説明

ファクシミリ装置

【課題】ファクシミリ装置において、省エネルギーモード中におけるファクシミリ着信処理時間を短縮する。
【解決手段】メイン制御ユニット11とサブ制御ユニット30とを備える。メイン制御ユニット11は、省エネルギーモード又は通常モードで動作し、公衆回線網80を介した着信を制御する。サブ制御ユニット30は、メイン制御ユニット11が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中である場合に、メイン制御ユニット11に代わって公衆回線網80を介したCI信号の検出後の信号検出を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネルギーモードを有するファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ通信機能及び通話機能を有するファクシミリ装置に、さらにプリンタ機能及びコピー機能等の複数の機能を複合させた複合型のファクシミリ装置が普及している。
また、省電力化を実現するために、ジョブ要求に応じて即時に動作が可能である通常モードと、通常モードより消費電力を減少させた省エネルギーモードとの間を移行可能な複合型のファクシミリ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−354376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省エネルギーモードにおいては、ファクシミリ着信に関する信号の検出を処理する制御部及びモデム等はスリープ状態に移行している。このような省エネルギーモードの際に呼出信号であるCI(Call Indicator)信号を受信した場合、ファクシミリ装置は、CI信号の検出に応じて省エネルギーモードから復帰するよう制御される。しかし、ファクシミリ装置が省エネルギーモードから復帰するまで、制御部はCI信号が検出された後の信号の検出処理を行えない。その結果、制御部は、CI信号以降の信号の検出をファクシミリ装置が通常モードに復帰した後に行うので、ファクシミリ着信の処理に時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ファクシミリ装置において、省エネルギーモード中におけるファクシミリ着信の処理にかかる時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係るファクシミリ装置は、第1制御ユニットと第2制御ユニットとを備える。第1制御ユニットは、省エネルギーモード又は通常モードで動作し、公衆回線網を介した着信を制御する。第2制御ユニットは、第1制御ユニットが省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中である場合に、第1制御ユニットに代わって公衆回線網を介したCI(Call Incicator)信号の検出後の信号検出を処理する。
【0007】
ここでは、第1制御ユニットが省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中であっても、第1制御ユニットに代わって第2制御ユニットがCI信号以後の信号検出の処理を制御できる。従って、第1制御ユニットは、通常モードへ復帰した後は、第2制御ユニットによって処理された信号検出を引き継いでファクシミリ着信の制御を行えばよい。その結果、第1制御ユニットが省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中であっても、ファクシミリ着信の処理にかかる時間を短縮できる。また、第1制御ユニットが省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中であっても、第2制御ユニットが第1制御ユニットに代わって信号検出の処理を制御するので、ファクシミリ装置において公衆回線網を介した信号を確実に検出できる。
【0008】
第2制御ユニットは、第1制御ユニットが通常モードへ復帰した後に第2制御ユニットによる処理結果を第1制御ユニットに通知する結果通知部を有していてもよい。
ここでは、結果通知部によって、第2制御ユニットによる処理結果が通常モードへ復帰した後の第1制御ユニットに通知されるので、第1制御ユニットは、第2制御ユニットによる処理を引き継いで速やかにファクシミリ受信の制御を開始できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、第1制御ユニットが省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中であっても、ファクシミリ装置においてファクシミリ着信の処理にかかる時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ファクシミリ装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】基本ブロック及びサブ制御ユニットの内部構成を示すブロック図。
