ファイバーメタルラミネートパネル
平面状の金属材料(101)及び繊維材料(102)からなり、ラミネート状に配設される多数の層を有するファイバーメタルラミネートパネル(10)であって、金属材料(101)は、金属−金属結合(103)によりスプライス部(105)で接合されて一部が重なり合う金属層(101)となり、また、縦方向に延びる接続要素(11、12)を備えた支持構造にパネル(10)を取り付けるために用いられる被補強領域(106、107)内に、少なくとも平面状の金属材料(101)からなる付加層が設けられるファイバーメタルラミネートパネル(10)。パネル(10)を補強する付加金属層(101)は、スプライス部(105)の金属−金属結合を重ねて形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の金属材料と繊維材料とからなり、ラミネート状に配設される多数の層を有するファイバーメタルラミネートパネルであって、前記平面状の金属材料が、金属−金属結合によりスプライス部で接合されて一部が重なり合う金属層となり、また、縦方向に延びる支持要素を有する支持構造にパネルを取り付けるために用いられる被補強領域内に、少なくとも前記平面状の金属材料からなる付加層が設けられるファイバーメタルラミネートパネルに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、上述したようなファイバーメタルラミネートパネルを、軽量でありながら丈夫であり、さらに製造が容易であるように発展させることを目的とする。
【0003】
この目的は、請求項1記載の特徴を有するファイバーメタルラミネートパネルにより達成される。本発明によるファイバーメタルラミネートパネルの実施形態及び発展形態は、この従属請求項に挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により、平面状の金属材料と繊維材料とからなり、ラミネート状に配設される多数の層を有するファイバーメタルラミネートパネルであって、前記平面状の金属材料が、金属−金属結合によりスプライス部で接合されて一部が重なり合う金属層となり、また、縦方向に延びる支持要素を有する支持構造にパネルを取り付けるために用いられる被補強領域内に、少なくとも前記平面状の金属材料からなる付加層が設けられるファイバーメタルラミネートパネルを提供する。本発明によると、パネルを補強するための前記付加金属層は、前記スプライス部の金属−金属結合を重ねることにより形成されて設けられる。
【0005】
ラミネートは、それぞれがスプライス部を有する複数の金属層を含んでいてもよく、1以上のスプライス部が1つの補強領域内に設けられる。
【0006】
1つの補強領域内に設けられる複数のスプライス部は、標準的な補強領域を形成するように、互いの上に配設されていてもよい。
【0007】
1つの補強領域内に設けられる複数のスプライス部は、標準的な補強領域を形成するように、互いに横方向にオフセットされるように配設されていてもよい。
【0008】
金属−金属結合を重ねて形成される、スプライス部を有する金属層と連続する金属層の両方が補強領域に設けられる。
【0009】
前記パネルは、第1方向に沿って長手方向に延び、この第1方向を横切って延びる第2方向において、この方向における前記平面状の金属材料の延長のごく一部にあたる距離だけ互いに離れて配置される複数の補強領域を備えていてもよく、少なくとも1つの補強領域内で、個々の金属層のスプライス部が前記第2方向に互いに離れるようにオフセットされる。
【0010】
前記金属層は、前記スプライス部により形成される、長手方向に延びる補強領域の方向とその長手方向とが実質的に平行に延びるシート状物で形成されていてもよい。
【0011】
前記パネルのラミネートは、前記第1方向に延びる第1補強領域を形成し、前記第2方向において、横切るようにそこから離れて配置されるスプライス部で、前記第1方向に延びる各シートが互いに結合される第1金属層を含んでいてもよく、さらに、前記第2方向に延びる第2補強領域を形成し、前記第1方向において、横切るようにそこから離れて配置されるスプライス部で、前記第2方向に延びる各シートが互いに結合される第2金属層を含んでいてもよい。
【0012】
前記スプライス部で形成される層に加えて、前記金属材料及び/又は繊維材料からなる追加層による補強を設けてもよい。
【0013】
前記追加層は、高さを均一にするために、それぞれ異なる方向に延びて交差する補強領域の間に設けられていてもよい。
【0014】
前記パネルは、航空機胴体の外部スキンの一部であってもよく、前記補強領域は、航空機胴体の支持構造の第1方向に延びる第1支持要素及び/又はこの第2方向に延びる第2支持要素上に配設される。
【0015】
前記パネルは、航空機の翼部又は尾部のシート材の一部であってもよく、前記補強領域は、翼部又は尾部の第1方向に延びる第1支持要素及び/又はこの第2方向に延びる第2支持要素上に配設される。
