説明

ヒートブロック、熱盤、及び、プレス装置

【課題】この発明は、金型等を効率的に加熱するためのヒートブロック、熱盤、及び、プレス装置に関する。
【解決手段】本発明に係るヒートブロック1は、直方体形状に形成されたその下面3aから上面3b方向に非貫通に設けられた挿入孔2を有する金属製のブロック3と、前記挿入孔2に挿脱自在に取付けられた円柱状の加熱ピン4と、コイル状に形成されて前記加熱ピン4の外周面に巻き付けられる加熱部5aを具備するコイルヒーター5と、前記加熱ピン4に装着された当該加熱ピン4の温度を測定する温度センサ6と、前記コイルヒーター5、及び、前記温度センサ6のそれぞれと接続されて予め設定された設定温度に前記加熱ピン4の温度を制御する制御部7と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金型等を効率的に加熱するためのヒートブロック、熱盤、及び、プレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製品等を金型によって成型する際には、プレス装置の上下にそれぞれ設けられた押圧板に金型を取付けて該金型に合成樹脂を添加し、この金型を所定温度で加熱しながらプレスすることで、樹脂製品等を成型していた。しかし、所定の温度まで金型を加熱する際には、大量の電力を消費すると共に、長い時間を要するという問題があった。さらに、金型の温度には斑が生じることにより樹脂製品等に不良が生じやすく、歩留まりが低下すると共に、この不良を検品するための人件費がかかるという問題もあった。
【0003】
そして、このような問題を解決するために、成形金型に組み込まれている加熱ヒーターを、高さ方向に複数分割し、且つ分割した各部を構成する部分ヒーターの温度を個別に制御する機構を設けた成型金型が考案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平09−109247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような成型金型においては、効率的に金型を加熱しておらず、所定の温度まで金型を加熱するためには、大量の電力を消費すると共に、長い時間を要するという問題を解決することができなかった。
【0006】
この発明は上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、金型等を効率的に加熱するためのヒートブロック、熱盤、及び、プレス装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載のヒートブロックは、直方体形状に形成されたその下面から上面方向に非貫通に設けられた挿入孔を有する金属製のブロックと、前記挿入孔に挿脱自在に取付けられた円柱状の加熱ピンと、コイル状に形成されて前記加熱ピンの外周面に巻き付けられる加熱部を具備するコイルヒーターと、前記加熱ピンに装着された当該加熱ピンの温度を測定する温度センサと、前記コイルヒーター、及び、前記温度センサのそれぞれと接続されて予め設定された設定温度に前記加熱ピンの温度を制御する制御部と、を具備することを特徴としている。
【0008】
請求項2記載のヒートブロックは、前記加熱ピンが前記挿入孔に螺合されることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載のヒートブロックは、前記ブロックの下面には前記挿入孔から当該ブロックの側面方向に亘って、前記コイルヒーター、及び前記温度センサの配線を通すための配線溝が形成されることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の熱盤は、請求項1乃至3記載のヒートブロックを複数並べて形成されて成ることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の熱盤は、相隣接する前記ブロックの間に隙間断熱材が介在されることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の熱盤は、複数並べられた前記ヒートブロックのうち、露出する前記ブロックの側面に外側断熱材が設けられることを特徴としている。
