説明

ビデオゲーム処理装置、およびビデオゲーム処理プログラム

【課題】ゲームの進行に応じた音響環境の変化に迅速に対応することができるようにする。
【解決手段】ビデオゲーム処理装置100が、仮想空間における聴取音を出力する音響情報として管理する音響管理テーブル12aと、仮想オブジェクト情報を管理する仮想オブジェクト管理テーブル12cと、予め仮想オブジェクトに設定された遮蔽率に対する影響内容が設定された遮蔽率算出オブジェクトに関する情報である遮蔽率算出オブジェクト情報を記憶する遮蔽率算出オブジェクト情報記憶部12cとを備え、音響透過領域が形成されたか否かを判定し、音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトを特定し、特定した遮蔽率算出オブジェクトに従って仮想オブジェクトの形状変化後の遮蔽率を算出して仮想オブジェクト情報を更新し、更新した仮想オブジェクト情報を用いて音響情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタが存在する仮想空間を表示画面上に表示してビデオゲームの進行を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビデオゲーム処理装置におけるサウンドシステム(ゲームの進行に応じて音声を出力するためのシステム)では、仮想空間に音響遮蔽物(以下、遮蔽物と呼ぶ。)が存在する場合、仮想空間における音源により発生する音に対する遮蔽物の影響を考慮して、聴取位置(例えば、プレイヤキャラクタの位置)で聴き取られる音(聴取音)を決定するための処理(音響処理)を実行している。
【0003】
このようなビデオゲーム処理装置には、例えば、仮想三次元空間において、音源オブジェクト、音マーカの仮想空間の位置、仮想三次元空間内の仮想物体の情報および仮想物体の材質に関する情報に応じて音源オブジェクト、音マーカの音響情報を可変制御させ、三次元空間内の所定の位置及び向きで音響が聴取可能な音響信号に形成して音響変換手段に与える音像生成装置を備えたものもある(例えば、特許文献1)。
【0004】
すなわち、従来のビデオゲーム処理装置に採用されるサウンドシステムでは、仮想空間内に音響遮蔽物が存在する場合、遮蔽物が仮想空間における仮想音場へ与える影響(例えば、遮蔽や反響など)を考慮して、聴取位置での聴取音が導出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−289713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のビデオゲーム処理装置で採用されるサウンドシステムにおいては、例えばプレイヤキャラクタの動作に応じて音響遮蔽物の一部が破壊等された場合、遮蔽物全体に対して一から計算をしなおすこととなり、処理負荷が大きくなるという問題があった。特に、3D画像を用いるゲームにおいてはビデオゲーム処理装置にかかる処理負荷がより大きくなるため、リアルタイムでの処理を行うことが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決すべく、ゲームの進行に応じた音響環境の変化に迅速に対応することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のビデオゲーム処理装置は、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタが存在する仮想空間を表示画面上に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、前記仮想空間における所定の聴取位置にて聴き取られる聴取音を前記ビデオゲーム処理装置に備えられた音声出力手段により出力する音響情報として管理する音響管理テーブルと、前記仮想空間に存在する仮想オブジェクトが前記仮想空間における音を遮蔽する割合を示す遮蔽率を含む仮想オブジェクト情報を管理する仮想オブジェクト管理テーブルと、予め前記仮想オブジェクトに設定された遮蔽率に対する影響内容が設定された遮蔽率算出オブジェクトに関する情報である遮蔽率算出オブジェクト情報を記憶する遮蔽率算出オブジェクト情報記憶手段と、前記仮想オブジェクトの形状が変化することにより音を透過する領域である音響透過領域が形成されたか否かを判定する音響透過領域形成判定手段と、該音響透過領域形成判定手段により前記音響透過領域が形成されたと判定されたことに応じて、前記音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトを特定する遮蔽率算出オブジェクト特定手段と、該遮蔽率算出オブジェクト特定手段により特定された遮蔽率算出オブジェクトに従って前記仮想オブジェクトの形状変化後の遮蔽率を算出して前記仮想オブジェクト情報を更新する仮想オブジェクト情報更新手段と、該仮想オブジェクト情報更新手段により更新された仮想オブジェクト情報を用いて、前記音響透過領域による前記聴取音への影響を特定して前記音響情報を更新する音響情報更新手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記の構成としたことで、ゲームの進行に応じた音響環境の変化に迅速に対応することができるようになる。
【0010】
