説明

ピロー包装体

【課題】 壊れやすい被包装物であっても損傷するのを抑制できる安価な包装体を提供すること
【解決手段】 筒状に製袋された包装フィルムからなる袋体11で被包装物12を包み込むとともに、周囲をシールして形成される。被包装物12は、パセリ等の葉物その他の野菜であり、複数の小さい物品の集合体からなる。袋体は、筒状に製袋された軸方向両端のエンドシール部13と、その両端のエンドシール部間を渡るように軸方向に伸びるセンターシール部14にてシールされて閉塞される。袋体内には、リング状の枠体20を収納し、被包装物は、その枠体で囲まれる空間内に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
包装体の形態には多種多様のものがあるが、その中の一つとしてピロー包装体がある。このピロー包装体は、帯状の包装フィルムを製袋器に通過させることで筒状に製袋し、その帯状フィルムの進行方向両端縁同士をシール(センターシール)することで筒状フィルムとし、更に、その筒状フィルム内に被包装物を内包させると共に前後の被包装物間のフィルム部位を筒状フィルムの進行方向と直交する方向にシール(エンドシール,エンドシール)すると共にカットすることで製造される。
【0003】
このようにして製造された包装体1は、図1に示すように、内部に被包装物(図示省略)を内包すると共に、1本のセンターシール部2と、両端に形成されるエンドシール部3により密封された形態を採る。図示するように、通常、センターシール部2は包装体の底面側に位置するようにしている。
【0004】
ところで、被包装物がバラバラの複数の物品の場合、特に横ピロー包装機で製造しようとすると、係る複数の物品を一纏めにして包装フィルムを筒状に製袋する製袋器内に供給するのが困難となることがある。さらに、製袋器を通過後においても個々の物品が筒状の包装フィルム内で当該フィルムに対して相対的に前後方向に移動し、後段のエンドシール装置で噛み込みを生じるそれもある。
【0005】
係る場合、トレーなどの容器内に係る複数の物品を収納しておき、係るトレーごと製袋器内に供給し、当該トレーに対して包装処理して包装体を製造する。これにより、トレー内の本来の被包装物も包装体内に収納される。この種の技術としては、従来特許文献1がある。
【0006】
また、このようにトレーを用いる包装体の場合、複数の物品に限ることなく、シュークリームなどの損傷しやすいものもある。すなわち、ピロー包装体に対して外部から圧力が加わった場合、その圧力が被包装物に加わり、被包装物が潰れるなどの損傷を招くおそれがあるが、トレーの高さ(深さ)を被包装物の高さ以上にすることで、係る外部からの圧力をトレーで受け、被包装物に加わらないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2550391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のトレーは、紙製や発泡スチロールなどで形成され、その形状は上部開放した底面及びその底面の周囲に起立した側壁を備えたものとなっている。トレーが必要であるので、その分コストが高くなる。特に、包装体が大きく(底面が広く)なると、それに伴い底面の面積も広くなり、トレー全体の材料コストに対する底面部分の占める割合が大きくなる。
【0009】
また、特許文献1に開示された紙製のトレーの場合、矩形状の底面の4つの辺に隣接して設けた側壁部を辺の部分で折り曲げて起立させるとともに、隣接する側壁部同士を連結して組み立てる。側壁部を複数箇所で連結する必要があり煩雑となる。一方、発泡スチロール製の場合には、型代がかさみ寸法形状の変更に容易に対応できないという問題を有する。
【0010】
さらに、紙製,発泡スチロール製のトレーでは、被包装物の外周囲に形成され、被包装物の周囲を覆い隠すことになる。よって、例えば被包装物が生鮮食料品などの鮮度が重要なものの場合、被包装物の鮮度を確認することがしづらくなるなどの課題を有する。
【0011】
さらにまた、被包装物が、葉物など嵩張る物品の場合、ピロー包装装置においてセンターシール装置やエンドシール装置においてシールする際に物品を噛み込む不具合が生じることがあるという課題も有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明のピロー包装体は、(1)筒状に製袋した包装フィルムの両側縁を貼り合わせてセンターシール部とするとともに、そのセンターシール部と交差方向の両端開口を熱シールしてなるピロー包装体において、上下が開放した枠体内に被包装物を収容した状態で包装されるようにした。被包装物は、単体或いは複数の物品の集合体のいずれもある。
【0013】