【0016】
以下に、本発明によるファイバーメタルラミネートパネルの実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、パネルの一層を示した、ファイバーメタルラミネートパネルの、一部を切欠した斜視図である。
【図2】図2は、本発明によるファイバーメタルラミネートパネルの金属層の製造に用いることができるシート状に設けられた平面状の金属材料の概略斜視図である。
【図3】図3は、金属材料からなる個々のシートを金属−金属結合により接合して一部が重なりあう金属層とすることができるスプライス部を斜線で示した、本発明の一実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【図4】図4は、スプライス部の1つの断面を示した、図3の線A−Aに沿った断面図である。
【図5】図5は、縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)及び横方向に延びる第2支持要素(横梁)から形成される航空機胴体の支持構造上に配設されたファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【図6】図6は、縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)及び横方向に延びる第2支持要素(横梁)から形成される航空機胴体の支持構造上に配設されたファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【図7】図7は、パネルが航空機胴体の支持構造の縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)又は横方向に延びる第2支持要素(横梁)に固定される領域であり、先行技術によれば、ラミネート内に付加金属層により形成される補強領域を示した、図6の線B−B又はC−Cに沿った拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルを通る、図5の断面図D−Dである。
【図9】図9は、本発明のさらなる実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルを通る、図13の断面図E−Eである。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る、パネルが航空機胴体の支持構造の要素に取り付けられる領域であり、平面状の金属材料を金属−金属結合により接合して一部が重なり合う金属層とするスプライス部を1つ含む金属層により形成される補強領域の拡大断面図である。
【図11】図11は、本発明のさらなる実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルの断面図である。
【図12】図12は、平面状の金属材料が、金属−金属結合によりスプライス部で接合されて一部が重なり合う金属層となる領域であり、ファイバーメタルラミネートパネルが航空機胴体の支持構造の要素に固定される補強領域の拡大断面図である。
【図13】図13は、縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)及び横方向に延びる第2支持要素(横梁)により形成される航空機胴体の支持構造上に配設されたファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示したファイバーメタルラミネートパネルは、平面状の金属材料101及び繊維材料102からなり、互いの上に配設される複数の層で構成される。前記繊維材料102は、それ自体は公知である、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維又は類似の適当な繊維を用いた従来の紡織繊維材料、織物又はスクリムであってもよい。前記繊維材料102は樹脂と共にマトリックスを形成しており、これにより前記平面状の金属材料101からなる層が結合されている。前記平面状の金属材料101は、薄いシート状の金属や金属箔の形態をした公知の金属材料であってもよく、又、アルミニウム、チタン、又は他の適当な金属合金の形態をした金属材料であってもよい。
【0019】
