ヒンジ及びそれを用いた電子機器
【課題】電子機器の製造コスト低減と小型化とを実現ためのヒンジ及びそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】第一ユニット30と第二ユニット20とを連結するヒンジ1であって、前記第一ユニット30に固定される第一部材120と、前記第二ユニット20に固定され、前記第一部材120に揺動自在に連結される第二部材100と、前記第二部材100に設けられ、前記第一ユニット30と前記第二ユニット20とを電気的に接続するケーブル41を係止し、前記第二部材120とともに揺動する係止部106と、を備える。
【解決手段】第一ユニット30と第二ユニット20とを連結するヒンジ1であって、前記第一ユニット30に固定される第一部材120と、前記第二ユニット20に固定され、前記第一部材120に揺動自在に連結される第二部材100と、前記第二部材100に設けられ、前記第一ユニット30と前記第二ユニット20とを電気的に接続するケーブル41を係止し、前記第二部材120とともに揺動する係止部106と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒンジ及びそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタとイメージスキャナとを一体化した所謂複合機が知られている。こうした複合機の中には、スキャナ部と印刷部とがヒンジで揺動自在に連結されているものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。特許文献1、特許文献2に記載の複合機では、スキャナ部が印刷部に近接する方向に自重によって急激に移動して手を挟むなどの事故を防止するため、スキャナ部の揺動を制動する手段を有するヒンジを備えている。
しかしながら、このような複合機では、スキャナ部と印刷部とを電気的に接続するケーブルをスキャナ部と印刷部との間に剥き出しの状態で配線していたり、ケーブルのスキャナ部と印刷部との間の部位を覆うケーブルカバーをヒンジとは別に備えたりしている。ヒンジとは別にケーブルカバーを備えるためには、それを設置する領域を設ける必要がある。またケーブルはスキャナ部の揺動よって弛むため、その弛みを考慮してケーブルを収容するスペースを設ける必要がある。つまりケーブルカバーをヒンジと別に設けることは、複合機の小型化に適さない。さらにスキャナ部の揺動により弛んだケーブルがケーブルカバーに接触して擦れるため、ケーブルが断線する恐れもある。一方、ケーブルが剥き出しになっていると、異物との接触などによりケーブルが断線する恐れがある。
【特許文献1】特開2004−120548号公報
【特許文献2】特開2002−144673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、第一の発明は、電子機器の製造コスト低減と小型化とを実現ためのヒンジを提供することを目的とする。また第二の発明は、第一の発明に係るヒンジを備えた製造コストの低減と小型化とが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための第一の発明に係るヒンジは、第一ユニットと第二ユニットとを連結するヒンジであって、前記第一ユニットに固定される第一部材と、前記第二ユニットに固定され、前記第一部材に揺動自在に連結される第二部材と、前記第二部材に設けられ、前記第一ユニットと前記第二ユニットとを電気的に接続するケーブルを係止し、前記第二部材とともに揺動する係止部と、を備える。係止部がケーブルを係止し、その状態で第二部材とともに揺動する。そのため本発明に係るヒンジによれば、第一部材と第二部材とにより、第一ユニットから引き出されたケーブルを第二ユニットまで案内することができる。つまり本発明に係るヒンジを備える電子機器は、ヒンジとは別にケーブルを案内する部材を備える必要がないので、製造コストを低減することができ、小型化が可能である。
【0005】
しかしながら、第一ユニットから引き出されたケーブルの係止部に係止される部分のうち第一ユニットに最も近い部位が揺動軸の軸線からその周方向に離れるにつれて、ケーブルが第一部材と第二部材とによって案内される経路長の第二ユニットの揺動による変化は大きくなる。つまり第二ユニットの揺動によるケーブルの弛みは大きくなる。そのため前記第一ユニットから引き出された前記ケーブルの前記係止部に係止される部分のうち前記第一ユニットに最も近い部位は、前記第一部材または前記第二部材のいずれか一方に軸受けされる揺動軸の外周面を含む仮想円筒内に位置することが望ましい。揺動軸の外周面を含む仮想円筒内で、すなわち揺動軸の軸線の近傍で、第一ユニットから引き出されたケーブルの係止部に係止される部分のうち第一ユニットに最も近い部位を係止部が係止するため、上述の経路長の変化は小さくなる。つまり揺動によるケーブルの弛みを小さくなる。したがって本発明に係るヒンジを備える電子機器によれば、弛んだケーブルを収容するスペースを小さくできるため、電子機器を小型化することができる。
【0006】
前記第二部材に設けられ、前記ケーブルを覆う第一カバー部と、前記第一部材に設けられ、前記ケーブルの前記第一ユニットから引き出されてから前記係止部に係止されるまでの部分のうち前記第二部材の揺動範囲内で前記第一カバー部から露出する部位を覆う第二カバー部と、を更に備えることが望ましい。第一カバー部がケーブルを覆い、第二カバー部がケーブルの第一ユニットから引き出されてから係止部に係止されるまでの部分のうち第二部材の揺動範囲内で第一カバー部から露出する部位を覆う。そのためケーブルは、第一ユニットと第二ユニットとの間に剥き出しにならない。そのためケーブルの断線を防止できる。
【0007】
