説明

ヒートポンプ式蒸気発生方法

【課題】排温水等に残留する熱を吸収し、所要温度の蒸気を効率よく安定して生成することができて省エネルギー化、二酸化炭素排出量の削減に寄与できるヒートポンプ式蒸気発生方法を提供する。
【解決手段】圧縮機1と蒸気発生器4と冷媒用受液器5と第1熱交換器6と第2熱交換器7と膨張弁8と熱回収器9を順に通って冷媒が流れる冷媒回路10と、前記第1熱交換器6を通して前記蒸気発生器4に補給水が供給される給水管路18を備えたヒートポンプ式蒸気発生方法において、上記蒸気発生器4で凝縮した直後の飽和に近い液冷媒を上記冷媒用受液器5内に液面24を設けた状態で貯留するとともに、該冷媒用受液器5内に貯留されている前記液冷媒を前記第1熱交換器6に供給し、該第1熱交換器6内で前記液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して前記補給水を上記飽和温度近くまで加熱し、かつ前記蒸気発生器4内に供給するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ式蒸気発生方法に関するものであり、特に、食品工場等の蒸気を必要とする施設において、ヒートポンプシステムによって排温水や空気から熱を吸収し、蒸気を発生させるヒートポンプ式蒸気発生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品工場等においては、蒸気や温水を必要とする一方で、排温水が排出されているケースが多い。特に、食品加工工場では、蒸気殺菌や加熱及び洗浄の工程において、多量の低圧蒸気や95℃程度の温水を使用しており、これら各工程からは50〜95℃程度の排温水が多量に排出される。
【0003】
これら排温水を低圧蒸気や温水生成のための給水と単に熱交換させて熱回収を行う方法も知られているが、排温水を低圧蒸気や温水生成のための給水と単に熱交換させて熱回収するのみでは、得られる温水の温度が排温水よりも低い。このため、従来より、この排温水を熱源として排温水よりも高温の蒸気や温水にすることができる熱回収式のヒートポンプ装置が各種提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載される従来のヒートポンプ式蒸気発生装置は、圧縮機、凝縮器として作用する蒸気発生用の熱交換器、冷媒用の受液器、温水発生用の熱交換器、減圧装置として作用する膨張弁、蒸発器として作用する排熱回収用熱交換器等が、上記圧縮機から蒸気発生用の熱交換器に至る冷媒吐出配管と、排熱回収用の熱交換器から圧縮機に至る冷媒吸入配管、及び、その他の冷媒配管で環状に接続されて冷媒回路を構成した構造になっている。
【0005】
そして、この従来装置では、例えば45〜90℃の排温水を利用して100〜120℃の蒸気を得る場合(熱回収運転時)、圧縮機で圧縮された高温高圧の冷媒蒸気は、冷媒吐出管を経て蒸気発生用熱交換器に送られ、該蒸気発生用熱交換器において110〜130℃で凝縮して該蒸気発生用熱交換器内の2次側流路を通過する温水に熱を与えて100〜120℃の水蒸気を発生させる。
【0006】
該蒸気発生用熱交換器で発生された蒸気は気液分離器に送られ、蒸気中に含まれる水等の液分は分離され、気相の高温蒸気だけが蒸気供給管によって外部に送り出され、液相の温水は温水戻し管によって蒸気発生用熱交換器に戻され、再び加熱されて蒸気となり、気液分離器へと送り出される。
【0007】
一方、温水発生用熱交換器においては、ポンプの駆動により供給管から供給される例えば25℃の水が、該温水発生用熱交換器の1次側を通過する冷媒との熱交換により60〜95℃に加熱されて温水となり、温水供給管により給湯用として外部に送り出される。
【0008】
また、冷媒は温水発生用熱交換器で水を加熱した後、膨張弁で減圧され、例えば蒸発温度が45〜70℃の低圧の冷媒となり、排熱回収器で排温水管から50〜95℃の排温水と熱交換して蒸発し、冷媒吸入管を経て圧縮機に帰り、該圧縮機で圧縮されて再び高温高圧蒸気となるサイクルを繰り返す。
【0009】
なお、気液分離器において該気液分離器内の液位が低下すると、蒸気発生用熱交換器に温水発生用熱交換器で加熱された60〜95℃の温水が外部からの給湯に切り替わって蒸気発生用熱交換器に供給され、該蒸気発生用熱交換器でさらに加熱されて蒸気とされ、該蒸気が気液分離器へと送り出されて該気液分離器内の液が一定に維持されるようにしてある。