前記金属層101を形成する平面状の金属材料は、通常、図2に示すように、ロール状のシート状物の形態で入手可能である。一般的に、金属層101に用いられるこのような原材料の大きさ(図2中の幅w)は、図3に示すように、最終パネル10のそれよりも小さい。これは、平面状の金属材料101を、金属−金属結合103によりスプライス部105で接合して一部が重なり合う金属層101としなくてはならないこと意味している。前記スプライス部105は、図3の平面図中に斜線で示されており、図4では、拡大断面図で示されている。図4では、前記金属層101は横切る線で示されており、前記繊維材料102からなる層は破線で示されている。前記繊維材料からなる層102は、従来から、幅が十分に大きいシート状物として入手可能であるので、又は容易にバットジョイントできるので、連続していると見なす。前記平面状の金属材料を、図3及び4に示すように、金属−金属結合により接合して一部が重なり合う金属層としている重なり合う金属−金属結合103を有するより大きいラミネートパネル10を製造することは、従来から「スプライシング」と呼ばれている。
【0020】
このようなファイバーメタルラミネートパネルが航空機の外部スキン、例えば、航空機胴体用の外部スキンの製造に用いられる場合、縦方向に延びる(縦方向の)第1支持要素11、例えばストリンガ、及びこれを横切って延びる(横方向の)第2支持要素12、例えば横梁からなる支持構造の機構に被せられる。図5に示すように、前記スプライス部又はスプライス領域105は、前記縦方向と同じ方向に延びるとする。当該パネルは、接着材又は固定要素、若しくは、ほとんどの場合、これら2つの手段の組み合わせにより前記支持構造に取り付けられる。
【0021】
前記パネル10と支持構造11、12との間の負荷の移動を良くするために、支持構造11、12と接する、パネル10の一部領域が適当な方法で補強される。これは、通常、前記平面状の金属材料101からなる付加層により、また、任意でこれに前記繊維材料102からなる付加層を加えて達成され、これにより当該補強領域でパネル10の厚さが増す。
【0022】
図6に、このような補強領域106、107を示しており、これらは前記支持構造の縦方向の要素11及び横方向の要素12に沿って延びている。補強のために取り付けられる層は、内層となるように、つまり、ラミネートの内側に設けることも、又、ラミネートの表面に接着剤で取り付けることもできる。図7では、ラミネートの外部領域に金属層及び繊維層の両方から形成され、封止用外部金属層101により覆われた補強領域106、107を拡大断面図で示している。
【0023】
実施形態の説明に戻り、次に図8から12を参照する。図8、9及び11は、それぞれファイバーメタルラミネートパネル10の断面を示しており、ここでは、パネル10が前記支持構造11、12に取り付けられる被補強領域又は補強領域106、107は、スプライス部105の金属−金属結合103を重ねることにより形成されている。これは、パネル10を補強する前記付加層101が、この方向において前記平面状の金属材料よりも大きいパネル10の製造を可能とするために前記金属シート101からなる平面状の金属材料を接合して一部が重なり合う金属層101としている金属−金属結合103により形成されていることを意味している。
【0024】
図8の実施形態では、ラミネート10は、補強領域106、107を形成し、その幅が標準的な補強領域106、107を形成するように互いに横方向にオフセットされるように配設されるスプライス部105を有する複数の金属層101を含んでいる。図9の実施形態では、金属−金属結合を重ねて形成される、スプライス部105を有する金属層101と連続する金属層101の両方が、補強領域106、107に設けられている。したがって、パネルは、スプライス部105の広がりを横切る方向に、つまり、パネルの長手方向への広がりを横切る方向に、広がり方向における前記平面状の金属材料101の延長の(ごく)一部にあたる距離だけ互いに離れて配置された複数の補強領域106、107を備える。個々の金属層101のスプライス部105は、この方向において、少なくとも補強領域106、107間の距離だけ互いからオフセットされており、実施形態中では、このような距離4つで示されている。
【0025】
図10では、拡大断面図において、前記平面状の金属材料が、スプライス部105により接合されて一部が重なり合う金属層101となる補強領域106、107を示している。ラミネートの厚みを増すことにより、このように被補強領域が形成され、ここに支持構造の要素、この場合は縦方向の要素11が配設される。
【0026】
図11及び12の実施形態において、その幅及び高さが標準的な補強領域106、107を形成するように、互いから横方向にオフセットされるように配設される複数のスプライス部105を示している。
【0027】
さらなる実施形態によると、前記パネル10のラミネートは、第1方向に延びる第1補強領域106を形成し、これを横切る第2方向において離れて配置されるスプライス部105で、前記第1方向に延びる各シートが互いに結合される第1金属層101及び、前記第2方向に延びる第2補強領域107を形成し、これを横切る前記第1方向において離れて配置されるスプライス部105で、前記第1金属層のシートを横切る前記第2方向に延びる各シートが互いに結合される第2金属層101を含んでいてもよい。
【0028】