【0013】
請求項7記載の熱盤は、複数並べられた前記ヒートブロックの下方に下側断熱材を介して板状に形成されて成る金属製の熱盤ベースが設けられることを特徴としている。
【0014】
請求項8記載のプレス装置は、上側に設けられた上側押圧板と下側に設けられた下側押圧板とで対象物を上下方向から挟み込んで押圧するプレス装置において、前記上側押圧板、及び、前記下側押圧板に請求項4乃至7記載の熱盤が設けられることを特徴としている。
【0015】
請求項9記載のプレス装置は、前記ブロックの上面に金型取付用の取付孔を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のヒートブロックは、コイル状に形成された加熱部を具備するコイルヒーターが円柱状の加熱ピンに巻きつけられ、当該コイルヒーターがブロックに設けられた挿入孔に挿入されている。これにより、コイルヒーターと加熱ピンとの接触面積が大きくなるため当該加熱ピンを効率的に加熱することができ昇温速度を向上できる。そして、加熱された加熱ピンから放射状に立体的に熱伝導率が高い金属製のブロックに効率よくこの熱を伝えることができる。また、加熱ピンの温度を測定する温度センサが加熱ピンに装着され、当該温度センサ、及びコイルヒーターのそれぞれと接続されて予め設定された設定温度に前記加熱ピンの温度を制御する制御部を具備している。これにより、確実に加熱ピンの温度を所望の温度に調節することができると共に、当該加熱ピンが挿入されるブロックの上面の温度も設定温度と同様の温度に加熱することができる。このように本発明に係るヒートブロックを使用することにより、当該ヒートブロックのブロックの上面を効率的に加熱することができるので、省エネルギー化に貢献することができる。また、ブロックの上面を効率的に昇温することができるので、作業効率を向上することもできる。
【0017】
請求項2記載のヒートブロックは、加熱ピンが前記挿入孔に螺合されているので、当該加熱ピンのブロックへの着脱を容易に行うことができる。これにより、加熱ピンに装着される熱伝対、及び、コイルヒーターが断線等の不良が生じた際にも、加熱ピンをブロックの挿入孔から取外してこれらを交換することができるので、メンテナンスが容易である。
【0018】
請求項3記載のヒートブロックは、前記ブロックの下面には前記挿入孔から当該ブロックの側面方向に亘って、前記コイルヒーター、及び前記温度センサの配線を通すための配線溝が形成されている。これにより、ヒートブロックを台等の上に載置した際に、コイルヒータ、及び温度センサの配線が、台等とブロックとの間に挟まれることがないので、当該配線が断線するのを防止することができる。
【0019】
請求項4記載の熱盤によれば、前記ヒートブロックを複数並べて当該熱盤が形成されているので、適宜ヒートブロックを組合わせることで、所望の形状や大きさに熱盤を形成することができる。前述のように形成された熱盤は、各ヒートブロックごとにその加熱ピンの設定温度を制御することができるので、複数のブロックの上面によって形成される熱盤面上の温度斑を極めて小さくすることができる。さらに、前記熱盤面の場所に応じて温度を変化させることもでき、複雑な樹脂製品等の成型も容易になると共に、これをノウハウ化することで他社の模倣を防止することができる。そして、前述のように各ヒートブロックのブロックの上面を効率的に加熱することで熱盤を加熱する際に必要なエネルギーを、従来より大幅に削減することができると共に、熱盤面の昇温速度も向上することができ、作業効率を向上することができる。そして、熱盤面の温度斑による樹脂製品等の不良が生じることがなく、歩留まりが向上できると共に、これらを検品するための人件費も削減することができる。
【0020】
請求項5記載の熱盤によれば、相隣接する前記ブロックの間に隙間断熱材が介在されているので、相隣接するヒートブロックのブロック同士が直接接触することがなく、さらに、隙間断熱材により各ヒートブロック間での熱の往来が制限される。そのため、一のヒートブロックの温度制御が相隣接する他のヒートブロックに干渉されることがないので、各ヒートブロックのブロックの上面の温度制御を正確に行うことができる。従って、各ヒートブロックの加熱ピンの設定温度を同じ温度に設定した場合には、前記熱盤面上の温度斑を極めて小さくすることができ、また、各ヒートブロックの加熱ピンの設定温度を異なる温度に設定した場合でも、各ヒートブロックのブロックの上面の温度を正確に制御することができる。
