説明

ファクシミリ装置、通信接続確立方法、及びプログラム

【課題】発呼端末と着呼端末との間の通信接続の確立にかかる時間を削減したファクシミリ装置、通信接続確立方法、プログラムを提供すること
【解決手段】信号送信部20、及び信号受信部30は、対向機との信号送受信を制御する。信号解析部80は、対向機からの所定の応答信号(ANSam信号)が検出されず、デジタル識別信号(DIS信号)を受信した場合に、デジタル識別信号(DIS信号)と共に送信される非標準機能識別信号(NSF信号)から対向機の製造元識別子(メーカコード)を抽出する。信号解析部80は、抽出した製造元識別子(メーカコード)と、自機の製造元識別子(メーカコード)を比較する。CI制御部71(再送要求信号制御部)は、信号解析部80の解析結果に応じて、応答信号(ANSam信号)の再送を要求する再送要求信号(CI信号)の送出時間を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファクシミリ装置、通信接続確立方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くのファクシミリ装置がITU−T(国際電気通信連合−電気通信標準化部門)勧告におけるV.8手順をサポートしている。V.8手順をサポートするファクシミリ装置では、図6に示すようなV.8発呼端末の呼設定フローに従って発呼処理を行う。
【0003】
まず、発呼端末は、CNG信号(Calling:ファクシミリ装置、通信制御方法送信の通知信号)を送出し(S101)、着呼端末からのANSam信号(変形応答トーン信号)の検出を待つ(S102)。ANSam信号の受信が検出した場合(S102:Yes)、発呼端末は、CM信号(起呼メニュー信号)を送出する(S103)。着呼端末は、CM信号を検出したらJM信号(共通メニュー信号)を送出する。発呼端末は、JM信号を検出したらCJ信号(CM終端信号)を送出する。
【0004】
発呼端末が着呼端末からのANSam信号を検出できず(S102:No)、NSF信号、DIS信号(デジタル識別信号)を受信した場合(S105:Yes)、発呼端末は、CI信号(起呼表示信号)またはDCS信号(デジタル命令信号)を送出する。より詳細に説明すると、着呼端末から受信した信号がV.21のDIS信号であり、かつDIS信号の情報がV.8能力ありとなっている場合、発呼端末は、着呼端末へのANSam信号(応答信号)の再送要求信号として、CI信号を送出する。
【0005】
着呼端末からのANSam信号が検出されず(S102:No)、かつDIS信号も検出されない場合(S105:No)、着呼端末がファクシミリ装置、通信制御方法装置でないことがあり得る。この場合、発呼端末は、ITU−T勧告に定められている所定時間だけ待機した後(S104:Yes)に回線を切断する。
【0006】
図7に、発呼端末がANSam信号を受信できた場合の信号送受信の概念を示す。図示するように、発呼端末は、ANSam信号を検出し、検出後にCM信号を送出する。発呼端末は、送出したCM信号に応じて着呼端末から送出されるJM信号を受信する。JM信号を受信した場合、発呼端末は、CJ信号を送出する。
【0007】
なお、特許文献1には、発呼端末がダイヤル後にANSam信号を未検出だった場合、発呼端末がDIS信号の受信後に送出するCI信号の送出間隔を調整するファクシミリ装置が開示されている。特許文献1に記載のファクシミリ装置は、CI信号の送出間隔を調整するものであり、送出時間(1回の送信時間)を調整するものではない。さらに、特許文献1に記載のファクシミリ装置では、CI信号の送出間隔を徐々に大きくするため、通信状況を速やかに改善することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−302851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、発呼端末が着呼端末からのANSam信号を検出できず、DIS信号(デジタル識別信号)を受信した場合、発呼端末はCI信号を送出する。ここで、発呼端末が送出するCI信号の送出時間は、一般にITU−T勧告により定められた時間となる。
【0010】
しかし、発呼端末が送出するCI信号の送出時間が勧告に規定する所定値に定められているため、ノイズ等の影響によりCI信号の送出時間が十分ではなく、着呼端末がCI信号を確実に検出できない場合がある。着呼端末がCI信号を検出できない場合、発呼端末はCI信号を再送する。
【0011】
すなわち、着呼端末が確実に再送要求信号(上記の例ではCI信号)を受信できず、発呼端末と着呼端末との間の通信接続の確立に時間がかかるという問題が生じていた。
【0012】
本発明は、上述の問題を鑑みてなされたものであり、発呼端末と着呼端末との間の通信接続の確立にかかる時間を削減したファクシミリ装置、通信接続確立方法、プログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかるファクシミリ装置の一態様は、
対向機との間で各種信号を送受信する送受信部と、
前記対向機からの所定の応答信号が検出されず、デジタル識別信号を受信した場合に、前記デジタル識別信号と共に送信される非標準機能識別信号から前記対向機の製造元識別子を抽出し、自機の製造元識別子と対応するか否かを解析する信号解析部と、