【図3】メイン制御ユニット、サブ制御ユニット及びNCUの間における処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
(1)ファクシミリ装置の概要
以下、図1を参照して、本実施形態におけるファクシミリ装置1を説明する。図1は、本実施形態のファクシミリ装置の全体構成を示すブロック図である。ファクシミリ装置1は、コピー機能、ファクシミリ通信機能、スキャナ機能及びネットワークプリンタ機能を有するいわゆる複合機である。
【0012】
ファクシミリ装置1は、基本ブロック10、サブ制御ユニット30、機能ブロック40、電力供給装置50及び電力供給コントローラ60を備える。ファクシミリ装置1は、さらにシステムバス70を備えており、ファクシミリ装置1内の各部はシステムバス70によって互いに接続されている。
また、ファクシミリ装置1には、図示しないケーブルを介して電話機90が接続され、この電話機90によって、相手側との間で音声データの送受信、すなわち電話動作を行うことができる。
【0013】
ファクシミリ装置1には、通常モード及び省エネルギーモードが設定されている。ファクシミリ装置1の状態は、後述するメイン制御ユニット11のCPU(Central Processing Unit)12の制御のもと、通常モード及び省エネルギーモードの間を移行できる。通常モードとは、何らかの動作指示があった場合には、ファクシミリ装置1がその動作指示に基づいて直ぐに処理を実行できる状態をいう。省エネルギーモードとは、通常モードの消費電力よりも消費電力が低い状態をいう。例えば、省エネルギーモードでは、ファクシミリ装置1においてメイン制御ユニット11への電力供給が下げられてメイン制御ユニット11の各部はスリープ状態となる。また、省エネルギーモードでは、機能ブロック40への電力供給が下げられ、機能ブロック40の操作部42及び表示部45は非表示状態となり、記録部46における待機温度を下げた状態等となる。
【0014】
ファクシミリ装置1は、操作部42及び表示部45からの操作入力が一定時間ない場合又は画像データの入力が一定時間ない場合に、CPU12の制御により通常モードから省エネルギーモードに移行される。また、ファクシミリ装置1は、操作部42及び表示部45から通常モードへの復帰操作の入力を受け付けた場合に、CPU12の制御により省エネルギーモードから通常モードへと復帰する。さらに本実施形態では、ファクシミリ装置1は、サブ制御ユニット30から復帰リクエストを受け付ければ、CPU12の制御により省エネルギーモードから通常モードへと復帰するが、詳細は後述する。
【0015】
基本ブロック10は、ファクシミリ装置1の基本動作を制御し、また公衆回線網(図中、PSTN:Public Switched Telephone Network)80を介した通信の送受信の制御をする。基本ブロック10は、メイン制御ユニット11及びNCU(Network Control Unit)20を有する。
【0016】
ファクシミリ装置1の図示しない主電源がONであり、ファクシミリ装置1が通常モードの場合には、基本ブロック10に対して電力供給装置50から電力供給コントローラ60を介して電力が常に供給される。
また、ファクシミリ装置1が省エネルギーモード中は、電力供給装置50からメイン制御ユニット11への電力供給は低減され、メイン制御ユニット11はスリープ状態となる。一方、NCU20に対しては、ファクシミリ装置1が省エネルギーモード中であっても、電力供給装置50から一定の電力が供給され、NCU20は、通常モードと同様に公衆回線網80を介した信号を検知できる。基本ブロック10及びNCU20の詳細は後述する。
【0017】
サブ制御ユニット30は、ファクシミリ装置1が省エネルギーモードの状態である又は省エネルギーモードから通常モードへ復帰している際に、メイン制御ユニット11に代わって、公衆回線網80を介した通信に関する信号の検出を処理する。ファクシミリ装置1の主電源がONの場合には、ファクシミリ装置1が通常モード及び省エネルギーモードのいずれの状態であっても、サブ制御ユニット30には電力供給装置50から一定の電力が供給される。サブ制御ユニット30の詳細は後述する。
【0018】
