説明

ピラン−ジオキサン誘導体類、および液晶媒体中におけるそれの使用

【課題】本発明はピラン/ジオキサン誘導体類に関し、液晶媒体中の成分としてのそれの使用に関する。
【解決手段】本発明は更に、前記液晶媒体を備える液晶および電気光学的ディスプレイ素子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピラン−ジオキサン誘導体類、および液晶媒体中における成分としてのそれの使用に関する。加えて、本発明は、本発明の液晶媒体を備える液晶および電気光学的ディスプレイ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
この何年間かで、液晶化合物の用途分野は、各種の型のディスプレイ装置、電気光学的設備、電子部品、センサーなど著しく広がってきた。このため、特にネマチック液晶の分野で、多数の異なる構造が提案され、それらは、液晶ディスプレイ装置中での最も広範な使用の発見にまで遡らなければならない。特に、受動型TNまたはSTNマトリックスディスプレイまたはTFT能動型マトリックスを含むシステムが使用されてきた。
【0003】
本発明の液晶化合物は液晶媒体の成分として使用することができ、特に、捩れセル、ゲスト−ホスト効果、DAPまたはECB(電気的制御複屈折)配列相の変形効果、IPS(In−Plane Switching)効果または動的散乱効果の原理に基づくディスプレイ用である。
【0004】
液晶物質として、ある種のテトラヒドロピラン誘導体類を使用することが知られている。
【0005】
DE 102004025808 A1(特許文献1)には3つの環からなる化合物の合成が開示されており、それぞれの場合で、1つのテトラヒドロピラン環および1つのジオキサン環が存在している。それらの物質は、正の値の誘電異方性Δεを有する。
【0006】
加えて、液晶材料として各種のテトラヒドロピラン誘導体類およびそれらの調製が、例えばDE 102004025809 A1(特許文献2)、DE 10318420 A1(特許文献3)またはWO2004/048357 A1(特許文献4)に既に記載されている。
【特許文献1】DE 102004025808 A1
【特許文献2】DE 102004025809 A1
【特許文献3】DE 10318420 A1
【特許文献4】WO2004/048357 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、液晶媒体の成分として適当な新規で安定な液晶またはメソゲン性化合物を見出す目的に基づいていた。特に、同時に、化合物は比較的低い粘度および正の範囲の誘電異方性を有していなければならない。液晶の分野における多くの現在の混合物の考え方にとって、特に高い誘電異方性Δεを有する化合物を使用することが優位である。
【0008】
高いΔεのそのような化合物を使用する非常に広い各種の分野に関して、好ましくは高いネマトジェネイティーを有する利用可能な更なる化合物で、特定の用途に正確にカスタマイズされる特性を有するものが望まれていた。
【0009】
よって、本発明の目的は、特に、TN、STN、IPSおよびTFTディスプレイ用の液晶媒体の成分として適する新規で安定な液晶またはメソゲン性化合物を見出すことであった。
【0010】
本発明の更なる目的は、単独または混合物中において、高い誘電異方性Δε、高い透明点および低い回転粘度γを有する液晶またはメソゲン性化合物を提供することであった。加えて、本発明の化合物は、熱的および光化学的に安定でなければならない。更に、本発明の化合物は、可能な限り広いネマチック相を有していなければならない。メソゲンとして、本発明の化合物は液晶の共成分と共に混合物中に広いネマチック相を促進し、特に低温においてネマチック基礎混合物と極めて混和しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、本発明のピラン−ジオキサン誘導体類は、液晶媒体の成分として著しく適していることが見出された。本発明のピラン−ジオキサン誘導体類は、特にTN−TFTおよびSTNディスプレイ用で、しかしながら、IPS系または特に高い誘電異方性が要求されるより最近の考え方のためにも適している安定な液晶媒体を得るために使用できる。本発明の化合物類は、熱およびUVの両者に対して安定である。本発明のピラン−ジオキサン誘導体類は強い正の誘電異方性Δεでも区別され、このため、光学的スイッチング素子における用途で、比較的低い閾電圧が不可欠である。
【0012】
特に、本発明の化合物の商Δε/Δnにより高い値も達成され、即ち、同じ値のΔεに対して比較的低い値の光学的異方性Δnが、本発明の物質により促進される。加えて、本発明の化合物は高い透明点を有し、同時に回転粘度に対して好ましい値を有する。
【0013】
本発明のピラン−ジオキサン誘導体類を提供することで、各種の用途上の観点から液晶混合物の調製に適する液晶物質の範囲が一般に著しく広くなる。
【0014】
本発明のピラン−ジオキサン誘導体類は、広い用途の範囲を有する。構成成分の選択に応じて、これらの化合物類は、液晶媒体を主に構成する基礎材料とすることができる。しかしながら、例えば、この型の誘電体の誘電および/または光学異方性を変更したり、および/またはそれの閾電圧および/またはそれの粘度を最適化するために、他に分類される化合物からの液晶基礎材料を本発明の化合物に加えることも可能である。
【0015】
純粋な状態で、本発明のピラン−ジオキサン誘導体類は無色である。それらは、熱的および光に対して安定である。
【0016】
よって、本発明は、一般式Iのピラン−ジオキサン誘導体類に関する。
【0017】
【化1】

式中、
【0018】
【化2】


、Rは、H、ハロゲン、CN、SCN、NCS、SF、直鎖状または分岐状でキラルでもよい炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基は無置換であるか、CNまたはCFにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されているかであり、ただし、1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHO−または−CFO−で置き換えられていてもよく、非対称な基は両方向で存在してもよく、
、Aは、それぞれ互いに独立に、同一か異なって、
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、
b)1,4−フェニレン、ただし、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、1個以上のH原子はBr、Cl、F、CN、メチル、メトキシまたは1フッ素化または多フッ素化されたメチルまたはメトキシ基で置き換えられていてもよく、
c)基1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【0019】
【化3】