スプライス部105により形成された金属層101に加えて、前記金属材料101及び/又は前記繊維材料102からなる追加層による補強を設けてもよく、これは、ラミネートの内部に内層の形状で設けてもその表面に接着剤で取り付けてもよい。高さを均一にするために、前記追加層は、それぞれ異なる方向に延びて交差している補強領域106、107の間にのみ、結果的に当該補強領域106、107が、交差部分とその間の両方で標準的な高さとなるように設けられてもよい。
【0029】
好適な例として説明したファイバーメタルラミネートパネルは、軽さと同時に頑丈さ及び開発・製造費用の低さという特徴を併せ持っており、これまでよりも早く製造できる。
【符号の説明】
【0030】
10 パネル
11 第1支持要素
12 第2支持要素
101 金属層
102 繊維材料層
103 金属−金属結合
105 スプライス部、スプライス領域
106 補強領域
107 補強領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の金属材料と繊維材料とからなり、ラミネート状に配設される多数の層を有するファイバーメタルラミネートパネルであって、前記平面状の金属材料が、金属−金属結合によりスプライス部で接合されて一部が重なり合う金属層となり、また、縦方向に延びる支持要素を有する支持構造にパネルを取り付けるために用いられる被補強領域内に、少なくとも前記平面状の金属材料からなる付加層が設けられるファイバーメタルラミネートパネルに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、上述したようなファイバーメタルラミネートパネルを、軽量でありながら丈夫であり、さらに製造が容易であるように発展させることを目的とする。
【0003】
この目的は、請求項1記載の特徴を有するファイバーメタルラミネートパネルにより達成される。本発明によるファイバーメタルラミネートパネルの実施形態及び発展形態は、この従属請求項に挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により、平面状の金属材料と繊維材料とからなり、ラミネート状に配設される多数の層を有するファイバーメタルラミネートパネルであって、前記平面状の金属材料が、金属−金属結合によりスプライス部で接合されて一部が重なり合う金属層となり、また、縦方向に延びる支持要素を有する支持構造にパネルを取り付けるために用いられる被補強領域内に、少なくとも前記平面状の金属材料からなる付加層が設けられるファイバーメタルラミネートパネルを提供する。本発明によると、パネルを補強するための前記付加金属層は、前記スプライス部の金属−金属結合を重ねることにより形成されて設けられる。
【0005】
ラミネートは、それぞれがスプライス部を有する複数の金属層を含んでいてもよく、1以上のスプライス部が1つの補強領域内に設けられる。
【0006】
1つの補強領域内に設けられる複数のスプライス部は、標準的な補強領域を形成するように、互いの上に配設されていてもよい。
【0007】
1つの補強領域内に設けられる複数のスプライス部は、標準的な補強領域を形成するように、互いに横方向にオフセットされるように配設されていてもよい。
【0008】
金属−金属結合を重ねて形成される、スプライス部を有する金属層と連続する金属層の両方が補強領域に設けられる。
【0009】
前記パネルは、第1方向に沿って長手方向に延び、この第1方向を横切って延びる第2方向において、この方向における前記平面状の金属材料の延長のごく一部にあたる距離だけ互いに離れて配置される複数の補強領域を備えていてもよく、少なくとも1つの補強領域内で、個々の金属層のスプライス部が前記第2方向に互いに離れるようにオフセットされる。
【0010】
前記金属層は、前記スプライス部により形成される、長手方向に延びる補強領域の方向とその長手方向とが実質的に平行に延びるシート状物で形成されていてもよい。
【0011】
前記パネルのラミネートは、前記第1方向に延びる第1補強領域を形成し、前記第2方向において、横切るようにそこから離れて配置されるスプライス部で、前記第1方向に延びる各シートが互いに結合される第1金属層を含んでいてもよく、さらに、前記第2方向に延びる第2補強領域を形成し、前記第1方向において、横切るようにそこから離れて配置されるスプライス部で、前記第2方向に延びる各シートが互いに結合される第2金属層を含んでいてもよい。
【0012】
前記スプライス部で形成される層に加えて、前記金属材料及び/又は繊維材料からなる追加層による補強を設けてもよい。
【0013】
前記追加層は、高さを均一にするために、それぞれ異なる方向に延びて交差する補強領域の間に設けられていてもよい。
【0014】
前記パネルは、航空機胴体の外部スキンの一部であってもよく、前記補強領域は、航空機胴体の支持構造の第1方向に延びる第1支持要素及び/又はこの第2方向に延びる第2支持要素上に配設される。
【0015】
