説明

ヒトM2eペプチド免疫原

本発明は、インフルエンザウイルスマトリックス2タンパク質エピトープを含む新規ペプチド免疫原ならびに関連組成物および方法を提供する。本発明は、インフルエンザウイルス媒介性疾患の予防および治療のために有用なペプチド免疫原を含む組成物に関する。本発明はまた、ペプチド免疫原を含むワクチン、免疫原性生成物および免疫原性組成物に関する。一実施形態において、本発明のペプチド免疫原は、以下の式:[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaaによって表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2008年11月12日に出願された、仮出願USSN第61/113,880号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)に関する。
【0002】
本発明は、一般にインフルエンザウイルス感染に対するワクチンおよび治療薬に関する。本発明は、特にインフルエンザマトリックス2タンパク質特異的抗体を生成するのに適したペプチド免疫原ならびにそれらの製造および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザウイルスは、米国において毎年人口の5〜20%が感染し、30,000〜50,000人の死亡をもたらす。インフルエンザワクチンは主要な感染予防の方法であるが、米国では4つの抗ウイルス薬:アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビルおよびザナミビルも利用可能である。2005年12月現在、インフルエンザA型ウイルスのM2タンパク質におけるアミノ酸置換から生じたアマンタジンおよびリマンタジン(rimantidine)に対する上記ウイルスの耐性上昇により、オセルタミビル(TAMIFLU(商標))だけがインフルエンザA型の処置のために推奨されている。最近、ベトナムにおいて14歳の少女に薬剤耐性鳥ウイルスが発見された。Tamifluへの耐性も、ヒトインフルエンザで同様に認められている(非特許文献1)。
【0004】
インフルエンザワクチンはインフルエンザ感染に対して防御効果があることが実証されてきた。しかし、循環ウイルス株と同時に、毎年出現するインフルエンザウイルスの抗原性変異体を監視する必要がある。一部の場合には、新しい変異体株の予測が難しいことがワクチンのタイムリーな生産を妨げてきた(非特許文献2)。近年、南アジアにおけるH5N1のような鳥インフルエンザウイルスの出現により、鳥インフルエンザの世界的な流行が深刻な脅威となりつつある。現在入手可能なワクチンは鳥ウイルスに対して無効であろう(非特許文献3;非特許文献4)。現在のワクチンが抱える第三の問題は、免疫系の機能低下を有する特定の集団、たとえば未熟児、高齢者、AIDS患者および移植患者において効果がないことである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mai Leら、Nature(2005)437:1108
【非特許文献2】Fraceら,Vaccine(1999)17:2237
【非特許文献3】Lipatovら,J.Virology(2004)78:8951
【非特許文献4】Osterholmら,N Engl.Med.(2005)352:1839
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インフルエンザA型ウイルス感染によって引き起こされる疾患はその周期性を特徴とする。抗原ドリフトおよびシフトにより、毎年異なるA型株が出現することが可能となる。それに加えて、高病原性株が一般集団に入り込む脅威により、インフルエンザ感染に対する新規治療薬の必要性が強調されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、インフルエンザA型ウイルスのM2e標的ペプチドに対する抗体を誘導することができる合成ペプチド免疫原に関する。特に、本発明のペプチド免疫原は1つ以上のエピトープを含む。場合により、ペプチド免疫原は一般的免疫刺激因子をさらに含む。本発明のこれらのペプチド免疫原は、インフルエンザA型ウイルスによる感染を予防するために有効であり、インフルエンザA型ウイルスに対する抗体を誘導することができる。
【0008】
本発明のペプチド免疫原は、以下の式:[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa(式中、m、pおよびqは、独立して0または1であり、nは0〜4の間の任意の数であり、Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはCであり、Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはVまたはCであり、Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはEであり、Xaaはプロリンを含まない任意のアミノ酸、好ましくはGまたはAであり、Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−は、S−L−L−T−Eであるか、または配列S−L−L−T−E(配列番号:47)に1個の置換を有するペプチドであって、その置換は、XaaがCまたはTであり、XaaがA、C、FまたはKであり、XaaがA、C、E、F、I、K、M、Q、S、TまたはVであり、およびXaaがDまたはCである、から成る群より選択される)によって表される。
【0009】
もう1つの態様では、本発明のペプチド免疫原は、以下の式:[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa(式中、m、pおよびqは、独立して0または1であり、nは0〜4の間の任意の数であり、Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはCであり、Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはVまたはCであり、Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはEであり、Xaaはプロリンを含まない任意のアミノ酸、好ましくはGまたはAであり、Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−は、S−L−L−T−Eであるか、または配列S−L−L−T−E(配列番号:47)に1個の置換を有するペプチドであって、その置換は、XaaがA、C、D、L、TまたはVであり、XaaがA、C、F、H、I、K、M、N、Q、R、T、WまたはYであり、Xaaが任意のアミノ酸であり、XaaがM、N、Q、SまたはWであり、およびXaaがA、D、F、H、I、K、M、N、Q、S、W、YまたはCである、から成る群より選択される)によって表される。
【0010】
本発明の一部の態様では、1つ以上のアミノ酸はD−アミノ酸である。
【0011】
本発明の一部の態様では、ペプチド免疫原は環状(cycic)である。ペプチド免疫原の環化は、ペプチド中に存在するシステイン残基を架橋することによってまたは化学的手段によって実施できる。
【0012】
本発明の一部の態様では、ペプチド免疫原は、分子間架橋を介してKLHなどのキャリアタンパク質に結合している。
【0013】
本発明は、ペプチド免疫原ならびにミョウバン、リポシン、サポニン、スクアレン、L121、エマルシゲンモノホスホリル脂質A(MPL)、ポリソルベート80、QS21、Montanide ISA51、ISA35、ISA206およびISA720から成る群より選択される薬学的に許容され得るアジュバントおよび/またはキャリアを含む組成物に関する。
【0014】
本発明は、本発明のペプチド免疫原を含む組成物を投与することによってインフルエンザウイルス感染に関連する疾患を予防するまたは処置することに関する。
【0015】
本発明は、本発明のペプチド免疫原を含む組成物を投与することによってインフルエンザマトリックス2(M2)タンパク質に反応性の抗体を生成するための方法に関する。M2タンパク質に対して高親和性の抗体の高いレベルの生成を可能にする免疫原を開発することが本発明の1つの目的である。
【0016】
本発明の1つの態様は、本発明に従った免疫学的有効量のペプチド免疫原組成物および1つ以上の薬学的に許容され得るキャリアを含むワクチンを提供する。適切な投与量で投与した場合、ワクチンは、インフルエンザA型ウイルスに対する免疫治療抗体を生成する。
【0017】
本発明は、インフルエンザの予防および処置のためのヒトまたは動物での使用に適するワクチン送達ビヒクルを提供する。
【0018】
本発明ならびに本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の本発明の詳細な説明および付属の図面および実施形態においてさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、遊離M2ペプチドの存在下または不在下で、M2発現構築物または対照ベクターでトランスフェクトした293−HEK細胞への3つの抗M2抗体および対照hu14C2抗体の結合を示す。
【図2】図2Aおよび2Bは、インフルエンザA/PR/32へのヒトモノクローナル抗体の結合を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、M2変異体の細胞外ドメインのアミノ酸配列を示す図表である。
【図3B】図3Bおよび3Cは、図3Aに示すM2変異体へ結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。
【図3C】図3Bおよび3Cは、図3Aに示すM2変異体へ結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。
【図4】図4は、CHO細胞系統DG44において安定に発現されたインフルエンザ株A/HK/483/1997配列を示すM2タンパク質へのMAb 8I10および23K12の結合を示す一連の棒グラフである。
【図5】図5は、抗M2抗体が、M2eのN末端の高度に保存された領域に結合することを示す図解である。
【図6−1】図6Aおよび6Bは、高(6A)および低(6B)ストリンジェンシー条件下で抗M2e huMAb 8I10および23K12に結合するうえで有効なコアペプチド免疫原およびアミノ酸変異体を表す概略図である。図6Cは、コア配列の変異体を表す概略図である。
【図6−2】図6D、6Eおよび6Fは、本発明のコア配列を含む特異的線状および環状ペプチド免疫原を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、インフルエンザA型ウイルスのマトリックス2(M2)ポリペプチドの細胞外ドメインに対する抗体を誘導することができる合成ペプチド免疫原を含む免疫原性組成物に関する。本発明は、インフルエンザA型ウイルスのマトリックス2(M2)ポリペプチドの細胞外ドメインに対して特異的なヒトモノクローナル抗体に結合するペプチドを提供する。
【0021】
中和抗体の主要画分は、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼタンパク質の多型領域を対象とする。A型インフルエンザウイルスの3番目の膜貫通タンパク質であるマトリックスタンパク質2(M2)は、ウイルス感染細胞によって豊富に発現され、ウイルス複製のために必須の膜透過性プロトンフラックスを提供すると考えられている(Ciamporら、Virus Research 22:247(1992);GrambasとHay、Virology 190:11(1992);Sugrueら、EMBO J.9:3469(1990))。HAおよびNAと異なり、M2は保存されており、インフルエンザ患者のための抗体に基づく受動免疫治療薬の開発の標的となり得る(Itoら、J.Virology 65:5491(1991);Slepushkinら、Vaccine 13:1399(1995);Neirynckら、Nature Med.5:1157(1999))。従って、そのような中和MAbは、おそらく1つまたは数種の株だけを標的とする。近年、比較的不変のマトリックス2(M2)タンパク質が注目を集めてきた。潜在的に、M2に対する中和MAbは、すべてのインフルエンザA型株に対する適切な治療薬となる。
【0022】
M2タンパク質は、イオンチャネルを形成するホモ四量体として認められ、細胞内に入ったときウイルスの脱外被を助けると考えられる。感染後、M2は細胞表面で大量に認めることができる。その後M2はビリオン外被内に組み込まれ、そこではM2は総外被タンパク質の約2%しか構成しない。M2細胞外ドメイン(M2e)は短く、アミノ末端の2〜24アミノ酸が細胞の外にあらわれる。
【0023】
これまで抗M2モノクローナル抗体はこの線状配列を対象としてきた。従って、それらは、天然M2上の高次構造決定基を含む、細胞で発現されるM2に対して所望の結合特性を示さないことがあり得る。
【0024】
最近のワクチン開発は、キャリアタンパク質に結合した免疫原性ペプチドを利用してきた。しかし、キャリアタンパク質は、部位特異的標的に対する抗体応答を促進するのに使用するためには複雑すぎる。キャリア分子の質量は、機能的に重要な標的ペプチド部位の質量よりもはるかに大きい。その結果として、主要な免疫応答は、ペプチド免疫原の標的部位よりもむしろキャリアタンパク質に対して誘導される。さらに、ハプテン−キャリア複合体による免疫は、しばしばキャリア誘導性免疫抑制を導く(Schutzeら、J Immunol,1985,135:2319)。ペプチド−キャリアタンパク質複合体に関する難点は、これらの分子が高度に複雑で、特徴づけが困難であり、製造工程についての有効な品質管理手順を開発するのが難しいことである。
【0025】
有効であるためには、ペプチド免疫原は単に抗ペプチド応答を惹起する以上の働きをしなければならない。有効なペプチド免疫原はまた、機能的免疫応答を惹起しなければならない、すなわち、産生される抗体が真の標的に対して免疫学的交差反応性を有していなければならない。ペプチド免疫原が概して好ましい構造を保持しないことは公知である。それ故、構造的拘束を導入することがペプチド標的部位を設計するうえで重要である。しかし、課せられる構造的拘束は、惹起された抗体が真性分子上のその部位に対して交差反応性であるように標的エピトープの高次構造を模倣することができなければならない(Moore,Chapter 2 in Synthetic Peptides A User’s guide,Grant編集、WH Freeman and Company:New York,1992,pp 63−67)。ペプチド免疫原は、雑多なThエピトープ、インベーシンドメインを用いて、およびHIVのためのペプチドベースのワクチンに対する構造的拘束を課して設計されてきた(米国特許第6,090,388号)。
【0026】
細胞で発現されるM2および天然M2上の高次構造決定基に結合する新しい抗体への長年にわたる切実な必要性が当技術分野に存在する。従って、インフルエンザウイルスに対するワクチンおよび治療薬を生成するためには、M2を模倣する適切なペプチドベースの免疫原が必要である。望ましくないT細胞応答によるエピトープ抑制を伴わずに部位特異的免疫応答を生じさせる合成ペプチド免疫原を提供することは望ましい。ペプチドベースの抗M2e免疫原は、キャリアが誘導する有害な免疫抑制を伴わずに防御免疫のためのヒトにおける早期かつ強力な免疫応答を惹起すべきである。ペプチド免疫原はまた、安定で化学的に明確であるべきであって、製造および品質管理を容易にするため、複雑な下流処理を必要とすることなしに、複雑な生産プラントの必要性を回避するべきである。
【0027】
M2は、インフルエンザウイルスの表面およびウイルスに感染した細胞にホモ四量体として存在する96アミノ酸の膜貫通タンパク質である。M2は、インフルエンザA型株全体にわたって高度に保存されている23アミノ酸のエクトドメイン(M2e)を含む。1918年の汎流行株以来、ほとんどアミノ酸変化が起こっておらず、従ってM2eはインフルエンザ治療のための魅力的な標的である。M2eの免疫原性エピトープを組み込んだペプチドは、本発明の好ましい態様を形成する。
【0028】
これらのエピトープと同じ特徴を有するミモトープ、およびIgE分子に関連してIgEエピトープと交差反応する、免疫応答を生じさせるそのようなミモトープを含む免疫原も、本発明の一部を形成する。
【0029】
本発明は、それ故、これらのIgEエピトープ自体、およびそれらの任意のミモトープを包含する単離ペプチドを含む。ミモトープの意味は、天然M2eエピトープを認識する抗体によって認識され得るように(Gheysen,H.M.ら、1986,Synthetic peptides as antigens.Wiley,Chichester,Ciba foundation symposium 119,pl30−149;Gheysen,H.M.,1986,Molecular Immunology,23,7,709−715)、または適切なキャリアと結合した場合、天然M2eエピトープと交差反応する抗体を惹起することができるように、天然M2eエピトープに十分に類似する実体と定義される。
【0030】
M2eペプチド免疫原をスクリーニングするためのモノクローナル抗体
ペプチド免疫原をスクリーニングするために使用される抗体を、本明細書ではhuM2e抗体と称する。使用されるモノクローナル抗体は、M2エクトドメイン(M2e)に特異的であり、細胞系統において発現される完全長M2に由来する。huM2e抗体は、M2トランスフェクト細胞上の高次構造決定基、ならびにインフルエンザ感染細胞またはウイルス自体の天然M2に結合する。huM2e抗体は線状M2eペプチドに結合しないが、細胞系統へのcDNAトランスフェクション後に発現されるいくつかの自然M2変異体には結合する。ヒトモノクローナル抗体は、非常に広い範囲のインフルエンザA型ウイルス株に対して特異性を示す。
【0031】
huM2e抗体は以下の特徴の1つ以上を有する:huM2e抗体は、a)インフルエンザウイルスのマトリックス2(M2)ポリペプチドの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する;b)インフルエンザA型感染細胞に結合する;および/またはc)インフルエンザA型ウイルス(すなわちビリオン)に結合する。本発明のhuM2e抗体は、ADCCなどの免疫エフェクター機構を介してインフルエンザ感染細胞を除去し、インフルエンザビリオン(viron)への結合によって直接のウイルス排除を促進する。本発明のhuM2e抗体は、M2eポリペプチドのアミノ末端領域に結合する。好ましくは、本発明のhuM2e抗体は、N末端メチオニン残基が存在しないM2eポリペプチドのアミノ末端領域に結合する。例示的なM2e配列は、以下の表1に列挙される配列を含む。
【0032】
【表1−1】

