説明

ビーム終端方法及びビーム終端装置

【課題】放射線を発生することなく高エネルギー粒子ビームを効率良く減速して終端させる。
【解決手段】線形減速器の導波管1にガスを封入しておくことによって入射した高エネルギー粒子ビーム3により封入ガスのプラズマを発生させ、発生したプラズマを導波管内で共鳴振動させ、プラズマ振動エネルギーを電極5a〜7aによって電気エネルギーとして外部に取り出して負荷装置9に供給するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギー粒子ビームを終端させるビーム終端方法及びビーム終端装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子加速器によって高いエネルギーに加速された電子や陽電子や陽子などの高エネルギー粒子ビームは、用済み後は、ビームダンパーと呼ばれる金属などの大きな体積の物質に衝突させて減速することにより終端させるようにしている。
【0003】
しかしながら、このような終端方法は、高エネルギー粒子がビームダンパーに衝突して消滅する際に多量の放射線を発生する問題がある。また、ビームダンパーから発生した放射線に該ビームダンパー周囲の物体が長期的に曝露されると放射化されて2次的な放射線を発生するようになる恐れもある。従って、高エネルギー粒子ビームの終端には、放射線の発生を低減または防止する対策を行うことが望ましい。
【0004】
そこで、用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器(線形加速器を減速モードで機能させる形態)を通すことによって十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させることにより放射線の発生を僅かな量に抑制するビームエネルギー低減方法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−8100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器を通すことによって十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させることにより放射線の発生を僅かな量に抑制する従来のビームエネルギー低減方法は、従来の線形加速器を減速器として機能させて高エネルギー粒子ビームを減速するものであることから、減速効率が低く、また、線形加速器を減速器として機能するように位相制御する機構が複雑になる問題がある。
【0007】
本発明の1つの目的は、多量の放射線を発生することなく高エネルギー粒子ビームを効率良く減速して終端させることができるビーム終端方法及びビーム終端装置を実現することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、多量の放射線を発生することなく高エネルギー粒子ビームを効率良く減速して終端させることができる比較的小型なビーム終端方法及びビーム終端装置を実現することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、高エネルギー粒子ビームのエネルギーを再利用可能な電気エネルギーとして回収することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器に入射して十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させるビーム終端方法は、
前記線形減速器のガスを封入した導波管に前記高エネルギー粒子ビームを入射することにより該導波管内にプラズマを発生させて該導波管内で共鳴振動させることによって入射した高エネルギー粒子ビームを減速するように行う。
【0011】
また、本発明の用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器に入射して十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させるビーム終端装置は、
前記線形減速器は、ガスを封入した導波管を備え、前記封入ガスが入射した前記高エネルギー粒子ビームにより前記導波管内でプラズマ振動を発生して該導波管内で共鳴振動するように構成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、終端させる高エネルギー粒子ビームを線形減速器のガスを封入した導波管に入射することにより該導波管内にプラズマを発生させて該導波管内で共鳴振動させることによって入射した高エネルギー粒子ビームを減速するようにしているので、多量の放射線を発生することなく高エネルギー粒子ビームを効率良く減速して終端させることができる。
【0013】
しかも、このようなビーム終端方法及びビーム終端装置は、比較的小型に実現することにある。
【0014】
また、本発明は、導波管内で発生するプラズマ振動に伴う電磁波の振動エネルギーを電気エネルギーとして取り出すことにより粒子ビームのエネルギーを再利用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器に入射して十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させるビーム終端方法は、
前記線形減速器のガスを封入した導波管に前記高エネルギー粒子ビームを入射することにより該導波管内にプラズマを発生させて該導波管内で共鳴振動させることによって入射した高エネルギー粒子ビームを減速し、
前記導波管内に設置した電極により前記プラズマ振動に伴う電磁波の振動エネルギーを電気エネルギーとして取り出して前記導波管に並置した空洞管に給電して該空洞管内にマイクロ波を発生させることによって行うようにする。
