説明

ファイル管理装置及びファイル管理方法

【課題】新たに領域を確保して削除するファイルの情報を管理する必要がなく、削除したファイルを復旧する際には、復旧すべきファイルを特定することができるファイル管理装置及びファイル管理方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一つのファイルデータと、ファイルデータを管理するファイル管理情報を含むファイル管理情報テーブルと、が記録された記録媒体へのアクセスを制御する記録媒体制御部と、記録媒体制御部を用いて、記録媒体上の削除対象のファイルのファイルデータに、削除順を表す情報を記録するとともに、ファイル管理情報テーブルから削除対象ファイルのファイルデータに関するファイル管理情報を削除する削除制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体に記録されたファイルデータを削除し、削除したファイルデータを復旧するファイル管理装置及びファイル管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体上に記録されたファイルデータを、操作者が誤消去した場合、削除したファイルデータを復旧することが望まれる。
【0003】
削除されたファイルデータを復旧する技術として、例えば特許文献1に開示の技術がある。特許文献1では、削除ファイル管理モジュールは、アプリケーションから削除が要求されたファイルを、名前空間から削除して、削除日時とともにキューテーブルに登録するが、そのファイルのデータが格納されたディスクブロックを保護されたままにする。削除ファイル管理モジュールは、保存期間が所定の上限値を超過したファイルがあれば、所定のイベントが発生するたびに、そのファイルのデータが格納されているディスクブロックを解放し、そのファイルのキューテーブルへの登録を抹消する。また、そのファイルの当時のファイルパスが指定されてそのファイルの復元が要求されると、削除ファイル管理モジュールは、そのファイルがキューテーブルに登録されていれば、そのファイルのディレクトリエントリを生成する。
【0004】
上記の構成によって、削除後に所定の時間が経過していないファイルを復旧することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−110477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、ファイルを管理するキューテーブルを別に確保し、ファイルを削除するたびに、キューテーブルに削除ファイルに関する情報を登録する必要がある。したがって、削除するファイルの数が多くなると、管理すべきキューテーブルの容量が大きくなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のファイル管理装置は、少なくとも一つのファイルデータと、前記ファイルデータを管理するファイル管理情報を含むファイル管理情報テーブルと、が記録された記録媒体へのアクセスを制御する記録媒体制御部と、前記記録媒体制御部を用いて、前記記録媒体上の削除対象のファイルのファイルデータに、削除順を表す情報を記録するとともに、前記ファイル管理情報テーブルから前記削除対象ファイルのファイルデータに関するファイル管理情報を削除する削除制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によって、本発明のファイル管理装置は、新たに領域を確保して削除するファイルの情報を管理する必要がなく、削除したファイルを復旧する際には、復旧すべきファイルを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1におけるファイル管理装置の構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1におけるファイル管理装置のファイル削除処理を示すフローチャート
【図3】実施の形態1におけるファイル管理装置によって削除日時情報が書き込まれた削除ファイルのデータ構造図
【図4】実施の形態1におけるXMLファイルの具体例を示す図
【図5】実施の形態1におけるファイル管理装置のファイル復旧処理を示すフローチャート
【図6】実施の形態1における削除日時情報と復旧ファイルの関連を示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態について説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるファイル管理装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、ファイル管理装置を実現するためのプログラムを実行することにより、コンピュータをファイル管理装置として機能させる構成について説明する。
【0012】
図1において、データ記録メディア101は、ファイル管理の対象となる記録媒体であり、映像信号等のデータがファイル化して記録される。データ記録メディア101としては、ハードディスク、光ディスクおよび半導体メモリ等が一般的である。データ記録メディア101は、ファイル管理装置に対して内蔵されていてもよいし、着脱可能に構成されていてもよい。
【0013】
インターフェース102は、データ記録メディア101とI/Oバス103との間の信号伝達を行う。CPU104は、ファイル管理装置における演算および制御処理を行う。メモリ105は、データ記録メディア101が保持しているファイルデータの復旧処理等において、一時的なデータ記憶および復旧処理において取得したファイル情報を記憶するために使用する。CPU104は、プログラムをハードディスク等の不揮発性記録メディア106からメモリ105に読み込んで実行するが、メモリ105のうち不揮発性メモリで構成された領域にプログラムを記憶しておいてもよい。
【0014】
