配列番号32、34および36からなる群より選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRに少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを含み、該グラフト化抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対して特異的結合活性を有する、方法。
(項目82)
項目81に記載の方法であって、前記抗体または機能的フラグメントが、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、方法。
(項目83)
項目81に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、治療部分をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、HUIV26抗体およびHUI77抗体をコードする核酸をクローン化するために使用するプライマーの配列を示す。図1Aは、マウス抗体軽鎖のシグナルペプチドについての5’プライマーのセット(配列番号184〜192)を示す。図1Bは、マウス抗体重鎖のシグナルペプチドについての5’プライマーのセット(配列番号193〜211)を示す。図1Cは、マウス重鎖および軽鎖の定常領域についてのプライマーのセットを示す。プライマー2650(配列番号212)は、マウスκ軽鎖定常領域(アミノ酸123〜115)についての3’プライマーである。プライマー2656(配列番号213)は、マウスIgM CH1領域(アミノ酸121〜114)についての3’プライマーである。プライマー2706(配列番号214)は、マウスIgM CH1領域(アミノ酸131〜124)についての3’プライマーである。
【図2A】図2は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUIV26の可変領域の配列を示す。図2Aは、HUIV26可変領域軽鎖のヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。
【図2B】図2は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUIV26の可変領域の配列を示す。図2Bは、HUIV26可変領域重鎖のヌクレオチド配列(配列番号3)を示す。
【図2C】図2は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUIV26の可変領域の配列を示す。図2Cは、HUIV26のHUIV26軽鎖(V)ドメインのアミノ酸配列(配列番号2)と、ヒト可変領域融合体VKIV/JK2のアミノ酸配列(配列番号6)とのアラインメント、およびHUIV26重鎖(V)ドメインのアミノ酸配列(配列番号4)と、ヒト可変領域融合体VHIII/JH6のアミノ酸配列(配列番号8)とのアラインメントを、CDRに下線を引いて示す。これらのアラインメントした配列間で異なるフレームワーク領域中のアミノ酸を、線によって示す。
【図3A】図3は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUI77の可変領域の配列を示す。図3Aは、HUI77可変領域軽鎖のヌクレオチド配列(配列番号9)を示す。
【図3B】図3は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUI77の可変領域の配列を示す。図3Bは、HUI77可変領域重鎖のヌクレオチド配列(配列番号11)を示す。
【図3C】図3は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUI77の可変領域の配列を示す。図3Cは、HUI77のHUI77軽鎖(V)ドメインのアミノ酸配列(配列番号10)と、ヒト可変領域融合体VKII/JK1のアミノ酸配列(配列番号14)とのアラインメント、およびHUI77重鎖(V)ドメインのアミノ酸配列(配列番号12)と、ヒト可変領域融合体VHIII/JH6のアミノ酸配列(配列番号16)とのアラインメントを、CDRに下線を引いて示す。これらのアラインメントした配列間で異なるフレームワーク領域中のアミノ酸を、線によって示す。
【図3D】図3は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUI77の可変領域の配列を示す。図3Dは、HUI77可変領域のヌクレオチド配列とDPK13およびJK1のヒトフレームワーク融合体の配列(配列番号17)とのアラインメントを示す。
【図4A】図4は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUIV26についての有利なCDR変異を示す。図4Aは、HUIV26のLCDR3およびHCDR3におけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(HUIV26 LCDR3プライマー、配列番号224〜232;HUIV26 HCDR3プライマー、配列番号233〜243)を示す。
【図4B】図4は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUIV26についての有利なCDR変異を示す。図4Bは、HUIV26のLCDR1aにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号266〜273)、HUIV26のLCDR1bにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号274〜282)、HUIV26のLCDR2におけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号283〜289)、HUIV26のHCDR1におけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号290〜294)、HUIV26のHCDR2aにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号295〜303)およびHUIV26のHCDR2bにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号304〜311)を示す。
【図4C】図4は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUIV26についての有利なCDR変異を示す。図4Cは、HUIV26抗体の有利なCDR変異を示す。
【図5A】図5は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUI77についての有利なCDR変異を示す。図5Aは、HUI77のLCDR3およびHUI77のHCDR3におけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセットを示す。
【図5B】図5は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUI77についての有利なCDR変異を示す。図5Bは、HUI77のLCDR1aにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号312〜319)、HUI77のLCDR1bにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号320〜327)、HUI77のLCDR2におけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号328〜334)、HUI77のHCDR1におけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号335〜341)、HUI77のHCDR2aにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号342〜349)およびHUI77のHCDR2bにおけるランダム変異の生成に使用されるプライマーのセット(配列番号350〜357)を示す。
【図5C】図5は、抗隠れたコラーゲン部位抗体HUI77についての有利なCDR変異を示す。図5Cは、HUI77抗体の有利なCDR変異を示す。
【図6】図6は、HUIV26抗体の無作為配列改変体における変異を示す。アミノ酸の位置を示し、野生型と異なる変異を太字で示す。無作為配列改変体の相対活性を、「SPEKon」および「SPEKoff」として示す(最終列)。無作為配列ライブラリーの作製に使用されるプライマー(配列番号163〜173)もまた示す。
【図7】図7は、HUI77抗体の無作為配列改変体における変異を示す。アミノ酸の位置を示し、野生型と異なる変異を太字で示す。無作為配列改変体の相対活性を、「SPEKon」および「SPEKoff」として示す(最終列)。無作為配列ライブラリーの作製に使用されるプライマーもまた示す(配列番号174〜183)。
【図8】図8は、HUIV26改変体の活性および特異性を示す。IX−IV26の精製Fab(野生型HUIV26 CDRを含む)、ならびにHUIV26改変体2D4H1−C3の精製FabおよびHUIV26改変体DhuG5の精製Fabの、変性コラーゲンIV(図8A)、変性コラーゲンI(図8B)および天然コラーゲンIV(図8C)に対する結合を示す。
【図9】図9は、HUI77改変体の活性および特異性を示す。IX−I77の精製Fab(野生型HUI77 CDRを含む)、ならびにHUI77改変体Qh2b−B7の精製FabおよびHUI77改変体QhuD9の精製Fabの、変性コラーゲンI(図9A)、変性コラーゲンIV(図9B)および天然コラーゲンI(図9C)に対する結合を示す。
【図10】図10は、HUIV26改変体DhuH8の結合活性を示す。変性(d−IV)ヒトコラーゲンIVおよび天然(n−IV)ヒトコラーゲンIVに対する、これらの抗体のFab形態およびIgG形態の結合活性を示す。
【図11】図11は、B16黒色腫細胞の増殖に対するHUI77改変体QH2bの影響を示す。培養して増殖させたB16黒色腫細胞を、処理しなかった(コントロール;四角)かまたはQH2b改変体のIgG形態で処理(丸)した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は、隠れたコラーゲン部位に特異的な抗体を提供し、これらの抗体は、新脈管形成および腫瘍細胞侵襲の間、膠原性組織の至るところに曝露され、従って脈管形成の脈管構造を標的化し得る抗体としての役割を果たす。これらの抗体は、隠れたコラーゲン部位への結合活性について最適化される。これらの抗体は、診断目的または治療目的のための脈管形成の脈管構造を標的化するために使用され得る。これらの抗体はまた、腫瘍の成長を阻害するために使用され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見出される非連続な抗原結合部位を意味することが意図される。これらの特定の領域は、Kabatら(J.Biol.Chem.252:6609〜6616(1977));Kabatら(米国保健社会福祉省、「Sequences of proteins of immunological interest」(1991));Chothiaら(J.Mol.Biol.196:901〜917(1987));およびMacCallumら(J.Mol.Biol.262:732〜745(1996))によって記載されており、これらの定義は、相互に比較される場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。それでもなお、抗体もしくはグラフト化抗体またはその改変体のCDRを言うためのいずれかの定義の適用は、本明細書中で定義および使用される用語の範囲内であることを意図する。上記で引用した参考文献の各々によって定義されるように、CDRを含むアミノ酸残基は、比較として以下の表1に示される。
【0013】
【表1】

残基の番号付けは、Kabatら(前出)の命名法に従う。
残基の番号付けは、Chothiaら(前出)の命名法に従う。
残基の番号付けは、MacCallumら(前出)の命名法に従う。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「フレームワーク」は、抗体可変領域に関して使用される場合、抗体の可変領域内のCDR領域の外側の全てのアミノ酸残基を意味することが意図される。可変領域フレームワークは、一般に約100〜120アミノ酸長の間であるが、CDRの外側のアミノ酸のみを参照することが意図される。本明細書中で使用される場合、用語「フレームワーク領域」は、これらのCDRによって隔てられるフレームワークの各ドメインを意味することが意図される。
【0015】
本明細書中で使用される場合、用語「ドナー」は、部分が由来するか、別の抗体分子もしくはそのフラグメントに与えられるかまたは寄与して、親分子の構造的特性または機能的特性のいずれかを受け入れ分子(receiving molecule)に与える、親抗体分子(parent antibody molecule)またはそのフラグメントを意味することが意図される。CDRグラフトの特定の例として、グラフト化CDRが誘導される親分子は、ドナー分子である。これらのドナーCDRは、受け入れ分子に親分子の結合親和性を与える。ドナー分子は、受け入れ分子と異種または同種であり得る。ドナー分子および受け入れ分子が同種である場合、このドナー分子は、受け入れ分子と別の異なった分子で十分であることが理解される。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語「アクセプター」は、親抗体分子もしくはドナー抗体分子またはそれらのフラグメントから供与される部分を受け入れる、抗体分子またはそのフラグメントを意味することが意図される。従って、アクセプター抗体分子またはそのフラグメントは、親分子から供与される部分の構造的特性または機能的特性を分与される。CDRグラフトの特定の例として、フレームワークおよび/または他の抗体フラグメントを含むアクセプター分子は、CDRがグラフトされる受け入れ分子である。アクセプター抗体分子またはフラグメントは、ドナーCDRまたは親分子の結合親和性が与えられる。ドナー分子と同様に、アクセプター分子もまた、ドナーと同種または異種であり得ることが理解される。
【0017】
「可変領域」は、抗体またはその重鎖もしくは軽鎖を参照して用いられる場合、抗原結合を分子に付与し、かつ定常領域ではない、抗体のアミノ末端部分を意味することを意図する。この用語は、可変領域全体の結合機能の全てのうちのいくつかを維持するその機能的フラグメントを包含することを意図する。それゆえ、用語「ヘテロマー可変領域結合フラグメント」は、ヘテロマー複合体にアセンブリした、少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域またはそれらの機能的フラグメントを意味することを意図する。ヘテロマー可変領域結合フラグメントとしては、例えば、機能的フラグメント(例えば、Fab、F(ab)、Fv、単鎖Fv(scFv)などが挙げられる。このような機能的フラグメントは、当業者に周知である。従って、ヘテロマー可変領域の機能的フラグメントを記載する際のこれらの用語の使用は、当業者に周知の定義に対応することが意図される。このような用語は、例えば、以下に記載される:HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989);Molec.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(Myers,R.A.(編),New York:VCH Publisher,Inc.);Hustonら,Cell Biophysics,22:189−224(1993);PluckthunおよびSkerra,Meth.Enzymol.,178:497−515(1989);ならびにDay,E.D.,Advanced Immunochemistry,第2版,Wiley−Liss,Inc.,New York,NY(1990)。
【0018】
本明細書中で用いられる場合、用語「集団」は、2以上の異なる分子の群を言及することが意図される。集団は、使用者が現在入手可能であるかまたは当業者によって作製され得る個々の分子の数ほど大きくてもよい。集団は、2〜4分子程度に小さくてもよく、または1013分子程度に大きくてもよい。一般に、集団は、2以上、3以上、5以上、9以上、10以上、12以上、15以上、または20以上の異なる分子を含む。集団はまた、数十もしくは数百の異なる分子、またはさらには数千の異なる分子を含み得る。例えば、集団は、約20〜約100,000以上の異なる分子(例えば、約25以上、30以上、40以上、50以上、75以上、100以上、150以上、200以上、300以上、500以上、または1000以上の異なる分子)を含み得、そして10,000以上、100,000以上、さらには1×10以上の異なる分子を含み得る。当業者は、どのサイズおよび密度の集団が、特定の適用に適切であるかがわかる。
【0019】
本明細書中で用いられる場合、用語「変更された」は、抗体可変領域を参照して用いられる場合、親アミノ酸配列と同じ位置で比較したときの1以上のアミノ酸の変化をフレームワーク領域、CDRまたはその両方に含む、重鎖可変領域または軽鎖可変領域を意味することが意図される。変更された可変領域が、ドナー領域およびアクセプター領域に由来するかまたはこれらから構成される場合、変更された種内の変化したアミノ酸残基は、親ドナー領域および親アクセプター領域内のそれらのそれぞれのアミノ酸位置に対して比較されるべきである。
【0020】
本明細書中で用いられる場合、用語「核酸」は、1本鎖または2本鎖のDNA分子またはRNA分子を意味することが意図される。本発明の核酸分子は、直鎖、環状または分枝鎖の立体構造であり得、そして核酸分子のセンス鎖もしくはアンチセンス鎖またはその両方のいずれかを表し得る。この用語はまた、合成および天然起源の両方の核酸分子を包含することを意図する。天然起源の核酸分子は、任意の動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、または両生類)または下等真核生物(例えば、Drosophila、C.elegans、酵母など)に由来し得る。合成核酸としては、例えば、化学合成および酵素合成が挙げられる。用語「核酸」は、同様に、参照核酸と類似の機能的特性を有し、そして天然に存在するヌクレオチドおよびヌクレオシドと類似の様式で利用され得る、天然ヌクレオチドのアナログを包含することが意図される。
【0021】
本明細書中で用いられる場合、用語「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ならびにそのような抗体の抗原結合フラグメントを包含するように、その最も広義の意味で用いられる。本発明において有用な抗体またはそのような抗体の抗原結合フラグメントは、ポリペプチドまたはそのペプチド部分についての、少なくとも約1×10−1の特異的結合活性を有することによって特徴付けられる。従って、ポリペプチドについての特異的結合活性を保持する、抗体のFab、F(ab’)、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)フラグメントなどは、抗体の定義に含まれる。ポリペプチドについての抗体の特異的結合活性は、当業者により、例えば、特定のポリペプチドへの抗体結合活性を、その特定のポリペプチドではないコントロールポリペプチドへの抗体結合活性に対して比較することにより、容易に決定され得る。ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を調製する方法は、当業者に周知である(例えば、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)を参照のこと)。
【0022】
さらに、用語「抗体」は、本明細書中で用いられる場合、例えば、単鎖抗体、キメラ抗体、二官能性抗体およびヒト化抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含め、天然に存在する抗体ならびに天然に存在しない抗体を包含する。このような天然に存在しない抗体は、固相ペプチド合成を用いて構築され得るか、組換え産生され得るか、または例えば、Huseら(Science 246:1275−1281(1989))によって記載されるような可変重鎖および可変軽鎖からなるコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって入手され得る。機能的抗体を作製するこれらの方法および他の方法は、当業者に周知である(WinterおよびHarris,Immunol.Today 14:243−246(1993);Wardら,Nature 341:544−546(1989);HarlowおよびLane,前出,1988);Hilyardら,Protein Engineering:A practical approach(IRL Press 1992);Borrabeck,Antibody Engineering,第2版(Oxford University Press 1995))。
【0023】
本明細書中で用いられる場合、特異的結合とは、非特異的相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、コントロール分子(これは一般に、結合活性を有さない類似の構造の分子(例えば、別のエピトープまたは抗原を結合する抗体)である)の結合に対して比較した分子の結合を決定することによって測定され得る。結合の特異性はまた、例えば、コントロール分子との競合(例えば、過剰の同じ分子を用いた競合)によって決定され得る。この場合、分子の結合がそれ自体によって競合的に阻害される場合、特異的結合が示される。従って、抗体と抗原との間の特異的結合は、非特異的相互作用とは測定可能に異なり、そしてその抗体の抗原結合部位を介して生じる。
【0024】
本明細書中で用いられる場合、選択的結合とは、特異的であって、かつ分子(例えば、単一の分子に結合する抗体または密接に関連する分子)の間を識別する、結合相互作用をいう。例えば、抗体は、エピトープが分子に独特であれば、抗原について特異的かつ選択的の両方である、抗原特異性を示し得る。従って、選択的結合を有する分子は、1つの分子または密接に関連した分子に対して独特のエピトープについての特異性を有する抗体によって例示されるように、分子の間を識別し得る。あるいは、抗体は、多くの分子に共通であるエピトープ(例えば、多数の分子上に発現される糖質)についての特異性を有し得る。このような抗体は、特異的結合を有するが、1つの分子または密接に関連した分子について選択的ではない。
【0025】