前記仮想オブジェクト情報は、仮想オブジェクトに対応する遮蔽率算出オブジェクトの識別情報と、仮想オブジェクトに対応付けされた遮蔽率算出オブジェクトの数とを含み、前記遮蔽率算出オブジェクト特定手段は、前記音響透過領域に応じた前記遮蔽率算出オブジェクトの数を特定する遮蔽率算出オブジェクト数特定手段を有し、前記遮蔽率算出手段は、前記遮蔽率算出オブジェクト情報と前記遮蔽率算出オブジェクト数とを用いて前記遮蔽率を算出する構成とされていてもよい。
【0011】
前記仮想空間における音源位置と、所定の聴取位置と、仮想オブジェクトの存在位置とから、仮想オブジェクトが前記聴取音を遮蔽する位置にあるか否かを判定する遮蔽判定手段を含み、前記音響情報更新手段は、前記遮蔽判定手段の判定結果に応じて前記聴取音を導出する聴取音導出手段を有する構成とされていてもよい。
【0012】
前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトによる音響への影響をオブジェクト化して配置することにより、音源位置から聴取位置までの音響を導出するための音響空間を構成する音響空間構成手段を含み、前記遮蔽率算出オブジェクトは、前記音響空間構成手段により、前記音響透過領域の形状と比べて面積計算または体積計算が容易な直方体形状または円筒形状のオブジェクトとして前記音響空間に配置される構成とされていてもよい。
【0013】
さらに、本発明のビデオゲーム処理プログラムは、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタが存在する仮想空間を表示画面上に表示してビデオゲームの進行を制御するようにビデオゲーム処理装置に動作制御させるためのビデオゲームプログラムであって、前記ビデオゲーム処理装置に、前記仮想空間に存在する仮想オブジェクトが前記仮想空間における音を遮蔽する割合を示す遮蔽率を含む仮想オブジェクト情報を管理する仮想オブジェクト管理テーブルにて管理される仮想オブジェクト情報が示す仮想オブジェクトの形状が変化することにより音を透過する領域である音響透過領域が形成されたか否かを判定する音響透過領域形成判定処理と、該音響透過領域形成判定処理にて前記音響透過領域が形成されたと判定されたことに応じて、予め前記仮想オブジェクトに設定された遮蔽率に対する影響内容が設定された遮蔽率算出オブジェクトに関する情報である遮蔽率算出オブジェクト情報を記憶する遮蔽率算出オブジェクト情報記憶手段に記憶された遮蔽率算出オブジェクト情報が示す遮蔽率算出オブジェクトのうち、前記音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトを特定する遮蔽率算出オブジェクト特定処理と、該遮蔽率算出オブジェクト特定処理にて特定された遮蔽率算出オブジェクトに従って前記仮想オブジェクトの形状変化後の遮蔽率を算出して前記仮想オブジェクト情報を更新する仮想オブジェクト情報更新処理と、該仮想オブジェクト情報更新処理にて更新された仮想オブジェクト情報を用いて、前記音響透過領域による、前記仮想空間における所定の聴取位置にて聴き取られる聴取音を前記ビデオゲーム処理装置に備えられた音声出力手段により出力する音響情報として管理する音響管理テーブルにて管理される聴取音への影響を特定して前記音響情報を更新する音響情報更新処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゲームの進行に応じた音響環境の変化に迅速に対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ビデオゲーム処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】従来の音響処理と本例における音響処理とで用いられる音響処理の概念の違いを説明するための説明図である。
【図3】一般的な従来の音響処理の概念について説明する説明するための説明図である。
【図4】ビデオゲーム処理装置により実行される音響処理の概念について説明するための説明図である。
【図5】音響情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図6】仮想オブジェクト情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図7】遮蔽率算出オブジェクト情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図8】音響情報更新処理の例を示すフローチャートである。
【図9】遮蔽率算出オブジェクトの配置方法の他の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態を示すビデオゲーム処理装置100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、ビデオゲーム処理装置100は、ゲームプログラム読取部10、制御部11、記憶部12、表示部13、音声出力部14、およびプレイヤ操作受付部15を含む。
【0018】
ゲームプログラム読取部10は、ゲームプログラムが格納された記憶媒体を内蔵するゲームカートリッジ20を着脱可能に受け付ける。ゲームプログラム読取部10は、挿入されたゲームカートリッジ20の記憶媒体から必要なゲームプログラムを読み出す。なお、この実施形態では、ゲームカートリッジ20に内蔵される記憶媒体には、RPGに分類されるビデオゲームプログラムが記憶されているものとする。ただし、ゲームカートリッジ20に内蔵される記憶媒体に記憶されるビデオゲームプログラムが属するジャンルはRPGに限定されず、例えばシミュレーションゲームなど種々のジャンルのものに適用できる。
