説明

ヒト化抗CD40抗体およびその使用方法

ヒト化抗CD40抗体および抗原結合フラグメント、ならびにCD40抗原の発現により特徴づけられる疾患の治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月26日付け米国仮出願第60/684,853号の優先権を主張するものであり、該出願の開示内容をそのまま参照として本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、一般には、診断および治療用のヒト化抗CD40抗体に関する。さらに特定すると、CD40を発現する細胞により特徴付けられる各種疾患または障害を治療するためのヒト化抗CD40抗体ならびにその使用方法を開示する。さらに、ヒト化抗CD40抗体を含む医薬組成物およびキットのような製品も開示する。
【背景技術】
【0003】
CD40はI型内在性膜糖タンパク質であり、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーのメンバーである。CD40は、正常および腫瘍性B細胞、指状嵌入細胞(interdigitating cells)、基底上皮細胞および癌腫を含めて、さまざまな細胞型で発現される。それは、単球、マクロファージ、一部の内皮細胞、および濾胞樹状細胞にも存在する。CD40はB細胞個体発生の早期に発現され、CD10とCD19の出現の後であるが、CD21、CD23、CD24の発現および表面免疫グロブリンM(sIgM)の出現の前に、B細胞前駆体上に現れる (Uckunら, 1990, Blood 15:2449)。初期の報告は、CD40がB細胞の形質細胞への最終分化の際に失われることを示したが、CD40は扁桃および骨髄由来の形質細胞上で検出されている (Pellat-Decounynckら, 1994, Blood 84:2597)。
【0004】
CD40と、そのリガンドおよび対抗受容体(counter-receptor)であるCD40L(CD154、gp39、およびTRAPとも呼ばれる)との相互作用は、体液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方を引き出す。CD40Lは、主に活性型リンパ球CD4+ T細胞上に発現される膜貫通タンパク質である。TNFファミリーの他のタンパク質と同様に、CD40Lの構造は非共有結合型三量体の構造である。CD40を介するシグナル伝達は、B細胞増殖、免疫グロブリン(Ig)アイソタイプスイッチ(isotype switching)、胚中心形成、およびT細胞依存性抗原への応答に深くかかわる記憶B細胞に必要とされるようである。
【0005】
CD40がCD40Lに結合すると、結果的にCD40の多量体化、樹状細胞、単球、B細胞のような抗原提示細胞に対する活性化シグナルの発生、ならびにサイトカイン活性化繊維芽細胞および上皮細胞に対する増殖・分化シグナルの発生が起こる。CD40分子が細胞分化において機能するシグナル伝達経路は完全には解明されていないが、CD40シグナルは多量体化した受容体から一連のTNF受容体関連因子(「TRAFs」)の動員を介して伝達される (Kehry, 1996, J. Immumol. 156:2345-2348)。TRAFsのサブセットは、CD40を含むTNF受容体ファミリーのメンバーと異なって相互作用し、さまざまな下流経路に刺激を与える。TRAFlおよびTRAF2はアポトーシスの調節に関係している (Speiserら, 1997, J. Exp. Med. 185:1777-1783; Yehら, 1997, Immunity 7:715-725)。TRAF2、5、および6は増殖および活性化イベントに関与している。正常なB細胞では、CD40のCD40Lへの結合が、受容体複合体にTRAF2およびTRAF3を動員し、他のTRAFsのダウンレギュレーションを誘発する (Kuhneら, 1997, J. Exp. Med. 186:337-342)。
【0006】
アポトーシスとCD40介在シグナル伝達は、B細胞の発生・分化において密接に関連している。B細胞におけるアポトーシスの主な機能は未熟なB細胞のクローン除去(clonal deletion)であり、これは未熟なB細胞の表面Igの広範な架橋結合に起因すると考えられる。成熟B細胞の運命もまた、表面Igを介したシグナル伝達と活性型T細胞からのシグナル(おそらくCD40L分子が介在する)の組合せによって調節されている。表面IgおよびCD40からのシグナルの組合せはアポトーシス経路を断ち切って、胚中心B細胞の生存を維持することができる。この胚中心でのアポトーシスからのレスキューは、親和性抗体を産生する記憶B細胞の発達にきわめて重要である。
【0007】
T細胞とB細胞の両方の悪性疾患において、抗腫瘍効果(アポトーシスを伴うまたは伴わない増殖停止)は、悪性細胞が正常リンパ球の活性化をもたらす刺激にさらされたときに、結果として生じることが多い。この活性化が引き起こす増殖停止は、抗原受容体または共刺激受容体のいずれかを介したシグナルにより観察されている (Ashwellら, 1987, Science 237:61; Bridgesら, 1987, J. Immumol. 139:4242; Page and Defranco, 1988 J Immunol. 140:3717; およびBeckwithら, 1990, J. Natl. Cancer Inst. 82:501)。抗CD40抗体または可溶性CD40LによるCD40刺激は、B細胞リンパ腫の増殖を直接阻害する (Funakoshiら, 1994, Blood 83:2787-2784)。
【0008】
CD40に対するマウスモノクローナル抗体(mAb)がいくつか記載されている (Katiraら 1995, "CD40 Workshop Panel Report"; Leukocyte Typing V, Schlossmanら(編) 1995, 1:547-550より)。例えば、2つのマウスモノクローナル抗体CD40.7 (M2)およびCD40.8 (M3)は、CD40のCD40Lへの結合を阻害することが示された (Fanslowら, 1995; Leukocyte Typing V, Schlossmanら(編) 1995, 1:555-556より)。mAb M2およびM3によるCD40刺激は、いくつかのヒトB細胞リンパ腫の増殖を阻害し、また、樹立された腫瘍の退行をin vivoで誘導した (Funakoshiら, 1994, Blood 83:2787-2794; Funakoshiら, 1996, J Immunol. 19:93-101)。米国特許第5,182,368号は、B細胞の増殖を高めることができる抗CD40マウスモノクローナル抗体G28-5を開示している。G28-5の一本鎖Fv領域に基づく一本鎖イムノトキシンは、ヒトCD40を発現する血液学的悪性細胞株をin vitroで選択的に死滅させた (Franciscoら, 1997, J Biol. Chem. 39:24165-24169)。しかしながら、G28-5はCD40Lの存在下でB細胞の活性化を高めることがなく、CD40とCD40Lの結合を増強することがない。米国特許第6,838,261号 (および関連する米国特許第6,946,129号および第6,843,989号) は、抗CD40マウスモノクローナル抗体S2C6の変異型のクラス、ならびに癌、免疫疾患および炎症性疾患を含むさまざまな障害の治療におけるその使用を記載している。米国特許第6,838,261号に記載された抗CD40抗体は、CD40L介在刺激を高めることに加えて、CD40とCD40Lの相互作用の増強、ならびにin vivo抗腫瘍活性を示した。S2C6は単独で、G28-5と同様の方法でB細胞増殖を刺激すると考えられるが、S2C6は、CD40L結合とその後のCD40L介在活性化シグナルの強度を高める能力によって、G28-5とは区別される。
【0009】
他のマウス抗CD40モノクローナル抗体(例えば、国際公開WO 95/17202号に記載される抗体)はCD40と結合し、CD40を発現する腫瘍性細胞により特徴づけられる疾患の治療および予防において効力を示す。マウス抗CD40抗体はヒトのCD40関連疾患の治療薬として潜在的な利用可能性を持ち合わせているが、それらの免疫原性は中和抗体応答、例えばヒト抗マウス抗体(HAMA)応答、の可能性を示し、このことがそれらの価値を制限することとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、特定のCD40エピトープと特異的に結合し、かつ同様の非ヒト抗CD40抗体の抗原結合特異性、親和性、および他の望ましい機能特性を示す、ヒト化抗CD40抗体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ヒト化抗CD40抗体およびその抗原結合フラグメント、ならびに、そのようなヒト化抗CD40抗体およびフラグメントを用いて、CD40表面抗原を発現する細胞により特徴づけられる疾患および障害を治療するための方法を包含する。さらに、ヒト化抗CD40抗体を含んでなるキットおよび製品も包含する。
【0012】
ある実施形態では、ヒトCD40と特異的に結合する、単離された抗体または抗原結合フラグメントを提供する。その抗体または抗原結合フラグメントは重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変領域ドメインを含む。重鎖可変領域ドメインは、配列番号2のヒト可変ドメイン重鎖サブグループIIIコンセンサスアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域、および配列番号3の対応する重鎖CDRに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含むことができる。軽鎖可変ドメインは、配列番号13のヒト可変ドメイン軽鎖サブグループκIコンセンサスアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域、および配列番号14の対応する軽鎖CDRに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含むことができる。
【0013】
ある実施形態において、それぞれの重鎖CDRは配列番号3の対応する重鎖CDRに対して少なくとも90%同一である。ある実施形態において、重鎖CDRは配列番号3の重鎖CDRl、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、それぞれの軽鎖CDRは配列番号14の対応する軽鎖CDRに対して少なくとも90%同一である。ある実施形態において、軽鎖CDRは配列番号14のCDRl、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0014】
ある実施形態において、前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含む。ある実施形態において、前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号14、配列番号15、または配列番号16のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。ある実施形態において、前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列、および配列番号14、配列番号15、または配列番号16の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有する。
【0015】
ある実施形態において、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号3および配列番号14;それぞれ配列番号4および配列番号14;それぞれ配列番号5および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号14;それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号8および配列番号14;それぞれ配列番号9および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号15;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16のアミノ酸配列を有する。
【0016】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトIgG定常領域、例えばアイソタイプIgGl、IgG2、IgG3、またはIgG4のIgG定常領域を含むことができる。前記抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常ドメイン、例えばκ定常ドメインを含むことができる。
【0017】
ある実施形態において、前記抗体はhu sgn-0、hu sgn-1、hu sgn-2、hu sgn-4、hu sgn-14、hu sgn-15、hu sgn-16、hu sgn-17、hu sgn-18、hu sgn-19、hu sgn-22、hu sgn-23、hu sgn-26またはhu sgn-27である。ある実施形態において、前記抗体または抗原結合フラグメントは、ATCC寄託番号PTA-110を有するハイブリドーマにより分泌されるモノクローナル抗体S2C6と結合について競合する。
【0018】
前記抗体は抗原結合フラグメントであってもよく、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvフラグメント、ダイアボディ、一本鎖抗体、scFvフラグメント、またはscFv-Fcである。前記抗体または抗原結合フラグメントは、標識されていてもよいし、アウリスタチン(例えば、MMAEまたはMMAF)のような化学療法剤に結合されていてもよい。
【0019】
さらに、容器内に抗CD40抗体または抗原結合フラグメントを含んでなるキットも提供される。キットは、該抗体を用いて生物学的サンプル中のCD40タンパク質を検出することについての使用説明書のような、追加の構成要素を含むことができる。
【0020】
抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメント、および製薬上許容される添加剤を含有する医薬組成物も提供される。
【0021】
ある実施形態では、ヒト化重鎖可変領域および/またはヒト化軽鎖可変領域をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードすることができる。ポリヌクレオチドはまた、例えば、配列番号14、配列番号15、または配列番号16の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードすることができる。
【0022】
ある実施形態では、単離されたポリヌクレオチドが、それぞれ配列番号3および配列番号14;それぞれ配列番号4および配列番号14;それぞれ配列番号5および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号14;それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号8および配列番号14;それぞれ配列番号9および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号15;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする。
【0023】
ある実施形態では、ヒトCD40抗原を発現している細胞の増殖を阻害する方法を提供する。この方法は、細胞に、ヒト細胞表面CD40抗原と結合する抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含んでなる。前記抗体または抗原結合フラグメントがCD40抗原と結合すると、該細胞の増殖または分化が阻害される。
【0024】
ある実施形態では、CD40関連障害を有する被験者を治療する方法が提供される。この方法は、被験者に、ヒトCD40と結合する抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含んでなる。前記抗体または抗原結合フラグメントがCD40と結合すると、CD40関連障害の細胞の増殖または分化が阻害される。CD40関連障害は、例えば、慢性リンパ性白血病、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、またはカポジ肉腫である。
【0025】
ある実施形態では、末梢B細胞の枯渇を誘導する方法が提供される。この方法は、該細胞に、ヒト細胞表面CD40抗原と結合する抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含んでなる。前記抗体または抗原結合フラグメントがCD40抗原と結合すると、該細胞の枯渇が誘導される。末梢B細胞は、例えば、被験者において自己免疫反応を示すことがある。
【0026】
本発明は、添付の図面および配列表とともに、好適な実施形態を含む以下の詳細な説明を参照することにより、もっとも理解が深まるであろう。以下の考察は記述的、例証的、例示的なものであり、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の開示内容を限定することなく明確なものとするために、本発明の詳細な説明を以下のサブセクションに分割する。
【0028】
本明細書中で商標名を使用する場合、文脈によって特に示さないかぎり、商標名はその商標製品、ジェネリック医薬品、その商標製品の活性医薬成分をも指すものとする。
【0029】
特に定義しないかぎり、本明細書中で用いる技術および科学用語はすべて、記載する方法および組成物に関係のある当業者がふつうに理解している意味と同じ意味である。
【0030】
定義
「CD40」および「CD40表面抗原」とは、正常および腫瘍性B細胞の表面に発現される50kDの糖タンパク質を意味し、この糖タンパク質は細胞の増殖・分化に関与するシグナルの受容体として作用し、ときにBp50とも称される (Ledbetterら, 1987, J. Imunol. 138:788-785)。CD40をコードするcDNA分子は、バーキットリンパ腫細胞株Rajiから作製されたライブラリーより単離されている (Stamenkovicら. 1989, EMBOJ. 8:1403)。CD40を発現する細胞は、CD40の表面発現によって特徴づけられる細胞であり、かかる細胞には、限定するものではないが、正常および腫瘍性B細胞、指状嵌入細胞(interdigitating cells)、基底上皮細胞、癌腫細胞、マクロファージ、内皮細胞、濾胞樹状細胞、扁桃細胞、および骨髄由来の形質細胞が含まれる。ある実施形態では、CD40分子がヒトCD40分子である。
【0031】
本明細書中で用いる「CD40抗原エピトープ」および「CD40エピトープ」とは、抗CD40抗体と免疫反応することができる分子(例えば、ペプチド)または該分子の断片を意味し、例えば、S2C6モノクローナル抗体により認識されるCD40抗原決定基が含まれる。CD40抗原エピトープはタンパク質、タンパク質断片、ペプチドなどに含まれていてよい。エピトープは最も一般的には、タンパク質、短いオリゴペプチド、オリゴペプチド模倣物(すなわち、CD40抗原の抗体結合特性を模倣する有機化合物)、またはそれらの組合せである。
【0032】
本明細書中で用いる「特異的結合」および「特異的に結合する」とは、抗体が所定の抗原に結合することを意味する。典型的には、抗体は少なくとも約1×107M-1の親和性で結合し、所定の抗原または密接に関連した抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対するその結合親和性より少なくとも2倍高い親和性で所定の抗原と結合する。
【0033】
「天然の抗体」および「天然の免疫グロブリン」とは、本明細書では、2本の同一の軽(L)鎖と2本の同一の重(H)鎖からなる、典型的には約150,000ダルトンの、ヘテロ四量体糖タンパク質として定義される。各軽鎖は1つのジスルフィド結合によって重鎖と共有結合で連結されて、ヘテロ二量体を形成している。そのようなヘテロ二量体の2本の同一の重鎖間のジスルフィド共有結合によってヘテロ四量体が形成される。軽鎖と重鎖は1つのジスルフィド結合によって一緒に連結されるが、2本の重鎖間のジスルフィド結合の数は免疫グロブリンのアイソタイプにより変化する。それぞれの重鎖および軽鎖はまた、規則的に間隔をあけて配置された鎖内ジスルフィド橋を有する。各重鎖は、アミノ酸の末端に、可変ドメイン(VH)、その後に3または4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、およびCH4)を有し、CH1とCH2の間にヒンジ領域が存在する。各軽鎖は2つのドメイン、すなわち、アミノ末端の可変ドメイン(VL)とカルボキシ末端の定常ドメイン(CL)を有する。VLドメインはVHドメインと非共有結合で会合しており、一方CLドメインは通常はジスルフィド結合を介してCH1ドメインと共有結合で連結されている。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメイン間の界面を形成していると考えられている (Chothiaら, 1985, J MoI. Biol. 186:651-663)。
【0034】
「超可変」とは、可変ドメイン内の特定の配列が、抗体間で非常に相違しており、個々の抗体のその特異的抗原決定基に対する結合性および特異性に直接関わる残基を含んでいることを意味する。軽鎖および重鎖可変ドメインにおける超可変性は、相補的決定領域(CDR)または超可変ループ(HVL)として知られる3つのセグメントに集中している。CDRはKabatら, 1991(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.)において配列比較により規定され、一方HVLはChothia and Lesk, 1987, J. MoI Biol. 196: 901-917に記載されるように可変ドメインの三次元構造に従って構造的に規定される。これら2つの方法がCDRのやや異なる同定をもたらす場合には、構造的な規定のほうが優先される。Kabatにより規定されるとおり、軽鎖可変ドメインではCDR-Llは残基24-34付近に、CDR-L2は残基50-56付近に、そしてCDR-L3は残基89-97付近に位置する;重鎖可変ドメインではCDR-Hlは残基31-35付近に、CDR-H2は残基50-65付近に、そしてCDR-H3は残基95-102付近に位置する。
【0035】
重鎖および軽鎖のそれぞれに存在する3つのCDRはフレームワーク領域(FR)で分離されており、このフレームワーク領域(FR)は可変性が低い傾向にある。重鎖および軽鎖の可変ドメインのアミノ末端からカルボキシ末端にかけて、FRとCDRは次の順序で配置されている:FRl、CDRl、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。FRの主にβシート構造により、各鎖内のCDRは互いに接近するだけでなく、他方の鎖のCDRとも接近するようになる。その結果生じる立体構造が抗原結合部位に寄与する(Kabatら, 1991, NIH Publ. No. 91-3242, Vol. I, 647-669ページを参照のこと)が、全てのCDR残基が抗原結合に直接関与するとは必ずしも限らない。
【0036】
FR残基およびIg定常ドメインは抗原結合に直接関与しないが、抗原結合に寄与し、かつ/または抗体エフェクター機能を媒介する。一部のFR残基は少なくとも3つの方法で抗原結合に大きな影響を及ぼすことができる。すなわち、エピトープと非共有結合で直接結合することによる、1個または複数のCDR残基と相互作用することによる、および重鎖と軽鎖の界面に作用することによる。定常ドメインは抗原結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞性細胞傷害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)、および抗体依存性細胞性ファゴサイトーシス(ADCP)における抗体の参加といった、さまざまなIgエフェクター機能を媒介する。
【0037】
脊椎動物の免疫グロブリンの軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に区別されるクラス、カッパ(κ)とラムダ(λ)、の一方に割り当てられる。これに対して、哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖は、定常ドメインの酸配列に従って、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つの主要なクラスのうちの1つに割り当てられる。IgGとIgAは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分割される。免疫グロブリンの異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。天然の免疫グロブリンのクラスのサブユニット構造および三次元構造はよく知られている。
【0038】
「抗体」、「抗CD40抗体」、「ヒト化抗CD40抗体」、および「変異型ヒト化抗CD40抗体」は本明細書では最も広い意味で用いられ、特に、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメント、例えば、所望の生物学的活性(例えば、CD40結合)を示す抗体の可変ドメインや他の部分、を包含する。
【0039】
「モノクローナル抗体」(mAb)とは、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、自然界で起こる突然変異(マイナーな量で存在する可能性がある)を除けば、同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原決定基(エピトープともいう)に対して誘導されて、非常に特異的である。修飾語「モノクローナル」とは、同一のエピトープに対して誘導された抗体の実質的に均質な集団を示すもので、いずれかの特定の方法で抗体を製造することを要求するものと解釈されるべきでない。モノクローナル抗体は当分野で公知の技術または方法で製造することができ、例えば、Koehlerら, 1975, Nature 256:495に初めて記載されたハイブリドーマ法、または当分野で公知の組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)がある。別の例として、Clacksonら, 1991, Nature 352: 624-628、およびMarksら, 1991, J. MoI. Biol. 222: 581-597に記載される技法を用いて、ファージ抗体ライブラリーからモノクローナル抗体を単離することもできる。
【0040】
対照的に、ポリクローナル抗体調製物中の抗体は、一般的に、免疫グロブリンアイソタイプおよび/またはクラスの不均質な集団であり、さまざまなエピトープ特異性を示す。
【0041】
本明細書中で用いる「キメラ」抗体とは、モノクローナル抗体の1タイプであって、その重鎖および/または軽鎖の1以上の領域もしくはドメインの完全なアミノ酸配列の一部が、別の生物種由来の、もしくは別の免疫グロブリンクラスまたはアイソタイプに属する、モノクローナル抗体の対応する配列と同一であるか、相同であるか、該配列の変異体であるか、または、コンセンサス配列由来である。キメラ抗体にはその抗体のフラグメントも含まれるが、ただし、抗体フラグメントはその親抗体の所望の生物学的活性(例えば、同一エピトープとの結合)を示す必要がある(例えば、米国特許第4,816,567号; およびMorrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sd. USA Sh 6851-6855を参照のこと)。
【0042】
「抗体フラグメント」、「抗CD40抗体フラグメント」、「ヒト化抗CD40抗体フラグメント」、および「変異型ヒト化抗CD40抗体フラグメント」とは、可変領域または機能特性(例えば、特異的なCD40エピトープ結合)が保持されている、全長抗CD40抗体の一部分を意味する。抗体フラグメントの例としては、限定するものではないが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fd、Fv、scFvおよびscFv-Fcフラグメント、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体、ミニボディ、抗体フラグメントから形成されるダイアボディ、および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0043】