【0010】
一方、特許文献2に記載される従来のヒートポンプ式蒸気発生装置は、冷媒管により、圧縮機、蒸気発生器、第1熱交換器、膨張弁、第2熱交換器を順に接続してなる冷媒回路を備え、前記第2熱交換器にて外部熱源からの熱を吸収し、かつ前記蒸気発生器で蒸気を生成するとともに、前記第1熱交換器にて温水を生成するようにしてなるヒートポンプ式蒸気発生装置である。そして、前記第1熱交換器が、蒸気用の温水を生成する蒸気給水加熱用熱交換器としてなる構造が示されている。しかしながら、この構造では、冷媒用受液器は設けていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−232357号公報。
【特許文献2】特開2007−120914号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した特許文献1に記載の従来技術では、装置が蒸気と温水を同時に発生することが可能な構造になっており、蒸気系統への給水時には温水方向が外部への給湯方向から蒸気系統の給水方向に切り替わるようになっている。しかしながら、このような構造では、蒸気系統への給湯量は、外部への給湯時と比較して小さくなる。このため冷凍サイクルの高圧側冷媒過冷却度は、外部への給湯時と比較して小さくなり、ヒートポンプの加熱能力並びに熱回収能力が減少し、この蒸気系統に給湯を行っている間、装置性能は低下することになる。
【0013】
また、冷媒過冷却度の変化は膨張弁の開度制御の外乱となり、冷凍サイクルの安定性を一時乱す場合がある。そのため、再度安定するまで性能低下や、出力の不安定を生じる原因となる。
【0014】
特許文献2に記載の従来技術では、装置が冷媒用受液器を持たない構造となっている。そのため、第1熱交換器側には、冷媒液と一緒に過冷却冷媒ガスが流れる場合もあり、所要温度の蒸気を効率よく生成することができないという問題点があった。
【0015】
そこで、排温水等の熱を吸収し、所要温度の蒸気を効率よく生成することができて省エネルギー化、二酸化炭素排出量の削減に寄与できるヒートポンプ式蒸気発生方法を提供するために解決すべき技術課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、圧縮機1と蒸気発生器4と冷媒用受液器5と第1熱交換器6と第2熱交換器7と膨張弁8と熱回収器9を順に通って冷媒が流れる冷媒回路10と、前記第1熱交換器6を通して前記蒸気発生器4に補給水が供給される給水管路18を備え、前記補給水を前記第1熱交換器6内で冷媒過冷却の顕熱により温めた後、前記蒸気発生器4内に供給し、該蒸気発生器4内で前記冷媒の凝縮潜熱により蒸気を生成するようにしてなるヒートポンプ式蒸気発生方法において、上記蒸気発生器4で凝縮した直後の飽和に近い液冷媒を上記冷媒用受液器5内に液面24を設けた状態で貯留するとともに、該冷媒用受液器5内に貯留されている前記液冷媒を前記第1熱交換器6に供給し、該第1熱交換器6内で前記液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して前記補給水を上記飽和温度近くまで加熱し、かつ前記蒸気発生器4内に供給するようにしたヒートポンプ式蒸気発生方法を提供する。
【0017】
この方法によれば、冷媒用受液器5内に液面17を設けて貯留されている液冷媒を第1熱交換器6に供給するので、第1熱交換器6内には液冷媒のみが流され、冷媒ガスは流れることがない。したがって、第1熱交換器6内では、液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して、補給水を飽和温度近くまで安定的に加熱し、この加熱した補給水を蒸気発生器4内に供給することができる。また、蒸気発生器4内では、飽和温度近くまで安定的に加熱された補給水が補給されて来ることにより、この補給水を冷媒の凝縮潜熱(冷媒加熱域の顕熱も含む)でさらに加熱して蒸気に変え、多量の蒸気を安定的に生成することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明は、第1熱交換器6内で補給水を液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して飽和温度近くまで安定的に加熱し、この補給水を蒸気発生器4内で冷媒の凝縮潜熱を利用してさらに加熱して蒸気に変えるので、従来方法に比べて蒸気を安定的に生成することができる。また、省エネルギー化、二酸化炭素排出量の削減にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るヒートポンプ式蒸気発生方法を適用した装置の実施例を示す概略構成図。
