説明

ヒュージブルリンクユニット

【課題】狭いスペースでも配置可能なヒュージブルリンクユニットを提供する。
【解決手段】複数の可溶体部が設けられたヒューズエレメントと、ヒューズエレメントを絶縁性の樹脂でモールドした樹脂成形部7とを備え、ヒューズエレメントは、バッテリ端子接続部13と、オルタネータ接続部15と、折り曲げ部17と、電源供給接続部19とを有したヒュージブルリンクユニット1において、電源供給接続部19を、バッテリ9の側面に近接配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリに接続されるヒュージブルリンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリに設けられたバッテリ端子に接続されるヒュージブルリンクユニットとしては、ヒューズエレメントにヒンジ部を設け、ヒューズエレメントのヒンジ部の両側を樹脂ボディで一体成形したヒューズユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このヒュージブルリンクユニットでは、ヒューズエレメントに樹脂ボディで一体成形した後、樹脂ボディから外部に露出したヒンジ部で折り曲げ形成させている。そして、一方の樹脂ボディをバッテリの上面側に配置してバッテリ端子やオルタネータに接続し、他方の樹脂ボディをバッテリの側面側に配置して電気接続箱などに接続されるワイヤハーネスに接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−297683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなヒュージブルリンクユニットでは、他方の樹脂ボディをバッテリの側面側に配置しているが、一方の樹脂ボディと他方の樹脂ボディとがヒンジ部を介して連結されており、他方の樹脂ボディをヒンジ部で折り曲げてしまうと、他方の樹脂ボディがバッテリの側面側に張り出して配置されてしまう。このため、バッテリの周辺に配置される周辺部材、特にバッテリの側面側に配置される周辺部材と干渉する恐れがあると共に、バッテリの側面側と周辺部材との間のスペースが狭い場合、ヒュージブルリンクユニットを組付けることができない可能性があった。
【0006】
そこで、この発明は、狭いスペースでも配置可能なヒュージブルリンクユニットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、少なくとも1つの可溶体部が設けられたヒューズエレメントと、該ヒューズエレメントを絶縁性の樹脂でモールドした樹脂成形部とを備え、前記ヒューズエレメントは、導電性の平板状に形成されバッテリの上面に設けられたバッテリ端子に接続されるバッテリ端子接続部と、該バッテリ端子接続部と連続する一部材で前記バッテリの上面側に延設されオルタネータに接続されるオルタネータ接続部と、該オルタネータ接続部と連続する一部材で前記バッテリの側面側に折り曲げ形成された折り曲げ部と、該折り曲げ部と連続する一部材で前記バッテリの側面側に延設され電源を供給する電源供給接続部とを有したヒュージブルリンクユニットであって、前記電源供給接続部は、前記バッテリの側面に近接配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のヒュージブルリンクユニットであって、前記電源供給接続部は、前記折り曲げ部よりも前記バッテリの側面側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のヒュージブルリンクユニットであって、前記折り曲げ部は、前記樹脂成形部から外部に露出して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のヒュージブルリンクユニットは、バッテリの側面側に延設され電源を供給する電源供給接続部がバッテリの側面に近接配置されているので、電源供給接続部がバッテリの側面側に張り出すことがなく、バッテリの側面側の配置スペースを大きくすることができる。
【0011】
従って、バッテリの側面側に配置される周辺部材との干渉を抑制することができると共に、バッテリの側面側と周辺部材との間のスペースが狭い場合でも、ヒュージブルリンクユニットを配置することができる。
【0012】
請求項2のヒュージブルリンクユニットは、電源供給接続部が折り曲げ部よりもバッテリの側面側に配置されているので、ヒューズエレメントのバッテリの上面側に配置されるバッテリ端子接続部とオルタネータ接続部とが設けられた部分の容量を変更する必要がなく、従来のヒューズエレメントを適用することができる。
【0013】
