説明

フィブリル化ポリオレフィン発泡体

【課題】吸収性物品などに有利に用いることができる前記発泡体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂、水、および分散安定化剤を含む水分散液に、少なくとも1種類のフロス安定化界面活性剤を添加して混合物を形成すること;繊維を混合物に添加すること;および混合物を起泡させてフロスを作出すること、フロスの中の水の少なくとも一部を除去して発泡体を作出することを含み、生成された前記発泡体は非気泡構造のフィブリル化形態を有する。フィブリル化した非気泡構造を有する発泡体の平均密度は約0.02g/cm3から約0.07g/cm3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、吸収材料への適用のためのポリオレフィン発泡体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収材料は、幼児用おむつから成人失禁用衛生パッドおよび女性の必要とする衛生パッ
ドに及ぶ多くのパーソナルケア製品に用いられている。吸収性物品の有効性は、高い空隙
容量、親水性、湿潤レジリエンス(wet resiliency)、吸収の速度、および湿った場合に空
隙容量を維持する能力をはじめとする、コア吸収材料のいくつかの特性に依存する。おむ
つにおいて、例えば、吸収コアは流体を素早く獲得し、それを空きスペースに分配し、高
吸水性ポリマー(SAP)が流体を吸収して保持するまで一時的なリザーバーとして働く
必要がある。
【0003】
吸収材料の特性は、一般に、それらの支持面にそれらが置かれる方法に影響を受ける。
例えば、湿式堆積された材料は、一般に繊維の平面配置に起因して高密度であるという欠
点をもつ。エアレイド材料は嵩が高くなる傾向があるが、多孔性の限界に加えてそれらの
安定性およびレジリエンスが制限される。伝統的なフラッフパルプおよびクレープ加工さ
れたティッシュは、高い空隙容量をもたらし親水性であるが、湿潤すると崩壊する。吸収
性発泡体の開発は、これらの欠点の一部に取り組むことが有望であることが分かった。
【0004】
高い吸収性を示すことのできる発泡体および発泡材料は、一般に低密度エラストマー、
プラスチック、および多様な多孔性をもつその他の材料から作成される。発泡体および発
泡材料には6つの基本型:連続気泡、独立気泡、軟質、硬質、網状、およびシンタクチッ
クがある。連続気泡発泡体は互いにつながった孔もしくは気泡を有し、濾過適用に適して
いる。独立気泡発泡体は互いにつながった孔もしくは気泡を有さないが、浮力または浮遊
適用に有用である。軟質発泡体は、亀裂または離層することなく、折り曲げ、屈曲させる
または衝撃を吸収することができる。網状発泡体は、薄い材料のストランドまたは壁体の
相互接続するネットワークからなるマトリックスを含む非常に開放された構造を有する。
硬質発泡体は、柔軟性がほんの少ししかないか、または全くないマトリックスを特色とす
る。シンタクチック発泡体は、プラスチックまたは樹脂マトリックスにより結合されてい
る硬質なミクロスフェアまたはガラスマイクロバルーンからなる。
【0005】
上記の多様な特性をもつ発泡体はパーソナルケア製品によく見られる。発泡体を生成す
る1つの方法は、起泡工程を通じて、発泡体安定化界面活性剤の存在下、空気をポリマー
粒子の水分散液の中に導入することである。起泡は、所望の発泡体密度が得られるまで継
続してよい。この時点で発泡体は基材または乾燥用のコンベヤーベルトの上に置いてよい
。そのような方法に従って作成されるポリオレフィン気泡発泡体(PFF)の例を、先行
技術のポリオレフィン気泡発泡体の断面(図1a)および表面(図1b)のSEM画像で
ある、図1aおよび1bに示す。図1aに示されるように、これらの発泡体は、面から面
への連続気泡である。すなわち、発泡体は、表面で小さな気泡およびスポンジ様の形態を
表す断面の中央に向かってより大きな気泡を含む、連続的な網状の連続気泡形態を有する
。この型の形態により作出される毛管圧は、衛生パーソナルケア製品に望ましい一部の液
体吸収特性、例えば侵襲物(insult)の吸収および分配または吸上などを発泡体に提供する
。しかし、流体の吸収される速度(侵襲率)への制限がこれらの発泡体に存在する。侵襲
率が低すぎると、流体は、全ての流体侵襲物が発泡体パッドに吸収される前に発泡体表面
をオーバーフローする可能性がある。
【0006】
その上、気泡発泡体の小さな表面気泡中の流体を保持する毛管力は、典型的にSAPの
浸透圧性吸収圧よりも強いため、発泡体は流体の少なくとも一部を保持することができ、
SAPによる吸収を防ぐ。この結果、負荷がコアに置かれた場合に、流体を有する吸収性
コアが、皮膚を再び濡らすことになる。
【0007】
起泡した種類の発泡体の処方における別の挑戦は矛盾していて、望ましくない発泡体の
崩壊が乾燥工程中に起こり、よって発泡体の特性を制御しにくくする。繊維を積んだ発泡
体は、乾燥工程中の崩壊の程度を下げることに有用性のあることが証明された。両方とも
チェンらに発行された特許文献1および特許文献2は、セルロース系またはその他の類似
繊維からなる基礎材料を有する吸収材料を作成する方法を記載している。特許文献1およ
び特許文献2は、これらの親水性繊維が、発泡体の質量の98重量%までを占める、吸収
性発泡体の主な構造部材を含むはずであることを開示している。壁体様繊維の接着剤とし
て働くポリマー結合剤は、主に発泡体の残りの2から10%質量を占める。
【0008】
従って、吸収率の増加した吸収性物品に対する継続的な必要性が存在する。その工程に
おいて、高い空隙容量維持し、流体の毛管保持率を低下させる表面開口部を増加させるこ
とが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,261,679号明細書
【特許文献2】米国特許第6,603,054号明細書
【発明の概要】
【0010】
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、水分散液から熱可塑性発泡体を生成す
るための方法に関し、前記水分散液は、熱可塑性樹脂、水、および分散安定化剤を含み、
前記方法には、少なくとも1種類のフロス安定化界面活性剤を水分散液に添加して混合物
を形成すること;繊維を混合物に付加すること;および混合物を起泡させてフロスを作出
し、フロスの中の水の少なくとも一部を除去して発泡体を作出することが含まれ、この際
、生成された発泡体は、非気泡構造のフィブリル化された形態を有する。
【0011】
もう1つの態様では、本明細書に開示される実施形態は、熱可塑性系フィブリル化非気
泡構造に関し、この際、発泡体の平均密度は約0.02g/cm3から約0.07g/c
3である。特定の実施形態では、前記発泡体は、吸収性物品、例えば、幼児用おむつ、
女性用衛生用品、成人用失禁用品、創傷包帯パッド、外科スポンジ、医療用衣類、外科用
掛け布、ふき取り用タオル(wiping towel)、ふき取り用スポンジ(wiping sponge)、お
よび食品包装パッドなどに用いることができる。
【0012】
本開示のその他の態様および利点は、以下の図面および添付の特許請求の範囲から明ら
かとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来法により作成したポリオレフィン発泡体の断面(1a)および表面(1b)のSEM画像を示す図である。
【図2】本明細書中に開示される実施形態に従うフロスからの発泡体の形成を示す図である。
【図3】本明細書中に開示される実施形態に従う分散液を形成するために用いることのできる押出機を示す図である。
【図4】図4a〜4bは、本明細書中に開示される一実施形態に従って作成されたポリオレフィン発泡体の断面(3a)および表面(3b)の、1000μmの分解能でのSEM画像を示す図である。
【図5】本明細書中に開示される一実施形態に従って作成されたポリオレフィン発泡体の、50μmの分解能でのSEM画像を示す図である。
【図6】本明細書中に開示される一実施形態に従って作成されたポリオレフィン発泡体の壁体の断面の、10μmの分解能でのクローズアップSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、パーソナルケア吸収性物品において用いられる吸収材料および吸
収材料を作成するための方法に関する。特に、特定の実施形態は、熱可塑性樹脂粒子およ
び熱可塑性繊維により形成される発泡体に関する。特に、実施形態は、ポリオレフィン繊
維と化合したポリオレフィン粒子の水分散液から形成される発泡体に関する。以下の説明
において、本開示の理解をもたらすために多数の詳細が示される。しかし、本開示がこれ
らの詳細を実践しなくても、記載される実施形態の多数の変形形態または変更形態が可能
であり得ることは、当業者には理解される。
【0015】
本開示の一実施形態は、熱可塑性発泡体を生成するための方法からなる。本開示の吸収
性構造は、熱可塑性繊維を水分散液と混合することにより形成することができ、この際、
前記水分散液には、熱可塑性樹脂、水、および安定化剤が含まれてよい。繊維と水分散液
の混合物を泡立ててフロスを作出し、それをその後に乾燥させて少なくとも一部分の水を
除去し、発泡体を形成することができる。
【0016】
本明細書において、用語「起泡させる」または「起泡した」とは、かなりの量の空気、
またはその他の気体を液体に組み込む、一部の実施形態では、起泡した材料の少なくとも
80容量%がガス状成分からなる、プロセスをさす。その他の実施形態では、起泡した材
料の少なくとも85容量%;そして、さらにその他の実施形態では少なくとも90容量%
がガス状成分からなる。液体は、分子溶液、ミセル溶液、または水性もしくは有機媒質中
の分散液であってよい。一般に、起泡した液体は、大気条件下の高剪断混合または所望に
より混合中に系に気体を注入することなどの機械的な方法により作出される。用語「フロ
ス」とは、本明細書において、上記のように、液体媒質を乾燥させるまたは除去する前に
、既に起泡している液体をさす。本明細書において、乾燥および除去は、同義的に用いら
れてよく、液体媒質の熱的および/または機械的除去が含まれ得る。
【0017】
用語「発泡体」は、本明細書において、一部の液体媒質をフロスから取り除くことによ
り(例えば、液体媒質の少なくとも一部、かなりの部分、または全てが取り除かれてよい
)形成される、弾性構造をさす。本明細書中に開示される実施形態に従うフロスからの発
泡体の形成は、図2に例示される。フロス5は、分散液8の内部に蒸気7のポケットが含
まれてよく、分散液8には液体媒質9中にポリマー粒子10が含まれている。乾燥もしく
は除去プロセス11中に液体媒質9がフロス5から取り除かれると、ポリマー粒子10は
合体し、一緒に溶融して閉じ込められた蒸気泡13の周囲に相互に連結した膜または壁体
12を作出し、結果として生じる構造14に安定性をもたらす。膜形成は、特に、フロス
の内部のポリマーの融点、液体媒質の除去速度(すなわち蒸発速度)、および全体的なフ
ロスの組成を含む変数に依存し得る。例えば、水分散液から形成されたフロスから水が除
去される時に、その分散液に含まれているポリマーは合体し、膜を形成し、結果として生
じる発泡体に構造およびレジリエンスをもたらし得る。一部の実施形態では、残留液の量
が0から20重量%;その他の実施形態では0から10重量%;さらにその他の実施形態
では0から8%の範囲である場合に発泡体が形成され得る。
【0018】
水分散液
【0019】
より一般には、本開示の実施形態は、水分散液および起泡した発泡体を形成する際に有
用な水分散液から作成される化合物に関する。これらの起泡した発泡体は、例えば、液体
吸収性用途において有用であり得る。本開示の実施形態において用いられる分散液は、水
、(A)少なくとも1種類の熱可塑性樹脂、および(B)安定化剤を含む。これらは下記
でより詳細に考察される。
【0020】
熱可塑性樹脂
【0021】
本開示の水分散液の実施形態に含まれる熱可塑性樹脂(A)は、それ自体水中に容易に
分散可能でない樹脂である。用語「樹脂」は、本明細書において、合成ポリマーまたは化
学的に改質された天然樹脂を含むものと解釈されるべきである。
【0022】
本明細書で用いられる樹脂としては、エラストマー類およびオレフィンポリマー類のブ
レンドを挙げることができる。一部の実施形態では、熱可塑性樹脂は半結晶性樹脂である
。用語「半結晶性」は、標準的な示差走査熱量測定(DSC)評価に付された場合に少な
くとも1つの吸熱量を有する樹脂を特定するために意図される。一部の半結晶性ポリマー
は、走査温度が最後の最大吸熱量を過ぎて増加する時に、比較的緩やかな勾配を示すDS
C吸熱量を示す。これは、一般に鋭い融点であると考えられるものを有するポリマーより
むしろ、広範な溶融範囲のポリマーを反映する。本開示の分散液において有用な一部のポ
リマーは単一の融点を有し、一方、その他のポリマーは1より多い融点を有する。
【0023】
一部のポリマーにおいて、1又はそれ以上の融点は、全部又は一部のポリマーがかなり
狭い温度範囲、例えば2、3℃で融解するように鋭くてよい。その他の実施形態では、ポ
リマーは、約20℃の範囲にわたって広範な融解特性を示し得る。さらにその他の実施形
態では、ポリマーは、50℃よりも高い範囲にわたって広範な融解特性を示し得る。
【0024】
本開示において用いられ得る熱可塑性樹脂(A)の例としては、α−オレフィンのホモ
ポリマー類およびコポリマー類(エラストマーを含む)、例えば、エチレン、プロピレン
、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−
ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセ
ンなど、典型的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチ
ル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、
エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、およびプロピレン
−1−ブテンコポリマーで表されるもの;α−オレフィンの共役もしくは非共役ジエンと
のコポリマー類(エラストマーを含む)、典型的に、エチレン−ブタジエンコポリマーお
よびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーで表されるもの;ならびにポリオレフ
ィン類(エラストマーを含む)、例えば、2又はそれ以上のα−オレフィンと共役もしく
は非共役ジエンのコポリマーなど、典型的に、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリ
マー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン
−1,5−ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボル
ネンコポリマーで表されるもの;エチレン−ビニル化合物コポリマー、例えば、エチレン
−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニ
ルコポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、お
よびエチレン−(メタ)アクリレートコポリマーなど;スチレン系コポリマー類(エラス
トマーを含む)、例えば、ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマ
ー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコールなど、スチレ
ンアクリレート類、例えば、スチレンメチルアクリレート、スチレンブチルアクリレート
、スチレンブチルメタクリレート、およびスチレンブタジエン類および架橋スチレンポリ
マー類など;ならびにスチレンブロックコポリマー類(エラストマーを含む)例えば、ス
チレン−ブタジエンコポリマーおよびその水和物、ならびにスチレン−イソプレン−スチ
レントリ−ブロックコポリマーなど;ポリビニル化合物、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、ポリメチルアクリレート、お
よびポリメチルメタクリレートなど;ポリアミド類、例えば、ナイロン6、ナイロン6,
6、およびナイロン12など;熱可塑性ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタ
ラートおよびポリブチレンテレフタラートなど;ポリカーボネート、ポリフェニレンオキ
シドなど;ならびに、ポリ−ジシクロペンタジエンポリマーおよび関連ポリマー(コポリ
マー、ターポリマー)を含むガラス質炭化水素系樹脂;飽和モノ−オレフィン類、例えば
、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ブチルなど;ビニルエステル類、例えば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートなどを含む、モノ
カルボン酸のエステルなど;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、
それらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合などにより生成される樹脂が
挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、2又はそれ以上の組み合わせで用いてもよ
い。
【0025】
特定の一実施形態では、熱可塑性樹脂はエチレンと、アルケン、例えば1−オクテンな
どを含むコモノマーのα−オレフィンインターポリマーを含んでよい。エチレンおよびオ
クテンコポリマーは単独で存在してもよいし、別の熱可塑性樹脂、例えばエチレン−アク
リル酸コポリマーなどと組合せて存在してもよい。一緒に存在する場合、エチレンおよび
オクテンコポリマーと、エチレン−アクリル酸コポリマーとの間の重量比は、約1:10
から約10:1、例えば約3:2から約2:3などの範囲であり得る。ポリマー樹脂、例
えばエチレン−オクテンコポリマーなどは、約50%未満、例えば、約25%未満などの
結晶化度を有し得る。一部の実施形態では、ポリマーの結晶化度は、5から35%の範囲
である。その他の実施形態では、結晶化度は7から20%の範囲である。
【0026】
本明細書に開示される実施形態にはまた、少なくとも1つのマルチブロックオレフィン
インターポリマーを含み得るポリマー成分が含まれてよい。適したマルチブロックオレフ
ィンインターポリマーとしては、例えば、米国特許仮出願第60/818,911号に記
載されるものが挙げられ得る。用語「マルチブロックコポリマー」とは、好ましくは線状
の様式で接合された2又はそれ以上の化学的に別個の領域またはセグメント(「ブロック
」と称される)を含むポリマー、すなわちペンダント方式またはグラフト方式ではなく、
重合エチレン官能基に関して末端間で接合される化学的に区別される単位を含むポリマー
をさす。特定の実施形態では、ブロックは、組み込まれるコモノマーの量または種類、密
度、結晶化度の量、かかる組成のポリマーに起因する晶子サイズ、立体規則性の種類また
は程度(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、位置規則性もしくは位置不規則
性、分岐の量(長鎖分岐または超分岐を含む)、均質性、またはその他のいかなる化学的
もしくは物理的特性の点で異なる。マルチブロックコポリマーは、コポリマーを作成する
独自のプロセスに起因して、多分散指数(PDIまたはMw/Mn)の特有の分布、ブロッ
ク長分布、および/またはブロック数分布により特徴付けられる。より具体的には、連続
工程で製造される場合、ポリマーの実施形態は、約1.7から約8の範囲;その他の実施
形態では約1.7から約3.5の範囲;その他の実施形態では約1.7から約2.5の範
囲;およびさらにその他の実施形態では約1.8から約2.5または約1.8から約2.
1の範囲のPDIを有し得る。バッチ工程または半バッチ工程で製造される場合、ポリマ
ーの実施形態は、約1.0から約2.9の範囲;その他の実施形態では約1.3から約2
.5の範囲;その他の実施形態では約1.4から約2.0の範囲;およびさらにその他の
実施形態では約1.4から約1.8の範囲のPDIを有し得る。
【0027】
マルチブロックオレフィンインターポリマーの1つの例は、エチレン/α−オレフィン
ブロックインターポリマーである。マルチブロックオレフィンインターポリマー別の例は
、プロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。以下の説明は、エチレンを過半
数のモノマーとして有するインターポリマーに焦点を合わせているが、同じような様式で
一般的なポリマー特性に関してプロピレン系マルチブロックインターポリマーに当てはま
る。
【0028】
エチレン/α−オレフィンマルチブロックコポリマーは、化学的または物理的特性の異
なる2又はそれ以上の重合したモノマー単位(ブロックインターポリマー)の複数の(す
なわち2又はそれ以上の)ブロックまたはセグメントを特徴とする、エチレンおよび1又
はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを重合した形態で含んでよい。一部
の実施形態では、コポリマーは、マルチブロックインターポリマーである。一部の実施形
態では、マルチブロックインターポリマーは、次式:
により表され得る。
(AB)n
ここで、nは、少なくとも1であり、多様な実施形態において、nは、1より大きく、例
えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90
、100など、または1以上の大きい整数であり;「A」は、ハードブロックもしくはセ
グメントを表し;かつ、「B」は、ソフトブロックもしくはセグメントを表す。好ましく
は、A’およびB’は、分枝または星型の方法ではなく、線状の方法で連結されている。
「ハード」セグメントは、エチレンが、一部の実施形態では95重量%より多い量で、そ
の他の実施形態では98重量%より多い量で存在する、重合した単位のブロックをさす。
言い換えると、ハードセグメント中のコモノマー含量は、一部の実施形態ではハードセグ
メントの総重量の5重量%未満、その他の実施形態ではハードセグメントの2重量%未満
である。一部の実施形態では、ハードセグメントは全てのまたは実質的に全てのエチレン
を含む。他方、「ソフト」セグメントは、一部の実施形態では、コモノマー含量が、多様
なその他の実施形態において、ソフトセグメントの総重量の5重量%より多い、8重量%
より多い、10重量%より多い、または15重量%より多い、重合した単位のブロックを
さす。一部の実施形態では、ソフトセグメント中のコモノマー含量は、多様なその他の実
施形態において、20重量%より多い、25重量(eight)%より多い、30重量%より多
い、35重量%より多い、40重量%より多い、45重量%より多い、50重量%より多
い、または60重量%より多い。
【0029】
一部の実施形態では、AブロックおよびBブロックはポリマー鎖に沿ってランダムに分
布する。言い換えると、ブロックコポリマーは、
AAA―AA―BBB―BB
のような構造を有さない。
【0030】
その他の実施形態では、ブロックコポリマーは第3のブロックを含まない。さらにその
他の実施形態では、ブロックAもブロックBも2又はそれ以上のセグメント(またはサブ
ブロック)、例えばチップセグメントなどを含まない。
【0031】
マルチブロックインターポリマーは、ゼロより大きく、かつ約1.0までの範囲の平均
ブロックインデックス、ABI、および約1.3より大きい分子量分布、Mw/Mnにより
特徴付けられ得る。この平均ブロックインデックスABIは、5℃の増分で、20℃から
110℃の分取TREFで得られたポリマー画分の各々についてのブロックインデックス
(「BI」)の重量平均であり:
【数1】

式中、BIiは、分取TREFで得られたマルチブロックインターポリマーのi番目の画
分についてのブロックインデックスであり、wiは、i番目の画分の重量パーセンテージ
である。
【0032】
同様に、平均に関する2次モーメントの平方根(以下、2次モーメント重量平均ブロッ
クインデックスという)は、次のように定義することができる。
【数2】

【0033】
各ポリマー画分について、BIは、次の2つの方程式(両方に同じBI値を与える)の
一方によって定義される:
【数3】

式中、TXはi番目の画分についての分析昇温溶離分別(ATREF)溶出温度(好まし
くはケルビンで表したもの)であり、PXは、i番目の画分についてのエチレンモル分率
であり、これは下に記載されるようにNMRまたはIRによって測定することができる。
ABは、エチレン/α−オレフィンオレフィンインターポリマー全体(分別前)のエチレ
ンモル分率であり、これもNMRまたはIRによって測定することができる。TAおよび
Aは、純粋な「ハードセグメント」(これはインターポリマーの結晶性セグメントをさ
す)についてのATREF溶出温度およびエチレンモル分率である。近似値として、また
は「ハードセグメント」組成が不明なポリマーについては、TA値およびPA値を、高密度
ポリエチレンホモポリマーについての値に設定する。
【0034】
ABは、マルチブロックインターポリマーと同じ組成(PABというエチレンモル分率を
有する)および分子量のランダムコポリマーについてのATREF溶出温度である。TAB
は、エチレンのモル分率(NMRにより測定される)から次の方程式を用いて計算するこ
とができる:
Ln PAB=α/TAB+β
ここで、αおよびβは2つの定数であり、これらは、広い組成分布(broad composition
)のランダムコポリマーのよく特徴付けられた分取TREF画分および/または狭い組成
分布(narrow composition)を持つよく特徴付けられたランダムエチレンコポリマーをい
くつか用いる検量線の作成により決定することができる。なお、αおよびβが機器ごとに
異なる可能性がある。さらに、検量線を作成するために用いられる分取TREF画分およ
び/またはランダムコポリマーについて適切な分子量範囲およびコモノマーの種類を用い
て、関心対象のポリマー組成とともに適切な検量線を作成する必要がある。わずかな分子
量効果がある。検量線が同様の分子量範囲から得られるのであれば、かかる効果は基本的
に無視してよい。一部の実施形態では、ランダムエチレンコポリマーおよび/またはラン
ダムコポリマーの分取TREF画分は、次の関係を満たす。
Ln P=−237.83/TATREF+0.639
【0035】
上記の検量線式は、狭い組成分布のランダムコポリマーおよび/または広い組成分布ラ
ンダムコポリマーの分取TREF画分について、エチレンのモル分率Pを分析TREF溶
出温度TATREFに関係付ける。TXOは、同じ組成の、PXというエチレンモル分率を有する
ランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOは、LnPX=α/TXO+β
から計算することができる。逆に、PXOは、同じ組成の、TXというATREF温度を有
するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、これは、Ln PXO=α/
X+βから計算することができる。
【0036】
各分取TREF画分についてのブロックインデックス(BI)が得られると、ポリマー
全体についての重量平均ブロックインデックスABIを計算することができる。一部の実
施形態では、ABIはゼロより大きいが約0.4未満であるか、または約0.1から約0
.3である。その他の実施形態では、ABIは約0.4より大きく約1.0までである。
さらにその他の実施形態では、ABIは、約0.4から約0.7、約0.5から約0.7
、または約0.6から約0.9の範囲内であるべきである。一部の実施形態では、ABI
は、約0.3から約0.9、約0.3から約0.8、または約0.3から約0.7、約0
.3から約0.6、約0.3から約0.5、または約0.3から約0.4の範囲内である
。その他の実施形態では、ABIは、約0.4から約1.0、約0.5から約1.0、ま
たは約0.6から約1.0、約0.7から約1.0、約0.8から約1.0、または約0
.9から約1.0の範囲内である。
【0037】
マルチブロックインターポリマーのもうひとつの特徴は、インターポリマーが、分取T
REFにより得ることのできる少なくとも1つのポリマー画分を含み、前記画分は約0.
