説明

ピアノ演奏補助装置

【課題】グランドピアノ、アップライトピアノのいずれに対しても用いることができ、しかもフットペダル間の距離の違いにも簡単に対応することができる、フットペダル操作用のピアノ演奏補助装置を提供する。
【解決手段】駆動機構を備えた基本ユニット1と、フットペダルの後端部を下から上に向けて押し上げるペダルアーム209を備えたグランドピアノ用アタッチメント2と、フットペダルの前端部を上から下に向けて押し下げるペダルアーム309を備えたアップライトピアノ用アタッチメント3と、基本ユニット1を縦置き状態で支持固定するアップライトピアノ用縦置きスタンド4とを一組として構成し、アタッチメント2,3を取り替えることにより、ピアノの違いに対応させた。さらに、ペダルアーム209,309のそれぞれを左右方向へスライド可能とし、フットペダルの位置に応じてペダルアームの位置を調節できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者がピアノ演奏を行なう際に用いられるフットペダル操作用のピアノ演奏補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
足の不自由な身体障害者がピアノの演奏をする場合、演奏補助装置を用いてフットペダルを操作することが考えられる(例えば、特許文献1参照)。ピアノにはグランドピアノとアップライトピアノがあるが、グランドピアノとアップライトピアノとではフットペダルの設置形状が異なる。また、メーカーによってフットペダル間の距離が異なる。このような場合に必要とされるのが、グランドピアノ、アップライトピアノのいずれにも設置可能で、しかもメーカーよるフットペダル間の距離の違いにも簡単に対応することができるピアノ演奏補助装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2006−154504号公報(全文、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のこの種のピアノ演奏補助装置は、設置対象がグランドピアノかアップライトピアノのいずれか一方に限定されるのがほとんどであり、他のピアノに設置することができなかった。また、メーカーによるフットペダル間の距離の違いにも簡単に対応することができなかった。そのため、上記要求を満たすことが難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、グランドピアノ、アップライトピアノのいずれに対しても用いることができ、しかもメーカーよるフットペダル間の距離の違いにも簡単に対応することができる、フットペダル操作用のピアノ演奏補助装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載のピアノ演奏補助装置は、基本ユニットと、該基本ユニットに対して着脱自在とされたグランドピアノ用アタッチメントと、前記基本ユニットに対して着脱自在とされたアップライトピアノ用アタッチメントと、アップライトピアノ用縦置きスタンドとを一組として構成され、前記基本ユニットは、ペダル操作指示信号に従って往復直線運動する駆動機構と、該駆動機構の往復直線運動を往復回転運動に変換するギア機構とからなり、前記グランドピアノ用アタッチメントは、グランドピアノのフットペダルに対してその後端部下面側から接し、該フットペダルの後端部を下から上に向けて押し上げるように作動するペダルアームと、該ペダルアームに前記基本ユニットのギア機構の往復回転運動を伝達するためのリンク機構とを備え、前記アップライトピアノ用アタッチメントは、アップライトピアノのフットペダルに対してその前端部上面側から接し、該フットペダルの前端部を上から下に向かけて押し下げるように作動するペダルアームと、該ペダルアームに前記基本ユニットのギア機構の往復回転運動を伝達するためのリンク機構とを備え、前記アップライトピアノ用縦置きスタンドは、前記アップライトピアノ用アタッチメントを取り付けられた状態の前記基本ユニットを縦置き状態で定位置に支持して固定するための支持機構を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2記載のピアノ演奏補助装置は、前記請求項1記載のピアノ演奏補助装置において、前記グランドピアノ用アタッチメントのペダルアームと、前記アップライトピアノ用アタッチメントのペダルアームのそれぞれが左右方向へスライド可能とされ、設置対象とするピアノのフットペダル間隔に応じてペダルアームの位置を調節可能とされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のピアノ演奏補助装置によれば、基本ユニットに対して取り替え可能なグランドピアノ用とアップライトピアノ用の2種類のアタッチメントを備えるとともに、アップライトピアノ用アタッチメントを取り付けた基本ユニットを縦置き状態の定位置に支持して固定するためのアップライトピアノ用縦置きスタンドを備えているので、基本ユニットの構造を変更することなしに、グランドピアノ、アップライトピアノのいずれにも対しても用いることができるようになる。このため、従来のようにグランドピアノ専用、アップライトピアノ専用の演奏補助装置をそれぞれ個別に用意する必要がなくなり、ピアノ演奏補助装置の運用と管理が簡単となる。