【0033】
【表1−2】

1つの実施形態では、本発明のペプチド免疫原は、M2eの2位から7位までのアミノ酸残基(SLLTEV)を全面的にまたは部分的に含有するM2eペプチドを含む。huM2e抗体は、本発明のペプチド免疫原を含むアミノ酸配列SLLTE(配列番号:47)に全面的にまたは部分的に結合する。
【0034】
ペプチド免疫原に結合する例示的なhuM2eモノクローナル抗体は、本明細書に記載する8I10、21B15および23K12抗体である。
【0035】
8I10抗体は、配列番号:89において以下に示す核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号:88)、および配列番号:91に示す核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号:90)を含む。
【0036】
以下の配列において、Chothia,C.ら(1989,Nature,342:877−883)によって定義されたCDRを包含するアミノ酸に下線を付し、Kabat E.A.ら(1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版、NIH Publication no.91−3242 U.S.Department of Heath and Human Services.)によって定義されたものを太字で強調する。
【0037】
8I10抗体の重鎖CDRは、Kabatの定義に従った以下の配列:NYYWS(配列番号:92)、FIYYGGNTKYNPSLKS(配列番号:93)およびASCSGGYCILD(配列番号:94)を有する。8I10抗体の軽鎖CDRは、Kabatの定義に従った以下の配列:RASQNIYKYLN(配列番号:95)、AASGLQS(配列番号:96)およびQQSYSPPLT(配列番号:97)を有する。
【0038】
8I10抗体の重鎖CDRは、Chothiaの定義に従った以下の配列:GSSISN(配列番号:98)、FIYYGGNTK(配列番号:99)およびASCSGGYCILD(配列番号:94)を有する。8I10抗体の軽鎖CDRは、Chothiaの定義に従った以下の配列:RASQNIYKYLN(配列番号:95)、AASGLQS(配列番号:96)およびQQSYSPPLT(配列番号:97)を有する。
【0039】
【化1】

21B15抗体は、配列番号:101において以下に示す核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号:100)、および配列番号:103に示す核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号:102)を含む。
【0040】
以下の配列において、Chothiaら、1989によって定義されたCDRを包含するアミノ酸に下線を付し、Kabatら、1991によって定義されたものを太字で強調する。
【0041】
21B15抗体の重鎖CDRは、Kabatの定義に従った以下の配列:NYYWS(配列番号:92)、FIYYGGNTKYNPSLKS(配列番号:93)およびASCSGGYCILD(配列番号:94)を有する。21B15抗体の軽鎖CDRは、Kabatの定義に従った以下の配列:RASQNIYKYLN(配列番号:95)、AASGLQS(配列番号:96)およびQQSYSPPLT(配列番号:97)を有する。
【0042】
21B15抗体の重鎖CDRは、Chothiaの定義に従った以下の配列:GSSISN(配列番号:98)、FIYYGGNTK(配列番号:93)およびASCSGGYCILD(配列番号:94)を有する。21B15抗体の軽鎖CDRは、Chothiaの定義に従った以下の配列:RASQNIYKYLN(配列番号:95)、AASGLQS(配列番号:96)およびQQSYSPPLT(配列番号:97)を有する。
【0043】
【化2】

23K12抗体は、配列番号:105において以下に示す核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号:104)、および配列番号:107に示す核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号:106)を含む。
【0044】
以下の配列において、Chothiaら、1989によって定義されたCDRを包含するアミノ酸に下線を付し、Kabatら、1991によって定義されたものを太字で強調する。
【0045】
23K12抗体の重鎖CDRは、Kabatの定義に従った以下の配列:SNYMS(配列番号:108)、VIYSGGSTYYADSVK(配列番号:109)およびCLSRMRGYGLDV(配列番号:110)を有する。23K12抗体の軽鎖CDRは、Kabatの定義に従った以下の配列:RTSQSISSYLN(配列番号:111)、AASSLQSGVPSRF(配列番号:112)およびQQSYSMPA(配列番号:113)を有する。
【0046】
23K12抗体の重鎖CDRは、Chothiaの定義に従った以下の配列:GFTVSSN(配列番号:114)、VIYSGGSTY(配列番号:115)およびCLSRMRGYGLDV(配列番号:110)を有する。23K12抗体の軽鎖CDRは、Chothiaの定義に従った以下の配列:RTSQSISSYLN(配列番号:111)、AASSLQSGVPSRF(配列番号:112)およびQQSYSMPA(配列番号:113)を有する。
【0047】
【化3】

