説明

ヒュージブルリンクユニット

【課題】オルタネータの車両側条件による入力方向の違いに対し、一種類の形状で対応することができ、製造コストの低減を図ることができるヒュージブルリンクユニットを提供する。
【解決手段】バッテリ側ヒューズバスバ10の側導通部14とオルタネータ側導通部24同士を所定の通電電流で溶断可能な可溶体13、23を介して接続して形成されたヒューズバスバ2と、このヒューズバスバ2が埋設又は収納されるハウジング3とからなるヒュージブルユニット1であって、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21は同一形状に形成され、ハウジング3の両端部には、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21がハウジング3への埋設状態又は収納状態でハウジング3の外方へそれぞれ突出する入力接続部挿通スリット33が設けられ、ハウジング3が左右対称になるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路に流れる過電流を遮断するヒュージブルリンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、移動体としての車両には、車両に搭載された様々な電子機器等に電力を供給する電源供給源としてのバッテリが搭載されている。バッテリと、電子機器等に接続された電線とは、例えば、ヒュージブルリンクユニットを介して電気的に接続されて、バッテリからの電力が電子機器等に供給される。ヒュージブルリンクユニットは、それぞれの電子機器等にバッテリからの電力を分配するとともに該電子機器等に過度な電力が供給されることを防止する。
【0003】
このようなヒュージブルリンクユニットとして、オルタネータ側とバッテリ側とから通電された電流を、ヒューズを介して分岐することにより、車種やグレードによって変わるヒューズバスバのバッテリ側の端子数とオルタネータ側の端子数の変更に対して最小限の設計変更で対応させることが可能なヒュージブルリンクユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−186005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のヒュージブルリンクユニットでは、車両側の条件により、オルタネータ側の入力方向に違いがあり、ヒューズバスバや出力形態(コネクタ数、端子数)が同じでもオルタネータ側の入力方向に対応するため、2つの種類を別々に用意する必要があった。このため、部品点数が多くなり、これを管理する工程が増え製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、オルタネータの車両側条件による入力方向の違いに対し、一種類の形状で対応することができ、製造コストの低減を図ることができるヒュージブルリンクユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、入力接続部と、出力接続部と、これらの入力接続部間が所定の通電電流で溶断可能な可溶部を介して接続された第1のバスバ及び第2のバスバとを備え、これらの第1のバスバ及び第2のバスバの導通部同士を所定の通電電流で溶断可能な導通部間可溶体を介して接続して形成されたヒューズバスバと、このヒューズバスバが埋設又は収納されるハウジングとからなるヒュージブルユニットであって、前記第1のバスバ及び第2のバスバの前記入力接続部は同一形状に形成され、前記ハウジングの両端部には、前記第1のバスバ及び第2のバスバの入力接続部がハウジングへの埋設状態又は収納状態でハウジングの外方へそれぞれ突出する挿通孔が設けられ、前記第1のバスバ及び第2のバスバを前記ハウジングに埋設又は収容し、入力接続部をハウジングの両側部から外方へ突出した状態で、前記ハウジングが左右対称になるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記ハウジングの両側部から外方へ突出する前記入力接続部には、該入力接続部を前記導通部に対して屈曲可能とするスリットがそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記出力接続部は、電線端末の相手端末に接続される端子接続部と、コネクタに収容された相手端末と接続されるコネクタ接続部とからなり、前記ハウジングには、前記端子接続部が相手端末と接続される端子支持部と、前記コネクタ接続部が相手端子を収容したコネクタが嵌合するコネクタ開口部とが形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記ハウジングには、ヒュージブルリンクユニットが収納されるリレーボックスの内壁に係止される係止部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、第1のバスバ及び第2のバスバの導通部同士を所定の通電電流で溶断可能な導通部間可溶体を介して接続して形成されたヒューズバスバと、このヒューズバスバが埋設又は収納されるハウジングとからなるヒュージブルユニットであって、第1のバスバ及び第2のバスバの入力接続部は同一形状に形成され、ハウジングの両端部には、第1のバスバ及び第2のバスバの入力接続部がハウジングへの埋設状態又は収納状態でハウジングの外方へそれぞれ突出する挿通孔が設けられ、第1のバスバ及び第2のバスバをハウジングに埋設又は収容し、入力接続部をハウジングの両側部から外方へ突出した状態で、ハウジングが左右対称になるように形成されている。これにより、ヒューズバスバが左右対称の場合、オルタネータ側の入力方向の違いに対して、ハウジングの側部から外方へ突出した第2のヒューズバスバの入力接続部を折り曲げる箇所を変更することにより、ヒュージブルリンクユニットの形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0012】
また、ヒューズバスバが左右非対称の場合、ヒュージブルリンクユニットを表裏逆にして組み付ける、又は、ヒュージブルリンクユニットの中で第1のバスバ及び第2のバスバの位置を変更して組み付けることにより、ヒュージブルリンクユニットの形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0013】