【0016】
そして、用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器に入射して十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させるビーム終端装置は、
前記線形減速器にガスを封入した導波管を備え、前記封入ガスが入射した前記高エネルギー粒子ビームにより前記導波管内でプラズマ振動を発生して該導波管内で共鳴振動するように構成し、
前記導波管内に電極を設置して前記プラズマ振動に伴って発生する電磁波の振動エネルギーを電気エネルギーとして取り出して前記導波管に並置した空洞管に給電することにより該空洞管内にマイクロ波を発生させるように構成する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の高エネルギー粒子ビーム終端装置の模式図である。
【0018】
図1において、1は内部に所定の密度に中性のガスを封入した細長い長い筒状の導波管であり、一端に高エネルギー粒子ビーム入射部1aを有し、他端には減速して低エネルギーに減衰した粒子ビームを衝突させて消滅させるビームダンパー2が取り付けられる。
【0019】
前記導波管1は、高エネルギー粒子ビーム入射部1aから導波管1の軸心方向に入射する高エネルギー粒子ビーム(電子のような粒子群の短い束)3が内部の封入ガスを通過するときに該封入ガスをプラズマ化することによって発生する電磁波によって入射した高エネルギー粒子ビーム3を減速するものであり、その材質は金属であることが好ましいが、金属に限られるものではない。この導波管1の金属的径または幅dは、この導波管1の固有周波数が所定の密度で封入されたガス(例えばHe)が高エネルギー粒子ビーム入射によって発生するガスの電子プラズマ振動周波数と等しくなる(共鳴,共振する)ように設定する。
【0020】
このように構成された導波管1は、高エネルギー粒子ビーム3が軸心方向に入射されると内部に封入されているガスがイオン化してプラズマを発生し、このプラズマが導波管1内で共鳴振動(プラズマ振動4)することによる電磁振動電界(電場)によって入射された高エネルギー粒子ビーム3を減速する。
【0021】
また、前記導波管1内には、高エネルギー粒子ビーム3の入射によって発生したプラズマ振動4の電磁波が導波管1の固有振動周波数に合わせて惹起する電磁波の振動エネルギーを電気エネルギーとして取り出す多数の電極5a(〜5n)を設置する。これらの電極5a(〜5n)は、それぞれ、前記電磁波の振動周波数に共振するように構成することが望ましい。
【0022】
前記導波管1に設置する前記各電極5a(〜5n)は、具体的に例示すると、図2に示すように、切断端部を有する略環状のアンテナ電極部5aの前記切断端部に接続した連結導体5q,5qを前記導波管1の壁を貫通するように嵌着した絶縁ブッシュ5pで支持することにより、前記アンテナ電極部5aを前記導波管1内に位置させ、前記連結導体5q,5qを前記絶縁ブッシュ5pを通して前記導波管1に対して絶縁状態で該導波管1の外側に導出するように構成する。
【0023】
6は前記導波管1に並置したマイクロ波空洞管である。このマイクロ波空洞管6は、その内部が真空引きされる構成であり、その長手方向に継手通路6aを有する仕切壁6bによって仕切られた多数の共振空洞6cを形成している。この共振空洞6cの共振周波数は前記導波管1内に発生するプラズマ振動周波数と等しくなるように構成する。このようなマイクロ波空洞管6は、具体的に例示すると、1つの仕切壁6bを備えた構成に長さ方向に分割した形状に形成した多数のブロックを継ぎ足して共振空洞6cを形成するように組み合わせ、あるいは、仕切壁6bの両側部分を切り離した多数の両端開放管部分に分割し、この両端開放管部分を仕切壁6bを継手として結合して共振空洞6cを形成するように組み合わせることにより容易に形成することができる。
【0024】
そして、このマイクロ波空洞管6の前記共振空洞6c内には該共振空洞6c内にマイクロ波振動を発生するための電極7a(〜7n)を設置する。
【0025】
前記マイクロ波空洞管6の前記各共振空洞6c及び各電極7a(〜7n)は、具体的に例示すると、図3に示すように、切断端部を有する略環状のアンテナ電極部7aの前記切断端部に接続した連結導体7q,7qを前記マイクロ波空洞管6の壁を貫通するように嵌着した絶縁ブッシュ7pで支持することにより、前記アンテナ電極部7aを前記マイクロ波空洞管7内に位置させ、前記連結導体7q,7qを前記絶縁ブッシュ7pを通して前記マイクロ波空洞管6に対して絶縁状態で該マイクロ波空洞管6の外側に導出するように構成する。
【0026】
そして、前記導波管1から導出した連結導体5q,5qとマイクロ波空洞管6から導出した連結導体7q,7qは接続することによって、導波管1の各アンテナ電極5aとマイクロ波空洞管6に設けた各アンテナ電極7aは、それぞれ、電気的接続状態とする。
【0027】
前記マイクロ波空洞管6は、マイクロ電磁波使用装置(例えば、次の高エネルギー粒子ビームを発生させるための線形加速器)やマイクロ波電力変換回路などの負荷装置9へ導いて該マイクロ波空洞管6内に発生したマイクロ波エネルギーを利用(消費又は回収)するように構成する。
【0028】
このような高エネルギー粒子ビーム3の減速を行うのに好適な導波管1は、金属内径dの大きさを、入射した高エネルギー粒子B3が封入ガス中を通過することより発生するプラズマ中に起きる光速で走る電子線によって引き起こされる電磁波の波長程度(d=2πc/ωここでωはガスのプラズマ振動周波数)に設定する。このように設定することによって、高エネルギー粒子ビーム3は、入射した導波管1内に発生するプラズマ振動による電磁波によって減速を受け、数1に示すような電場Eで減速される。
【0029】
【数1】