特定のタイプの抗体フラグメントは全長抗体の酵素処理により作製することができる。パパインによる抗体消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同じ抗原結合フラグメント(それぞれが単一の抗原結合部位を有する)と、残りの「Fc」フラグメント(容易に結晶化する能力のため、そのように呼ばれる)をもたらす。Fabフラグメントは軽鎖の定常ドメインと重鎖のCH1ドメインも含んでいる。ペプシンによる処理はF(ab')2フラグメントをもたらすが、このフラグメントは2つの抗原結合部位を有し、まだ抗原と架橋結合することができる。
【0044】
Fab'フラグメントは、CH1ドメインのC末端に2,3個の追加の残基(抗体ヒンジ領域からの1個または複数のシステインを含む)が存在することで、Fabフラグメントと相違する。Fab-SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab'の名称である。F(ab')2抗体フラグメントは、ヒンジ領域のシステイン残基で連結されたFab'フラグメントのペアである。抗体フラグメントの他の化学的結合も知られている。
【0045】
「Fv」は、完全な抗原認識・結合部位を含む最小の抗体フラグメントであり、非共有結合でタイトに会合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この立体構造では、それぞれの可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面に抗原結合部位を形成する。6つのCDRが、集合して、抗体に抗原結合特異性を付与する。
【0046】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHおよびVLドメインを含む一本鎖Fv変異体(該ドメインが1本のポリペプチド鎖として存在する)であり、抗原を認識して、それと結合することができる。scFvポリペプチドは、場合により、VHおよびVLドメインの間に配置されたポリペプチドリンカーを含み、かかるリンカーは、scFvが抗原結合のための望ましい三次元構造を形成するのを可能にする (例えば、Pluckthun, 1994, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315を参照のこと)。
【0047】
「ダイアボディ」とは、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを意味する。各フラグメントは軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖上の2つのドメイン同士の対合(ペアリング)を可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、連結されたVH-VLドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合して、2つの抗原結合部位を形成するようになる。ダイアボディについては、例えば、EP 404,097; WO 93/11161; およびHollingerら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448に詳述されている。
【0048】
「線状抗体」とは、1対の抗原結合領域を形成する1対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)からなる抗体を意味する。線状抗体は二重特異性または単一特異性であってよく、例えば、Zapataら 1995, Protein Eng. 8(10):1057-1062に記載されている。
【0049】
ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントは、所定の抗原と結合することができる免疫グロブリンアミノ酸配列変異体またはそのフラグメントであって、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1以上のFRと、非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1以上のCDRを含むものである。この非ヒトアミノ酸配列は、本明細書では「インポート」配列と呼ばれ、典型的には、「インポート」抗体ドメイン、特に可変ドメインから得られる。一般的に、ヒト化抗体は、ヒト重鎖または軽鎖可変ドメインのFR間に挿入された、非ヒト抗体のCDRまたはHVLを少なくとも含むものである。特定の態様において、ヒト化抗CD40抗体は、ヒトコンセンサス配列重鎖および軽鎖可変ドメインのFR間に挿入された、マウスモノクローナル抗体S2C6由来のCDRおよび/またはHVL残基もしくは配列を含んでなる。
【0050】
別の態様では、ヒト化抗CD40抗体は、少なくとも1つ(典型的には2つ)の可変ドメイン(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、およびFvフラグメントに含まれるもの)の実質的に全部を含み、その際、CDRの全部または実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのCDRに相当し、そしてFRの全部または実質的に全部がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。別の態様では、ヒト化抗CD40抗体はまた、免疫グロブリンFc領域の少なくとも一部を含み、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含む。通常、該抗体は軽鎖と、少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含むだろう。前記抗体はまた、適宜に、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、および/またはCH4領域の1つまたは複数を含むことができる。
【0051】
ヒト化抗CD40抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む免疫グロブリンのどのクラスから選択してもよく、またIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2を含むどのアイソタイプから選択してもよい。例えば、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示すことが望まれる場合、定常ドメインは補体結合性の定常ドメインとすることができ、そのアイソタイプは典型的にはIgG1とする。そのような細胞傷害活性を望まない場合には、定常ドメインは別のアイソタイプ、例えばIgG2のものとすることができる。別のヒト化抗CD40抗体は2以上の免疫グロブリンクラスまたはアイソタイプからの配列を含んでいてもよく、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは当技術分野の通常のスキルの範囲内である。
【0052】
ヒト化抗CD40抗体のFRおよびCDR、またはHVLは親配列に正確に一致する必要はない。例えば、インポートCDR、もしくはHVL、またはコンセンサスFR配列の1個以上の残基を置換、挿入または欠失により変更(例えば、突然変異)させて、その結果としてのアミノ酸残基がいずれの親配列の対応位置にあるもとの残基と同じにならないようにすることができる。しかし、そうした変更は一般的には広範囲にわたらないようにする。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%、多くの場合には少なくとも90%、さらに多くの場合には95%以上、または98%以上、または99%以上が親のコンセンサスFR配列およびインポートCDR配列のアミノ酸残基に一致するようにする。
【0053】
重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメイン間の界面(VL-VH界面)に影響を及ぼす免疫グロブリン残基は、これら2本の鎖の互いに対する接近または配向に影響を与える残基である。鎖間相互作用に関与しうる特定の残基として、VL残基34、36、38、44、46、87、89、91、96、98、およびVH残基35、37、39、45、47、91、93、95、100、103が含まれる(Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, MD., 1987)に記載されるナンバリングシステムを利用)。追加の残基としては、米国特許第6,407,213号(参照としてその全体を本明細書に組み入れる)に開示されるような、VL残基43、85、およびVH残基43、60が含まれる。これらの残基はヒトIgGについてのみ示されるが、それらは生物種を越えて適用可能である。鎖間相互作用に関与すると予想されるインポート抗体残基は、コンセンサス配列への置換のために選択される。
【0054】
本明細書中で用いる「コンセンサス配列」および「コンセンサス抗体」とは、いずれか特定のクラス、アイソタイプ、またはサブユニット構造の全ての免疫グロブリン(例えば、ヒト免疫グロブリン可変ドメイン)の各位置に最も頻繁に存在するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を意味する。コンセンサス配列は特定の生物種または多くの生物種の免疫グロブリンに基づくものであってよい。「コンセンサス」配列、構造、または抗体は、特定の実施形態において記載されるコンセンサスヒト配列を含み、いずれか特定のクラス、アイソタイプ、またはサブユニット構造の全てのヒト免疫グロブリンの各位置に最も頻繁に存在するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を意味することが理解される。コンセンサスヒト構造およびヒトだけでなく他の生物種を考慮するコンセンサス構造が提供される。かくして、コンセンサス配列は1以上の既知の免疫グロブリンに存在するアミノ酸を各位置に有するアミノ酸配列を含むが、単一の免疫グロブリンの全アミノ酸配列と正確に同じである必要はない。可変領域のコンセンサス配列は、自然界で生成された抗体または免疫グロブリンから得られない。有用なコンセンサス配列には、Kabatら, 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.に提示されたデータから得られる、ヒト可変軽鎖κIコンセンサス配列(配列番号13)およびヒト可変重鎖サブグループIIIコンセンサス配列(配列番号2)、ならびにこれらの変異体が含まれる。重鎖および軽鎖コンセンサス配列ならびにこれらの変異体のFRは、ヒト化抗CD40抗体の作製に有用な配列を提供する。例えば、米国特許第6,037,454号および第6,054,297号を参照のこと。特定の実施形態において、ヒト化抗体を作製するために用いるFRは、ヒト可変軽鎖κIコンセンサス配列およびヒト可変重鎖サブグループIIIコンセンサス配列のコンセンサス配列から誘導される。
【0055】
本明細書中で用いる「変異体」、「抗CD40変異体」、「ヒト化抗CD40変異体」、または「変異型ヒト化抗CD40」とは、それぞれ、マウスモノクローナル抗体S2C6由来の重鎖可変CDRまたはHVL配列とヒトコンセンサス配列由来のFR配列とを少なくとも有するヒト化抗CD40抗体を意味する。変異体には、一方または両方の軽鎖もしくは重鎖可変ドメインに1以上のアミノ酸変化を有するものが含まれるが、ただし、そのアミノ酸変化は該抗体のCD40への結合を実質的に損なわないものである。ヒト化抗CD40変異体は、典型的には、抗体分子の改善されたフォールディングを可能にすることによって抗体の性能を高めるアミノ酸置換を含む。
【0056】
「単離された」抗体とは、その天然の環境から分離および/または回収されて、同定されている抗体のことである。抗体の天然環境の汚染物質成分は、抗体の診断上または治療上の使用を妨害する可能性がある物質であり、酵素、ホルモン、または他のタンパク質性もしくは非タンパク質性の溶質でありうる。ある態様において、抗体は以下のように精製されるものとする:
(a) Lowry法で測定して、抗体の95重量%以上、別の態様では99重量%以上の単離、
(b) スピニングカップ(spinning cup)配列決定装置を用いて、少なくとも15残基のN-末端または内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度の単離、または
(c) クーマシーブルー染色、好ましくは銀染色を用いて可視化したとき、還元または非還元条件下でのSDS-PAGEにより均一な単離。
【0057】
単離された抗体には、組換え細胞内にin situで存在する抗体も含まれる。というのは、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないと考えられるからである。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製ステップを経て調製されるものである。
【0058】
「抗体の性能」とは、抗原の抗体認識またはin vivoでの抗体の有効性に寄与する要因を意味する。抗体のアミノ酸配列の変化はフォールディングのような抗体の特性に影響を及ぼすことがあり、また、抗原への抗体結合の初期速度(ν0)、抗原からの抗体の解離定数(Kd)、抗原に対する抗体の親和定数、抗体の立体構造、タンパク質安定性、抗体の半減期といった物理的要因に影響することがある。
【0059】
本明細書中で用いる「エピトープタグを付加した」とは、「エピトープタグ」に融合した抗CD40抗体を意味する。「エピトープタグ」は、抗体産生用のエピトープを提供するのに十分な数のアミノ酸を有するポリペプチドであるが、ヒト化抗CD40抗体の所望の活性を妨げることがないようにデザインされる。エピトープタグは通常、そのエピトープタグに対して誘導された抗体が他のエピトープとは実質的に交差反応しないように、十分にユニークなものである。好適なタグポリペプチドは一般に少なくとも6アミノ酸残基を含み、通常は約8〜50アミノ酸残基、または約9〜30アミノ酸残基を含む。エピトープタグおよびそのエピトープと結合する抗体の例としては、flu HAタグポリペプチドとその抗体12CA5 (Fieldら, 1988 MoI. Cell. Biol. 8: 2159-2165); c-mycタグとそれに対する8F9、3C7、6ElO、G4、B7および9E10抗体(Evanら, 1985, MoI. Cell. Biol. 5(12):3610-3616); ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D (gD)タグとその抗体 (Paborskyら, 1990, Protein Engineering 3(6): 547-553)が挙げられる。特定の実施形態では、エピトープタグは「サルベージ受容体結合エピトープ」である。本明細書中で用いる「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、IgG分子のin vivo血清半減期を高めることに関与するIgG分子(IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4など)のFc領域のエピトープを意味する。
【0060】
「細胞毒性剤」とは、細胞の機能を阻害もしくは妨害し、かつ/または細胞の破壊を引き起こす物質のことである。この用語には、放射性同位体(I131、I125、Y90、およびRe186など)、化学療法剤、および毒素(細菌、真菌、植物または動物起源の酵素活性のある毒素など)、ならびにこれらの断片を含めるものとする。そのような細胞毒性剤は、公知の標準的な方法を用いて抗体(例えば、ヒト化抗CD40抗体)に結合させることができ、例えば、抗体による治療が適応される患者を治療するために使用することができる。
【0061】
「化学療法剤」は癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例としては、以下のものが挙げられる:アルキル化剤、例えばチオテパ、シクロホスファミド(CYTOXANTM);アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、ウレドーパ;エチレンイミン類とメチルアメラミン類(methylamelamines)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、トリメチロールメラミン;アセトゲニン類(特にブラタシンとブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、ビゼレシン類似体を含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン、アウリスタチン類(類似体のモノメチル-アウリスタチンEおよびモノメチル-アウリスタチンFを含む);デュオカルマイシン(合成類似体のKW-2189およびCBI-TMIを含む);エレウテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin); ナイトロジェンマスタード類、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタルニンオキシド塩酸、メルファラン、ノベンビシン、フェネステリン、プレドニムスチン(prednimustine); トロホスファミド、ウラシルマスタード; ニトロソウレア類、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン; 抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例:カリケアミシン(calicheamicin)、特にカリケミシン・ガムマール(calichemicin gammall)およびカリケアミシン・フィル(calicheamicin phill)、例えばAgnew, Chem. Intl. Ed. Engl, 33:183-186を参照; ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);ビスホスホネート類、例えばクロドロン酸塩;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色
団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(商標)) (モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、デオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類(例えば、マイトマイシンC)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えばメトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン類、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドラナール剤(anti-adranals)、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラムブシル;ビスアントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デモコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド類(maytansinoids)、例えばメイタンシンおよびアンサミトシン類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミタブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);シクロフォスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)およびドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル;:ゲムシタビン (Gemzar(商標));6-オグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えばシスプラチン、カルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン (Navelbine(商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ(xeloda);イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド類、例えばレチノイン酸;カペシタビン;および上記のいずれかの製薬上許容される塩、酸、または誘導体。さらに、この定義には以下のものも含まれる:腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばタモキシフェン(Nolvadex(商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LYl17018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston(商標));副腎でのエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(Megace(商標))、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドラゾール、ボロゾール(Rivisor(商標))、レトロゾール(Femara(商標))、およびアナストラゾール(Arimidex(商標));ならびに抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン;および上記のいずれかの製薬上許容される塩、酸、または誘導体。
【0062】
本明細書中で用いる「プロドラッグ」とは、親ドラッグと比べて腫瘍細胞に対する細胞傷害性が低く、酵素により活性化され得るか、またはより活性な形態に変換され得る、薬理活性物質の前駆体または誘導体を意味する。例えば、Wilman, 1986, "Prodrugs in Cancer Chemotherapy", Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast および Stellaら, 1985, "Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery", Directed Drug Delivery, Borchardtら(編), pp. 247-267, Humana Pressを参照のこと。有用なプロドラッグとしては、限定するものではないが、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、および場合により置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒性の遊離薬物に変換できる5-フルオロシトシンおよび他の5-フルオロウリジンプロドラッグが挙げられる。プロドラッグの形態に誘導体化できる細胞毒性薬物の例には、上記の化学療法剤があるが、これらに限らない。
【0063】
「標識」とは、抗体と直接または間接的に結合される検出可能な化合物または組成物を意味する。標識は、それ自体が検出可能であってもよいし(例えば、放射性同位体または蛍光標識)、酵素標識の場合のように、検出し得る基質化合物または組成物の化学的改変を触媒するものであってもよい。標識されたヒト化抗CD40抗体を調製して、in vitroおよびin vivo診断をはじめとする様々な用途において使用することができる。
【0064】
「リポソーム」は、さまざまなタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性剤から構成された小胞である。リポソームは、本明細書に開示するヒト化抗CD40抗体(場合により、1種以上の製薬上の活性物質と結合されるか、または組み合わされる)のような化合物または製剤を哺乳類に送達するのに有用である。リポソームの成分は、生体膜の脂質配置と同様に、通常は二重層を形成して配置されている。
【0065】
「単離された」核酸分子は、少なくとも1つの汚染核酸分子(抗体核酸の天然源において抗体が通常結合している分子)から分離されて、同定された核酸分子である。単離された核酸分子は、それが天然で見出される形態または背景であることはない。したがって、単離された核酸分子は、それが天然の細胞中に存在するときの該核酸分子から区別される。しかし、単離された核酸分子には、抗体を通常発現する細胞中に含まれる核酸分子が含まれ、その場合、例えば、該核酸分子は天然の細胞の染色体位置とは異なる位置に存在する。
【0066】
「制御配列」とは、機能的に連結されたコード配列の特定の宿主生物内での発現に必要とされるポリヌクレオチド配列を意味する。原核細胞で使用するのに適した制御配列としては、例えば、プロモーター、オペレーター、およびリボソーム結合部位の配列が挙げられる。真核細胞用の制御配列には、限定するものではないが、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーが含まれる。これらの制御配列は、原核および真核宿主細胞でのヒト化抗CD40抗体の発現および生産に利用することができる。
【0067】
ある核酸配列が他の核酸配列と機能的な関係になるよう配置される場合、その核酸は「機能的に連結されている」という。例えば、ポリペプチドをコードする核酸が該ポリペプチドの分泌に関与する前駆体タンパク質として発現される場合、核酸プレ配列または分泌リーダーはポリペプチドをコードする核酸と機能的に連結されている。プロモーターまたはエンハンサーがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、そのプロモーターまたはエンハンサーはコード配列と機能的に連結されている。また、リボソーム結合部位が翻訳を促進するように位置づけられる場合、そのリボソーム結合部位はコード配列と機能的に連結されている。一般に、「機能的に連結される」とは、連結されるDNA配列が連続しており、分泌リーダーの場合には、連続していて、なおかつ同じ読み枠に存在することを意味する。しかし、エンハンサーは任意で連続的でありうる。連結は都合のよい制限酵素部位でのライゲーションにより行うことができる。そうした部位が存在しないときは、合成のオリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを用いることができる。
【0068】
本明細書中で用いる「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」という表現は互換的に用いられ、かかる表現の全てにその子孫が含まれる。かくして、「形質転換体」および「形質転換細胞」には、対象の一次細胞と、それに由来する培養物(継代の数を問わない)が含まれる。また、計画的な突然変異もしくは自然界で起こる突然変異のためにDNAの内容が全ての子孫において正確に同一でなくてもよいことが理解されよう。もとの形質転換細胞においてスクリーニングされた機能または生物学的活性と同じ機能または活性を有する突然変異子孫も含まれる。異なった呼称を意図する場合、それは前後関係から明らかだろう。
【0069】
治療目的のための「哺乳類」とは、哺乳類として分類される動物を意味し、ヒト、家畜、愛玩動物を含み、例えばイヌ、ウマ、ウシ、ネコなどである。好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0070】
本明細書中で用いる「障害」および「疾患」とは、本明細書に記載のヒト化抗CD40抗体を用いた治療から恩恵を得ると思われる状態である。これには、問題の障害になりやすくする病的状態を含めて、慢性および急性の障害または疾患が含まれる。治療すべき障害の非限定的例としては、癌、造血器悪性疾患、良性および悪性腫瘍、白血病およびリンパ性悪性腫瘍、ならびに炎症、血管新生障害および免疫障害が含まれる。