機能ブロック40は、コピー機能、ファクシミリ通信機能、スキャナ機能及びネットワークプリンタ機能を実行する。機能ブロック40には、電力供給コントローラ60を介して、通常モード及び省エネルギーモードに応じた電力が電力供給装置50から供給される。機能ブロック40は、読取部41と、操作部42と、画像メモリ43と、コーデック44と、表示部45と、記録部46と、LANインターフェース(図中、I/F)47とを有する。
【0019】
読取部41は、原稿の画像データを読み取り、読み取った2値化データ等をメイン制御ユニット11のCPU12の指示により所定の出力先へ出力する。
操作部42は、ワンタッチダイヤルにより宛先を指定するためのワンタッチキー、ファクシミリ装置1に対して送信開始指示を与えるためのスタートキー、電話番号等の入力を行うテンキー及び表示部45内の反転表示の移動等を行うための矢印キー等を具備する。ユーザによる操作指示は、操作部42によって受け付けられる。
【0020】
画像メモリ43は、受信する画像データと、読取部41で読み取られて白黒2値に変換され、コーデック44で符号化された画像データとを一時的に記憶する。
コーデック44は、所定のプロトコルに対応して画像データを符号化及び復号化する。具体的にコーデック44は、読取部41から受け取った画像データを送信のためにMH(Modified Huffman)及びMR(Modified READ)方式等により符号化し、外部装置から受信した画像データを復号化する。また、コーデック44は、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して画像データを符号化及び復号化する。
【0021】
表示部45は、表示パネル等からなり、ファクシミリ装置1の状態に関する情報、各種操作指示画面及びファクシミリ装置1の状態を表示する。
記録部46は、例えば電子写真方式のものからなり、受信した画像データを用紙上に画像形成し、用紙を排出する。例えば、読取部41で読み取った原稿の画像データ、ファクシミリ受信した画像データ、及びLANを介して受信した画像データ等を用紙上に印刷する。
【0022】
LAN I/F47は、同じLAN上に設置された他の機器との間で、SLP又はTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)を利用してデータの送受信を行う。
【0023】
電力供給装置50は、交流の商用電源を直流に変換しファクシミリ装置1へ供給する電源装置である。電力供給装置50は、主電源がオンの状態では、電力供給コントローラ60の制御のもと、通常モード又は省エネルギーモードに応じた電力をファクシミリ装置1の各部に供給する。
【0024】
電力供給コントローラ60は、電磁リレー及びFET(電界効果トランジスタ)等を含み、ファクシミリ装置1の各部と電力供給ライン61を介して接続される。電力供給コントローラ60は、メイン制御ユニット11のCPU12からの制御命令に従って、電力供給ライン61の接続及び遮断を行い、通常モード又は省エネルギーモードに応じた電力をファクシミリ装置1の各部に供給する。
【0025】
(2)基本ブロックの機能構成
次に基本ブロック10の機能構成について図2を参照して説明する。図2は、基本ブロック及びサブ制御ユニットの内部構成を示すブロック図である。基本ブロック10は、前述のとおりメイン制御ユニット11及びNCU20を有する。
【0026】
(2−1)NCU
NCU20は、公衆回線網80に接続されており、電話回線28を介して発呼及び着呼を含む通信を制御する。本実施形態におけるNCU20は、電話回線28において所定のレベルを超えた信号を検出し電話回線28の回線変化を検出すれば、メイン制御ユニット11のCPU12又はサブ制御ユニット30のサブCPU31に対して電話回線28の回線変化を通知する。その後NCU20は、メイン制御ユニット11のCPU12又はサブ制御ユニット30のサブCPU31によって制御される。以下のNCU20の説明では、ファクシミリ装置1が通常モードであって、NCU20がメイン制御ユニット11のCPU12によって制御されている例を挙げて説明する。
【0027】
NCU20は、CMLリレー21、第1トランス22、信号検出回路23、オフフック検出回路24、呼出電圧発生回路25、Hリレー26、第2トランス27及び電話回線28を有する。
【0028】
CMLリレー21は、電話回線28を、モデム17と信号検出回路23とに選択的に接続するために設けられている。CPU12の制御により、CMLリレー21がa接点側に切り換えられたときには、電話回線28が信号検出回路23に接続される。一方、CPU12の制御により、CMLリレー21がb接点側に切り換えられたときには、電話回線28が第1トランス22を介してモデム17に接続される。ファクシミリ装置1が外部装置からのファクシミリ着信を待機している状態では、CMLリレー21はa接点側に接続されている。