上記目的を達成するための第二の発明に係る電子機器は、第一ユニットと、第二ユニットと、前記第二ユニットに前記第一ユニットを揺動可能に連結する第一連結部と、前記第一連結部の揺動軸線と同一の揺動軸線を中心に揺動可能に前記第一ユニットを前記第二ユニットに連結する第二連結部と、を備え、前記第一連結部は第一ユニットの揺動を制動する制動手段を有し、前記第二連結部は第一の発明に係るヒンジである。第一連結部の制動手段は、第一ユニットと第二ユニットとの揺動を制動する。そのため、例えば第一ユニットが第二ユニットに対して揺動する電子機器では、第一ユニットが自重によって移動しないようにすることができるため、第一ユニットに手を挟むなどの事故を防止することができる。また第二連結部は、第一ユニットから引き出されたケーブルを第二ユニットまで案内できる。そのため第二連結部とは別にケーブルを第一ユニットから第二ユニットまで案内する手段を備える必要がないので、電子機器を小型化することができる。また案内手段を有する第二連結部は、制動手段を有する第一連結部と比較して簡素な構成で実現できる。そのため第一連結部と第二連結部とを備える本発明による電子機器は、制動手段を有する連結部を2つ備える電子機器と比較して、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施例に係るヒンジ1を用いた電子機器としての複合機4を示す模式図である。図3は複合機4の斜視図である。複合機4は、第一ユニットとしてのスキャナ部30と第二ユニットとしての印刷部20とを備えている。スキャナ部30と印刷部20とは、第二連結部としてのヒンジ1と第一連結部としてのヒンジ50とにより揺動自在に連結されている(図3参照)。ヒンジ50は、例えば特許文献1または特許文献2に記載のヒンジのように、制動手段を有するヒンジである。スキャナ部30と印刷部20とは、ケーブルとしてのフレキシブルフラットケーブル(FFC)41により電気的に接続されている。スキャナ部30は画像の読み取り機能を有する。印刷部20は画像の印刷機能を有する。また複合機4は、スキャナ部30で読み取った画像を印刷部20で印刷することができるため、全体として複写機能を有する。尚、電子機器は複合機4に限定されない。またヒンジ50は制動手段を有していないヒンジであってもよい。またケーブルの種類はフレキシブルフラットケーブルに限定されない。
【0009】
スキャナ部30は、所謂フラットベッド型のスキャナである。スキャナ部30はヒンジ1の揺動軸15を中心に印刷部20に対して揺動する。全閉状態のスキャナ部30は印刷部20の上部に載置され、スキャナ部30はプリンタハウジング2によって支持される。尚、本実施例では、スキャナ部30の底部が印刷部20の上部に載置されている状態を全閉状態といい、スキャナ部30の底部が印刷部20の上部から最も離れた状態を全開状態というものとする(図3参照)。スキャナハウジング3は、スキャナ部30のハウジングであり、樹脂等で箱形に形成されている。スキャナ部30は、原稿台39、光源34、ミラー35、レンズ36、リニアイメージセンサ37、キャリッジ38などを有している。スキャナ部30には、原稿台39の盤面を覆う原稿台カバー32が揺動自在に接続されている。キャリッジ38は、原稿台39の盤面と平行な方向に往復移動可能に設けられ、光源34、ミラー35及びレンズ36からなる光学系とリニアイメージセンサ37とをA、B方向に運搬する。破線で示すように、ミラー35及びレンズ36は光源34により照射された被写体Mの反射光像をリニアイメージセンサ37に結像する。
【0010】
プリンタハウジング2は、印刷部20のハウジングである。プリンタハウジング2は樹脂等で箱形に形成されている。印刷部20のキャリッジ22は、複数のカードリッジ23及び記録ヘッド24をC、D方向に運搬する。各カートリッジ23に収容されているインクは記録ヘッド24により印刷用紙Nに噴射される。印刷部20の送紙機構26は、印刷部20の給紙口28に供給された印刷用紙Nを図示しないプラテン上に搬送し印刷部20の排紙口29から排出する(図5参照)。以下では、複合機4の排紙口側が形成されている側を前面側、給紙口28が形成されている側を背面側という。
制御部40は、パーソナルコンピュータ等の外部システムまたはスキャナ部30から入力される画像データ等に基づいて送紙機構26及び記録ヘッド24の作動を制御する。
【0011】
図1は全開状態におけるヒンジ1周辺の断面図である。図4は複合機4の側面図である。図4では、プリンタハウジング2としての一部の部材を取り外している。ヒンジ1は、基部100とスキャナハウジング3の軸受け部120とフェライトコア106とを有している。FFC41のスキャナ部30側の一端は、キャリッジ38(図2参照)に電気的に接続されている。スキャナハウジング3から引き出されたFFC41は、ヒンジ1の基部100とフェライトコア106とによって、印刷部20に案内されている。FFC41の印刷部20側の他端は、制御部40としてのメインカード40aに電気的に接続されている(図4参照)。
【0012】
図5はヒンジ1の基部100とプリンタハウジング2との関係を説明するための斜視図である。第二部材としての基部100は、揺動軸15が空隙SP1に突出するようにプリンタハウジング2に固定されている。ここで空隙SP1とは、スキャナハウジング3の軸受け部120を配置するために設けられている空隙である。基部100の背面側は、プリンタハウジング2に覆われている。尚、揺動軸15を印刷部20の外部に向けた(矢印X参照)姿勢で、ヒンジ1の基部100を空隙SP1よりも印刷部20の側面から離れた位置に配置する例を図示したが、基部100の配置はこれに限定されない。例えば基部100を、揺動軸15を印刷部20の内部に向けた(矢印Xと反対方向)姿勢で、空隙SP1よりも印刷部20の側面に近い位置に配置してもよい。
【0013】