【0021】
請求項6記載の熱盤によれば、複数並べられた前記ヒートブロックのうち、露出する前記ブロックの側面に外側断熱材が設けられている。これにより、ブロックの側面からの放熱を防止することができ、より正確にヒートブロックのブロックの上面の温度制御を行うことができると共に、省エネルギー化にも貢献することができる。
【0022】
請求項7記載の熱盤によれば、複数並べられた前記ヒートブロックの下方に下側断熱材を介して板状に形成されて成る金属製の熱盤ベースが設けられているので、熱盤を台等の上に載置する際に、当該台等にヒートブロックが直接接触することがなく、さらに、下側断熱材によりヒートブロックと台等の間で熱の往来が制限される。これにより、ヒートブロックの熱が台等に直接伝わることがなく当該台等が熱により変形する等の熱の影響を受けることがない。さらに、ブロックの下面からの放熱を防止することができ省エネルギー化に貢献できると共に、より正確にヒートブロックのブロックの上面の温度制御を行うことができる。
【0023】
請求項8記載のプレス装置によれば、前記上側押圧板、及び、前記下側押圧板に請求項4乃至7記載の熱盤が設けられている。そのため、本発明に係るプレス装置を使用すれば、樹脂製品等を成型する際に、熱盤面の温度斑による当該樹脂製品等の不良が生じることがなく、歩留まりが向上できると共に、これらを検品するための人件費も削減することができる。さらに、熱盤を構成する複数のヒートブロックのブロックの上面を効率的に加熱することができるので、省エネルギー化にも貢献することができる。
【0024】
請求項9記載のプレス装置によれば、前記ブロックの上面に金型取付用の取付孔を具備している。これにより、熱盤を介して上側押圧板、及び下側押圧板に金型を容易に取付けることができるので、樹脂製品等を成型する際の準備作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明におけるヒートブロックの最良の実施形態について、以下に説明する。本発明のヒートブロック1は、図3乃至図5に示すように、直方体形状に形成されたその下面3aから上面3b方向に非貫通に設けられた挿入孔2を有する金属製のブロック3と、前記挿入孔2に挿脱自在に取付けられた円柱状の加熱ピン4と、コイル状に形成されて前記加熱ピン4の外周面4aに巻き付けられる加熱部5aを具備するコイルヒーター5と、前記加熱ピン4に装着された当該加熱ピン4の温度を測定する温度センサ6と、前記コイルヒーター5、及び、前記温度センサ6のそれぞれと接続されて予め設定された設定温度に前記加熱ピン4の温度を制御する制御部7と、を具備している。
【0026】
前記ブロック3は、図3乃至図5に示すように、直方体形状に形成された金属製の部材であり、その下面3aには、該下面3aから上面3b方向に非貫通に挿入孔2が設けられている。そして、挿入孔2の奥には雌ネジ2aが形成されると共に、さらに、その奥側は円錐状に形成されている。
【0027】
前記加熱ピン4は、図3、図4に示すように、円柱状に形成され、その下端部には、当該加熱ピン4の外周面4aに巻き付けられるコイルヒーター5の加熱部5aを係止するために、該加熱ピン4の外周面4aから外側に突出する係止部4bが設けられている。そして、加熱ピン4の先端側には雄ネジ4cが形成されており挿入孔2に着脱自在に螺合される。また、加熱ピン4の先端部には円錐状の接触部4dが形成されており、雄ネジ部4cと共に当該接触部4dが挿入孔2の内周面と接触することによって、加熱された加熱ピン4の熱を効率的にブロック3に伝達することができる。そして、加熱ピン4にはコイルヒーター5の加熱部5aが巻きつけられるので、当該加熱ピン4を挿入孔2に螺合する際に当該加熱部5aが挿入孔2の内周面と干渉しないようにするために、図6に示すように、加熱ピン4の径は挿入孔2の径よりも若干小さく形成されている。
【0028】
