説明

ピボットヒンジの吊り金具ユニット

【課題】開き扉を建て付ける箇所が、たとえ開き扉と天井側の上枠部間に殆んど隙間のない場合であっても、開き扉を簡単に扉枠に吊り込むことのできる自閉手段を備えたピボットヒンジの吊り金具ユニットを提供する。
【解決手段】開き扉Dの吊り込み時、開き扉の上端から突出させて枢着金具15で保持したピボット軸18の先端軸部19を調整カム25の回り止め形状の位置決め穴26に嵌合し、その調整カムを、調整穴31に任意の嵌め合い角度位置で厚さ方向上下に摺動可能に嵌め合わしてジョイント30を調整カムに連結することにより開き扉の復帰位置を選択する一方、ジョイントの係合部32を扉枠Fの木口10に固定した支持ブラケット20のアーム部22aに横向きに係合させて、上ヒンジ部の吊り金具ユニットH2を組み立てる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下ヒンジ部にそれぞれ備えたピボット軸で開き扉を軸支して扉枠に回動可能に吊り込む一方、開閉時に開き扉の開操作を途中で止めると、開き扉を閉方向へ自動的に回動して所定の復帰位置に復帰させると共に、その復帰位置を選択的に設定可能とする自閉手段を備えたピボットヒンジであって、特に、そのピボットヒンジの上ヒンジ部を構成する吊り金具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開き扉用のヒンジの中には、例えば図7に示すように、目立たずに装着され見栄えが良いことから、上下のヒンジ部1・2に備えたピボット軸3・4で開き扉5を軸支して回動可能に扉枠6の上下隅部に吊り込む所謂ピボットヒンジが多くなっている。また、この種のピボットヒンジとしては、開閉時、開き扉5の開操作を途中で止めると、開き扉5が閉方向へ自動的に回動して所定の復帰位置へ戻るように、円筒カム7等を用いた構造の自閉手段を備えるグレビィティヒンジ型(特許文献1参照)や、図示しないが、コイルばねの捩れ作用を利用したスプリングヒンジ型のものがよく知られている。更に、従来の図示ピボットヒンジでは、下ヒンジ部2のL形支持金具8上のピボット軸4周りに、複数の調整突起8aを設ける一方、円筒カム7の鍔状底部に調整突起8aと対応する複数の調整穴を設け、それら調整突起8aと調整穴とを周方向の任意の嵌め合い角度位置で嵌め合せて、開き扉5の前記復帰位置を選択的に設定できる構造になっている。
【特許文献1】実開昭61−137766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来のピボットヒンジでは、たとえば図7中鎖線で示すように扉枠6の上枠部6aと、開き扉5との間に隙間Sが少ない場合に、施工現場で、開き扉5を扉枠6に吊り込もうとしても、開き扉5から上向きに突出する上ヒンジ部1のピボット軸3の突端が障害になって、開き扉5を扉枠6に吊り込み難く、隙間Sの狭さによっては、吊り込み不能な場合があるという課題があった。
【0004】
一方で、開き扉5は、例えば部屋の通気性に配慮し、床面9との間に所望の隙間をあけて吊り込む場合など、吊り込み時に、建付け条件に応じて、扉枠6に対する建付け高さ位置を微調整する必要があり、そのために、ピボットヒンジも開き扉5の建付け高さ位置に合わせて、ヒンジ取付位置を施工現場で微調整して取り付ける必要がある。ところが、従来の図示ピボットヒンジでは、その取付位置を微調整しようとすると、構造上、調整突起8aと調整穴との嵌め合い位置もズレてしまい、その結果、開き扉5の復帰位置を設定することができなくなるため、開き扉5の建付け高さ位置に応じて取付位置を調整して上下ヒンジ部1・2を装着することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上述した課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、上下のヒンジ部にそれぞれ備えたピボット軸14・18で開き扉Dを軸支して扉枠Fに回動可能に吊り込む一方、開閉時に前記開き扉Dの開操作を途中で止めると、該開き扉Dを閉方向へ自動的に回動して所定の復帰位置に復帰させると共に、その復帰位置を選択的に設定可能とする自閉手段を備えたピボットヒンジHにおいて、該ピボットヒンジHの前記上ヒンジ部を構成する吊り金具ユニットH2であって、前記開き扉Dの上端に埋設した嵌合筒17に前記ピボット軸18を嵌挿し、該ピボット軸18の先端軸部19を前記開き扉Dの上端から突出させて保持する枢着金具15と、前記扉枠Fの木口10の上側に固着し、その木口10に固着したときに該木口10に対し横向きに突出するアーム部22aを有した支持ブラケット20と、中心に前記ピボット軸18の先端軸部19と互いが回転不能に嵌め合う回り止め穴形状の位置決め穴26を有する一方、外周には、少なくとも前記開き扉Dの選択的な復帰位置と対応する数の角部25aを形成してなる調整カム25と、一端側に、該調整カム25が厚さ方向上下に摺動可能に貫挿する調整穴31を、前記調整カム25の外形状に合わせた穴形状に穿設し、他端側に、前記支持ブラケット20のアーム部22aと係合する係合部32を設けてなるジョイント30とを備え、前記開き扉Dの吊り込み時は、前記ピボット軸18の先端軸部19を前記調整カム25の位置決め穴26に嵌合し、その調整カム25に前記調整穴31を任意の嵌め合い角度位置で嵌め合わして前記ジョイント30を連結することにより前記開き扉Dの復帰位置を選択する一方、前記ジョイント30の係合部32を前記支持ブラケット20のアーム部22aに横向きに係合させて組み立ててなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ピボットヒンジの上ヒンジ部を構成する吊り金具ユニットは、開き扉を吊り込むとき、枢着金具側のジョイントの係合部に、扉枠側に固定の支持ブラケットのアーム部を、天井側の上枠部に沿って横向きに係合すれば組み立てられるため、開き扉を建て付ける箇所が、たとえ開き扉と上方の上枠部との間に殆んど隙間のない場合であっても、何ら障害となるものがなく、開き扉を簡単に扉枠に組み付けることができる。
【0007】
更に、請求項1に記載の発明によれば、ピボットヒンジの上ヒンジ部を構成する吊り金具ユニットは、調整カムを、支持ブラケットに枢着金具を連結するジョイントの調整穴に厚さ方向上下に摺動可能に嵌合させた構造であるため、建付け高さ位置を調整しながら開き扉を扉枠に吊り込むときでも、この建付け位置の微調整高さに応じて、調整カムは、支持ブラケットを介して扉枠側に固定のジョイントに対し、調整穴を通して上下に摺動することから、調整カムとジョイントの調整穴との嵌め合いが外れることなく、そのまま開き扉の建付け高さ位置の微調整動作に追従することができる。その結果、本発明では、調整カムとジョイントの調整穴との嵌め合いで、開き扉の閉時の復帰位置を選択して設定することができるようにする一方で、開き扉を、そのように所望の復帰位置に設定した状態のまま、建付け条件に応じて建付け高さ位置を微調整しながら、扉枠に対し簡単に吊り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の最良形態について説明する。
【0009】
図4は、本発明の一例であるピボットヒンジの吊り金具ユニットを用いて開き扉を扉枠に吊り込んだ状態において示す扉周りの組立斜視図である。図中符号Dは、例えばラバトリーブースに設置の開き扉、Fは開き扉Dを支持するパネル状の扉枠、Aは扉枠Fを面一に連結支持する上枠部としての笠木、Hは一対の上下ヒンジ部を備えたピボットヒンジである。ピボットヒンジHは、下ヒンジ部としての吊り金具ユニットH1と、上ヒンジ部としての本発明に係る吊り金具ユニットH2とからなり、開き扉Dと扉枠Fとの間の下部側に吊り金具ユニットH1を組み付け、上部側に吊り金具ユニットH2を組み付けて、開き扉Dを扉枠Fに対し所定の建付け位置に開閉可能に吊り込む構成になっている。
【0010】
下ヒンジ部の吊り金具ユニットH1は、扉枠Fに有する木口10の下側にねじ止めする支持金具11と、開き扉Dの下端にねじ止めする枢着金具とで構成する。支持金具11(図5参照)は、水平受板部11aと垂直取付板部11bを有したL型アングル材からなり、水平受板部11aには回り止め形状の軸受穴13を穿設してなる。一方、枢着金具は、開き扉Dの下端に埋設した嵌合筒内に、先端軸部14aが軸受穴13の穴形状と同じ回り止め形状をなすピボット軸14を嵌挿し、先端軸部14aを開き扉Dの下端から突出させて保持する。そして、吊り金具ユニットH1は、枢着金具側のピボット軸14の先端軸部14aを、扉枠F側に固定の支持金具11の軸受穴13に嵌着して組み立てると、ピボット軸14を支点として開き扉Dを回動可能に軸支する構造になっている。なお、図示しないが、枢着金具の嵌合筒内には、開き扉Dが閉方向に回動すると、制動力が働いて開き扉Dを減速するオイルダンパのような制動手段が組み込まれている、とする。