1より大きく約1.0までのブロックインデックスを有し、ポリマーは約1.3より大き
い分子量分布Mw/Mnを有することである。一部の実施形態では、ポリマー画分のブロッ
クインデックスは、約0.6より大きく約1.0まで、約0.7より大きく約1.0まで
、約0.8より大きく約1.0まで、または約0.9より大きく約1.0までである。そ
の他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.1より大きく約1
.0まで、約0.2より大きく約1.0まで、約0.3より大きく約1.0まで、約0.
4より大きく約1.0まで、または約0.4より大きく約1.0までである。さらにその
他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.1より大きく約0.
5まで、約0.2より大きく約0.5まで、約0.3より大きく約0.5まで、または約
0.4より大きく約0.5までである。さらにその他の実施形態では、ポリマー画分のブ
ロックインデックスは、約0.2より大きく約0.9まで、約0.3より大きく約0.8
まで、約0.4より大きく約0.7まで、または約0.5より大きく約0.6までである

【0038】
本明細書中に開示される実施形態で用いられるエチレンα−オレフィンマルチブロック
インターポリマーは、エチレンと少なくとも1つのC3−C20α−オレフィンのインター
ポリマーであってよい。インターポリマーは、C4−C18ジオレフィンおよび/またはア
ルケニルベンゼンをさらに含んでよい。エチレンと重合させるために有用な、適した不飽
和コモノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役もしくは非共役ジエン
、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが挙げられる。かかるコモノマーの例としては、C
3−C20α−オレフィン類、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキ
セン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノ
ネン、1−デセンなどが挙げられる。特定の実施形態では、α−オレフィンは、1−ブテ
ンまたは1−オクテンであってよい。その他の適したモノマーとしては、スチレン、ハロ
もしくはアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1
,7−オクタジエン、およびナフテン酸(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、お
よびシクロオクテンなど)が挙げられる。
【0039】
本明細書に開示されるマルチブロックインターポリマーは、従来の、ランダムコポリマ
ー、ポリマーの物理的なブレンド、および逐次モノマー添加により調製されるブロックコ
ポリマー、流動触媒、およびアニオンもしくはカチオンリビング重合法と区別することが
できる。特に、同じモノマーおよび同等の結晶化度または弾性率でのモノマー含量のラン
ダムコポリマーと比較して、本インターポリマーは、融点で測定されるより良好な(より
高い)耐熱性、より高いTMA浸透温度、より高い高温引張強さ、および/または動的機
械的分析により測定されるより高い高温捩り貯蔵弾性率を有する。インフィルの特性は、
同じモノマーおよびモノマー含量を含有するランダムコポリマーと比較してマルチブロッ
クインターポリマーの使用により利益を得てよく、前記マルチブロックインターポリマー
は、より低い圧縮永久歪(特に高温下で)、より低い応力緩和、より高い耐クリープ性、
より高い引裂強度、より高い耐ブロッキング性、より高い結晶化(固化)温度に起因する
より急速な硬化(setup)、より高い回復力(特に高温下で)、より良好な耐摩耗性、より
高い収縮力、およびより良好なオイルおよび増量剤許容性を有する。
【0040】
その他のオレフィンインターポリマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどを含む、モノビニリデン芳香族モノマーを含む
ポリマーが挙げられる。特に、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーが使用さ
れ得る。その他の実施形態では、エチレン、スチレンおよびC3−C20αオレフィンを含
む、所望によりC4−C20ジエンを含むコポリマーが使用され得る。
【0041】
適した非共役ジエンモノマーとしては、6から15個の炭素原子を有する、直鎖、分枝
鎖または環式炭化水素ジエンを挙げることができる。適した非共役ジエンの例としては、
限定されるものではないが、直鎖非環式ジエン類、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,
6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなど、分枝鎖非環式ジエ
ン類、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタ
ジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンおよびジヒドロミリセンとジヒドロオ
シネンの混合異性体など、単環脂環式ジエン類、例えば、1,3−シクロペンタジエン;
1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカ
ジエンなど、ならびに多環脂環式融合および架橋環ジエン類、例えば、テトラヒドロイン
デン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)
−ヘプタ−2,5−ジエンなど;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシ
クロアルキリデンノルボルネン類、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)
など;5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、
5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノル
ボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、およびノルボルナジエンが挙げられる。EP
DMを調製するために典型的に用いられるジエンの中で、特に好ましいジエンは、1,4
−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデ
ン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、および
ジシクロペンタジエン(DCPD)である。
【0042】
本明細書中に開示される実施形態に従って用いられ得る望ましいポリマーの1つの種類
としては、エチレン、C3−C20α−オレフィン、特にプロピレン、および所望により1
又はそれ以上のジエンモノマーの弾性インターポリマーが挙げられる。この実施形態にお
ける使用に好ましいα−オレフィンは、式CH2=CHR*により表され、ここで、R*
、1から12個の炭素原子からなる線状もしくは分枝状のアルキル基である。適したα−
オレフィンの例としては、限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン
が挙げられる。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレン系ポリマー
は、当分野で一般にEPまたはEPDMポリマーと称される。かかるポリマー、特にマル
チブロックEPDM型ポリマーを調製する際の使用に適したジエンとしては、4から20
個の炭素を含む共役または非共役、直鎖または分枝鎖、環式または多環式ジエンが挙げら
れる。好ましいジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エ
チリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および5−
ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2
−ノルボルネンである。
【0043】
1つの適した種類の樹脂として、ジ−またはポリ−カルボン酸と、ジフェノールを含む
ジオールのエステル化生成物を使用してよい。これらの樹脂は、参照により本明細書に援
用される米国特許第3,590,000号に説明されている。その他の樹脂の具体例とし
ては、スチレン/メタクリレートコポリマー、およびスチレン/ブタジエンコポリマー;
懸濁重合スチレンブタジエン;ビスフェノールAと酸化プロピレンの反応に続いて結果と
して生じる生成物とフマル酸の反応により得られるポリエステル樹脂;ならびにジメチル
テレフタレート(dimethylterphthalate)、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジ
オール、およびペンタエリトリトールの反応の結果として生じる分枝状ポリエステル樹脂
、スチレンアクリレート、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
さらに、本開示の具体的な実施形態は、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、
プロピレン−エチレンコポリマー、およびスチレン系コポリマーを組成物の一成分として
用いることができる。本開示のその他の実施形態は、脂肪族ジオール、例えば、The
Dow Chemical Company(Midland、MI)より入手可能なU
NOXOL3,4ジオールなどを含有するものを含む、ポリエステル樹脂を用いることが
できる。
【0045】
選択実施形態では、熱可塑性樹脂は、エチレン−αオレフィンコポリマーまたはプロピ
レン−αオレフィンコポリマーから形成される。特に、選択実施形態では、熱可塑性樹脂
には1又はそれ以上の非極性ポリオレフィンが含まれる。
【0046】
具体的な実施形態では、ポリオレフィン類、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、
そのコポリマー、およびそのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリ
マーなどが使用され得る。一部の実施形態では、好ましいオレフィン系重合体としては、
エルストンに対して発行された米国特許第3,645,992号に記載されるような均質
なポリマー;アンダーソンに対して発行された米国特許第4,076,698号に記載さ
れるような高密度ポリエチレン(HDPE);不均一に分枝した直鎖状低密度ポリエチレ
ン(LLDPE);不均一に分枝した線状超低密度ポリエチレン(ULDPE);均一に
分枝した線状エチレン/α−オレフィンコポリマー;例えば、その開示が参照により本明
細書に援用される、米国特許第5,272,236号および同第5,278,272号に
開示される方法により調製することのできる、均一に分枝した、実質的に線状のエチレン
/α−オレフィンポリマー;ならびに高圧、フリーラジカル重合エチレンポリマーおよび
コポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマ
ー(EVA)などが挙げられる。
【0047】
その各々が参照によりその全文が本明細書に援用される、米国特許第6,566,44
6号、同第6,538,070号、同第6,448,341号、同第6,316,549
号、同第6,111,023号、同第5,869,575号、同第5,844,045号
、または同第5,677,383号に記載される、ポリマー組成、およびブレンドも一部
の実施形態において適し得る。一部の実施形態では、ブレンドには2種類の異なるチーグ
ラー・ナッタポリマーが含まれ得る。その他の実施形態では、ブレンドには、チーグラー
・ナッタポリマーとメタロセンポリマーのブレンドが含まれ得る。さらにその他の実施形
態では、本明細書で用いられるポリマーは、2種類の異なるメタロセンポリマーのブレン
ドであってよい。その他の実施形態では、シングルサイト触媒ポリマーが使用され得る。
【0048】
一部の実施形態では、ポリマーは、プロピレン系コポリマーもしくはインターポリマー
である。一部の特定の実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーもしくはインター
ポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有するとして特徴付けられる