請求項3のヒュージブルリンクユニットは、折り曲げ部が樹脂成形部から外部に露出して設けられているので、ヒューズエレメントに樹脂成形部を設けた後に折り曲げ部を折り曲げ加工することができ、樹脂成形部を形成させる際の金型などを簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るヒュージブルリンクユニットをバッテリに搭載した側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るヒュージブルリンクユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るヒュージブルリンクユニットの上面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るヒュージブルリンクユニットの正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るヒュージブルリンクユニットの側面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るヒューズエレメントの斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るヒューズエレメントの正面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るヒューズエレメントの上面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るヒューズエレメントの側面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るヒューズエレメントの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図10を用いて本発明の実施の形態に係るヒュージブルリンクユニットについて説明する。
【0016】
本実施の形態に係るヒュージブルリンクユニット1は、複数の可溶体部3が設けられたヒューズエレメント5と、ヒューズエレメント5を絶縁性の樹脂でモールドした樹脂成形部7とを備え、ヒューズエレメント5は、導電性の平板状に形成されバッテリ9の上面に設けられたバッテリ端子11に接続されるバッテリ端子接続部13と、バッテリ端子接続部13と連続する一部材でバッテリ9の上面側に延設されオルタネータ(不図示)に接続されるオルタネータ接続部15と、オルタネータ接続部15と連続する一部材でバッテリ9の側面側に折り曲げ形成された折り曲げ部17と、折り曲げ部17と連続する一部材でバッテリ9の側面側に延設され電源を供給する電源供給接続部19とを有する。そして、電源供給接続部19は、バッテリ9の側面に近接配置されている。
【0017】
また、電源供給接続部19は、折り曲げ部17よりもバッテリ9の側面側に配置されている。
【0018】
図1〜10に示すように、ヒューズエレメント5は、平板状の導電性材料を打ち抜き加工して設けられ、複数の可溶体部3が設けられている。複数の可溶体部3は、基部よりも幅が狭く形成され、所定以上の電流が流れることにより溶断可能となっている。また、バッテリ9の上面側に配置される可溶体部3には、錫や鉛などの金属チップがヒューズエレメント5と一体に設けられている。このヒューズエレメント5は、バッテリ端子接続部13と、オルタネータ接続部15と、折り曲げ部17と、電源供給接続部19とを有し、絶縁性の樹脂でモールド成形された樹脂成形部7が設けられている。
【0019】
バッテリ端子接続部13は、筐体で形成されたバッテリ9の上面に設けられたバッテリポスト21と電気的に接続されたバッテリ端子11に接続される。このバッテリ端子接続部13には、接続孔23が設けられ、この接続孔23にバッテリ端子11のスタッドボルト(不図示)が接続され、バッテリ端子11とヒュージブルリンクユニット1とが電気的に接続される。このようなバッテリ端子接続部13は、例えば、2つの可溶体部3を介して2つのオルタネータ接続部15と一体的に設けられている。
【0020】
オルタネータ接続部15は、バッテリ端子接続部13と連続する一部材で形成され、バッテリ9の上面側に配置されている。このオルタネータ接続部15には、スタッドボルト25が挿通接続される接続孔27が設けられ、スタッドボルト25には発電手段としてのオルタネータが電気的に接続される。このオルタネータ接続部15及びバッテリ端子接続部13の端部には、折り曲げ部17が一体的に設けられている。
【0021】
折り曲げ部17は、オルタネータ接続部15及びバッテリ端子接続部13と連続する一部材で形成され、バッテリ9の側面側、詳細にはバッテリ9の下面側に向けて折り曲げ加工されている。この折り曲げ部17には、連続する一部材として、さらにバッテリ9の側面側に折り曲げ加工された傾斜部29が設けられている。この傾斜部29のうちバッテリ端子接続部13に形成された傾斜部29には、バッテリ9の側面に沿って延設された、例えば、2つの電源供給接続部19が一体的に設けられている。
【0022】