ここで、nは、高エネルギー粒子ビームの入射によって発生する導波管1内のガスのプラズマ電子密度、n14は定数で1014/cmのプラズマ電子密度である。
【0030】
高エネルギー粒子ビーム3の入射によって発生する導波管1内のガスのプラズマ電子密度nが1014/cmとなるように構成すると、導波管1に入射した高エネルギー粒子ビーム3は、プラズマ中で1mにつき1GeVのエネルギーを消失する。従って、例えば、n=1018/cmの電子密度のプラズマを発生させれば、1TeVのエネルギーの高エネルギー粒子ビーム3を100mで消滅させる(粒子ビームを止める)ことができる。因に、対応するプラズマ振動周波数は、900GHzとなる。そして、n=1015/cmの電子密度のプラズマを発生させたときの高エネルギー粒子ビーム3の消滅所要距離は300mとなる。
【0031】
そして、ビームダンパー2は、導波管1内では停止(消滅)させることができなかった残存低エネルギー粒子ビーム3を衝突させて停止(消滅)させる。
【0032】
ここで、プラズマについて説明する。
【0033】
中性のガス(例えば、He)を封入した導波管1に高エネルギー粒子ビーム(十分に強烈な電子の粒子群の短い束)3を入射して導波管1の軸心方向に縦断させると、ガスは電界イオン化によって即座にイオン化され、その後方にプラズマ振動を励起する。
【0034】
高エネルギー粒子ビーム3を形成する粒子群の短い束の列への展開は、束間隔がプラズマ振動波長の整数倍に等しい限り単純な重ね合わせとなる。入射する電子ビームのための減速電界として作用するプラズマ振動を発生することにより、励起電界として励起したプラズマ波は、電子ビームの後方に干渉位相を持つことになる。
【0035】
プラズマの電子密度をnとすると、そのプラズマ振動の角周波数ωは、数2によって与えられる。
【0036】
【数2】

そして、プラズマ振動波長λは、数3によって与えられる。
【0037】
【数3】

ここで、mは電子の静止質量、rは電子の基準活動半径である。
【0038】
ここで、例えば、1014/cmのプラズマ電子密度を仮定すると、プラズマ振動周波数,励起するマイクロ波は90GHzとなる。この周波数は、多くの産業機器やWバンドで利用し得る一般的な周波数である。対応するプラズマ振動波長は、約3mmである。
【0039】
十分なエネルギーを持った高エネルギー粒子ビームがガスに入射するとき、ガス原子は、前記粒子ビームの電界による電界イオン化によってイオン化する。そして、粒子ビームが通り、プラズマ波エネルギーが回収された後、イオン化されたプラズマは再結合によって元のガス状態に回復する。
【0040】
TeV粒子ビームを仮定すると、プラズマ中の減速電界Edecelは、数4で与えられる。
【0041】
【数4】