。用語「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」および同様の用語は、13C NM
Rにより測定されるその配列のアイソタクチックトリアッド(mm)が、一実施形態では
約0.85より大きく;もう一つの実施形態では、約0.90より大きく;もう一つの実
施形態では、約0.92より大きく;かつ、さらに別の実施形態では約0.93より大き
いことを意味する。アイソタクチックトリアッドは当分野で周知であって、例えば、13
NMRスペクトルにより測定されるコポリマー分子鎖中のトリアッド単位に関してアイ
ソタクチック配列に言及している米国特許第5,504,172号およびWO00/01
745号に記載されている。
【0049】
オレフィンポリマー、コポリマー、インターポリマー、およびマルチブロックインター
ポリマーは、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造中に組み込むことにより官能化
され得る。例示的な官能基としては、例えば、エチレン性不飽和単官能性および二官能性
カルボン酸、エチレン性不飽和単官能性および二官能性カルボン酸無水物、それらの塩お
よびそれらのエステルを挙げることができる。かかる官能基はオレフィンポリマーにグラ
フトされてもよいし、またはエチレンおよび随意のさらなるコモノマーで共重合されて、
エチレン、官能性コモノマーおよび所望によりその他のコモノマー(1又は複数)のイン
ターポリマーを形成してもよい。官能基をポリエチレンにグラフトするための手段は、例
えば、その開示の全文が参照により本明細書に援用される米国特許第4,762,890
号、同第4,927,888号、および同第4,950,541号に記載されている。特
に有用な一官能基は無水マレイン酸である。
【0050】
官能性ポリマー中に存在する官能基の量は変動する可能性がある。官能基は、一部の実
施形態では少なくとも約1.0重量%;その他の実施形態では少なくとも約5重量%;さ
らにその他の実施形態では少なくとも約7重量%の量で存在してよい。官能基は、一部の
実施形態では約40重量%未満;その他の実施形態では約30重量%未満;さらにその他
の実施形態では約25重量%未満の量で存在してよい。
【0051】
その他の特定の実施形態では、熱可塑性樹脂は、エチレン酢酸ビニル(EVA)系ポリ
マーであってよい。その他の実施形態では、熱可塑性樹脂は、エチレン−アクリル酸メチ
ル(EMA)系ポリマーであってよい。その他の特定の実施形態では、エチレン−αオレ
フィンコポリマーは、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、またはエチレン−オクテ
ンコポリマーもしくはインターポリマーであってよい。その他の特定の実施形態では、プ
ロピレン−αオレフィンコポリマーは、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレ
ン−ブテンコポリマーもしくはインターポリマーであってよい。
【0052】
特定の実施形態では、熱可塑性樹脂は、0.857から0.911g/ccの間の密度
および0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で190℃
)を有するエチレン−オクテンコポリマーもしくはインターポリマーであってよい。その
他の実施形態では、エチレン−オクテンコポリマーは、0.863から0.902g/c
cの間の密度および0.8から35g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量
で190℃)を有し得る。エチレン−オクテンコポリマーもしくはインターポリマーは、
エチレンおよびオクテンの重量で20から45%のオクテンを組み込んでよい。
【0053】
特定の実施形態では、熱可塑性樹脂は、5から20重量%の間のエチレン含量および0
.5から300g/10分のメルトフローレート(2.16kg重量で230℃)を有す
るプロピレン−エチレンコポリマーもしくはインターポリマーであってよい。その他の実
施形態では、プロピレン−エチレンコポリマーもしくはインターポリマーは、9から12
重量%の間のエチレン含量および1から100g/10分のメルトフローレート(2.1
6kg重量で230℃)を有し得る。
【0054】
特定のその他の実施形態では、熱可塑性樹脂は、0.911から0.925g/ccの
間の密度および0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で
190℃)を有する低密度ポリエチレンであってよい。
【0055】
一部の実施形態では、熱可塑性樹脂は、50%未満の結晶化度を有し得る。その他の実
施形態では、樹脂の結晶化度は5から35%であってよい。さらにその他の実施形態では
、結晶化度は7から20%の範囲であってよい。
【0056】
一部の実施形態では、熱可塑性樹脂は半結晶性ポリマーであり、110℃未満の融点を
有し得る。その他の実施形態では、融点は25から100℃であってよい。さらにその他
の実施形態では、融点は40から85℃の間であってよい。
【0057】
一部の実施形態では、熱可塑性樹脂はガラス質のポリマーであり、110℃未満のガラ
ス転移温度を有し得る。その他の実施形態では、ガラス転移温度は、20から100℃で
あってよい。さらにその他の実施形態では、ガラス転移温度は、50から75℃であって
よい。
【0058】
特定の実施形態では、熱可塑性樹脂は、10,000g/モルより大きい重量平均分子
量を有し得る。その他の実施形態では、重量平均分子量は、20,000から150,0
00g/モル;さらにその他の実施形態では、50,000から100,000g/モル
であってよい。
【0059】
1又はそれ以上の熱可塑性樹脂は、水分散液中にポリマー固形物の約1重量%から約9
6重量%の量で含まれ得る。例として、熱可塑性樹脂は、水分散液中に、一実施形態では
約10重量%から約60重量%、もう一つの実施形態では約20重量%から約50重量%
の量で存在してよい。
【0060】
安定化剤
【0061】
本開示の実施形態は、安定な分散液またはエマルジョンの形成を促進するために安定化
剤を用いる。選択された実施形態では、安定化剤は、界面活性剤、ポリマー(上に詳述さ
れるベースポリマーとは異なる)、またはそれらの混合物であってよい。その他の実施形
態では、樹脂が自己安定化剤であり、そのため外からのさらなる安定化剤は必要でない。
例えば、自己安定化系には、部分的に加水分解されたポリエステルが挙げられ、そこでは
ポリエステルを水性塩基と合することにより、ポリエステル樹脂および界面活性剤様安定
剤分子が産生され得る。特に、安定化剤は、分散剤、発泡体を起泡させるための界面活性
剤として用いることができ、または、両方の目的に役立ち得る。さらに、1又はそれ以上
の安定化剤を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
特定の実施形態では、安定化剤は、極性基をコモノマーまたはグラフトされたモノマー
のいずれかとして有する極性ポリマーであってよい。好ましい実施形態では、安定化剤に
は、極性基をコモノマーまたはグラフトされたモノマーのいずれかとして有する1又はそ
れ以上の極性ポリオレフィンが含まれ得る。典型的なポリマーとしては、エチレン−アク
リル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、PRIMACOR
(商標)(The Dow Chemical Companyの商標)、NUCREL
(商標)(E.I. DuPont de Nemoursの商標)、およびESCOR
(商標)(ExxonMobilの商標)の商標のもとで入手可能であり、その各々が参
照によりその全文が本明細書に援用される米国特許第4,599,392号、同第4,9
88,781号、および同第5,938,437号に記載されているものなどが挙げられ
る。その他の適したポリマーとしては、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマ
ー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、およびエチレンブチルアクリレート(
EBA)が挙げられる。その他のエチレン−カルボン酸コポリマーも用いてよい。当業者
であれば、いくつかのその他の有用なポリマーも用いてよいことを認識する。
【0063】
ポリマーの極性基が本来酸性または塩基性であるならば、中和剤で安定化ポリマーを部
分的にまたは完全に中和して対応する塩を形成してよい。特定の実施形態では、安定化剤
、例えば長鎖脂肪酸またはEAAなどの中和は、モルベースで25から200%;その他
の実施形態ではモルベースで50から110%であり得る。例えば、EAAに関して、中
和剤は塩基、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどである。その他の中
和剤には、例えば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムが含まれ得る。当業者であれば
、適切な中和剤の選択は処方される具体的な組成に依存すること、およびそのような選択
は当業者の知識の範囲内であることを理解する。
【0064】
その他の用いてよい安定化剤としては、12から60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸
または脂肪酸塩が挙げられる。その他の実施形態では、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は12
から40個の炭素原子を有し得る。
【0065】
本開示の実践に有用であり得るさらなる安定化剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰
イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤が挙げられる。陰イオン性界面活性剤
の例としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩、およびリン酸塩が挙げられる。陽イオン性
界面活性剤の例としては、第四級アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例として
は、エチレンオキシドおよびシリコーン界面活性剤を含有するブロックコポリマーが挙げ
られる。安定化剤として有用な界面活性剤は、外部界面活性剤かまたは内部界面活性剤の
いずれかであり得る。外部界面活性剤は、分散液の調製の間に化学的に反応してポリマー
の中に入りこまない界面活性剤である。本明細書において有用な外部界面活性剤の例とし
ては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられる。内部
界面活性剤は、分散液の調製の間に化学的に反応してポリマーの中に入りこむ界面活性剤
である。本明細書において有用な内部界面活性剤の例としては、2,2−ジメチロールプ
ロピオン酸およびその塩が挙げられる。
【0066】
特定の実施形態では、分散剤または安定化剤は、用いる熱可塑性樹脂(または熱可塑性
樹脂混合物)の量に基づいて、ゼロより大きく約60重量%までの範囲の量で用いられ得
る。例えば、長鎖脂肪酸またはその塩は、熱可塑性樹脂の量に基づいて0.5から10重
量%で用いられ得る。その他の実施形態では、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メ
タクリル酸コポリマーは、熱可塑性樹脂の量に基づいて0.5から60重量%の量で用い
られ得る。さらにその他の実施形態では、スルホン酸塩は、熱可塑性樹脂の量に基づいて
0.5から10重量%の量で用いられ得る。
【0067】
上に考察されるように、1より多くの安定化剤を用いてよく、その組合せは、例えば分
散剤として、かつ界面活性剤として用いることができる。
【0068】
分散剤
【0069】
一実施形態では、水分散液は、分散剤を水分散液の約1重量%より多くの量;もう一つ
の実施形態では約2重量%より多くの量;そしてさらに別の実施形態では約3重量%より
多くの量で含んでよい。もう一つの実施形態では、水分散液は、分散剤を水分散液の約1
0重量%未満の量;もう一つの実施形態では約8重量%未満の量;そしてさらに別の実施
形態では5重量%未満の量で含んでよい。
【0070】
ポリオレフィン樹脂に適した分散剤には、一部の実施形態では12より大きい炭素鎖長
の、その他の実施形態では18から36炭素原子の脂肪酸(1または複数)の塩が含まれ
得る。この塩は、酸を対応する塩基、例えば、NaOH、KOH、およびNH4OHで中
和することにより調製される脂肪酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩であってよい
。これらの塩は、下でより十分に説明されるように、分散段階において原位置で形成され
得る。適切な脂肪酸分散剤は、所望の平均粒度の樹脂を分散液中に実現するために押出溶
融段階のための分散剤としての機能を果たすように選択され、その平均粒度は一実施形態
では約0.2から25μmの間、もう一つの実施形態では約0.5から10μmの間であ
る。もう一つの実施形態では、ポリオレフィン粒子の粒度は0.5から1.5μmの範囲
であり得る。
【0071】
当業者であれば、比較的安定なポリオレフィン樹脂粒子の水分散液を作出するために用
いる分散剤が、用いるポリオレフィン粒子の性質によって変動し得ることを理解する。さ
らに、用いる分散剤は、その後のフロスの調製で用いられるフロス安定化界面活性剤と同
じであっても異なっていてもよい。
【0072】
分散処方物
【0073】
本明細書中に開示される実施形態に従う分散処方物には、液体媒質、例えば水など、熱
可塑性樹脂、分散安定化剤、および所望により増量剤が含まれ得る。熱可塑性樹脂および
分散安定化剤に関して、一部の実施形態では、熱可塑性樹脂は、組成物中のベースポリマ
ーと分散安定化剤の総量の約30%から99%(重量による)の間を含み得る。その他の
実施形態では、熱可塑性樹脂は、組成物中のベースポリマーと分散安定化剤の総量の約5
0%から約80%(重量による)の間を含み得る。さらにその他の実施形態では、熱可塑
性樹脂は、組成物中のベースポリマーと分散安定化剤の総量の約70%(重量による)を
含み得る。
【0074】
一実施形態では、本明細書に開示される水分散液には、サイズが約0.2から10μm
;もう一つの実施形態では約0.5から5μm;さらに約1から2μmの範囲のポリオレ
フィン樹脂粒子が含まれ得る。従って、水分散液と混合した熱可塑性繊維と比較して、ポ
リオレフィン樹脂粒子は下でさらに考察される繊維よりも数桁小さい。
【0075】
特定の実施形態では、ポリオレフィン樹脂には、エチレンおよび/またはプロピレンの
コポリマーおよびインターポリマー、ならびにC4−C10オレフィン、好ましくはα−オ
レフィンから選択される、より好ましくはC4−C8α−オレフィンから選択される、そし
て最も好ましくは、n−ブテン、n−ヘキセンおよびn−オクテンから選択されるその他
のモノマーが含まれ得る。樹脂のエチレンまたはプロピレン含量は、ポリオレフィンの約
2から98重量%の範囲であってよい。より柔らかい、より柔軟な発泡体が望ましい場合
、主としてエチレンがポリオレフィンの約98から50重量%を構成するエチレン系ポリ
オレフィンを選択することができるが、プロピレン系エラストマーも用いることができる
。曲げ弾性率の大きい、より堅い発泡体が望ましい場合、主としてプロピレンがポリオレ
フィンの約98から50重量%を構成するプロピレン系またはその他のポリオレフィンを
選択してよい。選択されたコモノマー(1または複数)は、前記ポリオレフィン粒子の残
りを構成し得る。
【0076】
一実施形態では、ポリオレフィン樹脂には、ASTM D1238(2.16kg重量
で190℃)に従って測定される、約0.1から25g/10分;もう一つの実施形態で
は0.25から22g/10分;そしてさらに別の実施形態では約0.5から18g/1
0分のメルトインデックス(「MI」)を有するエチレン系ポリオレフィンが含まれ得る
。もう一つの実施形態では、ポリオレフィン樹脂には、ASTM D1238(2.16
kg重量で230℃)に従って測定される、約0.25から85g/10分;もう一つの
実施形態では約0.7から70g/10分;さらに別の実施形態では約1.4から60;
そしてさらに別の実施形態では約2から50g/10分のメルトフローレート(「MFR
」)を有するプロピレン系ポリオレフィンが含まれ得る。
【0077】
一実施形態では、ポリオレフィン樹脂は、約0.845から0.925g/cc;もう
一つの実施形態では約0.85から0.91;さらに別の実施形態では約0.855から
0.905;そしてさらに別の実施形態では約0.86から0.90の範囲の密度を有す
るエチレン系ポリオレフィンを含んでよい。
【0078】
本開示の実施形態における使用に特に適したポリオレフィンの1つの種類は、エチレン
と1−オクテンまたは1−ブテンのコポリマーであり、ここでエチレンは、一実施形態で
はコポリマーの約50から90重量%、もう一つの実施形態ではコポリマーの約55から
85重量%を構成し、かつ、1−オクテンまたは1−ブテンは、一実施形態ではコポリマ
ーの約10から50重量%、もう一つの実施形態ではコポリマーの約15から45重量%
を構成し、かつ、エチレンコポリマーは、一実施形態では約0.25から30g/10分
、そしてもう一つの実施形態では0.5から20g/10分の範囲のメルトインデックス
を有する。
【0079】
本開示で用いるポリオレフィンのもう1つの好ましい種類は、1−プロペンおよびエチ
レン、1−オクテン、1−ヘキセンまたは1−ブテンのコポリマー類であり、ここで1−
プロペンは、一実施形態ではコポリマーの約65から95重量%、そしてもう一つの実施
形態ではコポリマーの約75から93重量%を構成し、かつ、エチレン、1−オクテン、
1−ヘキセンまたは1−ブテンは、一実施形態ではコポリマーの約5から35重量%、そ
してもう一つの実施形態ではコポリマーの約7から25重量%を構成し、かつ、コポリマ
ーは、一実施形態では約0.7から85g/10分、そしてもう一つの実施形態では約1
.4から55g/10分の範囲の、メルトフローレートを有する。
【0080】
熱可塑性樹脂および分散安定化剤は、液体媒質中に分散されていることが好ましく、液
体媒質は、一部の実施形態では水である。一部の実施形態では、約6から約14のpH範
囲を達成するために十分な塩基を加えて得られる分散液を中和する。特定の実施形態では
、約9から約12の間のpHを維持するために十分な塩基を添加する。分散液の含水量は
、熱可塑性樹脂と分散安定化剤を組み合わせた含量(固形含量)は、約1%から約74%
(容積による)の間であるように制御することができる。もう一つの実施形態では、固形
含量は約25%から約74%(容積による)の間にわたる。さらに別の実施形態では、固
形分は、約30%から約50%(増量剤なし、重量による)の間にわたる。さらに別の実
施形態では、固形含量の範囲は約40%から約55%(増量剤なし、重量による)の間で
ある。
【0081】
本開示の実施形態に従って形成された分散液は、約0.3から約3.0μmの間の平均
粒度を有することを特徴とし得る。その他の実施形態では、分散液の平均粒度は約0.8
から約1.2μmである。「平均粒度」により、本開示は容積平均粒径を意味する。粒径
を測定するために、例えばレーザー回折技法を用いることができる。この説明中の粒径と
は、分散液中のポリマーの直径をさす。球形でないポリマー粒子に関しては、粒子の直径
は、粒子の長軸と短軸の平均である。粒径は、Beckman−Coulter LS2
30 レーザー回折粒径分析器またはその他の適した装置で測定することができる。
【0082】
特定の実施形態では、熱可塑性樹脂、安定化剤、および増量剤は、押出機の中で水およ
び中和剤、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、または両者の組合せなどとともに溶融
混練されて分散液化合物を形成する。当業者であれば、多数のその他の中和剤が使用され
得ることを理解する。一部の実施形態では、熱可塑性樹脂と安定化剤をブレンドした後に
増量剤を加えてよい。
【0083】
当分野で公知のいかなる溶融混練手段を用いてもよい。一部の実施形態では、ニーダー
、BANBURY(登録商標)ミキサー、一軸スクリュー押出機、または多軸スクリュー
押出機が使用される。本開示に従って分散液を製造するためのプロセスは、特に限定され
ていない。1つの好ましいプロセスは、例えば、米国特許第5,756,659号および
米国特許出願公開第20010011118号に従う、上記の成分を溶融混練することを
含むプロセスである。
【0084】
図3は、本開示の実施形態で用いることのできる押出装置を模式的に説明する。特定の
実施形態では二軸スクリュー押出機である、押出機20は、背圧レギュレーター、溶融ポ
ンプ、またはギアポンプ30に連結されている。実施形態は、ベースリザーバ40および
初期水リザーバ50も提供し、その各々にはポンプが含まれる(図示せず)。所望の量の
ベースおよび初期水はベースリザーバ40および初期水リザーバ50からそれぞれ供給さ
れる。いかなる適したポンプを用いてもよいが、一部の実施形態では、240バールの圧
力で約150cc/分の流れをもたらすポンプを用いてベースおよび初期水が押出機20
に供給される。その他の実施形態では、液体注入ポンプは、200バールで300cc/
分または133バールで600cc/分の流れをもたらす。一部の実施形態では、ベース
および初期水は予熱器で予熱される。
【0085】
当業者であれば、上記のリストが適したポリマーの非包括的なリストであることを理解
する。本開示の範囲が請求項にのみ制限されることは当然理解される。
【0086】
界面活性剤
【0087】
本開示の実施形態は、安定な分散液の形成を促進するため、かつ起泡を助けるために界
面活性剤を使用してよい。起泡および乾燥段階中にフロスを作り出し安定化させることは
、最初にフロスを作り出す場合には、フロス安定化界面活性剤をポリオレフィン樹脂の水
分散液へ添加することにより達成することができる。その上、これらの界面活性剤は、所
望であれば、乾燥した発泡体の水性湿潤を改良するためにも用いることができる。
【0088】
適したフロス安定化界面活性剤は、陽イオン性、非イオン性、および陰イオン性界面活
性剤から選択してよい。一実施形態では、陰イオン性界面活性剤が使用され得る。陽イオ
ン性界面活性剤の例としては、第四級アミン、第一級アミン塩、ジアミン塩、およびエト
キシル化アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを
含有するブロックコポリマー、シリコーン界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレー
ト、ならびに炭素原子を8個より多く含有するアルキル基の直鎖および第2級アルコール
エトキシレートが挙げられる。
【0089】
陰イオン性界面活性剤の例としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩、およびリン酸塩が
挙げられる。一実施形態では、水分散液からフロスを調製する際に有用な陰イオン性界面
活性剤は、カルボン酸塩およびカルボキシル基をもつ脂肪酸のエステルアミド、好ましく
は12から36個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ステアリン酸またはラウリン酸、パ
ルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、エルカ酸などから
選択され得る。
【0090】
一部の実施形態では、界面活性剤は、両性界面活性剤、例えば、数ある中でもアミノプ
ロピオン酸塩、両性スルホン酸塩、ベタイン、イミダゾリン系両性界面活性剤、およびス
ルタイン(sultaines)などを含み得る。例えば、界面活性剤はイミダゾリンから誘導され
てよく、アセテート型(塩を含有する)またはプロピオネート型(塩を含まない)のいず
れであってもよい。適した両性界面活性剤の例としては、界面活性剤、例えば、数ある中
で、ラウルアミドプロピルベタイン、ナトリウムラウルイミノジプロピオネート、ココア
ミドプロピルヒドロキシルスルタイン、アルキルエーテルヒドロキシプロピルスルタイン
、ナトリウムカプリロアンホヒドロキシプロピルスルホネート、ジナトリウムカプリロア
ンホジプロピオネート、ナトリウムココアンホアセテート、ジナトリウムココアンホジア
セテート、ナトリウムココアンホプロピオネート、ジナトリウムオクチルイミノジプロピ
オネート、ナトリウムココアンホヒドロキシプロピルスルホネート、ジナトリウムラウリ
ルイミノジプロピオネート、ナトリウムステアロアンホアセテート、およびジナトリウム
タロー(tallow)イミノジプロピオネートなどが挙げられる。当分野で公知のその他の両性
界面活性剤を用いてもよい。
【0091】
安定化剤として有用な界面活性剤は、外部界面活性剤かまたは内部界面活性剤のいずれ
かであり得る。外部界面活性剤は、分散液の調製の間に化学的に反応してポリマーの中に
入りこまない界面活性剤である。本明細書において有用な外部界面活性剤の例としては、
ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられる。内部界面活
性剤は、分散液の調製の間に化学的に反応してポリマーの中に入りこむ界面活性剤である
。本明細書において有用な内部界面活性剤の例としては、2,2-ジメチロールプロピオ