【0029】
信号検出回路23は、CMLリレー21のa接点側に接続されるように配置され、電話回線28を介して外部装置から送信されてくる信号を検出して、信号の検知をCPU12に通知する。具体的に信号検出回路23は、呼出信号であるCI(Call Indicator)信号を検出する。
【0030】
オフフック検出回路24は、電話機90に接続される。オフフック検出回路24は、電話機90のオフフック状態を検出して、検出結果をCPU12に出力する。オフフック状態とは、電話機90のハンドセットを取り上げた状態をいう。
【0031】
呼出電圧発生回路25は、電話機90のオフフック状態の検出時に、電話機90に所定の電流を供給する。具体的に呼出電圧発生回路25は、電話機90のオフフック状態を検出するために、電話機90に所定電流を供給する。
また、呼出電圧発生回路25は、一般的なCI信号と同様の信号である擬似ベル信号を発生して電話機90を鳴動させ、ユーザにファクシミリの着信を知らせる機能を有する。擬似ベル信号とは、外部装置からのCI信号の受信に対して電話機90を鳴動させるための着信ベル信号である。呼出電圧発生回路25は、信号検出回路23によってCI信号が検出されれば、擬似ベル信号を発生する。
【0032】
Hリレー26は、電話機90を電話回線28と呼出電圧発生回路25とに選択的に接続するために設けられている。CPU12の制御により、Hリレー26が接点a側に切り換えられたときには、電話機90が電話回線28側に接続され、Hリレー26が接点b側に切り換えられたときには、電話機90が呼出電圧発生回路25側に接続される。なお、ファクシミリ装置1において外部装置からのファクシミリの着信を待機している状態では、Hリレー26がb接点側に接続されて、電話機90と呼出電圧発生回路25とが接続されている。
第2トランス27は、電話機90とモデム17との間に接続されている。
【0033】
(2−2)メイン制御ユニット
メイン制御ユニット11は、ファクシミリ装置1の基本動作を制御し、またNCU20の制御を行う。メイン制御ユニット11は、前述のとおりファクシミリ装置1と同様に省エネルギーモード又は通常モード間を移行して動作する。メイン制御ユニット11は、CPU12、モデム17、ROM18及びRAM19を有する。
【0034】
CPU12は、所定のプログラムに従って、ファクシミリ装置1を構成する各部を制御する。またCPU12は、CI信号検出部13、DTMF検出部14、受信制御部15及びモード通知部16を含む。後述するように、CI信号検出部13、DTMF検出部14、受信制御部15及びモード通知部16は、ファクシミリ装置1が通常モードである場合にのみ以下の動作を行う。
【0035】
CI信号検出部13は、電話回線28に回線変化があった場合に信号検出回路23がCI信号を検出したかどうか判断する。
DTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号検出部14は、外部装置からファクシミリ装置1に対して送出されたDTMF信号の受信を行う。本実施形態では、DTMF信号とは、ファクシミリ受信の処理を命令する信号であって、ユーザによる電話機90のダイヤルキー(図示せず)の押下により生成される。
【0036】
受信制御部15は、CI信号検出部13がCI信号を検出したと判断された場合にNCU20を制御する。具体的には、受信制御部15は、NCU20のリレーを制御し、ファクシミリ着信の処理を行う。例えば、受信制御部15は、Hリレー26を接点b側に接続させて呼出電圧発生回路25から出力される擬似ベル信号によって、電話機90において着信ベルを鳴動させる。また、受信制御部15は、DTMF検出部14によってDTMF信号が検知された場合には、CMLリレー21をb接点側に切り換え、電話回線28とモデム17とを接続させ、ファクシミリ装置1におけるファクシミリ受信の処理を開始する。
【0037】
モード通知部16は、ファクシミリ装置1におけるモードの移行があれば、モードの移行をサブ制御ユニット30へ通知する。例えば、ファクシミリ装置1が通常モードから省エネルギーモードへ移行を開始する場合、又は省エネルギーモードから通常モードへ復帰した場合に、モードの移行の通知をサブ制御ユニット30へと出力する。
【0038】
モデム17は、デジタル信号とアナログ信号を相互変換する変復調装置であり、ファクシミリ通信用のファクシミリモデムの機能を有する。モデム17は、NCU20と直接接続されている。
【0039】
