説明

ピペット機器

【課題】分析されるべき物質が添加された流体物質の供給が単純な方法で実行可能となるピペット機器の提供。
【解決手段】供給室26と、放出開口18を有する第1の端16と、第2の開放端20とを有するピペットユニット12を含むピペット装置であって、ピペットユニットの第2の開放端付近において、スリーブ型容器ユニット14が半径方向内向きに突出し、互いに離間する密閉リップ22、24上を軸方向に可動状態で案内され、容器ユニットには、ピペットユニット供給室側において底部素子28が設けられ、供給室に背する側に開口32を有し、容器ユニットは開口34を有し、該開口の軸方向寸法は密閉リップ間の距離より小さいか等しく、故に容器ユニットはピペットユニットに対して可動であり、作動位置では、容器ユニットの内部36は、容器ユニットの開口34を介してピペットユニットの供給室と連絡する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器室と、放出開口を有する第1の端と第2の開放端を有する小さな管の形のピペットユニットを含むピペット機器に係る。
【背景技術】
【0002】
容器室と、放出開口を有する第1の端と第2の開放端を有する小さな管の形のピペット装置は、実際に知られている。1つの既知のピペットユニットは、プラスチック又はガラスから形成される。第2の開放端における吸引装置が、基板上に供給されるべき液体を放出開口を介して容器内に引き込む。供給されるべき液体は、次に、基板上に供給されるか又は反応槽内に送られることが可能である。供給されるべき液体に添加可能である唾液又は同様の物質のサンプルは次に、化学又は生化学検査が行われることが可能である。分析されるべき物質の液体への添加は、別の容器内にピペットされる前に行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、分析されるべき物質が添加された流体物質の供給が単純な方法で実行可能となるピペット機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、供給室と、放出開口を有する第1の端と、第2の開放端とを有する小さな管の形のピペットユニットを含むピペット装置を提供することにより達成される。ピペットユニットの第2の開放端の付近において、スリーブ型容器ユニットが、半径方向内向きに突出し、互いからある距離にある少なくとも2つの密閉リップ上を軸方向に可動であるよう案内され、容器ユニットには、ピペットユニットの供給室に向く側において、底部素子が設けられ、供給室に向かない側に開口を有し、また、容器ユニットは、該容器ユニットの周囲の付近において、少なくとも1つの開口を有し、少なくとも1つの開口の軸方向寸法は、密閉リップ間の距離より幾らか小さいか又は等しい。容器ユニットは、閉位置から作動位置にピペットユニットに対して可動であり、作動位置では、容器ユニットの内部は、容器ユニットの少なくとも1つの開口によって、ピペットユニットの供給室と連絡する。
【0005】
ピペット装置は、容器ユニットによって形成される容器を含み、その中に、開口によって、例えば、分析されるべき物質が検査液体内に導入されることが可能である。分析される物質を有する検査物質が導入されることが可能な検査液体は、追加の器具を必要とすることなくピペットユニットに対する容器ユニットの移動によってピペットユニットの供給室に導入されることが可能である。特に、容器ユニットの作動位置への移動の結果、流体は、容器ユニットにおける少なくとも1つの開口を介して、ピペットユニットの供給室内に流れ、このようにして、ピペットユニットによって、その放出開口を介して、基板上又は反応槽内に供給されることが可能である。容器ユニットの閉位置では、密閉リップによって、検査流体が、容器ユニットとピペットユニットとの間のリング型の空隙を介して環境に漏れ出て、且つ、ピペットユニットの供給室内に流れ込むことが阻止される。容器ユニットが作動位置に動かされると、少なくとも1つの開口が、供給室の方向に密閉動作を与える密閉リップの上を動き、それにより、流体が、容器ユニットとピペットユニットとの間のリング型の空隙を介して、容器ユニットの内部からピペットユニットの供給室内に流れることが可能である。
【0006】
ピペット装置の1つの好適な例示的な実施例において、容器ユニットには、カバー素子が設けられる。カバー素子は、容器ユニットの開口を閉じ、それにより、容器ユニットの中に含まれる流体が流れ出さない。綿棒といった検査棒についたサンプルが、容器ユニット内にある検査流体に加えられる時、例えば、キャップの形で実現されるカバー素子は取り外され、検査棒が検査流体内に浸漬され、そこから引き出される。その後、カバー素子は容器ユニット上に戻され、それにより、標本が加えられた検査流体の均質化を行うことが可能となる。次に、容器ユニットは、作動位置に動かされることが可能であり、その結果、検査流体は、供給室内に流れ込み、その後、ピペットユニットによって供給されることが可能である。
【0007】
カバー素子は、例えば、フィルムヒンジによってキャプティブ接続で容器ユニットに接続可能であるか、又は、カバー素子は、容器ユニット用の別個のキャップの形でも実現可能である。
