説明

ピアノの拍子木金具

【課題】筬をスライドさせるためのペダル操作を円滑に行えるとともに、筬と棚板との良好な密着を維持できることによって、高い演奏性を確保することができるピアノの拍子木金具を提供する。
【解決手段】水平な棚板2上の左右の端部に配置された左右の拍子木5に設けられ、棚板2上の左右の拍子木5、5間に左右方向にスライド自在に設けられた筬3の左右の側面から突出するガイドピン18に上方から当接した状態で、筬3のスライドを案内するピアノの拍子木金具1であって、左右の拍子木5の各々の内側面に形成された凹部21に収容され、凹部21の内壁面21bに取り付けられた金具本体31と、この金具本体31に、前後方向に延びる支軸39を中心として回動自在に取り付けられ、筬3のガイドピン18に上方から当接する回動体32と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランドピアノの左右の拍子木に設けられ、ソフトペダルの操作に伴って左右方向にスライドする筬を案内するピアノの拍子木金具に関する。
【背景技術】
【0002】
グランドピアノでは一般に、鍵盤やアクション、ハンマーを載置した木製の筬が、水平な棚板上に左右方向にスライド自在に設けられている。この筬は、演奏者によるソフトペダルの操作に連動して、右方へ所定距離、シフトするように構成されており、それにより、演奏時にハンマーが上方の弦を打弦する位置が若干ずれることで、音色を変化させるなどのソフトペダル効果が得られるようになっている。また、筬には、左右の側面からそれぞれ突出するガイドピンが設けられており、ソフトペダルの操作時に、両ガイドピンが棚板上の左右の拍子木にそれぞれ設けられた拍子木金具で案内される。このような拍子木金具として、従来、本出願人がすでに出願した特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
この拍子木金具は、拍子木の内側面に形成された凹部に収容された状態で、その凹部の内壁面に固定された金具本体と、この金具本体に上下方向に移動自在に取り付けられ、筬のガイドピンに上方から当接するピン押さえと、金具本体に斜めにねじ込まれた調整ねじと、この調整ねじの先端部とピン押さえとの間に設けられたばねなどで構成されている。上記の調整ねじの頭部は、金具本体の上方に、内側に向かって斜めに傾いた状態で突出しており、上端面に工具挿入用の六角穴が形成されている。
【0004】
このように構成された拍子木金具は、筬のガイドピンをピン押さえによって上方から適度な力で押さえることにより、ソフトペダルの操作に伴う筬の左右方向のスライドを案内するとともに、乾湿の影響による筬の反りなどに起因する筬の棚板からの浮き上がりやがたつきを防止する。また、上記の拍子木金具では、ピン押さえによるガイドピンの押さえ力を調整する場合、専用の工具を、拍子木と鍵盤の間の隙間から挿入し、調整ねじの頭部の六角穴に係合させて、その工具を回転操作する。これにより、調整ねじを回しながら、その上下方向の位置を調整し、それに伴い、ピン押さえも上下方向の位置が調整されることによって、ピン押さえによるガイドピンの押さえ力が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−222278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
左右の拍子木は通常、棚板の下方からねじ込まれた拍子木ねじによって、棚板に固定されている。このような拍子木に設けられた上記の拍子木金具では、拍子木を棚板に取り付けた状態のまま、調整ねじを回転操作することで、ピン押さえによるガイドピンの押さえ力を調整することが可能であり、また、調整ねじとピン押さえの間にばねを設けることにより、ガイドピンの押さえ力の微調整が行えるようになっている。しかし、拍子木金具による筬の左右方向への案内は、ガイドピンがピン押さえに摺接しながら行われるため、筬の反りによって、ガイドピンがピン押さえに強く当接すると、両者の間に生じる摩擦力が大きくなり、その結果、ガイドピンと一体にスライドする筬に対する抗力が大きくなってしまう。この場合、ソフトペダルの操作時において、ペダルの踏込みに比較的大きな力が必要になることで、ペダル操作が重くなることがある。また、筬の棚板に密着すべき箇所が浮き上がり、棚板との間に隙間が生じる場合には、演奏者による押鍵時のパワーのすべてをハンマーに適切に伝えることができず、演奏性が低下するという問題もある。したがって、上記の拍子木金具には改善の余地がある。