前記コイルヒーター5は、図4に示すように、予めコイル状に形成された加熱部5aを具備し、電圧が印加されることにより当該加熱部5aが発熱するものであり、加熱ピン4の外周面4aに当該加熱部5aが巻きつけられている。そして、加熱部5aは、加熱ピン4の外周面4aと接触する側の面、すなわち、コイル状に形成された加熱部5aの内側面51aは、平面状に形成されていることが好ましく、これにより、加熱部5aで発生した熱を効率的に加熱ピン4に伝達することができる。そのため、加熱ピン4にコイルヒーター5を取付ける際には、加熱ピン4を効率的に昇温するために、加熱部5aの内側面51aと加熱ピン4の外周面4aとが密着するように取付けられることが好ましい。
【0029】
前記温度センサ6は、加熱ピン4に装着された当該加熱ピン4の温度を測定するものであり、本実施形態のように、ゼーペック効果を利用した熱電対を始め、その他にも半導体の温度特性を利用したサーミスタや、金属の温度を測って温度を求める測温抵抗体等の周知の温度センサ6を適宜使用することができる。この温度センサ6は、図3に示すように、加熱ピン4の底部4eの中央内部に着脱自在に装着されており、コイルヒーター5の加熱部5aによって加熱される当該加熱ピン4の温度を測定することができる。
【0030】
前記制御部7は、前記コイルヒーター5、及び、前記温度センサ6のそれぞれと配線8を介して接続されており、予め設定された設定温度に前記加熱ピン4の温度を制御するものである。そして、制御部7としては、温度をフィードバック制御可能な周知の温度コントローラ等を好適に使用することができる。また、加熱ピン4は、図6に示すように、挿入孔2に螺合された際に、ブロック3の下面3aよりも当該加熱ピン4の底部4eの方が高い位置となっている。これにより、ヒートブロック1を台等(不図示)に載置した際にも、温度センサ6の配線8が当該台等と加熱ピン4とに挟まれて、当該配線8が断線するのを防止することができる。さらに、ブロック3の下面3aには、図3、図4に示すように、挿入孔2から当該ブロック3の側面3c方向に亘って、コイルヒーター5、及び温度センサ6の配線8を通すための配線溝9が形成されている。そのため、ヒートブロック1を台等に載置した際にも、前記配線8が当該台等とブロック3とに挟まれて、当該配線8が断線するのを防止することができる。
【0031】
本実施形態に係る熱盤10は、前述のように形成された複数のヒートブロック1を、図5に示すように、例えば、矩形状に並べて形成される。その際には、複数のヒートブロック1を、板状に形成されて成る金属製の熱盤ベース11の上に下側断熱材12を介して載置固定すると共に、相隣接するヒートブロック1同士の隙間には隙間断熱材13が設けられている。
【0032】
そして、熱盤ベース11にヒートブロック1を取付ける際には、図1、図2、図5に示すように、ブロック3の下面3aの面積よりも若干小さく矩形状に形成されて成る下側断熱材12を、当該熱盤ベース11の上に取付けられる各ヒートブロック1に対応するように配置する。これらの下側断熱材12は、図2に示すように、相隣接する当該下側断熱材12同士を所定間隔あけて配置されており、当該下側断熱材12によって格子状の溝部14が形成されている。この溝部14には、図3に示すように、ヒートブロック1の配線溝9から引出された、温度センサ6やコイルヒーター5の配線8が通される。これにより、当該溝部14から熱盤10外側に配線8を引出すことができる。また、熱盤ベース11に下側断熱材12を配置する際には、それぞれの下側断熱材12の上に載置固定されるヒートブロック1を固定する際に使用される、熱盤ベース11、及び下側断熱材12にそれぞれ設けられたネジ孔A1、A2が連通するように当該下側断熱材12が配置される。
【0033】
そして、上述のように熱盤ベース11の上に配置された下側断熱材12の上に、図5、図6に示すように、ヒートブロック1が載置固定される。この際には、熱盤ベース11、及び下側断熱材12を連通するように設けられたネジ孔A1、A2に当該熱盤ベース11の裏面からネジB1を差込み、ブロック3の下面に設けられた雌ネジ3dに当該ネジB1を螺合する。そして、ネジ孔A1から挿入されたネジB1は、図6に示すように、該ネジ孔A1に形成された係止段部C1にそのネジ頭D1が係止される。
