説明

ヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマーならびに、このポリマーから作られるコンジュゲート

本発明は、コンジュゲートを形成するための生物学的活性剤との反応に適したヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマー試薬であって、1つ以上のポリマー鎖と、1つ以上のポリマー鎖の末端に存在する複数のヒドロキシアパタイト標的化部分と、を含むポリマー試薬を提供するものである。多腕ポリマーについては、1つ以上の分解可能な結合によって、腎クリアランスに適した分子量のポリマーセグメントに分割または分離されていてもよい。本発明のポリマー試薬は、実質的に線状の構造を取り得るが、分岐構造または多腕構造も同様に企図される。本発明は、ポリマーの総数平均分子量が、線状ポリマーで少なくとも約30,000Da、多腕ポリマーで20,000Daであるなどの高分子量ポリマーの使用が望ましい用途に適している。各構造は、in vivoで分解できる1つ以上の結合を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2007年10月23日に出願された米国仮特許出願第60/982,012号(その開示内容を本明細書に援用する)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
特に、本発明は、少なくとも1つのヒドロキシアパタイト標的化部分を含む水溶性の非ペプチドポリマーならびに、このポリマーから作られるコンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤の送達には、親水性ポリマーと薬学的に有用な特性を有する分子との共有結合が非常に有用である。このため、コンジュゲートとして臨床試験に導入されるポリマーが増え続けている。その中には、「PEG」と略記されるポリエチレングリコールのコンジュゲート[非特許文献1;非特許文献2]、「HES」と略記されるヒドロキシエチルセルロースのコンジュゲート(特許文献1)、ポリ(L−グルタミン酸)のコンジュゲート[非特許文献3]もある。著しく成功した一例がPEGコンジュゲートであり、そのいくつかは市販の薬剤である(CIMZIA(登録商標)、NEULASTA(登録商標)、MACUGEN(登録商標)、SOMAVERT(登録商標)、PEGASYS(登録商標)、PEG−INTRON(登録商標)など)。PEGは、多くの有益な特性を持つポリマーである。たとえば、PEGは水に可溶であり、多くの有機溶媒にも可溶であって、無毒かつ非免疫原性で、PEGを表面に結合させると、生体適合性の保護コーティングが得られる。PEGの一般的な応用法または使用法としては、(i)たとえば、血漿半減期を延長し、腎臓のクリアランスを低下させるためのタンパク質への共有結合、(ii)動脈置換、血液接触装置、バイオセンサなどにおける表面への結合、(iii)バイオポリマー合成用の可溶性キャリアとしての使用法、(iv)ハイドロゲル調製用の試薬としての使用法があげられる。他の一般に用いられる親水性ポリマーにも、同様の特性と潜在的な使用法が主張されている。
【0004】
上述した用途すべてではないにしても多くの用途では、最初に、PEGの場合ならヒドロキシル基である親水性ポリマーの活性末端を、タンパク質の表面に見られる官能基などの所望の標的分子または表面内に見られる官能基と容易に反応できる官能基に変換し、親水性ポリマーを活性化する必要がある。タンパク質の場合、典型的な官能基として、リシン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシンの側鎖に関連した官能基ならびに、N末端のアミノ官能基とC末端のカルボン酸官能基があげられる。ポリマー修飾ならびに最終的なコンジュゲーションに利用できる特定の官能基に基づいて適宜変更をほどこせば、他の無毒の生体適合性親水性ポリマーで代替できることもあり、こうしたものが一般に許容される代用品である。
【0005】
このクラスの代表としてPEGを用いる場合、ほとんどのPEG活性化反応の開始材料として利用されるPEGは一般に、エンドキャップされたPEGである。エンドキャップされたPEGは、一般にポリマー末端にあるヒドロキシル基のうちの1つ以上が、メトキシ基、エトキシ基またはベンジルオキシ基などの非反応性基に変換されたものである。最も一般的に用いられるのが、mPEGと略記されるメトキシPEGである。一般にエンドキャップされたPEGのほうが架橋や凝集に対する抵抗性が高いため、通常はmPEGなどのエンドキャップされたPEGが好ましい。普通に用いられる2種類のエンドキャップされたPEGアルコールであるmPEGとモノベンジルPEG(bPEGとしても知られる)の構造を、以下にあげておく。
【0006】
【化1】

式中、nは一般に約10から約2,000の範囲である。
【0007】
薬剤送達に用いられるポリマー試薬の1つの具体例において、米国特許第6,436,386号明細書には、骨部位への治療薬送達用に患者の体内で骨表面を選択的に標的するのに用いることが可能なPEGベースのヒドロキシアパタイト標的化ポリマーが記載されている。このように、ポリマー試薬は、分子の活性な部分を対象となる組織に標的送達するとともに、循環時間を増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/050959号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Greenwald et al.(2003)Effective drug delivery by PEGylated drug conjugates.Adv.Drug Delivery Rev.55:217〜250
【非特許文献2】Harris et al.(2003)Effect of PEGylation on Pharmaceuticals.Nat.Rev.Drug Discovery 2:214〜221)
【非特許文献3】Li(2002)Poly(L−glutamic acid)−anticancer drug conjugates.Adv.Drug Delivery Rev.54:695〜713
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多くの成功例があるにもかかわらず、活性剤に対するポリマーのコンジュゲーションには、取り組むべき課題があることが多い。たとえば、比較的長いポリ(エチレングリコール)分子を活性剤に結合させると、一般に短めのポリ(エチレングリコール)分子を結合させる場合よりも水溶性が高くなることが知られている。しかしながら、ポリマー部分を持ついくつかのコンジュゲートの欠点の1つに、このようなコンジュゲートがin vivoで実質的に不活性になりかねないという可能性がある。これらのコンジュゲートは、ポリマー鎖の長さがゆえに実質的に不活性であり、それがゆえに効果的に活性剤全体に「くるまれる」形になり、薬理学的活性に必要なリガンドへの到達を制限すると仮定されている。
【0011】
その結果、当該技術分野においては、薬剤送達目的で薬剤部分とのコンジュゲーションに適したポリマー試薬、特に、in vivoでの循環時間が望ましいが、同時に身体からの適時のクリアランスも呈するコンジュゲートを得るのに必要な分子量を持つポリマー試薬に継続的な需要がある。このようなポリマー試薬によって、ヒドロキシアパタイト表面など身体の特定部位を標的する機能も得られれば、特に有益であろう。本発明は、当該技術分野におけるこうした需要および他の需要に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、コンジュゲートを形成するための生物学的活性剤との反応に適したヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマー試薬であって、1つ以上のポリマー鎖と、1つ以上のポリマー鎖の末端に存在する複数のヒドロキシアパタイト標的化部分と、を含むポリマー試薬を提供するものである。多腕ポリマーについては、1つ以上の分解可能な結合によって、腎クリアランスに適した分子量のポリマーセグメントに分割または分離されていてもよい。本発明のポリマー試薬は、実質的に線状の構造を取り得るが、分岐構造または多腕構造も同様に企図される。本発明は、ポリマーの総数平均分子量が、線状ポリマーで少なくとも約30,000Da、多腕ポリマーで20,000Daであるなどの高分子量ポリマーの使用が望ましい用途に適している。各構造は、in vivoで分解できる1つ以上の結合を含む。各ポリマー分子における複数のヒドロキシアパタイト標的化部分によって、ポリマー試薬がヒドロキシアパタイト表面を選択的に標的してこれと結合する機能が強化され、それによって骨部位に送達される生物学的に活性な部分の濃度を高めることが可能である。
【0013】
一実施形態では、本発明は、以下の構造
【0014】
【化2】

を有するヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマーを提供するものであり、
式中、
Aは、−(X−(L−(X−POLY−Zまたは−(X−(L−(X−Zであり、
POLYおよびPOLYは各々、同一であっても異なっていてもよく、水溶性の非ペプチドポリマーであり、
、X、X、Xは各々、同一であっても異なっていてもよく、スペーサ部分であり、
、L、Lは各々、同一であっても異なっていてもよく、結合であり、
は各々、同一であっても異なっていてもよく、Zまたはヒドロキシアパタイト標的化部分あるいは、2から約10のヒドロキシアパタイト標的化部分を含み、任意に少なくとも1つの水溶性非ペプチドポリマーも含む多腕構造であり、ただし、bが0である場合、少なくとも1つのZが1本以上のポリマー腕を含む多腕構造を有するという条件で、なおかつ、少なくとも1つのZがヒドロキシアパタイト標的化部分であるという条件であり、
は、スペーサを介してPOLYと結合していてもよい官能基であり、
a、b、c、d、e、fは各々、同一であっても異なっていてもよく、0または1のいずれかであり、
Rは、結合に利用できるp+1部位を少なくとも含む分子から誘導されるモノマー性またはオリゴマー性多腕コア分子であり、
pは、2〜32の範囲の整数である。
【0015】
特定の実施形態では、POLYおよびPOLYが各々、約22,000Da未満、約15,000Da未満、約8,000Da未満のうちの1つ以上を満たす数平均分子量を有する。POLYおよびPOLYの例示としてのポリマーには、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)ならびに、これらのコポリマー、ターポリマーまたは混合物がある。ヒドロキシアパタイト標的化部分の例として、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、およびアミノホスホ糖があげられる。
【0016】
本発明のポリマー試薬の特定の実施形態は、L、LまたはL位の結合などにおける少なくとも1つの加水分解的または酵素的に切断可能な結合を含む。POLYおよびPOLYなどのポリマー鎖は、結合によって結合された2から約5個の水溶性の非ペプチドポリマーセグメントを含むセグメント化構造を持ち得るものである。たとえば、POLYとPOLYのうちの一方または両方が、式−POLY−L−POLY−で表される構造を取ることが可能であって、式中、各POLYは水溶性の非ペプチドポリマーであり、Lは、分解可能であってもよい結合である。
【0017】
末端Z部分は、以下の構造のうちのいずれかなどの多腕構造を含み得るものである。
【0018】
【化3】

式中、mは各々1〜350であり、Meはメチルであり、Zは各々、ヒドロキシアパタイト標的化部分である。
【0019】
コア部分Rは、構造R(OH)のポリオールから誘導可能であって、式中、Rは、任意に1つ以上のエーテル結合を含む分岐炭化水素であり、pは、少なくとも3である。例示としてのポリオールには、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖から誘導されるアルコール、これらのオリゴマーまたはポリマーがある。あるいは、Rを、ジスルフィド、ペプチド、これらのオリゴマーまたはポリマーならびに、これらの組み合わせから誘導することも可能である。特定の実施形態では、Rは、少なくとも1つのリシン残基を含むジペプチドまたはトリペプチドから誘導される。
【0020】
本発明の例示としてのポリマー試薬は、以下のポリマー構造を含み、
【0021】
【化4】

式中、nは1〜350である。
【0022】
別の態様では、本発明は、本発明によるポリマー試薬と生物学的活性剤との反応生成物を含み、以下の構造を有するヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマーコンジュゲートを提供するものであり、
【0023】
【化5】

式中、式(Ia)で上述した変数はすべて式(Ib)にも適用され、さらに、Bは、−(X−(L−(X−POLY−L−Drugまたは−(X−(L−(X−L−Drugであり、Drugは、生物学的に活性な部分の残基であり、Lは、Zと生物学的に活性な部分の官能基との反応によって得られる結合であり、Zは、L−Drugまたはヒドロキシアパタイト標的化部分であり、式中、Lは、官能基であるZと、生物学的に活性な部分の官能基との反応によって得られる結合であり、ただし、少なくとも1つのZがヒドロキシアパタイト標的化部分である。
【0024】
Drugは、生物学的に活性な部分の残基であり、たとえば、成長因子、抗生物質、化学療法剤または鎮痛剤であり得る。例示としての成長因子には、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、骨形態形成タンパク質、骨形成タンパク質、トランスフォーミング増殖因子、LIM無機化タンパク質、類骨誘導因子、アンジオゲニン、エンドセリン;増殖分化因子、ADMP−1、エンドセリン、肝細胞増殖因子およびケラチノサイト増殖因子、ヘパリン結合増殖因子、ヘッジホッグタンパク質、インターロイキン、コロニー刺激因子、上皮増殖因子、インスリン様増殖因子、サイトカイン、オステオポンチン、およびオステオネクチンがある。
【0025】
多腕構造が最も好ましいが、別の態様では、本発明は、以下の構造すなわち、
Z−(X−L−(X−[POLY−(X−L−(X−POLY−(X−Y
を有する、ヘテロ二官能性かつ実質的に線状のヒドロキシアパタイト標的化ポリマーを提供するものであり、
式中、
POLYおよびPOLYは各々、同一であっても異なっていてもよく、水溶性の非ペプチドポリマーであり、
、X、X、X、Xは各々、同一であっても異なっていてもよく、スペーサ部分であり、
は、結合であり、
は各々、カルバメートおよびアミドからなる群から選択される加水分解的または酵素的に切断可能な結合であり、
Zは、ヒドロキシアパタイト標的化部分であり、
Yは官能基であり、
a、b、c、d、eは各々、同一であっても異なっていてもよく、0または1のいずれかであり、
mは、1〜10の範囲の整数である。
【0026】
ポリマー試薬と、このポリマー試薬から作られるコンジュゲートに加えて、本発明は、このような試薬およびコンジュゲートを生成するための方法ならびに、本発明によるポリマー試薬の生物学的に活性なコンジュゲートを使用する治療方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明について詳細に説明する前に、本発明は特定のポリマー、合成技術、活性剤などに限定されるものではなく、これらは可変である旨を理解されたい。また、本明細書で使用する専門用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図したものではない旨も理解されたい。
【0028】
本明細書で使用する場合、単数形「a」「an」および「the」は、文脈からそうでないことが明らかな場合を除いて、複数形の指示対象も含む点に留意すべきである。このため、たとえば、「ポリマー」といえば単数のポリマーはもとより2つ以上の同一または異なるポリマーも含み、「コンジュゲート」といえば、単数のコンジュゲートならびに2つ以上の同一または異なるコンジュゲートも示す。また、「賦形剤」といえば単数の賦形剤はもとより2つ以上の同一または異なる賦形剤も含むなどである。
I.定義
本発明について説明および権利請求するにあたって、後述する定義に基づいて以下の専門用語を使用する。
【0029】
「PEG」「ポリエチレングリコール」「ポリ(エチレングリコール)」は、本明細書では、あらゆる水溶性ポリ(エチレンオキシド)の意味で用いられる。一般に、本発明で使用するPEGは、「−O(CHCHO)−」または「−CHCHO(CHCHO)−CHCH−」という2つの構造のうちの1つを含み、nは3から3000であり、末端基とPEG全体のアーキテクチャは可変である。「PEG」は、大部分すなわち50%を超えて−CHCHO−であるサブユニットを含むポリマーを意味する。
【0030】
広く利用されているPEGの1つに、エンドキャップされたPEGがある。PEGを「−O(CHCHO)−」と定義する場合、エンドキャッピング基は通常、一般に1〜20個の炭素で構成される炭素含有基であり、好ましくはアルキル(メチル、エチルまたはプロピルなど)であるが、その飽和形態および不飽和形態ならびに、アリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロ、上記のいずれかの置換形態も想定されている。PEGを「−CHCHO(CHCHO)−CHCH−」と定義する場合、エンドキャッピング基は通常、一般に酸素原子と1〜20個の炭素原子とで構成される炭素含有基であり、酸素原子は当該基に対して共有結合され、PEGの一末端との共有結合に利用される。この場合、基は一般に、アルコキシ(メトキシ、エトキシまたはベンジルオキシなど)であり、炭素含有基に関しては、飽和されていても不飽和であってもよく、アリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロ、上記のいずれかの置換形態であってもよい。他の(「エンドキャップされていない」)末端は一般に、ヒドロキシル、アミンあるいは、PEGを「−CHCHO(CHCHO)−CHCH−」と定義する場合にさらに化学修飾可能な活性化基である。また、エンドキャッピング基はシランであってもよい。
【0031】
本発明で使用される特定のPEG形態は、以下において詳細に説明する、多岐にわたる分子量、構造または幾何学的形状(分岐、線状、多腕など)のPEGを含む。
【0032】
エンドキャッピング基に、検出可能なラベルを都合よく含ませることも可能である。ポリマーが検出可能なラベルを含むエンドキャッピング基を有する場合、ポリマーおよび/またはポリマーをカップリングさせる該当部分(活性剤など)の量または位置については、好適な検出器を用いて判断することが可能である。このようなラベルは、限定することなく、蛍光体、化学発光体、酵素標識や比色分析に用いられる部分(染料など)、金属イオン、放射性部分などを含む。
【0033】
本明細書に記載の方法で使用するポリマーは一般に、多分散系である(すなわち、ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量が等しくない)。しかしながら、本明細書に記載の方法に基づいて調製されるポリマーは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される多分散性値が小さく、通常は約1.3未満、好ましくは約1.2未満、一層好ましくは約1.15未満、なお一層好ましくは約1.05未満、さらに最も好ましくは約1.04未満、最も好ましくは約1.03未満である。多腕PEGの多分散性は、多腕PEGの生成に用いられるポリマー腕の多分散性よりもかなり高くなり得る点に注意されたい。
【0034】
本明細書で使用する場合、「イオン化可能な官能基」という用語ならびに、その類語は、水性媒質または他の極性媒質中で、官能基の別のイオン化可能な種との相互作用によってプロトンを獲得または失うことのある官能基である。イオン化可能な官能基としては、アミン、カルボン酸、アルデヒド水和物、ケトン水和物、アミド、ヒドラジン、チオール、フェノール、オキシム、ジチオピリジン、ビニルピリジンがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
本明細書で使用する場合、「カルボン酸」という用語は、
【0036】
【化6】