量的には、数5で与えられる。
【0042】
【数5】

ここで、n14は1014/cmの密度である。
【0043】
=1014/cm選択すると、ビーム粒子は、プラズマ中で1mにつき1GeVを失うことになる。1TeVの粒子ビームを100m以内で停止させるためには、n=1018/cmのプラズマを必要とする。そのときの対応するプラズマ振動周波数は、900GHzになる。
【0044】
N個の電子を持った強力な電子ビームにより駆動されるプラズマ振動の放射範囲を考えると、プラズマ振動エネルギーの大部分は、プラズマ柱軸心に対する前記放射範囲内にある。
【0045】
ここで、プラズマ電子をプラズマ軸心方向の後方に引き戻すクーロン力を発生するプラズマイオンが静止状態にとどまっている間に粒子ビームにより総てのプラズマ電子が放射状に追い払われた吹き払い状況を推定する。
【0046】
プラズマ電子は、最初は、半径位置rに静止している状態を考えると、駆動電子束が通過した後、前記プラズマ電子は、初期放射速度を生じる放射反発力dr/dtを受ける。この放射反発力dr/dtは、数6で与えられる。
【0047】
【数6】

ここで、σは駆動電子ビームの二乗平方根の放射サイズ、Nは駆動電子ビームの束における電子の数である。
【0048】
駆動電子ビームが円形の横断切断面を持ち、プラズマ電子の運動が非相対論的であると仮定すると、最大反発力は、r≒1.6σのときに発生する。
【0049】
初速dr/dtは、数7で与えられる。
【0050】
【数7】

