説明

ビデオデータへの上書きによるビデオ配信および制御

ビデオ制作者の創作意図を保護するように、ビデオデータを生成、配信、処理、および表示するためのシステム、装置、および方法を提供する。ビデオデータの処理および表示をガイドするために用いることができるメタデータが、ビデオ配信パイプライン全体を通して動的に生成されて、ビデオデータに埋め込まれる。黒ビデオフレーム、黒マット、もしくは画像を縁取るバー、および/または輝度値がゼロもしくは閾値未満である他の画像領域において、そのクロミナンスデータにメタデータを書き込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオデータの配信および/またはビデオデータの表示制御のためのシステム、装置、および方法に関するものである。いくつかの実施形態により、ビデオデータ・ストリームの中に他のデータを伝送するためのシステム、装置、および方法を提供する。いくつかの実施形態により、ビデオ制作者の創作意図を保護するように、ビデオデータを生成、配信、処理、および表示するためのシステム、装置、および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のビデオ配信パイプライン100の、ビデオ取り込み(capture)からビデオコンテンツ表示までのいくつかのステージを示すフローチャートである。ブロック102で、一連のビデオフレーム101が取り込まれる。ビデオフレーム101は、(例えば、デジタルカメラにより)デジタル的に取り込むか、あるいは(例えば、コンピュータ・アニメーションを用いて)コンピュータにより生成することができ、これにより、ビデオデータ103のストリームが提供される。あるいは、ビデオフレーム101は、フィルムカメラによりフィルムに撮ることもできる。そのフィルムは、デジタル形式に変換されて、これにより、ビデオデータ103のストリームが提供される。
【0003】
ビデオデータ103は、ブロック104でのポストプロダクション編集のために、プロセッサに供給される。ブロック104のポストプロダクション編集は、ビデオ制作者の創作意図に従って、画質を向上させるか、または画像の特定の外観を実現するように、画像の特定領域における色または明度を調整または修正することを含む場合がある。ブロック104では、他の編集(例えば、シーン選択および順序付け、画像トリミング、コンピュータにより生成される特殊視覚効果の付加、など)を実施することもできる。ブロック104のポストプロダクション編集時には、ビデオ画像は、リファレンス・ディスプレイに表示される。
【0004】
ポストプロダクションに続いて、ブロック106で、ビデオデータ103は、表示サブシステムに配信される。図1Aに示すように、ブロック106の配信は、ビデオ配信媒体105(例えば、衛星、ケーブル、DVDなど)を介してビデオデータ103をブロードキャストまたは伝送するためのエンコーダ・ステージ107Aを含んでいる。ブロック106の表示側に、媒体105を介して伝送されたビデオデータ103を復号化するためのデコーダ・ステージ107Bが配置される。表示サブシステムは、ビデオプロセッサとディスプレイとを含むことができる。ブロック108で、ビデオデータ103は、処理および/または復号化のため、ビデオプロセッサに供給される。ビデオデータ103は、ブロック110で一連の画像を鑑賞者に表示するため、ディスプレイに出力される。
【0005】
表示される画像の品質を向上させるため、ビデオデータ103は、それぞれのクロミナンス(chrominance)(色)チャネルのRGB値または彩度値を定義するためのより高いビット深度が支援されるように、ビデオ配信パイプライン100において比較的高いビットレートで処理されることができる。例えば、ビデオデータ103のストリームは、各ピクセルのクロミナンスチャネルのそれぞれについて、8、10、または12ビットのデータを含むことができる。他の実施形態では、ビデオデータ103のストリームは、各ピクセルのクロミナンスチャネルのそれぞれについて、12ビットよりも多くのデータを含むことができる。
【0006】
クロミナンスチャネルのそれぞれに高ビット深度を用いたとしても、表示特性(例えば、輝度範囲、色域など)の違いが、ディスプレイにレンダリングされる画像の外観に影響を与えて、表示される画像がビデオ制作者の創作意図と一致しないことがある。特に、特定の表示サブシステムにレンダリングされる画像の知覚される色または明度は、ブロック104のポストプロダクション編集の際にリファレンス・ディスプレイに表示される画像の色または明度とは異なる場合がある。
【0007】
また、ビデオ配信パイプライン100(図1)のブロック104、108、および110で表されるステージのような、従来のビデオ配信パイプラインの処理または表示のステージにおいて適用される方法は、一般に、ビデオ配信パイプライン100の他のステージで行われた可能性のある処理を考慮することなく、予め設定された方法で実行される。例えば、ビデオデータ103を表示するためのブロック110の方法は、ブロック104のポストプロダクション編集など、ビデオ配信パイプライン100における前の処理ステップがどのように実行されたのかを知らないまま実行されることがある。ブロック110の表示方法は、ブロック104のポストプロダクション編集によって定められるビデオ制作者の創作意図を保護するようにディスプレイに画像をレンダリングするのには適していない場合がある。
【0008】
ビデオ制作者の創作意図を保護するように、ビデオデータを生成、配信、処理、および表示するためのシステム、装置、および方法が、一般に望まれている。下流でのビデオデータの処理および/または表示をガイドするために用いることができる情報を提供するためのシステム、装置、および方法が、一般に望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
メタデータを含むビデオデータを表示サブシステムに提供するためのシステム、装置、および方法を提供する。ビデオデータは、(例えば、衛星、ケーブル、または高解像度ネットワークを介したテレビ放送、IPまたは無線ネットワークを介したストリーミング・マルチメディア、DVDまたは他の記憶媒体からの再生、など)コンテンツ配信のタイプに適したシステム、装置、および方法を用いて表示サブシステムに伝送または提供することができる。具体的な実施形態では、メタデータは、ビデオ配信パイプラインの1つまたは複数のステージで、生成されてビデオデータに書き込まれる。メタデータは、ビデオデータの編集に使用されたリファレンス・ディスプレイの特性、リファレンス・ディスプレイが置かれている環境の特性、編集された画像の特性(例えば、輝度および色域)、表示サブシステムのディスプレイが置かれるビューイング環境の特性などに関する情報を提供することができる。
【0010】
メタデータは、ビデオデータと共に、表示サブシステムなど下流の装置に伝送される。メタデータは、埋め込まれたメタデータが適用されるべきビデオフレームよりも先に伝送されて、これを下流の装置で受信することができる。表示サブシステムにおいて、メタデータを抽出して復号化し、そしてそれを適用することで、表示サブシステムのディスプレイを設定し、さらに/または、そのディスプレイ用にビデオデータを調整するように(例えば、制作者の芸術的意図に適合させるなど)ビデオデータを処理することができる。
【0011】
メタデータは、クロミナンスデータにそのメタデータで上書きすることによって、ビデオデータに挿入することができる。メタデータは、黒ビデオフレーム、画像を縁取る黒マットもしくはバー、または輝度値がゼロもしくは閾値未満である他の低輝度画像領域もしくはピクセルについての、ビデオデータのクロミナンス部分に書き込むことができる。本明細書に記載の方法を用いて、他のタイプのデータを、ビデオデータのクロミナンス部分に書き込むことができる。
【0012】
予約されたビデオ語(例えば、予約されたピクセル値)および/または予約されたメタデータ語(例えば、フレーム開始ヘッダまたはフレーム終了ヘッダ)の意図しない伝達を回避するように、メタデータを符号化する方法を提供する。
【0013】
図面を参照し、以下の詳細な説明を精査することで、上記の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態が明らかになるであろう。
例示的な実施形態を図面の参照図に示している。本明細書において開示する実施形態および図面は、限定するものではなく、例示とみなされるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のビデオ配信パイプラインのステージを示すフローチャートである。
【図1A】図1のビデオ配信パイプラインにおいて実行され得るビデオデータの配信のステージを示すフローチャートである。
【図2A】一連のビデオフレームの配信を示す図であり、具体的な実施形態により、その一部のビデオフレームをメタデータの伝送に用いることができる。
【図2B】具体的な実施形態により、メタデータの伝送に用いることができるビデオデータによって表される領域を含むビデオフレームを示す図である。
【図2C】具体的な実施形態により、メタデータの伝送に用いることができるビデオデータによって表される領域を含むビデオフレームを示す図である。
【図2D】具体的な実施形態により、メタデータの伝送に用いることができるビデオデータによって表される領域を含むビデオフレームを示す図である。
【図2E】具体的な実施形態により、メタデータの伝送に用いることができるビデオデータによって表される領域を含むビデオフレームを示す図である。
【図3A】具体的な実施形態により、メタデータで上書きされ得るクロミナンスデータを含む、映像ダイナミックレンジ(VDR)形式のビデオデータのフレームを示す図である。
【図3B】具体的な実施形態により、メタデータで上書きされ得るクロミナンスデータを含む、非VDR形式のビデオデータのフレームを示す図である。
【図4】ビデオ配信パイプラインを通したビデオデータの流れと、一実施形態によりビデオ制作者の創作意図を保護するようにビデオデータを生成、配信、処理、および表示する方法とを示すフローチャートである。
【図4A】図4のビデオ配信パイプラインで実行され得るビデオデータの配信のステージを示すフローチャートである。
【図5A】具体的な実施形態により、ビデオデータの中にメタデータを符号化する方法を示すフローチャートである。
【図5B】具体的な実施形態により、ビデオデータの中にメタデータを符号化する方法を示すフローチャートである。
【図5C】具体的な実施形態により、ビデオデータの中にメタデータを符号化する方法を示すフローチャートである。
【図6】図5A、5B、または5Cの方法を用いてビデオデータの中に符号化されたメタデータを復号化する一実施形態による方法を示すフローチャートである。
【図7】一実施形態によるメタデータ・パケットを示す図である。
【図7A】図7のメタデータ・パケットをフレーム化するのに用いることができるヘッダを示す図である。
【図8】特定のシーンについてのメタデータを含む一連のビデオフレームの配信と、メタデータの配信に対してビデオフレームが処理されるときを示すタイムラインとを示す図である。
【図9】本明細書に記載の方法のうち1つ以上を実施するのに使用することができる一実施形態によるシステムを模式的に示す図である。
【図10A】ビデオデータの中にメタデータを符号化するのに使用することができる一実施形態によるサブシステムを模式的に示す図である。