特に定義されない限り、本発明に関連して使用される学術および技術用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有する。さらに、特に文脈によって要求されない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むものとする。一般に、本明細書に記載する細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド化学およびハイブリダイゼーションに関連して、およびその技術に関連して使用される名称は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(たとえば電気穿孔、リポフェクション)には標準的な技術を使用する。酵素反応および精製技術は、製造者の仕様書に従ってまたは当技術分野において一般的に行われるようにまたは本明細書に記載するように実施する。本発明の実施は、特に異なる指示がない限り、当技術分野の技術範囲内のウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学および組換えDNA技術の従来の方法を使用し、それらの多くを例示のために以下に記載する。そのような技術は文献において十分に説明されている。たとえば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I & II(D.Glover編集);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編集、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.Hames & S.Higgins編集、1985);Transcription and Translation(B.Hames & S.Higgins編集、1984);Animal Cell Culture(R.Freshney編集、1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)参照。
【0048】
本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学に関連して、ならびにそれらの実験手順および技術に関連して使用される名称は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。化学合成、化学分析、薬剤の調製、製剤および送達、ならびに患者の処置には標準的な技術を使用する。
【0049】
定義
以下の定義は本発明を理解するうえで有用である:
本明細書で使用される「抗体」(Ab)という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(たとえば二重特異性抗体)、および所望の生物活性を示す限り、抗体フラグメントを含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書では「抗体」と交換可能に使用される。
【0050】
「単離された抗体」は、その天然環境の成分から分離されたおよび/または回収されたものである。その天然環境の夾雑成分は、抗体の診断的または治療的使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。好ましい実施形態では、抗体を、(1)ローリー法によって測定した場合に抗体の95重量%を超えるまで、最も好ましくは99重量%を超えるまで;(2)スピニングカップ配列決定装置を使用することによってN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで;または(3)クマシーブルーもしくは、好ましくは銀染色を用いて還元もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEによって均一になるまで、精製する。単離された抗体は、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞内にインサイチュで抗体を含む。しかし通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0051】
基本的な4本鎖の抗体ユニットは、2本の同一の軽(L)鎖および2本の同一の重(H)鎖から成るヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、基本的なヘテロ四量体ユニットとそれに付随するJ鎖と呼ばれる付加的なポリペプチドの5個から成り、それ故10の抗原結合部位を含み、一方分泌型IgA抗体は、重合して、基本的4本鎖ユニットと付随するJ鎖の2〜5個を含む多価集合体を形成することができる。IgGの場合、4本鎖ユニットは一般に約150,000ダルトンである。各々のL鎖は1つのジスルフィド共有結合によってH鎖に連結され、一方2本のH鎖は、H鎖のアイソタイプに依存して1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。各々のH鎖およびL鎖はまた、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各々のH鎖は、N末端に可変ドメイン(V)を有し、続いてα鎖およびγ鎖の各々について3つの定常ドメイン(C)、そしてμおよびεアイソタイプについて4つのCドメインを有する。各々のL鎖は、N末端に可変ドメイン(V)を有し、続いてその他方の末端に定常ドメイン(C)を有する。VはVと整列し、Cは重鎖の第1定常ドメイン(C1)と整列している。特定のアミノ酸残基が軽鎖および重鎖可変ドメインの間の界面を形成すると考えられている。VおよびVが一緒に対合して単一抗原結合部位を形成する。抗体の種々のクラスの構造および特性については、たとえば、Basic and Clinical Immunology,第8版、Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(編集)、Appleton & Lange,Norwalk,Conn.,1994,page 71,and Chapter 6参照。
【0052】
任意の脊椎動物種からのL鎖は、それらの定常ドメイン(C)のアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なる型のうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖定常ドメイン(C)のアミノ酸配列に基づき、免疫グロブリンを種々のクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、それぞれアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)と称される重鎖を有する。γおよびαクラスは、C配列および機能の比較的小さな相違に基づきサブクラスへとさらに分類され、たとえば、ヒトは以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2を発現する。
【0053】
「可変」という用語は、Vドメインの特定のセグメントが、抗体間で配列に大きな相違があるという事実を指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を規定する。しかし、可変性は、可変ドメインの110アミノ酸の長さ全体にわたって均一に分布しているわけではない。そうではなく、V領域は、各々9〜12アミノ酸長の「超可変領域」と呼ばれる極めて可変性のより短い領域によって分けられた、15〜30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の範囲から成る。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々、大部分がβシート構造をとり、3つの超可変領域によって連結された4つのFRを含み、それらは、βシート構造を連結し、一部の場合にはβシート構造の一部を形成するループを形成する。各々の鎖内の超可変領域は、FRによって極めて近接して一緒に保持され、他方の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版、Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)への抗体の関与などの、様々なエフェクター機能を示す。
【0054】
本明細書で使用される場合「超可変領域」という用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基(たとえばV中のおよその残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)付近、ならびにV中のおよそ1〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3)付近;Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版、Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))ならびに/または「超可変ループ」からの残基(たとえばV中の残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)、ならびにV中の26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3);ChothiaとLesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含む。
【0055】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る、天然に生じる可能性がある変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一抗原部位に対して誘導される。さらに、種々の決定基(エピトープ)に対して誘導される種々の抗体を含むポリクローナル抗体調製物と対照的に、各々のモノクローナル抗体は抗原上の単一決定基に対して誘導される。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成し得るという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、任意の特定方法による抗体の生産を必要とすると解釈されるべきではない。たとえば、本発明において有用なモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature,256:495(1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ法によって調製し得るか、または細菌細胞、真核動物細胞もしくは植物細胞中で組換えDNA法を用いて作製し得る(たとえば米国特許第4,816,567号参照)。「モノクローナル抗体」はまた、たとえばClacksonら、Nature,352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載されている技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離し得る。
【0056】
本明細書中のモノクローナル抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同であり、一方、鎖(1つ以上)の残りの部分は、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体、ならびに、所望の生物活性を示す限り、そのような抗体のフラグメントを包含する(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)参照)。本発明は、ヒト抗体に由来する可変ドメイン抗原結合配列(variable domainantigen−binding dequence)を提供する。従って、本明細書における(hjerein)主要対象のキメラ抗体は、1つ以上のヒト抗原結合配列(たとえばCDR)を有し、且つ非ヒト抗体に由来する1つ以上の配列、たとえばFRまたはC領域配列を含む抗体を包含する。加えて、本明細書における主要対象のキメラ抗体は、1つの抗体クラスまたはサブクラスのヒト可変ドメイン抗原結合配列、および別の抗体クラスまたはサブクラスに由来する別の配列、たとえばFRまたはC領域配列を含むものを包含する。本明細書における対象のキメラ抗体はまた、本明細書に記載するものに関連するまたは非ヒト霊長動物(たとえば旧世界ザル、類人猿等)のような異なる種に由来する可変ドメイン抗原結合配列を含むものも包含する。キメラ抗体はまた、霊長動物化およびヒト化抗体を包含する。
【0057】
さらに、キメラ抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも認められない残基を含み得る。これらの改変は、抗体性能をさらに改良するために行われる。さらなる詳細については、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)参照。
【0058】
「ヒト化抗体」は、一般に、非ヒトであるソースから1つ以上のアミノ酸残基がその中に導入されたヒト抗体であるとみなされる。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「輸入」残基と称され、典型的には「輸入」可変ドメインから取られる。ヒト化は、伝統的にWinterと共同研究者の方法(Jonesら、Nature,321:522−525(1986);Reichmannら、Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science,239:1534−1536(1988))に従って、輸入超可変領域配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって実施される。従って、そのような「ヒト化」抗体は、無傷ヒト可変ドメインよりも実質的に少ない部分が非ヒト種からの対応する配列によって置換されたキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。
【0059】
「ヒト抗体」は、ヒトによって天然に産生される抗体中に存在する配列だけを含む抗体である。しかし、本明細書で使用される場合、ヒト抗体は、本明細書に記載する改変および変異体配列を含む、天然に存在するヒト抗体では認められない残基または改変を含み得る。これらは、典型的には抗体性能をさらに改良するまたは増強するために行われる。
【0060】
「無傷」抗体は、抗原結合部位ならびにCおよび少なくとも重鎖定常ドメイン、C1、C2およびC3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(たとえばヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であり得る。好ましくは、無傷抗体は1つ以上のエフェクター機能を有する。
【0061】
「抗体フラグメント」は、無傷抗体の一部、好ましくは無傷抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)およびFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号;Zapataら、Protein Eng.8(10):1057−1062[1995]参照);一本鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を包含する。
【0062】
抗体の「機能的フラグメントまたは類似体」という語句は、完全長抗体と共通の定性的生物活性を有する化合物である。たとえば、抗IgE抗体の機能的フラグメントまたは類似体は、IgE免疫グロブリン分子が高親和性受容体、FcεRIに結合する能力を有することを防止するまたは前記能力を実質的に低減するようにIgE免疫グロブリンに結合することができるものである。
【0063】
抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、および残りの「Fc」フラグメントを生成し、Fcフラグメントの名称は、容易に結晶化する能力を反映する。Fabフラグメントは、L鎖の全長、およびH鎖の可変領域ドメイン(V)と1本の重鎖の第1定常ドメイン(C1)から成る。各々のFabフラグメントは抗原結合に関して一価である、すなわち単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合したFabフラグメントにおおよそ対応し、まだ抗原を架橋することができる、単一の大きなF(ab’)フラグメントを生成する。Fab’フラグメントは、C1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む付加的な数個の残基を有することによって、Fabフラグメントとは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(1つ以上)が遊離チオール基を担持するFab’についての本明細書における名称である。F(ab’)抗体フラグメントは、もともと、それらの間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として作製された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも公知である。
【0064】
「Fc」フラグメントは、ジスルフィドによって共に保持される両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能はFc領域の配列によって決定され、この領域はまた、特定の細胞型上で認められるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。
【0065】
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小抗体フラグメントである。このフラグメントは、密接に非共有結合した1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインとの二量体から成る。これらの2つのドメインの折りたたみから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖から各々3つのループ)が生じる。しかし、単一可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)でも、結合部位全体より低い親和性であるが、抗原を認識してそれに結合する能力を有する。
【0066】
「sFv」または「scFv」とも略記される「一本鎖Fv」は、1本のポリペプチド鎖に連結されたVおよびV抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、VドメインとVドメインの間に、sFvが抗原結合のために所望構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,RosenburgとMoore編集、Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994);Borrebaeck 1995、下記参照。
【0067】
「ダイアボディ」という用語は、Vドメインの鎖内ではなく鎖間の対合が達成されて、二価フラグメント、すなわち2つの抗原結合部位を有するフラグメントを生じるように、VドメインとVドメインの間に短いリンカー(約5〜10残基)を有するsFvフラグメント(前の段落参照)を構築することによって調製される小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVドメインとVドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する、2つの「クロスオーバー」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。ダイアボディは、たとえば欧州特許第EP 404,097号;国際公開公報WO 93/11161;およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)においてより詳細に説明されている。
【0068】
本明細書で使用される、「内部移行する」抗体は、哺乳動物細胞上の抗原(たとえば細胞表面ポリペプチドまたは受容体)に結合したとき細胞によって取り込まれる(すなわち進入する)ものである。内部移行する抗体は、言うまでもなく、抗体フラグメント、ヒトまたはキメラ抗体、および抗体コンジュゲートを含む。特定の治療適用に関しては、インビボでの内部移行が企図される。内部移行する抗体分子の数は、細胞、特に感染細胞を死滅させるまたはその成長を阻害するのに十分であるまたは適切である。抗体または抗体コンジュゲートの効力に依存して、一部の場合には、1個の抗体分子の細胞内への取り込みが、抗体が結合する標的細胞を死滅させるのに十分である。たとえば、特定の毒素は死滅させることに関して極めて強力であり、抗体に結合した毒素の1個の分子の内部移行が感染細胞を死滅させるのに十分である。
【0069】
本明細書で使用される、抗体は、検出可能なレベル、好ましくは約10−1以上、または約10−1以上、約10−1以上、約10−1以上、または10−1以上の親和性定数Kで抗原と反応する場合、「免疫特異的」である、抗原に「特異的」である、または抗原に「特異的に結合する」と言われる。抗体のその同系の抗原に対する親和性はまた、一般に解離定数Kとしても表され、ある実施形態では、HuM2e抗体は、10−4M以下、約10−5M以下、約10−6M以下、10−7M以下、または10ー8M以下のKで結合する場合、M2eに特異的に結合する。抗体の親和性は、従来の技術、たとえばScatchardら(Ann.N.Y.Acad.Sci.USA 51:660(1949))によって記述されている技術を用いて容易に決定することができる。
【0070】
抗原、細胞またはその組織への抗体の結合特性は、一般に、たとえば免疫組織化学(IHC)および/または蛍光活性化細胞選別(FACS)などの免疫蛍光に基づくアッセイを含む免疫検出方法を用いて決定および評価され得る。
【0071】
指定された抗体の「生物学的特徴」を有する抗体は、その抗体を他の抗体から区別するその抗体の生物学的特徴のうちの1つ以上を保有するものである。たとえば、ある実施形態では、指定された抗体の生物学的特徴を有する抗体は、指定された抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合するおよび/または指定された抗体と共通のエフェクター機能を有する。
【0072】
「アンタゴニスト」抗体という用語は、最も広い意味で使用され、それが特異的に結合するエピトープ、ポリペプチドまたは細胞の生物活性を部分的にまたは完全にブロックする、阻害する、または中和する抗体を含む。アンタゴニスト抗体を同定するための方法は、候補アンタゴニスト抗体が特異的に結合するポリペプチドまたは細胞を候補アンタゴニスト抗体と接触させること、および前記ポリペプチドまたは細胞に通常関連する1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0073】
「感染細胞の増殖を阻害する抗体」または「増殖阻害性」抗体は、抗体によって結合されるM2eエピトープを発現するまたは発現することができる感染細胞に結合し、その測定可能な増殖阻害をもたらすものである。好ましい増殖阻害性抗体は、感染細胞の増殖を、適切な対照と比較して20%を超えて、好ましくは約20%〜約50%、さらに一層好ましくは50%を超えて(たとえば約50%〜約100%)阻害し、前記対照は、典型的には試験される抗体で処理していない感染細胞である。増殖阻害は、細胞培養物中約0.1〜30μg/mlまたは約0.5nM〜200nMの抗体濃度で測定することができ、感染細胞を抗体に曝露した1〜10日後に増殖阻害を測定する。インビボでの感染細胞の増殖阻害は、当技術分野で公知の様々な方法で測定できる。約1μg/kg体重〜約100mg/kg体重の抗体の投与が、抗体の最初の投与から約5日〜3か月以内、好ましくは約5〜30日以内に、感染細胞の割合または感染細胞の総数の減少を生じさせる場合、抗体はインビボで増殖阻害性である。
【0074】
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞の収縮、小胞体の拡張、細胞の断片化、および/または膜小胞(アポトーシス小体と呼ばれる)の形成によって測定される、プログラムされた細胞死を誘導するものである。好ましくは、細胞は感染細胞である。様々な方法が、アポトーシスに関連する細胞事象を評価するために利用可能である。たとえば、ホスファチジルセリン(PS)のトランスロケーションはアネキシン結合によって測定でき、DNAの断片化はDNAラダリング(laddering)を介して評価でき、そしてDNA断片化を伴う核/クロマチン凝縮は、低二倍体細胞の何らかの増加によって評価することができる。好ましくは、アポトーシスを誘導する抗体は、アネキシン結合アッセイにおいて、未処理細胞と比較して約2〜50倍、好ましくは約5〜50倍、最も好ましくは約10〜50倍の、アネキシン結合の誘導を生じさせるものである。
【0075】
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例は、C1q結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(たとえばB細胞受容体)の下方調節;ならびにB細胞活性化を含む。
【0076】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(たとえばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌型Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、その後標的細胞を細胞毒で死滅させることを可能にする、細胞傷害性の形態を指す。抗体は細胞傷害性細胞を「強化し」、そしてそのような死滅のために必要である。ADCCを媒介するための主要細胞であるNK細胞はFcγRIIIだけを発現するが、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血系細胞上でのFcR発現は、RavetchとKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991)の464ページの表3に要約されている。対象とする分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または米国特許第5,821,337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施し得る。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいはまたは加えて、対象とする分子のADCC活性をインビボで、たとえばClynesら、PNAS(USA)95:652−656(1998)に開示されているような動物モデルにおいて感知できる。
【0077】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。ある実施形態では、FcRは天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的にスプライシングされた形態を包含する。FCγRII受容体は、主としてその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)を含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含む(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)における総説M.参照)。FcRは、RavetchとKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capelら、Immunomethods 4:25−34(1994);およびde Haasら、J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)において総説されている。将来同定されるものを含む、他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。この用語はまた、母性IgGの胎児への移行の役割を担う、新生児受容体FcRnも包含する(Guyerら、J.Immunol.117:587(1976)およびKimら、J.Immunol.24:249(1994))。