本明細書中で用いられる場合、用語「結合親和性」は、結合相互作用の強度を意味することが意図され、そして実際の結合親和性ならびに見かけの結合親和性の両方を包含する。実際の結合親和性は、会合速度の、解離速度に対する比である。それゆえ、結合親和性を付与または最適化することは、これらの成分のいずれかまたは両方を変更して、所望のレベルの結合親和性を達成することを包含する。見かけの親和性は、例えば、相互作用のアビディティを包含し得る。例えば、二価ヘテロマー可変領域結合フラグメントは、その価数に起因して、変更された結合親和性または最適化された結合親和性を示し得る。
【0026】
本明細書中で用いられる場合、用語「実質的に同じ」は、結合親和性を参照して用いられる場合、1つの分子が、親和性測定値の実験的変動性内で、別の分子と類似した結合親和性を有する、類似または同一の結合親和性を意味することが意図される。結合親和性測定値の実験的変動性は、用いられる特定のアッセイに依存し、そして当業者に公知である。
【0027】
本明細書中で用いられる場合、用語「最適化する」とは、可変領域またはその機能的フラグメントを参照して用いられる場合、その可変領域の機能的活性が、親可変領域またはドナー可変領域の活性と比較して改変されており、活性における所望の変化がもたらされていることを意味することが意図される。最適化された活性を示す、可変領域またはその機能的フラグメントは、例えば、変更されていない可変領域と比較して、より高い親和性もしくはより低い親和性の結合、または増大もしくは低下した会合速度もしくは解離速度を示し得る。最適化された活性を示す、可変領域またはその機能的フラグメントはまた、特定の生物において、増大した安定性(例えば、増大した半減期)を示し得る。例えば、抗体活性は、タンパク質分解に対する感受性を低下させることによって安定性を増すように最適化され得る。最適化された活性を示す抗体はまた、所望の場合、低下した会合速度または増大した解離速度を含め、より低い親和性の結合を示し得る。より低い親和性の結合を示す、最適化された可変領域は、例えば、固形腫瘍に浸透するに有用である。その高い親和性に起因して、腫瘍の末梢領域に結合するが、腫瘍の内部領域に浸透することができない、より高い親和性の可変領域とは対照的に、より低い親和性の可変領域は、腫瘍の内部領域に浸透するために有利である。上記の結合親和性の最適化についてと同様に、触媒性可変領域の最適化は、例えば、増大または低下した触媒速度、解離定数または会合定数であり得る。
【0028】
本明細書中で用いられる場合、「隠れたコラーゲン部位(cryptic collagen site)」または「隠れたコラーゲンエピトープ」とは、変性したコラーゲンにおけるよりも、ネイティブなコラーゲンにおいて抗体またはその機能的フラグメントの結合にアクセスしにくい(less accessible)コラーゲン分子エピトープをいう。隠れたコラーゲンエピトープについての結合活性を有する抗体は、ネイティブなコラーゲンよりも、変性したコラーゲンを優先的に認識する。すなわち、変性したコラーゲンに対して、ネイティブなコラーゲンよりも高い結合親和性を有する。例えば、このような抗体は、変性したコラーゲン(collage)に対して、ネイティブなコラーゲンよりも少なくとも約2倍以上の優先度、すなわち、少なくとも約2倍高い結合活性を有し得、そして変性したコラーゲンに対して、ネイティブなコラーゲンよりも、約3倍以上の優先度、約5倍以上の優先度、約10倍以上の優先度、約15倍以上の優先度、約20倍以上の優先度、約25倍以上の優先度、約50倍以上の優先度、約100倍以上の優先度、またはなおより高い優先度を示し得る。
【0029】
ネイティブなコラーゲンとは、本明細書中で、3つのα鎖が三重らせん分子に組織化されている分子をいう。ネイティブなコラーゲンは、翻訳後プロセシングの種々の段階のコラーゲン(例えば、プロコラーゲンおよび成熟組織形態のコラーゲンの生成における任意の中間体、またはコラーゲンの三重らせん構造が破壊されない条件下での組織の制限されたタンパク質分解によって単離されたコラーゲン分子)であり得る。従って、ネイティブなコラーゲンは、インタクトなコラーゲン分子であってもよく、または三重らせんが破壊されない限り、三重らせん領域に隣接する非三重らせん配列を含み得る。本明細書中では、変性したコラーゲンとは、隠れたエピトープが利用可能になるように、三重らせんが完全または部分的に破壊されたコラーゲンをいう。コラーゲンの変性は、三重らせん領域内のコラーゲンを切断して、三重らせんの得られるフラグメントを不安定にする、プロテイナーゼ(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ)の作用によってインサイチュで生じ得る。コラーゲンの変性は、ネイティブなコラーゲンの熱変性または化学的変性によって、インビトロで誘導され得る。変性したコラーゲンはまた、三重らせんの得られるフラグメントが熱に不安定な温度における、三重らせん領域を切断し得るプロテイナーゼ(これは通常、コラーゲン分解酵素といわれる)でのネイティブなコラーゲンの処理によって、インビトロで調製され得る。変性したコラーゲンは、翻訳後プロセシングの種々の段階のネイティブなコラーゲンの変性、または制限されたタンパク質分解によって組織から単離されたネイティブなコラーゲンの変性によって入手され得る。当業者は、ネイティブなコラーゲンを単離するための種々の方法および隠れたコラーゲンエピトープを含む三重らせんを変性させる種々の方法がわかる。
【0030】
本発明の抗体は、それぞれの親マウス抗体と同じである隠れたコラーゲンエピトープについての結合活性を有し得る。例えば、HUIV26由来のCDRを有する本発明の抗体は、Xuら、Hybridoma 19:375−385(2000);Xuら、J.Cell Biol.154:1069−1079(2001);およびWO00/40597(これらの各々は、参考として本明細書中に援用されている)により記載のマウスHUIV26抗体と本質的に同じ結合特異性を有し得る。同様に、HUI77由来のCDRを有する本発明の抗体は、Xuら、前出,2000;Xuら、前出,2001;およびWO00/40597によって記載のマウスHUI77抗体と本質的に同じ結合特異性を有し得る。このような結合特異性は、本明細書中に開示された方法(例えば、本発明の抗体の活性を、対応する親マウス抗体の活性と比較することにより)によって試験され得る。例えば、HUIV26に由来する本発明の抗体は、図2C(配列番号2および4)中に示される可変領域アミノ酸配列を有する対応するマウス抗体に対して比較され得る。同様に、HUI77由来の本発明の抗体は、図3C(配列番号10および12)中に示される可変領域アミノ酸配列を有する対応するマウス抗体に対して比較され得る。同様の結合特異性は、例えば、対応する親抗体との競合結合によって決定され得る。本発明の抗体は、対応する親抗体と本質的に同じ特異性を有し得るか、またはその抗体が隠れたコラーゲンエピトープについての結合活性を有する限り、変化した特異性を有し得ることが理解される。
【0031】
本発明は、隠れたコラーゲンエピトープについての特異的結合活性を有する抗体を提供する。これら抗体は、抗体HUIV26およびHUI77のCDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する少なくとも1つのCDRを含み、ここでこれら抗体は、隠れたコラーゲン部位に結合する抗体である。本発明はまた、これらの抗体をコードする核酸を提供する。本発明はさらに、これら抗体を使用する方法を提供する。
【0032】
HUIV26およびHUI77と称される、ヒトコラーゲンの隠れたドメインを認識する、高度に特異性のモノクローナル抗体が、開発されている(Xuら、Hybridoma 19:375−385(2000);Xuら、J.Cell Biol.154:1069−1079(2001);WO00/40597(これらの各々は、参考として本明細書中に援用されている)を参照のこと)。モノクローナル抗体HUIV26は、ヒトコラーゲン−IVの隠れたドメインを認識し、そしてHUI77は、ヒトコラーゲン−IおよびIVの隠れたドメイン(これはまた、コラーゲンII、IIIおよびVにも共通である)を認識する。この隠れたドメインは、ほとんどの正常な生理的条件下ではやや利用しにくいが、インビボにおけるコラーゲン三重螺旋のタンパク質分解性再構築の後に、利用可能になる。従って、隠れたコラーゲンエピトープは、侵襲性の細胞プロセスの間に、より利用可能になり得る。重要なことに、これらの抗体によって定義される隠れたドメインは、ヒト腫瘍(胸部腫瘍、膀胱腫瘍、および黒色腫を含む)から腫瘍関連脈管形成性血管の基底膜内に露出されることが示された。しかし、この隠れたドメインは、試験された血管または正常組織内では、ほとんど露出されなかった。従って、抗体HUIV26およびHUI77は、脈管形成性血管の重要な特異的マーカーを表す。これらの隠れたドメインは、脈管形成および腫瘍増殖の調節において重要な役割を果たす。なぜなら、モノクローナル抗体HUIV26およびHUI77は、全身投与後のニワトリ胚、ラットおよびマウスモデルにおいて脈管形成およびヒト腫瘍増殖を強力に阻害するからである(Xuら、前出、2001)。従って、これらのモノクローナル抗体、およびこれらの隠れたコラーゲン部位について特異的結合活性を有する本発明の抗体は、異常な新生血管形成によって特徴付けられる疾患についての処置のための高度に強力であり、かつ有効な新規な治療試薬を表す。
【0033】
本発明の核酸配列は、具体的に記載された配列番号と同じであるか、または実質的に同じである配列を含み得る。同様に、本発明のアミノ酸配列は、具体的に記載された配列番号と同じであるか、または実質的に同じである配列を含み得る。本明細書中で使用されるように、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に関して用いられる場合、用語「実質的に」または「実質的に同じ」とは、そのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列が、参照配列(例えば、親抗体の配列)と比較される場合、かなりの割合、量、または程度の配列同一性を示すことを意味することが意図される。このような配列同一性のかなりの割合、量、または程度は、有意である、および意味がある、とさらに考えられ、従って、決定的に認識可能であるかまたは決定的に知られている特徴を呈示する。従って、本発明の抗体の重鎖または軽鎖(それらのフラグメントを含む)と実質的に同じヌクレオチド配列であるヌクレオチド配列は、親抗体配列としてそのアミノ酸配列をコードするか、またはそのアミノ酸配列であると決定的に知られているか、または認識可能である特徴を呈示する配列をいう。それらの微小な改変は、それらが親抗体配列として認識可能である限り、含まれる。同様に、本発明の抗体の重鎖または軽鎖、またはそれらの機能的フラグメントと実質的に同じアミノ酸配列であるアミノ酸配列が、親抗体のアミノ酸配列およびそれらの微小改変を表すとして決定的に知られている、または認識可能である特徴を呈示する配列をいう。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列が親抗体と実質的に同じであるか否かを決定する場合、機能が維持されるか、例えば、隠れたコラーゲン部位への結合の機能が、本発明の抗体について維持されるかと共に、親抗体に対する変更の数に対して検討が与えられる。
【0034】
これらのヌクレオチド配列および/またはアミノ酸の微小な改変は、重鎖および軽鎖をコードする核酸およびそれらの機能的フラグメントとして含まれることが意図される。このような微小な改変としては、例えば、遺伝暗号の縮重に起因して、コードされたアミノ酸配列を変更しない改変、ならびに、コードされたアミノ酸配列の保存的置換を単に生じる改変が挙げられる。コードされたアミノ酸の保存的置換としては、例えば、以下の群内に属するアミノ酸が挙げられる:(1)非極性アミノ酸(Gly、Ala、Val、Leu、およびIle);(2)極性中性アミノ酸(Cys、Met、Ser、Thr、Asn、およびGln);(3)極性酸性アミノ酸(AspおよびGlu);(4)極性塩基性アミノ酸(Lys、ArgおよびHis);ならびに(5)芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr、およびHis)。他の微小な改変は、その核酸またはコードされたポリペプチドが、本明細書中に記載されるようなそれらの機能のいくらかまたは全体を保持する限り、本発明の重鎖および軽鎖ポリペプチドをコードする核酸内に含まれる。
【0035】
隠れたコラーゲンエピトープについて特異的結合活性を有する本発明の抗体を生成するために、抗体HUIV26およびHUI77の重鎖および軽鎖可変領域がクローニングされ、そして配列決定された(実施例I、ならびに図2および3を参照のこと)。重鎖および軽鎖可変領域のCDRが同定された。例示の重鎖および軽鎖のCDR(Kabatの番号付けによって決定した)を、図2Cおよび3C中に示す(下線)。HUIV26の例示の重鎖および軽鎖CDRとしては、例えば、V CDR1、KSSQSLLNSGNQKNYLA(配列番号20);V CDR2、GASTRES(配列番号22);V CDR3、QNDHSYPYT(配列番号24);V CDR1、GFDFSRYWMS(配列番号26);V CDR2、EINPDSSTINYTPSLKD(配列番号28);およびV CDR3、PVDGYYDAMDY(配列番号30)が挙げられる。HUI77の例示の重鎖および軽鎖CDRとしては、例えば、V CDR1、RSSQSIVHSNGNTYLE(配列番号32);V CDR2、KVSNRFS(配列番号34);V CDR3、FQGSHVPWT(配列番号36);V CDR1、GFSLSTSGMGVG(配列番号38);V CDR2、DIWWDDNKYYNPSLKS(配列番号40);およびV CDR3、RANYGNPYYAMDY(配列番号42)が挙げられる。
【0036】
単一アミノ酸置換を含むCDR改変体のライブラリーが生成された(実施例II)。ライブラリーは、隠れたコラーゲン部位への結合についてスクリーニングされ、有益な活性を有する単一アミノ酸変異が同定された。コンビナトリアル変異体、ここでは、親HUIV26またはHUI77 CDRに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む2つ以上の改変体CDRsが組み合わされ、そして活性についてスクリーニングされた(実施例III)。隠れたコラーゲン部位への結合について最適化された活性を有する多数のコンビナトリアル変異体が、同定された。
【0037】
隠れたコラーゲンエピトープについての結合活性を有する本発明の抗体。本明細書中に開示されるように、コラーゲンは、ネイティブコラーゲン中ではやや利用しにくかった抗原決定基が露出される限り、種々の方法のいずれによっても変性され得る。このような方法としては、例えば、蛋白質分解消化、加熱または熱的変性、化学変性などが挙げられる。当業者は、隠れたコラーゲン部位またはエピトープを解明するためにコラーゲン分子を変性するのに適切な種々の方法を認知する。さらに、変性方法は、2つ以上の変性方法の組み合わせ(例えば、タンパク質分解消化と、化学変性および/または熱的変性との組み合わせ)であり得る。例えば、タンパク質分解消化は、コラーゲンを切断するために使用され得、熱的変性または化学変性により感受性であるコラーゲン分子を生じる。コラーゲンを変性するために使用され得る例示のプロテアーゼは、マトリクスメタロプロテイナーゼであり、これは、インビトロで使用され得、そして哺乳動物における体温で三重螺旋領域内でコラーゲンを切断するようにインビボで機能し得る。
【0038】
本発明は、HUIV26およびHUI77抗体のグラフト化抗体を提供する。1つの実施形態では、本発明は、HUIV26のグラフト化抗体を提供する。グラフト化抗体またはそれらの機能的フラグメントは、配列番号26、28および30からなる群から選択される重鎖CDR、または配列番号20、22および24からなる群から選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上の相補的決定領域(CDR)を含み、このグラフト化抗体またはそれらの機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープについての特異的結合活性を有する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、HUI77のグラフト化抗体を提供する。グラフト化抗体またはそれらの機能的フラグメントは、配列番号38、40および42からなる群から選択される重鎖CDR、または配列番号32、34および36からなる群から選択される軽鎖CDRの1つ以上のCDRにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1つ以上の相補的決定領域(CDR)を含み、このグラフト化抗体またはそれらの機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープについての特異的結合活性を有する。
【0040】
本発明は、さらに、具体的に記載されたCDRを含む、抗体またはそれらの機能的フラグメントを提供し、ここで、この抗体またはそれらのフラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープについての特異的結合活性を有する。このような抗体としては、少なくとも単一アミノ酸置換を有し、そして隠れたコラーゲンエピトープについての結合活性を保持する抗体が挙げられる。このようなCDR改変体間には、図4および5中に記載の改変体が含まれる。
【0041】
HUIV26のCDRにおいて単一アミノ酸置換を有する本発明の例示のCDRとしては、例えば、以下に記載のものが挙げられ、ここで、Kabatの番号付けにおけるアミノ酸変異の位置は、野生型から変異体(野生型→変異体)へのアミノ酸置換と共に示される。このような例示のCDRとしては、以下が挙げられる:HuIV26 V CDR1 31R→H(配列番号43);HuIV26 V CDR1 34M→I(配列番号44);HuIV26 V CDR1 35S→T(配列番号45);HuIV26 V CDR1 35S→A(配列番号46);HuIV26 V CDR1 35S→G(配列番号47);HuIV26 V CDR2 57I→A(配列番号48);HuIV26 V CDR2 57I→S(配列番号49);HuIV26 V CDR2 62S→Y(配列番号50);HuIV26 V CDR2 62S→A(配列番号51);HuIV26 V CDR2 62S→H(配列番号52);HuIV26 V CDR2 62S→G(配列番号53);HuIV26 V CDR2 64K→Q(配列番号54);HuIV26 V CDR2 65D→S(配列番号55);HuIV26 V CDR3 97D→P(配列番号56);HuIV26 V CDR3 97D→G(配列番号57);HuIV26 V CDR3 97D→T(配列番号58);HuIV26 V CDR3 97D→A(配列番号59);HuIV26 V CDR3 98G→P(配列番号60);HuIV26 V CDR3 98G→A(配列番号61);HuIV26 V CDR3 98G→H(配列番号62);HuIV26 V CDR3 102Y→P(配列番号63);HuIV26 V CDR3 102Y→N(配列番号64);HuIV26 V CDR1 27Q→R(配列番号65);HuIV26 V CDR1 27Q→S(配列番号66);HuIV26 V CDR1 27dN→S(配列番号67);HuIV26 V CDR1 27eS→Y(配列番号68);HuIV26 V CDR1 27eS→W(配列番号69);HuIV26 V CDR1 27eS→H(配列番号70);HuIV26 V CDR1 27eS→R(配列番号71);HuIV26 V CDR1 27fG→Y(配列番号72);HuIV26 V CDR1 27fG→R(配列番号73);HuIV26 V CDR1 27fG→H(配列番号74);HuIV26 V CDR1 27fG→I(配列番号75);HuIV26 V CDR1 29Q→K(配列番号76);HuIV26 V CDR3 93S→Q(配列番号77);HuIV26 V CDR3 93S→G(配列番号78);HuIV26 V CDR3 93S→L(配列番号79);HuIV26 V CDR3 93S→A(配列番号80);HuIV26 V CDR3 93S→T(配列番号81);HuIV26 V CDR3 93S→V(配列番号82);HuIV26 V CDR3 94Y→N(配列番号83);HuIV26 V CDR3 94Y→S(配列番号84);HuIV26 V CDR3 94Y→P(配列番号85);HuIV26 V CDR3 94Y→M(配列番号86);およびHuIV26 VL CDR2 57I→V(配列番号162)。
【0042】