官能基[「−COOH」または−C(O)OHとも表される]を有する部分ならびに、カルボン酸の誘導体である部分であり、このような誘導体は、たとえば、保護されたカルボン酸を含む。このため、文脈からそうでないことが明らかな場合を除いて、カルボン酸という用語は、酸形態のみならず、対応するエステルおよび保護形態も含む。Greene et al.,“Protective Groups in Organic Synthesis”3rd Edition,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1999を参照のこと。
【0037】
「活性化カルボン酸」は、特に求核アシル置換に関して、親カルボン酸よりも反応性が高いカルボン酸の機能的誘導体を意味する。活性化カルボン酸としては、酸ハライド(酸クロリドなど)、無水物、アミド、エステルがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0038】
「反応性の」または「活性化された」という表現は、特定の官能基について使用する場合、別の分子の求電子剤または求核剤と容易に反応する反応性官能基を示す。これは、反応に強い触媒または極めて非実用的な反応条件を必要とする基(すなわち、「非反応性」または「不活性」基)とは対照的である。
【0039】
「保護された」または「保護基(protecting group)」または「保護基(protective group)」とは、特定の反応条件下で分子における特定の化学的反応性官能基の反応を防ぐまたは遮断する部分(すなわち、保護基(protecting group))が存在することを示す。保護基(protecting group)は、保護対象となる化学的反応性基のタイプならびに、利用する反応条件、分子に別の反応性基または保護基(protecting group)がある場合はその存在によって変化することになる。当該技術分野において周知の保護基(protecting group)は、上掲のGreeneらに記載されている。
【0040】
本明細書で使用する場合、「官能基」またはその類義語は、その保護された形態を包含することを意図したものである。
【0041】
「スペーサ」または「スペーサ部分」という用語は、本明細書では、水溶性ポリマーの末端や官能基などの相互接続部分を連結するのに任意に用いられる原子または原子の集合体を示すものとして用いられる。本発明のスペーサ部分は、加水分解的に安定であってもよいし、生理学的に加水分解可能または酵素的に分解可能な結合を含むものであってもよい。
【0042】
「アルキル」は、一般に約1から20原子長の炭化水素鎖を示す。このような炭化水素鎖は、飽和炭化水素鎖であると好ましいが必ずしもそうでなくてもよく、分岐鎖であっても直鎖であってもよいが、一般に直鎖が好ましい。例示としてのアルキル基には、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピルなどがある。本明細書で使用する場合、アルキルが3個以上の炭素原子を含み得る場合、「アルキル」はシクロアルキルを含む。
【0043】
「低級アルキル」は、1から6個の炭素原子を含むアルキル基を示し、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、一例として、メチル、エチル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチルがあげられる。
【0044】
「シクロアルキル」は、好ましくは3から約12個、一層好ましくは3から約8個の炭素原子で構成される、架橋化合物、縮合化合物またはスピロ環化合物を含む、飽和または不飽和環状炭化水素鎖を示す。
【0045】
「非干渉置換基」は、分子に存在する場合に、一般にその分子内に含まれる他の官能基に対して非反応性の基である。
【0046】
たとえば「置換アルキル」における「置換」という表現は、C〜Cシクロアルキル、たとえば、シクロプロピル、シクロブチルなど;ハロ、たとえば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード;シアノ;アルコキシ、低級フェニル(0〜2置換フェニルなど);置換フェニル;などであるがこれに限定されるものではない、1つ以上の非干渉置換基で置換された部分(アルキル基など)を示す。
【0047】
「置換アリール」は、1つ以上の非干渉基を置換基として有するアリールである。フェニル環での置換の場合、置換基はどのような配向性(すなわち、オルト、メタまたはパラ)であってもよい。
【0048】
「アルコキシ」は−O−R基を示し、式中、Rはアルキルまたは置換アルキル、好ましくはC〜C20アルキル(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ベンジルオキシなど)であり、一層好ましくはC〜Cアルキルである。
【0049】
「アリール」は、各々5または6個のコア炭素原子からなる1つ以上の芳香環を意味する。アリールは、ナフチルでの場合のように縮合されていてもよいし、ビフェニルでの場合のように未縮合であってもよい、複数のアリール環を含む。アリール環についても、1つ以上の環状炭化水素、ヘテロアリールまたは複素環と縮合されていてもよいし、未縮合であってもよい。本明細書で使用する場合、「アリール」はヘテロアリールを含む。
【0050】
「ヘテロアリール」は、1から4個のヘテロ原子、好ましくはN、OまたはSあるいはこれらの組み合わせを含むアリール基である。ヘテロアリール環は、1つ以上の環状炭化水素、複素環、アリールまたはヘテロアリール環と縮合されていてもよい。
【0051】
「求電子剤」は、イオンまたは原子または原子の集合体を示し、求電子中心すなわち求核剤を求めているか求核剤と反応できる電子である中心を有するイオン性のものであってもよい。
【0052】
「求核剤」は、イオンまたは原子または原子の集合体を示し、求核中心すなわち求電子中心を求めているか求電子剤と反応できる中心を有するイオン性のものであってもよい。
【0053】
「in vivoで切断可能な」結合は、in vivoでの循環時に、加水分解プロセス、酵素的なプロセス、化学的なプロセスまたはこれらのプロセスの組み合わせによって切断できる結合を示す。言い換えると、in vivoで切断可能な結合は、生理学的条件下(すなわち、血清または他の体液の存在下にてpH約7から7.5、温度約37℃)で別々に分離可能な結合である。結合の分解半減期は可変であるが、一般に生理的条件下で約0.1から約10日間の範囲である。
【0054】
「加水分解的に切断可能な」または「加水分解可能な」または「加水分解的に分解可能な」結合は、生理学的条件下で水と反応する(すなわち加水分解される)比較的弱い結合である。水中における結合の加水分解しやすさは、2つの中心原子をつなぐ結合の一般的なタイプのみならず、これらの中心原子と結合した置換基によっても左右される。加水分解的に不安定または弱い適切な結合としては、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、オリゴヌクレオチドがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0055】
「酵素的に分解可能な結合」は、生理学的条件下で1種類以上の酵素による分解対象となる結合を意味する。また、酵素分解プロセスは、加水分解反応も含む。酵素的に分解可能な結合は、特に分解を活性化できるか酵素を引きつけるのに必要な別の部位を提供できる他の原子群と近接した配置にあるときに、特定のアミド(−C(O)−NH−)およびウレタン(−O−C(O)−NH−)結合を含み得る。たとえば、−O−C(O)−NH−CHY−C(O)−NH−Y’(式中、Yは、H、アルキル、置換アルキル(アリールアルキル、ヒドロキシルアルキル、チオアルキルなど)またはアリールであり、Y’はアルキルまたは置換アルキルである)などの特定のアミドと近接した位置にあるウレタンは、酵素的に分解可能である。本明細書で定義する場合、「ウレタン」結合は、上記の構造を有する結合も含む。
【0056】
「化学的に分解可能な」結合とは、本明細書で使用する場合、in vivoでの生理的条件下で化学反応によって分解される結合である。たとえば、ジスルフィド(−S−S−)結合は、in vivoにてグルタチオンとの化学反応によって分解可能なものである。
【0057】
「加水分解的に安定な」または「非分解性」結合または結合は、水中で実質的に安定している(生理学的条件下で長時間にわたって適当な程度まで加水分解切断または酵素切断されないことを意味する)化学結合、一般には共有結合を示す。加水分解的に安定な結合の例として、炭素−炭素結合(脂肪族鎖におけるものなど)、エーテルなどがあげられるが、これに限定されるものではない。通常、加水分解的に安定な結合は、生理学的条件下での加水分解率が1日あたり約1〜2%未満のものである。代表的な化学結合の加水分解率については、標準的な化学教科書のほとんどに見いだすことが可能である。
【0058】
ポリマーまたはポリオールに関する文脈での「多官能性」または「多置換」とは、2つ以上の官能基が含まれるポリマーまたはポリオールを意味し、これらの官能基は同一であっても異なっていてもよい。本発明の多官能性ポリマーまたはポリオールは一般に、約2〜100官能基、2〜50官能基、2〜25官能基、2〜15官能基、2から10官能基という範囲のうちの1つ以上を満たす多数の官能基を含有する。このため、ポリマー骨格またはポリオールにおける官能基の数は、2、3、4、5、6、7、8、9または10官能基のうちのいずれであってもよい。
【0059】
「二官能性」または「二置換」ポリマーまたはポリオールとは、同一(すなわちホモ二官能性)または異なる(すなわちヘテロ二官能性)2つの官能基が含まれるポリマーまたはポリオールを意味する。
【0060】
「単官能性」または「一置換」ポリマーとは、単一の官能基が含まれるポリマーを意味する(mPEGベースのポリマーなど)。
【0061】
本明細書に記載の塩基性または酸性反応物は、中性のもの、荷電されたものならびに、その対応する塩形態を含む。
【0062】
「患者」という表現は、コンジュゲートを投与することで予防または治療可能な症状に羅患しているか、こうした症状にかかりやすい生体を示し、ヒトと動物の両方を含む。
【0063】
「任意の」または「任意に」とは、それに続いて説明される状況が起こるかもしれないし、起こらないかもしれないことを意味するため、説明には、その状況が起こる場合と起こらない場合が含まれる。
【0064】
特に明記しないかぎり、本明細書での分子量は、
【0065】
【数1】

で定義される数平均分子量(M)で表記され、式中、Niは、分子量Miのポリマー分子数(またはこれらの分子のモル数)である。
【0066】
「薬剤」「生物学的に活性な分子」「生物学的に活性な部分」「活性剤」「生物学的活性剤」という用語は各々、本明細書で使用する場合、ウイルス、細菌、真菌、植物、動物、ヒトなどであるが、これに限定されるものではない、生物有機体の物性または生化学的特性に影響し得る物質を意味する。特に、本明細書で使用する場合、生物学的に活性な分子は、ヒトまたは他の動物における疾患の診断、治癒、軽減、治療または予防向きの物質か、そうでなければヒトまたは動物の物理的または心理的な平穏さを高めるための物質を含む。生物学的に活性な分子の例として、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子薬剤、染料、脂質、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸、細胞、ウイルス、リポソーム、微小粒子およびミセルがあげられるが、これに限定されるものではない。本発明と併用するのに適した生物学的活性剤のクラスとしては、抗生物質、殺真菌薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬、抗腫瘍薬、心血管治療薬、抗不安薬、ホルモン、成長因子、ステロイド剤などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0067】
本明細書で使用する場合、「非ペプチド」は、実質的にペプチド結合を持たないポリマー骨格を示す。しかしながら、ポリマー骨格に、たとえば約50モノマー単位あたり約1ペプチド以下の結合など、骨格の長さ方向に間隔をあけて少数のペプチド結合が含まれていてもよい。
【0068】
「コンジュゲート」は、反応性のポリマー分子、好ましくは1つ以上の反応性基を有するポリ(エチレングリコール)に対する生物学的に活性な分子などの分子の共有結合の結果として形成される実体を示すことを意図したものである。
II.ヒドロキシアパタイト標的化ポリマーと、このポリマーから作られるコンジュゲート
一態様では、本発明は、複数のヒドロキシアパタイト標的化部分が存在することを特徴とする、ポリマー試薬、当該ポリマー試薬を用いて作られる生物学的活性剤を含むコンジュゲートを提供するものである。単一のポリマー構造に複数のヒドロキシアパタイト標的化部分を用いることで、骨表面に対するポリマーの結合を強めることができ、これによって骨部位でポリマー構造に結合した薬剤分子の滞留時間を潜在的に長くできよう。
【0069】
本発明の多腕ポリマーを一般化した構造を以下に示すが、この構造には、治療薬をコンジュゲートするのに使用可能な反応性ハンドルと骨標的化部分とを含む。骨標的化部分(BTM)の数は、特定のBTMの結合効率に応じて2つから20を超える数まで大幅に変わることがある。必要に応じてポリマー分子量を調節し、循環時間、溶解性、薬剤の保護、BTMのキャリアなどのポリマーが果たすさまざまな役割において効率を最大にすることが可能である。
【0070】
【化7】

