説明

ビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料

【課題】 本発明はビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料に関する。
【解決手段】 ビタミンB1 40〜710mg/kg、ビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kg含有する飼料を、産卵鶏に給餌することで、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料に関する。さらに詳しくは、本発明は飼料中のビタミンB1、ビタミンB12および/またはパントテン酸を強化した飼料を産卵鶏に給餌することにより、鶏卵へのビタミンB12および/またはパントテン酸の移行率を改善し、それらのビタミン類を富化した鶏卵、およびその鶏卵の生産方法、並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
人が健康な身体を維持するためには、炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン類、ミネラル類の栄養素をバランス良く摂取することが必要である。しかしながら現代の多様化した生活パターンによる、無関心、多忙、飽食あるいは逆に節食、などの理由によりこれらの栄養素をバランスよく食物から摂取することが出来なかったり、また高齢者にあっては、食物の摂取量が減じることがあったりして、栄養バランスを維持することが困難な状況が起こり得る。
【0003】
これらの栄養素のうち、ビタミン類は、微量で人および動物における生体内の代謝・生理機能等の生理作用を司り、その欠乏又は過剰によって生体に重大な障害を与えることのある、人および動物にとって必須の物質である。
そして、このビタミン類には、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン、パントテン酸、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKが挙げられるが、なかでもビタミンB1、ビタミンB12、およびパントテン酸が重要な要素である。
【0004】
ビタミンB1は、糖質の代謝、神経機能正常化に関与する物質であり、豚のヒレ肉、タイ、ウナギ、玄米、鶏レバーなどの食物から摂取することができる。
ビタミンB12は、補酵素として様々な反応に関与し、正常な赤血球の生成、神経機能維持に関与する物質であり、牛レバー、シジミ、アサリ、牡蠣、サンマなどの食物から摂取することができる。
【0005】
パントテン酸は、糖質、脂質、たんぱく質の代謝促進に関与する物質であり、牛レバー、鮭、サツマイモ、シイタケなどの食物から摂取することができる。
【0006】
従来、これらのビタミン類を補給するための手段として、これらビタミン類の1種又は数種を組み合わせたビタミン剤、または成人一人当たりのビタミン類の必要量を配合した種々の総合ビタミン剤が販売されている。さらに、これらのビタミン類または栄養素を含有する栄養補助食品(dietary supplimentまたはnutritional suppliment)についても種々のものが販売されている。しかしながら、これらのビタミン剤または栄養補助食品を服用または使用する場合に、服用又は使用管理を厳格に行わないとビタミン類の過剰摂取の危険がある。
【0007】
例えば、ビタミンB1の過剰摂取は、稀に浮腫や脈拍の増加、神経過敏などの症状が表れることがある。
【0008】
一方、ビタミン類などの栄養素を強化した飼料を家禽に給餌し、これらの栄養素を家禽が産卵する家禽卵に移行させ、栄養素が強化された家禽卵を生産する方法と栄養素が強化された家禽卵がこれまでに提案されている。
【0009】
例えば、採卵用家禽にビタミンK1または/およびビタミンK3を10ppm以上含有する飼料を与えて飼育することを特徴とするビタミンK高濃度含有家禽卵の生産方法(特許文献1参照)、白色系卵採卵用鶏にビタミンK3を10〜100ppm含有する飼料を与えて飼育することを特徴とするビタミンK2高含有白色系鶏卵の生産方法(特許文献2参照)などが知られている。
【0010】
しかしながら、これらの文献に記載された方法またはその方法によって生産された鶏卵は、単独の栄養素をそのまま個別に鶏卵に移行させるか、または、産卵鶏の体内で栄養素を変化させて鶏卵に移行させる方法によって栄養を強化された鶏卵または鶏卵の生産法であった。
これに対して、複数のビタミンを飼料中に添加して鶏卵中に移行させようとしても、飼料中に含まれる物質、特にビタミン類による拮抗作用などにより、鶏卵中へ全く移行しなかったり、鶏の体内で代謝をうけて消滅又は変性されたり、移行しても移行量の変動幅が大きくなったりして所望する栄養素の一定量を鶏卵中に含有させることは困難であり、複数のビタミンを効率よく鶏卵に移行させる技術は未だ見出されていなかった。
【0011】
例えば、ビタミンAの場合の鶏卵(1個)中への移行の変動幅は、0.15〜124.8μgREの範囲であり、その他ビタミンD 0.125〜22μg、ビタミンE 0.297〜1.4mg、ビタミンB1 0.038〜0.34mg、リボフラビン0.076〜0.3mg、パントテン酸464〜810μg、ビタミンB12 130〜730μgとかなり変動幅が大きく、これらビタミン類の鶏卵中での含有量のコントロールが困難であることを示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭63−248354号公報
【特許文献2】特開2000−125781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような状況の下、産卵鶏の飼料中のある特定のビタミンを強化することにより、飼料中の他の一ないし複数のビタミンを鶏卵中に効率よく移行させることが出来れば、それらビタミン類を過不足無く、また過剰摂取の恐れ無しに、この鶏卵を食することによって効率よく摂取することができる。したがって、かかる鶏卵とその生産方法、およびその鶏卵を生産するための飼料の解明が求められるところである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、代謝作用や拮抗作用を有することから鶏卵中への移行量の変動幅が大きいビタミン類を、鶏卵中に効率よく移行させた鶏卵およびその生産方法について、鋭意研究の結果、本発明を完成させたのである。