【0019】
制御部11は、ゲームプログラム読取部10により読み取られたゲームプログラムを実行し、プレイヤの操作に応じてビデオゲームを進行するための各種の制御を実行する機能を有する。特に、本例における制御部11は、仮想空間内に存在するオブジェクト(仮想オブジェクト)の表示や、仮想オブジェクトの表示形態が変化することに応じた音響環境の変更に必要な処理(例えば、音響透過領域の特定、仮想オブジェクトの遮蔽率の算出、プレイヤキャラクタ毎の音響情報の導出など)、および記憶部12が備えた各種管理テーブルにて管理される各種情報の更新処理などに必要な制御を行う。
【0020】
記憶部12は、ビデオゲームを進行する際に必要なゲームプログラムや各種のデータを記憶する記憶媒体である。記憶部12は、例えばRAMなどの不揮発性のメモリによって構成される。記憶部12には、ゲームの進行に従って登録・更新される各種の情報や、ゲームカートリッジ20に内蔵される記憶媒体から読み出されたゲームにおいて使用される各種の情報が格納される。
【0021】
本例では、記憶部12には、音響管理テーブル12aと、仮想オブジェクト管理テーブル12bと、遮蔽率算出オブジェクト情報記憶部12cと、音響空間管理テーブル12dとが含まれる。情報の記憶媒体である各種テーブルや記憶部に格納される各種情報については、後で詳しく説明する。
【0022】
表示部13は、制御部11の制御に従って、ゲーム進行やプレイヤ操作に応じたゲーム画面を表示する表示装置である。表示部13は、例えば、液晶表示装置によって構成される。なお、本例においては、仮想空間を表すゲーム画面が表示され、音響空間は表示されない。ただし、音響空間がゲーム画面として表示される構成とされていてもよい。
【0023】
音声出力部14は、制御部11の制御に従って、ゲーム進行やプレイヤ操作に応じて更新される音響管理テーブル12aに格納された音響情報などに基づいて音声などの音を出力する。
【0024】
プレイヤ操作受付部15は、複数のボタンやマウスなどによって構成されるコントローラからのプレイヤ操作に応じた操作信号を受け付け、その結果を制御部11に通知する。
【0025】
ここで、本例のビデオゲーム処理装置100により実行される音響処理と、一般的な従来のビデオゲーム処理装置により実行される音響処理との違いについて、概念の違いという面から説明を行なう。
【0026】
図2は、従来の音響処理と本例における音響処理とで用いられる音響処理の概念の違いを説明するための説明図である。ここでは、仮想空間において音を遮蔽する機能を有する仮想オブジェクトである遮蔽オブジェクト101を用いて説明を行なう。
【0027】
例えば、遮蔽オブジェクト101を挟んで聴取位置と音源位置とが配置されており、音源から発生する音が遮蔽オブジェクト101により遮蔽されるため聴取位置に届いていないとする。このとき、例えば図2(A)に示すように、ゲームの進行に応じて遮蔽オブジェクト101の一部である変形可能部分102が変形したとする。
【0028】
この場合、従来の音響処理では、先ず、図2(B)に示すように、三角関数などを用いた計算方法により、変更可能部分102が変形(または消滅)したことにより形成された、音を遮蔽しない領域である音響透過領域103の面積(または体積)が算出される。そして、算出された音響透過領域103の面積と、音源位置と、聴取位置とを含む所定の情報から、出力する音を導出していた。
【0029】
一方、本例におけるビデオゲーム処理装置100により実行される音響処理では、先ず、変更可能部分102が変形したことによって生じた音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクト104(予め音響環境に与える影響の計算が完了しているオブジェクト。図7参照。)を特定する。
【0030】
そして、特定された遮蔽率算出オブジェクト104と、音源位置と、聴取位置とを含む所定の情報から、出力する音を導出する。
【0031】
なお、形状変化に対応する遮蔽率算出オブジェクトの特定方法としては、例えば、予め遮蔽オブジェクトの変形態様に応じた遮蔽率算出オブジェクトを対応付けして記憶部12に記憶しておく方法などが考えられる。
【0032】
このような構成とすることにより、従来の音響処理と比べ、少ない処理負荷でリアルな音響環境を提供することができるようになる。また、遮蔽オブジェクトの形状が複雑であっても、新たに計算が必要となるのは変化に対応する部分のみであるため、ゲームの進行に応じて遮蔽オブジェクトである建物などの外観に変化が生じた場合に、遮蔽オブジェクトの形状変化を遮蔽オブジェクト全体に対して1から再計算するような従来の方法と比べて、その演算負荷を小さく抑えることができるようになる。
【0033】
次に、より具体的な例を用いて、一般的な従来のビデオゲーム処理装置により実行される音響処理と、本例のビデオゲーム処理装置100により実行される音響処理との概念の相違ついて説明する。
【0034】