前記パネルは、航空機の翼部又は尾部のシート材の一部であってもよく、前記補強領域は、翼部又は尾部の第1方向に延びる第1支持要素及び/又はこの第2方向に延びる第2支持要素上に配設される。
【0016】
以下に、本発明によるファイバーメタルラミネートパネルの実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、パネルの一層を示した、ファイバーメタルラミネートパネルの、一部を切欠した斜視図である。
【図2】図2は、本発明によるファイバーメタルラミネートパネルの金属層の製造に用いることができるシート状に設けられた平面状の金属材料の概略斜視図である。
【図3】図3は、金属材料からなる個々のシートを金属−金属結合により接合して一部が重なりあう金属層とすることができるスプライス部を斜線で示した、本発明の一実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【図4】図4は、スプライス部の1つの断面を示した、図3の線A−Aに沿った断面図である。
【図5】図5は、縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)及び横方向に延びる第2支持要素(横梁)から形成される航空機胴体の支持構造上に配設されたファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【図6】図6は、縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)及び横方向に延びる第2支持要素(横梁)から形成される航空機胴体の支持構造上に配設されたファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【図7】図7は、パネルが航空機胴体の支持構造の縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)又は横方向に延びる第2支持要素(横梁)に固定される領域であり、先行技術によれば、ラミネート内に付加金属層により形成される補強領域を示した、図6の線B−B又はC−Cに沿った拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルを通る、図5の断面図D−Dである。
【図9】図9は、本発明のさらなる実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルを通る、図13の断面図E−Eである。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る、パネルが航空機胴体の支持構造の要素に取り付けられる領域であり、平面状の金属材料を金属−金属結合により接合して一部が重なり合う金属層とするスプライス部を1つ含む金属層により形成される補強領域の拡大断面図である。
【図11】図11は、本発明のさらなる実施形態に係るファイバーメタルラミネートパネルの断面図である。
【図12】図12は、平面状の金属材料が、金属−金属結合によりスプライス部で接合されて一部が重なり合う金属層となる領域であり、ファイバーメタルラミネートパネルが航空機胴体の支持構造の要素に固定される補強領域の拡大断面図である。
【図13】図13は、縦方向に延びる第1支持要素(ストリンガ)及び横方向に延びる第2支持要素(横梁)により形成される航空機胴体の支持構造上に配設されたファイバーメタルラミネートパネルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示したファイバーメタルラミネートパネルは、平面状の金属材料101及び繊維材料102からなり、互いの上に配設される複数の層で構成される。前記繊維材料102は、それ自体は公知である、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維又は類似の適当な繊維を用いた従来の紡織繊維材料、織物又はスクリムであってもよい。前記繊維材料102は樹脂と共にマトリックスを形成しており、これにより前記平面状の金属材料101からなる層が結合されている。前記平面状の金属材料101は、薄いシート状の金属や金属箔の形態をした公知の金属材料であってもよく、又、アルミニウム、チタン、又は他の適当な金属合金の形態をした金属材料であってもよい。
【0019】
