説明

ヒューズユニット

【課題】可溶体部の数量の相異により透明カバーにより覆う窓部の寸法が多種化しても、前記透明カバーの種類の増加を抑止する。
【解決手段】透明カバー30は第1カバー部材32と第2カバー部材33とに分割されて構成され、第1カバー部材32は、一側から窓部24に挿入装着されて窓部24の特定仕切り壁26よりも一側に配置されている可溶体部12a,12bの表裏を覆うと共に特定仕切り壁26の表面側のカバー係止部26aにより窓部24に結合され、第2カバー部材33は、他側から窓部24に挿入装着されて特定仕切り壁26よりも他側に配置されている可溶体部12c,12dの表裏を覆うと共に特定仕切り壁26の裏面側のカバー係止部26aにより窓部24に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズエレメントに並列状態に装備された複数の可溶体部が露出するヒューズハウジングの窓部を透明カバーによって覆うヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図15は、下記特許文献1に開示されたヒューズユニットを示している。
【0003】
このヒューズユニット100は、車両のバッテリに直付けされてバッテリへの電装回路の接続に利用されるもので、ヒューズエレメント110と、ヒューズハウジング120と、透明カバー130と、を備える。
【0004】
ヒューズエレメント110は、定格以上の電流が流れた時に溶断する4つの可溶体部111a,111b,111c,111dを並列状態に備えている。各可溶体部111a,111b,111c,111dは、電装回路に導通接続される4つの回路接続板部(不図示)を、バッテリに導通接続されるバッテリ接続板部112に接続している。4つの可溶体部111a,111b,111c,111dは、ヒューズエレメント110の幅方向(図15の矢印X1方向)に並んで配置されている。
【0005】
ヒューズハウジング120は、ヒューズエレメント110を収容すると共に、4つの可溶体部111a,111b,111c,111dの表裏両面を露出させた窓部121を有している。窓部121には、隣接する可溶体部間を横断する複数の仕切り壁122が設けられている。複数の仕切り壁122は、隣接する可溶体部間を隔絶している。
【0006】
透明カバー130は、窓部121に装着されて、4つの可溶体部111a,111b,111c,111dを外部から視認可能に、窓部121の表裏両面を覆う。
透明カバー130は、窓部121の表面側を覆う第1の透視用板部131と、窓部121の裏面側を覆う第2の透視用板部132と、これらの一対の透視用板部131,132の一端を連結する連結板部133と、でコ字状の断面構造に形成されている。
【0007】
透明カバー130は、図15に矢印X2で示すように、ヒューズハウジング120の幅方向の一側から、窓部121に挿入装着されて、4つの可溶体部111a,111b,111c,111dの表裏を覆う。
【0008】
透明カバー130における一対の透視用板部131,132の他端(自由端)には、係合部135が設けられている。透明カバー130は、窓部121に挿入装着した際、係合部135が窓部121に装備されたカバー係止部125に係合することで、窓部121に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−21055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、ヒューズユニット100に装備される可溶体部111a,111b,111c,111dの数量は、バッテリに接続する電装回路の数量に対応して設定される。バッテリに接続する電装回路の数量は、車種や車両のグレードによって変わるため、ヒューズユニットとしても、可溶体部の装備数が異なる多種のものが用意されることになる。
【0011】
ところが、特許文献1に開示のヒューズユニット100は、窓部121の表裏両面を1つの透明カバー130で覆う構造のため、可溶体部の装備数の変更によって窓部121の寸法が変更になる場合には、透明カバー130も寸法変更が必要となる。
【0012】
