説明

フィチン酸の加水分解におけるフィターゼの併用の相乗効果

本発明は、フィチン酸(ミオイノシトール六リン酸塩)を、無機一リン酸塩、より低いリン酸化度であるミオイノシトール、および遊離ミオイノシトールに加水分解するための少なくとも2のフィターゼを混合した組成物および方法に関する。前記組成物および方法は、特に、動物の飼育に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、フィチン酸の加水分解におけるフィターゼの併用の相乗効果に関する。
【0002】
フィチン酸塩(ミオイノシトール六リン酸)またはフィテート(ミオイノシトールヘキサキスリン酸二水素)は、穀類、マメ科の植物、および油を産生する植物におけるリンの主要な貯蔵形態である。それ故、それらは、植物ベースの動物の飼料におけるリンの主要な源、単胃腔の動物(家禽およびブタ)の飼料における主要な成分を構成する。しかしながら、飼料におけるこのリンのバイオアベイラビリティーは、これらの動物に対して限られている。これは、フィテートの加水分解を可能にし、必要な量の無機リン酸塩を提供するために十分な量で、フィテートを分解する腸の酵素を有していないためである。加えて、フィチン酸は抗栄養因子であり、タンパク質およびイオン(Fe3+、Ca2+、Zn2+、Mg2+)と複合体を形成するため、これらの要素の利用能を減少させる。
【0003】
家禽およびブタの食物摂取は、それ故、無機リン酸塩で補われるべきである一方で、フィテートのリンは排泄され、単胃腔動物を集中的に飼育している領域における地表水の富栄養化に貢献する。
【0004】
フィターゼ(ミオイノシトール六リン酸3-および6-ホスホヒドロラーゼEC 3.1.3.8および3.1.3.26)は、ヒスチジン酸ホスファターゼのファミリーの一部である。フィターゼは、ヘキサキスホスホヒドロラーゼであり、フィチン酸またはフィテートにおけるリン酸エステル結合を加水分解する。それ故、それらは、ミオイノシトール六リン酸(フィチン酸、InsP6)を、無機一リン酸塩および低いリン酸化度であるミオイノシトールリン酸塩に加水分解すること(InsP5からInsP1)、ならびにある一定の場合には遊離ミオイノシトールに加水分解することを触媒する。
【0005】
2つの分類のフィターゼが存在し、加水分解される最初のリン酸塩の位置によってのみ区別される。3-フィターゼ(EC 3.1.3.8)は3位のリン酸塩を加水分解し、6-フィターゼ(EC 3.1.3.26)は6位のリン酸塩を加水分解する。
【0006】
これらの酵素は、動物の栄養における添加物として使用され、第1にフィチン酸のリンの利用能を増大させること、第2に飼料の消化性を改善することを可能にする。加えて、フィチン酸のリン酸塩の放出は、リン酸塩を補充することによるコストをずいぶん減少させ、リン酸塩の過剰排出により引き起こされる汚染も低下させる。
【0007】
フィターゼは、植物、動物、特に微生物のような多くの種類の生物体により産生される。これらのフィターゼは、特に、pHの関数としてのそれらの活性およびそれらの温度安定性において、非常に異なる生物化学的な特徴を有する。加えて、これらの酵素は、(a)全てのリン酸塩の加水分解における有効性、(b)立体特異性、および(c)イノシトールリン酸塩に対する親和性の点において違いを示す。
【0008】
フィターゼを産生する微生物の中で、特に以下について言及する:アズペルギルス属、ペニシリウム属、ムコール属、およびリゾープス属の菌類、細菌:シュードモナス属、クレブシエラ属、大腸菌、エンテロバクター属、枯草菌、および酵母:サッカロマイセス・セレビシエ、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、トルロプシス・カンジダ(Torulopsis candida)、デバリオマイセス・カステリ(Debaryomyces castellii)、デバリオマイセス・オシデンタリス(Debaryomyces occidentalis)(別名シャウンニオマイセス・カステリ(Schwanniomyces castellii))、クルイベロマイセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)。
【0009】
多数の微生物フィターゼは、既に研究され、種々の農工業の適用において使用されている。飼料および動物における消化の過程におけるこれらの酵素の有効性は、ポテンシャルを維持するそれらの能力に依存し、飼料の調製の工程の間および消化管内において遭遇する種々の条件とは無関係である。飼料の調製は、熱耐性の酵素を必要とする一方で、家禽の種々の餌袋(crop)、胃、十二指腸、空腸、および回腸を通る間のpH値の範囲は、例えば、5.02、2.75、6.28、6.63、および5.98である。
【0010】
今日までに述べられているフィターゼのほとんどは、フィチン酸を部分的に加水分解するのみであり、いくつかは非常に遅い速度論を伴う。それ故、多くのフィターゼは、フィチン酸の5のリン酸結合のみ、すなわち、潜在的なリンの83%を加水分解する。
【0011】
今日までに、酵母の中で、酵母シャウンニオマイセス・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)のフィターゼのみがフィテートの全てのリン酸結合を加水分解することができるとして述べられている(EP 0 699 762およびSegueilha L., Lambrechts C., Boze H., Moulin G., Galzy P., (1992) Purification and properties of a phytase from Schwanniomyces castellii, J. Ferm. Bioeng., 74, 7-11)。