【0011】
他方、上ヒンジ部の吊り金具ユニットH2は、図1〜図3に示すように、開き扉Dの側に組み付ける枢着金具15と、扉枠Fの側に組み付ける支持ブラケット20と、それら枢着金具15と支持ブラケット20を連結する調整カム25およびジョイント30とによって構成してなる。
【0012】
枢着金具15は、複数のねじ穴を穿設した取付板16の一端に嵌合筒17を固着して垂設し、その上端開口17aを通して嵌合筒17内にピボット軸18を、軸回転可能に嵌挿する一方、その先端軸部19が上端開口17aから所定長さ突出した位置で上下方向に抜け止めして挿設してなる。ピボット軸18は、先端軸部19を、調整カム25の軸受穴26の穴形状に対応させて、外周にそれぞれ対称な一対の円弧面と平面19a・19aを設けた回り止め形状に成形し、一対の平面19a・19aが取付板16の長さ方向と平行な向きになるように、嵌合筒17内で位置決め保持されてなる。そこで、吊り金具ユニットH2では、枢着金具15の嵌合筒17内に不図示のねじりばねを組み込み、該ねじりばねの一端をピボット軸18に掛け止める一方、他端を嵌合筒17の一部に掛け止めてスプリングヒンジ構造を形成し、これにより、開き扉Dの開時、その開操作を途中で止めると、上記ねじりばねのばね復帰力で開き扉Dを閉方向へ自動的に回動して所定の復帰位置へ復帰させる自閉手段を構成している。かかる構造の枢着金具15は、開き扉Dの上端角寄りにあけた取付用筒穴12内に嵌合筒17を嵌め込んで埋設すると共に、取付板16を上端面にねじ止めして開き扉Dに組み付ける。
【0013】
支持ブラケット20は、複数のねじ穴を穿設した取付プレート21の図中上端に、これと直交する向きにコ型の受け具22を固着してなる。受け具22は、平行な二股状に突出するアーム部22aを有する。アーム部22aには、それぞれ止めねじ23を螺合するねじ穴24が設けられている。かかる支持ブラケット20は、取付プレート21を、扉枠Fの木口10の上側における所定高さ位置にねじ止めし、アーム部22aを、天井側の笠木Aと平行な水平な横向きに突設する。
【0014】
調整カム25は、中心に、ピボット軸18の先端軸部19と互いが回転不能に嵌め合うように、該先端軸部19の形状に合わせて、内周にそれぞれ対称な一対の円弧面と平面26a・26aを有した回り止め穴形状をなす位置決め穴26を穿設する。一方、外周には、複数の山形をなす角部25a…を周方向に等間隔に設け、全体を縦長なギヤ状筒型に成形してなる。図示例の調整カム25は、周方向へ30度単位の等間隔に角部25a…を設けて合計12個形成している。
【0015】
ジョイント30は、長さ方向一端部側に、調整カム25を嵌合する調整穴31を、厚さ方向に貫通させて設ける。一方、他端側には、支持ブラケット20のアーム部22aをそれぞれ係合させる係合部32を設けると共に、その係合部32を横断する向きに止めねじ23を螺合するねじ穴33を設けてなる。調整穴31は、調整カム25が厚さ方向上下に摺動可能に嵌合できるように、調整カム25の外形状に合わせてギヤ筒穴状に穿設している。図示例の係合部32は、支持ブラケット20のアーム部22aが抜き差し可能な幅狭な係合溝によって形成している。
【0016】
さて、以上の如く構成したピボットヒンジHで開き扉Dを扉枠Fに吊り込む場合、上ヒンジ部の吊り金具ユニットH2は、開き扉Dの上端角寄りにおいて、ピボット軸18の先端軸部19を、調整カム25の位置決め穴26に嵌合させて、調整カム25を、開き扉Dに対し所定基準位置に位置決めセットする。それから、この基準位置にセットした調整カム26に、図2に示すように、調整穴31を周方向に任意の嵌め合い角度位置で嵌め合せてジョイント30を連結し、これにより、開き扉Dを自閉したときの復帰位置を選択する。図示例では、ジョイント30が開き扉D上でそれと平行な向きとなる嵌め合い角度位置で調整カム26に調整穴31を嵌め合わせ、これにより、開き扉Dの自閉時に開き扉Dが扉枠Fと面一となる全閉状態になる位置を選択し、これを復帰位置として設定している。
【0017】
しかる後、図5に示すように、開き扉Dを持ち上げて、扉枠Fの木口10の下側に固定した支持金具11の軸受穴13に、枢着金具のピボット軸14の先端軸部14aを嵌着させて下ヒンジ部の吊り金具ユニットH1を組み立て、該吊り金具ユニットH1で開き扉Dを回動可能に扉枠Fの下側に組み付けて支える。