図3は、一般的な従来の音響処理の概念について説明する説明するための説明図である。また、図4は、本例のビデオゲーム処理装置100により実行される音響処理の概念について説明するための説明図である。図3と図4における遮蔽オブジェクト301Aは、「ゲームの進行に応じて受けた衝撃に応じて破壊が進行する壁」であることとする。そして、遮蔽オブジェクト301Aが衝撃を受け、破損部分302Aが生じたとする。この場合、従来の音響処理では、図3(B1)に示すように、遮蔽オブジェクト301Aをゲーム画面に表示させるためのデータである仮想オブジェクトデータ301Bにおける破損部分302Aに応じた部分(破損データ302B)の面積および形状を算出して、音響環境への影響を導出する。
【0035】
そして、図3(A2)に示すように、ゲームの進行に応じて破損部分302Aが破損部分303Aに拡大すると、従来の音響処理では、図3(B2)に示すように、破損部分303Aに対応する破損データ303Bの面積および形状を改めて算出して、音響環境への影響を導出していた。
【0036】
一方、本例におけるビデオゲーム処理装置100では、仮想オブジェクトを表示する仮想空間とは別に、仮想空間の状況(例えば、音源と仮想オブジェクトの配置など)に応じた音響空間(音源から聴取位置までの音響を導出するための空間)が構成されている。
【0037】
すなわち、仮想オブジェクト(例えば、遮蔽オブジェクト301A)をゲーム画面に表示させるための仮想オブジェクトデータ(例えば、仮想オブジェクトデータ301B)とは別に(または、仮想オブジェクトデータの一部として)、仮想オブジェクトに設定された音響への影響をオブジェク化した音響オブジェクトが管理される。すなわち、図4に示すように、遮蔽オブジェクト301Aに対しては、音を遮蔽する仮想オブジェクトであることを示す音響オブジェクト301Cが、仮想空間に対応する音響空間に配置される。
【0038】
そして、遮蔽オブジェクト301Aに破損部分302Aが生じると、制御部11は、図4(C1)に示すように、破損部分302Aによる音響への影響を示す遮蔽率算出オブジェクト302Cを、音響環境における破損部分302Aの位置に対応する位置に配置する。
【0039】
ここで、図4(A2)に示すように、ゲームの進行に応じて破損部分302Aが破損部分303Aに拡大すると、制御部11は、遮蔽率算出オブジェクト302Cを、破損部分303Aに応じた遮蔽率算出オブジェクト303Cに変更する。
【0040】
なお、本例においては、破損部分302A,303Aがそれぞれ音響透過領域である。また、遮蔽率算出オブジェクト302C,303Cがそれぞれ音響オブジェクトである。
【0041】
また、本例においては、遮蔽オブジェクト301Aが、予め遮蔽オブジェクト301Aに設定された遮蔽率の一部が割り当てられたブロック単位で破損する構成とすることにより、容易に破損部分302A,303Aに対応する遮蔽率算出オブジェクト302C,303Cを特定できるようにしている。なお、ここでの「ブロック」の大きさは、仮想オブジェクトの表示態様に合わせて設定される必要はない。
【0042】
すなわち、1つのブロックが破損することにより形成される音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトを予め対応付けて記憶しておくことにより、破損部分に応じたブロック数を特定することで破損部分に対応する遮蔽率算出オブジェクトを特定することができるようになる。
【0043】
このような構成とすることにより、破損部分303Aを示す破損データ303Bの面積を改めて算出する従来の方法に比べて、演算に要する処理負荷を抑えることができるようになる。
【0044】
次に、ビデオゲーム処理装置100の記憶部12に格納される各種情報について説明する。
【0045】
図5は、音響管理テーブル12aにて管理される音響情報の格納状態の例を示す説明図である。ここで、「音響情報」とは、予め聴取位置として決められた位置において、仮想空間に存在する発音物体(音源)で発音される音がどのように聴こえるかを示す情報である。本例においては、図5に示すように、音響情報は、キャラクタを一意に特定するためのキャラクタIDと、聴取音と、プレイヤの操作対象であるキャラクタ(プレイヤキャラクタ)を示す操作フラグとを含む。
【0046】
ここで、「聴取音」とは、仮想空間においてプレイヤキャラクタが聴き取る音を示す情報である。本例においては、プレイヤキャラクタの「耳」に対応して互いに異なる2チャンネルの音を出力するための情報を管理する場合を例に説明を行なう。なお、公知のサラウンドシステムに対応するために、聴取音として3つ以上のチャンネルが設定される構成としてもよい。
【0047】
また、操作フラグとは、複数のキャラクタのうち、プレイヤの操作対象となっているキャラクタを特定するためのフラグである。本例においては、操作フラグが「1」に設定されたキャラクタを「プレイヤキャラクタ」とし、プレイヤキャラクタの位置を聴取位置とする。
【0048】
なお、プレイヤキャラクタが変更した場合に、出力する聴取音を素早く変更するために、制御部11は、後述する音響情報更新処理(図8参照)において、プレイヤキャラクタ以外の音響情報を適宜更新する構成としてもよい。また、この場合、例えばプレイヤキャラクタになる頻度が低いキャラクタの音響情報を更新する優先度を、他のキャラクタに比べて低くする構成としてもよい。
【0049】