【図10B】ビデオデータからメタデータを抽出するのに使用することができる一実施形態によるサブシステムを模式的に示す図である。
【図11】2つの連続するビデオフレームで伝送される、異なるタイプのメタデータを含む一連のメタデータ・パケットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明を通して、より深い理解を当業者に与えるため、具体的詳細について記載する。ただし、開示を不必要に不明瞭にすることがないよう、周知の要素については、詳細に提示または記載していない場合がある。よって、説明および図面は、限定的意味ではなく例示的意味のものとみなされるべきである。
【0016】
実施形態例により、ビデオ配信パイプラインにおいて有用なシステム、装置、および方法を提供する。ビデオ配信パイプラインを通して、メタデータは、ビデオデータの中に書き込まれて、ビデオデータと共に伝送される。メタデータは、例えば、ビデオデータを処理する下流の装置をガイドし、さらに/またはディスプレイでのビデオ再生をガイドするのに役立つものとすることができる。ディスプレイは、テレビ、コンピュータ・モニタ、ラップトップ、携帯電話、またはハンドヘルド・モバイル機器などで提供されているような、フラットパネル・ディスプレイ(例えば、LCD、LED、OLED、高ダイナミックレンジ、またはプラズマ・ディスプレイ)、またはビデオデータを表示することができる他のディスプレイとすることができる。
【0017】
メタデータは、ビデオ取り込み(capture)、ポストプロダクション編集、表示前処理を含むビデオ配信パイプラインの様々なステージにおいて、動的に生成されて、ビデオデータ・ストリームに書き込まれることができる。メタデータは、例えば、ポストプロダクション編集で使用されるリファレンス・ディスプレイの色域および他の特性、画像における光源の位置、変更すべきではない画像の保護されている色、などを含むパラメータを規定することができる。そのようなメタデータは、デコーダおよび/またはディスプレイにより復号化して処理し、そして、ディスプレイでのビデオ再生の制御と向上のためのビデオデータの処理および/または表示管理と設定に用いることができる。メタデータは、ビデオ制作者の創作意図を保護するようにビデオを表示するために、ディスプレイを制御する(さらに/または、そのディスプレイ用にビデオデータを処理する)のに用いることができる。
【0018】
一部のビデオ形式では、ビデオデータは、輝度データとは別に表されるクロミナンス(chrominance)データを含んでいる。本明細書に記載の実施形態によれば、特定のビデオフレームまたはビデオフレームの特定の領域のクロミナンスデータは、メタデータで上書きすることができる。輝度レベルがゼロもしくは閾値未満であるピクセル(または、黒ピクセル・レベルを表すピクセル値)については、表示される画像の外観に実質的に影響を与えることなく、クロミナンスデータを、メタデータ225のビットで上書きすることができる。
【0019】
メタデータは、フィールド、値、ビットなどを含み得るビデオデータのクロミナンス部分またはクロミナンスチャネルに書き込むことができる。図3Aは、メタデータ225で上書きすることができる、VDR形式のデータフレーム10のクロミナンス部分13を示している。図3Bは、メタデータ225で上書きすることができる、YCbCr形式のデータフレーム10のクロミナンス部分(Cr、Cb)13を示している。VDR形式は、同一所有者による“EXTENDEDDYNAMIC RANGE ANDEXTENDED DIMENSIONALITY IMAGE SIGNAL CONVERSIONAND/OR DELIVERY VIALEGACY VIDEO INTERFACES(拡張ダイナミックレンジおよび拡張次元の画像信号の変換および/またはレガシー・ビデオインタフェースを介した配信)”という国際出願PCT/US2010/022700に記載されているビデオ形式であり、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
メタデータは、例えば以下の方法の1つ以上を用いて、ビデオデータの中に保持されることができる。
・ 黒ビデオフレームのビデオデータを、後の(upcoming)シーン、プログラム、または他の一連のフレームに関するメタデータで上書きすることができる。図2Aは、シーン1と2を表示する一連のフレーム90を示している。図2Aに示すように、シーン1のビデオフレーム92とシーン2のビデオフレーム96との間の遷移期間に、1つ以上の黒ビデオフレーム94が表示される。黒ビデオフレーム94は、シーン1と2を分離するために、ポストプロダクション編集の際にビデオデータの中に挿入されたものである場合がある。シーン2のためのメタデータ225を、黒ビデオフレーム94を表すビデオデータのクロミナンス部分に保持することができる。一部の実施形態では、ビデオ配信パイプラインにおける1つ以上のステージで、メタデータを伝送する目的で(図2Aのフレーム94のような)黒ビデオフレームを、シーンの合間またはシーンの途中のビデオデータの中に挿入することができる。
【0021】
・ ビデオフレームを縁取るマットまたは黒バーを表すビデオデータを、後のビデオフレームまたは一連のビデオフレーム(例えば、シーン、プログラムなど)のためのメタデータで上書きすることができる。例えば、一部の実施形態では、ピラーボックス形式(図2B)、レターボックス形式(図2C)、およびウィンドウボックス形式(図2D)などを含む具体的なビデオ形式で、画像84の側方および/または上方および/または下方に表示されるマットまたは黒バー80を表すビデオデータのクロミナンス部分に、メタデータを書き込むことができる。
【0022】
・ 他の低輝度画像領域を表すビデオデータを、後のビデオフレームまたは一連のビデオフレーム(例えば、シーン、プログラムなど)のためのメタデータで上書きすることができる。例えば、メタデータは、ピクセルの輝度値がゼロまたは閾値未満である画像領域を表すビデオデータのクロミナンス部分に書き込むことができる。
【0023】
他の実施形態では、例えばブルースクリーンまたはブルー領域など、色相またはクロミナンスが不変のいずれかの領域についてのクロミナンス部分に、メタデータを書き込むことができる。さらに他の実施形態では、特定のビデオフレームまたは画像領域についての全てのビデオデータ(例えば、輝度データとクロミナンスデータの両方)に、メタデータを書き込むことができる。メタデータ・ヘッダを、予め規定されているようにビデオフレームに(例えば、ビデオデータのクロミナンス部分などに)書き込むことができる。メタデータ・ヘッダは、メタデータが含まれている後続のピクセル数と、メタデータが符号化されているデータの部分(例えば、クロミナンス部分のみに、または輝度部分とクロミナンス部分の両方に、など)とを規定する。下流の装置は、メタデータ・ヘッダを復号化し、そのヘッダ情報を用いてメタデータをビデオデータから復号化および抽出する。下流の装置は、メタデータ・ヘッダを復号化する際に、メタデータを含むビデオフレームの再生をスキップしてもよい。ディスプレイは、ビデオフレームからメタデータを抽出および/または処理する間、前のビデオフレームの再生を繰り返すことができる。一部の実施形態では、メタデータ・ヘッダは、メタデータが抽出されるピクセルの表示再生に用いられるべきピクセル値を規定することができる。
【0024】
図4は、具体的な実施形態による、ビデオ配信パイプライン200を通したビデオデータの流れを示すフローチャートである。ビデオ配信パイプライン200には、図1のビデオ配信パイプライン100に示すものと同様のステージが組み込まれており、よって、図4のビデオ配信パイプライン200では参照符号が「1」ではなく「2」で始まることを除いて、同様のステージを識別するために類似の参照符号を用いている。ビデオ配信パイプライン200の1つ以上のステージにおいて、下流のステージで用いるためのメタデータ225を生成して、ビデオデータ203のストリームに埋め込むことができる。メタデータ225は、ビデオデータを処理する下流の装置をガイドするため、さらに/またはブロック210での表示サブシステムにおけるビデオ再生をガイドするため、ビデオ配信パイプライン200を通してビデオデータ203と共に伝送される。メタデータ225が埋め込まれたビデオデータ203は、(例えば、衛星、ケーブル、または高解像度ネットワークを介したテレビ放送、IPまたは無線ネットワークを介したストリーミング・マルチメディア、DVDまたは他の記憶媒体からの再生、など)ビデオコンテンツ配信のタイプに適したシステム、装置、および方法を用いて、ブロック206において表示サブシステムに配信することができる。
【0025】
図4の実施形態では、ブロック202で、カメラ・メタデータ225Aが生成されて、ビデオデータ203に埋め込まれる。カメラ・メタデータ225Aは、カメラ設定およびビデオフレーム取り込み環境に基づいて生成することができる。カメラ・メタデータ225Aは、例えば、ビデオフレーム取り込み時のカメラ設定のスナップショットを提供するカメラ・パラメータを含むことができる。このようなカメラ・パラメータとして、絞り(Fストップ)、レンズ、シャッター速度、感度(ISOの評価)などを含むことができる。これらのカメラ・パラメータは、ブロック204でのポストプロダクション編集の際の色調整(例えば、色タイミング)またはブロック210での表示設定など、ビデオ配信パイプライン200における後のステップをガイドするために用いることができる。
【0026】
ブロック204において、ポストプロダクション・メタデータ225Bが生成されて、ビデオデータ203に埋め込まれる。ポストプロダクション・メタデータ225Bは、リファレンス・ディスプレイおよび環境のメタデータ225Bと、ソースビデオコンテンツ特性評価(source video content characterization)メタデータ225Bとを含むことができる。ポストプロダクション・メタデータ225Bは、ブロック210での表示設定など、ビデオ配信パイプライン200における後のステップをガイドするために用いることができる。
【0027】
リファレンス・ディスプレイおよび環境のメタデータ225Bは、ブロック204のポストプロダクション編集で用いられるリファレンス・ディスプレイ設定およびスタジオまたはビューイング環境を記述することができる。例えば、リファレンス・ディスプレイおよび環境のメタデータ225Bは、ブロック204のポストプロダクション編集においてビデオデータ203の表示に使用されるリファレンス・ディスプレイに関して、以下のようなパラメータを含むことができる。
【0028】
・ 細かい解像度でのリファレンス・ディスプレイの色調および色域の境界を記述する3次元色域マッピング;
・ リファレンス・ディスプレイの色調および色域の境界を規定するパラメータの縮小セット(これは、3次元色域マッピングを推測するために用いることができる);
・ それぞれのクロミナンスチャネルについてのリファレンス・ディスプレイの色調応答を記述するシステム色調応答パラメータ;
・ および/または類するもの。
【0029】
リファレンス・ディスプレイおよび環境のメタデータ225Bは、さらに、ブロック204のポストプロダクション編集においてリファレンス・ディスプレイでビデオコンテンツの色タイミング調整または編集が行われたスタジオ環境を記述するパラメータを含むこともできる。このようなパラメータとして、周辺輝度および周辺色温度を含むことができる。
【0030】