枠体により囲まれた空間内に被包装物が収まり、ピロー包装体に対して外部から押し潰すような方向の力が加わったとしても枠体がそれを支え、つぶれるのを抑止し被包装物が損傷するのを防止する。上下開放した枠体であるので、トレーのように底部が無く、コストが安く済む。枠体内に被包装物が収容された状態で包装処理することで、ピロー包装体の製造時に包装フィルム内で被包装物が散乱等することが抑制できる。枠体の高さが、被包装物の高さよりも高くすると、被包装物が押し潰されることが可及的に抑制できる。なお、本発明では、枠体の高さが必ずしも被包装物の高さよりも高くする必要はない。仮に枠体の方が低い場合にピロー包装体が押し潰される方向に力が加わったとすると、被包装物の上端が少し押されるものの完全に潰されることは抑止できる。
【0014】
さらに被包装物は、枠体内に収容するようにしたため、例えば被包装物が葉物など嵩張るものであっても葉や茎などが広がるのが抑制される。これにより、ピロー包装機におけるセンターシール装置やエンドシール装置でシール処理する際にシーラー間に係る葉や茎などの被包装物の一部が入り込み噛み込みを生じることが可及的に抑制される。そして、そのように被包装物の広がりが抑制されることから、ピロー包装体をコンパクトにすることができる。
【0015】
(2)前記枠体は、帯状のシート片の両端を連結して形成されるようにするとよい。このようにすると、簡単に枠体を製造できる。連結は、(4)に規定するようにシート片の形状を適宜に加工して形成できる係止部を用いることもできるし、接着テープその他の接着手段を用いることもできる。
【0016】
(3)前記シート片は、透明な材質で形成されるとよい。透明な材質は、例えば透明なプラスチック等を用いると良い。このようにすると、枠体の内側に収容された被包装物が、枠体の外側から視認することができる。よって、例えば被包装物が生鮮食料品などの鮮度が重要なものの場合、被包装物全体を、包装体を開封することなく事前に確認することができるので好ましい。
【0017】
(4)前記シート片の両端に形成された係止部によりその両端を引っかけて固定して前記枠体を構成するとよい。係止部は、スリット・切り込み線などにより形成できる。このようにすると、簡単に連結できるのでよい。
【0018】
(5)前記センターシール部は、上面側に位置するとともに、そのセンターシール部に開封用の切り込み部を設けるとよい。そのようにすると、開封後にピロー包装体を被包装物の容器として使用できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、枠体によりピロー包装体ひいては被包装物が押し潰されるのが抑制でき、壊れやすい被包装物であっても損傷するのを抑制できる。そして、トレーのように底部がないので、材料費も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の包装体の一例を示す図である。
【図2】本発明に係るピロー包装体の一実施形態を示す図である。
【図3】(a),(b)は枠体を構成するシート片の一例を示す図であり、(c)は枠体を示し、(d)は枠体内に被包装物を収容した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2は、本発明の包装体の好適な一実施形態を示している。図2(a)はその全体を示しており、図2(b)は内容物を省略して示している。図2に示すように、本実施形態のピロー包装体10は、筒状に製袋された包装フィルムからなる袋体11で被包装物12を包み込むとともに、周囲をシールして形成されるのを基本構成とする。被包装物12は、パセリ等の葉物その他の野菜であり、複数の小さい物品の集合体からなる。この集合体は、テープ等で把束することなく、個々の物品がバラバラの状態となっている。本実施形態の被包装物12を構成する個々の物品はパセリであるので、葉の部分12aと茎の部分12bを備え、個々の物品の向き・姿勢もランダムの状態で収納される。
【0022】
外装となる袋体11は、ピロー包装体10であるため、筒状に製袋された軸方向両端のエンドシール部13と、その両端のエンドシール部13間を渡るように軸方向に伸びるセンターシール部14にてシールされて閉塞される。そして、本実施形態では、センターシール部14が、ピロー包装体10の上側(表面側)に位置するのを正規の向き・姿勢とする。すなわち、通常、センターシール部14は、ピロー包装体の下面側に位置するのを正規の姿勢とするのと反対にしている。
【0023】
これに伴い、袋体11(包装フィルム)に印刷を施す場合、商標・商品名や、各種のデザインは、表側となるセンターシール部14側、すなわち、帯状の包装フィルムにおける両側縁近傍部位(従来は、帯状フィルムの中央部位)にする。
【0024】
そして本実施形態では、袋体11内には、リング状の枠体20を収納し、被包装物12は、その枠体20で囲まれる空間内に収容する。枠体20は、上下開放し、ピロー包装体10の上下に合わせて袋体11内に収納する。枠体20の高さは、被包装物12全体の高さと同じかそれ以上としている。これにより、ピロー包装体10が上下方向に潰れる方向に力がかかったとしても枠体20により支えられて潰れるのが抑制される。それに伴い内部の被包装物12も損傷することがない。
【0025】
