説明

ピルファープルーフキャップ

【課題】 初期状態からブリッジが破断するまでのキャップの回転角度と、初期状態からパッキンが持ち上げられ開栓されるまでのキャップの回転角度との相対的な関係を保証することが可能なピルファープルーフキャップを提供する。
【解決手段】 天板部1の周縁から垂下されるスカート壁2の下端に複数個の破断可能なブリッジ3、3…を介してタンパーエビデンスバンド4が連結されるとともに、そのスカート壁2の内面には、壜口6の外周に沿って形成された雄螺子部8に螺合される雌螺子部9が形成され、また、前記雌螺子部9の上端10によって周縁に設けられたフランジ部14が持ち上げられ開栓されるパッキン11が前記壜口6を密封するようにしたピルファープルーフキャップDにおいて、前記雌螺子部9の上端10を、前記パッキン11のフランジ部14の下面と平行となるように形成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピルファープルーフキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のピルファープルーフキャップとして、天板部の周縁から垂下されるスカート壁の下端に破断可能なブリッジを介してタンパーエビデンスバンド(以下、TEバンドという)を連結し、そのスカート壁の内面に、壜口の雄螺子部に螺合される雌螺子部を形成し、その雌螺子部の上端によって周縁に設けられたフランジ部が持ち上げられ開栓されるパッキンが壜口を密封するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来のピルファープルーフキャップでは、前記雌螺子部の上端とパッキンとの接触が点接触であったことから、キャップの開栓に伴うパッキン持ち上げの安定性が悪いという問題があった。このため、初期状態からブリッジが切れるまでのキャップの回転角度(以下、ブリッジ角度という)と、初期状態からパッキンが持ち上げられて開栓されるまでのキャップの回転角度(以下、シール角度という)との相対的な関係が保証されず、シール角度がブリッジ角度よりも小さくなると、前記TEバンドがスカート壁に連結された状態で気密漏れが発生してしまい、ピルファープルーフとしての役目が果たせなくなってしまう。
【0004】本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、初期状態からブリッジが破断するまでのキャップの回転角度と、初期状態からパッキンが持ち上げられ開栓されるまでのキャップの回転角度との相対的な関係を保証することが可能なピルファープルーフキャップを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のピルファープルーフキャップは、天板部の周縁から垂下されるスカート壁の下端に複数個の破断可能なブリッジを介してタンパーエビデンスバンドが連結されるとともに、そのスカート壁の内面には、壜口の外周に沿って形成された雄螺子部に螺合される雌螺子部が形成され、また、前記雌螺子部の上端によって周縁に設けられたフランジ部が持ち上げられ開栓されるパッキンが前記壜口を密封するようにしたピルファープルーフキャップにおいて、前記雌螺子部の上端を、前記パッキンのフランジ部の下面と平行となるように形成した(請求項1)。
【0006】上記の構成により、初期状態からブリッジが破断するまでのキャップの回転角度と、初期状態からパッキンが持ち上げられ開栓されるまでのキャップの回転角度との相対的な関係を保証することが可能なピルファープルーフキャップを提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に対応する実施例を、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施例に係るピルファープルーフキャップ(以下、キャップという)Dの構成を概略的に示す縦断面図である。1は、天板部、2は、天板部1の周縁から垂下されたスカート壁、3は、スカート壁2の下端に形成される破断可能なブリッジ、4は、そのブリッジ3を介してスカート壁2に接続されたTEバンド、5は、TEバンド4の下端から内方に折り返された抜け止め用の係止片で、たとえば連続蛇腹状に形成されて壜口6(図2参照)の下部外周に突設された掛止突縁7(図2参照)に下方から係止し、開栓時にブリッジ3が破断されるときにそのTEバンド4を抜け止め状に保持する。
【0008】上述のスカート壁2の内面には、壜口6の外周に形成された雄螺子部8(図2参照)に螺合する雌螺子部9が形成され、また、前記雌螺子部9の上端10(図3参照)によって持ち上げられ開栓されるパッキン11が壜口6を密封している。そのパッキン11は気密性を向上させるために壜口6の口部内に密嵌挿入される所定長さの中足12を有し、かつその天面13の外周縁にはフランジ部14が突設形成されている。