ソースビデオコンテンツ特性評価メタデータ225Bは、ポストプロダクション編集されたビデオコンテンツを記述することができ、以下のものを識別または提供し得る情報を含んでいる。
【0031】
・ 画像における光源の、または画像における反射または発光オブジェクトの、位置マップ;
・ ビデオソース・コンテンツの色域;
・ 意図的にリファレンス・ディスプレイの色域外に色タイミング調整された画像の領域;
・ ビデオプロセッサによる表示前処理の際、または表示設定の際に変更すべきではない保護された色;
・ 輝度または色域に関して画像を特徴付ける画像ヒストグラム(例えば、このような情報は、下流の装置によって、色調および色域マッピングを向上させるために平均輝度を求めるのに用いることができる);
・ 前のビデオフレームからの統計またはヒステリシスがもはや有効ではないことを下流の装置に警告するための、シーン変更またはリセットのフラグ;
・ 下流の装置によって、光源位置マップと組み合わせて、色調および色域マッピングを導くのに用いることができる、動いているオブジェクトを識別するようにビデオコンテンツを特徴付けるモーション・マップ;
・ 色タイミング調整されたコンテンツのソースの表示(例えば、カメラから直接、またはポストプロダクション編集);
・ デコーダ/テレビまたは他のディスプレイなどの下流の装置を制御するために用いることができる、ディレクタの創作意図の設定。例えば、そのような設定として、ディスプレイを特定のモード(例えば、ビビッド、シネマ、スタンダード、プロフェッショナル、など)で動作させるように制御することを可能にする表示モード制御、適切な色域または色調マッピングなどを決定するために用いることができるコンテンツ・タイプ(例えば、アニメーション、ドラマ、スポーツ、ゲーム、など)、色調マッピング(例えば、ディスプレイでの色調拡張をガイドするために用いることができるカスタマイズされた色調マッピング・パラメータまたは曲線)、色域マッピング(例えば、ディスプレイでの色域拡張をガイドするために用いることができるカスタマイズされた色域マッピング・パラメータ)、を含むことができる;
・ および/または類するもの。
【0032】
ビデオデータ203は、ブロック206で表示サブシステムに配信される。図4Aに示すように、ブロック206の配信は、衛星、ケーブル、または高解像度ネットワーク、IPまたは無線ネットワーク、DVDもしくは他の記憶媒体など、ビデオ配信媒体205を介してビデオデータ203を配信、ブロードキャスト、または伝送するためのエンコーダ・ステージ207Aを含むことができる。ブロック206の表示側に、媒体205を介して配信されたビデオデータ203を復号化するためのデコーダ・ステージ207Bを設けることができる。デコーダ・ステージ207Bは、例えば、セットトップ・ボックスによって、または表示サブシステム内のデコーダによって、実現することができる。ブロック206および/または208では、ビューイング環境メタデータ225Cおよび/または他のメタデータ225をビデオデータ203に埋め込むことができる。ビューイング環境メタデータ225Cは、例えば、以下のものを含むことができる。
【0033】
・ リファレンス・モニタの色調マッピングもしくは色域曲線、またはリファレンス環境の周辺輝度を提供する、高度ビデオ符号化(AVC:AdvancedVideo Coding)VDRエンコーダ・データ。この情報の少なくとも一部は、デコーダ・ステージ207Bで(またはビデオプロセッサにより)、表示サブシステムの(例えば、ディスプレイの拡張ディスプレイ識別データ(EDID:ExtendedDisplay Identification Data)を読み取ることによる)表示特性および環境の情報によって決定することができる。実施形態によっては、この情報の少なくとも一部が、ビデオデータのポストプロダクション処理の際のスタジオで決定されることがある。
【0034】
・ 表示サブシステムのディスプレイが置かれる環境を記述するパラメータ。このようなパラメータとして、例えば、周辺の輝度および/または色調もしくは色温度を含むことができる。
ビューイング環境メタデータ225Cは、ブロック208でのビデオデータ処理および/またはブロック210での表示設定をガイドするために用いることができる。
【0035】
表示サブシステムは、ブロック208で受信ビデオデータ203を処理するためのビデオプロセッサを備えている。表示サブシステムのビデオプロセッサは、ビデオデータ203から抽出したメタデータ225(例えば、メタデータ225A)および/または表示サブシステムのディスプレイに関する既知の表示特性に基づいて、ビデオデータ203に対する信号処理を実行することができる。表示特性評価パラメータ226および/またはメタデータ225に従って、そのディスプレイ用にビデオデータ203を処理および調整することができる。
【0036】
ブロック206および/または208、あるいはビデオ配信パイプライン200の他のステージにおいて、ビデオデータ203に埋め込むことができる他のメタデータ225として、例えば、以下のような(頒布権などを管理するための)ハウスキーピング・メタデータ225Dが含まれる。
【0037】
・ ビデオコンテンツがどこで生成、配信、変更されたのかなどを示す透かしデータ;
・ 検索または索引付けを目的としたビデオコンテンツの記述などを提供するフィンガープリント・データ;
・ ビデオコンテンツの所有者、および/またはそのアクセス権を持つ者を示す保護データ;
・ および/または類するもの。
【0038】
ビューイング環境メタデータ225Cは、表示サブシステムのディスプレイに関する表示特性評価パラメータ226に少なくとも部分的に基づいて、生成することができる。一部の実施形態では、ビューイング環境メタデータ225C、ソースビデオコンテンツ特性評価メタデータ225B、および/またはハウスキーピング・メタデータ225Dは、エンコーダ・ステージ207A、デコーダ・ステージ207Bでのビデオデータ203の分析によって、さらに/またはブロック208でビデオプロセッサによって、生成または提供することができる。
【0039】
ブロック210では、表示サブシステムのディスプレイにおいて表示設定を行うことができる。表示設定のための適切なパラメータは、表示特性評価パラメータ226、および/またはカメラ・メタデータ225A、ポストプロダクション・メタデータ225B(リファレンス・ディスプレイおよび環境のメタデータ225B、ソースビデオコンテンツ特性評価メタデータ225Bを含む)、ビューイング環境メタデータ225Cなどのメタデータ225に基づいて、決定することができる。ディスプレイは、それらのパラメータによって設定される。ビデオデータ203は、ディスプレイに出力される。
【0040】
ブロック208でのビデオデータ203の処理およびブロック210での表示設定に用いられるメタデータ225は、(ビデオプロセッサおよびディスプレイを含む)表示サブシステムにおいてメタデータ225がその適用に先立って受信されるように、ビデオデータ・ストリームの中に伝送される。一部の実施形態では、メタデータ225は、メタデータ225が適用されるべきフレームよりも少なくとも1ビデオフレーム前に、表示サブシステムによって受信されるように、送られる。一部の実施形態では、メタデータ225は1ビデオフレーム前に送られて、ブロック208および/または210でのメタデータ225の適用は、受信ビデオストリームに新しいビデオフレームを検出することでトリガすることができる。
【0041】
具体的な実施形態において、ビデオ配信パイプライン200のシステムおよび/または装置は、メタデータ構造を定義するメタデータ・プロトコルに準拠している。図7は、具体的な実施形態によるメタデータ構造すなわちメタデータ225のパケット250を示しており、これは、例えば、図4のビデオ配信パイプライン200のブロック202、204、206、または208のいずれかにおいて生成されて、パイプラインの下流に伝送され得るものである。パケット250は、ヘッダによってフレーム化されている。図7に示す実施形態では、パケット250は、以下のフィールドを含んでいる。
【0042】
・ フレーム開始ビットセットによってヘッダを規定するフレーム開始(SOF:StartOf Frame)ヘッダ252;
・ ペイロードの中のメタデータのタイプ(例えば、色域パラメータ、シーン変更フラグ、画像ヒストグラム、など)と、後に続くメタデータの形式またはパターンとを規定するパケットタイプ254;
・ フレーミング構造の設定可能な部分を規定するCFGビット256(例えば、CFGビット256は、パケットについてのタイムスタンプが有効であるかどうかと、タイムスタンプの適用の仕方について規定することができる);
・ 長さが可変の場合があるメタデータ・ペイロード258;
・ フレーム終了ビットセットによってヘッダを規定するフレーム終了(EOF:EndOf Frame)ヘッダ260;
・ メタデータ・ペイロード258のデータがいつ適用されるべきか(例えば、メタデータ・パケット250を受信した後のビデオフレームまたはシーンの特定の数、または他の何らかの以後の遅延)を示すタイムスタンプ262(オプション);
・ メタデータ・パケット250の検証を可能にする、例えば、巡回冗長検査(CRC:CyclicRedundancy Check)値264などのチェックサム。
【0043】
図7Aは、図7に示すようなメタデータ・パケット250の開始(すなわちSOFヘッダ252)または終了(すなわちEOFヘッダ260)を規定するために使用することができるヘッダ270を示している。図示の実施形態では、所定のパターン272の複数のビットで、ヘッダ270は開始する。ペイロード終了(EOP:EndOf Payload)フラグまたはビット266と、SOF/EOFフラグまたはビット268(例えば、0/1)で、ヘッダ270は終了する。SOF/EOFフラグ268は、ヘッダ270が、SOFヘッダ252であるか、EOFヘッダ260であるかを定めている。EOPフラグ266は、EOFフラグ268が設定されている場合のみ有効とすることができる。EOPフラグ266を設定することは、メタデータ・パケット250がメタデータ・ペイロードの最後の部分を含んでいることを示している。EOPフラグ266によって、メタデータ・ペイロードを、ビデオフレームにまたがって分割することができる幾つかのメタデータ・パケット250に分割することが可能となる。
【0044】
EOPフラグ266によって、図11に示すように、異なるタイプのメタデータを保持するパケットを、複数のビデオフレームによって伝送することが可能となる。パケットに保持されているメタデータのタイプは、ヘッダの中のパケットタイプ254によって示すことができる(図7参照)。図示の例では、タイプAのメタデータを保持する第1のパケット380が、ビデオフレーム1のビデオデータに埋め込まれる。タイプAのメタデータをビデオデータ・ストリームに埋め込んでいる間に、メタデータ・タイプAよりも高い優先度を有するタイプBのメタデータを受信する。タイプBのメタデータを優先させて、タイプAのメタデータの伝送を中断するため、第1のパケット380を終了させるようにEOFフラグを設定する(ただし、伝送されるべきタイプAのメタデータが残っているので、EOPフラグは設定されない)。そして、タイプBのメタデータを保持する第2のパケット382を、ビデオフレーム1のビデオデータに埋め込むことができる。図示の例では、ビデオフレーム1は、タイプBのメタデータをすべて伝送するのに十分なクロミナンス部分を有していない。そこで、ビデオフレーム1の終わりにあたって、第2のパケット382の終わりを示すためのEOFフラグが設定される(ただし、伝送されるべきタイプBのメタデータが残っているので、EOPフラグは設定されない)。残りのタイプBのメタデータを保持する第3のパケット384は、ビデオフレーム2のビデオデータに埋め込むことができる。第3のパケット384は、パケットの終わりと、タイプBのメタデータのメタデータ・ペイロードの終わりを示すように、EOFフラグとEOPフラグで終了させることができる。その後、タイプAのメタデータの伝送を再開することができる。図示の例では、(タイプBのメタデータを埋め込む際に保存された)残りのタイプAのメタデータが全て取り出され、ビデオフレーム2のビデオデータに埋め込まれるメタデータの第4のパケット386の中に保持される。第4のパケット386は、パケットの終わりと、タイプAのメタデータのメタデータ・ペイロードの終わりを示すように、EOFフラグとEOPフラグで終了させることができる。