ROM(Read Only Memory)18は、CPU12に読み込まれる各種プログラムを記憶している。
RAM(Random Access Memory)19は、予め登録された各種設定情報を記憶するCPU12の主メモリであり、各種プログラムを実行するワークエリアとして機能する。
【0040】
このような基本ブロック10において、NCU20において電話回線28の回線変化が起こり信号検出回路23によってCI信号を検出されれば、呼出電圧発生回路25により擬似ベル信号が出力され、電話機90の着信ベルが鳴動する。このときHリレー26はb接点側に接続されており、Hリレー26を介して呼出電圧発生回路25からの擬似ベル信号は電話機90へと出力される。
その後電話機90の着信ベルの鳴動を聞いたユーザが電話機90をオフフックし、電話機90における所定のダイヤルキーを押下すれば、DTMF信号が生成される。生成されたDTMF信号がDTMF検出部14によって検出されれば、受信制御部15によってCMLリレー21がb接点側に切り換え、電話回線28とモデム17とが接続され、ファクシミリ装置1におけるファクシミリ受信処理が開始される。
【0041】
(3)サブ制御ユニットの機能構成
サブ制御ユニット30は、ファクシミリ装置1が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰の際に、メイン制御ユニット11に代わって、公衆回線網80を介した通信に関する信号検出の処理を行う。サブ制御ユニット30について、再び図2を参照して説明する。
【0042】
上記のとおり、ファクシミリ装置1が通常モードで動作している場合には、メイン制御ユニット11がNCU20を制御する。すなわち、信号検出回路23によるCI信号の検出を判断し、その後DTMF信号を検出すれば、メイン制御ユニット11がファクシミリ装置1におけるファクシミリ受信の処理を行う。しかし、メイン制御ユニット11が省エネルギーモードである場合又は省エネルギーモードから通常モードへ復帰している場合には、DTMF信号を検出できない。
そこで、メイン制御ユニット11が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中である際には、サブ制御ユニット30がNCU20を制御する。
【0043】
サブ制御ユニット30は、サブCPU31及びDTMF処理結果記憶部35を有する。
サブCPU31は、モード通知部16から、ファクシミリ装置1が通常モードから省エネルギーモードへ移行する移行通知を受信した後、省エネルギーモードから通常モードへの復帰の通知を受信するまで、NCU20を制御する。サブCPU31は、サブCI信号検出部32、サブDTMF検出部33及び結果通知部34を有する。
【0044】
サブCI信号検出部32は、電話回線28に回線変化があった場合に信号検出回路23がCI信号を検出したかどうか判断する。また、サブCI信号検出部32は、CI信号を検出したと判断した場合には、メイン制御ユニット11のCPU12に対して省エネルギーモードから通常モードへの復帰のリクエストを送信する。
【0045】
サブDTMF検出部33は、ファクシミリ受信の処理を命令する信号であるDTMF信号を検出する。また、サブDTMF検出部33は、受信したDTMF信号をDTMF処理結果記憶部35に格納する。
【0046】
結果通知部34は、モード通知部16からファクシミリ装置1の通常モードへの復帰通知を受信した場合に、メイン制御ユニット11の代わりにサブ制御ユニット30が行った処理結果をメイン制御ユニット11のCPU12へと通知する。例えば、結果通知部34は、CI信号の検出通知及び/又はDTMF信号の検出通知をメイン制御ユニット11へ通知する。本実施形態では、結果通知部34は、ファクシミリ装置1の通常モードへの復帰通知を受信すれば、サブ制御ユニット30においてCI信号の検出及びDTMF信号の検出を終えた後に、処理結果をメイン制御ユニット11へ通知する。
【0047】
DTMF処理結果記憶部35には、サブDTMF信号検出部33によって検出されたDTMF信号が格納される。DTMF処理結果記憶部35には格納されたDTMF信号は、結果通知部34がメイン制御ユニット11へと処理結果を通知する際に参照される。
【0048】
(4)メイン制御ユニット及びサブ制御ユニットによるNCUの制御
次に、メイン制御ユニット11及びサブ制御ユニット30によるNCU20の制御の流れを、図3を参照して説明する。図3は、メイン制御ユニット11、サブ制御ユニット30及びNCU20の間における信号の流れを示すフローチャートである。
以下、通常モードから省エネルギーモードに移行するファクシミリ装置1におけるメイン制御ユニット11及びサブ制御ユニット30によるNCU20の制御の流れを説明する。
