説明

フィトスフィンゴシンまたはその誘導体を含む組成物

【課題】フィトスフィンゴシンまたはその誘導体を含む組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、フィトスフィンゴシンもしくはその誘導体、またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含むガン治療用の組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガン治療用または放射線増感効果の増進用の組成物に関する。さらに詳細には、本発明は正常細胞に対する副作用がなく、放射線に対するガン細胞の感受性を増大させるガン治療用または放射線増感効果の増進用の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
抗ガン治療は、手術、放射線治療、化学療法に大別される。アルキル化剤(alkylating agents)、抗生物質(antibiotics)、抗代謝剤(antimetabolites)、植物誘導体(plant derivatives)およびステロイドが、抗ガン化学療法剤として使われている。アルキル化剤としてシスプラチン(Cisplatin)、抗生物質薬剤としてドキソルビシン塩酸塩(Doxorubicin hydrochloride)、抗代謝薬剤としてペントスタチン(Pentostatin)、植物誘導体薬剤としてタキソール(Taxol)およびステロイド薬剤としてデキサメタソン(Dexamethasone)などいくつかの薬剤が抗ガン化学療法として一般的に使われている。しかし、これら抗ガン薬は、正常細胞を損傷させるなど、副作用を引き起こすことが知られている。
【0003】
現在、韓国のガン患者の35%ほど、および米国のガン患者の50%ほどが放射線治療を受けている。放射線治療を受けるガン患者の数は毎年増加している。従って、ガン治療において放射線治療の重要性が増している。
【0004】
放射線治療は、多種のガンを治療するために必要である。しかしながら、放射線治療は細胞の放射線耐性、および高線量照射による正常組織の損傷などによって放射線治療の効率が低下してしまうといった問題を有している。
【0005】
従って、放射線治療の効率を向上させるための放射線増感剤を開発するための多大な研究が行われてきた。この点において、現在、抗ガン剤として知られているタキソールとシスプラチンとを用いて乳ガン、子宮頚ガン、肺ガン、胃ガン、大腸ガン(またはcolorectal cancer)などさまざまな固形ガンで放射線感受性を増大させる試みがなされている。タキソールおよびシスプラチンを固形ガン患者に放射線と共に投与した結果、放射線治療効率を向上させるということが報告された。

しかし、これらの抗ガン剤は、その副作用が大きいだけではなく、特定のガン細胞にのみしか適用できない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、正常細胞に副作用を与えずに、多種のガン細胞に効果を表すガン治療用の組成物および放射線増感効果の増進用の組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一様態により、本発明は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含むガン治療用の組成物を提供する:
【化1】

【0008】
式中、Rは、水素または、置換されたもしくは置換されていないCからC20のアルキルカルボニル基である。
【0009】
本発明の別の一様態により、本発明は、正常細胞に副作用を与えずに、多種のガン細胞に等しく効果を表す放射線増感効果の増進用の組成物、すなわち前記化合物またはその薬学的に許容される塩を含む放射線増感効果の増進用の組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
本明細書で使用する「放射線増感剤(radiosensitizer)」という用語は、放射線治療時に併用処理されて放射線に対するガン細胞の感受性を増進させ、ガン細胞殺傷効果および増殖抑制効果を介して放射線治療効率を上昇させる物質をいう。
【0012】
本発明は、下記化学式1で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含むガン治療用の組成物および放射線増感効果の増進用の組成物を提供する:
【化2】

式中、Rは、水素または、置換されたもしくは置換されていないCからC20のアルキルカルボニル基である。
【0013】
本発明者らは、多様なガン細胞に対し、化学式1のフィトスフィンゴシンまたはその誘導体を投与して抗ガン治療を実施した結果、ガン細胞のアポトーシス性細胞死が増進することを発見した。
【0014】
本発明のガン治療用の組成物に使われるフィトスフィンゴシンは、植物から分離されうる植物細胞膜の脂質代謝産物であるが、その生理活性メカニズムについて正確に知られておらず、抗ガン剤としての機能もまた全く知られていない。
【0015】