即ち、装備する可溶体部の数量の相異によって窓部121の長さ寸法(図15の矢印X1方向の寸法)が多種化すると、それに応じて透明カバー130も多種化してしまうという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、ヒューズユニットにおいて装備される可溶体部の数量の相異により透明カバーにより覆う窓部の寸法が多種化しても、前記透明カバーの種類の増加を抑止することができるヒューズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 定格以上の電流が流れた時に溶断する複数の可溶体部を並列状態に備えたヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容すると共に前記複数の可溶体部の表裏両面を露出させた窓部を有したヒューズハウジングと、前記窓部に装着されて前記複数の可溶体部を外部から視認可能に覆う透明カバーと、を備えるヒューズユニットであって、
前記窓部は、隣接する可溶体部間を横断して隣接する可溶体部を隔絶する少なくとも一つの仕切り壁と、一つの前記仕切り壁の表面側及び裏面側にそれぞれ装備されるカバー係止部と、を備え、
前記透明カバーは、同一構造又は前記窓部への挿入方向の長さのみが異なる類似構造となる複数のものが用意され、
被覆が必要とされる前記可溶体部の数に応じて選択した適正な挿入方向の長さの少なくとも一つの前記透明カバーが、前記窓部に装着され、前記仕切り壁の前記カバー係止部により前記窓部に結合される
ことを特徴とするヒューズユニット。
【0015】
(2) 前記透明カバーは、第1カバー部材と第2カバー部材とが用意され、前記仕切り壁は複数設けられ、前記複数の仕切り壁の内の一つが前記カバー係止部を装備した特定仕切り壁とされ、前記第1カバー部材は、前記窓部の一側から前記窓部に挿入装着されて前記特定仕切り壁よりも前記窓部の一側に配置されている前記可溶体部の表裏を覆うと共に前記特定仕切り壁の表面側のカバー係止部により窓部に結合され、
前記第2カバー部材は、前記窓部の他側から前記窓部に挿入装着されて前記特定仕切り壁よりも前記窓部の他側に配置されている前記可溶体部の表裏を覆うと共に前記特定仕切り壁の裏面側のカバー係止部により窓部に結合される
ことを特徴とする上記(1)に記載のヒューズユニット。
【0016】
(3) 前記透明カバーを構成する前記第1カバー部材及び第2カバー部材は、前記窓部の表面側及び裏面側を覆う一対の透視用板部と、これらの一対の透視用板部の一端を連結した連結板部と、でコ字状の断面構造に形成されると共に、前記一対の透視用板部の内の前記カバー係止部と係合しない透視用板部は前記カバー係止部と係合する透視用板部よりも短く寸法設定され、
一方のカバー部材のカバー係止部と係合する透視用板部の端面と、他方のカバー部材のカバー係止部と係合しない透視用板部の端面と、が前記特定仕切り壁上で突き合される
ことを特徴とする上記(2)に記載のヒューズユニット。
【0017】
(4) 前記透明カバーは、前記可溶体部側に面する内面に、前記窓部の挿入方向に沿って延在するガイドリブを備え、
前記仕切り壁は、前記ガイドリブが挿通するガイド溝を備える
ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のヒューズユニット。
【0018】
(5) 前記透明カバーを構成する前記第1カバー部材及び第2カバー部材において、前記カバー係止部と係合する透視用板部の内面に装備される前記ガイドリブは終端が前記透視用板部の端面より内側に引っ込んで装備されると共に、前記カバー係止部と係合しない透視用板部の内面に装備される前記ガイドリブは終端が前記透視用板部の端面より外側に突出して装備され、
前記窓部に各カバー部材が装着されたときに、一方のカバー部材の前記カバー係止部と係合しない透視用板部から突出するガイドリブが、他方のカバー部材の前記カバー係止部と係合する透視用板部の端部で押さえられる
ことを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれか一つに記載のヒューズユニット。
【0019】
上記(1)の構成によれば、被覆が必要とされる可溶体部の数に応じて選択した適正な挿入方向の長さの少なくとも一つの透明カバーが、窓部に装着され、仕切り壁のカバー係止部により窓部に結合されるので、被覆する可溶体部の数が変わった場合にも、多数の透明カバーを用意せずとも少数の透明カバーを用意しておくだけで、可溶体部の被覆が可能となる。例えば、複数の透明カバーを組み合わせて用いることで、多数の可溶体部を被覆することができ、場合によっては、単体の透明カバーだけで可溶体部を被覆することができる。
【0020】
即ち、ヒューズユニットにおいて装備される可溶体部の数量の相異により透明カバーにより覆う窓部の寸法が多種化しても、前記透明カバーの種類の増加を抑止することができる。