【0012】
しかしながら、実験条件下において、フィテートまたはフィチン酸の完全な加水分解は得られない。
【0013】
より効率的なフィチン酸の加水分解を得るために、種々のフィターゼを併用することが提案されている。
【0014】
WO 98/30681は、種々の立体特異性を有するフィターゼの併用、特に3-フィターゼと6-フィターゼの併用について記載されている。この文書は、特に、ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)6-フィターゼとアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger) 3-フィターゼ(フィターゼ ノボ(登録商標))の併用について述べている。
【0015】
米国特許第6,183,740号には、種々の特異性のフィターゼの併用、および他の酸ホスファターゼとの併用についても記載されている。
【0016】
しかしながら、フィチン酸のリン酸塩およびイノシトールへの完全な加水分解は得られていない。
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、種々の農工業の適用においてフィチン酸の完全な加水分解を得るために、フィチン酸の加水分解の速度および効率を改善することである。
【0018】
前記課題は、少なくとも2つの特異的なフィターゼを併用する、本発明の組成物および方法により解決される。好都合なことに、本発明の組成物は、相乗効果により、フィチン酸の全てのリン酸基の完全な加水分解を可能にする。好都合なことに、本発明の組成物は、フィターゼの農工業における適用、特に動物の栄養分野における適用に適した広いpH範囲において活性を有する。本発明のもう1つの利点は、使用されるフィターゼが熱耐性であることである。
【0019】
〔配列の説明〕
配列番号1:シャウンニオマイセス・カステリ(Schwanniomyces castellii)フィターゼ
配列番号2:デバリオマイセス・カステリ(Debaryomyces castellii)フィターゼ
配列番号3:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)フィターゼ
配列番号4:ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)フィターゼ
配列番号5:ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)フィターゼ
配列番号6:コムギフィターゼをコードする配列
配列番号7:コムギ(Triticum aestivum)フィターゼ。
【発明の説明】
【0020】
本発明の主題は、フィチン酸(ミオイノシトール 1,2,3,4,5,6-六リン酸)の加水分解のための少なくとも2のフィターゼを組み合わせた組成物であって、
配列番号1のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示すか、または配列番号2のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第1のフィターゼと;
配列番号3のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第2のフィターゼ
を含んでなる組成物である。
【0021】
好ましくは、前記第1のフィターゼは、フィチン酸の6のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼである。
【0022】
好ましくは、前記第1のフィターゼは、55℃〜80℃の至適温度、およびpH3.5〜pH5の至適pHを有する。
【0023】
好ましい実施形態において、前記第1のフィターゼは、酵母シャウンニオマイセス・カステリのフィターゼまたは酵母デバリオマイセス・カステリのフィターゼである。
【0024】
もう1つの好ましい実施形態において、前記第1のフィターゼは、配列番号1のフィターゼまたは配列番号2のフィターゼである。
【0025】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、フィチン酸の少なくとも5のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼである。
【0026】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、50℃〜60℃の至適温度およびpH2〜pH6の至適pHを有する。
【0027】
好ましい実施形態において、前記第2のフィターゼはアスペルギルス・ニガーフィターゼである。
【0028】
もう1つの好ましい実施形態において、前記第2のフィターゼは配列番号3のフィターゼである。
【0029】
好ましくは、本発明による組成物は、動物のための栄養添加物または動物の飼料を構成する。
【0030】
本発明の主題は、動物のための栄養添加物または動物の飼料の製造のための本発明による組成物の使用でもある。
【0031】
本発明の主題は、フィチン酸のリンの利用能を増大させるため、および動物の飼料の消化性を改善するための、本発明による組成物の使用でもある。
【0032】
本発明は、フィチン酸(ミオイノシトール 1,2,3,4,5,6-六リン酸)を、無機一リン酸塩、より低いリン酸化度であるミオイノシトール、および遊離ミオイノシトールに加水分解する方法であって、