【0071】
「癌」および「癌性」とは、一般に無制御の細胞増殖を特徴とする哺乳類の病的状態を意味するか、またはそのような状態をいう。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病があるが、これらに限らない。
【0072】
本明細書中で用いる「CD40関連障害」または「CD40関連疾患」とは、CD40を発現する細胞の改変または除去が必要とされる状態を意味する。これらには、異常増殖を示すCD40発現細胞、または癌性つまり悪性の増殖を伴うCD40発現細胞が含まれる。CD40抗原の異常な発現を示す癌の特定例として、Bリンパ芽球様細胞、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、T細胞リンパ腫、カポジ肉腫、骨肉腫、上皮および内皮腫瘍、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、大腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(メラノーマ)、膀胱癌、および腎臓癌が挙げられる。そのような障害には、限定するものではないが、白血病、リンパ腫(B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫を含む)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;固形腫瘍、例えば肉腫(骨肉腫、ユーイング肉腫など)、悪性メラノーマ、腺癌(卵巣腺癌など)、カポジ肉腫/カポジ腫瘍、および扁平上皮癌が含まれる。
【0073】
CD40関連障害はまた、自己免疫疾患や炎症性疾患のような免疫系の疾患および障害を含む。そのような病状としては、限定するものではないが、慢性関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病)、肺炎症、喘息、および特発性血小板減少性紫斑病(ITP)がある。
【0074】
本明細書中で用いる「の増殖を止める」または「増殖抑制性の」とは、細胞、特にCD40抗原を発現する腫瘍性細胞型、の生育または増殖を阻止することを意味する。こうして、増殖抑制または増殖阻害は、例えば、S期の腫瘍性細胞のパーセントを顕著に低下させる。
【0075】
「静脈内注入」とは、動物またはヒト患者の静脈に薬剤を約15分より長い時間(一般には、約30〜90分)にわたって導入することを意味する。
【0076】
「静脈内ボーラス」または「静脈内プッシュ」とは、生体が薬物を約15分以下(一般には、5分以下)で受け取るような、動物またはヒトの静脈への薬物投与を意味する。
【0077】
「皮下投与」とは、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚と下層組織の間のポケット内に、薬物容器から比較的遅い持続送達により薬剤を導入することを意味する。皮膚をつまみ上げるか、または下層組織から皮膚を引き離すことによりポケットを作成することができる。
【0078】
「皮下注入」とは、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚と下層組織の間のポケット内に、薬物容器から比較的遅い持続送達により、ある時間(例えば、30分以下、または90分以下)にわたり薬剤を導入することを意味する。場合により、皮下注入は動物またはヒト患者の皮膚の下に埋め込まれる薬物送達ポンプの皮下移植により行うことができ、該ポンプは予め決められた量の薬物を所定の期間(例えば、30分間、90分間、または治療計画の長さにわたる期間)にわたり送達するものである。
【0079】
「皮下ボーラス」とは、動物またはヒト患者の皮膚の下に薬物を投与することを意味し、その場合、薬物のボーラス送達はおよそ15分未満であり、別の態様では5分未満、さらに別の態様では60秒未満である。また、別の態様では、皮膚と下層組織の間のポケット内に投与され、ポケットは皮膚をつまみ上げるか、または下層組織から皮膚を引き離すことにより作成することができる。
【0080】
「治療に有効な量」という用語は、患者に有益な結果(例えば、増殖停止作用、または細胞の消去)をもたらす活性薬剤の量をさすために用いられる。ある態様において、治療に有効な量はアポトーシス活性を有するか、または細胞死を誘導することができる。別の態様では、治療に有効な量は、例えば疾患の進行を遅らせる、のに有効であることが分かっている標的血清濃度を意味する。効力は治療すべき症状に応じて慣用方法で測定することができる。例えば、CD40を発現する細胞により特徴づけられる腫瘍性疾患または障害では、増悪までの期間(TTP)を評価するか、または応答率(RR)を決定することにより、効力を測定することができる。
【0081】
本明細書中で用いる「治療」および同様の用語は、臨床上望ましいまたは有益な効果へと導く疾患または障害の治療的ならびに予防的、または抑制的措置(例えば、1以上の症状の軽減もしくは緩和、疾患または障害の進行の後退、遅延、もしくは停止)を含めるものとする。かくして、例えば、治療という用語は、疾患または障害の症状が発生する前または後に薬剤を投与して、それにより該疾患または障害の1以上の徴候を予防または排除することを含む。もう一つの例として、この用語は、疾患が臨床上発現した後に薬剤を投与して該疾患の症状と戦うことを含む。さらに、発症後および臨床徴候後の薬剤の投与が生じるが、この場合の投与は、治療が疾患の改善をもたらすか否かに関わりなく、疾患または障害の臨床パラメーター(例えば、組織損傷の程度、または転移の量もしくは程度)に影響を及ぼし、本明細書中で用いる「治療」を構成する。
【0082】
「パッケージ内挿入物」という用語は、治療製品の商用パッケージ内に通常含まれる使用説明書をさすために用いられ、かかる説明書には適応症、使用法、投与、禁忌および/または治療製品の使用に関する警告についての情報が含まれている。
【0083】
略語「AFP」は、ジメチルバリン-バリン-ドライソロイシン-ドラプロリン-フェニルアラニン-p-フェニレンジアミンをさす。
【0084】
略語「MMAE」は、モノメチルアウリスタチンEをさす。
【0085】
略語「AEB」は、アウリスタチンEをp-アセチル安息香酸と反応させることにより得られるエステルをさす。
【0086】
略語「AEVB」は、アウリスタチンEをベンゾイル吉草酸と反応させることにより得られるエステルをさす。
【0087】
略語「MMAF」は、ドバリン-バリン-ドライソロイシン-ドラプロリン-フェニルアラニンをさす。
【0088】
抗体
本明細書では、ヒト化抗CD40抗体、ならびにヒト化抗CD40抗体を含む組成物および製品を記載し開示する。また、ヒト化抗CD40抗体の抗原結合フラグメントを含む結合物質を記載する。ヒト化抗CD40抗体および結合物質は、細胞の増殖を停止させ、CD40発現細胞の消去を起こし、あるいはまた、標的細胞に対して細胞毒性作用もしくは細胞増殖抑制作用を引き起こすことができる。ヒト化抗CD40抗体および結合物質は、CD40表面抗原を発現する細胞の増殖を特徴とする、さまざまな疾患または障害の治療に使用することができる。
【0089】
ヒト化抗CD40抗体およびCD40結合物質それぞれには、少なくともCD40エピトープを特異的に認識する一部分(すなわち、抗原結合フラグメント)が含まれる。ある実施形態において、ヒト化抗CD40抗体およびCD40結合物質には、抗体S2C6との結合について競合する抗原結合フラグメントが含まれる。
【0090】
ある実施形態において、抗原結合フラグメントは、例えば、細胞増殖を阻止または停止することができ、あるいは、例えばCD40表面抗原との結合を介して、細胞の消去または死を引き起こすことができる。例えば、TおよびB細胞の悪性疾患において、抗腫瘍作用(例えば、細胞の消去またはアポトーシスを伴うまたは伴わない増殖停止)が生じるのは、悪性細胞が正常なリンパ球の活性化をもたらす刺激にさらされるときであることが多い。この活性化誘導増殖停止は抗原受容体または共刺激受容体のいずれかを介したシグナルにより観察されている (例えば、Ashwellら, 1987, Science 237:61; Bridgesら, 1987, J. Immunol. 139:4242; Page and Defranco, 1988, J. Immunol. 140:3717; およびBeckwithら, 1990, J. Natl. Cancer Inst. 82:501を参照のこと)。抗体または可溶性リガンドによる特異的結合の結果としてのCD40刺激は、B細胞リンパ腫増殖を阻止する (例えば、Funakoshiら, 1994, Blood 83:2787-2794を参照のこと)。このようにして悪性細胞の増殖を阻止する物質およびCD40表面抗原に対して誘導された物質は適切な薬剤の例である。
【0091】
CD40特異的物質には、CD40(例えば、ヒトCD40またはその変異体)と結合するヒト化抗CD40抗体の抗原結合フラグメントが含まれる。CD40特異的物質および抗体は、場合により、細胞毒性剤もしくは化学療法剤と結合させたり、融合させたりすることができる。ヒト化抗体がCD40表面抗原と結合して、CD40発現細胞型の枯渇を引き起こす態様では、結合は一般的に、in vivoでのCD40表面抗原細胞へのホーミング(homing)により特徴づけられる。適当な結合物質はCD40抗原と十分な親和性および/または結合力で結合し、その結果、CD40特異的物質は該抗原を発現する細胞を特異的に標的とすることによって治療薬として有用になる。
【0092】
ある態様において、前記物質はマウスモノクローナル抗体S2C6のCDRを含むヒト化抗体である。(S2C6抗体は、例えば、Paulieら, 1984, Cancer Immunol. Immunother. 17:165-179に記載される。)S2C6抗体は、一次B細胞増殖を用量依存的に刺激する抗体の能力により実証されるような、ヒト末梢B細胞に対するアゴニスト活性(例えば、Paulieら, 1989, J. Immunol. 142:590-595参照)、ならびにin vivoでの抗腫瘍活性(例えば、米国特許第6,838,261号参照)を奏することが示されている。
【0093】
ある態様において、ヒト化抗体はCD40へのCD40リガンドの結合を少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも75%増加させる。CD40へのCD40リガンドの結合の増加を測定する方法は米国特許第6,838,261号(その開示内容を参照として本明細書に組み入れる)に開示されている。
【0094】
ある実施形態において、ヒト化抗CD40抗体(重鎖および軽鎖可変ドメインのような、その抗原結合フラグメントを含む)は、S2C6マウス抗体(例えば、米国特許第6,838,261号参照)のCDRまたはHVL由来のアミノ酸残基の配列と、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域由来のアミノ酸残基の配列を含んでなる。ある態様では、ヒトフレームワーク領域のアミノ酸が、米国特許第6,037,454号に記載されるような、重鎖サブグループIII可変ドメインとκ軽鎖可変ドメインのヒトコンセンサス配列に由来する。ヒト化抗CD40抗体はコンセンサスフレームワーク領域に特定のアミノ酸置換を含んでいてもよい。
【0095】
これらのフレームワーク位置におけるアミノ酸残基の特定の置換は、ヒトコンセンサスフレームワーク領域へのCDRまたはHVLの「直接交換」(direct swap)により形成されたヒト化抗体が示す性能と比べて、結合親和性および/または安定性を含む抗体性能のさまざまな面を改善することができるが、これについては以下の実施例で示す。
【0096】
ある実施形態において、本明細書に開示するヒト化抗CD40抗体は、少なくとも、マウスモノクローナル抗体S2C6のCDRまたはHVLを含む重鎖または軽鎖可変ドメインと、表5に記載の特定の置換を有するヒトコンセンサス重鎖および軽鎖可変ドメインのFRを含んでなる。置換を有する可変重鎖アミノ酸配列および置換を有する可変軽鎖アミノ酸配列のアライメントをそれぞれ表3および4に示す。これらの配列には、配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインおよび配列番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインが含まれる。
【0097】
特定の実施形態において、ヒト化抗CD40抗体は抗体フラグメントである。抗体フラグメントを作製するための各種技法が開発されている。フラグメントはインタクトな抗体のタンパク質分解消化により得ることができる(例えば、Morimotoら, 1992, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117; およびBrennanら, 1985, Science 229:81を参照のこと)。あるいはまた、フラグメントは組換え宿主細胞内で直接産生させることができる。例えば、Fab'-SHフラグメントを大腸菌から直接回収し、化学的に結合させてF(ab')2フラグメントを形成することができる(例えば、Carterら, 1992, Bio/Technology 10:163-167を参照のこと)。別の方法によれば、F(ab')2フラグメントを組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体フラグメントを作製するための他の技法は当業者には明白だろう。
【0098】
特定の実施形態は、それぞれ配列番号3および配列番号14;それぞれ配列番号4および配列番号14;それぞれ配列番号5および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号14;それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号8および配列番号14;それぞれ配列番号9および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号15;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有するヒト化抗CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。かかる実施形態はこのようなF(ab')2を含むインタクトな抗体を包含しうる。
【0099】
他の実施形態は、それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有するヒト化抗CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。
【0100】
さらに他の実施形態は、それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有するヒト化抗CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。
【0101】
ある実施形態は、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと配列番号16のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。
【0102】
ある実施形態において、抗体または抗体フラグメントはエフェクター機能を媒介する定常領域を含む。この定常領域は、CD40を発現する標的細胞に対する抗体依存性細胞性細胞傷害作用(ADCC)、抗体依存性細胞性ファゴサイトーシス(ADCP)、および/または補体依存性細胞傷害作用(CDC)応答を与えることができる。エフェクタードメインは、例えばIg分子のFc領域でありうる。典型的には、CD40結合物質は細胞傷害性の白血球細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、食細胞(例:マクロファージ)、および/または血清補体成分)を動員し、かつ/または活性化する。
【0103】
抗体のエフェクタードメインは、どのような適当な脊椎動物種およびアイソタイプに由来するものであってもよい。異なる動物種由来のアイソタイプはエフェクター機能を媒介する能力の点で相違する。例えば、CDCおよびADCC/ADCPを媒介するヒト免疫グロブリンの能力は一般に、それぞれ

および

の順である。マウス免疫グロブリンは一般にCDCおよびADCC/ADCPを、それぞれ

および

の順で媒介する。別の例として、マウスIgG2aはADCCを媒介するが、マウスIgG2aとIgMの両方はCDCを媒介する。
【0104】
抗体の改変・修飾
ヒト化抗CD40抗体および結合物質は、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの改変体を含み得る。例えば、癌治療における抗体の有効性を増大させるために、エフェクター機能に関して抗体を改変することが望ましい場合がある。こうした改変の1つはFc領域へのシステイン残基の導入であり、それによってこの領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能とする。こうして生成するホモダイマー抗体は、内在化能(internalization capability)の改善および/または補体介在型細胞殺傷および/もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の増大を有し得る。例えばCaronら、1992、J. Exp. Med. 176:1191-1195;およびShopes、1992、J. Immunol. 148:2918-2922を参照のこと。抗腫瘍活性の増大したホモダイマー抗体はまた、Wolffら、1993、Cancer Research 53: 2560-2565に記載されたようなヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製することもできる。あるいはまた、抗体を2つのFc領域を有するように設計して、抗体の補体溶解能およびADCC能を増大させることもできる。Stevensonら、1989、Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230を参照のこと。
【0105】
ADCCを支援する能力が改善した抗体は、そのFc領域のグリコシル化パターンを改変することによって作成されている。これが可能なのは、CH2ドメイン内のアスパラギン残基N297における抗体グリコシル化が、ADCCに不可欠のIgGとFcγ受容体との相互作用に関与しているためである。宿主細胞系を、バイセクティング(bisecting)N-アセチルグルコサミンの増加またはフコースの減少等、グリコシル化が改変された抗体を発現するように操作した。フコースの減少によって、バイセクティングN-アセチルグルコサミンの増加によるよりも、ADCC活性のより大きな増大が得られる。更に、フコースの少ない抗体によるADCCの増大は、FcγRIIIa V/F多型には依存していない。
【0106】
抗体のFc領域のアミノ酸配列の改変は、ADCC増大のためのグリコシル化操作の代替法である。ヒトIgG1上のFcγ受容体に対する結合部位は、広範な変異分析によって決定されている。この研究から、FcγRIIIaに対する結合親和性が増し、in vitroにおけるADCCが増大するFc変異を有するヒト化IgG1抗体の作成につながった。更に、多くの異なる組み合わせの結合特性を有する、例えば特定のFcγR受容体に対する結合が改善し、他のFcγR受容体に対する結合は変わらないか低下している、Fc変異体が得られている。
【0107】
いくつかの実施形態において、Fc領域は米国特許出願公開第2006-0003412号および第2006-0008883号(これらの開示内容を参照として本明細書に組み入れる)に記載のようにして改変することができる。
【0108】
別の態様には、化学療法剤、毒素(例えば細菌、真菌、植物もしくは動物由来の酵素的に活性のある毒素、またはその断片)、または放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)等の細胞毒性剤と結合したヒト化抗体またはそのフラグメントを含む免疫コンジュゲートが含まれる。
【0109】
こうした免疫コンジュゲートの作成に有用な化学療法剤については先に記載した。有用な免疫コンジュゲートを形成するために用い得る酵素的に活性な毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、α-サーシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ツルレイシ(Momordica charantia)阻害剤、カーシン、クロチン、サポナリア(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセネス(tricothecenes)等が挙げられる。放射性コンジュゲート化したヒト化抗CD40抗体の作成のために、種々の放射性核種が利用できる。例として、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。
【0110】
ヒト化抗CD40抗体と細胞毒性剤もしくは化学療法剤とのコンジュゲートは、公知の方法により、以下の種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて製造することができる。例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCL)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)。例えば、Vitettaら、1987、Science 238:1098に記載のようにしてリシン免疫毒素を調製できる。C14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体に放射性核種を結合させるためのキレート剤の例である。例えば、国際特許出願公開WO94/11026号を参照のこと。コンジュゲートはまた、切断可能なリンカー、例えば公開されたEP特許出願第0 624 377号(その開示内容を参照として本明細書に組み入れる)に開示されたものを使用して形成することもできる。
【0111】
別の実施形態において、抗体は腫瘍のプレターゲッティングに利用するために「受容体」(例えばストレプトアビジン)に結合させることができる。この手法においては、抗体−受容体のコンジュゲートを患者に投与し、続いて清浄剤(clearing agent)を用いて未結合のコンジュゲートを循環中から除去し、次いで受容体に選択的に結合する「リガンド」(例えばアビジン)(細胞毒性剤(放射性核種等)に結合している)を投与する。
【0112】
本明細書に開示するヒト化抗CD40抗体はまた、免疫リポソームとして製剤化することもできる。抗体を含有するリポソームは、当分野において公知の方法、例えばEpsteinら、1985、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688;Hwangら、1980、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030;ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載された方法によって調製する。循環時間を延長させたリポソームは、例えば米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0113】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いて、逆相蒸発法により作成できる。リポソームを規定の孔サイズのフィルターを通して押し出し、所望の直径を有するリポソームを得る。本明細書に開示された抗体のFab'フラグメントは、ジスルフィド交換反応を介して、Martinら、1982、J. Biol. Chem. 257:286-288に記載のようにしてリポソームに結合させることができる。リポソーム内には、場合によって化学療法剤(例えばドキソルビシン)が含まれる。例えばGabizonら、1989、J. National Cancer Inst. 81(19):1484を参照のこと。
【0114】
本明細書に記載かつ開示された抗体はまた、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤)を活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に抗体を結合することによって、ADEPT法(抗体指向性酵素プロドラッグ療法)に用いることもできる。例えば、WO 81/01145号、WO 88/07378号、および米国特許第4,975,278号を参照のこと。ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分は、プロドラッグに対し、これをより活性の高い、細胞毒性を有する形態に変換するように作用できる酵素である。ADEPTにおいて有用な具体的な酵素として、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:リン酸エステル含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するアルカリホスファターゼ;硫酸エステル含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するアリールスルファターゼ;無毒性の5-フルオロシトシンを抗癌剤の5-フルオロウラシルに変換するシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するプロテアーゼ(例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、およびカテプシン(カテプシンBおよびL等));D-アミノ酸置換体を含有するプロドラッグを変換するD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離の薬物に変換する、β-ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ等の炭水化物分解酵素;β-ラクタムで誘導体化された薬物を遊離の薬物に変換するβ-ラクタマーゼ;および、アミン窒素においてフェノキシアセチル基もしくはフェニルアセチル基でそれぞれ誘導体化された薬物を遊離の薬物に変換する、ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼ等のペニシリンアミダーゼ。あるいはまた、酵素活性を有する抗体(「アブザイム」(abzymes))を使用してプロドラッグを遊離の活性薬物に変換することができる(例えば、Massey、1987、Nature 328:457-458を参照のこと)。抗体−アブザイムコンジュゲートは、アブザイムを腫瘍細胞集団に送達するための公知の方法により、例えば、前述したヒト化抗CD40抗体/ヘテロ二官能性架橋試薬に酵素を共有結合することによって、調製することができる。あるいはまた、本明細書に開示する抗体の少なくとも抗原結合領域を、少なくとも上記の酵素の機能的に活性な部分に結合させて含む融合タンパク質を、組換えDNA技術(例えばNeubergerら、1984, Nature 312:604-608を参照のこと)を用いて構築することができる。
【0115】
実施形態によっては、例えば腫瘍内への侵入を高めるために、インタクトな抗体よりも、むしろヒト化抗CD40抗体のフラグメントを用いることが好ましい場合がある。血清中での半減期を長くするために抗体フラグメントを改変することが好ましい場合がある。これは、例えば抗体フラグメント中にサルベージ受容体結合エピトープを組み込むことで達成し得る。1つの方法として、抗体フラグメントの適切な領域を変える(例えば突然変異させる)ことができ、あるいは、エピトープをペプチドタグ中に組み込み、次いで、例えばDNA合成もしくはペプチド合成によって、これを抗体フラグメントのいずれかの端部または中央部に融合させることができる。例えばWO 96/32478号を参照のこと。
【0116】
別の実施形態において、ヒト化抗CD40抗体の共有結合性修飾も含まれる。これは、適切な場合には、化学合成または抗体の酵素的もしくは化学的切断によってなし得る。抗体の共有結合性修飾の別のタイプは、抗体の標的となるアミノ酸残基を、選択された側鎖またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端残基と反応できる有機誘導体化剤と反応させることによって、分子中に導入することができる。