からの基であり、
式中、水素原子はF、CN、SCN、SF、CHF、CHFまたはCF、OCHF、OCHFまたはOCFで1置換または多置換されていてもよく、
1個以上の二重結合は、単結合で置き換えられていてもよく、
M、MまたはMは、−O−、−S−、−CH−、−CHY−または−CYY−を表し、および
YおよびYは、Cl、F、CN、OCFまたはCFを表し、または
d)1,4−シクロヘキセニレンを表し、
、Zは、それぞれ互いに独立に、同一か異なって、単結合、−CHO−、−CO−O−、−CFO−、−CHCHCFO−、−CFCF−、−CHCF−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−または−C≡C−を表し、ただし、非対称な橋架けはどちらを向いていてもよく、および
n、mは、互いに独立に、0、1、2または3を表し、
ただし、m=0、n=1で、同時にb)中のようにAがフェニレンを表すとの前提では、
は、述べられた方向で、−CHO−、−CO−O−、−CFO−、−CHCHCFO−、−CFCF−、−CHCF2−、−CF−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−または−CF=CF−を表す。
【0020】
n+mは好ましくは1、2、3または4、特に好ましくは1、2または3、非常に特に好ましくは2または3である。
【0021】
本発明は、更に、液晶媒体中の成分としての式Iの化合物の使用に関する。
【0022】
本発明は、同様に、式Iのピラン−ジオキサン誘導体類を少なくとも1種類含む液晶化合物を少なくとも2種類有する液晶媒体に関する。
【0023】
本発明は液晶ディスプレイ素子、特に、本発明の液晶媒体を誘電体として備える電気光学的ディスプレイ素子にも関する。
【0024】
式Iの意味は、式Iの化合物中の結合している化学的要素の全ての同位体を含む。鏡像異性体的に純粋であるか補強された形式において、式Iの化合物は、原理的にキラルドーパントとして、および一般にキラル中間相を達成するためにも適している。
【0025】
上および下において、R、R、A、A、Z、Z、nおよびmは、他に明らかに述べられない限り、示される意味を有する。基A、A、ZおよびZが囲まれる括弧の間で1回より多く出現する場合、それらは、それぞれ互いに独立に、同一でも異なる意味でもよい。環AまたはAが2回存在している場合、2つの環は同一でも異なる意味を有していてもよい。対応する状態が3つの環にも適用される。同じことが橋架けZおよびZにも適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の一般式Iの化合物の好ましい実施形態を、以下に記載する。
【0027】
好ましい実施形態において、式Iの化合物はn+mが2以上で非常に特には2または3で特徴付けられる。
【0028】
ここで、
nが2に等しく、および
mが0または1に等しい
式Iの化合物が特に好ましい。
【0029】
同様に、
nが1、2または3を表し、および
の少なくとも1つが、−CFO−、−CO−O−、−CF=CF−、−CHO−または−CFCF−を表す
式Iの化合物が好ましい。
【0030】
式I中のありえる環AおよびAの中でも、定義a)およびb)による環および更に群d)からの環およびc)からの炭素環式で二環式、例えばインダン類のようなものが好ましい。
【0031】
ありえる基ZおよびZの中でも、基−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CF=CF−または単結合が好ましい。単結合が非常に特に好ましい。
【0032】
式IAの化合物が好ましい。
【0033】
【化4】

式中、
、Lは、互いに独立に、H、F、Cl、CNまたはCFを表し、
pは、0、1または2、好ましくは0または1を表し、
m+pは、0、1または2、好ましくは0または1を表し、および
は、H、ハロゲン、CN、SCN、NCS、SF、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基はCNまたはCFにより1置換されているか、ハロゲンにより少なくとも1置換されており、ただし、1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−O−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、即ち、例えば、OCFまたは−CF=CFでもよく、
および他のパラメータは式Iで上に定義される通りである。
【0034】
式IおよびIA中において、Zは、好ましくは、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFCF−、−CF=CF−、−CO−O−、−O−CO−、−CFO−、−OCF−または単結合、特に好ましくは、−CFO−、−CFCF−または単結合を表す。m>1の場合、少なくとも1つのZは、好ましくは、単結合を表す。
【0035】
式IBの化合物が、非常に特に好ましい。
【0036】
【化5】

式中、
は、HまたはFを表し、
は、FまたはOCF、CF、CN、NCS、SCN、SFを表し、
は、1,4−シクロヘキサンジイルを表し、
は、以下の式の基を表し、
【0037】
【化6】

mは、0または1を表し、
pは、0または1、好ましくは1を表し、および
m+pは、0または1、好ましくは1を表す。
【0038】
が1〜12個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基または2〜12個のC原子を有する直鎖状のアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表す式I、IAおよびIBの化合物が、それぞれ好ましい。
【0039】
がフッ素を表す式IAおよびIBの化合物も特に好ましい。Xがフッ素またはOCFを表す式IAおよびIBの化合物も特に好ましい。
【0040】
非常に特に好ましい本発明の化合物は、したがってI−1〜I−4である。
【0041】
【化7.1】