【0021】
上記(2)の構成によれば、ヒューズハウジングの窓部の表裏両面を覆う透明カバーは、第1カバー部材と第2カバー部材との2つのカバー部材から構成されている。そして、それぞれのカバー部材は窓部の両側から挿入装着されるため、透明カバーのヒューズハウジングへの取り付け操作が容易で、良好な組付け性を確保することができる。
【0022】
また、第1カバー部材と第2カバー部材とは、同一構造又は前記窓部への挿入方向の長さのみが異なる類似構造となるもので、第1カバー部材又は第2カバー部材として利用可能なカバー部材として、例えば、1つの可溶体部を覆う長さを有した1個被覆用カバー部材、2つの可溶体部を覆う長さを有した2個被覆用カバー部材、3つの可溶体部を覆う長さを有した3個被覆用カバー部材の3種のものを用意しておくと、これらの3種のカバー部材を組み合わせて使うことで、可溶体部の装備数が2〜6の5種の窓部に対応することができる。
【0023】
上記(3)の構成によれば、1つの窓部に、その両側から挿入装着される第1カバー部材と第2カバー部材とは、窓部への取り付けが完了した状態では、互いの透視用板部の端面同士が特定仕切り壁上で突き合された状態となり、第1カバー部材と第2カバー部材との間に美観を損ねる隙間や段差が形成されない。従って、透明カバーで覆われた窓部の外周の美観を向上させることができる。
【0024】
上記(4)の構成によれば、第1カバー部材や第2カバー部材を窓部に挿入装着する際には、各カバー部材の内面に装備したガイドリブが窓部に装備されているガイド溝に係合することで各カバー部材の振れが抑止されるため、各カバー部材の挿入操作を安定させることができ、各カバー部材の組付け性を向上させることができる。
【0025】
また、各カバー部材の透視用板部の剛性がガイドリブの装備によって向上するため、透視用板部の薄肉化等による軽量化が図り易い。
【0026】
上記(5)の構成によれば、窓部の両側から挿入装着された第1カバー部材と第2カバー部材は、カバー係止部と係合しない透視用板部から突出するガイドリブが、他方のカバー部材のカバー係止部と係合する透視用板部の端部で押さえられて、カバー係止部と係合しない透視用板部もしっかりと窓部に止めることができ、各カバー部材の取り付け安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるヒューズユニットによれば、被覆が必要とされる可溶体部の数に応じて選択した適正な挿入方向の長さの少なくとも一つの透明カバーが、窓部に装着され、仕切り壁のカバー係止部により窓部に結合されるので、被覆する可溶体部の数が変わった場合にも、多数の透明カバーを用意せずとも少数の透明カバーを用意しておくだけで、可溶体部の被覆が可能となる。例えば、複数の透明カバーを組み合わせて用いることで、多数の可溶体部を被覆することができ、場合によっては、単体の透明カバーだけで可溶体部を被覆することができる。
【0028】
即ち、ヒューズユニットにおいて装備される可溶体部の数量の相異により透明カバーにより覆う窓部の寸法が多種化しても、前記透明カバーの種類の増加を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るヒューズユニットの第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示したヒューズユニットの組み立て完了状態の斜視図である。
【図3】第1実施形態のヒューズユニットの透明カバーを外した状態の裏面図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】図4のB矢視図である。
【図6】図4のC−C断面図である。
【図7】第1実施形態のヒューズユニットにおいて、第1カバー部材及び第2カバー部材として使用される2個被覆用カバー部材の斜視図である。
【図8】図7に示したカバー部材の上面図である。
【図9】図7に示したカバー部材の正面図である。
【図10】図7のD矢視図である。
【図11】窓部を覆う状態に2つのカバー部材が突き合された状態の斜視図である。
【図12】図11のE矢視図である。
【図13】本発明に係るヒューズユニットの第2実施形態を示し、図13(a)は2つの可溶体部が並列に配置されると共に図1に示した2個被覆用カバー部材によって2つの可溶体部の表裏が覆われる窓部のユニットの斜視図、図13(b)は図13(a)のF矢視図である。