【0018】
それから、上ヒンジ部の吊り金具ユニットH2を組み立てて開き扉Dを扉枠Fに吊り込む。そのときは、下ヒンジ部の吊り金具ユニットH1で支えて開き扉Dを立てながら、水平な笠木Aに沿ってジョイント30を支持ブラケット20側へ近づけて、そのまま横向きに係合部32にアーム部22aを係合させる。そして、ねじ穴24・33に止めねじ23を通してジョイント30を支持プラケット20にねじ止めして吊り金具ユニットH2を組み立てる。こうして上下ヒンジ部の吊り金具ユニットH1・H2で開き扉Dをピボット軸14・18を中心として回動可能に扉枠Fに吊り込む。従って、本発明において、開き扉Dを吊り込むとき、吊り金具ユニットH2は、枢着金具15側のジョイント30の係合部32に支持ブラケット20のアーム部22aを笠木Aに沿って横向きに重ねて係合すれば組み立てられるため、図示の如く開き扉Dを建て付ける箇所が図示の如く開き扉Dと上方の笠木Aとの間に殆んど隙間のない場合であっても、何ら障害となるものがなく、簡単に開き扉Dを吊り込むことができる。
【0019】
そこで、開き扉Dの使用時、図示ピボットヒンジHでは,開き扉Dを上記ねじりばねのばね復帰力に抗して開方向へ押し回すと、開き扉Dを開けることができる。一方、閉止時は、この開き扉Dの開操作を途中で止めると、上記ねじりばねのばね復帰力によって開き扉Dを閉方向へ自動的に回動して所定の復帰位置へと復帰させることができる。図示例では、開き扉Dは扉枠Fと面一な全閉状態となる復帰位置に復帰して完全に閉止する。また、このように開き扉Dが閉方向に回動すると、前記制動手段の制動力が働いて開き扉Dを減速し、完全に閉止するとき、開き扉Dは、扉枠F等の戸当り部位に強く衝突することなく、静かに閉止する。
【0020】
図示例のピボットヒンジHでは、閉止時、上述のように開き扉Dを減速しながら回動して復帰位置へ自動的に復帰して全閉するが、そのように開き扉Dを閉止する場合、例えばトイレの不使用状態を表示するために、開き扉Dを半開き状態にしたいときは、吊り金具ユニットH2において、調整カム25とジョイント30の調整穴31との嵌め合い角度位置を変更して開き扉Dの復帰位置を設定し直せばよい。図示例の調整カム25は、外周に12個の角部25a…が形成されているので、一角部分だけ周方向へジョイント30を回転して調整穴31に調整カム25を噛み合わせれば、30度回転した状態となり、開き扉Dの復帰位置を、扉枠Fの板面に対し30度開いた半開き状態に簡単に設定することができる。
【0021】
ところで、開き扉Dは、通常、床面との間に通気用に所望高さの隙間をあけて吊り込む場合など、建付け条件に応じて、扉枠Fに対する建付け高さ位置を、施工現場で微調整しながら吊り込むことが必要である。しかし、本発明に係る吊り金具ユニットH2では、調整カム25を、支持ブラケット20に枢着金具15を連結するジョイント30の調整穴31に、厚さ方向上下に摺動可能に嵌合させた構造であるため、上述の如く建付け高さ位置を調整しながら開き扉Dを扉枠Fに吊り込むときでも、この建付け位置の微調整高さに応じて、調整カム25は、支持ブラケット20を介して扉枠F側に固定のジョイント30に対し、調整穴31を通して上下に摺動することから、調整カム25とジョイント30の調整穴31との嵌め合いが外れることなく、そのまま開き扉Dの建付け高さ位置の微調整動作に追従することができる。その結果、本発明では、調整カム25とジョイント30の調整穴31との嵌め合いで、開き扉Dの閉時の復帰位置を選択して設定することができるようにする一方で、開き扉Dを、そのように所望の復帰位置に設定した状態のまま、建付け条件に応じて建付け高さ位置を微調整しながら、扉枠Fに対し簡単に吊り込むことができる。
【0022】
なお、図示例の吊り金具ユニットH2では、ジョイント30は、長さ方向他端側に係合溝からなる係合部32を設け、開き扉Dを扉枠Fに吊り込むとき、係合溝32に笠木Aに沿って横向きに支持ブラケット20のアーム部22aを差し込むことにより係合させて、支持プラケット20に取り付ける構成であった。しかし、本発明では、ジョイント30の係合部32を支持ブラケット20のアーム部22aに、笠木Aのような上枠部に沿って横向きに係合させて取り付ける構成であれば、上記図示例に限られず、たとえば図6に示すように、ジョイント30の他端部において、幅方向両側に切欠き段部を設け、これを係合部32とし、開き扉Dを扉枠Fに吊り込むとき、係合段部32に笠木Aに沿って横向きに支持ブラケット20のアーム部22aを重ねて当てがい、両アーム部22aで係合段部32を挟み込むことにより係合させて、支持プラケット20に取り付ける構成とすることもできる。