【0009】
また、請求項2記載のピアノ演奏補助装置によれば、ペダルアームを左右方向へスライド可能としたしたので、設置するピアノによって隣り合うフットペダル間の距離が異なっても、ペダルアームをスライドさせることによって正確にその位置合わせを行なうことができる。このため、身体障害者による正確なペダル操作、ひいては正確なピアノ演奏を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】グランドピアノ設置時の本発明のピアノ演奏補助装置の構成を示すもので、蓋を外した状態の斜視図である。
【図2】基本ユニットとグランドピアノ用アタッチメントの要部略示断面図である。
【図3】グランドピアノ用アタッチメントの斜視図である。
【図4】グランドピアノ用アタッチメントの分解斜視図である。
【図5】アームストッパーの詳細を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)中のI−I線断面図である。
【図6】図1のピアノ演奏補助装置のグランドピアノへの設置状態を示す図である。
【図7】アップライトピアノ設置時の本発明のピアノ演奏補助装置の構成を示すもので、(a)は略示断面図、(b)は側面図である。
【図8】アップライトピアノ用アタッチメントの斜視図である。
【図9】アップライトピアノ用のペダルアームの正面図である。
【図10】図7のピアノ演奏補助装置をアップライトピアノ用縦置きスタンドに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】図10のピアノ演奏補助装置のアップライトピアノへの設置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係るピアノ演奏補助装置の一実施の形態を説明する。添付した図1〜図11は、本発明に係るピアノ演奏補助装置の一実施の形態を示すもので、図1〜図6はグランドピアノ設置時のピアノ演奏補助装置の構成を、また図7〜図11はアップライトピアノ設置時のピアノ演奏補助装置の構成をそれぞれ示すものである。
【0012】
本発明のピアノ演奏補助装置は、基本ユニット1、グランドピアノ用アタッチメント2、アップライトピアノ用アタッチメント3、アップライトピアノ用縦置きスタンド4の四つの構成部品を一組として構成されるもので、グランドピアノ設置時には、図1に示すように、基本ユニット1、グランドピアノ用アタッチメント2の二つの部品を用いて装置を構成し、一方、アップライトピアノ設置時には、図10に示すように、基本ユニット1、アップライトピアノ用アタッチメント3、アップライトピアノ用縦置きスタンド4の三つの部品を用いて装置を構成するものである。
【0013】
先ず、グランドピアノ設置時の本発明装置の構成について、図1〜図6を参照して説明する。なお、前述したように、グランドピアノ設置時は、基本ユニット1、グランドピアノ用アタッチメント2の二つの部品を用いて装置を構成する。
【0014】
基本ユニット1は、図1および図2に示すように、電動シリンダ101、ギヤボックス102、入力レバー104、出力レバー105から構成され、これらの機構はユニットケース109に内蔵されている。符号111は据え付け脚である。
【0015】
電動シリンダ101は、図示外のコントローラから送られてくるペダル操作指示信号によって駆動される往復直線運動機構であり、図2に示すように、ペダル操作指示信号に従ってピストンロッド103を所定の距離だけ前後方向へ直線往復動させるものである。
【0016】
ギアボックス102は前記ピストンロッド103の直線往復動を往復回転運動に変換するギア機構であって、入力ギヤ106、中間ギヤ107、出力ギヤ108の三個のギヤによって構成されている。入力ギア106のギヤ軸には他端をピストンロッド103の先端につながれた入力レバー104が連結され、また出力ギア108のギア軸には出力レバー105の基端部が連結されている。一方、出力レバー105の先端部は、ユニットケース109の壁面に開けられた矩形状の開口窓部110からケース外へ臨まされ、グランドピアノ用アタッチメント2のアームリンク208の一方の端部に連結されている。

【0017】
グランドピアノ用アタッチメント2は、グランドピアノのフットペダルを操作するためのペダル操作機構である。このグランドピアノ用アタッチメント2は、図3にその斜視図を、また図4にその分解図を示すように、側面視略三角形状をした断面コ字形のブラケット201を備えている。このブラケット201は、正面壁部と左右のリブ203に開けられた取り付け穴202を用いて基本ユニット1の開口窓部110の部分にビス等で着脱自在に螺着されてる。
【0018】