【0117】
共有結合性修飾には、システイニル基、ヒスチジル基、リシニル基とアミノ末端基、アルギニル基、チロシル基、カルボキシル側基(アスパルチルもしくはグルタミル)、グルタミニルおよびアスパラギニル基、もしくはセリル、またはトレオニル基の修飾が挙げられる。共有結合性修飾の別のタイプには、抗体へのグリコシドの化学的または酵素的カップリングが含まれる。
【0118】
抗体上に存在する糖鎖部分の除去は化学的または酵素的に行うことができる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら、1987、Arch. Biochem. Biophys. 259:52およびEdgeら、1981、Anal. Biochem., 118:131に記載されている。抗体上の糖鎖部分の酵素的切断は、Thotakuraら、1987、Meth. Enzymol. 138:350に記載のような種々のエンド−およびエキソ−グリコシダーゼの使用によって達成することができる。
【0119】
有用な共有結合性修飾の別のタイプには、米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号および米国特許第4,179,337号の1以上に示された方法で、種々の非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン類の1種に抗体を結合させることが含まれる。
【0120】
ヒト化およびアミノ酸配列変異体
以下の実施例1には、抗CD40抗体のヒト化のための方法が記載され、実施例2には変異体について記載されている。特定の実施形態において、特にヒト化抗体の結合親和性もしくは他の生物学的性質を改善する場合に、これらのヒト化抗体のアミノ酸配列変異体を作成することが望ましい。
【0121】
抗CD40抗体のアミノ酸配列変異体は、抗CD40抗体DNA中に適切なヌクレオチド変化を導入することによって、あるいはペプチド合成によって調製することができる。こうした変異体には、例えば、本明細書の実施例の抗CD40抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/または挿入および/または置換が挙げられる。最終構築物が所望の性状を有するという条件で、最終構築物に到るために欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせがなされる。アミノ酸変化によって、例えばグリコシル化部位の数または位置の変更等、ヒト化または変異型抗CD40抗体の翻訳後プロセスが変わりうる。
【0122】
突然変異誘発のために好ましい部位となる抗CD40抗体中の特定の残基または領域を同定する有用な方法は、CunninghamおよびWells(Science, 244:1081-1085(1989))に記載される「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここでは、標的残基または残基群が同定され(例えばarg、asp、his、lys、およびglu等の荷電した残基)、アミノ酸とCD40抗原との相互作用に影響を及ぼすために、中性もしくは負に荷電したアミノ酸(典型的にはアラニン)で置換される。次いで置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸位置を、置換の部位に(または該部位に対して)更なる変異もしくは他の変異を導入することによってリファインする。こうして、アミノ酸配列変化の導入のための部位を予め決定するが、変異自体の性質を予め決定する必要はない。例えば、所定の部位での変異の効果を分析するために、標的のコドンもしくは領域においてアラニンスキャニングまたはランダム突然変異誘発を実施し、発現した抗CD40抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
【0123】
アミノ酸配列の挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの範囲の長さのものをアミノ末端および/またはカルボキシル末端で融合させるもの、並びに単一もしくは複数のアミノ酸残基を配列内に挿入するものが挙げられる。末端での挿入の例には、エピトープタグに融合させた抗CD40抗体が挙げられる。抗CD40抗体分子の他の挿入変異体には、抗体の血清半減期を延長する酵素もしくはポリペプチドの、抗CD40抗体のN-またはC-末端への融合体が挙げられる。
【0124】
変異体の別のタイプはアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗CD40抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その位置に異なる残基が挿入されたものである。置換型突然変異誘発のために最も興味深い部位として超可変領域が挙げられるが、FR変更も考えられる。保存的置換は表1の「好適な置換」の見出しに示す。このような置換の結果、生物学的活性に変化が生じる場合には、「置換の例」と称する、あるいは、アミノ酸のクラスに関して以下に更に記載するような、より大きな変化を導入し、生成物をスクリーニングすることができる。
【表1】

【0125】
抗体の生物学的性質の実質的な改変は、(a)置換域のポリペプチド骨格の構造、例えばシートもしくはヘリックスコンフォメーション、(b)標的部位での該分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩高さ、の維持に対する効果が顕著に異なる置換を選択することによって達成することができる。天然に存在する残基は、側鎖の共通の性質に基づいて以下のグループに分けられる:
・(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
・(2)中性・親水性:cys、ser、thr;
・(3)酸性:asp、glu;
・(4)塩基性:asn、gin、his、lys、arg;
・(5)鎖の配向性に影響する残基:gly、pro;および
・(6)芳香族:trp、tyr、phe
【0126】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを伴う。
【0127】
ヒト化もしくは変異型抗CD40抗体の適切なコンフォメーションの維持に関与しないシステイン残基は、一般にはセリンで、置換することによって、該分子の酸化安定性を改善したり、異常な架橋を防止したり、あるいは細胞毒性もしくは細胞増殖抑制性化合物とのコンジュゲーションのための確立された部位を提供したりすることもできる。反対に、(特に抗体がFvフラグメントのような抗体フラグメントである場合、)抗体にシステイン結合を追加してその安定性を向上させることができる。
【0128】
置換変異体の一タイプには、親抗体(例えばヒト化もしくはヒト抗体)の超可変領域の1以上の残基の置換が含まれる。一般に、更なる開発のために選択される、得られた変異体では、親抗体と比較して生物学的性質が改善されているであろう。このような置換変異体を作成する便利な方法は、ファージディスプレイを用いた親和性成熟(affinity maturation)である。簡単に説明すると、いくつかの超可変領域の部位(例えば6〜7箇所)を変異させて、各部位で可能な全てのアミノ酸置換体を作成する。こうして作成された抗体変異体は、各線状ファージ粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物への融合体としてファージ粒子から1つずつディスプレイされる。次いでファージディスプレイされた変異体を生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングする。超可変領域の改変のための候補部位を同定するために、アラニンスキャニング突然変異誘発を実施して、抗原の結合に有意に寄与する超可変領域の残基を同定することができる。あるいは、またはそれに加えて、抗原抗体複合体の結晶構造を分析して抗体とヒトCD40との接触点を同定することが有益であり得る。このような接触残基およびその近傍の残基は、本明細書で詳述する技術に従って置換するための候補である。こうした変異体が一度作成されると、本明細書に記載のように変異体のパネルをスクリーニングにかけ、1以上の関連アッセイで優れた性質を示す抗体を更なる開発のために選択することができる。
【0129】
抗体のアミノ酸変異体の別のタイプは、抗体の本来のグリコシル化パターンを変更するものである。「変更」とは、抗体中に見られる1以上の糖鎖部分の欠失、および/または抗体中に存在しない1以上のグリコシル化部位の追加を意味する。
【0130】
抗体のグリコシル化は、典型的にはN-結合またはO-結合である。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への糖鎖部分の結合を言う。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位ができる。O-結合型グリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸(最も一般的にはセリンまたはトレオニン)への糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、もしくはキシロースの1種の結合を言うが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンを利用することもできる。
【0131】
抗体へのグリコシル化部位の追加は、(N-結合型グリコシル化部位のための)上記のトリペプチド配列を1以上含むようにアミノ酸配列を変更することによって都合よく達成できる。また、本来の抗体の配列への1以上のセリンまたはトレオニン残基の付加もしくは置換によっても(O-結合型グリコシル化部位のための)変更が可能である。
【0132】
抗CD40抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当分野で公知の種々の方法によって調製される。これらの方法としては、限定するものではないが、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)またはオリゴヌクレオチド介在型(もしくは部位特異的)突然変異誘発による調製、PCR突然変異誘発、および抗CD40抗体の先に調製した変異体もしくは非変異型抗体のカセット突然変異誘発が挙げられる。
【0133】
ヒト抗体
ヒト化の別法として、ヒト抗体を作成することができる。例えば、免疫後に、内在性免疫グロブリンの産生なしにヒト抗体の全レパートリーを産生できるトランスジェニック動物(例えばマウス)を利用することができる。例えば、キメラマウスおよび生殖系列変異型マウスにおいて抗体の重鎖接合領域(JH)の遺伝子をホモ接合性欠失させると、内在性抗体の産生が完全に阻害されることが記載されている。このような生殖系列変異型マウスにヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイを導入すると、抗原チャレンジによってヒト抗体が産生されるであろう。例えば、Jakobovitsら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2551;Jakobovitsら、1993、Nature 362:255-258;Bruggermannら、1993、Year in Immuno. 7:33;および米国特許第5,591,669号;第5,589,369号;第5,545,807号;第6,075,181号;第6,150,584号;第6,657,103号;および第6,713,610号を参照のこと。
【0134】
あるいはまた、ファージディスプレイ技術(例えばMcCaffertyら、1990、Nature 348:552-553)を利用して、免疫されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子のレパートリーから、in vitroでヒト抗体および抗体フラグメントを製造することができる。この技術に従えば、抗体Vドメイン遺伝子を、M13もしくはfdのような繊維状バクテリオファージのメジャーもしくはマイナーなコートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面上に機能的抗体フラグメントとしてディスプレイさせる。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAのコピーを有するため、抗体の機能的特性に基づく選択によって、この特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択も可能となる。従って、ファージはB細胞の性質のいくつかを模倣する。ファージディスプレイは、種々のやり方で実施できる。それらの概説については、例えばJohnsonおよびChiswell、1993、Current Opinion in Structural Biology 3:564-571を参照のこと。数種のV遺伝子セグメント源をファージディスプレイに用いることができる。Clacksonら、1991、Nature 352:624-628は、免疫したマウスの脾臓由来のV遺伝子の小さなランダム組み合わせライブラリーから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離している。免疫していないヒトドナーに由来するV遺伝子のレパートリーを構築することができ、Marksら、1991、J. Mol. Biol. 222:581-597、またはGriffithら、1993、EMBO J. 12:725-734に記載された技術に本質的に従って、多様な抗原アレイ(自己抗原を含む)に対する抗体を単離することができる。米国特許第5,565,332号および第5,573,905号も参照のこと。上述のように、ヒト抗体をin vitroで活性化したB細胞によって産生させることもできる(米国特許第5,567,610号および第5,229,275号を参照のこと)。
【0135】
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、および組換え法
他の実施形態は、ヒト化抗CD40抗体をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチド、ベクター、および該ポリヌクレオチドを含む宿主細胞、およびヒト化抗体の製造のための組換え技術を包含する。単離されたポリヌクレオチドは、抗CD40抗体の所望のどのような形態をもコードすることができ、かかる形態としては、例えば全長モノクローナル抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFvフラグメント、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0136】
いくつかの実施形態には、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、もしくは配列番号11の重鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体または抗体フラグメントをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態には、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有する抗体または抗体フラグメントをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドが含まれる。
【0137】
一態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、それぞれ以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変領域を有する抗体または抗体フラグメントをコードする。それぞれ配列番号3および配列番号14;それぞれ配列番号4および配列番号14;それぞれ配列番号5および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号14;それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号8および配列番号14;それぞれ配列番号9および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号15;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;それぞれ配列番号11および配列番号16。
【0138】
別の態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、それぞれ以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを有する抗体または抗体フラグメントをコードする。それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;それぞれ配列番号11および配列番号16。
【0139】
更に別の態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、それぞれ以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを有する抗体または抗体フラグメントをコードする。それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号16;それぞれ配列番号11および配列番号16。
【0140】
更に別の態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン、および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する抗体または抗体フラグメントをコードする。
【0141】
ヒト化抗CD40抗体またはそのフラグメントもしくは鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドは、当分野において公知の1以上の制御もしくは調節配列に融合することができ、また当分野において公知の適切な発現ベクターもしくは宿主細胞中に含ませることができる。重鎖または軽鎖の可変ドメインをコードする各ポリヌクレオチド分子は、ヒトの定常ドメイン等の定常ドメインをコードするポリヌクレオチド配列に独立して融合させ、インタクトな抗体の産生を可能にすることができる。あるいはまた、ポリヌクレオチドまたはその一部を一緒に融合させて、一本鎖抗体製造用の鋳型を得ることができる。
【0142】
組換えによる製造のためには、抗体をコードするポリヌクレオチドを、クローニング(DNAの増幅)または発現のための複製可能なベクター中に挿入する。組換え抗体の発現のために、多くの適切なベクターが利用可能である。ベクター成分は一般に、限定するものではないが、以下の1種以上を含む:シグナル配列、複製起点、1以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。
【0143】
ヒト化抗CD40抗体はまた、融合ポリペプチドとして製造することもでき、この場合には、抗体を異種ポリペプチド(例えば、シグナル配列、または成熟タンパク質もしくはポリペプチドのアミノ末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチド)と融合させる。選択される異種シグナル配列は、典型的には宿主細胞によって認識され、かつプロセシングされる(すなわちシグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。ヒト化抗CD40抗体のシグナル配列を認識およびプロセシングしない原核宿主細胞については、そのシグナル配列を原核生物のシグナル配列に置き換えることができる。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、リポタンパク質、熱安定性エンテロトキシンIIリーダー等であって良い。酵母による分泌のためには、本来のシグナル配列を、例えば酵母のインベルターゼα因子から得られるリーダー配列(サッカロミセスおよびクルイベロミセス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含む)、酸ホスファターゼ、C.アルビカンスのグルコアミラーゼ、またはWO 90/13646に記載されたシグナルと置き換えることができる。哺乳類の細胞においては、哺乳類のシグナル配列だけでなく、ウイルスの分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルを用いることができる。このような前駆体領域のためのDNAは、ヒト化抗CD40抗体をコードするDNAに読み取り枠を合わせてライゲートする。
【0144】
発現ベクターおよびクローニングベクターは、1以上の選択された宿主細胞中での該ベクターの複製を可能とする核酸配列を含有する。一般に、クローニングベクターにおいてこの配列は、ベクターが宿主の染色体DNAと独立して複製することを可能とするものであり、複製起点または自律複製配列を含む。こうした配列は、種々の細菌、酵母、およびウイルスについて周知である。プラスミドpBR322由来の複製起点は大部分のグラム陰性細菌に適しており、2μプラスミド起点は酵母に適しており、そして種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、およびBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に、複製起点成分は哺乳動物の発現ベクターには必要ではない(SV40起点は典型的に、初期プロモーターを含むという理由のためだけで使用される場合がある)。
【0145】
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含んでいても良い。典型的な選択遺伝子は、以下のようなタンパク質をコードする。(a)抗生物質もしくは他の毒素(例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、またはテトラサイクリン)に対する耐性を付与するタンパク質;(b)栄養要求性欠損(auxotrophic deficiencies)を補完するタンパク質;または(c)複合培地からは入手できない必須栄養素を供給するタンパク質(例えばバシラス(Bacilli)のためのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)。
【0146】
選択スキームの一例では、宿主細胞の増殖を停止させる薬剤を利用する。異種遺伝子での形質転換に成功した細胞は薬剤耐性を付与するタンパク質を産生し、従って選択過程で生き延びる。このような優性選択の例では、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸、およびハイグロマイシンが使用される。
【0147】
哺乳動物細胞に適した選択マーカーの別の例は、ヒト化抗CD40抗体をコードする核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能とするものであり、例えばDHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン-Iおよび-II(霊長類のメタロチオネイン遺伝子等)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等である。
【0148】
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、まず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキセート(Mtx)を含有する培地中で全ての形質転換体を培養することによって同定する。野生型DHFRを用いる場合には、適切な宿主細胞は、DHFR活性が欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系(例えばDG44)である。
【0149】
あるいはまた、抗CD40抗体、野生型DHFRタンパク質、およびアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)等の別の選択マーカーをコードするDNA配列で形質転換もしくは同時形質転換された宿主細胞(特に内在性DHFRを有する野生型宿主)は、アミノグリコシド系抗生物質(例えばカナマイシン、ネオマイシン、またはG418)等の選択マーカーのための選択試薬を含有する培地中での細胞増殖によって選択され得る。例えば米国特許第4,965,199号を参照のこと。
【0150】
酵母において使用するのに好適な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7(Stinchcombら、1979、Nature 282:39)中に存在するTRP1遺伝子である。TRP1遺伝子は、トリプトファン中での成長能を欠く酵母変異株、例えばATCC No.44076またはPEP4-1(Jones、1977、Genetics 85:12)のための選択マーカーを提供する。酵母宿主細胞ゲノム中にtrp1の損傷があると、トリプトファン不存在下での増殖によって形質転換を検出するための有効な環境が得られる。同様に、ATCC 20,622および38,626のようなLeu2p欠損酵母株は、LEU2遺伝子を有する公知のプラスミドによって補完される。
【0151】
更に、1.6μm環状プラスミドpKD1由来のベクターをクルイベロミセス属(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる。あるいはまた、組換え仔ウシキモシンの大規模製造のための発現系がK. lactisについて報告されている(Van den Berg、1990、Bio/Technology 8:135)。クルイベロミセスの工業用株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための安定な多コピー発現ベクターも開示されている(Fleerら、1991、Bio/Technology 9:968-975)。
【0152】
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常宿主生物によって認識され、抗CD40抗体もしくはそのポリペプチド鎖をコードする核酸分子に機能的に連結されたプロモーターを含んでいる。原核生物宿主と共に使用するのに適したプロモーターとしては、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、およびtacプロモーター等のハイブリッドプロモーターが挙げられる。他の公知の細菌プロモーターも好適である。細菌の系で使用するためのプロモーターはまた、ヒト化抗CD40抗体をコードするDNAに機能的に連結されたシャイン−ダルガルノ(S.D.)配列を含むであろう。
【0153】
多くの真核生物プロモーター配列が知られている。実質的に全ての真核生物遺伝子は、転写が開始される部位のおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有している。多くの遺伝子の転写開始位置から70〜80塩基上流に見られる別の配列は、CNCAAT領域である(Nは任意のヌクレオチドである)。ほとんどの真核生物遺伝子の3'末端には、コーディング配列の3'末端にポリA尾部を追加するためのシグナルとなり得るAATAAA配列がある。これらの配列の全てが真核生物発現ベクター中に適切に挿入される。
【0154】
酵母宿主と共に用いるのに適したプロモーター配列の例として、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖系の酵素(例えばエノラーゼ、グリセロアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼ)のプロモーターが挙げられる。
【0155】
