説明

ヒューズユニット

【課題】複数の可溶体部を備えたヒューズユニットにおいて、それぞれの可溶体部同士の熱干渉を避けて、可溶体部の溶断特性がばらつくことを防止する。
【解決手段】バッテリ5に接続されるヒューズユニット1において、第1のボディ9と、第1のボディ9に隣接している第2のボディ11と、第1のボディ9と第2のボディ11との間に形成されている可撓ヒンジ部13と、第1のボディ9に設けられた第1の可溶体部15と、第2のボディ11に設けられ第1の可溶体部15よりも高定格である第2の可溶体部17とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットに係り、特に、自動車等のバッテリ端子の近傍に設置されて使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一端部側にバッテリ接続板部を備え他端部側に回路接続板部を備え中間部に可撓ヒンジ部を備えたバスバーと、バッテリ接続板部側の部位を覆っている第1の樹脂部と、回路接続板部側を覆っている第2の樹脂部とを備えたヒューズユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来のヒューズユニットは、バッテリ端子を介して、バッテリ接続板部がバッテリに接続されるようになっている。また、上記従来のヒューズユニットがバッテリに接続された状態では、ヒューズユニットは「L」字状になっており、可撓ヒンジ部を間にしたバッテリ接続板部側の部位がバッテリの上面と対向しており、回路接続板部側の部位がバッテリの側面と対向している。
【0004】
また、上記従来のヒューズユニットでは、たとえば、回路接続板部側の部位に、可溶体部(定格以上の電流が所定時間流れると熱によって溶断する低融点金属製の部位)が設けられている。
【0005】
なお、従来のヒューズユニットに関する特許文献として、たとえば、特許文献1を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−40367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来のヒューズユニットでは、複数の可溶体部が回路接続板部側の部位に設けられているので、それぞれの可溶体部が発熱すると熱の干渉が生じて、各可溶体部の溶断特性にばらつきが発生するという問題がある。
【0008】
なお、上記問題は、可溶体部として低定格の可溶体部(比較的小さい電流値で溶断する可溶体部;たとえば、照明等の電気機器に接続されている可溶体部)だけでなく、高定格の可溶体部(比較的大きい電流値で溶断する可溶体部;たとえば、スタータ等の電気機器に接続されている可溶体部)が設けられていると、一層顕著になる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、複数の可溶体部を備えたヒューズユニットにおいて、それぞれの可溶体部同士の熱干渉を避けて、可溶体部の溶断特性がばらつくことを防止することができるヒューズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、バッテリに接続されるヒューズユニットにおいて、第1のボディと、前記第1のボディに隣接している第2のボディと、前記第1のボディと前記第2のボディとの間に形成されている可撓ヒンジ部と、前記第1のボディに設けられた第1の可溶体部と、前記第2のボディに設けられ、前記第1の可溶体部よりも高定格である第2の可溶体部とを有するヒューズユニットである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヒューズユニットにおいて、前記第2の可溶体部は、前記第2のボディに着脱自在に設けられており、前記バッテリに設置されたときに、前記第1のボディが、前記バッテリの上方で前記バッテリに接続され、前記第2のボディが、前記第1のボディの下側で、前記バッテリの側面と対向するように構成されているヒューズユニットである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のヒューズユニットにおいて、前記第2のボディには、前記第2の可溶体部を覆うリブが設けられているヒューズユニットである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヒューズユニットにおいて、前記第2の可溶体部は、一方の端子が前記可撓ヒンジ部側に設けられており、他方の端子が前記可撓ヒンジ部から離れた側に設けられているヒューズユニットである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の可溶体部を備えたヒューズユニットにおいて、それぞれの可溶体部同士の熱干渉を避けて、可溶体部の溶断特性がばらつくことを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るヒューズユニット(ストリップヒューズリンクが設置されているヒューズユニット)をバッテリに設置した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るヒューズユニット(ストリップヒューズリンクが設置されていないヒューズユニット)を可撓ヒンジ部で曲げた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るヒューズユニット(ストリップヒューズリンクが設置されていないヒューズユニット)を可撓ヒンジ部で曲げた状態を示す正面図、側面図、平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るヒューズユニット(ストリップヒューズリンクが設置されていないヒューズユニット)を可撓ヒンジ部で曲げていない状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係るヒューズユニット(ストリップヒューズリンクが設置されていないヒューズユニット)を可撓ヒンジ部で曲げていない状態を示す正面図、側面図、平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るヒューズユニットのバスバーを可撓ヒンジ部で曲げた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るヒューズユニットのバスバーを可撓ヒンジ部で曲げた状態を示す正面図、側面図、平面図である。
【図8】ストリップヒューズリンクを示す斜視図である。
【図9】エレメントカバーを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係るヒューズユニットに使用されるボルトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ヒューズユニット(ヒュージブルリンクユニット)1は、図1に示すように、たとえば、バッテリ端子3を介して、自動車のバッテリ5(バッテリポスト7)に接続され、バッテリ5の近傍に設置されて使用されるものであり、自動車の照明やスタータ等の電気機器が、ヒューズユニット1を介してバッテリ5に接続される。
【0017】
ヒューズユニット1は、所定の厚さの板状の第1のボディ9と所定の厚さの板状の第2のボディ11と可撓ヒンジ部13と第1の可溶体部15と第2の可溶体部17とを備えて構成されている(図1、図2、図6等参照)。
【0018】
第1のボディ9は、図6で示すように、バスバー(ヒューズエレメント)19の一端部側の部位21と、この一端部側の部位21の一部に一体的に設けられた第1の樹脂部23とを備えて構成されている。
【0019】
第2のボディ11は、第1のボディ9の端部で第1のボディ9に隣接しており、バスバー19の他端部側の部位25と、この他端部側の部位25の一部に一体的に設けられた第2の樹脂部27とを備えて構成されている。
【0020】
可撓ヒンジ部13は、第1のボディ9と第2のボディ11との間(各樹脂部23,27が設けられていないバスバー19の一端部側の部位21と他端部側の部位25との直線状の境界)に形成されている。
【0021】
第1の可溶体部15は、たとえば、照明等の電気機器に接続される可溶体部であり、比較的小さい電流値で溶断する可溶体部であり、バスバー19の一端部側の部位21でバスバー19に一体で形成され、第1のボディ9に設けられている。
【0022】
第2の可溶体部17(図1、図8参照)は、第1の可溶体部15よりも高定格であり比較的大きい電流値で溶断する可溶体部であり、たとえば、スタータ等の高定格な電気機器用に接続されるストリップヒューズリンクで構成されている。また、第2の可溶体部17は、第2のボディに着脱自在に設けられている。
【0023】
また、ヒューズユニット1は、バッテリ5に設置されたとき、図1で示すように、第1のボディ9が、この厚さ方向が上下方向になるようにして、バッテリ5の上方でバッテリ5に接続されている。第2のボディ11は、第1のボディ9の下側で、バッテリ5の側面と対向している。
【0024】
第2のボディ11には、第2の可溶体部17を覆うリブ29が設けられている。第2の可溶体部17は、一方の端子31が可撓ヒンジ部13(上側;第1のボディ9)側で可撓ヒンジ部13の近くに設けられており、他方の端子33が可撓ヒンジ部13から離れた側(下側)に設けられて、第2のボディ11に設置されている。
【0025】
ヒューズユニット1についてさらに詳しく説明すると、ヒューズユニット1は、すでに理解されるように、バスバー19とヒューズハウジング35とを備えて構成されている。ヒューズハウジング35は、絶縁性を備えた樹脂(第1の樹脂部23,第2の樹脂部27)で構成されている。
【0026】
バスバー19は、図6等で示すように、たとえば、1枚の導電性を備えた平板状の材料(たとえば金属板)を打ち抜きして形成されており、バッテリ接続板部37とストリップヒューズリンク接続板部39と第1の回路接続板部41と第2の回路接続板部43とを備えて構成されている。
【0027】
バッテリ接続板部37は、幅広部45と幅狭部47とを備えて「T」字状に形成されている。なお、幅広部45と幅狭部47とが並んでいる方向をバッテリ接続板部37の長手方向とする。ストリップヒューズリンク接続板部39も、幅広部49と幅狭部51とを備えて「T」字状に形成されている。なお、幅広部49(バッテリ接続板部37の幅広部45とほぼ同じ幅の幅広部)と幅狭部51(バッテリ接続板部37の幅狭部47とほぼ同じ幅の幅狭部)とが並んでいる方向をストリップヒューズリンク接続板部39の長手方向とする。
【0028】
バッテリ接続板部37とストリップヒューズリンク接続板部39とは、お互いの幅狭部47,51のところでつながっており、バッテリ接続板部37とストリップヒューズリンク接続板部39とは、「H」字状になっている。さらに、バッテリ接続板部37とストリップヒューズリンク接続板部39との境界(バッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39の幅方向で直線状に延びている接続部)が可撓ヒンジ部13になっている。