【0045】
ビデオ配信パイプライン200のブロック202、204、206、または208の1つ以上において、メタデータ225を生成し、ビデオデータに書き込むことができる。メタデータは、パイプラインを通して、ビデオデータと共に伝送される。メタデータは、(表示サブシステムなど)下流の装置によって、ビデオデータの処理、および/またはビデオフレームシーケンスのビデオ再生のためのディスプレイの設定に適用することができる。
【0046】
メタデータは、ビデオ配信パイプラインにおける下流の装置に、そのメタデータがそのような下流の装置によって適用されるべき特定のビデオフレームまたはフレームシーケンスに先立って、伝送される。具体的な実施形態では、後のシーンまたはプログラムのためのメタデータが、そのようなシーンまたはプログラムに先立つ1つまたは複数のビデオフレームによって伝送される。
【0047】
一部の実施形態では、メタデータは、下流の装置(例えば、ビデオデコーダ、プロセッサ、またはディスプレイ)によってそのメタデータがビデオデータの処理またはディスプレイの管理または設定のために適用されるべき時を示すタイムスタンプと共に、伝送される場合がある。タイムスタンプは、メタデータを受信した後の特定の数のビデオフレームの時点でメタデータが適用されるべきであることを示すフレーム遅延によって規定することができる。他の実施形態では、タイムスタンプは、時間遅延、フレームシーケンス番号、ビデオの開始からの相対時間などによって規定される場合がある。
【0048】
図8は、メタデータが処理および適用される時点に先立って、ビデオ配信パイプラインを通して伝送され、下流の装置(例えば、ビデオプロセッサ、デコーダ、および/またはディスプレイ)により受信されるメタデータ225を示している。図示の例では、ビデオの新しいシーンがビデオフレーム#5で開始し、そのシーンに適用することができるメタデータをビデオフレーム#3と#4で伝送する。このように、下流の装置が、ビデオフレーム#5で始まる新しいシーンのビデオデータを受信して処理を開始する時点までには、下流の装置は、そのシーンに適用するための(ビデオフレーム#3と#4に保持された)メタデータを既に受信している。ビデオフレーム#5での新しいシーンの開始を検出することで、メタデータの適用をトリガすることができる。ビデオフレーム#3および#4は、輝度値がゼロとなるピクセルを有する黒い遷移フレームである場合がある。ビデオフレーム#3および#4のクロミナンスデータは、ビデオ再生のときの黒ビデオフレームの外観に実質的に影響を与えることなく、メタデータで上書きすることができる。
【0049】
図5A、5B、および5Cに示す方法のうち1つ以上を用いて、ビデオデータの中にメタデータを符号化することができる。図5A、5B、および5Cの方法を適用することで、輝度データとは別にクロミナンスデータが表されるビデオ形式で符号化されたビデオデータのクロミナンス部分にメタデータを書き込むことができる。例えば、つぎの色空間によって符号化されたビデオデータは、別個のクロミナンス成分を有している:LUV、YCbCr、YUV、YCC、HLS、HSV、CIELAB、など。図5A、5B、および5Cの方法を用いてメタデータを伝送することができ、これは、続いて、ビデオ配信パイプラインにおける下流の装置によって、ビデオデータを処理するため、および/または特定のシーンもしくは一連のフレーム用にディスプレイを設定するために、適用される。図5A、5B、または5Cの方法のいずれかを用いて符号化されたメタデータは、図6に示す方法を用いて、ビデオデータから抽出することができる。
【0050】
図5Aは、黒ビデオフレームの中にメタデータを符号化する方法300を示している。方法300は、表示される次のシーン(または、別の一連のフレーム)のためのメタデータをブロック302で受信することで開始する。方法300は、ブロック304に進んで、次のシーンの前にある黒ビデオフレームを見つける。ブロック302のメタデータを伝送するために黒ビデオフレームが利用可能であるとブロック306で判断される場合、メタデータは、ブロック308で黒ビデオフレームの中に書き込まれる。メタデータは、そのようなビデオフレームを表すビデオデータのクロミナンス部分に書き込むことができる(例えば、メタデータ225で上書きされるクロミナンス部分13を有するデータフレーム10を示す図3Aおよび3Bを参照)。一方、利用可能な黒ビデオフレームがない場合には、方法300は、ブロック310に進んで、メタデータを符号化する別の方法を適用する。方法300のブロック310では、図5Bまたは5Cに示す方法のいずれか、または(例えば、一部のビデオ形式で見られるマットまたは黒バー80を表すビデオデータのクロミナンス部分にメタデータを符号化する方法など)他の方法を適用することができる。例えば、テレビ放送では、コマーシャルは、ピラーボックスまたはレターボックス形式で表示されることがある。よって、コマーシャル放送に続くシーンのためのメタデータは、放送のコマーシャル部分のピラーボックス/レターボックスの黒画像領域のクロミナンス部分に挿入することができる。メタデータは、メタデータがいつ適用されるべきかを特定するタイムスタンプを含むものであってもよい。
【0051】
図5Bは、他の実施形態により、メタデータを符号化する方法320を示している。この方法320は、方法300のブロック306でメタデータの伝送に利用可能な黒ビデオフレームが次のシーンの前にないと判断される場合に、方法300のブロック310で適用することができる。方法320は、次のシーンまたは別の一連のフレームのためのメタデータをブロック302で受信することで開始する。方法320は、ブロック322に進んで、現在のシーンと次のシーンの間の境界を見つける。ブロック324で、1つまたは複数の黒ビデオフレームが、シーン境界のビデオデータに挿入される(すなわち、現在のシーンの最後のフレームと次のシーンの最初のフレームとの間に、黒ビデオフレームが挿入される)。黒ビデオフレームは、次のシーンのためのメタデータを伝送する目的で挿入することができる。挿入された黒ビデオフレームに、ブロック326でメタデータを書き込むことができる。メタデータは、そのようなビデオフレームを表すビデオデータのクロミナンス部分に書き込むことができる(例えば、メタデータ225で上書きされるクロミナンス部分13を有するデータフレーム10を示す図3Aおよび3Bを参照)。
【0052】
図5Cは、さらに別の実施形態により、メタデータを符号化する方法340を示している。この方法340は、方法300のブロック306でメタデータの伝送に利用可能な黒ビデオフレームがビデオデータの次のシーンの前にないと判断される場合に、方法300のブロック310で適用することができる。方法340は、次のシーンまたは別の一連のフレームのためのメタデータをブロック302で受信することで開始する。ブロック342で、次のシーンの前の複数のフレームにおいて、低輝度画像領域が識別される。画像領域は、その画像領域のピクセルの輝度レベルがゼロまたは特定の閾値未満となる場合に、低輝度画像領域とみなすことができる。ブロック344で、利用可能な低輝度画像領域によってブロック302のメタデータを伝送するのに十分なバンド幅がビデオデータのクロミナンス部分に提供されると判断される場合には、ブロック346で、そのような画像領域を表すビデオデータのクロミナンス部分にメタデータが書き込まれる。一方、低輝度画像領域で利用可能なバンド幅が不十分である場合(または、利用可能な低輝度画像領域がない場合)には、方法340はブロック348に進んで、メタデータを符号化する他の方法が適用される。例えば、図5Bに示す方法320を、方法340のブロック348で適用して、メタデータを伝送する目的でシーン境界に挿入される黒フレームの中にメタデータを符号化することができる。
【0053】
図6は、図5A、5B、または5Cの方法のいずれかを用いて符号化されたメタデータについて、そのメタデータをビデオデータから抽出し、さらに続いてメタデータを適用する方法360を示している。方法360は、ビデオデータのストリームをブロック362で受信することで開始する。方法360は、ブロック364において、輝度レベルがゼロまたは閾値未満となるピクセル(低輝度ピクセル)についてクロミナンス部分を監視して、これにより、SOFヘッダ252、またはメタデータ・パケットの開始を規定する他の予約メタデータ語を検出する。ブロック364でメタデータ・パケットの開始が検出されたら、方法360は、ブロック366に進んで、ビデオデータ・ストリームにおいて次の低輝度ピクセルを見つける。ブロック368で、その低輝度ピクセルのピクセルデータのクロミナンス部分からメタデータが抽出される。メタデータ・ペイロードの終わりに未だ達していない場合は(ブロック370)、方法360は、ブロック366、368、および370の手順(すなわち、ビデオデータ・ストリームにおいて次の低輝度ピクセルを見つけて、ピクセルデータのクロミナンス部分からメタデータを抽出すること)を、メタデータ・ペイロードの終わりに達するまで繰り返す。ブロック372で、ビデオデータを処理するため、さらに/またはビデオ再生用にディスプレイを設定するために、メタデータを適用することができる。
【0054】
一部の実施形態では、符号化されたメタデータは、先行する第1のメタデータ・パケットで始まるものとすることができる。第1のメタデータ・パケットは、メタデータを符号化または復号化する下流の装置の各々に知られている予め選択された方法によって、ビデオデータの中に符号化することができる。この第1のメタデータ・パケットは、後に続くメタデータがどのように符号化されたのか(例えば、どの符号化方式を用いたのか)についての情報を含んでいる。その情報は、黒ビデオフレームの場合などには、そのビデオフレームの残りの部分が、ビデオデータのクロミナンス部分にメタデータを保持していることを示すことができる。その情報は、黒マットまたは低輝度画像領域を有するビデオフレームの場合などには、そのビデオフレームの一部分のみが、ビデオデータのクロミナンス部分にメタデータを保持していることを示すことができる。その情報は、そのようなメタデータがビデオフレームの中でどこに配置されているのかを示すことができる。下流の装置は、第1のメタデータ・パケットの中の情報を用いて、ビデオデータからのメタデータの復号化または抽出をガイドすることができる。下流の装置は、第1のメタデータ・パケットの中の情報を用いて、ビデオデータ・ストリームへの追加メタデータの挿入または符号化をガイドすることができる。
【0055】