【0042】
【化7.2】

ただし、XおよびRはIBで定義される通りであり、Rは、好ましくは、1〜10個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基または2〜10個のC原子を有する直鎖状のアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表す。Xは、好ましくは、FまたはOCFを表す。
【0043】
上の好ましい式において、Rは、好ましくは、1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基または2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、ただし、2個の隣接する基が−O−で置き換えられないように、−CH−基が−O−で置き換えられていてもよい。Rは、特に好ましくは、1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキル基またはアルコキシ基または2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。
【0044】
上および下の式において、RまたはRがアルキル基を表す場合、これは直鎖状でも分岐状でもよい。特に好ましくは、直鎖状で、1、2、3、4、5、6または7個のC原子を有しており、よって、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはヘプチル、更に、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシルまたはペンタデシルを表す。
【0045】
またはRが、1個のCH基のが−O−で置き換えられているアルキル基を表す場合、これは直鎖状でも分岐状でもよい。好ましくは、直鎖状で、1〜10個のC原子を有する。基Rがアルコキシの意味を有し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシまたはノニルオキシを表すように、特に好ましくは、このアルキル基中の最初のCH基が−O−で置き換えられている。
【0046】
更に、基Rおよび/またはRが、好ましくは、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、または2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルを表すように、他の場所のCH基の1個が−O−で置き換えられていてもよい。
【0047】
またはRが、1個のCH基のが−CH=CH−で置き換えられているアルキル基を表す場合、これは直鎖状でも分岐状でもよい。好ましくは、直鎖状で、2〜10個のC原子を有する。よって、ビニル、プロパ−1−または−2−エチル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニルまたはデカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルを表す。
【0048】
好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特に好ましくは、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。
【0049】
特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニルおよび6−ヘプテニルである。5個までの炭素原子を有する基が、特に好ましい。
【0050】
またはRが、1個のCH基が−O−によって置き換えられており1個は−CO−によって置き換えられているアルキル基を表す場合、これらは好ましくは隣接している。よって、これらはアシロキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を含む。これらは、好ましくは直鎖状で2〜6個のC原子を有する。
【0051】
よって、それらは、特に、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)ブチルを表す。
【0052】
またはRが、1個のCH基が無置換または置換された−CH=CH−によって置き換えられており隣接する1個のCH基が−CO−、−CO−O−または−O−CO−によって置き換えられているアルキル基を表す場合、これは直鎖状でも分岐状でもよい。好ましくは、直鎖状で、4〜13個のC原子を有する。よって、特に好ましくは、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、10−アクリロイルオキシデシル、メタアクリロイルオキシメチル、2−メタアクリロイルオキシエチル、3−メタアクリロイルオキシプロピル、4−メタアクリロイルオキシブチル、5−メタアクリロイルオキシペンチル、6−メタアクリロイルオキシヘキシル、7−メタアクリロイルオキシヘプチル、8−メタアクリロイルオキシオクチルまたは9−メタアクリロイルオキシノニルを表す。
【0053】
またはRが、CNまたはCFで1置換されているアルキルまたはアルケニル基を表す場合、この基は好ましくは直鎖状で、CNまたはCFによる置換はω位である。
【0054】
またはRが、ハロゲンで少なくとも1置換されているアルキルまたはアルケニル基を表す場合、この基は好ましくは直鎖状である。ハロゲンは、好ましくはFまたはClである。多置換の場合は、ハロゲンは、好ましくはFである。得られる基はペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω位である。
【0055】
分岐しており羽状の基Rを有する式Iの化合物は、従来の液晶基礎材料中におけるより優れた溶解性のため、しばしば重要な場合があるが、光学活性の場合、キラルドーパントとして特に重要である。この型のスメクチック化合物は、強誘電性材料の成分として適している。
【0056】
この型の分岐した基は、好ましくは、1個以下の鎖分岐を有している。好ましい分岐した基Rは、イソプロピル、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、イソブチル(即ち、2−メチルプロピル)、2−メチルブチル、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシおよび1−メチルヘプチルオキシである。
【0057】
本発明の化合物の特定の用途のために、例えば特に低い粘度を実現するために、構造要素B中の環の配列がピラン−ジオキサン(イメージに対応して)であることが優位である。ここで、テトラヒドロピラン環の2位は、ジオキサン環の5位に結合している。
【0058】
式Iおよび補助式IA、IBおよびICは、普通、キラル化合物の場合、これらの化合物のラセミ化合物も含み、しかし、それ自体で光学的に純粋な成分や、これらの化合物の補強された混合物も含む。
【0059】
式Iの化合物は、文献(例えば、標準的な方法として、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市)に記載されているように、公知でその反応に適する正確な反応条件により、それ自身は公知の方法により調製される。ここで、それ自身は公知で、ここで非常に詳細には述べていない変法も利用できる。
【0060】
本発明の化合物のジオキサン環は、一般に、2−置換1,3−ジオールと共にアルデヒドを縮合することで調製される。ここで、ジオールまたはアルデヒド基の一方に結合しているテトラヒドロピラン環は、2,5−2置換テトラヒドロピラン類を合成するための多数の既知の方法の1つで調製される。テトラヒドロピラン−2−アルデヒド類のための合成経路は多数あり:対応するカルボン酸誘導体の還元によって、対応するアルコール(カルビノール)を穏和に酸化することによってまたは適当なジヒドロピランの触媒的ヒドロホルミル化によってである。
【0061】
上の方法の出発材料は知られているか、既知の化合物に類似して調製できる。
【0062】
所望の場合、出発材料をその場で形成することもでき、反応混合物からそれらを単離することなく、代わりに直ちにそれらを更に式Iの化合物へ転化する。
【0063】
記載される反応は、単に実例と考えられるべきである。本発明の式Iの化合物を得るために、当業者は示された合成の対応する変法を行うことができ、他の適当な合成経路に従うこともできる。
【0064】
加えて、一般式Iの多様な誘導体の合成が、例において詳細に記載されている。改変された出発材料により本発明の全ての化合物を調製できるように、合成方法を変更できる。
【0065】
本発明の液晶媒体は、本発明の化合物の1種類以上に加え、更なる構成材料として好ましくは2〜40種類、特に好ましくは4〜30種類の成分を含む。特に、これらの媒体は、1種類以上の本発明の化合物に加え、7〜25種類の成分を含む。これらの更なる構成材料は、好ましくはネマチックまたはネマチック性(単変性または等方性)の物質、特に、アゾキシベンゼン類、ベンジリデンアニリン類、ビフェニル類、ターフェニル類、フェニルまたはシクロヘキシル安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシル安息香酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、安息香酸の、シクロヘキサンカルボン酸のまたはシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン類、1,4−ビスシクロヘキシルベンゼン類、4,4’−ビスシクロヘキシルビフェニル類、フェニル−またはシクロヘキシルピリミジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリジン類、フェニル−またはシクロヘキシルジオキサン類、フェニル−またはシクロヘキシル−1,3−ジチアン類、1,2−ジフェニルエタン類、1,2−ジシクロヘキシルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン類、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)エタン類、1−シクロヘキシル−2−ビフェニルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルフェニルエタン類、ハロゲン化されていてもよいスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル類、トラン類および置換桂皮酸類の分類からの物質から選ばれる。これらの化合物中の1,4−フェニレン基も、フッ素化されていてよい。