式中、各POLYおよび任意のPOLYは、水溶性の非ペプチドポリマーであり、BTMは骨標的化部分(本明細書ではヒドロキシアパタイト標的化部分と同義に用いられる)であり、L、L、Lは結合である。「反応性ハンドル」と、骨癌細胞を標的できる薬剤などの治療薬とのコンジュゲーションによって、ポリマー固定化薬剤が骨細胞の標的化薬剤になる。適用する際には、薬剤を骨の癌性部分に直接注射して作用させることができよう。
【0071】
反応性ハンドルは、好ましくは、分子の操作および精製に利用できるイオン化可能な官能基である。例示としてのイオン化可能な官能基には、炭素長(カルボニル炭素を含む)が炭素原子数1から約25のアルカン酸などのアミンおよびカルボン酸基がある(たとえば、カルボキシメチル、プロパン酸、ブタン酸)。他の好適な官能基の例として、アルデヒド水和物、ケトン水和物、アミド、ヒドラジン、ヒドラジド、チオール、スルホン酸、アミド化物、ヒドロキシルアミン、フェノール、オキシム、ジチオピリジン、ビニルピリジン、2−置換−1,3−オキサゾリン、2−置換1,3−(4H)−ジヒドロオキサジン、2−置換−1,3−チアゾリン、2−置換1,3−(4H)−ジヒドロチアジンがあげられる。
【0072】
本発明の多腕ポリマーの別の一般構造を以下に示すが、これは単一の骨標的化部分と、治療薬を含有する複数の部位とを含む。繰り返すが、数BTMは、特定BTMの結合効率に応じて1から数個まで大きく変わり得るものであるが、好ましいBTM単位数は小さい。必要に応じてポリマー分子量を調節し、循環時間、溶解性、BTMのキャリアなどのポリマーが果たすさまざまな役割において効率を最大にすることが可能である。この用途での薬剤部分は、標的部位で薬剤の送達を可能にする分解可能な結合によってポリマーと結合したものであってもよい低分子量単位である。
【0073】
【化8】

また、ポリマー試薬は、in vivoで分解する1つ以上の切断可能な結合または分解可能な結合であってもよい。1つ以上の分解可能な結合は、ポリマー鎖に沿ってまたは中心コア分子内で、結合のin vivoでの分解時に放出されるポリマー試薬の各セグメントが、セグメントの腎クリアランスを妨害しない分子量になるように間隔があいている。本発明のポリマー試薬は、身体からポリマーを実質的に完全に除去するとともに比較的高ポリマー分子量が望ましい両方の場合のコンジュゲートの調製に使用できるという点で、特に好都合である。たとえば、ポリマー試薬(およびそれから調製されるコンジュゲート)のポリマーの総数平均分子量は一般に、分子量約30,000から約150,000Da(総分子量約30,000Da、35,000Da、40,000Da、45,000Da、50,000Da、55,000Da、60,000Da、65,000Da、70,000Daなど)など、少なくとも約30,000Daである。分解可能な結合の分解時に放出される各ポリマーセグメントの数平均分子量は、好ましくは約22,000Da以下、一層好ましくは約20,000Da以下、なお一層好ましくは約15,000Da以下、最も好ましくは約8,000Da以下である。いくつかの実施形態では、ポリマーセグメントの分子量が約5,000Da以下または約2,500Da以下である。分解可能な結合の切断に起因するポリマーセグメントの数は、2から約40まで可変であるが、通常は2から約10の範囲(2、3、4、5、6、7、8、9または10ポリマーセグメントなど)である。
【0074】
本発明のポリマー試薬(およびそれから調製されるコンジュゲート)の構造的な構成は可変である。それほど好ましくはないが、ポリマー試薬は実質的に線状の形態を取ることも可能である。ポリマー試薬の好ましい実施形態は、ポリオールまたはペプチドなどの共通の多官能性コア分子から延在する2つ以上(好ましくは3つ以上)のポリマー腕を含む「多腕」構成である。本発明のポリマーの好ましい実施形態はハイドロゲルの形ではない、つまりポリマー試薬(およびそれから調製されるコンジュゲート)が水で膨潤可能なマトリクスの他のポリマーと一定以上の度合いで架橋されていない。
【0075】
ポリマー試薬(およびそれから調製されるコンジュゲート)内の分解可能な結合は可変である。in vivoで切断可能であって、生理学的条件(すなわち、pH7〜7.5、温度約37℃)下での半減期が約0.1から約10日の間である分解可能な結合を用いると好ましい。結合の分解速度については、ゲル浸透クロマトグラフィ(「GPC」)を用いる遊離ポリマーセグメントの分析的判断によって測定可能である。本発明のポリマー試薬は、1つ以上のカーボネート基を分解可能な結合として含み得るものであるが、ポリマー試薬が、カーボネート基を含まない少なくとも1つの分解可能な結合を含むと好ましく、カーボネート基を含まないポリマー試薬も企図される。
【0076】
例示としての分解可能な結合としては、エステル結合;カーボネート結合;カルバメート;イミド;ジスルフィド;ジペプチド、トリペプチドまたはテトラペプチド;たとえばアミンとアルデヒドとの反応によって生じるイミン結合(本明細書に援用するOuchi et al.(1997)Polymer Preprints 38(1):582〜3などを参照のこと);たとえばアルコールをホスフェート基と反応させて形成されるホスフェートエステル結合;一般にヒドラジドとアルデヒドとの反応によって形成されるヒドラゾン結合;一般にアルデヒドとアルコールとの反応によって形成されるアセタール結合;たとえばギ酸塩とアルコールとの反応によって形成されるオルトエステル結合;たとえばポリマー末端などのホスホラミダイト基とオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基との反応によって形成されるオリゴヌクレオチド結合があげられるが、これに限定されるものではない。
【0077】
K.R.Reddy,M.W.Modi and S.Pedder(2002)Adv.Drug Delivery Rev.54:571〜586など、アミドおよびウレタン結合は通常インターフェロンなどのタンパク質に対する結合PEG用の安定した基であるとみなされる。しかしながら、これらの安定した基の切断によっては、in vivoで起こる場合もある。たとえば、PEGインターフェロン(「PEGASYS(登録商標)」のブランドで市販)では、コンジュゲートと関連したPEGの最大30%がウレタン結合の切断によって排出される(M.W.Modi,J.S.Fulton,D.K.Buckmann,T.L.Wright,D.J.Moore(2000)“Clearance of Pegylated(40kDa)interferon alpha−2a(PEGASYS(登録商標))is Primarily Hepatic,Hepatology 32:371Aを参照のこと)。コンジュゲートの全体としてのクリアランスの機序はかなりゆっくりで、数日を要する。
【0078】
アミド結合に関しては、ペプチド結合に見られるものなどのアミド結合が酵素切断の影響を受けやすい特別な場合がある。Suzawa et al.(2000)Bioorg.Med.Chem.8(8):2175〜84)は、ポリ(エチレングリコール)結合L−アラニン−バリンジペプチド結合がモデル酵素サーモリシンの存在下で切断されることを見いだした。本発明における用途のあり得るペプチド結合の別の例(ジペプチドまたはトリペプチド結合など)を、米国特許第5,286,637号明細書および同第6,103,236号明細書、Goff and Carroll(1990)Bioconjugate Chem.1:381〜386)、Huang et al.(1998)Bioconjugate Chem.9:612〜617)に見いだすことができる。このため、特定の実施形態では、ポリマー試薬(およびそれから形成されるコンジュゲート)に含有される1つ以上の分解可能な結合は、アミドまたはウレタン結合を含み得る。
【0079】
エステルは、アミドおよびウレタンよりも加水分解的な切断の影響を受けやすいが、酵素によるプロセスで容易に切断されるため、エステルを特にin vivoで結合しやすくする。エステルは、酵素の接近を立体的に遮断する基が官能基の側にあれば、酵素切断に対する耐性が高い。よって、このタイプの立体的に障害されるエステル機能を含めると、ポリマーを数時間から数日で加水分解的にまたは酵素的に分解するのが望ましい場合に、エステル基が魅力的なリンカーになることがある。
【0080】
立体障害によって安定性を最も容易にする基は、以下の2つのエステル含有ポリマー(式中、「POLY」は水溶性の非ペプチドポリマーである)の場合のように、エステルのカルボニル炭素に対してα位に存在する基(アルキル基など)である。酵素切断に立体障害を提示する構造を選択するにあたり、カルボニル基に対する電子求引作用のある基を含まないことが好ましい。理論に拘泥されるものではないが、このような電子求引基は、酸触媒加水分解または塩基触媒加水分解を加速する傾向にある。
【0081】
【化9】

エステルのアルキル部(酸素原子に近い部または原子などであり、カルボニル炭素に結合される)での立体障害も、エステルの酵素切断を減速させることがある。よって、酵素切断の速度に影響をおよぼすのに立体障害が望ましい場合、カルボニル炭素および/または酸素原子に対してαおよび/またはβ位に立体障害を加えることが企図され、これがエステル基のカルボニル炭素に結合される。しかしながら、S1経路によるエステルの求電子切断を容易にするために、立体的なこみあいと電子供与との組み合わせを加えることも重要である。さらに、アルキル部を、電子求引基の置換によって、塩基触媒による加水分解が望ましいような良好な脱離基にしないことも重要である。以下の構造に示すように、酸素原子のαおよびβ位におだやかな立体妨害を導入し、これがエステル基のカルボニル炭素と結合するようにすれば、バランスを保つことができる。
【0082】
【化10】

式中、Lは、POLYとエステル含有部分との反応によって生じるスペーサ部分または結合であり、POLYは水溶性の非ペプチドポリマーである。
【0083】
このため、好ましい立体障害基としては、カルボニル炭素に隣接および/またはエステルのカルボニル基と結合された酸素原子に隣接(すなわちαまたはβ位)し、最も好ましくはカルボニル炭素と隣接するアルキル基(C1〜C10アルキル基など)またはアリール基(C6〜C10アリール基など)があげられる。
【0084】
ポリマー試薬を提示の基で調製すれば、提示の特定の基が所望の立体障害を得るのに適しているか否かを判断することが可能である。提示のポリマー試薬からのコンジュゲートの形成後、続いてこのコンジュゲートを患者に投与するか、好適なモデルに加える。患者への投与(または好適なモデルへの添加)後、たとえば血液試料(または好適なモデルからの液体のアリコート)を採取して、クロマトグラフィ技術によってコンジュゲートの分解成分を同定することで、コンジュゲート内の各分解可能な結合の分解速度を求めることが可能である。提示の基は、全体としての分解率が所望の範囲内におさまるおよび/または同じ条件下で試験するポリマー試薬の対照よりも改善される場合に、所望の立体障害を提供するのに適している。
【0085】
本発明のポリマー試薬の一部をなす水溶性の非ペプチドポリマー(POLY、POLYなど)は、無毒かつ生体適合性である、すなわちポリマーが害を引き起こすことなく生体組織または生物体と共存できるものでなければならない。ポリマーは、多数ある水溶性の非ペプチドポリマーのうちのいずれであってもよい旨は理解されたい。好ましくは、ポリ(エチレングリコール)(すなわちPEG)が、本明細書に記載のポリマー試薬の形成に用いられるポリマーである。他の好適なポリマーの例として、他のポリ(アルキレングリコール)、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)(全体を本明細書に援用する米国特許第5,629,384号明細書に記載されているものなど)ならびにこれらのコポリマー、ターポリマー、混合物があげられるが、これに限定されるものではない。異なるポリマーを同じポリマー骨格に取り入れることも可能である。水溶性の非ペプチドポリマーの組み合わせも、本発明に包含される。ポリマーセグメント(POLYまたはPOLY各々など)は、切断可能なまたは安定した結合で接続された2つ以上のポリマーセグメントも含み得る。
【0086】
ポリマーは、実質的に線状の形態であってもよいし、多腕または分岐形態(本明細書に援用する米国特許第5,932,462号明細書に記載の分岐PEG分子など)であってもよい。一般的に言えば、多腕または分岐ポリマーは、中央の分岐点から延在する2つ以上のポリマー「腕」を持つ。たとえば、例示としての分岐PEGポリマーは、以下の構造を有する。
【0087】
【化11】

式中、PEGおよびPEGは、本明細書に記載のどのような形態または幾何学的形状であってもよいPEGポリマーであり、同一であっても異なっていてもよく、L’は加水分解的に安定な結合である。式Iの例示としての分岐PEGは、以下の構造を有する。
【0088】
【化12】

式中、polyおよびpolyは、ヒドロキシポリ(エチレングリコール)などのPEG骨格であり、R”は、H、メチルまたはPEG骨格などの非反応性部分であり、PおよびQは非反応性の結合である。好ましい実施形態では、分岐PEGポリマーがヒドロキシポリ(エチレングリコール)二置換リシンである。
【0089】
式IVの分岐PEG構造は、以下に示す第3のオリゴマーまたはポリマー鎖に結合可能である。
【0090】
【化13】

式中、PEGは第3のPEGオリゴマーまたはポリマー鎖であり、PEGおよびPEGと同一であっても異なっていてもよい。
【0091】
別の実施形態では、本発明で使用する分岐PEGは以下の構造を有する。
【0092】
【化14】

式中、各POLYは、水溶性の非ペプチドポリマーまたはオリゴマーセグメント(PEGセグメントなど)であり、各Zは、キャッピング基、官能基または骨標的化基である。
【0093】
以下の例示としてのポリマー構造から明らかなように、本発明のポリマー試薬は一般に、ポリマー試薬と活性剤との間に共有結合(任意にin vivoにて切断可能)を形成するために生物学的活性剤での相補官能基との反応に適した1つ以上の官能基を含むことになる。好適な官能基の例として、ヒドロキシル、活性エステル(N−ヒドロキシサクシニミジルエステルおよび1−ベンゾトリアゾリルエステルなど)、活性カーボネート(N−ヒドロキシサクシニミジルカーボネート、1−ベンゾトリアゾリルカーボネート、p−ニトロフェニルカーボネートなど)、アセタール、炭素長が1から25炭素のアルデヒド(アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドなど)、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、ヒドラジド、チオール、炭素長(カルボニル炭素を含む)1から約25炭素原子のアルカン酸(カルボン酸、カルボキシメチル、プロパン酸、ブタン酸など)、酸ハライド、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、トレシレートがあげられる。例示としての官能基は、以下の参考文献に記載されている。N−サクシニミジルカーボネート(米国特許第5,281,698号明細書、同第5,468,478号明細書などを参照のこと)、アミン(Buckmann et al.Makromol.Chem.182:1379(1981)、Zalipsky et al.Eur.Polym.J.19:1177(1983)などを参照のこと)、ヒドラジド(Andresz et al.Makromol.Chem.179:301(1978)などを参照のこと)、プロピオン酸サクシニミジルおよびブタン酸サクシニミジル(Olson et al.in Poly(ethylene glycol)Chemistry & Biological Applications,pp 170〜181,Harris & Zalipsky Eds.,ACS,Washington,DC,1997などを参照のこと。また、米国特許第5,672,662号明細書も参照のこと)、コハク酸サクシニミジル(Abuchowski et al.Cancer Biochem.Biophys.7:175(1984)およびJoppich et al.,Makromol.Chem.180:1381(1979)などを参照のこと、サクシニミジルエステル(米国特許第4,670,417号明細書などを参照のこと)、炭酸ベンゾトリアゾール(米国特許第5,650,234号明細書などを参照のこと)、グリシジルエーテル(Pitha et al.Eur.J.Biochem.94:11(1979)、Elling et al.,Biotech.Appl.Biochem.13:354(1991)などを参照のこと、オキシカルボニルイミダゾール(Beauchamp,et al.,Anal.Biochem.131:25(1983)、Tondelli et al.J.Controlled Release 1:251(1985)などを参照のこと)、炭酸p−ニトロフェニル(Veronese,et al.,Appl.Biochem.Biotech.,11:141(1985)およびSartore et al.,Appl.Biochem.Biotech.,27:45(1991)などを参照のこと)、アルデヒド(Harris et al.J.Polym.Sci.Chem.Ed.22:341(1984)、米国特許第5,824,784号明細書、同第5,252,714号明細書などを参照のこと)、マレイミド(Goodson et al.Bio/Technology 8:343(1990)、Romani et al.in Chemistry of Peptides and Proteins 2:29(1984))、Kogan,Synthetic Comm.22:2417(1992)などを参照のこと)、オルトピリジルジスルフィド(Woghiren,et al.Bioconj.Chem.4:314(1993)などを参照のこと)、アクリロイル(Sawhney et al.,Macromolecules,26:581(1993)などを参照のこと)、ビニルスルホン(米国特許第5,900,461号明細書などを参照のこと)。上記の参考文献をすべて本明細書に援用する。
【0094】
特定の実施形態では、ポリマー試薬(およびそれから形成されるコンジュゲート)のキャッピング基、官能基またはヒドロキシアパタイト標的化基(Z、Z、Zなどの「Z」部分)は多腕構造となる。たとえば、「Z」部分は、2から約10の官能基(2、3、4、5、6、7、8、9または10の官能基など)を含む多腕の反応性構造を取り得る。例示としての多腕基として、以下の構造を有するものがあげられる。
【0095】
【化15】

式中、Zは各々、同一であっても異なっていてもよく、官能基、キャッピング基またはヒドロキシアパタイト標的化基であり、任意にスペーサ部分を含み、mは1から約350、好ましくは1から約10、一層好ましくは1から約4の範囲の整数である。
【0096】
ポリマー試薬(およびそれから形成されるコンジュゲート)は、2つのポリマー種またはポリマーと生物学的活性剤との反応によって生じる特に分解可能な結合または安定した結合のいずれかの側にある1つ以上のスペーサ部分(X、X、X、X、X、X、X、X、Xなどの「X」部分)を含むものであってもよい。例示としてのスペーサ部分として、−C(O)O−、−OC(O)−、−CH−C(O)O−、−CH−OC(O)−、−C(O)O−CH−、−OC(O)−CH−、−C(O)−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−NH−、−O−C(O)−NH−、−C(S)−、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−O−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−O−CH−、−CH−C(O)−O−CH−、−CH−CH−C(O)−O−CH−、−C(O)−O−CH−CH−、−NH−C(O)−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−、−NH−CH−、−NH−CH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH−CH−、−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−O−C(O)−NH−[CH−(OCHCH−、−NH−C(O)−O−[CH−(OCHCH−、二価シクロアルキル基、−O−、−S−、アミノ酸、ジペプチドまたはトリペプチド、−N(R)−、上記の2つ以上の組み合わせがあげられ、式中、Rは、Hであるか、またはアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、および置換アリールからなる群から選択される有機ラジカルであり、(h)は0から6であり、(j)は0から20である。他の具体的なスペーサ部分は、−C(O)−NH−(CH1〜6−NH−C(O)−、−NH−C(O)−NH−(CH1〜6−NH−C(O)−および−O−C(O)−NH−(CH1〜6−NH−C(O)−という構造を有し、式中、各メチレンに続く下付きの値は、その構造に含まれるメチレン数を示す。たとえば、(CH1〜6は、その構造が、1、2、3、4、5または6つのメチレンを含み得ることを示す。また、スペーサ部分は、上述したスペーサ部分に加えて、あるいはこれに代えて、1から25個のエチレンオキシドモノマー単位[すなわち−(CHCHO)1〜25]を含むエチレンオキシドオリゴマー/ポリマー鎖を含むものであってもよい。別のスペーサ部分に加えて使用する場合、エチレンオキシドオリゴマー鎖はスペーサ部分の前であっても後ろであってもよく、任意に、2つ以上の原子で構成されるスペーサ部分の2つの原子の間であってもよい。
【0097】
本発明のコンジュゲートに用いられる好ましい生物学的活性剤としては、特定のタンパク質、ペプチド、小分子薬剤などの比較的低水溶解性の活性剤があげられる。特に好ましい生物学的活性剤としては、成長因子、抗生物質、化学療法剤または鎮痛剤など、患者の体内で骨組織に対する生物学的効果を持つことを想定したものがあげられる。例示としての成長因子には、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、骨形態形成タンパク質、骨形成タンパク質、トランスフォーミング増殖因子、LIM無機化タンパク質、類骨誘導因子、アンジオゲニン、エンドセリン;増殖分化因子、ADMP−1、エンドセリン、肝細胞増殖因子およびケラチノサイト増殖因子、ヘパリン結合増殖因子、ヘッジホッグタンパク質、インターロイキン、コロニー刺激因子、上皮増殖因子、インスリン様増殖因子、サイトカイン、オステオポンチン、およびオステオネクチンがある。
【0098】
本発明のポリマー試薬に対して共有結合可能な比較的疎水性である活性剤の他の例として、アビエチン酸、アセグラトン、アセナフテン、アセノクマロール、アセトヘキサミド、アセトメロクトール、アセトキソロン、アセチルジギトキシン、アセチレンジブロミド、アセチレンジクロリド、アセチルサリチル酸、アラントラクトン、アルドリン、アレキシトールナトリウム、アレスリン、アリルエストレノール、アリルスルフィド、アルプラゾラム、アルミニウムビス(アセチルサリチル酸塩)、アンブセタミド、アミノクロテンオキサジン、アミノグルテチミド、アミルクロリド、アンドロステンジオール、アネトールトリチオン、アニラジン、アントラリン、アンチマイシンA、アプラスモマイシン、アルセノ酢酸、アジアチコシド、アスターニゾール(asternizole)、オーロドクス、金チオグリカニド、8−アザグアニン、アゾベンゼン、バイカレイン、バルサムペルー、バルサムトルー、バーバン、バクストロビン、ベンダザック、ベンダゾール、ベンドロフルメチアジド、ベノミル、ベンザチン、ベンゼステロール、ベンゾデパ、ベンゾキシキノン、ベンズフェタミン、ベンズチアジド、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸ベンジル、ビブロカトール、ビフェノックス、ビナパクリル、ビオレスメトリン、ビサボロール、ビサコジル、ビス(クロロフェノキシ)メタン、ヨード次没食子酸(iodosubgallate)ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸ビスマス、ビスフェノールA、ビチオノール、ボルニル、ブロモイソ吉草酸塩、塩化ボルニル、イソ吉草酸ボルニル、サリチル酸ボルニル、ボロジファクム、ブロメタリン、ブロキシキノリン、ブフェキサマク、ブタミラート、ブテタール、ブチオベート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ヨードステアリン酸カルシウム、糖酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、カポベン酸、キャプタン、カルバマゼピン、カルボクロラール、カルボフェノチン、カルボコン、カロテン、カルバクロール、セファエリン、セファリン、カウルムーグル酸、ケノジオール、キチン、クロルダン、クロルフェナック、クロルフェネトール、クロロタロニル、クロロトリアニセン、クロルプロチキセン、クロルキナルドール、クロモナール、シロスタゾール、シンコニジン、シトラール、クリノフィブラート、クロファジミン、クロフィブラート、クロフルカルバン、クロニトラート、クロピドール、クロリンジオン、クロキサゾラム、コロクソン、コルチコステロン、クルナクロル、クマホス、クミトエートクレシル酢酸、クリミジン、クルホマート、クプロバム、シアメマジン、シクランデレート、シクラルバマートシマリン、シクロスポリンA、シペルメトリル、ダプソン、デホスファミド、デルタメトリン、酢酸デオキシコルチココステロン、デスオキシメタゾン、デキストロモラミド、ジアセタゾト、ジアリホール、ジアチモスルホン、デカプトン、ジクロフルアニ、ジクロロフェン、ジクロフェナミド、ジコホル、ジクリル、ジクマロール、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ジフェナミゾール、酢酸ジヒドロコデイノンエノール、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロタキステロール、ジメステロール、ジメチステロン、ジオキサチオン、ジフェナン、N−(1,2−ジフェニルエチル)ニコチンアミド、3,4−ジ−[1−メチル6−ニトロ−3−インドリル]−1H−ピロール−2,5−ジオン(MNIPD)、ジピロセチル、ジスルファミド、ジチアノン、ドキセニトイン、ドラゾキソロン、デュラバタイト、エジフェンホス、エモジン、エンフェナム酸、エルボン、エルゴコルニニン、四硝酸エリスリチル、ステアリン酸エリスロマイシン、エストリオール、エタベリン、エチステロン、ビスクルンアセト酸(biscournacetate)エチル、エチルヒドロクプレイン、エチルメタンカルボキサミド、オイゲノール、ユープロシン、エキサラミド、フェバルバマート、フェナラミド、フェンベンダゾール、フェニペントール、フェニトロチオン、フェノフィブラート、フェンキゾン、フェンチオン、フェプラゾン、フリルピン、フィリキシン酸、フロクタフェニン、フルアニソン、フルメキン、フルオコルチンブチル、フルオキシメステロン、フルロチル、フルタゾラム、フマギリン、5−フルフチリル−5−イソプロピルバルビツール酸、フサフムジン;グラフェニン、グルカゴン、グルテチミド、グリブチアゾール、グリセオフルビン、グアイアコール炭酸塩、グアイアコールリン酸塩;ハルシノニド、ヘマトポルフィリン、ヘキサクロロフェン、ヘキセストロール、ヘキセチジン、ヘキソバルビタール、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、イブプロキサム、イデベノン、インドメタシン、ナイアシン酸イノシトール、イオベンザム酸、イオセタム酸、イオジパミド、イオメグラム酸、イポダート、イソメテプテン、イソノキシン、2−イソバレリルインダン−1,3−ジオン、ジョサマイシン、11−ケトプロゲステロン、ラウロカプラム、3−O−ラウロイルピリドキソール二酢酸塩、リドカイン、リンダン、リノレン酸、リオチロニン、ルセンソマイシン、マンコゼム、マンデル酸、イソアミルエステル、マジンドール、メベンダゾール、メブヒドロリン、メビキン、メラルソプロール、メルファラン、メナジオン、吉草酸メンチル、メフェノキサロン、メフェンテルミン、メフェニトイン、メプリルカイン、メスタノロン、メストラノール、メスルフェン、メテルゴリン、メタラタル、メタンドリオール、メタカロン、メチルコラントレン、メチルフェニデート、17−メチルテストステロン、メチプラノロール、ミナプリン、ミオラル、ナフタロホス、ナフトピジル、ナフタレン、2−ナフチル乳酸塩、2−(2−ナフチルオキシ)エタノール、サリチル酸ナフチル、ナプロキセン、ネアルバルビタール、ネマデクチン、ニクロサミド、ニコクロナート、ニコモルフィン、ニフロキン、ニフロキサジド、ニトラクリン、ニトロメルソール、ノガラマイシン、ノルダゼパム、ノルエタンドロロン、ノルゲストリエノン、オクタベリン、オレアンドリン、オレイン酸、オキサゼパム、オキサゾラム、オキセラジン、オキセサゼイン、オキシコドン、オキシメステロン、酢酸オキシフェニサチン、パクリタキセル、パラヘルクアミド、パラチオン、ペモリン、四硝酸ペンタエリスリトール、ペンチルフェノール、ペルフェナジン、フェンカルバミド、フェニラミン、2−フェニル−6−クロロフェノール、フェントンエチルバルビツール酸(phenthnethylbarbituric acid)、フェニトイン、ホサロン、O−フタリルスルファチアゾール、フィロキノン、ピカデックス、ピファルニン、ピケトフェン、ピプロゾリン、ピロザジル、ピバロイルオキシメチルブチレート、プラフィブリド、プラウノトール、ポラプレジンク、ポリチアジド、プロベネシド、プロゲステロン、プロメゲストン、プロパニジド、プロパルギット、プロファム、プロカゾン、プロチオナミド、ピリメタミン、ピリミタート、パモ酸ピルビニウム、ケルセチン、キンボロン、キザロホップエチル、ラフォキサニド、レシナミン、ロシベリン、ロンネル、サレン、スカーレットレッド、シッカニン、シマジン、シメトリド、シンバスタチン、ソブゾキサン、ソラン、スピロノラクトン、スクアレン、スタノロン、スクラルファート、スルファベンズ、スルファグアノール、スルファサラジン、スルホキシド、スルピリド、スキシブゾン、タルブタール、ターガイド(terguide)、テストステロン、テトラブロモクレゾール、テトランドリン、チアセタゾン、チオコルヒチン、チオクト酸、チオキノックス、チオリダジン、チラム、チミルN−イソアミルカルバメート、チオキシダゾール、チオキソロン、トコフェロール、トルシクラート、トルナフテート、トリクロサン、トリフルサール、トリパラノール、ウルソール酸、バリノマイシン、ベラパミル、ビンブラスチン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、キセンブシン、キシラジン、ザルトプロフェン、およびゼアラレノンがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0099】
一実施形態では、本発明は、以下の構造を有するヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマーを提供するものであり、
【0100】
【化16】