図6は、仮想オブジェクト管理テーブル12bにて管理される仮想オブジェクト情報の格納状態の例を示す説明図である。ここで、「仮想オブジェクト情報」とは、仮想空間に存在するオブジェクト(仮想オブジェクト)が有する形状や特性などを示す情報である。本例においては、図6に示すように、仮想オブジェクト情報は、仮想オブジェクトを一意に特定するための仮想オブジェクトIDと、仮想オブジェクトの種類と、仮想空間における仮想オブジェクトの存在位置と、透過位置と、対応する遮蔽率算出オブジェクトを示す遮蔽率算出オブジェクトIDと、遮蔽率算出オブジェクトの数と、遮蔽率とを含む。
【0050】
ここで、本例における仮想オブジェクトの種類には、非遮蔽物と遮蔽物とが含まれるものとする。制御部11は、仮想空間において遮蔽物に属する仮想オブジェクトの形状が変化した場合に、音響透過領域および音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトの特定に必要な処理を行う。
【0051】
また、「透過位置」は、仮想オブジェクトが音を透過する位置を示す情報である。本例においては、仮想オブジェクトの形状が変化することにより形成された音響透過領域(例えば、開けられたドアや貫通したブロックのあった領域)が透過位置となり、音響透過領域を示す座標が記憶される。仮想オブジェクト情報における「存在位置」と「透過位置」とは、制御部11が音響情報を更新するときに使用される(図8参照)。
【0052】
また、遮蔽物に属する仮想オブジェクトには、それぞれ対応する遮蔽率算出オブジェクトが設定されている。そして、後述する音響情報更新処理において、制御部11により、仮想オブジェクトに形成された音響透過領域に応じた遮蔽率算出オブジェクトの数が特定される。なお、本例においては、音響透過領域が、遮蔽率算出オブジェクトに対応する単位で形成されるものとする。
【0053】
また、「遮蔽率」とは、各仮想オブジェクトが音を遮蔽する割合を示す値である。遮蔽率は、各仮想オブジェクトに設定された基礎遮蔽率と、各仮想オブジェクトに対応する遮蔽率算出オブジェクト情報および遮蔽率算出オブジェクト数とを用いて算出される。なお、本例においては、遮蔽率が低いほど音を遮蔽する割合が低くなり、遮蔽率が0%になると、仮想オブジェクトは音源から発生する音に影響を与えないものとして取り扱われるようになる。なお、遮蔽率がマイナスとなる場合、音量を増幅させるものとして取り扱われる構成とされていてもよい。
【0054】
なお、本例における非遮蔽物に属する仮想オブジェクトは、仮想空間において音響に影響しないオブジェクトであるため、遮蔽率が設定されない。ただし、例えばゲームの進行に応じて存在位置が変更することにより、または音源位置や聴取位置が変更することにより、遮蔽物となり得るオブジェクトは「遮蔽物」に分類される。
【0055】
図7は、遮蔽率算出オブジェクト情報記憶部12cにおける遮蔽率算出オブジェクト情報の格納状態の例を示す説明図である。ここで、「遮蔽率算出オブジェクト情報」とは、仮想オブジェクトに設定された遮蔽率に対する影響内容が設定された遮蔽率算出オブジェクトに関する情報である。ここで、遮蔽率算出オブジェクトとは、音響空間に配置される音響オブジェクトの一種である。本例においては、図7に示すように、遮蔽率算出オブジェクト情報は、遮蔽率算出オブジェクトを一意に特定するための遮蔽率算出オブジェクトIDと、形状情報と、音響影響内容とを含む。
【0056】
ここで、「形状情報」とは、遮蔽率算出オブジェクトの基本形状を示す情報である。本例においては、基礎形状として、直方体と円柱があるものとする。遮蔽率算出オブジェクトの基本形状は、対応する音響透過領域の形状と比べて面積計算または体積計算が容易な、直方体形状や円筒形状が設定される。これにより、音響空間の構成を単純化することができる。
【0057】
また、「音響影響内容」とは、遮蔽率算出オブジェクトが対応付けされた仮想オブジェクトの遮蔽率に与える影響内容を示す。なお、本例においては、遮蔽率算出オブジェクトの数に応じて影響内容が変化するので、音響影響内容には、仮想オブジェクトに1つの遮蔽オブジェクトが対応付けされた場合(すなわち、仮想オブジェクトが変形することにより形成された音響透過領域に対応するものとして遮蔽率算出オブジェクトが特定された場合)の影響内容(例えば、「対応付けされた遮蔽物の遮蔽率をマイナス10%にする」など。)と、仮想オブジェクトに対応付けされた数に応じた影響内容(図示せず。例えば、「(マイナス10%)×(対応付けされた数)」など。)が予め設定されているものとする。
【0058】
また、図示しないが、音響空間管理テーブル12dには、仮想空間に対応する音響空間(音源位置から聴取位置までの音響を導出するための空間。)を示す音響空間情報が記憶される。音響空間情報が示す音響空間は、仮想空間に配置された仮想オブジェクトによる音響への影響をオブジェクト化して配置することにより構成される。よって、音響空間情報は、仮想オブジェクトに遮蔽率算出オブジェクトが対応付けされることに応じて更新されることとなる。
【0059】
次に、本例のビデオゲーム処理装置100の動作について説明する。
【0060】
図8は、音響処理の1つとして、ビデオゲーム処理装置100が実行する音響情報更新処理の例を示すフローチャートである。音響情報更新処理では、ゲームの進行に応じて仮想オブジェクトの形状が変化することにより音響透過領域が新たに形成されたときに、音響管理テーブル12aに格納される音響情報を更新するための処理が実行される。なお、本発明に特に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。
【0061】
音響情報更新処理は、例えば、ゲームの進行中、制御部11が、聴取位置から所定範囲内に音源位置と仮想オブジェクトとが存在すると判定した場合に開始される。
【0062】
音響情報更新処理において、制御部11は、先ず、例えばビデオゲーム処理装置100のプレイヤAによる操作入力に応じて、仮想オブジェクトの形状が変化したか否か(すなわち、制御部11が仮想オブジェクトの表示形態を変更する処理を行ったか否か)を判定する(ステップS101)。
【0063】
ここで、仮想オブジェクトの形状が変化したと判定すると(ステップS101のY)、制御部11は、形状変化により音響透過領域が形成されたか否かを判定する(ステップS102)。なお、制御部11は、すでに形成されていた音響透過領域が変形した場合など、音響に影響する事象が起きた場合には、音響透過領域が形成されたものと判定することとする。ここで、形状変化により音響透過領域が形成されていないと判定すると(ステップS102のN)、制御部11は、ステップS101の処理に移行する。
【0064】
一方、形状変化により音響透過領域が形成されたと判定すると(ステップS102のY)、制御部11は、形状変化を受け付けた仮想オブジェクトに応じた遮蔽率算出オブジェクトと、形成された音響透過領域に応じた遮蔽率算出オブジェクト数とを特定する(ステップS103)。
【0065】
次いで、制御部11は、遮蔽率算出オブジェクト情報記憶部12cを参照し、特定した遮蔽率算出オブジェクトに応じた音響影響内容と遮蔽率算出オブジェクト数とから、形状変化後の仮想オブジェクトの遮蔽率を算出する(ステップS104)。
【0066】
遮蔽率を算出すると、制御部11は、仮想オブジェクト情報を更新する(ステップS105)。
【0067】
仮想オブジェクト情報を更新すると、制御部11は、仮想空間における音源位置、聴取位置、および仮想オブジェクト情報における存在位置と透過位置とに従って、聴取音を導出する(ステップS106)。
【0068】
なお、本例においては、制御部11は、先ず、音源位置と聴取位置とを結ぶ直線上に遮蔽オブジェクトがある場合、遮蔽オブジェクトの遮蔽率が音声出力に影響するものと判定する。そして、遮蔽オブジェクトの遮蔽率が音声出力に影響するものと判定すると、制御部11は、音源位置、聴取位置、および透過位置との位置関係に基づいて(例えば、遮蔽率や距離に基づいて音源位置から発音される音の減衰率を算出して)、聴取音を導出する。なお、このとき、音の回折や、複数の音の合成などを考慮する構成としてもよい。
【0069】
聴取音を導出すると、制御部11は、音響情報を更新し(ステップS107)、ステップS101の処理に移行する。なお、音響情報を更新すると、制御部11は、更新した音響情報に応じた音声を、音声出力部14を用いて出力するための処理を行う。
【0070】
なお、音響情報を更新するとき、制御部11が、プレイヤキャラクタの向きに応じて、音響情報における各チャンネルに割り当てる聴取音を調整する処理を行う構成とされることが好ましい。
【0071】
音響情報更新処理は、例えばゲームの終了に応じて終了する。
【0072】
以上に説明したように、上述した一実施の形態では、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタが存在する仮想空間を表示画面上に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置100が、仮想空間における所定の聴取位置(例えば、プレイヤキャラクタの位置)にて聴き取られる聴取音を音声出力部14により出力する音響情報として管理する音響管理テーブル12aと、仮想空間に存在する仮想オブジェクトが仮想空間における音を遮蔽する割合を示す遮蔽率を含む仮想オブジェクト情報を管理する仮想オブジェクト管理テーブル12bと、予め仮想オブジェクトに設定された遮蔽率に対する影響内容が設定された遮蔽率算出オブジェクトに関する情報である遮蔽率算出オブジェクト情報を記憶する遮蔽率算出オブジェクト情報記憶部12cとを備え、仮想オブジェクトの形状が変化することにより音を透過する領域である音響透過領域が形成されたか否かを判定し、音響透過領域が形成されたと判定したことに応じて、音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトを特定し、特定した遮蔽率算出オブジェクトに従って仮想オブジェクトの形状変化後の遮蔽率を算出して仮想オブジェクト情報を更新し、更新した仮想オブジェクト情報を用いて、音響透過領域による聴取音への影響を特定して(例えば、遮蔽率算出オブジェクト情報における音響影響内容と、仮想オブジェクト情報における仮想オブジェクト数とから、形状変化後の仮想オブジェクトの遮蔽率を算出して)音響情報を更新する構成としているので、ゲームの進行に応じた音響環境の変化に迅速に対応することができるようになる。
【0073】
すなわち、例えばゲームの進行に応じて仮想オブジェクトの形状が変化した場合に、予め音響に関する影響が計算された遮蔽率算出オブジェクトを用いて音響情報を更新することができるので、形状変化の度に音響情報を更新するのに必要な処理を1から行うような方法と比べて、音響情報の更新に要する処理負荷を抑えることができるようになる。
【0074】