【0066】
本発明の媒体の更なる構成材料として適当な最も重要な化合物は、式1、2、3、4および5で特徴付けることができる。
【0067】
R’−L−E−R” 1
R’−L−COO−E−R” 2
R’−L−OOC−E−R” 3
R’−L−CHCH−E−R” 4
R’−L−C≡C−E−R” 5
式1、2、3、4および5で、LおよびEは同一でも異なっていてもよく、それぞれ互いに独立に、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−Py−、−G−Phe−および−G−Cyc−およびそれらの鏡像体よりなる群からの二価の基を表し、ただし、Pheは無置換またはフッ素置換された1,4−フェニレンを表し、Cycはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレンを表し、Pyrはピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルを表し、Dioは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを表し、Pyはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルを表し、Gは2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチルを表す。
【0068】
基LおよびEの一方は、好ましくは、Cyc、PheまたはPyrである。Eは、好ましくは、Cyc、PheまたはPhe−Cycである。本発明の媒体は、好ましくは、LおよびEがCyc、PheおよびPyrからなる群より選ばれている式1、2、3、4および5の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含み、同時に基LおよびEの一方がCyc、Phe、PyおよびPyrからなる群より選ばれ他の基が−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−および−G−Cyc−からなる群より選ばれている式1、2、3、4および5の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含み、基LおよびEが−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−および−G−Cyc−からなる群より選ばれている式1、2、3、4および5の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含んでもよい。
【0069】
R’および/またはR”は、それぞれ互いに独立に、1〜8個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシまたはアルカノイルオキシ、−F、−Cl、−CN、−NCS、−(O)CH3−(k+l)Clを表し、ただしiは0または1、kおよびlは、互いに独立に、同一か異なって0、1、2または3で、しかし(k+l)の和は1、2または3が前提である。
【0070】
式1、2、3、4および5の化合物のより小さな下位の群では、R’およびR”は、それぞれ互いに独立に、8個までのC原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシまたはアルカノイルオキシを表す。以下では、このより小さな下位の群を群Aと呼び、化合物を下位式1a、2a、3a、4aおよび5aと呼ぶ。これらの化合物のほとんどではR’およびR”は互いに異なっており、普通これらの基の1つはアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシアルキルである。
【0071】
群Bと呼ばれる式1、2、3、4および5の化合物の他のより小さな下位の群では、R”は、−F、−Cl、−NCSまたは−(O)CH3−(k+l)Clを表し、ただしiは0または1、kおよびlは、互いに独立に、0、1、2または3で、しかし(k+l)の和は1、2または3が前提である。R”がこの意味を有する化合物は、下位式1b、2b、3b、4bおよび5bと呼ばれる。R”が−F、−Cl、−NCS、−CF、−OCHFまたはOCFの意味を有する下位式1b、2b、3b、4bおよび5bの化合物が特に好ましい。
【0072】
下位式1b、2b、3b、4bおよび5bの化合物の中で、R’は下位式1a〜5aの化合物の場合で示された意味を有し、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシアルキルである。
【0073】
式1、2、3、4および5の化合物の更なるより小さな下位の群では、R”は−CNを表す。この下位の群を群Cと呼び、この下位の群の化合物を対応して下位式1c、2c、3c、4cおよび5cと記載する。下位式1c、2c、3c、4cおよび5cの化合物の中で、R’は下位式1a〜5aの化合物の場合で示された意味を有し、好ましくは、アルキル、アルコキシまたはアルケニルである。
【0074】
群A、BおよびCの好ましい化合物に加え、提案された置換基の他の変数を有する式1、2、3、4および5の化合物も通常使用される。これらの物質は、全て、文献で知られているかそれに類似の方法で得られる。
【0075】
本発明の式Iの化合物に加え、本発明の媒体は、好ましくは、群A、Bおよび/またはCから選択される1種類以上の化合物を含む。これらの群からの化合物の重量による割合は、本発明の媒体中において、好ましくは:
群A:0〜90%、好ましくは20〜90%、特に好ましくは30〜90%;
群B:0〜80%、好ましくは10〜80%、特に好ましくは10〜65%;
群C:0〜80%、好ましくは5〜80%、特に好ましくは5〜50%;
ただし、本発明のそれぞれの媒体中に存在する群A、Bおよび/またはCの化合物の重量による割合の和は、好ましくは、5〜90%、特に好ましくは、10〜90%である。
【0076】
本発明の媒体は、好ましくは、本発明の化合物を1〜40%含んでおり、特に好ましくは5〜30%である。更に、媒体が本発明の化合物を40%より多く含んでいても好ましく、特に好ましくは、45〜90%である。媒体は、好ましくは、本発明の化合物を3、4または5種類含む。
【0077】
本発明の液晶混合物は、それ自体は従来の方法で調製される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望量を、主要成分を構成する成分に溶解し、加熱すると効果がある。成分の溶液を有機溶媒、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノール中に混合し、完全に混合後、例えば蒸留により、再び溶媒を除去することも可能である。更に、他の慣用の方法、例えばプレミックスの使用、例えばホモログミクスチャー、または所謂「マルチボトル」システムにより混合物を調製できる。
【0078】
誘電体は当業者に公知で文献に記載されている更なる添加剤を含むこともできる。例えば、0〜15%、好ましくは0〜10%の多色性色素および/またはキラルドーパントを添加できる。添加されるそれぞれの化合物は0.01〜6%、好ましくは0.1〜3%の濃度で使用される。しかしながら、液晶混合物の他の構成成分、即ち液晶性またはメソゲン性化合物の濃度のデーターは、これらの添加物の濃度を考慮せずに示される。
【実施例】
【0079】
以下の例は、制限する目的なく、本発明を説明する。
【0080】
上および下において、以下の略称を使用する。
【0081】
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
MTBエーテル メチルtert−ブチルエーテル
LAH 水素化アルミニウムリチウム
p−TsOH p−トルエンスルホン酸
TLC 薄層クロマトグラフィー
DBN 1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF ジメチルホルムアミド
BuLi n−ブチルリチウム
加えて、以下の略称を使用する。
【0082】
C:結晶相、N:ネマチック相、I:等方相、Sm:スメクチック相。相の略称の間の番号は、純粋な物質に対する転移温度に対応する。結晶相(C)から始まる最初の転移温度は、融点に対応する。温度のデーターは、明らかに他に述べない限り、℃である。
【0083】
加えて、clpは透明点を表し、γは回転粘度を表す。物理的、物理化学的または電気光学的パラメーターは一般に知られている方法で決定され、とりわけ、冊子「Merk Liquid Crystals−Licrista(登録商標)−Physical Properties of Liquid Crystals−Description of the Measurement Methods」、1998年刊、メルク社、ダルムスタット市に記載されるようである。
【0084】
誘電異方性Δεは1kHzで決定される。光学異方性Δnは波長589.3nmで決定される。他に示さない限り、全ての測定値は20℃の温度で決定される。clp、Δε、Δnおよびγについては、検討される物質の10重量%を誘電的に正の混合物ZLI−4792(メルク社)に溶解して測定し、測定値を濃度100%に外挿する。
【0085】
<例1>
<例1.a>
【0086】
【化8】