配列番号1のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示すか、または配列番号2のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第1のフィターゼを提供する工程と;
配列番号3のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第2のフィターゼを提供する工程と;
フィチン酸を、前記第1のフィターゼおよび前記第2のフィターゼと同時に接触させる工程
を含んでなる方法にも関する。
【0033】
好ましくは、前記第1のフィターゼは、フィチン酸の6のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼである。
【0034】
好ましくは、前記第1のフィターゼは、55℃〜80℃の至適温度、およびpH3.5〜pH5の至適pHを有する。
【0035】
好ましい実施形態において、前記第1のフィターゼは、酵母シャウンニオマイセス・カステリのフィターゼまたは酵母デバリオマイセス・カステリのフィターゼである。
【0036】
特に有益な実施形態において、前記第1のフィターゼは配列番号1のフィターゼまたは配列番号2のフィターゼである。
【0037】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、フィチン酸の少なくとも5のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼである。
【0038】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、50℃〜60℃の至適温度およびpH2〜pH6の至適pHを有する。
【0039】
有益な実施形態において、前記第2のフィターゼはアスペルギルス・ニガーフィターゼである。
【0040】
特に有益な実施形態において、前記第2のフィターゼは配列番号3のフィターゼである。
【0041】
本発明の主題は、
配列番号1のシャウンニオマイセス・カステリフィターゼまたは配列番号2のデバリオマイセス・カステリフィターゼ;
配列番号3のアスペルギルス・ニガーフィターゼ
を含んでなる動物を飼育するためのキットまたはアセンブリー(assembly)でもある。
【0042】
本発明による組成物は、配列番号1のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示すか、または配列番号2のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第1のフィターゼと;配列番号3のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第2のフィターゼとを併用する。
【0043】
驚くべきことに、フィターゼの特定の組み合わせは、フィチン酸の加水分解において相乗的な効果を得られる。それ故、本発明による組成物は、広いpH範囲においてフィチン酸の速い且つ完全な加水分解を触媒する。
【0044】
「フィターゼ」という用語は、ミオイノシトール六リン酸ホスホヒドロラーゼ(EC 3.1.3.8および3.1.3.26)を意味するものである。これらの酵素は、ミオイノシトール1,2,3,4,5,6-六リン酸(フィチン酸, InsP6)の、無機一リン酸塩、より低いリン酸化度のミオイノシトールリン酸塩(InsP5〜InsP1)、およびあるフィターゼについては遊離ミオイノシトールへの加水分解を触媒する。
【0045】
本発明による組成物は、配列番号1のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示すか、または配列番号2のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第1のフィターゼを含んでなる。
【0046】
前記配列番号1のフィターゼは、酵母シャウンニオマイセス・カステリのフィターゼであり、前記配列番号2のフィターゼは、酵母デバリオマイセス・カステリのフィターゼである。
【0047】
これらのフィターゼは、非常によく似た触媒的な特性を有しており、それ故、本発明によるフィターゼの組み合わせにおいて交換可能である。
【0048】
好ましくは、前記第1のフィターゼは、少なくとも80%、90%、95%、98%、および好ましくは少なくとも99%のアミノ酸が配列番号1のフィターゼと同一であることを示すか、または少なくとも80%、90%、95%、98%、および好ましくは少なくとも99%のアミノ酸が配列番号2のフィターゼと同一であることを示す。
【0049】
好ましくは、前記第1のフィターゼは、配列番号1および配列番号2のフィターゼと同じ性質、特に同じ触媒的な性質を有する。好ましくは、前記第1のフィターゼは、シャウンニオマイセス・カステリもしくはデバリオマイセス・カステリの他の株または他の酵母から単離される。あるいは、前記第1のフィターゼは、部位特異的な突然変異誘発技術により得られる。
【0050】
「同一であるアミノ酸」という表現は、2つの配列間で変化がないアミノ酸を意味するものである。前記第1のフィターゼは、配列番号1または配列番号2のフィターゼに対して、少なくとも1のアミノ酸の欠失、付加、もしくは置換を示してよい。
【0051】
配列番号1および配列番号2のフィターゼは、共通の触媒性の性質を有する。本発明によると、本発明による組成物および方法において使用される第1のフィターゼは、配列番号1または配列番号2のフィターゼとある程度の同一性を示し、前記共通の触媒性の性質は保存される。
【0052】
