ヒンジキャップ付容器
【課題】組立工程数が少なく、製造コストが安価な諸種の機能を有するエアーバック防止機能を有するヒンジキャップ付容器を提供する。
【解決手段】容器本体1の上方に位置し肩部3及び口部4から構成される頭部2と、頭部2の口部4先端から垂下して形成される弁体保持部5と、頭部2外周の一部にヒンジ7を介して開閉自在に連結される蓋体8とからなり、頭部2、弁体保持部5及び蓋体8が一体成形で成形されることを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【解決手段】容器本体1の上方に位置し肩部3及び口部4から構成される頭部2と、頭部2の口部4先端から垂下して形成される弁体保持部5と、頭部2外周の一部にヒンジ7を介して開閉自在に連結される蓋体8とからなり、頭部2、弁体保持部5及び蓋体8が一体成形で成形されることを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップ付容器に関し、さらに詳しくは組立工程において、製造工程数が少なく、製造コストが安価な諸種の機能を有するヒンジキャップ付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアーバックを防止する目的として、例えばクリーム、軟膏等の薬剤等を充填するためのエアーバック防止弁付チューブ容器、又内容物を一定量注出させる目的として、例えば目薬等の薬剤を充填するための滴下機能付チューブ容器が使用されている。そして、
これらの容器本体の口部には弁体が設けられ、この弁体を備えたチューブ容器にあっては、球体を、別途成形された中栓体に挿入した後、この中栓体を容器本体の口部に嵌合したものが提案されている。又キャップの開閉栓を片手で行うことを目的として、蓋体がヒンジを介して開閉されるヒンジキャップ容器が提案されているが、ヒンジキャップを備えたチューブ容器にあっては、チューブ容器とは別成形されたヒンジキャップを、容器口部に螺合、打栓などの方法により取り付けることが一般的に行われている。さらに、近年上記の機能を兼ね備える容器、すなわち、球体を中栓体に挿入されたものと、ヒンジキャップの両方を備えた容器が市場に提案されている。例えば、ヒンジキャップに球体を保持する弁室を形成し、弁室を円板で塞いだものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特願2004−291996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の容器にあっては、内容物の種類や用途に応じて、エアーバック防止機能又は滴下機能と、蓋体を片手で操作できるヒンジ式の蓋体の両方を備える場合には、部品点数が頗る多くなってしまう欠点があった。さらに、特許文献1に示すように、ヒンジキャップは、キャップを容器の口部に装着させるための装着筒が必要となり、樹脂使用量が多くなるという欠点もあった。特に、球体のように、一体成形が不可能な部品を組み込む必要があるため、球体を弁体保持部に挿入する作業、ヒンジキャップを容器の口部に装着させる作業等、複数の作業が必要になるため、組立工程において製造工程数が多いため、作業が煩雑になると共に、製造コストが高くなるという欠点があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、エアーバック防止機能付チューブ又は滴下機能付チューブ容器において、組立工程の製造工程数が少なく、製造コストが安価であるヒンジキャップ付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、容器本体の上方に位置し肩部及び口部から構成される頭部と、この頭部の口部先端から垂下して形成される弁体保持部と、頭部外周の一部にヒンジを介して開閉自在に連結される蓋体とからなり、頭部、弁体保持部及び蓋体が一体成形で成形されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、容器本体は、弁体保持部内において、球体が上下方向に移動可能なように挿入されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、容器本体は、弁体保持部内において、球体が移動を規制されるように挿入されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、ヒンジの薄肉帯板の作用により、蓋体が自動的に90°以上の角度で開くと共に、蓋体の天面部に形成された係合部が、肩部の係合部に係合して、蓋体が肩部上で固定されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、前記容器本体が、チューブ容器又はボトル容器であることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、内容物の種類や用途に応じた機能を有する容器において、組立工程を簡素化できると共に、低コストで製造することができる効果を有する。