誘導性プロモーターは、生育条件によって転写が制御できるという更なる利点を有する。これらには、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関わる誘導型酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、およびマルトースとガラクトースの利用に関する酵素、のための酵母のプロモーター領域が挙げられる。酵母での発現に使用するための適切なベクターおよびプロモーターは、EP 73,657号に更に記載されている。酵母のエンハンサーも酵母のプロモーターと共に有利に用いられる。
【0156】
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからのヒト化抗CD40抗体の転写は、プロモーターがその宿主細胞系と適合するという条件で、例えば、ウイルス(例えばポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2等)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40))のゲノムから得られるプロモーター、異種の哺乳動物プロモーター(例えばアクチンプロモーターもしくは免疫グロブリンプロモーター)、または熱ショックプロモーターによって制御される。
【0157】
SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点をも含むSV40制限断片として都合よく得られる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIII E制限断片として都合よく得られる。ウシパピローマウイルスをベクターとして用いる哺乳動物宿主におけるDNA発現系は米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の改変は米国特許第4,601,978号に記載されている。単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下におけるマウス細胞でのヒトβ-インターフェロンcDNAの発現を開示するReyesら、1982、Nature 297:598-601も参照のこと。あるいはまた、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復配列をプロモーターとして使用することができる。
【0158】
本明細書に開示するヒト化抗CD40抗体をコードするDNAの高等真核生物による転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増大することが多い。現在、哺乳動物遺伝子(例えばグロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)由来の多くのエンハンサー配列が知られている。しかしながら、典型的には真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられる。例として、複製起点の後期側(bp100-270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核細胞プロモーターの活性化のためのエンハンサー因子の記載については、Yaniv、1982、Nature 297:17-18も参照のこと。エンハンサーは、ヒト化抗CD40抗体コーディング配列の5'または3'側の位置でベクターにスプライシングされてもよいが、好ましくはプロモーターの5'側に位置する。
【0159】
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物由来の有核細胞)で使用する発現ベクターはまた、転写の終結およびmRNAの安定化のために必要な配列を含むことができる。このような配列は通常、真核生物またはウイルスのDNAもしくはcDNAの5'側、時には3'側の非翻訳領域から得られる。これらの領域は、抗CD40抗体をコードするmRNAの非翻訳部分中のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である。WO 94/11026およびこれに開示されている発現ベクターを参照のこと。いくつかの実施形態において、ヒト化抗CD40抗体はCHEF系を利用して発現させることができる。(例えば米国特許第5,888,809号(その開示内容を参照として本明細書に組み入れる)を参照のこと。)
本明細書に記載のベクター中のDNAをクローニングまたは発現させるために適切な宿主細胞は、上記の原核生物、酵母、または高等真核生物細胞である。この目的のために適した原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物などの真正細菌、例えば、エシェリキア(大腸菌等)、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(サルモネラ・チフィムリウム(typhimurium)等)、セラチア(セラチア・マーセスカンス(marcescans)等)、およびシゲラ、並びにB. スブチリスおよびB. リチェニフォルミス(licheniformis)(例えば1989年4月12日に公開されたDD 266,710号に開示されたB. リチェニフォルミス41 P)等のバシルス、P. アエルギノーザ等のシュードモナス、およびストレプトミセスが挙げられる。大腸菌クローニング宿主の好ましい一例は、大腸菌294(ATCC 31,446)であるが、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31,537)および大腸菌W3110(ATCC27,325)等の他の株も適切である。これらの例は限定的なものではなく、例示的なものである。
【0160】
原核生物に加えて、糸状菌もしくは酵母等の真核微生物がヒト化抗CD40抗体をコードするベクターのための好適なクローニングまたは発現宿主である。サッカロミセス・セレビシアエまたは一般のパン酵母が、下等真核微生物宿主で最も一般的に用いられる。しかしながら、例えば以下の他の多くの属、種、および株が通常利用され、本発明において有用である:シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);クルイベロミセス宿主(例えばK. ラクティス、K. フラギリス(ATCC 12,424)、K. ブルガリクス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、K. ウィッケラミイ(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、K. ワルチイ(K. waltii)(ATCC 56,500)、K. ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906)、K. サーモトレランス、およびK. マルキアヌス(K. marxianus));ヤロウウィア(yarrowia)(EP 402,226);ピチア・パストリス(Pichia pastors)(EP 183,070);カンジダ;トリコデルマ・レエシア(Trichoderma reesia)(EP 244,234);ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa);シュワニオミセス(Schwanniomyces)(例えばシュワニオミセス・オキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis));および、例えばニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム(Tolypocladium)、およびアスペルギルス宿主(例えばA. ニデュランスおよびA. ニガー)等の糸状菌。
【0161】
グリコシル化されたヒト化抗CD40抗体の発現のために適した宿主細胞は、多細胞生物由来である。無脊椎動物細胞の例として植物および昆虫細胞が挙げられ、例えば以下の宿主由来の多くのバキュロウイルス株および変異体および対応する許容性(permissive)昆虫宿主細胞が挙げられる:スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、アエデス・アエギプティ(Aedes aegypti)(カ)、アエデス・アルボピクツス(Aedes albopictus)(カ)、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)(フルーツハエ)およびボンビクス・モリ(Bombyx mori)(カイコ)。トランスフェクションのための種々のウイルス株(例えばオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL-1変異体およびボンビクス・モリNPVのBm-5株)が公に入手可能であり、このようなウイルスを、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために用いることができる。
【0162】
ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、およびタバコの植物細胞培養物も宿主として利用することができる。
【0163】
別の態様において、ヒト化抗CD40の発現を、脊椎動物細胞で実施する。培養(組織培養)中の脊椎動物細胞の増殖は慣用の手法となっており、その技術は広く利用可能である。有用な哺乳動物宿主細胞系の例は、SV40によって形質転換されたサル腎CV1系(COS-7、ATCC CRL 1651)、ヒト胚性腎細胞系(293または懸濁培養での増殖のためにサブクローニングされた293細胞(Grahamら、1977、J. Gen. Virol. 36:59))、ハムスター新生児腎細胞(BHK, ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR-(CHO、Urlaubら、1980、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216;例えばDG44)、マウスセルトリ(sertoli)細胞(TM4、Mather、1980、Biol. Reprod. 23:243-251)、サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳癌(MMT 060562、ATCC CCL51)、TRI細胞(Mather等、1982、Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68)、MRC5細胞、FS4細胞、およびヒト肝癌系(Hep G2)である。
【0164】
宿主細胞は、ヒト化抗CD40抗体産生のための上記の発現もしくはクローニングベクターで形質転換し、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜改変される慣用の栄養培地中で培養する。
【0165】
本明細書に記載するヒト化抗CD40抗体の産生のために用いられる宿主細胞は、種々の培地中で培養することができる。Ham's F10(Sigma-Aldrich Co., St. Louis, MO)、最小必須培地((MEM)、Sigma-Aldrich Co.)、RPMI-1640(Sigma-Aldrich Co.)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma-Aldrich Co.)等の市販の培地は宿主細胞の培養に適している。更に、Hamら、1979、Meth. Enz. 58:44, Barnesら、1980、Anal. Biochem. 102:255、米国特許第4,767,704号、米国特許第4,657,866号、米国特許第4,927,762号、米国特許第4,560,655号、米国特許第5,122,469号、WO 90/103430号、およびWO 87/00195号の1以上に記載された培地を宿主細胞の培地として使用することができる。これらの培地のいずれにも、必要に応じてホルモンおよび/または他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、もしくは上皮成長因子)、塩類(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸)、緩衝剤(例えばHEPES)、ヌクレオチド類(例えばアデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えばゲンタマイシン)、微量元素(通常最終濃度がマイクロモルの範囲で存在する無機化合物として定義する)、およびグルコースもしくは等価のエネルギー源を添加することができる。当業者に公知の適切な濃度で他の添加物を含んでいてもよい。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前から用いられてきたものであり、当業者には明らかであろう。
【0166】
組換え技術を利用する際には、抗体は細胞内で、ペリプラズム空間で産生されるか、あるいは培地中に直接分泌される。抗体が細胞内で産生される場合、第一段階として細胞を破砕してタンパク質を放出させる。粒子状の破片(宿主細胞または溶解した断片)を、例えば遠心分離または限外ろ過によって除去する。Carterら、1992、Bio/Technology 10:163-167には、大腸菌のペリプラズム空間に分泌された抗体の単離方法が記載されている。簡単に記載すると、酢酸ナトリウム(pH 3.5)、EDTA、およびフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で約30分間かけて細胞ペーストを解凍する。細胞の破片は遠心分離によって除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、一般には、このような発現系の上清を、まず市販のタンパク質濃縮フィルター(例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過ユニット)を用いて濃縮する。上記の段階のいずれかで、PMSF等のプロテアーゼ阻害剤を加えてタンパク分解を阻害し、また抗生物質を加えて外来の汚染物質の増殖を防止することができる。宿主細胞から抗体を単離するために種々の方法を用いることができる。
【0167】
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、およびアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが典型的な精製技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、生物種および抗体中に存在する免疫グロブリンFcドメインのアイソタイプに依存する。プロテインAを用い、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づく抗体を精製することができる(例えばLindmarkら、1983、J. Immunol. Meth. 62:1-13を参照のこと)。マウスの全てのアイソタイプおよびヒトγ3についてはプロテインGが推奨される(例えばGussら、1986 EMBO J. 5:1567-1575を参照のこと)。アフィニティーリガンドが結合するマトリクスはアガロースであることが最も多いが、他のマトリクスも利用可能である。細孔性ガラス(controlled pore glass)またはポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスでは、アガロースで達成できるよりもより速い流速とより短い処理時間が可能である。抗体がCH3ドメインを含む場合、精製にはBakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker, Phillipsburg, N. J.)が有用である。イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー(例えばポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿等のタンパク精製のための他の技術も、回収すべき抗体に応じて利用可能である。
【0168】
予備的精製段階の後、目的の抗体および汚染物を含む混合物を、約2.5〜4.5のpHの溶出緩衝液を用いた低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけることができ、典型的には低塩濃度(例えば約0〜0.25Mの塩)で実施する。
【0169】
ハイブリダイゼーション条件
更に包含されるのは、本明細書で定義する低、中、および高ストリンジェンシー条件下で、配列番号17で示されるヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または配列番号20で示されるヌクレオチド配列もしくはその相補配列の全てまたは一部(例えば可変領域をコードする部分)とハイブリダイズする核酸である。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、典型的には長さが少なくとも15(例えば20、25、30または50)ヌクレオチドである。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、抗CD40ポリペプチド(例えば重鎖もしくは軽鎖の可変領域)をコードする核酸もしくはその相補配列の一部または全ての配列に対して少なくとも80%(例えば少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%)同一である。本明細書に記載した型のハイブリダイズする核酸は、例えばクローニングプローブ、プライマー(例えばPCRプライマー)、もしくは診断用プローブとして使用することができる。
【0170】
限定ではない例として挙げる、低ストリンジェンシー条件を用いた方法は以下の通りである(ShiloおよびWeinberg、1981、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:6789-6792も参照のこと)。一実施形態として、DNAを含むフィルターを、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1% PVP、0.1% Ficoll、1% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAを含有する溶液中で6時間、40℃で前処理する。ハイブリダイゼーションは以下の改変を有する同じ溶液中で実施する:0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100μg/ml サケ精子DNA、10%(wt/vol)硫酸デキストラン、および5〜20×106cpm 32P-標識プローブを用いる。フィルターをハイブリダイゼーション混合液中で18〜20時間40℃でインキュベートし、次いで2×SSC、25mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSを含有する溶液中で1.5時間55℃で洗浄する。洗浄溶液を新しい溶液と交換し、更に1.5時間60℃でインキュベートする。フィルターをドライブロッティングし、オートラジオグラフィーのために露光する。必要であれば、フィルターを65〜68℃で3回目の洗浄をし、フィルムに対して再露光する。別の実施形態において、低ストリンジェンシー条件の例として、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100μg/ml変性サケ精子DNA、および10%(wt/vol)硫酸デキストランを含有する緩衝液中における40℃で18〜20時間のハイブリダイゼーション、2×SSC、25mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSを含む緩衝液中における55℃で1.5時間の洗浄、および2×SSC、25mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSを含む緩衝液中における60℃で1.5時間の洗浄が挙げられる。使用可能な他の低ストリンジェンシー条件は、当分野において周知である(例えば種間(cross-species)ハイブリダイゼーションに使用される条件)。
【0171】
限定ではない例として挙げる、高ストリンジェンシー条件を用いた方法は以下の通りである。DNAを含むフィルターの予備ハイブリダイゼーションは、6×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAを含む緩衝液中で65℃にて8時間ないし一晩実施する。フィルターを、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5〜20×106cpmの32P-標識プローブを含む予備ハイブリダイゼーション混合液中で65℃で48時間ハイブリダイズする。フィルターの洗浄は、2×SSC、0.01% PVP、0.01% Ficoll、および0.01% BSAを含有する溶液中で37℃で1時間行う。これに続き、オートラジオグラフィー前に0.1×SSC中で50℃で45分間洗浄する。使用可能な他の高ストリンジェンシー条件は、当分野において周知である。
【0172】
限定ではない例として挙げる、中程度のストリンジェンシー条件を用いた方法は以下の通りである:DNAを含むフィルターを、6×SSC、5×デンハルト溶液、0.5% SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNAを含有する溶液中で55℃で6時間前処理する。ハイブリダイゼーションは、5〜20×106cpmの32P-標識プローブを含む同じ溶液中で実施する。フィルターをハイブリダイゼーション混合液中で55℃で18〜20時間インキュベートし、次いで1×SSCおよび0.1% SDSを含有する溶液中で2回、60℃で30分間洗浄する。フィルターをドライブロッティングし、オートラジオグラフィーに露光する。フィルターの洗浄は、2×SSC、0.1% SDSを含有する溶液中で37℃で1時間行う。使用可能な他の中程度ストリンジェンシー条件は、当分野において周知である(例えば、Sambrookら、1989、「分子クローニング、実験室マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; Sambrookら、2001; 「分子クローニング、実験室マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」 第3版、Cold Spring Harbor Publish., Cold Spring Harbor, N.Y. を参照のこと;またAusubelら編、「分子生物学における最近のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」の実験室技術マニュアルシリーズ、1987-1999、Current Protocols(著作権)1994-199 John Wiley and Sons, Inc.)。
【0173】
いくつかの実施形態には、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、もしくは配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である重鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体または抗体フラグメントをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態には、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有する抗体または抗体フラグメントをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドが含まれる。
【0174】
一態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、それぞれ以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変領域を有する抗体または抗体フラグメントをコードする:それぞれ配列番号3および配列番号14;それぞれ配列番号4および配列番号14;それぞれ配列番号5および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号14;それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号8および配列番号14;それぞれ配列番号9および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号15;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;それぞれ配列番号11および配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列。
【0175】
別の態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、それぞれ以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを有する抗体または抗体フラグメントをコードする:それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;それぞれ配列番号11および配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列。
【0176】
更に別の態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、それぞれ以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する抗体または抗体フラグメントをコードする:それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号16;それぞれ配列番号11および配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列。
【0177】
更に別の態様において、単離されたポリヌクレオチド配列は、それぞれ以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する抗体または抗体フラグメントをコードする:それぞれ配列番号10および配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列。
【0178】
本明細書で用いる場合、2以上の核酸またはポリペプチド配列に対して用いる用語「同一」または「同一%」とは、比較して最大一致度を有するようにアライメントした場合に、同じである2以上の配列または部分配列、あるいは同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基を特定の比率で有する2以上の配列または部分配列を言う。同一%を決定するために、配列は最適の比較ができるようにアライメントする(例えば、第二のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのために第一のアミノ酸または核酸配列中にギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置においてアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第一の配列におけるある位置が、第二の配列における対応位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合、これらの分子はその位置において同一である。2つの配列間の同一%は、配列間で共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一%=同一の位置の数/位置の総数(例えば重なり合う位置)×100)。いくつかの実施形態において、比較する2つの配列は、適宜に配列内にギャップを導入した後では、同じ長さになるようにする(例えば比較する配列を超えて伸びる更なる配列を除外する)。例えば、可変領域の配列を比較する場合、リーダー配列および/または定常ドメインの配列は考慮しない。2つの配列間の配列比較のために、「対応する」CDRとは、双方の配列内の同じ位置のCDRを言う(例えば各配列のCDR-H1)。
【0179】