一部の実施形態では、メタデータの伝送を目的として、黒ビデオフレームがシーンの中に挿入されることがある。その黒ビデオフレームのビデオデータのクロミナンス部分に、メタデータを書き込むことができる。表示側(図4のブロック210)でのビデオ再生は、黒ビデオフレームの前のビデオフレームの繰り返し再生を含むことができる。前のビデオフレームを繰り返すことで、そのシーンの輝度が一定に保たれ、これによって、ちらつきが低減されることがある。
【0056】
具体的な実施形態によれば、メタデータは、予約もしくは保護された語またはビット列(そのビット長は任意とすることができる)が誤って伝達されることがないような方法で、ビデオデータの中に符号化される。予約語(reserved word)には、メタデータによって伝達されることがある予約メタデータ語と、ビデオデータ・ストリームによって伝達されることがある予約ビデオ語の、2つのタイプがあり得る。メタデータが、パケットのフレーム開始(SOF)ヘッダ252またはフレーム終了(EOF)ヘッダ260(図7)などの予約メタデータ語と一致することがないように、メタデータを符号化することができる。メタデータが、予約ビデオ語(例えば、予約ピクセル値)と一致することがないように、メタデータを符号化することができる。予約ピクセル値として、例えば、0、255、他の予約値のうちの1つ以上を含むことができる。
【0057】
予約メタデータ語および/または予約ビデオ語の意図しない伝達を回避するために用いることができる符号化方式として、例えば以下のものを含むことができる。
・ 6b/8b符号化(一続きの連続する同じビットが、最長で6ビット長に制限される)
・ 8b/10b符号化(一続きの連続する同じビットが、最長で5ビット長に制限される)
・ 連続する同じビットの固定パターンで、SOFヘッダ252またはEOFヘッダ260などの予約メタデータ語を表すように定義し、ビデオデータにメタデータ・ペイロードを埋め込む際には、それらの固定パターンを符号化することは避ける。例えば、それらの固定パターンが6ビット長パターン000000と111111である場合に、メタデータ・ペイロードに5ビット長パターン00000または11111が現れるときには、いずれも、その次のビットとして1または0の保護ビットがビデオデータ・ストリームの中に埋め込まれる(例えば、000001または111110)。ビデオデータ・ストリームからメタデータを抽出する際には、この保護ビットは有効とはみなされず、無視される。
【0058】
(メタデータ以外の)他の種類のデータをビデオデータに書き込むことも、そのビデオデータのクロミナンス成分に上書きするなどして、可能である。本明細書に記載の方法は、保護ビットまたは最下位ビットにメタデータを符号化するなど、他のデータチャネルにメタデータを埋め込む方法と組み合わせて用いることができる。保護ビットまたは最下位ビットへのメタデータの符号化は、“SYSTEMS,APPARATUSAND METHODS FORVIDEO DELIVERY ANDCONTROLLING VIDEO DISPLAYUSING EMBEDDED METADATA(埋め込まれたメタデータを用いたビデオ配信およびビデオ表示制御のためのシステム、装置、および方法)”という名称の同一所有者による同時係属中の出願に記載されており、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
ビデオ処理は、ビデオデータの空間フィルタリングおよび/または時間フィルタリングを含むことができる。このようなフィルタリングを行う下流の装置は、クロミナンス部分(または、メタデータを保持しているビデオデータの他の部分)のデータを無視するように構成するか、またはクロミナンス部分からメタデータを取り出して、クロミナンス部分のデータを周囲のクロミナンス値で置き換えるように構成することができる。メタデータが非黒画像領域(例えば、低輝度値を有する画像領域)で伝送される実施形態では、ビデオ画像の周縁に画定された境界部にメタデータを挿入することができ、この場合、クロミナンスデータをメタデータで上書きしても、画像の表示に知覚される影響を引き起こす可能性が低い。
【0060】
ビデオデータのクロミナンス部分に保持されるメタデータが、ビデオデータのロッシー圧縮によって失われないようにするため、対応する輝度部分の値を予め規定された値に設定することができ、これにより、クロミナンス部分のメタデータの存在をフラグで示して、ビデオデータの損失を防ぐことができる。下流の装置は、クロミナンス部分からメタデータを取り出して、設定されている輝度値をビデオ再生のために黒の輝度値で置き換えるように構成することができる。他の実施形態では、ビデオデータのロッシー圧縮によるメタデータの損失を回避するため、メタデータをクロミナンスチャネルの最下位ビットには書き込まない(例えば、2つまたは3つの最下位ビットはメタデータの伝送に使用しない)ようにし、これにより、それらの最下位ビットが圧縮によって失われることでメタデータも失われることはないようにしている。
【0061】
図9は、本明細書に記載の方法の1つ以上を実行するように構成することができる、一実施形態によるシステム600を示している。システム600の構成要素は、ソフトウェア、ハードウェア、および/またはそれらの組み合わせとして実現することができる。システム600は、ビデオキャプチャ・サブシステム602と、ポストプロダクション・サブシステム603と、表示サブシステム604とを含んでいる。ビデオデータ203のストリームは、ビデオキャプチャ・サブシステム602によって生成され、処理と編集のため、ポストプロダクション・サブシステム603に送られる。ビデオデータ203を編集する過程で、ビデオは、ポストプロダクション・サブシステム603のリファレンス・ディスプレイ111に表示させて見ることができる。編集されたビデオデータ203は、さらなる処理と表示のため、(エンコーダ207Aとデコーダ207Bにより、配信媒体205を介して)表示サブシステム604に送られる。サブシステム602、603、604の各々(およびエンコーダ207A)は、ビデオデータ203の中にメタデータ225を符号化するように構成することができる。下流のサブシステムは、上流の装置からビデオデータ203を受信して、その中に埋め込まれているメタデータ225を復号化するように構成することができる。メタデータ225は、下流のサブシステム(例えば、サブシステム603および604)によって、ビデオデータ203の処理および/または表示をガイドするために用いることができる。メタデータ225は、表示サブシステム604によって、表示サブシステム604のディスプレイ618におけるビデオ再生を制御および/またはガイドするために、表示特性評価パラメータ620と共に用いることができる。
【0062】
図9に示すように、サブシステム602、603、604は、それぞれプロセッサ606、608、616を備えることができ、さらに、それぞれのプロセッサがアクセス可能なプログラムメモリ607、609、617を備えることができる。各プロセッサとして、中央処理装置(CPU)、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、1つまたは複数のフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、またはそれらの任意の組合せ、または本明細書に記載のように機能することが可能なハードウェアおよび/またはソフトウェアを備える他の適当な処理装置(複数の場合もある)、を含むことができる。それぞれのサブシステムにおいて、プロセッサは、プログラムメモリに格納されているソフトウェアによって提供される命令を実行する。ソフトウェアは、本明細書に記載のメタデータの生成、符号化、復号化、および処理の手順を実行するための、例えば以下のようなルーチンを含むことができる。
【0063】
・ メタデータ225を生成するか、またはメタデータ225のためのパラメータを受信するルーチン(例えば、そのようなパラメータは、ポストプロダクション・ステージで、カラータイマまたはカラーグレーダにより設定することができる。メタデータ225は、図4を参照して本明細書で記載したような幾つかのパラメータを規定することができる);
・ ビデオデータが下流の装置に伝達される前に、そのビデオデータ203の中にメタデータ225を符号化するルーチン;
・ 上流の装置から受信したビデオデータ203から、メタデータ225を復号化するルーチン;
・ ビデオデータの処理および/または表示をガイドするために、メタデータ225を処理および適用するルーチン;
・ 画像および/またはビデオデータ203に基づいて、メタデータ225を符号化する方法を選択するルーチン(例えば、黒フレーム、黒バーもしくはマット、および/または低輝度画像領域の利用可能性に基づいて、メタデータ225を符号化する方法を選択することができる);
・ ビデオデータの中に黒ビデオフレームを見つけるか、またはビデオフレームの中に黒もしくは低輝度のピクセルを見つけるルーチン;
・ および/または類するもの。
【0064】
システム600は、サブシステム602、603、604がアクセス可能なリポジトリ610を備えることができる。リポジトリ610は、(例えば、メタデータのエンコーダとデコーダに対し、メタデータの生成および/または読み取りの方法についての情報を与える)メタデータ定義612のライブラリと、予約語614(例えば、保護されたピクセル値または予約されたメタデータ語)のリストとを含むことができる。メタデータ定義612のライブラリは、サブシステム602、603、604によって、メタデータを生成、符号化、および/または処理する際にアクセスすることができる。メタデータ225の符号化または復号化の際には、予約語614を、符号化/復号化されたメタデータ・ビットと比較することで、予約語の伝達を防ぐためにメタデータ・ストリームの中に挿入すべき(または、挿入された)保護ビット列を特定することができる。
【0065】
図9に示す実施形態では共有リポジトリ610を提示しているが、他の実施形態では、サブシステム602、603、604の各々に、そのサブシステムがアクセス可能な記憶媒体に格納されたローカル・リポジトリ610が組み込まれていてもよい。
【0066】
図10Aは、一例の実施形態により、ビデオデータのストリームの中にメタデータを符号化するために用いることができるサブシステム280を示している。サブシステム280は、例えば図5A、5B、または5Cに示す方法のいずれか、または本明細書に記載の他の方法を用いて、後のシーンまたは別の一連のフレームに関するメタデータ225を符号化するために使用することができる。サブシステム280は、ビデオデータのソースから入力ビデオデータ203を受信することができる。一部の実施形態では、サブシステム280は、バッファまたは他の記憶媒体から入力ビデオデータ203を取り出すことができる。他の実施形態では、サブシステム280は、ビデオ信号入力からストリーミング・ビデオデータ203を受信することができる。ビデオデータ203は、衛星、ケーブル、または高解像度ネットワークを介したテレビ放送、IPまたは無線ネットワークを介したストリーミング・マルチメディア、またはDVDもしくは他の記憶媒体の読み取りなど、ビデオコンテンツ配信のタイプに適した形式で提供されることができる。
【0067】
入力ビデオデータ203は、上流の装置によりビデオデータに追加された埋め込まれたメタデータを含んでいることがある。一部の実施形態では、入力ビデオデータ203は、輝度およびクロミナンス情報を含むことができる。具体的な実施形態では、ビデオデータ203は、デコーダ282によって復号化される。デコーダ282は、ビデオ信号の中の輝度成分とクロミナンス成分を分離することができる。