また、上述した実施の形態では、仮想オブジェクト情報は、仮想オブジェクトに対応する遮蔽率算出オブジェクトの識別情報(例えば、遮蔽率算出オブジェクトID)と、仮想オブジェクトに対応付けされた遮蔽率算出オブジェクト数とを含み、ビデオゲーム処理装置100が、音響透過領域に応じた遮蔽率算出オブジェクトの数を特定し、遮蔽率算出オブジェクト情報と遮蔽率算出オブジェクト数とを用いて遮蔽率を算出する構成としているので、徐々に形状が変化していくような仮想オブジェクトに関して、対応付けする遮蔽率算出オブジェクトの数を変更するだけで遮蔽率を算出することができ、その結果、処理効率を向上させることができるようになる。
【0075】
また、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置100が、仮想空間における音源位置と、所定の聴取位置(例えば、プレイヤキャラクタの位置)と、仮想オブジェクトの存在位置とから、仮想オブジェクトが聴取音を遮蔽する位置にあるか否かを判定し、判定結果に応じて聴取音を導出する構成としているので、仮想オブジェクトの存在を反映させたリアルな聴取音を出力することができるようになる。
【0076】
また、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置100が、仮想空間に配置された仮想オブジェクトによる音響への影響をオブジェクト化して配置することにより、音源位置から聴取位置までの音響を導出するための音響空間を構成し、遮蔽率算出オブジェクトは、音響透過領域の形状と比べて面積計算または体積計算が容易な直方体形状または円筒形状のオブジェクトとして音響空間に配置される構成としているので、聴取音の導出に必要な演算負荷を抑えることができるようになる。
【0077】
なお、上述した実施の形態では、1つの仮想オブジェクトに1つの遮蔽率算出オブジェクトが対応付けされた場合を例に説明を行なった(図6参照)。しかし、仮想オブジェクトと遮蔽率算出オブジェクトの対応関係はこれに限定さない。すなわち、例えば、1つの仮想オブジェクトに複数の遮蔽率算出オブジェクトが予め対応付けされており、形成された音響透過領域の位置などに応じて対応付けされる遮蔽率算出オブジェクトが選択される構成としてもよい。
【0078】
また、複数の仮想オブジェクトに形成された複数の音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトが特定の条件を満たすことにより統合される構成としてもよい。
【0079】
図9は、複数の仮想オブジェクトのそれぞれに形成された音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトが特定の条件を満たすことにより統合される場合について説明するための説明図である(すなわち、遮蔽率算出オブジェクトの配置方法の他の例を説明するための説明図である。)。図9(A)に示すように、仮想オブジェクト901Aに音響透過領域903Aが、仮想オブジェクト902Aに音響透過領域904Aが形成された場合であって、2つの音響透過領域903A,904Aが同一直線上に位置するとする。このような場合に、図9(B)に示すように、仮想オブジェクト901A,902Aに対応する音響オブジェクト901C,902Cに、1つの遮蔽率算出オブジェクト903Cを配置することで、音響透過領域903A,904Aそれぞれに対応する遮蔽率算出オブジェクトを配置する場合に比べて、データ量を抑えることができるようになる。
【0080】
なお、上述した実施形態では、ビデオゲーム処理装置100がゲームカートリッジ20から読み取ったゲームプログラムに基づいて上述したゲーム処理などの各種の処理を実行する構成としていたが、ゲームサーバからインターネットなどの通信ネットワークを介してゲームプログラムを取得するようにしてもよい。また、ビデオゲーム処理装置100がゲームサーバとして機能し、通信ネットワークを介してゲームプログラムをゲーム端末に提供するようにしてもよい。
【0081】
なお、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置100は、自己が備える記憶装置(記憶部12)に記憶されている制御プログラム(ビデオゲーム処理プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【0082】
なお、上述した実施の形態では、仮想オブジェクトが音を遮蔽する場合について説明を行なったが、遮蔽以外にも、例えば、反射、回折、貫通など、仮想オブジェクトが音響与える影響を、遮蔽率と同様に処理する構成としてもよい。この場合、音響透過領域情報に、反射率などが設定されている構成とすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、ゲームの進行に応じた音響環境の変化に迅速に対応することができるビデオゲームを提供するのに有用である。
【符号の説明】
【0084】
10 ゲームプログラム読取部
11 制御部
12 記憶部
13 表示部
14 音声出力部
15 プレイヤ操作受付部
100 ビデオゲーム処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤが操作するプレイヤキャラクタが存在する仮想空間を表示画面上に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、