375ml(1.87mol)のマロン酸エステル1を、2.1lのキシレン中に、142ml(2.55mol)のエチレングリコールおよび9.75g(50mmol)のp−トルエンスルホン酸一水和物と共に溶解し、混合物を沸騰するまで加熱する。この工程において、1lのキシレンを140℃の最高温度で蒸留により除去する。フラスコ中に残った混合物を炭酸水素ナトリウムで洗浄し蒸発させる。得られる残渣は2からなり、減圧下で分留する。収量:280gの無色の液体。
【0087】
【化9】

THF中の187.2g(790mmol)のマロン酸エステル2を、窒素下で、1lのTHF中の45.5g(1.03mol)の水素化アルミニウムリチウムの懸濁液に沸点で加え、混合物を沸点で1時間加熱する。反応物を冷却し、THF/水混合物(4:1)を使用して加水分解し、123mlの水中の炭酸ナトリウム十水和物溶液を80℃で加える。230分後、得られる個体3を分離して、MTBエーテルで洗浄する。有機相を蒸発し、更に精製することなく次の工程で使用する。
【0088】
【化10】

86.3g(580mmol)のジオール3を、1100mlのDMF中に窒素下で溶解し、14g(38mmol)のヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウムを加える。87.2g(2.18mol)の鉱物油中60%水素化ナトリウム懸濁液を、引き続き何回かに分けて導入する。室温で30分後、264ml(2.18mol)の臭化ベンジルを、冷却しながら注意深く加える。室温で48時間後、反応物を3lの水に加え、MTBエーテルで抽出する。有機相を水で洗浄し、蒸発させる。残渣をシリカゲル(トルエン)に通し、3画分の4を単離する。
【0089】
69.6g 含有量62.9%
194.1g 含有量92.1%
23.0g 含有量64.8%
【0090】
【化11】

290mlのギ酸を、830mlトルエン中の194g(92.1%;540mmol)アセタール4に加え、激しく攪拌しながら、混合物を60℃で6時間加熱する。反応物を冷却し、1lのヘプタンおよび1lの水を加える。有機相を水および炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、蒸発させる。残渣をシリカゲル(トルエン/ヘプタン)を通し、163.7gのアルデヒド5を単離する。
【0091】
【化12】

22.5g(63%;50mmol)のアルデヒド5および5.95g(96%;50mmol)の2−ビニルプロパノールを140mlのジクロロメタン中に溶解し、11.4g(25mmol)の臭化ビスマス(III)を加える。反応物を一晩、室温で攪拌する。引き続き、反応物をシリカゲルを通して濾過し、乾燥させる。26.1gの臭素化合物6を単離する。
【0092】
【化13】

100g(219mmol)の臭素化合物6を、165mlのトルエン中に窒素下で溶解し、38.5mlのDBNを加え、混合物を沸騰させながら5時間加熱する。反応物を冷却し、200mlの水を引き続き加え、希硫酸を使用して混合物を酸性とする。有機相を300mlのヘプタンで希釈し、分離し、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、蒸発させる。得られる残渣をシリカゲル(トルエン)を通す。57.1gの化合物7を単離する
【0093】
【化14】

57g(150mmol)の不飽和ピラン7を360mlのメタノールおよび90mlのトルエン中に溶解し、8bar/80℃で(PPhRhCl触媒上で水素化する。水素化溶液を乾燥し、残渣をシリカゲル(トルエン/MTBエーテル)を通して、ピラン8の2画分を得る:32.1gおよび21.6g。
【0094】
【化15】

32.1g(77%)の保護されたジオール8を321mlのTHF中に溶解し、パラジウム触媒上で水素化する。触媒を引き続き除去し、溶液を乾燥する。9の得られる残渣は、更に精製することなく以下の工程で使用する。
【0095】
【化16】

15.8g(78mmol)のジオール9を、27.4g(78mmol)のアルデヒド10と共に100mlのトルエン中に溶解し、500mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、混合物を水分離器上で沸騰するまで加熱する。引き続いて反応物をシリカゲルに通し、溶出液を乾燥する。得られる11の残渣を、アセトニトリル、アセトンおよびヘプタンから結晶化して精製する。
【0096】
<例1.b>
【0097】
【化17】


末端側鎖中に二重結合を有する例1.aに類似の化合物を、ホモアリルアルコールDを経由して調製でき、ホモアリルアルコールはJ.N.Zonjeeら、Tetrahedron 1989年、第45巻、第7553〜7567頁に記載されるように調製する。このためには、化合物Dを例1.aに類似して続いて5と反応させて臭化ピランを得て、そして、トルエン中でDBUと反応させ、引き続いて水素化(全ての保護基を除去した後、8から9への反応を参照)し、化合物Eを得る。
【0098】
【化18】

9から11への反応に類似してアルデヒド10と縮合を行うことにより、トリヒドロキシ化合物Eを閉環してジオキサンFを得る。
【0099】
【化19】


更なる合成において、NaOAc/PCCを使用するスワーン法またはペルヨージナンを使用するデス−マーチン法により、式F中の残っているOH官能基を酸化してアルデヒドとし、ウィッティッヒ反応により二重結合に転化する(H)。ウィッティッヒ塩によっては、二重結合の位置を変えたり(複数の反応工程を経て)、2置換とできる。複数の二重結合を導入することもできる。
【0100】
それぞれの場合において化合物9に類似のジオールおよび10に類似の適当なアルデヒドより、以下の化合物を調製する。
【0101】
【化20】

ただし、R11、A11、A21、Z21、A22およびX11は、特に、表1の通りを表す。
【0102】
【表1.1】

【0103】
【表1.2】

【0104】
【表1.3】

【0105】
【表1.4】

【0106】
【表1.5】

【0107】
【表1.6】

【0108】
【表1.7】

【0109】
【表1.8】

【0110】
【表1.9】

【0111】
【表1.10】

【0112】
【表1.11】

【0113】
【表1.12】

<例2>
【0114】
【化21】

窒素下で25℃より低い温度において、800mlのジエチルエーテル中のアリルマグネシウムブロミドの1M溶液を、500mlのTHF中の272g(800mmol)のアルデヒド10の溶液に加える。反応物を室温で一晩攪拌し、氷水に加え、引き続きメチルtert−ブチルエーテルで抽出する。有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥して蒸発させる。得られる残渣をシリカゲルに通す。
【0115】
【化22】

103g(81%;220mmol)のアルコール12および21g(80mmol)のトリフェニルホスフィンを500mlの酢酸エチル中に溶解し、500mlの酢酸ロジウム二量体を加える。25barの合成用ガスおよび100℃でヒドロホルミル化を行う。反応溶液を乾燥し、シリカゲルを通す。
【0116】
【化23】

24.5ml(320mmol)の塩化メタンスルホニルを、100g(240mmol)のラクトール13および500mlのジクロロメタン中の101ml(299mmol)のトリエチルアミンの溶液に、0〜5℃で窒素下において添加する。反応物を、室温で一晩攪拌する。反応物を水に加え、MTBエーテルで抽出する。有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥して蒸発させる。得られる残渣をシリカゲルに通す。
【0117】
【化24】