前記断面コ字形をしたブラケット201の正面壁部には、矩形状をした開口窓205が開けられており、この開口窓205からギアボックス102の出力レバー105の先端部がブラケット内へ臨まされている。そして、この出力レバー105の先端部は、ブラケット201内において、リンクピン206とスナップピン207によってアームリンク208の上端部に回動自在に連結されている。
【0019】
一方、上記アームリンク208の下端部は、リンクピン210とグリップ止め輪211によってペダルアーム209の基端部に回動自在に連結されている。さらに、ペダルアーム209の長手方向中央部付近に形成された軸穴212にはペダルピン213が遊嵌挿通されている。
【0020】
上記ペダルピン213の両端部はブラケット201の左右の側壁部の支軸穴215に挿通され、グリップ止め輪214によってブラケット201に係止されている。これにより、ペダルアーム209はペダルピン213を支軸としてそのまわりに回動自在とされている。
【0021】
上記リンク構造により、ギアボックス102の出力レバー105の回動はアームリンク208を介してペダルアーム209に伝えられ、ペダルアーム209はペダルピン213を支点としてそのまわりに回動する。そして、ペダルアーム209の先端部に設けられたペダル接触部材216がピアノのフットペダル6(図6参照)の後端部を下側から上方へ向けて押し上げ、結果としてフットペダルを足で踏み込んだと同じ状態とするものである。
【0022】
さらに、前記ペダルピン213を支点として回動自在に遊嵌されたペダルアーム209の左右両側位置には、ペダルアーム209を挟むようにしてアームストッパー217が遊嵌されている。このアームストッパー217には、図5に示すように、遊嵌穴218に向かってねじ穴220が穿たれており、このねじ穴220に六角穴付止めネジ219が螺着されている。
【0023】
上記六角穴付止めネジ219を緩めてアームストッパー217を遊び状態とすることにより、ペダルアーム209を左右方向へ移動自在とすることができる。また、六角穴付止めネジ219を締めることにより、アームストッパー217が固定されるので、これによってペダルアーム209を定位置に固定することができる。従って、メーカーによってフットペダル間の距離が異なる場合でも、ペダルアーム209の位置をそれに合うように移動して調整することができる。
【0024】
上記構成からなる本発明装置をグランドピアノへ設置する場合の設置方法とその使用方法について、図6を参照して説明する。
【0025】
図6に示すように、基本ユニット1にグランドピアノ用アタッチメント2を取り付けた本発明装置Aは、フットペダル6の後方側(演奏者側から見てフットペダルの後ろ側)の床面に設置される。そして、ペダルアーム209のペダル接触部材216がフットペダル6の後端部下面に軽く接する状態に配置する。
【0026】
なお、グランドピアノには三つのフットペダル、すなわち、演奏者側から見て左側のシフトペダル、右側のダンパーペダル、真ん中のソステーヌペダルという三つのペダルが備わっているが、図示例のピアノ演奏補助装置(図1)は、左側のシフトペダル用と、右側のダンパーペダル用の2本のペダルアーム209しか備えていない。もし、真ん中のソステーヌペダルも操作する場合には、図1中の電動シリンダ101、ギアボックス102、グランドピアノ用アタッチメント2をもう一組設け、全部で3本のペダルアーム209となるように構成すればよい。
【0027】
進んで、足の悪い演奏者が車いすに乗ったままでピアノ演奏する場合を例に採って、上記装置の操作方法を説明する。
【0028】
まず、演奏者は車いすに乗ったままの状態でピアノの前に座る。そして、例えば本出願人が先に特許出願したマウスピース(特願2008−314409号)等のペダル操作指示具を口にくわえる。そして、このマウスピースをくわえた状態で演奏を開始する。
【0029】
演奏中に、例えば右側のダンパーペダルを押し下げ操作したい場合、演奏者は口にくわえているマウスピースの二つの穴のうち、左側の穴を舌で塞ぎ、右側の穴からだけ息を吹き込む。この吹き込んだ息に従って図示しないコントローラから信号ケーブル7を介して右側のダンパーペダルの操作指示信号が本発明装置Aへ送られる。
【0030】
ペダル操作指示信号が送られてくると、本発明装置Aは当該信号に従って向かって右側の電動シリンダー101を駆動し、そのピストンロッド103を前方へ所定の距離だけ押し出す。
【0031】
すると、入力レバー104、ギアボックス102、出力レバー105、アームリンク208の作用によって、右側のペダルアーム209がペダルピン213を支点として上方へ向かって回動し、右側に位置するフットペダル6(いわゆるダンパーペダル)の後端部を図6中に鎖線で示すように上方へ向けて押し上げる。
【0032】
フットペダル6の後端部が上方へ押し上げられると、フットペダル6の前端部は図6中に破線で示すように下へ向かって押し下げられ、右側のフットペダル6は足で踏み込んだと同じ状態となる。これにより、足の悪い演奏者であってもフットペダル6を確実に操作することができる。