特に、弁体保持部に球体を挿入する容器の場合、部品点数、樹脂使用量等を可能な限り少なくすることができる効果を有すると共に、蓋部の開き角度が大きなヒンジ機構を採用した場合、片手で蓋部を操作できるだけでなく、蓋部が邪魔にならず、内容物の注出操作性が良好であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1及び図2は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す図面である。1は容器本体であり、容器本体1の上方には頭部2が形成され、この頭部2は、肩部3及び口部4から構成されている。そして、頭部2の口部4先端から垂下して形成される弁体保持部5及び蓋体8は、すべて一体成形で製造されている。頭部2は、射出成形、圧縮成形等の公知の方法により一体に成形され、特に、本発明の実施例1のように、容器本体1の胴部1aと頭部2が、それぞれ別個に成形される場合には、射出成形により頭部2を成形するのが好ましい。実施例1では、胴部1aが内部にアルミニウム箔を有するラミネート原反を、肩部3の下端部に溶着して製造される。なお、他の実施例として、胴部、肩部、口部及び弁体保持部が、すべて一体成形されるブロー成形で製造される容器であってもよい。
【0012】
次に、口部4と一体成形される弁体保持部5は、中空円筒状に形成されており、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒5a、弁座突起5b、弁室5c、弁止部5d及び注出口5eから構成されている。実施例1では、エアーバック防止機能を発揮するように、弁体保持部5内で、球体6が上下方向に移動可能なように挿入されている。球体6の素材は合成樹脂製又は金属等で製造されている。下側のガイド筒5aの内径は、球体6がガイド筒5aから挿入可能なように、球体6の外径より大きな寸法に形成され、又弁座突起5bは、球体6を打込み挿入でき、かつ、弁座として機能させるために設けられている。したがって、弁座突起5bの内径は、球体6の外径より若干小さな寸法に形成されている。
【0013】
球体6を弁室5cに挿入した場合、球体6が上下方向にスムーズに移動できるようにするため、弁室5cは、球体6の外径よりも若干大きな内径に形成されている。そして、弁座突起5bの内径と弁室5cの内径の関係は、弁座突起5bの内径/弁室5cの内径×100≧70%以上の寸法が適する。この条件を満足することにより、球体6は、弁座突起5bから弁室5c内に打ち込み挿入され、かつ球体6が上下方向にスムーズに移動できる。この弁座突起5bは、円周方向全体に環状に設けられてもよく、円周方向に区切りを設けて複数設けられていてもよい。この弁室5cの上方には弁止部5dが形成されている。弁室5cの最上昇位置で、球体6の上昇を止める機能を有し、球体6が弁止部5dに接触したとき、内容物を通過し難くくしたり、又は内容物の注出を阻止することができる。弁体保持部5を通過した内容物は、弁体保持部5の上方に形成された注出口5eから外部に注出される。
【0014】
次に、図3及び図4は、本発明の実施例1のヒンジキャップ付容器のヒンジ7を示した側面図及び蓋体を開放した状態を示す図面である。本発明に係るヒンジキャップ付チューブは、図3に示すように、頭部2の側面の一部に、薄肉帯板7aを有するヒンジ7を介して、容器本体1の注出口5eを開閉する蓋体8が連結されている。薄肉帯板7aを有するヒンジ7は、引張り機能を有する薄肉帯板7aの両側に、蓋体8の回動支点となるヒンジ部7bを有している。図4に示すように、片手の指で蓋体8を上げ、蓋体8を薄肉帯板7aを有するヒンジ7を中心に回動し、注出口5eを閉じた状態から開放することにより内容物を外部に注出することができる。すなわち、蓋体8を片手の親指で少し上方に上げると蓋体8は若干開き、さらに上方に上げると、薄肉帯板7aの引張り作用により、蓋体8は、図5に示すように自動的にα=90°以上に開放される。そして、蓋体8の係合部8aと肩部3の係合部3aを係合させることにより、蓋体8を肩部3に確実に固定することができ、開放姿勢を保持できる。したがって、内容物の注出の際に、蓋部8が注出口5eの邪魔になるのを回避することができる。なお、図11に示す他の実施例として、通常のヒンジ部17、27を用いたものであってもよい。この図11に示すヒンジ部17、27は、薄肉帯板を有しないため引張り作用がなく、自動的に開放されない。したがって、蓋体を手で回転して肩部に係合することにより、蓋体を固定することができる。
【実施例2】
【0015】
図6及び図7は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す図面である。実施例2は、実施例1と同様に、容器本体11の上方に頭部12が形成され、この頭部12は、肩部13及び口部14から構成されている。そして、この頭部12の口部14先端から垂下して形成される弁体保持部15及び蓋体18は、同様に一体成形で製造されている。成形方法は、射出成形、圧縮成形等の公知の方法により一体成形される。この実施例2の特徴は、滴下機能を発揮するように、弁体保持部15内において、球体16の移動が規制されている。弁体保持部15は中空円筒状に形成され、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒15a、弁座突起15b、弁室15c及び注出口15eから構成されている。実施例2では、弁室15cの内周面又は球体16の表面には、少なくとも1本以上の縦溝若しくはしぼ加工による粗面が形成され(図示せず)、容器本体11の押圧操作により、この縦溝又はしぼ加工による粗面の隙間を、内容物が通過して、一定量の内容物が、口部14の注出口15eから外部に注出される。