60g(148mmol)のエノールエーテル14を300mlのトルエンに溶解し、9.8g(15mmol)のトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよび390mg(1.5mmol)のジカルボニルロジウム(I)アセチルアセトネートを加える。100barの合成用ガスおよび100℃でヒドロホルミル化を行う。溶液を引き続いて乾燥し、残渣をシリカゲルに通し、アルデヒド15のシス/トランス混合物を得る。
【0118】
アルデヒドのプロトンのシグナルは、δ=9.69ppmおよびδ=9.88ppmである。
【0119】
【化25】

アルデヒド15を引き続き2−エチル−1,3−プロパンジオールと反応させ、ジオキサン16を得る。このために、44.5g(110mmol)のアルデヒド15および11.2gのジオールを250mlのトルエンに溶解し、400mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、アルデヒドが完全に反応するまで(TLC)、水分離器上で還流下に加熱する。反応物を冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄し、乾燥して、シリカゲルに通す(トルエン/ヘプタン7:3;トルエン;トルエン/酢酸エチル95:5)。画分を含む生成物を乾燥し、残渣をエタノールから−20℃で再結晶する。
【0120】
対応するジオールと共に対応するアルデヒドより、以下の化合物を類似して調製する。
【0121】
【化26】


ただし、R11、A11、A21、Z21、A22およびX11は、特に、表2の通りを表す。
【0122】
【表2.1】

【0123】
【表2.2】

【0124】
【表2.3】

<例3>
アルデヒド15より17および対応するジオール2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール9の合成も、例2に類似して成功する。
【0125】
【化27】

<例4>
【0126】
【化28】

12mlの水中の6.9g(10mmol)の亜硝酸ナトリウムの溶液を、40mlの水中の16.6g(100mmol)のアニリン18、13mlの濃塩酸および15.4g(140mmol)のテトラフルオロホウ酸ナトリウムの混合物に、滴下により、5〜10℃の温度で、激しく攪拌しながら加える。25℃で1時間後、反応物を濾過する。固形物を氷水、メタノールおよびMTBエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥する。ジアゾニウム塩を引き続き注意深く熱分解する。生成した残渣をMTBエーテルで2回抽出する。抽出物を10%水酸化ナトリウム溶液および飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。乾燥後、残渣をシリカゲルで精製する。
【0127】
【化29】

200mlのDMSOおよび18g(110mmol)のフッ化テトラメチルアンモニウム四水和物を、400mlのシクロヘキサンを使用し窒素下(6時間)で、共沸により乾燥する。17g(100mmol)のニトロ化合物19を80℃で溶媒に引き続き添加する。反応をTLCで追跡する。反応が完了したら、反応物を冷却して水に加え、n−ペンタンで抽出する。有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し蒸発させる。残渣をシリカゲルで精製する。
【0128】
【化30】

78g(440mmol)のN−ブロモコハク酸イミドおよび1gのアゾビスイソブチロニトリルを、250mlのテトラクロロメタン中の25g(176mmol)の芳香族化合物20の溶液に加え、反応が開始するまで混合物を注意深く温める。反応が収まったのち、反応物を沸点で30分加熱する。冷却後、個体を分離し、テトラクロロメタンで洗浄する。濾液を蒸発させ、残渣をシリカゲルで精製する。
【0129】
【化31】


16.0g(100mmol)のマロン酸ジエチルおよび30g(100mmol)の二臭化物21を、350mlのエチルメチルケトン中の34.5g(250mmol)の炭酸カリウムの懸濁液に添加し、反応が完了するまで(TLC)、混合物を沸点で加熱する。個体を分離する。濾液を蒸発させ、残渣をシリカゲルで精製する。
【0130】
【化32】

50g(168mmol)のマロン酸エステル誘導体22を、150mlのエタノールおよび50mlの水中の22.4g(400mmol)の水酸化カリウムの溶液に導入し、エステルの開裂が完了するまで(TLC)、混合物を還流下で加熱する。アルコールを引き続き蒸留により取り除き、準濃塩酸を使用して残渣を酸性とし、MTBエーテルにより抽出する。有機相を乾燥させる。残渣を150℃まで注意深く加熱する。反応生成物を更に精製することなく、次の工程で使用する。
【0131】
【化33】

60ml(60mmol)のボラン/テトラヒドロフラン錯体のTHF中の1M溶液を、60mlのジクロロメタン中の10.3g(52.0mmol)の酸23に、0℃で窒素下において添加する。添加中、反応溶液の温度を5℃より低く保つ。反応物を引き続き室温まで温め、一晩攪拌する。今度は、130mlの1N塩酸を反応容器に注意深く導入する。水相をジクロロメタンで2回抽出する。有機相を乾燥させ蒸発させる。残渣をシリカゲル上で精製する。
【0132】
【化34】

9.6g(44.4mmol)のクロロクロム酸ピリジニウムおよび60gのセライト(登録商標)(J.T.Baker社)を50mlのジクロロメタン中に窒素下で懸濁し、40mlのジクロロメタン中の6.8g(36.7mmol)のアルコール24の溶液を加える。反応が完了した時点で個体を分離し、ジクロロメタンで洗浄する。濾液を1N水酸化ナトリウム溶液および2N塩酸で洗浄し、蒸発させる。得られる残渣をシリカゲルに通す。
【0133】
【化35】

15.8g(78mmol)のジオール9を14.2g(78mmol)のアルデヒド26と共に100mlのトルエン中に溶解し、500mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、混合物を水分離器上で沸騰するまで加熱する。反応物を引き続いてシリカゲル上に通し、溶出液を蒸発させる。得られる残渣を、アセトニトリル、アセトンおよびヘプタンから結晶化して精製する。
【0134】
<例5>
【0135】
【化36】

66.5g(150mmol)のウィッティッヒ塩を200mlのTHF中に窒素下で懸濁し、75mlのTHF中の15.7g(140mmol)のカリウムtert−ブトキシド溶液を、5〜10℃で加える。1時間後、75mlのTHFに溶解された19.9g(140mmol)のアルデヒド27を加え、その間、温度が8℃を超えないようにする。引き続いて、冷却を止める。室温で20時間後、反応物に水を加える。水相をMTBエーテルで抽出する。有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。残渣をシリカゲル上で精製する。
【0136】
【化37】

10mlのジクロロメタン中の5.1ml(100mmol)の臭素の溶液を、75mlのジクロロメタン中の27.6g(100mmol)の不飽和エステル28の溶液に、0〜5℃で加える。反応が完了すれば溶媒を分離し、残渣をシリカゲル上で精製する。
【0137】
【化38】