さらに、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数が異なる場合、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置が異なる場合、ヒューズバスバ2を変更することにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違い、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置の違い、及び、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数の違いに対応できる。
【0014】
従って、オルタネータの車両側条件による入力方向の違いに対し、一種類のヒュージブルリンクユニットの形状で対応することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ハウジングの両側部から外方へ突出する入力接続部には、該入力接続部を導通部に対して屈曲可能とするスリットがそれぞれ形成されている。ここで、ヒュージブルユニットの第2のヒューズバスバは、リレーボックス内でボルト等によりオルタネータ側の端子と接続された状態でリレーボックスに係止されるため、ヒューズバスバの入力接続部を折り曲げてリレーボックス内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックスと係止しなければならない。そして、ヒューズバスバが左右対称の場合、オルタネータ側の入力方向の違いに対して、ハウジングの側部から外方へ突出した第2のヒューズバスバの入力接続部を導通部に対して屈曲可能とするスリットにより折り曲げる方向を変更する。これにより、ヒュージブルリンクユニットの形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、出力接続部は、電線端末の相手端末に接続される端子接続部と、コネクタに収容された相手端末と接続されるコネクタ接続部とからなり、ハウジングには、端子接続部が相手端末と接続される端子支持部と、コネクタ接続部が相手端子を収容したコネクタが嵌合するコネクタ開口部とが形成されている。これにより、ヒューズバスバが左右非対称の場合、ヒュージブルリンクユニットの中で第1のバスバ及び第2のバスバの位置を変更して組み付けることにより、ヒュージブルリンクユニットの形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ハウジングには、ヒュージブルリンクユニットが収納されるリレーボックスの内壁に係止される係止部が設けられている。これにより、ヒューズバスバが左右非対称の場合、ヒュージブルリンクユニットを表裏逆にして組み付けることにより、ヒュージブルリンクユニットの形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの上面図及び正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1から図5は、本発明の第1実施形態を示し、図1は、本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。図2(a)は、本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの上面図である。図2(b)は、ヒュージブルリンクユニットの正面図である。図3は、ヒュージブルリンクユニットの斜視図である。図4及び図5は、ヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【0020】
図1から図5に示すように、ヒュージブルリンクユニット1は、導電性を有する金属板を加工したヒューズバスバ2と、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いての射出成形により左右対称形状となるように形成されているハウジング3とを備えて構成されている。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るヒューズバスバ2は、バッテリ側からの電流を通電するバッテリ側ヒューズバスバ(第1のバスバ)10と、オルタネータ側からの電流を通電するオルタネータ側ヒューズバスバ(第2のバスバ)20とから構成されている。バッテリ側ヒューズバスバ10と、オルタネータ側ヒューズバスバ20は、それぞれ、入力接続部11、21と、出力接続部12、22と、可溶体13、23とを備えている。
【0022】
そして、バッテリ側ヒューズバスバ10と、オルタネータ側ヒューズバスバ20は、電流を入力する入力接続部11、21と、電流を出力する出力接続部12、22と、これらの入力接続部11、12、出力接続部21、22間が所定の通電電流で溶断可能なクランク状を有した可溶体13、23を介して接続されている。
【0023】
バッテリ側ヒューズバスバ10の出力接続部12と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の出力接続部は、それぞれ電線端末の相手端子と接続される端子接続部12a、22aと、コネクタに収容された相手端子と接続されるコネクタ接続部12b、22bとが左右対称に構成されている。また、バッテリ側ヒューズバスバ10の可溶体13と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の可溶体23は、それぞれ入力接続部11、21と、出力接続部12、22間が所定の通電電流で溶断可能な端子可溶体13a、23aと、バッテリ側ヒューズバスバ10と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の導通部同士を所定の通電電流で溶断可能な導通部間可溶体13b、23bとから構成されている。
【0024】
さらに、バッテリ側ヒューズバスバ10の導通部であるバッテリ側導通部14と、バッテリ側導通部14に対して屈曲可能とするバッテリ側スリット15を備えている。また、オルタネータ側ヒューズバスバ20の導通部であるオルタネータ側導通部24と、オルタネータ側導通部24に対して屈曲可能とするオルタネータ側スリット25を備えている。