【0034】
また、相隣接するヒートブロック1の隙間に介在される隙間断熱材13は、ネジ等によりブロック3の側面3cに取付けてもよいが、本実施形態の図5に示すように、熱盤ベース11に載置固定された相隣接するヒートブロック1の隙間に押込むようにして当該隙間断熱材13を挿入してもよい。そして、熱盤ベース11上に矩形状となるように載置固定されたヒートブロック1のうち、最も外側のブロック3の側面3cには、図5、図6に示すように、雌ネジ3eが形成され外側断熱材15がネジB2によって螺合される。
【0035】
尚、本実施形態においては、図5に示すように、熱盤ベース11の一辺方向、及び他辺方向にそれぞれ4個ずつの合計16個のヒートブロック1を載置固定したが、当該ヒートブロック1の数はこれに限定されるものではない。さらに、本実施形態では、ヒートブロック1を複数並べて矩形状にとしたが、略円形等でもよく、これらに限定されるものではない。以上のような熱盤10を使用することにより、当該熱盤10を構成するヒートブロック1のブロック3の上面3bの温度を正確に制御することができるので、複数のブロック3の上面3bで形成される熱盤面の温度を均一に保持することができる。また、各ブロック3の上面3bを効率的に過熱することができ、前記熱盤面を加熱する際に必要なエネルギーを大幅に削減することができる。
【0036】
以上のように形成される熱盤10は、図8、図9に示すように、上側に設けられた上側押圧板16と下側に設けられた下側押圧板17とで対象物を上下方向から挟み込んで押圧するプレス装置18において、上側押圧板16、及び下側押圧板17に好適に取付けることができる。また、熱盤10には、図7に示すように、ブロック3、下側断熱材12、及び熱盤ベース11を連通するようにネジ孔A3、A4、A5が設けられると共に、熱盤ベース11のネジ孔A5にはネジB3のネジ頭D2を係止するための係止段部C2が設けられている。そのため、図7に示すように、ブロック3のネジ孔A3からネジB3を挿入し、下側断熱材12を通り抜け、係止段部C2を有する熱盤ベース11のネジ孔A5から上側押圧板16、及び下側押圧板17のそれぞれに形成された雌ネジEに螺合することにより、熱盤10をプレス装置18に取付けることができる。
【0037】
この際には、配線8は、図7に示すように、ブロック3の配線溝9から溝部14に引出され、さらに、当該配線8は、図2に示すように、熱盤ベース11に設けられた配線孔19から熱盤10の外側に引出され、プレス装置18内部の制御部7に接続されている。尚、本実施形態においては、熱盤10を、上側押圧板16、及び下側押圧板17の両方に設けたが、何れか一方側にのみ取付けられていてもよい。また、本実施形態体では、図8に示すように、熱盤10をプレス装置18の上側押圧板16、及び下側押圧板17として使用したが、これに限定されず、射出成型装置や押出成型装置等のその他の装置の加熱部にも使用することができる。
【0038】
また、熱盤10を構成するヒートブロック1のブロック3の上面3bには、図5、図8に示すように、樹脂製品や金属等を成型する際に使用される金型(不図示)を当該熱盤10に装着する際に使用される取付孔20が形成されている。この取付孔20の内側にはネジ溝が形成されており、金型を熱盤10に螺合することができる。この取付孔20に金型を取付けることにより、当該金型の温度を斑なく均一に保持することができると共に、金型の位置によって温度を変化させこれらの温度も正確に保持することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、図5、図8に示すように、矩形状に形成された熱盤10の四隅に集中的に取付孔20が形成されているが、当該取付孔20が形成される位置は本実施形態の場所に限定されず、使用される金型の形状等に応じて適宜変更することができる。尚、本実施形態の熱盤10は、前述のように金型を装着する際に使用される取付孔20を設けたが、図9に示すように、当該熱盤10の表面に取付孔20を設けなくてもよい。
【0040】