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、筬をスライドさせるためのペダル操作を円滑に行えるとともに、筬と棚板との良好な密着を維持できることによって、高い演奏性を確保することができるピアノの拍子木金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、水平な棚板上の左右の端部に配置された左右の拍子木に設けられ、棚板上の左右の拍子木間に左右方向にスライド自在に設けられた筬の左右の側面から突出するガイドピンに上方から当接した状態で、筬のスライドを案内するピアノの拍子木金具であって、左右の拍子木の各々の内側面に形成された凹部に収容され、凹部の内壁面に取り付けられた金具本体と、この金具本体に、前後方向に延びる軸線を中心として回動自在に取り付けられ、筬のガイドピンに上方から当接する回動体と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、水平な棚板上の左右の拍子木にそれぞれ、筬の左右方向へのスライドを案内する拍子木金具が設けられている。各拍子木金具の金具本体は、対応する拍子木の内側面に形成された凹部に収容され、その内壁面に取り付けられており、この金具本体に前後方向に延びる軸線を中心として回動自在に取り付けられた回動体が、筬のガイドピンに上方から当接する。これにより、ソフトペダルの操作によって、筬が左右方向にスライドするときには、ガイドピンに当接する回動体が回動するので、ガイドピンに摺接しながら筬を案内する従来の拍子木金具に比べて、スライドする筬に対する抗力を低減することができる。したがって、ソフトペダルを踏み込む際にそれほど大きな力は必要なく、ペダル操作を円滑に行うことができる。また、拍子木金具の回動体が筬のガイドピンに上方から当接しているので、筬の反りなどによるガイドピンの上方への移動を阻止することができる。その結果、筬の反りを抑制することができ、それにより、筬と棚板との良好な密着を維持できることによって、高い演奏性を確保することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のピアノの拍子木金具において、軸線に沿って延び、金具本体に固定された支軸を、さらに備え、回動体は、支軸が貫通した状態で、支軸に回動自在に取り付けられた内輪部と、この内輪部の外周側に設けられるとともに、支軸を中心として、内輪部に対して回動自在に構成され、ガイドピンに当接する外輪部と、を有していることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、回動体の内輪部が、金具本体に固定された支軸に回動自在に取り付けられ、内輪部の外周側に設けられた外輪部が、支軸を中心として、回動自在になっている。つまり、回動体は、支軸に対していずれも回動自在の内輪部および外輪部による二重構造に構成されている。これにより、筬の反りなどによって、外輪部に対し、ガイドピンから上方への荷重が作用しても、回動体を支軸に対して回動自在の単純なローラなどで構成する場合に比べて、支軸に対する外輪部の回動を確保しやすくすることができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のピアノの拍子木金具において、回動体は、内輪部と外輪部の間に周方向に沿って配置された複数の転動部材を、さらに有していることを特徴とする。
【0013】
この回動体では、内輪部と外輪部に間に、その周方向に沿って、複数の転動部材が配置されており、つまり、回動体が、基本的な転がり軸受と同様に構成されている。このように構成された回動体では、基本的な転がり軸受と同様、支軸に直角な方向に作用する荷重、すなわちラジアル荷重に対する耐性が高く、外輪部が内輪部および支軸に対し、円滑に回動する。したがって、上記の構成によれば、上記請求項2の作用、効果を効果的に得ることができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載のピアノの拍子木金具において、金具本体は、回動体を内側に保持した状態で、支軸の両端部を支持する支持部を有しており、滑性を有する材料で構成され、支持部の内側面と回動体の間に介在するスペーサを、さらに備えていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、金具本体の支持部が、その内側に回動体を保持した状態で、支軸の両端部を支持しており、支持部の内側面と回動体の間に、滑性を有する材料で構成されたスペーサが介在されている。これにより、回動体が筬のガイドピンを案内しながら回動する際に、回動体の支持部に対向する面が支持部の内面に直接、当たることがなくなり、したがって、回動体が支持部に当たることによる雑音の発生を確実に防止しながら、回動体の円滑な回動を確保することができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のピアノの拍子木金具において、金具本体は、対応する拍子木に、前後方向に移動自在に取り付けられており、金具本体に係合し、拍子木の外方に臨むとともに外部から操作可能に構成され、当該操作によって金具本体を前後方向に移動させることにより、回動体の前後方向の位置を調整する前後位置調整機構を、さらに備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、金具本体が拍子木に前後方向に移動自在に取り付けられ、この金具本体に、前後位置調整機構が係合している。