前記仮想空間における所定の聴取位置にて聴き取られる聴取音を前記ビデオゲーム処理装置に備えられた音声出力手段により出力する音響情報として管理する音響管理テーブルと、
前記仮想空間に存在する仮想オブジェクトが前記仮想空間における音を遮蔽する割合を示す遮蔽率を含む仮想オブジェクト情報を管理する仮想オブジェクト管理テーブルと、
予め前記仮想オブジェクトに設定された遮蔽率に対する影響内容が設定された遮蔽率算出オブジェクトに関する情報である遮蔽率算出オブジェクト情報を記憶する遮蔽率算出オブジェクト情報記憶手段と、
前記仮想オブジェクトの形状が変化することにより音を透過する領域である音響透過領域が形成されたか否かを判定する音響透過領域形成判定手段と、
該音響透過領域形成判定手段により前記音響透過領域が形成されたと判定されたことに応じて、前記音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトを特定する遮蔽率算出オブジェクト特定手段と、
該遮蔽率算出オブジェクト特定手段により特定された遮蔽率算出オブジェクトに従って前記仮想オブジェクトの形状変化後の遮蔽率を算出して前記仮想オブジェクト情報を更新する仮想オブジェクト情報更新手段と、
該仮想オブジェクト情報更新手段により更新された仮想オブジェクト情報を用いて、前記音響透過領域による前記聴取音への影響を特定して前記音響情報を更新する音響情報更新手段とを含む
ことを特徴とするビデオゲーム処理装置。
【請求項2】
前記仮想オブジェクト情報は、仮想オブジェクトに対応する遮蔽率算出オブジェクトの識別情報と、仮想オブジェクトに対応付けされた遮蔽率算出オブジェクトの数とを含み、
前記遮蔽率算出オブジェクト特定手段は、前記音響透過領域に応じた前記遮蔽率算出オブジェクトの数を特定する遮蔽率算出オブジェクト数特定手段を有し、
前記遮蔽率算出手段は、前記遮蔽率算出オブジェクト情報と前記遮蔽率算出オブジェクト数とを用いて前記遮蔽率を算出する
請求項1記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項3】
前記仮想空間における音源位置と、所定の聴取位置と、仮想オブジェクトの存在位置とから、仮想オブジェクトが前記聴取音を遮蔽する位置にあるか否かを判定する遮蔽判定手段を含み、
前記音響情報更新手段は、前記遮蔽判定手段の判定結果に応じて前記聴取音を導出する聴取音導出手段を有する
請求項1または請求項2記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項4】
前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトによる音響への影響をオブジェクト化して配置することにより、音源位置から聴取位置までの音響を導出するための音響空間を構成する音響空間構成手段を含み、
前記遮蔽率算出オブジェクトは、前記音響空間構成手段により、前記音響透過領域の形状と比べて面積計算または体積計算が容易な直方体形状または円筒形状のオブジェクトとして前記音響空間に配置される
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項5】
プレイヤが操作するプレイヤキャラクタが存在する仮想空間を表示画面上に表示してビデオゲームの進行を制御するようにビデオゲーム処理装置に動作制御させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ビデオゲーム処理装置に、
前記仮想空間に存在する仮想オブジェクトが前記仮想空間における音を遮蔽する割合を示す遮蔽率を含む仮想オブジェクト情報を管理する仮想オブジェクト管理テーブルにて管理される仮想オブジェクト情報が示す仮想オブジェクトの形状が変化することにより音を透過する領域である音響透過領域が形成されたか否かを判定する音響透過領域形成判定処理と、
該音響透過領域形成判定処理にて前記音響透過領域が形成されたと判定されたことに応じて、予め前記仮想オブジェクトに設定された遮蔽率に対する影響内容が設定された遮蔽率算出オブジェクトに関する情報である遮蔽率算出オブジェクト情報を記憶する遮蔽率算出オブジェクト情報記憶手段に記憶された遮蔽率算出オブジェクト情報が示す遮蔽率算出オブジェクトのうち、前記音響透過領域に対応する遮蔽率算出オブジェクトを特定する遮蔽率算出オブジェクト特定処理と、
該遮蔽率算出オブジェクト特定処理にて特定された遮蔽率算出オブジェクトに従って前記形状変化を受け付けた仮想オブジェクトの形状変化後の遮蔽率を算出して前記仮想オブジェクト情報を更新する仮想オブジェクト情報更新処理と、
該仮想オブジェクト情報更新処理にて更新された仮想オブジェクト情報を用いて、前記音響透過領域による、前記仮想空間における所定の聴取位置にて聴き取られる聴取音を前記ビデオゲーム処理装置に備えられた音声出力手段により出力する音響情報として管理する音響管理テーブルにて管理される聴取音への影響を特定して前記音響情報を更新する音響情報更新処理とを
実行させるためのビデオゲーム処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−45200(P2012−45200A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190755(P2010−190755)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】