【0049】
まず、メイン制御ユニット11のCPU12は、ファクシミリ装置1を通常モードから省エネルギーモードへと移行させる(ステップS101)。続いて、CPU12のモード通知部16は、省エネルギーモードへの移行をサブ制御ユニット30のサブCPU31に通知する(ステップS102)。省エネルギーモードへの移行の通知を受ければ、サブCPU31はNCU20におけるファクシミリ着信処理を開始し、CI信号の検出判断及びDTMF信号の検出を開始する(ステップS103)。
【0050】
その後、NCU20において、電話回線28の回線変化が検出されると(ステップS104でYes)、NCU20は、回線変化の通知をサブ制御ユニット30のサブCPU31へと通知する(ステップS105)。
NCU20から回線変化の検出の通知を受信すれば、サブCPU31のサブCI信号検出部32は、信号検出回路23がCI信号を検出しているかどうか判断する。信号検出回路23がCI信号を検出していると判断されれば(ステップS106でYes)、サブCI信号検出部32は、メイン制御ユニット11のCPU12に対して省エネルギーモードから通常モードへの復帰リクエストを送信する(ステップS107)。
【0051】
その後、サブDTMF検出部33が、DTMF信号を検出すれば(ステップS108でYes)、サブDTMF検出部33は検出したDTMF信号をDTMF処理結果記憶部35に記憶する(ステップS109)。
【0052】
一方、サブCI信号検出部32から省エネルギーモードから通常モードへの復帰リクエストを受信すれば、メイン制御ユニット11のCPU12は、ファクシミリ装置1を通常モードへと復帰させる(ステップS110)。
その後、ファクシミリ装置1が通常モードへと復帰すれば(ステップS111でYes)、CPU15のモード通知部16は、通常モードへの復帰通知をサブ制御ユニット30のサブCPU31へと通知する(ステップS112)。
通常モードへの復帰通知を受信した後、サブ制御ユニット30の結果通知部34は、サブ制御ユニット30による信号の検出の処理結果をメイン制御ユニット11へと通知する(ステップS113)。例えば、結果通知部34は、CI信号及びDTMF信号の検出をメイン制御ユニット11へ通知する。ここで、結果通知部34は、DTMF処理結果記憶部35を参照してDTMF信号の検出をメイン制御ユニット11へ通知してもよい。
【0053】
サブ制御ユニット30による信号の検出結果の通知を受信したメイン制御ユニット11は、その後信号検出の処理結果に応じてNCU20の制御を開始する(ステップS114)。本実施形態では、ファクシミリ受信の命令を示すDTMF信号に基づき、受信制御部15によってCMLリレー21がb接点側に切り換えられ、電話回線28とモデム17とを接続させてファクシミリ装置1におけるファクシミリ受信処理が開始される。
【0054】
ここでは、メイン制御ユニット11が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中であっても、メイン制御ユニット11に代わってサブ制御ユニット30がCI信号の検出後のDTFM信号の検出を処理できる。従って、メイン制御ユニット11は、通常モードへ復帰した後は、サブ制御ユニット30によって処理されたDTFM信号の検出を引き継いでファクシミリ受信の制御を行える。その結果、メイン制御ユニット11が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中であっても、ファクシミリ着信の処理にかかる時間を短縮できる。また、メイン制御ユニット11が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中であっても、サブ制御ユニット30がメイン制御ユニット11に代わって信号検出の処理を制御する。従って、ファクシミリ装置1において公衆回線網80を介して送信される信号を確実に検出できる。
また、結果通知部34によって、通常モードへ復帰した後のメイン制御ユニット11に対してサブ制御ユニット30による処理結果が通知される。従って、メイン制御ユニット11は、サブ制御ユニット30による処理を引き継いで速やかにファクシミリ受信の制御を開始できる。
(5)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)メイン制御ユニット11とサブ制御ユニット30とを備える。メイン制御ユニット11は、省エネルギーモード又は通常モードで動作し、公衆回線網80を介した着信を制御する。サブ制御ユニット30は、メイン制御ユニット11が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中である場合に、メイン制御ユニット11に代わって公衆回線網80を介して送信されたCI信号の検出後の信号検出を処理する。
