説明

フィギュアや宝飾品等の原型造り用組成物の製造方法

【課題】 この発明はフィギュアや宝飾品あるいは歯科技工の鋳型を製造する際の原型造りに必要な組成物の製造方法に関し、ハードワックスの欠点である硬すぎて削りにくい、盛り上げにくい、くっつきにくい、作業に時間がかかるなどの欠点とインジェクションワックスの低融点に起因するべたつき、削りにくさ、ぐにゃぐにゃした扱いにくさなどの欠点を払拭し、切削性に優れ、盛り付けしやすくて修正が簡単で、表面の仕上りが奇麗で、べとつかないなど、ソフトなタッチで女性や素人の方にも扱いやすく、しかも、削りかすの再利用ができて経済的なワックスを提供するためになされたものである。
【解決手段】 重量比でパラフィン50〜80%とカルナバ20〜50%を混合したもの、あるいはこれらにミツロウを5〜10%、染料を1〜5%の範囲内で適宜添加し、70〜80℃の温度範囲内で加熱攪拌したのち、所望の形状の型枠に流し込み放冷固化後に型枠から取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はフィギュアや宝飾品あるいは歯科技工の鋳型を製造する際の原型造りに欠かせない組成物の製造方法に関し、従来のワックス等に比して、切削性に優れ、修正が容易であり、女性や素人の方でも繊細で精密な作品を作ることができ、削りかすが再利用できる経済的な組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフィギュアや宝飾品の原型造りあるいは歯科技工の鋳型を製造する際の原型造りに使用されている素材としては、粘土・パテ・スカルピー(登録商標)と称される合成樹脂系のオーブン粘土(加熱すると硬化する)・ワックス(ワックスはその硬さによりハードワックスとソフトワックスに分けられている)等があり、それぞれ目的に応じて使い分けられているが、メリットとデメリットを有している。
【0003】
スカルピーやハードワックスは素材が硬質であるためフィギュア製作時に引っ張ったり、折ったり、捏ねたり、削ったりする際に、力が指先に集中して負担がかかり女性や素人の方には不向きであり、また、削りすぎたり折れた個所の修正が困難で仕上工程が増えて時間がかかりすぎたり、あるいは、素材によっては加熱時に有毒ガスが発生したり、一旦硬化すると削りかすの再利用ができなかったり、特にハードワックスは溶かすとべとべとになり再利用が不可能になるなど数多くの欠点を有している。
【0004】
また、ソフトワックスは歯科技工用にも利用されているが、融点がハードワックスの半分くらいで常に温度変化に気をつける必要があり、温度が低いと割れやすかったり、逆に高いと柔軟さがあだとなって成形後に変形しやすいなどの欠点があり、フィギュアや宝飾品の原型造りには不向きである。
【0005】
また、インジェクションワックスは、融点が低くて、べたついてサクサク削れないしグニャグニャして扱いずらく、割れやすいし、しかも、ワックスポットという特殊なワックス注入機械がないと使用できないという致命的な欠点を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したようにフィギュアや宝飾品あるいは歯科技工の鋳型を製造する際の原型造りに使用する各種の素材の欠点を払拭するために開発したもので、ハードワックスとソフトワックスあるいはインジェクションワックスの優れた特性、例えば、べとつかず、ソフトなタッチで女性にも簡単に切削でき、盛り付けしやすくて修正が簡単、目に優しくて作業能率が向上、表面の仕上りが奇麗、削りかすの再利用ができて経済的など、数多くの特徴を有するワックスを提供するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パラフィンとカルナバ、ミツロウおよび染料を適宜の分量ずつ加熱攪拌装置に投入し、所定の温度に加熱調整しながら十分攪拌したのち所定の型に流し込み冷却したのち型から取り出すことを特徴としたもので、従来のハードワックスとインジェクションワックスの優れた特徴を併せ持ち、女性や素人の方が簡単に扱え、しかも、緑色の染料を練り込むことにより作業員の目の障害を防止する効果を得られるよう配慮した経済的な組成物(以下ワックスPと称す)の製造方法に関するものである。
【発明の実施するための最良の形態】

【実施例1】
【0008】
重量比でパラフィン50〜80%とカルナバ20〜50%を加熱攪拌装置に投入し、70℃〜80℃の温度範囲に調整しながら十分に攪拌したのちブロック状、板状、棒状等所望の形状の型枠に流し込み、放冷固化後に型枠から取り出しワックスPを製出する。
【0009】
オープン釜で加熱攪拌する場合は、温度が上昇しすぎて気化成分に引火しないよう温度管理を徹底する。
【実施例2】
【0010】
重量比でパラフィン50〜80%とカルナバ20〜50%、ミツロウ5〜10%を加熱攪拌装置に投入し、70℃〜80℃の温度範囲に調整しながら、十分に攪拌したのち、ブロック状、板状、棒状等所望の形状の型枠に流し込み放冷固化後に型枠から取り出しワックスPを製出する。 実施例1と同様温度管理に注意する。
【実施例3】
【0011】
重量比でパラフィン50〜80%とカルナバ20〜50%、ミツロウ5〜10%、緑色の染料を1〜5%加熱攪拌装置に投入し、70℃〜80℃の温度範囲に調整しながら、十分に攪拌したのち、ブロック状、板状、棒状等所望の形状の型枠に流し込み放冷固化後に型枠から取り出しワックスPを製出する。 実施例1と同様温度管理に注意する。
【0012】
次に、本願発明のワックスPを使用した小型のフィギュアの原型造りの詳細を示す。
【0013】
ワックスPをカッターやデザインナイフで大まかな形状に荒削りする。
【0014】
荒削りしたものをスパチュラーで細部の形を整える。
【0015】
削りすぎた場合はワックスペンでワックスPを削った時に生ずる破片を掬くって本体に盛り付け再度形を整える。
【0016】
形が整ったらサンドペーパーで注意しながら表面を仕上げる。
(表面のディテール部分を消さないよう注意しながら作業をする。)
【0017】
最後にティシュペーパーに少量のベンジンを染み込ませたもので表面を拭き、原型を完成する。
(拭きすぎるとワックスが溶けて形が崩れるので注意しながら作業をする)
【発明の効果】
【0018】
本発明は、前記のようにパラフィンとカルナバ、ミツロウおよび染料を特殊な構成比で混合した組成物で、ハードワックスの硬さとインジェクションワックスのべたつきを無くし、両者のプラス面を活かして、女性の力でも簡単に削ったり、ワックスペンの熱で簡単に溶かして修正でき、かつ、ベンジンを染み込ませたティッシュペーパーで表面を拭き取るだけで簡単に仕上げをすることができるので作業効率を極端に向上させることが出来る。
【0019】
また、本発明は、目にやさしい緑色の染料で着色しているので、細かな作業をする作業員が造形物の形を捉えやすく、目の障害防止と作業効率の増大に貢献することができるなど数多くの特徴を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量比でパラフィン50〜80%とカルナバ20〜50%を70〜80℃の温度範囲内で加熱攪拌することを特徴とするフィギュアや宝飾品等の原型造り用組成物の製造方法
【請求項2】
ミツロウを5〜10%の範囲内で適宜添加することを特徴とする第1項記載のフィギュアや宝飾品等の原型造り用組成物の製造方法
【請求項3】
染料を1〜5%の範囲内で適宜添加することを特徴とする第1項記載のフィギュアや宝飾品等の原型造り用組成物の製造方法

【公開番号】特開2010−75652(P2010−75652A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274926(P2008−274926)
【出願日】平成20年9月27日(2008.9.27)
【出願人】(505141358)
【Fターム(参考)】