電源供給接続部19は、一方の電源供給接続部19が可溶体部3を介して傾斜部29と連続する一部材で形成され、他方の電源供給接続部19が傾斜部29と連続する一部材で形成されている。この電源供給接続部19には、電気接続箱(不図示)や電装部品(不図示)などに接続されたワイヤハーネス(不図示)が接続されるスタッドボルト31が設けられ、電装部品に電気接続箱を介して、或いは直接、電源を供給する。このような電源供給接続部19は、バッテリ9の側面側に近接配置、詳細には折り曲げ部17よりもバッテリ9の側面側に配置され、オルタネータ接続部15のスタッドボルト25の下方に配置されている。これにより、バッテリ9のバッテリポスト21から電源供給接続部19の最外周部までの長さXを従来よりも縮小させることができ、電源供給接続部19の外側のスペースYを従来よりも拡大させることができる。
【0023】
このようなヒューズエレメント5は、折り曲げ部17及び傾斜部29を折り曲げ加工した後、絶縁性の樹脂でモールド成形されて樹脂成形部7が設けられる。このような樹脂成形部7の形成により、ヒューズエレメント5の折り曲げ部17や傾斜部29の折り曲げ加工が容易となる。
【0024】
なお、折り曲げ部17及び傾斜部29を折り曲げ加工する前の平板状のヒューズエレメント5に対して、折り曲げ部17及び傾斜部29が外部に露出するように、バッテリ端子接続部13とオルタネータ接続部15と電源供給接続部19に樹脂成形部7を設けてもよい。この場合、折り曲げ部17及び傾斜部29が樹脂成形部7から外部に露出して設けられているので、ヒューズエレメント5に樹脂成形部7を設けた後に折り曲げ部17及び傾斜部29を折り曲げ加工することができ、樹脂成形部7を形成させる際の金型などを簡易化することができる。
【0025】
このようなヒュージブルリンクユニット1では、バッテリ9の側面側に延設され電源を供給する電源供給接続部19がバッテリ9の側面に近接配置されているので、電源供給接続部19がバッテリ9の側面側に張り出すことがなく、バッテリ9の側面側の配置スペースを大きくすることができる。
【0026】
従って、バッテリ9の側面側に配置される周辺部材との干渉を抑制することができると共に、バッテリ9の側面側と周辺部材との間のスペースが狭い場合でも、ヒュージブルリンクユニット1を配置することができる。
【0027】
また、電源供給接続部19が折り曲げ部17よりもバッテリ9の側面側に配置されているので、ヒューズエレメント5のバッテリ9の上面側に配置されるバッテリ端子接続部13とオルタネータ接続部15とが設けられた部分の容量を変更する必要がなく、従来のヒューズエレメントを適用することができる。
【0028】
なお、本発明の実施の形態に係るヒュージブルリンクユニットでは、折り曲げ部と傾斜部とを設けて電源供給接続部をバッテリの側面側に近接配置させているが、折り曲げ部の折り曲げをバッテリの側面側に大きくさせ、傾斜部を設けずに電源供給接続部をバッテリの側面側に近接配置させてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…ヒュージブルリンクユニット
3…可溶体部
5…ヒューズエレメント
7…樹脂成形部
9…バッテリ
11…バッテリ端子
13…バッテリ端子接続部
15…オルタネータ接続部
17…折り曲げ部
19…電源供給接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可溶体部が設けられたヒューズエレメントと、該ヒューズエレメントを絶縁性の樹脂でモールドした樹脂成形部とを備え、前記ヒューズエレメントは、導電性の平板状に形成されバッテリの上面に設けられたバッテリ端子に接続されるバッテリ端子接続部と、該バッテリ端子接続部と連続する一部材で前記バッテリの上面側に延設されオルタネータに接続されるオルタネータ接続部と、該オルタネータ接続部と連続する一部材で前記バッテリの側面側に折り曲げ形成された折り曲げ部と、該折り曲げ部と連続する一部材で前記バッテリの側面側に延設され電源を供給する電源供給接続部とを有したヒュージブルリンクユニットであって、
前記電源供給接続部は、前記バッテリの側面に近接配置されていることを特徴とするヒュージブルリンクユニット。
【請求項2】
請求項1記載のヒュージブルリンクユニットであって、
前記電源供給接続部は、前記折り曲げ部よりも前記バッテリの側面側に配置されていることを特徴とするヒュージブルリンクユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載のヒュージブルリンクユニットであって、
前記折り曲げ部は、前記樹脂成形部から外部に露出して設けられていることを特徴とするヒュージブルリンクユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−170822(P2010−170822A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11876(P2009−11876)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】