【0078】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を遂行する白血球である。好ましくは、細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を遂行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、PBMC、NK細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球を含み、PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は天然のソースから、たとえば血液から単離し得る。
【0079】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典補体経路の活性化は、補体系の第1成分(C1q)が、その同系の抗原に結合している(適切なサブクラスの)抗体に結合することによって開始される。補体の活性化を評価するために、たとえばGazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているような、CDCアッセイを実施し得る。
【0080】
「インフルエンザA型」および「インフルエンザウイルスA型」という用語は、ウイルスのOrthomyxoviridae科の属を指す。インフルエンザウイルスA型は、1つの種、すなわち鳥類、ヒト、ブタおよびウマにおいてインフルエンザを引き起こすインフルエンザA型ウイルスだけを含む。インフルエンザA型ウイルスのすべての亜型の株が野鳥類から単離されているが、疾患はまれである。インフルエンザA型ウイルスの一部の分離株は、家禽および、まれに、ヒトの両方において重篤な疾患を引き起こす。
【0081】
感染症を処置することを目的とする「哺乳動物」は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ等のような、家畜および農場動物(domestic and farm animals)、ならびに動物園動物、競技用動物またはペット動物を含む、任意の哺乳動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0082】
「処置すること」または「処置」または「緩和」は、治療的処置および予防的または防御的手段の両方を指し、その目的は、標的とする病的状態または障害を予防するまたは鈍化(軽減)させることである。処置を必要とするものは、既に障害を有するものならびに障害に罹患しやすいものまたは障害が予防されるべきであるものを含む。被験者または哺乳動物は、本発明の方法に従って治療量の抗体を摂取した後、患者が以下の1つ以上の観測可能および/または測定可能な低減または不在を示す場合、感染症に関して成功裏に「処置」される:感染細胞の数の減少もしくは感染細胞の不在;全細胞中の感染細胞の割合の低下;および/または特定の感染症に関連する1つ以上の症状のある程度の軽減;罹患率および死亡率の低下、ならびに生活の質の問題の改善。処置の成功および疾患の改善を評価するための上記パラメーターは、医師が精通する常套的手順によって容易に測定可能である。
【0083】
「治療有効量」という用語は、被験者または哺乳動物において疾患または障害を「処置する」ために有効な抗体または薬剤の量を指す。「処置すること」の前記の定義参照。
【0084】
「長期」投与は、初期治療効果(活性)を長期間にわたって維持するための、急性方式に対して、連続的な方式での薬剤(1つ以上)の投与を指す。「間欠的」投与は、連続的には行われないが、中断を伴わない、むしろ実際には周期的な治療である。
【0085】
1つ以上のさらなる治療剤「と組み合わせた」投与は、同時(並行)投与および任意の順序での連続投与を含む。
【0086】
本明細書中で使用される「キャリア」は、使用される投与量および濃度で、それに曝露される細胞または哺乳動物に対して無毒性である、薬学的に許容され得るキャリア、賦形剤または安定剤を含む。しばしば、生理的に許容され得るキャリアはpH緩衝水溶液である。生理的に許容され得るキャリアの例は、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/またはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)およびPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0087】
本明細書で使用される「標識」は、「標識された」抗体を生成するために抗体に直接または間接的に結合される検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体で検出可能であり得るか(たとえば放射性同位体標識もしくは蛍光標識)または、酵素標識の場合は、検出可能な基質化合物もしくは組成物の化学変換を触媒し得る。
【0088】
本明細書で使用される「エピトープタグ化された」という用語は、「タグポリペプチド」に融合したポリペプチドを含むキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、それに対する抗体を作製できるエピトープを提供するのに十分な残基を有するが、それが融合されるポリペプチドの活性を妨げない程度に十分に短い。タグポリペプチドはまた、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に少なくとも6アミノ酸残基を有し、通常は約8〜50アミノ酸残基(好ましくは約10〜20アミノ酸残基)を有する。
【0089】
「低分子」は、本明細書では約500ダルトンより低い分子量を有すると定義される。
【0090】
「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、一本鎖または二本鎖RNA、DNA、または混合ポリマーを指す。ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現するまたはポリペプチドを発現するように適合され得るゲノム配列、ゲノム外配列およびプラスミド配列、ならびにより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。
【0091】
「単離された核酸」は、他のゲノムDNA配列ならびに天然配列に天然に付随するリボソームおよびポリメラーゼなどのタンパク質または複合体から実質的に分離された核酸である。この用語は、その天然に存在する環境から取り出された核酸配列を包含し、組換えまたはクローン化されたDNA単離物および化学合成された類似体または異種系によって生物学的に合成された類似体を含む。実質的に純粋な核酸は、単離された形態の核酸を含む。言うまでもなく、これは、最初に単離されたままの核酸を指し、単離された核酸に後から人為的に付加された遺伝子または配列を排除しない。
【0092】
「ポリペプチド」という用語は、その従来の意味で、すなわち、アミノ酸の配列として使用される。ポリペプチドは、生成物の特定の長さに限定されない。ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質はポリペプチドの定義内に含まれ、そのような用語は、特に他を指示しない限り、本明細書では交換可能に使用され得る。この用語はまた、ポリペプチドの発現後改変、たとえばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等、ならびに天然に存在するものおよび天然には存在しないものの両方の、当技術分野で公知の他の改変を指さないかまたは排除しない。ポリペプチドは、タンパク質全体またはそのサブ配列であり得る。本発明に関連して対象とする特定のポリペプチドは、CDRを含み、抗原またはインフルエンザA型感染細胞に結合することができるアミノ酸サブ配列である。
【0093】
「単離されたポリペプチド」は、その天然環境の成分から同定され、分離され、および/または回収されたものである。好ましい実施形態では、単離されたポリペプチドを、(1)ローリー法によって測定した場合にポリペプチドの95重量%を超えるまで、最も好ましくは99重量%を超えるまで;(2)スピニングカップ配列決定装置を使用することによってN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで;または(3)クマシーブルーもしくは、好ましくは銀染色を用いて還元もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEによって均一になるまで、精製する。単離されたポリペプチドは、ポリペプチドの天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内にインサイチュでポリペプチドを含む。しかし通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0094】
「天然配列」のポリヌクレオチドは、天然に由来するポリヌクレオチドと同じヌクレオチド配列を有するものである。「天然配列」のポリペプチドは、天然に由来する(たとえば任意の種に由来する)ポリペプチド(たとえば抗体)と同じアミノ酸配列を有するものである。そのような天然配列のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、天然から単離することができるか、または組換えもしくは合成手段によって生産できる。
【0095】
ポリヌクレオチド「変異体」は、この用語が本明細書で使用される場合、典型的には、1つ以上の置換、欠失、付加および/または挿入において本明細書で具体的に開示するポリヌクレオチドと異なるポリヌクレオチドである。そのような変異体は、天然に生じ得るか、または、たとえば本発明のポリヌクレオチド配列の1つ以上を改変し、コードされるポリペプチドの1つ以上の生物活性を本明細書に記載するようにおよび/もしくは当技術分野で周知の多くの技術のいずれかを用いて評価することにより、合成によって生成し得る。
【0096】
ポリペプチド「変異体」は、この用語が本明細書で使用される場合、典型的には、1つ以上の置換、欠失、付加および/または挿入において本明細書で具体的に開示するポリペプチドと異なるポリペプチドである。そのような変異体は、天然に生じ得るか、または、たとえば本発明の上記ポリペプチド配列の1つ以上を改変し、ポリペプチドの1つ以上の生物活性を本明細書に記載するようにおよび/もしくは当技術分野で周知の多くの技術のいずれかを用いて評価することによって、合成によって生成し得る。
【0097】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造に改変を行ってもよく、それでもなお望ましい特徴を有する変異体または誘導体ポリペプチドをコードする機能的分子が得られ得る。本発明のポリペプチドの等価物、さらには改善された変異体または本発明のポリペプチドの一部を作製するためにポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることを所望する場合、当業者は、典型的にはコードDNA配列のコドンの1つ以上を変化させる。
【0098】
たとえば、タンパク質構造において、他のポリペプチド(たとえば抗原)または細胞に結合するその能力の感知できるほどの損失を伴わずに特定のアミノ酸で他のアミノ酸を置換し得る。タンパク質の生物学的機能活性を規定するのはタンパク質の結合能力および性質であるので、特定のアミノ酸配列置換をタンパク質配列内で、および、言うまでもなくその基礎となるDNAコード配列内で行うことができ、それでもなお同様の特性を有するタンパク質を得ることができる。従って、開示される組成物のペプチド配列、または前記ペプチドをコードする対応するDNA配列において、その生物学的有用性または活性の感知できるほどの損失を伴わずに様々な変更を行い得ることが企図される。
【0099】
多くの場合、ポリペプチド変異体は1つ以上の保存的置換を含む。「保存的置換」は、ペプチド化学の分野の当業者がポリペプチドの二次構造およびヒドロパシー特性が実質的に変化しないと予想するような、1つのアミノ酸で、同様の特性を有する別のアミノ酸を置換するものである。
【0100】
そのような変更を行う場合、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮し得る。タンパク質に相互作用性の生物学的機能を付与するうえでのヒドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当技術分野において一般的に理解されている(KyteとDoolittle,1982)。アミノ酸の相対的ヒドロパシー特性が、生じるタンパク質の二次構造に寄与し、ひいてはそれがタンパク質と他の分子、たとえば酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原等との相互作用を規定することは広く認められている。各々のアミノ酸は、その疎水性および電荷特徴に基づいてヒドロパシー指数が割り当てられている(KyteとDoolittle,1982)。これらの値は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタメート(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパルテート(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
【0101】
特定のアミノ酸を、類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換してもよく、それでもなお類似の生物活性を有するタンパク質を生じ得る、すなわち、まだ生物学的機能において等価のタンパク質を得られ得ることは当技術分野において公知である。そのような変更を行う場合、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものがさらに一層好ましい。また、類似のアミノ酸の置換は、親水性に基づいて有効に実施できることも理解されている。米国特許4,554,101号は、その隣接アミノ酸の親水性によって支配される、タンパク質の最大局所平均親水性がタンパク質の生物学的特性と相関すると述べている。
【0102】
米国特許4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパルテート(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。1つのアミノ酸で類似の親水性値を有する別のアミノ酸を置換することができ、それでもなお生物学的に等価の、特に免疫学的に等価のタンパク質を入手できることは理解されている。そのような変更においては、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものがさらに一層好ましい。
【0103】
上記で概説したように、アミノ酸置換は、それ故、一般にアミノ酸側鎖置換基の相対的類似度、たとえばそれらの疎水性、親水性、電荷、大きさ等に基づく。様々な上記特徴を考慮に入れた例示的な置換は当業者に周知であり、アルギニンとリシン;グルタメートとアスパルテート;セリンとトレオニン;グルタミンとアスパラギン;ならびにバリン、ロイシンおよびイソロイシンを含む。
【0104】
アミノ酸置換は、さらに、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性特性の類似度に基づいて行い得る。たとえば、負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含み;正に荷電したアミノ酸は、リシンおよびアルギニンを含み;そして類似の親水性値を有する非荷電極性頭部基を有するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンを含む。保存的変化を示し得るアミノ酸の他の群は、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisを含む。変異体は、同様にまたは選択的に、非保存的変化を含み得る。好ましい実施形態では、変異体ポリペプチドは、5個以下のアミノ酸の置換、欠失または付加によって天然配列と異なる。変異体は、同様に(または選択的に)、たとえばポリペプチドの免疫原性、二次構造およびヒドロパシー特性に最小限の影響を及ぼすアミノ酸の欠失または付加によって改変され得る。
【0105】
ポリペプチドは、翻訳と同時にまたは翻訳後にタンパク質の移動を指令する、タンパク質のN末端のシグナル(またはリーダー)配列を含み得る。ポリペプチドはまた、ポリペプチドの合成、精製もしくは同定を容易にするため(たとえばポリ−His)、またはポリペプチドの固体支持体への結合を増強するためにリンカーまたは他の配列に結合し得る。たとえば、ポリペプチドを免疫グロブリンFc領域に結合し得る。
【0106】
ポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列内のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載するように、最大一致するように整列したとき同じであれば、2つの配列は「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には配列を比較ウインドウにわたって比較することによって実施され、配列類似性に関する局所領域を特定しそして比較する。本明細書で使用される「比較ウインドウ」は、少なくとも約20の連続する位置、通常は30〜約75、40〜約50のセグメントを指し、1つの配列を、それと同じ数の連続する位置の参照配列と、それら2つの配列を最適に整列した後に比較し得る。
【0107】
比較のための配列の最適アラインメントは、バイオインフォマティクスソフトウエア(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)のLasergeneパッケージソフト中のMegalignプログラムを用いて、デフォルトパラメーターを使用して実施し得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載されているいくつかのアラインメントスキームを統合している:Dayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.In Dayhoff,M.O.(編集)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl. 3,pp.345−358;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.とSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.とMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.とSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.とLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0108】
あるいは、比較のための配列の最適アラインメントは、SmithとWaterman (1981)Add.APL.Math 2:482の局所同一性アルゴリズムによって、NeedlemanとWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonとLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムをコンピュータで実行することによって(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTA、Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WI)、または検査によって実施し得る。
【0109】
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するのに適したアルゴリズムの1つの好ましい例は、それぞれAltschulら(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載されている、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLASTおよびBLAST2.0は、たとえば本明細書に記載するパラメーターを用いて、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列同一性パーセントを決定するために使用できる。BLAST解析を実施するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公的に入手可能である。
【0110】
1つの説明例では、累積スコアは、ヌクレオチド配列に関しては、パラメーターM(マッチする残基の対についての報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティースコア;常に<0)を用いて計算することができる。各方向へのワードヒットの伸長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下した場合;1つ以上の負のスコアの残基アラインメントの蓄積により、累積スコアがゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムのパラメーターW、TおよびXがアラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとしてワード長(W)11および期待値(E)10を使用し、BLOSUM62スコアリング行列(HenikoffとHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915参照)アラインメントは、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を使用する。
【0111】
アミノ酸配列に関しては、累積スコアを計算するためにスコアリング行列が使用できる。各方向へのワードヒットの伸長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下した場合;1つ以上の負のスコアの残基アラインメントの蓄積により、累積スコアがゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムのパラメーターW、TおよびXがアラインメントの感度および速度を決定する。
【0112】
1つのアプローチでは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較することによって決定され、比較ウインドウ内のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントについての参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20%以下、通常は5〜15%、または10〜12%の付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列内で生じる位置の数を決定し、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を参照配列内の位置の総数(すなわちウインドウサイズ)で除し、結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0113】
「相同性」は、最大の相同性パーセントを達成するように配列を整列し、必要に応じてギャップを導入した後の、非変異体配列と同一であるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列変異体内の残基のパーセンテージを指す。特定実施形態では、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド変異体は、本明細書に記載するポリヌクレオチドまたはポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のポリヌクレオチドまたはポリペプチド相同性を有する。
【0114】
「ベクター」は、シャトルベクターおよび発現ベクターを含む。典型的には、プラスミド構築物はまた、それぞれ細菌中でのプラスミドの複製および選択のために、複製起点(たとえばColE1複製起点)および選択マーカー(たとえばアンピシリンまたはテトラサイクリン耐性)を含む。「発現ベクター」は、細菌細胞または真核細胞における、本発明の抗体フラグメントを含む抗体の発現のために必要な制御配列または調節エレメントを含有するベクターを指す。適切なベクターを以下に開示する。
【0115】
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、内容によって明らかに異なる指示が為されない限り、複数の言及を包含する。
【0116】
競合的阻害によってmAbの特異性および親和性を決定するための好ましい方法は、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988)、Colliganら編集、Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y., (1992,1993)、およびMuller,Meth.Enzymol.92:589−601(1983)に認めることができ、これらの参考文献は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
遊離もしくは複合形態の、または大型タンパク質に関連して天然配列として提示される場合の小さなペプチド配列を認識し、それらの配列に結合する、前記配列に対する本発明の抗体を惹起する技術は、当技術分野において周知である。そのような抗体は、当技術分野で公知のハイブリドーマまたは組換え技術によって作製されるマウス、マウス−ヒトおよびヒト−ヒト抗体を含む。
【0118】
8i10または23K12への特異的結合に関するペプチド免疫原のスクリーニング
本発明は、HuM2e抗体に結合するペプチド免疫原に関する。1つの実施形態では、抗体は、本明細書で8i10、21B15または23K12と称する抗体である。これらの抗体は、同じ細胞型の非感染対照細胞と比較してインフルエンザA型感染細胞への優先的または特異的結合を示すことが公知である。
【0119】
特定実施形態では、HuM2e抗体は、天然高次構造でのみ存在する、すなわち細胞中で発現されるM2e内のエピトープに結合する。特定実施形態では、これらの抗体は、単離されたM2eポリペプチド、たとえば23アミノ酸残基のM2eフラグメントには特異的に結合することができない。これらの抗体がM2ペプチドの非線状(すなわち高次構造)エピトープ(1つ以上)を認識することは理解されている。M2エクトドメイン(M2e)は、アミノ酸配列SLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSD(配列番号:326)およびその変異体(The Center for Disease Control(CDC)インフルエンザA型データベース、www.flu.lanl.gov/)を含むまたはそれらから成る。
【0120】
M2タンパク質内、特にM2e内の特異的高次構造エピトープは、被験者におけるインフルエンザ感染の発症を予防するためのワクチンとして使用できるペプチド免疫原として同定された。
【0121】
ペプチド免疫原配列は、合成ペプチドの生物学的機能を改善するために開発された、CLIPS(商標)(Chemically Linked Immunogenic Peptides on Scaffolds;PepScan)技術を用いた不連続エピトープマッピングによって同定された。CLIPSは、1つ以上のペプチドをその上に結合できる小さな化学的「足場」を使用する。ワクチン開発において、これらはタンパク質の天然構造に極めて類似するので、高次構造(または「不連続」)エピトープをマッピングするために理想的である。
【0122】
変異体M2ペプチドへの抗M2抗体の結合活性を、種々のM2ペプチドを使用してELISAアッセイで分析した。ヒト抗M2抗体番号Z3G1、8I10および23K12を試験で使用した。M2e配列を含むペプチドを、HuM2e抗体8I10および23K12に特異的に結合する能力に関してスクリーニングし、広いM2結合スペクトルを有する抗M2ヒトモノクローナル抗体Z3G1(ATCC寄託番号PTA−5967)に結合する能力と区別した。8I10および23K12を、天然高次構造に類似する条件下でM2およびM2eに結合する能力に関して特徴づけた。アッセイは、ペプチドの0.01μg/mLおよび0.001μg/mL濃度の両方で実施した。0.01μg/mLでは、1000以上のシグナルレベルを有意として選択し、0.001μg/mLでは、300以上のシグナルレベルを有意として選択した。8I10および23K12に強く結合する大部分のペプチドは、Z3G1にも結合する。
【0123】
【表2−1】