前記金属層101を形成する平面状の金属材料は、通常、図2に示すように、ロール状のシート状物の形態で入手可能である。一般的に、金属層101に用いられるこのような原材料の大きさ(図2中の幅w)は、図3に示すように、最終パネル10のそれよりも小さい。これは、平面状の金属材料101を、金属−金属結合103によりスプライス部105で接合して一部が重なり合う金属層101としなくてはならないこと意味している。前記スプライス部105は、図3の平面図中に斜線で示されており、図4では、拡大断面図で示されている。図4では、前記金属層101は横切る線で示されており、前記繊維材料102からなる層は破線で示されている。前記繊維材料からなる層102は、従来から、幅が十分に大きいシート状物として入手可能であるので、又は容易にバットジョイントできるので、連続していると見なす。前記平面状の金属材料を、図3及び4に示すように、金属−金属結合により接合して一部が重なり合う金属層としている重なり合う金属−金属結合103を有するより大きいラミネートパネル10を製造することは、従来から「スプライシング」と呼ばれている。
【0020】
このようなファイバーメタルラミネートパネルが航空機の外部スキン、例えば、航空機胴体用の外部スキンの製造に用いられる場合、縦方向に延びる(縦方向の)第1支持要素11、例えばストリンガ、及びこれを横切って延びる(横方向の)第2支持要素12、例えば横梁からなる支持構造の機構に被せられる。図5に示すように、前記スプライス部又はスプライス領域105は、前記縦方向と同じ方向に延びるとする。当該パネルは、接着材又は固定要素、若しくは、ほとんどの場合、これら2つの手段の組み合わせにより前記支持構造に取り付けられる。
【0021】
前記パネル10と支持構造11、12との間の負荷の移動を良くするために、支持構造11、12と接する、パネル10の一部領域が適当な方法で補強される。これは、通常、前記平面状の金属材料101からなる付加層により、また、任意でこれに前記繊維材料102からなる付加層を加えて達成され、これにより当該補強領域でパネル10の厚さが増す。
【0022】
図6に、このような補強領域106、107を示しており、これらは前記支持構造の縦方向の要素11及び横方向の要素12に沿って延びている。補強のために取り付けられる層は、内層となるように、つまり、ラミネートの内側に設けることも、又、ラミネートの表面に接着剤で取り付けることもできる。図7では、ラミネートの外部領域に金属層及び繊維層の両方から形成され、封止用外部金属層101により覆われた補強領域106、107を拡大断面図で示している。
【0023】
実施形態の説明に戻り、次に図8から12を参照する。図8、9及び11は、それぞれファイバーメタルラミネートパネル10の断面を示しており、ここでは、パネル10が前記支持構造11、12に取り付けられる被補強領域又は補強領域106、107は、スプライス部105の金属−金属結合103を重ねることにより形成されている。これは、パネル10を補強する前記付加層101が、この方向において前記平面状の金属材料よりも大きいパネル10の製造を可能とするために前記金属シート101からなる平面状の金属材料を接合して一部が重なり合う金属層101としている金属−金属結合103により形成されていることを意味している。
【0024】
図8の実施形態では、ラミネート10は、補強領域106、107を形成し、その幅が標準的な補強領域106、107を形成するように互いに横方向にオフセットされるように配設されるスプライス部105を有する複数の金属層101を含んでいる。図9の実施形態では、金属−金属結合を重ねて形成される、スプライス部105を有する金属層101と連続する金属層101の両方が、補強領域106、107に設けられている。したがって、パネルは、スプライス部105の広がりを横切る方向に、つまり、パネルの長手方向への広がりを横切る方向に、広がり方向における前記平面状の金属材料101の延長の(ごく)一部にあたる距離だけ互いに離れて配置された複数の補強領域106、107を備える。個々の金属層101のスプライス部105は、この方向において、少なくとも補強領域106、107間の距離だけ互いからオフセットされており、実施形態中では、このような距離4つで示されている。
【0025】
図10では、拡大断面図において、前記平面状の金属材料が、スプライス部105により接合されて一部が重なり合う金属層101となる補強領域106、107を示している。ラミネートの厚みを増すことにより、このように被補強領域が形成され、ここに支持構造の要素、この場合は縦方向の要素11が配設される。
【0026】
図11及び12の実施形態において、その幅及び高さが標準的な補強領域106、107を形成するように、互いから横方向にオフセットされるように配設される複数のスプライス部105を示している。
【0027】
さらなる実施形態によると、前記パネル10のラミネートは、第1方向に延びる第1補強領域106を形成し、これを横切る第2方向において離れて配置されるスプライス部105で、前記第1方向に延びる各シートが互いに結合される第1金属層101及び、前記第2方向に延びる第2補強領域107を形成し、これを横切る前記第1方向において離れて配置されるスプライス部105で、前記第1金属層のシートを横切る前記第2方向に延びる各シートが互いに結合される第2金属層101を含んでいてもよい。
【0028】
