説明

ビス止め用治具

【課題】壁や天井などに傾くことなく片手でビスを打ち込むことができ、かつ後方からでもビスの挿入程度を視覚的に確認することができるビス止め用治具を提供する。
【解決手段】
第一筒状部材、第二筒状部材、ドライバービット、連結用弾性部材からなるビス止め用治具において、第二筒状部材の外径は第一筒状部材の内径よりも小さく、第二筒状部材が第一筒状部材の空洞内でスライドし、連結用弾性部材は第一筒状部材及び第二筒状部材の外側において両筒状部材を連結するためのものであり、平板状又は筒状であって、第二筒状部材の一端が第一筒状部材の一端内に挿入され両端部が重なった状態で両筒状部材を連結し、ドライバービットの先端が第一筒状部材と第二筒状部材との長手方向の略中間に位置し、回転するように両筒状部材の空洞内に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスやネジの挿入時の落下やずれを防止するために、筒状部材にビスやネジを入れ、押し出してビスを挿入するビス止め用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、壁や天井などにビスやネジを打ち込む際、利き腕でドライバーや電動ドライバー等の工具を持ち、反対の腕でビスやネジを支えて打ち込むといった方法により行われていた。しかしこの方法だと、ビスを支えるときにビスが傾いてしまうと、斜めにビスが打ち込まれてしまうといった問題が生じていた。また、ビスが手から落下してしまい、その都度拾わなければならないといった問題が生じていた。
【0003】
このような問題を解消するため、筒状部材を用いてビスを固定し、ビスが落下することを防止した上で、ドライバー等で打ち込み作業を行うことができる治具が開発されている(例えば特開2000−141239号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−141239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許公開公報に記載の治具によると、ビスがどの程度壁や天井などに挿入されているのか確認をすることができなかった。
建物の施行作業においては、ビスを壁や天井などに打ち込む際、どの程度ビスが挿入されているのか視覚的に把握できることが好ましい。ビスの挿入具合を確認できると、例えば所望の時点でビスの打ち込みを止めることができる。
従来の器具によると、ビスの打ち込み時にビスを横方向から見て、ビスの挿入具合を確認しながら打ち込む必要があった。しかしながら、実際の作業において天井にビス打ちを行う際、横からビスを確認することは不可能であるし、壁や床などに打ち込みを行う際にもいちいちビスを横から眺めて打ち込むなどということは作業効率が悪く、到底行うことは不可能である。
【0006】
そのため、ビスの落下を防止し、ビスを傾くことなく打ち込むことができる治具において、治具の後方からの視点によりビスの挿入程度を把握することができるビス止め用治具の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、壁や天井などにビスが傾くことなくかつ落下することなく片手でビスを打ち込むことができ、かつ後方からでもビスの挿入程度を視覚的に確認することができるビス止め用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明に係るビス止め用治具は、第一筒状部材、第二筒状部材、ドライバービット、連結用弾性部材からなるビス止め用治具において、第二筒状部材の外径は第一筒状部材の内径よりも小さく、第二筒状部材が第一筒状部材の空洞内でスライドし、連結用弾性部材は第一筒状部材及び第二筒状部材の外側において両筒状部材を連結するためのものであり、平板状又は筒状であって、第二筒状部材の一端が第一筒状部材の一端内に挿入され両端部が重なった状態で両筒状部材を連結し、ドライバービットの先端が第一筒状部材と第二筒状部材との長手方向の略中間に位置し、回転するように両筒状部材の空洞内に設けられたことを要旨とする。
【0009】
また、本発明に係るビス止め用治具は前記構成においてさらに、該連結用弾性部材は筒状であり、かつ内径が第一筒状部材の外径よりも大きく、第一筒状部材及び第二筒状部材の表面を覆い、連結用弾性部材の一端が、第一筒状部材の第二筒状部材と嵌合していない端部表面と固着されており、連結用弾性部材の他端が、第二筒状部材の第一筒状部材と嵌合していない端部表面と固着されており、第二筒状部材を第一筒状部材内部に挿入するよう力を加えると連結用弾性部材は外側に湾曲し、かつ力を外すと連結用弾性部材が延伸し第二筒状部材が第一筒状部材から押出され、両筒状部材の端部が重なった状態が維持されることを要旨とする。