38.6g(100mmol)のエステル29を、エタノール性水酸化カリウム溶液中で5時間攪拌する。アルコールを引き続き留去し、残渣を水中に取り、塩酸を使用して酸性化し、MTBエーテルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。50mlの塩化チオニルおよび一滴のジメチルホルムアミドを得られる残渣に加え、気体の蒸発が完了するまで還流下で混合物を加熱する。過剰の塩化チオニルを留去する。残渣を更に精製することなく、次の工程で使用する。
【0138】
【化39】

120mlのジクロロメタン中の37.0g(約105mmol)の粗酸塩化物30の溶液を、80mlのジクロロメタン中の16.4g(119mmol)の塩化アルミニウムの懸濁液に、窒素下で−20〜−15℃で加える。4.5時間後、氷を加えて反応を終了させ、塩酸を使用して混合物を酸性とする。水相を塩化メチレンで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。残渣のクロマトグラフィーを、シリカゲル上で行う。
【0139】
【化40】

10.6g(31.3mmol)のケトン31を150mlのエタノールに溶解し、1.2g(32.5mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを数回に分けて加える。反応が完了した時点(TLC)で水を使用して反応物を加水分解し、減圧下でエタノールを除去し、水中に残渣を取り、トルエンで抽出する。乾燥後、生成物を更に精製することなく、次の工程で使用すう。
【0140】
【化41】

10.0gの粗ジオール32を200mlのトルエンに溶解し、1gのp−トルエンスルホン酸を加え、水の分離が完了するまで還流下で混合物を加熱する。反応物を引き続き乾燥する。得られる残渣をシリカゲル上で精製する。
【0141】
【化42】

10.4ml(75mmol)のトリエチルアミンを、75mlのジクロロメタン中の16.2g(50mmol)の二臭化物33の溶液に加え、混合物を室温で4時間攪拌する。反応物を水および飽和食塩溶液で引き続き洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。蒸発後得られる残渣をシリカゲルで精製する。
【0142】
【化43】

38.8ml(95.0mmol)のヘキサン中の2.5Mのn−ブチルリチウム溶液を、200mlのジエチルエーテル中の22.4g(92.0mmol)の芳香族化合物34の溶液に−75℃で加え、混合物を1時間攪拌する。15mlのジエチルエーテルに溶解された13.4ml(120mmol)のホルミルピペリジンを、−55℃より低温で引き続き加える。更に1時間後、反応物を室温まで温め、水を加え、混合物を酸性とする。抽出、乾燥および蒸発を行い、シリカゲル上で精製を行う。
【0143】
【化44】

7.9g(39mmol)のジオール9を、7.5g(39mmol)のアルデヒド35と共に100mlのトルエン中に溶解し、500mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、混合物を水分離器上で沸騰するまで加熱する。反応物を引き続きシリカゲル上に通し、溶出液を蒸発させる。得られる残渣を、アセトニトリル、アセトンおよびヘプタンから結晶化して精製する。36:Δε=20、Δn=0.148。
【0144】
<例6>
ナフタレン誘導体38を、トリフルオロベンズアルデヒド37より出発し例5に類似して調製する。
【0145】
【化45】

38:Δε=30、Δn=0.140。
【0146】
<例7>
【0147】
【化46】

60.0ml(120mmol)のTHF/エチルベンゼン中の2.0Mのジイソプロピルアミドリチウム溶液を、200mlのTHF中の22.4g(106mmol)のトリフルオロブロモベンゼン39の溶液に−75℃で加え、混合物を1時間攪拌する。15mlのTHFに溶解された13.4ml(120mmol)のホルミルピペリジンを、−55℃より低温で引き続き加える。更に1時間後、反応物を室温まで温め、水を加え、混合物を酸性とする。抽出、乾燥および蒸発を行い、シリカゲル上で精製を行う。
【0148】
【化47】

31.5g(94.5mmol)のウィッティッヒ塩を130mlのTHF中に窒素下で懸濁し、50mlのTHF中の9.9g(88.2mmol)のカリウムtert−ブトキシド溶液を、5〜10℃で加える。1時間後、50mlのTHFに溶解された33.5g(140mmol)のアルデヒド40を加え、その間、温度が8℃を超えないようにする。引き続いて、冷却を止める。室温で20時間後、反応物に水を加える。水相をMTBエーテルで抽出する。有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。残渣をシリカゲル上で精製する。
【0149】
【化48】

61.3ml(150mmol)のヘキサン中の2.5Mのn−ブチルリチウム溶液を、250mlのジエチルエーテル中の35.6g(150mmol)の芳香族化合物41の溶液に−75℃で加え、混合物を1時間攪拌する。15mlのジエチルエーテルに溶解された15.6g(150mmol)のホウ酸トリメチルを、−55℃より低温で引き続き加える。更に1時間後、反応物を室温まで温め、水を加え、混合物を酸性とする。MTBエーテルで抽出後、有機相を乾燥し、蒸発させ、n−ヘプタンにより0℃で攪拌することにより洗浄する。その酸を更に精製することなく、次の工程で使用する。
【0150】
【化49】

100mlのTHF中の28.2g(100mmol)の酸43の溶液を、50mlのTHF中の3.0g(80mmol)の水素化アルミニウムリチウムの懸濁液に加え、混合物を沸点で2時間加熱する。反応物を冷却し、THF/水混合物を使用して注意深く加水分解し、20mlの水中の22.9gの炭酸ナトリウム十水和物溶液を80℃で引き続き加える。混合物を30分間攪拌した後、個体を分離する。有機相を乾燥し、蒸発させる。残渣を、更に精製することなく更なる工程で反応させる。
【0151】
45gのクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を、450mlのジクロロメタン中の120gのセライト(登録商標)(J.T.Baker社)の懸濁液に窒素下で加える。引き続き、懸濁液に、75mlのジクロロメタン中の残渣の溶液を加える。反応物を室温で一晩攪拌する。セライト(登録商標)を分離し、ジクロロメタンで洗浄する。有機相を蒸発させ、得られる残渣をシリカゲルに通す。
【0152】
【化50】

26.6g(100mmol)のアルデヒド45を150mlのトルエン中に溶解し、8.0g(129mmol)のエチレングリコールおよび500mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、混合物を水分離器上で沸騰させながら加熱する。反応物を引き続き飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、蒸発させる。残渣を、シリカゲル上で精製する。
【0153】
【化51】

38.8ml(95.0mmol)のヘキサン中の2.5Mのブチルリチウム溶液を、200mlのジエチルエーテル中の28.6g(92.0mmol)の芳香族化合物46の溶液に−75℃で加え、混合物を1時間攪拌する。15mlのジエチルエーテルに溶解された13.4ml(120mmol)のホルミルピペリジンを、−55℃より低温で引き続き加える。更に1時間後、反応物を室温まで温め、水を加え、混合物を酸性とする。抽出、乾燥および蒸発を行い、シリカゲル上で精製を行う。
【0154】
【化52】