HUI77のCDRにおいて単一アミノ酸置換を有する本発明の例示のCDRとしては、例えば、以下に記載のものが挙げられ、ここで、Kabatの番号付けにおけるアミノ酸変異の位置は、野生型から変異体(野生型→変異体)へのアミノ酸置換と共に示される。このような例示のCDRとしては、以下が挙げられる:HUI77 V CDR1 32S→P(配列番号87);HUI77 V CDR1 32S→W(配列番号88);HUI77 V CDR1 35bG→W(配列番号89);HUI77 V CDR1 35bG→L(配列番号90);HUI77 V CDR1 35bG→A(配列番号91);HUI77 V CDR2 59Y→S(配列番号92);HUI77 V CDR2 59Y→A(配列番号93);HUI77 V CDR2 59Y→P(配列番号94);HUI77 V CDR2 64K→P(配列番号95);HUI77 V CDR3 95R→P(配列番号96);HUI77 V CDR3 95R→Q(配列番号97);HUI77 V CDR3 95R→L(配列番号98);HUI77 V CDR3 95R→T(配列番号99);HUI77 V CDR3 95R→V(配列番号100);HUI77 V CDR3 100N→V(配列番号101);HUI77 V CDR3 100N→W(配列番号102);HUI77 V CDR3 100eM→Q(配列番号103);HUI77 V CDR3 100eM→N(配列番号104);HUI77 V CDR3 100eM→T(配列番号105);HUI77V CDR3 102Y→K(配列番号106);HUI77 V CDR3 102Y→T(配列番号107);HUI77 V CDR3 102Y→M(配列番号108);HUI77 V CDR3 102Y→H(配列番号109);HUI77 V CDR1 27cV→P(配列番号110);HUI77 V CDR1 27cV→W(配列番号111);HUI77 V CDR1 27dH→L(配列番号112);HUI77 V CDR1 27dH→S(配列番号113);HUI77 V CDR1 27eS→W(配列番号114);HUI77 V CDR1 28N→Y(配列番号115);HUI77 V CDR1 28N→W(配列番号116);HUI77 V CDR1 30N→Y(配列番号117);HUI77 V CDR1 33L→F(配列番号118);HUI77 V CDR1 33L→V(配列番号119);HUI77 V CDR2 50K→S(配列番号120);HUI77 V CDR2 51V→A(配列番号121);HUI77 V CDR2 53N→S(配列番号122);HUI77 V CDR2 54R→L(配列番号123);HUI77 V CDR2 56S→W(配列番号124);HUI77 V CDR2 56S→F(配列番号125);HUI77 V CDR3 89F→V(配列番号126);HUI77 V CDR3 89F→H(配列番号127);HUI77 V CDR3 90Q→R(配列番号128);HUI77 V CDR3 90Q→W(配列番号129);HUI77 V CDR3 91G→S(配列番号130);HUI77 V CDR3 92S→W(配列番号131);HUI77 V CDR3 92S→E(配列番号132);HUI77 V CDR3 93H→L(配列番号133);HUI77 V CDR3 93H→T(配列番号134);HUI77 V CDR3 93H→S(配列番号135);HUI77 V CDR3 93H→A(配列番号136);HUI77 V CDR3 93H→Q(配列番号137);HUI77 V CDR3 94V→T(配列番号138);HUI77 V CDR3 97T→A(配列番号139);HUI77 V CDR3 97T→R(配列番号140);HUI77 V CDR3 97T→H(配列番号141);HUI77 V CDR3 97T→K(配列番号142);HUI77 V CDR3 97T→I(配列番号143);HUI77 V CDR2 59Y→T(配列番号144);HUI77 V CDR3 94V→F(配列番号145);およびHUI77 V CDR1 28N→Q(配列番号146)。
【0043】
単一のアミノ酸置換を有するCDRに加え、本発明はさらに2つ以上のアミノ酸置換を有するHUIV26 CDRおよびHUI77 CDRを提供する。HUIV26において、2つ以上のアミノ酸置換を有する例示的なCDRとしては、例えば、HUIV26 V CDR2 57I→A/62S→A(配列番号154);HUIV26 V CDR2 57I→A/62S→Y(配列番号155);HUIV26 V CDR2 57I→A/62S→H(配列番号156);HUIV26 V CDR1 27eS→W/27fG→Y(配列番号157);HUIV26 V CDR1 27eS→Y/27fG→Y(配列番号158);HUIV26 V CDR1 27eS→Y/27fG→H(配列番号159);HUIV26 V CDR1 27eS→R/27fG→Y(配列番号160);およびHUIV26 V CDR1 27eS→W/27fG→H(配列番号161)が挙げられる(図6を参照のこと)。HUI77において、2つ以上のアミノ酸置換を有する例示的なCDRとしては、例えば、V CDR1 32S→P/35bG→W(配列番号147);HUI77 V CDR1 32S→P/35bG→A(配列番号148);HUI77 V CDR1 27dH→S/28N→W(配列番号149);HUI77 V CDR1 27dH→S/28N→Y(配列番号150);HUI77 V CDR1 27dH→S/28N→Q(配列番号151);HUI77 V CDR1 28N→Q/33L→F(配列番号152);およびHUI77 V CDR1 27H→S/28N→W/33L→F(配列番号153)が挙げられる(図7を参照のこと)。
【0044】
本発明は、少なくとも1つの上記の改変体CDR配列を有する抗体を提供する。HUIV26 CDRの任意の組み合わせは、隠れたコラーゲン部位に対する結合活性が維持される限り、変異CDRおよび/または野生型CDRと組み合わされ、HUIV26グラフト化抗体を生成し得ることが理解される。同様に、HUI77 CDRの任意の組み合わせは、隠れたコラーゲン部位に対する結合活性が維持される限り、変異CDRおよび/または野生型CDRと組み合わされ、HUI77グラフト化抗体を生成し得ることが理解される。従って、単一のアミノ酸置換の任意の組み合わせは、他のCDR変異体と組み合わされ得、少なくとも2つの改変体CDRを有する抗体を生成する。さらに、同じCDR内の異なる位置での任意の単一の変異が組み合わされ、2つ以上の位置で、2つ以上のアミノ酸置換を有するCDRを生成し得る。隠れたコラーゲン部位に対する結合活性が維持される限り、任意の単一の変異、または任意の複数の変異が組み合わされ得る。
【0045】
従って、本発明は、以下として参照されるCDRからなる群から選択される、1つ以上のCDRを含む、抗体、またはその機能的フラグメントを提供する;配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、および配列番号162。この抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的な結合活性を有する。
【0046】
本発明はさらに、以下として参照されるCDRからなる群から選択される1つ以上のCDRを含む、抗体、またはその機能的フラグメントを提供する;配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、および配列番号153。この抗体またはそれらの機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的な結合活性を有する。
【0047】
本発明はさらに、1つ以上の重鎖CDR中に、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、1つ以上のCDRを含む重鎖ポリペプチドを含む抗体、またはその機能的フラグメントを提供し、ここで重鎖CDRは、以下からなる群より選択される;配列番号26、43、44、45、46、および47として参照されるCDRからなる群より選択される重鎖CDR1;配列番号:28、48、49、50、51、52、53、54、および55として参照されるCDRからなる群より選択される重鎖CDR2;および配列番号30、56、57、58、59、60、61、62、63、および64として参照されるCDRからなる群より選択される重鎖CDR3。この抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的な結合活性を有する。
【0048】
本発明はまた、1つ以上の軽鎖CDR中に、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、1つ以上のCDRを含む軽鎖ポリペプチドを含む抗体、またはその機能的フラグメントを提供し、ここで軽鎖CDRは、以下からなる群より選択される;配列番号20、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、および76として参照されるCDRからなる群より選択される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号24、77、78、79、80、81、82、83、84、85、および86として参照されるCDRからなる群より選択される軽鎖CDR3。この抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的な結合活性を有する。
【0049】
本発明はさらに、1つ以上の重鎖CDR中に、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、1つ以上のCDRを含む重鎖ポリペプチドを含む抗体、またはその機能的フラグメントを提供し、ここで重鎖CDRは、以下からなる群より選択される;配列番号38、87、88、89、90、91、147および148として参照されるCDRからなる群より選択される重鎖CDR1;配列番号:40、92、93、94、95および144として参照されるCDRからなる群より選択される重鎖CDR2;および配列番号42、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108および109として参照されるCDRからなる群より選択される重鎖CDR3。この抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的な結合活性を有する。
【0050】
さらに、1つ以上の軽鎖CDR中に、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、1つ以上のCDRを含む軽鎖ポリペプチドを含む抗体、またはその機能的フラグメントが提供され、ここで軽鎖CDRは、以下からなる群より選択される;配列番号32、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、146、149、150、151、152および153として参照されるCDRからなる群より選択される軽鎖CDR1;配列番号:34、120、121、122、123、124および125として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143および145として参照されるCDRからなる群より選択される軽鎖CDR3。この抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的な結合活性を有する。
【0051】
上記のように、本発明の抗体は、隠れたコラーゲン部位に対する結合活性が維持される限り、変異CDRおよび/または野生型CDRの任意の組み合わせから生成され得る。本明細書中に開示される場合、少なくとも単一のアミノ酸置換を有する、複数のCDRを含む様々なコンビナトリアル抗体は、隠れたコラーゲン部位に対する結合活性を有することが同定された。本明細書中に開示されたそれぞれのCDRの任意の組み合わせを含む抗体に加え、以下のCDRの特定の組み合わせがまた、本発明によって提供される。
【0052】
例示的なHUIV26改変体としては、例えば、以下の抗体が挙げられる:配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(4.1−2D4)。配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号72として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(L1b−F11)。配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号48として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(H2a−G8)。配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomA2)。配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号158として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomA4)。配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号159として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomB1)。
【0053】
配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号48として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomD2)。配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号72として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomD3)。配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomD6)。
【0054】
配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomE3)。配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomG2)。配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号162として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号158として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomA7)。
【0055】
配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号156として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomB10)。配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomC8)。配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む抗体(DcomD7)。
【0056】
配列番号46として表される重鎖CDR1;配列番号154として表される重鎖CDR2;配列番号63として表される重鎖CDR3;配列番号161として表される軽鎖CDR1;配列番号22として表される軽鎖CDR2;および配列番号77として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(DcomD11)。
配列番号46として表される重鎖CDR1;配列番号156として表される重鎖CDR2;配列番号63として表される重鎖CDR3;配列番号161として表される軽鎖CDR1;配列番号22として表される軽鎖CDR2;および配列番号77として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(DcomE11)。
配列番号46として表される重鎖CDR1;配列番号28として表される重鎖CDR2;配列番号63として表される重鎖CDR3;配列番号20として表される軽鎖CDR1;配列番号22として表される軽鎖CDR2;および配列番号77として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(2D4H1−C3)。
【0057】
例示的なHUI77改変体としては、例えば、以下の抗体が挙げられる:
配列番号38として表される重鎖CDR1;配列番号40として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号32として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(12F10Q)。
配列番号38として表される重鎖CDR1;配列番号92として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号32として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(QH2b−A3)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号92として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号149として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom1B6)。
【0058】
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号92として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号150として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom1B8)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号93として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号149として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom1C3)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号144として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号149として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom1D3)。
【0059】
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号93として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号151として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom1E3)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号92として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号151として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom1H6)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号93として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号152として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号145として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom1H7)。
【0060】
配列番号148として表される重鎖CDR1;配列番号93として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号150として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom2A4)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号93として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号115として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom2B11)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号40として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号153として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom2C1)。
【0061】
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号92として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号116として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom2D9)。
配列番号147として表される重鎖CDR1;配列番号93として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号116として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qcom2E3)。
配列番号38として表される重鎖CDR1;配列番号93として表される重鎖CDR2;配列番号103として表される重鎖CDR3;配列番号32として表される軽鎖CDR1;配列番号34として表される軽鎖CDR2;および配列番号36として表される軽鎖CDR3;を含む抗体(Qh2b−B7)。
【0062】
本発明はまた、それぞれHUIV26およびHUI77由来のCDRを含む、グラフト化抗体を提供する。このようなグラフト化CDRとしては、ヒト化抗体が挙げられ、ここで、HUIV26またはHUI77由来のCDRは、グラフト化されているか、または1つ以上のアミノ酸置換を含むCDRがグラフト化される。CDRは、本明細書中に開示されるように、ヒトフレームワークに直接グラフト化され得る。所望であれば、フレームシフト変化もまた、フレームワークライブラリーを作製することによって、組み込まれ得る。CDRおよび/またはフレームワーク配列の最適化は、独立し、そして連続的に組み合わされて実施され得るか、あるいは以下により詳細に記載されるように、同時に実施され得る。
【0063】
従って、本発明は、HUIV26 CDR(配列番号20、22、24、26、28および30)がヒトフレームワーク配列にグラフト化された、グラフト化抗体をさらに提供する。HUI77 CDR(配列番号32、34、36、38、40および42)がヒトフレームワークにグラフト化された、グラフト化抗体もまた提供される。
【0064】
グラフト化抗体を作製するために、コラーゲン特異的抗体のドナーCDRが、抗体アクセプター可変領域フレームワークにグラフト化される。抗体をグラフト化するため、およびCDR改変体を生成して、活性を最適化するための方法は、以前に記載されている(WO 98/33919;WO 00/78815;WO 01/27160)。この手順を実施して、ドナーCDRのグラフト化および親和性の再獲得を、同時のプロセスで達成し得る。この方法は、同様に、単独でかまたはCDRグラフト化と組み合わせてかのいずれかで、可変領域の結合親和性を改変または最適化するために使用され得る。ドナーCDRの、アクセプター可変領域に対する結合親和性を与えるための方法は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との両方に適用可能であり、従って、抗体可変領域をグラフト化し、同時に抗体可変領域の結合親和性を最適化するために、使用され得る。
【0065】