図6は基部100の形状を説明するための斜視図である。基部100は、揺動軸15、第一側壁101、第二側壁102、前面カバー104、および背面カバー105を有している。揺動軸15は、第一側壁101から基部100の外側に突出している。第一側壁101および第二側壁102は、前面カバー104と背面カバー105とを互いに揺動軸15の軸線Aを挟んだ位置に離間させて保持している。第一側壁101と第二側壁102と前面カバー104と背面カバー105とに囲まれた基部100の内側空間を、FFC41が通っている。前面カバー104の一端104aは、基部100の内側空間に向けて屈曲しており、揺動軸15の軸線A近傍に位置する。後述するフェライトコア106の一端106aが前面カバー104の一端104aに当接することにより、フェライトコア106は基部100に対して位置決めされている。他端104bはプリンタハウジング2に固定された状態において近接するプリンタハウジング2よりも下方に位置する(図7参照)。そのためFFC41は、プリンタハウジング2とヒンジ1との間に剥き出しにならない。プリンタハウジング2に覆われている背面カバー105は、FFC41の長手方向において、前面カバー104よりも短く形成されている。前面カバー104と背面カバー105とが特許請求の範囲に記載の第一カバー部に相当する。尚、前面カバー104および背面カバー105の形状は、プリンタハウジング2およびスキャナハウジング3との関係において設計されるのが望ましい。したがって前面カバー104および背面カバー105の形状は図示の形状に限定されない。例えば、基部100の背面側がプリンタハウジング2によって覆われていなければ、背面カバー105を前面カバー104と同様にFFC41の長手方向に長く形成してもよい。またプリンタハウジング2およびスキャナハウジング3の形状によっては、基部100は、前面カバー104と背面カバー105とのいずれか一方、または両方を有していなくてもよい。
【0014】
図1および図8に示すように、フェライトコア106は扁平な筒状であり、FFC41がその内部を通過している。FFC41のフェライトコア106の内部に位置する部分は、係止部としてのフェライトコア106に係止される。基部100の前面カバー104と背面カバー105との間に狭持されている。フェライトコア106のFFC41の長手方向の一端106aは、前面カバー104の一端104aに当接して位置決めされているため、揺動軸15の軸線A近傍に位置する。ここで揺動軸15の軸線A近傍とは、具体的には揺動軸15の外周面15aを含む仮想円筒SP2内である(図8参照)。そのためスキャナハウジング3から引き出されたFFC41は、基部100とともに静止している部分のうちスキャナハウジング3に最も近い部位がフェライトコア106の一端106aによって仮想円筒SP2内で係止される。またFFC41がフェライトコア106を通過しているため、FFC41から放射されるノイズを低減することもできる。
【0015】
尚、フェライトコア106は、FFC41のみを係止するとして説明したが、複数種類のケーブルを係止してもよい。またヒンジ1は、係止部としてのフェライトコア106を1つだけ備えているとして説明したが、複数の係止部を備えてもよい。そのときは、複数の係止部にそれぞれ異なる種類のケーブルを係止させてもよい。またフェライトコア106はFFC41を係止できればよく、その形状は扁平な筒状に限定されない。またフェライトコア106は基部100の前面カバー104と背面カバー105とに狭持されるとして説明したが、その固定方法はこれに限定されない。またフェライトコア106の一端106aは上述のように仮想円筒SP2内に位置することが望ましいが、スキャナ部30の揺動による後述するFFC41の弛みが許容範囲内に設計可能であれば、フェライトコア106の配置はこれに限定されない。また係止部の材料はフェライトに限定されない。例えば係止部の材料は樹脂などでもよい。また係止部を基部100と別部材のフェライトコア106として説明したが、係止部は基部100と一体成形されていてもよい。
【0016】
図9および図10は、基部100とスキャナハウジング3の軸受け部120との関係を説明するための斜視図である。図9は図8と同一方向から見た斜視図である。図10は、スキャナハウジング3の上部のハウジングを取り外した状態を示している。第一部材としての軸受け部120は、第二部材としての基部100と揺動自在に連結されている。具体的にはスキャナハウジング3の軸受け部120は、基部100の揺動軸15が軸受け部120に形成されている軸受け穴122を貫通することにより、基部100に連結されている(図10(A)参照)。
【0017】
図1に示すようにスキャナハウジング3の軸受け部120には、第二カバー部としての凹部123が形成されている。軸受け穴122(図10(A)参照)は、凹部123の側壁123aに形成されており、基部100の揺動軸15側の一端が凹部123に位置する状態で、軸受け部120は基部100に連結されている。軸受け部120の凹部123は、スキャナ部30の揺動にともなう基部100の軸受け部120に対する相対的な可動範囲よりも大きく形成されている。そのため軸受け部120と基部100とが干渉することはない。第二カバーとしての凹部123は、基部100の前面カバー104の一端104aを覆っている。そのためFFC41は、揺動内側で軸受け部120と基部100との間に剥き出しになることはない。また軸受け部120の凹部123の底には孔3aが形成されている。FFC41は孔3aからスキャナハウジング3の外部に引き出される。孔3aの周縁には案内壁124及び125が形成され、スキャナハウジング3から引き出されたFFC41を揺動軸15の軸線A方向に案内している。尚、軸受け部120の凹部123の形状は図示の形状に限定されない。また第一部材としての軸受け部120はスキャナハウジング3に一体成形されているとして説明したが、第一部材はスキャナハウジング3と別部材でもよい。また揺動軸15を軸受けする構造は軸受け穴122に限定されない。例えば揺動軸15を軸受けする構造は揺動軸15と係合する凹部でもよい。
【0018】
図11および図12は、スキャナ部30の揺動について説明するための断面図である。スキャナ部30は印刷部20に対して揺動軸15を中心に揺動自在である。このときFFC41は、図11に示す全開状態においても、図12に示す全閉状態においても弛まない。詳細は後述する。
以上説明したように全閉状態では、スキャナハウジング3から引き出されたFFC41は、基部100とともに静止している部分のうちスキャナハウジング3に最も近い部位を、仮想円筒SP2内で基部100に係止され、印刷部20に案内されている。つまりFFC41は、揺動軸15の軸線Aの近傍を通過して、スキャナ部30から印刷部20まで配線されている。
【0019】