【0124】
【表2−2】

【0125】
【表2−3】

【0126】
【表2−4】

【0127】
【表2−5】

【0128】
【表2−6】

【0129】
【表2−7】

【0130】
【表2−8】

【0131】
【表2−9】

【0132】
【表2−10】

【0133】
【表2−11】

【0134】
【表2−12】

【0135】
【表2−13】

【0136】
【表2−14】

【0137】
【表2−15】

【0138】
【表2−16】

【0139】
【表2−17】

【0140】
【表2−18】

【0141】
【表2−19】

【0142】
【表2−20】

【0143】
【表2−21】

【0144】
【表2−22】

【0145】
【表2−23】

【0146】
【表2−24】

【0147】
【表2−25】

【0148】
【表2−26】

【0149】
【表2−27】

【0150】
【表2−28】

【0151】
【表2−29】

【0152】
【表2−30】

【0153】
【表2−31】

【0154】
【表2−32】

【0155】
【表2−33】

【0156】
【表3−1】

【0157】
【表3−2】

【0158】
【表3−3】

【0159】
【表3−4】

【0160】
【表3−5】

【0161】
【表3−6】

【0162】
【表3−7】

【0163】
【表3−8】

【0164】
【表3−9】

【0165】
【表3−10】

【0166】
【表3−11】

【0167】
【表3−12】

【0168】
【表3−13】

【0169】
【表3−14】

【0170】
【表3−15】

【0171】
【表3−16】

【0172】
【表3−17】

【0173】
【表3−18】

【0174】
【表3−19】

【0175】
【表3−20】

【0176】
【表3−21】

【0177】
【表3−22】

【0178】
【表3−23】

【0179】
【表3−24】

【0180】
【表3−25】

【0181】
【表3−26】

【0182】
【表3−27】

【0183】
【表3−28】

【0184】
【表3−29】

【0185】
【表3−30】

【0186】
【表3−31】

【0187】
【表3−32】

【0188】
【表3−33】

【0189】
【表3−34】

【0190】
【表3−35】

【0191】
【表3−36】

【0192】
【表3−37】

さらに、ペプチドを、23K21および8I10に特異的に結合するが、Z3Gには結合しない能力に関してスクリーニングした。1つのセットでは、Z3G1によっては認識されない、23K21および8I10に対して高い結合値を有するペプチドを同定した。2番目のセットでは、23K21および8I10によっては認識されない、Z3G1に対して高い結合値を有するペプチドを同定した。
【0193】
Z3G1には結合しない、23K12およびBI10に対して高い結合値を有するペプチド配列を低ストリンジェンシー(0.01μg/mL)条件(表4A)および高ストリンジェンシー(0.001μg/mL)条件(表4B)について同定した。
【0194】
【表4A】