操作者は、入力部107を使用してファイル削除及びファイル復旧処理の開始や中止命令をファイル管理装置に指示するのに加え、ファイル削除及びファイル復旧処理に用いる設定値を入力する。表示部108は、CPU104が行う復旧処理の進捗状況、削除処理、復旧処理の結果等を表示する。以上の構成は一般的なコンピュータの主要構成である。
【0015】
図2は、ファイル管理装置におけるファイル削除処理のフローチャートを示す。処理ステップS201において、操作者がデータ記録メディア101に記録されたファイルから削除対象となるファイルを、入力部107を用いて指定する。処理ステップS202において、操作者がファイル削除実行命令を、入力部107を用いてファイル管理装置に送信する。処理ステップS203において、ファイル管理装置は、操作者に指定された削除ファイルに削除日時を書き込む。削除指定されたファイルが同時に複数存在する場合、書き込まれる削除日時は全て同じ日時となる。処理ステップS204において、ファイル管理装置は指定したファイルのファイル管理情報を削除する。これによりファイルはファイルシステム上から認識不可能となる。
【0016】
図3は、ファイル管理装置によって削除日時情報が書き込まれた削除ファイルのデータ構造を示す。ファイルが任意のメタデータを書込み可能な領域を保持する場合、削除日時情報304を削除対象ファイル303内部のメタデータ書込み可能な任意の場所に書き込む。このように、削除対象ファイル303をメタデータの書込み可能な特定領域に記録することにより、削除対象ファイル303のファイルそのものの中身を変更することなく、削除日時情報304を記録することができる。これにより、削除対象ファイル303を削除した後に復旧する際に、削除対象ファイル303の中身が変更されていないため、容易に復旧することができる。
【0017】
一方、ファイルが任意のメタデータを書込み可能な領域を保持していない場合、ファイル管理装置は、削除対象ファイル301のファイル終端に削除日時情報302を追記する。これにより削除対象ファイル301は変更を加えられることなく、削除日時情報302を保持することが出来る。但し、ファイル復旧時に削除日時情報302を切り捨てる必要がある。これにより、削除対象ファイル301を削除した後に復旧する際に、削除対象ファイル301の中身が変更されていないため、容易に復旧することができる。
【0018】
任意のメタデータが書込み可能なファイルの具体例としてXML(Extensible Markup Language)ファイルがある。XMLファイルは、タグが操作者独自に指定可能なマークアップ言語XMLにより記述されたファイルであり、様々なメタデータを階層構造に分けて保持することが可能である。XMLファイルの具体例を図4に示す。図4において、削除日時情報の記述例として、<Main>の<ClipContent>の<ClipMetaData>の<Delete>の階層下に、<DeleteDate>2009―11−05T06:58:28+00:00</DeleteDate>(グリニッジ標準時における2009年11月5日6時58分28秒)のようにタグに挟んで構造化テキストとして記録する。このように、階層構造に従いタグを追記することで削除日時情報を記録することができる。
【0019】
図5は、ファイル管理装置におけるファイル復旧処理のフローチャートを示す。処理ステップS501において、ファイル管理装置は操作者から入力部107を通してデータ記録メディア101のデータ領域の読み取りを開始する。処理ステップS502において、ファイル管理装置はデータ記録メディア101のデータ領域からファイルの検出を行う。ファイルの検出方法としては、ファイルヘッダやファイルフッタを用いてファイルの記録領域を特定する方法が知られている。ここで、データ記録メディア101のデータ領域からファイルが一つも検出されない場合、ファイル管理装置は、処理ステップS503によって復旧処理を終了する。
【0020】
ファイル管理装置がデータ領域から1つ以上ファイルを検出した場合、処理ステップS504において、ファイル管理装置は、ファイル情報をメモリ105または不揮発性記録メディア106に記録する。ここで、ファイル情報とは、ファイル復旧時に必要となる情報のことで、ファイルデータの位置情報や、削除日時情報のことを示す。
【0021】
処理ステップS505において、ファイル管理装置は、検出されたファイルから削除日時情報を読み取る。処理ステップS506において、ファイル管理装置が削除日時情報を読み取れなかったファイルは、処理ステップS507において、ファイル情報が削除される。これにより削除日時情報を保持したファイル情報だけがファイル管理システムに保持される。
【0022】
処理ステップS508において、復旧可能なファイル情報が1つも存在しない場合、ファイル管理装置は復旧処理を終了する。復旧可能なファイル情報が1つ以上存在する場合、処理ステップS509において、ファイル管理装置は保持されているファイル情報の削除日時を比較し、最新削除日時を保持しているファイルを特定し、最新削除日時以外のファイル情報を削除する。
【0023】
処理ステップS510において、ファイル管理装置は最新削除日時のファイルの復旧処理を行う。処理ステップS511において、ファイル管理装置は、ファイル削除時に書き込まれた削除日時情報を切り捨てる。処理ステップS512において、復旧されたファイルがデータ記録メディア101に出力される。但し、出力先メディアはデータ記録メディア101と同一である必要はない。
【0024】
図6は、ファイル管理装置を用いてファイルの復旧を行う場合に、削除日時情報と復旧されるファイルとの関連を示した図である。削除ファイル601〜604は既にファイル管理情報が削除されたファイルのファイルデータであり、ファイルシステム上からは認識されない。未削除ファイル605〜607は、削除されていないファイルのファイルデータであり、記録メディア608のシステム領域にファイル管理情報が保持されており、ファイルシステム上から認識可能である。これらのファイルデータが記録されている記録メディア608に対し、ファイル管理装置の復旧処理を実行すると、処理ステップS502〜S504において、ファイル管理装置は削除ファイル601〜604、未削除ファイル605〜607を検出し、各ファイル情報を保持する。処理ステップS505〜S508において、ファイル管理装置が保持するファイル情報は削除ファイル601〜604となり、処理ステップS509〜S512において、ファイル管理装置は最新削除日時を保持する削除ファイル601、604のみ復旧ファイルとして出力する。