【0010】
また、本発明に係るビス止め用治具は前記構成においてさらに、前記連結用弾性部材には長手方向に均等にスリット(切れ目)が一端近傍から他端近傍にかけて設けられており、連結用弾性部材の湾曲に伴いスリット間の連結用弾性部材が帯状となって外側に湾曲することを要旨とする。
【0011】
また、本発明に係るビス止め用治具は前記構成においてさらに、前記ビス止め用治具においてさらに円盤状部材を上部に設けたナットと、ワッシャと、ビット狭着リングとが設けられており、第一筒状部材の第二筒状部材と重合していない端部にナットが固定されており、かつ該ナットの上方には円盤状部材が固着されており、該円盤状部材を内包して平板状のワッシャが遊着されており、該ワッシャは円盤状部材を軸として回転し、ビット狭着リングにはドライバービットを貫通後圧力により固定する貫通孔が設けられており、該貫通孔にドライバービットを通して固定し、かつ該ビット狭着リングの裏面を該ワッシャの表面と固着し、第一筒状部材及びナットが固定された状態で、ナットの上でワッシャ及びドライバービット狭着リングが回転することで、ドライバービットを回転可能としたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るビス止め用治具によると、筒状部材内にビスを挿入した状態でビスを押し出し壁や天井などに打ち込むことができるため、ビスを手で支えておく必要がなく、かつ打ち込み時にビスを落としてしまう、といったことがなくなる。
【0013】
また、本発明に係るビス止め用治具によると、第一筒状部材と第二筒状部材とからなり、両筒状部材の嵌合しない端部どおしを弾性部材で連結し、ビスを押し出す動作に連動して弾性部材が外側に拡がる。従って、ビス止め用治具を後方(ドライバービットの後端側)から見ることで弾性部材の拡がり具合を視認でき、かつ弾性部材の拡がり具合からどの程度ビスが打ち込まれているのか把握することができる。横方向から見なくともビスの打ち込み具合を把握しながらビス打ち作業をすることができる。
【0014】
また、本発明に係るビス止め用治具は、第一筒状部材と第二筒状部材の表面が弾性ゴムからなる弾性部材で覆われるため、衝撃が加えられても弾性部材が衝撃を吸収することで、筒状部材が破損する可能性が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例に係るビス止め用治具の参考斜視図である。
【図2】実施例に係るビス止め用治具の参考斜視図である。
【図3】実施例に係るビス止め用治具の参考縦断面図である。
【図4】実施例に係るビス止め用治具の参考縦断面図である。
【図5】実施例に係るビス止め用治具の使用態様を示す参考断面図である。
【図6】実施例に係るビス止め用治具の使用態様を示す参考断面図である。
【図7】実施例に係るビス止め用治具の使用時の参考平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るビス止め用治具は主に、第一筒状部材と、第一筒状部材よりも若干直径が小さい第二筒状部材と、第一筒状部材と第二筒状部材とを連結する弾性部材と、第一筒状部材及び第二筒状部材の空洞内に回転可能なように設けられるドライバービットとからなる。
【0017】
第一筒状部材、第二筒状部材とも両端が開放されており、それらの直径は使用するビスの頭の直径よりもやや大きいものとする。また、第一筒状部材の直径は第二筒状部材の直径よりもやや大きめとなっており、第一筒状部材の空洞内に第二筒状部材が入る仕組みとなっている。
【0018】
第一筒状部材と第二筒状部材の材質はある程度強度があればどのようなものでも構わない。例えばプラスチックなどの樹脂やアルミなどの金属が考えられる。しかしながら、ビスを筒状部材内に入れて用いるため、外部から筒状部材の内部が確認できることが好ましく、筒状部材は透明であることが好ましい。この点を考慮すると、材質は透明のプラスチックなどが好ましいといえる。
【0019】
第一筒状部材と第二筒状部材とを連結する弾性部材は、可撓性を有しており、曲げると元の状態に戻ろうとする力の働くものであればどのようなものでもよい。例えばゴムなどの樹脂素材が考えられる。
【0020】