【0015】
そして本発明者らは、ビタミンB1を含有し、さらにビタミンB12および/またはパントテン酸を含有する飼料を産卵鶏に給餌することにより、ビタミンB12および/またはパントテン酸を効率よく富化された鶏卵が生産されることを見出したのである。
すなわち、本発明の産卵鶏に給餌する飼料は、通常の飼料に強化される必須の成分として、ビタミンB1を含有し、さらに、ビタミンB12とパントテン酸の一方、または双方を、強化含有させることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有する飼料を産卵鶏に給餌することにより、ビタミンB12 1.65〜9μg/可食部全卵100g、およびパントテン酸2.6〜7mg/可食部全卵100gのそれぞれを含有する鶏卵が得られることが見出されたのである。
【0017】
すなわち、本発明は、ビタミンB1を含有し、さらにビタミンB12および/またはパントテン酸を含有する飼料を、産卵鶏に給餌することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産する方法に関する。
【0018】
また本発明は、飼料中に、ビタミンB1を含有し、さらにビタミンB12および/又はパントテン酸を含有することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産するための飼料に関する。
【0019】
また本発明は、飼料中に、ビタミンB1を含有し、さらにビタミンB12および/またはパントテン酸を含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化されたことを特徴とする鶏卵に関する。
【0020】
本発明は、特定的には、飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有する飼料を、産卵鶏に給餌することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産する方法に関する。
【0021】
また本発明は、特定的には、飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産するための飼料に関する。
【0022】
また本発明は、上記した特定の範囲のビタミンB1の含有量を有し、さらに上記した特定の範囲のビタミンB12および/またはパントテン酸を含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12 1.65〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸2.6〜7mg/可食部全卵100gを含有する鶏卵に関し、さらに好ましくは、該鶏卵はビタミンB1を0.3〜0.7mg/可食部全卵100g含有することを特徴とする鶏卵に関する。
【0023】
本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜600mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有する飼料を、産卵鶏に給餌することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産する方法に関する。
【0024】
また本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜600mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産するための飼料に関する。
【0025】
また本発明の好ましい特定例では、上記した特定の範囲のビタミンB1の含有量を有し、さらに上記した特定の範囲のビタミンB12および/またはパントテン酸を含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12 1.65〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸2.6〜7mg/可食部全卵100gを含有することを特徴とする鶏卵に関する。
【0026】
また本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜600mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 20〜600μg/kg、および/またはパントテン酸20〜400mg/kgを含有する飼料を、産卵鶏に給餌することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産する方法に関する。
【0027】
また本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜600mg/kgを含有し、さらに飼料中にビタミンB12 20〜600μg/kg、および/またはパントテン酸20〜400mg/kgを含有することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産するための飼料に関する。
【0028】
また本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜600mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 20〜600μg/kg、および/またはパントテン酸20〜400mg/kgを含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12 1.7〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸2.7〜7mg/可食部全卵100gを含有することを特徴とする鶏卵に関する。
【0029】