【0025】
上記のように端子接続部12a、22aと、コネクタ接続部12b、22bとが左右対称に構成されたヒューズバスバ2は、図2及び図3に示すように、ハウジング3に装着される。ハウジング3は、略直方体形状を有し、左右対称になるように形成されている。そして、ハウジング3は、上方に開口したハウジング本体30と、コネクタ接続部12b、22bが挿入され、相手端子を収容したコネクタが嵌合するコネクタ開口部31と、端子接続部12a、21aが挿入される端子支持部32とを備え、ハウジング3の両端部には、バッテリ側ヒューズバスバ10と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の入力接続部11、21が、ハウジング3への埋設状態又は収納状態でハウジング3の外方へそれぞれ突出する入力接続部挿通スリット33(挿通孔部)が設けられている。また、ハウジング本体30の背面には、ハウジング側係止部34が設けられている。
【0026】
そして、図4に示すように、ハウジング3は、ハウジング本体30の背面に設けられたハウジング側係止部34と、ヒュージブルリンクユニット1が収納されるリレーボックス50の内壁に設けられたリレーボックス側係止部35により組み付けられる。
【0027】
ここで、ヒュージブルリンクユニット1のオルタネータ側ヒューズバスバ20は、リレーボックス50内でボルト等によりオルタネータ側の端子と接続された状態でリレーボックス50に係止されるため、ヒューズバスバ20の入力接続部21を折り曲げてリレーボックス50内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックス50と係止しなければならない。
【0028】
従って、リレーボックス50の右側にオルタネータ側の入力を有する車両の場合、図4に示すように、オルタネータ側スリット25により、ハウジング3の右側部から外方へ突出するオルタネータ側ヒューズバスバの入力接続部21を略直角に屈曲し、リレーボックス50内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックス50と係止する。
【0029】
また、リレーボックス50の左側にオルタネータ側の入力を有する車両の場合、図1に示すように、ヒューズバスバ2は、それぞれ電線端末の相手端子と接続される端子接続部12a、22aと、コネクタに収容された相手端子と接続されるコネクタ接続部12b、22bとが左右対称に構成されている。そのため、図5に示すように、オルタネータ側スリット25により、ハウジング3の左側部から外方へ突出するオルタネータ側ヒューズバスバ20の入力接続部21を略直角に屈曲し、リレーボックス50内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックス50と係止する。このように、オルタネータ側の入力方向に合わせて、オルタネータ側ヒューズバスバの入力接続部21を屈曲することにより、オルタネータの入力方向の違いに対して、ヒュージブルリンクユニット1を変えずに対応することができる。
【0030】
このようにして、本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1は、バッテリ側導通部14とオルタネータ側導通部24同士を所定の通電電流で溶断可能なバッテリ側可溶体13及びオルタネータ側可溶体23を介して接続して形成されたヒューズバスバ2と、このヒューズバスバ2が埋設又は収納されるハウジング3とからなるヒュージブルユニット1であって、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21は同一形状に形成され、ハウジング3の両端部には、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21がハウジング3への埋設状態又は収納状態でハウジング3の外方へそれぞれ突出する入力接続部挿通スリット33が設けられ、バッテリ側ヒューズバスバ10及びオルタネータ側ヒューズバスバ20をハウジング3に埋設又は収容し、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21をハウジング3の両側部から外方へ突出した状態で、ハウジング3が左右対称になるように形成されている。これにより、ヒューズバスバ2が左右対称の場合、オルタネータ側の入力方向の違いに対して、ハウジング3の側部から外方へ突出したオルタネータ側入力接続部21を折り曲げる箇所を変更することにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0031】
また、本発明の第1実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1は、ハウジング3の両側部から外方へ突出するバッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部12には、該入力接続部11、12をバッテリ側導通部14及びオルタネータ側導通部24に対して屈曲可能とするバッテリ側スリット15及びオルタネータ側スリット25がそれぞれ形成されている。ここで、ヒュージブルリンクユニット1のバッテリ側ヒューズバスバは、リレーボックス内でボルト等によりオルタネータ側の端子と接続された状態でリレーボックスに係止されるため、ヒューズバスバの入力接続部を折り曲げてリレーボックス内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックスと係止しなければならない。そして、ヒューズバスバ2が左右対称の場合、オルタネータ側の入力方向の違いに対して、ハウジング3の側部から外方へ突出したオルタネータ側入力接続部21をオルタネータ側導通部24に対して屈曲可能とするオルタネータ側スリット25により折り曲げる方向を変更する。これにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図6から図8は本発明の第2実施形態を示し、上記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図6は、本発明の第2実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。図7及び図8は、ヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【0033】