第一筒状部材の内部に、1cm程度重なりができるように第二筒状部材を挿入した状態で、第一筒状部材の第二筒状部材を挿入していない側の端部と、第二筒状部材の第一筒状部材に挿入されていない側の端部とを弾性部材で連結する。このとき、弾性部材は曲がっていない状態で各筒状部材の端部に取り付けられる。
弾性部材の形状は第二筒状部材が第一筒状部材から容易に抜けないようにできれば特に限定されないが、例えば細い長方形状の弾性部材を筒状部材の表面に対向して二本又は複数本取り付ける方法が考えられる。また、筒状部材の表面周囲を覆うように弾性部材もまた筒状とし、長手方向に切れ目を複数入れてもよい。
【0021】
弾性部材は通常伸びているが、直径の小さい第二筒状部材を第一筒状部材内に押し込むと、弾性部材は外方向に大きく曲がることとなる。このとき、弾性部材には元の状態に戻ろうとする力が働くため、弾性部材が伸びる動作に対応して、第二筒状部材も外側へと押し出されることとなる。
【0022】
そしてドライバービットが第一筒状部材及び第二筒状部材の空洞内に回転可能として設けられる。ドライバービットの筒状部材内部に位置するビット端部はビスの頭の凹部に対応した形状(一般にプラスやマイナスの形状)になっており、ビットの他端は筒状部材から外側に突出しており、所定の形状になっている。例えば電動ドライバー工具のビット交換部分に着脱できるように六角形としてもよいし、該他端を握って回すことができるよう、太い円筒形状として把持部を設けてもよい。
【0023】
筒状部材内部に位置するドライバービットの先端部は、弾性部材を伸ばした状態でおよそ中間位置にくるように調整することが好ましい。また、筒状部材及び筒状部材を連結する弾性部材は回転せず、ドライバービットのみが回転する構造となっている。
【0024】
実際に本発明に係るビス止め治具を使用する際は、まずビス止め治具の第二筒状部材端部からビスを空洞に挿入する。ビスの頭の凹部を筒状部材の空洞内にあるドライバービット先端に嵌合させる。このとき、ネジの先端が第二筒状部材の端部よりも外側に出ていると、ネジの先端を持ってドライバービット先端に容易に嵌合させることができる。
そしてビスを壁や天井の板などにビスの先端を当て、ドライバービットを電動回転器具又は手動により回転させビスを打ち込む。このときビスは空洞内に収まっているため、手でビスを支えていなくともビスが落下することはない。
【0025】
ビスの挿入により第二筒状部材の端部が壁や天井などに接触し、さらにビスを挿入することで第二筒状部材は第一筒状部材の空洞内に押し込まれていく。このとき、筒状部材を連結するために表面に設けられた弾性部材が外側に大きく湾曲する。
この湾曲の程度をビス止め用治具の後方から見ることで、どの程度第二筒状部材が第一筒状部材に入っているのか分かる。そしてビスの壁や天井等への挿入の程度と第二筒状部材の第一筒状部材の空洞への挿入の程度は連動していることから、どの程度ビスが壁や天井等に挿入されているのか判断することができる。
以上の仕組みにより、本ビス止め用治具を用いることで、後方からでもビスの挿入の程度を視覚的に測ることが可能となる。
【0026】
また、筒状部材の表面を弾性部材で覆うことから、弾性部材自体が保護素材としての役割も果たし、外部からの衝撃を弾性部材が吸収することで、プラスチック等からなる筒状部材が破損しにくくなる。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明に係るビス止め用治具の好ましい第1の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。図1、図2は本実施例に係るビス止め用治具の参考斜視図であり、図3、図4は本実施例に係るビス止め治具の参考縦断面図である。(1)はビス止め用治具、(2)は第一筒状部材、(3)は第二筒状部材、(4)は連結用弾性部材、(5)はドライバービット、(6)はビット連結用ワッシャ、(7)はナット、(8)はビス挿入孔、(9)はドライバービット先端、(10)は第一筒状部材上端、(11)は第一筒状部材下端、(12)は第二筒状部材上端、(13)は第二筒状部材下端、(14)は電動器具取り付け部、(15)連結用弾性部材スリット、(16)はビット狭着用リング、(17)はドライバービット後端、(18)は円盤状部材である。
【0028】
本実施例に係るビス止め用治具(1)は、主に第一筒状部材(2)、第二筒状部材(3)、連結用弾性部材(4)、ドライバービット(5)からなる。また、ドライバービットを第一筒状部材(2)に回転可能なように固定するために、ナット(7)とビット連結用ワッシャ(6)とビット狭着用リング(16)を用いている。