【0023】
更に、図示例の吊り金具ユニットH2では、調整カム25は、外周に複数の山形角部25a…を設けた縦長なギヤ状筒型に形成する一方、ジョイント30の調整穴31は、調整カム25の外形状に合わせてギヤ筒穴状に形成し、開き扉Dの吊り込み時、調整カム25に調整穴31を任意の嵌め合い角度位置で嵌め合せて開き戸Dの復帰位置を選択的に設定する構成であった。しかし、本発明では、調整カム25に調整穴31を任意の嵌め合い角度位置で嵌め合せて開き戸Dの復帰位置を選択的に設定できる構成であれば、調整カムは、上記ギヤ状筒型とした図示例に限られず、例えば外周が多面角で形成された縦長な多角ナット状に形成する一方、ジョイント30の調整穴31を、この他例の調整カム25の外形状に合わせて多角筒穴状に形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一例であるピボットヒンジの上ヒンジ部を構成する吊り金具ユニットの分解斜視図である。
【図2】上ヒンジ部の吊り金具ユニットの組立斜視図である。
【図3】上ヒンジ部の吊り金具ユニットを組立状態で示す縦断面図である。
【図4】上下ヒンジ部の吊り金具ユニットにより開き扉を扉枠に吊り込んだ状態で示す扉周りの組立斜視図である。
【図5】上下ヒンジ部の吊り金具ユニットにより開き扉を扉枠に吊り込む状態を示す扉周りの斜視図である。
【図6】ジョイントの他例を含む上ヒンジ部の吊り金具ユニットを示す分解斜視図である。
【図7】従来のピボットヒンジによる開き扉の吊り込み状態を、一部を断面にして示す扉周りの正面図である。
【符号の説明】
【0025】
A 笠木
D 開き扉
F 扉枠
H ピボットヒンジ
H1 下ヒンジ部の吊り金具ユニット
H2 上ヒンジ部の吊り金具ユニット
10 扉枠の木口
14・18 ピボット軸
14a・19 ピボット軸の先端軸部
15 枢着金具
17 嵌合筒
20 支持ブラケット
22a 支持ブラケットのアーム部
25 調整カム
25a 調整カム外周の角部
26 調整カムの位置決め穴
30 ジョイント
31 ジョイントの調整穴
32 ジョイントの係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下のヒンジ部にそれぞれ備えたピボット軸で開き扉を軸支して扉枠に回動可能に吊り込む一方、開閉時に前記開き扉の開操作を途中で止めると、該開き扉を閉方向へ自動的に回動して所定の復帰位置に復帰させると共に、その復帰位置を選択的に設定可能とする自閉手段を備えたピボットヒンジにおいて、該ピボットヒンジの前記上ヒンジ部を構成する吊り金具ユニットであって、
前記開き扉の上端に埋設した嵌合筒に前記ピボット軸を嵌挿し、該ピボット軸の先端軸部を前記開き扉の上端から突出させて保持する枢着金具と、
前記扉枠の木口の上側に固着し、その木口に固着したときに該木口に対し横向きに突出するアーム部を有した支持ブラケットと、
中心に前記ピボット軸の先端軸部と互いが回転不能に嵌め合う回り止め穴形状の位置決め穴を有する一方、外周には、少なくとも前記開き扉の選択的な復帰位置と対応する数の角部を形成してなる調整カムと、
一端側に、該調整カムが厚さ方向上下に摺動可能に貫挿する調整穴を、前記調整カムの外形状に合わせた穴形状に穿設し、他端側に、前記支持ブラケットのアーム部と係合する係合部を設けてなるジョイントとを備え、
前記開き扉の吊り込み時は、前記ピボット軸の先端軸部を前記調整カムの位置決め穴に嵌合し、その調整カムに前記調整穴を任意の嵌め合い角度位置で嵌め合わして前記ジョイントを連結することにより前記開き扉の復帰位置を選択する一方、前記ジョイントの係合部を前記支持ブラケットのアーム部に横向きに係合させて組み立ててなることを特徴とする、ピボットヒンジの吊り金具ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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