ドナーCDRは、複数の異なるアミノ酸残基変化を、ドナーCDR内の全ての位置または選択された位置において含むように、変更され得る。例えば、20の天然に存在するアミノ酸残基、または予め選択されたサブセットの、ランダムな組み込みまたは偏った組み込みが、ドナーCDRに導入されて、CDR種の様々な集団を産生し得る。CDR改変体種を、可変領域の様々な集団に含めることにより、予め決定された抗原に対して最適化された結合親和性を示す改変体種の産生が可能になる。
【0066】
可能な変化の範囲が、ドナーCDR位置において作製され得る。変化のために選択され得る可能な変化のうちのいくつかまたは全ては、グラフト化されるドナーCDRの集団に導入され得る。CDRにおける単一の位置が、変化の導入のために選択され得るか、または変更されたアミノ酸を有する種々の位置が組み合わせられ得、そして活性についてスクリーニングされ得る。
【0067】
1つのアプローチは、例えば、CDRに沿った全てのアミノ酸位置を、各位置での、20種全ての天然に存在するアミノ酸での置き換えによって変化させることである。各位置の置き換えは、他のドナーCDRアミノ酸位置の観点で起こり得、その結果、CDRのかなりの部分が、基準のドナーCDR配列を維持し、従って、ドナーCDRの結合親和性を維持する。例えば、アクセプター可変領域フレームワーク(天然または変更されたフレームワークのいずれか)が、単一の位置の置き換えをCDR内の各位置において含むCDRの集団をグラフト化され得る。同様に、アクセプター可変領域フレームワークは、20種全てのアミノ酸残基、またはアミノ酸のサブセットを組み込むように変化された、1つより多くの位置を含むCDRの集団をグラフト化されるために、標的化され得る。CDRにおける、またはグラフト化されるべきCDRの群における、1つ以上のアミノ酸位置が変更され得、そしてアクセプター可変領域フレームワークにグラフト化されて、グラフト化抗体の集団を産生し得る。1つ以上の変更された位置を有するCDRは、所望であれば、1つ以上の変更された位置を有する1つ以上の他のCDRと組み合わせられ得ることが、理解される。
【0068】
1つ以上の変更された位置を有するCDR改変体種の集団は、可変領域の結合ポケットを構成するCDRのいずれかまたは全てと組み合わせられ得る。従って、アクセプター可変領域フレームワークは、重鎖または軽鎖における1つ、2つ、または3つ全てのレシピエントCDR位置における、ドナーCDR改変体集団の同時の組み込みのために、標的化され得る。アミノ酸位置変化で標的化するためのCDRまたはCDRの数の選択は、例えば、アクセプターへの十分なCDRグラフト化が望ましいか否か、または結合親和性の最適化のためにこの方法が実施されるか否かに依存する。
【0069】
ドナーCDR結合親和性を抗体アクセプター可変領域フレームワークに与えるための、変化のためのドナーCDRアミノ酸を選択するための別のアプローチは、高度に可変性の、既知または容易に同定可能なCDR位置を選択することである。例えば、可変領域CDR3は、一般に、非常に可変性である。従って、この領域は、グラフト化手順の間にアミノ酸位置変化のために選択的に標的化されて、本明細書中に記載されるように、単独でかまたは関連するアクセプター可変フレームワーク変化と一緒にかのいずれかで、結合親和性の再獲得または増強を確実にし得る。
【0070】
所望であれば、1つ以上の変更されたアミノ酸位置を有するCDR改変体集団は、1つ以上の変更されたアミノ酸位置を有するフレームワーク改変体集団と有利に組み合わせられ得る。このような組み合わせは、変化の有利な組み合わせを生じ得、これらは、最適化された活性についてスクリーニングすることによって、同定される。
【0071】
従って、CDRをグラフト化された可変領域の得られる集団は、基準の親アミノ酸残基に対応する種を各位置において含み、そして基準の親アミノ酸残基の可能な組み合わせおよび並べ替えに対応する様々な数の異なる種を、改変体残基と一緒に、選択されたCDR位置の各々において含む。CDRをグラフト化された可変領域のこのような様々な集団は、ドナーのCDR結合活性を維持するか、または最適化された結合活性を有する、変更された可変領域種についてスクリーニングされる。
【0072】
アクセプターは、ドナーCDRを保有する可変領域アミノ酸配列に非常に類似するように選択され得る。さらに、ドナー抗体にさほど関連していない種々のアクセプターが使用され得る。あるいは、アクセプターフレームワークにおける全ての可能な変化または関連する変化のライブラリーが作製され得、次いで、これらのドナー分子と比較して増加した結合親和性を維持するかまたは示す可変領域、またはそのヘテロマー結合フラグメントについてスクリーニングされ得る。ドナーCDRは、種々の天然に存在するアクセプターフレームワークに、または1つ以上の変化を有する変更されたフレームワークに、または1つ以上の位置において変化を含むライブラリーに、グラフト化され得る。従って、適用可能性は、ドナーと類似のアクセプターフレームワーク可変領域に対する利用可能性または検索によって、予め条件付けされない。
【0073】
ドナーCDR結合親和性を可変領域に与えるための方法は、CDRコンホメーションに影響を与えることが既知であるかまたは予測される、あるいは結合に関与するCDR内のアミノ酸側鎖の空間的局面に影響を与えることが既知であるかまたは予測される、アクセプターフレームワークにおける関連するアミノ酸位置を同定する工程、次いで、複数の異なるアミノ酸残基をそれらの位置に組み込む、変更された可変領域種の集団を産生する工程を包含し得る。例えば、これらの位置における異なるアミノ酸残基は、ランダムにか、または予め決定された偏りで組み込まれ得、そして20種の天然に存在するアミノ酸残基の全てを、関連する位置の各々において含み得る。サブセット(天然に存在するアミノ酸の全て未満を含む)が、さらに、関連するフレームワーク位置における組み込みのために選択され得る。複数の異なるアミノ酸残基を、関連するフレームワーク位置の各々において含むことにより、アクセプターフレームワーク可変領域に関して、CDRがそのドナー結合親和性を再獲得することを可能にするフレームワーク変化を有する少なくとも1つの種が、集団において存在することが確実になる。
【0074】
抗体をヒト化することに関して、種々のヒトフレームワークのいずれかが、CDRグラフト化のために選択され得る。例えば、HUIV26またはHUI77のCDRは、種々のヒトフレームワーク配列中にクローニングされ得る。このフレームワークは、CDRのグラフト化のためのヒトフレームワーク配列を得るために、重鎖可変領域および軽鎖可変領域ならびにJ領域をコードするヒト生殖系列遺伝子を用いて作製され得る。例示的なヒトフレームワークヌクレオチド配列としては、例えば、DPK24(VKIV)(配列番号5)、DP−54(VHIII)(配列番号7)、DPK13(VKII)(配列番号13)、DP−28(VHII)(配列番号15)のフレームワーク配列、ならびにJ領域JK1(配列番号217)、JK2(配列番号218)およびJH6(配列番号219)が挙げられる。任意の利用可能な生殖系列配列由来のフレームワーク領域は、所望の場合、CDRのグラフト化のためのヒトフレームワークを生成するために、任意の利用可能なJ配列と組み合わされ得ることが理解される。例えば、HUIV26のマウス可変領域と例示的なヒトフレームワークとのアライメント、およびHUI77のマウス可変領域と例示的なヒトフレームワークとのアライメントは、それぞれ、図2Cおよび図3Cに示される。VKIV/JK2軽鎖可変領域とVHIII/JH6重鎖可変領域との融合体は、HUIV26とアライメントされる(図2C)。VKII/JK1軽鎖可変領域とVHIII/JH6重鎖可変領域との融合体は、HUI77とアライメントされる(図3C)。生殖系列とJ領域との例示的な融合体を、図3Dに示す。これは、HUI77軽鎖とアライメントされる。任意の入手可能なヒトフレームワークが、CDRグラフト化のために選択され得、そして所望の場合、本明細書中に開示される方法によって最適化され得ることが理解される。本明細書中に開示されたように、有益な変異を有するCDRは、種々のフレームワーク中にグラフト化され得、そして保持または改善された活性を有し得る(実施例IIIを参照のこと)。
【0075】
変化させるに適切なフレームワークのアミノ酸の位置の選択は、当業者に周知の種々の基準に依存する。変化させるに適切なフレームワークアミノ酸を選択するための1つの基準は、ドナー分子とアクセプター分子との間でのアミノ酸フレームワーク残基の相対的相違であり得る。このアプローチを用いて改変するに適切なフレームワーク位置の選択は、単純であり、そして残基の決定におけるあらゆる主観的偏りまたは残基によるCDR結合親和性寄与におけるあらゆる偏りを回避するという利点を有する。
【0076】
変更するための適切なアミノ酸位置を決定するために使用され得る別の基準は、例えば、CDRのコンフォメーションに重要であるかまたはCDRのコンフォメーションに寄与することが公知のフレームワーク残基の選択であり得る。例えば、正統な(canonical)フレームワーク残基は、CDRのコンフォメーションまたは構造に重要である。変化するための適切な位置としての正統なフレームワーク残基の標的化は、その関連するドナーCDR配列の文脈で、より適合性のアミノ酸残基を同定し得る。
【0077】
特定のフレームワーク位置におけるアミノ酸残基の頻度は、変化するための適切なフレームワークアミノ酸位置を選択するために使用され得る別の基準である。例えば、選択されたフレームワークとそのサブファミリー内における他のフレームワーク配列との比較は、特定の位置または複数の位置に少ない頻度で生じる残基を明らかにし得る。あまり豊富でない残基を有するこのような位置は、同様に、アクセプター可変領域フレームワークにおいて変化するための位置としての選択に適用可能である。
【0078】
変化するための適切なアミノ酸位置はまた、例えば、CDRに対する近接性に基づいて選択され得る。特定の文脈において、このような残基は、CDRのコンフォメーションまたは抗原結合に関与し得る。さらに、この基準は、同様に、本明細書中に記載される他の基準によって選択される適切な位置に優先順位を付けるために使用され得る。従って、1つ以上のCDRに対して近位な残基と遠位な残基との間の区別は、変化するための適切な位置の数を減少させる有効な方法である。
【0079】
変化するための適切なアミノ酸フレームワーク位置を選択するための他の基準としては、例えば、抗原−CDR界面近くの3次元空間に存在することが公知であるかまたは予測されるか、あるいはCDR活性を調節することが予測される残基が挙げられる。同様に、重鎖(V)可変領域と軽鎖(V)可変領域との間の界面の接触を形成することが公知または予測されるフレームワーク残基が選択され得る。このようなフレームワーク位置は、CDR結合ポケット、抗原相互作用またはVおよびVの相互作用を調節することによって、CDRのコンフォメーションまたは親和性に影響し得る。従って、結合活性をスクリーニングするための多様な集団を構築するための、これらのアミノ酸位置の選択は、CDRコンフォメーションに対する有害な効果を有する残基を置換するか、またはフレームワークの他のところに存在する残基の有害な効果を補償する、フレームワークの変化を同定するために使用され得る。
【0080】
変更のために選択され得る他のフレームワーク残基としては、溶媒にアクセス不可能であるアミノ酸位置が挙げられる。このような残基は、一般的に、可変領域において埋め込まれ、従って、CDRのコンフォメーションまたはVおよびVの相互作用に影響し得る。溶媒のアクセス可能性は、例えば、ポリペプチドのアミノ酸側鎖によってまたは既知の3次元構造データによって作り出される環境の相対的な疎水性から予測され得る。
【0081】
ドナーCDRの適切なアミノ酸位置、および変化することが望ましいフレームワーク領域の任意の適切なアミノ酸位置の選択に続いて、選択された位置のいくつかまたは全てにおけるアミノ酸の変化は、アクセプター可変領域フレームワークおよびドナーCDRについてのコード核酸に組み込まれ得る。変化したフレームワークまたはCDR配列は、所望であれば、個々に作製および試験され得るか、または同時に組み合わせて試験され得る。
【0082】
任意のまたは全ての変化した位置における可変性は、少しから複数の異なるアミノ酸残基の範囲であり得、これには、20種全ての天然に存在するアミノ酸またはその機能的等価物およびアナログが挙げられる。
【0083】
変化するためのアミノ酸位置の数および位置の選択は、柔軟であり、そして意図される使用およびドナー可変領域と比較して実質的に同じかまたはより大きな結合親和性のような所望の活性を有する変化した可変領域の同定のための所望の効率に依存し得る。これに関して、変化した可変領域集団に組み込まれる変化の数が多くなるにつれて、所望の活性(例えば、ドナーと実質的に同じまたはより大きな結合親和性)を示す少なくとも1つの種を同定することがより効率的になる。あるいは、ユーザーが、特定のアミノ酸残基または位置が結合親和性に不均衡に寄与する影響に対する経験的データまたは実際のデータを有する場合、同定された残基または位置の中または周りの変化に焦点を当てる、変化した可変領域の制限された集団を作製することが望ましくあり得る。
【0084】
例えば、CDRグラフト化可変領域が望ましい場合、大きな多様な集団の変更された可変領域が、ドナーフレームワークとアクセプターフレームワークとの間の全ての非同一なフレームワーク領域位置および全ての単一のCDRアミノ酸位置の変化を含み得る。あるいは、中程度の多様性のある集団が、例えば、全ての単一のCDRアミノ酸位置の変化とともに組み込まれるべき近位の非同一フレームワーク位置のみのサブセットを含み得る。上記集団の多様性は、例えば、さらに全ての対のCDRアミノ酸位置変化を含むことによってさらに増加され得る。対照的に、1つのフレームワークおよび/または1つのCDRアミノ酸位置ほどに少ない改変体残基を組み込む所定の残基または位置に焦点を当てる集団は、同様に、本発明の変更された抗体可変領域のスクリーニングおよび同定のために構築され得る。上記集団とともに、このように焦点を当てられた集団の多様性は、さらに、フレームワークおよびCDR領域のいずれかまたは両方における他の適切な位置を含むように変化を選択された位置をさらに増大させることによって増加され得る。さらに使用され得るフレームワーク領域およびCDRのいずれかまたはその両方における少しの変化から多くの変化の範囲の多くの他の組合せが存在し、これらの全てが、所望の活性(例えば、隠れたコラーゲン部位に対する結合活性)を有する少なくとも1つのCDRグラフト化変更可変領域の同定のためにスクリーニングされ得る変更された可変領域の集団を生じる。当業者は、フレームワークまたはドナーCDRあるいはそのサブセットの残基のどの選択された残基位置が変更されて、本明細書中に提供される教示およびガイダンスを考慮して、本発明の変更された抗体のスクリーニングおよび同定のための集団を生成し得るかを知っているかまたは決定し得る。
【0085】
CDRコード核酸の全ておよび選択されたアミノ酸位置の変化の全ての同時の組み込みが、当業者に公知の種々の方法によって達成され得、これには、例えば、組換え合成および化学合成が挙げられる。例えば、同時の組み込みは、例えば、ドナーCDRコード核酸と一緒に融合されたアクセプター可変領域のためのヌクレオチド配列を化学合成すること、および選択された位置において、可変アミノ酸残基を有するために、複数の対応するアミノ酸コドンを組み込むことによって達成され得る。
【0086】
1つの既知のアミノ酸配列に多数の変更を迅速かつ効率的に作製するため、または可変性またはランダムな配列の多様な集団を作製するための当該分野において周知の1つのこのような方法は、コドンベースの合成または変位誘発として公知である。この方法は、米国特許第5,264,563号および同第5,523,388号の主題であり、そしてまた、Glaserら、J.Immunology 149:3903(1992)に記載される。簡単に述べると、例えば、遺伝子コードのアミノ酸を特定する20種全てのコドンのランダム化のためのカップリング反応は、別の反応容器において実施され、そして特定のコドン位置に対するランダム化は、反応容器の各々の産物を混合することによって生じる。混合に続いて、20種全てのアミノ酸の当量混合物をコードするコドンに対応するランダム化反応産物は、次いで、次の位置に各々ランダム化されたコドンの合成のための別々の反応容器に分割される。20種全てのアミノ酸の等しい頻度の合成のために、2個までのコドンが、各反応容器において合成され得る。
【0087】
これらの合成方法に対するバリエーションもまた存在し、これには、例えば、所望の位置における所定のコドンの合成、および1つ以上のコドン位置における所定の配列の偏った(biased)合成が、挙げられる。偏った合成は、2つの反応容器の使用を包含し、ここで、所定のまたは親のコドンが1つの容器で合成され、そしてランダムなコドン配列が、第2の容器で合成される。第2の容器は、複数の反応容器(例えば、全体的にランダムなアミノ酸を特定の位置に特定するコドンの合成について上に記載されたもの)に分割され得る。あるいは、縮重したコドンの集団は、例えば、NNG/Tヌクレオチドのカップリングによって第2の反応容器において合成され得、ここで、Nは、4つ全てのヌクレオチドの混合物である。所定のコドンおよびランダムコドンの合成に続いて、2つの反応容器の各々における反応産物が混合され、次いで、次のコドン位置における合成のためにさらに2つの容器に再分割される。
【0088】
多様な数の改変体配列を作製するための上記コドンベースの合成に対する改変は、同様に、本明細書中に記載される改変体集団の作製のために使用され得る。この改変は、上記2容器方法に基づき、この方法は、親配列に向けて合成を偏らせ、そして使用者が、改変体を、ランダムなコドン変化を有する特定の数のコドン位置を含む集団に分離することを可能にする。
【0089】
簡単に述べると、この合成は、各コドン位置合成の後に反応容器を2つの新たな容器に分割し続けることによって実施される。分割の後、各々連続した対の反応容器からの反応産物(第2の容器で開始する)を混合する。この混合は、ランダムな変化と同じ数のコドン位置を有する反応産物を一緒にする。合成は、次いで、第1の容器および最後の容器の産物、ならびに反応容器の各々連続した対からの新たに混合した産物を分割し、そして2つの新たな容器に再分割することによって進行する。新たな容器の1つにおいて、親コドンが合成され、そして第2の容器において、ランダムなコドンが合成される。例えば、第1のコドン位置における合成は、1つの反応容器における親コドンの合成および第2の反応容器におけるランダムなコドンの合成を伴う。第2のコドン位置における合成のために、第1の2つの反応容器の各々が、2つの反応容器に分割され、2対の容器を生じる。各対について、親コドンは、容器の1つにおいて合成され、そしてランダムコドンは、第2の容器において合成される。直線に配列される場合、第2の容器および第3の容器における反応産物は、1つのコドン位置においてランダムなコドンを有する産物を一緒にするように混合される。この混合はまた、産物の集団を3つに減少し、これらは、次の回の合成のための開始集団である。同様に、第3、第4、および各々の残りの位置のために、先行する位置のための各反応産物集団は、分割され、親コドンおよびランダムコドンが合成される。
【0090】
コドンベースの合成の上記改変後、1つ、2つ、3つまたは4つの位置にランダムコドン変化を含む集団ならびに他の集団が、個々の必要性に基づいて、簡便に分離され得、そして使用され得る。さらに、親配列合成のみを含む容器が、ランダムコドン合成から同様に分離されるので、この合成スキームはまた、親配列を超えて、ランダム化配列についての集団の富化を可能にする。
【0091】
既知のアミノ酸配列における多数の変更を生成するため、または可変配列もしくはランダム配列の多様な集団を生成するための、当該分野で周知な他の方法としては、例えば、変性オリゴヌクレオチド合成または部分的変性オリゴヌクレオチド合成が挙げられる。4つ全てのヌクレオチドモノマーの等量混合物を特定するコドン(NNNで示される)は、変性合成を生じる。部分的変性合成は、例えば、以前に記載されたNNG/Tコドンを使用して達成され得る。あるいは、統計的に予め決定されたかまたは変化(varigate)されたコドン合成の使用(これは、米国特許第5,223,409号および同第5,403,484号の目的である)のような、当該分野で周知の他の方法が使用され得る。
【0092】
一旦、変更された可変領域コード核酸の集団が上記のように構築されると、これらは発現されて、結合親和性についてスクリーニングされ得る変更された可変領域ポリペプチドの集団を生成し得る。例えば、変更された可変領域コード核酸は、増殖、操作および発現のために適切なベクター中にクローニングされ得る。このようなベクターは、公知であるか、または当業者によって構築され得、そして転写、翻訳、調節、そして所望の場合には、変更された可変領域ポリペプチドの分類および分泌のために十分な全ての発現エレメントを含むべきである。これらのベクターは、それぞれの宿主系において発現エレメントおよび調節エレメントが機能する限り、原核生物または真核生物の宿主系のいずれかにおける発現のために適切であり得る。発現ベクターは、さらに、誘導性または細胞型特異的発現のための調節エレメントを含み得る。当業者は、どの宿主系が特定のベクターと適合性であるか、そしてどの調節エレメントまたは機能的エレメントが、可溶性形態、分泌形態または細胞表面形態のポリペプチドの発現を達成するのに十分であるかを知っている。
【0093】
適切な宿主細胞としては、例えば、細菌および対応するバクテリオファージ発現系、酵母、鳥類、昆虫ならびに哺乳動物細胞が挙げられる。種々の宿主系におけるこのような集団内における、変更された可変領域または変更された可変領域ポリペプチドの集団の、組換え発現、スクリーニングおよび精製のための方法は、当該分野で周知であり、そして例えば、以下に記載される:Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1992)およびAusubelら,Current Protocols in Molecular Biology(補遺54),John Wiley&Sons,New York(2001)。変更された可変領域の発現およびスクリーニングのための特定のベクターおよび宿主系の選択は、当業者に公知であり、そして使用者の好みに依存する。さらに、糸状バクテリオファージベクター/宿主系を使用した、可溶性形態または細胞表面形態のいずれかでの異種レセプターの多様な集団の発現は、当該分野で周知であり、そして米国特許第5,871,974号の目的である。
【0094】