【0029】
図3に示すように、第一筒状部材(2)及び第二筒状部材(3)は細長い円筒状の部材である。第一筒状部材は治具の上部に位置し、第二筒状部材は治具の下部に位置する。また、第二筒状部材の外径は第一筒状部材の内径よりも若干小さい。
本実施例に係るビス止め用治具では、第一筒状部材の直径は約12mmであり、第二筒状部材の直径は約10mmである。ただし、これは使用するビスの頭の直径によって適宜変更すべきものであり、この大きさに限定されるわけではない。頭の直径がより大きなビスを用いる場合は、ビスが入るように筒状部材の直径をビスの頭の直径よりもやや大きいものとすればよい。
各筒状部材の長さは任意であるが、本実施例では約6cm程度のビスを用いることを想定しているため、第一筒状部材の長さは約4cm、第二筒状部材の長さは約5cmとしている。
【0030】
本実施例に係るビス止め用治具では、第一筒状部材をアルミで構成し、第二筒状部材を透明なプラスティックで構成している。第二筒状部材内の空洞にはビスが入るため内部が外から見えることが好ましく、透明なプラスティックを用いており、第一筒状部材内は特に内部が見えなくともよいので、より強度が高いアルミを用いている。
ただしそれぞれの材質はこれらに限定されるものではなく、両方を透明な樹脂素材又は金属素材で構成してもよい。
【0031】
図3に示すように、本実施例に係るビス止め用治具(1)では、第一筒状部材(2)の下端(11)内の空洞に、第二筒状部材(3)の上端(12)が数ミリ程度(5mm程度)挿入された状態で、筒状部材連結用の弾性部材(4)により連結される。
弾性部材は円筒状の部材であり、第一筒状部材と第二筒状部材の表面を覆う形で設けられる。従って、弾性部材の内径は第一筒状部材の外径よりやや大きく、本実施例では約14mm程度である。素材は弾性ゴムを用いている。
ただし素材は弾性ゴムに限定されるわけではなく、可撓性があり、かつ曲げると元の形状に戻ろうとする力が働く素材であればどのようなものでもよい。熱可塑性エラストマーなどを用いてもよい。
【0032】
また、連結用弾性部材(4)の長さは第一筒状部材(2)に第二筒状部材(3)を数ミリ挿入した状態の第一筒状部材上端(10)から第二筒状部材下端(13)までの長さに略等しい。
そして、弾性部材の上端が第一筒状部材の上端(10)表面と固着され、弾性部材の下端が第二筒状部材の下端(13)表面と固着される。
【0033】
図1に示すように、連結用弾性部材(4)には長手方向に所定間隔でスリット(切り目)(15)が入っている。スリットは上端近傍から下端近傍にかけて入っている。スリット数は任意であるが、本実施例では等間隔で6本スリットを入れている。
【0034】
以上の工夫により、図1、図3に示すように、第二筒状部材(3)が第一筒状部材(2)の空洞内に数ミリ挿入された状態で各筒状部材の連結状態が維持される。そして第二筒状部材(3)を第一筒状部材(2)の空洞内へと力を加えて押し込むことで、図2及び図4に示すように、連結用弾性部材(4)はスリットにより分離し帯状となって外側へと湾曲して拡がる。
図2に示すように、この状態ではスリットの間から第二筒状部材(3)の内部を視認することができる。
【0035】
次に、連結用弾性部材(4)は弾性ゴムでできているため、湾曲すると、元の延伸した状態に戻ろうとする力が働く。そのため、第二筒状部材を第一筒状部材内部に押し込む力を外すと、弾性部材は元の延伸した状態に自動的に戻り、それに連動して第二筒状部材も第一筒状部材内部から外へと押し出され、元の状態に戻る。
【0036】
本実施例に係るビス止め用治具(1)では、筒状部材内にドライバービットが回転可能な状態で設けられる。ドライバービットが筒状部材内に回転可能に設けられるのであればどのような方法を用いても構わないが、本実施例では主にビット狭着用リング(16)、ビット連結用ワッシャ(6)、ナット(7)を用いている。
【0037】
まず、図3に示すようにナット(7)が第一筒状部材上端(10)に固着される。固着方法は接着剤を用いる、溶接加工を施すなど既存の任意の方法によればよい。該ナットの上側には薄い円盤状の部材(18)が固着されている。この円盤状部材は回転・移動等、動くことはない。
そして、この円盤状部材を内包してワッシャ(6)が取り付けられる。円盤状部材とワッシャとは完全には固着されず遊着され、ワッシャはナットの上部で回転する。