【0195】
【表4B】

種々のストリンジェンシー条件でHuM2e抗体23K12/BI10に特異的に結合するペプチドの特性を分析した。抗体8i10および23k12は、SLLTEをそのコア配列とする高次構造エピトープに結合する。最も良好な23kl2結合体はSLLTEVGSLLTEV(配列番号:320)であり、これはZ3G1によっても認識される。最も良好な8i10結合体はCSLLTEVGSLLTEV(配列番号:283)であり、これはZ3G1によっても認識される。最高の特異的結合体はCSLLTECGSLLTCV(配列番号:463)である。結合配列は著しく高い数のシステインを含む。
【0196】
23K12およびBI10には結合しない、Z3G1に対して高い結合値を有するペプチド配列を低ストリンジェンシー(0.01μg/mL)条件(表5A)および高ストリンジェンシー(0.001μg/mL)条件(表5B)について同定した。
【0197】
【表5A】

【0198】
【表5B】

抗体8i10/23k12とZ3G1の間には結合特異性の明らかな相違が存在する。極めて最良の特異的結合体は、23k12/8i10より長い配列であり、二量体トポロジーを有さず、CLIPSも有さない。極めて最良の特異的結合体の中で、大部分は全長天然配列、MSLLTEVETPIRNEWGCRCN(配列番号:1149)である。0.01μg/mlでの結果は、LLXEVEXPIRN(配列番号:1594)がZ3G1結合エピトープのコアであることを示す。
【0199】
特異的結合モチーフは、0.001μg/mlスクリーニングから導くことができる。従って、mAb 23k12/8i10は、SLLTEをエピトープのコアとするM2eペプチドを認識する。S−L−L−T−E中のT残基は、23k12/8i10とZ3G1の間で、結合に差違をなす。これに対し、mAb Z3G1は、LLXEVEXPIRN(配列番号:1594)をエピトープのコアとするM2eを認識する。(表6Aおよび6B)。
【0200】
【表6A】