好ましくは、前記第1のフィターゼは3-フィターゼの活性を有する。好ましくは、前記第1のフィターゼは、フィチン酸の6のリン酸結合の加水分解を触媒する。
【0053】
3-フィターゼ(EC 3.1.3.8)は、最初に3位のリン酸塩を加水分解する。
【0054】
フィチン酸の全てのリン酸結合(1、2、3、4、5、および6位)を加水分解することができるフィターゼは、ミオイノシトール1,2,3,4,5,6-六リン酸(フィチン酸, InsP6)の無機一リン酸塩および遊離ミオイノシトールへの加水分解を触媒する。
【0055】
多くのフィターゼは、フィチン酸の5のリン酸結合のみ、すなわち潜在的なリンの83%を加水分解する。これらの酵素は、フィチン酸をミオイノシトール一リン酸塩に加水分解するが、遊離ミオシトールには加水分解しない。
【0056】
「フィターゼの活性」という表現は、フィターゼの酵素活性を意味するものである。前記活性は、タンパク質mg当りの国際単位(I.U.)で表される。1 I.U.の酵素活性は、単位時間当り、与えられたpHおよび与えられた温度において、1μmolの気質を変換する触媒能力である。
【0057】
好ましくは、前記第1のフィターゼは、55℃〜80℃の至適温度、およびpH3.5〜pH5の至適pHを有する。
【0058】
好ましい実施形態において、前記第1のフィターゼは、酵母シャウンニオマイセス・カステリのフィターゼまたは酵母デバリオマイセス・カステリのフィターゼである。
【0059】
もう1つの特に有益な実施形態において、前記第1のフィターゼは配列番号1のフィターゼまたは配列番号2のフィターゼである。
【0060】
本発明による組成物は、配列番号3のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第2のフィターゼを少なくとも含んでなる。
【0061】
前記配列番号3のフィターゼは、糸状菌アスペルギルス・ニガーのフィターゼである。
【0062】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、少なくとも80%、90%、95%、98%、好ましくは少なくとも99%のアミノ酸が配列番号3のフィターゼと同一であることを示す。
【0063】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、配列番号3のフィターゼの性質、特に触媒性の性質を保存する。好ましくは、前記フィターゼは、アスペルギルス・ニガーの他の株または他の糸状菌から単離される。あるいは、前記フィターゼは、例えば部位特異的な突然変異誘発技術により得られる。
【0064】
「同一であるアミノ酸」という表現は、2つの配列間で変化しないアミノ酸を意味するものである。前記第2のフィターゼは、配列番号3のフィターゼに対して、少なくとも1のアミノ酸の欠失、付加、または置換を示してよい。
【0065】
本発明によると、本発明の組成物および方法において使用される第2のフィターゼは、配列番号3のフィターゼとある程度の同一性を示し、後者の触媒性の性質を保存する。
【0066】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、フィチン酸の少なくとも5のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼである。
【0067】
好ましくは、前記第2のフィターゼは、50℃〜60℃の至適温度およびpH2〜pH6の至適pHを有する。さらに好ましくは、前記第2のフィターゼは、pH2.5〜3.5の第1の至適pHおよびpH4.5〜5.5の第2の至適pHを有する。
【0068】
好ましい実施形態において、前記第2のフィターゼは、アスペルギルス・ニガーフィターゼである。
有益な実施形態において、前記第2のフィターゼは配列番号3のフィターゼである。
【0069】
フィターゼの酵素活性は、特にpHの関数として変化する。それ故、フィターゼは、その酵素活性がより高いか、または至適となるpH範囲(または領域)を有する。「範囲」という用語は、与えられたpH領域または区間を意味するものである。2つのフィターゼは、これらのフィターゼが異なるpH範囲において活性を有する場合、相補的なpH範囲において活性を有する。好ましくは、前記範囲は重なるか、または部分的に重なる。典型的に、前記フィターゼは、酸性pHにおいてより高い酵素活性を有する。相補的なpH範囲を有する2つのフィターゼは、例えば、前記第1のフィターゼについてはpH2〜4において最大の酵素活性を有し、前記第2のフィターゼについてはpH4〜6において最大の酵素活性を有する。本発明の組成物および方法において、前記第1および第2のフィターゼは、好ましくは相補的なpH範囲または相補的な至適pHを有する。本発明による組成物および方法は、広いpH範囲においてフィチン酸の加水分解を可能にする。
【0070】
ポリペプチド間の同一性の程度を測定および同定する方法は、当業者に既知である。例えば、ベクター NTi 9.1.0, アラインメントプログラム アラインX (クラスタル W アルゴリズム) (インビトロゲン INFORMAX, http://www.invitrogen.com)が使用されてよい。好ましくは、デフォルトパラメーターが使用される。
【0071】
本発明による組成物および方法のフィターゼは、天然環境から単離または精製される。前記フィターゼは、種々の方法により調製されてよい。これらの方法は、特に、これらのフィターゼを天然に発現している細胞のような天然源からの精製、適切な宿主細胞による組換えフィターゼの産生および続く精製、化学的な合成による製造、またはこれらの種々のアプローチの組み合わせである。これらの種々の製造方法は、当業者に周知である。それ故、本発明の組成物および方法において使用されるフィターゼは、シャウンニオマイセス・カステリ、デバリオマイセス・カステリ、またはアスペルギルス・ニガーから単離されてよい。もう1つの実施形態において、本発明のフィターゼは、組換え宿主生物体から単離される。