【0068】
後のシーンまたはフレームシーケンスのビデオデータ203は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアによって実現される1つまたは複数のデータバッファ283に押し込まれることができる。ビデオデータ203を受信しながら、ビデオデータ203の1つ以上のフレーム(または、ビデオデータ203の他の部分)を、バッファ283に次々と押し込むことができる。輝度リーダ284は、バッファ283に記憶されているビデオデータ203にアクセスして、ビデオデータの中のビデオフレーム、画像領域、またはピクセルの輝度レベルを評価するため、輝度データを読み取ることができる。輝度リーダ284は、輝度レベルを閾値と比較することができる。輝度リーダ284は、輝度レベルがゼロまたは閾値未満であるビデオフレーム、画像領域、またはピクセル(例えば、図5Aのブロック304で見つけられる黒ビデオフレーム、または図5Cのブロック342で見つけられる低輝度画像領域)を識別することができる。輝度リーダ284は、例えば以下の幾つかの方法のいずれかで、ビデオフレームの輝度レベルをたどるか、あるいはビデオデータが黒ビデオフレームまたは黒画像領域を表しているかどうか判断することができる:ビデオフレームの各ピクセルについて輝度レベルを評価する;ビデオフレームの選択された領域内のピクセルについて輝度レベルを評価する;サンプルのピクセルまたは領域について輝度レベルを評価する;および/または類する方法。識別されたビデオフレーム、画像領域、またはピクセルについて、輝度リーダ284は、それらのクロミナンス部分のデータを、予約メタデータ語(例えば、フレーム開始ヘッダ)と比較することで、それらのクロミナンス部分にメタデータが既に書き込まれているかどうか特定することができる。輝度リーダ284は、メタデータ定義記憶285からのメタデータ語にアクセスして、それらのメタデータ語をクロミナンス部分のデータと比較することができ、これにより、メタデータの存在を検出する。
【0069】
輝度レベルがゼロまたは閾値未満であり、かつクロミナンスデータにメタデータが未だ埋め込まれていない場合には、輝度リーダ284は、(例えば、図5Aのブロック308または図5Cのブロック346に関して説明したように)識別されたビデオフレーム、画像領域、またはピクセルのクロミナンス部分にメタデータ225(または、他のデータ)を書き込んでもよいことを伝える信号287を、データライタ286に送ることができる。輝度リーダ284は、メタデータを含んでいないクロミナンス部分を有する黒(または低輝度)のビデオフレーム、画像領域、またはピクセルが見つかるまで、バッファ283のビデオデータ203へのアクセスおよびその読み取りを続けることができる。
【0070】
データライタ286により信号287が受信されると、データライタ286は、後のシーンに関するメタデータ225を取得して、メタデータを伝送するのに適していると輝度リーダ284により判断されたビデオフレーム、画像領域、またはピクセルのクロミナンス部分に、メタデータ225を書き込む。データライタ286は、メタデータが入っている記憶装置またはバッファから、メタデータ225を取り出すことができる。データライタ286によってビデオデータ203のクロミナンスデータにメタデータ225が上書きされた後、サブシステム280は、挿入されたメタデータ225を含むビデオデータ203を出力する(例えば、ビデオデータ203をバッファ283から押し出すことができ、そしてビデオデータ203の新しい受信フレームが、バッファ283に押し込まれる)。出力ビデオデータ203は、処理および/またはビデオ再生のため、表示サブシステムなどの下流の装置に伝送することができる。
【0071】
メタデータの伝送に適したビデオフレーム、画像領域、またはピクセルが、輝度リーダ284によって全く特定されない場合には、輝度リーダ284は、データライタ286に信号288を伝達して、これにより、データライタ286に、(例えば、図5Bのブロック322および324に関して説明したように)メタデータ225を伝送する目的で黒ビデオフレームをビデオデータ203の中に挿入させることができる。輝度リーダ284は、黒ビデオフレームを挿入すべき時または場所を、データライタ286に伝えてもよい。例えば、図5Bのブロック326に関して説明したようにクロミナンス部分にメタデータを入れる黒ビデオフレームを、シーン境界に挿入することができる。
【0072】
図10Bは、一例の実施形態により、ビデオデータのストリームからメタデータを復号化するために用いることができるサブシステム290を示している。サブシステム290は、例えば、図6の方法360など、本明細書に記載の方法のいずれかを用いて、後のシーンのためのメタデータ225を抽出するために使用することができる。サブシステム290は、いくつかの点でサブシステム280に類似している。例えば、(サブシステム280が入力ビデオデータ203を受信して、復号化するのと同様にして)サブシステム290は、入力ビデオデータ203を受信し、デコーダ292で入力ビデオデータ203を復号化することができる。入力ビデオデータ203は、バッファ293に入れることができる。輝度リーダ294は、バッファ293に記憶されているビデオデータ203にアクセスして、輝度データを読み取り、これにより、ビデオデータのビデオフレーム、画像領域、またはピクセルについて、輝度レベルを評価する。輝度リーダ294は、輝度レベルを閾値と比較することができる。輝度リーダ294は、輝度レベルがゼロまたは閾値未満であるビデオフレーム、画像領域、またはピクセルを識別することができる。識別されたビデオフレーム、画像領域、またはピクセルについて、輝度リーダ294は、そのクロミナンス部分のデータを予約メタデータ語(例えば、フレーム開始ヘッダ)と比較することで、それらのクロミナンス部分にメタデータが書き込まれているかどうか特定することができる。輝度リーダ294は、メタデータ定義記憶295からのメタデータ語にアクセスして、それらのメタデータ語をクロミナンス部分のデータと比較することができ、これにより、メタデータの存在を検出する。
【0073】
ビデオフレーム、画像領域、またはピクセルのクロミナンス部分にメタデータが書き込まれている場合には、輝度リーダ294はメタデータリーダ296に信号297を送り、これにより、メタデータリーダ296に、(例えば、図6のブロック368で実行されるように)バッファ293のビデオデータ203にアクセスさせ、クロミナンス部分からメタデータ225(または、他のデータ)を読み取らせることができる。メタデータ225は、後に取り出して適用するために、メタデータ記憶296に保存することができる。
【0074】
他の実施形態では、輝度リーダ284、294は、メタデータの書き込みまたは抽出を行うかどうか、および行うべき場所を判断するための、輝度データの読み取りを行わないことがある。ビデオデータにメタデータを書き込むときに、ビデオデータにおいて既存のメタデータを探すべき場所(例えば、特定のビデオフレームの中、またはビデオフレームの中の特定のピクセルで始まること、または特定の画像領域の中、など)を下流の装置に対して示すメタデータ・パケットを、メタデータライタにより生成して、ビデオデータ・ストリームの中に挿入することができる。このメタデータ・パケットは、サブシステム280によって、ビデオデータへの追加メタデータの書き込みをガイドするために用いることができ、また、サブシステム290によって、ビデオデータからのメタデータの抽出をガイドするために用いることができる。
【0075】
輝度リーダ284、294は、データプロセッサ、CPU、マイクロプロセッサ、FPGA、またはそれらの任意の組み合わせにより実現することができ、あるいは、輝度レベルを特定するためにビデオデータを読み取って、それらの輝度レベルを閾値と比較することが可能な他の適当な処理装置により実現することができる。データライタ286およびメタデータリーダ296は、データプロセッサ、CPU、マイクロプロセッサ、FPGA、またはそれらの任意の組み合わせにより実現することができ、あるいは、ビデオデータ・ソースからのビデオデータ203にアクセスし、ビデオデータ203のビットの書き込みまたは読み取りを行うことが可能な他の適当な処理装置により実現することができる。
【0076】
上記で構成要素(例えば、プロセッサ、デコーダ、エンコーダ、装置、ディスプレイ、バッファ、回路など)に言及している場合には、特に指定のない限り、その構成要素への言及は(「手段」と呼ぶことも含めて)、その構成要素の均等物として、記載の構成要素の機能を実行する(すなわち、機能的に等価である)あらゆる構成要素を含むものと解釈されるべきであり、本発明の図示した例示的実施形態での機能を実行する構成要素であって、開示の構造と構造的に等価ではないものを含んでいる。
【0077】
具体的な実施形態は、プログラム・プロダクトの形態で提供することができる。プログラム・プロダクトは、データプロセッサによって実行されることで本発明の方法をデータプロセッサに実行させる命令を含むコンピュータ可読信号のセットを保持した媒体を含むものとすることができる。本発明に係るプログラム・プロダクトは、多種多様な形態のいずれかとすることができる。プログラム・プロダクトは、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブを含む磁気データ記憶媒体、CD‐ROM、DVDを含む光データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAM含む電子データ記憶媒体、などの物理媒体を含むことができる。プログラム・プロダクトのコンピュータ可読信号は、任意選択的に、圧縮または暗号化されたものとすることができる。
【0078】
いくつかの例示的な態様および実施形態について上記説明を行ったが、当業者であれば、これらについての、いくらかの変更、置換、追加、および部分的組み合わせに気付くであろう。例えば、
・ 本明細書に記載の実施形態の例では、ビデオ配信パイプラインにおいて有用なシステム、装置、および方法を提供している。このようなシステム、装置、および方法は、他のタイプのデータの配信に有用なものとすることもできる。
【0079】
・ 実施形態の例では、メタデータが、ビデオ配信パイプラインを通して、ビデオデータの中に書き込まれて、ビデオデータと共に伝送される。他の実施形態では、他の種類のデータが、ビデオ配信パイプラインを通して、ビデオデータの中に書き込まれて、ビデオデータと共に伝送されることができる。例えば、伝送され得る追加のビデオデータとして、異なる解像度のビデオデータ(例えば、より高解像度または低解像度のビデオデータ)などの追加のビデオソース・コンテンツ、オンスクリーン表示情報、および/または、IP対応テレビまたはセットトップ・ボックスによって取得することができるビデオデータの追加ソースの場所を特定するURLまたはIPアドレス、などを含むことができる。
【0080】
・ 本明細書に記載の実施形態によりビデオデータに書き込まれるメタデータは、ビデオ・アーカイバ、レコーダ(例えば、パーソナルビデオレコーダすなわちPVR、または録画機能を有するデジタルチューナ)など、他の装置の設定、制御、および/または動作をガイドするのに有用なものとすることができる。例えば、レコーダは、ビデオデータを前処理して、メタデータが入った挿入フレームを削除することで、記憶されるビデオデータの量を削減することができる。
【0081】