【0201】
【表6B】

ペプチド免疫原
特に、HuM2e 23k12/8i10に結合する本発明のペプチド免疫原は、S−L−L−T−Eのコア配列ならびにその変異体、改変型および多量体を含む。結合データから導かれる低ストリンジェンシー(0.01μg/mL)条件(図6A)および高ストリンジェンシー(0.001μg/mL)条件(図6B)についてのコア配列およびその変異体を図6Aおよび6Bに示す。
【0202】
一部の実施形態では、コア配列は、S−L−L−T−E−Xaa(式中、Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはVまたはCである)のC末端に第1付加アミノ酸を含む(図6C)。
【0203】
さらに、一部の実施形態では、コア配列は、S−L−L−T−E−Xaa−Xaa(式中、Xaaは任意のアミノ酸であるが、好ましくはEである)のC末端に第1付加アミノ酸を含む(図6C)。
【0204】
一部の実施形態では、ペプチド免疫原は、アミノ酸、好ましくはGまたはAなどの低分子アミノ酸によって連結された複数のコア配列を含む。しかし、αへリックスおよびβシートなどの規則的な二次構造エレメントの中央で構造破壊物質として働き得る、プロリンのようなアミノ酸はあまり望ましくない。本発明のペプチド免疫原中のコア配列の数は、1、2、3、4、5以上であり得る(図6D)。
【0205】
一部の実施形態では、N末端アミノ酸Xaaがペプチド免疫原中に存在する。Xaaは任意のアミノ酸であり得るが、好ましくはシステインである。一部の実施形態では、ペプチド免疫原を環化するためにN末端システインを利用する(図6E)。
【0206】
23K12/8I10結合に対して特に強い親和性を有するペプチド免疫原(線状または環状)を図6Fに示す。
【0207】
高ストリンジェンシー条件下でhuM2eモノクローナル抗体に結合する本発明のペプチド免疫原は、以下の式:
[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa
(式中、m、pおよびqは、独立して0または1であり、
nは0〜4の間の任意の数であり、
Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはCであり、
Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはVまたはCであり、
Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはEであり、
Xaaはプロリンを含まない任意のアミノ酸、好ましくはGまたはAであり、
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaaは、S−L−L−T−Eであるか、
または配列S−L−L−T−Eに1個の置換を有するペプチドであって、その置換は、
XaaがCまたはTであり、
XaaがA、C、FまたはKであり、
XaaがA、C、E、F、I、K、M、Q、S、TまたはVであり、そして
XaaがDまたはCである
から成る群より選択される)
によって表される。
【0208】
低ストリンジェンシー条件下でhuM2eモノクローナル抗体に結合する本発明のペプチド免疫原は、以下の式:
[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa
(式中、m、pおよびqは、独立して0または1であり、
nは0〜4の間の任意の数であり、
Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはCであり、
Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはVまたはCであり、
Xaaは任意のアミノ酸、好ましくはEであり、
Xaaはプロリンを含まない任意のアミノ酸、好ましくはGまたはAであり、
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaaは、S−L−L−T−Eであるか、または
配列S−L−L−T−Eに1個の置換を有するペプチドであって、その置換は、
XaaがA、C、D、L、TまたはVであり、
XaaがA、C、F、H、I、K、M、N、Q、R、T、WまたはYであり、
Xaaが任意のアミノ酸であり、
XaaがM、N、Q、SまたはWであり、そして
XaaがA、D、F、H、I、K、M、N、Q、S、W、YまたはCである
から成る群より選択される)
によって表される。
【0209】
線状および環状ペプチド免疫原の調製
線状ペプチド免疫原は、合成によって調製し、次に様々な生物学的アッセイにおいて特定の特徴に関してスクリーニングすることができる。たとえば、Scott,J.K.とG.P.Smith,Science 249:386,1990;Devlin,J.J.ら、Science 24:404,1990;Furka,A.ら、Int.J.Pept.Protein Res.37:487,1991;Lam,K.S.ら、Nature 354:82,1991。
【0210】
環状ペプチドは、線状ペプチド免疫原と比較して優れた免疫原性活性を有することがしばしば認められる。3以上のコア配列を含む線状ペプチド免疫原は、末端配列とのみ結合することが認められるが、環化により、ペプチド免疫原中に存在するすべてのコア配列による結合が可能となる。環状ペプチドを作製するための様々な方法が記述されている。1つは、溶液相または液相ペプチド合成を含み、この方法では、溶液中のアミノ酸残基を、適切な保護基によって保護された、N末端残基のアミノ基、C末端残基のカルボキシ基、システイン残基上のスルフヒドリル基およびアミノ酸側鎖中の類似のまたは他の反応性基などの、ペプチド結合の形成に関与しない反応性基と、ペプチド結合によって連結する。
【0211】
1つの実施形態では、環状ペプチド免疫原を、末端システイン残基を使用して、ジスルフィド架橋を形成するチオール基の還元によって形成する。
【0212】
もう1つのアプローチは、合成が不溶性固体マトリックス上で実施される、固相ペプチド合成を含む。反応性側鎖には保護基を用いる。固相合成の一般的な方法は当技術分野において周知である。Merrifield,R.B.,Solid phase synthesis(Nobel lecture).Angew Chem 24:799−810(1985)およびBaranyら、The Peptides,Analysis,Synthesis and Biology,Vol.2,Gross,E.とMeienhofer,J.編集、Academic Press 1−284(1980)。たとえば、米国特許第4,033,940号および同第4,102,877号に記載されているような化学反応プロトコールは、環化されたペプチドを作製するために考案された。他の技術においては、生物学的方法と化学的方法を組み合わせて環状ペプチドを作製する。これらの後者の方法は、最初に細胞(たとえば細菌)において環状ペプチドの線状前駆体を発現させ、環状ペプチドの線状前駆体を作製して、次にプロテアーゼまたは求核試薬などの外因性因子を添加して、これらの線状前駆体を環状ペプチドに化学変換することを含む。たとえば、Camerero,J.A.とMuir,T.W.,J.Am.Chem.Society.121:5597(1999);Wu,H.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:9226(1998)参照。
【0213】
頭−尾(head−to−tail)(骨格)ペプチド環化は、低分子生物活性ペプチドの構造を堅固にし、インビボでの安定性を改善するために使用されてきた(CamareroとMuir,J.Am.Chem.Soc.,121:5597−5598(1999)参照)。ペプチド環化の重要な結果は、生物活性の保持および/または新しいクラスの薬理学的因子の同定である。骨格環化型のウシ膵臓トリプシン阻害因子を調製するために化学的架橋アプローチが使用された(GoldenburgとCreighton,J.Mol.Biol.,165:407−413(1983))。他のアプローチは、水性条件下で線状合成ペプチドを効率的に環化することを可能にする化学的分子内連結法(Camareroら、Angew.Chem.Int.Ed.,37:347−349(1998);TamとLu,Prot.Sci.,7:1583−1592(1998);CamareroとMuir,Chem.Commun,1997:1369−1370(1997);およびZhangとTam,J.Am.Chem.Soc.119:2363−2370(1997))および酵素的(Jacksonら、J.Am.Chem.Soc.,117:819−820(1995))分子内連結法を含む。
【0214】
天然の化学的連結アプローチは、インビボでのペプチドおよびタンパク質の頭−尾結合を触媒するためにインテイン(intein)(内部タンパク質)を利用する(たとえば、Evansら、J.Biol.Chem.274:18359−18363(1999);IwaiとPluckthun,FEBS Lett.459.166−172(1999);Woodら、Nature Biotechnology 17:889−892(1999);CamareroとMuir,J.Am.Chem.Soc.121:5597−5598(1999);およびScottら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:13638−13643(1999)参照)。
【0215】
本発明はまた、本発明のM2eペプチド免疫原をコードする配列を含む単離された核酸分子を包含する。また、M2eペプチド免疫原の少なくとも1つのエピトープ特徴を有する、M2eペプチドをコードするそのような核酸およびその変異体を含む核酸発現構築物および宿主細胞も本発明によって提供される。本発明のこの態様は、本明細書に記載するM2e配列またはM2eペプチド免疫原配列をコードする単離核酸配列、ならびに、たとえば相補的配列、逆配列および逆配列の相補物などの、単離核酸分子から容易に誘導される配列に関する。
【0216】
関連実施形態は、本明細書に記載するM2eペプチド免疫原またはM2eペプチド免疫原を含む融合タンパク質が宿主細胞において発現されるように、単離核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸発現構築物を包含する。もう1つの実施形態では、本発明は、そのような核酸発現構築物を含む宿主細胞を提供する。関連実施形態では、本発明は、記述された宿主細胞を、核酸発現構築物によってコードされるペプチド免疫原を発現するのに十分な時間増殖させることを含む、ペプチド免疫原を作製するための方法を提供する。
【0217】
結合ペプチド免疫原
小さな免疫原性分子を大きな「キャリア」分子に結合することによって、その小さな免疫原性分子の免疫原性を高めるアプローチは、数十年間にわたって成功裏に使用されてきた(たとえばGoebelら(1939)J.Exp.Med.69:53参照)。たとえば、多くの免疫原性組成物が記述されており、精製莢膜ポリマー(capsular polymer)をキャリアタンパク質に結合し、この「キャリア効果」を利用することによってより有効な免疫原性組成物が開発されてきた(Schneersonら(1984)Infect.Immun.45:582−591)。
【0218】
本発明の1つの態様では、M2eペプチド免疫原を、ペプチド免疫原のアミノ酸残基の反応性基を介して、1つ以上の官能基を有するタンパク質/ポリペプチドキャリアに結合するための方法が提供される。タンパク質/ポリペプチドキャリアは、ヒト血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、インフルエンザ赤血球凝集素、PAN−DR結合ペプチド(PADREポリペプチド)、マラリアサーカムスポロゾイド(circumsporozite)(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19〜28、熱ショックタンパク質(HSP)65、カルメット‐ゲラン杆菌(BCG)、コレラ毒素、毒性を低下させたコレラ毒素変異体、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素と交差反応性であるCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌性C5aペプチダーゼ、Streptococcus pyogenes ORF1224、Streptococcus pyogenes ORF1664、Streptococcus pyogenes ORF2452、Chlamydia pneumoniae ORF T367、Chlamydia pneumoniae ORF T858、破傷風トキソイド、HIV gp120 T1、接着マトリックス分子を認識する微生物表面成分(MSCRAMMS)、増殖因子/成長ホルモン、サイトカインまたはケモカインであり得る。
【0219】
1つ以上のインフルエンザ株/分離株または亜型による感染から被験者を保護するまたは感染に対する被験者の感受性を低下させるための方法、すなわち予防方法がさらに提供される。1つの実施形態では、方法は、1つ以上のインフルエンザ株/分離株または亜型による感染から被験者を保護するために有効な量の、または感染に対する被験者の感受性を低下させるために有効な量の、インフルエンザM2に特異的に結合するM2eペプチド免疫原を被験者に投与することを含む。
【0220】
軽減するまたは低下させることができるインフルエンザ感染症の症状または合併症は、たとえば悪寒、熱、咳、咽喉炎、鼻うっ血、副鼻腔うっ血、鼻感染、副鼻腔感染、身体痛、頭痛、疲労、肺炎、気管支炎、耳感染、耳痛または死亡を含む。
【0221】
ワクチンとしてのペプチド免疫原
ペプチド免疫原は、インフルエンザ感染を予防するために抗インフルエンザM2媒介性免疫応答を生じさせるワクチンとして使用できる。合成ペプチドは、インビボで有効な免疫応答を誘導するために安定化とアジュバント添加(adjuvantation)の両方を必要とする。化学的および物理的経路を含む様々なプロセスによって媒介される、インビトロおよびインビボでの分解に対して合成ペプチド免疫原を保護するために様々な方法が用いられてきた。(Manning M Cら、Pharmaceutical Research,1989,6:903−918)。
【0222】
ヒトまたは動物用ワクチンに関する使用を予定した数多くのアジュバントおよび/またはデポーベースの非経口、粘膜または経皮送達システムが、免疫応答を増強するために開発されてきた。これらは、無機塩、油中水型(w/o)エマルジョン、リポソーム、ポリマー微粒子、ナノ粒子およびゲル/ヒドロゲルの使用を含む。(Cox J Cら、Vaccine,1997,15:248−256)。界面活性剤を含有する鉱油中の熱死滅化ヒト型結核菌の懸濁液である、フロイント完全アジュバント(FCA)は、最も強力なアジュバントの1つとして認識されてきた。アジュバントは当技術分野において周知である(Vaccine Design−The Subunit and Adjuvant Approach,1995,Pharmaceutical Biotechnology,Volume 6,Powell,M.F.とNewman,M.J.編集、Plenum Press,New York and London,ISBN 0−306−44867−X)。本発明の免疫原と共に使用するための好ましいアジュバントは、アルミニウム塩またはカルシウム塩(水酸化物またはリン酸塩)を含む。アジュバントは、GM−CSF、529SE、IL−12、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、結核菌、百日咳菌、細菌リポ多糖類、アミノアルキルグルコサン(aminoalkyl glucosane)ホスフェート化合物、MPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A)、ポリペプチド、Quil A、STIMULON(商標)QS−21、百日咳毒素(PT)、大腸菌易熱性毒素(LT)、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、TNF−αおよびTNF−βから選択され得る。
【0223】
さらなる他のアジュバントは、鉱油および水エマルジョン、リン酸カルシウムなどのカルシウム塩、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム等のようなアルミニウム塩(ミョウバン)、Amphigen、Avridine、L121/スクアレン、D−ラクチド−ポリラクチド/グリコシド、プルロニック酸(pluronic acid)、ポリオール、ムラミルジペプチド、死滅Bordetella、参照3により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,057,540号に記載されている、Stimulon(商標)QS−21(Antigenics,Framingham,Mass.)などのサポニン、およびISCOMS(免疫刺激複合体)のようなそれらから生成される粒子、結核菌、細菌リポ多糖類、CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドなどの合成ポリヌクレオチド(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,207,646号)、百日咳毒素(PT)、または大腸菌易熱性毒素(LT)、特にLT−K63、LT−R72、PT−K9/G129を含む;たとえば、すべての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる、国際公開公報WO93/13302および同WO92/19265参照。
【0224】
コレラ毒素および、国際公開公報WO00/18434に記載されているもの(アミノ酸位置29のグルタミン酸が別のアミノ酸(アスパラギン酸以外、好ましくはヒスチジン)によって置換されている)を含む、その変異体もアジュバントとして有用である。類似のCT毒素または変異体が、国際公開公報WO02/098368(アミノ酸位置16のイソロイシンが、単独でまたはアミノ酸位置68のセリンの別のアミノ酸による置換と組み合わせて、別のアミノ酸によって置換されている;および/またはアミノ酸位置72のバリンが別のアミノ酸によって置換されている)に記載されている。他のCT毒素は、国際公開公報WO02/098369(アミノ酸位置25のアルギニンが別のアミノ酸によって置換されている;および/または1個のアミノ酸がアミノ酸位置49に挿入されている;および/または2個のアミノ酸がアミノ酸位置35および36に挿入されている)に記載されている。
【0225】
合成ペプチドベースの免疫原を増強するために様々な方法を使用し得るが、通常、有効な長期的免疫原性応答のためにはキャリアまたはデポーシステムが必要である。注目すべき例は、免疫原を無機塩またはゲルに吸着させることを含む。たとえば、ペプチド免疫原をポリマーマトリックス(モノリシックマトリックス)またはゲル内に被包すること、またはペプチド免疫原(コアシェル)の周囲にポリマー材料を層化することは、有効な方策であり得る。または、免疫原をリポソームまたは小胞型の製剤に組み込んで、免疫原を脂質マトリックスに包埋するかまたは内部水相に物理的に捕捉させてもよい。もう1つの方策は、無機物ベース、植物ベースまたは動物ベースの油を様々な比率の免疫原の水溶液と共に使用して、油中水型(w/o)エマルジョンまたは水中油中水型(w/o/w)二重エマルジョンを調製し得る。Powell M Fら、Pharmaceutical Biotechnology,Vol.6,Plenum Press,New York,1995。
【0226】
キット
調査中の免疫原に特異的であることが公知の定義されたエピトープ配列に対応する、抗体結合配列をキットにおいて使用することは特に有用である。このキットは、現在使用されているキットよりも特異的な回答を導き、それ故個々の患者のための免疫原ワクチン療法のより良い選択をもたらす。
【0227】
このアプローチの延長として、前記方法を用いてランダムディスプレイライブラリーの中で対応する抗体結合ペプチドを同定することによって患者の血清を特徴づけることもできる。これもやはり、エピトープ情報の最適化を導き、従ってより良い診断を導き得る。
【0228】
さらに、個々の抗体結合配列を、より特異的な(免疫原)ワクチンをもたらす(免疫原)ワクチンとして使用することができる。これらの抗体結合配列は、単離された形態で投与する、またはファージディスプレイシステムの膜タンパク質もしくは、抗体結合ペプチドの免疫防御作用のために有益な影響を及ぼし得る、別のキャリアタンパク質に融合することができる(Dalumら、Nature Biotechnology,Vol.17,pp.666−669(1999))。
【0229】
本発明は、少なくとも1つの潜在的免疫原への特異的抗体の結合を予測するためのキットに関する。本発明のキットはまた、エピトープ変異体などのペプチド配列への抗体結合を試験することが望ましい、他のスクリーニング目的のためにも有用である。
【0230】
1つの実施形態では、ペプチド免疫原を固体支持体に固定化し得る。適切な固体支持体は、マイクロタイタープレート、ビーズ、毛細管または膜を含む、任意の化学的支持体であり得る。これらの支持体の各々は、活性化されて、共有結合、イオン結合もしくは疎水性結合、キレート化もしくは親和性結合を支持し得るか、または不活性化されて、イオン結合もしくは疎水性結合を促進し得る。固定化は、共有結合、イオン結合もしくは疎水性結合、キレート化、親和性結合を介した、またはファンデルワールス結合(van der Waal bond)を介した結合によって起こり得る。固体支持体はまた、ファージ、細菌、赤血球または異種タンパク質もしくはペプチドの提示を可能にする任意の関連システムなどの、生物学的性質のものであり得る。
【0231】
キットはまた、構造的エピトープに対応する種々の抗原ペプチド配列を同時にスクリーニングするためにも使用できる。上記キットはまた、たとえばヒトまたは動物から得た、多くの試料を同時にスクリーニングし、それによっていずれのヒトまたは動物が特定の免疫原に対して免疫原性応答を示すかを予測するためのハイスループットスクリーニング法においても使用できる。抗原ペプチド配列の数とヒトまたは動物の数の任意の実際的な組合せが可能である。
【0232】
以下の実施例は本発明の実施形態を説明するものである。以下の実施例において開示される技術が、本発明の実施において良好に機能することが本発明者によって発見された技術を表すことは当業者に認識される。しかし、当業者は、本開示を考慮して、開示される特定実施形態に多くの変更を加えることができ、それでもなお本発明の精神と範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果が得られることを認識すべきである。
【実施例】
【0233】
(実施例1)
M2特異的抗体の同定
ヒト血清において同定されたMAbの3つを発現する単核細胞またはB細胞をクローン集団に希釈し、抗体を産生するように誘導した。抗体を含有する上清を、インフルエンザ株であるインフルエンザH3N2亜型からの完全長M2Eタンパク質で安定にトランスフェクトした293FT細胞への結合に関してスクリーニングした。陽性染色/結合を示した上清を、インフルエンザ株、インフルエンザH3N2亜型からの完全長M2Eタンパク質で安定にトランスフェクトした293FT細胞に関しておよび対照としてベクター単独でトランスフェクトした細胞に関して再びスクリーニングした。
【0234】
次に、抗体の可変領域を、上清が陽性結合を示したB細胞のウエルからレスキュークローニングした。これらの抗体を再構成し、産生するために293FT細胞において一過性トランスフェクションを実施した。再構成した抗体上清を、レスキューされた抗M2E抗体を同定するために上記で詳述した完全長M2Eタンパク質で安定にトランスフェクトした293FT細胞への結合に関してスクリーニングした。3つの異なる抗体:8i10、21B15および23K12を同定した。
【0235】
抗体21B15、23K12および8I10は、M2タンパク質を安定に発現する293−HEK細胞の表面に結合したが、ベクターでトランスフェクトした細胞には結合しなかった(図1参照)。加えて、これらの抗体の結合は、5mg/mlの24マーのM2ペプチドの存在によって競合されなかったが、線状M2ペプチドに対して生成した対照キメラマウスV領域/ヒトIgG1κ14C2抗体(hu14C2)の結合は、M2ペプチドによって完全に阻害された(図1参照)。これらのデータは、これらの抗体が、線状M2eペプチドと異なり、細胞またはウイルス表面で発現されるM2e中に存在する高次構造エピトープに結合することを確認する。
【0236】
(実施例2)
ヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体のウイルス結合
UV不活化インフルエンザA型ウイルス(A/PR/8/34)(Applied Biotechnologies)を、PBS中1.2μg/ml、25μl/ウエルで384ウエルMaxiSorpプレート(Nunc)にまき、4℃で一晩インキュベートした。次に、プレートをPBSで3回洗浄し、50μl/ウエルのPBS中1%脱脂粉乳でブロックして、その後室温で1時間インキュベートした。PBSによる2回目の洗浄後、3組のMAbを指示された濃度で添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。PBSでさらに洗浄した後、各々のウエルに、25μlの、PBS/1%乳中の1/5000希釈のホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIgG Fc(Pierce)を添加し、プレートを室温で1時間放置した。最終的なPBS洗浄後、HRP基質である1−Step(商標)Ultra−TMB−ELISA(Pierce)を25μl/ウエルで添加し、暗所にて室温で反応を進行させた。25μl/ウエルの1N HSOでアッセイを停止させ、450nmの吸光度(A450)をSpectroMax Plusプレートリーダーで読み取った。データを10μg/mlでのMAb 8I10結合の吸光度に正規化する。結果を図2Aおよび2Bに示す。
【0237】
(実施例3)
完全長M2変異体へのヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体の結合
M2変異体(インビボで高病原性表現型を有するものを含む)を分析のために選択した。配列については図3A参照。
【0238】
M2 cDNA構築物をHEK293細胞において一過性にトランスフェクトし、以下のように分析した:一過性トランスフェクタントをFACSによって分析するために、10cm組織培養プレート上の細胞を0.5mlの細胞解離バッファー(Invitrogen)で処理し、採取した。1%FBS、0.2%NaNを含有するPBS(FACSバッファー)中で細胞を洗浄し、100μg/mlのウサギIgGを添加した0.6mlのFACSバッファー中に再懸濁した。各々のトランスフェクタントを、0.2mlのFACSバッファー中1μg/mlの指示されたMAbと混合し、試料当たり5×10〜10細胞とした。細胞をFACSバッファーで3回洗浄し、各々の試料を、1μg/mlのalexafluor(AF)647−抗ヒトIgG H&L(Invitrogen)を含有する0.1ml中に再懸濁した。細胞を再び洗浄し、FACSCantoデバイス(Becton−Dickenson)でフローサイトメトリーを実施した。データは、M2−D20一過性トランスフェクタントの平均蛍光のパーセンテージとして表わす。変異体結合に関するデータは、2つの実験を代表する。アラニン変異体に関するデータは、標準誤差を伴う3つの別々の実験からの平均読み出しである。結果を図3Bおよび3Cに示す。
【0239】
(実施例4)
エピトープブロッキング
MAb 8I10および23K12が同じ部位に結合するかどうかを決定するために、インフルエンザ株A/HK/483/1997配列を示すM2タンパク質をCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株DG44において安定に発現させた。細胞解離バッファー(Invitrogen)で細胞を処理し、採取した。1%FBS、0.2%NaNを含有するPBS(FACSバッファー)中で細胞を洗浄し、100μg/mlのウサギIgGを添加したFACSバッファー中に10細胞/mlで再懸濁した。細胞を、10μg/mlのMAb(または2N9対照)によって4℃で1時間あらかじめ結合させ、次にFACSバッファーで洗浄した。次に、直接結合したAF647−8I10またはAF647−23K12(AlexaFluor(登録商標)647タンパク質標識キット(Invitrogen)で標識した)を使用して、あらかじめブロックした3つの細胞試料を、試料当たり10細胞について1μg/mlで染色した。フローサイトメトリー分析を、FACSCantoを用いて前記のように進行させた。データは、標準誤差を伴う3つの別々の実験からの平均読み出しである。結果を図4に示す。
【0240】
(実施例5)
M2変異体およびトランケート型M2ペプチドへのヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体の結合
他のM2ペプチド変異体に対するmAb 8i10および23K12の交差反応性をELISAによって評価した。ペプチド配列を表7Aおよび7Bに示す。加えて、同様のELISAアッセイを用いてM2トランケート型ペプチドに対する結合活性を測定した。
【0241】
簡単に述べると、各々のペプチドを、25μL/ウエルのPBSバッファー中、4℃で一晩、平底384ウエルプレート(Nunc)に2μg/mLで被覆した。プレートを3回洗浄し、室温で1時間、1%乳/PBSでブロックした。3回洗浄した後、MAbの複数の力価(MAb titers)を添加し、室温で1時間インキュベートした。希釈したHRP結合ヤギ抗ヒト免疫グロブリンFC特異的(Pierce)を、3回の洗浄後に各々のウエルに添加した。プレートを室温で1時間インキュベートし、3回洗浄した。1−Step(商標)Ultra−TMB−ELISA(Pierce)を25μl/ウエルで添加し、暗所にて室温で反応を進行させた。25μl/ウエルの1N HSOでアッセイを停止させ、450nmの吸光度(A450)をSpectroMax Plusプレートリーダーで読み取った。結果を表7Aおよび7Bに示す。
【0242】
【表7A】