【0016】
実施例2のように、滴下機能を有する容器本体11においては、しぼ加工による粗面の粗さは、内容物の性状、粘度等によって適宜に決定することができ、例えば、内容物の粘度が低い場合は粗さを小さく、又内容物の粘度が高い場合は、粗さを大きくして、適宜に変更することで対応が可能となる。又弁体保持部15の注出口15eも、内容物の性状、粘度に応じて、その内径や長さを変更することで対応が可能となる。次に組付工程において、球体16を弁室15cに挿入する方法は、実施例1と同様に、球体16を、弁座突起15bから、弁室15c内に打ち込み挿入する。実施例2は、球体16の外径と弁室15cの内径は略同寸法に形成されており、弁座突起15bの内径と弁室15cの内径との関係は、弁座突起15b/弁室15c内径×100≧70%以上の寸法が適する。
【実施例3】
【0017】
図8は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例3を示す図面である。実施例3は、実施例1と同様に、容器本体21の上方に頭部22が形成され、この頭部22は肩部23及び口部24から構成されている。実施例3の特徴は、口部24自体が、球体26を収納する弁体保持部を構成している。そして、肩部23、弁体保持部である口部24及び蓋体28は、一体成形で成形されている。口部24は、中空円筒状に形成されており、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒24a、弁座突起24b、弁室24c、弁止部24d及び注出口24eから構成されている。球体26の機能については、実施例1と同様に、球体26が弁室24c内を上下動することにより、エアーバック防止機能を有する。
【実施例4】
【0018】
図9は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例4を示す図面である。実施例4は、容器本体31の上方に頭部32が形成され、この頭部32は肩部33及び口部34から構成されている。実施例4の特徴は、実施例3と同様に、口部34自体が、球体36を収納する弁体保持部を有し、口部34内で、球体36の移動が規制されている。頭部32及び弁体保持部である口部34は一体成形で成形される。そして、口部34は中空円筒状に形成されており、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒34a、弁座突起34b、弁室34c及び注出口34eから構成されている。弁室34cの内周面又は球体36の表面には、滴下機能を発揮するように、少なくとも1本以上の縦溝若しくはしぼ加工による粗面が形成され(図示せず)、容器本体31の押圧操作により、この縦溝又はしぼ加工による粗面の隙間を、内容物が通過して、一定量の内容物が口部34の注出口34eから外部に注出される。
【実施例5】
【0019】
図10は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例5を示す図面である。実施例5
の特徴は、すべて一体成形で製造される点は、実施例1と同様であり、頭部42の口部44の天面部44f及び蓋体48の面積が比較的広く、弁体保持部45及び球体46が比較的小さい寸法で構成されている。その他の構成は実施例1と同様である。44fを平面又は曲面に形成し、注出された内容物を塗り広げるための塗布面とすることもできる。
実施例5は、頭部42の高さが低いので、成形の際に樹脂の使用量を削減できると共に、蓋体の面積が広いので、倒立チューブとして利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係るヒンジキャップ付容器は、肩部及び口部から構成される頭部、この頭部の口部先端から垂下して形成される弁体保持部及び蓋体が、すべて一体成形で製造され、組立工程数が少なく、かつ製造コストが安価であると共に、逆流防止機能或いは滴下機能を有し、さらに蓋体を大きく開いて固定できるので、内容物として化粧品、医薬品、食品等を充填するヒンジキャップ付容器として、多岐にわたって利用することができる。なお、本発明に係るヒンジキャップ付容器は、内容物、用途等に応じて、チューブ容器以外にボトル容器として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す正面断面図。
【図2】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す左側面断面図。
【図3】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す右側面図。
【図4】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1において、蓋体を開いた状態を示す正面断面図。