変更された可変領域ポリペプチドの発現された集団は、最適化された結合活性(例えば、ドナーCDR可変領域と実質的に同じかまたはそれより大きい結合親和性)を示す1つ以上の変更された可変領域種の同定のために、スクリーニングされ得る。スクリーニングは、ポリペプチドまたは化合物の結合親和性を決定するための、当該分野で周知の種々の方法を使用して達成され得る。さらに、変更された可変領域ポリペプチドとドナーCDR可変領域との間の結合量の比較による、それらのパートナーに対する結合分子の相対的親和性の決定に基づく方法は、ドナーCDR可変領域と実質的に同じかまたはそれより大きい結合親和性を示す種の同定のために、同様に使用され得る。全てのこのような方法は、例えば、溶液中または固相において、実施され得る。さらに、結合アッセイの種々の形式が、当該分野で周知であり、そして例えば、フィルタ(例えば、ナイロンまたはニトロセルロース)への固定化;2次元アレイ、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、パニングおよびプラズモン共鳴が挙げられる。このような方法は、例えば、HarlowおよびLane(前出)1988において記載され、見出され得る。
【0095】
ポリペプチド集団(例えば、本発明の方法によって生成された変更された可変領域集団)のスクリーニングについて、フィルタまたは他の固体基材への、変更された可変領域集団の固定化は、有利であり得る。なぜなら、多数の異なる種が、抗原結合について効果的にスクリーニングされ得るからである。このようなフィルタの助力は、ドナーCDR可変領域と比較して、実質的に同じかまたはより大きい結合親和性を示す変更された可変領域の同定を可能にする。あるいは、変更された可変領域の集団が細胞またはバクテリオファージの表面上に発現される場合、固定化抗原に対するパニングは、抗原結合活性を有する改変体について効果的にスクリーニングするため、または集団内の種の相対的結合親和性を決定するために、使用され得る。
【0096】
変更された可変領域ポリペプチドの集団をスクリーニングするための別の親和性方法は、リガンドに対する選択的親和性を有する結合分子を同定するために有用な捕捉リフト(capture lift)アッセイである(Watkinsら、(1997);WO 99/06834)。この方法は、固体支持体への変更された可変領域の選択的固定化を使用し、次いで、同族抗原または結合パートナーに対する選択的結合相互作用について、選択的に固定化された変更された可変領域のスクリーニングを使用する。選択的固定化は、測定される結合相互作用の選択性を増大させるように機能する。なぜなら、固体支持体への、変更された可変領域の集団の最初の固定化は、反応系中に存在し得る無関係の分子または混入物との非特異的結合相互作用を低減させるからである。
【0097】
集団をスクリーニングするため、または個々の変更された可変領域ポリペプチドの親和性を測定するための別の方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)による。この方法は、表面プラズモン波が金属/液体界面で励起される場合に生じる現象に基づく。光が、サンプルと接触していない表面の側に指向され、そしてそこから反射され、そしてSPRは、角度および波長の特定の組み合わせで反射された光の強度の減少を引き起こす。生体分子結合事象は、表面層において屈折率を変化させ、これが、SPR信号の変化として検出される。結合事象は、レセプター−リガンド対の間の結合の会合または解離のいずれかであり得る。屈折率の変化は、本質的に瞬間的に測定され得、従って、親和性定数の個々の成分の決定を可能にする。より具体的には、この方法は、会合速度(kon)および解離速度(koff)の正確な測定を可能にする。
【0098】
on値およびkoff値の測定は、治療的により有効な、変更された可変領域または最適化された可変領域を同定するために使用され得る。例えば、変更された可変領域またはそのヘテロマー結合フラグメントは、例えば、類似の結合親和性を示す可変領域およびヘテロマー結合フラグメントと比較して、より高いkon値を有するので、より有効であり得る。より高いkon値を有する分子は、より速い速度でその標的と特異的に結合し得、かつその標的を阻害し得るので、増大した効力が付与される。同様に、本発明の分子は、類似の結合親和性を有する分子と比較して、より低いkoff値を示すので、より有効であり得る。一旦結合すると、これらの分子は、その標的からの解離がより遅いので、より低いkoff速度を有する分子を用いて観察される効力の増大が、観察され得る。本発明の変更された可変領域および最適化された可変領域に関して記載されているが、会合速度および解離速度の測定について上記されている方法は、治療目的または診断目的のためにより有効な結合因子を同定するために、本質的に任意の抗体またはそのフラグメントに適用可能である。
【0099】
表面プラズモン共鳴を使用して親和性(会合速度および解離速度を含む)を測定するための方法は、当該分野で周知であり、そして例えば、以下に記載され、見出され得る:JonssonおよびMalmquist,Advances in Biosensors,2:291−336(1992)ならびにWuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:6037−6042(1998)。さらに、結合相互作用を測定するための当該分野で周知の1つの装置は、BIAcore 2000機器であり、これは、Pharmacia Biosensor(Uppsala,Sweden)によって市販される。
【0100】
上記スクリーニング方法、ならびに当該分野で周知の他の方法のいずれかを使用して、最適化された結合親和性(例えば、ドナーCDR可変領域と実質的に同じかまたはそれより大きい結合親和性)を有する、変更された可変領域は、その集団内の少なくとも1つの変更された可変領域の、その抗原または同族リガンドへの結合を検出することによって、同定される。抗原結合活性についての最適化に加えて、触媒活性もまた、本発明の抗体中に含まれ得、そして結合親和性最適化のために本明細書中に開示された方法を使用して最適化され得る。従って、上記の方法は、最適化された触媒活性についてスクリーニングするために、基質および反応物の添加を含むように、改変され得る。ドナー可変領域との、同じスクリーニングにおいて独立してかまたは同時のいずれかの比較は、ドナーと実質的に同じかまたはそれより大きい結合親和性を有する結合因子を同定する。当業者は、非特異的結合を超えた選択的相互作用を同定するために十分な結合条件を知っているか、またはドナー可変領域を使用して決定し得る。
【0101】
変更された可変領域の集団内の結合種の同定のための検出方法は、直接的または間接的であり得、そして例えば、光放射、放射性同位体、比色色素および蛍光色素の測定が挙げられ得る。直接的検出方法としては、中間体も二次測定手順も伴わずに、結合した抗原またはリガンドの量を評価するように機能する方法が挙げられる。このような方法は、一般に、検出可能な部分(例えば、放射性部分、光放射部分、蛍光部分、比色部分または酵素部分)でそれ自体が標識化されたリガンドを使用する。対照的に、間接的検出としては、中間体または二次測定手順を介して機能する方法が挙げられる。これらの方法は、一般に、抗原またはリガンドと特異的に反応し、そしてそれ自体、検出可能な部分で直接標識され得るか、または二次試薬によって検出され得る分子を、使用する。例えば、リガンドに特異的な抗体は、リガンドに特異的な一次抗体と相互作用し得る二次抗体を使用し、再度直接的検出のための上記検出方法を使用して、検出され得る。さらに、触媒的抗体についてのスクリーニングの特定の例について、基質の消失または産物の出現が、結合親和性または触媒活性の間接的測定として使用され得る。
【0102】
単離された可変領域は、そのそれぞれのVサブユニットまたはVサブユニットとのヘテロマー構造への構築の非存在下で、単鎖として結合親和性を示す。このように、VおよびVの変更された可変領域ポリペプチドの集団は、単独で発現され得、そして結合活性(例えば、CDRドナーのV可変領域またはV可変領域と比較して、実質的に同じかまたはそれより高い結合親和性を有する、最適化された活性)についてスクリーニングされ得る。あるいは、VおよびVの変更された可変領域ポリペプチドの集団は、ヘテロマーの変更された可変領域結合フラグメントへと自己会合するように、同時発現され得る。ヘテロマー結合フラグメント集団は、次いで、CDRドナーの可変領域結合フラグメントと実質的に同じかまたはそれより高い結合親和性を示す種について、スクリーニングされ得る。
【0103】
同時グラフト化および最適化のための方法、または最適化のための方法を使用して、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約8倍または約10倍よりも高い親和性の増加を有する、ヘテロマーの可変領域結合フラグメントを生成することが可能である。特に、ドナー分子または親分子と比較して、12倍、15倍、20倍および25倍より高い親和性の増加、ならびに50倍、100倍、200倍、500倍または1000倍より高い親和性の増加を有する、ヘテロマー可変領域結合フラグメントが生成され得る。
【0104】
さらに、本明細書中に記載される最適化のための方法はまた、触媒性ヘテロマー可変領域フラグメントを生成するため、またはその触媒活性を最適化するために、適用可能である。触媒活性は、例えば、基質結合のオン速度またはオフ速度、基質結合親和性、転移状態の結合親和性、ターンオーバー速度(kcat)またはKmを変化させることによって、最適化され得る。これらの特徴を測定するための方法は、当該分野で周知である(例えば、Segel,Enzyme Kinetics,John Wiley&Sons,New York(1975)を参照のこと)。このような方法は、ヘテロマー可変領域結合フラグメントの触媒活性を最適化するために使用される場合、上記の方法のスクリーニング工程において使用され得る。
【0105】
さらに、抗体アクセプター可変領域フレームワークへのドナーのCDR結合親和性を比較するための方法は、Kabatら(前出)、Chothiaら(前出)、またはMacCallumら(前出)に記載されるように、CDRのグラフト化に適用可能である。これらの方法は、同様に、Kabatら(前出)、Chothiaら(前出)、またはMacCallumら(前出)に記載されるように、CDRのアクセプターフレームワーク重複領域または組み合せへのグラフト化に使用され得る。一般に、CDRの可変領域は、当該分野で公知であり、本明細書中に示されるCDRの定義の1つにより記載される境界を同定することにより、グラフト化される。しかし、これらの方法は、フレームワーク領域とCDR領域の両方で関連するアミノ酸部分の変化を組み入れ得、このようなバリエーションは、例えば、可変領域のどこかでアミノ酸の変化を補償または増強し得る、グラフト化されたCDRの、変更された可変領域の集団を構築し、スクリーニングすることに関するので、特定のCDRの正確な境界またはCDRの可変領域のセットは変化し得る。したがって、グラフト化するための正確なCDR領域(Kabatら、Chothiaら、またはMacCallumらに記載される領域であろうと、またはその任意の組み合せであろうと)は、使用者の存在に本質的に依存する。
【0106】
同様に、抗体の結合親和性を最適化するための以前に記載された方法もまた、コード核酸が入手可能であるかまたは入手可能にし得る、本質的に任意の可変領域での使用のために適用され得る。ドナーのCDR結合親和性を与えるための方法を使用する場合、結合親和性を最適化するための方法の多くの適用は、ヒトフレームワークを有するグラフト化されたCDRの可変領域の結合親和性を改変するためである。再び、このような分子は、ヒト患者において抗原性が有意に低く、したがって、ヒト疾患の処置において治療的に有益であり得る。しかし、可変領域の結合親和性を最適化するための本発明の方法は、全ての種の可変領域に適用可能である。したがって、本発明は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギおよびトリまたは他の任意の所望の種に由来する可変領域の結合親和性を最適化する工程を含む。
【0107】
本発明の方法は、可変領域およびヘテロマー可変領域結合フラグメントを参照して、記載されている。当業者は、このような方法が全て、全抗体およびその機能フラグメントに、そして所望される場合、抗体の抗原結合可変領域以外の領域および機能ドメインに適用可能であることを理解する。
【0108】
会合速度は、任意の非平衡混合物(例えば、結合ポリペプチドとリガンドを迅速に接触させることによってか、または温度を迅速に変化させることによって形成されるものが挙げられる)中で決定され得る。非平衡混合物は、前平衡混合物であり得る。前平衡混合物は、例えば、可溶性結合ポリペプチドと可溶性リガンドを、検出チャンバー中の総リガンドおよび総結合ポリペプチドの量が一定である条件下で接触させることによって形成され得る。前平衡混合物の会合速度の測定は、結合ポリペプチドとリガンドとの迅速な混合および結合ポリペプチドまたはリガンドの、ミリ秒またはそれより早い時間尺度での特性の変化の迅速な検出を提供する様式でなされ得る。以下に記載されるような停止流体機器および迅速クエンチ流体機器は、非平衡動力学を測定するための簡便な手段を提供する。会合速度はまた、非平衡混合物(例えば、結合ポリペプチド、リガンドもしくはリガンドに結合する結合ポリペプチドの不溶性種を含む溶液、または種々の濃度の総リガンドもしくは総結合ポリペプチドを含む溶液)において測定され得る。非平衡混合物の会合速度の測定は、リガンドの表面への結合、表面を覆う結合ポリペプチドを含有する溶液の連続的な流れ(逆もまた同様)を提供する様式と、結合ポリペプチド、リガンドまたは表面の変化する特性の迅速検出と組み合せてなされ得、その結果、測定は、ミリ秒より早い時間尺度でなされる。会合速度の非平衡測定を提供する様式の例としては、表面プラズモン共鳴機器およびエバネッセント波機器が挙げられる。
【0109】
会合速度の測定は、結合状態と未結合状態の間に存在する結合ポリペプチドもしくはリガンドの特性の変化を検出することによってか、または結合ポリペプチドとリガンドが会合する場合の周囲の環境の変化を検出することによってなされ得る。会合により変化し得、そして会合速度を測定するのに使用され得る結合ポリペプチドまたはリガンドの特性としては、例えば、熱の吸収および放出、電磁放射線の吸収および放出、レセプターへの親和性、分子量、密度、質量、電荷、導電率、核の磁気モーメント、電子のスピン状態、極性、分子形態、または分子サイズが挙げられる。結合ポリペプチドがリガンドと会合する場合に変化し得る周囲の環境の特性としては、例えば、温度および周囲の溶媒の屈折率が挙げられる。
【0110】
前平衡混合物の会合速度を測定するための様式としては、例えば、停止流体動力学機器および迅速クエンチ流体機器が挙げられる。停止流体動力学機器は、結合ポリペプチドおよびリガンドを含む溶液を、検出セルへ流す直前に別々のレザバから混合チャンバーに押し出すのに使用され得る。次いで、この機器は、1以上の上記の特性の変化を検出し、結合事象の進行をモニタリングし得る。迅速クエンチ流体機器は、結合ポリペプチドを含む溶液とリガンドを含む溶液を迅速に混合し、限られた時間の後、結合反応をクエンチするのに使用され得る。次いで、1以上の上記の特性の変化が、混合後の異なる時間にクエンチすることにより生じたクエンチされた混合物で検出され得る。クエンチは、クエンチ工程が結合速度の測定に依存する検出を阻害しなければ、例えば、凍結または化学クエンチ剤の添加により実施され得る。従って、迅速クエンチ機器は、例えば、分光学的検出が簡便でない状況において有用であり得る。種々の機器が、KinTek Corp.(State College、PA)およびHi−Tech Scientific(Salisbury、UK)のような製造業者から市販されている。
【0111】
非平衡混合物の会合速度を測定するための様式としては、例えば、表面プラズモン共鳴機器およびエバネッセント波機器が挙げられる。表面プラズモン共鳴およびエバネッセント波技術は、バイオセンサ表面に結合されたリガンドまたは結合ポリペプチド、およびバイオセンサ表面を覆って通過する結合ポリペプチドまたはリガンドのいずれかを含む溶液を利用する。結合ポリペプチドがリガンドと会合する場合にチップ表面で起こる溶液の屈折率の変化は、時間依存性の様式で測定され得る。例えば、表面プラズモン共鳴は、表面プラズモン波が金属/液体界面で励起される場合に生じる現象に依存する。光は、サンプルと接触しない表面の側面に向けられて、その面から反射され、そしてSPRは、角度と波長の特定の組み合せで反射光の強度を減少する。生体分子結合事象は、表面層での屈折率の変化を生じ、これはSPR信号の変化として検出される。結合事象は、レセプター−リガンド対の間の結合の会合または脱会合のいずれかであり得る。屈折率の変化は、本質的に瞬間的に測定され得、従って、個々の成分の親和性定数の決定を可能にする。より具体的には、この方法は、会合速度(kon)および脱会合速度(koff)の正確な測定を可能にする。表面プラズモン共鳴機器は、当該分野において入手可能であり、これらとしては、例えば、BIAcore機器、IBISシステム、SPR CELLIAシステム、SpreetaおよびPlasmon SPRが挙げられ、ならびに、エバネッセント波技術は、例えば、RichおよびMyszka、Curr.Opin.Biotech.11:54〜61(2000)に記載されるようなIasysシステムにおいて入手可能である。
【0112】
結合親和性を測定するための別の方法としては、競合ELISAがあげられる。本明細書中に開示されるように、最大結合の半分のシフトに基づく親和性の変化の近似が、野生型に対するkon値およびkoff値を同定するのに使用された(実施例III)。このような方法は、多数の変異体をスクリーニングするのに特に有用であるのに対して、上記の方法が、結合活性の詳細の分析のために使用され得る。
【0113】
会合速度は、結合事象の間に、1以上の慎重な時間間隔で、例えば、上記の方法を使用してリガンドまたは結合ポリペプチドの特性の変化を測定することにより決定され得る。結合事象の間に慎重な時間間隔で決定される測定は、会合速度の定量的基準または会合速度の相対的基準を決定するのに使用され得る。会合速度の定量的速度としては、例えば、会合速度値またはkon値が挙げられ得る。会合速度値またはkon値の定量的値は、時間依存性の測定の数学的分析または図式的分析により決定され得る。このような分析は当該分野で周知であり、これらとしては、指数関数的な項もしくは線形項の和にデータをフィットさせるためのアルゴリズム、または例えば、Johnson、Cur.Opin.Biotech.9:87〜89(1998)(これは本明細書中に参考として援用される)に記載される結合モデルにデータをフィットさせるコンピュータシミュレーションのためのアルゴリズムが挙げられる。
【0114】
会合速度は、質量輸送の効果が反応において説明される場合、不溶性種または種々の濃度の総リガンドもしくは総結合ポリペプチドを含む混合物から、上記のような数学的分析および図式的分析を使用して決定され得る。当業者は、同様の制限を有する条件下で会合速度を大量輸送に関して比較することによってかまたは、当該分野で利用可能なモデル(例えば、Myszkaら、Biophys.J.75:583〜594(1998)(これは本明細書中に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる)に従って計算された会合速度を調節することによって、質量輸送を説明し得る。
【0115】
会合速度またはkonのいずれかの高い値は、一般に、改善された治療的効力を示す。従って、定量的な決定は、結合ポリペプチドの会合速度と、使用される方法が、一貫した結果を生じることが当業者に理解される限り、異なる方法によって決定される治療コントロールとの間での比較を可能にすることにより利点を提供する。
【0116】
会合速度の相対的な測定としては、例えば、同様の条件下でリガンドに結合する2つ以上の結合ポリペプチドの会合速度の比較、または所定の速度でリガンドに結合する結合ポリペプチドの会合速度の比較が挙げられ得る。2つ以上の結合ポリペプチドの会合速度の比較としては、既知の会合速度の標準または既知の治療効果の分子が挙げられ得る。比較に使用される所定の速度は、例えば、以前に測定された速度(例えば、科学文献またはデータベースにおいて利用可能なものが挙げられる)に対してその測定値を較正することによって決定され得る。所定の速度との比較の例は、時間精密選択デバイスを用いることにより所定の速度で規定される慎重な時間間隔でリガンドに結合する結合ポリペプチドの種の選択である。
【0117】
比較の目的のために、結合ポリペプチドとリガンドとの会合速度は、治療コントロールと同じリガンドとの会合速度に対して決定され得る。比較はまた、治療コントロールとリガンドの定量的会合速度と比較して結合ポリペプチドとリガンドの定量的会合速度に従ってなされ得る。相対的または定量的な会合速度は、上述の方法によって決定され得る。リガンドに会合する結合ポリペプチドの会合速度の決定は、結合ポリペプチドおよび治療コントロールと同時にかまたは別々に実施され得る。但し、条件は各アッセイにおいて十分に同じであり、妥当な比較を可能にする。従って、結合ポリペプチドについて決定した会合速度は、治療コントロールの前もって測定された会合速度と比較され得る。
【0118】
改善された治療効力を有する結合ポリペプチドは、リガンドに対する増加したKを有するが、改善された治療効力を有さない結合ポリペプチドから区別され得る。Kに基づく治療的結合ポリペプチドを同定するための方法は、平衡測定に依存し、これは、非平衡条件下でなされる時間依存性測定を欠くことで増加した会合速度を有し、従って、改善された治療効力を有する結合ポリペプチドを同定するのに不正確である。K=kon/koffの関係に従って、結合ポリペプチドとリガンドの会合についての増加したKは、konまたはkoffの変化に起因し得る。例えば、改善された治療効力を有する結合ポリペプチドは、konの増加を補正するkoffにおける減少が生じる場合、減少したKを有し得る。従って、Kの変化は、koffの変化によって影響されるので、治療効力の変化に明らかに相関しない。なぜならば、改善された治療効力を有する結合ポリペプチドは、減少したかまたは増加したかのいずれかのKを示し得るからである。
【0119】
本発明の抗体の結合活性の最適化のために、会合速度の倍増加は、konの増加によって示され得る。従って、本明細書中に記載される方法を使用して、konは、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍または約10倍以上であり得る。konは、少なくとも、約1×10−1−1、約2×10−1−1、約5×10−1−1、約1×10−1−1、約2×10−1−1、約5×10−1−1、約1×10−1−1、約2×10−1−1、約5×10−1−1、約1×10−1−1、約2×10−1−1、または約3×10−1−1であり得る。konはまた、少なくとも約約5×10−1−1、約7×10−1−1、約9×10−1−1、約1×10−1−1、約3×10−1−1、約5×10−1−1、約7×10−1−1、約9×10−1−1または約1×10−1−1以上まで増加し得る。さらに、改善された治療効力をもたらすkonの増加は、結合ポリペプチドに対するKの変化の効果に無関係であり得る。konの増加を有する結合ポリペプチドは、その親ポリペプチドのK値と同じK値、またはその親ポリペプチドのKよりも低いK値を有し得る。