【図14】図14(a)は図13に示した窓部が図7の2個被覆用カバー部材で覆われた状態の斜視図、図14(b)は(a)のG矢視図である。
【図15】従来のヒューズユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るヒューズユニットの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1〜図12は本発明に係るヒューズユニットの第1実施形態を示したもので、図1は本発明の第1実施形態のヒューズユニットの分解斜視図、図2は図1に示したヒューズユニットの組み立て完了状態の斜視図、図3は第1実施形態のヒューズユニットの透明カバーを外した状態の裏面図、図4は図3のA矢視図、図5は図4のB矢視図、図6は図4のC−C断面図、図7は第1実施形態のヒューズユニットにおいて、第1カバー部材及び第2カバー部材として使用される2個被覆用カバー部材の斜視図、図8は図7に示したカバー部材の上面図、図9は図7に示したカバー部材の正面図、図10は図7のD矢視図、図11は窓部を覆う状態に2つのカバー部材が突き合された状態の斜視図、図12は図11のE矢視図である。
【0032】
この第1実施形態のヒューズユニット1は、車両のバッテリに直付けされてバッテリへの電装回路の接続に利用されるもので、図1に示すように、ヒューズエレメント10と、ヒューズハウジング20と、透明カバー30と、を備える。
【0033】
ヒューズエレメント10は、図6に示すように、バッテリに導通接続されるバッテリ接続板部11と、電装回路に導通接続される4つの回路接続板部13a,13b,13c,13d(図6参照)と、バッテリ接続板部11の一側縁11aに並列に装備された4つの可溶体部12a,12b,12c,12dと、を備える。4つの可溶体部12a,12b,12c,12dは、ヒューズエレメント10の幅方向(図6の矢印X4方向)に略等間隔に並んで配置されている。4つの可溶体部12a,12b,12c,12dは、図6に示すように、4つの回路接続板部13a,13b,13c,13dをバッテリ接続板部11に導通接続すると共に、定格以上の電流が流れた時に溶断することで、回路接続板部13a,13b,13c,13dに接続されている電装回路を保護する。
【0034】
ヒューズハウジング20は、ヒューズエレメント10を収容する樹脂製ケースで、図6に示すように、バッテリ接続板部11を収容する第1ハウジング部22と、4つの回路接続板部13a,13b,13c,13dを収容する第2ハウジング部23と、4つの可溶体部12a,12b,12c,12dの表裏両面を露出させた窓部24を有している。
【0035】
窓部24には、図1及び図3に示すように、2つの仕切り壁25,25と、1つの特定仕切り壁26との、3つの仕切り壁25,25,26が設けられている。
【0036】
これらの3つの仕切り壁25,25,26は、隣接する可溶体部間を横断して、隣接する可溶体部を隔絶している。即ち、3つの仕切り壁25,25,26は、窓部24内を各可溶体部毎に分断した空間に仕切っていて、溶断した可溶体部の飛散を防止する。
【0037】
更に詳しく説明すると、特定仕切り壁26は、図3に示すように、窓部24の幅方向(図1の矢印X3方向)の中央部に配置されていて、4つの可溶体部12a,12b,12c,12dを、窓部24の一側(図1では左側)に位置する2つと、他側(図1では右側)に位置する2つに分けている。2つの仕切り壁25は、特定仕切り壁26により2つずつに分けられた可溶体部間に配置されている。
【0038】
特定仕切り壁26は、隣接する可溶体部を隔絶する作用の点では、他の仕切り壁25と同様である。しかし、特定仕切り壁26は、後述するカバー30を係止するためのカバー係止部26aを備えた点が、仕切り壁25とは相異している。
【0039】
本実施形態のカバー係止部26aは、突片状で、図4に示すように、特定仕切り壁26の表面側及び裏面側にそれぞれ突出して装備されている。
【0040】
透明カバー30は、窓部24に装着されて、4つの可溶体部12a,12b,12c,12dを外部から視認可能に覆う。
【0041】
本実施形態の場合、透明カバー30は、図1に示すように、第1カバー部材32と第2カバー部材33との2つのカバー部材に分割されて構成されている。
【0042】
第1カバー部材32は、図1に矢印F1で示すように、窓部24の一側(図1では、左側)から窓部24に挿入装着されて、特定仕切り壁26よりも窓部24の一側(図1では、左側)に配置されている2つの可溶体部12a,12bの表裏を覆うと共に、特定仕切り壁26の表面側のカバー係止部26aと係合することによって、窓部24に結合される。