また本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 20〜600μg/kg、および/またはパントテン酸20〜400mg/kgを含有する飼料を、産卵鶏に給餌することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産する方法に関する。
【0030】
また本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらに飼料中にビタミンB12 20〜600μg/kg、および/またはパントテン酸20〜400mg/kgを含有することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産するための飼料に関する。
【0031】
また本発明の好ましい特定例では、飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 20〜600μg/kg、および/またはパントテン酸20〜400mg/kgを含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12 1.7〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸2.7〜7mg/可食部全卵100gを含有することを特徴とする鶏卵に関し、さらに好ましくは、該鶏卵はビタミンB1を0.3〜0.7mg/可食部全卵100g含有することを特徴とする鶏卵に関する。
【0032】
また本発明のさらに好ましい特定例では、鶏卵中に、ビタミンB1 0.5〜0.7mg/可食部全卵100g、ビタミンB12 6.5〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸5.5〜7mg/可食部全卵100g含有することを特徴とする鶏卵に関する。
【0033】
上記した本発明によれば、ビタミン類のうち、ビタミンB1 と、ビタミンB12および/またはパントテン酸を同時に強化することにより効率よく鶏卵に移行させることが出来る結果、それらのビタミンを通常よりも高濃度に含有する鶏卵を生産することが可能となるという優れた効果を有する。
【0034】
本発明の飼料には、産卵鶏用の飼料として通常使用される飼料(基礎飼料)に必要なビタミン類を添加したものが使用される。この基礎飼料の原料としては、トウモロコシ、マイロ、小麦、大麦、燕麦、ライ麦、玄米、そば、あわ、きび、ひえなどの穀類、米ぬか、トウモロコシぬか、トウモロコシ胚芽などの糟糠類、大豆油かす、きな粉、亜麻仁油かす、パーム核かす、ごま油かす、ひまわり油かす、なたね油かすなどの植物性油かす類、魚粉、フィッシュソリュブル、肉粉、肉骨粉、血粉、脱脂粉乳、カゼイン、乾燥ホエーなどの動物性飼料原料、大豆油、落花生油、やし油、パーム油、タロー、ラードなどの油脂が挙げられる。
【0035】
これらの基礎飼料の原料を適宜の量で配合して産卵鶏用の基礎飼料とするが、本発明によれば、これらの基礎飼料に対して、必要なビタミン類である、ビタミンB1、並びにビタミンB12および/またはパントテン酸が、複数のビタミンの相互作用による鶏卵中への効率的な移行にとって最適な含有量となる量で配合して用いられるのである。
【0036】
すなわち、本発明によれば基礎飼料中に、ビタミン類すなわちビタミンB1、ビタミンB12およびパントテン酸のそれぞれの含有量が、ビタミンB1 40〜710mg/kg、好ましくは40〜600mg/kg、ビタミンB12 10〜600μg/kg、好ましくは20〜600μg/kg、およびパントテン酸10〜400mg/kg、好ましくは、20〜400mg/kgとなるようにこれらのビタミン類を添加して調製する。
【0037】
これらのビタミン類の基礎飼料中の含量が少なすぎると、鶏卵へのビタミン移行率の充分な改善効果が得られないばかりでなく産卵鶏自体の生存率の悪化を招くおそれがある。
また、これらのビタミン類の基礎飼料中の含量が多すぎると、飼料に対する産卵鶏の嗜好性が悪化して飼料摂取量が減少し、鶏卵の生産性の低下を招くおそれがあり、また、産卵鶏飼料としての採算性の点でも問題がある。
【0038】
これらのビタミン類入りの産卵鶏飼料を鶏に少なくとも14日間、好ましくは21日間給餌することによって、本発明の目的とする特定量のビタミン類を含有する鶏卵を得ることができる。
【0039】
本発明の鶏卵を得るための産卵鶏には、特に限定はなく、鶏卵を産生する鶏であれば本発明によってビタミン類の含有量を調製した飼料を給餌することでビタミン類の含有量の富化された鶏卵が得られるが、白色系卵採卵用鶏、褐色系卵採卵用鶏、ピンク系卵採卵用鶏などが好ましく、殊に白色系卵採卵用鶏が好ましい。
【0040】
本発明による飼料を給餌することによって、可食部全卵100g中にビタミンB12 1.65〜9μg/100g、好ましくは1.7〜9μg/100g、さらに好ましくは6.5〜9μg/100g、および/またはパントテン酸2.6〜7mg/100g、好ましくは2.7〜7mg/100g、さらに好ましくは5.5〜7mg/100gのそれぞれを含有する鶏卵を得ることができる。
【発明の効果】
【0041】
上記のとおり本発明により、飼料中のビタミンB1 と、ビタミンB12および/またはパントテン酸を調製したビタミン強化飼料を産卵鶏に給餌することにより、ビタミンB1 、ビタミンB12、およびパントテン酸が富化された鶏卵が得られる。特に、飼料中のビタミンB1を強化することにより、鶏卵へのビタミンB12やパントテン酸の移行率が改善される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
つぎに、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は、本発明を単に説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0043】
表1に示す基礎飼料を基礎飼料−1とし、これをベースとして基礎飼料−2、基礎飼料−3、基礎飼料−4、および基礎飼料−5を調製し、さらに各種ビタミン類を加えて、表2、3に示す量に調製したビタミン強化飼料を用意した。
そして、これらを産卵鶏(ジュリア種206日齢)20羽に、それぞれの飼料を21日間不断給餌し、得られた鶏卵中の各種ビタミンを分析した。
【0044】
【表1】