この前後位置調整機構を操作することにより、金具本体が前後方向に移動し、これと一体に回動体も移動することによって、回動体の前後方向の位置が調整される。また、前後位置調整機構は、拍子木の外方に臨むとともに外部から操作可能に構成されているので、拍子木を棚板に取り付けた状態のまま、回動体の前後方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載にピアノの拍子木金具において、前後位置調整機構は、前後方向に延び、対応する拍子木に螺合しかつ拍子木の前面から操作部が外方に臨むとともに、金具本体に連結され、操作部が回転操作されることにより、金具本体と一体に前後方向に移動する位置調整ロッドを有していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、前後位置調整機構の位置調整ロッドは、前後方向に延び、拍子木に螺合しかつその前面から操作部が外方に臨むとともに、金具本体に連結されている。したがって、拍子木の前方から操作部を回転操作することにより、位置調整ロッドが、拍子木に対して回転しながら、金具本体と一体に前後方向に移動し、これにより、回動体も前後方向に移動する。このように、構成が比較的簡単な上記のような位置調整ロッドにより、回動体の前後方向の位置調整を行うための前後位置調整機構を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態による拍子木金具を適用したグランドピアノにおいて、拍子木金具を、棚板、筬、鍵盤、拍子木および腕木などとともに示す斜視図である。
【図2】右側の拍子木に取り付けられた状態の拍子木金具を、拍子木の一部を破断した状態で、左方から見たときの状態を示す図である。
【図3】拍子木金具を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】拍子木金具の金具本体を分解して示す正面図であり、(a)は前後スライダ、(b)は回動体を支持した状態の回動体サポートである。
【図5】回動体を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図6】拍子木金具の前後方向の位置調整を説明するための図であり、(a)は、金具本体を後方に移動させたときの状態、(b)は、金具本体を前方に移動させたときの状態を示す。
【図7】本発明の第2実施形態によるピアノの拍子木金具を、拍子木および金具本体の一部を破断した状態で示し、第1実施形態の図2に対応する図である。
【図8】図7の拍子木金具を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】第2実施形態による拍子木金具の上下方向の位置調整を説明するための図であり、(a)は、金具本体を下方に移動させたときの状態、(b)は、金具本体を上方に移動させたときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による拍子木金具を適用したグランドピアノにおいて、拍子木金具1を、棚板2、筬3、鍵盤4、拍子木5および腕木6などとともに示している。なお、拍子木金具1、拍子木5および腕木6はいずれも、棚板2の左右両端部に左右対称に設けられているが、図示の簡略化のために、図1では、演奏者側から見て、右側のもののみを示している。また、鍵盤4は、左右方向に並設された多数(例えば88個)の鍵4aによって構成されるが、図1では、白鍵および黒鍵を1つずつ示している。
【0022】
図1に示すように、棚板2は、平面形状が横長矩形状に形成され、水平に配置されており、その左右両側に腕木6が位置するとともに、上面に筬3が載置されている。この筬3は、スプルスなどの木質材を井桁状に組み立てたものであり、左右方向に延びる筬前11、筬中12および筬後13、ならびにこれらを連結する前後方向に延びる左右の筬妻14、14、およびそれらの間に互いに左右方向に間隔を隔てて配置された複数の筬中束15などで構成されている。筬前11および筬中12にはそれぞれ、多数のフロントピン16およびバランスピン17(図1ではいずれも一部のみ図示)が立設されており、各鍵4aが、対応するバランスピン17を中心として揺動自在に支持されるとともに、フロントピン16により横振れが防止されるようになっている。
【0023】
なお、図示は省略するが、鍵盤4の後部には、一般的なグランドピアノと同様、左右方向に並んだ多数のアクションおよびハンマーが載置されており、両者が鍵4aごとに設けられている。
【0024】