スプライス部105により形成された金属層101に加えて、前記金属材料101及び/又は前記繊維材料102からなる追加層による補強を設けてもよく、これは、ラミネートの内部に内層の形状で設けてもその表面に接着剤で取り付けてもよい。高さを均一にするために、前記追加層は、それぞれ異なる方向に延びて交差している補強領域106、107の間にのみ、結果的に当該補強領域106、107が、交差部分とその間の両方で標準的な高さとなるように設けられてもよい。
【0029】
好適な例として説明したファイバーメタルラミネートパネルは、軽さと同時に頑丈さ及び開発・製造費用の低さという特徴を併せ持っており、これまでよりも早く製造できる。
【符号の説明】
【0030】
10 パネル
11 第1支持要素
12 第2支持要素
101 金属層
102 繊維材料層
103 金属−金属結合
105 スプライス部、スプライス領域
106 補強領域
107 補強領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の金属材料(101)及び繊維材料(102)からなり、ラミネート状に配設される多数の層(101、102)を有するファイバーメタルラミネートパネル(10)を備え、前記平面状の金属材料(101)が、少なくとも1つのスプライス部(103)で、金属層(101)の一部重なり合いを用いた金属−金属結合(103)により接合される航空機であって、
前記パネル(10)は、前記少なくとも1つのスプライス部(103)の領域内で、このスプライス部(103)に沿って延びる少なくとも1つの支持要素(11、12)に取り付けられることを特徴とする航空機。
【請求項2】
前記パネル(10)は、互いに横方向にオフセットされたスプライス部(103)により形成された、前記平面状の金属材料(101)からなる複数の層(101)を備え、複数の前記支持要素(11、12)が設けられ、前記パネル(10)は、前記互いに横方向にオフセットされた各スプライス部(105)の領域内で各接続要素(11、12)に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の航空機。
【請求項3】
追加層(101)の追加スプライス部(103)が、互いに横方向にオフセットされた前記スプライス部(103)のそれぞれに隣接して設けられることを特徴とする請求項2記載の航空機。
【請求項1】
平面状の金属材料(101)及び繊維材料(102)からなり、ラミネート状に配設される多数の層(101、102)を有するファイバーメタルラミネートパネル(10)を備え、前記平面状の金属材料(101)が、少なくとも1つのスプライス部(103)で、金属層(101)の一部重なり合いを用いた金属−金属結合(103)により接合される航空機であって、
前記パネル(10)は、前記少なくとも1つのスプライス部(103)の領域内で、このスプライス部(103)に沿って延びる少なくとも1つの支持要素(11、12)に取り付けられることを特徴とする航空機。
【請求項2】
前記パネル(10)は、互いに横方向にオフセットされたスプライス部(103)により形成された、前記平面状の金属材料(101)からなる複数の層(101)を備え、複数の前記支持要素(11、12)が設けられ、前記パネル(10)は、前記互いに横方向にオフセットされた各スプライス部(105)の領域内で各接続要素(11、12)に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の航空機。
【請求項3】
追加層(101)の追加スプライス部(103)が、互いに横方向にオフセットされた前記スプライス部(103)のそれぞれに隣接して設けられることを特徴とする請求項2記載の航空機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−524767(P2010−524767A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504625(P2010−504625)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054581
【国際公開番号】WO2008/132050
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(504467484)エアバス・オペレーションズ・ゲーエムベーハー (268)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054581
【国際公開番号】WO2008/132050
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(504467484)エアバス・オペレーションズ・ゲーエムベーハー (268)
【Fターム(参考)】
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