前記信号解析部の解析結果に応じて、前記応答信号の再送を要求する再送要求信号の送出時間を設定する再送要求信号制御部と、を備える、ものである。
【0014】
本発明にかかる通信接続確立方法の一態様は、
対向機との間で各種信号を送受信し、
前記対向機からの所定の応答信号が検出されず、デジタル識別信号を受信した場合に、前記デジタル識別信号と共に送信される非標準機能識別信号から前記対向機の製造元識別子を抽出し、自機の製造元識別子と対応するか否かにかかる解析を実行し、
当該解析の結果に応じて、前記応答信号の再送を要求する再送要求信号の送出時間を設定する、ものである。
【0015】
本発明にかかるプログラムの一態様は、
上述の通信接続確立方法をコンピュータに行わせるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発呼端末と着呼端末との間の通信接続の確立にかかる時間を削減したファクシミリ装置、通信接続確立方法、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1にかかるファクシミリ装置100の構成(主にハードウェアの構成)を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる通信制御部10の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる通信制御部10の動作(CI送出時間の制御動作)を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかるファクシミリ装置100による信号送受信の様子を示す概念図である。
【図5】実施の形態1にかかる通信制御部10の構成を示すブロック図である。
【図6】V.8発呼端末の呼設定フローを示すフローチャートである。
【図7】一般的なファクシミリ装置によるANSam信号が受信できた場合の信号送受信の概念を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100の構成(主にハードウェアの構成)を示すブロック図である。ファクシミリ装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)120、RAM(Random Access Memory)130、操作表示部140、画情報読取部150、画情報出力部160、NCU(Network Control Unit)170、モデム180、画情報蓄積部190、及び符号/復号化部200を備える。
【0019】
CPU110は、ファクシミリ装置100内の各種処理を実行する中央処理装置である。ROM120は、ファクシミリ装置100の各種動作に必要なデータ、プログラム等を記憶する記憶装置である。RAM130は、ファクシミリ装置100の管理に用いる各種のデータ等を記憶する記憶装置である。
【0020】
操作表示部140は、ファクシミリ装置100上に設けられたLCD(Liquid Crystal Display)パネル等により表示画面を提供する操作部である。操作表示部140は、ユーザから入力に応じて各種動作の進捗状況を表示するとともに、ユーザに入力操作画面を提示する。
【0021】
画情報読み取り部150は、ファクシミリ装置100にセットされたファクシミリ原稿を読み取り、白黒2値のイメージデータであるファクシミリデータを生成する処理部である。画情報読み取り部150は、生成したファクシミリデータを画情報蓄積部190に出力する。
【0022】
画情報出力部160は、対向機から送信されたファクシミリデータ等の画像データを記録紙に印刷し、印刷紙を外部に出力する処理部である。NCU170は、ファクシミリ装置100を公衆通信網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)に接続するための処理を行う機器であり、例えば通信相手を読み出すためのダイヤル信号を送出する。
【0023】
モデム180は、PSTNを介して対向機とのデータ送受信を行う場合に、送受信するファクシミリデータを変調、復調する。なお、モデム180と、NCU170と、は一体化されていても良い。
【0024】
画情報蓄積部190は、対向機との間で送受信されるファクシミリデータを格納する記憶部である。符号/復号化部200は、対向機に送信するファクシミリデータを符号化する。さらに、符号/復号化部200は、対向機から受信したファクシミリデータを復号化する。
【0025】
続いて、ファクシミリ装置100内にて動作し、各ハードウェアを制御する通信制御部10の構成について図2を参照して説明する。図2は、通信制御部10の構成を示すブロック図である。通信制御部10は、信号送信部20と、信号受信部30と、モデム制御部40と、NCU制御部50と、タイマ制御部60と、信号作成部70と、信号解析部80と、回線状況検出部90と、を備える。
【0026】
信号送信部20は、後述する信号作成部70が生成した各種信号(CI信号等)を対向機に対して送信する処理を制御する。信号受信部30は、対向機が送信した各種信号(CI信号、DIS信号等)を受信し、受信した信号を後述する信号解析部80に供給する。
【0027】