式中、
Aは、−(X−(L−(X−POLY−Zまたは−(X−(L−(X−Zであり、
POLYおよびPOLYは各々、同一であっても異なっていてもよく、水溶性の非ペプチドポリマーであり、
、X、X、Xは各々、同一であっても異なっていてもよく、スペーサ部分であり、
、L、Lは各々、同一であっても異なっていてもよく、結合であり、
は各々、同一であっても異なっていてもよく、Zまたはヒドロキシアパタイト標的化部分あるいは、2から約10のヒドロキシアパタイト標的化部分を含み、任意に少なくとも1つの水溶性非ペプチドポリマーも含む多腕構造であり、ただし、bが0である場合、少なくとも1つのZが1本以上のポリマー腕を含む多腕構造を有するという条件で、なおかつ少なくとも1つのZがヒドロキシアパタイト標的化部分であるという条件であり、
は、スペーサを介してPOLYに結合していてもよい官能基(イオン化可能な官能基など)であり、
a、b、c、d、e、fは各々、同一であっても異なっていてもよく、0または1のいずれかであり、
Rは、結合に利用できるp+1部位を少なくとも含む分子から誘導されるモノマー性またはオリゴマー性多腕コア分子であり、
pは、2〜32の範囲の整数である。
【0101】
特定の実施形態では、POLYおよびPOLYが各々、約22,000Da未満、約15,000Da未満または約8,000Da未満の数平均分子量を有する。POLYおよびPOLYの例示としてのポリマーには、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)ならびに、これらのコポリマー、ターポリマーまたは混合物がある。ヒドロキシアパタイト標的化部分の例として、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、アミノホスホ糖があげられる。
【0102】
本発明のポリマー試薬の特定の実施形態は、L、LまたはL位に上述したような少なくとも1つの加水分解的または酵素的に切断可能な結合を含む。POLYおよびPOLYなどのポリマー鎖は、結合によって結合された2から約5個の水溶性の非ペプチドポリマーセグメントを含むセグメント化構造を持ち得るものである。たとえば、POLYとPOLYのうち一方または両方が、式−POLY−L−POLY−で表される構造を取ることが可能であって、式中、各POLYは水溶性の非ペプチドポリマーであり、Lは、酵素的にまたは加水分解的に切断可能な結合である。
【0103】
別の態様では、本発明は、本発明のポリマー試薬と生物学的活性剤との反応生成物を含み、以下の構造を有するヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマーコンジュゲートを提供するものであり、
【0104】
【化17】

式中、Bは、−(X−(L−(X−POLY−L−Drugまたは−(X−(L−(X−L−Drugであり、Drugは、生物学的に活性な部分の残基であり、Lは、Zと生物学的に活性な部分の官能基との反応によって得られる結合であり、Zは、L−Drugまたはヒドロキシアパタイト標的化部分であり、式中、Lは、官能基であるZと、生物学的に活性な部分の官能基との反応によって得られる結合であり、ただし、少なくとも1つのZがヒドロキシアパタイト標的化部分である。
【0105】
コア分子Rは、ポリマーセグメントの結合用に3つ以上の反応部位が得られるどのようなモノマー分子またはオリゴマー分子であってもよく、一般に3から約32の反応部位を有し、一層好ましくは3から約25の反応部位、最も好ましくは3から約10の反応部位を有することになる(3、4、5、6、7、8、9または10の反応部位など)。コア分子における反応部位の数は、ポリマーセグメントに対する結合に実際に使用する部位の数より多くてもよい(すなわち、反応部位の数がpより大きくてもよい)点に注意されたい。反応部位は、官能化ポリマーセグメントとの反応に利用できる末端官能基を含み、2タイプ以上の官能基を含み得る。たとえば、特定のジペプチドまたはトリペプチドコア分子が、1つ以上のカルボン酸基と1つ以上のアミン基の両方を含むことになる。上述したように、Rコア分子は、ポリオールのヒドロキシル基の部位および/またはポリペプチドまたはジスルフィド上の遊離反応性基の部位にポリマー腕を結合できる多腕コア分子を形成するためのポリペプチド(ジペプチドまたはトリペプチドなど)またはジスルフィドとポリオールとの組み合わせであってもよい。ポリマー腕の結合前に、必ずしも事前にRコア分子を形成しておかなくてもよい点に注意されたい。代わりに、ポリマー腕を最終的なコア分子となる成分のうちの1つと結合させた後でコア分子を作製することが可能である。たとえば、ポリマー腕をポリオール分子と結合させた上で、2つのポリマー修飾ポリオール分子をジスルフィドまたはジペプチドリンカーで一緒に結合することが可能である。
【0106】
コア分子として用いるポリオールは、複数の利用可能なヒドロキシル基を含む。ポリマー腕の所望の数に応じて、ポリオールは一般に、3から約25のヒドロキシル基を含み、好ましくは約3から約22のヒドロキシル基、最も好ましくは約5から約12のヒドロキシル基を含む。ヒドロキシル基間の間隔はポリオールごとに異なるが、一般に各ヒドロキシル基間には1から約20個の原子(炭素原子など)があり、好ましくは1から約5個の原子がある。どのポリオールを選択するかは、ポリマー腕の結合部位として必要なヒドロキシル基の所望の数に応じて変わる。ポリオール開始材料の数平均分子量は一般に、約100から約2,000Daである。ポリオールは一般に分岐構造を持ち、ポリオールの炭化水素コア構造の1つ以上の炭素原子が、炭素原子およびエーテル連結酸素原子(すなわち、2つの炭素原子と結合した酸素原子)から選択される3つまたは4つの原子と共有結合されている。
【0107】
コア分子として用いるのに好ましいポリオールとしては、ヘキサグリセロールなどのグリセロールオリゴマーまたはポリマー、ペンタエリスリトールならびにこれらのオリゴマーまたはポリマー(ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、テトラペンタエリスリトールなど)、ソルビトール、アラビニトール、マンニトールなどの糖から誘導されるアルコールがあげられる。また、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(TRIS)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、{[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ}酢酸(トリシン)、2−[(3−{[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ}プロピル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−{[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)、4−{[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ}−1−ブタンスルホン酸、および2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール塩酸塩などのイオン化可能な基を含む多くの市販のポリオールも適切な開始材料である。一般に、本発明で用いるポリマーポリオールは、約25以下のモノマー単位を含む。ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールの構造を、ヘキサグリセロールに考えられる構造のうちの1つと一緒に以下にあげておく。
【0108】
【化18】

利用可能なヒドロキシル基が21あるヒドロキシプロピル−β−サイクロデキストリンが、別の例示としてのポリオールである。さらに別の例示としてのポリオールは、ドイツのFreiburgにあるHyperpolymers GmbHから入手可能な高分岐ポリグリセロールであり、これについては以下に示しておく。
【0109】
【化19】

ポリオールは、ポリオールコアと結合したPEGオリゴマーまたはポリマーセグメントを含むものであってもよい。ポリオール開始材料は一般に、分子量の異なるポリオールオリゴマーまたはポリマーの混合物あるいは、分子量の異なるエトキシル化ポリオール構造の混合物など、生成物の混合物の形であって、おそらくはさらに、グリセロールなどの残留量の元のポリオールモノマー単位を含む。しかしながら、開始混合物中の少なくとも1つのポリオールは一般に、少なくとも3つの利用可能なヒドロキシル基を有する式R(OH)の分岐ポリオールであり、式中、Rは、任意に1つ以上のエーテル結合を含む分岐炭化水素であり、pは少なくとも3、一般に3から約25、好ましくは3から約10である。
【0110】
本発明の特定の実施形態では、環状アセタールまたはケタール基をヒドロキシル保護基(protecting group)として使用しやすくする、ヒドロキシル基間の間隔が詰まったポリオールが特に好ましい。ポリオール構造内のヒドロキシル基間に炭素原子2個または3個分の間隔があると、特定の好ましい複素環保護基(protecting group)を形成できる。たとえば、ペンタエリスリトールオリゴマーまたはポリマーのヒドロキシル基での間隔が近いと、当該技術分野において周知の技術で環状アセタールまたはケタール基を形成できる。環状アセタールまたはケタール基は、ケトン試薬(シクロヘキサノンなど)または式R’−CHOの試薬などのアルデヒド試薬とポリオールとを反応させることで形成可能であり、式中、R’は、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールである。例示としてのアルデヒド試薬にベンズアルデヒドがある。
【0111】
ポリオールの大部分のヒドロキシル基を保護された形とし、イオン化可能な官能基を含む試薬とポリオールコアとを反応させ、構成要素としてのイオン化可能な官能基の数で区別される複数の生成物を生成することが可能である。一般に、この反応では、単官能化生成物、二官能化生成物、残りの未反応ポリオールが生成される。イオン交換クロマトグラフィ系を用いて、電荷の差を利用して各生成物画分を分離し、所望の単官能性生成物を精製することが可能である。電荷の差を利用してPEGポリマー種を精製するためのプロセスは、全体を本明細書に援用する米国特許出願公開第2005/0054816号明細書に記載されている。
【0112】
精製プロセスで用いる1つ以上のイオン交換カラムは、電荷によって混合物を分離するのに従来から用いられているどのようなイオン交換カラムであってもよい(Ion Exchange Chromatography.Principles and Method.Pharmacia Biotech 1994;“Chromatography:a laboratory handbook of chromatographic and electrophoretic techniques.”Heftman,E(Ed.),Van Nostrand Rheinhold Co.,New York,1975)。それぞれのカラムは、イオン交換媒質と、イオン交換媒質を流れる移動相または溶離液を含む。本発明で使用するのに適したイオン交換カラムには、Applied Biosystems製のPOROS(登録商標)イオン交換媒質やPharmacia製のSEPHAROSE(登録商標)イオン交換媒質がある。
【0113】
特定の実施形態では、POLYが各々ポリ(エチレングリコール)ポリマーであり、Rが、ジスルフィドリンカー、ジペプチド、トリペプチドまたはテトラペプチドであるが、これはR部分が少なくとも1つのジスルフィド結合(ジスルフィドリンカーから)またはアミド結合(ペプチド残基間の結合など)を含むことになることを意味する。好ましいR基としては、少なくとも1つのリシン残基を含むものがあげられる。好適なジスルフィドリンカーとしては、−S−S−結合を含み、鎖長が全体で4〜25原子からなるさまざまなリンカーがあげられ、好ましいジスルフィド分子はポリマーセグメントの結合に4〜8個の官能基を利用できる。特定の実施形態では、POLYおよびPOLYが各々、分岐ポリ(エチレングリコール)ポリマーである。
【0114】
ポリマー試薬は、以下の構造を有するジスルフィド分子由来のR部分を含むものであってもよい。
【0115】
【化20】

さらに他の実施形態では、POLYが各々、ポリ(エチレングリコール)ポリマーを含み、Rが少なくとも1つのペプチド残基である。R部分はさらに、ジスルフィド結合を含むものであってもよい。特定の実施形態では、Rが、脂肪族炭素鎖、ジスルフィド結合を含む脂肪族炭素鎖、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー(1〜25のモノマー単位を有するオリゴマーなど)からなる群から選択されるリンカーとアミド結合によって連結された少なくとも2つのリシン残基を含む。
【0116】
さらに別の実施形態では、POLYが各々、ポリ(エチレングリコール)ポリマーを含み、Rが、少なくとも1つのジスルフィド結合と少なくとも2つのアミド結合とを有する非ペプチド部分を含む。「非ペプチド」とは、R分子がペプチド残基を含まない(すなわち、アミドおよびジスルフィド結合がペプチド分子の一部ではない)ことを意味する。このように、アミド結合が含まれるという点で構造がペプチド分子に似ているが、技術的には性質がペプチドではないRコア分子を使用することが可能である。
【0117】
多腕構造が最も好ましいのであるが、別の態様では、本発明は、以下の構造すなわち
Z−(X−L−(X−[POLY−(X−L−(X−POLY−(X−Y
を有する、ヘテロ二官能性で実質的に線状のヒドロキシアパタイト標的化ポリマーを提供するものであり、
式中:
POLYおよびPOLYは各々、同一であっても異なっていてもよく、水溶性の非ペプチドポリマーであり、
、X、X、X、Xは各々、同一であっても異なっていてもよく、スペーサ部分であり、
は、結合であり、
は各々、カルバメートおよびアミドからなる群から選択される加水分解的または酵素的に切断可能な結合であり、
Zは、ヒドロキシアパタイト標的化部分であり、
Yは官能基であり、
a、b、c、d、eは各々、同一であっても異なっていてもよく、0または1のいずれかであり、
mは、1〜10の範囲の整数である。
【0118】
本発明の例示としてのポリマー試薬は、以下のポリマー構造を含む。
【0119】
【化21】

【0120】
【化22】

実施例1は、上述した第1の構造についての例示としての合成経路を提供するものである。上記の第2の構造は、グリセロールコアと、PEG鎖末端の2つの遠隔ビスホスホネート基と、ブタン酸官能基による薬剤結合用の部位とを有する「PEG2」分子をベースにしたものである。この分子を構成するにあたって、一般的なメトキシキャップPEG(m−PEG)ではなくベンジルキャップPEG(b−PEG)を使用することが可能である。続いて、適当な処理ステップで、ベンジル基を水素化分解して除去し、一連のステップで、ビスホスホネート官能基を加えることが可能である。実施例2に、このタイプの分子で考えられる合成経路を示す。実施例3には、上述したトリリシンベースのポリマー試薬の場合の例示としての合成をあげておく。
【0121】
本発明のヒドロキシアパタイト標的化多腕ポリマーを形成する方法は、変更可能なものである。以下の反応スキーム1は、ペンタエリスリトールベースで、エステルをイオン化可能な反応性の腕(保護されたカルボン酸)として有する6本腕のポリオールを構成する1つの方法を示すものである。この例では、リンカーLがリシンなどの多官能性リンカーである。
【0122】
【化23】

以下の反応スキーム2は、上記の反応スキーム1で一般化した構造を(ベンジルエステルの水素化分解によって)どのように脱保護し、以後のアミン末端治療薬との反応用に活性化させるのかについて示すものである。
【0123】
【化24】

以下の反応スキーム3は、リシンコアとイオン化可能な反応性の腕としてのカルボン酸基を有するポリマーの末端に骨標的化部分を結合させる方法を示すものである。図示のように、トリチル基を水素化分解した後、酸基をエステル化して保護された酸を形成し、続いて末端と本例ではAHPDP(3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸の誘導体)である骨標的化剤とを反応させる。以下の反応スキーム3で得られるポリマー種を水素化分解して、ベンジルエステル基を除去することも可能である。続いて、本明細書に援用する米国特許第6,436,386 B1号明細書で用いているものと同様の方法でDCC/NHSと反応させることで、この骨標的化ポリマーを、N末端リシンなどの治療薬上の利用可能なアミン基を介して治療薬をコンジュゲートするのに使用可能な活性エステル試薬(NHSエステル)に変換できる。
【0124】
【化25】