【0045】
実施例1、実施例2、および比較例1
(ビタミンB1による、ビタミンB12の強化試験)
基礎飼料−1に、ビタミンB12:110μg/kg、ビタミンB1:3.2mg/kgとなるようにビタミンB12とビタミンB1を添加した基礎飼料−2を調製し、さらに、ビタミンB1を、0mg/kg(比較例1)、50mg/kg(実施例1)および150mg/kg(実施例2)添加した時の、鶏卵中ビタミンB1、ビタミンB12の含量の変化を表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例3、および比較例2
(ビタミンB1による、パントテン酸の強化試験)
基礎飼料−1に、パントテン酸70mg/kg、ビタミンB13.2mg/kgとなるようにパントテン酸とビタミンB1を添加した基礎飼料−3に、さらにビタミンB1を、0mg/kg(比較例2)、150mg/kg (実施例3)添加した時の、鶏卵中ビタミンB1、鶏卵中パントテン酸の含量の変化を表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
実施例4、および比較例3
基礎飼料−1に、ビタミンB12:110μg/kg、ビタミンB1:3.2mg/kgとなるようにビタミンB12とビタミンB1を添加した基礎飼料−2を調製し、さらに、ビタミンB1を、0mg/kg(比較例3)および700mg/kg(実施例4)添加した時の、鶏卵中ビタミンB1、ビタミンB12の含量の変化を表4に示す。
【0050】
【表4】