【0029】
第1の回路接続板部41は、矩形状に形成されており、第1の可溶体部(バスバー19に一体で成形されている可溶体部)15(15A)を介して、バッテリ接続板部37(幅広部45)に接続されている。また、第1の回路接続板部41は、この長手方向がバッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39の長手方向と一致し、幅方向がバッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39の幅方向と一致するようにして、バッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39の幅方向の一端部側で、バッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39から僅かに離れている。
【0030】
第2の回路接続板部43も、第1の回路接続板部41と同様な矩形状に形成されており、第1の可溶体部(バスバー19に一体で成形されている可溶体部)15(15B)を介して、バッテリ接続板部37(幅広部45)に接続されている。また、第2の回路接続板部43は、この長手方向がバッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39の長手方向と一致し、幅方向がバッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39の幅方向と一致するようにして、バッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39の幅方向の他端部側で、バッテリ接続板部37やストリップヒューズリンク接続板部39から僅かに離れている。
【0031】
これにより、バスバー19の全体の外形形状は、矩形状に形成されている。また、可撓ヒンジ部13が延長されて、バッテリ接続板部37とストリップヒューズリンク接続板部39との境界だけでなく、各回路接続板部41,43にも形成されている。
【0032】
バッテリ接続板部37には、ヒューズユニット1をバッテリ端子3に接側するための貫通孔53が設けられており、ストリップヒューズリンク接続板部39には、第2の可溶体部(ストリップヒューズリンク)17を設置するための貫通孔55が設けられている。
【0033】
第1の回路接続板部41には、電気機器を接続するための貫通孔57が設けられており、第2の回路接続板部43にも、電気機器を接続するための貫通孔59が設けられている。
【0034】
第1の樹脂部23は、上述したように、バスバー19の一端部側の部位21の一部に、インサート成形等で一体的に設けられている。さらに説明すると、第1の樹脂部23は、可撓ヒンジ部13とこの周辺部でバスバー19が露出し、可溶体部15(15A,15B)とこの周辺部でバスバー19が露出し、バッテリ端子3に接続するための貫通孔53とこの周辺部でバスバー19が露出し、電気機器を接続するための貫通孔57,59とこの周辺部でバスバー19が露出するようにして、バッテリ接続板部37と各回路接続板部41,43とに一体的に設けられている。
【0035】
また、第1の回路接続板部41の貫通孔57には、図2等で示すように、第1の回路接続板部41と導通するようにしてボルト61(図10参照)が挿入されており、さらに、第1の樹脂部23が設けられていることで、ボルト61が第1の回路接続板部41に固定されている。なお、ボルト61のネジ部は、第1の樹脂部23から突出して(第1の回路接続板部41の厚さ方向で突出して)露出している。
【0036】
同様にして、第2の回路接続板部43の貫通孔59には、第2の回路接続板部43と導通するようにしてボルト63(図10参照)が挿入されており、さらに、第1の樹脂部23が設けられていることで、ボルト63が第2の回路接続板部43に固定されている。なお、ボルト63のネジ部は、第1の樹脂部23から突出して露出している。
【0037】
第2の樹脂部27は、上述したように、バスバー19の他端部側の部位25の一部に、インサート成形等で一体的に設けられている。さらに説明すると、第2の樹脂部27は、可撓ヒンジ部13とこの周辺部でバスバー19が露出し、第2の可溶体部(ストリップヒューズリンク)17を設置するための貫通孔55とこの周辺部でバスバー19が露出するようにして、ストリップヒューズリンク接続板部39と各回路接続板部41,43とに一体的に設けられている。
【0038】
ストリップヒューズリンク接続板部39の貫通孔55には、ストリップヒューズリンク接続板部39と導通するようにしてボルト65(図10参照)が挿入されており、さらに、第2の樹脂部27が設けられていることで、ボルト65がストリップヒューズリンク接続板部39に固定されている。なお、ボルト65のネジ部は、第2の樹脂部27から突出して(ストリップヒューズリンク接続板部39の厚さ方向で突出して)露出している。
【0039】