ン酸およびその塩が挙げられる。
【0092】
一実施形態では、完成した発泡体において良好な「手触り」または織物のような感触が
望ましい場合、飽和脂肪酸誘導体(例えば、ステアリン酸またはパルミチン酸の塩)が使
用され得る。その他の適した陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホナ
ート、第2級n−アルカンスルホナート、α−オレフィンスルホナート、ジアルキルジフ
ェニレンオキシドスルホナート、スルホスクシネートエステル、イソチオネート、直鎖ア
ルキル(アルコール)スルフェートおよび直鎖アルコールエーテルスルフェートが挙げら
れる。フロス安定化界面活性剤が、分散液を調製するために用いられるものと異なってい
ても異なっていなくてもよいことは当然理解される。これらの界面活性剤は、フロス形成
を助けることとフロスを安定化させやすくすることの両方に役立つ。特定の実施形態では
、界面活性剤は、アルカリ金属、モノ−、ジ−およびトリ−アルカノールアミン(例えば
、モノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)の中の少なくとも1種類、ならびにラウリ
ルスルフェート、ドデシルベンゼンスルフェート、アルコールエトキシスルフェート、お
よびイソチオネートのアンモニウム塩、N−オクチルデシルスルホスクシニメートの二塩
基酸塩、ならびにそれらの混合物から選択されてよい。その他の実施形態では、フロス安
定化剤にはセルロースが含まれてよい。
【0093】
繊維
【0094】
一実施形態では、繊維には、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポ
リウレタン、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、スチレンブタジエンブロック
コポリマーなどを含む、熱可塑性ポリマーから形成されたメルトブロー繊維が含まれ得る
。適したポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレ
ン、エチレンとその他のα−オレフィンのコポリマー、プロピレンとその他のα−オレフ
ィンのコポリマー、ブチレンとその他のα−オレフィンのコポリマー、ならびにそれらの
組合せが挙げられる。一部の実施形態では、繊維には、ホモフィル(homofil)繊維が含ま
れ得る。あるいは、熱可塑性繊維には、上に列挙される熱可塑性ポリマーのいずれかから
形成された溶融紡糸または溶融線引された繊維が含まれてよい。特定の実施形態では、熱
可塑性繊維は、合成ポリオレフィン繊維を含み得る。市販の合成繊維の例は、MiniF
IBERS,Inc.(Johnson City,TN)より入手可能なFYBREL
(登録商標)E型ポリエチレン合成パルプである。これらの繊維は、95%を上回るポリ
エチレンと5%未満のポリビニルアルコールを含んでよく、融点は135℃であり、比重
は0.96g/cm3である。その他の実施形態では、天然繊維も使用してよく、それに
はセルロース系繊維、例えば、綿またはパルプ繊維などが含まれる。さらにその他の実施
形態では、繊維は、粉砕されたモノフィラメント型繊維(すなわち小さな部分に分割され
た繊維または長さを短くした繊維)である。
【0095】
一実施形態では、繊維はまた、湿潤剤をそれらの構造の中に組み入れてもよい。湿潤剤
は、添加剤、例えば、アルコキシル化アルキルフェノールなどを、モノ−、ジ−、および
トリ−グリセリド、およびポリオキシアルキレン脂肪酸エステルならびにそれらの組合せ
から選択される少なくとも1種類とともに(または組み合わせて)含んでよい。かかる湿
潤剤の封入は、参照により本明細書に援用される米国特許第4,486,552号に記載
されている。
【0096】
多様な実施形態では、前記発泡体は、熱可塑性樹脂と繊維の総合重量に基づいて約10
重量%から約60重量%の繊維;そしてその他の実施形態では、熱可塑性樹脂と繊維の総
合重量に基づいて約10重量%から約40重量%の繊維を含み得る。一実施形態では、繊
維の平均長は0.2から30mmの範囲;もう一つの実施形態では0.5から20mm;
さらに別の実施形態では1から10mmである。もう一つの実施形態では、熱可塑性繊維
の融点は、熱可塑性樹脂の融点より大きい。一部の実施形態では、繊維は、繊維を含まな
いフロスを乾燥させることと比較して、フロス乾燥プロセスの発泡体の崩壊を低下させ得
る。
【0097】
添加剤
【0098】
発泡体は、所望により、それらが設計される適用に応じて、熱可塑性樹脂の重量の約2
から100%(乾燥べース)の範囲の量で充填剤を含んでよい。これらの随意的な成分と
しては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン粉末、ポリマー粒子、中空のガラス球、
ポリマー繊維、例えば、ポリオレフィン系短繊維モノフィラメントなどが含まれ得る。吸
収性物品における使用のために設計された発泡体は、ポリマー発泡体の全体にわたって均
一に分布しているバルク液体吸収材料、例えば、短い綿繊維またはその他のセルロース繊
維などを含み得る。
【0099】
それらは典型的に起泡させる前に粒子分散液とブレンドされないが、それらの強い吸水
性に起因して、高吸水性ポリマー(「SAP」)の微粒子、例えば軽く架橋されたアクリ
レートポリマーなどは、それが乾燥プロセスに入ると同時にフロスの表面上に均一に分布
されて乾燥時にその表面で並外れた吸収性をもつ耐久性のある発泡体をもたらす。しかし
、SAP粒子が(例えば、遅延型水溶性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルアルキル
セルロースエーテルまたはポリオキシエチレン樹脂の表面層で)処理されて、粒子の初期
吸水速度をフロスが乾燥した発泡体の状態に達するまで低下させるならば、かかる「遅延
吸収性」SAP粒子は、起泡が開始される前に粒子分散液に直接有利に加えられてよい。
【0100】
本明細書中に開示される実施形態において有用な高吸収性ポリマー(「SAP」)粒子
は、問題になっている流体、例えば、湿度、水または水性液などのそれら自身の重量を何
度も吸収する粒子である。SAP粒子は、流体を吸収すると膨潤する。SAPは多様な用
途に用いられており、それにはおむつ、建設業界における遮水用途、および食品包装シス
テムにおける液体吸収剤、ならびに衛生および医療用途が含まれる。SAP粒子は、架橋
されて大量の液体を吸収できる、一部の例では粒子をその乾燥サイズの数倍まで膨潤させ
る、既知の親水性ポリマーのいずれかであり得る。これらのポリマーは当分野で周知であ
り、商業的に広く入手可能である。大部分のSAPは架橋され、部分的に中和され、およ
び/または表面処理されている。架橋のレベルを選択して特定の適用のための所望の膨潤
特性を得ることが好ましい。
【0101】
一部の適したSAPおよびSAPを調製するための方法(ゲル重合過程を含む)の例は
、米国特許第3,669,103号;同第3,670,731号;同第3,926,89
1号;同第3,935,099号;同第3,997,484号;同第4,076,663
号;同第4,090,013号;同第4,093,776号;同第4,190,562号
;同第4,286,082号;同第4,340,706号;同第4,446,261号;
同第4,459,396号;同第4,654,039号;同第4,683,274号;同
第4,708,997号;同第4,857,610号;同第4,985,518号;およ
び同第5,145,906号に開示されており、その教示は参照により本明細書に援用さ
れる。加えて、Buchholz, F.L. and Graham, A.T.、「Modern Superabsorbent Polmer Te
chnology」、John Wiley & Sons (1998)および Lisa Brannon-Peppas and Ronald S. Har
land、「Absorbent Polymer Technology」 Elsevier (1990)参照。
【0102】
フロスの調製
【0103】
フロスは、機械的方法、例えば、空気またはその他の気体を分散液の水相に連行するた
めに、または所望により混合中に気体をシステムに注入するために大気条件下での、高剪
断、機械的混合プロセスなどを用いることにより分散液/界面活性剤/繊維混合物から調
製してよい。フロスの中に組み込むことのできる空気またはその他の気体の量(空気に加
えて気体が望ましい、または空気以外の気体が望ましい場合)は、一実施形態では容積に
より少なくとも80%、もう一つの実施形態では容積により少なくとも85%、そしてさ
らに別の実施形態では容積により得られるフロスの少なくとも90%を占めてよい。最初
に、フロスを作成するために用いられる予定の全ての成分を、空気の取り込みを避けるた
めに穏やかに攪拌しながら一緒に混合する。
【0104】
全ての成分が十分混合されると、混合物を高剪断機械的混合に曝す。この段階の間、流
動性のない堅いフロスが形成されるまで、より多くの空気が連続水相の中に閉じ込められ
るにつれ混合物のバルク粘度は増大し得る。所望の密度をもつフロスを得るために必要な
混合時間は、フロス安定化界面活性剤の量および種類ならびに機械的剪断の量とともに変
動し得る。濃厚な水分散液中に空気を泡立たせることのできる任意の機械的混合装置、例
えば、キッチンブレンダー/ハンドミキサー、ワイヤホイップを備えた、または大規模に
は、Cowie−Riding Twin Foamer(Cowie Riding
Ltd.)を備えたホバートミキサーなどを用いることができる。市販の発泡装置(foame
r)も、極めて低い(50g/Lm未満)密度のフロスを得るために、空気をその高剪断混
合ヘッドの中に注入させることができる。
【0105】
フロス密度は、例えば、フロスのサンプルを所定の容積および重量のカップに引き出し
、フロスを満たしたカップを秤量し、次にサンプルの密度を計算することにより測定する
ことができる。市販の発泡剤では、空気を混合ヘッドの中に直接加えて低密度フロスの発
生を助けることができる。所望のフロス密度を得るために起泡装置の速度を増加または低
下させてよい。一実施形態では、フロス密度は、約0.04から0.15g/ccの範囲
内であってよく、もう一つの実施形態では0.07から0.08g/ccの間であってよ
い。所望の密度のフロスが得られると、フロスは、所望により、フロスの発泡体への変換
の前に基材の上に塗布されてよい。
【0106】
ポリマーを含む起泡した発泡体はまた、2004年8月25日出願のPCT出願第PC
T/US2004/027593号に開示され、国際公開公報第2005/021622
号として公開されるように形成されてもよい。その他の実施形態では、ポリマーはまた、
任意の公知の手段、例えば、過酸化物、電子ビーム、シラン、アジド、γ線照射、紫外線
の使用、またはその他の架橋技法などにより架橋されていてもよい。ポリマーはまた、例
えば、グラフト(例えば無水マレイン酸(MAH)、シラン、またはその他のグラフト剤
の使用により)、ハロゲン化、アミノ化、スルホン化、またはその他の化学修飾によるな
ど、化学的に改質されてよい。
【0107】
乾燥および回収段階
【0108】
一実施形態では、発泡体は、本明細書に開示されるように調製されるフロスの一部の液
体/水性要素を除去することにより、フロスから調製され得る。その他の実施形態では、
発泡体は、フロスの少なくとも大部分の液体/水性要素を除去することにより、フロスか
ら調製され得る。さらにその他の実施形態では、発泡体は、実質的に全ての液体/水性要
素を除去することにより調製され得る。様々な実施形態では、30重量%を上回る、50
重量%を上回る、80重量%を上回る、90重量%を上回る、95重量%を上回る、98
重量%を上回る、または99重量%を上回る液体/水性要素が除去され得る。液体部分が
除去される手段は、フロス容積の崩壊の量を最小化するように選択してよい。一実施形態
では、フロスは、強制空気乾燥オーブン中で、最適な乾燥のために選択された温度にて加
熱することにより乾燥され、発泡体に変換され得る。一実施形態では、フロスは約60℃
から120℃の間の温度まで加熱され得る。
【0109】
熱可塑性樹脂の性質が許容するように、加工は、フロスの泡の表面でポリオレフィン樹
脂粒子の粘度を崩壊することなく、または部分的に乾燥したフロスの有意な(例えば、3
0容量%を上回る)崩壊を引き起こすことなく、フロスからできるだけ迅速に水を除去す
るために実現可能な最高温度で行われてよい。もう一つの実施形態では、乾燥温度は、熱
可塑性繊維の融点温度を超えないように選択されてよい。一実施形態では、フロスを熱可
塑性樹脂の溶融範囲に接近するが、それを超えない温度で乾燥させることが望ましい。も
う一つの実施形態では、発泡体がその最終的な形態および寸法で完全に「乾燥し」、フロ