【0072】
好ましくは、本発明による組成物は、動物に対する栄養添加物または動物の飼料からなる。
【0073】
本発明の主題は、動物に対する栄養添加物または動物の飼料の製造のための、本発明による組成物の使用でもある。
【0074】
それ故、本発明は、フィターゼ活性を提供する飼料添加物にも関する。このタイプの酵素活性の提供は、飼料の消化性の改善およびその栄養価の改善を可能にする。
【0075】
「栄養添加物」という用語は、栄養的な特徴または消化性を改善するために、一般的に少量で、飼料に意図的に加えられる物質を意味するものである。動物に対する栄養添加物には、例えば、ビタミン、ミネラル塩、アミノ酸、および酵素が含まれる。
【0076】
本発明は、動物の飼料にも関する。これらの飼料は、通常、本発明による添加物が組み込まれたあら粉または顆粒の形態である。「飼料」という用語は、動物を飼育するために使用され得るものを意味する。動物の集中した飼育に対して、動物の飼料は、通常、栄養的な基礎および栄養添加物を含んでなる。「栄養的な基礎」という用語は、ほとんどの動物の食物摂取を構成することを意味し、例えば、穀類、タンパク質、ならびに動物および/または植物由来の脂質の混合物からなる。
【0077】
動物に対する栄養的な基礎は、これらの動物の食事に適しており、当業者に周知である。通常、これらの栄養的な基礎は、例えば、トウモロコシ、コムギ、エンドウマメ、および大豆を含んでなる。これらの栄養的な基礎は、意図される種々の動物種の要求に適している。これらの栄養的な基礎は、ビタミン、ミネラル塩、およびアミノ酸のような栄養添加物を既に含有していてよい。
【0078】
好ましい実施形態において、本発明は、単胃腔動物、特に家禽およびブタのための飼料に関する。前記家禽は、特に、卵を産む雌鳥、肉のためのニワトリ、シチメンチョウ、およびアヒルを含んでなる。前記ブタは、特に、成長期のブタおよび成体のブタならびに子ブタも含んでなる。
【0079】
本発明の主題は、フィチン酸のリンの利用能を増大させ、且つ動物の飼料の消化性を改善するための、本発明による組成物の使用にも関する。
【0080】
本発明による組成物及び方法は、フィチン酸の全てのリン酸結合を加水分解することができ、シャウンニオマイセス・カステリフィターゼおよびデバリオマイセス・カステリフィターゼから選択される第1のフィターゼ、ならびにフィチン酸の少なくとも5のリン酸結合を加水分解することができ、且つ前記第1のフィターゼのpH範囲と相補的なpH範囲において酵素活性を有する第2のフィターゼが併用される。
【0081】
〔図面〕
図1:単独または対で併用した6のフィターゼについての、種々のpHにおけるフィチン酸の加水分解の動態の比較。結果は、放出された理論的なリン酸塩の%として表される。
【0082】
図2:120分間の反応の後の種々のフィターゼによるフィチン酸のパーセンテージ加水分解。(A)フィターゼ単独、(B)フィターゼの併用。点線は、5のリン酸結合の加水分解に対応する。
【0083】
図3:6のフィターゼについての、種々のpHにおけるフィチン酸の加水分解の初期速度の比較(μmol.ml-1.分-1)。(A)フィターゼ単独、(B)フィターゼの併用。前記速度は、反応の最初の10分間で計算した。
【実施例】
【0084】
物質および方法
1.フィターゼ起源
アスペルギルス・ニガー Natuphos (AN): バッチR2503またはバッチ057NPHO2
Wim van Hartingsveldt, Cora M. J. van Zeijl, G. Marian Harteveld, Robin J. Gouka, Marjon E.G. Suykerbuyk, Ruud G. M. Luiten, Peter A. van Paridon, Gerard C. M. Selten, Annemarie E. Veenstra, Robert F. M. van Gorcom and Cees A. M. J. van den Hondel; Cloning, characterization and overexpression of the phytase-encoding gene (phyA) of Aspergillus niger. Gene, 127, (1) 87-94 (1993)
ペニオフォラ・リシイ (PL): バッチ 172NHSO2
Lassens, S.F., Breinholt, J., Ostergaard, P.R., Brugger, R., Bischoff, A., Wyss, M. and Fuglsang, C.C.; Expression, gene cloning, and characterization of five novel phytases from four basidiomycete fungi: Peniophora lycii, Agrocybe pediades, a Ceriporia sp., and Trametes pubescens. Appl. Environ. Microbiol. 67 (10), 4701-4707 (2001)
ペニシリウム・フニクロサム (PF): Godo A1346 バッチ 1301
WO 03054199
コムギ (B): Sigma reference P1259.