以上のようなヒートブロック1、当該ヒートブロック1を使用した熱盤10、当該熱盤10を使用したプレス装置18を使用することにより、効率的にヒートブロック1を加熱することができるので、熱盤10の昇温速度を向上することができ、さらに、加熱する際のエネルギーを大幅に削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る熱盤10は、プレス装置だけでなく、射出成型装置や押出成型装置等のその他の装置の加熱部にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】熱盤ベースに下側断熱材を取付ける状態を示す斜視図
【図2】下側断熱材が熱盤ベースに配置された状態を示す斜視図
【図3】本実施形態に係るヒートブロックの逆さ方向からの斜視図
【図4】本実施形態に係るヒートブロックの側断面図
【図5】本実施形態に係る熱盤の全体斜視図
【図6】本実施形態に係る熱盤の側断面図
【図7】本実施形態に係るプレス装置の押圧板の側断面図
【図8】本実施形態に係るプレス装置の全体斜視図
【図9】他の実施形態に係るプレス装置の全体斜視図
【符号の説明】
【0043】
1 ヒートブロック
3a 上面
3b 下面
2 挿入孔
3 ブロック
4 加熱ピン
5 コイルヒーター
5a 加熱部
6 温度センサ
7 制御部
8 配線
9 配線溝
10 熱盤
11 熱盤ベース
12 下側断熱材
13 隙間断熱材
14 溝部
16 上側押圧部
17 下側押圧部
18 プレス装置
20 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状に形成されたその下面から上面方向に非貫通に設けられた挿入孔を有する金属製のブロックと、
前記挿入孔に挿脱自在に取付けられた円柱状の加熱ピンと、
コイル状に形成されて前記加熱ピンの外周面に巻き付けられる加熱部を具備するコイルヒーターと、
前記加熱ピンに装着された当該加熱ピンの温度を測定する温度センサと、
前記コイルヒーター、及び、前記温度センサのそれぞれと接続されて予め設定された設定温度に前記加熱ピンの温度を制御する制御部と、
を具備することを特徴とするヒートブロック。
【請求項2】
前記加熱ピンが前記挿入孔に螺合されることを特徴とする請求項1記載のヒートブロック。
【請求項3】
前記ブロックの下面には前記挿入孔から当該ブロックの側面方向に亘って、前記コイルヒーター、及び前記温度センサの配線を通すための配線溝が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートブロック。
【請求項4】
請求項1乃至3記載のヒートブロックを複数並べて形成されて成ることを特徴とする熱盤。
【請求項5】
相隣接する前記ブロックの間に隙間断熱材が介在されることを特徴とする請求項4記載の熱盤。
【請求項6】
複数並べられた前記ヒートブロックのうち、露出する前記ブロックの側面に外側断熱材が設けられることを特徴とする請求項4又は5記載の熱盤。
【請求項7】
複数並べられた前記ヒートブロックの下方に下側断熱材を介して板状に形成されて成る金属製の熱盤ベースが設けられることを特徴とする請求項4乃至6記載の熱盤。
【請求項8】
上側に設けられた上側押圧板と下側に設けられた下側押圧板とで対象物を上下方向から挟み込んで押圧するプレス装置において、
前記上側押圧板、及び、前記下側押圧板に請求項4乃至7記載の熱盤が設けられることを特徴とするプレス装置。
【請求項9】
前記ブロックの上面に金型取付用の取付孔を具備することを特徴とする請求項8記載のプレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−89145(P2010−89145A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263434(P2008−263434)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【特許番号】特許第4359332号(P4359332)
【特許公報発行日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(509112899)カワジリ工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】