【図5】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1において、蓋体を開いて蓋体を肩部に係合して固定した状態を示す正面断面図。
【図6】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す正面断面図。
【図7】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す左側面断面図。
【図8】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例3を示す正面断面図。
【図9】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例4を示す正面断面図。
【図10】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例5を示す正面断面図。
【図11】従来のヒンジキャップ付容器の他のヒンジの実施例を示す図11(a)及び(b)の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1、11、21、31 容器本体
2、12、22、32、42 頭部
3、13、23、33 肩部
3a 係合部
4、14、24、34、44 口部
5、15 弁体保持部
6、16、26、36、46 球体
7 ヒンジ
7a 薄肉帯板
8、18、28、38、48 蓋体
8a 係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップ付容器に関し、さらに詳しくは組立工程において、製造工程数が少なく、製造コストが安価な諸種の機能を有するヒンジキャップ付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアーバックを防止する目的として、例えばクリーム、軟膏等の薬剤等を充填するためのエアーバック防止弁付チューブ容器、又内容物を一定量注出させる目的として、例えば目薬等の薬剤を充填するための滴下機能付チューブ容器が使用されている。そして、
これらの容器本体の口部には弁体が設けられ、この弁体を備えたチューブ容器にあっては、球体を、別途成形された中栓体に挿入した後、この中栓体を容器本体の口部に嵌合したものが提案されている。又キャップの開閉栓を片手で行うことを目的として、蓋体がヒンジを介して開閉されるヒンジキャップ容器が提案されているが、ヒンジキャップを備えたチューブ容器にあっては、チューブ容器とは別成形されたヒンジキャップを、容器口部に螺合、打栓などの方法により取り付けることが一般的に行われている。さらに、近年上記の機能を兼ね備える容器、すなわち、球体を中栓体に挿入されたものと、ヒンジキャップの両方を備えた容器が市場に提案されている。例えば、ヒンジキャップに球体を保持する弁室を形成し、弁室を円板で塞いだものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特願2004−291996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の容器にあっては、内容物の種類や用途に応じて、エアーバック防止機能又は滴下機能と、蓋体を片手で操作できるヒンジ式の蓋体の両方を備える場合には、部品点数が頗る多くなってしまう欠点があった。さらに、特許文献1に示すように、ヒンジキャップは、キャップを容器の口部に装着させるための装着筒が必要となり、樹脂使用量が多くなるという欠点もあった。特に、球体のように、一体成形が不可能な部品を組み込む必要があるため、球体を弁体保持部に挿入する作業、ヒンジキャップを容器の口部に装着させる作業等、複数の作業が必要になるため、組立工程において製造工程数が多いため、作業が煩雑になると共に、製造コストが高くなるという欠点があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、エアーバック防止機能付チューブ又は滴下機能付チューブ容器において、組立工程の製造工程数が少なく、製造コストが安価であるヒンジキャップ付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、容器本体の上方に位置し肩部及び口部から構成される頭部と、この頭部の口部先端から垂下して形成される弁体保持部と、頭部外周の一部にヒンジを介して開閉自在に連結される蓋体とからなり、頭部、弁体保持部及び蓋体が一体成形で成形されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、容器本体は、弁体保持部内において、球体が上下方向に移動可能なように挿入されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、容器本体は、弁体保持部内において、球体が移動を規制されるように挿入されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、ヒンジの薄肉帯板の作用により、蓋体が自動的に90°以上の角度で開くと共に、蓋体の天面部に形成された係合部が、肩部の係合部に係合して、蓋体が肩部上で固定されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、前記容器本体が、チューブ容器又はボトル容器であることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、内容物の種類や用途に応じた機能を有する容器において、組立工程を簡素化できると共に、低コストで製造することができる効果を有する。