上述したように、ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸などの遊離カルボキシル基を有するアミノ酸の特定のホモオリゴマーは、ヒドロキシアパタイトに対する結合能が良好である。したがって、このタイプのポリペプチド基を側基として用いて、骨標的化ポリマーの別の構造を調製可能である。以下のスキーム(反応スキーム4)に示すのは、市販のヘテロ二官能性PEG誘導体を、当該技術分野において周知のポリアスパラギン酸と反応させることが可能な方法である。アミンと末端カルボン酸がブロックされたままの生成物をさらに操作して、アミン基を脱ブロックすることが可能である。この中間体を、多腕試薬の形成に直接使用(反応スキーム5などを参照)してもよいし、さらに操作して活性エステルを形成し、それを図示しない、異なる多腕試薬に変換することも可能である。
【0125】
【化26】

以下の反応スキーム5は、ポリペプチド含有骨標的化多腕ポリマー試薬の調製に用いられるアミン保護中間体および酸保護中間体の形成を示すものである。
【0126】
【化27】

以下の反応スキーム6では、反応スキーム5のメチルエステル中間体を塩基加水分解で脱保護するが、これはt−ブチルエステルには影響しない。次に、得られるカルボン酸をジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシスクシンイミドでエステル化して、活性エステルを得る。マレイミドを形成するためのアミン含有試薬との反応では、ポリペプチド部分にカルボン酸エステルを残したままマレイミド基を有するポリマー試薬が得られる。おだやかな酸加水分解によって保護基(protecting group)を除去し、チオール含有治療薬に対して反応性の試薬を生成する。
【0127】
【化28】

以下の反応スキーム7では、上記の試薬とのコンジュゲーションを治療薬とともに示すが、これはたまたまチオール基を有するポリペプチドになるものである。
【0128】
【化29】

本発明は、ポリマー試薬と、プロドラッグとして作用して骨部位で生物学的に活性な部分を放出するよう設計された、上記のポリマー試薬から作られるコンジュゲートとを含む。この場合、薬剤とのコンジュゲーションが起こる部位に分解可能な官能基を加える。フェノラートまたはFMOCタイプの分解可能な官能基は、このタイプの分子に容易に取り込み可能であり、よって、本明細書ではこのクラスの試薬の特徴として含めてある。
【0129】
以下の反応スキーム8では、in vivoにて酵素的に切断してポリマーをさらに小さな断片としてクリアすることが可能なトリペプチド結合を含有するポリマー試薬の例を示す。市販のトリリシンをコアトリペプチドとして使用して、遊離アミン基をベンジル保護活性カーボネートPEG(b−PEG−BTC)と反応させる。これによって、4本腕のポリマーが、除去可能なベンジル基で末端保護された状態で形成される。このポリマーは、ポリマーの精製ならびに薬剤分子への接続用の活性化に使用可能なカルボン酸基を有する点に注意されたい。
【0130】
【化30】

反応スキーム8の生成物に対する一連の処理ステップが終了すると、以下に示す4本腕のビスホスホネートにつながる骨標的化官能性と薬剤が付加される。
【0131】
【化31】

別のプロセスでは、モノブロック化(エステル)ジスルフィド結合ジペプチドLys−Cysすなわち、以下に示すものを利用して、4本腕の構造を誘導することが可能である。
【0132】
【化32】

この小分子を以下に示す4本腕のビスホスホネートポリマー薬剤送達コンジュゲートに変化させることが可能である。セグメント化ポリマー種を用いることの利点は、これらのポリマーが、酵素または細胞内化学作用によって、特定のポリオールをベースにしたものなどの安定した多腕分子よりも短時間で体外に排出されるさらに小さな線状断片に分解される機能にある。
【0133】
【化33】

当該技術分野において周知の経路で、上記の分子を点線で示した結合部位で切断できた。一重点線は酵素または細胞内化学切断が起こりやすい部位であり、二重点線は、隣接するアミド基が関与する化学プロセスによって脱PEG化が起こる場合がある部位を表す(Guiotto et al,Biorg.Med.Chem.2004,12,5031〜5037)。水溶性ポリマー固定化薬剤分子のジスルフィド結合は、血清または細胞においてグルタチオンなどの作用剤で切断されることが周知である(Zalipsky et al Bioconj.Chem.1999,10,703〜707;米国特許第6,342,244B1号明細書;米国特許出願公開第2005/0170508A1号明細書;Huang et al,Bioconj Chem.1998,9,612〜617)。ペプチド結合の酵素切断も水溶性ポリマーで報告されている(Ulbrich et al Makromol.Chem.1986,187,1131〜1144;Suzawa et al,J.Controlled Rel.2000,69,27〜41;Suzawaら、米国特許第6,103,236号明細書)。
【0134】
送達を促進し、骨に標的されるまでコンジュゲートを保持する上で高分子量のポリマーが望ましい場合、ビスホスホネート骨標的化基を有するセグメント化ポリマーを用いることが重要なこともある。その後、リンカーでのセグメント切断によって、ポリマー断片がすべて低分子量で一般に線状のポリマーになるため、ポリマー断片のクリアランスが可能になる。
【0135】
ポリマー試薬、このポリマー試薬から作られるコンジュゲートならびに、上述の合成方法に加えて、本発明はさらに、ポリマーコンジュゲートを治療的に用いて、骨の表面への生物学的活性剤の標的化送達が役立つであろうさまざまな症状および疾患状態を治療する方法も含む。治療対象となる例示としての症状には、骨癌、骨組織の感染、年齢による骨組織の分解、外傷によって生じる骨欠損などがある。投与経路、生物学的に活性な部分、薬用量の範囲の選択内容は、医師が容易に判断可能なものであり、治療対象となる症状、患者の状態、傷害または疾患の重篤度などを含む多数の要因に応じて変化する。
【0136】
本明細書に引用した論文、書籍、特許、特許公開、他の刊行物はいずれも、その内容全体を本明細書に援用するものである。
実験
以上、具体的な特定の好ましい実施形態をあげて本発明について説明してきたが、上記の説明ならびに以下の実施例は、例示を意図したものであり、本発明の範囲を限定されるものではない旨は理解できよう。本発明の範囲に包含される他の態様、利点および修正は、本発明の属する分野の当業者であれば自明であろう。たとえば、特定の用途において、すべての結合が分解可能ではなく安定した上記の式のいずれかのポリマー試薬を用いると望ましい場合もある。
【0137】
特に明記しないかぎり、添付の実施例で取り上げるPEG試薬はいずれも、たとえばNektar Therapeutics,Huntsville,ALから入手したものなどの市販品である。HNMRデータはいずれも、Bruker製の300または400MHzのNMR分光計で生成した。高速液体クロマトグラフィ(HPLC)については、Agilent 1100 HPLC系(Agilent)、ゲル浸透カラムまたはイオン交換カラム、移動相としてのリン酸緩衝水溶液、屈折率(RI)検出器を用いて実施した。
【実施例】
【0138】
実施例1
I.PEG(5,000Da)−α−ヒドロキシ−ω−ブタン酸、メチルエステル
PEG(5,000)−α−ヒドロキシ−ω−ブタン酸(70g、0.0140モル)(Nektar Therapeutics)を無水メタノール(400ml)に入れた溶液に、濃硫酸(8.0ml)を加えた後、混合物を室温で3時間攪拌した。NaHCO(8%水溶液)を加えて混合物のpHを7.0に調整した。メタノールを減圧下で留去し、CHCl(2×350ml)で生成物を抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で留去した。収量60g。
【0139】
NMR(d−DMSO):1.72 ppm(m,−CHCHCOO−,2H),2.34 ppm(t,−CHCOO−,2H),3.51 ppm(s,PEG骨格),4.57 ppm(t,−OH,1H),3.58 ppm(s,CHO−,3H)。
II.PEG(5,000Da)−α−サクシニミジルカーボネート−ω−ブタン酸、メチルエステル
PEG(5,000Da)−α−ヒドロキシ−ω−ブタン酸、メチルエステル(60g、0.0120モル)をアセトニトリル(300ml)に入れた溶液に、ピリジン(1.60ml)とジサクシニミジルカーボネート(3.92g)を加え、反応混合物をアルゴン雰囲気下で室温にて一晩攪拌した。次に、混合物を濾過し、溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物を塩化メチレンに溶解し、イソプロピルアルコールで沈殿させた。湿生成物を減圧下で乾燥させた。収量57g。
【0140】
NMR(d−DMSO):1.72 ppm(m,−CHCHCOO−,2H),2.34 ppm(t,−CHCOO−,2H),2.81 ppm(s,−CHCH−(スクシンイミド),4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.58 ppm(s,−CHO−,3H),4.45 ppm(m,−CH−O(C=O)−,2H)。
III.PEG(5,000Da)−α−AHPDP−ω−ブタン酸
PEG(5,000Da)−α−サクシニミジルカーボネート−ω−ブタン酸、メチルエステル(40g、0.0080モル)をアセトニトリル(400ml)に入れた溶液に、3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸、ジテトラブチルアンモニウム塩(AHPDP−2BuN)(6.2g)とトリエチルアミン(2.4ml)を加え、反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物をDI水(400ml)に溶解し、1Mの水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを12.0に調整した。1Mの水酸化ナトリウムを定期的に加えてpHを12に維持したまま、この溶液を2時間攪拌した後、Amberlite IR 120(プラス)カラム(200ml)で濾過した。濾液から、減圧下で水を留去した。湿生成物を塩化メチレン(600ml)に溶解した後、溶媒を留去した。最後に、生成物を減圧下で乾燥させた。収量35g。
【0141】
NMR(d−DMSO):1.72 ppm(m,−CHCHCOO−,2H),2.02 ppm(m,−CH−(AHPDP),2H),2.34 ppm(t,−CHCOO−,2H),3.51 ppm(s,PEG骨格),4.03 ppm(m,−CH−O(C=O)−,2H),7.11 ppm(t,−(C=O)NH−,1H)。
IV.PEG(5,000)−α−AHPDP−ω−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
PEG(5,000Da)−α−AHPDP−ω−ブタン酸(30g、0.0060当量)を無水塩化メチレン(300ml)に入れた溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.83g、0.0072モル)を加えた後、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.0M塩化メチレン溶液、7.2ml、0.0072モル)を加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、混合物を濾過し、溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物を塩化メチレンに溶解し、イソプロピルアルコールで沈殿させた。最後に、生成物を減圧下で乾燥させた。収量27g。
【0142】
NMR(d−DMSO):1.84 ppm(m,−CHCHCOO−,2H),2.02 ppm(m,−CH −(AHPDP),2H),2.71 ppm(t,−CHCOO−,2H),2.81 ppm(s,−CHCH−(スクシンイミド),4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),4.03 ppm(m,−CH−O(C=O)−,2H),7.11 ppm(t,−(C=O)−NH−,1H)。
V.PEG(5,000)−α−AHPDP−ω−ブチルアルデヒドジエチルアセタール
PEG(5,000Da)−α−AHPDP−ω−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25g、0.0050当量)を無水塩化メチレン(250ml)に入れた溶液に、テトラ(エチレングリコール)−α−アミノ−ω−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(Nektar Therapeutics;2.0g、0.0059モル)を加えた後、トリエチルアミン(1.70ml)を加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、混合物を濾過し、溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物を塩化メチレンに溶解し、イソプロピルアルコールで沈殿させた。最後に、生成物を減圧下で乾燥させた。収量22g。
【0143】
NMR(d−DMSO):1.10 ppm(t,CH−C,6H),1.51 ppm(m,C−CH−CH −,ブチルアルデヒド, 4H),1.72 ppm(m,−CHCHCOO−,2H),2.02 ppm(m,−CH −(AHPDP),2H),2.10 ppm(t,−CHCOO−,2H),3.51 ppm(s,PEG骨格),4.03 ppm(m,−CH−O(C=O)−,2H),4.46 ppm(t,−CH−,アセタール,1H),7.11 ppm(t,−(C=O)−NH−,1H)。
VI.PEG(5,000)−α−AHPDP−ω−ブチルアルデヒド
PEG(5,000)−α−AHPDP−ω−ブチルアルデヒドジエチルアセタール(20g)を水300mlに溶解し、希リン酸を用いて溶液のpHを2.5に調整した。この溶液を室温にて3時間攪拌した。次に、0.5Mの水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを7に調整した。生成物を塩化メチレンで抽出し、ジエチルエーテルで沈殿させた。最後に、生成物を減圧下で乾燥させた。収量17.5g。
【0144】
NMR(d−DMSO):1.75 ppm(m,−CHCHCHO,2Hおよび−CHCHCOO−,2H),2.02 ppm(m,−CH −(AHPDP),2H),2.10 ppm(t,−CHCOO−,2H),2.44 ppm(dt,−CHCHO,2H),3.51 ppm(s,PEG骨格),4.03 ppm(m,−CHO(C=O)−,2H),7.11 ppm(t,−(C=O)−NH−,1H),9.66 ppm(t,−CHO,1H)。
実施例2
I.グリセロールベースの前駆体分子の調製
【0145】
【化34】

cis−1,3−O−ベンジリデングリセロール(7.2g、0.040モル)(Sigma−Aldrich Corporation、St.Louis、MO)をトルエン(100ml)に入れた溶液を、トルエンを蒸留することで共沸乾燥させた。乾燥後の化合物を無水トルエン(100ml)に溶解し、カリウムtert−ブトキシドをtert−ブタノール(60ml、0.060モル)に入れた1.0M溶液と1−(3−ブロモプロピル)−4−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン(14.0g、0.0558モル)とを加え、混合物をアルゴン雰囲気下で100℃にて一晩攪拌した。この混合物を濾過し、溶媒を減圧下で留去して15.7gの固体生成物(化合物2)を得た。NMR(d−DMSO):0.74 ppm(s,3H),1.61 ppm(m,4H),1.88 ppm(m,2H),3.44 ppm(t,2H),3.81 ppm(s,6H),4.05 ppm(m,4H),5.55 ppm(s,1H),7.37 ppm(m,5H)。
【0146】
概略的に、この反応は以下のように表される。
【0147】
【化35】