図13は、全閉状態におけるヒンジ1周辺の断面図である。図1および図13に示すようにフェライトコア106、前面カバー104、および背面カバー105は、基部100とともに揺動軸15を中心に揺動する。案内壁124及び125は、スキャナハウジング3の軸受け部120とともに揺動軸15を中心に揺動する。そのため全閉状態においてもFFC41は、全開状態と同様に揺動軸15の軸線Aの近傍を通過してスキャナ部30から印刷部20まで配線されている(図13参照)。したがってFFC41の配線経路は、スキャナ部30が揺動しても大きく変化しない。つまりFFC41はスキャナ部30の揺動によって大きく弛むことはない。
また軸受け部120の凹部123は、図1に示す全開状態から図13に示す全閉状態までの揺動範囲において、基部100の前面カバー104の一端14aを覆っている。
【0020】
以上説明した本発明の第一実施例に係る複合機4は、制動手段を有するヒンジ50を備える。そのためスキャナ部30は自重によって揺動しない。つまりスキャナ部30が印刷部20に近接する方向に急激に移動して手を挟むなどの事故を防止することができる。
また複合機4では、ヒンジ1がFFC41をスキャナ部30から印刷部20まで案内するため、FFC41をスキャナ部30から印刷部20まで案内する手段をヒンジ1およびヒンジ50とは別に設ける必要がない。つまり複合機4は小型化が可能である。
【0021】
また、軸受け部120の案内壁124及び125がFFC41を基部100の揺動軸15の軸線A方向に案内し、フェライトコア106の一端106aがスキャナハウジング3から引き出されたFFC41のフェライトコア106に係止されている部分のうちスキャナハウジング3に最も近い部位を仮想円筒SP2内で係止するため、FFC41は揺動軸15の軸線A近傍を通過してスキャナ部30から印刷部20まで配線される。そのためFFC41の配線経路は、スキャナハウジング3が揺動しても大きく変化しない。つまりスキャナハウジング3の揺動によるFFC41の弛みを小さくできる。したがって複合機4では、弛んだケーブルを収容するスペースは小さくできるので、小型化が可能である。
【0022】
また、基部100の前面カバー104の他端104bは、プリンタハウジング2に固定された状態において近接するプリンタハウジング2よりも下方に位置している。さらにスキャナハウジング3の軸受け部120の凹部123は、スキャナ部30の揺動範囲において、前面カバー104の一端104aを覆っている。そのためFFC41はスキャナ部30の揺動内側で剥き出しにならない。また基部100の背面側はプリンタハウジング2に覆われている。そのためFFC41は揺動外側でも剥き出しにならない。したがって複合機4ではFFC41の断線を防止できる。
【0023】
尚、本発明の一実施例では、第二部材としての基部100をプリンタハウジング2に固定し、第一部材としての軸受け部120をスキャナハウジング3に設けたが、第二部材をスキャナハウジング3に固定し、第一部材をプリンタハウジング2に設けてもよい。
また、揺動軸15は基部100に一体的に形成されているとして説明したが、揺動軸15は、スキャナハウジング3の軸受け部120に一体的に形成されていてもよい。また揺動軸15は基部100と別部材でもよい。そのときは、基部100または軸受け部120のいずれか一方に揺動軸15を固定し、いずれか他方に軸受け穴122を形成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る全開状態おけるヒンジ周辺の断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る複合機のブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る複合機の斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係る複合機の側面図である。
【図5】(A)はプリンタユニット及び基部の斜視図である。(B)は(A)の要部の拡大図である。
【図6】本発明の一実施例に係るヒンジの基部の斜視図である。
【図7】図3のSP3に示すヒンジの前面カバー周辺の拡大図である。
【図8】本発明の一実施例に係る基部とフェライトコアとFFCの斜視図である。
【図9】本発明の一実施例に係るヒンジ周辺の斜視図である。
【図10】本発明の一実施例に係るヒンジ周辺の斜視図である。
【図11】全開状態におけるスキャナ部とヒンジとFFCの断面図である。
【図12】全閉状態におけるスキャナ部とヒンジとFFCの断面図である。
【図13】本発明の一実施例に係る全閉状態におけるヒンジ周辺の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ヒンジ(第二連結部)、4 複合機(電子機器)、15 揺動軸、20 印刷部(第二ユニット)、30 スキャナ部(第一ユニット)、50 ヒンジ(第一連結部)、100 基部(第二部材)、104 前面カバー(第一カバー部)、105 背面カバー(第一カバー部)、106 フェライトコア(係止部)、120 軸受け部(第一部材)、123 凹部(第二カバー部)、SP2 仮想円筒
【技術分野】
【0001】
本発明はヒンジ及びそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタとイメージスキャナとを一体化した所謂複合機が知られている。こうした複合機の中には、スキャナ部と印刷部とがヒンジで揺動自在に連結されているものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。特許文献1、特許文献2に記載の複合機では、スキャナ部が印刷部に近接する方向に自重によって急激に移動して手を挟むなどの事故を防止するため、スキャナ部の揺動を制動する手段を有するヒンジを備えている。
しかしながら、このような複合機では、スキャナ部と印刷部とを電気的に接続するケーブルをスキャナ部と印刷部との間に剥き出しの状態で配線していたり、ケーブルのスキャナ部と印刷部との間の部位を覆うケーブルカバーをヒンジとは別に備えたりしている。ヒンジとは別にケーブルカバーを備えるためには、それを設置する領域を設ける必要がある。またケーブルはスキャナ部の揺動よって弛むため、その弛みを考慮してケーブルを収容するスペースを設ける必要がある。つまりケーブルカバーをヒンジと別に設けることは、複合機の小型化に適さない。さらにスキャナ部の揺動により弛んだケーブルがケーブルカバーに接触して擦れるため、ケーブルが断線する恐れもある。一方、ケーブルが剥き出しになっていると、異物との接触などによりケーブルが断線する恐れがある。
【特許文献1】特開2004−120548号公報
【特許文献2】特開2002−144673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、第一の発明は、電子機器の製造コスト低減と小型化とを実現ためのヒンジを提供することを目的とする。また第二の発明は、第一の発明に係るヒンジを備えた製造コストの低減と小型化とが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための第一の発明に係るヒンジは、第一ユニットと第二ユニットとを連結するヒンジであって、前記第一ユニットに固定される第一部材と、前記第二ユニットに固定され、前記第一部材に揺動自在に連結される第二部材と、前記第二部材に設けられ、前記第一ユニットと前記第二ユニットとを電気的に接続するケーブルを係止し、前記第二部材とともに揺動する係止部と、を備える。係止部がケーブルを係止し、その状態で第二部材とともに揺動する。そのため本発明に係るヒンジによれば、第一部材と第二部材とにより、第一ユニットから引き出されたケーブルを第二ユニットまで案内することができる。つまり本発明に係るヒンジを備える電子機器は、ヒンジとは別にケーブルを案内する部材を備える必要がないので、製造コストを低減することができ、小型化が可能である。
【0005】
しかしながら、第一ユニットから引き出されたケーブルの係止部に係止される部分のうち第一ユニットに最も近い部位が揺動軸の軸線からその周方向に離れるにつれて、ケーブルが第一部材と第二部材とによって案内される経路長の第二ユニットの揺動による変化は大きくなる。つまり第二ユニットの揺動によるケーブルの弛みは大きくなる。そのため前記第一ユニットから引き出された前記ケーブルの前記係止部に係止される部分のうち前記第一ユニットに最も近い部位は、前記第一部材または前記第二部材のいずれか一方に軸受けされる揺動軸の外周面を含む仮想円筒内に位置することが望ましい。揺動軸の外周面を含む仮想円筒内で、すなわち揺動軸の軸線の近傍で、第一ユニットから引き出されたケーブルの係止部に係止される部分のうち第一ユニットに最も近い部位を係止部が係止するため、上述の経路長の変化は小さくなる。つまり揺動によるケーブルの弛みを小さくなる。したがって本発明に係るヒンジを備える電子機器によれば、弛んだケーブルを収容するスペースを小さくできるため、電子機器を小型化することができる。
【0006】
前記第二部材に設けられ、前記ケーブルを覆う第一カバー部と、前記第一部材に設けられ、前記ケーブルの前記第一ユニットから引き出されてから前記係止部に係止されるまでの部分のうち前記第二部材の揺動範囲内で前記第一カバー部から露出する部位を覆う第二カバー部と、を更に備えることが望ましい。第一カバー部がケーブルを覆い、第二カバー部がケーブルの第一ユニットから引き出されてから係止部に係止されるまでの部分のうち第二部材の揺動範囲内で第一カバー部から露出する部位を覆う。そのためケーブルは、第一ユニットと第二ユニットとの間に剥き出しにならない。そのためケーブルの断線を防止できる。
【0007】
上記目的を達成するための第二の発明に係る電子機器は、第一ユニットと、第二ユニットと、前記第二ユニットに前記第一ユニットを揺動可能に連結する第一連結部と、前記第一連結部の揺動軸線と同一の揺動軸線を中心に揺動可能に前記第一ユニットを前記第二ユニットに連結する第二連結部と、を備え、前記第一連結部は第一ユニットの揺動を制動する制動手段を有し、前記第二連結部は第一の発明に係るヒンジである。第一連結部の制動手段は、第一ユニットと第二ユニットとの揺動を制動する。そのため、例えば第一ユニットが第二ユニットに対して揺動する電子機器では、第一ユニットが自重によって移動しないようにすることができるため、第一ユニットに手を挟むなどの事故を防止することができる。また第二連結部は、第一ユニットから引き出されたケーブルを第二ユニットまで案内できる。そのため第二連結部とは別にケーブルを第一ユニットから第二ユニットまで案内する手段を備える必要がないので、電子機器を小型化することができる。また案内手段を有する第二連結部は、制動手段を有する第一連結部と比較して簡素な構成で実現できる。そのため第一連結部と第二連結部とを備える本発明による電子機器は、制動手段を有する連結部を2つ備える電子機器と比較して、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施例に係るヒンジ1を用いた電子機器としての複合機4を示す模式図である。図3は複合機4の斜視図である。複合機4は、第一ユニットとしてのスキャナ部30と第二ユニットとしての印刷部20とを備えている。スキャナ部30と印刷部20とは、第二連結部としてのヒンジ1と第一連結部としてのヒンジ50とにより揺動自在に連結されている(図3参照)。ヒンジ50は、例えば特許文献1または特許文献2に記載のヒンジのように、制動手段を有するヒンジである。スキャナ部30と印刷部20とは、ケーブルとしてのフレキシブルフラットケーブル(FFC)41により電気的に接続されている。スキャナ部30は画像の読み取り機能を有する。印刷部20は画像の印刷機能を有する。また複合機4は、スキャナ部30で読み取った画像を印刷部20で印刷することができるため、全体として複写機能を有する。尚、電子機器は複合機4に限定されない。またヒンジ50は制動手段を有していないヒンジであってもよい。またケーブルの種類はフレキシブルフラットケーブルに限定されない。
【0009】
スキャナ部30は、所謂フラットベッド型のスキャナである。スキャナ部30はヒンジ1の揺動軸15を中心に印刷部20に対して揺動する。全閉状態のスキャナ部30は印刷部20の上部に載置され、スキャナ部30はプリンタハウジング2によって支持される。尚、本実施例では、スキャナ部30の底部が印刷部20の上部に載置されている状態を全閉状態といい、スキャナ部30の底部が印刷部20の上部から最も離れた状態を全開状態というものとする(図3参照)。スキャナハウジング3は、スキャナ部30のハウジングであり、樹脂等で箱形に形成されている。スキャナ部30は、原稿台39、光源34、ミラー35、レンズ36、リニアイメージセンサ37、キャリッジ38などを有している。スキャナ部30には、原稿台39の盤面を覆う原稿台カバー32が揺動自在に接続されている。キャリッジ38は、原稿台39の盤面と平行な方向に往復移動可能に設けられ、光源34、ミラー35及びレンズ36からなる光学系とリニアイメージセンサ37とをA、B方向に運搬する。破線で示すように、ミラー35及びレンズ36は光源34により照射された被写体Mの反射光像をリニアイメージセンサ37に結像する。