特に、弁体保持部に球体を挿入する容器の場合、部品点数、樹脂使用量等を可能な限り少なくすることができる効果を有すると共に、蓋部の開き角度が大きなヒンジ機構を採用した場合、片手で蓋部を操作できるだけでなく、蓋部が邪魔にならず、内容物の注出操作性が良好であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1及び図2は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す図面である。1は容器本体であり、容器本体1の上方には頭部2が形成され、この頭部2は、肩部3及び口部4から構成されている。そして、頭部2の口部4先端から垂下して形成される弁体保持部5及び蓋体8は、すべて一体成形で製造されている。頭部2は、射出成形、圧縮成形等の公知の方法により一体に成形され、特に、本発明の実施例1のように、容器本体1の胴部1aと頭部2が、それぞれ別個に成形される場合には、射出成形により頭部2を成形するのが好ましい。実施例1では、胴部1aが内部にアルミニウム箔を有するラミネート原反を、肩部3の下端部に溶着して製造される。なお、他の実施例として、胴部、肩部、口部及び弁体保持部が、すべて一体成形されるブロー成形で製造される容器であってもよい。
【0012】
次に、口部4と一体成形される弁体保持部5は、中空円筒状に形成されており、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒5a、弁座突起5b、弁室5c、弁止部5d及び注出口5eから構成されている。実施例1では、エアーバック防止機能を発揮するように、弁体保持部5内で、球体6が上下方向に移動可能なように挿入されている。球体6の素材は合成樹脂製又は金属等で製造されている。下側のガイド筒5aの内径は、球体6がガイド筒5aから挿入可能なように、球体6の外径より大きな寸法に形成され、又弁座突起5bは、球体6を打込み挿入でき、かつ、弁座として機能させるために設けられている。したがって、弁座突起5bの内径は、球体6の外径より若干小さな寸法に形成されている。
【0013】
球体6を弁室5cに挿入した場合、球体6が上下方向にスムーズに移動できるようにするため、弁室5cは、球体6の外径よりも若干大きな内径に形成されている。そして、弁座突起5bの内径と弁室5cの内径の関係は、弁座突起5bの内径/弁室5cの内径×100≧70%以上の寸法が適する。この条件を満足することにより、球体6は、弁座突起5bから弁室5c内に打ち込み挿入され、かつ球体6が上下方向にスムーズに移動できる。この弁座突起5bは、円周方向全体に環状に設けられてもよく、円周方向に区切りを設けて複数設けられていてもよい。この弁室5cの上方には弁止部5dが形成されている。弁室5cの最上昇位置で、球体6の上昇を止める機能を有し、球体6が弁止部5dに接触したとき、内容物を通過し難くくしたり、又は内容物の注出を阻止することができる。弁体保持部5を通過した内容物は、弁体保持部5の上方に形成された注出口5eから外部に注出される。
【0014】
次に、図3及び図4は、本発明の実施例1のヒンジキャップ付容器のヒンジ7を示した側面図及び蓋体を開放した状態を示す図面である。本発明に係るヒンジキャップ付チューブは、図3に示すように、頭部2の側面の一部に、薄肉帯板7aを有するヒンジ7を介して、容器本体1の注出口5eを開閉する蓋体8が連結されている。薄肉帯板7aを有するヒンジ7は、引張り機能を有する薄肉帯板7aの両側に、蓋体8の回動支点となるヒンジ部7bを有している。図4に示すように、片手の指で蓋体8を上げ、蓋体8を薄肉帯板7aを有するヒンジ7を中心に回動し、注出口5eを閉じた状態から開放することにより内容物を外部に注出することができる。すなわち、蓋体8を片手の親指で少し上方に上げると蓋体8は若干開き、さらに上方に上げると、薄肉帯板7aの引張り作用により、蓋体8は、図5に示すように自動的にα=90°以上に開放される。そして、蓋体8の係合部8aと肩部3の係合部3aを係合させることにより、蓋体8を肩部3に確実に固定することができ、開放姿勢を保持できる。したがって、内容物の注出の際に、蓋部8が注出口5eの邪魔になるのを回避することができる。なお、図11に示す他の実施例として、通常のヒンジ部17、27を用いたものであってもよい。この図11に示すヒンジ部17、27は、薄肉帯板を有しないため引張り作用がなく、自動的に開放されない。したがって、蓋体を手で回転して肩部に係合することにより、蓋体を固定することができる。
【実施例2】
【0015】