WO 0183763
シャウンニオマイセス・カステリ (SC): カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)バッチ10059 CN 25において産生
EP 0931837
デバリオマイセス・カステリ株 CBS 2923 (DC)。
【0085】
2.酵素的な方法
フィターゼ活性は、一定時間に渡って無機リン酸塩の放出を追うことにより測定される。
【0086】
前記活性は、200mMの酢酸ナトリウム緩衝液中に溶解された8 mMのフィチン酸ナトリウム(シグマ社)、pH 5.5の存在下、37℃で測定される(5 容積)。酵素の抽出物の添加により、反応を誘発する(1容積)。20%トリクロロ酢酸を用いた媒質の酸性化により、反応を停止させる(1容積の反応媒質+1容積の酸)。リン酸塩の放出量は、種々のインキュベーションの時間の後に測定される。
【0087】
1酵素単位(U)は、1分に1μmolの無機リン酸塩を放出する酵素の量として定義される。
【0088】
3.種々のpHにおけるフィテートの加水分解のための条件
加水分解は、40℃で、0.340mMのフィチン酸ナトリウム、0.04または0.08U/mlのフィターゼを含有する、10mlの250mMアセテート緩衝液, pH4〜6.5、200mMグリシン緩衝液, pH3において行われる。試料は、120分間の種々の時間で取る。反応は、トリクロロ酢酸の添加により停止する。
リン酸塩は、希釈せずに直接的に分析される。
【0089】
4.リン酸塩の分析
放出されるリン酸塩の量は、比色により可視化される。可視化溶液は、即席で調製され、硫酸鉄(380 mM, 1容積)およびヘプタモリブデン酸アンモニウム(12 mM, 4容積)を含む。UV/可視分光光度計(ベックマン DU 530)を用いて、外界温度で30分間可視化した後(反応媒質 1容積+可視化溶液 1容積)、700nmで吸収を測定する。
検量線は、リン酸二水素カリウムを用いて予め作成する。
【0090】
〔結果〕
1.フィターゼ試験
試験されるフィターゼは、種々の基準によると相互に異なる:(1)生物化学的な特徴(至適pH、立体特異性:3、4、または6フィターゼ)、(2)加水分解されるリン酸結合の数。
【0091】
これら全てのフィターゼは、5に近い至適加水分解pHを有するが、ANおよびPLフィターゼは、2.5に第2の至適pHを有する。3つは、リン酸塩を完全に加水分解する(SC、DC、コムギ)。最初に加水分解される位置は、3位(AN、PL、DC)もしくは6位(PL)、または4位(コムギ)である(表1)。
【表1】

【0092】
(1) Ullah, A.H.J. and Sethumadhavan, K., (2003) PhyA gene product of Aspergillus ficuum and Peniophora lycii produces dissimilar phytases. Biochemical and Biophysical Research Communications 303: 463-468
(2) 2003年6月13日に出願されたWO 03054199 Bohlmann, R., Moussu, F., Nore, O., Pierrard, J., Saunier, D., Testeniere, O., New polynucleotide encoding fungal phytase, useful as feed additive to improve phosphate assimilation, also new strain of Penicillium.
(3) Nakano, T., Joh, T., Narita, K., Hayakawa, T. (2000) The pathway of dephosphorylation of myo-Inositol Hexakisphosphate by Phytases from Wheat Bran of Tricicum aestivum L. cv Nourin#61. Biosci. Biotechnol. Biochem., 64:995-1003
(4) Segueilha, L., Lambrechts, C., Boze, H., Moulin, G. and Galzy, P. (1992) Purification and Properties of the Phytase from Schwanniomyces castellii. J. Ferment. Bioeng. 74(1):7-11。
【0093】
2.種々のpHにおける、6のフィターゼによるフィチン酸加水分解の効率の比較
試験は、0.340mMのフィテートの存在下で行われる。導入される酵素の量は0.08U/mlのフィターゼに対応し、pH5.5における標準的な条件下で測定される。試験されるpH値は、3、4、5.5、6、6.5である。反応は、120分間観察する。試料を一定時間採取した後、酸性化により反応を停止させ、比色によりリン酸塩を分析する。
【0094】
種々のフィターゼの比較は、加水分解効率の関数、すなわち理論的なパーセンテージに対する放出されたリン酸塩のパーセンテージとして行われる。結果は、図1Aに示す。
【0095】
文献によると、4のフィターゼ(PF、SC、DC、B)はフィチン酸をイノシトールおよびリン酸塩に完全に加水分解することができ、2のフィターゼ(ANおよびPL)は、5の結合のみ、すなわち潜在的なリンの83%を加水分解することができる。
【0096】
pH3およびpH4の試験条件下において、4のフィターゼ(SC、PF、DC、およびPL)は、少なくともフィチン酸の80%を加水分解する。コムギフィターゼは、pH3およびpH4においてそれほど活性がない。pH5.5以上のpH値について、フィチン酸の70%より多くを加水分解するフィターゼはない。PFおよびDCフィターゼは、pH 6.5ではそれほど活性がない。ANフィターゼは、pH変化に対して最も感受性が低いが、リン酸塩の60〜70%しか放出せず、すなわち、望ましい値より10〜20%低い(図2A)。
【0097】
リン酸塩放出の初期速度の比較は、フィターゼ間のかなりの不均質性を示す(図3A)。酸性pHにおいて最も効果的なフィターゼは、シャウンニオマイセス・カステリのフィターゼであり、アスペルギルス・ニガーのフィターゼは、5.5以上のpH値において最も効果的である。コムギフィターゼは、試験された条件に関係なく最も効果的でない。
【0098】
3.併用したフィターゼの存在下のリン酸塩の放出速度におけるpHの影響