モデム制御部40は、前述したモデム180の各種動作を制御する処理部である。NCU制御部50は、前述したNCU170の各種動作を制御する処理部である。タイマ制御部60は、時間情報を管理するタイマを制御する処理部であり、他の処理部に対して時間情報を提供する。
【0028】
信号作成部70は、信号送信部20を介して対向機に送信する各種信号(CI信号、CJ信号等)を生成する処理部である。信号作成部70は、内部にCI制御部71を備える。CI制御部71は、後述するコード解析部82の解析結果、及び回線状況解析部90の解析結果に応じて、CI信号の送出時間を設定する処理部である。
【0029】
詳細には、CI制御部71は、後述のコード解析部82により対向機から送信されたNSF信号内に自身と同じメーカーコードが含まれているか否かに応じて、CI信号の送出時間を設定する。CI制御部71は、対向機のメーカーコードが自身のメーカーコードと異なる場合、CI信号の送出時間としてITU−T勧告により定められた送出時間を設定する。
【0030】
一方、対向機のメーカーコードが自身のメーカーコードと同じ場合、CI制御部71は、CI信号の送出時間としてITU−T勧告により定められた送出時間よりも長い時間を設定する。ここで、CI制御部71は、設定する時間を固定的に定めても良く、回線状況検出部90が検出した回線混雑状況に応じて変更しても良い。例えば、ITU−T勧告により定められたCI信号の送出時間が1秒であるとする。この場合、CI制御部71は、対向機のメーカーコードが自身のメーカーコードと同じ場合、CI信号の送出時間を3秒に固定しても良い。また、CI制御部71は、回線が混雑している場合にCI信号の送出時間を例えば5秒に設定し、回線が混雑していない場合に送出時間を例えば2秒に設定しても良い。すなわち、メーカーコードが一致する場合に、回線混雑状況が悪化するにつれて、CI制御部71は、CI信号の送出時間を長くする。
【0031】
信号解析部80は、受信した各種信号を解析する処理部であり、対向機解析部81及びコード解析部82を備える。対向機解析部81は、対向機から受信したDIS信号を解析し、対向機がV.8に対応する能力があるか否かを判定する。対向機解析部81は、対向機がV.8に対応している場合、信号作成部70に対してCI信号の作成を指示する。
【0032】
コード解析部82は、対向機がDIS信号を送信する場合に、合わせてNSF信号(Non Standard Facilities:非標準機能識別信号)を送信しているか否かを判定する。コード解析部82は、NSF信号を受信した場合に、当該信号内に含まれるメーカーコードを抽出する。メーカーコードとは、製造元を識別する情報であり、例えば各製造元に固有の数字情報である。コード解析部82は、抽出したメーカーコードと、自身のファクシミリ装置100に割り当てられたメーカーコードと、が一致するか否かを判定する。すなわち、コード解析部82は、自機と、対向機と、が同一製造元であるか否かを判定する。コード解析部82は、解析結果をCI制御部71に供給する。
【0033】
回線状況検出部90は、公衆通信網の混雑状況を解析する処理部である。例えば、回線状況検出部90は、信号送信部20を介してエコー信号を送信する。そして、回線検出部90は、エコー信号を受信するまでの時間を計測し、この時間を回線の混雑状態として検出する。回線状況検出部90は、この検出した回線状況をCI制御部71に通知する。
【0034】
例えば、エコー信号の受信までに3秒かかっていた場合、CI制御部71は、信号送受信に3秒以上かかると判断し、設定するCI信号の送出時間を5秒に設定する。
【0035】
続いて、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100内の通信制御部10の動作(CI送出時間の制御動作)を図3を参照して説明する。図3は、通信制御部10の動作の流れを示したフローチャートである。
【0036】
ANSam信号を検出できず、DIS信号を受信した場合、対向機解析部81は、対向機から受信したDIS信号を解析し、対向機がV.8に対応する能力があるか否かを判定する(S11)。対向機がV.8に対応していない場合(S11:No)、処理が終了される。
【0037】
対向機がV.8に対応している場合(S11:Yes)、コード解析部82は、DIS信号と共にNSF信号を受信したか否かを判定する(S12)。NSF信号を受信していない場合(S12:No)、コード解析部82は、その旨をCI制御部71に通知する。通知を受けたCI制御部71は、ITU−T勧告に定められた送出時間を設定したCI信号を生成する(S15)。
【0038】
一方、NSF信号を受信した場合(S12:Yes)、コード解析部82は、NSF信号に含まれるメーカーコードと、自機のメーカーコードを比較する(S13)。両メーカーコードが一致する場合、すなわち対向機と自機の製造元が同じ場合(S13:Yes)、コード解析部82は、対向機と同一製造元であることをCI制御部71に通知する。通知を受けたCI制御部71は、ITU−T勧告に定められた時間よりも長い送出時間を設定したCI信号を生成する(S14)。
【0039】
一方、対向機と自機の製造元が異なる場合(S13:No)、コード解析部82は、その旨をCI制御部71に通知する。通知を受けたCI制御部71は、ITU−T勧告に定められた送出時間を設定したCI信号を生成する(S15)。以上のように、通信制御部10は、CI信号を生成する。