さらにセンターシール部14の中央部位には開封用のV字状の切り込み部15が形成される。この切り込み部15からフィルムが切り裂かれていき、ピロー包装体10(袋体11)が開封される。袋体11を構成する包装フィルムは、切断容易方向があり、センターシール部14と直交する方向に切断されやすくなっている。これにより、切り込み部15の両端をそれぞれ片手で摘むとともに互いに離反する方向に引っ張ることで、切断容易方向に包装フィルムが切り裂かれていく。
【0026】
本実施形態では、上記のように枠体20によりピロー包装体10の強度が保たれて被包装物12の損傷が抑止されるとともに、トレーのように底部がないので材料コストも抑制できる。また、ピロー包装体10の上面中央部を切り裂いて開封しているので、開封後はピロー包装体10を容器代わりにしてそのまま被包装物12を食することができる。
【0027】
この枠体20は、図2(a),(b)に示すように、所定幅の帯状のシート片21を用意し、図2(c)に示すようにそのシート片21の両端同士を連結して無端のリング状の枠体20を形成する。帯状のシート片21は、その長手方向両端に係止部を設け、リング状の状態を維持できるようにしている。具体的には、図2(a)に示すように、両端近傍に上辺,下辺側から中央に向かって短辺と平行に設けた切り込み線21aにより構成する。切り込み線21a同士を挟み込むことで連結する。また、係止部は、図2(b)に示すように、一方の短辺に設けた矢印状の突片21bと、他方の短辺近傍に設けたスリット21cにより構成してもよい。係る構成にすると、突片21bは、矢の部分に案内されてスリット21c内にスムーズに挿入され、一旦挿入されると離脱が抑止される。
【0028】
上述したように、枠体20は、帯状のシート片21の端部同士を連結して構成される。よって、連結箇所は一箇所で済み、製造も容易となる。更に、被包装物の寸法形状が異なる場合でも、シート片21の幅を変えたり、長さを変えたりするといった簡単な変更で対応できる。
【0029】
シート片21の材料は、紙、プラスチック、樹脂その他各種のものを用いて構成できる。シート片21を透明な部材で構成するとともに袋体11内を透明なフィルムで形成すると、被包装物12の状態が外部から容易に視認することができる。よって、被包装物12が生鮮食料品などの場合、その色の状態から新鮮度も外部から確認できるのでよい。
【0030】
係る構成のピロー包装体10は、例えば、逆ピロー包装機を用いて製造することができる。すなわち、ベルトコンベア等の搬送装置に帯状の包装フィルムを連続して供給する。包装フィルムは、搬送装置上を移動するので、その包装フィルム上に図2(c)に示す枠体20を所定間隔毎に供給する。すると、包装フィルムが枠体20の搬送面ともなり、包装フィルムの前進移動に伴い枠体20も前進移動する。そして、その移動中の枠体20内に、複数のパセリ等からなる被包装物12を供給すると、図2(d)に示す状態で更に包装フィルム上を移動する。よって、下流側に配置された製袋器にて包装フィルムの両側を上に持ち上げて枠体20,被包装物12を包み込み、さらに製袋器の下流側に配置されたセンターシール装置にて上方に持ち上げた包装フィルムの両側縁をシールし、その後、被包装物の前後にて、包装フィルムを進行方向横方向にシール・カットしてピロー包装体を製造する。
【0031】
上述した実施形態では、被包装物は、複数の物品からなる集合体であったが、本発明はこれに限ることはなくも、単体のものでも良い。
帯状のシート片21は、その両端に形成した係止部により連結したが、接着テープその他の接着手段を用いて固定しても良い。
【符号の説明】
【0032】
10 ピロー包装体
11 袋体
12 被包装物
13 エンドシール部
14 センターシール部
15 切り込み部
20 枠体
21 シート片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に製袋した包装フィルムの両側縁を貼り合わせてセンターシール部とするとともに、そのセンターシール部と交差方向の両端開口を熱シールしてなるピロー包装体において、
上下が開放した枠体内に被包装物を収容した状態で包装されることを特徴とするピロー包装体。
【請求項2】
前記枠体は、帯状のシート片の両端を連結して形成されることを特徴とする請求項1に記載のピロー包装体。
【請求項3】
前記シート片は、透明な材質で形成されることを特徴とする請求項2に記載のピロー包装体。
【請求項4】
前記シート片の両端に形成された係止部によりその両端を引っかけて固定して前記枠体を構成することを特徴とする請求項2または3に記載のピロー包装体。
【請求項5】
前記センターシール部は、上面側に位置するとともに、そのセンターシール部に開封用の切り込み部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のピロー包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−1405(P2013−1405A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131658(P2011−131658)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】