【0009】図2(A)および(B)は、キャップDの初期状態および開栓途中の状態を概略的に示す縦断面図である。図2(A)に示す初期状態にあるキャップDを開栓するには、キャップDを回動操作するだけでよい。キャップDを所定の方向に回動させると、まず前記ブリッジ3が破断し、その後さらに同様の回動を加えると、図2(B)に示すように、キャップDの雌螺子部9の上端10が前記フランジ部14に下方から当接してパッキン11が持ち上げられることになる。そのため、全てのブリッジ3が破断されるまで、前記中足12によって気密性が保持され、全ブリッジ3が破断されて初めてパッキン11を完全に持ち上げて開栓することができる構成となっている。
【0010】図3(A)および(B)は、前記雌螺子部9の上端10の構成を概略的に示す正面および側面からの部分拡大縦断面図である。開栓時には、キャップDの雌螺子部9の上端10がパッキン11のフランジ部14に当接してこれを押し上げるが、前記上端10をパッキン11のフランジ部14の下面と平行となるように形成したことから、雌螺子部9の上端10とパッキン11のフランジ部14の下面との接触が、図4の点線部分15に示すように、点接触よりも接触面積が大きい面接触となり、キャップDは、開栓時に、ほぼ平行にかつがたつくことなく上方に上がっていくことになる。このため、ブリッジ3が破断されてからパッキン11が持ち上げられて開栓されるまでのキャップDの回転角度(シール角度)はおよそ一定のものとなり、安定した開栓を行うことが可能となる。
【0011】上記の構成からなるピルファープルーフキャップDによれば、初期状態からブリッジ3が破断するまでのキャップDの回転角度(ブリッジ角度)と、初期状態からパッキン11が持ち上げられ開栓されるまでのキャップDの回転角度(シール角度)との相対的な関係が保証されることになる。
【0012】上記の構成からなるピルファープルーフキャップDによれば、パッキン11のフランジ部14に接触するキャップDの雌螺子部9の面積が大きくなることから、パッキン11がキャップDの雌螺子部9から抜け落ちるという可能性を極めて低くすることが可能となる。
【0013】上記の構成からなるピルファープルーフキャップDにおいて、前記スカート壁2の内面に形成された雌螺子部9および壜口6の外周に形成された雄螺子部8は、一条に限るものではなく、たとえば二条としてもよい。二条以上とした場合には、雌螺子部9の上端10とパッキン11のフランジ部14の下面との接触面積が増えるとともに、接触する箇所が増加するため、キャップDの開栓時の挙動がより安定することとなる。
【0014】
【発明の効果】上記の構成からなる本発明によれば、初期状態からブリッジが破断するまでのキャップの回転角度と、初期状態からパッキンが持ち上げられ開栓されるまでのキャップの回転角度との相対的な関係を保証することが可能なピルファープルーフキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係るピルファープルーフキャップの構成を概略的に示す縦断面図である。
【図2】(A)および(B)は、上記実施例におけるピルファープルーフキャップの初期状態および開栓途中の状態を概略的に示す縦断面図である。
【図3】(A)および(B)は、上記実施例におけるピルファープルーフキャップの雌螺子部の上端の構成を概略的に示す正面および側面からの部分拡大縦断面図である。
【図4】上記実施例におけるピルファープルーフキャップの構成を概略的に示す横断面図である。
【符号の説明】
1…天板部、2…スカート壁、3…ブリッジ、4…タンパーエビデンスバンド、6…壜口、8…雄螺子部、9…雌螺子部、10…上端、11…パッキン、14…フランジ部、D…ピルファープルーフキャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 天板部の周縁から垂下されるスカート壁の下端に複数個の破断可能なブリッジを介してタンパーエビデンスバンドが連結されるとともに、そのスカート壁の内面には、壜口の外周に沿って形成された雄螺子部に螺合される雌螺子部が形成され、また、前記雌螺子部の上端によって周縁に設けられたフランジ部が持ち上げられ開栓されるパッキンが前記壜口を密封するようにしたピルファープルーフキャップにおいて、前記雌螺子部の上端を、前記パッキンのフランジ部の下面と平行となるように形成したことを特徴とするピルファープルーフキャップ。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−130606(P2001−130606A)
【公開日】平成13年5月15日(2001.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−312859
【出願日】平成11年11月2日(1999.11.2)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】