また、筬前11の左右の側面にはそれぞれ、拍子木金具1によって左右方向に案内されるガイドピン18、18が水平に突出するように設けられている。さらに、筬中12の下面には、球面状の頭部を有するボルトから成る複数(例えば6つ)の筬すべり金具(図示せず)が、筬中12の長さ方向に沿って、互いに間隔を隔ててねじ込まれている。筬3は、これらの筬すべり金具の頭部、ならびに筬前11および筬後13の下面が棚板2に接しており、棚板2上において左右方向にスライド自在になっている。なお、筬前11および筬後13では、それらの下面の奥行き幅(前後方向の幅)が、上面のそれに比べて非常に小さく、棚板2に対する筬3の接触面積が小さいので、両者2、3の間に生じる摩擦力は、比較的小さくなっている。
【0025】
また、筬3は、これに係合するキーレバーおよび突揚棒を介して、ソフトペダル(いずれも図示せず)に連結されている。このソフトペダルを、演奏者が踏むと、突揚げ棒およびキーレバーにより、鍵盤4、アクションおよびハンマーを載置した筬3が、右方にスライドしてシフトするのに伴い、ハンマーの打弦位置が若干ずれることで、音色を変化させるなどのソフトペダル効果を得ることができる。
【0026】
拍子木5は、木製のブロック状のものであり、棚板2上の左右両端部に腕木6に隣接するように配置され、棚板2の下方からねじ込まれた拍子木ねじ(図示せず)によって、棚板2に固定されている。また、図1および図2に示すように、拍子木5の鍵盤4側の面である内側面には、拍子木金具1を収容した状態で、これが取り付けられる金具収容部21(凹部)が形成されている。この金具収容部21は、鍵盤4側および下方に開放するように形成され、比較的大きなサイズの凹部(以下「大凹部21a」という)と、この大凹部21aの奥側の内壁面21bに、大凹部21aよりも小さなサイズでかつ大凹部21aと同様の形状を有する凹部(以下「小凹部21c」という)で構成されている。また、拍子木5の前部には、前後方向に水平に延びるロッド収容孔22が形成されている。そして、このロッド収容孔22には、内面に雌ねじを有するナット23を介して、拍子木金具1の後述する回動体32の前後方向の位置を調整するための前後位置調整ロッド24(前後位置調整機構、位置調整ロッド)が収容されている。なお、上記ナット23は、外周面に複数の突起(図示せず)を有するいわゆる鬼目ナットで構成されていて、拍子木5のロッド収容孔22内に固定されている。
【0027】
前後位置調整ロッド24は、前後方向に延びており、前半部に、前記ナット23に螺合する雄ねじ部25を有し、後半部に、拍子木金具1の後述する金具本体31に係合する金具係合部26を有している。この金具係合部26は、金具本体31の後述する係合溝35bに嵌った状態で係合する本体部26aと、この本体部26aの前後両端部に設けられ、金具本体31を、前後位置調整ロッド24に対して前後方向に不動に係止する係止部26b、26bで構成されている。したがって、前後位置調整ロッド24が前後方向に移動すると、これと一体に、金具本体31も前後方向に移動する。また、前後位置調整ロッド24の前端部には、拍子木5の前方に臨み、外部から操作可能な操作部24aが設けられている。この操作部24aには、スクリュードライバーなどの工具の先端部が挿入可能な工具挿入溝が形成されている。
【0028】
図2および図3に示すように、拍子木金具1は、金属製の金具本体31と、この金具本体31の下端部に回動自在に支持され、筬3のガイドピン18に上方から当接する回動体32とを備えている。金具本体31は、自身を拍子木5の金具収容部21内に取り付けた状態で、前後方向(図2、3の左右方向)にスライド自在の前後スライダ33と、この前後スライダ33に取り付けられ、回動体32を支持する回動体サポート34で構成されている。
【0029】
図4は、金具本体31を分解して示す正面図であり、(a)は前後スライダ33、(b)は回動体32を支持した状態の回動体サポート34を示している。なお、同図では、右側を前側、左側を後ろ側とするとともに、同図の表面側を正面側、裏面側を背面側として説明するものとする。
【0030】
図4(a)に示すように、前後スライダ33は、正面形状が矩形に形成されたブロック状のスライダ本体部35と、このスライダ本体部35の前後面の上部に設けられ、前後スライダ33自体を拍子木5に取り付けるためのスライダ取付部36、36とを有している。スライダ本体部35の上部には、互いに前後方向に所定間隔を隔てた2つのねじ孔35a、35aが形成され、下部には、前後方向の全体にわたって延びるとともに背面側に開放し、前記前後位置調整ロッド24の金具係合部26に係合する係合溝35bが形成されている。また、スライダ本体部35の前後両端部にはそれぞれ、上下方向の全体にわたって延びるとともに正面側に突出し、回動体サポート34を上下方向にガイドするためのガイド部35c、35cが設けられている。一方、前後のスライダ取付部36、36はそれぞれ、スライダ本体部35の前面および後面から、互いに反対方向に所定長さ延びており、各スライダ取付部36には、外方に開放する横長のU字溝36aが形成されている。
