説明

ファイルシステム欠陥処理方法、装置、プログラム、及び媒体

【課題】DVD−Rといった追記可能な記録媒体のファイルシステム欠陥処理方法では、記録エラーが発生した領域は、ファイルシステムによって、データの再配置を行い、さらに管理情報の書き換えが必要になるので、この欠陥処理方法のプログラムをファイルシステムに実装しなければならない。
【解決手段】記録エラーが発生した領域102に対して、ファイルシステムが書き込みリトライを実行することで、擬似上書きを発生させて、領域102に記録しようとしたデータを別の領域103に記録するといったデータの再配置を行うことにより、ファイルシステムによるデータの再配置および管理情報領域101のデータの更新を行う必要がなくなり、ファイルシステムの実装が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BD−R(Blu−ray Disc Recordable)といった追記可能な記録媒体に対して、擬似上書きを実行することによってデータ再配置を行うファイルシステム欠陥処理方法、装置、プログラム、及び媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DVD−Rといった追記可能な記録媒体は、記録済みの領域への上書きが不可能であり、
データ記録時の欠陥処理は、後で述べる欠陥処理方法のプログラムが実装されたファイルシステムによって実行される。DVD−Rといった追記可能な記録媒体におけるファイルシステムによる欠陥処理方法について、図4を用いて説明する。図4は、DVD−Rといった追記可能な記録媒体におけるファイルシステム欠陥処理方法を説明するためのデータ配置図である。図4において、401は管理情報領域、402はデータ記録でエラーが発生した領域、403はデータ再配置時に更新された管理情報領域、404は402で記録エラーとなったデータをファイルシステムによって記録された領域である。領域402にデータを記録しようとしたとき、何らかの原因で記録エラーとなった場合、ファイルシステムが管理情報領域401のデータを更新するが、DVD−Rのような追記可能な記録媒体の場合は、管理情報領域401の中で上書きすることが不可能なため、別の領域403で書き換える(例えば、特許文献1参照)。管理情報領域403に管理情報のデータを書き換えることで、データ記録エラーが発生した領域402に記録しようとしたデータを、別の領域404に記録する。
【0003】
ところで、BD−Rといった追記可能な記録媒体は、擬似上書きという機能によって、DVD−Rでは不可能だった記録済みの領域への上書きを実現している。具体的には、BD−R記録に対応した記録再生装置に、BD−Rといった追記可能な記録媒体を装着して記録済みの領域のデータを上書きしようとした場合、記録再生装置がそのデータを別の領域に記録するようにすることによって、擬似上書きを実現し、データの上書きが可能になる(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−44318号公報
【非特許文献1】OSTA(Optical Storage Technology Association)“Universal Disc Format Specification Revision2.60”、 2005年1月26日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、データ記録時の欠陥処理方法として、何らかの原因で記録できなかった領域は、ファイルシステムによるデータの再配置を行い、さらに管理情報の書き換えが必要になるため、ファイルシステムがデータの再配置用および管理情報の更新用の領域を確保しなければならないので、この欠陥処理方法を実行するプログラムをファイルシステムに実装しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、何らかの原因で記録できなかった領域に対して、ファイルシステムが書き込みリトライを実行することで、擬似上書きを発生させて、記録できなかったデータを再度記録することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のファイルシステム欠陥処理方法は、擬似上書きによるデータの再配置を行うことにより、前記DVD−Rのファイルシステム欠陥処理方法で行っていたファイルシステムによるデータの再配置と管理情報の書き換えが不要になるため、ファイルシステムの実装が容易になる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
(実施の形態)
図1は、本発明のファイルシステム欠陥処理方法の実施の形態における追記可能な記録媒体のデータの配置図である。図1において、101は管理情報領域、102はデータ記録でエラーとなった領域、103は領域102に記録しようとしたデータを擬似上書きによって再配置された領域である。図2は、本発明のファイルシステム欠陥処理方法の実施の形態におけるファイルシステム欠陥処理方法の動作を説明するためのフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態におけるファイルシステム欠陥処理装置の構成図である。
【0009】
以下に、図1から図3を用いて本発明の動作を説明する。図3において、ファイルシステム固有処理部300が追記型記録媒体303にデータ記録を実行すると、書き込み処理部301は領域102にデータを記録するステップS201と、記録再生装置からデータ記録の結果が返されることによって領域102にデータ記録が正常に実行されたかを判定するステップS202を実行する。
【0010】
ステップS202で書き込み処理部301が記録再生装置からデータを正常に記録できなかったという結果を受信して、データ記録エラーと判定された場合、書き込みリトライ処理部302によって、データ記録エラーが発生した領域102に再度データを記録するといった書き込みリトライを実行するステップS203と、擬似上書きを発生させて領域102に記録しようとしたデータを領域103に記録するステップS204が実行される。
【0011】
ステップS204では、ファイルシステムによって記録エラーが発生した領域102に再度記録しようとするといった書き込みリトライを実行すると、記録再生装置は記録エラーが発生した領域102に記録しようとしたデータが、上書きデータとして別の領域103に記録されるようにした擬似上書きを実行する。
【0012】
欠陥処理を擬似上書きで実行することによって、データの再配置は記録再生装置によって行われるため、DVD−Rでは必要だったファイルシステムによる管理情報領域101のデータ書き換えの必要がなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明にかかるファイルシステム欠陥処理方法は、何らかの原因で記録できなかった領域に対して、ファイルシステムが書き込みリトライを実行することで、擬似上書きを発生させてデータを再配置するため、ファイルシステムによるデータの再配置および管理情報の書き換えが不要になることで、ファイルシステムの実装が容易になるので、追記可能な記録媒体のファイルシステム欠陥処理として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に於ける欠陥処理時のデータの配置図
【図2】本発明の実施の形態に於けるファイルシステム欠陥処理方法のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態に於けるファイルシステム欠陥処理装置の構成図
【図4】DVD−Rのファイルシステム欠陥処理におけるデータの配置図
【符号の説明】
【0015】
101 ファイルなどの管理情報領域
102 データ記録エラーが発生した領域
103 擬似上書きによってデータ記録が行われた領域
300 ファイルシステム固有処理部
301 書き込み処理部
302 書き込みリトライ処理部
303 追記型記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
追記可能な記録媒体にデータを記録したとき、記録エラー発生の有無を検出する検出ステップと、前記検出ステップで記録エラー発生が検出された場合に、記録エラーが発生した領域に対して書き込みリトライを実行する第1ステップと、前記第1ステップの書き込みリトライによって記録エラーが発生した領域に記録しようとしていたデータを別の領域に記録させるという擬似上書きを発生させてデータ再配置を行う第2ステップとを有することを特徴とするファイルシステム欠陥処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法を実行するファイルシステム欠陥処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の方法を実行するプログラム
【請求項4】
請求項1に記載のプログラムを記録した媒体。
【請求項5】
請求項1に記載のファイルシステム欠陥処理方法によって記録されることを特徴とする追記可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−242178(P2007−242178A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65369(P2006−65369)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】