図6に示すように、バッテリ側ヒューズバスバ10の出力接続部12と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の出力接続部22は、それぞれ電線端末の相手端子と接続される端子接続部12a、22aと、コネクタに収容された相手端子と接続されるコネクタ接続部22bとから構成されている。また、バッテリ側ヒューズバスバ10の可溶体13と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の可溶体23は、それぞれ入力接続部11、21と、出力接続部12、22間が所定の通電電流で溶断可能な端子可溶体13a、23aと、バッテリ側ヒューズバスバ10と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の導通部同士を所定の通電電流で溶断可能な導通部間可溶体13b、23bとから左右非対象に構成されている。
【0034】
そして、上記のように端子接続部12a、22aと、コネクタ接続部22bとが左右非対称に構成されたヒューズバスバ2は、図7及び図8に示すように、ハウジング3に装着される。ハウジング3は、ハウジング本体30の背面に設けられたハウジング側係止部34と、ヒュージブルリンクユニット1が収納されるリレーボックス50の内壁に設けられたリレーボックス側係止部35により組み付けられる。
【0035】
ここで、リレーボックス50の左側にオルタネータ側の入力を有する車両の場合、図7に示すように、オルタネータ側スリット25により、ハウジング3の右側部から外方へ突出するオルタネータ側ヒューズバスバの入力接続部21を略直角に屈曲し、リレーボックス50内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックス50と係止する。
【0036】
また、リレーボックス50の右側にオルタネータ側の入力を有する車両の場合、ヒューズバスバ2は、それぞれ電線端末の相手端子と接続される端子接続部12a、22aと、コネクタに収容された相手端子と接続されるコネクタ接続部22bとが左右非対称に構成されている。そのため、図8に示すように、ヒュージブルユニット1の表裏を逆にして、ハウジング本体30の背面に設けられたハウジング側係止部34と、ヒュージブルリンクユニット1が収納されるリレーボックス50の内壁に設けられたリレーボックス側係止部35により組み付けられる。
【0037】
そして、オルタネータ側スリット25により、ハウジング3の右側部から外方へ突出するオルタネータ側ヒューズバスバの入力接続部21を図7に示す方向と逆方向に屈曲することにより、オルタネータの入力方向の違いに対して、ヒュージブルリンクユニット1を変えずに対応することができる。
【0038】
このようにして、本発明の第2実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1では、ヒューズバスバ2が左右非対称の場合、ヒュージブルリンクユニット1を表裏逆にして組み付けることにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。従って、オルタネータの車両側条件による入力方向の違いに対し、一種類のヒュージブルリンクユニット1の形状で対応することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0039】
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図9から図12は、本発明の第3実施形態を示し、上記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図9は、本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。図10は、本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。図11は、本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットを構成するヒューズバスバの正面図である。図12は、本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニットとリレーボックスの斜視図である。
【0040】
図9に示すように、バッテリ側ヒューズバスバ10の出力接続部12と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の出力接続部22は、それぞれ電線端末の相手端子と接続される端子接続部12a、22aと、コネクタに収容された相手端子と接続されるコネクタ接続部22bとから構成されている。また、バッテリ側ヒューズバスバ10の可溶体13と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の可溶体23は、それぞれ入力接続部11、21と、出力接続部12、22間が所定の通電電流で溶断可能な端子可溶体13a、23aと、バッテリ側ヒューズバスバ10と、オルタネータ側ヒューズバスバ20の導通部同士を所定の通電電流で溶断可能な導通部間可溶体13b、23bとから左右非対象に構成されている。
【0041】
そして、上記のように端子接続部12a、22aと、コネクタ接続部22bとが左右非対称に構成されたヒューズバスバ2は、図10に示すように、ハウジング3に装着される。ハウジング3は、ハウジング本体30の背面に設けられたハウジング側係止部34と、ヒュージブルリンクユニット1が収納されるリレーボックス50の内壁に設けられたリレーボックス側係止部35により組み付けられる。
【0042】
ここで、リレーボックス50の左側にオルタネータ側の入力を有する車両の場合、図10に示すように、オルタネータ側スリット25により、ハウジング3の右側部から外方へ突出するオルタネータ側ヒューズバスバの入力接続部21を略直角に屈曲し、リレーボックス50内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックス50と係止する。