ス中の水の少なくとも95重量%が追い出されるより前に、繊維との擬似架橋の間に熱可
塑性樹脂中の非晶質領域が融合し始め、フロスの崩壊を回避するかまたは少なくとも最小
化する温度に達することが望ましい。結果として生じる「乾燥した」発泡体は、一実施形
態では約0.02から0.07g/cm3、そしてもう一つの実施形態では約0.03か
ら0.05g/cm3の密度を有し得る。
【0110】
乾燥した発泡体の一部の実施形態は、0.01cmから2.5cmの範囲の平均厚さを
有し得る。乾燥した発泡体のその他の実施形態は、0.05cmから2.0cmの範囲;
そしてさらにその他の実施形態では1から1.5cmの範囲の平均厚さを有し得る。乾燥
した発泡体の実施形態を含む物品は、0.1cmから2.5cm;その他の実施形態では
0.5cmから2.0cm;そしてさらにその他の実施形態1.0cmから1.5cmの
範囲の平均厚さを有する発泡体の少なくとも1つの層を含み得る。一部の実施形態では、
2又はそれ以上の発泡体を一緒に積層してもよく;様々な実施形態では、2又はそれ以上
の発泡体は同じまたは異なる密度、同じまたは異なる気泡サイズ、あるいは同じまたは異
なる構造(フィブリル化、開放気泡、独立気泡、など)を有し得る。その他の実施形態で
は、1又はそれ以上の発泡体は、基材、例えば膜などに積層され得る。
【0111】
本開示の所望の発泡体を形成するためのフロスの乾燥は、バッチ方式または連続方式で
行われてよい。例えば、従来の強制空気乾燥オーブンまたは幾列もの赤外線加熱ランプま
たは誘電加熱装置、例えば、無線(典型的に1から100MHzの間の範囲の許容される
周波数帯で作動する)およびマイクロ波(典型的に400から2500MHzの間の範囲
の許容される周波数帯で作動する)周波数エネルギー生成源を含み、連続様式で、フロス
を設置するかまたはそれを通ってフロスを運搬するトンネルまたはチャンバーにライニン
グを施す装置を乾燥に用いてよい。かかる乾燥エネルギー源の組合せを同時にまたは連続
適用で用いて、フロスを乾燥させて発泡体を形成することができる。一実施形態では、乾
燥には誘電体装置と強制空気乾燥オーブンの同時使用が含まれる。厚さ約0.25から0
.6cmの発泡体に関して、強制空気オーブンがおよそ75℃で作動し、無線周波数発生
器がフロスを約45から50℃の内部温度まで加熱する場合、乾燥は45から90秒程度
で迅速に達成することができる。乾燥運転の温度は、発泡体を調製するために用いられる
ポリオレフィン樹脂の性質および溶融範囲(DSCにより測定される)に従って選択され
てよい。様々な国で産業用に許可されている、誘電加熱周波数帯は、参照文献「Foundati
ons of Industrial Applications of Microware and Radio Frequency Fields」、Rousy,
G and Pierce, J. A. (1995) の中に大いに詳細に指定されている。
【0112】
発泡体の構造
【0113】
繊維および分散液の実施形態を合し、起泡させ、乾燥させて各々上記のように発泡体を
生じる場合、フィブリル化構造が生じ得る。図4から6を参照して下の実施例3にさらに
説明されるように、発泡体の壁体様構造には、熱可塑性繊維1および熱可塑性樹脂2が含
まれ、この熱可塑性樹脂2は繊維網を取り囲み、相互連結して連続的なウェブを形成する
。フィブリル化構造は気泡質であってもよいし、図4から6に示されるように、外見は非
気泡質であってもよい。発泡体形態学はまた、伝統的なPFFと比較して高度のランダム
性および大きな表面開口部を有するとして特徴付けられる。発泡体の内部構造はまた、不
織フィブリルを含む非気泡構造および従来のPFFと比較してより大きな空きスペースを
示す。
【0114】
一実施形態では、吸収性構造(発泡体)は非気泡質のフィブリル化形態学を有し得る。
本明細書において、「非気泡質のフィブリル化構造」とは、フィブリルまたは糸状の長繊
維からなる、または有する、オープンで、ランダムな、非気泡質の形態を有する発泡体を
さす。非気泡質のフィブリル化構造は、例えば、不均一であって非反復性であってよい(
例えば、フィブリルが不織繊維様ウェブを形成し、大多数の壁体が相互に接続されていな
いなど)。
【0115】
もう一つの実施形態では、前記発泡体は、サイズ50cm2の発泡体サンプル上に23
℃の合成尿の5.0mL液体侵襲物をもとに約0.1から約10秒の範囲の速度による侵
襲物の攻撃(insult strike)を受け得る。さらに別の実施形態では、発泡体は、約0.5
から7秒;そしてさらにその他の実施形態では約1から4秒の範囲の速度による侵襲物の
攻撃を受け得る。さらに別の実施形態では、発泡体の平均厚さは約0.03から3.0c
m;その他の実施形態では約0.1から約2.5cm;その他の実施形態では約0.5か
ら約2.0cm;そしてさらにその他の実施形態では約1.0から約1.5cmの範囲で
ある。
【0116】
衛生物品
【0117】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される発泡体は、身体浸出液を適切に含みな
がら着用者に対して改良された適合性および快適さをもたらすよう設計された、衛生物品
;例えば、おむつ、失禁用ブリーフ、トレーニングパンツ、おむつカバーおよびライナー
、女性用衛生衣類などの吸収性コア構造の二次加工に用いられ得る。
【0118】
吸収性コアとは、その機能が流体を獲得し、分配し、移動させ、保存し、および/また
は再分配することである、吸収性物品の部分(例えば、層)をさす。吸収性コアは、吸収
材料を含み、その少なくとも1つは本開示の発泡体を含み、かつ、液体、例えば、尿およ
び特定のその他の身体浸出液などを適した様式および程度で獲得し、分配し、および/ま
たは保持することができる。
【0119】
その他の実施形態では、2又はそれ以上の発泡体層を有する物品を形成することが望ま
しい場合がある。一部の実施形態では、発泡体層は同じまたは異なる密度からなってよい
。その他の実施形態では、2又はそれ以上の発泡体層は積層されていてよい。
【0120】
実施例
【0121】
以下の実施例には、例示的なフロス発泡体および吸収性用途におけるそれらの有効性を
示す実験データが含まれる。発泡体は、SEM画像形成、45度流出測定、負荷を受けた
場合の崩壊%、滲み通り(strikethrough)時間(Edana 150.4−99)、およ
び吸収力指標を含む様々な方法により特性決定することができる。
【0122】
ポリオレフィンエラストマー(ENGAGE(登録商標))またはポリオレフィンプラ
ストマー(AFFINITY(商標))(各々、The Dow Chemical C
ompany,Midland,MIより入手可能)およびポリエチレンパルプ(Min
iFIBERS,Inc.,Johnson City,TNより入手可能なポリエチレ
ンファイバーE型)を用いて本明細書に詳述されるプロトコールに従って形成された分散
液から発泡体を生成した。以下の手順は例示的であり、所望の繊維の装填、希釈、および
界面活性剤の使用を調節することにより改変形態を実行してもよい。
【0123】
分散液:ポリオレフィンプラストマーの水分散液は、国際公開公報第20050216
38号に記載される手順に従って形成される。分散液は、AFFINITY(商標) E
G 8200(約5dg/分のMI2、および0.870g/ccの密度を有するエチレ
ン−αオレフィンコポリマー)を用いて形成される。分散界面活性剤系には、UNICI
D(登録商標)(Baker Petroliteより入手可能な直鎖カルボン酸)、H
YSTRENE(登録商標)(Crompton Corp.,Greenwich,C
onnecticutより入手可能な脂肪酸)、およびMETHOCEL(登録商標)(
The Dow Chemical Companyより入手可能な水溶性メチルセルロ
ースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー)が含まれ、エチレンコポリマ
ーと界面活性剤系の総合重量に基づいてそれぞれ2重量%、1重量%、および0.2重量
%の添加量で用いられる。生成された水分散液は、およそ53重量%の固形含量を有する

【0124】
発泡体:40%の繊維を添加した発泡体を生成するため、10ガロンの上記分散液(P
OD 8102、The Dow Chemical Company,Midland
,MI)を、ポリマー固形分に基づいて1.5重量%のラウレス硫酸アンモニウム(ST
EOL(登録商標)、Stepan Co.,Northfield,Illinois
より入手可能)および1重量%のラウリル硫酸ナトリウム(STEPANOL(登録商標
)、これもStepan Co.より入手可能)と混合する(2部の安定化剤、1部のフ
ロス安定化界面活性剤、および1部の湿潤剤を有する2−1−1分散液)。分散液の80
グラムアリコートを混合ボウルの中に入れ、80グラムの脱イオン水でさらに希釈する。
混合物を攪拌する。低い設定で1分間、次に15グラムの合成繊維(ポリエチレンファイ
バーE型、MiniFIBERS,Inc.,Johnson City,TNより入手
可能)を、2分間にわたり遅い攪拌を継続しながら添加する。1から2分間高速で攪拌す
ることにより(泡立て器を備えたホバートミキサー)フロスを作出する。フロスを剥離紙
の上に載せ、スクリード用の道具を用いて約0.1cmから約2.54cmの範囲の高さ
に平らにする。次に、フロスを75℃に予熱したオーブンで乾燥させて発泡体を形成する

【0125】
実施例1
【0126】
3つの発泡体サンプルを上記の手順に従って調製する。サンプル1の発泡体は繊維を含
まず、上記のAFFINITY(商標) EG 8200(POD 8102、The
Dow Chemical Company,Midland,MI)の2−1−1分散
液およびポリマー固形分に基づいて1.5%のSTEOL(登録商標)を用いる。サンプ
ル2および3は、ポリエチレン繊維を添加する40%の繊維(MiniFIBERS,I
nc.,Johnson City,TNより入手可能なポリエチレンファイバーE型)
を、1.5%STEOL(登録商標)に加えて用いる(両方ともポリマー固形分に基づく
)。サンプル2は、2−1−1 POD 8102分散液で作成されるが、一方のサンプ
ル3は、2−1−2 POD 8102分散液を用いる。
【0127】
液体が発泡体構造を通過する速度で試験される滲み通り(strikethrough)実験、および
吸収力指標(Absorbent Capacity Index)(ACI)測定を、上記に開示される詳細に従っ
て調製されたこれらの発泡体サンプルで行う。
【0128】
滲み通り測定に用いた液体は、23℃の合成尿(米国特許第5,260,345号に記
載される通り)の5.0mLサンプルであり、発泡体サンプルのサイズは50cm2であ
る。液体をサンプルの上部および下部に導入する。滲み通り試験の結果(各エントリーは
4回の実施の平均である)を、下の表1に示す。
【表1】

【0129】
表1に示されるように、ポリオレフィン繊維を含有するサンプルについて滲み通りの劇
的な減少がある。湿った負荷が前記発泡体サンプルの上部または下部に導入されたかどう
かが滲み通りを生じるように見えなかった。
【0130】
ACI測定は上記と同じ合成尿をサイズ50cm2の発泡体サンプルとともに用い、2
4.9mLの合成尿を7.0mL/秒の速度で導入する。下の表2は、これらの発泡体サ
ンプルについての吸収データをまとめたものであり、各エントリーは6回の実施の平均で
ある。
【表2】

【0131】
表2に示されるように、ACIは、繊維を含まない発泡体サンプル(サンプル1)に対
して、40%のポリエチレン繊維を含むサンプル(サンプル2および3)について大きく
なる。
【0132】
実施例2
【0133】
発泡体サンプルは、上に概説されるプロトコールに従って合成される。ポリオレフィン
分散液(POD 8102)は、様々に希釈され、ポリエチレンパルプ(MiniFIB
ERS,Inc.,Johnson City,TNより入手可能なポリエチレンファイ
バーE型)を用いて様々な繊維添加量を組み込む。表3に示される繊維添加量は、ポリマ
ー固形分の重量に基づく。サンプル発泡体は15.3cm×10.2cmである。これら
のサンプルを、前記発泡体サンプルを45度の角度の面の上に置き、2つの80mL液体
侵襲物を発泡体の上部に導入し、前記発泡体に吸収されずに流出した全ての液体の量を回
収および測定することにより行われる、45度流出試験に付す。液体侵襲物は5分離して
導入され、流出測定は、それぞれ1回目および2回目の流出として報告される。発泡体の
崩壊は、硬化中のフロスの崩壊の量を表す。液体侵襲物は、0.03重量%の塩化カルシ
ウム、0.08重量%の硫酸マグネシウム、0.77重量%の塩化ナトリウム、1.94
重量%の尿素、および97.17重量%の脱イオン水として処方された合成尿である。こ