【図2】本発明の方法による作用の一例を示すモリエル線図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、排温水等の熱を吸収し、所要温度の蒸気を効率良く生成することができて、省エネルギー化、二酸化炭素排出量の削減に寄与できるヒートポンプ式蒸気発生方法を提供するという目的を達成するために、圧縮機1と蒸気発生器4と冷媒用受液器5と第1熱交換器6と第2熱交換器7と膨張弁8と熱回収器9を順に通って冷媒が流れる冷媒回路10と、前記第1熱交換器6を通して前記蒸気発生器4に補給水が供給される給水管路18を備え、前記補給水を前記第1熱交換器6内で冷媒過冷却の顕熱により温めた後、前記蒸気発生器4内に供給し、該蒸気発生器4内で前記冷媒の凝縮潜熱により蒸気を生成するようにしてなるヒートポンプ式蒸気発生方法において、上記蒸気発生器4で凝縮した直後の飽和に近い液冷媒を上記冷媒用受液器5内に液面24を設けた状態で貯留するとともに、該冷媒用受液器5内に貯留されている前記液冷媒を前記第1熱交換器6に供給し、該第1熱交換器6内で前記液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して前記補給水を上記飽和温度近くまで加熱し、かつ前記蒸気発生器4内に供給するようにして実現した。
【実施例】
【0021】
以下、本発明に係るヒートポンプ式蒸気発生方法を適用したヒートポンプ式蒸気発生装置の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下説明するヒートポンプ式蒸気発生装置の構成は、本発明のヒートポンプ式蒸気発生方法を実施する際の一例として示す装置である。したがって、本発明は、以下説明する装置を用いることに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能なものである。
【0022】
図1は、本発明のヒートポンプ式蒸気発生方法を適用したヒートポンプ式蒸気発生装置の概略構成図である。同図において、ヒートポンプ式蒸気発生装置は、圧縮機1を有している。該圧縮機1の吐出側には冷媒管2の一端側が接続され、吸入側には該冷媒管2の他端側が接続されている。該冷媒管2の途中には、前記圧縮機1に続いて、油分離器3、凝縮器である蒸気発生器4、冷媒の液を保有し、内部に液面24を維持することにより、液相を明確に分ける機能を有する冷媒用受液器(レシーバ)5、第1熱交換器である蒸気給水加熱専用熱交換器6(以下、「第1熱交換器6」という)、温水専用熱交換器(以下、「第2熱交換器7」という)、膨張弁8、熱回収器9、が順に接続されている。そして、冷媒管2で接続された、これら圧縮機1、油分離器3、蒸気発生器4、受液器5、第1熱交換器6、第2熱交換器7、膨張弁8、熱回収器9により冷媒回路10が構成され、この冷媒回路10内を冷媒が流れるようになっている。
【0023】
前記蒸気発生器4は、高温・高圧下での信頼性の高い使用を可能にするプレート熱交換器で構成してある。そして、2次側流路であるプレート内に水(温水)を流通させ、1次側流路であるプレート内を流れる冷媒の熱により蒸気を発生させ、発生した蒸気はプレート間をスムーズに流通して蒸気送出管11側へ送り出されるようになっている。
【0024】