【0043】
第2カバー部材33は、図1に矢印F2で示すように、窓部24の他側(図1では、右側)から窓部24に挿入装着されて、特定仕切り壁26よりも窓部24の他側(図1では、右側)に配置されている2つの可溶体部12c,12dの表裏を覆うと共に、特定仕切り壁26の裏面側のカバー係止部26aと係合することによって、窓部24に結合される。
【0044】
本実施形態の場合、第1カバー部材32及び第2カバー部材33は、いずれも、窓部24内に並ぶ2つの可溶体部を覆う長さ(窓部24の幅方向に沿う長さ)を有した2個被覆用カバー部材であり、全くの同一構造に形成されている。
【0045】
第1カバー部材32及び第2カバー部材33は、窓部24の表面側あるいは裏面側を覆う一対の透視用板部3A,3Bと、これらの一対の透視用板部3A,3Bの一端を連結した連結板部3Cと、でコ字状の断面構造に形成されている。一対の透視用板部3A,3Bの内、一方の透視用板部3Aは、先端部に、カバー係止部26aと係合することによって窓部24への固定を果たす係合部3Dが設けられている。係合部3Dは、カバー係止部26aが嵌入する切欠穴である。
【0046】
一対の透視用板部3A,3Bの内、他方の透視用板部3Bは、一方の透視用板部3Aより短く寸法設定されていて、カバー係止部26aとは係合しない。また、他方の透視用板部3Bには、係合部3Dが装備されていない。
【0047】
また、本実施形態の場合、第1カバー部材32と第2カバー部材33とが窓部24に正常に装着されると、図11及び図12に示すように、カバー係止部26aと係合する透視用板部3Aの端面と、第2カバー部材33のカバー係止部26aと係合しない透視用板部3Bの端面と、が前記特定仕切り壁26上で突き合される。
【0048】
更に、本実施形態の第1カバー部材32及び第2カバー部材33の透視用板部3A,3Bは、図7及び図8に示すように、可溶体部12a,12b,12c,12d側に面する内面に、窓部24の挿入方向に沿って延在するガイドリブ3Eを備える。ガイドリブ3Eは、各透視用板部3A及び透視用板部3Bの上部及び下部の2箇所に装備されている。
【0049】
透視用板部3A,3Bの内面にガイドリブ3Eを装備したことに伴い、窓部24の仕切り壁25は、図1及び図5に示すように、ガイドリブ3Eが挿通するガイド溝25Eを備える。また、特定仕切り壁26も、ガイドリブ3Eが挿通するガイド溝26Eを備える。また、窓部24の外枠となっている外側壁24aも、ガイドリブ3Eが挿通するガイド溝24Eを備える。
【0050】
更に、本実施形態の場合、図8に示すように、第1カバー部材32及び第2カバー部材33において、カバー係止部26aと係合する透視用板部3Aの内面に装備されるガイドリブ3Eは、終端が透視用板部3Aの端面より内側に寸法L1だけ引っ込んで装備されている。また、カバー係止部26aと係合しない透視用板部3Bの内面に装備されるガイドリブ3Eは、終端が透視用板部3Bの端面より外側に寸法L2だけ突出して装備されている。寸法L1>寸法L2に設定されている。
【0051】
図8に示すように各透視用板部3A,3Bの内面のガイドリブ3Eを設定したことによって、窓部24に各カバー部材32,33が装着されたときに、図12に示すように、一方のカバー部材のカバー係止部26aと係合しない透視用板部3Bから突出するガイドリブ3Eが、他方のカバー部材のカバー係止部26aと係合する透視用板部3Aの端部で押さえられる。
【0052】
また、本実施形態の窓部24において、特定仕切り壁26の部分では、第1カバー部材32と第2カバー部材33との当接部に隙間が生じるおそれがあり、隙間から窓部24内に水が浸入するおそれがある。しかし、特定仕切り壁26が第1カバー部材32の内面と第2カバー部材33の内面に接しているので、水が窓部24内に浸入することがない。仮に、水が窓部24内に浸入したとしても、特定仕切り壁26の両側には、図示しない水抜き穴が設けられているので、窓部24内に浸入した水は水抜き穴から排出される。そのため、雨滴等が窓部24内に浸入した場合に、速やかに排出することができる。
【0053】
以上に説明した第1実施形態のヒューズユニット1では、ヒューズハウジング20の窓部24の表裏両面を覆う透明カバー30は、第1カバー部材32と第2カバー部材33との2つのカバー部材から構成されている。そして、それぞれのカバー部材32,33は窓部24の両側から挿入装着されるため、透明カバー30のヒューズハウジング20への取り付け操作が容易で、良好な組付け性を確保することができる。