さらに、本発明の組成物において、フィトスフィンゴシン誘導体は、前記フィトスフィンゴシンの基本構造を含む化合物ならば、特別に限定されるものではないが、望ましくは前記化学式1で、Rが水素、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基またはドデカノイル基であり、さらに望ましくはRが水素、ブタノイル基、ヘキサノイル基、またはオクタノイル基である。
【0016】
がアルキルカルボニル基である化学式1のフィトスフィンゴシン誘導体は、フィトスフィンゴシンに構造的な安定性を与えつつ、ガン細胞への吸収を容易にする構造である。これら誘導体についても、生理学的な役割は、やはり全く知られておらず、抗ガン剤としての役割も、やはり報告されていない。
【0017】
そして、前記フィトスフィンゴシン誘導体は、フィトスフィンゴシンのアミノ基をアシル化することにより、容易に得ることができるが、このとき、アシル化は、酸、無水物、エステル、アミドなどを使用する一般的な方法によって製造されるか、または商業的に購入可能である((株)斗山バイオテック)。
【0018】
本発明のガン治療用の組成物または放射線増感効果の増進用の組成物は、前記化学式1で表示される化合物またはその薬学的に許容される塩の形態で使用可能である。前記塩としては、薬学的に許容される塩ならば特別に限定されず、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ギ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸などの酸の付加された塩の形態でありうる。
【0019】
本発明のガン治療用の組成物または放射線増感効果の増進用の組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。すなわち、本発明で使用可能な薬学的に許容される担体としては、一般的な賦形剤、崩解剤、結合剤、滑沢剤、その他の添加剤、例えば安定剤、緩和剤、乳化剤などを選択して使用可能である。例えば、賦形剤として微結晶セルロース、乳糖、低置換されたヒドロキシセルロースなどが含まれ、崩解剤として澱粉グリコール酸ナトリウム、および無水リン酸一水素カルシウムなどが含まれる。結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン、低置換されたヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが含まれ、滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク(滑石)が含まれる。
【0020】
また、本発明のガン治療用の組成物または放射線増感効果の増進用の組成物は、顆粒剤、散剤、液剤、錠剤、カプセル剤、または乾燥シロップ剤などの経口用剤形または注射剤などの非経口用剤形として製剤化可能であり、経口または非経口で投与可能である。望ましくは、本発明の組成物は、エタノールに溶解させた液剤状に製剤化して経口投与することができる。
【0021】
本発明のガン治療用の組成物または放射線増感効果の増進用の組成物、またはその薬学的に許容される塩の治療学的に有効な量は、50mg/kg/dayから2,000mg/kg/dayの範囲でありうる。しかし、前記治療学的に有効な量および単位投与量の形態は、照射される放射線量、患者の年齢、性別、状態などによって変更可能である。
【0022】
また、フィトスフィンゴシンのアナログであるスフィンゴシンについても、細胞の増殖、分化、死滅などに関与し、かつ肝臓ガン細胞でアポトーシスを誘導するという報告があるだけで、その生理学的な役割と作用メカニズムについては、正確に知られていない。
【0023】
本発明の発明者らは、さまざまなインビトロ(in vitro)およびインビボ(in vivo)実験を介し、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体の抗ガン効果を確認した。
【0024】
化学式1によるフィトスフィンゴシンまたはその誘導体は、子宮頚ガン細胞、乳ガン細胞、肺ガン細胞のアポトーシスを誘導した。前記多様なヒトガン細胞に対するフィトスフィンゴシンまたはその誘導体によるアポトーシス効果は、処理濃度および処理後時間に依存的に示された。例えば、ヒト子宮頚ガン細胞に対してフィトスフィンゴシンは、15μg/mlの濃度で12時間から18時間処理した場合に、50%のアポトーシスを示し、ヒトの乳ガン細胞に対しては、10μg/mlの濃度で12時間処理した場合に、50%のアポトーシスを示し、ヒト肺ガンと血液ガンとに対しては、それぞれ10μg/mlと5μg/mlの濃度で、3時間から6時間処理した場合に、50%以上のアポトーシスを示した。
【0025】
また、フィトスフィンゴシンの処理時の、ガン細胞のミトコンドリア膜のポテンシャルとミトコンドリアのシトクロム(Cytochrome)Cの分泌との関係についての実験では、培養された肺ガン細胞に対する処理時に、フィトスフィンゴシンによるアポトーシスが増加することにより、ガン細胞のミトコンドリア膜のポテンシャルが小さくなり、これによってミトコンドリアからアポトーシス関連因子であるシトクロムCの分泌が増加した。また、アポトーシス誘導に直接的な役割を果たすアポトーシス因子であるカスパーゼ(Caspase)などの活性もかなり上昇した。これらの事実から、特定の理論により制限されることなしに、フィトスフィンゴシンにより誘導されるアポトーシスは、ミトコンドリア膜のポテンシャルの消失によるアポトーシス関連タンパク質であるシトクロムCの分泌増加と、これによるカスパーゼの活性とによるものであると推定される。