さらに、第2の樹脂部27は、図2と図6とを比較して理解されるように、可撓ヒンジ部13から離れる側に、ストリップヒューズリンク接続板部39から延びて設けられている。これにより、第2の樹脂部27の先端部側(可撓ヒンジ部13から遠い部分)には、ストリップヒューズリンク接続板部39(バスバー19)が存在していない。第2の樹脂部27の先端部側には、別のボルト67(図10参照)が一体的に設けられている。このボルト67のネジ部も、第2の樹脂部27から突出して露出している。
【0040】
ヒューズユニット1は、可撓ヒンジ部13で曲げられていない状態では、所定の厚さの矩形な板状に形成されている(図4、図5等参照)。一方、可撓ヒンジ部13で曲げられた状態では、ヒューズユニット1は、第1のボディ9と第2のボディ11との交差角度がほぼ直角になっている「L」字状になる(図2、図3等参照)。
【0041】
なお、各ボルト61,63,65,67のネジ部は、可撓ヒンジ部13の優角側(270°の角度になっている側)に突出している。
【0042】
また、第1のボディ9(バッテリ接続板部37)の貫通孔53と、第2のボディ11に一体的に設けられている各ボルト65,67とは、バスバー19の幅方向(ヒューズユニット1の幅方向)の中央に位置しており、バスバー19の長手方向(ヒューズユニット1の長手方向)でほぼ一列に並んでいる。
【0043】
また、図5で示すように、第1のボディ9には係止部69が設けられており、第2のボディ11には被係止部71が設けられており、可撓ヒンジ部13でバスバー19を90°曲げたときに、係止部69が被係止部71に係合して、90°の曲げ角度が固定されて維持されるようになっている。
【0044】
さらに、第2の樹脂部27には、上述したようにリブ29が形成さている。リブ29は矩形な板状に形成されており、この長手方向がストリップヒューズリンク接続板部39の長手方向(第2のボディ11の長手方向)と一致し、厚さ方向がストリップヒューズリンク接続板部39の幅方向(第2のボディ11の幅方向)と一致するようにして、ストリップヒューズリンク接続板部39の各ボルト65,67とよりも低く突出している(リブ29の幅が突出高さになっている)。
【0045】
また、リブ29は、第2の樹脂部27の長さのほぼ全長にわたって設けられている。さらに、リブ29は一対で設けられており、一方のリブ29は、第2のボディ11の幅方向の一端部側に設けられており、他方のリブ29は、第2のボディ11の幅方向の他端部側に設けられており、一対のリブ29の間に、第2のボディ11の各ボルト65,67が位置している。一対のリブ29の間の間隔は、第2のボディ11の各ボルト65,67に螺合するボルトやワシャの外径(ボルトを回すための工具の外径)よりも僅かに大きくなっている。
【0046】
これらにリブ29によって、第2のボディ11に設置されたストリップヒューズリンク17が囲われている。
【0047】
また、ヒューズユニット1には、エレメントカバー73(図9参照)が着脱自在に設置されるようになっている。エレメントカバー73は、第1のボディ9の可溶体部15(15A,15B)を覆うためのものである(図2等参照)。
【0048】
図1で示すように、バッテリ5の本体75は、たとえば、直方体状に形成されており、本体75の上面の一端部には、バッテリポスト7が起立している。このバッテリポスト7には、バッテリ端子3が一体的に設置されるようになっている。
【0049】
ヒューズユニット1は、バッテリ端子3のスタッドボルト77によって、バッテリ端子3に一体的に設置されるようになっている。
【0050】
バッテリ端子3を介してヒューズユニット1をバッテリ5に一体的に設置した状態では、上述したように、第1のボディ9が、この厚さ方向が上下方向になるようにしてバッテリ5(バッテリ本体75)の上面から僅かに離れてバッテリ5の上方に位置しており、第2のボディ11が、第1のボディ9の下側で、バッテリ5(バッテリ本体75)の1つの側面から僅かに離れて、バッテリ5(バッテリ本体75)の側面と対向している。
【0051】
第2の可溶体部(ストリップヒューズリンク)17は、図8で示すように、棒状に形成されており、この一端部から一方の平板状の端子31が突出している。この端子31は、ストリップヒューズリンク17を第2のボディ11に設置するときに使用されるものであり、端子31の中央部には貫通孔83が形成されている。
【0052】
また、ストリップヒューズリンク17の他端部から他方の平板状の端子33が突出している。この端子33も、ストリップヒューズリンク17を第2のボディ11に設置するときに使用されるものであり、端子33の中央部には貫通孔85が形成されている。
【0053】
ストリップヒューズリンク17は、第2のボディ11に設けられている2つのボルト65,67を用いて、第2のボディ11に着脱自在に設置されるようになっている。
【0054】
すなわち、ストリップヒューズリンク17の一方の端子31の貫通孔83に、ボルト65(ストリップヒューズリンク接続板部39に導通しているボルト)が入り込み、このボルト65にナットを螺合させボルトを締め、ストリップヒューズリンク17の他方の端子33の貫通孔85に、ボルト67(ストリップヒューズリンク接続板部39に非導通であるボルト)が入り込み、これらのボルト65,67にナットを螺合させボルトを締めることで、ストリップヒューズリンク17が、第2のボディ11に一体的に設置されるようになっている。
【0055】
なお、すでに理解されるように、ストリップヒューズリンク17を第2のボディ11に設置した状態では、ストリップヒューズリンク17の一方の端子31が可撓ヒンジ部13の近くで可撓ヒンジ部13(第1のボディ9)側に位置しており、ストリップヒューズリンク17の他方の端子33が可撓ヒンジ部13から離れた側に位置している。