【0010】
プリンタハウジング2は、印刷部20のハウジングである。プリンタハウジング2は樹脂等で箱形に形成されている。印刷部20のキャリッジ22は、複数のカードリッジ23及び記録ヘッド24をC、D方向に運搬する。各カートリッジ23に収容されているインクは記録ヘッド24により印刷用紙Nに噴射される。印刷部20の送紙機構26は、印刷部20の給紙口28に供給された印刷用紙Nを図示しないプラテン上に搬送し印刷部20の排紙口29から排出する(図5参照)。以下では、複合機4の排紙口側が形成されている側を前面側、給紙口28が形成されている側を背面側という。
制御部40は、パーソナルコンピュータ等の外部システムまたはスキャナ部30から入力される画像データ等に基づいて送紙機構26及び記録ヘッド24の作動を制御する。
【0011】
図1は全開状態におけるヒンジ1周辺の断面図である。図4は複合機4の側面図である。図4では、プリンタハウジング2としての一部の部材を取り外している。ヒンジ1は、基部100とスキャナハウジング3の軸受け部120とフェライトコア106とを有している。FFC41のスキャナ部30側の一端は、キャリッジ38(図2参照)に電気的に接続されている。スキャナハウジング3から引き出されたFFC41は、ヒンジ1の基部100とフェライトコア106とによって、印刷部20に案内されている。FFC41の印刷部20側の他端は、制御部40としてのメインカード40aに電気的に接続されている(図4参照)。
【0012】
図5はヒンジ1の基部100とプリンタハウジング2との関係を説明するための斜視図である。第二部材としての基部100は、揺動軸15が空隙SP1に突出するようにプリンタハウジング2に固定されている。ここで空隙SP1とは、スキャナハウジング3の軸受け部120を配置するために設けられている空隙である。基部100の背面側は、プリンタハウジング2に覆われている。尚、揺動軸15を印刷部20の外部に向けた(矢印X参照)姿勢で、ヒンジ1の基部100を空隙SP1よりも印刷部20の側面から離れた位置に配置する例を図示したが、基部100の配置はこれに限定されない。例えば基部100を、揺動軸15を印刷部20の内部に向けた(矢印Xと反対方向)姿勢で、空隙SP1よりも印刷部20の側面に近い位置に配置してもよい。
【0013】
図6は基部100の形状を説明するための斜視図である。基部100は、揺動軸15、第一側壁101、第二側壁102、前面カバー104、および背面カバー105を有している。揺動軸15は、第一側壁101から基部100の外側に突出している。第一側壁101および第二側壁102は、前面カバー104と背面カバー105とを互いに揺動軸15の軸線Aを挟んだ位置に離間させて保持している。第一側壁101と第二側壁102と前面カバー104と背面カバー105とに囲まれた基部100の内側空間を、FFC41が通っている。前面カバー104の一端104aは、基部100の内側空間に向けて屈曲しており、揺動軸15の軸線A近傍に位置する。後述するフェライトコア106の一端106aが前面カバー104の一端104aに当接することにより、フェライトコア106は基部100に対して位置決めされている。他端104bはプリンタハウジング2に固定された状態において近接するプリンタハウジング2よりも下方に位置する(図7参照)。そのためFFC41は、プリンタハウジング2とヒンジ1との間に剥き出しにならない。プリンタハウジング2に覆われている背面カバー105は、FFC41の長手方向において、前面カバー104よりも短く形成されている。前面カバー104と背面カバー105とが特許請求の範囲に記載の第一カバー部に相当する。尚、前面カバー104および背面カバー105の形状は、プリンタハウジング2およびスキャナハウジング3との関係において設計されるのが望ましい。したがって前面カバー104および背面カバー105の形状は図示の形状に限定されない。例えば、基部100の背面側がプリンタハウジング2によって覆われていなければ、背面カバー105を前面カバー104と同様にFFC41の長手方向に長く形成してもよい。またプリンタハウジング2およびスキャナハウジング3の形状によっては、基部100は、前面カバー104と背面カバー105とのいずれか一方、または両方を有していなくてもよい。
【0014】
図1および図8に示すように、フェライトコア106は扁平な筒状であり、FFC41がその内部を通過している。FFC41のフェライトコア106の内部に位置する部分は、係止部としてのフェライトコア106に係止される。基部100の前面カバー104と背面カバー105との間に狭持されている。フェライトコア106のFFC41の長手方向の一端106aは、前面カバー104の一端104aに当接して位置決めされているため、揺動軸15の軸線A近傍に位置する。ここで揺動軸15の軸線A近傍とは、具体的には揺動軸15の外周面15aを含む仮想円筒SP2内である(図8参照)。そのためスキャナハウジング3から引き出されたFFC41は、基部100とともに静止している部分のうちスキャナハウジング3に最も近い部位がフェライトコア106の一端106aによって仮想円筒SP2内で係止される。またFFC41がフェライトコア106を通過しているため、FFC41から放射されるノイズを低減することもできる。
【0015】