【0243】
【表7B】

他の実施形態
本明細書において引用したすべての公表文献および特許出願は、各々の公表文献または特許出願が具体的且つ個別に参照により組み込まれると指示されているかのごとくに、参照により本明細書に組み込まれる。
【0244】
前記発明を、理解の明瞭さのために説明と実施例によってある程度詳細に述べたが、付属の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなくそれらに特定の変更および修正を行い得ることは、本発明の教示を考慮して当業者には容易に明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa
(式中、m、pおよびqは、独立して0または1であり、
nは0〜4の間の任意の数であり、
Xaa、Xaa、XaaおよびXaaは、独立して任意のアミノ酸であり、
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaaは、S−L−L−T−Eであるか、または前記配列S−L−L−T−Eに1個の置換を有するペプチドであって、前記置換は、
XaaがCまたはTであり、
XaaがA、C、FまたはKであり、
XaaがA、C、E、F、I、K、M、Q、S、TまたはVであり、および
XaaがDまたはCである
から成る群より選択される)
の配列を含むペプチド免疫原。
【請求項2】
XaaがCである、請求項1に記載のペプチド免疫原。
【請求項3】
XaaがVまたはCである、請求項1に記載のペプチド免疫原。
【請求項4】
XaaがEである、請求項1に記載のペプチド免疫原。
【請求項5】
XaaがGまたはAである、請求項1に記載のペプチド免疫原。
【請求項6】
[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−[Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−[Xaa−[Xaa
(式中、m、pおよびqは、独立して0または1であり、
nは0〜4の間の任意の数であり、
Xaa、Xaa、XaaおよびXaaは、独立して任意のアミノ酸であり、
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaaは、S−L−L−T−Eであるか、または前記配列S−L−L−T−Eに1個の置換を有するペプチドであって、前記置換は、
XaaがA、C、D、L、TまたはVであり、
XaaがA、C、F、H、I、K、M、N、Q、R、T、WまたはYであり、
Xaaが任意のアミノ酸であり、
XaaがM、N、Q、SまたはWであり、および
XaaがA、D、F、H、I、K、M、N、Q、S、W、YまたはCである
から成る群より選択される)
の配列を含むペプチド免疫原。
【請求項7】
XaaがCである、請求項6に記載のペプチド免疫原。
【請求項8】
XaaがVまたはCである、請求項6に記載のペプチド免疫原。
【請求項9】
XaaがEである、請求項6に記載のペプチド免疫原。
【請求項10】
XaaがGまたはAである、請求項6に記載のペプチド免疫原。
【請求項11】
前記ペプチドが非線状である、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項12】
前記ペプチドが環状(cylic)である、請求項11に記載のペプチド免疫原。
【請求項13】
前記ペプチドが環状(cylic)であり、およびnが1〜4の間の任意の数である、請求項11に記載のペプチド免疫原。
【請求項14】
前記ペプチドが、HuMe2抗体8I10または23K12に特異的に結合する、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項15】
前記ペプチドがD−アミノ酸を含む、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項16】
前記ペプチドが、配列SLLTEVGSLLTEV(配列番号:320)を有する線状または環状ペプチドである、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項17】
前記ペプチドが、配列CSLLTEVGSLLTEV(配列番号:283)を有する線状または環状ペプチドである、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項18】
前記ペプチドが、配列CSLLTECGSLLTCV(配列番号:463)を有する線状または環状ペプチドである、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項19】
前記ペプチドが抗体Z3G1に結合しない、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項20】
前記ペプチドがキャリアに結合している、請求項1または6に記載のペプチド免疫原。
【請求項21】
前記キャリアが、ヒト血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、インフルエンザ赤血球凝集素、PAN−DR結合ペプチド(PADREポリペプチド)、マラリアサーカムスポロゾイド(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19〜28、熱ショックタンパク質(HSP)65、カルメット‐ゲラン杆菌(BCG)、コレラ毒素、毒性を低下させたコレラ毒素変異体、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素と交差反応性であるCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌性C5aペプチダーゼ、Streptococcus pyogenes ORF1224、Streptococcus pyogenes ORF1664、Streptococcus pyogenes ORF2452、Chlamydia pneumoniae ORF T367、Chlamydia pneumoniae ORF T858、破傷風トキソイド、HIV gp120 T1、接着マトリックス分子を認識する微生物表面成分(MSCRAMMS)、増殖因子/成長ホルモン、サイトカインまたはケモカインである、請求項20に記載のペプチド免疫原。
【請求項22】
請求項1または6に記載のペプチド免疫原を含むワクチン組成物。
【請求項23】
無機塩類、GM−CSF、529SE、IL−12、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、結核菌、百日咳菌、細菌リポ多糖類、アミノアルキルグルコサンホスフェート化合物、MPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A)、ポリペプチド、Quil A、STIMULON(商標)QS−21、百日咳毒素(PT)、大腸菌易熱性毒素(LT)、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、TNF−αおよびTNF−βならびにフロイント完全アジュバント(FCA)から成る群より選択されるアジュバントをさらに含む、請求項22に記載のワクチン組成物。
【請求項24】
1つ以上の薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントと共に、請求項1または6に記載のペプチド免疫原を含む、免疫原性組成物。
【請求項25】
前記薬学的に許容され得るアジュバントおよび/またはキャリアが、ミョウバン、リポシン、サポニン、スクアレン、L121、エマルシゲンモノホスホリル脂質A(MPL)、ポリソルベート80、QS21、Montanide ISA51、ISA35、ISA206およびISA720から成る群より選択される、請求項24に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
請求項1または6に記載のペプチド免疫原を哺乳動物に投与することによってインフルエンザウイルス媒介性疾患を予防するまたは治療する方法。
【請求項27】
請求項22のいずれかに記載のワクチン組成物を哺乳動物に投与することによってインフルエンザウイルス媒介性疾患を予防するまたは治療する方法。
【請求項28】
請求項24のいずれかに記載の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することによってインフルエンザウイルス媒介性疾患を予防するまたは治療する方法。
【請求項29】
請求項1または6に記載のペプチド免疫原を含むキット。

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−508753(P2012−508753A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536450(P2011−536450)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064115
【国際公開番号】WO2010/056796
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(510032380)セラクローン サイエンシーズ, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】