2つの配列間の同一性%または類似性%の決定は、数学的アルゴリズムを使用して行うことができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、KarlinおよびAltschul、1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムであり、これはKarlinおよびAltschul、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877で改変されている。このようなアルゴリズムは、Altschulら、1990、J. Mol. Biol. 215:403-410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラムを使用し、スコア=100、語長=12で実施して、目的のタンパク質をコードする核酸と相同のヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラムを使用し、スコア=50、語長=3で実施して、目的のタンパク質と相同のアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためのギャップのあるアラインメントを得るためには、Altschulら、1997、Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されたようなGapped BLASTを利用することができる。あるいはまた、PSI-Blastを使用して、距離のある分子間の関係を検出する反復検索を実施することができる(上記)。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、MyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120 weight residue table、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4を使用することができる。配列解析のための更なるアルゴリズムが当分野で公知であり、TorellisおよびRobotti、1994、Comput. Appl. Biosci. 10:3-5に記載されているADVANCEおよびADAM;およびPearsonおよびLipman、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-8に記載されているFASTAが挙げられる。FASTAにおいて、ktupは感度および検索速度を設定する調整オプションである。ktup=2であれば、比較される2つの配列の類似領域は、並べた残基対を見ることで見出される。ktup=1であれば、単一の並べたアミノ酸を調べる。ktupは、タンパク質配列については2または1、DNA配列については1〜6に設定することができる。ktupが特定されていない場合、デフォルトは、タンパク質については2、DNAについては6である。あるいはまた、タンパク質配列アラインメントは、Higginsら、1996、Methods Enzymol. 266:383-402に記載されたCLUSTAL Wアルゴリズムを用いて実施することができる。
【0180】
非治療的用途
本明細書に記載した抗体は、アフィニティー精製試薬として有用である。この方法において、抗体は、当分野で周知の方法を用い、Sephadex樹脂または濾紙等の固相上に固定化される。固定化された抗体は、精製すべきCD40タンパク質(またはその断片)を含有するサンプルと接触させ、その後、CD40タンパク質(固定化抗体に結合している)以外のサンプル中の実質的に全ての物質を除去し得る適切な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、抗体からCD40タンパク質を放出させ得る別の適切な溶媒(グリシン緩衝液、pH5.0等)で支持体を洗浄する。
【0181】
ヒト化抗CD40抗体はまた、例えば特定の細胞、組織、もしくは血清中のCD40発現を検出する、CD40タンパク質の検出および/または定量のための診断アッセイにおいても有用である。
【0182】
診断に応用するために、抗体は典型的に検出可能な物質で標識する。多くの標識が利用でき、それらは一般に以下のカテゴリーに分類することができる:
(a)放射性同位体、例えば35S、14C、125I、3H、および131I。例えば「免疫学における最近のプロトコル(Current Protocols in Immunology)」 第1および2巻、1991、Coligenら編、Wiley-Interscience, New York, N.Y., Pubsに記載された技術を用いて抗体を放射性同位体で標識することができる。放射活性は、例えばシンチレーション計数によって測定することができる。
【0183】
(b)貴土類キレート(ユーロピウムキレート)またはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、リッサミン、フィコエリスリン、およびテキサスレッド等の蛍光標識が利用可能である。蛍光標識は、例えば上記の「免疫学における最近のプロトコル(Current Protocols in Immunology)」に開示されたもの等の公知の技術を介して抗体に結合させることができる。蛍光は蛍光光度計を用いて定量することができる。
【0184】
(c)種々の酵素−基質標識が利用可能である(例えば米国特許第4,275,149号はこれらのいくつかの概説を提供する)。酵素は一般に、種々の技術を用いて測定できる色素生産性基質の化学変化を触媒する。例えば、酵素は、分光光度法で測定できる基質の色変化を触媒し得る。あるいはまた、酵素は、基質の蛍光または化学発光を変化させ得る。蛍光変化を定量する技術は先に記載してある。化学発光性基質は化学反応によって電気的に励起され、次いで、例えば化学発光光度計を用いて測定できる光を放出するか、あるいは蛍光アクセプターにエネルギーを提供する。酵素標識の例として、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ等のルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(例えばウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ等が挙げられる。酵素を抗体に結合させる技術は、例えばO'Sullivanら、1981、「酵素イムノアッセイで使用する酵素−抗体複合体の調製方法(Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay)」 Methods in Enzym.(J. Langone & H. Van Vunakis編), Academic press, N.Y., 73:147-166に記載されている。
【0185】
酵素−基質の組み合わせの例には、例えば以下のものが挙げられる:
(a) 西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)と基質としての過酸化水素、ここで過酸化水素はオルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン塩酸(TMB)等の色素前駆物質を酸化する;
(b) アルカリ性ホスファターゼ(AP)と発色基質としてのp−ニトロフェニルホスフェート;および
(c) β-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)と発色基質p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシドまたは発蛍光性基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシド。
【0186】
当業者には多くの他の酵素−基質の組み合わせが利用可能である。これらの概説については、米国特許第4,275,149号および米国特許第4,318,980号を参照のこと。
【0187】
標識は、公知の種々の技術を使用して抗体と間接的に結合させることができる。例えば、抗体を、ビオチンと結合させることができ、そして上記3つの広いカテゴリーの標識のいずれかをアビジンと結合させることができ、あるいはその逆も可能である。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、従って、この間接的な方法で標識を抗体と結合させることができる。あるいはまた、標識と抗体との間接的結合を達成するために、抗体を小さなハプテン(ジゴキシン等)と結合させることができ、上記の種々の型の標識の1つを抗ハプテン抗体(例えば抗ジゴキシン抗体)と結合させる。このようにして、標識と抗体との間接的結合が達成できる。
【0188】
別の実施形態においては、ヒト化抗CD40抗体を標識せずに使用し、ヒト化抗CD40抗体に結合する標識抗体で検出する。
【0189】
本明細書に記載する抗体は、公知の任意のアッセイ法、例えば競合的結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッセイ、および免疫沈降アッセイ等で使用することができる。例えばZola、「モノクローナル抗体:技術マニュアル(Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques)」 pp.147-158(CRC Press, Inc. 1987)を参照のこと。
【0190】
診断キット
ヒト化抗CD40抗体は診断キット(すなわち、診断アッセイを実施するための使用説明書を含む、所定量の試薬の組み合わせのパッケージ)において使用することができる。抗体を酵素で標識する場合、キットには、基質類、および検出可能な発色団または蛍光発色団を提供する基質前駆物質等の、酵素が必要とする補因子が含まれ得る。更に、他の添加物質、例えば安定化剤、緩衝剤(例えばブロック緩衝剤または溶解緩衝剤)等が含まれ得る。アッセイ感度を実質的に最適にする試薬の溶液中濃度を提供するために、種々の試薬の相対量は広く変えることができる。試薬は、溶解時に適切な濃度の試薬溶液を提供するような添加剤を含む、通常凍結乾燥された、乾燥粉末として提供され得る。
【0191】
治療用途
別の実施形態において、本明細書に開示するヒト化抗CD40抗体は、本明細書に記載するようなCD40の発現に関連する種々の障害の治療に有用である。
【0192】
ヒト化抗CD40抗体または薬剤は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻内を含む、適切な任意の手段によって投与され、局所的免疫抑制治療のために必要であれば、病変部内投与(移植前に、移植片に抗体を浸み込ませるかまたは接触させることを含む)で投与される。ヒト化抗CD40抗体または薬剤は、例えば注入またはボーラスとして投与することができる。非経口的注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。更に、ヒト化抗CD40抗体は、特に抗体量を減らしながらのパルス注入によって、適切に投与される。一態様において、投薬は注射、最も好ましくは静脈または皮下注射によってなされ、これは部分的には投与が短期間であるか、長期間であるかに依存する。
【0193】
疾患の予防または治療のためには、抗体の適切な投与量は、先に定義したような治療すべき疾患の型、疾患の重篤度および経過、抗体を予防目的で投与するのか治療目的で投与するのか、これまでの治療、患者の臨床歴および抗体に対する応答、および主治医の裁量、等の種々の要因に依存するであろう。抗体は、一度に、または治療期間にわたって患者に適切に投与される。
【0194】
疾患の型および重篤度に依存して、約1μg/kg〜20mg/kg(例えば0.1〜15mg/kg)の抗体が、例えば1回以上の個別投与または連続注入により、患者に投与するための初期候補投与量である。典型的な日用量は、上記の要因に依存して約1μg/kg〜100mg/kgまたはそれ以上の範囲であり得る。数日間またはそれ以上にわたる反復投与の場合、状況に応じ、疾患症状の所望の抑制が起こるまで治療を継続する。しかしながら、他の投与計画も有用であり得る。この治療の進行は、従来の技術およびアッセイで容易にモニターできる。投与計画の一例は、WO 94/04188号に開示されたものである。
【0195】
抗体組成物は、良好な医療に合致するように製剤化され、調合され、投与される。この点で考慮すべきこととしては、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医師には公知の他の要因が挙げられる。投与すべき抗体の「治療に有効な量」は、こうした考慮すべき事項によって左右されるが、CD40発現と関連する障害の予防、改善、または治療に必要な最小量である。
【0196】
抗体は、問題の障害の予防または治療のために現在使用されている1以上の薬剤と共に製剤化される必要はないが、場合によっては、かかる薬剤と共に製剤化される。こうした他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するヒト化抗CD40抗体の量、障害もしくは治療の型、および上述の他の要因に依存する。これらは一般に、上記で使用したのと同じ投与量および投与経路で使用され、あるいはこれまで用いられた投与量の約1〜99%である。
【0197】
CD40関連障害
抗CD40抗体または薬剤は、CD40を発現する癌またはCD40の発現(例えば免疫細胞(リンパ球もしくは樹状細胞等)の不適切な活性化)を特徴とする免疫障害の治療または予防に有効である。このようなCD40の発現は、例えば細胞表面上のCD40タンパク質レベルの増加、および/または発現するCD40の抗原性の変化のためであり得る。本明細書に記載する方法に従い、免疫障害の治療または予防は、そのような治療または予防が必要な被験者に、有効量の抗CD40抗体または薬剤を投与することによって達成され、ここで抗体は(i)CD40を発現し、疾患状態と関連する活性化免疫細胞に結合し、(ii)活性化免疫細胞に対して細胞毒性効果、細胞増殖抑制効果、または免疫抑制効果を発揮する。
【0198】
免疫細胞の不適切な活性化によって特徴付けられ、本明細書に記載の方法によって治療もしくは予防され得る免疫疾患は、例えば障害の根底にある過敏症反応のタイプによって分類できる。これらの反応は、典型的には以下の4つのタイプに分類される:アナフィラキシー反応、細胞毒性(細胞溶解)反応、免疫複合体反応、または細胞性免疫(CMI)反応(遅延型過敏症(DTH)反応ともいう)。例えば「基礎免疫学(Fundamental Immunology)」(William E. Paul編, Raven Press, N.Y., 第3版, 1993)を参照のこと。
【0199】
こうした免疫疾患の具体的な例としては、以下が挙げられる:慢性関節リウマチ、自己免疫脱髄疾患(例えば多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎)、内分泌性眼症(ophthalmopathy)、ブドウ膜網膜炎(uveoretinitis)、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、グレーブ病、糸球体腎炎、自己免疫性肝障害(hepatological disorder)、炎症性腸疾患(例えばクローン病または潰瘍性大腸炎)、アナフィラキシー、アレルギー反応、シェーグレン症候群、I型糖尿病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、線維筋肉痛、多発性筋炎、皮膚筋炎、炎症性筋炎、多発性内分泌腺不全症、シュミット症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、副腎炎、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、悪性貧血、胃萎縮症、慢性肝炎、ルポイド肝炎、アテローム性動脈硬化症、亜急性皮膚エリテマトーデス、副甲状腺機能低下症、ドレスラー症候群、自己免疫性血小板減少症、突発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、尋常性天疱瘡、天疱瘡、疱疹状皮膚炎、弓状脱毛症(alopecia arcata)、類天疱瘡、強皮症、全身性進行性硬化症、クレスト症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動異常(esophageal dysmotility)、手指硬化症、および毛細血管拡張症)、男性および女性の自己免疫性不妊症、強直性脊椎炎(ankylosing spondolytis)、潰瘍性大腸炎、混合結合組織病、結節性多発性動脈炎、全身性壊死性血管炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、グッドパスチャー症候群、シャーガス病、サルコイドーシス、リウマチ熱、喘息、再発性流産(recurrent abortion)、抗リン脂質症候群、農夫肺、多形性紅斑、心臓切開術後症候群、クッシング症候群、自己免疫性慢性活動性肝炎、鳥飼育者肺、中毒性表皮壊死症、アルポート症候群、歯槽骨炎、アレルギー性歯槽骨炎、線維化性肺胞炎、間質性肺疾患、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、輸血反応、タカヤス動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、側頭動脈炎、住血吸虫症、巨細胞性動脈炎、回虫症、アスペルギルス症、サムプター症候群(Sampter's syndrome)、湿疹、リンパ腫様肉芽腫症、ベーチェット病、カプラン症候群、川崎病、デング熱、脳脊髄炎、心内膜炎、線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、乾癬、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シャルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎、フックス毛様体炎、IgAネフロパシー、フェーノホ・シェーンライン紫斑病、移植片対宿主病、移植拒絶、心筋症、イートン・ランバート症候群、再発性多発性軟骨炎、クリオグロブリン血症、ワルデンストロームマクログロブリン血症、エヴァンズ症候群、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、骨粗しょう症、遅延型過敏症および自己免疫性生殖腺不全。
【0200】
従って、本明細書に記載する方法は、Bリンパ球の障害(例えば全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、慢性関節リウマチ、およびI型糖尿病)、Th1-リンパ球の障害(例えば慢性関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブ病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、結核、もしくは移植片対宿主病)、またはTh2-リンパ球の障害(例えばアトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、オーメン症候群、全身性硬化症、または慢性移植片対宿主病)の治療を包含する。一般に、樹状細胞が関与する障害にはTh1-リンパ球またはTh2-リンパ球の障害が関連する。
【0201】
いくつかの実施形態において、免疫障害は、その障害に関連する活性化T細胞がCD40を発現するT細胞障害等の、T細胞介在型免疫障害である。こうしたCD40を発現する活性化T細胞を枯渇させるために、抗CD40抗体または薬剤を投与することができる。特定の実施形態において、抗CD40抗体または薬剤の投与によってCD40を発現する活性化T細胞を枯渇させることができるが、休止T細胞は抗CD40抗体または薬剤によって実質的に枯渇されない。これに関連して、「実質的に枯渇されない」とは、休止T細胞の約60%未満、または約70%未満もしくは約80%未満が枯渇されないことを意味する。
【0202】
本明細書に記載した抗CD40抗体および結合物質はまた、CD40を発現する癌の治療または予防にも有用である。本明細書に記載する方法に従い、CD40発現癌の治療または予防は、そのような治療または予防が必要な被験者に、有効量の抗CD40抗体または薬剤を投与することによって達成され、ここで、該抗体または薬剤は(i)CD40発現癌細胞に結合し、(ii)細胞毒性または細胞増殖抑制効果を発揮して、CD40発現癌細胞を枯渇させるか、その増殖を抑制する。
【0203】
本明細書に記載する方法によって治療または予防できるCD40発現癌には、例えば以下のものが挙げられる:急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(例えば骨髄芽球性、前骨髄性、骨髄単球性、単球性、もしくは赤白血病)、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、または慢性リンパ性白血病等の白血病;真性赤血球増加症;リンパ腫(例えばホジキン病もしくは非ホジキン病);多発性骨髄腫;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;重鎖病;肉腫および癌腫等の固形腫瘍(例えば線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑膜肉腫(synovioma)、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体細胞腫(pinealoma)、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、鼻咽頭癌、または食道癌)。
【0204】
医薬組成物およびその投与
CD40結合物質(例えば抗CD40抗体)を含有する組成物は、免疫障害またはCD40発現癌を有するか、その危険のある被験者に投与することができる。本発明は更に、CD40発現癌または免疫疾患の予防または治療のための医薬の製造における、CD40結合物質(例えば抗CD40抗体)の使用を提供する。本明細書において使用する用語「被験者」とは、CD40結合物質を投与することができる任意の哺乳類の患者を意味し、例えばヒトおよび非ヒト哺乳類(例えば霊長類、げっ歯類、およびイヌ)が挙げられる。本明細書に記載する方法を用いた治療のために特に意図される被験者にはヒトが含まれる。該抗体または結合物質は、免疫障害またはCD40発現癌の予防または治療において単独で、あるいは他の組成物と組み合わせて投与することができる。
【0205】
種々の送達システムが公知であり、それらを使用してCD40結合物質を投与することができる。導入方法には、限定するものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口の経路が挙げられる。CD40結合物質は、例えば注入、ボーラスまたは注射によって投与することができ、化学療法剤等の他の生物学的活性剤と共に投与することができる。投与は全身的であっても局所的であっても良い。
【0206】
特定の実施形態において、CD40結合物質組成物は、注射によって、カテーテル手段によって、座剤手段によって、インプラント手段(sialastic膜のような膜もしくは繊維を含む、多孔質、非多孔質、またはゼラチン質素材のものである)によって投与される。典型的には、組成物を投与する場合、抗CD40抗体または結合物質が吸着しない材料を使用する。
【0207】
他の実施形態において、抗CD40抗体または結合物質は徐放性システムにおいて送達される。一実施形態において、ポンプを用いることができる(例えば、Langer、1990、Science 249:1527-1533; Sefton、1989、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwaldら、1980、Surgery 88:507; Saudekら、1989、N. Engl. J. Med. 321:574を参照のこと)。別の実施形態において、ポリマー材料を用いることができる(例えば、「放出制御の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release)」 (LangerおよびWise編、CRC Press, Boca Raton, Florida, 1974);「制御された薬剤バイオアベイラビリティー、医薬品の設計と性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance)」(SmolenおよびBall編、Wiley, New York, 1984); RangerおよびPeppas、1983、Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照のこと。また、Levyら、1985、Science 228:190; Duringら、1989、Ann. Neurol. 25:351; Howardら, 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照のこと)。他の徐放性システムは例えば上記Langerにおいて議論されている。
【0208】
CD40結合物質(例えば抗CD40抗体)は、治療に有効な量の結合物質および1種以上の薬学的に適合し得る成分を含有する医薬組成物として投与することができる。例えば、医薬組成物は、典型的には1種以上の製薬上の担体(例えば水および油のような無菌の液体であって、動物、植物または合成起源の石油、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等を含む)を含有する。医薬組成物を静脈内投与する場合には、水がより典型的な担体である。食塩水溶液およびデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液も、特に注射可能な溶液のための液体担体として使用することができる。適切な医薬用添加剤としては、例えばデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。他の適切な医薬用添加剤としては、アミノ酸(例えばアルギニン、ヒスチジン、グリシン)、界面活性剤(例えばポリソルベート)および糖並びに糖アルコール(例えばスクロースまたはソルビトールおよび他のポリオール(例えばトレハロース))が挙げられる。組成物は、必要な場合には、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤をも含有することができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳液、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤等の形態をとることができる。組成物は、慣用の結合剤およびトリグリセリド等の担体と共に座剤として製剤化することができる。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の標準的な担体を含み得る。適切な製薬上の担体の例は、E.W.Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。このような組成物は、治療有効量の核酸またはタンパク質を、典型的には精製された形態で、適切な量の担体と共に含有し、患者に適した投与形態を提供する。製剤は投与様式に対応する。
【0209】
典型的な実施形態において、医薬組成物は、ヒトへの静脈内投与に適した医薬組成物として、慣用方法に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与用の組成物は無菌の等張緩衝水溶液である。必要な場合には、医薬組成物は、可溶化剤およびリグノカイン等の局所麻酔剤をも含み、注射部位の痛みを和らげることができる。一般に、諸成分は別個に、または、単位剤形として一緒に混合されて供給され、例えば活性成分の量を表示するアンプルもしくはサシェット(sachette)等の密閉容器中の凍結乾燥粉末もしくは無水の濃縮物として供給される。医薬組成物が注入によって投与されるものである場合、無菌の医薬品グレードの水または食塩水を含有する注入用ボトルで供給することができる。医薬組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分を混合できるように無菌の注射用水または食塩水のアンプルを用意することができる。
【0210】