【0054】
また、以上に説明した第1実施形態のヒューズユニット1では、第1カバー部材32と第2カバー部材33とは、同一構造となっているが、窓部24への挿入方向の長さのみが異なる類似構造としても良い。
【0055】
そして、第1カバー部材32又は第2カバー部材33として利用可能なカバー部材として、例えば、上記実施形態に示したように2つの可溶体部を覆う長さを有した2個被覆用カバー部材の他に、1つの可溶体部を覆う長さを有した1個被覆用カバー部材と、3つの可溶体部を覆う長さを有した3個被覆用カバー部材と、を予め用意しておくと、これらの3種のカバー部材を組み合わせて使うことで、可溶体部の装備数が2〜6の5種の窓部24に対応することができる。
【0056】
即ち、ヒューズユニット1において装備される可溶体部の数量の相異により透明カバー30により覆う窓部24の寸法が多種化しても、前記透明カバー30の種類の増加を抑止することができる。
【0057】
また、以上に説明した第1実施形態のヒューズユニット1では、1つの窓部24に、その両側から挿入装着される第1カバー部材32と第2カバー部材33とは、窓部24への取り付けが完了した状態では、互いの透視用板部3A,3Bの端面同士が特定仕切り壁26上で突き合された状態となり、第1カバー部材32と第2カバー部材33との間に美観を損ねる隙間や段差が形成されない。従って、透明カバー30で覆われた窓部24の外周の美観を向上させることができる。
【0058】
また、以上に説明した第1実施形態のヒューズユニット1では、第1カバー部材32や第2カバー部材33を窓部24に挿入装着する際には、各カバー部材の内面に装備したガイドリブ3Eが窓部24に装備されているガイド溝25Eに係合することで各カバー部材の振れが抑止されるため、各カバー部材32,33の挿入操作を安定させることができ、各カバー部材32,33の組付け性を向上させることができる。
【0059】
また、各カバー部材32,33の透視用板部3A,3Bの剛性がガイドリブ3Eの装備によって向上するため、透視用板部の薄肉化等による軽量化が図り易い。
【0060】
また、以上に説明した第1実施形態のヒューズユニット1では、窓部24の両側から挿入装着された第1カバー部材32と第2カバー部材33は、カバー係止部26aと係合しない透視用板部3Bから突出するガイドリブ3Eが、他方のカバー部材のカバー係止部26aと係合する透視用板部3Aの端部で押さえられて、カバー係止部26aと係合しない透視用板部3Bもしっかりと窓部24に止めることができ、各カバー部材32,33の取り付け安定性を向上させることができる。
【0061】
次に、本発明のヒューズユニットの第2実施形態を説明する。
図13(a),図13(b)及び図14(a),図14(b)は、本発明のヒューズユニットの第2実施形態における窓部とカバー部材とを示したものである。
【0062】
図13(a),図13(b)及び図14(a),図14(b)に示した窓部24Aは、2つの可溶体部が並列に配置される窓部のユニットで、図1に示した2個被覆用カバー部材32を単体で用いることで、2つの可溶体部が外部から視認可能に覆われる。なお、図13(a),図13(b)及び図14(a),図14(b)に示した窓部24Aにおいて、図1に示した窓部24と共通の構成については、同番号を付して説明を省略する。
【0063】
図13(a),図13(b)及び図14(a),図14(b)に示した窓部24Aは、窓部24Aの外枠となっている外側壁24aに、透視用板部3Bから突出したガイドリブ3Eが挿通するガイド溝24Eを備える。更に、仕切り壁25には、ガイドリブ3Eが挿通するガイド溝25Eが設けられ、特定仕切り壁26には、ガイドリブ3Eが嵌入する係止孔26Fが設けられている。透視用板部3Bから突出したガイドリブ3Eが係止孔26Fに嵌入することで、他方のカバー部材からの押さえが無くとも、透視用板部3Bの端部が窓部24Aから浮き上がることを確実に防止することができる。
【0064】
第2実施形態のように、被覆が必要な可溶体部が2個だけの場合は、2個被覆用のカバー部材32を単体で用いるだけでよく、ヒューズユニット全体の構成の簡略化、軽量化が図れる。
【0065】
なお、本発明のヒューズユニットは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0066】