図6及び図7は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す図面である。実施例2は、実施例1と同様に、容器本体11の上方に頭部12が形成され、この頭部12は、肩部13及び口部14から構成されている。そして、この頭部12の口部14先端から垂下して形成される弁体保持部15及び蓋体18は、同様に一体成形で製造されている。成形方法は、射出成形、圧縮成形等の公知の方法により一体成形される。この実施例2の特徴は、滴下機能を発揮するように、弁体保持部15内において、球体16の移動が規制されている。弁体保持部15は中空円筒状に形成され、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒15a、弁座突起15b、弁室15c及び注出口15eから構成されている。実施例2では、弁室15cの内周面又は球体16の表面には、少なくとも1本以上の縦溝若しくはしぼ加工による粗面が形成され(図示せず)、容器本体11の押圧操作により、この縦溝又はしぼ加工による粗面の隙間を、内容物が通過して、一定量の内容物が、口部14の注出口15eから外部に注出される。
【0016】
実施例2のように、滴下機能を有する容器本体11においては、しぼ加工による粗面の粗さは、内容物の性状、粘度等によって適宜に決定することができ、例えば、内容物の粘度が低い場合は粗さを小さく、又内容物の粘度が高い場合は、粗さを大きくして、適宜に変更することで対応が可能となる。又弁体保持部15の注出口15eも、内容物の性状、粘度に応じて、その内径や長さを変更することで対応が可能となる。次に組付工程において、球体16を弁室15cに挿入する方法は、実施例1と同様に、球体16を、弁座突起15bから、弁室15c内に打ち込み挿入する。実施例2は、球体16の外径と弁室15cの内径は略同寸法に形成されており、弁座突起15bの内径と弁室15cの内径との関係は、弁座突起15b/弁室15c内径×100≧70%以上の寸法が適する。
【実施例3】
【0017】
図8は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例3を示す図面である。実施例3は、実施例1と同様に、容器本体21の上方に頭部22が形成され、この頭部22は肩部23及び口部24から構成されている。実施例3の特徴は、口部24自体が、球体26を収納する弁体保持部を構成している。そして、肩部23、弁体保持部である口部24及び蓋体28は、一体成形で成形されている。口部24は、中空円筒状に形成されており、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒24a、弁座突起24b、弁室24c、弁止部24d及び注出口24eから構成されている。球体26の機能については、実施例1と同様に、球体26が弁室24c内を上下動することにより、エアーバック防止機能を有する。
【実施例4】
【0018】
図9は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例4を示す図面である。実施例4は、容器本体31の上方に頭部32が形成され、この頭部32は肩部33及び口部34から構成されている。実施例4の特徴は、実施例3と同様に、口部34自体が、球体36を収納する弁体保持部を有し、口部34内で、球体36の移動が規制されている。頭部32及び弁体保持部である口部34は一体成形で成形される。そして、口部34は中空円筒状に形成されており、下側から上側に向かって、少なくともガイド筒34a、弁座突起34b、弁室34c及び注出口34eから構成されている。弁室34cの内周面又は球体36の表面には、滴下機能を発揮するように、少なくとも1本以上の縦溝若しくはしぼ加工による粗面が形成され(図示せず)、容器本体31の押圧操作により、この縦溝又はしぼ加工による粗面の隙間を、内容物が通過して、一定量の内容物が口部34の注出口34eから外部に注出される。
【実施例5】
【0019】
図10は、本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例5を示す図面である。実施例5
の特徴は、すべて一体成形で製造される点は、実施例1と同様であり、頭部42の口部44の天面部44f及び蓋体48の面積が比較的広く、弁体保持部45及び球体46が比較的小さい寸法で構成されている。その他の構成は実施例1と同様である。44fを平面又は曲面に形成し、注出された内容物を塗り広げるための塗布面とすることもできる。
実施例5は、頭部42の高さが低いので、成形の際に樹脂の使用量を削減できると共に、蓋体の面積が広いので、倒立チューブとして利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係るヒンジキャップ付容器は、肩部及び口部から構成される頭部、この頭部の口部先端から垂下して形成される弁体保持部及び蓋体が、すべて一体成形で製造され、組立工程数が少なく、かつ製造コストが安価であると共に、逆流防止機能或いは滴下機能を有し、さらに蓋体を大きく開いて固定できるので、内容物として化粧品、医薬品、食品等を充填するヒンジキャップ付容器として、多岐にわたって利用することができる。なお、本発明に係るヒンジキャップ付容器は、内容物、用途等に応じて、チューブ容器以外にボトル容器として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す正面断面図。