【0026】
また、ヌードマウスを利用したガン細胞移植の動物実験の結果でも、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体は、抗ガン効果を示した。例えば、ヒト子宮頚ガン細胞を移植したヌードマウスに、フィトスフィンゴシンを一日50mg/kgの濃度で一週間の間経口投与した後、40日間腫瘍サイズを測定した場合、フィトスフィンゴシン処理された群では、対照群とは異なり、20日目まで腫瘍サイズが大きくならず、40日目でもその増加は微小なものであった。対照群と比較し、フィトスフィンゴシンは、顕著な腫瘍増殖抑制効果を示した。
【0027】
また、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体は、ラットを対象にした経口または経皮毒性実験で、LD50(50%の細胞死を誘導する容量)値が2,000mg/kg以上と生理学的にかなり安全であり、他の副作用をほとんど示さない物質であることが確認された。
【0028】
上記の結果から、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体が副作用なしにヒト肺ガン細胞、子宮頚ガン細胞、乳ガン細胞、および血液ガン細胞で抗ガン効果があるということが分かった。
【0029】
また、本発明者らは、多様なガン細胞について、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体を投与して放射線治療を行った結果、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体を投与していない場合に比べ、放射線によるガン細胞のアポトーシス率が向上することにより、放射線治療効率を増大できるということを明らかにした。
【0030】
本発明の放射線増感効果の増進剤として使われるフィトスフィンゴシンまたはその誘導体は、放射線増感剤としての機能もまた全く知られていない。
【0031】
また、本発明の発明者らは、さまざまなインビトロおよびインビボ実験を介し、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進を確認した。
【0032】
本発明の一態様において、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体は、放射線治療の主対象になるガン細胞である、子宮頚ガン細胞、乳ガン細胞、肺ガン細胞を放射線と共に処理したとき、それらのガン細胞に対していずれも放射線単独処理群に比べ、放射線によるガン細胞のアポトーシス率を30%以上顕著に向上させた。さらに、ヌードマウスを利用したガン細胞移植動物実験の結果でも、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体は、放射線と併用処理した場合、放射線単独処理と比較して、ガン細胞増殖をはるかに減少させた。
【0033】
上記の結果から、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体が副作用なくヒト肺ガン細胞、子宮頚ガン細胞、乳ガン細胞および血液ガン細胞に対して放射線治療効率を顕著に向上させる効果があるということが分かり、放射線増感効果の増進剤の活性成分として有効に利用可能であるということを確認した。
【0034】
以下、実施例を介して本発明をさらに詳細に説明する。それら実施例は、単に本発明を例示するためであり、本発明の範囲がそれら実施例により制限されると解釈されてはならない。
【0035】
次の略字は、本明細書および図面で次のような意味を有する:
Cont:対照群;
IR:放射線;
PS:フィトスフィンゴシン;
C4PS:N−ブタノイルフィトスフィンゴシン;
C6PS:N−ヘキサノイルフィトスフィンゴシン;
C8PS:N−オクタノイルフィトスフィンゴシン;
C12PS:N−ドデカノイルフィトスフィンゴシン。
【0036】
実施例1
ガン細胞をフィトスフィンゴシン、C4PS、C6PS、C8PSおよびC12PS(ドイツのCosmoferm社から購入)でそれぞれ処理し、抗ガン効果を次の通り評価した。
【0037】
実験材料であるガン細胞は、ヒト肺ガン細胞(NCl−H460、Korean Cell Line Bank)、ヒト乳ガン細胞(MDA−MB−231、米国ATCC(American Type Culture Collection))、ヒト子宮頚ガン細胞(HeLa、Korean Cell Line Bank)および血液ガン細胞(Jurkat、米国ATCC)であり、10%の組織培養用ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンの入っているRPMI 1640培地(GIBCO BRL)で培養した。
【0038】
1.アポトーシス試験
ヒト肺ガン、乳ガン、子宮頚ガン、および血液ガン細胞に対し、それぞれ次の通りアポトーシス試験を行った。
【0039】