れらの試験の結果を下の表3にまとめる。
【表3】

【0134】
一定の繊維を添加したサンプルを比較すると、ポリオレフィン分散液の希釈率の増加は
、一般に崩壊の増加をもたらした(サンプル4から6または7から10参照)。繊維を含
まずに作出された発泡体と比べると、繊維添加量が増加すると、繊維の存在に起因して崩
壊が劇的に低下し(サンプル6、10、15および19参照)、繊維が発泡体構造内部の
壁体の保全性を支援し得ることを示唆する。流出試験は、繊維を含まずに作出された発泡
体では、流出量が一般に多かったことを示した。従って、崩壊の増加を招くことなく流出
を最小化するための希釈レベルのバランスを見つけ出す必要がある。本明細書に開示され
る発泡体の中に繊維を添加することは、発泡体の崩壊を効果的に減少させるためのこのバ
ランスを保つ際に不可欠な役割を果たし得る。
【0135】
実施例3
【0136】
上に概説されるプロトコールに従って作成されたポリオレフィン発泡体のサンプルのS
EM画像を図4aおよび4bに図示する。組み込まれたポリオレフィン繊維を含む、AF
FINITY(商標)の水分散液から形成された発泡体は、新規な非気泡質のフィブリル
化構造を提示する。発泡体の形態は、図1aからbに示される伝統的なPFFと比較して
高度のランダム性および大きな表面開口部を有するとして特徴付けられ得る。図4aに示
される発泡体の断面も、不織フィブリルを含む非気泡構造および大きな空きスペースを提
示する。図4bに示される表面開口部が大きいほど、液体の滲み通りを速くすることがで
き、空きスペースが大きい結果、液体保持のための毛管圧が低くなり得る。
【0137】
発泡体壁体の高解像度SEM画像により、図5および6に示されるように、ポリエチレ
ン繊維がAFFINITY(商標)ポリマーによって実質的に封入されていることが示さ
れる。図5において、発泡体構造中の壁体の高解像度画像により、壁体構造の大部分を構
成するAFFINITY(商標)ポリマー2のマトリックス内にあるポリオレフィン繊維
1が示される。繊維1により壁体構造の補強がもたらされている。図6は壁体の断面図の
高解像度SEM画像であり、ポリエチレン繊維2を取り囲むAFFINITY(商標)ポ
リマー1が示される。
【0138】
個人用衛生物品のための吸収材料における本開示の発泡体の使用への言及が成されてい
るが、本開示への制限はかかる説明により何ら意図されない。むしろ本明細書に開示され
る発泡体は、具体的には、家庭用およびパーソナルケア用ふき取り繊維、医療創傷ケアお
よび外科用包帯、空気および液体濾過、食品吸収パッド、例えば鶏肉または肉類用パッド
など、生地/織物の裏布、雑音/音の消音、および自動IPの支持体(auto IP backing)
に使用が見出され得る。
【0139】
本開示の実施形態の利点としては、次の1又はそれ以上を挙げることができる。網状の
形態はより大きな発泡体表面開口部を可能にし、それはより迅速な液体吸収およびより迅
速な液体滲み通りをもたらし得る。空きスペースが大きいことにより、伝統的なフロス発
泡体形態に対して、少ない液体保持のため低い毛管圧が結果としてもたらされる。本明細
書に記載される発泡体は、セルロース系繊維システムと比較して、優れた湿潤および乾燥
引張強さならびに優れた湿潤崩壊を提示し得る。その上、様々な発泡体のエラストマー性
も、発泡体に形態を保持させる。有利には、一部の実施形態では、繊維は崩壊安定化剤と
しての役割を果たし、膜形成中のフロス崩壊を減少させおよび/または乾燥発泡体の崩壊
を減少させ得る。
【0140】
本開示を限定された数の実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本明細書
に開示される本開示の範囲から逸脱することなくその他の実施形態が考案され得ることを
理解する。従って、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲にのみ限定されるものである


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散液から熱可塑性発泡体を生成させるための方法であって、前記水分散液は、熱可
塑性樹脂、水、および分散安定化剤を含み、前記方法は、
少なくとも1種類のフロス安定化界面活性剤(froth stabilizing surfactant)を水分散
液に添加して混合物を形成することと;
前記混合物に繊維を添加することと;
混合物を起泡させてフロスを作出し、
フロスの中の水の少なくとも一部を除去して発泡体を作出することとを含み、
前記生成された発泡体が非気泡構造のフィブリル化形態(non-cellular fibrillated morp
hology)を有する、方法。
【請求項2】
前記分散安定化剤が脂肪酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フロス安定化界面活性剤がセルロースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基材の少なくとも一部分をフロスの層で被覆することと;
フロスから水の大部分を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分散液が、分散液の容積に基づいて約25から約74%の熱可塑性樹脂および分散
安定化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分散液が、いずれの増量剤(filler)も除いて、重量に基づいて約40から約55%
の熱可塑性樹脂および分散安定化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記発泡体が、熱可塑性樹脂と繊維の総合重量に基づいて約10重量%から約60重量
%の繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維が、ポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはマルチブロックインター
ポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、またはマルチブロックインターポ
リマー、合成パルプ、あるいはそれらの組合せを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維の平均長が、約0.5mmから約20mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維が、熱可塑性樹脂よりも高い融点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記発泡体が、平均厚さが約0.01cmから約2.5cmである少なくとも1つの層
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記フロスの中の水の少なくとも一部を除去して発泡体を作出することにより、0から
20重量%の残留水を有する発泡体にする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性樹脂に基づくフィブリル化した非気泡構造(fibrillated non-cellular struct
ure);
を含む発泡体であって、前記発泡体の平均密度が約0.02g/cm3から約0.07g
/cm3である、発泡体。
【請求項15】
前記発泡体が、約10重量%から約60重量%の繊維を含む、請求項14に記載の発泡
体。
【請求項16】
前記繊維が、ポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはマルチブロックインター
ポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、またはマルチブロックインターポ
リマー、合成パルプ、あるいはそれらの組合せを包含する、請求項15に記載の発泡体。
【請求項17】
前記繊維の平均長が、約0.5mmから約20mmである、請求項15に記載の発泡体

【請求項18】
前記繊維の表面積の少なくとも約50%が熱可塑性樹脂で被覆されている、請求項15
に記載の発泡体。
【請求項19】
前記熱可塑性樹脂が少なくとも一部分架橋されている、請求項18に記載の発泡体。
【請求項20】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンを含む、請求項18に記載の発泡体。
【請求項21】
前記発泡体の平均厚さが約0.01cmから約2.5cmである、請求項14に記載の
発泡体。
【請求項22】
前記発泡体が、0.1から10秒の速度を通して侵襲物の攻撃(insult strike)を受け
る、請求項14に記載の発泡体。
【請求項23】
前記発泡体が、1から4秒の速度を通して侵襲物の攻撃を受ける、請求項14に記載の
発泡体。
【請求項24】
高吸収性ポリマーをさらに含む、請求項14に記載の発泡体。
【請求項25】
請求項14に記載の発泡体を含む、幼児用おむつ、女性用衛生用品、成人用失禁用品、
創傷包帯パッド、外科スポンジ、医療用衣類、外科用掛け布、ふき取り用タオル(wiping
towel)、ふき取り用スポンジ(wiping sponge)、および食品包装パッドから選択される
吸収性物品。
【請求項26】
水分散液から熱可塑性発泡体を生成するための方法であって、前記水分散液は、熱可塑
性樹脂、水、および分散安定化剤を含み、前記方法は、
少なくとも1種類のフロス安定化界面活性剤を水分散液に添加して混合物を形成するこ
とと;
前記混合物に繊維を添加することと;
混合物を起泡させてフロスを作出することと;
フロスの中の水の少なくとも一部を除去して発泡体を作出することとを含み;
前記作出された発泡体は20重量%以下の残留水を含み;かつ
前記生成された発泡体は非気泡構造のフィブリル化形態を有する、方法。
【請求項27】
前記結果として生じる発泡体が、0から10重量%の残留水を含む、請求項26に記載
の方法。
【請求項28】
前記結果として生じる発泡体が、0から8重量%の残留水を含む、請求項26に記載の
方法。
【請求項29】
前記分散安定化剤が脂肪酸を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記フロス安定化界面活性剤がセルロースを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
基材の少なくとも一部分をフロスの層で被覆することをさらに含む、請求項26に記載
の方法。
【請求項32】
前記分散液が、分散液の容積に基づいて約25から約74%の熱可塑性樹脂および分散
安定化剤を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記分散液が、いずれの増量剤(filler)も除いて、重量に基づいて約40から約55%
の熱可塑性樹脂および分散安定化剤を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記発泡体が、熱可塑性樹脂と繊維の総合重量に基づいて約10重量%から約60重量
%の繊維を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記繊維が、ポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはマルチブロックインター
ポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、またはマルチブロックインターポ
リマー、合成パルプ、あるいはそれらの組合せを包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記繊維の平均長が、約0.5mmから約20mmである、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記繊維が、熱可塑性樹脂よりも高い融点を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記発泡体が、平均厚さが約0.01cmから約2.5cmである少なくとも1つの層
を有する、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−149270(P2012−149270A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85083(P2012−85083)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【分割の表示】特願2009−529419(P2009−529419)の分割
【原出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】