【0043】
また、リレーボックス50の右側にオルタネータ側の入力を有する車両の場合、図11に示すように、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置に対応した端子接続部12a、22aと、コネクタ接続部12bとが左右非対象に構成されているヒューズバスバ2に変更する。
【0044】
つまり、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数が異なる場合、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置が異なる場合には、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置に対応するヒューズバスバ2に変更し、リレーボックス50内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックス50と係止する。
【0045】
そして、図12に示すように、変更したヒューズバスバ2はハウジング3に装着され、ハウジング3は、ハウジング本体30の背面に設けられたハウジング側係止部34と、ヒュージブルリンクユニット1が収納されるリレーボックス50の内壁に設けられたリレーボックス側係止部35により組み付けられる。このように、ヒューズバスバ2を変更することにより、オルタネータの接続方向の違い、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数の違い、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置の違いに対して、ハウジング3の形状を変更せずに対応することができる。
【0046】
このようにして、本発明の第3実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1では、ヒューズバスバ2が左右非対称の場合、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数が異なる場合、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置が異なる場合、ヒューズバスバ2を変更することにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違い、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置の違いに対応できる。従って、オルタネータの車両側条件による入力方向の違いに対し、一種類のヒュージブルリンクユニット1の形状で対応することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
また、図11に示すように、端子可溶体13a、23aと、導通部間可溶体13b、23bの各可溶体部12、13は、細幅でクランク状を有し、そのクランク形状の途中に低融点金属41が加締め固定され、それぞれに所定値以上の電流が通電されると溶断されるように構成されている。
【0048】
このように、可溶体12、13を低融点金属41で加締め固定することにより、電気回路に流れる過電流を遮断し、電子機器等に過度な電力が供給されることを防止するヒュージブルリンクユニット1を提供することが可能となる。
【0049】
このようにして、本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1は、バッテリ側導通部14とオルタネータ側導通部24同士を所定の通電電流で溶断可能なバッテリ側可溶体13及びオルタネータ側可溶体23を介して接続して形成されたヒューズバスバ2と、このヒューズバスバ2が埋設又は収納されるハウジング3とからなるヒュージブルユニット1であって、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21は同一形状に形成され、ハウジング3の両端部には、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21がハウジング3への埋設状態又は収納状態でハウジング3の外方へそれぞれ突出する入力接続部挿通スリット33が設けられ、バッテリ側ヒューズバスバ10及びオルタネータ側ヒューズバスバ20をハウジング3に埋設又は収容し、バッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21をハウジング3の両側部から外方へ突出した状態で、ハウジング3が左右対称になるように形成されている。これにより、ヒューズバスバ2が左右対称の場合、オルタネータ側の入力方向の違いに対して、ハウジング3の側部から外方へ突出したオルタネータ側入力接続部21を折り曲げる箇所を変更することにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0050】
また、ヒューズバスバ2が左右非対称の場合、ヒュージブルリンクユニット1を表裏逆にして組み付ける、又は、ヒュージブルリンクユニット1の中でバッテリ側ヒューズバスバ10及びオルタネータ側ヒューズバスバ20の位置を変更して組み付けることにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0051】
さらに、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数が異なる場合、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置が異なる場合、ヒューズバスバ2を変更することにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違い、電線端末の相手端子の数、コネクタに収容された相手端子の数の違い、及び、電線端末の相手端子の位置、コネクタに収容された相手端子の位置の違いに対応できる。
【0052】