フィトスフィンゴシンまたはその誘導体をDMSOに溶解させ、互いに異なる濃度の試料(1,2,5,10,15,20μg/ml)を準備した。下記処理スケジュールにより、フィトスフィンゴシンで処理したガン細胞を培養した後、PBS(Phosphate Buffered Saline)で洗浄し、70%エタノールで固定した。固定された細胞をPBSで再び洗浄した後、細胞をPBSに懸濁させた後、1mg/mlのRNaseを添加し、50μg/mlのヨウ化プロピジウム蛍光試薬でDNAを染色した後、流動細胞計数器(Becton DICKINSON)を使用してSub G1の変化を測定した。Sub G1は、アポトーシス性細胞死のマーカーであり、細胞周期のG1期のDNA分布より低いDNA分布を意味する。
フィトスフィンゴシン処理のスケジュール:
(1−1)フィトスフィンゴシンの抗ガン効果を測定するために、10μg/mlのフィトスフィンゴシンを肺ガン、乳ガン、子宮頚ガンおよび血液ガン細胞の入っているディッシュにそれぞれ5mlずつ添加した。
【0040】
(1−2)フィトスフィンゴシン濃度および処理後の培養時間と抗ガン効果との関係について調べるために、2,5,10および15μg/mlのフィトスフィンゴシンを、ヒト子宮頚ガン細胞の入っているディッシュおよびヒト乳ガン細胞の入っているディッシュにそれぞれ5mlずつ添加した。さらに、5,10,15および20μg/mlのフィトスフィンゴシンをヒト肺ガン細胞の入っているディッシュに添加し、1,5,10および20μg/mlのフィトスフィンゴシンをヒト血液ガン細胞の入っているディッシュに前記と同じ量で添加した。
【0041】
(1−3)フィトスフィンゴシン誘導体の抗ガン効果についても、前記(1−1)および(1−2)と同様に実験を行った。5μg/mlのC4PS、C6PS、C8PSおよびC12PSをヒト肺ガン細胞の入っているディッシュにそれぞれ5mlずつ添加した。
【0042】
試験結果
ヒトガン細胞に対するフィトスフィンゴシンの抗ガン効果(前記(1−1)実験)を調べて図1に示した。図1に示されているように、フィトスフィンゴシン処理していない場合に比べ、優れた抗ガン効果があることが分かり、特に肺ガンおよび血液ガン細胞のアポトーシス率が50%以上に上昇した。
【0043】
また、前記のような実験を介し、ヒト肺ガン細胞に対するフィトスフィンゴシン誘導体であるC4PS、C6PS、C8PS、およびC12PSそれぞれの抗ガン効果(前記(1−3)実験)を分析した結果を図2に表した。図2に示されているように、フィトスフィンゴシン誘導体は、いずれも抗ガン効果を示し、特にC4PS、およびC6PSは、48時間ほど培養した時点でほとんど100%に近いアポトーシス率を示した。
【0044】
フィトスフィンゴシン濃度および処理後の培養時間と抗ガン効果との関係について分析した(前記(1−2)実験)。ヒト子宮頚ガン細胞の場合、15μg/ml以上の濃度で12時間以上培養した場合に、50%以上のアポトーシスが誘導され(図3参照)、ヒト乳ガン細胞の場合、10μg/ml以上の濃度で12時間以上の培養時に50%以上のアポトーシスが誘導され(図4参照)、ヒト肺ガン細胞の場合、10μg/ml以上の濃度で6時間以上の培養時に50%以上のアポトーシスが誘導され(図5参照)、ヒト血液ガン細胞の場合、5μg/ml以上の濃度で6時間以上の培養時または10μg/ml以上の濃度で3時間以上の培養時に50%以上のアポトーシスが誘導された(図6参照)。
【0045】
以上から分かるように、フィトスフィンゴシンの抗ガン効果は、処理濃度および処理後の培養時間に比例するということが分かる。特に、肺ガン細胞および血液ガン細胞に対する効果がすぐれていると分かる。
【0046】
2.ミトコンドリア膜ポテンシャルの測定、およびウェスタンブロッティング
ヒト肺ガン細胞および血液ガン細胞をアポトーシス試験と同じ条件で培養し、フィトスフィンゴシン(肺ガンの場合は、10μg/ml、血液ガンの場合は、5μg/mlおよび10μg/ml)10mlで処理した。その後、ミトコンドリア膜ポテンシャルの測定およびウェスタンブロッティング実験を行った。
【0047】
(2−1)ミトコンドリア膜ポテンシャルの測定
ミトコンドリアを特異的な染色薬であるDioC6(3)(Calbiochem)30nMで30分間処理した後、培地を除去し、肺ガン細胞をPBSで二回洗浄した後、流動細胞計数法を介して分析した。
【0048】
(2−2)ウェスタンブロッティング
フィトスフィンゴシンを処理したヒト肺ガン細胞および血液ガン細胞をプロテアーゼ阻害剤が添加された細胞溶解用の緩衝液(40mMのTris−Cl(pH8.0)、120mMのNaCl、0.1%のNonidet−P4)に溶解させ、遠心分離してタンパク質を抽出し、SDS−PAGE(Sodium Dodecyl Sulfate−PolyAcrylamide Gel Electrophoresis)でタンパク質を分離し、ニトロセルロース膜に転写させた。タンパク質の付着した膜をスキムミルクを利用してブロッキング(blocking)した後、カスパーゼ3、カスパーゼ8、カスパーゼ9、およびPARP(poly(ADP−ribose)polymerase)を一次抗体として室温で1時間反応させて膜に付着させた。PBS−T(Phosphate Buffered Saline、0.1%のTween−20)で三回ほど洗浄した後、HRP(Horse Radish Peroxide)が連結された二次抗体を1時間反応させて結合させた後、ECL試薬(PerkinElmer Life Sciencec,Inc.)を使用し、カスパーゼ3、カスパーゼ8、カスパーゼ9およびPARPの発現を確認した。