【0120】
本発明はまた、本発明の抗体および本発明のCDRをコードする核酸を提供する。本発明はさらに、マウス抗体HUIV26(配列番号1および3)およびHUI77(配列番号5および7)をコードする核酸を提供する(図2および3を参照のこと)。HUIV26 CDR(配列番号20、22、24、26、28および30)をコードする核酸およびHUI77 CDR(配列番号32、34、36、38、40および42)をコードする核酸をさらに提供する。このような核酸は、そのCDRにおけるアミノ酸のいずれかまたは全てをコードする縮重コドンを有する核酸を含む。例えば、本発明は、HUIV26 CDR:V CDR1(配列番号19);V CDR2(配列番号21);V CDR3(配列番号23);V CDR1(配列番号25);V CDR2(配列番号27);およびV CDR3(配列番号29)をコードする核酸を提供する。本発明はまた、HUI77 CDR:V CDR1(配列番号31);V CDR2(配列番号33);V CDR3(配列番号35);V CDR1(配列番号37);V CDR2(配列番号39);およびV CDR3(配列番号41)をコードする核酸を提供する。このような核酸の縮重バージョンもまた提供され、その結果、それらは、HUIV26について配列番号20、22、24、26、28および30として、ならびにHUI77について配列番号32、34、36、38、40および42として言及されるアミノ酸配列をコードする。
【0121】
さらに、1つ以上のアミノ酸置換(subsitution)を含むHUIV26またはHUI77のCDRをコードする核酸を提供する。例えば、本発明は、本明細書中に開示されるように、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する、HUIV26およびHUI77のCDRをコードする核酸を提供する。1つ以上のアミノ酸置換を有するCDRをコードする核酸が、例えば、HUIV26について配列番号19、21、23、25、27もしくは29、またはHUI77について配列番号31、33、35、37、39または41のうちの1つに由来する場合、そのアミノ酸置換は、そのアミノ酸についての対応する縮重コドンのうちのいずれかによってコードされ得る。このようなCDR改変体をコードする核酸はまた、野生型アミノ酸位置のうちのいずれかまたは全てにおいて縮重コドンを含み得る。
【0122】
本願全体を通して、天然に存在するヌクレオチドであるA、C、G、TもしくはUに加えて、種々の核酸およびオリゴヌクレオチドプライマーは、標準的な略語:R=GもしくはA;Y=T/UもしくはC;M=AもしくはC;K=GもしくはT/U;S=GもしくはC;W=AもしくはT/U;B=G、CもしくはT/U;D=A、GもしくはT/U;H=A、CもしくはT/U;V=A、GもしくはC;N=任意のヌクレオチドを言及する。
【0123】
本発明の抗体は、隠れたコラーゲンエピトープに対する結合活性を有する。HUIV26抗体およびHUI77抗体は、脈管形成脈管構造(angiogenic vasculature)に標的化することが示された(Xuら,前出,2001;WO00/40597を参照のこと)。従って、本発明のグラフト化HUIV26抗体およびグラフト化HUI77抗体(これらは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的に結合する)は、同様に、脈管形成脈管構造に標的化し得る。そのモノクローナル抗体HUIV26およびHUI77、ならびに本明細書中に開示されるそのグラフト化形態の最も重大かつ重要な局面のうちの1つは、それらの特異性の局面である。本発明の抗体の全身投与は、あるとしても、最小限の毒性副作用を有することが予測される。なぜなら、HUIV26抗体およびHUI77抗体によって認識される隠れたエピトープは、成熟したネイティブ三本鎖らせんコラーゲンにおいて露出されていないが、変性(例えば、熱変性またはタンパク質分解変性)の際にのみ露出されるからである。従って、あるとしても、通常の生理学的条件下での結合は、わずかしか予測されない。
【0124】
さらに、HUIV26およびHUI77が結合する隠れたコラーゲンドメインは、多くの新血管形成疾患(腫瘍増殖および転移、を含む)、糖尿病性網膜症ならびに他の関連する眼の疾患(例えば、黄斑変性)、乾癬、および慢性関節リウマチの処置のための新規な治療的標的を示す。脈管形成と関連する他の例示的疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:炎症性障害(例えば、免疫炎症および非免疫炎症、慢性関節リウマチならびに乾癬)、不適切なまたは都合の悪い脈管浸潤と関連する障害(例えば、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、再狭窄、アテローム硬化症の斑における毛細管増殖および骨粗鬆症)、ならびに癌関連障害(例えば、固形腫瘍、固形腫瘍転移、血管線維腫、水晶体後線維増殖症、血管腫、カポージ肉腫および腫瘍増殖を支持するために新血管新生(neovascularization)を要する類似の癌)。他の例示的腫瘍としては、黒色腫、癌腫、肉腫、線維肉腫、神経膠腫および星状細胞腫などが挙げられる。
【0125】
従って、本発明の方法は、脈管形成と関連する疾患(上記の疾患を含む)を有する個体を処置するために使用され得る。この方法は、疾患と関連する徴候または症状を改善するために使用され得る。例えば、癌の処置の場合に、この方法は、腫瘍増殖を阻害するために使用され得る。当業者は、本発明の抗体を使用する治療的適用の有効性を決定するために適した疾患と関連する適切な徴候もしくは症状を知っているかまたは容易に決定し得る。
【0126】
本発明の抗体はまた、侵襲性腫瘍増殖および転移と関連した、異常な新血管新生の早期検出のために重要な診断試薬および画像化試薬として使用され得る。本発明の抗体はまた、腫瘍の病期分類(staging)および段階分け(grading)において使用され得る。なぜなら、侵襲性腫瘍は、良性病変とは対照的に、周辺の基底膜の変性と関連する可能性があるからである。
【0127】
従って、本発明は、脈管形成脈管構造を標的化する方法を提供し、この方法は、抗体またはその機能的フラグメントを投与する工程を包含し、この抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに対する特異的結合活性を有し、ここでこの抗体または機能的フラグメントは、本発明の抗体である。例えば、この抗体は、1以上のCDR(本明細書中に開示されるHUIV26抗体およびHUI77抗体の野生型CDRまたはその改変体を含む)を含み得る。脈管形成脈管構造を標的化する方法は、治療目的および/または診断目的で使用され得る。
【0128】
治療目的に関しては、その抗体またはその機能的フラグメントは、治療剤自体として投与され得るか、または治療的部分をさらに含み得る。治療的部分の場合、この部分は、薬物(例えば、化学療法剤、細胞傷害性薬剤、毒素、または抗脈管形成薬剤)であり得、これらは、脈管形成を低下または阻害する分子をいう。例えば、細胞傷害性薬剤は、放射性核種または化合物であり得る。治療剤として有用な例示的な放射性核種としては、例えば、X線またはγ線放射体が挙げられる。さらに、部分は、薬物送達ビヒクル(例えば、チャンバのあるマイクロデバイス(chambered microdevice)、細胞、リポソームまたはウイルスであり得る。これは、薬剤(例えば、薬物または核酸)を含み得る。
【0129】
例示的治療剤としては、例えば、アントラサイクリン、ドキソルビシンが挙げられ、これらは、抗体に連結され、その抗体/ドキソルビシン結合体は、腫瘍の処置において、治療的に有効であった(Sivamら,Cancer Res.55:2352−2356(1995);Lauら,Bioorg.Med.Chem.3:1299−1304(1995);Shihら,Cancer Immunol.Immunother.38:92−98(1994))。同様に、他のアントラサイクリン(イダルビシンおよびダウノルビシンを含む)は、抗体に化学的に結合体化され、この抗体は、有効用量の薬剤を腫瘍に送達した(Rowlandら,Cancer Immunol.Immunother.37:195−202(1993);Aboud−Pirakら,Biochem.Pharmacol.38:641−648(1989))。
【0130】
アントラサイクリンに加えて、アルキル化剤(例えば、メルファランおよびクロラムブシル)は、抗体に連結されて、治療的に有効な結合体が生成された(Rowlandら,Cancer Immunol.Immunother.37:195−202(1993);Smythら,Immunol.Cell Biol.65:315−321(1987))。ビンカアルカロイドもまた同様であった(例えば、ビンデシンおよびビンブラスチン(Aboud−Pirakら,前出,1989;Starlingら,Bioconj.Chem.3:315−322(1992))。同様に、抗体と代謝拮抗物質(例えば、5−フルオロウラシル、5−フルオロウリジンおよびそれらの誘導体)との結合体は、腫瘍を処置するに有効であった(Krauerら,Cancer Res.52:132−137(1992);Hennら,J.Med.Chem.36:1570−1579(1993))。他の化学療法剤(シスプラチン(Schechterら,Int.J.Cancer 48:167−172(1991)、メトトレキセート(Shawlerら,J.Biol.Resp.Mod.7:608−618(1988);FitzpatrickおよびGarnett,Anticancer Drug Des.10:11−24(1995))およびマイトマイシン−C(Dillmanら,Mol.Biother.1:250−255(1989)を含む)はまた、種々の異なる抗体との結合体として投与される場合に治療的に有効である。治療剤はまた、リシンなどの毒素であり得る。
【0131】
治療剤はまた、物理的、化学的、または生物学的な物質(例えば、リポソーム、マイクロカプセル、マイクロポンプ、または他のチャンバのあるマイクロデバイス)であり得、これらは、例えば、薬物送達系として使用され得る。一般に、このようなマイクロデバイスは、非毒性であるべきであり、所望であれば、生分解性であるべきである。薬剤を含み得る種々の部分(マイクロカプセルを含む)、および部分(チャンバのあるマイクロデバイスを含む)を本発明の抗体に連結するための方法は、当該分野で周知であり、市販されている(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18版(Mack Publishing Co.1990)、第89〜91章;HarlowおよびLane,Antibodies:A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1988)を参照のこと)。
【0132】
診断目的に関しては、その抗体またはその機能的フラグメントは、検出可能な部分をさらに含み得る。検出可能な部分は、例えば、放射性核種部分、蛍光部分、磁性部分、比色部分などであり得る。インビボ診断目的に関しては、γ線を放射する放射性核種(例えば、インジウム−111またはテクネチウム−99)のような部分が、本発明の抗体に連結され得、被験体への投与後に、固体シンチレーション検出器を使用して検出され得る。同様に、ポジトロン放出放射性核種(例えば、炭素−11)または常磁性スピン標識(例えば、炭素−13)は、その分子に連結され得、被験体への投与後に、その部分の位置が、それぞれ、ポジトロン放出軸並進(transaxial)トモグラフィーまたは核磁気共鳴画像法を使用して検出され得る。このような方法は、原発性腫瘍および転移病変を同定し得る。
【0133】
診断目的に関しては、本発明の抗体は、組織中または体液中の変性コラーゲンのレベルを決定するために使用され得る。変性コラーゲンのレベルは、例えば、組織生検によって、被験体から得られた組織サンプル中で決定され得る。例示的な体液としては、血清、血漿、尿、髄液などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
本発明はまた、抗体またはその機能的フラグメントを投与することによって、脈管形成を阻害する方法を提供する。ここでこの抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに対する特異的結合活性を有する。ここでこの抗体は、本発明の1以上のCDRを含む。例えば、本発明の抗体は、脈管形成が、個体の組織において阻害されるように投与され得る。本発明はさらに、本発明の抗体を投与することによって、腫瘍を標的化する方法を提供する。本発明はまた、本発明の抗体またはその機能的フラグメントを投与することによって腫瘍増殖を阻害する方法を提供する。
【0135】
本発明の抗体はまた、インビボまたはインビトロの診断適用のために使用され得る。従って、本発明は、脈管形成脈管構造と、本発明の抗体またはその機能的フラグメントと接触させることによって脈管形成脈管構造を検出する方法を提供する。脈管形成脈管構造は、本発明の抗体を、単独、または検出可能な部分に結合してかのいずれかで、個体に投与することによって、インビボで画像化され得る。その脈管形成脈管構造は、従って、インビボで検出され得る。あるいは、その抗体は、個体から得られた組織(例えば、組織生検)に投与され得る。その結果、本発明の抗体は、脈管形成脈管構造を検出する診断目的で、インビトロで使用され得る。
【0136】
治療部分または検出可能な部分は、部分を連結または結合体化するための多くの周知の方法のいずれかによって、本発明の抗体またはその機能的フラグメントに連結され得る。このような連結方法は、治療部分または検出可能な部分を、抗体の結合活性(すなわち、隠れたコラーゲン部位に結合する能力)を妨害も阻害もすることなく、結合を可能にすることが理解される。本発明の抗体またはその機能的フラグメントに、部分を結合体化するための方法は、当業者に周知である(例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego(1996)を参照のこと)。
【0137】
被験体に投与される場合、本発明の抗体は、例えば、その抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物として投与される。本明細書中で開示されるように、その抗体は、治療的部分および検出可能な部分に連結され得る。薬学的に受容可能なキャリアは、当該分野で周知であり、例えば、水溶液(例えば、水または生理学的に緩衝化された生理食塩水)または他の溶媒もしくはビヒクル(例えば、グリコール、グリセロール)、油(例えば、オリーブ油または注射可能な有機エステル)が挙げられる。
【0138】
薬学的に受容可能なキャリアは、例えば、結合体の吸収を安定化するかまたは増加するように作用する、生理学的に受容可能な化合物を含み得る。このような生理学的に受容可能な化合物としては、例えば、炭水化物(例えば、グルコース、スクロースまたはデキストラン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸またはグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定化剤もしくは賦形剤が挙げられる。当業者は、薬学的に受容可能なキャリア(生理学的に受容可能な化合物を含む)の選択が、例えば、組成物の投与の経路に依存することを知る。薬学的組成物はまた、癌治療剤のような薬剤を含み得る。
【0139】
当業者は、本発明の抗体を含む薬学的組成物が、種々の経路(例えば、経口的または非経口的(例えば、静脈内的))によって被験体に投与され得ることを知る。組成物は、注射または挿管によって投与され得る。薬学的組成物(例えば、薬物(例えば、化学療法剤))はまた、その中に取り込まれ得るリポソームまたは他のポリマーマトリクスに連結された抗体であり得る(Gregoriadis,Liposome Technology,第I巻〜第III巻,第2版(CRC Press,Boca Raton FL(1993)(これは、参考として本明細書中に援用される))。例えば、リン脂質または他の脂質からなるリポソームは、非毒性で生理学的に受容可能なキャリアおよび代謝性キャリアであり、これは、作製および投与が比較的単純である。
【0140】
本明細書中に開示される診断法または治療法について、有効量の抗体および治療部分が、被験体に投与される。本明細書中で使用される場合、用語「有効量」は、所望の効果を生じる薬学的組成物の量を意味する。有効量は、しばしば、抗体そのものが投与されるかどうかまたは抗体が部分に連結されるかどうか、および部分の型に依存する。従って、治療目的のために投与される放射性薬物/抗体結合体の量と比較した場合、より少ない量の放射性標識分子が、画像化のために必要とされ得る。特定の目的のための特定の抗体/部分の有効量は、当業者に周知の方法を使用して決定され得る。当業者は、治療目的または診断目的のために有効な量について、本発明の抗体の適切な用量を容易に決定し得る。
【0141】
治療目的またはインビボ診断目的について、種々の投与方法のいずれかが、その投与が所望の目的に有効である限り、使用され得ることが理解される。このような投与方法としては、例えば、静脈的、経皮的、滑液包内的、筋内的、腫瘍内的、眼内的、鼻内的、髄腔内的、局所的、経口的などが挙げられる。当業者は、所望の治療効果または所望の診断目的に依存して、適切な投与様式を容易に決定し得る。
【0142】
さらに、治療適用または診断適用について、本発明の抗体が一般的に、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与されることが理解される。本発明の抗体の家畜または農業目的に対する適用としては、他の哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ラバ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラットなど)が挙げられる。
【0143】
本明細書中に開示される本発明の抗体を使用する治療法のいずれかが、他の治療法と組み合わせて使用されることが理解される。例えば、本発明の抗体(抗体そのものまたは治療剤に結合された抗体のいずれか)は、他の治療処置レジメンと同時にかまたは連続的に投与され得る。例えば、本発明の抗体は、単独でか、または別の治療処置と組み合わせて投与され得、この処置としては、特定の疾患を治療するための、本明細書中に開示される治療薬および当業者に周知の他の薬物のいずれかが挙げられる。例えば、癌を処置する場合において、本発明の抗体は、別の化学療法剤(例えば、薬物または放射性核種)と同時にかまたは連続的に投与され得る。同様に、本発明の抗体は、外科手術の前、外科手術の間、または外科手術の後、抗体を投与することによって、他の処置レジメン(例えば、外科手術)と合わされ得る。当業者は、所望の場合、本発明の抗体を組み合わせて使用されるべき、所望の治療処置であることを知るか、または容易に決定し得る。従って、本発明の抗体は、他の治療レジメン(化学療法、放射線療法、外科手術などが挙げられるがこれらに限定されない)と組み合わせて投与され得る。
【0144】
本発明は、本発明の抗体を使用して転移を阻害する方法を提供する。本方法は、抗体またはその機能性フラグメントを投与する工程を包含し得、この抗体またはその機能性フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに対して結合活性を有する。抗体は、例えば、抗体HUIV26およびHUI77の重鎖CDRまたは軽鎖CDRの1つ以上に、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。1つ以上のCDRを含む。本明細書中で使用される場合、転移を阻害することは、原発性腫瘍部位から離れた転移部位の数および/またはサイズの減少をいう。転移を阻害する方法は、腫瘍細胞の隠れたコラーゲンエピトープへの結合をブロックする本発明の抗体を使用する工程を包含し、この隠れたコラーゲンエピトープは、腫瘍細胞によって分泌されるコラーゲン分解酵素の作用による組織のリモデリングの後、曝露される。
【0145】
本明細書中に開示されるように、1つ以上のCDRにおいて1つ以上のアミノ酸置換を有するHUI77の改変体は、インビトロで黒色腫細胞の増殖を阻害した(実施例VIを参照のこと)。本発明の抗体は、腫瘍細胞まで送達される生存シグナルまたは増殖シグナルへの接近をブロックし得るか、またはそれへの結合を阻害し得る。このように、本発明はまた、隠れたコラーゲンエピトープに対して結合活性を有する本発明の抗体の投与によって、腫瘍細胞を標的化する方法を提供し、この抗体は、隠れたコラーゲン部位によって腫瘍細胞に送達される生存シグナルまたは増殖シグナルに接近することをブロックする。
【0146】
新脈管形成を阻害する方法について、脈管形成構造は、腫瘍に関連し得る。本発明の方法はまた、腫瘍増殖を直接阻害するために、単独でかまたは腫瘍の脈管形成構造を抑制することと組み合わせて、使用され得る。本発明の方法は、転移を阻害するために、単独でまたは腫瘍脈管形成構造および/もしくは腫瘍増殖を阻害することと組み合わせてさらに使用され得る。例示的な腫瘍としては、本明細書中に開示される腫瘍(黒色腫、癌腫、肉腫、線維肉腫(fibrosacroma)、神経膠腫、星状細胞腫など)が挙げられるがこれらに限定されない。新脈管形成の阻害または腫瘍増殖の阻害のためのHUIV26またはHUI77の効果を試験するための方法は、以前に記載されるように、ラット角膜微小ポケット(micropocket)新脈管形成アッセイ、ニワトリ胎仔腫瘍増殖アッセイ、またはSCIDマウス腫瘍増殖アッセイのようなアッセイ(Xuら、2001、上述に記載されるような)あるいは新脈管形成の抑制、腫瘍増殖の阻害、または転移の阻害を測定するための任意の他の周知のアッセイを使用して実施され得る。
【0147】
本発明の方法はまた、非腫瘍新脈管形成構造の阻害に適用され得る。このような非腫瘍新脈管形成構造に対する適用は、炎症組織および新脈管形成が生じる組織を含み得る。本発明の抗体を用いる処置に適切な新脈管形成構造と関連する例示的な非腫瘍疾患としては、本明細書中に開示されるもの(関節炎、眼疾患、網膜疾患、血管腫などが挙げられる)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の抗体はまた、乾癬、黄斑変性、再狭窄など、または本発明の抗体が結合活性を有する隠れたコラーゲンエピトープの接近可能性の増加に関連する任意の腫瘍疾患もしくは非腫瘍疾患を抑制するために使用され得る。
【0148】