従って、オルタネータの車両側条件による入力方向の違いに対し、一種類のヒュージブルリンクユニット1の形状で対応することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1は、ハウジング3の両側部から外方へ突出するバッテリ側入力接続部11及びオルタネータ側入力接続部12には、該入力接続部11、12をバッテリ側導通部14及びオルタネータ側導通部24に対して屈曲可能とするバッテリ側スリット15及びオルタネータ側スリット25がそれぞれ形成されている。ここで、ヒュージブルリンクユニット1のバッテリ側ヒューズバスバは、リレーボックス内でボルト等によりオルタネータ側の端子と接続された状態でリレーボックスに係止されるため、ヒューズバスバの入力接続部を折り曲げてリレーボックス内でオルタネータ側の端子と共にリレーボックスと係止しなければならない。そして、ヒューズバスバ2が左右対称の場合、オルタネータ側の入力方向の違いに対して、ハウジング3の側部から外方へ突出したオルタネータ側入力接続部21をオルタネータ側導通部24に対して屈曲可能とするオルタネータ側スリット25により折り曲げる方向を変更する。これにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0054】
さらに、本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1は、バッテリ側出力接続部11及びオルタネータ側入力接続部21は、電線端末の相手端末に接続される端子接続部12a、22aと、コネクタに収容された相手端末と接続されるコネクタ接続部12b、22bとからなり、ハウジング3には、端子接続部12a、22aが相手端末と接続される端子支持部32と、コネクタ接続部12b、22bが相手端子を収容したコネクタが嵌合するコネクタ開口部31とが形成されている。これにより、ヒューズバスバ2が左右非対称の場合、ヒュージブルリンクユニット1の中でバッテリ側ヒューズバスバ10及びオルタネータ側ヒューズバスバ20の位置を変更して組み付けることにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0055】
また、本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1は、ハウジング3には、ヒュージブルリンクユニット1が収納されるリレーボックス50の内壁に係止される係止部34が設けられている。これにより、ヒューズバスバ2が左右非対称の場合、ヒュージブルリンクユニット1を表裏逆にして組み付けることにより、ヒュージブルリンクユニット1の形状を変更せずにオルタネータ側の入力方向の違いに対応できる。
【0056】
以上、本発明のヒュージブルリンクユニットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれにこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電気回路に流れる過電流を遮断するヒュージブルリンクユニットの製造コストの低減を図る上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 ヒュージブルリンクユニット
2 ヒューズバスバ
3 ハウジング
10 バッテリ側ヒューズバスバ
11 入力接続部
12 出力接続部
12a 端子接続部
12b コネクタ接続部
13 可溶体
13a 端子可溶体
13b 導通部間可溶体
14 バッテリ側導通部
15 バッテリ側スリット
20 オルタネータ側ヒューズバスバ
21 入力接続部
22 出力接続部
22a 端子接続部
22b コネクタ接続部
23 可溶体
23a 端子可溶体
23b 導通部間可溶体
24 オルタネータ側導通部
25 オルタネータ側スリット
30 ハウジング本体
31 コネクタ開口部
32 端子支持部
33a ハウジング側入力接続部挿通スリット
33b リレーボックス側スリット
41 低融点金属
50 リレーボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力接続部と、
出力接続部と、
これらの入力接続部間が所定の通電電流で溶断可能な可溶体を介して接続された第1のバスバ及び第2のバスバとを備え、
これらの第1のバスバ及び第2のバスバの導通部同士を所定の通電電流で溶断可能な導通部間可溶体を介して接続して形成されたヒューズバスバと、
このヒューズバスバが埋設又は収納されるハウジングとからなるヒュージブルユニットであって、
前記第1のバスバ及び第2のバスバの前記入力接続部は同一形状に形成され、前記ハウジングの両端部には、前記第1のバスバ及び第2のバスバの入力接続部がハウジングへの埋設状態又は収納状態でハウジングの外方へそれぞれ突出する挿通孔が設けられ、前記第1のバスバ及び第2のバスバを前記ハウジングに埋設又は収容し、入力接続部をハウジングの両側部から外方へ突出した状態で、前記ハウジングが左右対称になるように形成されていることを特徴とするヒュージブルリンクユニット。
【請求項2】
前記ハウジングの両側部から外方へ突出する前記入力接続部には、該入力接続部を前記導通部に対して屈曲可能とするスリットがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒュージブルリンクユニット。
【請求項3】
前記出力接続部は、電線端末の相手端末に接続される端子接続部と、
コネクタに収容された相手端末と接続されるコネクタ接続部とからなり、
前記ハウジングには、前記端子接続部が相手端末と接続される端子支持部と、
前記コネクタ接続部が相手端子を収容したコネクタが嵌合するコネクタ開口部とが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒュージブルリンクユニット。
【請求項4】
前記ハウジングには、ヒュージブルリンクユニットが収納されるリレーボックスの内壁に係止される係止部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のヒュージブルリンクユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−9159(P2011−9159A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153794(P2009−153794)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】