【0049】
試験結果
培養した肺ガン細胞および血液ガン細胞に対し、フィトスフィンゴシンによるアポトーシスが増加するにつれ、肺ガン細胞のミトコンドリア膜のポテンシャルが小さくなり、これによってミトコンドリアからアポトーシス関連因子であるシトクロムCの分泌が増加した(図7から図9参照)。これと共に、アポトーシスの誘導に直接的な役割を果たすアポトーシス因子であるカスパーゼの活性が大きく上昇した(図10参照)。この結果から、フィトスフィンゴシンによるアポトーシス誘導および腫瘍成長の抑制作用メカニズムは、ミトコンドリア膜ポテンシャルの消失によるアポトーシスと関連したタンパク質であるシトクロムCの分泌増加と、これによるカスパーゼの活性上昇とによるものと考えられる。
【0050】
3.生体内(in vivo)動物試験
体重が20gほどであるヌードマウスを2個の群に分け、それぞれヒト子宮頚ガン細胞(NCI−H460細胞)をヌードマウスの大腿部に移植し、腫瘍サイズが120cmから150cmに至るようにした。第一群は、対照群とし、第二群は、フィトスフィンゴシンを50mg/kgの容量でオリーブ油に溶解させ、一週間の間毎日経口投与した後、それぞれの処理群を40日間、3日間隔で腫瘍の体積を測定し、その結果は、図11に示されている。
【0051】
フィトスフィンゴシンが処理された群では、対照群とは異なり、20日目まで腫瘍サイズの拡大が観察されず、40日目にも対照群と比較し、顕著な腫瘍増殖抑制効果を示した。
【0052】
実施例2
ガン細胞にフィトスフィンゴシン、C4PS、C6PS、C8PSおよびC12PSそれぞれを放射線と共に処理し、放射線増感効果の増進を次の通り試験した。
【0053】
実験材料は、前記実施例1と同じ方法で準備した。
1.コロニー形成試験およびアポトーシス試験
(1−1)コロニー形成試験
【0054】
ヒト肺ガン、乳ガン、および子宮頚ガン細胞に対し、それぞれ次の通りコロニー形成試験を行った。
【0055】
スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、C6PSおよびC8PSそれぞれをエタノールに溶解させて試料を準備した。それぞれのガン細胞600個ほどを直径60mmのディッシュにプレートし、37℃のCO培養器で一日培養した後、フィトスフィンゴシンなどと共に放射線処理し、コロニーが形成されるまで続けて培養した。適当なコロニーが形成されれば、メタノール:酢酸=3:1の固定液で固定した後、トリパンブルー(trypan blue)で染色してコロニー数を数え、コロニー形成程度を比較した。
【0056】
(1−2)アポトーシス試験
(1)まず、20μg/mlのフィトスフィンゴシンおよびその誘導体をヒト肺ガン細胞の入っているディッシュにそれぞれ5mlずつ添加した後、それらの一部は、放射線照射なしに培養し、他の一部は、放射線照射(4Gy)と共に実施例1のアポトーシス試験の手順によって実験した。試料の種類は次の通りである:
対照群(Cont)、IR、PS、PS+IR、C4PS、C4PS+IR、C6PS、C6PS+IR、C8PS、C8PS+IR、C12PS、C12PS+IR。
(2)(1)と同じ方式で5μg/mlのフィトスフィンゴシンおよびその誘導体を使用したことを除いては、ヒト血液ガン、子宮頚ガン、および乳ガン細胞についても同じ試験を実施した。
【0057】
試験結果
前記のようなコロニー形成試験およびアポトーシス試験を介し、ヒト肺ガン、血液ガン、子宮頚ガンおよび乳ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進を調べた。図12に示されているように、全体的に、放射線単独処理群およびフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の単独処理群よりは、放射線との併用処理群で、ガン細胞の成長抑制効果が増進していることが観察された。
【0058】
コロニー形成試験を介し、ヒト肺ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線によるガン細胞殺傷の増進効果を調べた結果、図12のように、放射線単独処理群、スフィンゴシン単独処理群およびPS単独処理群よりは、放射線とPSとの併用処理群で、肺ガン細胞の成長が30%以上抑制されていることが観察された。
フィトスフィンゴシンまたは誘導体の放射線による肺ガン細胞の放射線増感効果の増進を分析した結果、それらのうち、C8PSのヒト肺ガン細胞に対する効果が良好であり、C8PSの感受性上昇比率(SER:Sensitizer Enhancement Ratio)値がスフィンゴシンに対しては、1.10、フィトスフィンゴシンに対しては1.21、C6PSでは1.6、そしてC8PSでは2となり、いずれも放射線増感効果の増進を示した。
【0059】
また、図13で示されているように、ヒト肺ガン細胞を対象にフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線によるアポトーシス効果を分析した結果、それらのうち、C8PSが放射線によるアポトーシス効果を大きく向上させることを確認することができた。そして、放射線単独処理でコロニーの数が50%減少する点から、C8PSと放射線との併用処理による効果を分析してみた結果、C8PSが放射線によるヒト肺ガン細胞のアポトーシス率を30%ほど向上させることを確認した(図14(a))。