更に、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形態のCD40結合物質(例えば抗CD40抗体)を含有する容器、および(b)製薬上許容される注射用希釈剤(例えば無菌水)を含む第二の容器、を含む医薬キットとして提供され得る。製薬上許容される希釈剤は、凍結乾燥された抗CD40抗体または結合物質の用時調製または希釈のために使用することができる。場合によって、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する行政機関によって指示された形態の注意書がこうした容器に添付されていてもよく、この注意書はヒトへの投与のための製造、使用または販売についての機関による承認を示している。
【0211】
免疫障害またはCD40発現癌の治療または予防において有効なCD40結合物質(例えば抗CD40抗体)の量は、標準的な臨床技術で決定することができる。更に、場合によってはin vitroのアッセイを用いて、最適な投与量の範囲を決定することができる。製剤中で用いるべき正確な投与量は、投与経路、および免疫障害もしくはCD40発現癌のステージにも依存し、医師の判断および個々の患者の状況に応じて決定されるべきである。有効な投与量は、in vitroまたは動物モデルの試験系から得られる用量−応答曲線から推定することができる。
【0212】
例えば、抗CD40抗体または結合物質の毒性および治療効率は、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するための標準的な薬学的手法により、細胞培養または実験動物で決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは比LD50/ED50として表すことができる。高い治療指数を示すCD40結合物質(例えば抗CD40抗体)が好ましい。CD40結合物質が有毒な副作用を示す場合には、CD40結合物質を罹患組織部位にターゲッティングさせる送達システムを用いて非CD40発現細胞に対する潜在的ダメージを最小にし、それによって副作用を低減することができる。
【0213】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータを、ヒトに使用する投与量範囲を計画(formulating)するのに使用することができる。CD40結合物質の投与量は、典型的には毒性がないか、ほとんどないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、用いる剤形および利用する投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本方法で使用する任意のCD40結合物質について、治療に有効な量は、まず細胞培養アッセイから評価することができる。投与量は、動物モデルで計画され、細胞培養で決定されたIC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成することができる。このような情報を用い、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高性能液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0214】
一般に、免疫障害またはCD40発現癌の患者に投与される抗CD40抗体またはCD40結合物質の投与量は、典型的には被験者の体重に対して約0.1mg/kg〜約100mg/kgである。被験者に投与される投与量は、被験者の体重に対して約0.1mg/kg〜約50mg/kg、約1mg/kg〜約30mg/kg、約1mg/kg〜約20mg/kg、約1mg/kg〜約15mg/kg、または約1mg/kg〜約10mg/kgである。
【0215】
例示的投与量としては、限定するものではないが、1ng/kg〜100mg/kgが挙げられる。いくつかの実施形態において、投与量は約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kgまたは約16mg/kgである。投与量は、例えば毎日、週1回(毎週)、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、隔週または毎月投与することができる。特定の実施形態において、投与量は約0.5mg/kg/週、約1mg/kg/週、約2mg/kg/週、約3mg/kg/週、約4mg/kg/週、約5mg/kg/週、約6mg/kg/週、約7mg/kg/週、約8mg/kg/週、約9mg/kg/週、約10mg/kg/週、約11mg/kg/週、約12mg/kg/週、約13mg/kg/週、約14mg/kg/週、約15mg/kg/週または約16mg/kg/週である。いくつかの実施形態において、投与量は約1mg/kg/週〜約15mg/kg/週の範囲である。
【0216】
いくつかの実施形態において、CD40結合物質を含有する医薬組成物は、更に、結合物質に結合されたまたは結合されていない治療剤を含むことができる。抗CD40抗体またはCD40結合物質は、免疫障害またはCD40発現癌の治療または予防のための1種以上の治療剤と併用して同時に投与することができる。例えば、併用療法には、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、または免疫抑制剤を含めることができる。併用療法にはまた、例えば活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞の表面上のCD40以外の受容体または受容体複合体を標的とする薬剤の投与を含めることもできる。こうした薬剤の例として、活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞の表面の分子に結合する第二の非CD40抗体が挙げられる。別の例には、こうした受容体または受容体複合体を標的とするリガンドが挙げられる。典型的には、このような抗体またはリガンドは、活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞上の細胞表面受容体に結合し、活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞に細胞増殖抑制または細胞毒性シグナルを送達することによって抗CD40抗体の細胞毒性または細胞増殖抑制効果を増大させる。
【0217】
このような組み合わせ投与には、疾患パラメーター(例えば症状の重篤度、症状の数、または再発の頻度)に対する相加効果または相乗効果があり得る。
【0218】
組み合わせ投与のための治療計画に関し、特定の実施形態において、抗CD40抗体またはCD40結合物質は治療剤と同時に投与される。別の特定の実施形態において、治療剤は、少なくとも1時間から数ヶ月までの間で、抗CD40抗体またはCD40結合物質の投与の前もしくは後に投与され、例えば抗CD40抗体またはCD40結合物質の投与の少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、1ヶ月、または3ヶ月前もしくは後に投与される。
【0219】
細胞毒性剤または免疫抑制剤の有用な部類としては、例えば抗チューブリン剤、アウリスタチン(例えばMMAEまたはMMAF)、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えばシスプラチン、モノ(プラチナ)、ビス(プラチナ)およびトリ核プラチナ複合体およびカルボプラチン等のプラチナ複合体)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗剤、化学療法増感剤、デュオカルマイシン(duocarmycins)、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン(lexitropsins)、ニトロソウレア、プラチノール、プレフォーミング化合物、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド等が挙げられる。
【0220】
個々の細胞毒性剤または免疫抑制剤としては、例えば、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン(dacarbazine)、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン(decarbazine)、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシウレア、イダルビシン(idarubicin)、イフォスファミド(ifosfamide)、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトザントロン(mitoxantrone)、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プロカルビジン、ストレプトゾトシン(streptozotocin)、テノポシド、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26が挙げられる。
【0221】
いくつかの典型的な実施形態において、治療剤は細胞毒性剤である。適切な細胞毒性剤としては、例えばドラスタチン(例えばアウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、AEBもしくはAEVB)、DNA副溝結合剤(例えばエンジイン(enediynes)およびレキシトロプシン(lexitropsins))、デュオカルマイシン、タキサン(例えばパクリタキセルおよびドセタキセル)、ピューロマイシン、ビンカアルカロイド、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ−ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、エチノマイシン、コンブレタスタチン(combretastatin)、ネトロプシン、エポチロンAおよびB、エストラムスチン(estramustine)、クリプトフィシン(cryptophysins)、セマドチン(cemadotin)、メイタンシノイド(maytansinoids)、ジスコデルモリド(discodermolide)、エレウテロビン(eleutherobin)、またはミトキサントロンが挙げられる。
【0222】
いくつかの実施形態において、細胞毒性剤は伝統的な化学療法剤であり、例えばドキソルビシン、パクリタキセル、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキセート、マイトマイシンCまたはエトポシドである。更に、CC-1065類似体、カリケアミシン(calicheamicin)、メイタンシン(maytansine)、ドラスタチン10類似体、リゾキシン、およびパリトキシン等の潜在的薬剤を、抗CD40抗体または結合物質に結合させることができる。
【0223】
特定の実施形態において、細胞毒性剤または細胞増殖抑制剤は、アウリスタチンE(当分野においてドラスタチン-10としても知られる)またはその誘導体である。典型的には、アウリスタチンE誘導体は、例えばアウリスタチンEとケト酸とで形成したエステルである。例えば、アウリスタチンEはp-アセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応してそれぞれAEBおよびAEVBを生成することができる。他の典型的なアウリスタチン誘導体にはAFP、MMAF、およびMMAEが含まれる。アウリスタチンEおよびその誘導体の合成および構造は、例えば米国特許出願公開第2004-0157782 A1号および第2005-0238649号;国際特許出願PCT/US03/24209号、国際特許出願PCT/US02/13435号、および米国特許第6,884,869号;第6,323,315号;第6,239,104号;第6,034,065号;第5,780,588号;第5,665,860号;第5,663,149号;第5,635,483号;第5,599,902号;第5,554,725号;第5,530,097号;第5,521,284号;第5,504,191号;第5,410,024号;第5,138,036号;第5,076,973号;第4,986,988号;第4,978,744号;第4,879,278号;第4,816,444号;および第4,486,414号に記載されており、これらの開示内容を参照として本明細書に組み入れる。
【0224】
特定の実施形態において、細胞毒性剤はDNA副溝結合剤である。(例えば米国特許第6,130,237号を参照のこと。)例えば、いくつかの実施形態において、副溝結合剤はCBI化合物である。他の実施形態において、副溝結合剤はエンジイン(例えばカリケアミシン)である。
【0225】
抗チューブリン剤の例としては、限定するものではないが、タキサン(例えばタキソール(登録商標、パクリタキセル)、タキソテール(登録商標、ドセタキセル))、T67(チュラリック)、ビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン(vindesine)、およびビノレルビン(vinorelbine))、およびドラスタチン(例えばアウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB)が挙げられる。他の抗チューブリン剤としては、例えばバッカチン(baccatin)誘導体、タキサン類似体(例えばエポチロンAおよびB)、ノコダゾール(nocodazole)、コルヒチンおよびコルシミド、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、ジスコデルモリド、およびエレウテロビンが挙げられる。
【0226】
いくつかの実施形態において、細胞毒性剤は、抗チューブリン剤の別の群であるメイタンシノイドである。例えば、特定の実施形態において、メイタンシノイドはメイタンシンまたはDM-1である(ImmunoGen, Inc.;Chariら、1992、Cancer Res. 52:127-131も参照のこと)。
【0227】
いくつかの実施形態において、治療剤は放射性同位体ではない。
【0228】
いくつかの実施形態において、細胞毒性剤または免疫抑制剤は代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、例えばプリンアンタゴニスト(例えばアゾチオプリンもしくはミコフェノール酸モフェチル)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤(例えばメトトレキセート)、アシクロビル、ガンシクロビル、ジドブジン、ビダラビン、リババリン、アジドチミジン、シチジンアラビノシド、アマンタジン、ジデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン、ポスカルネット、またはトリフルリジンであり得る。
【0229】
別の実施形態において、細胞毒性剤または免疫抑制剤はタクロリムス、シクロスポリンまたはラパマイシンである。更なる実施形態において、細胞毒性剤は、アルデスロイキン、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アリトレチノイン(alitretinoin)、アロプリノール、アルトレタミン(altretamine)、アミフォスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、ベキサロテン(bexarotene)、ベキサロテン、カルステロン、カペシタビン、セレコキシブ(celecoxib)、クラドリビン、ダルベポエチンα、デニロイキンジフチトックス(Denileukin diftitox)、デキサラゾキサン(dexrazoxane)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピルビシン、エポエチンα、エストラムスチン、エキセメスタン、フィルグラスティム(Filgrastim)、フロクスウリジン、フルダラビン、フルベストラント、ゲムシタビン(gemcitabine)、ゲムツズマブオゾガミシン(gemtuzumab ozogamicin)、ゴセレリン、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブメシレート、インターフェロンα-2a、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、メクロレタミンもしくはナイトロジェンマスタード、メゲストロール、メスナ、メトトレキセート、メトキシサレン、マイトマイシンC、マイトタン、ナンドロロンフェンプロピオネート、オプレルベキン(oprelvekin)、オキサリプラチン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペグフィルグラスティム(pegfilgrastim)、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、レブリミド、サルグラモスティム(Sargramostim)、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、トレミフェン、トシツモマブ(Tositumomab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンおよびゾレドロネートである。
【0230】
更なる実施形態において、薬剤は、ヒト化抗HER2モノクローナル抗体;RITUXAN(リツキシマブ;Genentech, Inc., South San Francisco, CA);キメラ抗CD20モノクローナル抗体;OVAREX(AltaRex Corporation, MA);PANOREX(Glaxo Wellcome, NC; マウスIgG2a抗体);Cetuximab Erbitux(Imclone Systems Inc., NY; 抗EGFR IgGキメラ抗体);Vitaxin(MedImmune, Inc., MD);Campath I/H(Leukosite, MA; ヒト化IgG1抗体);Smart MI95(Protein Design Labs, Inc., CA; ヒト化抗CD33 IgG抗体);LymphoCide(Immunomedics, Inc., NJ; ヒト化抗CD22 IgG抗体);Smart ID10(Protein Design Labs, Inc., CA; ヒト化抗HLA-DR抗体);Oncolym(Techniclone, Inc., CA; 放射性標識マウス抗HLA-Dr10抗体);Allomune(BioTransplant, CA; ヒト化抗CD2 mAb);Avastin(Genentech, Inc., CA; 抗VEGFヒト化抗体);Epratuzamab(Immunomedics, Inc., NJおよびAmgen, CA; 抗CD22抗体);およびCEAcide(Immunomedics, NJ; ヒト化抗CEA抗体)である。
【0231】
他の適切な抗体としては、限定するものではないが、以下の抗原に対する抗体が挙げられる:CA125、CA15-3、CA19-9、L6、Lewis Y、Lewis X、αフェトプロテイン、CA242、胎盤アルカリホスファターゼ、前立腺特異抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、上皮成長因子、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、抗トランスフェリン受容体、p97、MUC1-KLH、CEA、gp100、MART1、前立腺特異抗原、IL-2受容体、CD20、CD52、CD33、CD22、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CD38、ムチン、P21、MPG、およびNeu癌遺伝子産物。
【0232】
いくつかの実施形態において、治療剤は免疫抑制剤である。免疫抑制剤は、例えばガンシクロビル、エタネルセプト、タクロリムス、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチルまたはメトトレキセートであり得る。あるいはまた、免疫抑制剤は、例えばグルココルチコイド(例えばコルチゾールもしくはアルドステロン)またはグルココルチコイド類似体(例えばプレドニゾンもしくはデキサメタゾン)であり得る。
【0233】
適切なシクロオキシゲナーゼ阻害剤としては、メクロフェナム酸、メフェナム酸、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、フェンブフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、スリンダク、テノキシカム、トルメチン、およびアセチルサリチル酸が挙げられる。
【0234】
適切なリポキシゲナーゼ阻害剤としては、レドックス阻害剤(例えばカテコールブタン誘導体、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、マソプロコール、フェニドン、イアノパレン、インダゾリノン、ナファザトロム、ベンゾフラノール、アルキルヒドロキシルアミン)、および非−レドックス阻害剤(例えばヒドロキシチアゾール、メトキシアルキルチアゾール、ベンゾピランおよびその誘導体、メトキシテトラヒドロピラン、ボスウェリン酸およびボスウェリン酸のアセチル化誘導体、およびシクロアルキルラジカルで置換されたキノリンメトキシフェニル酢酸)、およびレドックス阻害剤の前駆物質が挙げられる。
【0235】
他の適切なリポキシゲナーゼ阻害剤としては、抗酸化剤(例えばフェノール、プロピルガレート、フラボノイドおよび/またはフラボノイドを含有する天然の基質、フラボンのヒドロキシル化誘導体、フラボノール、ジヒドロケルセチン、ルテオリン、ガランギン、オロボール、カルコン誘導体、4,2',4'-トリヒドロキシカルコン、オルト−アミノフェノール、N-ヒドロキシウレア、ベンゾフラノール、エブセレンおよび還元セレノ酵素の活性を上昇させる種)、鉄キレート剤(例えばヒドロキサム酸およびその誘導体、N-ヒドロキシウレア、2-ベンジル-1-ナフトール、カテコール、ヒドロキシルアミン、カルノソールトロロックスC、カテコール、ナフトール、スルファサラジン、ザイロイトン、5-ヒドロキシアントラニル酸および4-(ω-アリールアルキル)フェニルアルカノイン酸)、イミダゾール含有化合物(例えばケトコナゾールおよびイトラコナゾール)、フェノチアジン、およびベンゾピラン誘導体が挙げられる。
【0236】
更に別の適切なリポキシゲナーゼ阻害剤としては、エイコサノイド阻害剤(例えばオクタデカテトラエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、エイコサヘキサエン酸およびドコサヘキサエン酸およびこれらのエステル、PGE1(プロスタグランジンE1)、PGA2(プロスタグランジンA2)、ビプロストロール、15-モノヒドロキシエイコサテトラエン酸、15-モノヒドロキシエイコサトリエン酸および15-モノヒドロキシエイコサペンタエン酸、およびロイコトリエンB5、C5およびD5)、カルシウムフローを妨害する化合物、フェノチアジン、ジフェニルブチルアミン、ベラパミル、フスコシド、クルクミン、クロロゲン酸、カフェイン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエノイン酸(ETYA)、ヒドロキシフェニルレチナミド、イオナパレン、エスクリン、ジエチルカルバマジン、フェナントロリン、バイカレイン、プロキシクロミル(proxicromil)、チオエーテル、ジアリルスルフィドおよびジ-(1-プロペニル)スルフィドが挙げられる。
【0237】
ロイコトリエン受容体アンタゴニストとしては、カルシトリオール、オンタゾラスト、Bayer Bay-x-1005、Ciba-Geigy CGS-25019C、エブセレン、Leo Denmark ETH-615、Lilly LY-293111、Ono ONO-4057、Terumo TMK-688、Boehringer Ingleheim BI-RM-270、Lilly LY 213024、Lilly LY 264086、Lilly LY 292728、Ono ONO LB457、Pfizer 105696、Perdue Frederick PF 10042、Rhone-Poulenc Rorer RP 66153、SmithKline Beecham SB-201146、SmithKline Beecham SB-201993、SmithKline Beecham SB-209247、Searle SC-53228、Sumitamo SM 15178、American Home Products WAY 121006、Bayer Bay-o-8276、Warner-Lambert CI-987、Warner-Lambert CI-987BPC-15LY 223982、Lilly LY 233569、Lilly LY-255283、MacroNex MNX-160、Merck and Co. MK-591、Merck and Co. MK-886、Ono ONO-LB-448、Purdue Frederick PF-5901、Rhone-Poulenc Rorer RG 14893、Rhone-Poulenc Rorer RP 66364、Rhone-Poulenc Rorer RP 69698、Shionoogi S-2474、Searle SC-41930、Searle SC-50505、Searle SC-51146、Searle SC-52798、SmithKline Beecham SKandF-104493、Leo Denmark SR-2566、Tanabe T-757およびTeijin TEI-1338が挙げられる。
【0238】
製品
別の態様において、上記の障害の治療のために有用な物質を含む製品が含まれる。製品は、容器およびラベルを含む。適切な容器としては、例えばビン、バイアル、シリンジおよび試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスティック等の種々の材料から形成することができる。容器は症状を治療するために有効な組成物を保持し、無菌のアクセスポートを有し得る。例えば、容器は、皮下注射用の針で穿孔し得るストッパーを有する静脈注射用溶液の袋またはバイアルであり得る。組成物中の活性剤はヒト化抗CD40抗体である。容器上の、または容器に添付されたラベルには、組成物が選択された症状を治療するために用いられることが示されている。製品は更に、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、およびブドウ糖液等の製薬上許容される緩衝液を含む第二の容器を含んでいても良い。商業上の観点および使用者の観点から望ましい他の物質が更に含まれていても良く、それには他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用上の説明を記載した添付文書が含まれる。
【0239】
ATCC寄託
モノクローナル抗体S2C6のATCCへの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定に従い、1999年5月25日になされた。ATCCは10801 University Boulevard, Manassas, Virgina 20110-2209, USAに所在している。このATCC寄託には受託番号PTA-110が付与された。いずれの寄託も当業者の便宜のために提供され、35 U.S.C. Section 112に基づいて寄託が必要であることを認めるものではない。本明細書における記載は、寄託されている抗体によってその範囲を制限されるべきものではない。なぜなら寄託された実施形態は本発明の特定の態様の1つの説明として意図されたものであり、機能的に等価な抗体はいずれも本発明の範囲内にある。本明細書に記載の物質の寄託は、本明細書に含まれる記載が、そのベストモードを含めた本発明の態様の実施を可能とするのに不十分であることを容認するものではなく、また、その寄託物が提示する特定の例示に請求の範囲を限定するものと解釈すべきでもない。事実、前述の記載から、本明細書に示し、かつ記載したものに加え、本発明の種々の改変が当業者には明らかであり、それらは添付した請求の範囲内にあるであろう。
【0240】