【0033】
左側のシフトペダルを操作したい場合には、上記とは逆に、口にくわえたマウスピースの右側の穴を舌で塞ぎ、左側の穴だけに息を吹き込めばよい。これにより、左側に位置するペダルアーム209が上方へ向かって回動し、左側に位置するシフトペダルの後端部を上方へ向かって押し上げ、左側のシフトペダルが足で踏み込んだと同じ状態となる。
【0034】
また、前述したように、ピアノのフットペダル間の距離は、メーカーによって異なる場合がある。このような場合には、次のようにして、ペダルアーム209の位置をフットペダルの位置に合わせて調節すればよい。
【0035】
すなわち、ペダルアーム209を左右両側から挟むようにしてペダルピン213に遊嵌されているアームストッパー217のねじ穴220に螺着されている六角穴付止めネジ219を緩め、アームストッパー217を遊んだ状態にする。
【0036】
この状態で、ペダルアーム209を左右方向へ必要な距離だけ動かし、当該ペダルアーム209が対応するフットペダルの中心位置に合うように調整する。その後、左右のアームストッパー217の六角穴付止めネジ219をねじ込み、ペダルアーム209を当該調節位置に固定すればよい。これにより、メーカーによってフットペダル間の距離が異なっていても、演奏現場において簡単にペダルアーム209の位置合わせを行なうことができる。
【0037】
次に、アップライトピアノに用いる場合の装置構成について、図7〜図11を参照して説明する。なお、前述の図1〜図7で説明した部材と同一部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
アップライトピアノ設置時には、図10に示すように、基本ユニット1、アップライトピアノ用アタッチメント3、アップライトピアノ用縦置きスタンド4の三つの部品を用いて装置を構成する。基本ユニット1は、グランドピアノ用基本ユニット1と同じものであり、グランドピアノとアップライトピアノで共用する。
【0039】
アップライトピアノ設置時は、図7に示すように、アップライトピアノ用アタッチメント3を基本ユニット1に取り付ける。さらに、このアップライトピアノ用アタッチメント3を取り付けた基本ユニット1を、図10に示すように、アップライトピアノ用縦置きスタンド4に90°立てた縦置き状態で取り付け、この縦置き状態の装置Bを、図11に示すように、アップライトピアノのフットペダル6の前側に設置して使用するものである。
【0040】
アップライトピアノ用アタッチメント3は、図7〜図9にその構造を示すように、基本的には図3、図4で説明したグランドピアノ用アタッチメント2と同じ構造である。
【0041】
異なる点は、ペダルアーム309の形状をアップライトピアノ用に変えている点と、図7に示すように、基本ユニと1に対するアップライトピアノ用アタッチメント3の取付の向きがグランドピアノ用アタッチメント2の場合(図1参照)とは上下逆とされている点だけである。
【0042】
この違いは、アップライトピアノの場合、その構造上、グランドピアノように本発明装置Bをフットペダル6の後ろ側におくことができないため、装置をピアノの前側に設置して、通常の足で踏む場合と同じようにピアノの前側からフットペダルを押し下げるように操作する必要があることに基づくものである。この違いによって、後述するアップライトピアノ用縦置きスタンド4も必要となるものである。
【0043】
ペダルアーム309は、図9に示すように、その全体形状が拡開角105°程度に開いた「く」の字状とされている。そして、この「く」の字状をしたペダルアーム309の軸穴312に、回転支軸となるペダルピン213を遊嵌挿通するとともに、その左右両側位置にペダルアーム309を挟むようにしてアームストッパー217を配置したものである(図8参照)。
【0044】
アップライトピアノ用縦置きスタンド4は、図10に示すように、全体が略長方形状をした枠体からなり、左右の側板402の内壁下端寄りの位置には、基本ユニット1を縦置き状態で支承するための棚板401が設けられているとともに、側板402の上下位置には基本ユニット1を縦置き状態で定位置に固定するための横長の取り付け穴403が形成されている。基本ユニット1は、棚板401に乗せられ上で、ユニットケース109の側面に形成されたねじ穴112(図7参照)にビス404で螺着することにより、定位置に固定される。
【0045】
なお、側板401の外側位置には据え付け脚405が設けられ、装置全体を縦置き状態で安定に支持している。
【0046】
次に、上記のようにしてアップライトピアノ用に組み替えられた本発明装置をアップライトピアノへ設置する場合の設置方法とその使用方法について、図11を参照して説明する。
【0047】
図11に示すように、アップライトピアノ用に組み替えられた本発明装置Bをアップライトピアノ8へ設置する場合、本発明装置Bはアップライトピアノのフットペダル6の前側(演奏者側)の床面に立設状態で設置され、ペダルアーム309のペダル接触部材316がフットペダル6の上面に接するように配置する。