【0060】
放射線増感剤として既に知られているタキソールとC8PSの放射線増感効果の増進を比較してみたときには、PSがタキソールよりヒト肺ガン細胞に対する放射線感受性を20%以上向上させることが分かった(図14(b))。
【0061】
フィトスフィンゴシンまたはその誘導体について、先に実験した固形ガン細胞でないヒト血液ガン細胞に対する放射線増感効果の増進を調べた。フィトスフィンゴシンまたはその誘導体がヒト血液ガン細胞に対する放射線増感効果があることを確認することができた。特に、それぞれの単独処理群よりPSと放射線との併用処理群で、アポトーシス率が約20%以上増加した(図15)。ヒト血液ガン細胞に対する経時的なフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進をテストした。PSおよび放射線の併用処理群は、PS単独処理群や放射線単独処理群と比較したとき、時間依存的にアポトーシスが増進しており、18時間が経過した時点では、それぞれの単独処理群よりこれらの併用処理群でアポトーシス率が約15%以上増加した(図16)。 ヒト子宮頚ガン細胞および乳ガン細胞について、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進を調べたとき、PS、C4PSおよびC6PSで放射線増感効果の増進がすぐれていた(図17)。C6PSを対象にヒト子宮頚ガン細胞および乳ガン細胞についてのコロニー形成試験を介して放射線による感受性を確認してみた結果、SER値がヒト子宮頚ガン細胞の場合に2.67、ヒト乳ガン細胞の場合に2.40と放射線感受性効果が大きく現れることを確認できた(図18)。
【0062】
2.DAPI染色法およびDNA断片化
ヒト肺ガン細胞を前記実施例1と同じ条件で培養し、20μg/mlのC8PS 5mlを注入した。その後、DAPI染色およびDNA断片化を行った。
【0063】
(2−1)DAPI染色法およびDNA断片化
DAPI染色法は次の通り行われた。
【0064】
まず、対照群、放射線処理群、C8PS処理群およびC8PSと放射線との併用処理群のガン細胞を室温で30分間4%パラホルムアルデヒドで固定した後、PBSで洗浄した。50ng/mlのDAPI染色液を固定された細胞に添加して30分間反応させ、PBSで再び洗浄した後、蛍光顕微鏡で観察した。細胞死が起きた細胞を細胞核の凝縮および断片化により確認してその数を数え、全体に対する死滅細胞の数を百分率に換算した。
【0065】
また、DNA断片化実験は、次の通り行われた。
【0066】
C8PS処理したヒト肺ガン細胞を細胞溶解用の緩衝液(20mM Tris/HCl、pH8.0、0.1mM EDTA、1%SDSおよび0.5mg/mlプロテイナーゼK)に溶解させた後、フェノール、クロロホルムおよびイソアミルアルコールの混合液(フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1)を処理して染色体DNAを抽出した。抽出されたそれぞれの染色体DNAを1%アガロースゲル上で電気泳動してUV下で測定し、DNAの断片化程度を確認した。
【0067】
試験結果
C8PSによるヒト肺ガン細胞の放射線増感効果がいかなる経路を介して起きているのかをDAPI染色法とDNA断片化の実験を介して調べた。図19で示されているように、放射線単独処理群およびC8PS単独処理群より、放射線とC8PSとの併用処理群でアポトーシス率が高いことがDAPI染色法を介して示され、染色体DNA断片化もやはり、放射線単独処理群およびC8PS単独処理群より併用処理群で顕著に増加していることが観察された(図20参照)。これは、放射線増感効果は、C8PSを介したアポトーシスにより起こるということを意味する。
【0068】
さらに、ヒト肺ガン細胞に対するC8PSの放射線増感効果をDAPI染色法で分析した結果、放射線単独処理群またはPS単独処理群より併用処理群で、時間依存的に高いアポトーシス率を示し、18時間でそれぞれの単独処理群より併用処理群で、アポトーシス率が20%以上増加した(図21)。
【0069】
3.生体内(in vivo)動物試験
体重が約20gであるヌードマウスを4個の群に分け、ヌードマウスの大腿部にそれぞれヒト肺ガン細胞を移植した後、腫瘍サイズが120cmから150cmに至るようにした。第1群は、対照群であり、第2群は、放射線(20Gy)だけを照射し、第3群は、溶媒であるオリーブ油を50mg/kgの容量で一週間の間毎日経口投与した後で放射線(20Gy)を照射し、第4群は、フィトスフィンゴシンを50mg/kgの容量でオリーブ油に溶解させ、一週間の間毎日経口投与した後で放射線(20Gy)を照射した。その後、上記の通りに処理された処理群に対し、40日間3日間隔で腫瘍の体積を測定した。ヒト肺ガン細胞を移植したヌードマウス(腫瘍サイズ120cmから150cm)に放射線とC8PSとを併用処理したとき、放射線単独処理群またはC8PS単独処理群よりガン細胞のサイズが大きく減少した(図22)。