従って、以下の添付の請求項および今後導入される請求項は、それらの真の精神および範囲から逸脱しない、あらゆる変更、置換、追加、および部分的組み合わせを含むと解釈されるものである。
【0082】
よって、本発明は、適宜、本明細書に記載の、現存する、さらに/または後に開発される任意の要素(本発明の様々な部分または特徴、およびそれらの均等物)を備え、それらにより構成され、それらにより基本的に構成されることができる。また、本明細書において例示的に開示された本発明は、本明細書において具体的に開示されているかどうかにかかわらず、いずれかの要素を省いて実施することができる。言うまでもなく、上記の教示に照らして、本発明の多くの変更および変形が可能である。従って、当然のことながら、本発明は、添付の請求項の範囲内で、本明細書に具体的に記載しているのとは別の方法で実施することができる。
【0083】
よって、本発明は、本明細書に記載の形態のいずれかで実施することができ、それには、限定するものではないが、本発明のいくつかの部分の構造、特徴、および機能を記載した以下の例示列挙実施形態(EEE:EnumeratedExample Embodiment)が含まれる。
【0084】
EEE1.表示サブシステムにビデオデータを提供する方法であって、
(a) ビデオデータを提供するため、一連のビデオフレームを取り込むこと、
(b) ビデオデータによって提供される画像を、リファレンス・ディスプレイ上で編集すること、
(c) リファレンス・ディスプレイの設定パラメータと、編集された画像の特性と、を特定するメタデータを生成すること、
(d) ビデオデータの1つまたは複数のクロミナンス部分にメタデータを埋め込むこと、
(e) メタデータが埋め込まれたビデオデータを表示サブシステムに配信すること、
(f) 表示サブシステムにおいてメタデータを抽出すること、
(g) メタデータに少なくとも部分的に基づいて、表示サブシステムを設定すること、またはビデオデータを表示サブシステム用に処理すること、を含む方法。
【0085】
EEE2.クロミナンス部分にメタデータを埋め込むことは、輝度値が閾値未満であるピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むことを含む、EEE1に記載の方法。
【0086】
EEE3.クロミナンス部分にメタデータを埋め込むことは、
(a) ビデオデータの中で、黒ビデオフレームを見つけること、
(b) 黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むこと、を含む、EEE2に記載の方法。
【0087】
EEE4.メタデータは新しいシーンに対応するものであり、ビデオデータの中で黒ビデオフレームを見つけることは、その新しいシーンの前の黒ビデオフレームを見つけることを含む、EEE3に記載の方法。
【0088】
EEE5.クロミナンス部分にメタデータを埋め込むことは、
(a) ビデオデータの中で、画像を縁取る黒マットを見つけること、
(b) 黒マットの中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むこと、を含む、EEE2に記載の方法。
【0089】
EEE6.クロミナンス部分にメタデータを埋め込むことは、
(a) ビデオデータの中で、輝度値が閾値未満である画像領域を有するビデオフレームを見つけること、
(b) それらの画像領域の中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むこと、を含む、EEE2に記載の方法。
【0090】
EEE7.メタデータは新しいシーンに対応するものであり、当該方法は、
(a) ビデオデータの中で、その新しいシーンと前のシーンとの間の境界を見つけること、
(b) その境界に1つまたは複数の黒ビデオフレームを挿入すること、
(c) それらの黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むこと、を含む、EEE1に記載の方法。
【0091】
EEE8.ビデオデータを配信することは、埋め込まれたメタデータを有するビデオデータを、その埋め込まれたメタデータが適用されるべきビデオフレームに先立って配信することを含む、EEE1ないし7のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
EEE9.ビデオデータを配信することは、DVD、ブルーレイ、衛星、ケーブル、またはインターネットのいずれかの伝送媒体による配信を含む、EEE1ないし8のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
EEE10.メタデータは、以下の形式のいずれかで符号化される、EEE1ないし9のいずれか1つに記載の方法。
(a) 6b/8b符号化、
(b) 8b/10b符号化。
【0094】
EEE11.メタデータにおいてフレーム開始ヘッダは、連続する同じビットの第1の固定パターンで表され、メタデータにおいてフレーム終了ヘッダは、連続する同じビットの第2の固定パターンで表されるように、メタデータは符号化される、EEE1ないし10のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
EEE12.(a) ビデオデータを生成するための、ビデオキャプチャ・サブシステムと、
(b) リファレンス・ディスプレイを有し、さらに、ビデオキャプチャ・サブシステムにより生成されるビデオデータを受信して編集し、そのビデオデータをリファレンス・ディスプレイに表示するように構成されたプロセッサを有する、ポストプロダクション・サブシステムと、
(c) ディスプレイを有し、さらに、ポストプロダクション・サブシステムにより編集されたビデオデータを受信して、そのビデオデータをディスプレイに表示するように構成されたビデオプロセッサを有する、表示サブシステムと、を備えるシステムであって、
ビデオキャプチャ・サブシステム、ポストプロダクション・サブシステム、表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、ビデオデータの1つまたは複数のクロミナンス部分にメタデータを埋め込むことにより、ビデオデータの中にメタデータを符号化するように構成されており、また、表示サブシステムは、ビデオデータの処理または表示をガイドするためにメタデータを適用するように構成されている。
【0096】
EEE13.ビデオキャプチャ・サブシステム、ポストプロダクション・サブシステム、表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、輝度値が閾値未満であるピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むことにより、ビデオデータの中にメタデータを符号化するように構成されている、EEE12に記載のシステム。
【0097】
EEE14.ビデオキャプチャ・サブシステム、ポストプロダクション・サブシステム、表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、
(a) ビデオデータの中で、黒ビデオフレームを見つけて、
(b) その黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込む、ように構成されている、EEE13に記載のシステム。
【0098】
EEE15.ビデオキャプチャ・サブシステム、ポストプロダクション・サブシステム、表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、
(a) ビデオデータの中で、画像を縁取る黒マットを見つけて、
(b) その黒マットの中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込む、ように構成されている、EEE13に記載のシステム。
【0099】
EEE16.ビデオキャプチャ・サブシステム、ポストプロダクション・サブシステム、表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、
(a) ビデオデータの中で、輝度値が閾値未満である画像領域を有するビデオフレームを見つけて、
(b) その画像領域の中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むように、構成されている、EEE13に記載のシステム。
【0100】
EEE17.メタデータは新しいシーンに対応するものであり、ポストプロダクション・サブシステムは、
(a) ビデオデータの中で、その新しいシーンと前のシーンとの間の境界を見つけて、
(b) その境界に1つまたは複数の黒ビデオフレームを挿入し、
(c) それらの黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込む、ように構成されている、EEE13に記載のシステム。
【0101】
EEE18.ビデオキャプチャ・サブシステム、ポストプロダクション・サブシステム、表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、以下の形式のいずれかでメタデータを符号化するように構成されている、EEE12に記載のシステム。
【0102】
(a) 6b/8b符号化、
(b) 8b/10b符号化。
EEE19.ビデオキャプチャ・サブシステム、ポストプロダクション・サブシステム、表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、メタデータにおいてフレーム開始ヘッダが、連続する同じビットの第1の固定パターンで表され、メタデータにおいてフレーム終了ヘッダが、連続する同じビットの第2の固定パターンで表されるように、メタデータを符号化するように構成されている、EEE12に記載のシステム。
【0103】
EEE20.ポストプロダクション・サブシステムのプロセッサは、
リファレンス・ディスプレイの設定パラメータと、
ビデオデータにより提供される画像の色と照明の特性、のうち少なくとも1つを特定するメタデータをビデオデータの中に符号化するように構成されている、EEE12に記載のシステム。
【0104】
EEE21.表示サブシステムのビデオプロセッサは、ビデオデータの中のメタデータを復号化して、表示サブシステムのディスプレイの設定のため、または表示サブシステムのディスプレイの特性向けにビデオデータを調整する処理のために、復号化したメタデータを適用するように構成されている、EEE20に記載のシステム。
【0105】
EEE22.表示サブシステムのビデオプロセッサは、表示サブシステムのディスプレイの特性向けにビデオデータを調整する処理のために、表示サブシステムのディスプレイの拡張ディスプレイ識別データを読み取るように構成されている、EEE21に記載のシステム。
【0106】
EEE23.表示サブシステムは、DVD、ブルーレイ、衛星、ケーブル、またはインターネットのうち少なくとも1つの伝送媒体を介して、ビデオデータを受信するように構成されている、EEE12ないし22のいずれか1つに記載のシステム。
【0107】
EEE24.ビデオデータの中にメタデータを符号化する方法であって、
(a) ビデオデータの中に保持されるべきメタデータを取得すること、
(b) ビデオデータの中で、輝度値が閾値未満であるピクセルを見つけること、
(d) それらのピクセルのクロミナンスデータをメタデータで上書きすること、を含む方法。
【0108】
EEE25.(a) ビデオデータの中で、黒ビデオフレームを見つけること、