その蒸気発生器4の2次側出口には、前記蒸気送出管11が接続されている。また、該蒸気送出管11の他端は、給水用気液分離器12の気相に接続されている。そして、該給水用気液分離器12には、蒸気発生器4からの蒸気が蒸気送出管11を通して送られて来る。その蒸気は、気相に一端が接続された蒸気供給管13を介して該蒸気を必要とする設備、例えば食品工場であれば殺菌装置等に供給される。一方、蒸気中に含まれる水、或いは蒸気の凝縮により液化した水は分離されて該給水用気液分離器12内に貯留されるように構成されている。その給水用気液分離器12内には、該給水用気液分離器12内の液位を検出する液位検出器12aを設けてある。さらに、給水用気液分離器12内には、必要に応じて電熱式のヒータ等が設けられる。
【0025】
また、前記給水用気液分離器12の液相に一端が接続された温水戻し管14の他端は、逆止弁15を介して前記蒸気発生器4の2次側入口に接続されている。そして、前記給水用気液分離器12は、蒸気発生器4よりも高い位置に設けてあって、給水用気液分離器12から蒸気発生器4に戻される温水は、ポンプ等の動力を用いることなく重力によって流れるように構成してある。
【0026】
前記第1熱交換器6の2次側入口には、外部からの給水管16がポンプ17を介して接続されていて、該第1熱交換器6の2次側出口に一端が接続された温水供給管18の他端が逆止弁19を介して温水戻し管14における逆止弁15の下流側に接続してある。前記ポンプ17には、前記液位検出器12aからの液位信号が入力され、給水用気液分離器12内の液位が所定量以下まで減少すると、ポンプ17を駆動させて、蒸気発生器4に給水を行うようになっている。
【0027】
前記第2熱交換器7の2次側には、水道水の供給管20と温水管21が接続されており、供給管20を通って第2熱交換器7に送られて来る水道水を該第2熱交換器7の一次側を流通する冷媒と熱交換して温水とし、温水管21と前記給水管16を通して第1熱交換器6に供給されるようになっている。
【0028】
前記熱回収器9の2次側には、排温水の供給管22と排水管23が接続されていて、排温水の残留熱が該熱回収器9の1次側を流通する冷媒に回収されるようになっている。
【0029】
図2は本装置による動作状態を示したモリエル線図であり、縦軸に圧力P(MPa)、横軸にエンタルピh(kJ/kg)を示している。そこで、次に図1に示した実施例装置の作用について図2に示すモリエル線図と共に説明する。なお、図2中の符号(A)〜(E)は、図1中の符号(A)〜(E)に示す位置での温度例であり、例えば符号(A)では110〜130℃、符号(B)では100〜110℃、符号(C)では55〜100℃、符号(D)では50〜95℃、符号(E)では50〜70℃であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
まず、本実施例における圧縮機1から吐出されて約130℃に昇温された高温高圧のガス冷媒は、油分離器3を経て蒸気発生器4に送られ、該蒸気発生器4においてプレート内を流通する温水と熱交換して凝縮する。このとき、前記温水は、蒸気蒸発器4内で冷媒の凝縮潜熱によって加熱され、蒸気を発生する。一方、蒸気発生器4で凝縮した直後の飽和に近い110〜130℃の液冷媒は受液器5に向けて送り出され、該受液器5に貯留される。
【0031】
なお、蒸気発生器4を通って受液器5内に送られて来る110〜130℃の冷媒は、液状態に変化している冷媒だけでなく、ガス状態の冷媒も混在しているが、本実施例にあっては、液冷媒の液面24が常に受液器5内にある状態にして貯留される。そして、第1熱交換器6には、前記受液器5に貯留された液冷媒だけが常に送り出される形状としている。
【0032】
また、第1熱交換器6に送られて来た110〜130℃の冷媒は、この第1熱交換器6において、ポンプ17の駆動により給水管16から送られて来る、第2熱交換器7で例えば50〜95℃に加熱済みの水(補給水)と顕熱交換をし、該補給水を飽和温度近く(100〜110℃)まで加熱して蒸気発生器4に送る。すなわち、ここでの顕熱交換は、110〜130℃に加熱された液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して、前記補給水を上記飽和温度近くまで加熱し、蒸気発生器4内に供給する。
【0033】
前記蒸気発生器4では、1次側流路を流れる約110〜130℃の冷媒の凝縮潜熱及び顕熱により、2次側流路であるプレートまわりを流通する水が上記飽和温度近くまで加熱されて蒸気を発生させ、ここで発生した蒸気が蒸気送出管13によって外部に送り出される。