ヌードマウスの培養日数が長くなるにつれ、肺ガン細胞を移植しただけの対照群は、培養日数依存的に肺ガン細胞の大きさが速く増大し、肺ガン細胞を移植したマウスにC8PSを処理した群は、培養10日目まで肺ガン細胞の大きさが大きくなり、10日目後にはサイズ変化がほとんどなく、放射線単独処理群の場合、培養日数依存的に遅い速度で肺ガン細胞のサイズが大きくなったが、放射線とC8PSとの併用処理群の場合には、肺ガン細胞のサイズが初めて培養を始めた時期のサイズを持続的に維持するか、または縮小することが観察された(図23)。従って、C8PSは、培養細胞レベルだけではなく、生体でも放射線増感効果の増進を示すことが観察され、これと共に、C8PSの単独処理時に腫瘍の成長がある時点で停止したと見られ、C8PS自体でも腫瘍成長を抑制できる抗ガン効能を示すことが分かった。
【0070】
かかる細胞レベルでのC4PSおよびC6PSの放射線による放射線増感効果の増進が実際に生体レベルでも起こっているのか否かをヒト子宮頚ガン細胞移植ヌードマウスを利用した動物試験を介して検証した。
【0071】
ヒト子宮頚ガン細胞をヌードマウスの大腿部に移植し、C8PSの代わりにC4PSおよびC6PSを使用したことを除いては、前記のような方法で実験した。図24および図25に示されているように、ヒト子宮頚ガン細胞を移植したヌードマウス(腫瘍サイズ120cmから150cm)に放射線とC4PSまたはC6PSを併用処理したとき、放射線単独処理群およびC4PSまたはC6PSの単独処理群よりガン細胞のサイズが大きく減少することを確認した。ヌードマウスの飼育日数が長くなるにつれ、子宮頚ガン細胞を移植しただけの群は、培養日数依存的に子宮頚ガン細胞のサイズが速く大きくなり、C4PSまたはC6PSの単独処理群は、培養7日目まで子宮頚ガン細胞のサイズが大きくなり、7日目後にはサイズがゆっくり大きくなり、放射線単独処理群の場合、培養日数に依存的に遅い速度で子宮頚ガン細胞が大きくなったが、放射線とC4PSまたはC6PSとの併用処理群の場合には、子宮頚ガン細胞のサイズ変化がほとんど観察されなかった。従って、C4PSとC6PSは、培養細胞レベルでだけではなく、生体でも放射線増感効果の増進を示すことが観察された。
【0072】
フィトスフィンゴシンおよびその誘導体それぞれに対する急性経口毒性の評価結果
フィトスフィンゴシンおよびその誘導体それぞれに対してRoyal Gist−brocades N.V.社に依頼して毒性試験を行った結果、次のような事項を確認した。
【0073】
まず、フィトスフィンゴシンおよびその誘導体それぞれについてラットを対象に急性経口毒性試験を行った結果、LD50(50%の致死量を示す容量)値が2,000mg/kg以上と、生理学的に非常に安全な物質であるということが確認された。
【0074】
また、フィトスフィンゴシンおよびその誘導体それぞれについてウサギを対象に皮膚刺激テストを行った結果、全く刺激を起こさず、Amesテストでも突然変異を誘発しない物質であると確認された。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のような実施例から、フィトスフィンゴシンおよびその誘導体がヒト肺ガン、乳ガン、子宮頚ガン、血液ガンなど多様なガンで、単独で使用時にも抗ガン効果があるが、放射線との併用処理時に、放射線治療の線量を減らしつつも、治療効率的な側面では、高線量処理効果を得ることができ、高線量放射線の治療時に現れる副作用である正常細胞の損傷を顕著に減らすことができる効果があり、従って放射線治療の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】種々のヒトガン細胞に対するフィトスフィンゴシンの抗ガン効果を表したグラフである。
【図2】ヒト肺ガン細胞に対するさまざまなフィトスフィンゴシン誘導体の抗ガン効果を表したグラフである。
【図3】ヒト子宮頚ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンの抗ガン効果を表したグラフである。
【図4】ヒト乳ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンの抗ガン効果を表したグラフである。
【図5】ヒト肺ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンの抗ガン効果を表したグラフである。
【図6】ヒト血液ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンの抗ガン効果を表したグラフである。
【図7】ヒト肺ガン細胞とフィトスフィンゴシンとの接触時間を関数で示した、ミトコンドリア膜のポテンシャル変化とシトクロムCの分泌変化とを流動細胞計数器で測定した結果を図示したグラフである。
【図8】フィトスフィンゴシン処理後の経時的なヒト肺ガン細胞のミトコンドリア膜ポテンシャル減少を表したグラフである。
【図9】フィトスフィンゴシン処理後のシトクロムCの分泌量が増加することを示す写真である。
【図10】ヒト肺ガン細胞および血液ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンによるカスパーゼの活性上昇を示すグラフである。
【図11】ヒト子宮頚ガン細胞を移植したヌードマウスに対するフィトスフィンゴシンの抗ガン効果を表したグラフである。