【0038】
一方、ビット狭着用リング(16)の中心部分にドライバービット(5)が貫通する。ビット狭着用リングはドライバービットを固定できればどのような素材でもよいが、本実施例ではビット狭着用リングに円盤状の弾性ゴムを使用している。ビットを貫通させた部分において弾性ゴムが収縮する力を利用して、ドライバービットがビット狭着用リングに固定され動かないようにしている。
【0039】
そしてドライバービットをビット連結用ワッシャ(6)及びナット(7)に通し、ビット狭着用リング下面とビット連結用ワッシャ上面とを強力接着剤で固着している。
【0040】
以上の仕組みにより、ナット(7)、筒状部材(2、3)及び連結用弾性部材(4)を固定した状態で、ドライバービット(5)、及びドライバービットを保持したビット狭着用リング(16)とビット連結用ワッシャ(6)が回転自在となる。
ドライバービットの先端(9)の位置は用いるビスの長さによって任意に設定すればよいが、第一筒状部材(2)と第二筒状部材(3)とのおよそ中間に位置するように調整することが好ましい。
【0041】
なお、本実施例に係るビス止め用治具では電動ドライバーなどの電動器具の先端に設置して用いることを想定しているため、ドライバービットの後端(17)には電動器具に取り付け可能な取り付け部(14)を設けている。
【0042】
以下、主に図5から図7を参照して本実施例に係るビス止め用治具の使用例につき説明する。図5及び図6は本実施例に係るビス止め用治具の使用態様を示す参考断面図であり、図7は本実施例に係るビス止め用治具の使用時の参考平面図である。(V)はビス、(W)は壁面である。なお、ビス止め用治具のドライバービット後端の電動器具取り付け部(14)には予め図示しない電動ドライバー本体などの電動器具が取り付けられている。
【0043】
まず、ビス(又はネジ等)を第二筒状部材(3)の端部に設けられたビス挿入孔(8)から挿入する。ビスの長さは任意であり、2cm以下の短いビスから5cmを超える長いビスまで利用可能である。
次にビスを筒状部材の空洞内に挿入した状態で、床や天井、壁などビスを打ち込む場所にビスの先端を当てる。図5及び図6では壁面(W)にビスを打ち込む様子を示している。図5に示すように壁面にビスの先端を当てた後、電動器具を作動させ、ドライバービット(5)を回転させる。この回転によりビスが壁面内部に螺入される。
このとき、ビス挿入孔は壁面と並行に位置し、第一筒状部材と第二筒状部材は壁面と垂直に位置するため、ビス挿入孔(8)が壁面に接触した後は、筒状部材がガイドとなってビスを垂直に打ち込むことができる。
【0044】
また、第二筒状部材(3)の外径は第一筒状部材(2)の内径よりも小さいことから、図6に示すようにビスの打ち込みに応じて第二筒状部材は第一筒状部材の空洞内に押し込まれることとなる。
そして最終的にビスが完全に壁面(W)内部に打ち込まれると、そのままビス止め用治具を外せばよい。第一筒状部材と第二筒状部材とを連結する弾性部材(4)が元の状態に戻ろうとして延伸するため、第二筒状部材は自動的に第一筒状部材から押出され、図1、3、5で示す元の使用状態に戻ることとなる。
【0045】
本実施例に係るビス止め用治具における大きな特徴及び利点の一つに、ビスを壁などに打ち込む際、平面視、すなわちドライバービット後端(17)側から見た場合に、連結用弾性部材(4)が放射状に広がる点が挙げられる。
上述の通り連結用弾性部材は円筒状に構成されており、かつ長手方向に一定間隔でスリットが入っているため、弾性部材の両端が接近するにつれてスリット間の弾性部材が外側に湾曲する。本実施例に係るビス止め治具では等間隔で6本のスリットが入っていることから、弾性部材は6枚の帯状平板に分かれて均等に放射状に湾曲することとなる。
【0046】
図7(a)から(c)は、ビスを打ち込む際のビス止め用治具を平面から見た図面である。図7(a)に示すように、ビスを打ち込む前は連結用弾性部材(4)は延伸しているため、ビット狭着用リング(16)に遮られて平面からは見えない。
一方、ビスの打ち込みに対応して弾性部材は湾曲し、放射状に広がり始める。図7(b)は第二筒状部材が半分程度第一筒状部材に挿入された状態を示している。平面から見ると弾性部材は6つの帯状平板に分かれて放射状に伸びている。
そして最終的にビスを完全に打ち込み、第二筒状部材が限界まで第一筒状部材に挿入されると、図7(c)に示すように弾性部材は大きく湾曲し、平面から見た場合に大きく放射状に伸びることとなる。
【0047】