以下の実施例において本発明を更に説明するが、これらは本発明の範囲を制限することを意図するものではない。以下の実施例で記載する細胞系は、American Type Culture Collection(ATCC)またはドイツBraunschweig所在のDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DMSZ)によって特定された条件に従って培養下に維持された。細胞培養試薬はInvitrogen Corp.(Carlsbad, CA)から入手した。
【実施例】
【0241】
実施例1:ヒト化抗CD40抗体の作製
ヒト化抗CD40抗体は、一般的には、マウス抗CD40ドナー抗体のCDRをレシピエントヒト抗体にインポートすることにより構築した。ドナー抗体は米国特許第6,838,261号に記載されるマウスモノクローナル抗体S2C6であり、この抗体はBリンパ球に強い増殖促進シグナルを与えることが実証された。例えば、Paulieら, 2000, J. Immunol 142:590を参照のこと。ヒトレシピエント重鎖および軽鎖ドメインとして使用するために、ヒトサブグループIII重鎖可変ドメイン(配列番号2)およびヒトκサブグループI軽鎖可変ドメイン(配列番号13)のコンセンサス配列を、Carterら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4285; 米国特許第6,037,454号および同第6,054,297号に概説されるとおりに取得した。
【0242】
Cunninghamら(1989, Science 243:1330-1336)に記載されるファージミドpEMXlは、ヒトコンセンサスκサブグループI軽鎖可変ドメインとコンセンサスヒトサブグループIII重鎖可変ドメインをコードするDNA断片を含み、大腸菌内でのF(ab)の発現に有用であるだけでなく突然変異誘発にも有用なベクターである。コンセンサス可変ドメインをコードするDNAは、Carterら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4285に記載されるpUC119系プラスミドpAK2に由来するアルカリホスファターゼプロモーターとShine-dalgarno配列に機能的に連結されている。F(ab)軽鎖可変ドメインとF(ab)重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド間にユニークなSpeI制限部位を遺伝子操作により作製した。pEMXlを構築し、本明細書で開示するヒト化抗体を作製するのに使用した。
【0243】
最初のヒト化mAb S2C6 F(ab)(これをsgn-0と呼ぶ)は、マウス抗体のCDRをヒトコンセンサス配列フレームワーク領域に部位特異的突然変異誘発によりインポートすることで構築した。突然変異誘発は、おおむねKunkel, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488に記載の方法に従って行った。得られたヒト化F(ab)分子(sgn-0)の重鎖および軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を表2(それぞれ配列番号3および配列番号14)に示してあり、これらの配列を、ドナー抗体であるマウスモノクローナル抗体S2C6の当該アミノ酸配列(mMAb S2C6、本明細書ではSGN-14とも呼ぶ;それぞれ配列番号1および配列番号12)と比較し、また、ヒトコンセンサス配列レシピエント抗体HuVHIIIおよびHuVLκIの当該アミノ酸配列(それぞれ配列番号2および配列番号13)と比較する。
【0244】
二本鎖および一本鎖DNAの作製のためにプラスミドで大腸菌XL-1 Blue株 (Strataene, San Diego, CA)を形質転換した。軽鎖および重鎖可変ドメインのそれぞれは、ジデオキシヌクレオチド法(シークエナーゼ、 U.S. Biochemical社)を用いて完全に配列決定した。大腸菌16C9株(MM294の誘導株)をプラスミドで形質転換し、5μg/mlのカルベニシリンを含有するLBプレートにまき、単一コロニーをタンパク質発現について選択した。5mlの培養物を500ml AP5-100μg/mlカルベニシリンに添加し、4Lのバッフル付き振とうフラスコ内で37℃にて16時間増殖させた。APS培地は、1.5gのグルコース、11.0gのHycase SF、0.6gの酵母エキス(証明済み)、0.19gのMgSO4 (無水)、1.07gのNH4Cl、3.73gのKCl、1.2gのNaCl、120mlの1Mトリエタノールアミン、pH 7.4に水を加えて1Lとしたものからなり、その後0.1μm Sealkeenフィルターを通してろ過滅菌した。
【0245】
1Lの遠心機ボトル(Nalgene)中で3000×gにて遠心分離することにより細胞を回収し、上清を除去した。1時間の凍結後、ペレットを25mlの冷10mM MES、10mM EDTA、pH 5.0 (バッファーA)中に再懸濁させた。250μlの0.1M PMSF (Sigma)を加えてタンパク質分解を抑制し、3.5mlのストック10mg/mlニワトリ卵白リゾチーム(Sigma)を加えて細菌細胞壁の溶解を促進させた。氷上で1時間穏やかに振とうした後、サンプルを40,000×gで15分間遠心分離した。上清をバッファーAで50mlとなし、バッファーAで平衡化した2ml DEAEカラムにローディングした。次に、通り抜け画分をバッファーAで平衡化したプロテインG-セファロースCL-4Bカラム(Pharmacia)にアプライした。このカラムを10mlのバッファーAで洗浄し、3mlの0.3Mグリシン、pH3.0を用いて1.25mlの1M TRIS、pH8.0中に溶出した。その後Centricon-30フィルター(Amicon)を用いてF(ab)をPBSにバッファー交換し、濃縮して最終容量を0.5mlとした。F(ab)をSDS PAGEゲルにかけて純度を確かめ、エレクトロスプレー質量分析で分子量を確認した。
【0246】
ヒト化抗体sgn-0は、親マウス抗体と比較して、マイクロタイタープレート上に固定化したCD40に対して著しく減少した結合親和性を示した。
【表2】

【0247】
実施例2:ヒト化抗CD40変異型抗体の作製
実施例1に記載したように作製した、テンプレートヒト化抗体sgn-0に対して一連の突然変異を行った。sgn-0の軽鎖および重鎖可変ドメインをコードするDNAに部位特異的変異誘発により特定の変異を導入した。テンプレート分子から作製された変異体の配列を以下の表3および4に示す。
【0248】
これらの変異型軽鎖および重鎖可変ドメインを用いて作製した抗体の結合活性を分析した。各抗体を等濃度に希釈し、その後連続希釈した。希釈した抗体はマイクロアッセイプレート上に固定化したCD40への結合について調べた。変異型抗体の親和性結合データを以下の表5に示す。親マウス抗体の結合活性に近似する活性を示す抗体はsgn-14、sgn-18、sgn-19、sgn-22、sgn-23、sgn-26、およびsgn-27であった。変異型sgn-14、sgn-18、sgn-26、およびsgn-27は親マウス抗体SGN-14の結合活性により一層近似しており、変異型sgn-26はこれらのアッセイで最良の性能を示した。
【表3】

【表4】

【表5】

【0249】
実施例3:ヒト化抗CD40抗体のin vitro細胞傷害活性
CD40+およびCD138++ヒト多発性骨髄腫細胞株MM.1S(デキサメタゾン感受性)およびMM.1R(デキサメタゾン耐性)、ならびに2人の多発性骨髄腫患者から新たに分離された腫瘍細胞 (CD40+、CD138++)を、次第に増加する濃度(0〜100μg/ml)のヒト化S2C6抗体で48時間処理した。DNA合成を3[H]-チミジンの取込みにより測定した。これらの結果は、ヒト化S2C6抗体がMM.1S、MM.1Rまたは2人の患者から得られた腫瘍細胞の増殖を刺激しないことを示した(p>0.1)。
【0250】
これらの細胞に対するヒト化S2C6抗体の細胞傷害作用をさらに確認するために、MM.1SおよびMM.1Rの培養物をヒト化S2C6抗体(10μg/ml)で6時間処理し、その後de novoタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(0.2μg/ml)と共にさらに48時間培養した。指示薬として3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)を用いて細胞生存率をアッセイした。ヒト化S2C6抗体とシクロヘキシミドによる処置は両細胞株において50〜60%の細胞殺傷率を誘発したが、アイソタイプ対照Ig単独による処理は、シクロヘキシミドの有無にかかわらず、細胞傷害性を誘発しなかった。2人の患者由来の腫瘍細胞培養物ではヒト化S2C6抗体が20〜30%の細胞傷害性を誘発し、これは無毒性量(0.2μg/ml)のシクロヘキシミドの存在下で顕著に増大した。
【0251】
実施例4:ヒト化抗CD40抗体の抗腫瘍活性
ヒト化抗CD40抗体の抗腫瘍活性はSCIDマウスリンパ腫異種移植モデルでアッセイした。薬物治療を開始する13日前に500万個のRamos腫瘍細胞をSCIDマウス(1群10匹)に皮下注入した。マウス抗CD40抗体またはヒト化S2C6抗体を腹腔内に週3回(4mg/kg/回)投与し、8または5回投与した。腫瘍の増殖についてマウスを検査し、14日の試験期間中腫瘍の大きさを週1回測定した。図2の結果は、対照マウスでは腫瘍増殖が約9倍上昇するのに対して、同じ期間にわたり、マウス抗CD40抗体またはヒト化S2C6抗体で処置したマウスの腫瘍増殖はごくわずかであったことを示している。これらのデータは、ヒト化抗体がこのBリンパ腫異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を抑制するのにマウス抗CD40抗体と同程度に有効であったことを実証している。
【0252】
実施例5:ヒト化抗CD40抗体による長期生存
腫瘍担持マウスの生存に対するヒト化抗CD40抗体の効力をSCIDマウスリンパ腫異種移植モデルでアッセイした。抗体処置の3日前にSCIDマウス(1群10匹)に100万個のRamos腫瘍細胞を静脈内接種した。マウスをマウス抗CD40抗体もしくはヒト化抗CD40抗体、または対照としてのIgで処置したが、これらの抗体は週2回(4mg/kg/回)腹腔内投与し、全部で5回投与した。マウスのケージを死亡について毎日検査した。図3に示す結果は、対照抗体で処置したマウスのどれも腫瘍接種後34日目を超えて生存したものはいなかったが、マウス抗CD40抗体で処置した10匹のうち8匹のマウスと、ヒト化抗CD40抗体で処置した10匹全部のマウスは、腫瘍移植後90日間も生存し続けたことを示している。これらのデータは、ヒト化抗体がこのBリンパ腫異種移植モデルにおいてSCIDマウスの生存を引き延ばすのにマウス抗CD40抗体と同程度に有効であったことを実証している。
【0253】
特許出願、特許、科学刊行物を含めて、各種の文献が本明細書で引用されているが、これらの開示内容はそのまま参照として本明細書に組み込まれる。本明細書での文献の引用または確認は、そのような文献が本発明の先行技術として利用可能であることを容認するものとは解釈されない。
【0254】
本明細書で開示した教示内容の適用は、本明細書に記載した具体的な実施形態によって範囲が制限されるものではない。実際、本明細書に含まれる教示内容と実施例を踏まえて、当業者であれば、さまざまな改変が明白であろう。そうした改変も添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0255】

【図面の簡単な説明】
【0256】
【図1A】ヒト化抗CD40抗体の重鎖のポリペプチド配列(配列番号18)ならびにコード(配列番号17)および相補DNA配列を示す。ポリペプチド配列は、リーダー配列、可変領域、およびヒトIgG1定常領域の位置を示すための注釈をつけてある。
【図1B】ヒト化抗CD40抗体の重鎖のポリペプチド配列(配列番号18)ならびにコード(配列番号17)および相補DNA配列を示す。ポリペプチド配列は、リーダー配列、可変領域、およびヒトIgG1定常領域の位置を示すための注釈をつけてある。
【図1C】ヒト化抗CD40抗体の軽鎖のポリペプチド配列(配列番号21)ならびにコード(配列番号20)および相補DNA配列を示す。ポリペプチド配列は、リーダー配列、可変領域、およびヒトκ定常領域の位置を示すための注釈をつけてある。
【図2】対照抗体、マウス抗CD40抗体、およびヒト化抗CD40抗体による処置が、2週間にわたって測定される腫瘍の大きさに及ぼす効果を示す。処置は腫瘍移植の13日後に開始する。
【図3】対照抗体、マウス抗CD40抗体、およびヒト化抗CD40抗体による処置が、腫瘍担持マウスの生存に及ぼす効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD40と特異的に結合する単離された抗体または抗原結合フラグメントであって、配列番号2のヒト可変ドメイン重鎖サブグループIIIコンセンサスアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含み、かつ配列番号3の対応する重鎖CDRに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含む、ヒト化重鎖可変ドメインを含んでなる、上記抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項2】
ヒトCD40と特異的に結合する単離された抗体または抗原結合フラグメントであって、配列番号13のヒト可変ドメイン軽鎖サブグループκIコンセンサスアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含み、かつ配列番号14の対応する軽鎖CDRに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含む、ヒト化軽鎖可変ドメインを含んでなる、上記抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項3】
配列番号13のヒト可変ドメイン軽鎖サブグループκIコンセンサスアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含み、かつ配列番号14の対応する軽鎖CDRに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含む、ヒト化軽鎖可変ドメインをさらに含んでなる、請求項1に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項4】
それぞれの重鎖CDRが配列番号3の対応する重鎖CDRに対して少なくとも90%同一である、請求項1に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項5】
重鎖CDRが配列番号3の対応する重鎖CDRのアミノ酸配列を有する、請求項4に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項6】
それぞれの軽鎖CDRが配列番号14の対応する軽鎖CDRに対して少なくとも90%同一である、請求項2または3に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項7】
軽鎖CDRが配列番号14の軽鎖CDRのアミノ酸配列を有する、請求項6に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項8】
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項9】
配列番号14、配列番号15、または配列番号16の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有する、請求項2に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項10】
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列、および配列番号14、配列番号15、または配列番号16の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を有する、請求項3に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項11】
ヒトIgG定常領域をさらに含む、請求項1または3に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項12】
IgG定常領域のアイソタイプがIgGl、IgG2、IgG3、またはIgG4である、請求項11に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項13】
IgG定常領域のアイソタイプがIgGlである、請求項12に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項14】
軽鎖定常ドメインをさらに含む、請求項2または3に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項15】
軽鎖定常ドメインがκ定常ドメインである、請求項14に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項16】
重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号3および配列番号14;それぞれ配列番号4および配列番号14;それぞれ配列番号5および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号14;それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号8および配列番号14;それぞれ配列番号9および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号15;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項17】
重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項18】
重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項19】
重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号3および配列番号14のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項20】
重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号10および配列番号16のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項21】
前記抗体がヒト免疫グロブリンの定常領域をさらに含む、請求項16〜20のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項22】
配列番号19および配列番号22に示す、それぞれ重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
hu sgn-0、hu sgn-1、hu sgn-2、hu sgn-4、hu sgn-14、hu sgn-15、hu sgn-16、hu sgn-17、hu sgn-18、hu sgn-19、hu sgn-22、hu sgn-23、hu sgn-26またはhu sgn-27である、請求項21に記載の抗体。
【請求項24】
抗原結合性の抗体フラグメントである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項25】
抗体フラグメントがFab、Fab'、F(ab')2、Fvフラグメント、ダイアボディ、一本鎖抗体、scFvフラグメント、またはscFv-Fcである、請求項24に記載の抗原結合フラグメント。
【請求項26】
検出可能な標識をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項27】
前記抗体が化学療法剤に結合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項28】
化学療法剤がアウリスタチン(auristatin)である、請求項27に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項29】
アウリスタチンがMMAEまたはMMAFである、請求項28に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項30】
容器内に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント、および場合により、該抗体を用いて生物学的サンプル中のCD40タンパク質を検出することについての使用説明書、を含んでなるキット。
【請求項31】
ヒトCD40抗原を発現している細胞の増殖を阻害するための方法であって、該細胞に、ヒト細胞表面CD40抗原と特異的に結合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを投与することを含んでなり、その際、該抗体または抗原結合フラグメントのCD40抗原への結合により、該細胞の増殖または分化が阻害される、上記方法。
【請求項32】
CD40関連障害を有する被験者を治療するための方法であって、該被験者に、ヒトCD40と特異的に結合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを投与することを含んでなり、その際、該抗体または抗原結合フラグメントのCD40への結合により、CD40関連障害の細胞の増殖または分化が阻害される、上記方法。
【請求項33】
CD40関連障害の細胞がBリンパ芽球様細胞、膵細胞、肺細胞、乳房細胞、卵巣細胞、大腸細胞、前立腺細胞、皮膚細胞、頭頸部細胞、膀胱細胞、骨細胞、または腎細胞である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
CD40関連障害が慢性リンパ性白血病、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、またはカポジ肉腫である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
末梢B細胞の枯渇を誘導するための方法であって、該細胞に、ヒト細胞表面CD40抗原と特異的に結合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを投与することを含んでなり、その際、該抗体または抗原結合フラグメントのCD40抗原への結合により、該細胞の枯渇が誘導される、上記方法。
【請求項36】
前記抗体または抗原結合フラグメントが免疫障害を有する被験者に投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
免疫障害が慢性関節リウマチまたは全身性エリテマトーデスである、請求項37に記載の方法。
【請求項38】
前記抗体または抗原結合フラグメントが、ATCC寄託番号PTA-110を有するハイブリドーマにより分泌されるモノクローナル抗体S2C6と結合について競合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項39】
(i) 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント、および
(ii) 製薬上許容される添加剤、
を含有すね医薬組成物。
【請求項40】
請求項1に記載の抗体または抗原結合フラグメントのヒト化重鎖可変領域をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項2に記載の抗体または抗原結合フラグメントのヒト化軽鎖可変領域をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項42】
配列番号13のヒト可変領域軽鎖サブグループκIコンセンサスアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含み、かつ配列番号3の対応する重鎖CDRに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含む、ヒト化軽鎖可変領域をさらにコードする、請求項40に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項43】
前記ポリヌクレオチドが配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする、請求項40または42に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項44】
前記ポリヌクレオチドが配列番号14、配列番号15、または配列番号16の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする、請求項41または42に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項45】
前記ポリヌクレオチドが、それぞれ配列番号3および配列番号14;それぞれ配列番号4および配列番号14;それぞれ配列番号5および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号14;それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号8および配列番号14;それぞれ配列番号9および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号15;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする、請求項43に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項46】
前記ポリヌクレオチドが、それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号7および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号14;それぞれ配列番号11および配列番号14;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする、請求項43に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項47】
前記ポリヌクレオチドが、それぞれ配列番号7および配列番号14;それぞれ配列番号6および配列番号16;それぞれ配列番号10および配列番号16;またはそれぞれ配列番号11および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする、請求項43に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項48】
前記ポリヌクレオチドが、それぞれ配列番号3および配列番号14の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする、請求項43に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項49】
前記ポリヌクレオチドが、それぞれ配列番号10および配列番号16の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列をコードする、請求項43に記載の単離されたポリヌクレオチド。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−541733(P2008−541733A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513805(P2008−513805)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/020688
【国際公開番号】WO2006/128103
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(503188759)シアトル ジェネティクス,インコーポレーテッド (11)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【Fターム(参考)】