フィチン酸加水分解の効率を改善するために、2つのフィターゼのいくつかの組み合わせが試験される。各フィターゼは、0.04U/ml、すなわち全体量0.08U/mlで反応チューブに導入される。6のリン酸結合を加水分解するDCフィターゼは、5または6のリン酸結合を加水分解する他のフィターゼと組み合わせて、系統的に試験される。2つの他の組み合わせが比較のために使用され、第1に、6および5のリン酸塩を放出することができるフィターゼの他の組み合わせ(SC/AN)、第2に、非常によく似た生化学的な性質を有する2つのフィターゼPL/ANである(図1B)。
【0099】
全体的な分析は、2つのフィターゼを併用することにより大部分はフィチン酸加水分解の効率を促進すると示すことができる。しかしながら、同じ条件下において、フィチン酸を完全に加水分解するフィターゼはなく、2つの併用(DC/ANおよびSC/AN)について、pHに関わらず100〜85%のリン酸結合が加水分解される。DC/PLの組み合わせについて、酸性pHにおいて約20%の増大が観察される。PL/AN、DC/PF、およびDC/SCの組み合わせは、ほとんど改善を与えない(図2B)。
【0100】
初期の加水分解速度の比較は、フィターゼ単独の場合、および他のフィターゼの併用の場合と比較して、SC/ANの組み合わせおよびDC/ANの組み合わせについて、強い相乗効果があることを示す。加水分解速度におけるpHに関連する相違は、前記組み合わせを使用した場合に最小である。他の組み合わせは効果が少なく、相乗効果はある一定のpHにおいてのみ(例えばDC/PLについてpH3およびpH4)観察される(図3)。
【0101】
前記相乗効果は、高い程度で、フィターゼの全てのリン酸塩を加水分解することができる能力によると思われる。加えて、最もよい組み合わせは、活性について相補的な至適pH(2.5〜4.5)を有するフィターゼが考えられる。しかしながら、コムギのフィターゼおよびペニシリウム・フニクロサムのように、加水分解の効率に関して最も低い有効性であるフィターゼについて、相乗効果がほとんどないことに注目すべきである。
【0102】
4.フィチン酸の加水分解効率におけるフィターゼの濃度および比率の影響
我々は、フィチン酸加水分解におけるフィターゼの量(用量効果)およびフィターゼの混合物の比率の影響を比較した。DC/AN、DC/PL、およびAN/PLの3つの組み合わせが使用され、2つのフィターゼ濃度(0.04および0.08U/ml)について試験された(表2および3)。
【表2】

【0103】
初めの3つのカラムは、3つの単独のフィターゼについて、濃度0.08U/mlの場合の値を与える。括弧の中の値は、0.08U/mlの場合に得られた値に対する0.04U/mlの場合に得られた値の割合を表す。
【0104】
酵素の混合物(全体濃度0.08U/ml)を用いた試験の間の加水分解のパーセンテージは、3〜6で変化するpHにおいて、単独の酵素(0.8U/ml)を用いて測定した場合よりも高く、AN/DCおよびPL/DCの組み合わせについては100%に近い。AN/PL混合物は、各フィターゼを別々に用いて観察されるパーセンテージ加水分解を有意に増大させない。与えられる全量の2倍の減少(0.04U/ml)は、放出されるリン酸塩において2倍の減少を引き起こさない。ある一定の場合、すなわちpH4およびpH5.5におけるAN/DCおよびPL/DC、ならびにpH4〜6におけるAN/PLの場合において、加水分解のパーセンテージは、0.08U/mlの存在下で観察されるパーセンテージと等しい(表3)。
【表3】

【0105】
最初の3つのカラムは、3つの単独のフィターゼについて、濃度0.08U/mlの場合の値を示す。括弧の中の値は、0.08U/mlの場合に得られた速度に対する0.04U/mlの場合に得られた速度の割合を表す。
【0106】
フィターゼの併用は、広いpH範囲において、反応媒質中のフィターゼの量2倍減少させることができるが、一方で同一の加水分解効率を維持する。リン酸塩の放出における明確な用量効果がある。
【0107】
一方、フィチン酸加水分解の初期速度は、0.08U/mlのフィターゼの存在下における場合よりも0.04U/mlの存在下における場合は少なくとも2倍低い(表3)。これらの結果は、フィターゼ間の相乗効果が、存在するリン酸塩の完全な加水分解を本質的に可能にするという仮定を支持する。
【0108】
反応媒質における各フィターゼの比率は、加水分解効率に大きく影響するようには見えない(表4)。全ての場合で、放出されるリン酸塩の量の増大が観察され、各フィターゼを50%含有する組み合わせについてわずかに優位性があり、主に5.5以上のpHについて見られる。
【表4】

【0109】
全ての場合において、全体量は0.08U/mlに維持する。
【0110】
我々の実験条件において、フィチン酸をイノシトールおよびリン酸塩に完全に加水分解するフィターゼはないが、それらのうち4つは、文献に従って全てのリン酸塩を放出することができる。4つのフィターゼSC、PF、DC、およびPLは、3および4のpH値において、リン酸結合の80%を加水分解する。2つの混合物DC/ANおよびSC/ANは、試験した全てのpHにおいて、リン酸結合の80〜100%を加水分解する。
【0111】
3-フィターゼ(AN、DC、PF)、4-フィターゼ(B)、または6-フィターゼ(PL)のタイプのフィターゼと他のフィターゼの併用は、注目すべき改善を提供しない。
【0112】
フィターゼ間の相補性および相乗効果は、各フィターゼに特異的な2つの基準に依存する:(1)pHの関数としてのそれらの活性のプロフィール、(2)全てまたは一部のリン酸塩を加水分解するそれらの能力。
【0113】
動物の栄養におけるそのような組み合わせの使用は、使用されるフィターゼの量を少なくとも20%減少させることができ、それによりコストを削減できる。飼料におけるフィチン起源のリン酸塩の含量は増大し、栄養価を改善し、無機リン酸塩の摂取を減少させることができるであろう。利用できないリン酸塩により引き起こされる汚染は、結果として減少するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】単独または対で併用した6のフィターゼについての、種々のpHにおけるフィチン酸の加水分解の動態の比較。
【図2】120分間の反応の後の種々のフィターゼによるフィチン酸のパーセンテージ加水分解。
【図3】6のフィターゼについての、種々のpHにおけるフィチン酸の加水分解の初期速度の比較(μmol.ml-1.分-1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィチン酸(ミオイノシトール 1,2,3,4,5,6-六リン酸)の加水分解のための少なくとも2のフィターゼを組み合わせた組成物であって、