【図2】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す左側面断面図。
【図3】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す右側面図。
【図4】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1において、蓋体を開いた状態を示す正面断面図。
【図5】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1において、蓋体を開いて蓋体を肩部に係合して固定した状態を示す正面断面図。
【図6】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す正面断面図。
【図7】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す左側面断面図。
【図8】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例3を示す正面断面図。
【図9】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例4を示す正面断面図。
【図10】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例5を示す正面断面図。
【図11】従来のヒンジキャップ付容器の他のヒンジの実施例を示す図11(a)及び(b)の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1、11、21、31 容器本体
2、12、22、32、42 頭部
3、13、23、33 肩部
3a 係合部
4、14、24、34、44 口部
5、15 弁体保持部
6、16、26、36、46 球体
7 ヒンジ
7a 薄肉帯板
8、18、28、38、48 蓋体
8a 係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上方に位置し肩部及び口部から構成される頭部と、該頭部の口部先端から垂下して形成される弁体保持部と、前記頭部外周の一部にヒンジを介して開閉自在に連結される蓋体とからなり、前記頭部、弁体保持部及び蓋体が一体成形で成形されることを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【請求項2】
前記容器本体は、弁体保持部内において、球体が上下方向に移動可能なように挿入されることを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項3】
前記容器本体は、弁体保持部内において、球体が移動を規制されるように挿入されることを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項4】
前記ヒンジの薄肉帯板の作用により、前記蓋体が自動的に90°以上の角度で開くと共に、蓋体の天面部に形成された係合部が、前記肩部の係合部に係合して、蓋体が肩部上で固定されることを特徴とする請求項1〜3記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項5】
前記容器本体が、チューブ容器又はボトル容器であることを特徴とする請求項1〜4記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項1】
容器本体の上方に位置し肩部及び口部から構成される頭部と、該頭部の口部先端から垂下して形成される弁体保持部と、前記頭部外周の一部にヒンジを介して開閉自在に連結される蓋体とからなり、前記頭部、弁体保持部及び蓋体が一体成形で成形されることを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【請求項2】
前記容器本体は、弁体保持部内において、球体が上下方向に移動可能なように挿入されることを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項3】
前記容器本体は、弁体保持部内において、球体が移動を規制されるように挿入されることを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項4】
前記ヒンジの薄肉帯板の作用により、前記蓋体が自動的に90°以上の角度で開くと共に、蓋体の天面部に形成された係合部が、前記肩部の係合部に係合して、蓋体が肩部上で固定されることを特徴とする請求項1〜3記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項5】
前記容器本体が、チューブ容器又はボトル容器であることを特徴とする請求項1〜4記載のヒンジキャップ付容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−89816(P2010−89816A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260516(P2008−260516)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]