説明

ビームホルダー及びビーム保持装置

【課題】ビームの不使用時に、ビームをコンテナ内における作業の邪魔にならない位置に配置することを可能にするビームホルダーを提供する。
【解決手段】本発明に係るビームホルダー10は、コンテナ、ビーム及びレールを具備する輸送装置において、ビームの不使用時に、ビームを保持する器具として使用されるものであり、レールの被結合部に結合可能なジョイント部11と、該ジョイント部11がレールの被結合部に結合された状態において、ビームのジョイント部がレールに沿った方向から結合可能な被結合部12とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ、ビーム及びレールを具備する輸送装置に用いられるビームホルダー及びビーム保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図11に示したように、コンテナ100、ビーム110及びレール120を具備する輸送装置が知られている。コンテナ100は、物品の輸送に用いられる容器である。ビーム110は、コンテナ100内を区画する部材又はコンテナ100内に収容される物品の後退を防止する部材等として用いられる棒状のものである。レール120は、コンテナ100内に設置され、ビーム110の端部に設けられたジョイント部111が結合される被結合部121を複数有し、ビーム110の使用時にビーム110を支持するものである。
【0003】
下記特許文献1には、コンテナ内に設置される一対のレールの間に掛け渡され、コンテナ内を区画するビームが記載されている。このビームは、該ビームの端部に、レールに設けられた被結合部に結合するジョイント部が設けられている。下記特許文献2には、コンテナ内に設置されるレールが記載されている。このレールは、ロープ等の端部に設けられたジョイント部が結合される被結合部を複数有する。下記特許文献3には、コンテナ、ビーム及びレールを具備する輸送装置が記載されている。ここで、ビームは、該ビームの端部に設けられたジョイント部をレールに設けられた被結合部に結合することにより取り付けられ、コンテナ内に収容される物品の後退を防止する部材として用いられている。
【0004】
しかしながら、従来の輸送装置では、ビームの使用の前後には、レールから取り外されたビームがコンテナのフロア上に放置されていた。したがって、コンテナ内に物品を収容するときやコンテナ内から物品を取り出すときに、ビームが邪魔になり、コンテナ内における作業を困難なものにしていた。また、コンテナを搭載した車両が移動するときには、その振動により、コンテナのフロア上に放置されたビームがコンテナ内で揺動するという問題があった。
【特許文献1】特開平9−267893号公報
【特許文献2】特開2004−42738号公報
【特許文献3】特開2001−88605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ビームの不使用時に、ビームをコンテナ内における作業の邪魔にならない位置に配置することを可能にするビームホルダー及びビーム保持装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下のビームホルダー及びビーム保持装置を提供する。
1.物品の輸送に用いられるコンテナと、前記コンテナ内を区画する部材又は前記コンテナ内に収容される物品の後退を防止する部材等として用いられるビームと、前記コンテナ内に設置され、前記ビームの端部に設けられたジョイント部が結合される被結合部を複数有し、前記ビームの使用時に前記ビームを支持するレールとを具備する輸送装置に用いられるビームホルダーであって、
前記レールの被結合部に結合可能なジョイント部と、
該ジョイント部が前記レールの被結合部に結合された状態において、前記ビームのジョイント部が前記レールに沿った方向から結合可能な被結合部と
を有することを特徴とするビームホルダー。
2.前記ジョイント部が設けられる本体部の両側に、前記被結合部をそれぞれ有する一対のプレートが設けられていることを特徴とする前記1に記載のビームホルダー。
3.前記一対のプレートに設けられる被結合部の各々に前記ビームのジョイント部を双方向から同時に結合し得るように、前記一対のプレートが配設されていることを特徴とする前記2に記載のビームホルダー。
4.物品の輸送に用いられるコンテナと、前記コンテナ内を区画する部材又は前記コンテナ内に収容される物品の後退を防止する部材等として用いられるビームと、前記コンテナ内に設置され、前記ビームの端部に設けられたジョイント部が結合される被結合部を複数有し、前記ビームの使用時に前記ビームを支持するレールとを具備する輸送装置に用いられるビーム保持装置であって、
前記コンテナ内における前記レールとは異なる位置に固定され、複数の被結合部を有する固定レールと、
該固定レールの被結合部に結合可能なジョイント部、及び該ジョイント部が前記固定レールの被結合部に結合された状態において、前記ビームのジョイント部が前記固定レールに沿った方向から結合可能な被結合部を有するビームホルダーと
を具備することを特徴とするビーム保持装置。