【0031】
図4(b)に示すように、回動体サポート34は、縦長のブロック状に形成され、前後スライダ33の前後のガイド部35c、35c間の長さとほぼ同じ前後方向の幅寸法を有している。この回動体サポート34の上部には、前後スライダ33の前後のねじ孔35a、35aに対応するように、前後2つの縦長のU字溝37、37が形成されている。各U字溝37は、上方に開放しており、背面側の内側縁部37aがその全体にわたって、内方に若干突出するように形成されている。また、回動体サポート34の下部には、前後方向に互いに所定間隔を隔てて下方に平行に延び、内側に回動体32を支持する前後一対の支持部34a、34aが設けられている。そして、これらの支持部34a、34aには、前後方向に水平に延びる支軸39(軸線)の両端部が接着などによって固定され、この支軸39に、回動体32が回動自在に取り付けられている。
【0032】
図5に示すように、回動体32は、いわゆる深溝玉軸受と同様に構成されており、支軸39が貫通した状態で、それに取り付けられた内輪部41と、この内輪部41の外周側に設けられた外輪部42と、これらの内輪部41および外輪部42の間に周方向に沿って配置された複数(本例では7つ)の玉43(転動部材)などで構成されている。内輪部41は、円筒状に形成されており、支軸39の直径よりも若干大きい内径を有している。一方、外輪部42は、その外周面42aが、ガイドピン18の曲率よりも大きな円弧状に凹むように形成されており、この外周面42aが筬3のガイドピン18に上方から当接する。また、複数の玉43は、内輪部41および外輪部42の間に周方向に沿うように設けられた保持器(図示せず)によって、互いの距離が一定に保持されている。さらに、内輪部41および外輪部42の両側面には、両者41および42の間を塞ぐリング状のシールド44が取り付けられている。
【0033】
このように構成された回動体32では、内輪部41が支軸39に対して、外輪部42が支軸39および内輪部41に対して、回動自在になっている。
【0034】
また、図3および図4に示すように、回動体サポート34の下部の両支持部34a、34aと、回動体32の両側面との間の隙間にはそれぞれ、支軸39が貫通した状態で、スペーサ45、45が設けられている。各スペーサ45は、滑性を有する材料(例えばフッ素樹脂)で構成され、回動体32の側面と同じ形状で、かつ回動体サポート34の支持部34aと回動体32との間の隙間よりも若干薄い厚さを有するワッシャ状に形成されている。このようなスペーサ45を、回動体サポート34の両支持部34a、34aと回動体32の両側面との間に介在させることにより、回動体32が筬3のガイドピン18を案内しながら回動する際に、回動体32の側面が支持部34aの内面に直接、当たることがなくなる。したがって、回動体32が支持部34aに当たることによる雑音の発生を確実に防止しながら、回動体32の円滑な回動を確保することができる。
【0035】
以上のように構成された金具本体31では、前後スライダ33のスライダ本体部35の正面側に回動体サポート34を重ねた状態で、2つの組立ねじ46、46を、回動体サポート34の前後のU字溝37a、37aに通し、さらに、スライダ本体部35の前後のねじ孔35a、35aにねじ込み、締め付ける。これにより、図3に示すように、回動体サポート34の各U字溝37の内側縁部37aが、組立ねじ46の頭部46aの底面によって、前後スライダ33のスライダ本体部35に押し付けられ、それにより、回動体サポート34が前後スライダ33に固定される。
【0036】
なお、回動体サポート34は、両U字溝37a、37aを介してねじ止めされるため、前後スライダ33に対し、上下方向の位置調整を行うことが可能である。したがって、回動体サポート34を上下方向に移動させると、これと一体に回動体32も移動し、回動体32の上下方向の位置調整を行うことができる。
【0037】
また、前後スライダ33および回動体サポート34によって組み立てられた金具本体31は、図2および図3に示すように、拍子木5の金具収容部21に収容された状態で、その大凹部21aの内壁面21bに、2つの取付ねじ47、47を介して取り付けられている。具体的には、前後スライダ33のスライダ本体部35および回動体サポート34が、小凹部21cの内側に位置するとともに、スライダ本体部35の係合溝35bが前後位置調整ロッド24の金具係合部26に係合した状態で、前後のスライダ取付部36、36の各U字溝36aに通された取付ねじ47が、大凹部21aの内壁面21bにねじ込まれている。この場合、各取付ねじ47の頭部47aの底面と大凹部21aの内壁面21bとの間に、前後スライダ33のスライダ取付部36の厚さよりも若干大きい隙間を存するように、取付ねじ47がねじ込まれている。つまり、金具本体31は、前後方向に移動自在な状態で、拍子木5の金具収容部21内に取り付けられている。
【0038】