【0051】
実施例5、実施例6、実施例7、および比較例4
基礎飼料−1に、ビタミンB12:20μg/kg、ビタミンB1:3.2mg/kgとなるようにビタミンB12とビタミンB1を添加した基礎飼料−4を調製し、さらに、ビタミンB1を、0mg/kg(比較例4)、50mg/kg(実施例5)、150mg/kg(実施例6)、および700mg/kg(実施例7)添加した時の、鶏卵中ビタミンB1、ビタミンB12の含量の変化を表5に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
実施例8、および比較例5
基礎飼料−1に、パントテン酸70mg/kg、ビタミンB1を3.2mg/kgとなるようにパントテン酸とビタミンB1添加した基礎飼料−3に、さらにビタミンB1を、0mg/kg (比較例5)、700mg/kg (実施例8)添加した時の、鶏卵中ビタミンB1、パントテン酸の含量の変化を表6に示す。
【0054】
【表6】

【0055】
実施例9、実施例10、実施例11、および比較例6
基礎飼料−1に、パントテン酸:20mg/kg、ビタミンB1:3.2mg/kgとなるようにパントテン酸とビタミンB1を添加した基礎飼料−5を調製し、さらに、ビタミンB1を、0mg/kg(比較例6)、50mg/kg(実施例9)、150mg/kg(実施例10)、および700mg/kg(実施例11)添加した時の、鶏卵中ビタミンB1、パントテン酸の含量の変化を表7に示す。
【0056】
【表7】

【0057】
実施例12、実施例13、および比較例7
飼料中のパントテン酸、ビタミンB12及びビタミンB1の含量を以下のとおりに調製した時の、鶏卵中パントテン酸、ビタミンB1、ビタミンB12の変化を表8に示す。
【0058】
【表8】

【0059】
実施例14、および比較例8
飼料中のビタミンB12及びビタミンB1の含量を以下のとおりに調製した時の、鶏卵中ビタミンB1、ビタミンB12の含量の変化を表9に示す。
【0060】
【表9】

【0061】
実施例15、および比較例9
飼料中のパントテン酸及びビタミンB1の含量を以下のとおりに調製した時の、鶏卵中ビタミンB1、パントテン酸の含量の変化を表10に示す。
【0062】
【表10】

【0063】
上記の分析結果から、本発明の、飼料中のビタミンB1 、ビタミンB12、およびパントテン酸を調製したビタミン強化飼料を産卵鶏に給餌することにより、ビタミンB1 、ビタミンB12、およびパントテン酸の各種ビタミン類が、特段に富化された鶏卵が得られることが明らかになった。
特に、飼料中のビタミンB1を強化すると、鶏卵へのビタミンB12や、パントテン酸の移行率が飛躍的に改善されることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料中に、ビタミンB1を含有し、さらにビタミンB12および/またはパントテン酸を含有する飼料を、産卵鶏に給餌することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産する方法。
【請求項2】
飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有する飼料を、産卵鶏に給餌することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
飼料中に、ビタミンB1を含有し、さらにビタミンB12および/またはパントテン酸を含有することを特徴とする、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化された鶏卵を生産するための飼料。
【請求項4】
飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有することを特徴とする請求項3に記載の飼料。
【請求項5】
飼料中に、ビタミンB1を含有し、さらにビタミンB12および/またはパントテン酸を含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12および/またはパントテン酸の含有量が富化されたことを特徴とする鶏卵。
【請求項6】
飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 10〜600μg/kg、および/またはパントテン酸10〜400mg/kgを含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12 1.65〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸2.6〜7mg/可食部全卵100gを含有することを特徴とする請求項5に記載の鶏卵。
【請求項7】
飼料中に、ビタミンB1 40〜710mg/kgを含有し、さらにビタミンB12 20〜600μg/kg、および/またはパントテン酸20〜400mg/kgを含有する飼料を産卵鶏に給餌することによって生産される、ビタミンB12 1.7〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸2.7〜7mg/可食部全卵100gを含有することを特徴とする請求項6に記載の鶏卵。
【請求項8】
鶏卵中に、ビタミンB1を0.3〜0.7mg/可食部全卵100g含有することを特徴とする請求項6または7に記載の鶏卵。
【請求項9】
鶏卵中に、ビタミンB1 0.5〜0.7mg/可食部全卵100g、ビタミンB12 6.5〜9μg/可食部全卵100g、および/またはパントテン酸5.5〜7mg/可食部全卵100g含有することを特徴とする鶏卵。

【公開番号】特開2010−187662(P2010−187662A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6367(P2010−6367)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(399106505)日清丸紅飼料株式会社 (25)
【Fターム(参考)】