5.前記ビームホルダーは、前記ジョイント部が設けられる本体部の両側に、前記被結合部がそれぞれ設けられる一対のプレートを有することを特徴とする前記4に記載のビーム保持装置。
6.前記ビームホルダーの一対のプレートに形成される被結合部の各々に前記ビームのジョイント部を双方向から同時に結合し得るように、前記一対のプレートが配設されていることを特徴とする前記5に記載のビーム保持装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るビームホルダーは、ビームホルダーのジョイント部がレールの被結合部に結合された状態において、ビームのジョイント部がレールに沿った方向から結合可能な被結合部を有する。同様に、本発明に係るビーム保持装置は、ビームホルダーのジョイント部が固定レールの被結合部に結合された状態において、ビームのジョイント部が固定レールに沿った方向から結合可能な被結合部を有する。したがって、本発明によれば、ビームの不使用時に、ビームがレール又は固定レールに沿って配置されるようにビームを保持することが可能になるので、ビームの不使用時に、ビームをコンテナ内における作業の邪魔にならない位置に配置することが可能になる。また、ビームをしっかりと保持できるので、コンテナを搭載した車両が移動するときに、その振動により、ビームがコンテナ内で揺動するという従来の問題点を解消することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係るビームホルダー及びビーム保持装置は、いずれも、物品の輸送に用いられるコンテナ100と、コンテナ100内を区画する部材又はコンテナ100内に収容される物品の後退を防止する部材等として用いられるビーム110と、コンテナ100内に設置され、ビーム110の端部に設けられたジョイント部111が結合される被結合部121を複数有し、ビーム110の使用時にビーム110を支持するレール120とを具備する輸送装置(図11参照)において、ビーム110の不使用時に、ビーム110を保持する器具として使用されるものである。
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に従って説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明に係るビームホルダーの一実施例を示す平面図、図2は、図1のA−A部断面図、図3は、同実施例の左側面図、図4は、同実施例におけるジョイント部の内部構造を示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るビームホルダー10は、ジョイント部11及び被結合部12を有して構成される。
【0010】
ジョイント部11は、ビームホルダー10の本体部13の背面側に設けられている。ジョイント部11は、本体部13の上端及び下端にそれぞれ形成される凹部11a,11bと、本体部13内に設けられた支軸13aを中心として回動する留め金11cと、本体部13の上端から突出する留め金11cの突出端11dを本体部13の背面方向へ付勢するバネ11eとを有して構成される(図3及び図4参照)。
【0011】
ジョイント部11としては、レール120の被結合部121に結合可能な構造を有するものを採用することができ、上記の構造を有するものに限定されるものではない。レール120の被結合部121は、概して、孔部121aと、該孔部121aの上端縁121b及び下端縁121cとから構成される(図5(b)参照)。
【0012】
本実施例におけるジョイント部11は、以下のようにしてレール120の被結合部121に結合する。すなわち、まず、ビームホルダー10の本体部13の背面側をレール120の孔部121aに挿入し、ビームホルダー10の本体部13の下端に形成されたジョイント部11を構成する凹部11bにレール120の孔部121aの下端縁121cを嵌め込む。レール120の孔部121aの上端縁121bは、ビームホルダー10の本体部13の上端に形成されたジョイント部11を構成する凹部11aに嵌り込む。ジョイント部11を構成する留め金11cは、レール120の孔部121aの上端縁121bに当接して、ビームホルダー10の脱落を防止する。この際、ジョイント部材11を構成するバネ11eは、留め金11cに対して付勢力を付与することによって、留め金11cをレール120の孔部121aの上端縁121bに押し当てる働きをしている。図6には、ジョイント部11がレール120の被結合部121に結合した状態が示されている。
【0013】
ジョイント部11とレール120の被結合部121との結合状態を解除するときは、まず、バネ11eの付勢力に抗して留め金11cの突出端11dを手前に引き寄せて、留め金11cをレール120の孔部121aの上端縁121bから引き離す。それにより、レール120の孔部121aの上端縁121bがビームホルダー10の上端に形成された凹部11a内で自由となる。この状態で、ビームホルダー10の本体部13を上に持ち上げて、ビームホルダー10の本体部13の下端に形成された凹部11bからレール120の孔部121aの下端縁121cを離脱させ、次に、ビームホルダー10の本体部13の上端に形成された凹部11aからレール120の孔部121aの上端縁121bを離脱させて、ビームホルダー10の本体部13をレール120の孔部121aから脱出させる。