(b) それらの黒ビデオフレームのクロミナンスデータをメタデータで上書きすること、を含む、EEE24に記載の方法。
【0109】
EEE26.(a) ビデオデータの中で、画像を縁取る黒マットを見つけること、
(b) それらの黒マットのクロミナンスデータをメタデータで上書きすること、を含む、EEE24に記載の方法。
【0110】
EEE27.メタデータは新しいシーンに対応するものであり、当該方法は、
(a) ビデオデータの中で、その新しいシーンと前のシーンとの間の境界を見つけること、
(b) その境界に1つまたは複数の黒ビデオフレームを挿入すること、
(c) それらの黒ビデオフレームのクロミナンスデータをメタデータで上書きすること、を含む、EEE24に記載の方法。
【0111】
EEE28.メタデータは、以下の形式のいずれかで符号化される、EEE24ないし27のいずれか1つに記載の方法。
(a) 6b/8b符号化、
(b) 8b/10b符号化。
【0112】
EEE29.メタデータにおいてフレーム開始ヘッダは、連続する同じビットの第1の固定パターンで表され、メタデータにおいてフレーム終了ヘッダは、連続する同じビットの第2の固定パターンで表されるように、メタデータは符号化される、EEE24ないし28のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
EEE30.ビデオデータからメタデータを抽出する方法であって、
(a) ビデオデータの中で、輝度値が閾値未満であるピクセルを識別すること、
(b) それらのピクセルのクロミナンス部分を、メタデータ・パケットの始まりについて監視すること、
(c) メタデータ・パケットの始まりを見つけたら、クロミナンス部分からメタデータを抽出すること、を含む方法。
【0114】
EEE31.本明細書に記載の新規かつ発明的な動作、手順、動作および/または手順の組み合わせ、または動作および/または手順の部分的組み合わせの、いずれかを含む方法。
【0115】
EEE32.本明細書に記載の新規かつ発明的な特徴、特徴の組み合わせ、または特徴の部分的組み合わせの、いずれかを含む装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示サブシステムにビデオデータを提供する方法であって、
(a)一連のビデオフレームを取り込んで、ビデオデータを提供すること、
(b)前記ビデオデータによって提供される画像を、リファレンス・ディスプレイ上で編集すること、
(c)前記リファレンス・ディスプレイの設定パラメータと、編集された画像の特性とを特定するメタデータを生成すること、
(d)前記ビデオデータの1つまたは複数のクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むこと、
(e)埋め込まれたメタデータを含むビデオデータを前記表示サブシステムに配信すること、
(f)前記表示サブシステムにおいて前記メタデータを抽出すること、
(g)前記メタデータに少なくとも部分的に基づいて、前記表示サブシステムを設定するか、または前記ビデオデータを前記表示サブシステム用に処理すること
を含む方法。
【請求項2】
前記クロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むことは、輝度値が閾値未満であるピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むことは、
(a)前記ビデオデータの中で、黒ビデオフレームを見つけること、
(b)前記黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むこと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記メタデータは新しいシーンに対応するものであり、前記ビデオデータの中で黒ビデオフレームを見つけることは、前記新しいシーンの前の黒ビデオフレームを見つけることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記クロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むことは、
(a)前記ビデオデータの中で、画像を縁取る黒マットを見つけること、
(b)前記黒マットの中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むこと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記クロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むことは、
(a)前記ビデオデータの中で、輝度値が前記閾値未満である画像領域を有するビデオフレームを見つけること、
(b)前記画像領域の中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むこと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記メタデータは新しいシーンに対応するものであり、当該方法は、
(a)前記ビデオデータの中で、前記新しいシーンと前のシーンとの間の境界を見つけること、
(b)前記境界に1つまたは複数の黒ビデオフレームを挿入すること、
(c)前記黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込むこと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ビデオデータを配信することは、前記埋め込まれたメタデータを有する前記ビデオデータを、前記埋め込まれたメタデータが適用されるべきビデオフレームに先立って配信することを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ビデオデータを配信することは、DVD、ブルーレイ、衛星、ケーブル、またはインターネットのうちの1つの伝送媒体による配信を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記メタデータは、
(a) 6b/8b符号化、および
(b) 8b/10b符号化
のうちの1つの形式で符号化されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
(a)ビデオデータを生成するビデオキャプチャ・サブシステムと、
(b)リファレンス・ディスプレイと、前記ビデオキャプチャ・サブシステムにより生成される前記ビデオデータを受信して編集し、該ビデオデータを前記リファレンス・ディスプレイに表示するように構成されたプロセッサとを有するポストプロダクション・サブシステムと、
(c)ディスプレイと、前記ポストプロダクション・サブシステムにより編集された前記ビデオデータを受信して、該ビデオデータを前記ディスプレイに表示するように構成されたビデオプロセッサとを有する表示サブシステムと
を備え、
前記ビデオキャプチャ・サブシステム、前記ポストプロダクション・サブシステム、および前記表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、前記ビデオデータの1つまたは複数のクロミナンス部分にメタデータを埋め込むことにより、前記ビデオデータの中に該メタデータを符号化するように構成されており、前記表示サブシステムは、前記ビデオデータの処理または表示をガイドするために前記メタデータを適用するように構成されている、システム。
【請求項12】
前記ビデオキャプチャ・サブシステム、前記ポストプロダクション・サブシステム、および前記表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、輝度値が閾値未満であるピクセルのクロミナンス部分にメタデータを埋め込むことにより、前記ビデオデータの中に該メタデータを符号化するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ビデオキャプチャ・サブシステム、前記ポストプロダクション・サブシステム、および前記表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、
(a)前記ビデオデータの中で、黒ビデオフレームを見つけて、
(b)前記黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込む
ように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ビデオキャプチャ・サブシステム、前記ポストプロダクション・サブシステム、および前記表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、
(a)前記ビデオデータの中で、画像を縁取る黒マットを見つけて、
(b)前記黒マットの中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込む
ように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ビデオキャプチャ・サブシステム、前記ポストプロダクション・サブシステム、および前記表示サブシステムのうちの少なくとも1つは、
(a)前記ビデオデータの中で、輝度値が前記閾値未満である画像領域を有するビデオフレームを見つけて、
(b)前記画像領域の中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込む
ように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記メタデータは新しいシーンに対応するものであり、前記ポストプロダクション・サブシステムは、
(a)前記ビデオデータの中で、前記新しいシーンと前のシーンとの間の境界を見つけて、
(b)前記境界に1つまたは複数の黒ビデオフレームを挿入し、
(c)前記黒ビデオフレームの中のピクセルのクロミナンス部分に前記メタデータを埋め込む
ように構成されている、請求項12に記載のシステム。

【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図1】
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【図1A】
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【図2A】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図4A】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−520874(P2013−520874A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553963(P2012−553963)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2011/024854
【国際公開番号】WO2011/103075
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507236292)ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション (82)
【Fターム(参考)】