【0055】
(B)サブ制御ユニット30は、メイン制御ユニット11が通常モードへ復帰した後にサブ制御ユニット30による処理結果をメイン制御ユニット11に通知する結果通知部34を有している。
【0056】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0057】
(a)上記の実施形態では、結果通知部34は、モード通知部16からファクシミリ装置1の通常モードへの復帰通知を受信した場合に、CI信号及び/又はDTMF信号の検出を終えた後に信号の検出の処理結果をメイン制御ユニット11へ通知する例を挙げた。
しかし、結果通知部34は、ファクシミリ装置1の通常モードへの復帰通知を受信すれば、サブ制御ユニット30においてCI信号の検出又はDTMF信号の検出の最中であっても、その時点までに検出した信号の検出の処理結果をメイン制御ユニット11へ通知してもよい。
【0058】
(b)上記の実施形態では、ファクシミリ装置1が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰している場合には、サブ制御ユニット30がCI信号の検出判断及びDTMF信号の検出を行う例を挙げた。しかし、ファクシミリ装置1が省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰している場合に、CI信号の検出判断は、メイン制御ユニット11側で実行されてもよい。そして、サブ制御ユニット30は、メイン制御ユニット11によるCI信号の検出判断後からDTMF信号の検出の処理をするユニットであってもよい。
【0059】
(c)上記の実施形態では、サブCPU31のサブCI信号検出部32が、メイン制御ユニット11へ復帰リクエストを送信した後に、DTMF信号を検出する例を挙げた。しかし、サブCPU31における復帰リクエストの送信及びDTMF信号の検出のタイミングはこの例に限定されず、復帰リクエストの送信とDTMF信号の検出は同時のタイミングであってもよい。また、DTMF信号の検出された後に復帰リクエストの送信が実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、省エネルギーモードを有するファクシミリ装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 ファクシミリ装置
10 基本ブロック
11 メイン制御ユニット
12 CPU
13 CI信号検出部
14 DTMF検出部
15 受信制御部
16 モード通知部
17 モデム
18 ROM
19 RAM
20 NCU
21 CMLリレー
22 第1トランス
23 信号検出回路
24 オフフック検出回路
25 呼出電圧発生回路
26 Hリレー
27 第2トランス
28 電話回線
30 サブ制御ユニット
31 サブCPU
32 サブCI信号検出部
33 サブDTMF信号検出部
34 結果通知部
35 DTMF処理結果記憶部
40 機能ブロック
41 読取部
42 操作部
43 画像メモリ
44 コーデック
45 表示部
46 記録部
47 LANインターフェース
50 電力供給装置
60 電力供給コントローラ
61 電力供給ライン
70 システムバス
80 公衆回線網
90 電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
省エネルギーモード又は通常モードで動作し、公衆回線網を介した着信を制御する第1制御ユニットと、
前記第1制御ユニットが省エネルギーモード又は省エネルギーモードから通常モードへの復帰中である場合に、前記第1制御ユニットに代わって前記公衆回線網を介したCI(Call Incicator)信号の検出後の信号検出を処理する第2制御ユニットと、
を備えるファクシミリ装置。
【請求項2】
前記第2制御ユニットは、前記第1制御ユニットが通常モードへ復帰した後に前記第2制御ユニットによる処理結果を前記第1制御ユニットに通知する結果通知部を有する、請求項1に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−5036(P2013−5036A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131367(P2011−131367)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】