本実施例において採用したジョイント部11によれば、上記の通り、レール120に対するビームホルダー10の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【0014】
ビームホルダー10の被結合部12は、本体部13の両側に配設される一対のプレート14,14にそれぞれ設けられている。被結合部12は、各プレート14,14に形成される貫通孔12aと、該貫通孔12aの周縁部12bとから構成される。各貫通孔12a,12aは、本体部13がレール120の孔部121aに進入する方向に対して直交する方向に各プレート14,14を貫通している。各貫通孔12a,12aには、図6に示したように、ビーム110の端部110aが挿入されるが、各貫通孔12a,12aが上記のように形成されることにより、図5(a)及び図5(b)に示したように、ビームホルダー10のジョイント部11がレール120の被結合部121に結合された状態において、ビームホルダー10の被結合部12に対して、ビーム110のジョイント部111がレール120に沿った方向から結合することが可能になる。
【0015】
ビームホルダーの被結合部は、本体部の片側にのみ設けられるプレートに設けることもできる。しかしながら、この場合には、プレートが本体部の右側に取り付けられるか又は左側に取り付けられるかによって、ビームの取付方向が制約されることになる。この点、本実施例によれば、本体部13の両側に、被結合部12をそれぞれ有する一対のプレート14,14が設けられているため、ビーム110の取付方向に制約がなく、1個のビームホルダー10で、ビーム110の一端側又は他端側のどちらでも取り付けることができるという利点がある。
【0016】
上記のように構成されるビームホルダー10は、図7に示したように、レール120に固定され、ビーム110の端部に設けられたジョイント部111をビームホルダー10の被結合部12に結合させることにより、ビーム110がレール120に沿って配置されるようにビーム110を保持することができる。したがって、ビーム110の不使用時に、ビーム110をコンテナ100内における作業の邪魔にならない位置に配置することが可能である。また、ビーム110をしっかりと保持できるので、コンテナ100を搭載した車両が移動するときに、その振動により、ビーム110がコンテナ100内で揺動するという従来の問題点を解消することができる。
【0017】
また、本実施例では、一対のプレート14,14に設けられる被結合部12,12の各々にビーム110のジョイント部111を双方向から同時に結合し得るように、一対のプレート14,14が配設されている。すなわち、図8(a)及び図8(b)に示したように、プレート14,14同士の間隔をある程度大きく設定することによって、一対のプレート14,14に設けられる被結合部12,12の各々にビーム110のジョイント部111を双方向から同時に結合させることを可能にしている。それにより、通常、1本のビーム110に対して2個のビームホルダー10が必要であるが、例えば、2本のビーム110を3個のビームホルダー10で保持することが可能であり、コストの削減及びビーム110の取付作業の容易化を図ることができる。
【実施例2】
【0018】
図9は、本発明に係るビーム保持装置の一実施例を示す図であり、(a)はビームを取り付けた状態を示す平面図、(b)ビームを取り付けた状態を示す正面図である。これらの図に示したように、本実施例に係るビーム保持装置は、固定レール20及びビームホルダー10を有して構成される。
【0019】
固定レール20は、図10に示したように、コンテナ100内におけるレール120とは異なる位置に固定され、ビームホルダー10を支持する役割を果たすものである。固定レール20は、ビームホルダー10のジョイント部11が結合可能な被係合部21を複数有する。被係合部21は、孔部21aと、該孔部21aの上端縁21b及び下端縁21cとから構成される(図9(b)参照)。
【0020】
ビームホルダー10は、上記の実施例1において説明したビームホルダーと同様に構成されるものが採用される。すなわち、本実施例におけるビームホルダー10は、固定レール20の被結合部21に結合可能なジョイント部11と、該ジョイント部11が固定レール20の被結合部21に結合された状態において、ビーム110のジョイント部111が固定レール20に沿った方向から結合可能な被結合部12とを有して構成される(図1乃至図4参照)。ここで、ビームホルダー10は、ジョイント部11が設けられる本体部13の両側に、被結合部12がそれぞれ設けられる一対のプレート14,14を有することが好ましい(図1及び図2参照)。また、ビームホルダー10の一対のプレート14,14に形成される被結合部12,12の各々にビーム110のジョイント部111を双方向から同時に結合し得るように、一対のプレート14,14が配設されていることが好ましい(図8参照)。
【0021】