本発明の種々の実施形態の活性に実質的に影響しない改変がまた、本明細書中に提供される本発明の定義内に提供されることは、理解される。従って、以下の実施例は、本発明を例示することを意図するが、限定することを意図しない。
【実施例】
【0149】
(実施例I)
(HUIV26抗体およびHUI77抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のクローニング)
この実施例は、HUIV26抗体可変領域およびHUI77抗体可変領域のクローニングを記載する。
【0150】
HUIV26抗体およびHUI77抗体の可変領域は、これらのマウスモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマからクローン化され、配列決定される。簡単には、総mRNAを、Oligotex(登録商標)Direct mRNA Microキット(Qiagen;Valencia CA)を使用して、それぞれのマウスハイブリドーマ細胞から単離した。第1鎖cDNAを、SuperScript Preamplification System(GibcoBRL/Invitrogen;Carlsbad CA)を使用してmRNAから合成した。抗体可変領域配列を、V配列に対するマウスκ鎖定常領域またはV配列に対するIgM CH1領域に対する単一の3’プライマーと対合するための、マウス軽鎖配列または重鎖配列のシグナル配列に対して設計された5’プライマーのセットを使用するPCRによって増幅した。マウス抗体重鎖および軽鎖のシグナルペプチドに対する5’プライマーの配列ならびに定常領域プライマーの配列を、図1に示す。マウスκ軽鎖定常領域に対する3’プライマー(プライマー2650;配列番号212)は、アミノ酸115〜123に対応する。マウスIgM CH1領域に対する3’プライマー(プライマー2656;配列番号213)は、アミノ酸121〜114に対応する。マウスIgM CH1領域に対する3’プライマー(プライマー2706;配列番号214)は、アミノ酸131〜124に対応する。
【0151】
DNAフラグメントを、PCR反応から単離し、それは、約400bp長の主要生成物を有した。DNAフラグメントを、pCR2.1ベクターにクローン化した。挿入されたDNAフラグメントを、順方向M13プライマーおよび逆方向M13プライマーの両方を使用して配列決定した。DNA配列を、抗体配列データベースと比較した。HUIV26抗体およびHUI77抗体のN−末端アミノ酸配列を決定し、DNAフラグメントの配列をまた、対応する抗体のN−末端アミノ酸に対して比較した。
【0152】
HUIV26Vコード核酸を、5’プライマーmK2(プライマー2664;配列番号185)および3’プライマー2650(配列番号212)を用いてクローン化した。HUIV25Vの部分配列は、
【0153】
【化1】

(配列番号215)であり、MK2プライマーは、下線を付され、マウスシグナルペプチドをコードする部分配列は、イタリックである。HUIV26Vコード核酸を、5’プライマーMH12(プライマー2731;配列番号203)および3’プライマー2706(配列番号214)を用いてクローン化した。
【0154】
HUI77Vコード核酸を、5’プライマーmK1(プライマー2663;配列番号184)および3’プライマー2650(配列番号212)を用いてクローン化した。HUI77Vの部分配列は、
【0155】
【化2】

(配列番号216)であり、mK1プライマーは、下線を付され、マウスシグナルペプチドをコードする部分配列は、イタリックである。HUI77Vコード核酸を、5’プライマーMH15(プライマー2734;配列番号206)および3’プライマー2656(配列番号213)を用いてクローン化した。
【0156】
HUIV26およびHUI77に対する重鎖ヌクレオチドおよび軽鎖ヌクレオチド配列ならびにアミノ酸配列を、それぞれ、図2および3に示す。Kabat(上述)の番号付けシステムを使用して、重鎖のCDRおよび軽鎖のCDRを、HUIV26抗体およびHUI77抗体の各々について同定した(図2Cおよび3Cに下線を付す)。
【0157】
HUI77Vヌクレオチド配列(配列番号9)のヒトフレームワーク融合DPK13/JK1のヌクレオチド配列(配列番号17)とのアライメントを、図3Dに示す。対応する軽鎖アミノ酸配列を、HUI77およびDPK13/JK1について、それぞれ、配列番号10および配列番号18として参照事項をつける。
【0158】
この実施例は、マウス抗体HUIV26およびHUI77のクローニングおよび配列を記載する。
【0159】
(実施例II)
(HUIV26抗体およびHUI77抗体のCDR改変体ライブラリーの作成)
この実施例は、CDR最適化のための、HUIV26抗体およびHUI77抗体のCDR改変体ライブラリーの作成を記載する。
【0160】
抗体HUIV26および抗体HUI77のCDR3領域を、CDR改変体のライブラリーを作成することによって最適化した。軽鎖CDR3および重鎖CDR3に対するプライマーを、使用して、CDR3改変体のライブラリーを作成し、ここで、プライマーを、CDR3中の1つ以上の位置で1つを超えるアミノ酸をコードするように合成した。CDR3改変体をコードするプライマーの合成の後、改変体CDR3領域を、軽鎖(V)領域および重鎖(V)領域にアセンブルした。
【0161】
手短に言うと、HUI77抗体およびHUIV26抗体のヒト化V遺伝子およびV遺伝子を、PCRまたはプライマー伸張連結反応(liganation)を用いて、それぞれ、図4Aおよび図5Aに示されるプライマーと一緒に構築した。CDR3変異体を含む可変領域の遺伝子を、野生型CDR3プライマー(IV26−17、IV26−h7、I77−17またはI77−h7)をCDRに対応する変異体プライマーの群で置き換えることにより、構築した。次いで、構築された可変領域を、プライマーB−pelBおよびVに対する224ならびにB−phAおよびH遺伝子に対する1200aを用いてPCRにより増幅し、プラス鎖に非対称的にビオチン化した。ヒト化VおよびV配列の増幅およびマイナス鎖DNAの単離のためのプライマーは:B−pelB、ビオチン−TTA CTC GCT GCC CAA CCA GCC ATG GCC(配列番号220);224、GAC AGA TGG TGC AGC CAC AGT(配列番号221);B−phoA、ビオチン−TTA CTG TTT ACC CCT GTG ACA AAA GCC(配列番号222);および1200a、GAA GAC
CGA TGG GCC CTT GGT(配列番号223)であった。
【0162】
構築されたVおよびV領域を、変異誘発によりFab発現ベクターに導入した。手短に言うと、非ビオチン化マイナス鎖を、PCR産物のNeutrAvidin結合磁性ビーズに結合した後単離し、ハイブリダイゼーション変異誘発によりFab発現ベクターIX−104CSAに導入した(Kristenssonら、Vaccines 95,39−43頁,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor (1995);Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492(1985);Wuら、J.Mol.Bio.294:151−162(1999))。
【0163】
3つのヒト化CDR3変異ライブラリを、HUI77およびHUIV26抗体の各々について構築した。3つのライブラリを、ランダムな変異に導入したが、CDR3変異においては異なる。1つのライブラリが、LCDR3においてのみ変異を有し、第2のライブラリが、HCDR3においてのみ変異を持ち、そして第3のライブラリが、LCDR3およびHCDR3の両方において変異を有した。
【0164】
CDR3変異誘発に対する上記のような方法と本質的に同じ方法をまた、HUIV26およびHUI77抗体のCDR1およびCDR2上で実施した。Fab発現ベクターに構築した後、Fab含有HUIV26およびHUI77改変体CDRを、細菌中で発現し、変性コラーゲンへの結合を試験した。変異ライブラリを、フィルタリフトスクリーニングおよびELISAでスクリーニングした。これらのアッセイを、以前に記載されたのと実質的に同じように実施した(Huseら、J. Immunol.149:3914−3920(1992);Watkinsら、Anal.Biochem.253:37−45(1997))。簡潔に言うと、ニトロセルロース膜を、熱変性ヒトコラーゲンIまたはIVで予めコーティングして、ファージプレートからE.coli発現改変体FABをリフトするために用いた。次いで、これらの膜を、抗体(抗ヒトκ鎖またはアルカリ性ホスファターゼに結合した抗ヘマグルチニン(HA)タグ)でインキュベートし、結合した改変体Fabを検出した。ポジティブクローンを、一点ELISA(Watkinsら、前述、1997)により対応させ、変性ビオチン化ヒトコラーゲンIおよびIVへの結合のために、再びスクリーニングした。利益のある改変体を、天然およびELISAにより熱変性した形態における両方のコラーゲンに結合するために特徴付けする。利益のある変異体を、ELISAにより実証されるように対応する野生型Fabと比べて変性したコラーゲンへのより高い結合親和性を有するものとして、決定した。
【0165】
HUIV26抗体およびHUI77抗体における利益のあるCDR変異体の要約を、図4Bおよび図5Bに示す。図4Bは、HUIV26の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3ならびに軽鎖CDR1およびCDR3における利益のある単一のアミノ酸変異体を要約する。単一のアミノ酸置換基を有する例示的なHUIV26改変体は、12F10Q改変体であり、これは、ELISA滴定から得られる半最大結合におけるシフトに基づく倍数(fold)改善により概算されるように0.055のkonおよび0.049のkoffを示した。
【0166】
図5Bは、HUI77の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3における利益のある単一のアミノ酸変異を要約する。見られ得るように、種々のCDR中の数多くの単一のアミノ酸変異が、隠れたコラーゲン部位への結合を保つまたは増強するために見出された。
【0167】
この実施例は、利益のある変異を有するHUIV26およびHUI77のCDR改変体を記載する。
【0168】
(実施例III)
(増強された活性を有するHUIV26およびHUI77の組み合わせ改変体の同定)
本実施例は、HUIV26およびHUI77における種々の利益のあるCDR変異体を組み込む組み合わせ改変体の生成および同定を記載する。
【0169】
HUIV26およびHUI77抗体CDR改変体をさらに最適化するために、1つ以上の変異を含む少なくとも2つのCDRを組み込む組み合わせ改変体を、生成し、隠れたコラーゲン部位への結合のについて試験した。組み合わせ改変体を実施例IIに記載されるような改変体アミノ酸をコードする1つ以上の位置でプライマーを用いて合成した。これらのプライマーを、図6および図7に示す。
【0170】
HUIV26およびHUI77抗体それぞれの利益のある組み合わせ改変体の要約を、図6および図7に示す。図6および図7(「SPEKon」および「SPEkoff」)に示されるkonおよびkoff値を、ELISA滴定から得られる半最大結合におけるシフトに基づく改変体の倍数改善として概算した。同じ利益のあるCDR変異体を有するが、異なるフレームワーク配列を有するいくつかの改変体をまた示す。これらの結果が、利益のあるCDR変異体が、種々のフレームワークにグラフト化され得、かつ改善された結合活性を保ち得、または有し得ることを示す。
【0171】
本実施例は、HUIV26およびHUI77の組み合わせCDR改変体の生成を示す。数多くの改変体が、それぞれの抗体の野生型形態に比較して増加した親和性を有することが同定された。
【0172】
(実施例IV)
(HUIV26およびHUI77改変体の結合活性および特異性)
本実施例は、天然コラーゲンおよび変成コラーゲンでのHUIV26およびHUI77の結合活性および特異性を記載する。
【0173】
野生型および選択された例示的なHUIV26改変体およびHUI77改変体の活性および特異性を、決定した。図8に示されるように、IX−IV26の活性および特異性、Fab含有野生型HUIV26CDR、およびHUIV改変体2D4H1−C3およびDhuG5を、決定した。これらの抗体を、変性したコラーゲンIV(図8A)、変性したコラーゲンI(図8B)、天然のコラーゲンIV(図8C)への結合について試験した。天然のコラーゲンIVに対して重要な結合活性を有する抗体はない(図8C)。全ての3つの抗体が、変性したコラーゲンIVに対して結合活性を示した(図8A)。しかし、2D4H1−C3およびDhuG5改変体が、IX−IV26に対して有意に増加する結合活性を示した(図8A)。IX−IV26は、変性したコラーゲンIに対して有意に結合活性を示さず、そして2D4H1−C3およびDhuG5は、抗体の最大測定濃度にて低い結合活性を示した(図8B)。これらの結果は、HUIV26改変体が、野生型HUIV26のものと、類似の結合活性および特異性を有し、隠れたコラーゲンエピトープに対する活性および特異性を保つことを示す。これらの結果は、変異されたCDRを有する改変体が、野生型と比べて保たれた、または増加した結合親和性を有し得ることをさらに示す。
【0174】
図9に示されるように、IXI77、Fab含有野生型HU177CDR、ならびにHU177改変体Qh2b−B7およびQhuD9の活性および特異性を、決定した。抗体を、変性したコラーゲンI(図9A)変性したコラーゲンIV(図9B)および天然のコラーゲンI(図9C)への結合について試験し、そしてその結果が、これらの改変体が野生型と類似の結合特異性を示したことを示す。改変体QhuD9が、抗体のより高い濃度にて天然のコラーゲンへの穏やかな結合活性を示したが、IXI77またはQhu2b−B7のいずれもが、天然のコラーゲンIに対して有意な結合活性を示さなかった。これらの抗体全てが、変性したコラーゲンI(図9A)および変性したコラーゲンIV(図9B)に対して結合活性を示した。しかし、Qhu2b−B7およびQhuD9改変体が、変成したコラーゲンIおよびIVの両方においてIXI77と比較して有意に増加した結合活性を示した。これらの結果は、変異したCDRを有する改変体が、野生型と比較して保たれたまたは増加した結合親和性を有し得ることを示す。
【0175】
結合活性におけるCDR変異体の効果をさらに検証するために、HUIV26改変体DhuH8を、Fabおよび免疫グロブリン(IgG)のように2つの形態で選択し、発現した。これらの2つの形態の結合活性を、天然のヒトコラーゲンIV(n−IV)および変性したヒトコラーゲンIV(d−IV)に対して決定した。図10に示すように、Dhu8改変体のFabまたはIgG形態のいずれもが、天然のコラーゲンIVへの有意な結合を示さなかった。Fab形態が、変性したコラーゲンIVに対する結合活性を示し、そして結合親和性が、IgG形態に対して有意に増加した。これらの結果が、野生型に対する1つ以上のCDRアミノ酸置換を有するHUIV26改変体が、隠れたコラーゲンエピトープへの結合を示し得ること、そして結合親和性が、抗体改変体のFab形態と比較してIgGにおいて有意に増加し得ることを示す。
【0176】
これらの結果が、1つ以上のCDRアミノ酸置換を有するHUIV26およびHUI77が、類似の結合特異性および野生型と比較して増加した結合親和性を示し得ることを示す。
【0177】
(実施例V)
(最適化されたCDRを有するグラフト化されたHUIV26およびHUI77の生成)
本実施例は、利益のあるCDR変異体を組込むヒト化HUIV26抗体およびHUI77抗体の生成を記載する。
【0178】
CDR改変体は、利益のある変異を有し、実施例IIおよびIIIに記載されるように同定される。一旦利益のあるCDR改変体が同定されると、CDR改変体は、ヒトフレームワーク配列中にグラフト化される。利益のある変異を有するCDR改変体に加えて、他のCDRが、それぞれの抗体または1つ以上の改変体CDRの野生型配列であり得る。少なくとも1つのCDRが、利益のある変異を含む改変体である。例えば、グラフト化した抗体が、重鎖および軽鎖を含む場合、対応する野生型CDRと比較して、重鎖CDRまたは軽鎖CDRの少なくとも1つが、少なくとも1つのアミノ酸変異を有する。
【0179】
ヒトフレームワーク配列が、グラフト化のためのレシピエントとして選択される。ヒトフレームワークは、ドナー抗体フレームワーク配列に密接に関連し得るか、または親のドナー抗体から比較的多岐にわたり得る。一旦ヒトフレームワークが、グラフト化のために選択されると、少なくとも1つの利益のある変異体を含む少なくとも1つの改変体CDRを含む、選択されるヒトフレームワークおよび適切なドナーCDRをコードする重複オリゴヌクレオチドを、合成する。重複オリゴヌクレオチドを用いて、選択されるヒトフレームワーク、CDR改変体、および適切な他のCDRを含み、隠れたコラーゲン部位についての結合活性を有する抗体またはフラグメントを生成する可変領域をコードする核酸を構築する。
【0180】
構築される可変領域を発現ベクター(例えば、実施例IIに記載されるようなFab発現ベクター)にクローニングし、そして変性したコラーゲンへの結合活性が、実施例IIおよびIIIに記載されるように試験される。
【0181】
本実施例は、HUIV26およびHUI77抗体の利益のあるCDR変異を含むヒト化抗体の生成を記載する。
【0182】
(実施例VI)
(改変体HUI77抗体によるB16黒色腫細胞増殖の阻害)
本実施例は、B16黒色腫細胞増殖におけるHUI77改変体QH2bの効果を記載する。
【0183】
HU177抗体のQH2b−B7改変体である、QH2bを示したヒト化Fabが、全長IgG1抗体へと処理される(QH2b−IgG1)。QH2b−IgG1抗体を、NSO細胞中で哺乳動物細胞培養物において発現し、精製した。
【0184】
精製したQH2b−IgG1抗体をインビトロの細胞増殖アッセイ中で使用した。B16黒色腫細胞を、変性したヒトI型コラーゲン上にプレートした。QH2b−IgG1(100μg/ml/日)を、1セットの培養皿に加え、そして細胞数を指示された回数で決定した(図11)。コントロールとして、細胞を、抗体で処理しなかった。
【0185】
図11に示すように、B16黒色腫細胞が、3日にわたって細胞数における増加により示されるように、変性したコラーゲンI型上で増殖した。QH2b−IgG1で処置されるB16黒色腫細胞培養物が、3日間にわたり基本的な細胞増殖を示さず、これは、黒色腫細胞が、HUI77改変体QH2b−IgG1の存在下増殖しなかったことを示した。
【0186】
これらの結果は、1つ以上のCDRアミノ酸置換を有するHUI77改変体が、B16黒色腫細胞の細胞増殖を阻害し得ることを示す。
【0187】
本願の全体にわたって種々の刊行物が参照された。発明が関連する技術の状態をより完全に記載するために、これらの刊行物の開示が、本願の参考としてその全体において本明細書中で援用される。本発明は、上で提供されるような実施例に対して参考で記載されるが、種々の改変が、本発明の精神から逸脱することなく行われ得ることが、理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはそのフラグメントは、1つ以上の相補性決定領域(CDR)に少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、該抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的に結合し、そして、
該重鎖可変領域は、以下:
(i)配列番号38のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号38のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR1;
(ii)配列番号40のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号40のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR2;および
(iii)配列番号42のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号42のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR3;
を含み、そして、該軽鎖可変領域は、以下:
(iv)配列番号32のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号32のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR1;
(v)配列番号34のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号34のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号36のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号36のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR3;
を含み、該抗体またはその機能的フラグメントは、該置換のうちのいずれか少なくとも1つを有する、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項2】
請求項1に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、以下:
前記重鎖可変領域は、以下:
(i)配列番号38のアミノ酸配列、または、以下:
(a)7位のセリンのプロリンもしくはトリプトファンによる置換;および
(b)12位のグリシンのトリプトファン、ロイシンもしくはアラニンによる置換;
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号38のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR1;
(ii)配列番号40のアミノ酸配列、または、以下:
(a)10位のチロシンのセリン、アラニン、プロリンもしくはスレオニンによる置換;および
(b)15位のリジンのプロリンによる置換
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号40のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR2;
(iii)配列番号42のアミノ酸配列、または、以下:
(a)1位のアルギニンのプロリン、グルタミン、ロイシン、スレオニンもしくはバリンによる置換;