次に、上記のように構成された拍子木金具1における回動体32の位置調整の方法について説明する。この位置調整では、拍子木金具1の回動体32が、筬3のガイドピン18を上方から適度な力によって押さえるよう、回動体32の上下方向の位置を調整(以下、適宜「上下位置調整」という)するとともに、回動体32が、ガイドピン18を左右方向に円滑に案内するために、回動体32の前後方向の中心をガイドピン18に一致させるよう、回動体32の前後方向の位置を調整(以下、適宜「前後位置調整」という)する。
【0039】
上下位置調整は、ピアノの製造時には拍子木5を棚板2に取り付ける前に行われ、またピアノのメンテナンス時には拍子木5を棚板2から取り外した状態で行われる。なおこれらの場合、拍子木金具1は、図2に示す状態で、拍子木5の金具収容部21内に取り付けられている。まず、ガイドピン18の棚板2からの高さを計測し、その結果に応じて、回動体32の上下位置調整を行う。具体的には、2つの組立ねじ46、46を緩め、回動体32が、上記の計測結果に応じた適切な高さに位置するよう、回動体サポート34を前後スライダ33に対して上下方向にスライドさせる。そして、一旦緩めた両組立ねじ46、46を締め付ける。以上により、回動体32の上下位置調整が完了する。
【0040】
一方、前後位置調整は、拍子木5を棚板2に取り付けた状態で行われる。具体的には、まず、拍子木5の前方から、スクリュードライバーなどの工具の先端部を、前後位置調整ロッド24の操作部24aの工具挿入溝に挿入する。そして、その工具を所定方向に回転操作し、前後位置調整ロッド24を回転させる。
【0041】
図6(a)および(b)はそれぞれ、前後位置調整ロッド24を、前方から見て時計方向および反時計方向に回転させた状態を示している。同図(a)に示すように、前後位置調整ロッド24を時計方向に回転させると、前後位置調整ロッド24が後方に移動し、これと一体に、金具本体31も後方に移動する。これにより、回動体32は、後方に調整される。一方、同図(b)に示すように、前後位置調整ロッド24を反時計方向に回転させると、前後位置調整ロッド24が前方に移動し、これと一体に、金具本体31も前方に移動する。これにより、回動体32は、前方に調整される。以上のようにして、前後位置調整ロッド24を回転操作することにより、回動体32を前後方向に移動させ、その前後方向の中心をガイドピン18の中心に一致させる。以上により、回動体32の前後位置調整が完了する。
【0042】
以上のように、本実施形態の拍子木金具1によれば、ソフトペダルの操作によって、筬3が左右方向にスライドするときには、ガイドピン18に上方から当接する回動体32の外輪部42が回動するので、ガイドピンに摺接しながら筬を案内する従来の拍子木金具に比べて、スライドする筬3に対する抗力を低減することができる。これにより、ソフトペダルを踏み込む際にそれほど大きな力は必要なく、ペダル操作を円滑に行うことができる。
【0043】
また、回動体32は、深溝玉軸受と同様に構成されているので、当該軸受と同様、支軸39に直角に作用する荷重であるラジアル荷重に対する耐性が高く、したがって、筬3の反りなどによって、外輪部42に対し、ガイドピン18から上方への荷重が作用しても、ガイドピン18の上方への移動を阻止しながら、支軸39に対する外輪部42の回動を確保することができる。その結果、筬3の反りを抑制することができ、それにより、筬3と棚板2との良好な密着を維持できることによって、高い演奏性を確保することができる。
【0044】
さらに、回動体32の前後位置調整を行う場合、拍子木5の前方から、前後位置調整ロッド24を回転操作するだけでよく、拍子木5を棚板2に取り付けた状態のまま、回動体32の前後方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0045】
次に、図7〜図9を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では、前述した第1実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0046】
本実施形態の拍子木金具50は、拍子木5を棚板2に取り付けた状態で、拍子木5の前方からの操作によって、回動体32の上下位置調整が行われ、それにより、回動体32による筬3のガイドピン18の押さえ力を調整可能なものである。
【0047】
図7および図8に示すように、拍子木5の内側面には、拍子木金具50を収容した状態で、これが取り付けられる金具収容部53(凹部)が形成されている。この金具収容部53は、鍵盤4側および下方に開放するように形成され、内壁面53aの下半部がさらに奥側に凹むように形成されている。また、拍子木5の上部には、上記金具収容部53の上方に、後述するかさ歯車部57b、62bを収容する歯車収容部54が形成されるとともに、この歯車収容部54と拍子木5の前方とを連通するロッド収容孔55が形成されている。そして、このロッド収容孔55には、円筒状のガイドスリーブ56を介して、上下位置調整ロッド57が、前後方向に不動にかつ回転自在に収容されている。