尚、フェライトコア106は、FFC41のみを係止するとして説明したが、複数種類のケーブルを係止してもよい。またヒンジ1は、係止部としてのフェライトコア106を1つだけ備えているとして説明したが、複数の係止部を備えてもよい。そのときは、複数の係止部にそれぞれ異なる種類のケーブルを係止させてもよい。またフェライトコア106はFFC41を係止できればよく、その形状は扁平な筒状に限定されない。またフェライトコア106は基部100の前面カバー104と背面カバー105とに狭持されるとして説明したが、その固定方法はこれに限定されない。またフェライトコア106の一端106aは上述のように仮想円筒SP2内に位置することが望ましいが、スキャナ部30の揺動による後述するFFC41の弛みが許容範囲内に設計可能であれば、フェライトコア106の配置はこれに限定されない。また係止部の材料はフェライトに限定されない。例えば係止部の材料は樹脂などでもよい。また係止部を基部100と別部材のフェライトコア106として説明したが、係止部は基部100と一体成形されていてもよい。
【0016】
図9および図10は、基部100とスキャナハウジング3の軸受け部120との関係を説明するための斜視図である。図9は図8と同一方向から見た斜視図である。図10は、スキャナハウジング3の上部のハウジングを取り外した状態を示している。第一部材としての軸受け部120は、第二部材としての基部100と揺動自在に連結されている。具体的にはスキャナハウジング3の軸受け部120は、基部100の揺動軸15が軸受け部120に形成されている軸受け穴122を貫通することにより、基部100に連結されている(図10(A)参照)。
【0017】
図1に示すようにスキャナハウジング3の軸受け部120には、第二カバー部としての凹部123が形成されている。軸受け穴122(図10(A)参照)は、凹部123の側壁123aに形成されており、基部100の揺動軸15側の一端が凹部123に位置する状態で、軸受け部120は基部100に連結されている。軸受け部120の凹部123は、スキャナ部30の揺動にともなう基部100の軸受け部120に対する相対的な可動範囲よりも大きく形成されている。そのため軸受け部120と基部100とが干渉することはない。第二カバーとしての凹部123は、基部100の前面カバー104の一端104aを覆っている。そのためFFC41は、揺動内側で軸受け部120と基部100との間に剥き出しになることはない。また軸受け部120の凹部123の底には孔3aが形成されている。FFC41は孔3aからスキャナハウジング3の外部に引き出される。孔3aの周縁には案内壁124及び125が形成され、スキャナハウジング3から引き出されたFFC41を揺動軸15の軸線A方向に案内している。尚、軸受け部120の凹部123の形状は図示の形状に限定されない。また第一部材としての軸受け部120はスキャナハウジング3に一体成形されているとして説明したが、第一部材はスキャナハウジング3と別部材でもよい。また揺動軸15を軸受けする構造は軸受け穴122に限定されない。例えば揺動軸15を軸受けする構造は揺動軸15と係合する凹部でもよい。
【0018】
図11および図12は、スキャナ部30の揺動について説明するための断面図である。スキャナ部30は印刷部20に対して揺動軸15を中心に揺動自在である。このときFFC41は、図11に示す全開状態においても、図12に示す全閉状態においても弛まない。詳細は後述する。
以上説明したように全閉状態では、スキャナハウジング3から引き出されたFFC41は、基部100とともに静止している部分のうちスキャナハウジング3に最も近い部位を、仮想円筒SP2内で基部100に係止され、印刷部20に案内されている。つまりFFC41は、揺動軸15の軸線Aの近傍を通過して、スキャナ部30から印刷部20まで配線されている。
【0019】
図13は、全閉状態におけるヒンジ1周辺の断面図である。図1および図13に示すようにフェライトコア106、前面カバー104、および背面カバー105は、基部100とともに揺動軸15を中心に揺動する。案内壁124及び125は、スキャナハウジング3の軸受け部120とともに揺動軸15を中心に揺動する。そのため全閉状態においてもFFC41は、全開状態と同様に揺動軸15の軸線Aの近傍を通過してスキャナ部30から印刷部20まで配線されている(図13参照)。したがってFFC41の配線経路は、スキャナ部30が揺動しても大きく変化しない。つまりFFC41はスキャナ部30の揺動によって大きく弛むことはない。
また軸受け部120の凹部123は、図1に示す全開状態から図13に示す全閉状態までの揺動範囲において、基部100の前面カバー104の一端14aを覆っている。
【0020】
以上説明した本発明の第一実施例に係る複合機4は、制動手段を有するヒンジ50を備える。そのためスキャナ部30は自重によって揺動しない。つまりスキャナ部30が印刷部20に近接する方向に急激に移動して手を挟むなどの事故を防止することができる。
また複合機4では、ヒンジ1がFFC41をスキャナ部30から印刷部20まで案内するため、FFC41をスキャナ部30から印刷部20まで案内する手段をヒンジ1およびヒンジ50とは別に設ける必要がない。つまり複合機4は小型化が可能である。
【0021】
また、軸受け部120の案内壁124及び125がFFC41を基部100の揺動軸15の軸線A方向に案内し、フェライトコア106の一端106aがスキャナハウジング3から引き出されたFFC41のフェライトコア106に係止されている部分のうちスキャナハウジング3に最も近い部位を仮想円筒SP2内で係止するため、FFC41は揺動軸15の軸線A近傍を通過してスキャナ部30から印刷部20まで配線される。そのためFFC41の配線経路は、スキャナハウジング3が揺動しても大きく変化しない。つまりスキャナハウジング3の揺動によるFFC41の弛みを小さくできる。したがって複合機4では、弛んだケーブルを収容するスペースは小さくできるので、小型化が可能である。
【0022】
また、基部100の前面カバー104の他端104bは、プリンタハウジング2に固定された状態において近接するプリンタハウジング2よりも下方に位置している。さらにスキャナハウジング3の軸受け部120の凹部123は、スキャナ部30の揺動範囲において、前面カバー104の一端104aを覆っている。そのためFFC41はスキャナ部30の揺動内側で剥き出しにならない。また基部100の背面側はプリンタハウジング2に覆われている。そのためFFC41は揺動外側でも剥き出しにならない。したがって複合機4ではFFC41の断線を防止できる。
【0023】