a)配列番号1のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示すか、または配列番号2のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第1のフィターゼと;
b)配列番号3のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第2のフィターゼ
を含んでなることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記第1のフィターゼは、フィチン酸の6のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1のフィターゼは、55℃〜80℃の至適温度およびpH3.5〜pH5の至適pHを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1のフィターゼは、酵母シャウンニオマイセス・カステリのフィターゼまたは酵母デバリオマイセス・カステリのフィターゼであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1のフィターゼは、配列番号1のフィターゼまたは配列番号2のフィターゼであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2のフィターゼは、フィチン酸の少なくとも5のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2のフィターゼは、50℃〜60℃の至適温度およびpH2〜pH6の至適pHを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2のフィターゼはアスペルギルス・ニガーフィターゼであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2のフィターゼは配列番号3のフィターゼであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
動物のための栄養添加物または動物の飼料からなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
動物のための栄養添加物または動物の飼料の製造のための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
フィチン酸のリンの利用能を増大させ、動物の飼料の消化性を改善するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
フィチン酸(ミオイノシトール 1,2,3,4,5,6-六リン酸)を、無機一リン酸塩、より低いリン酸化度であるミオイノシトール、および遊離のミオイノシトールに加水分解する方法であって、
a)配列番号1のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示すか、または配列番号2のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第1のフィターゼを提供する工程と;
b)配列番号3のフィターゼと少なくとも80%の同一性を示す第2のフィターゼを提供する工程と;
c)フィチン酸を、前記第1のフィターゼおよび前記第2のフィターゼと同時に接触させる工程
を含んでなることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記第1のフィターゼは、フィチン酸の6のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のフィターゼは、55℃〜80℃の至適温度およびpH3.5〜pH5の至適pHを有することを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のフィターゼは、酵母シャウンニオマイセス・カステリのフィターゼまたは酵母デバリオマイセス・カステリのフィターゼであることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のフィターゼは、配列番号1のフィターゼまたは配列番号2のフィターゼであることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のフィターゼは、フィチン酸の少なくとも5のリン酸結合の加水分解を触媒する3-フィターゼであることを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のフィターゼは、50℃〜60℃の至適温度およびpH2〜pH6の至適pHを有することを特徴とする、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のフィターゼはアスペルギルス・ニガーフィターゼであることを特徴とする、請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のフィターゼは配列番号3のフィターゼであることを特徴とする、請求項13〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
a)配列番号1のシャウンニオマイセス・カステリフィターゼまたは配列番号2のデバリオマイセス・カステリフィターゼ;
b)配列番号3のアスペルギルス・ニガーフィターゼ
を含んでなることを特徴とする、動物を飼育するためのキットまたはアセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−500028(P2009−500028A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519970(P2008−519970)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001652
【国際公開番号】WO2007/006952
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507200961)アディッソ・フランス・エス.エー.エス. (12)
【氏名又は名称原語表記】ADISSEO FRANCE S.A.S.
【住所又は居所原語表記】42,avenue Aristide Briand, 92160 Antony, FRANCE
【Fターム(参考)】