【図12】ヒト肺ガン細胞に対するスフィンゴシン、フィトスフィンゴシンおよびその誘導体の感受性上昇比率(SER)値の変化を表したグラフである。
【図13】ヒト肺ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進を表すグラフである。
【図14】ヒト肺ガン細胞に対するLD50での放射線の単独処理時およびC8PSと放射線との併用処理時の放射線増感効果の増進を比較して表したグラフおよび、タキソールとC8PSの放射線増感効果の増進を比較して表したグラフである。
【図15】ヒト血液ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進を表すグラフである。
【図16】ヒト血液ガン細胞に対する経時的なフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進を表すグラフである。
【図17】ヒト子宮頚ガン細胞および乳ガン細胞に対するフィトスフィンゴシンまたはその誘導体の放射線増感効果の増進を表すグラフである。
【図18】ヒト子宮頚ガン細胞および乳ガン細胞に対するC6PSのSER値の変化を表したグラフである。
【図19】DAPI染色法により確認されたヒト肺ガン細胞に対するC8PSの放射線増感効果の増進を示す写真である。
【図20】DNA断片化を解析することにより、ヒト肺ガン細胞に対するC8PSの放射線増感効果の増進を示した写真である。
【図21】C8PSと放射線を同時に適用することによるヒト肺ガン細胞のアポトーシス率の増進効果をDAPI染色法で分析した結果を表したグラフである。
【図22】ヒト肺ガン細胞が移植されたヌードマウスに対して、C8PSを投与した後の腫瘍サイズ変化を示す写真である。
【図23】ヒト肺ガン細胞が移植されたヌードマウスにC8PSを投与した後、培養日数による腫瘍サイズ変化を観察して表したグラフである。
【図24】ヒト子宮頚ガン細胞が移植されたヌードマウスにフィトスフィンゴシンの誘導体であるC4PSを投与した後、培養日数による腫瘍サイズ変化を観察して表したグラフである。
【図25】ヒト子宮頚ガン細胞が移植されたヌードマウスにフィトスフィンゴシンの誘導体であるC6PSを投与した後、培養日数による腫瘍サイズ変化を観察して表したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩を含むガン治療用の組成物:
【化1】

式中、Rは、水素または、置換されたもしくは置換されていないCからC20のアルキルカルボニル基である。
【請求項2】
が水素、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基またはドデカノイル基である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が水素、ブタノイル基、ヘキサノイル基、またはオクタノイル基である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
下記化学式1で表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩を含む放射線増感効果の増進用の組成物:
【化2】

式中、Rは、水素または、置換されたもしくは置換されていないCからC20のアルキルカルボニル基である。
【請求項5】
が水素、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基またはドデカノイル基である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
が水素、ブタノイル基、ヘキサノイル基、またはオクタノイル基である請求項4に記載の組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩を含む放射線増感効果の増進用の組成物:
【化1】

式中、Rは、水素または、置換されたもしくは置換されていないCからC20のアルキルカルボニル基である。
【請求項2】
が水素、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基またはドデカノイル基である請求項に記載の組成物。
【請求項3】
が水素、ブタノイル基、ヘキサノイル基、またはオクタノイル基である請求項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2006−514671(P2006−514671A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569123(P2004−569123)
【出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【国際出願番号】PCT/KR2003/000445
【国際公開番号】WO2004/078168
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(597060645)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティテュート (22)
【Fターム(参考)】