上記のように構成されるビーム保持装置は、図10に示したように、コンテナ100内に設置され、固定レール20にビームホルダー10を取り付けた後、ビーム110の端部に設けられたジョイント部111をビームホルダー10の被結合部12に結合させることにより、ビーム110が固定レール20に沿って配置されるようにビーム110を保持することができる。したがって、ビーム110の不使用時に、ビーム110をコンテナ100内における作業の邪魔にならない位置に配置することが可能である。また、ビーム110をしっかりと保持できるので、コンテナ100を搭載した車両が移動するときに、その振動により、ビーム110がコンテナ100内で揺動するという従来の問題点を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るビームホルダーの一実施例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A部断面図である。
【図3】同実施例の左側面図である。
【図4】同実施例におけるジョイント部の内部構造を示す図である。
【図5】同実施例に係るビームホルダーの使用状態を示す図であり、(a)はビームを取り付けた状態を示す平面図、(b)はビームを取り付けた状態を示す正面図である。
【図6】図5(b)におけるB−B部断面図である。
【図7】同実施例に係るビームホルダーの使用状態を示す図である。
【図8】同実施例に係るビームホルダーの作用を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図9】本発明に係るビーム保持装置の一実施例を示す図であり、(a)はビームを取り付けた状態を示す平面図、(b)ビームを取り付けた状態を示す正面図である。
【図10】同実施例に係るビーム保持装置の使用状態を示す図である。
【図11】従来の輸送装置を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
10 ビームホルダー
11 ジョイント部
11a,11b 凹部
11c 留め金
11e バネ
12 被結合部
12a 貫通孔
13 本体部
13a 支軸
14 プレート
100 コンテナ
110 ビーム
111 ジョイント部
120 レール
121 被結合部
121a 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の輸送に用いられるコンテナと、前記コンテナ内を区画する部材又は前記コンテナ内に収容される物品の後退を防止する部材等として用いられるビームと、前記コンテナ内に設置され、前記ビームの端部に設けられたジョイント部が結合される被結合部を複数有し、前記ビームの使用時に前記ビームを支持するレールとを具備する輸送装置に用いられるビームホルダーであって、
前記レールの被結合部に結合可能なジョイント部と、
該ジョイント部が前記レールの被結合部に結合された状態において、前記ビームのジョイント部が前記レールに沿った方向から結合可能な被結合部と
を有することを特徴とするビームホルダー。
【請求項2】
前記ジョイント部が設けられる本体部の両側に、前記被結合部をそれぞれ有する一対のプレートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のビームホルダー。
【請求項3】
前記一対のプレートに設けられる被結合部の各々に前記ビームのジョイント部を双方向から同時に結合し得るように、前記一対のプレートが配設されていることを特徴とする請求項2に記載のビームホルダー。
【請求項4】
物品の輸送に用いられるコンテナと、前記コンテナ内を区画する部材又は前記コンテナ内に収容される物品の後退を防止する部材等として用いられるビームと、前記コンテナ内に設置され、前記ビームの端部に設けられたジョイント部が結合される被結合部を複数有し、前記ビームの使用時に前記ビームを支持するレールとを具備する輸送装置に用いられるビーム保持装置であって、
前記コンテナ内における前記レールとは異なる位置に固定され、複数の被結合部を有する固定レールと、
該固定レールの被結合部に結合可能なジョイント部、及び該ジョイント部が前記固定レールの被結合部に結合された状態において、前記ビームのジョイント部が前記固定レールに沿った方向から結合可能な被結合部を有するビームホルダーと
を具備することを特徴とするビーム保持装置。
【請求項5】
前記ビームホルダーは、前記ジョイント部が設けられる本体部の両側に、前記被結合部がそれぞれ設けられる一対のプレートを有することを特徴とする請求項4に記載のビーム保持装置。
【請求項6】
前記ビームホルダーの一対のプレートに形成される被結合部の各々に前記ビームのジョイント部を双方向から同時に結合し得るように、前記一対のプレートが配設されていることを特徴とする請求項5に記載のビーム保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−23723(P2009−23723A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191615(P2007−191615)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(594016768)アンクラジャパン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】