【0048】
上記のように設置した後、演奏者は車いすに乗ったままの状態でピアノの前に座る。そして、前述したグランドピアノの場合と同様に、マウスピース等のペダル操作指示具を用いてペダル操作指示信号を送る。
【0049】
本発明装置Bは、ペダル操作指示信号を受けると、該当する側の電動シリンダ101を駆動し、そのピストンロッド103を前方へ所定の距離だけ押し出す。
【0050】
すると、入力レバー104、ギアボックス102、出力レバー105、アームリンク208の作用によって、該当する側のペダルアーム309が下方へ向かって回動し、該当するフットペダル6(例えばダンパーペダル)を上から下に向けて押し下げ、フットペダル6を足で踏み込んだと同じ状態にする。これにより、健常者と同様にフットペダルを操作することができる。
【0051】
また、アップライトピアノの場合においても、フットペダル間の距離はメーカーによって異なる場合がある。このような場合には、前述したグランドピアノの場合と同様に、ペダルアーム309を左右両側から挟むようにして遊嵌されているアームストッパー217の六角穴付止めネジ219を緩めた後、ペダルアーム309を左右に動かして調節すればよい(図8参照)。
【0052】
上記実施の形態によれば、基本ユニット1、グランドピアノ用およびアップライトピアノ用の二つのアタッチメント2,3、アップライトピアノ用縦置きスタンド4を一組として装置を構成したので、基本ユニット1はそのまま何らの改変を加えることなしにグランドピアノとアップライトピアノの両方に用いることができる。また、各アタッチメント2,3のペダルアーム209,309にはアームストッパー217を設けているので、メーカーによってフットペダル間の距離が異なっている場合でも、ペダルアーム209,309の位置を簡単に調節することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 基本ユニット
2 グランドピアノ用アタッチメント
3 アップライトピアノ用アタッチメント
4 アップライトピアノ用縦置きスタンド
5 グランドピアノ
6 フットペダル
8 アップライトピアノ
101 電動シリンダ
102 ギアボックス
103 ピストンロッド
104 入力レバー
105 出力レバー
109 ユニットケース
201 ブラケット
208 アームリンク
209 ペダルアーム
213 ペダルピン
216 ペダル接触部材
217 アームストッパー
219 六角穴付止めネジ
220 ねじ穴
309 ペダルアーム
316 ペダル接触部材
401 側板
402 棚板
403 取り付け穴
A グランドピアノ設置時のピアノ演奏補助装置
B アップライトピアノ設置時のピアノ演奏補助装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本ユニットと、該基本ユニットに対して着脱自在とされたグランドピアノ用アタッチメントと、前記基本ユニットに対して着脱自在とされたアップライトピアノ用アタッチメントと、アップライトピアノ用縦置きスタンドとを一組として構成され、
前記基本ユニットは、ペダル操作指示信号に従って往復直線運動する駆動機構と、該駆動機構の往復直線運動を往復回転運動に変換するギア機構とからなり、
前記グランドピアノ用アタッチメントは、グランドピアノのフットペダルに対してその後端部下面側から接し、該フットペダルの後端部を下から上に向けて押し上げるように作動するペダルアームと、該ペダルアームに前記基本ユニットのギア機構の往復回転運動を伝達するためのリンク機構とを備え、
前記アップライトピアノ用アタッチメントは、アップライトピアノのフットペダルに対してその前端部上面側から接し、該フットペダルの前端部を上から下に向かけて押し下げるように作動するペダルアームと、該ペダルアームに前記基本ユニットのギア機構の往復回転運動を伝達するためのリンク機構とを備え、
前記アップライトピアノ用縦置きスタンドは、前記アップライトピアノ用アタッチメントを取り付けられた状態の前記基本ユニットを縦置き状態で定位置に支持して固定するための支持機構を備えていることを特徴とするピアノ演奏補助装置。
【請求項2】
請求項1記載のピアノ演奏補助装置において、
前記グランドピアノ用アタッチメントのペダルアームと、前記アップライトピアノ用アタッチメントのペダルアームのそれぞれが左右方向へスライド可能とされ、設置対象とするピアノのフットペダル間隔に応じてペダルアームの位置を調節可能とされていることを特徴とするピアノ演奏補助装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−39095(P2011−39095A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183494(P2009−183494)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(598168759)有限会社ミューロン (11)
【Fターム(参考)】