【0048】
上下位置調整ロッド57は、前後方向に、拍子木5の上記ロッド収容孔55とほぼ同じ長さに延びるとともに、ガイドスリーブ56の内径よりも若干小さい径を有するロッド本体部57aと、このロッド本体部57aの後端部に設けられ、拍子木5の歯車収容部54に収容されたかさ歯車部57bとで構成されている。ロッド本体部57aの前端部には、前述した第1実施形態の前後位置調整ロッド24と同様、拍子木5の前方に臨み、外部から操作可能な操作部57cが設けられている。また、かさ歯車部57bは、後方に向かってテーパ状に形成され、最大径が、拍子木5のロッド収容孔55の径よりも若干小さくかつガイドスリーブ56の内径よりも大きく形成されている。
【0049】
拍子木金具50は、回動体32を下端部に支持する金具本体51と、この金具本体51を拍子木5の金具収容部53内に取り付けるための取付金具61と、金具本体51と上下位置調整ロッド57との間に設けられ、この上下位置調整ロッド57の回転に伴って、金具本体51を上下方向に移動させる昇降ロッド62とを備えている。
【0050】
上記の取付金具61は、図8に示すように、正面形状が上下方向に延びる縦長矩形状の縦板部61aと、この縦板部61aの下端部から直角に屈曲する下板部61bとで、側面形状がL字状に形成されている。この取付金具61は、縦板部61aおよび下板部61bがそれぞれ、金具収容部53の内壁面53aおよびそれに連なる下面にぴったりと接した状態で、ねじ止めされている。また、縦板部61aの前後両端部には、上下方向の全体にわたって延びるとともに、正面側に突出し、金具本体51を上下方向にガイドするためのガイド部61c、61cが設けられている。さらに、縦板部61aの所定位置には、金具本体51を取付金具61に取り付けるためのねじ孔61dが形成されている。
【0051】
金具本体51は、正面形状が縦長矩形状に形成されたブロック状のものであり、中央部に、上下方向に所定長さ延びる長孔51aが形成されている。そして、この長孔51aに取付ねじ63が遊挿された状態で、取付金具61のねじ孔61dにねじ込まれている。なお、取付ねじ63は、その頭部63aが金具本体51から若干浮いた状態で、取付金具61のねじ孔61dにねじ込まれている。
【0052】
金具本体51の上部には、上下方向に所定長さ延びる雌ねじ部64が設けられており、この雌ねじ部64に前記昇降ロッド62の下部が螺合している。この昇降ロッド62は、上下方向に所定長さ延び、下半部に、金具本体51の雌ねじ部64に螺合する雄ねじ部62aを有している。また、昇降ロッド62の上端部には、拍子木5の歯車収容部54に収容された状態で、前記上下位置調整ロッド57のかさ歯車部57bに噛み合うかさ歯車部62bを有している。そして、この昇降ロッド62は、拍子木5に、上下方向に不動にかつ中心軸線を中心として回転自在に支持されている。
【0053】
また、金具本体51の下部には、前後方向に互いに所定間隔を隔てて下方に平行に延び、内側に回動体32を支持する前後一対の支持部51b、51bが設けられている。そして、これらの支持部51b、51bには、第1実施形態の金具本体31と同様、前後方向に水平に延びる支軸39の両端部が固定され、この支軸39に、回動体32が回動自在に取り付けられるとともに、その両側面と支持部51b、51bとの間にそれぞれ、スペーサ45が設けられている。
【0054】
以上のように構成された拍子木金具50では、次のようにして、回動体32による筬3のガイドピン18の押さえ力の調整を行う。まず、拍子木5の前方から、スクリュードライバーなどの工具の先端部を、上下位置調整ロッド57の操作部57cの工具挿入溝に挿入する。そして、工具を回転操作し、例えば図9(a)に示すように、上下位置調整ロッド57を反時計方向に回転させると、昇降ロッド62が反時計方向に回転する。この場合、金具本体51は、取付金具61の前後のガイド部61c、61および取付ねじ63によって、昇降ロッド62を中心とする回転が阻止される。その結果、金具本体51は、ガイド部61c、61cおよび取付ねじ63で案内されながら、昇降ロッド62が抜ける方向、すなわち下方に移動する。これに伴い、回動体32が下降し、ガイドピン18の押さえ力が大きくなるように調整される。逆に、図9(b)に示すように、上下位置調整ロッド57を時計方向に回転させると、昇降ロッド62が時計方向に回転し、それにより、金具本体51は、昇降ロッド62がねじ込まれる方向、すなわち上方に移動する。これに伴い、回動体32が上昇し、ガイドピン18の押さえ力が小さくなるように調整される。
【0055】
以上のように、本実施形態の拍子木金具50によれば、前述した第1実施形態と同様、ソフトペダルの操作によって左右方向にスライドする筬3のガイドピン18を、回動体32によって案内するので、ペダル操作を円滑に行うことができるとともに、筬3と棚板2との良好な密着を維持できることによって、高い演奏性を確保することができる。