以上の通り、ビス打ち込み作業において平面視、すなわちドライバービット後端側から見るだけで、連結用弾性部材(4)の拡がり具合を確認することで、およそどの程度第二筒状部材が第一筒状部材内に挿入され、どの程度ビスが壁面や天井等に打ち込まれているのか判断することができる。
【0048】
ビスの打ち込みにおいては、ビスを途中まで挿入したい場合や慎重にビスを挿入する必要がある場合など、ビスがどの程度打ち込まれているのか認識できることが好ましい。一方で、従来技術に係る工具や治具等では、横方向から見ない限り、どの程度ビスが挿入されているのか把握できなかった。また、天井や壁の細いスリット内にビスを打ち込まなければならない場合など、横方向からビスを視認できないこともあった。
本実施例に係るビス止め用治具を用いることで、横方向から見なくとも、平面から、すなわちドライバービット後端方向から連結用弾性部材(4)の拡がり具合を見ることで、ビスの打ち込み具合を把握することが可能となる。
【0049】
なお、上記実施形態の記述は本発明をこれに限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ビス止め用治具
2 第一筒状部材
3 第二筒状部材
4 連結用弾性部材
5 ドライバービット
6 ビット連結用ワッシャ
7 ナット
8 ビス挿入孔
9 ドライバービット先端
10 第一筒状部材上端
11 第一筒状部材下端
12 第二筒状部材上端
13 第二筒状部材下端
14 電動器具取り付け部
15 連結用弾性部材スリット
16 ビット狭着用リング
17 ドライバービット後端
18 円盤状部材

V ビス
W 壁面





【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一筒状部材、第二筒状部材、ドライバービット、連結用弾性部材からなるビス止め用治具において、
第二筒状部材の外径は第一筒状部材の内径よりも小さく、第二筒状部材が第一筒状部材の空洞内でスライドし、
連結用弾性部材は第一筒状部材及び第二筒状部材の外側において両筒状部材を連結するためのものであり、平板状又は筒状であって、第二筒状部材の一端が第一筒状部材の一端内に挿入され両端部が重なった状態で両筒状部材を連結し、
ドライバービットの先端が第一筒状部材と第二筒状部材との長手方向の略中間に位置し、回転するように両筒状部材の空洞内に設けられたことを特徴とするビス止め用治具。
【請求項2】
該連結用弾性部材は筒状であり、かつ内径が第一筒状部材の外径よりも大きく、第一筒状部材及び第二筒状部材の表面を覆い、
連結用弾性部材の一端が、第一筒状部材の第二筒状部材と嵌合していない端部表面と固着されており、連結用弾性部材の他端が、第二筒状部材の第一筒状部材と嵌合していない端部表面と固着されており、
第二筒状部材を第一筒状部材内部に挿入するよう力を加えると連結用弾性部材は外側に湾曲し、かつ力を外すと連結用弾性部材が延伸し第二筒状部材が第一筒状部材から押出され、両筒状部材の端部が重なった状態が維持されることを特徴とする請求項1に記載のビス止め用治具。
【請求項3】
前記連結用弾性部材には長手方向に均等にスリット(切れ目)が一端近傍から他端近傍にかけて設けられており、連結用弾性部材の湾曲に伴いスリット間の連結用弾性部材が帯状となって外側に湾曲することを特徴とする請求項2に記載のビス止め用治具。
【請求項4】
前記ビス止め用治具においてさらに円盤状部材を上部に設けたナットと、ワッシャと、ビット狭着リングとが設けられており、
第一筒状部材の第二筒状部材と重合していない端部にナットが固定されており、かつ該ナットの上方には円盤状部材が固着されており、
該円盤状部材を内包して平板状のワッシャが遊着されており、該ワッシャは円盤状部材を軸として回転し、
ビット狭着リングにはドライバービットを貫通後圧力により固定する貫通孔が設けられており、該貫通孔にドライバービットを通して固定し、かつ該ビット狭着リングの裏面を該ワッシャの表面と固着し、
第一筒状部材及びナットが固定された状態で、ナットの上でワッシャ及びドライバービット狭着リングが回転することで、ドライバービットを回転可能としたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のビス止め用治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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