【0040】
次に、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100による信号の送受信の様子を図4を参照して説明する。図4は、CI信号を含む各信号の送受信のフローを示す概念図である。図4は、着呼端末が送信したANSam信号を、発呼端末が受信できなかった場合の様子を示している。図4に示す発呼端末は、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100である。
【0041】
発呼端末は、着呼側から送信されたANSam信号を検出できず、DIS信号及びNSF信号を検出する。発呼端末は、NSF信号に含まれるメーカーコードを抽出し、対向機である着呼端末が自機と同一製造元であるか否かを判定する。着呼端末が自機と同一製造元である場合、発呼端末は、CI信号の送出時間をITU−T勧告が定める時間よりも長く設定する。
【0042】
なお、その後の処理(ANSam信号の再送信、CM信号の送信等)は、前述(図6)のとおりである。
【0043】
続いて、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100の効果について説明する。上述したように、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100(発呼端末)は、対向機が自機と対応する識別子(上述の説明では同一のメーカーコード)を持つ場合に、再送要求信号(CI信号)の送出時間をITU−T勧告に定められた時間よりも長く設定する。これにより、着呼端末は、より確実にCI信号を受信することができる。着呼端末がCI信号を確実に受信できるため、ファクシミリ装置100発呼端末は、CI信号を再送する必要性を少なくできる。これにより、通信時間を削減でき、通信性を向上させることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100(発呼端末)は、対向機が自機と対応する識別子(上述の説明では同一のメーカーコード)を持たない場合、再送要求信号(CI信号)の送出時間をITU−T勧告に定められた時間に設定する。そのため、ファクシミリ装置100(発呼端末)は、勧告に沿った(勧告違反とならない)適切な動作を合わせて実現することができる。
【0045】
さらにまた、本実施の形態にかかるファクシミリ装置100(発呼端末)は、対向機が自機と対応する識別子(上述の説明では同一のメーカーコード)を持つ場合に、回線混雑状況に応じて、CI信号の送出時間を柔軟に設定することが可能である。これにより、回線混雑時には、CI信号の送出時間を十分に大きく設定することができ、1回のCI信号の送出により、着呼端末が確実にCI信号を受信できるようになる。
【0046】
なお、CI信号の送出が終了しないと、着呼端末は、ANSam信号の送信を開始することができない。本実施の形態にかかるファクシミリ装置100(発呼端末)は、回線があまり混雑していない場合には、対向機が自機と対応する識別子(上述の説明では同一のメーカーコード)を持つ場合であっても、CI信号の送出時間を大幅に大きくしないように制御する。これにより、CI信号を確実に受信できる環境において、ANSam信号の送信開始までの時間を短縮できる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ファクシミリ装置100は、複写機能等を備える複合機の一部として実現されても良い。
【0048】
上述の説明では、コード解析部82は、自機のメーカーコードと、対向機のメーカーコードが完全に一致するか否かを判定したが必ずしもこれに限られない。例えば、コード解析部82は、対向機が自機の製造元と関連するメーカーコード(たとえば親会社、子会社の関係となるメーカーコード)を持つ場合に、ITU−Tの勧告に反しない範囲で両者を同一の製造元とみなしても良い。
【0049】
なお、通信制御部10の各処理は、例えば任意のコンピュータ内で動作するプログラムとして実現することが可能である。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0050】
プログラムがメモリ(ROM120、RAM130)上に展開され、CPU110がプログラムに従って処理を行い、他のハードウェア構成と協働することによって、通信制御部10の各ブロックが構成されている。そして、通信制御部10による各処理は、CPU110において所定のプログラムが実行されることで実現されている。
【0051】
本発明の概略を、通信制御部10の特徴点を抽出して示したブロック図(図5)を用いて、改めて説明する。通信制御部10は、信号送信部20と、信号受信部30と、CI制御部71(再送要求信号制御部)を備える信号作成部70と、信号解析部80と、を備える。信号送信部20は、信号作成部70が生成した各種信号(CI信号等)を対向機に対して送信する処理を制御する。信号受信部30は、対向機が送信した各種信号(CI信号、DIS信号等)を受信し、受信した信号を信号解析部80に供給する。
【0052】