【0025】
以上のように、記録メディア608上の削除ファイル601〜604に、削除順を表す情報である削除日時を記録するとともに、システム領域に、削除ファイル601〜604に関するファイル管理情報を保持しないことにより、削除したファイル601〜604に対して、復旧を行うために、新たに領域を確保して削除するファイルの情報を管理する必要はない。
【0026】
また、削除ファイル601〜604の削除日時を基に、最新削除日時を有するファイル601、604を、復旧すべきファイルとして特定することにより、削除されたファイルが複数あって本来復旧すべきではない、過去に遡って削除されたファイルが復旧される状況を回避することができ、削除されたファイルの中から、復旧すべきファイルを適切に選択することができる。
【0027】
なお、本実施の形態では、削除順を表す情報として削除日時を用いたが、これに限定されず、ファイルを削除する毎にカウントするカウンタを設け、そのカウンタを削除順を表す情報として用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本実施の形態にかかるファイル管理装置及びファイル管理方法は、記録メディアのファイル管理情報消失時に、データ領域に記録されたファイルデータからファイルを復旧する際、データ領域に記録された過去の利用者のファイルデータの復旧防止が可能となる。特に、業務用ビデオカメラレコーダ等の不特定多数で使用する記録メディアからファイルを復旧する際に有用である。
【符号の説明】
【0029】
101 データ記録メディア
102 インターフェース
103 I/Oバス
104 CPU
105 メモリ
106 不揮発性記録メディア
107 入力部
108 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのファイルデータと、前記ファイルデータを管理するファイル管理情報を含むファイル管理情報テーブルと、が記録された記録媒体へのアクセスを制御する記録媒体制御部と、
前記記録媒体制御部を用いて、前記記録媒体上の削除対象のファイルのファイルデータに、削除順を表す情報を記録するとともに、前記ファイル管理情報テーブルから前記削除対象ファイルのファイルデータに関するファイル管理情報を削除する削除制御部と、
を備えるファイル管理装置。
【請求項2】
前記削除制御部は、
前記ファイルデータ中の特定領域に、前記削除順を表す情報を記録する
請求項1に記載のファイル管理装置。
【請求項3】
前記削除制御部は、
前記ファイルデータの終端部に、前記削除順を表す情報を追加して記録する
請求項1に記載のファイル管理装置。
【請求項4】
前記削除制御部は、
前記削除順を表す情報として、削除時の日時情報を用いる
請求項1から3の何れかに記載のファイル管理装置。
【請求項5】
削除順を表す情報を含む少なくとも一つのファイルデータと、前記ファイルデータを管理するファイル管理情報を含まないファイル管理情報テーブルと、が記録された記録媒体へのアクセスを制御する記録媒体制御部と、
前記記録媒体制御部を用いて、前記ファイルデータの前記削除順を表す情報を取得し、取得した前記削除順を表す情報を基に、復旧すべきファイルを特定する復旧特定部と、
前記復旧特定部で特定したファイルのファイルデータに関するファイル管理情報を、前記ファイル管理情報テーブルに追加する復旧制御部と、
を備えるファイル管理装置。
【請求項6】
前記復旧特定部は、
前記削除順を表す情報が最新であるファイルデータを復旧すべきファイルとして特定する
請求項5に記載のファイル管理装置。
【請求項7】
少なくとも一つのファイルデータと、前記ファイルデータを管理するファイル管理情報を含むファイル管理情報テーブルとが記録された記録媒体から、ファイルを削除するファイル管理方法であって、
削除対象となるファイルのファイルデータに、削除順を表す情報を記録する削除情報記録工程と、
前記ファイル管理情報テーブルから削除対象のファイルのファイルデータに関するファイル管理情報を削除するデータ削除工程と、
を含むファイル管理方法。
【請求項8】
前記削除情報記録工程は、
前記ファイルデータ中の特定領域に、前記削除順を表す情報を記録する
請求項6に記載のファイル管理方法。
【請求項9】
前記削除情報記録工程は、
前記ファイルデータの終端部に、前記削除順を表す情報を追加して記録する
請求項6に記載のファイル管理方法。
【請求項10】
前記削除情報記録工程は、
前記削除順を表す情報として、削除時の日時情報を用いる
請求項7から9の何れかに記載のファイル管理方法。
【請求項11】
削除順を表す情報を含む少なくとも一つのファイルデータと、前記ファイルデータを管理するファイル管理情報を含まないファイル管理情報テーブルと、が記録された記録媒体から、ファイルを復旧するファイル管理方法であって、
前記ファイルデータの前記削除順を表す情報を取得する削除情報取得工程と、
取得した前記削除順を表す情報を基に、復旧すべきファイルを特定する復旧特定工程と、
前記復旧特定工程で特定したファイルのファイルデータに関するファイル管理情報を、前記ファイル管理情報テーブルに追加する復旧制御工程と、
を含むファイル管理方法。
【請求項12】
前記復旧特定工程は、
前記削除順を表す情報が最新であるファイルデータを復旧すべきファイルとして特定する
請求項11に記載のファイル管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−129003(P2011−129003A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288581(P2009−288581)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】