尚、本発明の一実施例では、第二部材としての基部100をプリンタハウジング2に固定し、第一部材としての軸受け部120をスキャナハウジング3に設けたが、第二部材をスキャナハウジング3に固定し、第一部材をプリンタハウジング2に設けてもよい。
また、揺動軸15は基部100に一体的に形成されているとして説明したが、揺動軸15は、スキャナハウジング3の軸受け部120に一体的に形成されていてもよい。また揺動軸15は基部100と別部材でもよい。そのときは、基部100または軸受け部120のいずれか一方に揺動軸15を固定し、いずれか他方に軸受け穴122を形成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る全開状態おけるヒンジ周辺の断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る複合機のブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る複合機の斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係る複合機の側面図である。
【図5】(A)はプリンタユニット及び基部の斜視図である。(B)は(A)の要部の拡大図である。
【図6】本発明の一実施例に係るヒンジの基部の斜視図である。
【図7】図3のSP3に示すヒンジの前面カバー周辺の拡大図である。
【図8】本発明の一実施例に係る基部とフェライトコアとFFCの斜視図である。
【図9】本発明の一実施例に係るヒンジ周辺の斜視図である。
【図10】本発明の一実施例に係るヒンジ周辺の斜視図である。
【図11】全開状態におけるスキャナ部とヒンジとFFCの断面図である。
【図12】全閉状態におけるスキャナ部とヒンジとFFCの断面図である。
【図13】本発明の一実施例に係る全閉状態におけるヒンジ周辺の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ヒンジ(第二連結部)、4 複合機(電子機器)、15 揺動軸、20 印刷部(第二ユニット)、30 スキャナ部(第一ユニット)、50 ヒンジ(第一連結部)、100 基部(第二部材)、104 前面カバー(第一カバー部)、105 背面カバー(第一カバー部)、106 フェライトコア(係止部)、120 軸受け部(第一部材)、123 凹部(第二カバー部)、SP2 仮想円筒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ユニットと第二ユニットとを連結するヒンジであって、
前記第一ユニットに固定される第一部材と、
前記第二ユニットに固定され、前記第一部材に揺動自在に連結される第二部材と、
前記第二部材に設けられ、前記第一ユニットと前記第二ユニットとを電気的に接続するケーブルを係止し、前記第二部材とともに揺動する係止部と、
を備えることを特徴とするヒンジ。
【請求項2】
前記第一ユニットから引き出された前記ケーブルの前記係止部に係止される部分のうち前記第一ユニットに最も近い部位は、前記第一部材または前記第二部材のいずれか一方に軸受けされる揺動軸の外周面を含む仮想円筒内に位置することを特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記第二部材に設けられ、前記ケーブルを覆う第一カバー部と、
前記第一部材に設けられ、前記ケーブルの前記第一ユニットから引き出されてから前記係止部に係止されるまでの部分のうち前記第二部材の揺動範囲内で前記第一カバー部から露出する部位を覆う第二カバー部と、
を更に備えることを特徴とする請求項2または3に記載のヒンジ。
【請求項4】
第一ユニットと、
第二ユニットと、
前記第二ユニットに前記第一ユニットを揺動可能に連結する第一連結部と、
前記第一連結部の揺動軸線と同一の揺動軸線を中心に揺動可能に前記第一ユニットを前記第二ユニットに連結する第二連結部と、を備え、
前記第一連結部は第一ユニットの揺動を制動する制動手段を有し、
前記第二連結部は請求項1から3のいずれか一項に記載のヒンジであることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第一ユニットと第二ユニットとを連結するヒンジであって、
前記第一ユニットに固定される第一部材と、
前記第二ユニットに固定され、前記第一部材に揺動自在に連結される第二部材と、
前記第二部材に設けられ、前記第一ユニットと前記第二ユニットとを電気的に接続するケーブルを係止し、前記第二部材とともに揺動する係止部と、
を備えることを特徴とするヒンジ。
【請求項2】
前記第一ユニットから引き出された前記ケーブルの前記係止部に係止される部分のうち前記第一ユニットに最も近い部位は、前記第一部材または前記第二部材のいずれか一方に軸受けされる揺動軸の外周面を含む仮想円筒内に位置することを特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記第二部材に設けられ、前記ケーブルを覆う第一カバー部と、
前記第一部材に設けられ、前記ケーブルの前記第一ユニットから引き出されてから前記係止部に係止されるまでの部分のうち前記第二部材の揺動範囲内で前記第一カバー部から露出する部位を覆う第二カバー部と、
を更に備えることを特徴とする請求項2または3に記載のヒンジ。
【請求項4】
第一ユニットと、
第二ユニットと、
前記第二ユニットに前記第一ユニットを揺動可能に連結する第一連結部と、
前記第一連結部の揺動軸線と同一の揺動軸線を中心に揺動可能に前記第一ユニットを前記第二ユニットに連結する第二連結部と、を備え、
前記第一連結部は第一ユニットの揺動を制動する制動手段を有し、
前記第二連結部は請求項1から3のいずれか一項に記載のヒンジであることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−13794(P2006−13794A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186738(P2004−186738)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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