37.5g(112.5mmol)のウィッティッヒ塩を150mlのTHF中に窒素下で懸濁し、60mlのTHF中の11.8g(105mmol)のカリウムtert−ブトキシド溶液を、5〜10℃で加える。1時間後、60mlのTHFに溶解された29.8g(140mmol)のアルデヒド47を加え、その間、温度が8℃を超えないようにする。引き続いて、冷却を止める。室温で20時間後、反応物に水を加える。水相をMTBエーテルで抽出する。有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。残渣をシリカゲル上で精製する。
【0155】
【化53】

28.5g(75mmol)の四ほう酸二ナトリウム十水和物を35mlの水に窒素下で導入し、1.25g(1.6mmol)のビス(トリシクロヘキシル)フォスフィンパラジウム(II)クロリドおよび0.1mlの水酸化ヒドラジニウムを添加する。5分後、85mlのTHF、17.3g(82mmol)の塩化物48および18.2g(90mmol)のボロン酸42を加える。反応物を還流下で24時間加熱する。反応物を冷却し、水を加え、混合物をMTBエーテルで3回抽出する。有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。得られる残渣を、シリカゲル上で精製する。
【0156】
【化54】

20.0g(60mmol)のビフェニル49を500mlのジクロロメタン中に溶解し、2.5g(3mmol)のルテニウム触媒を加える。気体の発生が完了するまで、反応物を40℃に保持する。溶媒を引き続き除去する。得られる残渣をシリカゲル上で精製する。
【0157】
【化55】

50mlのギ酸を、150mlのトルエン中の20.0g(65.7mmol)のケタール50の溶液に窒素下で加え、混合物を室温で一晩攪拌する。反応物を300mlの水に引き続き加え、混合物を300mlのヘプタンで希釈する。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥する。残渣をシリカゲルで精製する。
【0158】
【化56】

10.0g(49mmol)のジオール9を、12.7g(49mmol)のアルデヒド51と共に100mlのトルエン中に溶解し、500mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、混合物を水分離器上で沸騰させながら加熱する。反応物を引き続きシリカゲル上に通し、溶出液を蒸発させる。得られる残渣を、アセトニトリル、アセトンおよびヘプタンから結晶化して精製する。52:Δε=29、Δn=0.189。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物群。
【化1】


(式中、
【化2】


、Rは、H、ハロゲン、CN、SCN、NCS、SF、直鎖状または分岐状でキラルでもよい炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基は無置換であるか、CNまたはCFにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されているかであり、ただし、1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHO−または−CFO−で置き換えられていてもよく、非対称な基は両方向で存在してもよく、
、Aは、それぞれ互いに独立に、同一か異なって、
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、
b)1,4−フェニレン、ただし、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、1個以上のH原子はBr、Cl、F、CN、メチル、メトキシまたは1フッ素化または多フッ素化されたメチルまたはメトキシ基で置き換えられていてもよく、
c)基1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【化3】

からの基であり、
式中、水素原子はF、CN、SCN、SF、CHF、CHFまたはCF、OCHF、OCHFまたはOCFで1置換または多置換されていてもよく、
1個以上の二重結合は、単結合で置き換えられていてもよく、
M、MまたはMは、−O−、−S−、−CH−、−CHY−または−CYY−を表し、および
YおよびYは、Cl、F、CN、OCFまたはCFを表し、または
d)1,4−シクロヘキセニレンを表し、
、Zは、それぞれ互いに独立に、同一か異なって、単結合、−CHO−、−CO−O−、−CFO−、−CHCHCFO−、−CFCF−、−CHCF−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−または−C≡C−を表し、ただし、非対称な橋架けはどちらを向いていてもよく、および
n、mは、互いに独立に、0、1、2または3を表し、
m=0、n=1で、同時にb)中のようにAがフェニレンを表すとの前提では、
は、述べられた方向で、−CHO−、−CO−O−、−CFO−、−CHCHCFO−、−CFCF−、−CHCF2−、−CF−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−または−CF=CF−を表す。)
【請求項2】
nは1、2または3を表し、および
基Zの少なくとも1つは、−CFO−、−CO−O−、−CF=CF−、−CHO−または−CFCF−を表す
ことを特徴とする請求項1記載の化合物群。
【請求項3】
補助式IAの請求項1または2記載の化合物群。
【化4】

(式中、
pは、0、1または2を表し、
m+pは、0、1または2を表し、
、Lは、互いに独立に、H、F、Cl、CNまたはCFを表し、および
は、H、ハロゲン、CN、SCN、NCS、SF、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基はCNまたはCFにより1置換されているか、ハロゲンにより少なくとも1置換されており、ただし、1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−O−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。)
【請求項4】
補助式IBの前記請求項記載の化合物群。
【化5】

(式中、
は、HまたはFを表し、
は、FまたはOCF、CF、CN、SCN、NCS、SFを表し、
は、1,4−シクロヘキサンジイルを表し、
は、以下の式の基を表し、
【化6】

mは、0または1を表し、
pは、0または1を表し、および
m+pは、0または1を表す。)
【請求項5】
は、直鎖状で炭素数1〜12のアルキルまたはアルコキシ基または直鎖状で炭素数2〜12のアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表すことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項記載の化合物群。
【請求項6】
構造要素Bは、
【化7】


を表すことを特徴とする請求項1ないし5の一項記載の化合物群。
【請求項7】
構造要素Bは、
【化8】


を表すことを特徴とする前記請求項1ないし5の少なくとも一項記載の化合物群。
【請求項8】
およびZは、互いに独立に、−CFO−、−CFCF−、−CF=CF−または単結合を表すことを特徴とする請求項1または2記載の化合物群。
【請求項9】
前記請求項の少なくとも一項記載の1種類以上の化合物の液晶媒体中の成分としての使用。
【請求項10】
請求項1ないし8の少なくとも一項記載の少なくとも1種類のピラン−ジオキサン誘導体を含むことを特徴とする、少なくとも2種類の液晶成分を有する液晶媒体。
【請求項11】
請求項10記載の液晶媒体を備えることを特徴とする液晶ディスプレイ素子。
【請求項12】
請求項10記載の液晶媒体を誘電体として備えることを特徴とする電気光学的ディスプレイ素子。

【公表番号】特表2008−545666(P2008−545666A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512716(P2008−512716)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004140
【国際公開番号】WO2006/125511
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】