【0056】
また、ストリップヒューズリンク17の他方の端子33は、導線を介してスタータに接続される。
【0057】
ヒューズユニット1によれば、第1の可溶体部15が第1のボディ9に設けられており、第1の可溶体部15よりも高定格である第2の可溶体部17が、可撓ヒンジ部13を介して第1のボディ9から離れている第2のボディ11に設けられているので、第1の可溶体部15と第2の可溶体部17との相互の熱干渉の発生を避けることができ、各可溶体部15,17の溶断特性がばらつくことを防止することができる。
【0058】
すなわち、第1の可溶体部15と第2の可溶体部17とが、90°異なる面に配置されており、第1の可溶体部15が発した熱が第1の樹脂部23により放熱され、さらに空気の対流によって放熱され、第2の可溶体部17が発した熱が第2の樹脂部27により放熱され、さらに空気の対流によって放熱されるので、各可溶体部15,17が相互の熱干渉を受けることがなくなり、各可溶体部15,17の溶断特性がばらつくことを防止することができる。
【0059】
また、ヒューズユニット1によれば、第2の可溶体部17が第2のボディ11に着脱自在に設けられているので、たとえば、スタータを保護するストリップヒューズリンク17に異常電流が流れ、ストリップヒューズリンク17が溶断した場合であっても、ヒューズユニット1全体を交換することなくストリップヒューズリンク17だけを交換すればよいので、低コストでヒューズユニット1を使用することができる。
【0060】
また、ヒューズユニット1によれば、ヒューズユニット1がバッテリ5に設置された状態で、ストリップヒューズリンク17が設置されている第2のボディ11がバッテリ5の側面と対向しているので、ヒューズユニット1をバッテリ5から取り外さないと、ストリップヒューズリンク17を交換することがほぼできないようになっている。したがって、ストリップヒューズリンク17を交換するときにはヒューズユニット1をバッテリ(5バッテリ端子3)から取り外すことになり、ストリップヒューズリンク17を交換するときにおける感電事故の発生を防止することができる。
【0061】
また、ヒューズユニット1によれば、ストリップヒューズリンク17を覆うリブ29が第2のボディ11に設けられているので、ヒューズユニット1をバッテリ5から取り外さないと、ストリップヒューズリンク17を交換することが一層困難になり、ストリップヒューズリンク1717を交換するときにおける感電事故の発生を一層確実に防止することができる。
【0062】
さらに、ヒューズユニット1によれば、ストリップヒューズリンク17の一方の端子31が可撓ヒンジ部13側に設けられており、ストリップヒューズリンク17の他方の端子33が可撓ヒンジ部13から離れた側に設けられているので、ヒューズユニット1をバッテリ5から取り外さないと、ストリップヒューズリンク17の他方の端子33を固定しているナットに工具が届かず17を交換することがさらに一層困難になり、ストリップヒューズリンク17を交換するときにおける感電事故の発生をさらに一層確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 ヒューズユニット
5 バッテリ
9 第1のボディ
11 第2のボディ
13 可撓ヒンジ部
15 第1の可溶体部
17 第2の可溶体部(ストリップヒューズリンク)
29 リブ
31、33 ストリップヒューズリンクの端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに接続されるヒューズユニットにおいて、
第1のボディと、
前記第1のボディに隣接している第2のボディと、
前記第1のボディと前記第2のボディとの間に形成されている可撓ヒンジ部と、
前記第1のボディに設けられた第1の可溶体部と、
前記第2のボディに設けられ、前記第1の可溶体部よりも高定格である第2の可溶体部と、
を有することを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヒューズユニットにおいて、
前記第2の可溶体部は、前記第2のボディに着脱自在に設けられており、
前記バッテリに設置されたときに、前記第1のボディが、前記バッテリの上方で前記バッテリに接続され、前記第2のボディが、前記第1のボディの下側で、前記バッテリの側面と対向するように構成されていることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のヒューズユニットにおいて、
前記第2のボディには、前記第2の可溶体部を覆うリブが設けられていることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヒューズユニットにおいて、
前記第2の可溶体部は、一方の端子が前記可撓ヒンジ部側に設けられており、他方の端子が前記可撓ヒンジ部から離れた側に設けられていることを特徴とするヒューズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−216453(P2012−216453A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81631(P2011−81631)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】