吹き払い状況において、プラズマ電子の運動d/dtの方程式は、数8である。
【0051】
【数8】

初期反発力により吹き払われたプラズマ電子の放射範囲Rは、数9により与えられる。
【0052】
【数9】

駆動電子ビームの電子の数Nを1010個とすると、R=6μm×λ/σが得られる。
【0053】
実施においてプラズマ振動エネルギーを効果的に使用するためには、大きなRが望ましく、それには、λ≫σであることが必要となる。例えば、もし、λ=3mm,σ=1μmとすると、R=2cmが得られる。
【0054】
ここで、マイクロ波装置について説明する。
【0055】
プラズマ振動エネルギーをマイクロ波エネルギーに変換するために、プラズマ列の隣に該プラズマ振動に駆動される受動回路として働くマイクロ波装置を設置する。
【0056】
このマイクロ波装置は、図1に示すように、プラズマ振動周波数と等しい共振周波数に構成したマイクロ波共振空洞6cを有するマイクロ波空洞管6を備え、マイクロ波共振空洞6cは結合器を介して前記導波管1内のプラズマ振動により駆動されて該マイクロ波共振空洞6cと共振するマイクロ波を発生する。
【0057】
各結合器は、図2および図3を参照して前述したように、両端に略環状のアンテナ電極部5a,7aを備え、1つのアンテナ電極部5aはプラズマ列の軸心から約R離れた位置でプラズマ列中に位置するように導波管1内に挿入し、他のアンテナ電極部7aはマイクロ波空洞管6の共振空洞6c内に挿入する。
【0058】
このように構成した結合器は、導波管1内のプラズマ振動の磁界によって駆動され、マイクロ波空洞6c内にマイクロ波を発生するように駆動する。
【0059】
マイクロ波共振空洞6cのインピーダンスは、臨界結合のために、マイクロ波共振空洞6cからプラズマ列側に電力反射が発生しないように設計する。
【0060】
マイクロ波装置のQ値は、到達温度において、プラズマ列の振動のQ値よりも大きくなければならない。
【0061】
そして、前記結合は、他の制動手段によって消滅させるようにプラズマ振動が相当減衰する前にプラズマ振動エネルギーを取り出すために十分に強力であることが望まれる。
【0062】
マイクロ波装置は、駆動されたマイクロ波がプラズマ列中の駆動ビームの速度と同方向の等しい位相速度を持つように設計する。しかしながら、グループ速度は、後方を向いている。それにより、マイクロ波エネルギーは、高エネルギー電子ビーム発生源に戻して高エネルギー電子ビームを発生させるために再利用することができる。
【0063】
隣接する空洞間の結合は、軸結合(電気的)または横結合(電磁的)の何れでも実現することができる。
【0064】
マイクロ波空洞管6を通過する通路に沿った方向のマイクロ波エネルギー損失は、長距離において問題となる。重大な問題となるときには、超電導装置を使用する。
【0065】
次ぎに、導波管1とマイクロ波空洞管6を結合する結合器の数について説明する。
【0066】
原則的には、各プラズマ振動波毎に1つの結合器を使用し、各結合器によって1つのマイクロ波空洞に給電する。実施に当っては、結合器の数をプラズマ振動の複数の特定のグループ速度に関連して減少することができる。
【0067】
冷プラズマの1−D振動において、グループ速度はゼロである。この場合において、グループ速度が定形になるためには2つの理由がある。
【0068】
第1に、実質的にプラズマ振動が存在する半径範囲(R)は有限である。Rがλに匹敵するときには、プラズマ振動のグループ速度は光の速度vに近くなると推定される。
【0069】
第2に、プラズマが所定の温度Tを持っているとき、前記プラズマ振動はもう1つの影響v(=3KT/mc)を受ける。ここで、Kはボルツマン定数である。しかしながら、この影響は無視し得る程度である。
【0070】
所定のグループ速度vにおいて、プラズマ振動エネルギーは、ある振動周期から次ぎの振動周期に移動することができることから、結合器の数をv(2π/W)の長さ方向間隔につき1つに減少することが可能となる。ここで、Qは、プラズマ振動のQ値である。
【0071】
=cのときには、各Qプラズマ振動波長毎に1つの結合器にすることができる。v<cのときは、結合器は、Q/cプラズマ振動波長の間隔になる。
【0072】
各プラズマ振動波長毎に結合器を必要としない場合には、マイクロ波空洞管6は、プラズマ振動波長につき1つの空洞とする必要はなく、空洞サイズを大きくすることができる。これは、マイクロ波装置の構成を簡易にする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例1を示す高エネルギー粒子ビーム終端装置の模式図である。
【図2】図1に示した高エネルギー粒子ビーム終端装置における導波管と電極の関係を示す縦断正面図である。
【図3】図1に示した高エネルギー粒子ビーム終端装置におけるマイクロ波空洞管と電極の関係を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
【0074】
1…導波管、1a…高エネルギー粒子ビーム入射部、2…ビームダンパー、3…高エネルギー粒子ビーム、5a(〜5n)…電極、5a…アンテナ電極部、5q,5q…連結導体、6…マイクロ波空洞管、6a…継手通路、6b…仕切壁、6c…共振空洞、7a(〜7n)…電極、7a…アンテナ電極部、7q,7q…連結導体、9…負荷装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器に入射して十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させるビーム終端方法において、
前記線形減速器のガスを封入した導波管に前記高エネルギー粒子ビームを入射することにより該導波管内にプラズマを発生させて該導波管内で共鳴振動させることによって入射した高エネルギー粒子ビームを減速することを特徴とするビーム終端方法。
【請求項2】
請求項1において、前記導波管内に設置した電極により前記プラズマ振動に伴う電磁波の振動エネルギーを電気エネルギーとして取り出すことを特徴とするビーム終端方法。
【請求項3】
請求項2において、前記電気エネルギーの取り出しは、前記導波管に並置した空洞管に前記電極から前記プラズマ振動の電磁波の振動エネルギーを伝播させて該空洞管内にマイクロ波を発生させることによって行うことを特徴とするビーム終端方法。
【請求項4】
用済み後の高エネルギー粒子ビームを線形減速器に入射して十分に減速した後にビームダンパーに衝突させて消滅させるビーム終端装置において、
前記線形減速器は、ガスを封入した導波管を備え、前記封入ガスが入射した前記高エネルギー粒子ビームにより前記導波管内でプラズマ振動を発生して該導波管内で共鳴振動するように構成したことを特徴とするビーム終端装置。
【請求項5】
請求項4において、前記導波管内に電極を設置し、前記プラズマ振動に伴って発生する電磁波の振動エネルギーを電気エネルギーとして取り出すように構成したことを特徴とするビーム終端装置。
【請求項6】
請求項5において、前記導波管に空洞管を並置し、前記電極から前記空洞管内に前記導波管内のプラズマ振動の電磁波の振動エネルギーを伝播させて該空洞管内にマイクロ波を発生させることによって行うように構成したことを特徴とするビーム終端装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−140673(P2009−140673A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314155(P2007−314155)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(507399519)スタンフォード ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】