(b)6位のアスパラギンのバリンもしくはトリプトファンによる置換;
(c)11位のメチオニンのグルタミン、アスパラギンもしくはスレオニンによる置換;および
(d)13位のチロシンのリジン、スレオニン、メチオニンもしくはヒスチジンによる置換;
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号42のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR3;
を含み、そして、該軽鎖可変領域は、以下:
(iv)配列番号32のアミノ酸配列、または、以下:
(a)7位のバリンのプロリンもしくはトリプトファンによる置換;
(b)8位のヒスチジンのロイシンもしくはセリンによる置換;
(c)9位のセリンのトリプトファンによる置換による置換;
(d)10位のアスパラギンのチロシン、トリプトファンもしくはグルタミンによる置換;
(e)12位のアスパラギンのチロシンによる置換;および
(f)15位のロイシンのフェニルアラニンもしくはバリンによる置換;
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号32のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR1;
(v)配列番号34のアミノ酸配列、または、以下:
(a)1位のリジンのセリンによる置換;
(b)2位のバリンのアラニンによる置換;
(c)4位のアスパラギンのセリンによる置換;
(d)5位のアルギニンのロイシンによる置換;および
(e)7位のセリンのトリプトファンもしくはフェニルアラニンによる置換;
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号34のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR2;
(vi)配列番号36のアミノ酸配列、または、以下:
(a)1位のフェニルアラニンのバリンもしくはヒスチジンによる置換;
(b)2位のグルタミンのアルギニンもしくはトリプトファンによる置換;
(c)3位のグリシンのセリンによる置換;
(d)4位のセリンのトリプトファンもしくはグルタミン酸による置換;
(e)5位のヒスチジンのロイシン、スレオニン、セリン、アラニンもしくはグルタミンによる置換;
(f)6位のバリンのスレオニンもしくはフェニルアラニンによる置換;および
(g)9位のスレオニンのアラニン、アルギニン、ヒスチジン、リジンもしくはイソロイシンによる置換;
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号36のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR3;
を含み、該抗体またはその機能的フラグメントは、該置換のうちのいずれか少なくとも1つを有する、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項3】
請求項1に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152および配列番号153として参照されるCDRからなる群より選択される1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対する特異的な結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項4】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38として参照される重鎖CDR1;配列番号40として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号32として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項5】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号32として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項6】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号149として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項7】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号150として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項8】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号149として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項9】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号144として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号149として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項10】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号151として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項11】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号151として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項12】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号152として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号145として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項13】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号148として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号150として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項14】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号115として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項15】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号40として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号153として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項16】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号92として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号116として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項17】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号147として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号116として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項18】
請求項2に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号38として参照される重鎖CDR1;配列番号93として参照される重鎖CDR2;配列番号103として参照される重鎖CDR3;配列番号32として参照される軽鎖CDR1;配列番号34として参照される軽鎖CDR2;および配列番号36として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項19】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはそのフラグメントは、1つ以上の相補性決定領域(CDR)に少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、該抗体またはその機能的フラグメントは、隠れたコラーゲンエピトープに特異的に結合し、そして、
該重鎖可変領域は、以下:
(i)配列番号26のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号26のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR1;
(ii)配列番号28のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号28のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR2;および
(iii)配列番号30のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号30のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR3;
を含み、そして、該軽鎖可変領域は、以下:
(iv)配列番号20のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号20のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR1;
(v)配列番号22のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号22のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号24のアミノ酸配列、または、内部に1つ以上の置換を有する配列番号24のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR3;
を含み、該抗体またはその機能的フラグメントは、該置換のうちのいずれか少なくとも1つを有する、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項20】
請求項19に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、以下:
前記重鎖可変領域は、以下:
(i)配列番号26のアミノ酸配列、または、以下:
(a)6位のアルギニンのヒスチジンによる置換;
(b)9位のメチオニンのイソロイシンによる置換;および
(c)10位のセリンのスレオニン、アラニンもしくはグリシンによる置換
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号26のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR1;
(ii)配列番号28のアミノ酸配列、または、以下:
(a)9位のイソロイシンのアラニン、セリンもしくはバリンによる置換
(b)14位のセリンのチロシン、アラニン、ヒスチジンもしくはグリシンによる置換;および
(c)16位のリジンのアスパラギン酸もしくはグルタミンによる置換;および
(d)17位のアスパラギン酸のリジンもしくはセリンによる置換
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号28のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR2;および
(iii)配列番号30のアミノ酸配列、または、以下:
(a)3位のアスパラギン酸のプロリン、グリシン、スレオニンもしくはアラニンによる置換;
(b)4位のグリシンのプロリン、アラニンもしくはヒスチジンによる置換;および
(c)11位のチロシンのプロリンもしくはアスパラギンによる置換
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号30のアミノ酸配列、を有する重鎖CDR3;
を含み、そして、該軽鎖可変領域は、以下:
(iv)配列番号20のアミノ酸配列、または、以下:
(a)4位のグルタミンのアルギニンもしくはセリンによる置換;
(b)8位のアスパラギンのセリンによる置換;
(c)9位のセリンのチロシン、トリプトファン、ヒスチジンもしくはアルギニンによる置換による置換;
(d)10位のグリシンのチロシン、アルギニン、ヒスチジンもしくはイソロイシンによる置換;および
(e)12位のグルタミンのリジンによる置換;
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号20のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR1;
(v)配列番号22のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号24のアミノ酸配列、または、以下:
(a)5位のセリンのグルタミン、グリシン、ロイシン、アラニン、スレオニンもしくはバリンによる置換;および
(b)6位のチロシンのアスパラギン、セリン、プロリンもしくはメチオニンによる置換;
からなる群より選択される1つ以上の置換を有する配列番号24のアミノ酸配列、を有する軽鎖CDR3;
を含み、該抗体またはその機能的フラグメントは、該置換のうちのいずれか少なくとも1つを有する、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項21】
請求項19に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161および配列番号162として参照されるCDRからなる群より選択される1つ以上のCDRを含み、該抗体またはその機能的フラグメントが、隠れたコラーゲンエピトープに対する特異的な結合活性を有する、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項22】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項23】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号72として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項24】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号48として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項25】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項26】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号158として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項27】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号159として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項28】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号48として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項29】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号72として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項30】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号145として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項31】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項32】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号160として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項33】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号162として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号158として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項34】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号156として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項35】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号26として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項36】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号45として参照される重鎖CDR1;配列番号155として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号157として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項37】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号154として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号161として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項38】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号156として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号161として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項39】
請求項20に記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体またはその機能的フラグメントが、配列番号46として参照される重鎖CDR1;配列番号28として参照される重鎖CDR2;配列番号63として参照される重鎖CDR3;配列番号20として参照される軽鎖CDR1;配列番号22として参照される軽鎖CDR2;および配列番号77として参照される軽鎖CDR3を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該機能的フラグメントが、Fv、Fab、F(ab)およびscFvからなる群より選択される、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、該抗体がグラフト化抗体である、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項42】
請求項1〜41のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、前記重鎖CDRが、配列番号8として参照されるVHIII/JH6重鎖可変領域フレームワーク内にグラフト化される、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、さらに、治療部分を含む、抗体またはその機能的フラグメント。
【請求項44】
請求項1〜42のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントであって、さらに、検出可能な部分を含む、抗体または機能的フラグメント。
【請求項45】
請求項1〜42のいずれかに記載の抗体またその機能的フラグメントをコードする核酸。
【請求項46】
脈管形成脈管構造または腫瘍を処置するための薬学的組成物の調製のための、請求項1〜44のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントの使用。
【請求項47】
新血管形成、腫瘍増殖、または転移を阻害するための薬学的組成物の調製のための、請求項1〜44のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントの使用。
【請求項48】
脈管形成脈管構造を、請求項1〜44のいずれかに記載の抗体またはその機能的フラグメントとインビトロで接触させる工程を包含する、脈管形成脈管構造を検出する方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、前記抗体またはその機能的フラグメントが、さらに、検出可能な部分を含む、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−240324(P2009−240324A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167279(P2009−167279)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【分割の表示】特願2003−547635(P2003−547635)の分割
【原出願日】平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願人】(504202519)セルマトリックス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】