化合物2の加水分解
化合物2(15.0g)をアセトニトリル(150ml)と蒸留水(35ml)との混合物に溶解した。次に、HPOの10%溶液を加えて、pHを4.5に調整した。この混合物をpH=4.5で1時間攪拌した。NaCl(2g)を加え、pHを7.5に調整した。生成物をCHCl(600および150ml)で抽出した。
【0148】
抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で留去して固体生成物(化合物3)を得た。収量を求めたところ、14.2gであった。
【0149】
NMR(d−DMSO):0.78 ppm(s,3H),1.79 ppm(m,2H),2.41 ppm(t,2H),3.25 ppm(m,6H),3.49 ppm(t,2H),4.05 ppm(m,4H),4.48 ppm(t,3H),5.56 ppm(s,1H),7.37 ppm(m,5H)。
【0150】
概略的に、この反応は以下のように表される。
【0151】
【化36】

化合物3(14.2g)をアセトニトリル(80ml)と蒸留水(80ml)の混合物に溶解した。次に、NaOHの6%溶液を加えてpHを12.5に調整した。この溶液を、NaOHの6%溶液を定期的に加えてpHの範囲を12.3〜12.8に維持したまま5.5時間攪拌した。NaCl(5g)を加え、5%HPOでpHを7.5に調整した。非酸性不純物をCHClで抽出(2回処理し、1回目は300ml使用し、2回目は200ml使用)した。HPOで溶液のpHを3.0に調整し、生成物をCHClで抽出(2回処理し、1回目は200ml使用し、2回目は100ml使用)した。
【0152】
抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で留去した。得られる生成物(化合物4)の収量は8.7gであった。
【0153】
NMR(d−DMSO):1.76 ppm(m,2H),2.31 ppm(t,2H),3.46 ppm(t,2H),4.05 ppm(m,4H),5.56 ppm(s,1H),7.37 ppm(m,5H)。
【0154】
概略的に、この反応は以下のように表される。
【0155】
【化37】

化合物4(8.0g)を無水メタノール(120ml)に溶解し、溶解時に濃HSO(1.6ml)を加えた。この溶液を室温にて4時間攪拌した。NaHCO(8%溶液)を加え、混合物のpHを7.5に調整した。生成物をCHClで抽出(2回処理し、100mlずつ使用)した。
【0156】
抽出物を乾燥させ(MgSO)、揮発性化合物を60℃にて減圧下(0.05mmHg)で留去した。得られる生成物(化合物1)の収量は4.8gであった。
【0157】
NMR(d−DMSO):1.72 ppm(m,2H),2.37 ppm(t,2H),3.20 ppm(m,1H),3.42 ppm(bm,4H),3.49 ppm(t,2H),3.59 ppm(s,3H),4.46 ppm(t,2H)。
【0158】
概略的に、この反応は以下のように表される。
【0159】
【化38】

II.「HO−PEG2(20K)−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル」の調製
【0160】
【化39】

(式中、HO−PEG10Kは分子量10,000ダルトンのPEGを示す)
「HO−PEG2(20K)−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル」
前駆体分子でのヒドロキシル基の活性化
化合物1(2.0g、0.0208当量)を無水アセトニトリル(50ml)に溶解し、無水ピリジン(2.2ml、0.272モル)とN,N−ジサクシニミジルカーボネート(5.86g、0.0229モル、DSC)とを加えた。この溶液をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、混合物を濾過し、溶媒を留去した。粗生成物をCHCl(50ml)に溶解し、5%HPO溶液で洗浄した。次に、この溶液を乾燥させ(MgSO)、溶媒を留去した。得られる生成物(化合物5)の収量は2.8gであった。
【0161】
NMR(d−DMSO):1.76 ppm(m,2H),2.35 ppm(t,2H),2.82 ppm(s,8H),3.56 ppm(t,2H),3.58 ppm(s,3H),3.96 ppm(m,1H),4.37 ppm(m,2H),4.52 ppm(m,2H)。
【0162】
概略的に、この反応は以下のように表される。
【0163】
【化40】

活性化前駆体とアミン含有水溶性ポリマーとのカップリング
ベンジルオキシ−PEG(5K)−アミン(BzO−PEG(5K)−アミン)(20g、0.0040モル)(Nektar Therapeutics、Huntsville、AL)と、塩化メチレン(200ml)と、トリエチルアミン(1.4ml)との混合物に、化合物5(0.901g、0.0038当量)を加えた。この混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、溶媒を減圧下で留去した。
【0164】
概略的に、この反応は以下のように表される。
【0165】
【化41】

脱保護ステップとBzO−PEG2(20K)−ブタン酸のクロマトグラフィ精製
得られた化合物6(本明細書ではBzO−PEG2(20K)−ブタン酸、メチルエステルと呼ぶ)を蒸留水400mlに溶解し、0.5MのNaOH溶液で溶液のpHを12.2に調整した。この溶液をpH範囲12.0〜12.2で3時間攪拌した。次に、NaCl(20g)を加え、5%HPO溶液でpHを3.0に調整した。生成物をCHClで抽出(150ml×2)した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で留去して固体生成物19gを得た。この生成物を、米国特許第5,932,462号明細書に記載されているようにしてイオン交換クロマトグラフィで精製し、100%純粋な生成物14.5gを得た。
【0166】
NMR(d−DMSO):1.72 ppm(q,−CHCHCOO−,2H)2.24 ppm(t,−CHCOO−,2H),3.12 ppm(q,−CHNH−,4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.99 ppm(m,−CHO(C=O)NH−,4H),4.49 ppm(s,−CH−(ベンジル),4H),7.19 ppm(t,−(C=O)NH−,2H),7.33 ppm(m,C−,10H)。
【0167】
概略的に、この反応は以下のように表される。
【0168】
【化42】

BzO−PEG2(10K)−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルの調製
【0169】
【化43】

BzO−PEG2(10K)−ブタン酸(14.5g、0.00145モル)(上述したようにして調製)を無水ジクロロメタン(150ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.179g、0.00156モル)と1,3−ジシクロカルボジイミド(0.336g、0.00163モル)とを加えた。この混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、溶媒の一部を減圧下で留去し、生成物を室温にてイソプロピルアルコールで沈殿させ、真空下で乾燥させて白色粉末14.0gを得た。
【0170】
NMR(d−DMSO):1.81 ppm(q,−CHCHCOO−,2H),2.70 ppm(t,−CHCOO−,2H),2.81 ppm(s,−CHCH−(スクシンイミド),4H),3.12 ppm(q,−CHNH−,4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.99 ppm(m,−CHO(C=O)NH−,4H),4.49 ppm(t,−CH−(ベンジル),4H),7.22 ppm(t,−(C=O)NH−,2H),7.33 ppm(m,C−,10H)。
HO−PEG2(10K)−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルの調製
【0171】
【化44】

BzO−PEG2(10K)−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(12.3g、0.00123モル)(上述したようにして調製)を無水エチルアルコール(240ml)に溶解し、水酸化パラジウム/活性炭(Pdが20重量%、水分含有量50%;0.7g)を加えて、反応混合物を40psiの水素下で一晩水素化した。次に、混合物を濾過し、溶媒を減圧下で留去した。生成物を室温にてイソプロピルアルコールで沈殿させ、真空下で乾燥させて白色粉末11.5gを得た。
【0172】
NMR(d−DMSO):1.81 ppm(q,−CHCHCOO−,2H),2.70 ppm(t,−CHCOO−,2H),2.81 ppm(s,−CHCH−,スクシンイミド,4H),3.12 ppm(q,−CHNH−,4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.99 ppm(m,−CHONH(C=O),4H),4.57 ppm(t,−OH,2H),7.22 ppm(t,−(C=O)−NH−,2H)。
HO−PEG2(20K)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタールの調製
HO−(CHCHO)CH(CH−CH(OCHCH
テトラ(エチレングリコール)(97.1g、0.500モル)とトルエン(200ml)との混合物を、減圧下にてトルエンを留去(ロータリーエバポレータ)して共沸乾燥させた。乾燥後のテトラ(エチレングリコール)を無水トルエン(180ml)に溶解し、カリウムtert−ブトキシドをtert−ブタノール(120.0ml、0.120モル)に入れた1.0M溶液と4−クロロブチルアルデヒドジエチルアセタール(18.1g、0.100モル)(Alfa Aesar、Ward Hill、MA)とを加えた。この混合物をアルゴン雰囲気にて95〜100℃で一晩攪拌した。室温まで冷ました後、混合物を濾過し、溶媒を減圧下で留去した。粗生成物を1000mlの脱イオン水に溶解し、得られる溶液を活性炭で濾過した。塩化ナトリウム(100g)を加え、生成物をジクロロメタンで抽出(250、200、150ml)した。抽出物を乾燥させ(MgSO上)、溶媒を減圧下で留去した(回転蒸発)。
【0173】
粗生成物を300mlの10%リン酸緩衝液(pH=7.5)に溶解し、不純物を酢酸エチルで抽出(2×50ml)した。得られる生成物をジクロロメタンで抽出(200、150、100ml)した。抽出物を乾燥させ(MgSO上)、溶媒を減圧下で留去した(回転蒸発)。収量:20.3g。
【0174】
NMR(d−DMSO):1.10 ppm(t,CH−C−)1.51 ppm(m,C−CH−CH−),3.49 ppm(bm,−OCHCHO−),4.46 ppm(t,−CH,アセタール),4.58 ppm(t,−OH)。純度:約100%(未反応の開始材料の徴候なし)。
テトラ(エチレングリコール)−α−メシレート−ω−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタールの調製
CH−S(O)−O−(CHCHO)CH(CH−CH(OCHCH
テトラ(エチレングリコール)モノブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(12.5g、0.037モル)とトルエン(120ml)との混合物を、減圧下にてトルエンを留去(ロータリーエバポレータ)して共沸乾燥させた。乾燥後のテトラ(エチレングリコール)モノブチルアルデヒド、ジエチルアセタールを無水トルエン(100ml)に溶解した。この溶液に、20mlの無水ジクロロメタンと5.7mlのトリエチルアミン(0.041モル)とを加えた。続いて4.5gのメタンスルホニルクロリド(0.039モル)を滴下して加えた。この溶液を窒素雰囲気にて室温で一晩攪拌した。次に、炭酸ナトリウム(5g)を加え、混合物を1時間攪拌した。続いて溶液を濾過し、溶媒を減圧下で留去した(ロータリーエバポレータ)。
【0175】
NMR(d−DMSO):1.10 ppm(t,CH−C−)1.51 ppm(m,C−CH−CH−),3.17 ppm(s,CH−メタンスルホネート),3.49 ppm(bm,−OCHCHO−),4.30 ppm(m,−CH−メタンスルホネート),4.46 ppm(t,−CH,アセタール)。純度:約100%。
テトラ(エチレングリコール)−α−アミノ−ω−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール
N−(CHCHO)CH(CH−CH(OCHCH
テトラ(エチレングリコール)−α−メシレート−ω−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(14.0g)と、濃水酸化アンモニウム(650ml)と、エチルアルコール(60ml)との混合物を、室温にて42時間攪拌した。次に、揮発性物質をすべて減圧下で留去した。粗生成物を150mlの脱イオン水に溶解し、溶液のpHを1.0MのNaOHで12に調整した。生成物をジクロロメタンで抽出(3×100ml)した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で留去した(ロータリーエバポレータ)。収量10.6g。
【0176】
NMR(DO):1.09 ppm(t,CH−C−)1.56 ppm(m,C−CH−CH−),2.69 ppm(t,CH−N),3.56 ppm(bm,−OCHCHO−),4.56 ppm(t,−CH,アセタール)。純度:約100%。
【0177】
HO−PEG2(10KDa)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール
【0178】
【化45】

HO−PEG2(10K)−ブタン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(10.6g、0.00106モル)を塩化メチレン(100ml)に入れた溶液に、テトラ(エチレングリコール)−α−アミノ−ω−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(0.40g、0.00118モル)とトリエチルアミン(0.037ml)とを加え、反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。ロータリーエバポレータを用いて溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物を塩化メチレンに溶解し、イソプロピルアルコールで沈殿させた。湿生成物を減圧下で乾燥させた。収量10.5g。
【0179】
NMR(d−DMSO):1.10 ppm(t,CHCH−,6H),1.51 ppm(m,−CHCH−(ブチルアルデヒド),4H),1.67 ppm(m,−CHCHCOO−,2H),2.12 ppm(t,−CHCOO−,2H),3.12 ppm(q,−CHNH−,4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.99 ppm(m,−CH−O(C=O)−,4H),4.46 ppm(t,1H,アセタール)。4.57 ppm(t,−OH,2H),7.22 ppm(t,−(C=O)NH−,2H),7.82 ppm(t,−(C=O)NH−,1H)。換算:約100%。
【0180】
BTC−PEG2(10KDa)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール
【0181】
【化46】

HO−PEG2(10K)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(10.5g、0.00105モル)を無水アセトニトリル(140ml)に入れた溶液に、ピリジン(0.68ml)とジベンゾトリアゾリルカーボネート(70%混合物を0.89g、0.00210モル)とを加え、反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。ロータリーエバポレータを用いて溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物を塩化メチレンに溶解し、イソプロピルアルコールで沈殿させた。湿生成物を減圧下で乾燥させた。収量10.0g。
【0182】
NMR(d−DMSO):1.10 ppm(t,CHCH−,6H),1.51 ppm(m,−CHCH−(ブチルアルデヒド),4H),1.67 ppm(m,−CHCHCOO−,2H),2.12 ppm(t,−CHCOO−,2H),3.12 ppm(q,−CHNH−,4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.99 ppm(m,−CH−O(C=O)−,4H),4.46 ppm(t,1H,アセタール),4.62 ppm(m,PEG−O−CH −O(C=O)O−4H),7.19 ppm(t,−(C=O)NH−,2H),7.41−8.21 ppm(complex mult.,ベンゾトリアゾールプロトン,4H),7.80 ppm(t,−(C=O)NH−,1H)。換算:約100%。
AHPDP−PEG2(10KDa)−ブチルアルデヒド
【0183】
【化47】

BTC−PEG2(10KDa)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(10g、0.0010モル)を無水塩化メチレン(100ml)に入れた溶液に、3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸、ジテトラブチルアンモニウム塩(AHPDP−2BuN)(1.7g)とトリエチルアミン(3.0ml)とを加え、反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物をDI水(200ml)に溶解させ、溶液をAmberlite IR 120(プラス)カラム(100ml)で濾過した。次に、溶液のpHを5%HPOで2.5に調整した。この溶液を3時間攪拌した後、1Mの水酸化ナトリウムでpHを6.6に再調整した。低分子量の化合物を限外濾過によって溶液から除去した。次に、水を減圧下で留去し、白色の固体生成物6.2gを得た。
【0184】
NMR(d−DMSO):1.75 ppm(m,−CH−CH−CHO,2Hおよび−CHCHCOO−,2H),2.02 ppm(m,−CH −(AHPDP),4H),2.10 ppm(t,−CHCOO−,2H),2.44 ppm(dt,−CH −CHO,2H),3.12 ppm(q,−CHNH−,4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),4.03 ppm(m,−CH−O(C=O)−,4H),7.19 ppm(t,−(C=O)−NH−,2H),7.80 ppm(t,−(C=O)−NH−,1H),9.66 ppm(t,−CHO,1H)。
実施例3
1.トリリシンベースのBzO−PEG4(20K)−酸の調製
【0185】
【化48】