例えば、前述した第1実施形態では、透明カバーを構成する2つのカバー部材は同一構造としたが、窓部における特定仕切り壁の配置を中央から片側にずらした構成として、窓部への挿入方向の長さのみが異なる類似構造の2つのカバー部材を組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 ヒューズユニット
3A 透視用板部
3B 透視用板部
3C 連結板部
3D 係合部
3E ガイドリブ
10 ヒューズエレメント
12a,12b,12c,12d 可溶体部
20 ヒューズハウジング
24 窓部
24E ガイド溝
25 仕切り壁
25E ガイド溝
26 特定仕切り壁(仕切り壁)
26a カバー係止部
26E ガイド溝
26F 係止孔
30 透明カバー
32 第1カバー部材(2個被覆用カバー部材)
33 第2カバー部材(2個被覆用カバー部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定格以上の電流が流れた時に溶断する複数の可溶体部を並列状態に備えたヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容すると共に前記複数の可溶体部の表裏両面を露出させた窓部を有したヒューズハウジングと、前記窓部に装着されて前記複数の可溶体部を外部から視認可能に覆う透明カバーと、を備えるヒューズユニットであって、
前記窓部は、隣接する可溶体部間を横断して隣接する可溶体部を隔絶する少なくとも一つの仕切り壁と、一つの前記仕切り壁の表面側及び裏面側にそれぞれ装備されるカバー係止部と、を備え、
前記透明カバーは、同一構造又は前記窓部への挿入方向の長さのみが異なる類似構造となる複数のものが用意され、
被覆が必要とされる前記可溶体部の数に応じて選択した適正な挿入方向の長さの少なくとも一つの前記透明カバーが、前記窓部に装着され、前記仕切り壁の前記カバー係止部により前記窓部に結合される
ことを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
前記透明カバーは、第1カバー部材と第2カバー部材とが用意され、前記仕切り壁は複数設けられ、前記複数の仕切り壁の内の一つが前記カバー係止部を装備した特定仕切り壁とされ、前記第1カバー部材は、前記窓部の一側から前記窓部に挿入装着されて前記特定仕切り壁よりも前記窓部の一側に配置されている前記可溶体部の表裏を覆うと共に前記特定仕切り壁の表面側のカバー係止部により窓部に結合され、
前記第2カバー部材は、前記窓部の他側から前記窓部に挿入装着されて前記特定仕切り壁よりも前記窓部の他側に配置されている前記可溶体部の表裏を覆うと共に前記特定仕切り壁の裏面側のカバー係止部により窓部に結合される
ことを特徴とする請求項1に記載のヒューズユニット。
【請求項3】
前記透明カバーを構成する前記第1カバー部材及び第2カバー部材は、前記窓部の表面側及び裏面側を覆う一対の透視用板部と、これらの一対の透視用板部の一端を連結した連結板部と、でコ字状の断面構造に形成されると共に、前記一対の透視用板部の内の前記カバー係止部と係合しない透視用板部は前記カバー係止部と係合する透視用板部よりも短く寸法設定され、
一方のカバー部材のカバー係止部と係合する透視用板部の端面と、他方のカバー部材のカバー係止部と係合しない透視用板部の端面と、が前記特定仕切り壁上で突き合される
ことを特徴とする請求項2に記載のヒューズユニット。
【請求項4】
前記透明カバーを構成する前記第1カバー部材及び第2カバー部材において、前記カバー係止部と係合する透視用板部の内面に装備される前記ガイドリブは終端が前記透視用板部の端面より内側に引っ込んで装備されると共に、前記カバー係止部と係合しない透視用板部の内面に装備される前記ガイドリブは終端が前記透視用板部の端面より外側に突出して装備され、
前記窓部に各カバー部材が装着されたときに、一方のカバー部材の前記カバー係止部と係合しない透視用板部から突出するガイドリブが、他方のカバー部材の前記カバー係止部と係合する透視用板部の端部で押さえられる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のヒューズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−38009(P2013−38009A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175128(P2011−175128)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】