【0034】
また、給水用気液分離器12に設けた液位検出器12aからの液位信号により、給水用気液分離器12内に水が所定量以上ある場合には、該給水用気液分離器12から110〜130℃に加熱されている水が逆止弁19、温水戻し管14を介して蒸気発生器4に供給される。これに対し、給水用気液分離器12内の水が所定量以下の場合には、ポンプ17が駆動されて、第2熱交換器7で例えば50〜95℃に温められた供給水が第1熱交換器6及び供給管18、逆止弁19、温水戻し管14を介して蒸気発生器4に供給される。これにより、蒸気発生器4では効率良く蒸気を発生させることができる。
【0035】
一方、第1熱交換器6にて過冷却された冷媒は、第2熱交換器7及び膨張弁7を経て熱回収器9に送られる。そして、第2熱交換器7では、供給管20を通して送られて来る水道水を55〜100℃に加熱する。一方、熱回収器9では供給管22を通して送られて来る排温水等の外部熱源からの熱を回収し、この排温水を冷却するとともに冷媒自身は気化し、圧縮機1の吸入側に戻される。
【0036】
したがって、本実施例のヒートポンプ式蒸気発生装置では、冷媒用の受液器5内に液面24を設けて貯留されている液冷媒を第1熱交換器6に供給するので、第1熱交換器6内には液冷媒のみが流される。また、第1熱交換器6内では、液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して、補給水を飽和温度近くまで加熱し、この補給水を蒸気発生器4内に供給することができる。そして、蒸気発生器4内では、飽和温度近くまで安定的に加熱された補給水が補給されて来ることにより、この補給水を冷媒の凝縮潜熱でさらに加熱して蒸気にし、蒸気を効率良く生成することができることになる。この結果、省エネルギー化、二酸化炭素排出量の削減にも寄与できることになる。
【0037】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上説明したように、本発明は食品工場等の蒸気を必要とする施設以外の場所で、蒸気を発生させる装置にも応用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 圧縮機
2 冷媒管
3 油分離器
4 蒸気発生器
5 受液器(レシーバ)
6 蒸気給水加熱専用熱交換器(第1熱交換器)
7 温水専用熱交換器(第2熱交換器)
8 膨張弁
9 熱回収器
10 冷媒回路
11 蒸気送出管
12 給水用気液分離器
13 液位検出器
13 蒸気供給管
14 温水戻し管
15 逆止弁
16 給水管
17 ポンプ
18 温水供給管(給水管路)
19 逆止弁
20 供給管
21 温水管
22 供給管
23 排水管
24 液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機1と蒸気発生器4と冷媒用受液器5と第1熱交換器6と第2熱交換器7と膨張弁8と熱回収器9を順に通って冷媒が流れる冷媒回路10と、前記第1熱交換器6を通して前記蒸気発生器4に補給水が供給される給水管路18を備え、前記補給水を前記第1熱交換器6内で冷媒過冷却の顕熱により温めた後、前記蒸気発生器4内に供給し、該蒸気発生器4内で前記冷媒の凝縮潜熱により蒸気を生成するようにしてなるヒートポンプ式蒸気発生方法において、
上記蒸気発生器4で凝縮した直後の飽和に近い液冷媒を上記冷媒用受液器5内に液面24を設けた状態で貯留するとともに、該冷媒用受液器5内に貯留されている前記液冷媒を前記第1熱交換器6に供給し、該第1熱交換器6内で前記液冷媒の過冷却顕熱のみを利用して前記補給水を上記飽和温度近くまで加熱し、かつ前記蒸気発生器4内に供給するようにしたことを特徴とするヒートポンプ式蒸気発生方法。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−247156(P2012−247156A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120761(P2011−120761)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(390026974)株式会社東洋製作所 (132)