【0008】
流体が、ピペット装置の作動後、即ち、容器ユニットの作動位置への動作後に放出開口を介してピペットユニットから漏れ出ることを阻止するために、ピペットユニットには、閉鎖素子が設けられることが可能である。この閉鎖素子は、ピペットユニットと一体の部分として成形可能であるか、又は、この閉鎖素子は、ピペットユニットに取り付けられる別個の構成要素を形成可能である。
【0009】
ピペット装置の別の好適な実施例では、ピペットユニットは、弾性変形可能な、特に軟質プラスチックから形成され、それにより、ピペットユニットの供給室に含まれる流体は、ピペットユニットの側部に手動圧力を加えるだけで供給室から放出開口を介して放出されることが可能である。
【0010】
内側スリーブを形成する容器ユニットが、外側スリーブにより形成されるピペットユニット内に偶然に滑り込むことを阻止するために、内側スリーブは、少なくとも1つのリング型溝を有することが可能であり、このリング型溝は、ピペットユニットの密閉リップの少なくとも1つと相互作用することにより、内側スリーブの閉位置及び/又は作動位置を画成する。
【0011】
本発明を組み込んだピペット機器は、複数成分システムの複数の成分を混合するために使用されることが可能である。それにより、1つの成分が、最初に容器ユニットの中に入れられ、追加の成分がピペットユニット内に入れられる。従って、例えば、分析されるべき標本が容器室内に含まれる成分に追加された後、また、容器ユニットが作動位置に押された後、2つの成分の混合が、供給の前であってもピペットユニットの容器室内で行われることが可能である。
【0012】
本発明のもう1つの実施例は、互いに内部に案内される複数の容器ユニットを有するピペット機器であり、これらの容器ユニットは、ポット型に実現され、その側壁に、閉位置では、各隣接する外側寄りの容器ユニットの2つの密閉リップ間に位置付けられ、また、各容器ユニットを作動位置に動かすことによって各隣接容器ユニットの内部間に接続を形成する少なくとも1つの開口を有する。このようにして、複数成分システムの複数の成分を、ピペットユニットによって流体を供給する前に混合することが可能となる。
【0013】
大きい粒子及び/又は決められた物質用に選択されるフィルタ装置が、ピペットの先端の付近に位置付けられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の更なる利点及び有利な構成は、添付図面を参照して以下及び請求項に詳細に説明する。
【0015】
本発明を組み込んだピペット装置の1つの例示的な実施例を、添付の概略図に示し、以下により詳細に説明する。
【0016】
図1及び2は、ピペットユニット12と、唾液サンプルといった検査物質の例えば化学又は生化学分析に使用可能な容器ユニット14とを含むピペット装置10を示す。射出成形されたプラスチック部分であるピペットユニット12は、軟らかい弾性変形可能なプラスチックから形成され、放出開口18を有するピペット先端の形に実現される第1の端16と、第2の開放端20を含む。ピペットユニット12の開放端20の付近において、容器ユニット14が、ピペットユニット12の内壁から半径方向内向きに突出する2つの密閉リップ22及び24の上を軸方向に動くことが可能であるよう導かれる。
【0017】
内部36を有する容器ユニット14は、基本的にポット型に実現され、ピペットユニット12の供給室26に向く側において、底部素子28によって閉じられる。底部素子28に向いていない側では、容器ユニット14は、カバー素子30により閉じられることが可能な開口32を有する。
【0018】
その周囲の付近において、硬いプラスチックから形成され、内側スリーブを形成する容器ユニット14は、開口34を有し、その軸方向寸法は、コイルの形で実現される密閉リップ22及び24間の距離より幾らか小さい。
【0019】
ピペット装置10が使用される際、内側スリーブを表す容器ユニット14は、最初は、図1に示す閉又は閉鎖位置にある。この位置では、2つの密閉リップ22及び24の間の開口34は、容器ユニット14の内部36とピペットユニット12の容器室26との間に連絡がないよう位置付けられる。検査流体は、容器ユニット14の内部36にある。
【0020】
密閉リップ22は、容器ユニット14の閉位置において、容器ユニット14の周囲上のほぼ底部素子28の高さに位置付けられる環状溝38内に係合し、従って、閉鎖位置を画成する。
【0021】
キャップの形で実現されるカバー素子30が取り外され、例えば、唾液標本が付けられた検査棒又は綿棒が検査流体に浸漬される。これにより、唾液標本からなる培養物が、検査流体に加えられる。次に、検査棒は、容器ユニット14から引き抜かれ、カバー素子30が開口32を閉じるよう容器ユニット14に配置される。
【0022】
次に、容器ユニット14の内部36に含まれた液体の均質化の後、容器ユニット14は、図2に示す作動位置に押されることが可能である。この位置では、唾液標本が加えられた検査液体が、開口34を介して容器ユニット14の内部36から、ピペットユニット12の供給室26内に流れ出す。