【0056】
また、回動体32によるガイドピン18の押さえ力を調整する場合、拍子木5の前方から、上下位置調整ロッド57を回転操作するだけでよく、拍子木5を棚板2に取り付けた状態のまま、回動体32を上下方向に移動させることによって、ガイドピン18の押さえ力の調整を容易に行うことができる。
【0057】
なお、本発明は、説明した第1および第2実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、両実施形態では、回動体32として、深溝玉軸受と同様に構成されたものを採用したが、筬3の反りなどによるガイドピン18の上方への移動を阻止しながら、支軸39に対して円滑に回動するものであれば、他の種類の軸受はもちろん、その他の構造の回動体を採用することができる。また、第1実施形態では、回動体32の前後方向の位置調整を行うための前後位置調整機構として、拍子木5の前面から操作部24aが外方に臨む前後位置調整ロッド24を採用したが、本発明の前後位置調整機構はこれに限定されるものではなく、拍子木5を棚板2に取り付けた状態のまま操作可能なものであれば、種々の構成の前後位置調整機構を採用することができる。また、実施形態で示した拍子木金具1、50の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 拍子木金具
2 棚板
3 筬
4 鍵盤
5 拍子木
18 ガイドピン
21 金具収容部(凹部)
21b 内壁面
24 前後位置調整ロッド(前後位置調整機構、位置調整ロッド)
24a 操作部
31 金具本体
32 回動体
34a 支持部
39 支軸(軸線)
41 内輪部
42 外輪部
43 玉(転動部材)
45 スペーサ
50 拍子木金具
51 金具本体
51b 支持部
53 金具収容部(凹部)
53a 内壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な棚板上の左右の端部に配置された左右の拍子木に設けられ、前記棚板上の前記左右の拍子木間に左右方向にスライド自在に設けられた筬の左右の側面から突出するガイドピンに上方から当接した状態で、前記筬のスライドを案内するピアノの拍子木金具であって、
前記左右の拍子木の各々の内側面に形成された凹部に収容され、当該凹部の内壁面に取り付けられた金具本体と、
この金具本体に、前後方向に延びる軸線を中心として回動自在に取り付けられ、前記筬の前記ガイドピンに上方から当接する回動体と、
を備えていることを特徴とするピアノの拍子木金具。
【請求項2】
前記軸線に沿って延び、前記金具本体に固定された支軸を、さらに備え、
前記回動体は、
前記支軸が貫通した状態で、当該支軸に回動自在に取り付けられた内輪部と、
この内輪部の外周側に設けられるとともに、前記支軸を中心として、前記内輪部に対して回動自在に構成され、前記ガイドピンに当接する外輪部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のピアノの拍子木金具。
【請求項3】
前記回動体は、前記内輪部と前記外輪部の間に周方向に沿って配置された複数の転動部材を、さらに有していることを特徴とする請求項2に記載のピアノの拍子木金具。
【請求項4】
前記金具本体は、前記回動体を内側に保持した状態で、前記支軸の両端部を支持する支持部を有しており、
滑性を有する材料で構成され、前記支持部の内側面と前記回動体の間に介在するスペーサを、さらに備えていることを特徴とする請求項2または3に記載のピアノの拍子木金具。
【請求項5】
前記金具本体は、対応する前記拍子木に、前後方向に移動自在に取り付けられており、
前記金具本体に係合し、前記拍子木の外方に臨むとともに外部から操作可能に構成され、当該操作によって前記金具本体を前後方向に移動させることにより、前記回動体の前後方向の位置を調整する前後位置調整機構を、さらに備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のピアノの拍子木金具。
【請求項6】
前記前後位置調整機構は、前後方向に延び、対応する前記拍子木に螺合しかつ当該拍子木の前面から操作部が外方に臨むとともに、前記金具本体に連結され、前記操作部が回転操作されることにより、前記金具本体と一体に前後方向に移動する位置調整ロッドを有していることを特徴とする請求項5に記載のピアノの拍子木金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−123159(P2011−123159A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279278(P2009−279278)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)