トリリシン(1.0g、0.00666当量)(Sigma−Aldrich Corporation、St.Louis、MO)を0.1Mのホウ酸溶液(200ml)に溶解し、溶液のpHを0.1MのNaOHで8.5に調整した。次に、ベンジルオキシ−PEG(5K)−ベンゾトリアゾリルカーボネート(BzO−PEG(5K)BTC)(40.0g、0.00800モル)(Nektar Therapeutics、Huntsville、AL)を45分間かけて攪拌しながら加えた。BzO−PEG(5K)BTC添加時、0.1MのNaOHを定期的に加えてpHを8.5〜9.0に維持した。続いて、反応混合物を室温にて一晩攪拌した。塩化ナトリウムを加え(10g)、混合物のpHをHPOの10%溶液で2.0に調整した。粗生成物をCHClで抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で留去した。
【0186】
粗生成物を米国特許第5,932,462号明細書に記載されているようにしてイオン交換クロマトグラフィで精製し、100%純粋な生成物22.8gを得た。
【0187】
NMR(d−DMSO):1.10−175 ppm(complex mult.,−CH−(CH−(リシン),18H),3.12 ppm(q,−CH−NH(C=O)−,6H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.92 ppm(m,−CH−COOH,1H),4.03 ppm(m,−CHO(C=O)NH−,8H),4.49 ppm(s,−CH−(ベンジル),8H),7.14 ppm(t,−CHNH(C=O)−,3H),7.32 ppm(m,−C,20H and −CHNH(C=O)−,1H)。
2.トリリシンベースのHO−PEG4(20K)−酸
【0188】
【化49】

トリリシンベースのBzO−PEG4(20K)酸(22.0g、0.00110モル)(上述したようにして調製)をエチルアルコール(96%、200ml)に溶解し、水酸化パラジウム/活性炭(Pdを20重量%、水分含有量50%;1.5g)を加えて、反応混合物を40psiの水素下で一晩水素化した。次に、混合物を濾過し、溶媒を減圧下で留去した。粗生成物をCHCl(300ml)に溶解した。この溶液を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で留去した。湿生成物を真空下で乾燥させて白色の固体19.5gを得た。
【0189】
NMR(d−DMSO):1.10−175 ppm(complex mult.,−CH−(CH−(リシン),18H),3.12 ppm(q,−CH−NH(C=O)−,6H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.92 ppm(m,−CH−COOH,1H),4.03 ppm(m,−CHO(C=O)NH−,8H),4.56 ppm(t,−OH,4H),7.14 ppm(t,−CHNH(C=O)−,3H),7.31 ppm(d,−CHNH(C=O)−,1H)。
3.トリリシンベースのHO−PEG4(20K)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール
【0190】
【化50】

トリリシンベースのHO−PEG4(20K)−酸(20.0g、0.00100モル)(上述したようにして調製)を無水ジクロロメタン(200ml)およびテトラ(エチレングリコール)−α−アミノ−ω−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(3.70g、0.00110モル)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.140g、0.00105モル)およびN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.30g、0.00111モル)を加えた。混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、溶媒の一部を減圧下で留去し、生成物を室温にてイソプロピルアルコールで沈殿させ、真空下で乾燥させて白色粉末19.5gを得た。
【0191】
NMR(d−DMSO):1.10 ppm(t,CHCH−,6H),1.10−175 ppm(complex mult.,−CH−(CH−(リシン),18Hおよび−CHCH−(ブチルアルデヒド),4H),3.12 ppm(q,−CH−NH(C=O)−,6H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.92 ppm(m,−CH−COO−,1H),4.03 ppm(m,−CHO(C=O)NH−,8H),4.46 ppm(t,−CH (アセタール),1H),4.56 ppm(t,−OH,4H),7.14 ppm(t,−CHNH(C=O)−,3H),7.31 ppm(d,−CHNH(C=O)−,1H)。換算:約100%。
4.トリリシンベースのBTC−PEG4(20K)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタールの調製
【0192】
【化51】

トリリシンベースのHO−PEG4(20K)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(19.5g、0.00390−OH当量)を無水アセトニトリル(200ml)に入れた溶液に、ピリジン(1.25ml)とジベンゾトリアゾリルカーボネート(70%混合物を3.30g、0.007800モル)とを加え、反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。混合物を濾過し、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物を塩化メチレンに溶解し、イソプロピルアルコールで沈殿させた。湿生成物を減圧下で乾燥させた。収量19.0g。
【0193】
NMR(d−DMSO):1.10 ppm(t,CHCH−,6H),1.10−1.75 ppm(complex mult,−CH−(CH−(リシン),18Hおよび−CHCH−(ブチルアルデヒド),4H),3.12 ppm(q,−CH−NH(C=O)−,6H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.92 ppm(m,−CH−COO−,1H),4.03 ppm(m,−CH−O(C=O)−,8H),4.45 ppm(t,1H,アセタール),4.62 ppm(m,mPEG−O−CH −O(C=O)O−8H),7.14 ppm(t,−CHNH(C=O)−,3H),7.31 ppm(d,−CHNH(C=O)−,1H),7.41−8.21 ppm(complex mult,ベンゾトリアゾールプロトン,16H)。換算:約100%。
5.トリリシンベースのAHPDP−PEG2(20K)−ブチルアルデヒドの調製
【0194】
【化52】

トリリシンベースのBTC−PEG4(20K)−ブチルアルデヒド、ジエチルアセタール(19g、0.0380−BTC当量)を無水塩化メチレン(300ml)に入れた溶液に、3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸、ジテトラブチルアンモニウム塩(AHPDP−2BuN)(6.4g)とトリエチルアミン(5.8ml)とを加え、反応混合物をアルゴン雰囲気で室温にて一晩攪拌した。次に、溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物をDI水(400ml)に溶解させ、溶液をAmberlite IR 120(プラス)カラム(100ml)で濾過した。次に、溶液のpHを5%HPOで2.5に調整した。この溶液を3時間攪拌した後、1Mの水酸化ナトリウムでpHを6.6に再調整した。低分子量の化合物を限外濾過によって溶液から除去した。次に、水を減圧下で留去し、白色の固体生成物17.4gを得た。
【0195】
NMR(d−DMSO):1.10−1.75 ppm(complex mult.,−CH−(CH−(リシン),18H),2.02 ppm(m,−CH−(AHPDP),8H),2.44 ppm(dt,−CHCHO,2H),3.12 ppm(q,−CHNH(C=O)−,4H),3.51 ppm(s,PEG骨格),3.92 ppm(m,−CH−COO−,1H),4.03 ppm(m,−CH−O(C=O)−,8H),7.14 ppm(t,2H),7.31 ppm(d,1H),9.66 ppm(t,−CHO,1H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有するポリマーであって、
【化53】

式中、
Aは、−(X−(L−(X−POLY−Zまたは−(X−(L−(X−Zであり、
POLYおよびPOLYは各々、同一であっても異なっていてもよく、水溶性の非ペプチドポリマーであり、
、X、X、Xは各々、同一であっても異なっていてもよく、スペーサ部分であり、
、L、Lは各々、同一であっても異なっていてもよく、結合であり、
は各々、同一であっても異なっていてもよく、Zと、ヒドロキシアパタイト標的化部分と、2から約10のヒドロキシアパタイト標的化部分を含み、任意に少なくとも1つの水溶性非ペプチドポリマーも含む多腕構造と、からなる群から選択され、ただし、bが0である場合、少なくとも1つのZが1本以上のポリマー腕を含む多腕構造を有するという条件で、なおかつ少なくとも1つのZがヒドロキシアパタイト標的化部分であるという条件であり、
は、スペーサ部分を介してPOLYと結合していてもよい官能基であり、
a、b、c、d、e、fは各々、同一であっても異なっていてもよく、0または1のいずれかであり、
Rは、結合に利用できるp+1部位を少なくとも含む分子から誘導されるモノマー性またはオリゴマー性多腕コア分子であり、
pは、2〜32の範囲の整数である、ポリマー。
【請求項2】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、約22,000Da未満の数平均分子量を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、約15,000Da未満の数平均分子量を有する、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、約8,000Da未満の数平均分子量を有する、請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
が各々、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、およびアミノホスホ糖からなる群から独立して選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
、L、Lのうちの少なくとも1つが、加水分解的に切断可能または酵素的に切断可能である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
POLYとPOLYのうちの一方または両方が、存在する場合、結合によって結合された2から約5個の水溶性の非ペプチドポリマーセグメントを含むセグメント化構造を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
POLYとPOLYのうちの一方または両方が、存在する場合、式−POLY−L−POLY−で表される構造を有し、式中、各POLYは水溶性の非ペプチドポリマーであり、Lは結合である、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)ならびに、これらのコポリマー、ターポリマーまたは混合物からなる群から独立して選択されるポリマーである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、ポリ(エチレングリコール)である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、構造−CHCHO(CHCHO)−CHCH−を有し、nは1〜350である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
が各々、
【化54】

からなる群から選択される多腕構造を有し、
式中、mは各々1〜350であり、Meはメチルであり、Zは各々、ヒドロキシアパタイト標的化部分である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
pが3から約10である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
Rが構造R(OH)のポリオールから誘導され、式中、Rは、任意に1つ以上のエーテル結合を含む分岐炭化水素であり、pは、少なくとも3である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項15】
ポリオールが、グリセロール、ペンタエリスリトール、および糖から誘導されるアルコールならびに、これらの各々のオリゴマーまたはポリマーからなる群から選択される、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
pが2から約10であり、Rが、ポリオール、ジスルフィド、ペプチドならびに、これらの各々のオリゴマーまたはポリマー、さらにはこれらの組み合わせからなる群から選択される分子から誘導される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項17】
Rが、少なくとも1つのリシン残基を含むジペプチドまたはトリペプチドから誘導される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項18】
ポリマーが、以下の構造
【化55】

を有し、式中、nは1〜350である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項19】
ポリマーが、以下の構造
【化56】

を有し、式中、nは1〜350である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項20】
請求項1に記載のポリマーと生物学的活性剤との反応生成物を含み、以下の構造
【化57】

を有するポリマーコンジュゲートであって、
式中、
Bは、−(X−(L−(X−POLY−L−Drugまたは−(X−(L−(X−L−Drugであり、
Drugは、生物学的に活性な部分の残基であり、
は、Zと生物学的に活性な部分の官能基との反応によって得られる結合であり、
は、L−Drugまたはヒドロキシアパタイト標的化部分であり、式中、Lは、官能基であるZと、生物学的に活性な部分の官能基との反応によって得られる結合であり、ただし、少なくとも1つのZがヒドロキシアパタイト標的化部分であり、
他の変数はいずれも請求項1に記載したように定義される、ポリマーコンジュゲート。
【請求項21】
Drugが、成長因子、抗生物質、化学療法剤、および鎮痛剤からなる群から選択される、請求項20に記載のポリマーコンジュゲート。
【請求項22】
Drugが、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、骨形態形成タンパク質、骨形成タンパク質、トランスフォーミング増殖因子、LIM無機化タンパク質、類骨誘導因子、アンジオゲニン、エンドセリン;増殖分化因子、ADMP−1、エンドセリン、肝細胞増殖因子およびケラチノサイト増殖因子、ヘパリン結合増殖因子、ヘッジホッグタンパク質、インターロイキン、コロニー刺激因子、上皮増殖因子、インスリン様増殖因子、サイトカイン、オステオポンチン、およびオステオネクチンからなる群から選択される成長因子である、請求項21に記載のポリマーコンジュゲート。
【請求項23】
構造
Z−(X−L−(X−[POLY−(X−L−(X−POLY−(X−Y
を有するヘテロ二官能性かつ実質的に線状のヒドロキシアパタイト標的化ポリマーであって、
式中、
POLYおよびPOLYは各々、同一であっても異なっていてもよく、水溶性の非ペプチドポリマーであり、
、X、X、X、Xは各々、同一であっても異なっていてもよく、スペーサ部分であり、
は、結合であり、
は各々、カルバメートおよびアミドからなる群から選択される加水分解的または酵素的に切断可能な結合であり、
Zは、ヒドロキシアパタイト標的化部分であり、
Yは官能基であり、
a、b、c、d、eは各々、同一であっても異なっていてもよく、0または1のいずれかであり、
mは、1〜10の範囲の整数である、ヒドロキシアパタイト標的化ポリマー。
【請求項24】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、約22,000Da未満の数平均分子量を有する、請求項23に記載のポリマー。
【請求項25】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、約15,000Da未満の数平均分子量を有する、請求項24に記載のポリマー。
【請求項26】
POLYおよびPOLYが各々、存在する場合、約8,000Da未満の数平均分子量を有する、請求項25に記載のポリマー。
【請求項27】
Zが、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、およびアミノホスホ糖からなる群から選択される、請求項23に記載のポリマー。
【請求項28】
、X、X、X、Xが各々、存在する場合、−C(O)O−、−OC(O)−、−CH−C(O)O−、−CH−OC(O)−、−C(O)O−CH−、−OC(O)−CH−、−C(O)−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−NH−、−O−C(O)−NH−、−C(S)−、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−O−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−O−CH−、−CH−C(O)−O−CH−、−CH−CH−C(O)−O−CH−、−C(O)−O−CH−CH−、−NH−C(O)−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−、−NH−CH−、−NH−CH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH−CH−、−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−C(O)−NH−(CH1−6−NH−C(O)−、−NH−C(O)−NH−(CH1−6−NH−C(O)−、および−O−C(O)−NH−(CH1−6−NH−C(O)−、−O−C(O)−NH−[CH−(OCHCH−、−NH−C(O)−O−[CH−(OCHCH−、二価シクロアルキル基、−O−、−S−、−N(R)−、これらの組み合わせからなる群から選択され、式中、Rは、Hであるか、またはアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、および置換アリールからなる群から選択される有機ラジカルであり、(h)は0から6であり、(j)は0から20である、請求項1または23に記載のポリマー。

【公表番号】特表2011−500939(P2011−500939A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531043(P2010−531043)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/012091
【国際公開番号】WO2009/055014
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(500138043)ネクター セラピューティックス (32)
【Fターム(参考)】