信号解析部80は、対向機からの所定の応答信号(ANSam信号)が検出されず、デジタル識別信号(DIS信号)を受信した場合に、デジタル識別信号(DIS信号)と共に送信される非標準機能識別信号(NSF信号)から対向機の製造元識別子(メーカコード)を抽出する。信号解析部80は、抽出した製造元識別子(メーカコード)と、自機の製造元識別子(メーカコード)を比較する。
【0053】
CI制御部71(再送要求信号制御部)は、信号解析部80による製造元識別子の解析結果に応じて、応答信号(ANSam信号)の再送を要求する再送要求信号(CI信号)の送出時間を設定する。
【0054】
当該構成であっても、対向機が自機と対応する識別子(上述の説明では同一のメーカーコード)を持つ場合に、再送要求信号(CI信号)の送出時間をITU−T勧告に定められた時間よりも長く設定できる。これにより、着呼端末は、より確実にCI信号を受信することができる。着呼端末がCI信号を確実に受信できるため、発呼端末は、CI信号を再送する必要性が少なくなり、通信時間を削減できる。
【0055】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0056】
(付記1)
対向機との間で各種信号を送受信する送受信部と、
前記対向機からの所定の応答信号が検出されず、デジタル識別信号を受信した場合に、前記デジタル識別信号と共に送信される非標準機能識別信号から前記対向機の製造元識別子を抽出し、自機の製造元識別子と対応するか否かを解析する信号解析部と、
前記信号解析部の解析結果に応じて、前記応答信号の再送を要求する再送要求信号の送出時間を設定する再送要求信号制御部と、を備える、ファクシミリ装置。
【0057】
(付記2)
前記信号解析部が自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一であることを検出した場合、前記再送要求信号制御部は、前記再送要求信号に所定勧告により定められた送出時間よりも長い送出時間を設定し、
前記信号解析部が自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一でないことを検出した場合、前記再送要求信号制御部は、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間を設定する、ことを特徴とする付記1に記載のファクシミリ装置。
【0058】
(付記3)
前記対向機との信号送受信に用いる回線の混雑状況を検出する回線状況検出部を更に備え、
前記再送要求信号制御部は、前記回線状況検出部が検出した混雑状況に基づいて、前記再送要求信号の時間を設定することを特徴とする付記1または付記2に記載のファクシミリ装置。
【0059】
(付記4)
前記再送要求信号制御部は、前記回線状況検出部が検出した混雑状況が悪化するにつれて、前記再送要求信号に設定する送出時間を長くなるように設定することを特徴とする付記3に記載のファクシミリ装置。
【0060】
(付記5)
前記信号解析部は、前記非標準機能識別信号を検出できなかった場合に、検出できなかったことを前記再送信号制御部に通知し、
前記再送要求信号制御部は、当該通知を受け付けた場合、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間を設定する、ことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【0061】
(付記6)
ITU−T勧告におけるV.8手順に規定の通信を行うことを特徴とする付記1乃至付記5のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【0062】
(付記7)
対向機との間で各種信号を送受信し、
前記対向機からの所定の応答信号が検出されず、デジタル識別信号を受信した場合に、前記デジタル識別信号と共に送信される非標準機能識別信号から前記対向機の製造元識別子を抽出し、自機の製造元識別子と対応するか否かにかかる解析を実行し、
当該解析の結果に応じて、前記応答信号の再送を要求する再送要求信号の送出時間を設定する、通信接続確立方法。
【0063】
(付記8)
自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一であることを検出した場合、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間よりも長い送出時間を設定し、
自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一でないことを検出した場合、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間を設定する、ことを特徴とする付記7に記載の通信接続確立方法。
【0064】
(付記9)
前記対向機との信号送受信に用いる回線の混雑状況を検出し、
検出した混雑状況に基づいて、前記再送要求信号の時間を設定することを特徴とする付記7または付記8に記載の通信接続確立方法。
【0065】
(付記10)
検出した前記回線の混雑状況が悪化するにつれて、前記再送要求信号に設定する送出時間を長くなるように設定することを特徴とする付記9に記載の通信接続確立方法。
【0066】
(付記11)