【0023】
次に、唾液標本が加えられた検査流体の供給のために、ピペットユニットに半径方向の圧力が手動で加えられ、その結果、液体は、放出開口18を介して、栄養基質に供給されるか、又は、反応槽内に注入されることが可能である。
【0024】
本発明の好適な実施例であると現在考えられるものを図示し且つ説明したが、当業者には、請求項により決定される本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことが可能であることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】非作動位置にある本発明のピペット装置を示す長手方向断面図である。
【図2】作動位置にある図1に示すピペット装置を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10 ピペット装置
12 ピペットユニット
14 容器ユニット
16 第1の端
18 放出開口
20 第2の開放端
22、24 密閉リップ
26 供給室
28 底部素子
30 カバー素子
32 開口
34 開口
36 内部
38 環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給室(26)と、放出開口(18)を有する第1の端(16)と、第2の開放端(20)とを有する小さな管の形のピペットユニット(12)を含むピペット装置であって、
前記ピペットユニットの前記第2の開放端の付近において、スリーブ型容器ユニット(14)が、半径方向内向きに突出し、互いからある距離にある少なくとも2つの密閉リップ(22、24)上を軸方向に可動であるよう案内され、
前記容器ユニットには、前記ピペットユニットの前記供給室に向く側において、底部素子(28)が設けられ、前記供給室に向かない側に開口(32)を有し、また、前記容器ユニットは、該容器ユニットの周囲の付近において、少なくとも1つの開口(34)を有し、
前記少なくとも1つの開口の軸方向寸法は、前記密閉リップ間の距離より幾らか小さいか又は等しく、それにより、前記容器ユニットは、閉位置から作動位置に前記ピペットユニットに対して可動であり、
前記作動位置では、前記容器ユニットの内部(36)は、前記容器ユニットの前記少なくとも1つの開口(34)を介して、前記ピペットユニットの前記供給室と連絡することを特徴とするピペット装置。
【請求項2】
前記容器ユニットは、少なくとも1つのカバー素子が設けられる請求項1記載のピペット装置。
【請求項3】
前記カバー素子は、キャプティブ式に前記容器ユニットに接続される請求項2記載のピペット装置。
【請求項4】
前記ピペットユニットの前記放出開口を閉じる閉鎖素子を含む請求項1記載のピペット装置。
【請求項5】
前記ピペットユニットは、弾性変形可能なプラスチックから形成される請求項1記載のピペット装置。
【請求項6】
前記容器ユニットは、前記ピペットユニットの前記密閉リップのうちの少なくとも1つとの相互作用により、前記容器ユニットの前記閉位置及び/又は前記作動位置を画成する少なくとも1つの環状溝(38)を有する請求項1記載のピペット装置。
【請求項7】
前記ピペットユニットは、混合成分を含み、前記混合成分は、前記容器ユニットの前記作動位置への動作時に、前記容器ユニットに含まれる混合成分と混合される請求項1記載のピペット装置。
【請求項8】
放出開口(18)を有する第1の端(16)と、第2の開放端(20)を有する供給室(26)を含むピペットユニット(12)と、
前記ピペットユニットの前記第2の開放端の付近におけるスリーブ型容器ユニット(14)と、
前記スリーブ型容器ユニットに向かって内側に突出する少なくとも2つの間隔があけられた密閉リップ(22、24)と、
を含み、
前記スリーブ型容器ユニットは、前記少なくとも2つの密閉リップ上を軸方向に案内され、
前記スリーブ型容器ユニットは、前記ピペットユニットの前記供給室に向く側に底部素子(28)を、前記供給室に向かない側に開口(32)を有し、
前記スリーブ型容器ユニットは、該スリーブ型容器ユニットの周囲の付近において、少なくとも1つの開口(34)を有し、
前記少なくとも1つの開口の軸方向寸法は、前記密閉リップ間の距離より幾らか小さい又は等しく、それにより、前記容器ユニットは、閉位置から作動位置に前記ピペットユニットに対して可動であり、
前記作動位置では、前記容器ユニットの内部(36)は、前記容器ユニットの前記少なくとも1つの開口を介して、前記ピペットユニットの前記供給室と連絡するピペット装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−24882(P2007−24882A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188380(P2006−188380)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(505269722)デンタコ デンタールインドゥストリー ウント−マルケティング ゲーエムベーハー (11)
【Fターム(参考)】