前記非標準機能識別信号を検出できなかった場合、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間を設定する、ことを特徴とする付記7乃至付記10のいずれかに記載の通信接続確立方法。
【0067】
(付記12)
付記7乃至付記11のいずれかに記載の通信接続確立方法をコンピュータに行わせるためのプログラム。
【符号の説明】
【0068】
10 通信制御部
20 信号送信部
30 信号受信部
40 モデム制御部
50 NCU制御部
60 タイマ制御部
70 信号作成部
71 CI制御部
80 信号解析部
81 対向機解析部
82 コード解析部
90 回線状況検出部
100 ファクシミリ装置
110 CPU
120 ROM
130 RAM
140 操作表示部
150 画情報読取部
160 画情報出力部
170 NCU
180 モデム
190 画情報蓄積部
200 符号/復号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向機との間で各種信号を送受信する送受信部と、
前記対向機からの所定の応答信号が検出されず、デジタル識別信号を受信した場合に、前記デジタル識別信号と共に送信される非標準機能識別信号から前記対向機の製造元識別子を抽出し、自機の製造元識別子と対応するか否かを解析する信号解析部と、
前記信号解析部の解析結果に応じて、前記応答信号の再送を要求する再送要求信号の送出時間を設定する再送要求信号制御部と、を備える、ファクシミリ装置。
【請求項2】
前記信号解析部が自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一であることを検出した場合、前記再送要求信号制御部は、前記再送要求信号に所定勧告により定められた送出時間よりも長い送出時間を設定し、
前記信号解析部が自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一でないことを検出した場合、前記再送要求信号制御部は、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記対向機との信号送受信に用いる回線の混雑状況を検出する回線状況検出部を更に備え、
前記再送要求信号制御部は、前記回線状況検出部が検出した混雑状況に基づいて、前記再送要求信号の時間を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記再送要求信号制御部は、前記回線状況検出部が検出する混雑状況が悪化するにつれて、前記再送要求信号に設定する送出時間を長くなるように設定することを特徴とする請求項3に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記信号解析部は、前記非標準機能識別信号を検出できなかった場合に、検出できなかったことを前記再送信号制御部に通知し、
前記再送要求信号制御部は、当該通知を受け付けた場合、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間を設定する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
ITU−T勧告におけるV.8手順に規定の通信を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
対向機との間で各種信号を送受信し、
前記対向機からの所定の応答信号が検出されず、デジタル識別信号を受信した場合に、前記デジタル識別信号と共に送信される非標準機能識別信号から前記対向機の製造元識別子を抽出し、自機の製造元識別子と対応するか否かにかかる解析を実行し、
当該解析の結果に応じて、前記応答信号の再送を要求する再送要求信号の送出時間を設定する、通信接続確立方法。
【請求項8】
自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一であることを検出した場合、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間よりも長い送出時間を設定し、
自機の製造元識別子と前記対向機の製造元識別子が同一でないことを検出した場合、前記再送要求信号に対し、所定勧告により定められた送出時間を設定する、ことを特徴とする請求項7に記載の通信接続確立方法。
【請求項9】
前記対向機との信号送受信に用いる回線の混雑状況を検出し、
検出した混雑状況に基づいて、前記再送要求信号の時間を設定することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の通信接続確立方法。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の通信接続確立方法をコンピュータに行わせるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−48325(P2013−48325A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185634(P2011−185634)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】